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勇者「魔王は一体どこにいる?」続編

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122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:39:05.57 ID:JwosRg690
『単独行動3日目』

ガラゴロ ガラゴロ

女海賊「商隊に居るより全然こっちのがラク」

剣士「自由に出来るからね」

女海賊「エルフが居ればウルフも襲って来ないし」

剣士「全然他の馬車とすれ違わないね」

女海賊「こんな所危なくて単独馬車で移動なんか出来ないよ」

妖精「ドラゴンがまた来たりして」

女エルフ「ドラゴンはエルフの味方よ?…又ってどういう事?」

女海賊「商隊が一回ドラゴンに襲われかけた」

女エルフ「エルフを捕らえていない限りドラゴンは襲って来ない筈…あ!」

剣士「僕を見に来た?」

女エルフ「そうだと思う」

女海賊「なるほどぅ…つじつまが合うね」

女エルフ「ドラゴンは何処へ向かってたか分かる?」

女海賊「トアル町の東の方向」

女エルフ「森の最南部ね…鳥達の噂と合致してる」

女海賊「何かあんの?」

女エルフ「人間達の大部隊がエルフを探して北上してるらしいの」

女海賊「法王庁の衛兵達もその一部かな?…シャ・バクダに着いたらお姉ぇに聞いてみよう」

女エルフ「お姉さん?その人もドワーフ?」

女海賊「今は盗賊ギルドマスターを代行してる」

剣士「アサシンの代わりの人って?」

女海賊「私のお姉ぇ…ドワーフ2人とエルフ2人フフフ私らって一体何だろね?」



----------
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:39:38.20 ID:JwosRg690
女海賊「…そう!気球をもらったらエルフの森を飛び越えて東の光の都シン・リーンに行く」

女海賊「途中で降ろしてあげても良いけどどうする?」

女エルフ「…剣士の目を治す為…か」

女海賊「千里眼という魔法があるんだってさ」

女エルフ「知ってる…でもそれは遠くにある物を見通す魔法」

剣士(目は治らなくても良い…ただ見たいだけ)

剣士(君たちの顔も世の中のすべても全部…僕が勝手に想像して心に描いてる)

剣士(夢でよく見る人が誰なのかも何もかも思い出せない)

剣士(それは見えないから…僕が勝手に想像してる物だから)

女エルフ(夢の中でも魂は同じ筈)

剣士(夢の中でそれを感じれるほど機転が利かないんだ)

剣士(いつも自分が誰だったか夢の中では覚えていない)

女エルフ(あなた…夢幻に捕らわれている)

剣士(夢幻?)

女エルフ(エルフは夢を見ないの…寝むる代わりに瞑想をするから)

剣士(瞑想の間は自我を保てる…夢は自我がどこかにいってしまう…どうしてだろう?)

女エルフ(それはあなたの夢では無いから)

女海賊「おい!!ちょっとさぁ!!私の分かんない言葉で会話しないでくれる?」

剣士「ごめん…難しい言葉だったから」

女海賊「…でどうすんの?女エルフ?」

女エルフ「剣士の見る夢に興味が出てきた…精霊の見ている夢かもしれない」

女海賊「はぁ?なんで急に精霊とか言い出す訳?ひょっとして昔話のやつ?」

女エルフ「その昔話がどういうのかは知らないけれど…200年前に精霊が夢幻に閉じ込められたお話」

女海賊「うんそれそれ…アサシンがしきりにその話をしてた…それって本当なのかなぁ?」

女エルフ「エルフの森には精霊樹があるの…」


精霊樹は祈りによって純血のエルフを生むの

でも200年前から精霊樹はエルフを生まなくなった

それは魂が居なくなってしまったから

このままではあと100年もすればハイエルフは絶滅してしまう

だからハイエルフ達は精霊の魂が再び戻る事をずっと祈ってるの

ではどうして精霊の魂が居なくなってしまったのか?

それは200年前の大破壊の時

魔王が倒される間際に精霊を夢幻に閉じ込めてしまったから…
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:40:10.91 ID:JwosRg690
女海賊「…そう!気球をもらったらエルフの森を飛び越えて東の光の都シン・リーンに行く」

女海賊「途中で降ろしてあげても良いけどどうする?」

女エルフ「…剣士の目を治す為…か」

女海賊「千里眼という魔法があるんだってさ」

女エルフ「知ってる…でもそれは遠くにある物を見通す魔法」

剣士(目は治らなくても良い…ただ見たいだけ)

剣士(君たちの顔も世の中のすべても全部…僕が勝手に想像して心に描いてる)

剣士(夢でよく見る人が誰なのかも何もかも思い出せない)

剣士(それは見えないから…僕が勝手に想像してる物だから)

女エルフ(夢の中でも魂は同じ筈)

剣士(夢の中でそれを感じれるほど機転が利かないんだ)

剣士(いつも自分が誰だったか夢の中では覚えていない)

女エルフ(あなた…夢幻に捕らわれている)

剣士(夢幻?)

女エルフ(エルフは夢を見ないの…寝むる代わりに瞑想をするから)

剣士(瞑想の間は自我を保てる…夢は自我がどこかにいってしまう…どうしてだろう?)

女エルフ(それはあなたの夢では無いから)

女海賊「おい!!ちょっとさぁ!!私の分かんない言葉で会話しないでくれる?」

剣士「ごめん…難しい言葉だったから」

女海賊「…でどうすんの?女エルフ?」

女エルフ「剣士の見る夢に興味が出てきた…精霊の見ている夢かもしれない」

女海賊「はぁ?なんで急に精霊とか言い出す訳?ひょっとして昔話のやつ?」

女エルフ「その昔話がどういうのかは知らないけれど…200年前に精霊が夢幻に閉じ込められたお話」

女海賊「うんそれそれ…アサシンがしきりにその話をしてた…それって本当なのかなぁ?」

女エルフ「エルフの森には精霊樹があるの…」


精霊樹は祈りによって純血のエルフを生むの

でも200年前から精霊樹はエルフを生まなくなった

それは魂が居なくなってしまったから

このままではあと100年もすればハイエルフは絶滅してしまう

だからハイエルフ達は精霊の魂が再び戻る事をずっと祈ってるの

ではどうして精霊の魂が居なくなってしまったのか?

それは200年前の大破壊の時

魔王が倒される間際に精霊を夢幻に閉じ込めてしまったから…
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:40:51.43 ID:JwosRg690
女海賊「…そう!気球をもらったらエルフの森を飛び越えて東の光の都シン・リーンに行く」

女海賊「途中で降ろしてあげても良いけどどうする?」

女エルフ「…剣士の目を治す為…か」

女海賊「千里眼という魔法があるんだってさ」

女エルフ「知ってる…でもそれは遠くにある物を見通す魔法」

剣士(目は治らなくても良い…ただ見たいだけ)

剣士(君たちの顔も世の中のすべても全部…僕が勝手に想像して心に描いてる)

剣士(夢でよく見る人が誰なのかも何もかも思い出せない)

剣士(それは見えないから…僕が勝手に想像してる物だから)

女エルフ(夢の中でも魂は同じ筈)

剣士(夢の中でそれを感じれるほど機転が利かないんだ)

剣士(いつも自分が誰だったか夢の中では覚えていない)

女エルフ(あなた…夢幻に捕らわれている)

剣士(夢幻?)

女エルフ(エルフは夢を見ないの…寝むる代わりに瞑想をするから)

剣士(瞑想の間は自我を保てる…夢は自我がどこかにいってしまう…どうしてだろう?)

女エルフ(それはあなたの夢では無いから)

女海賊「おい!!ちょっとさぁ!!私の分かんない言葉で会話しないでくれる?」

剣士「ごめん…難しい言葉だったから」

女海賊「…でどうすんの?女エルフ?」

女エルフ「剣士の見る夢に興味が出てきた…精霊の見ている夢かもしれない」

女海賊「はぁ?なんで急に精霊とか言い出す訳?ひょっとして昔話のやつ?」

女エルフ「その昔話がどういうのかは知らないけれど…200年前に精霊が夢幻に閉じ込められたお話」

女海賊「うんそれそれ…アサシンがしきりにその話をしてた…それって本当なのかなぁ?」

女エルフ「エルフの森には精霊樹があるの…」


精霊樹は祈りによって純血のエルフを生むの

でも200年前から精霊樹はエルフを生まなくなった

それは魂が居なくなってしまったから

このままではあと100年もすればハイエルフは絶滅してしまう

だからハイエルフ達は精霊の魂が再び戻る事をずっと祈ってるの

ではどうして精霊の魂が居なくなってしまったのか?

それは200年前の大破壊の時

魔王が倒される間際に精霊を夢幻に閉じ込めてしまったから…
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:41:31.36 ID:JwosRg690
女エルフ「剣士が見る夢はもしかすると精霊が見ている夢なのかもしれないと思ったの」

女海賊「びっくり…アサシンが言ってる事とまったく同じ…散々聞かされたんだ」

女エルフ「精霊の魂はあなた達が見る夢の中に居るのかもしれない」

剣士「僕は何か夢で見ている気がする…でもどうしても思い出せない」

女海賊「とにかく!!女エルフは一緒に行くって事ね?」

女エルフ「足手まといにはならないようにする」

女海賊「ねぇねぇ…エルフってさぁ結構おしゃべりだよね?」

女エルフ「あなた達が人間では無いから話せるだけ…人間相手にお話しする事なんて無いの」

女海賊「ふ〜ん…その偏見はエルフの傲慢だよ?とだけ忠告しとく」

女エルフ「…覚えておくわ」
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:42:09.45 ID:JwosRg690
『単独行動5日目』

ガラゴロ ガラゴロ

女海賊「見えてきた!あそこのオアシスがシャ・バクダの町」

女エルフ「人間はこんな所に住んでいるんだ…」

女海賊「そっか森から出た事無いんだね…えっと」ゴソゴソ

女海賊「女エルフ!あんたはこれに着替えて?ニカーブっていう衣だよ」

女海賊「あんたの顔は美形すぎてすぐにエルフだってバレる…目の部分だけ見える様になってるから」

女エルフ「…」ゴソゴソ

女海賊「剣士はいつも通り毛皮のフードを深く被ってて」

剣士「おっけ」

女海賊「その言い方やめて…ほんで今日はひとまず宿屋に入る」

女海賊「なんでか知りたい?フフフフフフフフ」

剣士「…別に」

女海賊「おい!!盗賊ギルドのアジトは沢山あって今どこにあるか私も知らない」

女海賊「向こうからコンタクトしてくるのを待つのさ!どうだ!!」

剣士「…」

女海賊「何か言えよ!!」

妖精「クスクスケラケラアハハ」

女海賊「何よ!?」

妖精「君はワンパターンなんだよ」

女海賊「はぁ?あんた舐めてんの?」

剣士「羽ムシルぞ!!」

女海賊「うん!!そうだ!!…ておい!」

妖精「ケラケラアハハハ」

女エルフ「ウフフ」

女海賊「…あんた達さぁ…私をバカにしてんね?分かった!こっちにも考えがある」

剣士「その機械式望遠ゴーグル良いね?」

女海賊「お!!あんた分かってんねぇ!これってさぁ…ん?…マテあんた見えてないじゃん!!」

剣士「アハハ」

女海賊「ムキーーーーー!!」

剣士「そんな君が好きだよ」

女海賊「…なんちゅった?もっかい言ってみ?」

剣士「そんな君が…」

女海賊「君が…」ワクワク
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:42:46.93 ID:JwosRg690
『火の国シャ・バクダ』

ワイワイ ガヤガヤ

おひかえなすって…入りやす カラカラ

半か丁か!…半!半!丁!……

ぐぁぁぁぁ!!いかさましやがってぇぇ!!

ワイワイ ガヤガヤ


剣士「あんなところに馬車置いていくの?」

女海賊「いーのいーの!あんな馬車もう要らないよ…馬だけ宿に預ける」

剣士「人が多くて…不安だなぁ」

女海賊「馬引いてる人にわざわざぶつかって来る奴なんか居ないよ!手綱離すんじゃないよ!」

剣士「ん?なんだろう…この音」

女エルフ「ラクダの匂い」

女海賊「あ〜ラクダレースだね…向こう側でやってると思うよ」

剣士「へぇ」

女海賊「2〜3日ゆっくりするから行ってみたら?私は興味ないからパス」

女エルフ「行き交う人が私から目をそらすのはなぜ?」

女海賊「ニカーブを着ている人と目が合ってはダメなんだよ…あんたを隠すのに丁度良いって訳」

女海賊「…ここの宿屋だよ…馬は裏で預ける付いてきて?」
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:43:26.51 ID:JwosRg690
『宿屋』

カラン コロン

店主「いらっしゃいませ…3名様ですか?」

女海賊「大部屋空いてる?しばらく泊まりたいんだけど」ジャラリ

店主「何日程泊まられますか?」

女海賊「この金貨で泊まれるだけ…用が済んだら勝手に居なくなるから先払いで」

店主「ええと…この金貨ですと半年ほど泊まれますが」

女海賊「良いよ…後さぁコブラ酒と赤ワイン持ってきて」

店主「…のちほど」ジロリ

女海賊「案内して?」

店主「こちらへどうぞ」ジロジロ

女海賊「あぁ忘れてたグラスはタンブラー3つ」

店主「かしこまりました」ニコ

女海賊「この部屋?」

店主「はい…飲み物は少し遅くなるかもしれません」

女海賊「おっけ」

店主「ごゆっくり…」ガチャリ バタン


女海賊「はぁぁぁぁぁ無事付いたぁぁぁぁ」ドタリ

剣士「お酒飲むの?」

女海賊「さっきのは合図…3人案内しろっていう意味」

剣士「なるほど…」

女海賊「もう自由にしてて良いよ!水浴びしたいなら隣の部屋で出来るよ!私は寝る」

剣士「外に出ても?」

女海賊「おっけ…女エルフは二カーブ脱がない条件で好きに出回って良いよ」

女エルフ「え…人間の町を歩き回るの不安」

女海賊「剣士!あんたが付いて行きな!まぁ…何かあってもどうせ行先は盗賊ギルドなんだけど…」

剣士「お金が欲しい」

女海賊「あぁ忘れてたホイ!」ジャラジャラ

剣士「ありがとう」

女海賊「私はちょー眠い!寝る寝る寝る寝るーーー」スヤ
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:44:05.00 ID:JwosRg690
『街道』

ワイワイ ガヤガヤ

女エルフ(あなた…人間の町に慣れてるのね)

剣士(買い物は目が見えないから苦手だよ…今みたいに教えてくれないとどれが良いか分からない)

女エルフ(私はこの匂いが苦手)

剣士(僕も同じだよ…雑音が多すぎて方向も分からなくなる)

女エルフ(でも不思議…エルフ二人が人間の町をこんな風に歩いてるなんて…)

剣士(エルフ…かぁ)

女エルフ(まだ認めていないの?)

剣士(実感が無いんだ…そんなに差があるのかも正直分からない)

女エルフ(目が無くてもそれほど不自由しないのは感覚がエルフだからよ?)

剣士(妖精も同じ事言ってたよ…それより…さっき買ったその弓は良さそう?)

女エルフ(少し調整が必要だけど十分使えそう)

剣士(僕にも使える?)

女エルフ(遠くの獲物を射止めるのは目が必要なの…多分使えない)

剣士(結構遠くまで感じれてると思うんだけどな)

女エルフ(音は少し遅れて聞こえて来るの…分かるかな?)

剣士(見えるよりも遅れてるっていう事?)

女エルフ(そうよ…感じてる所に撃ってもそこにはもう居ない)

剣士(少し広いところで試してみたいな)

女エルフ(砂の向こう側にオアシスが見えてる…行ってみる?)

剣士(水の匂いのする方だね…オアシスってどんなだろう?)

女エルフ(砂の上にある大きな水たまりよ)

剣士(ん?…何だこの感じ?)クンクン

女エルフ(どこ?)キョロ

剣士(オアシスの方向…上)クンクン

女エルフ(…ドラゴン…来る!)
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:44:51.38 ID:JwosRg690
ガヤガヤ ガヤガヤ

おい!何か飛んでるぞ!!

ありゃドラゴンだ…こっち来る!!

リザードマンの次はドラゴンか!?

アレを仕留めたらガッポリ儲かるぞ?

おい!人集めてこい!!

ガヤガヤ ガヤガヤ


ギャーーース ドッシーン


通行人1「うわぁぁぁ…たたたすけてくれぇぇ」スタコラ

通行人2「でけぇ…おい!そこの二人!!突っ立ってねぇで逃げろぉ!!」


剣士(…)タジ

女エルフ(動かないで?)

ドラゴン”エルフが斯様な所で何をしている”

ドラゴン”汝らは人間に汲みするのか?”

女エルフ(ドラゴン…これには訳があります)

ドラゴン”森へ戻れ”

ドラゴン”エルフの秘宝が奪われる前に”


衛兵達「撃てぇぇぇ!!」シュン シュン シュン シュン


剣士(危ない!伏せて)グイ

女エルフ(あ…)


バッサ バッサ


野郎共「飛んだぞ!!逃がすな!撃て撃て撃てぇ!!」シュン シュン シュン シュン


女エルフ(ドラゴン!秘宝とは何の事でしょうか?森で何が?)

剣士(行こう!流れ矢に当たる!)グイ タッタッタ
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:45:26.50 ID:JwosRg690
『宿屋』

カラン コロン

店主「お帰りなさいませ…外が騒がしい様ですが何か?」

剣士「ドラゴンが来た」

店主「え!?それは大変な事になってるじゃないですか!?」

剣士「みんな弓で応戦してる」

店主「私もちょっと見てきます!!あ…お連れ様が部屋の方に起こしになっています」

剣士「部屋に戻るよ」


ガチャリ


女海賊「あ!帰ってきた…寝る暇ないよぅ」

??「この二人だな?」

女海賊「紹介するよ!!お姉ぇフード脱いで?」

??「信用して良いのか?」ヌギ

女海賊「盗賊ギルドマスター代理の女戦士!私のお姉ぇだよ」

女戦士「お初にお目に掛かる…話は妹から聞いた…世話になっている様だな」

女海賊「あんたさぁ美女3人に囲まれてどうよ?」

剣士「いぁ…それどころじゃないんだ」

女エルフ「町にドラゴンが来たの」

女戦士「何ぃ!?今居るのか?」ダダッ

女海賊「あああああぁぁ…あんた達がエルフだっての忘れてた…」

女戦士「どこだ?ここからは見えんか?」

剣士「多分森の方へ飛んで行った」

女戦士「どれほど被害が出ている?」

剣士「殆ど無いよ…弓で追い払われた」

女戦士「私は少し町の様子を見てくる!お前たちはここで待っていろ…すぐ戻る」タッタッタ

剣士「この町の人は戦闘の準備が早い…すぐ弓で応戦を始めた」

女海賊「あぁソレね…シャ・バクダは元々戦闘民族だったんだって」

剣士「それで武器類が沢山売ってるのか…」

女海賊「ん?女エルフは弓買ったんだ…それってさぁヘビークロスボウの弓の部分じゃない?」

剣士「女エルフが選んだんだけど…」

女海賊「そんな硬い弦を手で引けるの?」

女エルフ「…」ギリリ ブン!
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:46:11.35 ID:JwosRg690
女海賊「え!?マジか!!エルフってそんな硬い弓使うんだ?ちょっと貸して」

女エルフ「ドワーフなら使えるかもね」ポイ

女海賊「ふんっ…」ギリ

剣士「…無理そうだね?」

女海賊「んむむむむ…無理!なんで?あんたの方が手足細いじゃん?なんで私より強いの?」

女エルフ「慣れかな?」

女海賊「なんかムカツクんだけど…背が高くて美人な上に強いとかさぁ」

剣士「壁に爆弾で穴を開けるのは君にしか出来ないんじゃない?」

女海賊「なんかスッキリしないなぁ」

剣士「そういえばお土産買ってるのを忘れてた…この石」

女海賊「はぁ?あんた舐めてんの?石なんか要らねぇよ!!」

剣士「女エルフが見つけてくれたんだ…磁石という物らしい」

女海賊「え!!?マジ!!?見せて見せて?」

剣士「はい…なんか服に引っ付く」ポイ

女海賊「おおおおおおお!!これは!!マジもんだ!!これで色々出来る…みなぎってきた!!」


----------


ガチャリ バタン

女海賊「あ!お姉ぇ…どうだった?」

女戦士「大した事は無い…だがお前たち二人!!ドラゴンと何か話したな?」

剣士「エルフが人間の味方をするのか問いてきた」

女戦士「それを大衆に見られているのがマズイ」

女エルフ「ドラゴンの声は他人には聞こえない筈」

女戦士「大衆には話している様に見えているのだ…衛兵がもうお前たちを探し始めているぞ」

女海賊「まずいじゃん!」

女戦士「ゆっくりしてもらう予定だったが…すぐにアジトへ移動した方が良い」

女海賊「どうしたら良い?」

女戦士「裏の馬小屋に着けている馬2頭はお前たちの馬だな?」

女海賊「そうだよ」

女戦士「よし!あれは荷馬だ二人づつ乗ってアジトへ向かう」

女海賊「了解!!」ビシ

女戦士「それからその二カーブは脱いでおけ…衛兵が探しているのは二カーブの女だ」

女海賊「すぐエルフってバレちゃわない?」

女戦士「その白い毛皮に着せ替えろ…行くぞ」
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:46:44.56 ID:JwosRg690
『オアシスの丘』

パカパカ パカパカ

女戦士「もうフードは脱いで良いぞ…顔を見せてみろ」

女エルフ「…」ファサ

女戦士「…なるほどな…一目でエルフと分かるな」

女戦士「ドラゴンとは何の話をしたんだ?」

女エルフ「…」

女戦士「フフ初対面の相手にペラペラ話す気にはなれんか…エルフだなフフ」

女戦士「まぁ良い…私の独り言だ」

女戦士「町から少し離れると人間の匂いは気にならんだろう?」

女戦士「この砂漠の砂は汚いものをすべて洗い流してくれる」

女戦士「触ってみると分かると思うが神聖さを感じるほど清らかだ」

女戦士「エルフなら感じるか?かつて此処が広大な森だった事を」

女エルフ「え?」

女戦士「200年前の大破壊ですべて焼き払われた結果だ」

女戦士「見てみろ…あのオアシスは隕石が落ちた後に出来た物だ」

女戦士「そんなオアシスがこの周辺には何百と在る」

女戦士「どれほどの大破壊だったか想像できるか?」

女エルフ「ここが…森」

女戦士「フフ…口を開いたな?」

女戦士「耳を立てて砂漠の声を聞いてみろ」

女エルフ「…砂?…虫?」

女戦士「大破壊とは只の破壊では無い…新たに生まれる者も居るという事だ」

女エルフ「再生…」

女戦士「かつて魔王が成そうとした事は大破壊という再生だった考えると…」

女戦士「それ阻止しようとする勇者は善か悪か?」

女戦士「我らドワーフが勇者を保護しようとするのは善か悪か?」

女戦士「精霊の一部である森を守ろうとするエルフは善か悪か?…いったいどちらなのだ?」

女エルフ「…ドラゴンにも同じ様に問われた」

女戦士「我々はその答えを探求しているのだ…」

女戦士「エルフとこういう話を共有出来るのは感慨深い」

女エルフ「どうして人間は戦いを止めないの?どうして森を侵略しようとするの?」

女戦士「人間は恐れているのだよ」

女エルフ「エルフを?森を?私たちは何もしていない…」

女戦士「…何か持っているのではないか?」

女エルフ「…秘宝の事?」

女戦士「ん?秘宝?何の事だ?」

女エルフ「わからない…ドラゴンが言ってた」

女戦士「ふむぅ…なるほどな…つじつまが合う…そういう事か」

女エルフ「何か知っているの?」

女戦士「後でアジトに皆が居る時に話す」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:47:24.37 ID:JwosRg690
----------



パカパカ パカパカ

女海賊「もう真っ暗だよ?何も見えないよ?ちゃんと付いて行ってる?」

剣士「僕は初めから何も見えてないよ」

女海賊「お姉ぇの馬の音聞こえてる?」

剣士「大丈夫…」

女海賊「星は見えてるんだけどさぁ…足元が真っ暗すぎて落下しそう」

剣士「ハハ落下?ハハハハハ」

女海賊「目を開けても閉じても真っ暗…あんたさぁいっつもこんな?」

剣士「そうだよ?…耳を澄ましてみて?」

女海賊「パカパカ パカパカ…」

剣士「もっと…砂が引っかかる音…砂が落ちる音…蹄が沈む音…」

女海賊「…」

剣士「風が耳をすり抜ける音…遠くの音…近くの音」

女海賊「ぁぁ…分かる!」

剣士「地面を砂が転がる音…あっちにもこっちにも」

女海賊「ちょ…マジ?私にも見える…砂の起伏」

剣士「ん?これが見えるっていう事なのかな?」

女海賊「見える見える!音だけで見えるんだぁ!」

剣士「あ!前の馬が止まった」

女海賊「んんん…何かの影が見えるなぁ…なんだろう」

剣士「到着したみたいだ…馬を降りてる」

女海賊「結構大きな建物みたいだなぁ」


パカパカ パカパカ


女戦士「着いたな?ここは星の観測所だ…明かりを付けるぞ」チリチリ

女海賊「お姉ぇ良く足元見えるね?」

女戦士「砂漠も海も同じだぞ?お前は昔から黒い海がキライだな」

剣士「馬はどこに繋げば?」

女戦士「放しておいて良い…牧草と水はここにしか無いから逃げん」

女海賊「ここってさぁ?誰も居ないの?」

女戦士「今は移設の最中だ…直に若い衆が出入りする様になる…こっちだ!入れ」ギー バタン
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:47:52.42 ID:JwosRg690
『盗賊団のアジト』

女海賊「おおおおおおおお!!望遠鏡!!」

女戦士「気に入ったか?一つ持って行って良いぞ」

女海賊「なんでこんなにいっぱいあんの?」

女戦士「趣味で買い集めた…町の様子もここから伺えるぞ?見るか?」

女海賊「見る見るぅ!!」

女戦士「これがオアシス方面…こっちが町…これが…」

女海賊「今日さぁ〜女エルフからコレ貰ったんだ!!磁石」

女戦士「見せてみろ…んむ良い物だ…良く見つけたな?」

女海賊「少しあげよっか?」

女戦士「良いのか?」

女海賊「望遠鏡のお礼だよ」

女エルフ「ウフフあなた達…やっぱりドワーフねウフフフ」

女戦士「ん?何だ?今のは嫌味か?」

女エルフ「珍しい石とか鉄…機械が大好き」

女海賊「いちいちウルサイやい!あんたは虫とお話でもしてな!」

剣士「今日は少し疲れたかな…横になる所はある?」

女戦士「あぁ悪い…馬車での長旅の後だったな…こっちだ」

女戦士「今日はゆっくり体を休ませろ…話は明日だ」

剣士「そうさせてもらうよ…女エルフ?少し休もう」

女エルフ「私は疲れていないから少し星を見てみる」

女海賊「お!?興味出た?ここの穴から見るんだよ?」

剣士「じゃぁ先に休む」
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:48:24.10 ID:JwosRg690
『翌日』

女海賊「おはー!!寝れた?」

女エルフ「少しだけ…」

女海賊「眠り方分かんない?」

女エルフ「こんな風に横になるのは子供の時以来…」

女海賊「夢見れた?なんか覚えてる?」

女エルフ「誰かと空を飛ぶ夢…誰だったんだろう」

女海賊「おぉ!!エルフも夢見れるんじゃん」

女エルフ「人間の部分…なのかな」

女海賊「その夢!正夢になるぞ!…お姉ぇ〜〜〜!!起きてる?」

女戦士「朝から騒がしいな…お前も食事を作るの手伝え」

女海賊「うぉ!お姉ぇが食事作んの?食える?」

女戦士「客が来た時くらいは私も作る…黙って手伝え」

女海賊「お姉ぇは知らないと思うけどさぁ…こいつらはあんまり食わないよ?」

女エルフ「寝るとすこしお腹が減るみたい」

女海賊「かなりの偏食だよ?鳥の餌とか食ってるし」

女戦士「エルフが何を食するくらい知っている…良いから手伝え」グイ

女海賊「ちょ…あぁぁ何だコレ…木の実、木の芽…もうちょっと腹の足しに…」

女戦士「…」スラーン チャキリ

女海賊「ちょちょちょ…待った待った!分かったやるって…」

女戦士「…これで木の実を割っておけ」ポイ

女海賊「はいはい分かりました!…ところでさぁアサシンから指示書預かってるんだ」

女海賊「お前はそうやって話をすり替えて逃げる気だな?黙って手を動かせ…指示書は後で見る」

女海賊「…へいへい分かりました」

女エルフ「クスクス…食べ物は気にしなくていいの」

女海賊「と申しておりますが…」

女戦士「…痛い目を見ないと分からないようだな」ジロリ



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138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:48:59.95 ID:JwosRg690
女海賊「おい!起きろぉ!!」グイグイ

剣士「う〜ん…おはよう」ムニャ

女海賊「あんたが一番遅いんだよ!飯だ飯ぃ!!」

剣士「なんか機嫌悪い?」

女海賊「あっちでみんな集まってんだ!早くして!」

剣士「今行く…」イソイソ


女戦士「起きたな?この辺りでは珍しい木の実と木の芽だ…野菜もあるぞ?」

剣士「ごちそうでは無いけどイイね…いただくよ」モグ

女海賊「お姉ぇ指示書読んだ?」

女戦士「あぁ…セントラルの情報収集に人駆を回せという件だな?何が起こっている?」

女海賊「ぃぁそこじゃない…気球を私にくれるっていう所」

女戦士「気球はまだ移送中だ今日の日暮れまでには届く…それまで待て」

女海賊「夕方かぁ…望遠鏡の取り付けとか改造したかったのに」ブゥ

女戦士「それよりセントラルの状況だ…数万の兵で森へ魔物討伐に出ていると聞くがどうなっているのだ?」

女海賊「え!?初耳」

女戦士「シャ・バクダにも徴兵に来ていたのだが…」

女エルフ「数百ではなく数万?…そんな…」

剣士「2か月ほど前に法王庁の衛兵がセントラルから出たのは知ってる…2個中隊って言ったかな…」

女戦士「ふむ…それは別動隊だな…アサシンからは何も聞いて居ないのか?」

女海賊「う〜ん政治的な事は教えてくれないなぁ…てか私が理解出来ない」

女戦士「…そうか仕方が無いな…その様子だとセントラルの第3皇子が戦死したのも知らんな?」



セントラルでは随分前からゴブリンとリザードマンの襲撃があってな

若い第3皇子は功を焦って魔物討伐隊を指揮したのだが

ゴブリンの放った流れ矢に当たって戦死したのだ

ここで第1皇子と第2皇子の権力抗争が始まる

魔物にやられたままでは体制維持が難しいと考えた第1皇子は

権力基盤を固める狙いで仇討ちを称し魔物討伐隊を再編成する

その規模は2個師団…約5万の兵を招集し森に進軍したのだ
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:49:36.86 ID:JwosRg690
女戦士「私が知っているのはここまでだ…気になるのが第2皇子の動きなのだが…」

女エルフ「私…森へ戻らなければ…」

女海賊「無理無理!あんたのその足は治るまでもうちょい掛かる…走れるようになってからにしな!」

女戦士「さてここからが本番だ…法王庁が動いていると言ったな?」

女戦士「法王庁は第2皇子の管轄なのだ…そして第2皇子の側近にダークエルフが居るという報告もある」

女エルフ「ダークエルフが!?絶滅した筈」

女戦士「5万の兵が森を北へ進軍し法王庁が漁夫の利を狙ってエルフが持つ秘宝とやらを奪う…」

女戦士「ダークエルフが居れば不可能な事ではあるまい?」

女エルフ「ドラゴンが…動いている理由が分かった気がする」

剣士「僕たちが前にドラゴンに会ったときはもっと南だった」

女海賊「そういえば…昨日ここに来てるって事は…戦場になっている場所は近い?」

女戦士「どちらの方向に飛んで行ったのか分かるか?」

女エルフ「東南東の方向」

女戦士「ふむ…やはり少し北上しているな…指示書には気球で光の国シン・リーンへ導けとあるが…」

女海賊「ちょっと急がないと戦場の上を飛ぶ感じになりそう」

女戦士「明日出発するとなると戦場になりそうなのは帰りだな」



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140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:50:07.07 ID:JwosRg690
剣士(その望遠鏡で何が見えるの?)

女エルフ(森の様子よ)

剣士(エルフの森が心配なのかい?)

女エルフ(私はゆっくりしている場合じゃないのに…)

剣士(足の具合は?)

女エルフ(痛みは耐らえれる…でも動かないの)

剣士(君一人が森へ戻っても危険なだけだ)

女エルフ(私一人では何もできないけれど…他のエルフが捕まえられる事を思うと…)

剣士(この戦いは不毛だよ…何も生まない)

女エルフ(そう…私も何が悪いのか分からなくなってきた)

剣士(エルフもダークエルフと何か因縁が?)

女エルフ(私たちよりも不幸な種…彼らがエルフへの復讐を扇動しているのなら業はエルフが払わなければいけない)

剣士(エルフがダークエルフを迫害したという解釈で合ってる?)

女エルフ(…)コクリ

剣士(人間はその中間で踊らされている…のかな?)

女エルフ(ダークエルフが戦争を引導しているとしか考えられない…人間は戦いに勝っても得るものが無いでしょう?)

剣士(エルフの秘宝と言うのは?)

女エルフ(私は知らない…でもダークエルフが欲しがるのは考えられる話)

剣士(なんか…泥沼に入った様な感じだね…決着しそうにない)

女エルフ(ドラゴンが加わってる以上エルフも絶対に引かない)

剣士(少し視点を変えてみるよ?人間からすると普段攻め入って来る魔物を退治するために兵を募ってる)

女エルフ(…)

剣士(森の奥へ進めば進むほどトロールやドラゴン…そしてエルフが抵抗してくる)

女エルフ(…)

剣士(人間からするとこれは正義の戦い…引く訳が無い…どうやって決着をつける?)

女エルフ(この戦いを誘導してしまったのは…傲慢な私たちエルフ…でも人間に譲歩する事は考えられない)

剣士(終わらせるのには何か切っ掛けが必要だと思う…)

女エルフ(切っ掛け…どうすれば良いの?私に何もできないのが悲しい)



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141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:50:59.50 ID:JwosRg690
オーライ オーライ こっちこっちぃ!

女エルフ「あれが気球?たまに森の上を飛んでいるのとは形が違う」

女戦士「アサシンが改造した物だ…船の帆を張っているのだ」

女エルフ「空を船の様に進む?」

女戦士「うむ…アレの操作に関しては妹が秀でている…さすが海賊といった所か」

女海賊「お姉ぇ!!明日気球で出発するよね?」

女戦士「そうだな…」

女海賊「お姉ぇも行く?」

女戦士「それを考えているんだが…お前が魔女の住処まで案内出来るなら私はここに残る」

女海賊「えぇ〜そんなん知らないよぉ…何処にいんの?」

女戦士「片道3日か…アジトの移設中で忙しい身なのだが…どうしたものか」

女海賊「若い衆に任せとけばいーじゃん」

女戦士「あと5日でお前たちが居たであろう商隊が到着するのもある」

女海賊「そういえばそんな予定だったなぁ」

女戦士「シン・リーンまで2日で行けないのか?」

女海賊「うーーーん風次第なんだけど…今行く?…丁度暗くなってきたし」

女戦士「水も食料もまだ到着していない」

女海賊「今ある分でなんとかなるっしょ!…エルフ2人は放っとけば良いよ!どうせ食わないし」

女戦士「よし!行くか!!若い衆に事を伝えてくる…お前たちは準備をしておけ」

女海賊「ハイキター!!剣士!!女エルフ!!荷物入れるの手伝って!!」

剣士「え…うん…どうすれば?」

女海賊「そこの鉄板と裏にある薪を出来るだけ沢山積んで!!女エルフ?剣士の目の代わりやってあげて」

女エルフ「わかった…剣士こっち」グイ

女海賊「あと10分で出発するよ!!」

剣士「そんなに急ぐの?」

女海賊「今は凪の時…風向き変わる前に上空の風に乗らないと反対方向に流される」

女海賊「私は球皮膨らませないと…」アセアセ
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:51:47.48 ID:JwosRg690
『気球』

フワフワ

女海賊「あぁぁ日が沈んじゃう…お姉ぇはまだかな?」

剣士「…よっこらせと」フゥ

女エルフ「これで最後」

女海賊「後さぁ…寝るときに使ってた毛布も持ってきて!それからお姉ぇ見つけたらもう出発だって伝えて」

剣士「人使いが荒いなぁ…」

女エルフ「剣士?こっち」グイ

女海賊「んんんん…薪足りるかなぁ…高高度行ったら寒いんだよなぁ…」

女戦士「早いな?もう行けるか?」ドサ

女海賊「お姉ぇ!?それは?」

女戦士「弓と矢だ…これが無いと他の気球が寄って来る…アサシンから常に積んでおけと言われていてな」

女海賊「よっし全員揃った!!二人とも早く乗って!!」

剣士「これで荷物は最後かな?よっこらせと…女エルフも乗って」

女海賊「ロープ抜くよ!!」シュルリ


フワフワ フワフワ
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:52:15.07 ID:JwosRg690
女戦士「夕日で砂漠が赤い海の様だ」

女海賊「一気に高度上げるよ!?剣士!!鉄板の上で火を起こして!?あんた魔法使えたよね?」

剣士「あ…うん」

女戦士「ほう…魔法を使うタイプのエルフなのか…見せてみろ」

剣士「火炎魔法!」ボウ メラメラ

女戦士「真近で見るのは初めてだ…手の中から炎が出てくるのは不思議な物だな」

女海賊「あんたも便利な男になったねぇ」

剣士「女エルフのおかげだよ」

女戦士「外を見てみろ…数百のオアシスが見渡せるぞ?」

女エルフ「…オアシス群の中央にあるのは?」

女戦士「かつての火の国シャ・バクダ遺跡だ…我らのアジトはそこら界隈を転々としているのだ」

女エルフ「この砂漠が全部森だったなんて信じられない」

女戦士「下にある今のアジトの場所は良く覚えておけ…何かあった場合はそこが集合地点になる」

女海賊「どれくらいあの星の観測所を使う予定?」

女戦士「そうだな…アサシンが戻るまでは持たせたいな…望遠鏡を見せてやりたい」

女海賊「アサシンは星になんか興味あんの?」

女戦士「星ではない…アサシンが探していたもう一つの遺跡の入り口を発見したのだ」

女海賊「お!?それは喜ぶかも!!もう行った?」

女戦士「さすがに一人で行く勇気は無い…あそこは呪われているのでな」

女エルフ「太陽が又昇ってる?」

女海賊「フフフフフ高度を上げるとそういう風に見えるのだ!!世界は丸い証拠なのだ!!」

女エルフ「え?…」

女海賊「エルフに勝った!!あんた達が森に引きこもってる間に私は世界を見てきたさ」ドヤ

女エルフ「これが私たちが住んでいる世界…」

女海賊「もう直ぐ雲の上に出るよ…毛布に包まっときな!ちょー寒いから」

女海賊「風向きが変わる!!剣士!!このロープ撒いて!!風に乗る」

剣士「えーと…回せば良い?」ドギマギ

女海賊「最後まで撒いて!!ちょいと傾くよ!?」


ビョーウ バサバサ
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:52:58.37 ID:JwosRg690
『気球1日目』

---朝---

女戦士「日の出だ…今は丁度エルフの森の真上当たりでは無いか?」

女海賊「んんん森ばっかで何も見えないなぁ…」

女エルフ「私も見たい」

女海賊「おっけ…ほい」

女戦士「それにしても寒いな」

女海賊「やっぱちょっと薪が足りないなぁ…高度下げると遅くなるし…」

女戦士「お前は爆弾の材料を持ち歩いていたな?」

女海賊「あるよ」

女戦士「砂鉄、塩水、木炭、砂…これで暖を取れる」

女海賊「お!?全部爆弾の材料だ…混ぜれば良い?」

女戦士「砂鉄が7割だな…後は適当に皮袋に詰めて混ぜろ…いくつ作れる?」

女海賊「2つかな…砂鉄が足りないよ」コネコネ

女戦士「毛布の中に入れておけば大分違う筈だ」

女海賊「お!?あったかくなってきたぞぉ!!」コネコネ

女戦士「お前は少し寝ておけ…寝てないのだろう?」

女海賊「うん…ちょっと寝る〜ふぁ〜あ」ムニャ

女戦士「女エルフ!何か見えるか?」

女エルフ「いいえ」

女戦士「上から望遠鏡で見る森はいつもと違うか?」

女エルフ「現在地が分からない…見慣れている筈なのに…」

女戦士「そうか…遠すぎると森の感覚も分からんか」

女エルフ「森を自在に走っていた筈なのに…ここから見るとなんて私は小さかったのだろうと思う」

女エルフ「ハッ!!」キョロ

女戦士「ん?どうした?」

女エルフ「私…今誰とお話を…え?」

女戦士「どうしたんだ?急に?…ん?泣いているのか?」

女エルフ「夢?…」

女戦士「既視感でもあったのか?」

女エルフ「私…どうして涙が?」フキフキ
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:53:31.67 ID:JwosRg690
女戦士「既視感は良くある事だ心配しなくても良い」

女エルフ「もしかして剣士が言っていた夢ってこういう事?」

女戦士「何を言っているのか良くわからんな…疲れているのではないか?」

女エルフ「剣士!?剣士!?」ユサユサ

剣士「…ぅぅ」パチ

女エルフ「私…夢の中の人を覚えてる」

剣士「おはよう…何の事?ふぁ〜あ」ノビー

女エルフ「顔を覚えてる…でも誰なの?」

女戦士「フハハハ待て待て…女エルフ混乱しているのか?剣士は今起きたばかりだぞ?」

女エルフ「あ…ごめんなさい」

剣士「…君も夢を見たんだね?」

女エルフ「少ししか思い出せない…顔は分かっても誰だか分からないの」

剣士「僕も同じなんだ…今も夢を見ていた気がするけれど直ぐに思い出せなくなる」

女戦士「ふむ…夢か…アサシンが言ってた夢幻と何か関係するのか?」

女エルフ「それを確かめにこれから魔女に会いに行くの」

女戦士「まさかみんな同じ夢を見ている訳ではあるまいな?」

女エルフ「その可能性もある…」

女戦士「おんなバカな事がある訳…そういえば剣士の使う魔法をどこかで見た気がしたな」


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146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:53:59.28 ID:JwosRg690
女海賊「あぁ〜良く寝たぁぁ!!」ノビー

女戦士「起きたか!丁度肉が焼けた所だ」

女海賊「おぉぉぉ腹減ってたんだ」ガブ モグ

女戦士「お前は今夢を見てたか?」

女海賊「はぁ?なんで急に夢の話?」モグモグ

女戦士「さっきまで剣士達と夢の話をしていてな」

女海賊「良くわかんないんだけどいっつもこんな感じで冒険してる夢だよ?」モグモグ

女戦士「フフやはりそうだよな?皆が別々の夢を見ている…普通はそうだな」

女海賊「お姉ぇはどうなん?」

女戦士「フフ笑うなよ?衛兵たちのアイドルをやっている」

女海賊「ぶっ…お姉ぇがアイドル…ぶはははは」

女戦士「アイドルというのは言い方が悪いが衛兵達から賛美される夢だな…」

女海賊「フリフリのドレスとか着ちゃって?ぶはははは…げほっげほ」

女戦士「そういうドレスも着た事がある…やはり只の夢だな」

女海賊「冗談やめて…ぶははは…ここ空気薄いんだから」ゼェゼェ

女戦士「ただ気になる男が居てな?ずっと私の傍に居たのに気が付いたら手放してしまった」

女海賊「それってフラれたんじゃね?ぶははは…死ぬ…もうやめて…ぶははは」

女戦士「誰だったのか…お前!!笑い過ぎだ」スラーン 

女海賊「ゲラゲラちょ…ゲラゲラぶははは…ま」ゴロゴロ

女戦士「ふん!!」ペチン

女海賊「いで…ケツがぁ…やめでぇぇ…いだ!!」
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:54:40.22 ID:JwosRg690
『気球2日目』

ビョーーーーウ バサバサ

女戦士「そろそろ森の切れ目だ…流石に早いな」

女海賊「えっと!高度下げ始めるよ?もう薪が無い…うぅぅさぶさぶ」ブルブル

女戦士「正面少し右にシン・リーンの城が見えている」

女海賊「んん?どこどこ〜?あぁぁアレだな?木に囲まれてて分かり難いねぇ」

女戦士「城までは行くな…面倒事が起きる」

女海賊「アイアイサー!!ちょい手前の林に着陸する」

女戦士「丁度日暮れで隠すのに手間が要らんな…城の手前から林を少し入った所に追憶の森という場所がある」

女海賊「魔女が居る場所?」

女戦士「普通の人間では行く事の出来ない狭間の深い所に繋がっているのだ」

女海賊「妖精!!出てこい!!お前の出番だぞ!!」

剣士「妖精は今居ないよ?」

女海賊「最近ずっと出てこないじゃん!何やってんの?」

女エルフ「ずっと私の胸の中に居るけれど…空の上は狭間が遠い」

剣士「もう少し森に近づけば出て来るよ」

女海賊「もしかしてシャ・バクダからずっと狭間が遠かったん?」

剣士「星の観測所周辺は不思議とまったく狭間を感じなかった」

女海賊「私らはみんな半分魔物だから心配しなくておっけ?」

女戦士「場所は分かっている…行けば魔女が導いてくれる事を願うだな」

女海賊「あのさぁ…精霊の像もそこにあるって前にアサシンが言ってたんだけど見れるかなぁ?」

女戦士「無理だ…光の国シン・リーン王家の祭事の時にだけ一般公開がある…今はその時では無い」

女海賊「残念…見たかったなぁ」

女戦士「精霊の像が安置されている祠は厳重に警備されているから避けて通る」

女エルフ「精霊の魂が宿ると言われている像…」

女戦士「アサシンが言うにはそこに魂は宿っていないそうだ」

女エルフ「夢幻…」

女戦士「そう…魂は夢幻に閉じ込められたまま…その像はただ眠っているのだそうだ」

女海賊「大分高度下がってきたよ?あったかくなってきたぁ!!」



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148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:55:13.62 ID:JwosRg690
女戦士「あそこの林に降りろ」

女海賊「おっけ!剣士!?縦帆を畳んで!!」

剣士「えーと…このレバー回すんだっけ?」

女海賊「そうそう…終わったらロープ持って先に飛び降りて近くの木に結んで!?」

女エルフ「私も手伝う…」

女海賊「助かる」

女戦士「降りたら暗くなるまで気球に木の枝を詰めるだけ積んでおけ…木材なら尚良い」

女海賊「そうだね私は食材探してくる」

剣士「女エルフの方が鼻が利くから連れて行って」

女海賊「おっけ!あんたさぁ弓で川魚射れる?」

女エルフ「得意」

女海賊「よっし!日が暮れる前にさっさと終わらすぞ!っと」


フワフワ ドッスン


女戦士「すぅぅぅぅ…はぁぁぁ…久々の森の空気…良い物だな」

剣士「ずっと砂漠に?」

女戦士「なかなかシャ・バクダから離れられなくてな」

剣士「アサシンは戻るのに早くて3か月と言ってたけれど…」

女戦士「私の父に会いに行ったのだろう?それだけなら1〜2か月の筈なのだがな」

剣士「ミスリル銀を取引するのだとか」

女戦士「知っている…それは特殊な銀で非常に希少なのだ」

剣士「武器を作るのに使う?」

女戦士「そうだ…特殊な音が鳴るのだ…その音は目に見えぬ物を切る」

剣士「目に見えない?」

女戦士「こう言えば分かるか?例えば縁を切る…絆を断つ…志を断つ…そういう物を切るのだ」

剣士「そうか…魂のつながりを切るのか」

女戦士「理解が早いな…正直私には良く理解出来ん」

剣士「アサシンは憎悪を浄化すると言ってた気がする」

女戦士「もしも魔王が居たとするなら憎悪の魂を断つ…そういう事だろうな」



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149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:55:41.55 ID:JwosRg690
女海賊「あああああ!!ちょ…マジか!!」

女戦士「どうした?何を騒いでいる?」

女海賊「女エルフがさぁ…獲った魚に生でかぶりついてんの」

女戦士「フフフお前は知らんのか?エルフは生きた肉しか食さんのだ」

女海賊「え!?じゃぁ剣士もこのまんま食うの?くっさ!!」

女戦士「魚がまだ生きているならそのまま持って行け」

剣士「僕はどちらでも良いよ…生きたままの方が食べ慣れてるけど」

女海賊「おぇぇぇ…ほい!一匹あげる」ポイ

剣士「ありがとう」ガブリ モグ

女海賊「女エルフはいつも澄ました顔してるけどさぁ…あの顔で生魚にかぶりついてんだよ?」

女エルフ「幻滅?これが普通よ?」

妖精「ぷはぁぁぁ…良く寝た」ヒョコ

女海賊「おぉぉそんな所から登場か!女エルフのおっぱいは寝心地良いか?」

妖精「まぁまぁかな?…こっちの人は新入り?」

女戦士「…」ジロリ

妖精「なんかまずい事言ったみたい…」

女海賊「あんたが出てくるって事は狭間が近いね?」

女戦士「追憶の森はここから少し北だ…妖精が案内しないと我々でも迷う」

妖精「狭間の深い所はレイスが出てくるから危ないよ?」

女戦士「魔女が魔除けの結界を張っているそうだ…私は一度行ったことがあるから大丈夫」

妖精「へぇ〜あっちの方だね行ってみようか?」ヒラヒラ

女戦士「うむ…日が暮れる前に行こう」

女海賊「ええぇぇ!!私まだ魚食ってないのにぃ!!」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:56:28.21 ID:JwosRg690
『追憶の森』

ホーホー ホーホー

妖精「こっちだよ」ヒラヒラ

女海賊「あ!!ちょい待ち…馬車が停めてある」

女戦士「ん?…あれは王家の馬車だな…ちとまずいな」

女海賊「魔女に先客かな?」

剣士「…」クンクン

女海賊「む!剣士がクンクンしてる…誰かいるぞ?」

女戦士「隠れてやり過ごす!こっちの影へ…」タッタッタ

剣士「10人位馬車の方向…」


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近衛兵「姫様…一旦お隠れにならなければここも危ないのです」

姫「わらわは行きとうない!ここに隠れておった方が安全じゃ」

近衛兵「お父上の命令にございます…わがままを言わないで下さい」

姫「何が来ようと狭間に居った方が安全じゃと言うておる」

近衛兵「ですから姫様…エルフ達は狭間に来る事もあると言う事なのです」

姫「エルフはわらわ達の仲間じゃ…攻めて来る訳がなかろう」

近衛兵「そういう状況ではなくなっているのです」

姫「攻めて来る理由が無いではないか!!」

近衛兵「姫を拘束し取引に利用される可能性があるのです」

姫「馬鹿げておる!!エルフは誇り高き種じゃ!!その様な卑怯な事は絶対にせん!!」

近衛兵「…今魔術師達は魔術院の方へ集まっております…そちらの方がここよりも安全とのご判断」

姫「どれくらいここを離れるのじゃ?わらわはまだ修行中であるぞ?」

近衛兵「中央セントラルとエルフの戦争が終結するまでにございます」

姫「わらわ達はエルフの仲間では無いのか?エルフに加勢するのが義であろう?」

近衛兵「状況はそう簡単ではないので御座います…ご理解いただきたい」

姫「父上にわらわが直接話す!もう帥とは話しとう無い」

近衛兵「ささ…馬車の方へ」

姫「これ!!無礼者!!触るでない!!」ペシン


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151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:56:55.12 ID:JwosRg690
女海賊「あの赤い目の子はシン・リーンの姫?」

女戦士「そうだ…護衛の近衛兵も世界屈指の腕を持つと聞く」

女海賊「三角帽子でちょーかわいい」

女戦士「女エルフ!今の話は本当なのか?エルフとシン・リーンとの友好の件」

女エルフ「ハイエルフ達は精霊樹に再び魂を宿らせる為に毎日祈りを続けているの…」


シン・リーンに安置されている精霊の像も精霊の魂が宿る器

行方不明になった精霊の魂を探すために

毎年行われている王家の祭事にハイエルフも参加しているの

友好の件は多分シン・リーン王家との密約

互いに不干渉の約束を立てて

年に一度エルフと人間との間で談話がある

エルフの森ではシン・リーンとの不可侵を守るのは皆知っている事


女戦士「なるほどな…祭事の時に王家参列者で身長2メートルを超える者を見た…ハイエルフだったか」

女エルフ「ハイエルフは私や剣士と違ってずっと大きいの」

女戦士「逸話では人間100人でも勝てんと聞くが?」

女エルフ「わからない…見た事無いから」

女海賊「馬車行っちゃったよ?」

女戦士「鉢合わせしなくて良かった…行こうか」

152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:57:22.22 ID:JwosRg690
『狭間の奥』

シーン

妖精「もうすぐだよ」ヒラヒラ

女海賊「なんか…空が黒い?日没まだだったよね?」

妖精「狭間の奥の方は空が無いんだよ…もっと向こう側が黄泉」

女海賊「私が死んだらここを通る?」

妖精「多分迷うから妖精が案内するんだ」

女海賊「ってことは今半分死んでんの?」

妖精「ケラケラそうかもね?心臓動いてる?」

女海賊「え!?…あ…止まってる?え!?マジ?」


剣士「何か…居る!」スラーン チャキ

妖精「剣士!?落ち着いて?」

女エルフ「え?何?見えない…」

女戦士「どうした!?」


剣士「うわぁぁ!」ブン ブン


妖精「落ち着いて!?それはこれから妖精になる魂」

剣士「妖精?ハァハァ…」

妖精「歓迎しているんだよ…落ち着いて?」


”おやめなさい”


女海賊「あ…声…」

”驚かせてしまいましたね”

”さぁ…中へお入りなさい”

”あなた達を待っていました”

女戦士「魔女の声だ…行くぞ」テクテク

女海賊「中ってどこよ?なんも無いじゃん?」

妖精「一歩前に進んで?」

女海賊「一歩?…うゎぁ!!」ソロリ
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:58:05.30 ID:JwosRg690
『魔女の塔』

女海賊「え?どうなってんの?なんで昼間?」

女エルフ「エルフの森と同じフフフ」

女海賊「お花畑の真ん中にポツンと…塔?こんなん地図に無いぞ?」


”お上がりなさい”


女戦士「許可が出た…上がるぞ」テクテク

女海賊「なんかちょーすごくない?この塔って何で出来てる?石?鉄?」

女戦士「私も初めて来たときは驚いた」

女海賊「アサシンと一緒だったんだよね?隠してたなんてズルい!!」

女戦士「お前に話すと一人で探しにくるだろうに…言わんで正解だ」

女海賊「…あの椅子に座ってるお婆ちゃんが魔女?」

女戦士「そうだ…挨拶するぞ…魔女様…突然の訪問をお許しください」

魔女「良いのです…さぁ皆さん椅子にお掛けになって?」

女戦士「はい…」

魔女「ゆっくりして行って良いのですよ?」

女戦士「先ほど私たちを待っていたとおっしゃった様ですが?」

魔女「あなた…」

女戦士「??」キョロ

魔女「千里眼を求めてここに来ましたね?」

剣士「え!?あ…はい」

魔女「千里眼は光の魔法…これを授けるのは簡単な事です」

剣士「見えるという事がどういう事なのか知りたい…教えてください」

魔女「この魔法はあなたの目を治す物ではありません」

剣士「それでも良いです」

魔女「あなたの瞳は奪われたのです…奪われたその瞳の先を見ることが出来るでしょう」

剣士「え?」

女海賊「奪われたって…どうやって?」

魔女「祈りの指輪で光を奪われたのです」

女戦士「祈りの指輪だと!!…これはとんだ所で情報が入ってきたな…」

剣士「どうして僕の瞳を奪う必要が?」

魔女「それはいづれ分かる事でしょう…今は知る時ではありません」

女海賊「今教えてくれてもいーじゃん」

魔女「理由があるのです…あなたはとても大切な人…乗り越えなくてはならない試練があるのです」

女戦士「失礼ですが…魔女様はそれを知っていたという事ですか?」

魔女「18年前…あなたが光を奪われた時から私を求めここに導かれることは決まっていました…」
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:58:35.22 ID:JwosRg690
あなたを育てた母の白狼は遥か昔から精霊樹を守る犬神の末裔なのです

そしてエルフが最も信頼しているのも白狼

あなたは理由があって瞳を奪われた後に

森から追放されたのではなく最も信頼のおける白狼へ預けられたのです

その時エルフは白狼に伝えました

瞳が必要になった時に魔女を訪ね千里眼を求めなさいと

なぜならその魔法が求める物に導くから

私は18年前にここに訪れたエルフに話を聞き

約束を果たせる時を待っていました

今がその時です…私の定命が尽きてしまう前で本当に良かった


女戦士「魔女様…お体を…」

魔女「私の命はもう長くはありません…人間が200年以上も生き永らえるのは狭間に居るお陰」

魔女「しかしそれもそろそろ限界でしょう」

剣士「僕は…千里眼を使ってどうすれば?」

魔女「あなたの瞳を追うのです…その先に祈りの指輪があります」

剣士「祈りの指輪で僕の瞳を求める?それで良いのですか?」

魔女「そう…あなたの瞳を持っている者こそ…あなたの本当の母」

剣士「母…」

魔女「あなたの母はその指輪で精霊を祈り、そして指輪を守り、あなたの瞳も守り続けています」

女エルフ「マザーエルフ…」

魔女「瞳が戻ったならば再びここを訪れなさい…精霊の魂を解放する術を教えます」

剣士「どうして僕の瞳を奪う必要があったんだろう…」

魔女「それは直ぐにわかりますよ…心配しないで?」

剣士「なんか…生い立ちを聞いてしまうと…僕が僕では無くなる様な感じが…する」

魔女「話が長くなってしまいましたね?ゆっくりしていきなさい?ここは時間がゆっくり流れているから…」

剣士「本当の母…どうして母さんは僕を捨てたの?」

女戦士「…剣士!少し休もうか…頭を整理した方が良い!明日の朝に出発だとすると5日間ここで休める」

女海賊「え?何言ってんの?お姉ぇ…狂った?」

魔女「ここの1日はあなた達の世界のたった2時間…ゆっくりして行って良いのです」

女戦士「そうだ…5日もあればゆっくり魔女と話が出来る」

魔女「焦らなくても良いのです…」

女海賊「マジかぁぁ!!やっと休めるぅ…ん?待てよ…」



女海賊「魔女は200歳だったとして1日が12倍て事は…2400年分の時間をここで過ごしてる?」

女海賊「ん?逆か?ここで200年分歳を取ってるって事は…16年しか経ってない?」

女海賊「いや…まてよ?16年分はどこで経つ?あああぁこんがらがってきた…もっかい最初から」




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155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:59:02.91 ID:JwosRg690
女エルフ「魔女様?私は人間の住まう所にこのような場所がある事を知りませんでした」

魔女「ここはエルフの森と同じ狭間の奥」

エルフ「こことエルフの森は繋がっているのですか?」

魔女「時間の流れ方が少し違うので直接行き来することは出来ません」

女エルフ「狭間の奥は私たち魔物の一族しか居ないと思っていました」

魔女「ここ以外にも同じ空間はあるのですよ?精神と時の門と呼ばれていて魔術師達はそこで修行をするのです」

女エルフ「人間の見方が変わりました…賢い人も居るのだと」

魔女「人間はあなた達エルフよりもずっと弱くて寿命も短い…賢く生きるには工夫が必要なのです」

女エルフ「魔女様の他に同じ様な人は居るのですか?」

魔女「私の知る限りでは恐らく居ないでしょう…しかし時代を紡ぐ者はすでに現れています」

女エルフ「もしかして…」

魔女「そう…あなた達がその役を担っているのです」

女エルフ「ここに来る時に赤い目の少女を見ました…あの少女は?」

魔女「あなた達と同じく次の時代を紡ぐ者の一人…命を大事にするのですよ?」

女エルフ「はい…」

魔女「…あなたのその足」

女エルフ「怪我をして動かなくなってしまいました…でも大丈夫!剣士に治してもらったから」

魔女「その足は骨が死んでしまっていますね…このままでは治る事は無いでしょう」

女エルフ「そんな…」

魔女「大丈夫…私が蘇生魔法を掛けてあげましょう」

女エルフ「それは大魔法の一つ」

魔女「エルフも光の魔法は使うことが出来るのですよ?ほら…この魔方陣の上に足を置いて…」

女エルフ「はい…」ソロリ

魔女「蘇生魔法!」ポワ

女エルフ「あまり変わった感じはしません…」

魔女「ここに居る間は時間がゆっくり流れています…元の世界に戻った時に変化に気付くでしょう」

女エルフ「ありがとうございます」

魔女「回復魔法を忘れず掛けるのですよ?」

女エルフ「…ハーフエルフの私は魔法を使う事を禁じられているのです」

魔女「あなたが正しいと思う方を選択しなさい…掟を守り調和を保つのか…力を使い何かを守るのか」

女エルフ「何かを守る…」

魔女「ハーフエルフに科された掟にも意味があるのです」

女エルフ「え!?意味?…」

魔女「迫害される中で何を学びましたか?正しい事は何なのか学びませんでしたか?」

女エルフ「ハイエルフ達はそれを教える為に厳しい掟を作ったと?」

魔女「それが良い方法だったのかは私には分かりません…でも中には正しい心を持つエルフが育つのも事実」

女エルフ「魔女様…私はハイエルフに対して大きな勘違いをしていました」

魔女「それで良いのです…ハイエルフはそうやって次の世代のエルフを育てているのですから」



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156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/14(月) 23:59:34.20 ID:JwosRg690
女海賊「う〜ん…どうやってくっ付いてるんだぁ?」

女戦士「…」

女海賊「何見てんの?」

女戦士「お前は休むって事が出来んのか?さっきから何をしている?」

女海賊「この塔の壁ってさぁ…何で出来てんの?」

女戦士「アダマンタイトという石だそうだ…ドワーフが生んだミスリルの様な物だ」

女海賊「なんそれ?聞いたこと無い」

女戦士「古代魔術の遺産で製法は消失したと聞いた」

女海賊「お姉ぇ何で知ってんの?」

女戦士「前来たときにアサシンが魔女に同じ質問をしたのだ…同じ物がシャ・バクダ遺跡にもあるらしい」

女海賊「へぇ〜…てことはシャ・バクダ遺跡に行けば手に入るんだね?」

女戦士「何に使う気だ?」

女海賊「これみて?」カチン!

女戦士「ん?磁石がくっつく?それがどうした?」

女海賊「取ってみてよ」

女戦士「ふん!…む!取れんな」

女海賊「磁石を90°回してみて?」

女海賊「こうか?」ポトリ

女海賊「不思議でしょ?」

女戦士「お前は天才かもしれんな…これは上手く使えば色々な物が作れる」

女海賊「これさぁ…アサシンに報告した方が良いと思うんだよね」

魔女「おやめなさい…それは危険な物です」

女海賊「魔女の婆ちゃん…なんでさ?」

魔女「アダマンタイトは狭間と密接な関係を持つのです…狭間を不用意に引き付けるのはとても危険な事です」

女海賊「狭間を引き付ける?」

魔女「古代の魔術師は魔方陣の代わりにアダマンタイトを使って狭間を引き寄せ魔法を使っていたのです」

魔女「狭間を遠ざける事を忘れてしまうと狭間から魔物が這い出てきてしまうのです」

女海賊「むむ!裏を返せば狭間の近い所にはアダマンタイトが眠ってるという事だね?」

魔女「古代の忘れ物でしょう」

女海賊「はっは〜ん…この魔女の塔はアダマンタイトで出来ているから狭間の深い所にある!」

魔女「あなたは意外と賢いのですね…悪いことは言いませんからアダマンタイトを使うのはおやめなさい」

女海賊「わかったよ!!最後に一個教えて?狭間を遠ざけるのは磁力を90°回転させる…で合ってる?」

魔女「世界中の狭間を遠ざけるのはとても難しい事ですよ?」

女海賊「答えになってないけど…まいっか!!ありがとね」



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157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:00:54.30 ID:s4Ww8Seh0
カン カン カン

女海賊「魔女の婆ちゃん何作ってるんだろ?」

女エルフ「魔方陣のペンダントを作っているそうよ」

魔女「さぁ出来た…剣士?あなたのペンダントを作りました…着けておきなさい」

剣士「僕に?」

魔女「光の魔法はエルフが使うエレメンタルの魔法と違って魔方陣が必要なのです…さぁ着けてごらんなさい?」

剣士「はい…」

魔女「あなたは魔方陣の勉強をしていないから代わりにこのペンダントを作りました…これで千里眼を使えるでしょう」

剣士「ありがとう…」

魔女「早速使ってみなさい?」

剣士「えっと…千里眼!」ポワ

魔女「何が見えますか?」

剣士「うわぁ…何だ!!上にも下にも…頭の中に沢山の何かが入って来る」キョロ

魔女「初めて見えるという体験をしたのですね…それが見えるという事です」

剣士「何だ…これは何だ!?動いている?」

魔女「今あなたが見ている物はとてもゆっくり動いているでしょう…時間の流れが違うのです」

剣士「想像していた物と全然違う…何が何だか分からない…」

魔女「ここに居る間は見えることに慣れておいた方が良いですね」

女海賊「剣士の反応がウケるww」

女戦士「無理もないな…目からの情報が多すぎるのだ」

女海賊「他人の視点ってどう見えるんだろ?自分が見てるのと違ってたらやっぱ混乱するかな?」

女戦士「他人がもしも虫だったとしたらどう思う?」

女海賊「虫!?…そういう事かぁ…そりゃ混乱するなぁ」

女戦士「そういう事だ」

剣士「うわぁぁ…はぁはぁ…」



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158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:01:24.33 ID:s4Ww8Seh0
女エルフ「何してるの?」

女海賊「ミツバチの観察…どうやらこいつらさぁ…」

女エルフ「何かの発見?」

女海賊「気にしたこと無かったんだけど多分こいつら妖精だわ」

女エルフ「フフフ私知ってた…その子達はもうすぐ妖精になるの」

女海賊「ミツバチのクセに自由に狭間出入りしてて変だと思ったんだよ」

女エルフ「ミツバチだけじゃないのよ?鳥たちも自由に狭間を行き来出来るの」

女海賊「へぇ〜…そういやあんたさぁ…足大分良くなったぽいね?」

女エルフ「魔女様に蘇生魔法を掛けてもらったの…もう痛まない」

女海賊「そりゃ良かったねぇ」

女エルフ「私魔女様にお会いできて本当に良かった」

女海賊「何でも知ってる婆ちゃんだね…てか私もあのペンダント欲しいさ」

女エルフ「魔女様に借りたこの魔術書にあのペンダントと同じ形の魔方陣が書いてある」

女海賊「お!?そんなもんあんだ!?見せて?」

女エルフ「エルフは書物をあまり読まないから挿絵の部分しか分からない…あなた読める?」

女海賊「興味ある本は読める!!…無い本は一行目で無理」

女エルフ「ほら?ここの所に同じ魔方陣が書いてある…」

女海賊「どれどれ…あああああぁぁ無理無理無理!!文字が多すぎる」

女エルフ「大魔法には重力や磁力を操る魔法もあるのよ?知ってる?」

女海賊「むむ!!重力…磁力!!んんんん…ちっと読んでみるかぁ…」

女エルフ「文字が読めるのが羨ましい」

女海賊「エルフはどうやって勉強すんの?」

女エルフ「知識の伝搬はオーブという物を聞くの…人間の書物と同じ」

女海賊「そっちのが全然ラクじゃん?そっちのが羨ましいって!!」



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159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:02:00.84 ID:s4Ww8Seh0
女海賊「もう3日もここに居るのに全然お腹空かないね」

女戦士「そろそろ飽きたか?」

女海賊「あんまり休んでるとさぁ…落ち着かない」

女戦士「本でも読んだらどうだ?」

女海賊「今魔術書読んでるんだけどさぁ…文字が多すぎて途中でイヤになる」

女戦士「お前が魔術書を読むとは意外だな」

女海賊「はっきし言ってクッソ面白くねぇ!!でも重力と磁力の秘密が書いてあんのよ」

女戦士「ほう…それは興味あるな…その魔術書は持って帰れるのか?」

女海賊「写本だから持って帰って良いってさ…その代わり全部読めって言われた」

女戦士「それを読んだらお前も魔術師か?」

女海賊「無理っぽい…精神の修行がなんたらかんたら…私には絶対ムリなやつ」

女戦士「我慢する系の奴だな…まぁお前向きでは無いな」

女海賊「剣士ってさぁ…ずっとあそこでブツブツ言ってるけど大丈夫なん?」

女戦士「随分落ち着いて来たように見えるが?」

女海賊「女エルフが寄り添ってんのが気に入らんムキーーー」

女戦士「ハハ嫉妬か?聞こえてるぞ?あれは見えてる物が何なのか教えているんだ…」

女海賊「元の世界はまだ夜中だよね?何が見えてるんだか…」

女戦士「察するに森の中で何かしているのだろうな…もしかすると人間と戦っているのかもしれん」

女海賊「初めて見るにしちゃぁ優しい絵じゃないね」

女戦士「まぁ…祈りの指輪の在りかが見えてるとなると私も黙っている訳には行かなくなった」

女海賊「奪うつもり?」

女戦士「場合によってはな…人間やダークエルフの手に渡るのはマズイ」

女海賊「魔女の婆ちゃんは戦争の事知ってんのかな?」

女戦士「知らん訳が無いだろう…千里眼ですべてお見通しだ」

女海賊「あーーピーンと来た!!法王庁がなんで魔女狩りをするのか…」

女戦士「今頃気付いたのかお前は…」

女海賊「なんで夜行動するのかも…狭間に逃げ込まれるのを追う為なんだ…」

女戦士「その通りだ」

女海賊「んーむ…やっぱり狭間をコントロールする装置作りたいなぁ…」



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160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:02:32.63 ID:s4Ww8Seh0
剣士「…何か大きな生き物と話している様だ」

女エルフ「形は分かる?」

剣士「すごく大きくてゴツゴツしている…後ろの方に大きな何かが付いている」

女エルフ「それは多分ドラゴン…後ろにあるのは多分羽ね」

剣士「その羽の後ろに何かが…乗ってる?」

女エルフ「乗ってる?どんな形?」

剣士「あれは…人なのか?」

女エルフ「人型?…手に弓の様な物を持っていない?」

剣士「あぁ!!あれが弓なのか…だとするとこれは矢筒…沢山の矢筒がある」

女エルフ「それはドラゴンライダー…ドラゴンの背に乗っているのはハイエルフの男」

剣士「あれがドラゴンとハイエルフか…」

女エルフ「他にドラゴンライダーは見える?」

剣士「今の位置からだと見えない…あ!目が動く…上の方だ」

女エルフ「どう?」

剣士「丸い物光っている…あれは浮いてるのか?」

女エルフ「それは月ね…他には?」

剣士「あれが月か…その周りを黒いものが回ってる…123…6個」

女エルフ「多分それも飛んでいるドラゴン…全部で8匹居るはず」

剣士「大分分かるようになってきたぞ…遠くの物は小さい近くの物は大きい…そういう事だね?」



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161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:03:08.91 ID:s4Ww8Seh0
女戦士「剣士の様子はどうだ?」

女エルフ「慣れてきたみたい…」

女戦士「ん?どうした?浮かない顔をして…」

女エルフ「ハイエルフ達が戦いの準備をしているの…ドラゴンライダーを知ってる?」

女戦士「伝説くらいはな…それを言い出すという事は準備しているのはドラゴンライダーだな?」

女エルフ「…」コクリ

女戦士「人間も愚かな物だ…ただの魔物退治で済ませておけば良い物をエルフを追い込んでしまった」

女エルフ「ハイエルフが前線に出る様な状況だとトロールもケンタウロスも…」

女戦士「状況が悪い方向にばかり行く…私なら一旦和平交渉だな…被害が大きすぎる」

女エルフ「一番傷つくのは森…人間は草木一つ一つに魂が宿っている事を分かっていない」

女戦士「質問がある…ハイエルフが祈りの指輪を持っていたことはお前は知らなかったのだな?」

女エルフ「知らなかった」

女戦士「伝説では祈りの指輪を生んだのはエルフだと聞く…破壊の方法を知っているのもエルフだけなのか?」

女エルフ「わからない…」

女戦士「魔王を復活させてしまう可能性を持つ指輪を何故破壊しなかったと思う?賢いエルフが…」

女エルフ「製法ははるか昔に失われたの…破壊しなかった理由は精霊の魂を呼び戻す為と…」

女戦士「為と?」

女エルフ「まだ他に祈りの指輪が残っているかもしれないから」

女戦士「やはりそう思うか…もう一つの指輪で魔王を復活させられた場合の対抗手段…だな?」

女エルフ「…でも可能性なだけ」

女戦士「指輪をひた隠しにする理由はある程度理解できる…しかし何か引っかかる」

女エルフ「指輪を守ろうとする理由はそれで充分なのでは?」

女戦士「それ程精霊の魂にこだわる理由が解せん」

女エルフ「魂の無い抜け殻になった精霊樹はやがて枯れてしまう」

女戦士「ハイエルフが生まれなくなる訳だな?…しかし…やはり引っかかるな」

女エルフ「どうして?」

女戦士「ハイエルフ同士で子を産み育てる事を何故しない?」

女エルフ「それは…純血が途絶えるから」

女戦士「戻るか分からない精霊の魂と引き換えにしても純血を守りたいというのか?」

女エルフ「…」

女戦士「他に何か理由がある気がするな…魔女様に聞いてみよう」



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162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:03:40.62 ID:s4Ww8Seh0
魔女「…あなたたちは核心に近づいていますね」

女戦士「やはり指輪を破壊しない理由が他にも?」」

魔女「指輪が破壊されてしまうと世界は滅んでしまうでしょう」

女戦士「滅ぶ?…どうして?」

魔女「200年前の大破壊の時…狡猾な魔王はすでに滅びの一手を打っているのです」

魔女「私たちは何としても精霊の魂を解放しないといけない…その為には祈りの指輪が必要なのです」

女戦士「滅びの一手とは?」

魔女「エルフの森のさらに北の山頂に命の泉がある事を知っていますか?」

女戦士「そこはドラゴンのねぐら…」

魔女「この世界の命の源であるその場所に魔王は魔槍を突き立てて水を汚してしまいました」

女戦士「ただの伝説だと…」

魔女「いいえ…それは本当の事…その水を必要とする私たち生き物すべて魔王に汚されているのです」

女エルフ「人間の心が汚れているのはそのせい…」

魔女「そう…そうやって滅びの道を歩んでいるのです…それは人間だけではなくあなた達エルフも同じ」

女戦士「それと精霊の魂とどんな関係が?」

魔女「魔槍を抜き…汚れた水を浄化できるのは精霊の加護を受けた勇者ただ一人…」

女戦士「精霊が封印されたままでは勇者は生まれないと?」

魔女「精霊が不在となった今…私たちは心を浄化される事もなく憎悪ばかりが増え続けやがて魔王は甦る」

女戦士「祈りの指輪が無くても魔王は甦る?」

魔女「魔王は実体が無くとも現世に住む者の心へ影響を及ぼすのです…その結果が破壊の連鎖を呼ぶ」

女戦士「事が重大過ぎて言葉を失うな…今まさに戦争が起きている…」

魔女「このような世界だからこそ…意味のある育てられ方をされてきたあなた達は世界を救う最後の希望」

女戦士「魔女様…ご教授ありがとうございました…私はこれからやる事が少し見えてきました」

魔女「前に訪ねてきたアサシンはお元気かしら?」

女戦士「程なく邁進しております」

魔女「もう会えないかもしれないから…彼に会ったら伝えておいて下さい…命を大事にと」

女戦士「承知しました」



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163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:04:14.18 ID:s4Ww8Seh0
妖精「…僕はここで待ってる」

剣士「わかったよ…しばらくは魔女と一緒にいるの?」

妖精「魔女が亡くなったら魂を導くんだ…黄泉はすぐそこだけど」

剣士「目が見える様になったら直ぐに戻るよ」

魔女「必ず戻ってくるのですよ?…あなたには教えておかなければならない事があります」

妖精「女エルフ?剣士の目の代わり頼んだね!」

女エルフ「はい…」

女海賊「あぁぁなんか5日ってあっという間だったなぁ…」

魔女「魔術書は全部読んでおくのですよ?」

女海賊「はいはい分かってるって…」

魔女「さぁ子供達…そろそろ行く時間です…気を付けて行ってらっしゃい」

女戦士「魔女様!お元気で!!」

魔女「そうだ…忘れていたわ…剣士?その光の魔方陣を拵えたペンダントは照明魔法も使えるの」

剣士「照明魔法?」

魔女「目が見える様になったら役に立つでしょう…暗い時に試してみなさい」

剣士「はい!」

魔女「ここから出る時は元来た道をまっすぐ帰るのです…振り返ってはいけませんよ?迷ってしまうから」

妖精「あーー僕案内してくる!!」

魔女「それなら大丈夫ね…さぁお行きなさい?」

女海賊「じゃね〜」ノシノシ

164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:04:43.46 ID:s4Ww8Seh0
『追憶の森』

ホーホー ホーホー

妖精「じゃぁ僕はここまで!後は大丈夫だよね?」

女戦士「ありがとう妖精!」

剣士「すぐ戻るから!魔女を見守ってあげてて!」

妖精「じゃ又〜」ヒラヒラ

女海賊「まだ暗いね?5日もブランクあると勘が鈍っちゃってる…夜明けまでどんくらいだろ?」

女戦士「今夜は小望月…もう直ぐ沈む」

女海賊「剣士?照明魔法試してみなよ…月の光が届かなくて暗いんだ」

剣士「触媒が何か教えてもらってない」

女エルフ「光の魔法はエレメンタル魔法じゃないから触媒は要らない」

剣士「やってみる!照明魔法!」ピカー

女海賊「おぉ!!ちょい明るすぎ…」

女戦士「皮袋を被せておけ…それで十分だ」

女海賊「おっけ…じゃ戻ろうか」

女エルフ「待って…魔女様に足に回復魔法を掛けなさいと言われているの…剣士お願い」

剣士「回復魔法!」ボワー

女エルフ「ぁ…」

女海賊「エロい声出すな…行くよ!!」

女戦士「気球が心配だ…早く戻ろう!走れるか?」

女エルフ「足が動く!走れる!剣士!手を…」グイ タッタッタ

165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:05:09.41 ID:s4Ww8Seh0
『気球』

女戦士「はぁはぁ…気球は無事だな?」

女海賊「こっちの世界じゃ半日しか経ってないっしょ?あぁぁ!!気球に魚入れっぱだった」

女戦士「日が昇る前にここを離れるぞ…食事はその後だ」

女海賊「おっけ!私は球皮膨らませるから剣士は火起しといて!」

剣士「おっけ!火炎魔法!」メラ パチ

女海賊「…魚焼いといて!」

剣士「おっけ!火炎魔法!」チリチリ

女海賊「…なんかムカ付くんだけど…触媒無駄遣いしないでくれる?」

剣士「おっけ!」

女海賊「木に縛ってあるロープも外しておいて…もう飛ぶよ」


フワフワ


女戦士「ふむ手際良い…火起こしの早さがそのまま飛ぶまでの時間短縮になった様だ」

女海賊「お姉ぇ!行き先どうする?戦場に直行?」

女戦士「そうだな…エルフの森南部までは1日掛かるな?その間に千里眼で目標を定めよう」

女海賊「よっし!!風に乗る!!剣士…縦帆開くのお願い!2つとも展開して」


ビョーーーーウ バサバサ


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166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:05:40.08 ID:s4Ww8Seh0
女戦士「さて…この広大な森の中にいる対象をどうやって探すかだ…何か目標物は見えんのか?」

剣士「森の中を歩いている」

女戦士「それでは探せんな」

女海賊「お姉ぇ!女エルフが森の地図を描いてくれてる…見て!?」

女戦士「…荒すぎるが…この南北に走る線は何だ?」

女エルフ「それは断崖…そこから東は低地になっていて飛び降りることも戻る事も出来ない所」

女戦士「ふむ…私が人間の立場なら断崖を背にして野営を張るな」

女海賊「断崖のこっち側なら気球でも安全だね」

女戦士「一旦断崖を目指して人間側の陣の張り具合を見るか…」

剣士「あ!!沢山の人が集まっている…20人くらい」

女エルフ「耳が長い?」

剣士「…長い人も居るけれど…少し違う格好のひとも居る」

女エルフ「違う格好?…なんだろう?」

剣士「布の様な物を渡された…これが文字なのかな?何かの模様が沢山見える」

女エルフ「エルフは文字を使わない…それは人間」

剣士「周りの人が弓を構え始めた」

女戦士「どうやら何か交渉を始めているな…当然の流れだが」

女エルフ「弓を構えているのはエルフ?人間?」

剣士「エルフ…耳が長い」

女戦士「ふむ…人間側が交渉を持ちかけたな?ドラゴンは見えるか?」

剣士「今は見えない」

女戦士「私がエルフなら交渉を有利に進める為に隠し玉のドラゴンライダーを見せるな」

女海賊「私が人間だったら捕虜を見せる…どっちが有利?」

女エルフ「…人間が有利」

女戦士「いや…この場合エルフ有利だ…伝説が本当ならばドラゴンライダーで5万の兵は壊滅する」

女海賊「マジか…じゃ捕虜を盾にする」

女戦士「人間側はそれしか生き残る術が無い…だから交渉しているのだ」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:06:20.03 ID:s4Ww8Seh0
---夜---

女戦士「あとどれくらいで断崖だ?」

女海賊「夜明け前には着くよ…野営していればもう火が見えててもおかしくないよ」

女戦士「靄が掛かっていて見えんな」

女海賊「もう少し高度下げようか?」

女戦士「そうしてくれ」


ビョーーーウ バサバサ


女海賊「どう?」

女戦士「靄が濃い」

女海賊「女エルフ!?断崖の高さってどれくらい?あんまり高度下げると正面からぶつかっちゃうよね?

女エルフ「200メートルくらい」

女海賊「高っか…聞いてて良かった」

女戦士「それ程の高さなら目視出来る筈…まだ先か?」

女エルフ「森で覆われていて分かりにくいと思う…100メートルを超える木も沢山あるから」

女戦士「聞いたことがあるな…木の上に木が生えているらしい」

女海賊「あぁぁ…だから森っていう字なんだ…納得」


ワオーーーーーン ワンワン


女海賊「遠吠え…剣士!?何言ってるか分かる?」

剣士「侵入者…」

女戦士「ん?こんな所でか?今は断崖の下の筈だ…戦隊の展開を読み違ったか?」

剣士「高度上げないと断崖にぶつかるよ…」

女戦士「やってるって!!お姉ぇちゃんと前見てて!!少し旋回しながら上げる」

女戦士「ちぃ…靄が濃い」

剣士「…この土の匂い」クンクン

女エルフ「トロールね」

剣士「上にトロール!!」

女戦士「上だと!?うわ!!」


ヒューー ドシーン
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:06:46.89 ID:s4Ww8Seh0
女戦士「…落ちて行った」

女海賊「あぶぶ…断崖すぐソコじゃん!!やっぱ暗い所で高度下げるの無いわ…」

女エルフ「見て!!断崖の淵」

女戦士「なるほど…トロールの足をすくって谷底に落としてる訳か」

女エルフ「こっちに気付いた様子は無さそう」

女戦士「野営跡が見えるな…という事はここは最後尾だ!断崖沿いに北へ進路を変えろ」

女海賊「アイアイサー!!」


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女戦士「見えた…断崖から少し森に入った所にちょとした拠点を作っている…あれが本隊だ」

女海賊「見せて見せて?…んんん?攻城塔が沢山ある」

女戦士「木の上が寝床になっているのだろう…長期戦の構えなのだが…」

女海賊「あの攻城塔は弓が怖くて近づけないなぁ」

女戦士「射程外の高さを維持しろ…おそらく徒歩で1日程前方が最前線だ」

女海賊「こんな場所に拠点構えてさぁ…補給どうすんだろ?」

女戦士「ドラゴンさえ居なければ気球で問題ないな…しかし今は補給出来ん状況…だから交渉なのだ」

女海賊「それにしても良くこんな拠点作ったね…堀も柵もあるし」

女戦士「人海戦術の成せる業だな…」

女海賊「これさぁ…私たちの所にドラゴン来たらどうすんの?」

女戦士「こっちにはエルフが居る…襲って来ん事を願うのだな」

女エルフ「下!!」

女戦士「んん?行軍してるな…夜明け前だというのに」

女海賊「前に光が沢山見えてきた」

女戦士「多い!!…包囲しているのか?…違うなトロールを焼いているな」

女海賊「燃えているのはトロール?」

女戦士「そうだ…トロールは火で炙ると動きが鈍くなる」

女海賊「良い目印!トロールの向かう先に行く!」

女戦士「待て!!場所は把握した…夜明けまで高度を上げて様子を見る」

女海賊「おっけ!」

女戦士「剣士!千里眼の用意は良いか?ピンポイントで対象に接触したい…出来るだけ詳細に頼む」
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:07:33.06 ID:s4Ww8Seh0
---夜明け---

女海賊「…東と南の方にもドラゴンが飛んでる…やっぱり旋回してるだけ」

女戦士「ちぃ…随分広範囲で分かれてるな…的が絞れん」

女エルフ「やっぱりドラゴンは全部で8匹」

女戦士「剣士!どこら辺なのかまだ分からんか?」

剣士「目印になるものが何も無いよ」

女戦士「まだ人間と会話しているのだな?」

剣士「何かを待ってる…」

女戦士「むぅ…どの部隊と接触しているのだ?」

女海賊「もう少し高度下げよっか…」

剣士「あ!!あれは馬か?馬車が何台も来てる」

女戦士「夜行軍の部隊か!!東の方角だ…引き返せ!!」

女海賊「おっけ!高度下げながら行く」

剣士「馬車の中から…エルフが沢山出てくる」

女戦士「なるほど…捕虜の交換だな」

剣士「…歩き始めた」

女戦士「行き先をよく見ておけ救出するぞ」

剣士「馬車の方に向かってる…ん?黒いエルフ…ダークエルフとすれ違った」

女エルフ「ダークエルフと交換?」

剣士「振り返った…ドラゴンが1匹見える」

女海賊「見つけたぁぁぁぁ!!あそこ!!あのドラゴンだけ1匹」

女戦士「交渉中だ…高度下げて様子を伺う!!」

剣士「はっ!!倒れた…」

女戦士「なにぃ!!」

剣士「ナイフが胸に刺さってる…ダークエルフにやられた」

女エルフ「ああぁぁ…マザーエルフ様!」

女海賊「ドラゴンが火を吹き始めた!!やっぱりあそこ!!」

剣士「逃げて!!逃げて!!早く!!うぁぁぁぁぁ」

女戦士「弓のギリギリ射程外まで下げて近づけ!!」

女海賊「やってる!!」

女戦士「こちらを見つけたな!?女エルフ!!弓で応射しろ!!」

女エルフ「…」ギリリ シュン

女海賊「お姉ぇ!!これ以上高度下げれない…危険すぎる」

女戦士「とにかくあのハイエルフを追え!!」

女海賊「こんな高さじゃ降りらんないよ?」

剣士「…」ダダダ

女戦士「剣士!!何をする!!」

女海賊「ロープ?」
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:08:10.74 ID:s4Ww8Seh0
女戦士「おい!待て!!早まるな!!」

剣士「助けに行く」シュルシュルシュル

女エルフ「あ!!剣士…私も援護に行く」

女戦士「むぅ…仕方あるまい…矢を多めに持って行け!」ポイ

女エルフ「ありがとう」シュルシュルシュル

女海賊「どうするどうするどうする…」

女戦士「剣士!女エルフ!最後の集合場所は星の観測所だ!!」

女エルフ「分かった」


シュンシュンシュンシュン ストストストスト


女海賊「ヤバ!!矢が届いてんじゃん…離脱!!」

女戦士「二人とも死ぬな!!必ず戻れ!!」
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:08:45.44 ID:s4Ww8Seh0
『前線第一部隊』

---前夜---

部隊長「…エルフはこちらの要求を呑むという事だな?」

特使「条件付きですが…」

部隊長「こちらが出せる条件だろうな?」

特使「全捕虜とダークエルフとの交換で指輪を持つハイエルフがこちらに来るようです」

部隊長「ハイエルフが来るのか…厄介だな」

特使「その様で…」

部隊長「貴族の連中がハイエルフに魅了されるのは目に見えている…しかしこちらも厳しい状況」

精鋭兵「これ以上の損耗は士気を下げてしまいます…」

部隊長「捕虜の移送は間に合うな?」

精鋭兵「馬車を使えば明日の朝には前線入り出来ます」

部隊長「問題はダークエルフの方だが…」

精鋭兵「ダークエルフ含む法王庁の部隊はたった二個中隊で我々の左前方に位置します」

部隊長「分かっている…漁夫の利を得ようと最前線より前に出ている事もな…小賢しい」

精鋭兵「何故かトロールの襲撃を受けていないのも怪しい」

部隊長「ダークエルフを査問で捕らえられるか?大将からの書状は私が後で何とかする」

精鋭兵「法王庁が言う事聞くでしょうか?」

部隊長「法王庁は和平交渉の件は知らぬ筈…勝手に動かれるのも困るのだ」

精鋭兵「大将からの書状では無く第一皇子からの書状という事になりませぬか?」

部隊長「私に偽装せよと言うのか?」

精鋭兵「交渉が上手く行けば第一皇子の株も上がりましょうと言う物…しいては大将及び部隊長も…」

部隊長「軍法会議ものだが早期決着の為にはやむを得んか…」

精鋭兵「急ぎで私がダークエルフを捕らえて参ります」

部隊長「よし!!特使!!本部へ戻って大将に和平成立を先行して報告して来い」

特使「ハッ」スタ

部隊長「精鋭兵!書状は直ぐに書く…必ずダークエルフを捕らえてこい」

精鋭兵「ハッ」

172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:09:16.64 ID:s4Ww8Seh0
---朝---


第二部隊方面ドラゴン2匹

第三部隊方面ドラゴン2匹

第四部隊方面ドラゴン1匹

後方本隊方面ドラゴン2匹

観測主「ドラゴンは上を尚旋回中!戦闘の意思は無い模様…ん?未確認の気球1機がさらに上空を飛んでいます!」

部隊長「行き先は分かるか?」

観測主「旋回してこちらへ回頭しています」

部隊長「後方の本隊は視認できるか?」

観測主「狼煙は見えますが隊の展開状況は視認できません」

部隊長「前方の交渉状況を報告しろ!」

観測主「特使がエルフと3匹と接触…捕虜交換の最中です…上空のドラゴンは低空で威嚇しています」

部隊長「部隊の展開状況は?」

観測主「弓兵隊配置完了!歩兵隊は包囲網を展開中!」

観測主「未確認の気球!!さらに接近!!弓兵隊が威嚇を始めました」

部隊長「回避する様子は!?」

観測主「ありません!!応射して来てます!!」

部隊長「むぅ…法王庁の気球か?第2皇子の別働隊か?」

観測主「捕虜交換開始!!女型のハイエルフが一人でこちらに来ます!!」

部隊長「よし!!順調だな?」

観測主「捕虜解放!!ゆっくり2匹のエルフの方へ向かいます…あ!!女型ハイエルフが倒れました!!」

部隊長「なにぃ!!」

観測主「ドラゴンが戦闘態勢!!背中にエルフを乗せています!!ドラゴンライダーです!!」

部隊長「くそう!!謀られた…エルフめぇぇぇ全隊戦闘態勢!!」

観測主「女型ハイエルフ…動きません」

部隊長「捕らえろ!!盾にして後退戦に移行する!!」

観測主「ドラゴンがブレスを吐き始めました!!弓隊一斉射撃開始…未確認の気球から何か降りてきます!!」

部隊長「撃ち落とせ!!弓隊!!女型ハイエルフが逃げる前に足を撃て!!」シュンシュン シュンシュンシュン

観測主「女型ハイエルフ動きます!!東方向…弓ヒット!!転倒」

部隊長「東か…トロール用のベアトラップに追い込め!!ん?気球から降下してきているのは…」

観測主「白いウルフ1匹と女型エルフ弓タイプ!!自軍の前方に降下します」

部隊長「気球を打ち落とせぇ!!」ギリリ シュン シュンシュン シュンシュンシュン

観測主「各部隊…戦闘開始した模様!!開戦の合図が出ています!」



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173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:10:00.00 ID:s4Ww8Seh0
部隊長「ハァハァ…女型ハイエルフはまだ捕らえられんか?」

精鋭兵「歩兵隊でベアトラップ地帯に追い込んでいます!」

部隊長「弓隊の射撃が薄くなってきたな…」

精鋭兵「ドラゴンライダーです…アレに乗っているハイエルフの弓が正確すぎる!!」

部隊長「ベアトラップの向こう側は第2部隊が展開している筈だ…粘って合流する」

観測主「報告!報告!女型ハイエルフがベアトラップに掛かりました!」

部隊長「ようし!!でかした!!」

観測主「新敵発見!!ケンタウロス槍タイプ4体…後方です」

部隊長「むぅ…弓隊の被害状況は?」

精鋭兵「半数が怪我を負って今交代中です」

部隊長「歩兵隊で女型ハイエルフ捕獲に動け!弓隊と盾隊は後方のケンタウロスに当たれ!」

精鋭兵「歩兵隊!!前進!!」

部隊長「降下した白いのとエルフは何処へ行った?」

観測主「見失いました…いえ!!横!!すぐそこ居ます!!回避!!回避!!」

部隊長「精鋭兵隊!!迎え撃て!!」

精鋭兵「白いのを狙い打てぇ!!…速い」シュンシュンシュン シュンシュンシュン


ピョン ピョン クルクル シュタ


精鋭兵「おのれぇ…ちょこまかと…」

部隊長「なんだあの白いウルフは…木から木を飛び移つ…ぐぁ!!」シュン グサ

精鋭兵「部隊長どの!!精鋭兵隊!!観測塔を中心に守備!!」

観測主「女型エルフの弓が木の陰から飛んできます!!」

精鋭兵「目標を女型エルフに変更!!撃てぇ!!」シュンシュン シュンシュン

観測主「外しましたぁ!!あ!!白いのが炎を出しています…ブレス!?」

部隊長「な…なにぃ!?ウルフでは無いのか?」

観測主「小型ブレスを吐きます…あの魔物は報告にありません!!新型です!!」

精鋭兵「ブレス来るぞぉぉ!!散開!!散開!!」


ボゥ ボゥ ボゥ メラ


観測主「観測塔!!燃えます…消化急いで!!」

精鋭兵「くそぅ…叩いて消せ!!」パン パン

観測主「白いのはベアトラップ方面に移動…うわぁぁぁ女型エルフが狙って…ぎゃぁぁぁ」シュン グサ

部隊長「たった2匹に翻弄されるか…」

観測主「ゆ…弓隊が後退しています…ケンタウロスを倒せていま…せん」

部隊長「全隊!!ベアトラップ方面に後退する!!第2部隊と合流する…続けぇ!!」



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174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:10:33.65 ID:s4Ww8Seh0
ゴォォォォォ

部隊長「なんだアレは…竜巻か?」

観測主「徒歩だとしっかり確認できませんが竜巻魔法のトルネードと思われます」

部隊長「あの女型ハイエルフはメイジ型だという事か」

観測主「トルネード3つ見えます」


チュドーーン ゴゴゴゴ


観測主「火柱に変わりました!!高位魔法のボルケーノです!!」

部隊長「先行している歩兵隊は見えんか?」

観測主「ちょっと待ってください…木の隙間の煙が切れれば…」

精鋭兵「歩兵隊が敗走して戻ってくる様です…やられたか」

観測主「見えました!!女型ハイエルフは依然ベアトラップに掛かっています…あ!!」

部隊長「どうした!?」

観測主「膝から下を切り落としました…這って逃げています!第2部隊方面」

部隊長「ようし!!…まだ包囲している状況だ!逃がさん…」

観測主「上空のドラゴンは後れを取っている弓隊と戦闘中の模様」

部隊長「精鋭兵!!ベアトラップはまだ在る筈だな?」

精鋭兵「2重に置いています…このまま進めばもう一度掛かります」

部隊長「一気に捕獲する!前進!!」

観測主「女型ハイエルフ目視!!前方…追いつけます!!」

部隊長「捕獲して第2部隊に合流するぞ!!後れを取るな!!」

精鋭兵「見えた!!走るぞ!!んん?しめた…またベアトラップに掛かった…確保!確保!」


ピョン クルクル シュタ ザク


精鋭兵「ぎゃぁぁ…白い奴」メラメラ

観測主「白い新型は燃える武器を所持!!アレは人型です…頭部がウルフ?」

部隊長「ウェアウルフか!!ええぃ邪魔をするな」ダダダ ブン

精鋭兵「精鋭兵隊!!盾を構えろ…はぁはぁ」

部隊長「ブレスに注意しろぉ!!…ぐぁ!!」シュン グサ

精鋭兵「後ろから弓…女型エルフかぁ!!」

部隊長「…精鋭兵…指揮を変われ…まか…せ…た」ドタリ

精鋭兵「くそぅ…指揮官をピンポイントで狙ってくるとは…出来る」

観測主「白い新型の動きが止まりました!!何か来ます!!」

精鋭兵「盾で守備!!そのまま前進しろぉ!!」
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:11:03.48 ID:s4Ww8Seh0
ガガーン ビリビリ


精鋭兵「な…落雷だと!?」

観測主「分かりました!!白い新型はメイジ型です!!今のは雷魔法…うゎぁぁ」ボウ メラ

精鋭兵「火炎魔法…むむむ色々やる…全隊!!新型に構わず強硬突破!!女型ハイエルフの確保優先!!」

観測主「お…遅かった…女型ハイエルフはもう一つの足も切り落として逃げています…東方向」

精鋭兵「お前は走れるか?」

観測主「なんと…か」ノソ

精鋭兵「良し…まだ見える!この先は崖だったな?」

観測主「う…上にドラゴン」

精鋭兵「万事休す…全隊!!ブレスに備えろぉぉぉ」


ギャオーーース ゴゥ ボボボボボボボ


精鋭兵「ぐはぁ…圧倒的ではないか」

観測主「第2部隊が上手く捕獲するのを願うしか…」

精鋭兵「全隊…各自小隊に分かれて第2部隊に合流せよ…第1部隊は指揮系統壊滅」
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:11:35.76 ID:s4Ww8Seh0
『第2部隊』

ドーン ドーン

観測主「第1部隊方面で激しい爆発が続いています…こちらの方に移動中と思われます」

部隊長「ううむ…こちらは崖を背にして退路が無い」

観測主「南方面に未確認の気球が旋回しています」

部隊長「上空のドラゴン2匹は何処に行った?その気球はドラゴンに襲われんのか?」

観測主「敵の観測用気球でしょうか?」

部隊長「部隊の展開状況が筒抜けという訳か…撤退せねばならん」

観測主「ドラゴンは現在第1部隊方面へ向かった我が隊の斥候隊上空と思われます」

部隊長「よし…斥候隊を囮に我が隊は崖沿いを南へ回る!!全隊移動開始!!」

観測主「第1部隊方面より敗走兵が来ています」

部隊長「衛生兵!!保護して状況を聞き出せ!!」

観測主「我が隊の弓兵隊が北方向に弓を撃っています!!」

部隊長「確認急げ!!」

観測主「ん?足の無いハイエルフ…が森を這って出てきます」

部隊長「なに!!もしかすると捕虜交換のハイエルフかもしれん!!」

観測主「4つ足で割と速いスピードで東方面に移動中…我が隊の弓がそこそこ当たっている模様」

部隊長「恐るべき生命力だなハイエルフは…ここから確保に向かえそうか?」

観測主「東は崖で行き止まりです…飛び降りなければ間に合います」

部隊長「騎兵隊!!足のないハイエルフの確保に向かえ!!その他は南に移動を継続!!」

観測主「報告!!森の切れ目周辺に小爆発!!」


ドーン ドーン
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:12:12.49 ID:s4Ww8Seh0
観測主「出てきました!!白い魔物と女型エルフ…爆発の正体は白い魔物です!!」

部隊長「こちらに来るか?」

観測主「いえ…足の無いハイエルフ方面へ向かってます」

部隊長「こちらの騎兵隊はハイエルフまで接触どれくらいだ?」

観測主「あと2〜3分…森から小隊がいくつか出てきます…やはりハイエルフを追っている様です」

部隊長「やはりそのハイエルフがキーマンな様だな…ドラゴンは何処行った?」

観測主「あぁぁ…ドラゴンもハイエルフ方面へ…2匹です」

部隊長「私も目視する…上に登るぞ」

観測主「白い魔物の吐くブレスで友軍が近づけない様です…このままでは騎兵隊も…うぁ!!」シュン グサ

部隊長「なにぃ!!ドラゴンライダーからの弓はあんな所から届くのか…」

観測主「部隊長…ここは危ないです隠れてください」シュン スト

部隊長「構わん!!盾に隠れて見る」シュン カン!

観測主「ハイエルフは崖に到着しました…ドラゴンは友軍と戦闘開始!!」

部隊長「よし…騎兵隊がハイエルフを取り囲んだな?」


ピカッ チュドーーーン


観測主「ハイエルフ!!爆発!!」

部隊長「魔法か…騎兵隊はどうなった!?観測できるか!?」

観測主「騎兵隊消失…」

部隊長「なんという事だ…これでは勝てん!!全隊!!南の本隊への合流を急ぐ!!」

観測主「ハイエルフの生存確認!!崖を飛び降ります…」

部隊長「我々は敵を知らなさ過ぎた…魔物がこれほどまで強力になっているとは…」

観測主「友軍…森の中へ撤退しています!…あ!!白い魔物に女型エルフが乗りました」

部隊長「ん?アレは何なのだ?ウルフなのか?…どうするつもりだ?」

観測主「崖の方へ…」

部隊長「まさか飛ぶ…?」

観測主「崖を走って…え?下に走ってる」

部隊長「我が軍は完敗だ…本体と合流し撤退戦に移る」
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:13:26.38 ID:s4Ww8Seh0
『森の最奥』

シュタタ シュタタ ズザザー

女エルフ(剣士!!無事?)

剣士(大丈夫…あっちだ)シュタタ

女エルフ(森がクッションになってくれている)

剣士(あの木の横)シュタタ

マザーエルフ(ぅぅぅ…はぁはぁ)

剣士(回復魔法!回復魔法!回復魔法!)ボワー

女エルフ(マザーエルフ様…)

マザーエルフ(あ…あなた達はハーフエルフですね?私はもう助かりません…この指輪を持ってハッ!!)

剣士(回復魔法!回復魔法!回復魔法!)ボワー

マザーエルフ(坊や…その目は坊や?…こちらを向きなさい)

剣士(…)

マザーエルフ(早く…この指輪を使ってあなたの目を望みなさい…私の命が尽きてしまう前に)

剣士(今助ける!回復魔法!)ボワー

マザーエルフ(言う事を聞きなさい!心臓が止まってしまう前に…)

女エルフ(剣士!!言う事を聞いて!!先に目を望んで!!)

剣士(…この指輪で)

マザーエルフ(早く…)

剣士(僕の瞳を!!)

女エルフ(剣士!?…あなた…瞳が青い)

マザーエルフ(はぁぁぁ本当に…間に合って良かった…あなたは特別な子)

剣士(見える…母さん?)

マザーエルフ(その指輪を使って夢幻から精霊を解放しなさい…これはあなたにしか出来ません)

剣士(どうして僕の瞳を奪ったの?どうして白狼に預けたの)

マザーエルフ(光の無い世界で生きたあなたは真実を見る眼が養われた筈です…夢幻の中で真実を探しなさい)

剣士(夢幻?真実?)

マザーエルフ(ごめんなさいね…あなたを捨てるつもりはありませんでした…でも仕方のなかった事)

剣士(…)

マザーエルフ(正しい心を持ち…真実を見る眼を養う為にはエルフの森から出る以外に無かったのです)

剣士(母さん…僕はもう失いたくない)

マザーエルフ(エルフの魂は森の一部になるからいつでも会えますよ?ゴホゴホ)グッタリ

女エルフ(マザーエルフ様…心臓の音が…)

マザーエルフ(最後に一目坊やの顔が見れて良かった…大きくなり…ました…ね)ナデ

剣士(ぁぁぁ…母さん)ギュー

マザーエルフ(………)


ダダダッ ドン!! シュタッ
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:14:02.98 ID:s4Ww8Seh0
剣士(うぁ!!)ズザザ

ダークエルフ(悪いがこの指輪は頂く!!痛い目を見たくなければ手を引け!!)

剣士(お前は!!母さんの心臓にナイフを…)

女エルフ(ダークエルフがその指輪を使って何をする気!?)ギリリ

ダークエルフ(おっと…同族殺しはお前もダークエルフになるぞ?いいのか?)

女エルフ(答えなさい!!)

ダークエルフ(ふっ…ハイエルフは祈りの指輪の使い方を間違ってんだよ…これは破壊しなければならない)

女エルフ(その為に戦争を扇動したのはあなたね!?)

ダークエルフ(ハイエルフが黙って指輪を差し出せばこうはならなかったんだ!自業自得だ)

剣士(うぅぅぅぅ…)スラーン チャキ

ダークエルフ(やる気か?)

剣士(火炎魔法!)ゴゥ

ダークエルフ(おっとあぶねぇ…お前らに構って…うぉ!!」ザク

剣士(このぉ!!)ダダッ ザク ザク

ダークエルフ(この動き…お前!犬神だな?)タジ ポタ ポタ

剣士(火炎魔法!火炎魔法!火炎魔法!)ゴゥ ゴゥ ドーン

ダークエルフ(分が悪いか…)ヒラリ ダダッ

剣士(逃がさない!)ピョン シュタタ

ダークエルフ「ピーーーーーー」

女エルフ(笛!?剣士!!気を付けて!!)


シュンシュンシュン シュンシュンシュン


女エルフ(上にも下にも敵が居る!!ウルフの遠吠えは軍の侵入だったって事?)

剣士(うぁぁぁぁ!!)ダダ ザク

ダークエルフ(ぐぁ…)ボトリ

女エルフ(片手を切り落とした…)

剣士(グルルルル…こっちの手じゃない!!)

女エルフ(ダメ!!剣士…弓が狙ってる)


シュンシュンシュン シュンシュンシュン
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:14:40.02 ID:s4Ww8Seh0
剣士(ワオォォォォン!!グルルルル)シュン グサ

女エルフ(下がって剣士!!…あぁぁぁ矢が当たってる)

剣士(ガルル)ピョン クルクル シュタ


シュンシュンシュン シュンシュンシュン


女エルフ(敵が多すぎる!!剣士ダメ!!ハァハァ…我を失ってる)



----------



観測主「ダークエルフ戻ってきます!負傷している模様!!」

隊長「衛生兵!保護して後方部隊まで下がれ」

観測主「敵は2匹!!メイジ型と弓型!!押し通って来ます」

隊長「メイジ型に集中して撃て!!」


シュンシュンシュン シュンシュンシュン


観測主「ヒット!!怯みません!!自己回復しながら押し通って来ます」

隊長「単騎で特攻か…信じられんな…歩兵で止めろ!!」

観測主「魔法を連射して来ます!!回避!!回避!!」


ドーン ドーン パーン
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:15:12.43 ID:s4Ww8Seh0
観測主「前衛部隊全滅!!ダークエルフ捕まりました!!あ!!足を切り落とされて転倒」

隊長「ええい!!ダークエルフはもう放置だ!!弓隊!!集中砲火」


シュンシュンシュン シュンシュンシュン


観測主「ヒット!!歩兵が取り付きました…ああ!!なんだ!?ダークエルフの手足が生えてきた…え?」

隊長「なに!?何が起こっている?」

観測主「歩兵が何故か手足を負傷…ダークエルフ逃げ帰ってきます…どうなってるんだ?」

隊長「観測主!!正確に報告しろぉ」

観測主「は…はい!!メイジ型は魔法連射で前衛は近寄れません!!被害甚大!!」

隊長「弓だ!!ハチの巣にしろぉ!!」

観測主「後方でウルフの群れが現れた模様!!混戦になります!!」

隊長「弓隊はメイジ型に集中砲火続けろ!!」

観測主「ヒット!!メイジ型が止まりました…あ!!弓型がメイジ型を引っ張って行きます」

隊長「よし!下がったな?今の内に後方のウルフへ向かい本隊へ合流する」

観測主「敵2匹は木の陰に隠れました!!視認できません」

隊長「そっちはもう良い!!矢を何十発も受けて無事で居るものか!!後方へ移動!!」



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182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:15:49.77 ID:s4Ww8Seh0
女エルフ(あぁぁどうしよう…血が止まらない!剣士!剣士!?)

剣士(ガルル)

女エルフ(動かないで…精霊よお許しください)

女エルフ(回復魔法!回復魔法!回復魔法!)ボワー

女エルフ(あぁぁ血が止まらない…そうだ!!魔女様が私にも出来ると…)

女エルフ(魔方陣のペンダント…これを下に置いて)

女エルフ(蘇生魔法!)ポワ

女エルフ(回復魔法!回復魔法!回復魔法!)ボワー

女エルフ(矢を抜かないと…)ブシュ ブシュ ブシュ

剣士(グルル)


ギャオース バッサ バッサ


女エルフ(ドラゴンライダー!!)

ドラゴンライダー(指輪は無事か!?)

女エルフ(ダークエルフに奪われました!…まだ近くに居るはず)

ドラゴンライダー(トロールが動ける夕刻までここで待機しろ!我々は南進する!)

女エルフ(私たちは?)

ドラゴンライダー(森の声を聞いて集結しろ!指輪を奪い返す!)


ギャオース バッサ バッサ


女エルフ(剣士…あなたは怒りで心がどこかへ行ってしまった)

女エルフ(目を閉じて瞑想で私に重なって…連れ返してあげる)

女エルフ(ここに居るから重なって…)


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183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:16:26.44 ID:s4Ww8Seh0
『気球』

ビョーーウ バサバサ

女海賊「だめだぁ…高度上がんない」

女戦士「一旦離れて直すしかないな…」

女海賊「こんな所で降りたら木に引っかかっちゃうよ」

女戦士「崖を北に沿って行け…森が切れていた筈だ」

女海賊「エルフの森にちょー近いじゃん!大丈夫かなぁ…」

女戦士「祈れ…それにしても剣士たちを見失ってしまったのが…」

女海賊「どうせドンパチの真下なんじゃないの?」

女戦士「これほど激しいともう近寄れんな…まさか竜巻が出るとは思っても居なかった」

女海賊「球皮が破れるかと思ったよ」

女戦士「見ろ…またドラゴンがブレスを吐き始めたぞ」

女海賊「ドラゴンに乗ったエルフもヤバイね」

女戦士「うむ…制空権を完全に制されていては人間側に勝ち目がないな…引くしかない」

女海賊「下から矢を撃ちすぎでさぁ…それを拾われて使われてるの分かってないのかなぁ」

女戦士「現場は必死なのだろう…相手の補給の事など考える暇も無い」

女海賊「矢が切れればドラゴンライダーも攻め切れないのにね」

女戦士「私はこれからが本番だと見る…トロールを前面に出してゴブリンの歩兵隊…そしてケンタウロス」

女海賊「うへぇ…」

女戦士「ドラゴンライダーからのピンポイント射撃ではまだ決定的に数を減らせていない」

女海賊「人間側は立て直して来るって事?」

女戦士「戦争は最後に歩兵の数で勝つのだ…両者どれだけ相手の歩兵を減らせるかだな」

女海賊「長引きそうだね」

女戦士「うむ…気球を直したら一旦シャ・バクダまで引き返すぞ」

女海賊「剣士たちは置いていくの?」

女戦士「私たちは何も出来ん!仕方あるまい」

女海賊「んんんん!!なんかこんなお別れの仕方したくなかったな」

女戦士「無事に帰って来る事を祈れ…私たちには他にやる事がある」

女海賊「もう!!しょうがないなぁ…」

女戦士「砂漠方面に敗走兵が沢山出るぞ…物資補給で商隊も溢れる事になる」

女戦士「盗賊団も黙って見ているだけでは済まなくなりそうだ」

女戦士「徴兵で戦場に出なければいけなくなる可能性もある…やる事が山積みだ」

女海賊「へぃへぃ…あそこに一旦降りるよ?」


フワフワ ドッスン


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184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:17:17.21 ID:s4Ww8Seh0
その後エルフの森南部で侵略を進める人間軍と衝突した魔物群は

山岳地域からのミノタウロス、オーク、ハーピー

砂漠地域からのリザードマンが加わり勢力を増し

人間軍を押し返す形で南進を進める

魔物群の大反撃が始まったのである
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:17:53.25 ID:s4Ww8Seh0
『星の観測所』


女戦士「戻ったな?様子はどうだ?」

女海賊「ハズレ町の方に兵隊が逃れて来てるっぽい」

女戦士「うむ…やはり戦線が南に下がった様だな」

女海賊「やっぱり商隊がごった返してるよ…お姉ぇが言った通りだ」

女戦士「こちらも情報が入ってきた…セントラルに軍船が多数入港しているそうだ」

女海賊「どっから?」

女戦士「西方の土の国フィン・ニッシュ」

女海賊「おぉぉ軍国と同盟だ」

女戦士「察するに第2皇子が外交で師団を編成しようとしているな」

女海賊「剣士たちの情報とか何も無いの?」

女戦士「白い魔物の噂はあるが…それだけだ」

女海賊「あぁぁ…もうすぐ1か月だけど死んじゃったかもしれないと思うとやるせない」

女戦士「…それが戦争だ…あの二人はエルフだから戦いは避けられなかったのだ」

女海賊「なんかイライラする!紛らわせに明るい内に遺跡調査行ってくるよ」

女戦士「アダマンタイトか…まだあきらめて居ないのか?」

女海賊「小さい欠片を探してんだけどさぁ…砂に埋もれててなかなか見つかんないんだ」

女戦士「この間持って帰ってきた奴ではダメなのか?」

女海賊「色んな大きさで試したいんだ」

女戦士「まぁ遺跡は魔物が出ないから迷子にならん様にだけ気を付けろ」

女海賊「分かってるって…じゃ行ってくる!!」ノシ


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186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:18:32.01 ID:s4Ww8Seh0
若い衆「マスター代理!」

女戦士「どうした?」

若い衆「コブラ酒と赤ワインの注文が入りました…グラスは2つ」

女戦士「どこの宿屋だ?」

若い衆「入ってすぐの馬宿です」

女戦士「む…アサシンが帰ってきたか?」

若い衆「分かりません…兵隊の恰好をしているそうです」

女戦士「変だな…暗号が知られてしまったか」

若い衆「どうしましょう?」

女戦士「私が直接行く…逃走用にラクダを馬宿に付けておいてくれ」

若い衆「承知」

女戦士「私もラクダですぐに向かう」タッタッタ
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:19:18.40 ID:s4Ww8Seh0
『宿屋』

カラン コロン

店主「いらっしゃいま…」キョロ

女戦士「どこの部屋だ?」

店主「奥の大部屋に居座っています」

女戦士「どんな奴だ?」

店主「いつの間に大部屋に籠ってしまいまして…中から兵隊の鎧の音がガシャガシャと」

女戦士「男か?」

店主「女の声です…中から例の物を注文してきました」

女戦士「私の逃走経路を確保しておけ…酒を持って中に入る」

店主「かしこまりました…酒とグラスは用意しております」

女戦士「…この部屋だな?」

店主「はい…」


トントントン


女戦士「ご注文をお届けに参りました…」

店主(返事がありませんな…)

女戦士「扉を開けてもらえませんか?」


ガチャリ


女戦士「お酒をお持ちいたしま…女エルフ!!生きていたか!!剣士はどうした!?」

女エルフ「剣士が死にそう…もう魔法の触媒が無いの」

剣士「ぅぅぅ…」

女戦士「待ち合わせは星の観測所だと言った筈だ…ここがどれほど危ないか…まぁ良い…それは後だ!」

女エルフ「触媒を…」グッタリ

女戦士「お前も怪我をしているのか…おい!!店主!!事態が変わった…魔法の触媒を入手して来い!」

店主「何がご入用で?」

女エルフ「水とミネラル…それから薬草も」

店主「ミネラルも薬草もこの辺りでは中々…」

女戦士「セントラルから商隊が来てる…なんとか探せ」

店主「わかりました…急いで探してきます」タッタッタ

女戦士「ここよりもエルフの森の方が安全だっただろうに…」

女エルフ「私はもうエルフの森へは帰れないの…ここにしか来るところが無かった」

女戦士「…そうか…禁じられていた魔法を使ったか」

女エルフ「剣士の心臓が止まってしまいそう…」

女戦士「失血がひどいな」

女エルフ「傷口からもう出てくる血が無いの」

女戦士「人間の技ではな輸血という手法がある…女エルフ!お前の血を剣士に半分移すぞ」

女エルフ「私の血を!?」

女戦士「すこし待っていろ…準備してくる」


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188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:19:45.11 ID:s4Ww8Seh0
チク

女エルフ「っ…」

女戦士「この管を通ってお前の血が剣士の中に入る」

剣士「はぁはぁ…うげぇ」オェ

女エルフ「苦しんでる?」

女戦士「他人の血が体の中に入るのだ…多少の反応はある」

女エルフ「剣士の傷跡から血が染み出て…」

女戦士「お前の血だ…血を抜きすぎる前に終わるぞ?お前が倒れたら元も子もない」スポ

女エルフ「止血しないと…」クラ

女戦士「横になってろ!私がやる」グイ グイ ギュー


ガチャリ


店主「ミネラルありました…先にこれだけ」

女戦士「店主!アジトに女海賊が居るはずだ…若い衆に深夜気球で迎えに来いと伝えるよう言っておいてくれ」

店主「わかりました」

女戦士「女エルフ!まだ動けるか?魔法の触媒だ…回復魔法で処置頼む」

女エルフ「回復魔法!」ボワー

女戦士「自分にも掛けておけ」

女エルフ「回復魔法!」ボワー

女戦士「よし!これでひとまず死ぬ事は無いな?エルフは精力付けるのに何を食らう?」

女エルフ「木の根」

女戦士「そんな物は砂漠には無いな…サボテンの根でどうだ?」

女エルフ「食べた事無い」

女戦士「まぁ良い…採ってきてやる!食ってみろ」


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189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:20:24.31 ID:s4Ww8Seh0
女戦士「…なるほど魔物達は祈りの指輪で魔王を復活させられるのを恐れているのだな?」

女エルフ「エルフとドラゴンは少し目的が違うけれど…」

女戦士「ダークエルフに指輪を破壊されてしまっては困るか…」

女エルフ「とにかく指輪を奪い返せばそこで一旦終わる筈」

女戦士「人間側からすると魔物に攻め立てられている様にしか見えんな」

女エルフ「誰も魔王の復活なんて望んでいないのにこんな風になってしまった」

女戦士「そして…指輪は今どこに?」

女エルフ「森の中央で一番深い所…何層にも森が積み上がっいて迷いの森と呼ばれているの」

女戦士「断崖の下だな?」

女エルフ「そんなところまで人間が入ってきているなんて思わなかった」

女戦士「森の中でのゲリラ戦ではドラゴンも攻め入り難かろう」

女エルフ「このままではもう直ぐ森の南部に出てしまう」

女戦士「まずいな…戦争が森の中だけでは納まらんな」

女エルフ「セントラルまで逃げられてしまうと海からも魔物が来てしまう」

女戦士「クラーケンか…陸に上がるのか?」

女エルフ「わからないけれどドラゴンはクラーケンも恐れているの…ドラゴンよりもずっと大きいから」

女戦士「大惨事になるな…なんとか奪い返せんものか…」

女エルフ「良い手が思いつかない…」

女戦士「うむ…」
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:20:54.39 ID:s4Ww8Seh0
---深夜---


ガチャリ

女海賊(お姉ぇ!来たよ!)

女戦士(来たな?運ぶのを手伝え!)

女海賊(おぉぉぉぉ!!剣士と女エルフ!!無事でよかったぁぁぁ)ギュー

女戦士(話は後だ…剣士が動けんのだ)

女海賊(重っも…女エルフは剣士を背負ってきたの?)

女エルフ(私が背負うから先導お願い)ノソリ

女海賊(おっけ!こっち…暗いから気を付けて)

女戦士(しばらく見ないうちに剣士は一回り大きくなったな)

女エルフ(剣士はまだ成長期…成体になるともっと大きくなる)

女海賊(あんたさぁ細っそい体してんのに力持ちだよね?)

女戦士(エルフはそういうものだ…女でも人間の男と変わらん)

女海賊(へぇ…こんな重いのが空中でクルクルしてんだ?)

女戦士(ドワーフの男はもっと重くて硬いんだがな)

女海賊(パパの事?アレは別格っしょ?多分石か鉄で出来てるよ)

女戦士(無駄口は良いから急げ!見つかると面倒だ!)

女海賊(はいはい分かってるって!気球乗ったらすぐ飛ぶよ!)

女エルフ(乗った…ふぅ)ヨッコラ セ

女海賊(アジト向かうね)
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:21:23.67 ID:s4Ww8Seh0
『星の観測所』


女戦士「やっと落ち着いたのだ…少し休んだらどうだ?」

女エルフ「私は大丈夫…」

女海賊「あ!!そうだ!!夜が明けてしまう前に試したいことがある」

女戦士「んん?どうしたんだ急に?」

女海賊「アダマンタイトの実験がさぁどうしても上手く行かないんだ」

女戦士「魔女からやめておけと言われているのだ…あきらめろ」

女海賊「だから試したいんだよ…女エルフ?あんた魔法使っちゃったって言ったよね?」

女エルフ「うん…それが?」

女海賊「照明魔法使える?」

女エルフ「剣士の魔方陣のペンダントがあれば使えるかもしれない」

女海賊「それ必要ない」

女エルフ「え?どうして?魔方陣が無いと光の魔法は使えないの」

女海賊「良いから!ちょっとこっち来て?…ここで使ってみて」

女エルフ「魔方陣が無いと…」

女海賊「良いから唱えてみて!早く!」

女エルフ「照明魔法!」ピカー

女海賊「キタコレ!!!やっぱこれが原因だ!!」

女戦士「何なんだ?どうした?」

女海賊「シャ・バクダ遺跡の周辺ってさぁ…オアシスいっぱいあるじゃん?」

女戦士「話を変えるな…意味が分からん」

女海賊「ぃぁだからさぁ…気球で上からオアシスの位置を見たらさぁ…光の魔方陣と一致してんの」

女戦士「なに!?」

女海賊「魔女からもらったこの魔術書見て?…光の魔方陣の形…交点がオアシスと一致してんのさ」

女エルフ「巨大な魔方陣という事?」

女海賊「そういう事になる…今の照明魔法で証明できた」

女戦士「…これはアサシンも知らない事実だぞ…シャ・バクダは封印されているという事なのか?」

女海賊「えっと…」
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:21:52.92 ID:s4Ww8Seh0
魔女の塔はアダマンタイトで出来て居たよね?だからあそこは狭間の奥にあるんだ

でも魔女の塔の近くだけは空があったよね?それは魔方陣で無理やり狭間を遠ざけていると思う

シャ・バクダ遺跡には沢山のアダマンタイトがある…だから本当は狭間の奥になる筈なんだ

でも空はあるし魔物も出ない…なんでか?

それはオアシスで作られた巨大な魔方陣の中で無理やり狭間を遠ざけられたから…

魔術書にさぁ…光の魔方陣で退魔の方法が書いてあるんだよね…多分コレ


女戦士「だとすると何故封印してある?」

女海賊「それは分かんない…」

女戦士「アサシンが居ない間に勝手に調べる訳にもいかんな…」

女海賊「でもさぁアダマンタイトの実験が上手く行かないのが魔方陣の中に居るからだと思うんだよね」

女戦士「お前は何の実験をしようとしているのだ?」

女海賊「狭間をコントロールする…狭間の奥に入れば人間からは見えなくなると思うんだ…つまり消える」

女戦士「そんな事が本当に出来るのか?」

女エルフ「エルフの森を人間が見つけられないのは狭間の奥にあるから」

女海賊「そゆ事」

女エルフ「もしそれが出来るなら祈りの指輪を取り返すチャンスが出来るかもしれない」

女海賊「ん?何々?何の話?ちょっと私の分かんない話しないでくれる?」

女戦士「お前は天才だ…アサシンが見込むだけの事はある」

女海賊「指輪を取り返すって何さ!?教えてよ」

女戦士「夜明けに気球でオアシスの外側で安全な場所へ行って試してみよう」

女海賊「ねぇちょっと聞いてんの?」

女エルフ「初めから話すと…祈りの指輪で…」カクカク シカジカ


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193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:22:38.54 ID:s4Ww8Seh0
---夢---


ビョーーーーウ バサバサ

小さい人「やっと少し落ち着いて話が出来るね…」

ぼく「…」---君はだれ?---

小さい人「君の事が知りたいんだ」

ぼく「…」---ぼくは君を知らない---

小さい人「ハハまず僕達の事から話した方がよさそうだね…どこから話そうかな」

大きい人「僕から話す…僕はもともと選ばれた勇者として…」

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---

小さい人「…という訳さ…ややこしいでしょ?」

大きい人「そんな中僕はこの世界が幻だという事に気が付いた」

小さい人「君はどう思ってる?…この世界を」

ぼく「…分からない…僕は昔の記憶が無い…ただ精霊の声は聞こえる」---話が頭に入って来ない---

小さい人「精霊の声?…どんな風に聞こえるのかな?」

ぼく「耳を澄ませると精霊の声がする…心の中で導かれる」---いつも聞こえる声---

小さい人「導きねぇ…」



ぼくはいつの間にか…気が付いたら旅をしていた

その昔の記憶は無い

精霊の声に導かれていつの間にかここに居る

その声…いや…音は僕に常に語りかけていた

そんな旅の最中ぼくは常に命を狙われ

心の中の声に導かれるまま終わりの国まで来て

あなた達と出会った
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:23:07.45 ID:s4Ww8Seh0
小さい人「よく分からないな…君は本当に勇者なのかい?」

ぼく「今、精霊の声はハッキリと聞こえる…」---ぼくは勇者?---


”目を覚まして…”

”起きないなぁ…”

”置いていく?”

”あ!動いた!!”
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:23:52.58 ID:s4Ww8Seh0
---朝---

女エルフ「目を覚ました?気分はどう?」

女海賊「起きたぁぁぁ!!…ってあんたその目!!マジか!!お姉ぇ!!ヤバイ来て!!」

女戦士「サボテンの根を採ってきた…んん?」ジロリ

女海賊「アサシンが探してた青い目!マジかマジか!あんたエルフじゃなかったの?」

女戦士「まぁ騒ぐな…まだ起きたばかりだ…腹が減っているだろう?コレを食べるんだ」

剣士「あ…」モグ

女戦士「旨くは無いかもしれんが精が付く…女エルフはすぐに良くなった」

剣士「なんだこれ…」モグ

女エルフ「痛む所は無い?」

剣士「…」スック

女戦士「立てるのか?」

剣士「体は大丈夫みたいだ…」ヨロ

女戦士「血が足り無さそうだな?しばらくは無理せん方が良い」

女エルフ「私の血が足りなかった?」

女海賊「なぬ!!どういう事?まさか輸血したの?」

女戦士「失血がひどくて死ぬ寸前だったのだ…女エルフが居なければ死んでいたぞ」

剣士「僕の体に女エルフの血が流れている?」

女戦士「そうだな…全部入れ替わったかもしれんなハハ」

女海賊「ハハじゃねぇ!!…なんかイライラすんだけど」

女戦士「嫉妬は見苦しいぞ?エルフにドワーフの血を入れるよりマシな方法だ」

女海賊「女エルフ!!後で血ぃ貸しな!!ドワーフの血と混ぜるとどうなるか実験する」

剣士「実験?ハハハ実験?くっくっく…」

女海賊「お!?笑った」

女戦士「やっぱりお前はバカなのか天才なのか分からんな…剣士!気球で少し外に出るがお前も行くか?」

剣士「行きたい…オアシスを見てみたい」

女海賊「そら来た!!気球準備してくる!!女エルフ!!手伝え!!」
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:24:30.63 ID:s4Ww8Seh0
『気球』

ビョーーーウ バサバサ

女海賊「ほら!やっぱり光の魔方陣と一致してるっしょ?」

女戦士「やはり何かあるな…中心に遺跡が位置する…間違いなく何かを封印しているな」

女海賊「アサシンがもう一つの入り口を探していた理由だよきっと」

女戦士「こんな事が出来るのは…魔女くらいのものか」

女海賊「魔女の婆ちゃん何か隠してそうだね」

女戦士「いや…魔女だけではない…アサシンも何か隠しているぞ?」

女海賊「アサシンは核心的な事はなかなか教えてくんないんだよなぁ…」

女戦士「それはお前の口が軽いからだ…いう事も聞かんしな」

女海賊「ちゃんと言いつけ守ってんじゃん?」

女戦士「アダマンタイトの件はどう説明する?」

女海賊「むむ!…それはアレよ…てか私に魔術書を渡した魔女の婆ちゃんが悪い」

女エルフ「そういうのもお見通しだと思うの…魔女様が言っているのは気を付けなさいという事」

女海賊「そうだよソレそれ!!」

女エルフ「魔術書を全部読みなさいという事も謎を解くヒントだと思う」

女戦士「託されたという事か」

女海賊「謎ねぇ…なんだろ?」

女戦士「魔術書は全部読んだのか?」

女海賊「無理無理!!相当好きじゃないと読んでも理解不能」

女エルフ「私も内容が知りたい」

女海賊「ちょちょ…自分で読めよ!!まさか私に読ませる訳?」

女戦士「魔女とはそういう約束だったな?」

女エルフ「あなたが言ってた退魔の方法とかも教えてほしい」

女海賊「フフん!!ひざまずけ!!私はエルフに勝った…」ドヤ

女戦士「そろそろオアシスの外側だ…向こうの砂丘の上に降りろ」

女海賊「おっけ!」


フワフワ ドッスン
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:25:00.17 ID:s4Ww8Seh0
『砂丘』

サラサラ サラサラ

剣士「…これが砂漠」

女エルフ「想像していた砂漠と違う?」

剣士「全然違う…僕が感じていた世界と今見ている世界が全然違う…」

女エルフ「どんな風に?」

剣士「言葉で言い表し難い…目を閉じるといつもの世界…目を開くと違う世界…このギャップに戸惑う」

女海賊「お〜い!!実験やるぞぉぉ!!こっちぃぃぃ」

女エルフ「剣士?行こ?」グイ

女戦士「さて…見ものだな」

女海賊「行くよ?まず小さいアダマンタイトから…磁石を引っ付けて右に90°回す…」サー

剣士「うわ!!空が落ちる!!」

女戦士「…驚いたな」

女エルフ「ここは狭間の奥…スゴイ」

女海賊「ちょっと範囲を調べたい…アダマンタイト持ってて?ホイ」ポイ

女戦士「ん?どこに行く?…」

女海賊「お!?ここまで範囲があるかぁ…次は」タッタッタ

女戦士「範囲の外に出ると空が見えるのだな?」

女海賊「そだよ?魔女の塔と同じ…で次はアダマンタイトにもっかい磁石引っ付けて反対に回す…」サー

剣士「空が浮かんだ…」

女海賊「やっぱ私の理論で合ってた!!多分範囲はアダマンタイトの重さに比例する…あと時間の流れもかな」

女戦士「時間の流れもコントロール出来るのか?」

女海賊「ほら魔女の塔ってさ時間がゆっくり流れてたじゃん?」

女戦士「なるほど…」

女海賊「重たいアダマンタイトで狭間にしたらそこは時間の流れが遅いと思うんだ…つまり」

女戦士「高速で移動が可能になるな」

女海賊「お!?正解!!もし気球に重たいアダマンタイト乗せれたら一瞬で移動出来る筈」

女戦士「古代魔法には一瞬で行きたい場所に行く魔法があったそうだ…実在した訳か」

女海賊「小さいアダマンタイトでもちょっとは効果あると思うんだよね」

女戦士「まだ時間はたっぷりある…検証しろ」

女海賊「おっけ!!剣士と女エルフはさぁ…気球でゆっくりしてて良いから観察してて」

女エルフ「うん…狭間の外側から見てる」
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:25:41.28 ID:s4Ww8Seh0
『気球』

サラサラ サラサラ

女エルフ「…どうして目を閉じているの?」

剣士「こっちの方が落ち着くんだ」

女エルフ「あなたが感じていた世界の事を教えて?」


僕が感じていた世界はもっと狭くて賑やかだった

風の音…砂の音…すぐ近くに感じる沢山の命

でも目を開けて見ると風は見えないし砂もほとんど動いていない

近くに感じていた命は見つけられない…全然違っていたんだ

僕が感じていたよりもずっと向こう側まで世界があったのは

それはまるで未来を見ている様に感じる

…なんていうか…夢を見ているみたいだ


女エルフ「夢?」

剣士「…でも現実なんだ…ずっと向こう側で起こっている事も現実だった」

女エルフ「人間達との戦いの事を言っているの?あなたの魔法はすごく遠くに届く」

剣士「夢の中でも同じように何かと戦っていた…良いのか悪いのか分からないまま」

女エルフ「夢を思い出したの?」

剣士「少しだけね…この砂漠も夢の中で見た…だから全部夢みたいなんだ」

女エルフ「オアシスを見たいと言っていたのは?」

剣士「夢を思い出すかもしれないと思ったんだ」

女エルフ「話が飛び飛びになっている…混乱しているのね?」

剣士「混乱しているのかな?ただ…遠くで起こっている事が現実だったように…」

女エルフ「…」

剣士「夢で起きている事も現実の様な気がする…僕には同じに感じる」

女エルフ「あなた…それが真実だと思う?それが真実を見る目?」

剣士「わからないよ…だから目を閉じて落ち着かせているんだ」



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199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:26:22.84 ID:s4Ww8Seh0
女エルフ「女海賊たちは何をしているのかな?消えたり…現れたり…」

剣士「ん?僕にはずっとあの辺でウロウロしている様に感じる」

女エルフ「え?あなた…目を閉じているから?」

剣士「もう帰って来るよ」


女海賊「お〜い!!どんくらい時間経った?」タッタッタ

女エルフ「…まだそんなに待ってない」

女海賊「私らは半日くらい実験してたんだけど」

女エルフ「そんなに?」

女海賊「やっぱ思った通りだ!!お姉ぇ!!これヤバイ発見だ…世界が変わる」

女戦士「なるほどな…魔女が言うように手を出してはいけない物だと良く分かった」

女海賊「いーじゃんいーじゃん!?…で女エルフさぁ…私らどんな風に見えてた?」

女エルフ「消えたり…現れたり」

女海賊「おぉ!!エルフでも消えて見えるって事はやっぱ時間の流れが原因だ!!」

女エルフ「どうして?」


多分さぁ今の現実世界って一番時間の流れが早い場所だよ

狭間の奥は時間の流れが遅くてそのもっと奥は止まるくらい遅い

狭間の奥に入ると時間に置いて行かれて

現実世界からは見えなくなってしまう…つまり消える


女エルフ「それを使えば指輪を奪い返せる?」

女海賊「絶対イケる…自信ある!」

剣士「どうやって?」

女海賊「この一番小さいアダマンタイトなら自分だけ狭間に入れる…これ使えばいつでも姿を消せる」

女戦士「危険だが良い作戦だ」

女海賊「狭間に入っちゃうと自分も向こう側が見えなくなるけど…剣士なら多分行ける」

剣士「え?」

女海賊「あんたは目が見えなくても目が見えてるから…アレ?変な事言ったな…」

剣士「感じる事は出来ると?」

女海賊「ソレそれ!!あんたなら指輪奪って戻って来れる」

女エルフ「すごい…私ドワーフに負けを認める」

女海賊「…あのね…ドワーフって強調しないでくれる?イラっとするから」

女エルフ「ごめんなさい」

女戦士「まぁ先ずは剣士の体力回復が先だ…その後その作戦で行けるか?剣士…」

剣士「分かった…マザーエルフ…いや母さんが命を懸けて守ろうとした指輪…必ず取り返す」

女戦士「よし!良い気構えだ!!とりあえず帰ってバーベキューでもするか」

女海賊「おぉぉぉ良いねぇ!!帰ろ帰ろ」
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:26:54.30 ID:s4Ww8Seh0
『星の観測所』

ジュー ジュー

女海賊「ほら!あんたも気取ってないで食えよ…山賊焼きってんだホイ」ポイ

女エルフ「私は…」

女海賊「生の川魚よりよっぽど旨いよ?」モグモグ

女戦士「人間はこうやって精を付けるんだ…一回食べてみたらどうだ?」

女エルフ「…」パク

女戦士「剣士はまだ横になっているのか?」

女海賊「呼んでこよっか?」

女戦士「いや…女エルフ?剣士にも肉を持って行ってやってくれ」

女海賊「おっとぉ!!剣士はさぁ…こういう骨付きの肉が好きなんだぁホイ」ポイ


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女エルフ「剣士?起きてる?食事持ってきた」

剣士「うん…ありがとう」モグ

女エルフ「体調はどう?」

剣士「大丈夫だよ…あのサボテンの根だっけ?あれ良いね」

女エルフ「フフ美味しくは無いけどね」

剣士「君は肉を食べてみた?」

女エルフ「少しだけね」

剣士「僕は焼いた肉がちょっと苦手かな…でも慣れないといけないと思って食べてる」

女エルフ「慣れる?」

剣士「人間のやり方を少しでも真似てみないと生きていけないよ…」

女エルフ「私も慣れないといけないのかな?」


僕は小さい頃にね…自分は母さんと同じウルフだって信じ込んでいたんだ

ある時森の中に迷った人間が来たことがあってね

その人は僕を抱き上げて連れて帰ろうとしたんだ

びっくりしたよ

まさかウルフを怖がらないで抱き上げるなんて思わなかった

その時母さんが教えてくれた

僕は人間と同じ姿をしているんだって
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:27:21.16 ID:s4Ww8Seh0
剣士「一人で生きていくなら人間にならなきゃいけないって言ったんだ」

女エルフ「私はエルフの姿をしている…それでも人間の真似をしなければいけない?」

剣士「僕はその差が良く分からないんだ…目を閉じればエルフも人間もウルフも同じ」

女エルフ「私たちは見た目で差別や偏見を持つ?」

剣士「うーん…少し生き方が違うだけなのに…変だよね?」

女エルフ「生き方が少し違うだけで他人を否定してしまう…だから合わせなければいけない」

剣士「目を閉じればみんな同じなのにね」



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剣士「寝れないの?」

女エルフ「眠りたくないの」

剣士「どうして?」

女エルフ「嫌な夢を見てしまうから…」

剣士「どんな夢?」

女エルフ「言いたくない…でも気になる人がいつも出てくる」

剣士「気になる人?」

女エルフ「誰なのかは分からないけれど…その人に付いて行って最後に私は精霊樹になる」

剣士「精霊樹か…エルフらしい夢だね」

女エルフ「不思議な人…音や空気を使って私の心を触ろうとするの」

剣士「心を触る…」
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:27:49.32 ID:s4Ww8Seh0
---遠い記憶---


??「わらわは祈りの指輪で命を繋いでおる」

??「わらわの命はすでにもう無い…命を吸えば灰になるじゃろう」

??「じゃがわらわはそなたと常に共にあることを忘れんで欲しいのじゃ…」

??「…わらわは常に傍におるぞよ」

---この人は常に愛を説き感じる事を求めてきた---

---ぼくの記憶を常に確かめようとした---

---どうしてぼくは感じようとしなかった?---

---この人は何かを伝えようとしていたのに---


剣士「魔女…」

女エルフ「え?」

剣士「赤い瞳の魔女…」

女エルフ「どうしたの?急に…魔女様の事?」

剣士「夢を思い出した…僕は赤い瞳の魔女に会わなければいけない…」

女エルフ「魔女様の目は白く濁っていた…」

剣士「赤い目の少女が居たって言ったよね?」

女エルフ「…シン・リーンの姫の事?」

剣士「その子は魔女だ…夢の中で何かを伝えようとしていた」

女エルフ「指輪を取り戻したら魔女様の所に帰りましょう…きっとその子の事も知っている筈」
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:28:15.53 ID:s4Ww8Seh0
---翌朝---

剣士「おはよう」

女戦士「起きたな?今日は顔色が良さそうだな」

剣士「調子が良いよ…女エルフの血のおかげかな?体中に女エルフを感じるよ」

女海賊「朝から何エロい事言ってんだ?なめてんの?」

女エルフ「ごめんね?私の汚れた血で…」

剣士「え?」

女エルフ「血をあなたに入れている間に吐きそうになって居たから拒否しているのかと…」

剣士「ハハそんな事あったんだ?全然気にならないよ」

女エルフ「良かった」

剣士「小さい頃大きな怪我をしたことがあってね…その時に白狼の母さんの血を入れられた事がある」

女戦士「ほう…ウルフの血でも良いのか?」

剣士「その時と同じだよ…母さんみたいにあったかい」

女海賊「ぶっ…母さん?」

女戦士「さて!今日はどうする?もう少し休むか?」

剣士「僕はもう大丈夫!行こうか」

女海賊「そらキタ!!気球は準備おっけー荷物も積んであるよ」

女戦士「そうか…善は急げと言うが…」

女海賊「まさかお姉ぇは行かないつもり?ギルドの事はもう若い衆に任せておきなって」

女戦士「分かっている!今回の件は事が事だ…私も同行する」

女海賊「セントラルまでは5日くらいかなぁ〜?アダマンタイトで狭間に入れば2〜3日って感じ?」

女戦士「いきなり実践するのか?危険では無いか?」

女海賊「狭間の空って飛べるんかなぁ?」

女エルフ「鳥や虫たちは普通に狭間を飛んでいるよ?」

女海賊「お?そういえばミツバチも飛んでたかぁ…じゃ行けそう」

女戦士「一回試してみるか…」

女海賊「そらキタ!!早速行こう!!」

女戦士「よし…まず森に沿って南下してセントラル方面に飛ぶ…その間千里眼で目標を探す」

女海賊「おっけ!気球準備してくる!用意できたら乗って!すぐ出るよ」
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:28:44.13 ID:s4Ww8Seh0
『気球』

ビョーーーウ バサバサ

女海賊「高度安定!進路よし!定常飛行!」

女戦士「おい!なぜ望遠鏡が分解されているのだ?」

女海賊「あー秘密兵器作ってる」

女戦士「私の望遠鏡を勝手に持ち出して分解をするな!」

女海賊「ちょっと待って!…この黒い布の上にレンズ置いて…剣士!?これに千里眼やってみて?」

剣士「え?誰の?」

女海賊「はぁ?誰のって…指輪持ってる奴探すんじゃないの?」

剣士「どこにいるか分からない人の目なんか見えないよ…」

女海賊「ちょいちょいちょい…それじゃ役に立たないじゃん!誰か知ってる人居ないの?」

剣士「知ってる人…知ってる人…女盗賊くらいしか居ない」

女海賊「セントラルか…まぁ誰でもいいや千里眼やってみて!」

剣士「ちょっと待って…匂いを思い出す」

女海賊「匂い?そんなんで良いの?」

剣士「千里眼!」

女海賊「…」

女戦士「何か見えるか?」

女海賊「アレ?おっかしいなぁ…魔術書にはさぁ…本来水晶に映して使うって書いてたんだけどさぁ」

女戦士「レンズは水晶では無いぞ?使い方を間違っているのではないか?」

女海賊「使い方…お!!ピーンと来たぞ…女エルフ!照明魔法やって!」

女エルフ「え!?照明魔法!」ピカー

女海賊「この光をレンズに通して…壁に映す!!どうよ?」

女戦士「む…何か見えるな…ピントをしっかり合わせろ」

女海賊「こうかな?」

女戦士「…走っている?いや…逃げているな…何だ?」

女海賊「え?なんか様子が変だ…!!振り返った…」

女エルフ「ドラゴン!?」

女戦士「レンズを動かすな!!こ…これは!!まさかもうドラゴンがセントラルに!?」

女海賊「まずいじゃん…どうしよどうしよ」

女戦士「アダマンタイトを使え!!」

女海賊「おっけ!…狭間に入るよ?」サー

女戦士「千里眼の動きが遅くなった…成功の様だな?」

女海賊「でもさぁ周り真っ黒で方向分かんなくなる…風に流されていないか心配」

女戦士「磁石は使えんのか?」

女海賊「ダメ…試してみたら磁石がクルクル回る」

剣士「大丈夫!この方向で合ってる」

女海賊「あんた方向分かんの?」

剣士「千里眼の感じる方向が分かる」

女海賊「じゃ気球の操作はあんたがやって?縦帆の動かし方は分かるでしょ?」

剣士「分かった」


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205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:29:10.62 ID:s4Ww8Seh0
女戦士「今の所ドラゴンは1匹の様だ」

女海賊「衛兵達は何と戦ってる?…これってリザードマンじゃない?」

女戦士「その様だが…他人の目では思うように見たい所が見えんな」

女海賊「あ!怪我人が運ばれてきた…」

女戦士「この場所は何処だ?」

女海賊「貧民街にあるカク・レガという酒場だよ」

女戦士「戦火に巻き込まれなければ良いが…」

剣士「気球の後方に何か付いてきてる!」

女戦士「なにぃ!?」

女エルフ「妖精が言ってた言葉…狭間の奥はレイスが出るって」

女海賊「速さは?」

剣士「気球と同じくらい」

女戦士「まずいな…後ろに2〜3体追いかけて来ている…狭間から出るか」

女海賊「ちょい待ち!レイスは光に弱いって魔術書に書いてあった」

女戦士「光?照明魔法か?」

女海賊「女エルフ!?あんた照明魔法使えるよね?矢にくっつけて光の矢に出来ない?」

女エルフ「やってみる…照明魔法!」ピカー

剣士「右前方!!黒いのが近づいて来るよ!!」

女海賊「うわ…でか!!女エルフ!!打ち落としてみて!!…やばかったら狭間から出る!!」

女エルフ「…」ギリリ ブン!


レイス「ンギャーーーー」


女エルフ「落ちて行った…」

女戦士「行ける!!剣士!!光の矢をどんどん作れ…矢は腐る程ある」

剣士「分かった」

女戦士「私も弓で戦う…ちょうど体を慣らしたかった所だ」

女海賊「やばいよやばいよ!!どんどん増えてるよ!!」

女戦士「私は気球の右側をやる…女エルフは左側をやれ」

女エルフ「…」ギリリ ブン!

女戦士「…」ギリリ シュン!


レイス「ンギャァァァーーーーー」



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206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:29:40.53 ID:s4Ww8Seh0
女戦士「はぁはぁ…弓で応戦もなかなかラクでは無いな」ギリリ シュン!

女海賊「ちょっと待って!!魔術書で退魔の方法を調べてるから…えっと」

女エルフ「どうして数が減らないの?キリが無い」ギリリ ブン!

女海賊「お姉ぇ!!印って何か分かる?印を結ぶってのが何の事なのか分かんない!」

女戦士「印…なんだ?形とかでは無いのか?」

女海賊「形?これか?古代文字を手の形で表すやつ…剣士!?この手の形出来る?」

剣士「見せて?」

女海賊「この4つの印を呪文を唱えながら結ぶ…分かる?」

剣士「こう?」クイ クイ クイ

女海賊「それを魔方陣の上で4つの印を結ぶ」

剣士「退魔魔法!」

女海賊「一緒にやるの!」

剣士「退魔魔法!」クイ クイ クイ ピカー

女海賊「お?あんたの魔方陣のペンダントがうっすら光ってる…」

剣士「…これをどうする?」

女エルフ「ねぇ…レイスが止まった…近寄って来ない」

女戦士「こっちもだ」

女海賊「剣士に近寄れない?…いや魔方陣の光に近寄れない感じ?」

女エルフ「ふぅ…」

女戦士「何とかなったな」

女海賊「剣士!あんた何でも出来るね!スゴイじゃん」

女戦士「狭間に長く居るならこの退魔魔法は必須になるな」

女海賊「そだね…魔女の塔もこれの応用だと思う」

女エルフ「剣士?私にも後で教えて?」

剣士「うん」



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207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:30:10.58 ID:s4Ww8Seh0
女海賊「レイスずっと追いかけてくるね…キモ!」

女戦士「気が抜けんな…狭間の深さはコントロール出来んのか?」

女海賊「無理!!アダマンタイトの重さに依存する」

女戦士「気球は高度を上げれば速度が増すな?振り切れんか?」

女海賊「んんん…寒いよ?…この荷室の木壁の隙間がなんとかなればなぁ…」

女エルフ「エレメンタル魔法の中に空気を操る風魔法があるの」

女海賊「ん?なんか良いアイデアあんの?」

女エルフ「その魔法は空気の薄い空間を作って風を起こす魔法」

女海賊「お!?それさぁ…球皮の前にやったら速くなるかも」

女エルフ「触媒は水と銀…でもうまく使わないと竜巻が起きる」

女海賊「竜巻はヤバイ…球皮の抵抗になってる空気がちょっと薄くなるだけで大分違うと思うんだけどなぁ」

剣士「やってみようか?」

女海賊「銀貨はちょっと持ってる…ホイ」チャリン

女戦士「やってみるのは良いが気球を落とすな?」

女海賊「球皮の先端に付いてる棒を狙って」

剣士「行くよ?…風魔法!」ヒュー

女海賊「お!?んーーーー早くなってるかどうか分かんないね」

女エルフ「後ろのレイスが少しづつ離れて行く」

女戦士「よし…これで少し休めるな…ふぅ」



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208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:30:40.14 ID:s4Ww8Seh0
女海賊「エルフのエレメンタル魔法ってさぁ…工夫次第で何でも出来るんじゃない?」

女エルフ「風魔法で竜巻を起こした後に火炎魔法で火柱」

女海賊「それハイエルフが使ってたやつだね」

女エルフ「火柱に氷結魔法で爆発…全部応用が利くの」

女海賊「魔術書読むより面白そうじゃん!!」

女エルフ「触媒さえ十分持っていればね」

女海賊「あー触媒が入手しにくい物だと困るな…そもそも硫黄なんか簡単に手に入んないな」

女戦士「さっきの風魔法はどのくらい持続するのだ?」

女エルフ「触媒の量次第…」

女海賊「銀貨1枚がどんくらいの量になるのか分かんないね」

女エルフ「普通は銀砂を使う」

女海賊「塗料に使うやつ?それなら重さ的にかなり持ちそうだね?」

女エルフ「それよりも剣士の体力の方が…」

女海賊「え?体力使うの?…なるる!それで無口になんだね?」

剣士「僕は大丈夫だよ」

女戦士「レイスは振り切った様だ…疲れているなら休んでいて良い」

女海賊「これさぁ…狭間の中だと空が真っ黒で全然面白くないね…何もやる事無い」

女戦士「千里眼でも見ていろ」

女海賊「動きが遅くて見ててイライラすんのよ…てかすぐ飽きる」

女戦士「では魔術書でも読み進めておけ」

女海賊「そうする…重力魔法がちょースゴイんだ!時空の穴作って隕石呼べるっぽい」

女戦士「ほう…シャ・バクダに落ちた隕石群はそれだな?」

女海賊「あのオアシスで出来た魔方陣ってさぁ…ひょっとして魔女がやったのかな?」

女戦士「魔女は何も言わないが…その可能性はある」


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209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:31:07.51 ID:s4Ww8Seh0
女戦士「む!女盗賊の所に何か起きているぞ…」

女海賊「マジ?」

女戦士「子供達を避難させているな…この家は地下に何かあるのか?」

剣士「家の地下は下水に繋がっている」

女戦士「ふむ…地下の方に何か居る様だが」

女海賊「あ!!ラットマン見えた!!」

剣士「え!?鉄格子から抜け出ているのか…」

女海賊「あー私が爆破した所か…てことはそこらじゅうにラットマン出て来てるかもね」

女戦士「空からドラゴン…地上からリザードマン…内側からラットマン」

女海賊「なんかヤバイね…海からクラーケンとか出てきたりして」

女戦士「西の軍国フィン・イッシュから軍船が来ているのが救いだ…簡単には攻略されんだろう」

女海賊「セントラルは大混乱かな?」

女戦士「この程度ではまだまだ大丈夫だが攻め込まれると被害は免れん」

女海賊「あ!!やば…家の外にもラットマン居る!!逃げろ逃げろ…」

女戦士「防戦している者が少ない!!武器所持の規制が裏目に出ているでは無いか!!」

女海賊「衛兵何やってんのさ!!…貧民街にも衛兵増やせよ!!」

女戦士「ええい!見ているだけがこれほどもどかしいか…」

女海賊「あれ?千里眼が終わった?」

剣士「え?」

女海賊「剣士!?もう一回千里眼お願い…」

剣士「うん…千里眼!」

女海賊「映らなくなった…なんで?」

剣士「女盗賊…」

女戦士「最後に転倒しそうになったが…何かに当たって気を失ったか…ちぃ」

女海賊「まずいじゃん…女盗賊やられちゃうじゃん!」

女戦士「…一旦狭間を出ろ…現在地を確認する」

女海賊「お姉ぇ…平気なの?動揺しないの?」

女戦士「黙って言う事を聞け…ネガティブな考えはするな…どうやって問題を解決するかに集中しろ」

女海賊「くあぁぁぁ見なきゃ良かった!!ちょーイライラする!!」



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210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:31:33.58 ID:s4Ww8Seh0
女戦士「森の形で現在地判別出来るか?」

女海賊「ムリ!!どこも同じ形で分かんない…でも下に商隊の列が見える」

女戦士「特産品を運んでいる馬車は見えないか?」

女海賊「わかんない…どんな馬車?」

女戦士「望遠鏡を貸せ…ふむラクダが馬車を引いているな?ハズレ町からシケタ町の定期便だ」

女海賊「…って事は半分よりちょい先に進んでる感じかな?」

女戦士「ここまで丁度2日程度だ…あと1日でセントラルに着く計算になる」

女海賊「おぉぉメチャ早いね!風魔法は効果あり!!」

女戦士「私たちにはあと1日だがセントラルではあと何時間か…大惨事になって居なければ良いが…」

女海賊「女盗賊の事が心配…」

女戦士「考えるな…指輪が森の南部にあったとしてセントラルまで約3日…」

女エルフ「丁度私たちが到着するのと合ってる?」

女戦士「上手く行けばな…速攻で奪って一旦収束させたいが目標が見つけられん事には…」

女海賊「ドラゴンライダーが追い回してるっしょ」

女エルフ「ドラゴンの目は遠くまで見えるの…多分見失っていない」

剣士「それか!!ドラゴンの匂いを覚えている」

女海賊「お!?イイね!!」

剣士「何処にいるか分からないけれど探してみる!」

女戦士「やってみてくれ」

女海賊「私たちはもっかい狭間に戻ろう」

女戦士「そうだな…セントラルまで急ごう」



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211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:32:03.12 ID:s4Ww8Seh0
剣士「見つけた!!森の方じゃない…セントラルの上だ」

女海賊「こっちのレンズに映して!」

剣士「千里眼!」

女戦士「…見える!空を旋回しているのか?」

女海賊「ちょ…なんかめっちゃ見辛いんだけど!何コレ?」

女戦士「ドラゴンは左右の目が違う所を見ているのだな」

女海賊「酔う…うっぷ」

女戦士「軍船が大砲を撃っているでは無いか…まさかクラーケンが上陸しているのか?」

女海賊「お姉ぇ!こっち側…外郭の外」

女戦士「リザードマンか…外郭を登ろうとしているな?大砲が壁に当たったらどうするつもりなのだ?」

女海賊「壁に穴空いたらなだれ込んでくるね」

女戦士「セントラルは戦術が無いのか!弓兵で迎え撃て!!」

女海賊「無理じゃない?ドラゴンが上に居るし」

女戦士「読めたぞ…ドラゴンはセントラルを攻める気など無い!リザードマンとラットマンが暴走しているのだ」

女エルフ「私もそう思う…ドラゴンはただ指輪を奪い返そうとしているだけ」

女海賊「だから旋回してるだけなのか…でもセントラル側からするとドラゴン居ると怖いよね?」

女戦士「…これは大砲を止めさせないと直に誤爆で壁を破壊してしまうぞ」

女海賊「他にドラゴンは居なさそうだね…このドラゴンは多分偵察」

女戦士「その様だな」

女海賊「これさぁ…ちょっと気が付いたんだけどドラゴンって正面見えてないよね?」

女戦士「うむ」

女海賊「あと真下も見えてないね…正面からお腹の下に爆弾投げたら倒せそう」

女戦士「お前は何を考えているんだ?ドラゴンスレイヤーにでもなるのか?」



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212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:32:35.27 ID:s4Ww8Seh0
女海賊「お姉ぇ…少しは休んだら?」

女戦士「私に構うな…大惨事を前にして休んでなど居れるものか!」

女海賊「ドラゴンの目は暗くても良く見えるね」

女戦士「今からが魔物側の本番なのだが…やはり数が違い過ぎる…セントラルまで逃げられるな」

女海賊「森から出た後はドラゴンも全然ダメっぽいね」

女戦士「弓が多すぎて近寄れんのだな…森の方がまだ良い」

女海賊「そろそろ狭間から出てみよっか?」

女戦士「そうだな…難民の具合も気になるしな」

女海賊「じゃ出るよー」サー

剣士「月が明るい!」

女戦士「現在地を特定する…高度下げろ」

女海賊「おっけ!進行方向に灯台の光はまだ見えないからもうちょい先かな?」

女エルフ「下に光の列が見える」

女戦士「ん?商隊か?夜行しているのなら避難民が疎開しているのかもしれんな」

女海賊「あーー進路少しズレてる!セントラルはここから東の方向だ」

女戦士「…という事はドラゴン達はセントラルを挟んで向こう側だな?」

女海賊「危なく通り過ぎる所だったぽい」

剣士「東の方に小さな光が消えたり光ったり…」

女海賊「それ多分セントラル海岸沿いの灯台…何番目の灯台かなぁ結構風に流されてるっぽいぞ」

女戦士「難民が歩いて来れる距離だ…そう遠くはあるまい?」

女海賊「そだね…1〜2時間で到着するかな?」

女エルフ「みて!?千里眼のドラゴンの目」

女戦士「むぅ!目標はあの隊の中心に居るのだな?」

女海賊「うわぁ…矢をすり抜けて…うっぷ目が回るぅ」

女戦士「数千の矢を掻い潜ってドラゴンライダーが狙っているのは…アレか!!」

剣士「見つけた!!黒い馬車?」

女戦士「あれは陸戦用の戦車という物だ…おそらくアレに第2皇子が乗っている」

女海賊「あれさぁ!!鉄で出来てるよね?ドラゴンじゃ無理じゃん」

女戦士「歩兵で制圧しないとあの戦車は落とせんな…間違いなくセントラルまで逃げる」

女海賊「どうする?」

女戦士「よし…第2皇子の行先は多分法王の所だ…法王庁で待ち伏せる」

女海賊「法王庁か…なら下水から安全に侵入出来るよ」

女戦士「問題は気球をどこに隠すかだな」

剣士「下水は海の方から入れる筈」

女海賊「あーーーアサシンの船に荷物運んだ所か…そこなら人目に付かなくて良いね」

女戦士「決まりだな?海辺に気球を隠して下水から法王庁を目指す…そして待ち伏せ」

女海賊「女盗賊はどうする?探さないの?」

女戦士「それは後だ…指輪を奪い返せば戦闘も落ち着く」



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213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:33:07.51 ID:s4Ww8Seh0
女戦士「アリの子を散らしたように避難民がセントラルから出ているな」

女海賊「お姉ぇ…これマジやばい!港で軍船が沢山沈みかけてる」

女戦士「クラーケンか…地獄だな」

女海賊「セントラルの外壁も崩れてる」

女エルフ「あそこ!!クラーケンが上陸してる…」

女海賊「海岸に降りちゃうよ?」

女戦士「降りろ…作戦は予定通りだ」

剣士「これが…セントラル」

女戦士「お前は初めて見るのだな?良い眺めでは無いな…まさに地獄」

女海賊「もうドラゴンも見えてるよ」

女戦士「ちぃ…急ぐぞ!!女エルフは矢を多めに持て」

女エルフ「はい…」

女戦士「私が盾で向かってくる敵を抑える!女エルフは弓で敵を射抜け!剣士は下水を先導しろ」

女海賊「降りるよ〜」


フワフワ ドッスン


女海賊「そこの横穴が下水に繋がってる」

女戦士「行くぞ!!当面はラットマンとリザードマンが敵だ」
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:33:41.36 ID:s4Ww8Seh0
『下水』

ラットマン「ギャーース」ドドド

女戦士「はあっ!!撃て!!」ガチッ

女エルフ「…」ギリリ ブン

ラットマン「ギャーース」ドタリ


女戦士「狭い場所では私の盾が有効だ…進むぞ!!」

女エルフ「狭間が近い…彷徨う魂が見える」

女海賊「ここの奥が法王庁の真下になってるらしいよ?」

女戦士「人骨が散乱している理由はお前は知っているのか?」

女海賊「アサシンが言うにはカタコンベになってるってさ…そういえば剣士は大丈夫?」

剣士「今は大丈夫…多分退魔の効果だと思う」

女海賊「前に来た時は剣士が悪霊に憑りつかれそうになってた」

女戦士「カタコンベか…見たくない物だな」

女海賊「女エルフも気を付けな?ヤバイくらい死体が散乱してるから」

女戦士「ラットマンはその死肉を餌にしている訳だな?」

女海賊「だろうね?」

女戦士「さて…まず目指すは法王庁…こっちで良いんだな?」

女海賊「お姉ぇはどういうつもり?」

女戦士「こんな穴倉に居ては状況が掴めん…一旦法王庁に出て隠れて様子を伺う」

女海賊「こっちだよ…この柵の奥が法王庁」

剣士「待って!!奥に沢山の人の気配」

女戦士「数は!?」

剣士「数え切れない…こっちに向かってくる」

女戦士「隠れるぞ!こっちへ来い」



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215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:34:08.17 ID:s4Ww8Seh0
ガチャリ ギー

兵長「よし!このまま海側へ出て船団と合流だ」

衛兵「指揮はあちらに従う形をお考えですか?」

兵長「仕方あるまい…こちらは指示系統が外に出ておる」

衛兵「はぁ…しかしフィン・イッシュの軍を許可なく城まで招き入れて良いとは…とても…」

兵長「我ら衛兵団の役目は市民を守る事だ…今は政治云々言っている余裕が無い」

衛兵「兵長殿に責任が…」

兵長「ハハその程度で済むなら安い安い!所詮わしは安月給の下士官…居なくなってもどうという事は無い」

衛兵「船団側とコンタクトは取れているのでしょうか?」

兵長「伝令が途中で死んで居なければそろそろ上陸してくる手筈…」

兵長「こちらは海側から魔物を退治しながら貧民街を制圧しつつ上陸ルートを確保する」

衛兵「外に出ている本隊は間に合いますかね?」

兵長「んむ…わからん」

衛兵「…」

兵長「全体!!急いで海側へ抜けろ!!」




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216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:34:37.52 ID:s4Ww8Seh0
女戦士「よし…行ったな?」

女海賊「お姉ぇ今の話」

女戦士「そうだな…察する所…思っていたより事態は悪くない」

女戦士「恐らくセントラル自体は内側から湧いて来るラットマンと少数のリザードマンに混乱しているだけだ」

女海賊「中立都市で武器所持禁止してるのがねぇ」

女戦士「外側でドラゴンとクラーケンが暴れているのがなお更な」

女海賊「このまま法王庁まで行く?」

女戦士「そうだな…屋根に上がって指輪の所持者が戻るまで見物と行くか」

女海賊「女盗賊が心配だなぁ」

女戦士「剣士!千里眼で見えないか?」

剣士「やってる…見えない」

女戦士「この場合気絶してるとしか考えられんな」

女海賊「あぁぁイライラする」

女戦士「まぁ仕方がない…行くぞ」
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:35:07.13 ID:s4Ww8Seh0
『屋根の上』


女戦士「…夜明けだ」

女海賊「船団から小さな船で港に兵隊が沢山上陸してきてるよ」

女戦士「ひとまず人間側の勝利という所か…日が上がってしまってはトロールが動けん」

女海賊「クラーケンは陸に上がっても海からあんまり離れられないっぽい」

女戦士「剣士!黒い戦車の方はどうなっている?」

剣士「ドラゴンの視界の中にずっとあるよ」

女戦士「あそこの下だな?あと数時間でこちらにに到着する距離だな」

女海賊「…なんか静かだね」

女戦士「魔物側はあの様な平地では攻め手が無いのだ…数が違い過ぎる」

女海賊「ウチ達が指輪盗んだらコレ終わると思う?」

女戦士「…指輪が魔物か人間のどちらかに渡ったとなればまだまだ続くだろうな」

女エルフ「私たちが行方不明にさせる?」

女戦士「それが一番良いだろう…ただし第三者が持ち去ったという事をどうやって知らしめるかだ」

女海賊「何か考えある?」

女戦士「無い…今は剣士が奪って逃げるくらいしか思いつかない」

女海賊「ピーンと来た!!!」

女戦士「何だ?言ってみろ」

女海賊「白狼の盗賊団」

女戦士「セントラルでのお前達の事だな?」

女海賊「ここでは割と有名なんだ…あとエルフの森でも白い魔物の暗躍は敗残兵の中で有名になってる」

女戦士「それでは魔物の手に渡ったという事になるでは無いか」

女海賊「ちょい待ち…この街では義賊って感じでヒーローだよ」

女戦士「ふむ…」

女エルフ「エルフ側から見ても白い剣士はエルフの敵には見えていない」

女戦士「なるほど謎の第三勢力に偽装出来る可能性がある訳だな」

女海賊「そして今丁度4人居る…背格好もほぼ同じ」

女戦士「面白い…それで行こう」

女海賊「たしか隠れ家の地下に毛皮のマントはまだあった筈…下水から行ける」

女戦士「30分で戻れるか?」

女海賊「十分!!剣士!?一緒に来て」

剣士「分かった」

タッタッタ



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218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:35:38.00 ID:s4Ww8Seh0
女エルフ「別行動にして良かったのかな?」

女戦士「危険は承知…だが剣士は鼻が利く…隠密には適している」

女エルフ「剣士は…」

女戦士「お前も気付いているのだろう?キーマンは剣士だと」

女エルフ「はい…剣士を守らないといけない気がする」

女戦士「やはりあいつが勇者か?」

女エルフ「分からない」

女戦士「我らドワーフの一族に伝わる教え…それは勇者の保護だ…気付かぬ内にそうなって居るのかも知れん」

女エルフ「私たちエルフは森を守るのが役目…私はどうしてこんな…」

女戦士「ハハ実を言うとな…私はお前にも何かを感じているのだ」

女エルフ「え!?」

女戦士「まぁ…只の勘だよ…気にするな」

女エルフ「…」


---私は誰?---

---私は何?---

---私は最後に精霊樹になった---

---そんな夢を覚えている---
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:36:06.33 ID:s4Ww8Seh0
『セントラル外れ』


ラットマン「ギャーース」

衛兵1「こっちだ!!まだ居たぞ」

衛兵2「こいつで最後か?」

衛兵1「分からん…こいつは俺がやる!!お前は後方に戻って衛生兵の支援を要請してくれ」

衛兵2「まだ瓦礫の下に人が…」

ラットマン「ギャーース」ダダダ

衛兵1「こっちだ!!ごるぁ!!」タッ ザクリ

ラットマン「グググググ…」

衛兵1「この!!このっ!!このーーー!!」ザク ザク ザク

衛兵2「よし…やったな?瓦礫に埋もれている人を!!」

衛兵1「こっちは俺に任せろ!!早く応援の要請を…火災が回ると助けられなくなる」

衛兵2「わ、わかった…待ってろ」

衛兵1「誰かぁぁぁ!!動ける者は居ないかぁぁぁ!!…そこの少年!!何をしている?動けないのか?」

少年「ハァハァ…」

衛兵1「…ここにも埋もれている人が居るのか」

少年「母さんを…助けないとハァハァ」

衛兵1「くそぅ!!船団の奴ら所構わず大砲ぶっぱなしやがって…」

少年「母さん!!母さん!!」

母「あうう…他の子ども達は無事?」

少年「先に避難したよ」

母「そう…良かった…あなたも避難しなさい?」

衛兵1「意識があるんだな?よし…もうじき衛生兵が来るからそれまで辛抱してくれ」

少年「母さん体の方は無事?」

母「瓦礫が重たくて動かせないの…息をするのがやっと」

衛兵1「む!!誰か居る!!おーいそこの人ぉぉ!!」

少年「…」

衛兵1「ちぃ…こんな時に略奪に回ってる輩だなアレは…アテに出来ん」

少年「海の方から衛兵達がこっちに向かってきてる…母さん!!助かるよ」

衛兵1「おぉぉ来たか…少年!君はまだ動けるな?あっちの衛兵に合図を送ってくれ」

少年「おーーい!!こっちー」

衛兵1「今から瓦礫どかすから体に障る様だったら声を出してくれ…ふん!!」ガッサー
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:36:35.37 ID:s4Ww8Seh0
『帆船』

ザブン ザブーン

盗賊「こんなんじゃ入船出来んぞ…どうするアサシン」

アサシン「何か起ころうとしているな…手を拱いて見ている訳にいくまい」

盗賊「クラーケンがうじゃうじゃ出て来てる中を突っ切ろうってのか?」

アサシン「他に何か良い考えはあるか?」

盗賊「東に半日ほど行った先に小さな漁村がある…そこに停船させてだな…」

アサシン「それでは遅い…事は今起ころうとしているのだ」

盗賊「くぁぁぁ死にに行くようなもんだぜ…ったく」

アサシン「クラーケンは理由無しに船を襲う事は無いのだ」

盗賊「俺らを襲う理由が無いってか?ミスリル武器たんまり積んでんだろ…その割に戦えるのは俺ら2人だけだ」

アサシン「ミスリル武器がダメならとっくの昔に襲われていておかしくない」

盗賊「…そういやそうだな」

アサシン「むしろ守られていると考えて良いかもしれんぞ」

盗賊「マジかよ…」

アサシン「さて…あの動乱…魔王復活の前兆と見て良いと思うが…お前はどう思う?」

盗賊「お前のおとぎ話にゃ付き合ってらんねぇよ」

アサシン「今ミスリルを持って私たちがそこに行こうとしている…役者が揃ってきているとは思わんか?」

盗賊「役者?」

アサシン「そう」

盗賊「誰だよ…ミスリル武器なんか誰でも使えるだろ…まさかお前が勇者にでも?」

アサシン「可能性はある」

盗賊「またまた…どーーーーもお前の話にゃ決定打が無い…」

アサシン「もしも魔王が復活してしまうというのであれば勇者もまたどこかに居る筈」

盗賊「本当…お前は頭が逝っちゃってるよ…女盗賊の言った通りだわ…夢見る男児」

アサシン「まぁ馬鹿にするな…直に誰が勇者なのか分かる」

盗賊「夢?…まてよ…俺は夢で勇者に会ったことがあるな…」

アサシン「お前も夢を見るのか?」

盗賊「でかい大剣を背中に…誰だ?」

アサシン「なっ!!なぜそれを知っている!!」

盗賊「うぉ!!なんだよいきなり」

アサシン「シャ・バクダの遺跡に残されていたのは大剣を持った大きな戦士像…それがかつての勇者だと魔女に教わった」

盗賊「俺が言ってるのは俺が見た只の夢だ…偶然だろ」

アサシン「私も同じ夢を見ているのだ…偶然にしてはおかしくないか?やはり私たちは皆夢幻を見ている」

盗賊「夢幻が何だってんだ」

アサシン「夢幻が精霊が見ている夢だったとするなら何故みんな同じ夢を見る?」

盗賊「何言ってるかさっぱりわかんねぇよ」

アサシン「精霊は夢を見せて私たちに何か伝えようとしているのではないか?」

盗賊「あぁぁあ始まった…その話は後で良い!桟橋まで直進するぞ…良いんだな?」

アサシン「あぁ…頼む」
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 00:37:08.93 ID:s4Ww8Seh0
『桟橋』


ガコン ギシギシ

盗賊「よっし接弦!!碇降ろせえぇぇぇ!!」

船員「えっさほいさ」

盗賊「野郎共!!武器もって下船しろ!!許可取ってる場合じゃねぇからそのまま中央まで走れ!!」

船員「あいさー」

盗賊「アサシン!!衛兵が来るぞ…どうする」

アサシン「この惨事の中私たちをどうするという事もあるまい」

盗賊「…だな…にしてもどうなってんだこりゃ…陸でのたうち回ってんのはクラーケンか?」

アサシン「魔物の襲撃が市内まで及んでいる様だ…ラットマンとリザードマン」

盗賊「おい!上を見ろ…ドラゴンまで来てんぞ」

アサシン「全体の状況が見えないな…私たちも一旦中央まで行こう」

盗賊「俺たちの店が心配だぜ…火の手が上がってるじゃねぇか」

アサシン「これを持って行け」ポイ ポイ

盗賊「ミスリル武器の試し切りか」パス

アサシン「無くすなよ?」

盗賊「おい!来たぞ」

衛兵「おい!!お前等!!武器を持っているな?」

アサシン「この状況で武器の所持は許可願いたい」

衛兵「今は人手が足りん!!戦える者は魔物退治の要請をする」

盗賊「何に攻め入られてるんだ?」

衛兵「外郭の一部からリザードマンとゴブリンが入ってきているのだ…そちらに行ってもらえると助かる」

アサシン「内郭はどうなっている?」

衛兵「市民がそこに避難している。内郭壁の上には弓部隊が展開していてまだ無事だ」

盗賊「あんたペラペラそんな事しゃべって良いのか?」

衛兵「もうそんな事言ってる状況ではない…はやく応援に行ってくれぇ」

アサシン「よし!行こう!このまま貧民街を突っ切って一旦中央に出る」

盗賊「おい!ついでに店の前を通って行こう」

アサシン「そのつもりだ…行くぞ」タッタッタ
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