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梨子「人魚姫の噂」
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1 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2020/08/23(日) 07:40:30.05 ID:vQ6qZL/R0
ラブライブ!サンシャイン!!SS
曜「神隠しの噂」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1573103874/
の続編です。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1598136029
2 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2020/08/23(日) 07:43:16.19 ID:vQ6qZL/R0
「──果南ちゃんッ!!!!」
──彼女の傍らにしゃがみ込み、肩を揺する。
「果南ちゃんっ!!? 果南ちゃんッ!!!!!」
絶叫に近い声量で果南ちゃんの名前を呼びかける。
でも、
「……………………」
彼女からは一切の反応がない。
「果南ちゃんっ!!! しっかり……!!! しっかりして……!!!」
肩を揺すっても、顔に触れても、手を握っても、反応がない。
「はっ……!! はっ……!!! はっ…………!!!」
動悸がしてきて、息が切れる、目の前で起こっていることに現実感がない。
何が起きてる? 何が起きているの? 何が起きてしまったの……──
* * *
これは、そんな終わりに向かっていく……──ある愚か者と人魚姫の物語。
──────────
────────
──────
────
──
3 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2020/08/23(日) 07:46:23.59 ID:vQ6qZL/R0
今年も最後の月に差し掛かり、ここ内浦にも冬の季節が訪れつつある今日この頃。
そんな本日は12月4日水曜日。
千歌「……zzz」
背後からの千歌ちゃんの寝息と板書の音をBGMにしながら、ぼんやりと窓の外を眺める。
空気が澄んでいるのか、いつもよりも景色がよく見える。その上空には輪郭がぼやけて、空に低く広がっている雲たちの姿。
私が──桜内梨子が、内浦に来て初めての冬。
ここに越してきてからというもの、大抵の初めてのことにはワクワクするようになった気がするんだけど……人恋しくなるこの冬だけは、今の私には少し憂鬱だった。
──キーンコーンカーンコーン。
千歌「……はっ!」
四限の終わりのチャイムと共に、背後で千歌ちゃんが覚醒したのがわかる。
先生「それじゃ、今日の授業はここまでにします」
千歌「ありがとうございましたっ!」
先生の締めの言葉と同時に、千歌ちゃんは席を立って、そのまま教室を飛び出していく。
この光景にも慣れたもので、もはやクラスメイトどころか、先生すらもツッコミ一つ入れなくなった。
曜「……あはは、千歌ちゃん相変わらずだね」
曜ちゃんが苦笑いしながら、私に話しかけてくる。
梨子「まっしぐらって感じだよね……」
曜「あはは、そうかも」
私の言葉に同意しながら、曜ちゃんは私のすぐ後ろの席である千歌ちゃんの席に腰を下ろす。
曜「まあ、二人が今でも変わらず仲睦まじいみたいで、私は少し安心してるかな」
──二人。曜ちゃんが指しているのは千歌ちゃんと……ダイヤさんのことだ。
千歌ちゃんとダイヤさんが付き合い始めたのは、確か6月の下旬頃だと言っていたから、二人がくっついて、そろそろ半年になる。
曜ちゃんの言うとおり、二人は今でも仲睦まじい。お昼休みはさっきみたいに1秒でも早く会いたいみたいで、ちょっと微笑ましくなる。
そんな千歌ちゃんの姿を見て安心するのは私も同じだけど、今のAqoursのラブラブカップルは千歌ちゃんとダイヤさんだけではない。
梨子「そういう曜ちゃんは、いいの?」
曜「え?」
梨子「お昼休み、鞠莉ちゃんのところにいかないの?」
──9月頃、曜ちゃんは鞠莉ちゃんと付き合い始めた。
きっかけはよくわからないけど、急接近して突然くっついた印象だった。
ただ、そんな第一印象とは裏腹に、曜ちゃん鞠莉ちゃんは、千歌ちゃんダイヤさんカップルに負けず劣らずの仲良しカップルだと思う。
比較的落ち着いているためか、破竹のように飛び出す千歌ちゃんほど『夢中になっている』という印象は受けにくいものの、曜ちゃんもお昼休みは決まって鞠莉ちゃんと過ごしている。
だから、こうして教室に残っているのが少しだけ珍しい気がした。
4 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2020/08/23(日) 07:48:57.74 ID:vQ6qZL/R0
曜「あー、えーっと。今日はいいんだ」
梨子「そうなの……?」
もしかして喧嘩中とか……? そうなんだとしたら、変に気を回してしまったのかもしれない。
ただ、そんな私の胸中を察したのか、
曜「……あ、別に喧嘩してるとかじゃないよ?」
曜ちゃんはすぐにフォローを入れる。
曜「お昼休みは職員会議があるらしくってさ」
梨子「ああ、なるほど」
考えてみれば鞠莉ちゃんは、生徒でありながら、職員でもある。
梨子「曜ちゃんも恋人が理事長だと大変だね……会いたいときに会えなくて」
曜「あはは……大袈裟だよ。都合が合わないことくらいあるって。それにさ」
梨子「それに?」
曜「鞠莉ちゃんは自分の意志で理事長をやってるんだから。私はそれを応援してあげないと」
梨子「曜ちゃん……」
会えない不安よりも、鞠莉ちゃんを信頼して、支えたいという気持ちがしっかりしているんだろうな。
なんか、恋人とのそういう信頼関係って……。
梨子「……羨ましいな」
──思わず本音が零れる。
曜「え?」
梨子「うぅん、なんでもない。それよりも、今日のお昼はどうするつもりなの?」
曜「あ、えっとね、梨子ちゃんが嫌じゃなかったら、一緒してもいいかな?」
梨子「もちろんだよ。一緒に食べよ」
曜「ありがとっ! お弁当お弁当っと〜」
曜ちゃんとのお昼。なんだか久しぶりな気がして、内心少しテンションがあがってしまう。
最近は千歌ちゃんも曜ちゃんも、お昼休みは恋人との時間だと、暗黙の了解的に決まっていたから、こうして一緒にお昼を過ごせるのは純粋に嬉しかった。
他のクラスメイトと過ごすお昼も嫌ではないけど、やっぱり私にとって一番仲の良い友達は千歌ちゃんと曜ちゃんだ。
恋人との時間を大事にしてほしいという気持ちもあるけど、それでも仲の良い友達が相手をしてくれないと正直寂しい。
だからこそ、こんなたまの機会を大切にしないとね。
私も曜ちゃんに倣って、自分のお弁当をバッグから取り出そうとした、そのときだった──
「──曜〜? 居る〜?」
曜「……うぇ?」
廊下の方から曜ちゃんを呼ぶ声。
二人で声の方を振り向くと、
鞠莉「チャオ♪ 曜、梨子」
5 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2020/08/23(日) 07:50:58.01 ID:vQ6qZL/R0
目を引く金髪──鞠莉ちゃんの姿があった。
曜「鞠莉ちゃん!? 今日会議でしょ!?」
曜ちゃんは驚きの声をあげながら、鞠莉ちゃんのそばに駆け寄っていく。
鞠莉「そうだったんだけど……佐藤先生の都合がどうしてもつかなくって、放課後に変更になったのよ」
曜「そうなんだ……」
鞠莉「だから、曜居るかなと思って来てみたんだけど……もう食べてるところだった?」
曜「あ、いや……まだだけど……」
チラリと曜ちゃんがこちらに目線を送ってくる。
たぶん、一緒に食べようと自分から誘った手前、言い出しづらいってところかな。……まあ、仕方ないか。
私は教室の出入り口の前でそわそわとしている、曜ちゃんの背中に、
梨子「曜ちゃん、行っておいで」
そう声を掛ける。
曜「え、でも……」
梨子「せっかく一緒に居られる時間が出来たんだよ? 大切にしなくちゃ」
曜「梨子ちゃん……うん」
鞠莉「あ、えっと……先約してたなら、大丈夫だヨ?」
流れから察したのか、鞠莉ちゃんも少し申し訳なさそうに言うものの、
梨子「うぅん、大丈夫だよ」
あくまで私は二人を送り出そうとする。
一緒に食べることが出来ないのは残念だけど、二人の邪魔はしたくない。
曜「なんか……ごめんね?」
梨子「気にしないで。それに……」
鞠莉「それに?」
梨子「私、馬に蹴られて死にたくないし……」
鞠莉「ウマニケラレテ……?」
なんか、通じていないっぽい。うまいこと、場面に適したことわざを言ったつもりだったのに……なんだか滑ったみたいで急に恥ずかしくなってきた。
梨子「/// と、とにかく、私は大丈夫だから!」
曜「わとと……!」
何とも言えない恥ずかしさを誤魔化すために、鞠莉ちゃんと向き合っているままの曜ちゃんの背中を押す。
曜「わぷっ」
鞠莉「Oh! 曜ったら〜♪ ダ・イ・タ・ン♪」
曜「いや、押されたの見てたでしょ!?」
鞠莉ちゃんに受け止められて、赤くなる曜ちゃん。
6 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2020/08/23(日) 07:53:32.74 ID:vQ6qZL/R0
梨子「それじゃ、ごゆっくり。またあとでね」
曜「あ……うん。ありがと、梨子ちゃん」
鞠莉「梨子 Thank you.」
お礼交じりに、二人は連れ立って、教室を出て行く。
私はそんな二人の背中にひらひらと手を振り、二人が見えなくなったところで、
梨子「……はぁ」
控えめに溜め息を吐く。
梨子「お昼……どうしようかな……」
ぼんやりと呟くと──突然背後から、ポンと肩に手を置かれる。
振り向くと、
むつ「梨子……偉い、よくやった……!」
むっちゃんが親指を立てて、私を称賛してくれているところだった。
むつ「親友の恋路を応援するために、自分はいいからと言って送り出してあげる……! 漢だね……!」
梨子「いや、女だけど……」
むつ「細かいことはいいんだって! それより、お昼一緒に食べる人居ないんでしょ? 一緒に食べようよ」
梨子「それじゃ……今日もお邪魔させてもらうね?」
いつき「そんな……全然お邪魔なんかじゃないよ」
よしみ「今日も千歌も曜ちゃんも、幸せそうだねぇ……」
梨子「あはは、ホントに……」
というわけで、気を利かせて声を掛けてくれた、むっちゃん、よしみちゃん、いつきちゃんと一緒にお昼を食べる。
……まあ、ここしばらくはずっと一緒にお昼を食べているんだけどね。
もちろん、むっちゃんたちとお昼を過ごすのも楽しいから嫌とかではないんだけど……。それでも、千歌ちゃんや曜ちゃんとの時間がめっきり減ってしまったことは、やっぱり私にとっては寂しいことで、
梨子「……はぁ」
私はまた一人、小さく溜め息を吐いてしまうのだった。
* * *
──放課後。
本日もいつもどおりAqoursの練習だ。
もうだいぶ日が落ちるのが早くなってきたため、普段の練習は曜ちゃんのお父さんが借りているスタジオを使わせてもらっているんだけど……。
今日は花丸ちゃんが図書委員の仕事で参加出来ないとの連絡があり、全員揃わないため、練習は学校でやって早めに切り上げることになっている。
善子「リリー、来たわね」
梨子「だから、リリー禁止って……」
7 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2020/08/23(日) 07:56:15.52 ID:vQ6qZL/R0
私が着替えを終えて屋上に着くと、すでに他のメンバーは全員揃っていた。どうやら私が一番最後だったようだ。
ダイヤ「全員揃いましたわね」
私が来たのを確認したダイヤさんが、もう一度全員の顔を順繰りに確認したあと、
ダイヤ「本日は撤収が早いので、皆さんだらだらやらないように」
本日の一言。
果南「それじゃストレッチからいくよー」
「「「「「はーい」」」」」
果南ちゃんの号令で、ストレッチから。
腕をクロスさせる、腕・肩のストレッチから始まり、二の腕、前屈と一通りこなしたあと、
果南「次はペアストレッチねー。二人組作ってー」
今度はペアストレッチ。
鞠莉「それじゃ、曜。マリーが全身ほぐしてあげるわね♪」
曜「お手柔らかに……」
千歌「ダイヤさん!」
ダイヤ「はい、わたくしたちも始めましょうか」
果南ちゃんの号令を受けて、さも当然のように、カップルたちが二人一組になる。
……さて私は誰と組もうかな……と考えながらも、普段から何かと絡んでくる堕天使な後輩に声を掛けようとしたところ、
ルビィ「善子ちゃん、一緒にやろ?」
善子「今日はずら丸がいないものね。いいわよ」
花丸ちゃんがお休みなためか、善子ちゃんはルビィちゃんに誘われて二人一組を作るようだ。
となると……。
果南「ありゃ、余っちゃったね」
梨子「……そうみたいだね」
果南「じゃあ、私たちでやろうか」
梨子「うん、お願いね、果南ちゃん」
残った果南ちゃんとペアになる。
誰が言い出したわけではないけど、千歌ちゃんダイヤさん、曜ちゃん鞠莉ちゃんが組むのはもはや暗黙の了解的に皆わかっていることで、残った5人の中で柔軟のペアを組む。
私は何かと善子ちゃんと組むことが多いけど、果南ちゃん、花丸ちゃん、ルビィちゃんとはやらないなんてことはなく、近くに居た人とペアを組むことが多い。
まあ……善子ちゃんは果南ちゃんと組むと、スパルタな柔軟に付き合わされるから、ちょっとだけ嫌みたいだけど……。
果南「それじゃ、前屈から。梨子ちゃん、座って」
梨子「うん」
長座体前屈のために、床に座ると、前方に最速でペアを組んで柔軟を始めていた千歌ちゃんや曜ちゃんたちが視界に入ってくる。
8 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2020/08/23(日) 07:59:40.89 ID:vQ6qZL/R0
曜「いちにーさんしー」
鞠莉「……曜、相変わらず柔らかすぎない?」
曜ちゃんは本当に身体が柔らかい。補助なしでも、ほぼぺったり地面に上半身がくっついている。
曜「身体が柔らかくないと、飛び込みで綺麗な姿勢にならないからねー」
鞠莉「つまんない! それじゃ、マリーが変なところ触れないじゃない! もっと身体硬くしてよ!」
曜「えぇ!? 私、なんで怒られてるの!?」
理不尽だ……。一方で千歌ちゃんたちは、
千歌「いっちにーさんしー」
ダイヤ「千歌さん、だいぶ身体が柔らかくなりましたわね」
千歌「んー。毎日お風呂あがりにダイヤさんが教えてくれたストレッチやってるからー」
ダイヤ「ふふ、継続は力なり。ちゃんと続けていて偉いですわね」
千歌「えへへーでしょでしょ〜? もっと褒めてー♡」
ダイヤ「すぐに調子に乗らない。続けますわよ」
千歌「はーい」
相変わらず仲良しだ。なんだか、ご馳走様と言いたくなる。
果南「梨子ちゃん、始めて大丈夫?」
梨子「あ、うん。お願い」
いけないいけない……。カップルたちに気を取られて、自分の柔軟がおろそかになっている。
ダイヤさんが言ったとおり、冬の時期は日が落ちるのも早い。沼津の練習場を使わない日はより集中して練習に取り組まないと時間がもったいない。
果南「押すよー」
梨子「はーい」
果南ちゃんに背中を押してもらい、爪先まで手を伸ばす。
梨子「いち……にー……さん……しー……」
私も最初の頃に比べると、身体も随分と柔らかくなってきたつもりだけど……さすがに曜ちゃんのようなアスリートと比べると全然だ。
手指の柔軟性だけだったら、ピアノをやっている分、Aqoursの中でも随一だと思うんだけどね……。
そんなことを考えながら、必死に身体を折り曲げていると、
果南『……鞠莉もダイヤも、楽しそうだなぁ』
梨子「……?」
果南ちゃんが、溜め息交じりで急に呟いた。
果南『千歌も曜ちゃんも……最近は二人にべったりだし……。話す機会も減っちゃったなぁ……』
梨子「……」
独り言……なのかな……?
考えてみれば、果南ちゃんも私同様、親友二人に恋人が出来たわけで……同じようなことを考えているのかもしれない。
……ということは、話しかけられているのかな? 同じような境遇の私に同意を求めているとか……。
9 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2020/08/23(日) 08:02:32.20 ID:vQ6qZL/R0
梨子「……果南ちゃんも、やっぱり寂しい?」
果南「え?」
梨子「ほら、ダイヤさんと鞠莉ちゃん……」
果南「ダイヤと鞠莉がどうかしたの?」
梨子「……?」
あれ……なんか会話が噛み合ってないな。
やっぱりさっきのって独り言だったのかな……?
梨子「えっと……二人とも恋人が出来ちゃったから、二人との時間が減っちゃって寂しかったりするのかなって思って……」
果南「別に寂しいとは思わないよ。鞠莉もダイヤも、幸せそうだし」
果南『……確かに二人ともゆっくり話す機会はめっきり減っちゃったかも……』
梨子「……?」
言ってることが前後で真逆なんだけど……。
果南「それより、梨子ちゃん。そろそろ交代しようか?」
梨子「あ、うん」
促されて、今度は果南ちゃんが座り、私が背中を押す番。
梨子「押すねー」
果南「ん、お願いー」
私が背中を押すと、果南ちゃんはどんどん前に体が伸びていく。やっぱり、スポーツマンの果南ちゃんの身体は、さすがの柔らかさだ。
果南『梨子ちゃん……急にどうしたんだろう』
梨子「……?」
果南『寂しいかって……そんなに顔に出てるのかな』
顔というか、声に出ているんだけど……。
果南『それとも、心を読まれたとか? ……まさかね』
梨子「……へ?」
果南「? どうかした?」
梨子「……う、うぅん、なんでもない」
果南「そう?」
果南『なんか、今日の梨子ちゃん……ちょっと変だな。……体調でも悪いのかな……?』
梨子「…………」
何か、変だ。
果南「よし……それじゃ、次は背中合わせのストレッチね」
梨子「う、うん」
前屈を終えて、今度は背中合わせで片方が背負うようにして、相方の背筋を伸ばすストレッチ。
背中合わせになって、お互いの腕をクロスさせる。
果南「私が先にやるねー」
梨子「は、はーい」
10 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2020/08/23(日) 08:10:35.79 ID:vQ6qZL/R0
まず私が果南ちゃんに背負われる。
果南「いちにーさんしー」
果南『梨子ちゃん、やっぱり軽いなぁ……ちゃんとご飯食べてるのか心配になるよ』
梨子「…………」
果南「にーにさんしー」
果南『アウトドアな私とか千歌と違って……肌もほとんど日に焼けてなくて真っ白な綺麗な肌で、まさに女の子って感じの子だし……』
梨子「……!?///」
急に肌を褒められて、思わず背負われたまま赤面する。
赤面したまま、今度は私が果南ちゃんを背負う番。
梨子「さ、さんにーさんしー……///」
果南『……声にちょっと覇気がないな……やっぱり、体調悪いのかな……?』
梨子「よんにー!! さんしー!!///」
果南『うわっ、急に声大きくなった……?』
疑問は予想に、予想はだんだん確信へと迫っていく。
私、もしかして……。
果南「よし……! 次は、脇腹伸ばしだね」
果南『これだけ声が出るなら大丈夫かな……?』
梨子「…………」
──果南ちゃんの心の声が聞こえてる……?
果南「梨子ちゃん?」
梨子「へっ!?」
果南「大丈夫? ぼーっとしてたけど……もしかして体調悪い?」
梨子「だ、大丈夫だよ!?」
果南「でも……顔もちょっと赤いし……」
顔が赤いのは果南ちゃんが急に変なこと言うから──と言いたかったけど……心の声が聞こえているかも、なんて言うわけにもいかず、私は口を噤む。
果南「……ちょっと保健室行こうか」
梨子「えっ、い、いや、本当に大丈夫で……!」
果南「ダイヤー」
果南ちゃんが少し離れたところで、千歌ちゃんと一緒にストレッチをしているダイヤさんに声を掛ける。
ダイヤ「なんですのー?」
果南「梨子ちゃん、ちょっと調子が悪いみたいだから、保健室連れてくねー」
ダイヤ「あら……わかりましたわー」
千歌「梨子ちゃん、体調悪いのー? 大丈夫ー?」
梨子「え、えっと……私は全然平気なんだけど……」
果南「それじゃ、行こうか」
果南ちゃんは私の手を掴んで、歩き出す。
梨子「あ、あの! 果南ちゃん……!」
11 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2020/08/23(日) 08:13:12.18 ID:vQ6qZL/R0
本当に体調が悪いわけじゃないことを伝えようとするも、
果南「無理は禁物。行こう」
有無を言わさず連行される。
果南『Aqoursには調子が悪いときに自分から言いだせない子も多いから、こういうときは少し強引なくらいがちょうどいいんだよね』
梨子「……」
* * *
──果南ちゃんに手を引かれたまま、保健室へと向かう。
強引なくらいがちょうどいいとは言っていたものの、果南ちゃんは私がちゃんと付いて来られているかを、定期的に確認している。
果南『ちょっと歩くの速いかな……もう少しペース落として……』
私の歩幅が小さいのか、果南ちゃんの歩きのペースだと少し速かったので、それは助かるんだけど……。
果南『それにしても、梨子ちゃんって華奢だなぁ……』
梨子「……///」
果南『手も足も細くて、真っ白だし……』
梨子「……ぅぅ……///」
先ほどから、ナチュラルに褒め殺しにあっていて、とにかく恥ずかしくてたまらない。
ただ、この褒め殺しの中でも、気付いたことがある。
さっきから、果南ちゃんの言っていることは、音で聞こえるというよりも、頭の中に響いているような感じだ。
前を歩いているせいで、口が動いていないかの確認はあまり出来ていないけど……恐らく、これは果南ちゃんが声に出している言葉ではない気がする。
理由はわからないけど、どうやら今の私は果南ちゃんの考えていることが聞こえるようになっているらしい。
顔を熱くしたまま、どうにかこうにか自分の中で考えをまとめていると──気付けば保健室に辿り着いてた。
果南「失礼します」
果南ちゃんが断りを入れながら、保健室の引き戸を引いて中に入ると、そこには誰も居なかった。どうやら養護教諭の先生は席を外しているらしい。
果南「先生不在か……まあ、いいや。梨子ちゃん、そこ座って」
果南ちゃんは椅子に座るように促しながら、引いていた手を放す。
梨子「う、うん……///」
やっと果南ちゃんの褒め殺しから解放されて、少しだけホッとしながら、椅子に腰を下ろす。
果南「うーん、体温計……見当たらないなぁ……」
一方果南ちゃんは、体温計を探しているようだ。
梨子「あの、果南ちゃん……私、本当に大丈夫だから……」
果南「もう……まだそんなこと言って……。顔真っ赤だよ? 気付いてないの?」
12 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2020/08/23(日) 08:15:08.93 ID:vQ6qZL/R0
……気付いてます。でも、これは本当に体調不良が原因じゃないんだけど……。
果南「……んー見つからないな、仕方ない」
結局、見つからなかったのか、果南ちゃんは体温計を探すのは諦めたのか、そのまま私の目の前まで歩いてきて、
果南「ちょっとごめんね」
梨子「え? ……ひゃっ!?///」
急に自分のおでこを私のおでこに押し当ててきた。
梨子「ぁ……ぁ……///」
果南『んー……やっぱちょっと熱ある……?』
──お陰様で。
梨子「か、果南ちゃ……///」
果南「あー、もうちょっと、じっとしててね」
果南『……あ、近くで見ると、梨子ちゃんのまつ毛って長いんだなぁ……やっぱり美人さんだ』
せめて、検温に集中して欲しい。
梨子「……ぅ、ぅぅぅ……///」
果南「ふーむ……熱はまあ、ちょっとあるくらいかな……」
果南ちゃんが呟きながら、やっと離れてくれた──と思ったら、
梨子「ひひゃぁっ!?///」
今度は首筋辺りを両手でホールドするような形で手を添えてくる。
果南「ゆっくり息を吸ったり吐いたりしてみてー」
梨子「う、うん……///」
果南『……脈もちょっと速いかな』
どうやら脈を測っているらしい。それはいいんだけど、果南ちゃんの顔が近過ぎる。思わず目を逸らすと、
果南「あー梨子ちゃん、目逸らさらないで」
何故か注意される。
梨子「な、なんで……?///」
果南「いいから」
こっちはよくないんだけど……。頑張って、視線を戻すと、果南ちゃんが真正面から私の瞳を覗き込んでいる。
梨子「……///」
果南『瞳孔動揺はなし……。意識ははっきりしてるし、問題ないかな』
梨子「……?///」
どうこうどうよう……聞きなれない単語だけど、瞳孔動揺かな……?
瞳の動きを確認しているらしい。だから、目を逸らさないように言われたのかな……。
13 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2020/08/23(日) 08:17:15.77 ID:vQ6qZL/R0
果南「咳とか、鼻水はない?」
梨子「う、うん……///」
果南「声枯れは……聞いてみればいっか。ちょっと声出してみて」
梨子「あ、あーーーー……///」
果南「うん、問題なさそうだね」
果南『じゃあ、風邪の線はなさそうかな……。となると……』
果南「梨子ちゃん、疲れてる……?」
梨子「い、いや……その……///」
そういうことじゃないんだけど……。というか、いい加減恥ずかしい。
梨子「か、果南ちゃん……///」
果南「ん?」
梨子「そ、その……もう、脈とか……大丈夫、かなーって……///」
果南「ああ、ごめんね」
やっと至近距離で見つめられるのから解放される。
梨子「あ、あのね……本当に何もなくって……///」
果南「……本当に?」
強いて言うなら、何故か果南ちゃんの心が読めることが問題であって……。でも、心が読めるなんて言い出したら本当に救急車を呼ばれかねない。
梨子「本当に大丈夫だから……」
果南「……わかった」
何度も問題がないことを伝えると、果南ちゃんはやっと納得してくれた。
果南「ただ、まだ顔もちょっと赤いし……脈も速かったから、もう少し横になって休憩しようか?」
梨子「う、うん……」
原因は目の前の人なんだけど、実際に顔に出てしまっている以上は体調不良と捉えられても仕方ない……。
ここで突っぱねても話がややこしくなるだけなので、大人しく頷いておく。
保健室のベッドに横たわると、果南ちゃんは近くに椅子を持ってきて、ベッドのすぐ隣に座る。
梨子「果南ちゃん……?」
果南「ん?」
梨子「果南ちゃんは練習に戻っても……」
果南「心配だから、もう少しだけここに居るよ」
梨子「……そっか」
心配性だなぁと思いはしたものの、その気遣いはちょっぴり嬉しい優しさだ──この赤面と速い脈の原因が果南ちゃんなことを除けばだけど。
……それはそれとして、もう一個大きな問題がある。
もちろんそれは、何故か果南ちゃんの心が読めるっぽいということだ。
普通では絶対にありえないことだし、あまりにも唐突に始まったため、手掛かりも何もない状況……。
……あ、いや、今は聞こえないな……。条件があるのかな……?
少し自分の中で、起こっていた現象そのものを反芻してみる。
果南ちゃんの心の声らしきものが聞こえていたときって──
14 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2020/08/23(日) 08:20:24.78 ID:vQ6qZL/R0
梨子「…………」
一つ仮説が浮かぶ。でも、実行するのはちょっと恥ずかしい。
悩みはしたものの……何の手掛かりもなく、やりすごしてしまうのも、なんだか怖い気がして、
梨子「…………ねぇ、果南ちゃん」
果南「んー?」
梨子「手、繋いでいい……かな……?///」
恥ずかしさを我慢しながら、果南ちゃんにそうお願いする。
果南「それくらい、お安い御用だよ」
すると、果南ちゃんは自分から、私の手を握ってくれる。
それと同時に、
果南『梨子ちゃんって……もしかして、思ったより甘えんぼなのかな?』
梨子「!」
頭の中に果南ちゃんの声が響く。
──つまり、果南ちゃんの心の声を聞く条件は、『直に触れている』ということらしい。
それと同時に、果南ちゃんの口元を見ると、確かに口は動いていないことが確認できたところから、心の声が聞こえているということでほぼ間違いないと思う。
確認したいことが確認出来て満足した私は、果南ちゃんと繋いでいる手を離そうと──
果南『それにしても……体調が悪いときに手を繋いでてなんて……昔の千歌みたいで可愛いな』
梨子「…………」
あ、あれ……? この流れで手を放すのは……無理なんじゃ……。
果南『梨子ちゃんの手……ちっちゃくて柔らかい。改めて意識してみると、指も一本一本細くて綺麗だし……私の手とはちょっと違うかも』
梨子「…………///」
自らの意思で再び、褒め殺しの土壌に飛び込んでしまったことに気付く。
確かに果南ちゃんの手は私の手に比べると少し大きい。
果南『それと……すごい冷たい。……冷え性なのかな?』
果南ちゃんの言うとおり──というか、思っているとおり──私は少し冷え性気味で、特に今みたいな冬場は末端が冷えてしまうことがよくある。
逆に今繋いでいる果南ちゃんの手はなんだかぽかぽかとしていて暖かった。やっぱり、普段から体を動かしている人だと、代謝がいいから体温も高いのかな……?
果南『……なんか新鮮だなぁ。こうして梨子ちゃんに甘えられる日が来るなんて』
梨子「……///」
こっちには別の理由があったとは言え、果南ちゃんの視点から見たら私が甘えているように思うよね……。
果南『あ……だから、さっきあんなこと言ってたのかな』
梨子「……?」
なんのことだろう……?
15 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2020/08/23(日) 08:23:01.30 ID:vQ6qZL/R0
果南「ねぇ、梨子ちゃん」
梨子「ん……な、なに……?」
果南「梨子ちゃん……もしかして、寂しいの?」
梨子「え……?」
果南「さっき、私に……『果南ちゃん“も”、寂しいの?』って聞いてきたから……」
果南『それってつまり、梨子ちゃん“も”、寂しかったってことだよね』
梨子「……あ」
果南「もしかして、何かあった?」
梨子「えっと……何かってほどのことじゃ……」
寂しいと思うことは、確かに最近何かと多いけど……。
果南『……やっぱり、私相手じゃ話しづらいか』
う……。……そう言われると──思ってるだけだけど──逆に言わないのが憚られる。
梨子「……その……本当に大した話じゃないよ……。お昼休み、千歌ちゃんも曜ちゃんも、ダイヤさんや鞠莉ちゃんのところに行っちゃうから、取り残されちゃうことが多くて……」
果南「あぁ……そういうことか」
梨子「もちろん、他の友達と食べてるけど……。やっぱり、私が一番仲良しなのは千歌ちゃんと曜ちゃんだから……寂しいなって」
果南「そっか……」
果南『……私も同じような感じだから、気持ちは痛いほどわかる……』
梨子「うん……。……やっぱり、Aqoursのメンバーは……私にとって、特別だから」
果南「それなら……同じ学年じゃないけど、善子ちゃんと一緒に食べるのは? 仲良いでしょ?」
梨子「善子ちゃんか……」
確かに、善子ちゃんと一緒に食べるのも悪くない、けど……。
梨子「善子ちゃんはルビィちゃんや花丸ちゃんと一緒に食べてるだろうし……そこに混ぜてもらうのは、ちょっとなぁ……」
果南「あー……まあ」
一年生には一年生の輪というものがある。
ルビィちゃんも花丸ちゃんも、私が一緒に食べたいと言ったら歓迎してくれるとは思うけど……。
周りの一年生からの視線が辛い気がする。わざわざ一年生の教室まで一人でお昼を食べに来る二年生って……──尤も善子ちゃんは喜々としてからかって来そうなものだけど。
果南『私も鞠莉が居なくなって、ダイヤと顔合わせ辛い時期でも、千歌の居る教室に行こうとは思わなかったしなぁ……』
どうやら、果南ちゃんには既に心当たりがあるらしい。三年生はギクシャクしちゃってた時期があったもんね……。
果南「千歌たちにそれは言ったの?」
梨子「……言えないよ」
果南「……」
果南『まあ……言えないよね』
梨子「寂しいけど……千歌ちゃんと曜ちゃんが、幸せそうにしてるのが嬉しいって気持ちもホントだから……」
果南「梨子ちゃん……」
果南『確かに、ね……私も鞠莉とダイヤが幸せそうにしてるのは、素直に嬉しいし……』
果南ちゃんも友達に対して感じている気持ちは同じようだ。皆思うことで、そうするしかない……これは、仕方のないことなんだ。
果南『……でも、やっぱり梨子ちゃんが寂しそうにしてるのは放っておけないよ……』
16 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2020/08/23(日) 08:24:34.82 ID:vQ6qZL/R0
……ふふ。果南ちゃん優しいな。
思わず内心で笑ってしまう。
でも、そう思ってくれるだけで十分。だから、この話はこれで終わり──
果南『……あ、良いこと考えた……!』
梨子「?」
果南「ねぇ、梨子ちゃん」
梨子「な、なに?」
果南「それならさ、明日からお昼は一緒に食べない?」
梨子「……え?」
果南「いや、なんでもっと早く思いつかなかったんだろう!」
梨子「か、果南ちゃん……?」
果南『私は一人で寂しい、梨子ちゃんも一人で寂しい、それなら私と梨子ちゃんが一緒に過ごせばお互いWin-Winってことだよね』
果南「我ながらナイスアイディアだよ! 場所はどこがいいかな?」
気付けば、勝手に話が進んでいた。
果南「お互いの教室はまずいから……他に空いてる場所。……あ、部室ならいいんじゃないかな」
梨子「あ、うん……えーっと……」
急な展開に付いていけず、しどろもどろしていた、そのときだった──ガラッと保健室の扉が開く音がして、
「──リリー? 果南? 大丈夫?」
人が入ってきた。この声は……善子ちゃんだ。
善子「なかなか戻ってこないから、様子見に来たんだけど……奥のベッドかしら……?」
そんな言葉と共に、カーテンが開け放たれる。
善子「やっぱり、ここに……い、た……」
梨子「?」
カーテンを開け放った善子ちゃんは、言葉を詰まらせ、
善子「ご、ごめんなさい……!」
急に謝罪する。
梨子「え?」
善子「わ、私……! リリーのビッグデーモンが果南だったなんて知らなくて……!」
果南「ビッグデーモン?」
梨子「……え?」
一瞬、謎の横文字のせいで意味が理解が出来なかったけど、ワンテンポ遅れてすぐに答えに辿り着く。
──手だ。私と、果南ちゃんの、繋がれたままの、手。
梨子「……!?///」
私は思わず、果南ちゃんと繋がれていた手をバッと離す。
17 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2020/08/23(日) 08:27:05.37 ID:vQ6qZL/R0
梨子「い、いやその!!/// こ、これはそういうのじゃなくて!?///」
善子「じゃあ、なんだって言うの!? 保健室で逢引きしてた罪深きリトルデーモンじゃない!!」
梨子「逢引き!?///」
善子「た、体調が悪いって……ご休憩って意味で……」
梨子「そんなわけないでしょっ!?///」
この堕天使は、とんだ耳年増のようだ。それがわかる私も私だけど……。
果南「ダメだよ、善子ちゃん。善子ちゃんが言うとおり、梨子ちゃんは今休憩中なんだから……」
善子「やっぱりそうじゃない!!」
一方、果南ちゃんはあんまり意味が理解出来ていないようで、それを受けて善子ちゃんが吠える。
ああ、もう……めんどくさい……。……今はとにかく、話題を逸らそうと思い、
梨子「ねぇ、善子ちゃん。様子を見に来たってことは用事があったんじゃないの?」
努めて冷静に、問いかける。
善子「えっ、ま、まあ……そうだけど……」
果南「用事?」
善子「果南不在でダンスコーチが居ないから、梨子が問題なさそうなら、呼び戻した方がいいかなって……」
果南「ええ……? そんなの、ダイヤか鞠莉がやればいいのに……」
善子「私は果南が居ないと締まらないから、って思って来たけど……今は考えが変わった。ダイヤと鞠莉にはそう伝えるわ」
梨子「……!?」
そう言って、善子ちゃんは踵を返す。不味い、誤解されたまま善子ちゃんを逃がすわけにはいかない。
梨子「果南ちゃん! 戻った方がいいと思う!」
果南「え? でも……」
梨子「私なら本当に大丈夫だから……! 今日はただでさえ練習時間も短いんだし、呼ばれてるってことは、皆困ってるんだよ! それに、Aqoursの専任コーチと言えば果南ちゃんしか居ないと思うから!」
果南「そんな大袈裟な……」
梨子「絶対その方がいいから!!」
果南「まあ……そこまで言うなら……。でも、本当に平気……?」
梨子「大丈夫! 果南ちゃんの代わりに善子ちゃんに残ってもらうから!」
善子「え」
梨子「Aqoursの練習には果南ちゃんが必要だと思うから……戻ってあげて、ね?」
かなり強引に捲くし立てると、
果南「……わかった。それじゃ、私は先に戻ってるね」
どうにか納得してもらえたようだった。
果南「それじゃ、善子ちゃん。梨子ちゃんのこと、よろしくね?」
善子「え、ええ……」
果南「梨子ちゃん、くれぐれも無理しないように」
梨子「うん、ありがとう。果南ちゃん」
18 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2020/08/23(日) 08:29:05.55 ID:vQ6qZL/R0
最後に一言残してから、果南ちゃんは善子ちゃんと立ち位置を入れ替えるようにして、保健室を出て行った。
果南ちゃんの足音が完全に聞こえなくなったのを確認してから、
梨子「……はぁぁぁ……」
私は盛大に溜め息を吐いた。
慣れないことをして、とてつもなく疲れた……。とはいえ、この後もう一仕事あるんだけど……。
梨子「善子ちゃん」
善子「……え、えっと……わ、私はその……果南の代わりには……。というか、ヨハネなんだけど……」
梨子「だから、本当にそういうことじゃなくて……」
善子「なら、なんで仲良く手なんか繋いでたのよ!」
梨子「そ、それは……」
確かに、それはそうだ。
善子「やっぱり、果南はビッグデーモン……!」
梨子「だから、違うって言ってるでしょ!」
善子「じゃあ、なんなのよ……」
梨子「それは、その……成り行きというか……。とにかく、いろいろあったの……」
善子「…………」
善子ちゃんは私の説明になってない説明に、眉根を顰めていたけど、
善子「……まあ、いいわ。そこまで言うなら、とりあえず納得してあげなくもないわ」
どうにか、矛を収めてくれた。
善子「それで、体調はどうなの?」
梨子「あー、えーっと……」
実は元気だと言おうと思ったけど、それを言うとますますご休憩説が真実味を帯びてしまうから、
梨子「ちょっと横になったらだいぶ楽になったよ」
一応体調を崩していた体で話すことにする。
善子「そう? ならいいけど。最近寒いから、体調も崩しやすいし、気を付けなさいよ」
果南ちゃんの言葉──というか心の声──で恥ずかしくて赤面していたら、保健室に連れていかれたなんてバレたら、それこそ馬鹿にされそう……。
善子「堕天使の闇の炎は自己回復は出来ても、他人を回復させるヒールがないのが悔やまれるわ。今のリリーでは闇に焦がされて死んでしまうし。私が天使だったころなら、すぐに回復してあげられたんだけど……」
梨子「へー……」
堕天使にはヒールがないらしい。どうでもいい新情報を適当に受け流しながら、ふと思う。
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