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翼の生えた少女「私を天使と呼ばないで」
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144 :
◆YBa9bwlj/c
[sage saga]:2020/09/17(木) 09:12:17.59 ID:59uqpFRo0
>>143
黎明卿のことでしょうか?
調べて初めて知りましたが、確かに似ていますね。
あそこまででないとは思いますが、どうでしょう…
145 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/20(日) 05:46:30.10 ID:+W2tfUyt0
ーーー翌日ーーー
老人「まだかのう」ソワソワ
男「あの、何がっすか?」
老人「じきに分かる」
男(あんな独白があった夜でも寝れば明ける。朝起きると突然ばあさんが部屋に入ってきて少女を連れ出し、俺とじいさんはなぜか居間で待たされていた)
男(あいつ、目白黒させながら運ばれてったな)
ーーーーー
少女「男は私の光なの…!」
ーーーーー
男(……)
老婆「はいお待たせ」
老婆「出来たから、二人とも入っていいわよ」ニコニコ
老人「おぉでは早速……と言いたいところじゃが、先鋒は男くんに譲ろう」
男「え、はぁどうも」
男(何しようってんだ。別に少女が料理を始めたとかいうわけでもないだろうに)
スー
男「……!」
少女「……」モジ...
老人「よく似合っておるぞ」
男(真っ白なワンピース……に、頭のは昨日のヘアピンか)
146 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/20(日) 05:47:44.39 ID:+W2tfUyt0
老婆「少女ちゃんね、ちゃんとしたお洋服持ってなかったでしょう?」
老婆「ばあちゃんからのプレゼント。どうかしら男ちゃん、見違えたと思わない?」ニコニコ
老人「本当はの、その髪留めとセットで渡すつもりだったんじゃ。しかしばあさんがはやるもんで、髪留めだけ先に渡してしもうた」
老婆「いいじゃないですか。こうして両方お披露目出来たのですから」
少女「…変、かな」
男「いや…」
男(これはどっからどう見ても)
男「天使……」
男「!あぁ悪い、今のはあれだ、見惚れてたっつーかつい」
少女「…!」
老婆「ほらここも」
(翼用に空けられたスリット)
老婆「大きな翼だったからねぇ。ちょっと大変だったけど、綺麗に出来てるでしょう」ニコニコ
男(すげぇ、ぱっと見じゃ境目が分からんな。俺が破いたシャツとは雲泥の差だ)
老婆「少女ちゃん、万歳してみてくれる?」
少女「」スッ
老婆「そうそうここの幅!最初大きく取りすぎちゃってね――」
男「はは…」
147 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/20(日) 05:48:53.70 ID:+W2tfUyt0
老人「年甲斐もなくはしゃぎおってからに」
老人「すまんの、ばあさんはお前さん方が来てくれて嬉しくしょうがないんじゃ。わしらの間には子供が出来なんだ。それで男くんを息子、少女ちゃんを孫娘とでも見ておるんじゃろう」
老人「わしも人のことは言えぬがのう」ホッホ
男「…俺も、もし本当にじいさんの子供だったらもっと真っ当な人間になってたかもしんないっす」
老人「そうなのかい?」
男「……」
老人「滅多なことを言うもんでもないがの」
老人「君はまだ若い。やり直しなんぞいくらでも効く。今はとにかくなりふり構わぬことじゃよ」
老人「ちょびーっと長生きな、爺の戯言じゃ」
男「なりふり…」
男(……)
男「…そうっすね」
ーーーーー
男「人だろうが何だろうが、幸せに生きてく権利はあるんじゃねーかな」
ーーーーー
男(そう言ったのは他でもない俺だ)
男(また、口だけか?)
148 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/20(日) 05:49:21.86 ID:+W2tfUyt0
老婆「そうだわ。ねえ少女ちゃんはお化粧したことあるかしら?」
少女「う、ううん」
老婆「今日はお出かけよね?帰ってきたら教えてあげる。おめかししたら、きっともっと可愛くなるわよ」ニコニコ
男(……)
男「よかったな、少女」
少女「!うん」
少女「今日、この服で行く」
男「いいけど汚さねーようになー」
少女(♪)
149 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/20(日) 05:49:48.66 ID:+W2tfUyt0
ーーーーーーー
男「……」テクテク
少女「……」テクテク
男(この辺に人は居ないってことらしいが、人どころか他の民家も見かけない。どんだけ辺境の地に住んでんだよ)
男(…今の俺たちにしちゃ好都合か)
少女「今歩いてるのが西」
男「え?」
少女「違った?」
男「あ、あぁ太陽の位置な」
男「でもあんだけ高く昇ってちゃ向こうが真東とは限らんぞ?基本斜め上に上がってくしな」
少女「この前はそんなこと言ってなかった」
男「んな細かいこと……教えて欲しかったか?」
少女「」コク
男「じゃ、次からは気を付けるよ」ポンポン
少女「…♪」
男「…少女、行きたいとこあるか?ここじゃあどこに歩いても大して変わらんだろうが…」
少女「男と一緒ならどこでもいい」
男「………」
男「ん、あそこ、行ってみっか」
.........
150 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/20(日) 05:50:31.12 ID:+W2tfUyt0
(小さな川)
男「川だ。さすがに見たことあるだろ?」
少女「きれい」
男「…だな」
少女「……」チャプ
少女「冷たい…!」
男「マジだ。山ん中の川ってこんな冷えてるのな」
男「都会のドブ川とはえらい違いだ。あっちは濁ってるし臭いし、こうはいかない」
男(そうか…こいつはもう都会を歩くなんてことは出来ねーのか)
少女「……」ジー
男「何してんだ?」
少女「これ」
アメンボ「」スイー
少女「アメンボ」
男「知ってるんだな」
少女「昔見たことがあったの。雨上がりの水たまりで、友ちゃんと…」
男「……」
151 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/20(日) 05:52:26.50 ID:+W2tfUyt0
少女「一寸の虫に……えと…」
男「五分の魂か?」
少女「そう、それ」
少女「この子にもこの子の気持ちがあるのかな。自分は幸せだって思って生きてるのかしら」
少女「水に浮いてるだけにしか見えないのに」
男「…水に浮くことがそいつの幸せなのかもしれない」
少女「どうして?私は空が飛べても全然楽しくも嬉しくもないわ」
男「少女が空飛ぶのと、そいつが浮いてることとはイコールじゃないだろ」
男「結局んところ何が幸せかなんてそれぞれ違ぇのさ。俺はビールにつまみ、あとはパチ。そいつは水面走り」
男「お前の場合、それが――」
男(……それが……)
男(俺と居ること……?)
少女「………」
男「………」
男「あの、さ」
男「いっそのこと、じいさんたちの子になっちゃわないか?」
少女「……」
男「ここはいい。人もいねーし静かで安全だ」
男「もう何日もこうやって過ごせてるんだ。じいさんもばあさんもとっくにお前を受け入れてる。というよりそうじゃなけりゃそもそも助けたりなんかしないさ」
少女「……でも」
男「心配すんな、俺も居るから」
少女「…いいのかな…私みたいな…」
男「いいんだよ、四人家族で」
男「つってもずっとここで暮らしてくのは危なっかしくて嫌だからな。少ししたら引っ越してーとこだが…二人で頼めば聞いてくれるだろ」ヘヘッ
少女「……」ハサ..ハサ..
男(俯いちゃいるけど羽が忙しなく揺れてる)
男(多分、喜んでる)
152 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/20(日) 05:54:18.72 ID:+W2tfUyt0
少女「…頭、なでて。昨日みたいに」
男「おう」
ナデナデ
少女「あったかい…」
男「そうか?俺の心があったかいからじゃねーかなー」
少女「んっ」ニコッ
男(冗談だったんだが、そういい笑顔で頷かれちゃあなぁ…)
男「……」チョン、チョン
少女「?」
男「おしゃれだな、このヘアピン」
少女「……//」
153 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/20(日) 05:54:44.05 ID:+W2tfUyt0
男「そうと決まれば遊んでいくか!」
少女「遊び?しりとり?」
男「いーや。せっかく川に来たんだ、川でしか出来ないような遊びをしようぜ」
少女「!なあに?」
男「それはずばり!」
少女「」ワクワク
男「……」
少女「…?」
男(やべ、俺生まれてこの方川で遊んだことなんかなかったわ)
男「…えー…」
パシャッ
少女「きゃっ」
男「はっはっは、水かけ合戦!…なんつって」
少女「……」
ザバァ...(翼で水を掬い上げる)
男「え」
少女「それなら勝てそう」
男「たんまたんま。少女さん?その量はちょっとまずいんじゃない?全身びっしゃびしゃだよ」
少女「そういう遊びじゃないの?」
男「…いやぁ実は」
バシャー
154 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/20(日) 05:55:57.32 ID:+W2tfUyt0
ーーーーーーー
老婆「無いわねぇ」ガサガサ
老婆「この中だったかしら」
老人「落ち着きがないのうさっきから。何が無いんじゃ?」
老婆「お化粧に使ってた道具。ここにしまってたと思うのよ……おじいさん知りませんか?」
老人「何故わしが。大方掃除した時にでも捨ててしまったんじゃろう」
老婆「困ったわ…少女ちゃんもうすぐ帰ってくるのに。今から買いに行っても戻ってこれるのは明日よねぇ…」
老人「いんたーねっとというものなら出掛けずとも購入可能と聞いたことがある」
老婆「まあ!」
老人「じゃが、ぱそこんがなければいけないらしい」
老婆「まあ…」
老人「一喜一憂が幼児みたいになっとるぞ。明日買いに行けばよかろう、車はわしが出すわい」
プルルルル プルルルル
老婆「あらお電話。珍しい、あのヘルスセンターの人かしら?」
老人「おったのう、仕事熱心じゃった」
155 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/20(日) 05:56:41.59 ID:+W2tfUyt0
ガチャ
老婆「はいもしもし、私とおじいさんは元気ですよ」
所長『それは何よりだ。ボケが進行されるとこちらとしても困るからね』
老婆「ボケなんてきませんよ」ホホホ
老婆「どちら様かしらねぇ?」
所長『しかし貴方達は驚くべき場所に住んでいる。その区域に人が居ることを初めて知ったよ』
老婆「のどかで良い所ですよ」
所長『そうかね。ではボケていない貴女にお尋ねする』
所長『翼の生えた女の子を見かけなかったかな?』
老婆「……」
老婆「翼?」
所長『真っ白な、お伽話で描かれるような翼だ」
老婆「素敵ねぇ。けれどごめんなさい、知らないわ」
所長『本当に見たことがないか?』
老婆「えぇ」
所長『…残念だよ』
プツッ
ツー、ツー...
老婆「間違い電話のようですね」
老人「こんな僻地にかけてくるとは器用な間違え方をするわい」
バタン!
隊長「邪魔をする」
156 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/20(日) 05:57:54.35 ID:+W2tfUyt0
ーーーーーーー
男「ぶぇっくしょい!」
男「っあー、風邪引いたらどうすんだよ」テクテク
少女「空、飛び回れば早く乾くかも」テクテク
男「余計悪化するわ」
男「…あれはあれで面白れーから、そのうちまた頼もうかね」
少女「いつでもいいよ」
男「そういや帰ったらばあさんが化粧してくれるとか言ってたな」
少女「…可愛くなれるの?」
男「女は化粧で化けるって言うぜー」
男「子供にはまだ早ぇと思うけど」
少女「……」ムッ
男「でもナチュラルメイクなんてのはいいって聞くな。少女肌真っ白だしそんくらいが丁度いいんじゃねーか?」
少女「なら…それにする」
男「言ってみ言ってみぃ」
男「あ」
(湧水所)
157 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/20(日) 05:58:34.01 ID:+W2tfUyt0
男「そうだ…出かけついでに水汲んでくるよう言われてたんだった」
男「容器もなんも持ってきてねー…」
少女「私が運んでいこっか?」
男「お前が?っていやいや、羽に水貯めてくのは新し過ぎる。量的にも足りないしな」
男「しゃあない。少女、家ん中に空のポリタンクがあったはずだから取ってきてくれ。四つくらい」
男「俺はここで待ってるから」
少女「男も行こ」
男「一人で行った方が早く戻ってこれるだろ?ちょっと飛んでスイスイっと」
少女「………」
男(に、睨んでる)
男(ぶっちゃけさっきの川遊びでへろへろなんだよな…少しくらい横になりてー)
男「分かった!行ってきてくれたら好きなこと一つだけしてやろう」
少女「!ほんと?」
男「おう何でもいいぞ」
少女「……じ、じゃあ」
少女「抱きしめてほしい…寝る時、ぎゅって」
男(そんだけでいいのか)
男「お安いごようだ」
少女「…ふふっ」
少女「行ってくる!」バサッ
158 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/20(日) 05:59:07.39 ID:+W2tfUyt0
ーーーーーーー
バサ、バサ
少女「……」
ーーーーー
男「人だろうが何だろうが、幸せに生きてく権利はあるんじゃねーかな」
ーーーーー
少女(そんなことを言ってくれたのはあなたが初めてだった)
少女「……」バサッ
ーーーーー
男「いいんだよ、四人家族で」
ーーーーー
少女「……私の、家族……」
少女(男と私が…)
ーーーーー
男「今のはあれだ、見惚れてたっつーかつい」
ーーーーー
少女「……♪」
159 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/20(日) 05:59:41.97 ID:+W2tfUyt0
ストッ
少女(ポリタンクは家の中)
少女(…今お化粧して戻ったら、男驚いてくれるかな)
ガラ
少女「おばあちゃん…!朝話してたこ…と……」
隊長「よう、待ってたぞ」
隊員「「「」」」チャキッ
少女「………?」
隊長「写真で見た通りの翼だな。だが服と、その頭の…一丁前に人間に擬態したつもりか?」
隊長「聞いていたのは可変質などという異形の力だけだったが、よもや人を洗脳する能力まで有しているとはな」
老人「」
老婆「」
少女「!!」
隊長「いくら問い質してもお前の居場所を吐かずしらばっくれるばかりだった。既に救いようのない程お前に汚染されていたからな」
隊長「始末させてもらった」ニッ...
少女「………」
160 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/20(日) 06:00:27.16 ID:+W2tfUyt0
カシャ
隊長「遺伝子銃と言うらしいな」
隊長「これで撃たれた者は細胞が崩れ落ち、苦しみ悶えながら息絶える」
隊長「いくら銃弾を防ごうが、擦り傷が出来ただけで内側から腐っていくそうだ」
隊長「そこの死体のように」
少女「………」
隊長「さあどうする化け物。大人しくついてくるか、俺達とやり合うか」
少女「……………」
...バサ
隊長「ふっ、そうだろうな」
隊長「もっとも、張り合いが無くてはつまらん」
隊長「退屈なお守り仕事ばかり――」
少女「おい」
少女「黙って死ね」
161 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/20(日) 06:01:03.76 ID:+W2tfUyt0
ーーーーーーー
男「……」ダイノジ
男「……」
男「気持ちー…このまま寝れちゃいそうだ」
ーーーーー
少女「…ふふっ」
ーーーーー
男「…あんな風に笑えるんだな」
男「嬉しそうに飛んでっちゃって」
男「もっとでけーわがままでも、俺は構わなかったんだけどな」
...パァン...
男「ん?」ムク
男(今の音……銃声……?)
男(いやまさか…)
男「………」
男(…胸騒ぎがする)
タッタッタッ
162 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/20(日) 06:03:04.66 ID:+W2tfUyt0
ーーー老夫婦宅ーーー
男「やっと着いた…」ゼェ..ゼェ..
男(田舎ってのはどうしてこういちいち遠いんだ)
男「……」
男(さっきの音、あのあと一回も聞こえてこなかったが…)
男(少女も一向に戻ってくる気配がない)
男「…もしかして帰る途中で…?」
...ガラ
少女「……」
男「お…なんだ、居るんじゃねーか」
男「どっかで迷子にでもなってんじゃないかと心配したぜ」
少女「」スッ...
グイッ!
男「!?どうした?」
少女「今すぐここから離れないと」
男「い、いや水汲みくらいそんなに急がなくても」
男(…っ!)
男(肩に赤いシミ…見覚えがある、これは…)
男「何が、あった?」
163 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/20(日) 06:03:36.88 ID:+W2tfUyt0
少女「………」
少女「おばあちゃんが…おじいちゃんが」
少女「殺された」
男「――っ」
(家の中に横たわる複数の死体)
男(あの武装集団は少女の追手か…!)
少女「私のせいで死んじゃった」
少女「…だめ、なんだ」
少女「やっぱり、おばあちゃんたちを壊しちゃった」
男「少女…」
少女「いやだ……いやだよ……ねぇ…!」ポロ..ポロ..
少女「私が望もうとしたからあいつらが来たの?私が関わったものを全部消して、それでまた笑ってるんだ!」ポロポロ
少女「ああぁ……ああ……もうやめて…」
少女「私はあんなところに戻りたくない……これ以上殺したくない…!」
少女「失くしたくないよぉ…!」ポロポロ
男「…っ」
男(くそ…!俺は……)
男(俺は…!)
164 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/20(日) 06:05:13.06 ID:+W2tfUyt0
ギュ
男「逃げよう、二人でどこまでも」
男「ずっと俺がついて行く、守ってやる」
男「生活のために色んな勉強して、お前と暮らしていけるよう全力を尽くしてやる!」
男「だから泣くな。俺は居なくならないから」
少女「う……あぁ……」ポロポロ
男(俺は馬鹿だ。いやそんなん元々分かってたが救いようのない大馬鹿だ)
男(あんな狂った連中が少女のことを簡単に諦めるわけがない。なのに俺は根拠もねー気休めな言葉をこいつにかけて…)
男(じいさんとばあさんが死んだのは、現実を見ずだらだらここで過ごしてた俺のせいだ)
男(…ごめんな…)
少女「男…!」ギュゥゥ
男「とりあえずはさ、ここよりずっと遠くの絶対に誰も来ないような場所に住もう」
男「ここと同じで静かなところの方がいいよな」
男「あぁでも、最初は勉強のために人の居住区の近場か…?」
男(俺はこいつを守る)
男(俺と居ることがこの子の幸せだっていうなら、いつまでも一緒に居てやる)
男(…はは、人生どうなるか分からんな)
男(俺みたいなクズ野朗にも守りたいと思えるものが出来ちまうんだからよ)
165 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/20(日) 06:06:02.99 ID:+W2tfUyt0
少女「うぅ……」
男「落ち着いたか?なら急いで行かないとな」
男「あんな格好つけといてあれだけど、俺を持って空飛んでくれるか?その方が走るより速いんだ」
男「無理にとは言わない」
少女「うん……できる」
男「よし。一旦は向こうの山経由で行こう」
少女「男」
男「ん?」
少女「好き」
男「……おう」
男「俺も好」
――タァン!
...ドサ
男「」
少女「…………ぇ」
166 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/20(日) 06:06:35.28 ID:+W2tfUyt0
今回はここまでです。
次回の投稿で完結する予定です。
167 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/20(日) 08:30:10.73 ID:Sn68WI+6O
乙
168 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/09/20(日) 12:31:28.78 ID:QHIDZnzS0
えええええええええええ男ぉおおおおおおお乙。
169 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/20(日) 12:32:03.50 ID:QHIDZnzS0
sage忘れたすまん。
170 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/21(月) 03:02:22.47 ID:jYZdqmb6o
エルフェンと違って見た目が隠しづらいし、生きていきづらいよな…
171 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 01:46:23.33 ID:Q8aaU0Ei0
男「」
少女「男……?」
男「」
少女「まだ…夜じゃない……よ?」
男「」
少女「だから寝なくていいんだよ……?」
男「」
少女「…ぁ…」
少女(何度見てきただろう)
ドク..ドク..
少女(流れてるのは)
血。
ーーーーー
友「」
ーーーーー
172 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 01:48:12.84 ID:11dYscRtO
所長「これで、最終フェーズへの準備は整ったかな」
少女「………」
所長「見つけ出すのにえらく時間をかけてしまったが、おかげで君の感情は熟成されたようだね」
私兵「「「……」」」ザッ
所長「人間に欠かせない要素として真っ先に挙げられるのは、その形状でも知能でもない」
所長「高度な感情だ」
所長「君も出会って間もない頃は様々な表情を見せてくれたのだがね、いつしか空虚な反応さえ返してくれなくなった。君を見守る者として非常に心配したものだよ」
所長「しかし…それは杞憂だったようだ。こうして君の心を揺さぶり起こす存在を当てがうことが出来たのだから」
所長「君自らが共に連れ立とうとする人物。それが失われたとなればどれほどの感情がうねり、溢れてくるのか…!」
部隊長「所長、あまり近付かれては危険です」
所長「黙れ。口を挟むな」
所長「我々は今、人類史の岐路に立っているのだ」
所長「私の研究が正しければ、アレは心技体全てにおいて我々ホモ・サピエンスを凌駕する存在へと昇格する」
所長「さあ見せてくれ。その神性、輝き…」
所長「新人類のイヴよ!」
173 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 01:49:58.62 ID:11dYscRtO
少女「………」
少女(………)
少女(………)
ーーーーー
男「きみと話が出来るだけで十分だ」
ーーーーー
あなたまで居なくなっちゃった。
ーーーーー
男「ぶかぶかだけど…かえって良かったかもな」
ーーーーー
望んじゃいけなかったんだ。
求めちゃいけない。考えちゃいけない。
私みたいな■■には。
ーーーーー
男「心配すんな、俺も居るから」
ーーーーー
もう、いい。
ゴワァ!!
部隊長「なんだ…!?」
所長「おぉ…!」
174 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 01:51:44.55 ID:11dYscRtO
(後方の装甲車内)
運転員「なんだよあれ…」
運転員(実験体の捕獲任務だって聞かされた)
運転員(相手は躊躇なく人を殺す化け物だがしかし近付き過ぎなければその危険は無い)
運転員(1対の大きな翼、半径2メートルが奴の射程圏内)
運転員(そう聞かされていたのに…)
「なあ…ありゃ話と違くないか…?」
運転員(ここから見えるだけでも4対!長さなんか軽く10メートルは超えてるだろう…!)
175 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 01:53:33.58 ID:11dYscRtO
「な……」
「っ…」
少女「………」ユラ
少女「…キえてよ」
ビュンッ
ゴシャッ!
ボトッ、ビチャ
「っ!!」
「ぅ…おおぉ!?」ガガガガガ!
ズダダッ ズダダダ!
部隊長「よせっ!勝手に撃つんじゃない!」
グシャッ
「寄るな化け物…!」ズダダダ
部隊長(駄目だ、皆この事態に混乱している)
部隊長(想定を超えた異常など…!)
部隊長「所長、アレの殺害許可を下さい。最早捕獲は困難かと思われます!」
所長「なんと素晴らしい……あれが人のあるべき……」
部隊長「所長…?」
バサッ
部隊長「!」
少女「」ビュッ
部隊長「所長!!」
所長「嗚呼…」
部隊長「くっ…車にお連れしますからね!」
部隊長「全員作戦変更だ!地点Aまで撤退する!各自榴弾を撒きながら車まで戻れ!狙撃手は撤退の援護をしろ!」
ズダダダッ パァンッ!
タタァン!
タッタッタッ
176 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 01:57:45.46 ID:11dYscRtO
部隊長「手荒な扱いお許し下さい」
所長「」ボスン
バタン
部隊長「出せっ!地点Aだ急げ!」
運転員「は、はいっ!」
ブロロロ...
部隊長(なんてことだここまでの不測が起きようとは…!)
部隊長(アレが元のままであれば捕獲の算段はいくらでも立てていた。シミュレートも抜かりは無い)
部隊長(出だしから破綻…!どうなっている…!?)
所長「ふはは……はは…!」
部隊長(既に心はここにないか)
部隊長(地点A――緊急例外処理地点)
部隊長(捕獲ではなく確実に死に至るが、所長からの指示も得られない以上、仕方あるまい)
ドガァン!
ギィィ、ガシャンッ!
部隊長「!何の音だ?」
――ガツン!
部隊長「ぐお!?」
――ガァン!
部隊長(車体が…!?)
ドシンッ!
177 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 02:00:40.80 ID:11dYscRtO
部隊長「……ぐ……」
部隊長(倒れた?)
部隊長「…!」
(ひしゃげ、転がり伏す後続の装甲車)
部隊長(…いや、倒されたのか)
部隊長「しっかりしろ、おい」
運転員「」
部隊長「所長、ご無事ですか!」
所長「……」
部隊長(意識はあるが、まずい…この状況は非常にまずい!)
部隊長(ここもいつアレに潰されてもおかしくない!所長を連れて早く脱さねば!)
部隊長「くそ…開け…!」ググ
ドカッ
部隊長(よしっ、早急に遠ざか――)
少女「………」
部隊長「!……」
少女「………」
部隊長(……死ぬ、か)
少女「………」ツー
部隊長「…?」
少女「……」ポロ..ポロ..
部隊長(なんだ…?涙…?)
少女「……ぅ……あ……」ポロ..ポロ..(頭を抱え後ずさる)
部隊長(何が起きているんだ…)
178 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 02:01:51.37 ID:11dYscRtO
部隊長(!呆けている場合ではない。この間に…)
グイッ
...ザッザッ
トスッ
所長「……」
部隊長(一時車の影に置いておく。どうせ徒歩でアレから逃げ切るのは不可能だ)
部隊長(車も無くなり残った人員も定かではない今、地点Aまでは到底辿り着けまい)
部隊長(ならば優先すべきは緊急例外処理地点をここへ移してもらうこと…!)
ザザ..ザ..
部隊長(頼む、繋がってくれ…)
ザザ
秘書『はい』
部隊長「秘書殿か!?緊急事態だアレが暴走した!コードEの発令を願う!」
秘書『所長からそのような報告は受けていませんが』
部隊長「これは私の独断だ。所長は今会話が可能な状態にない」
秘書『ですが…』
部隊長「部隊は壊滅!一刻を争う事態なんだ!」
秘書『……承知しました』
部隊長「本通信の発信元を座標として欲しい。以上だ」
ザ...
179 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 02:06:52.73 ID:Q8aaU0Ei0
部隊長(これで一先ずはいい。あとは所長と共にここを…)
部隊長(居ない!)
少女「うぅぅぅ……!」
所長「もっと見せてくれ、高次へと至った君を…」ザッ..ザッ..
部隊長「何をしているんです!?早くこちらへ――」
少女「あああぁああぁぁああああああああ!!!!!!」
バサバサバサッ!
ゴウッ! ズダンッ!
部隊長(なんという光景だ)
部隊長(木々を折り、地面を割く)
部隊長(およそこの世のものとは思えぬ異形、咆哮)
部隊長(これは紛うことなき)
部隊長「…魔物…」
180 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 02:07:36.65 ID:Q8aaU0Ei0
体が熱い。
苦しい。
ーーーーー
なんで産んじゃったのかしら――
なんだかあの子気味が悪くて――
君は人類の救世主となるのだよ――
今度のは飛び抜けた化け物の管理らしい――
わたしのために、死んで?
ーーーーー
分かったよ…!もう分かったから!!
いらない、こんな世界。
こんな私も。
苦しいだけの■生なら、
全部消えて…消えて……
消えて――!
少女「ぐゔゔぅぅあ゙ぁ゙ぁ…!!」ポロポロ
ズドンッ!
ドスッ ズシャンッ!
ハラ...
181 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 02:08:04.06 ID:Q8aaU0Ei0
ーーーーーーー
男「」
男「」
男「」ピク
男(………)
男(……少、女……)
男(泣いてる……)
男(……俺が……ついててやらねー…と……)
男「……ゲフ」ゴポ
ズル..ズル..
182 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 02:08:35.91 ID:Q8aaU0Ei0
ーーーーーーー
少女「い゙……あ゙ぁ゙…!」
所長「瓦解が始まっているのか?」
所長「だが、止めてはならぬ……神聖なる進化の過程なのだ…」ウットリ
部隊長「所長!こちらへいらして下さい!」
部隊長(何故近付いていくんだ!死ぬぞ!?)
部隊長(これが狂気に取り憑かれた人間の行動なのか…?)
部隊長(…それはそうだ。この研究であれ、常人ならば開始地点に立とうとすら思わない)
部隊長(このままでは私まで…!)
部隊長「…っ」
部隊長(やむを得ない。私だけで離脱しよう)
部隊長(この呪われた空間から)
ハラリ...
部隊長「…?」
部隊長(羽?奴の体から…)
バサッ!
部隊長「!しまっ」
ドシャッ
183 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 02:09:09.72 ID:Q8aaU0Ei0
ーーーーーーー
少女(……)
本当は幸せになりた
少女(……)
みんなと同じよう
少女(……)
誰かに認
少女(……)
私
少女(……)
少女(ううん)
少女(もう何も見ない)
少女(聞かない)
早く失くなって。
ずっとずっと深い、誰にも見つからない場所へ……
184 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 02:09:46.14 ID:Q8aaU0Ei0
男「少女……」
少女「!!」
男「はぁ…はぁ…」
少女「男…!」タッタッタッ
男「はぁ……ケホッ」
男「追いついた……みてーだな……」
少女「男!男っ…!」
ハラ
男「んな呼ばなくても…聞こえてるぞ……」
男「?…なんだお前……顔にまで羽付いてんじゃん……」ハハ...
少女「ねぇ…ごめんなさい」
少女「ごめん…なさい…!」ポロ..ポロ..
男「……泣くなよ……」
男「言ったろ……辛くなっても…俺が居てやる……」
男「また……頭、撫でてやるから……」
少女「うん…!」ポロ..ポロ..
ハラ、ハラ
185 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 02:11:29.48 ID:Q8aaU0Ei0
男「顔、くしゃくしゃだ……いや…ふさふさか……?はは…」
少女「男……好きなの…好き…!」ポロ..ポロ..
男「おう……俺もだ…」ニッ
男「カフッ…」
少女「……」ポロポロ
男「…まぁでも…」
男「そうやって……泣いたり……笑ったりしてる顔……」
男「……俺は……何よりも……人らしいと……」
男「………思う………ぞ………」
少女(――)
男「」
少女(…そうだ…)
少女(なかったことになんて出来ないよ)
ハラ、ハラハラ...
186 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 02:14:15.17 ID:Q8aaU0Ei0
本当に幸せだったの。
みんなと同じように、ただただ何気ない話をしてくれるあなたが好きだった。
居ていいんだって、あなたに認めてもらえて嬉しかった。
私はあなたに会えて、
少女「……」ニコ
ハラハラハラ――
フサァ...
187 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 02:16:22.81 ID:Q8aaU0Ei0
所長「………」
所長「素晴らしい!」
所長「実に力強く、優雅ではないか!」
所長「私の研究に間違いは無かったのだ。これこそまさしく世を統べるに相応しい優等人種。長くこの星に巣食ってきた旧人類共を淘汰せしもの」
所長「アレを失くしてしまったのは惜しいが、引き換えに貴重な実証サンプルをこの目に焼き付けることが出来た」
所長「鮮明な内にすぐにでも研究所へ戻らねば」
所長「手始めに耐久性の追究…寿命への考慮も必要か。可変質有機の配合比パターンを、アレへの寄与量を基準に作ろう」
所長「思考が止まらぬ…」
所長「感じるぞ…神の意思を…。より完璧な進化をもたらせと語りかけてきている…!」
所長「応えてやろう、私の全てを以て!ははははっ!」
「動くな!」
ザザザッ
「「「……」」」チャキ
「手を上げて大人しくするんだ」
所長「…なんだね君達は?」
「聞こえなかったか!手を上げろ!」
所長「おい、私を誰だと思っている?」
秘書「…所長」
所長「秘書君いいところに来てくれた。こやつらに説明してやってくれないか、私が誰であるかを。そしてそこを退くようにな」
所長「私は急ぎ戻らなければならない。足は用意してあるか?」
188 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 02:16:51.62 ID:Q8aaU0Ei0
秘書「もう終わりにしましょう」
所長「なに?」
秘書「この方々は私が呼んだのです。今頃は研究所の"資料"もあらかた押収が済んでいるでしょう」
秘書「所長もご同行下さい」
所長「は……?」
所長「なんと言った?」
秘書「……」
所長「押収だと…?」
所長「ふざけるなよ貴様!」
所長「誰の許可を得てそのような愚行に及んだっ!」
所長「進化への妨害、冒涜だぞ!」
所長「許されない……許されるはずがない」
秘書「……」
所長「貴様ぁあ!」ダッ
「確保しろ!」
ダダダッ
ガシッ、ググ...
所長「ぐ…」
所長「お前達は、絶対的飛躍の機会を損ねた……文句無く地獄行きだ…!」
「秘書さん」
秘書「はい」
秘書「…行きましょう」
男「」
秘書「……」
189 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 02:17:37.64 ID:Q8aaU0Ei0
.........
190 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 02:19:03.28 ID:Q8aaU0Ei0
ーーーーーーー
バババババッ
搭乗員「OK、周囲に異常なし。もっと寄せてくれ」
パイロット「了解」
(ズタズタの陸地)
搭乗員「……凄まじいな」
パイロット「えぇ」
搭乗員「何を考えてここまでの惨状を生み出したのだろうな」
搭乗員「テロリストの思考回路などなぞるだけ無駄か」
パイロット「本人らも自死したとのことですからね」
搭乗員「どの肉塊も原形を留めていない。回収したところで無駄かもしれないな」
パイロット「!いえ、見て下さいあそこの!」
搭乗員「男性の遺体か?」
パイロット「あれだけは五体満足に見えますね」
搭乗員「あぁ…しかし」
搭乗員「周りの、白い地肌はなんだ?」
搭乗員(いや、地面ではないな。風に吹かれているように見える)
搭乗員(軽く、小さな…)
搭乗員「……羽?」
191 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 02:19:57.60 ID:Q8aaU0Ei0
ーーーーーーー
(学校)
「ねぇ見た見た?今朝のニュース!」
「見た!めっちゃびびった!」
「なぁに?ニュースって」
「これよこれ」スッ
スマホ『日本で初、大規模テロ。無差別破壊が目的か』
「テロ!?」
「近くじゃなくてよかったよね」
「犯人はどんなやつなの!?」
「それがさ――」
192 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 02:20:30.53 ID:Q8aaU0Ei0
(会社)
「うわ…」
「仕事中に何をしとるんだ」
「あ、課長。見てくださいよこれ。例の現場写真らしいですよ」
「…滅茶苦茶だな」
「竜巻が通った跡に似てるって書いてあります」
「凶器未だ分からず…」
「色んな考察が飛び交ってますよ、見ていきます?」
「仕事をしろ」
193 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 02:20:57.81 ID:Q8aaU0Ei0
(居間)
テレビ『次に、紛争やテロといった問題に詳しい、専門家のーー教授に来て頂きました』
テレビ『早速ですが今回のテロ事件、犯人の動機としては何が考えられるのでしょう?』
テレビ『そうですね。テロというのは思想の強い発露なわけでしてね、今回のように目的を果たすためなら死んでも構わないというテロリストは多いのですよ』
テレビ『それも踏まえましてね、発生現場が極端に人の少ない地域でありますから――』
194 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 02:21:45.25 ID:Q8aaU0Ei0
ーーーーーーー
秘書「………」
秘書「………」
秘書「………」
秘書(…あの子が残した大きな爪痕は、世間では無差別テロ事件として報じられることになりました)
秘書(これだけの行いが明るみに出れば、この国そのものが国際社会からの厳しい糾弾を免れないからだそう)
秘書「………」
秘書(私達が)
秘書(地獄行きであることなんて、当然です)
秘書(ですがあのまま、生きながらにして悪魔と化すよりは遥かに良いでしょう)
秘書(貴方もいつかそのことに気付いてくれますよう…)
「出なさい。審問の時間だ」
秘書「…はい」
秘書(…これで、少しは人に戻れたのでしょうか…?)
195 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 02:22:10.62 ID:Q8aaU0Ei0
.........
196 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 02:24:01.78 ID:Q8aaU0Ei0
ーーーーーーー
へー、あの世ってこんなんなってんのな。意外性がないな。
あ…先行かないでっ。
そんな進んでな…うお、結構離れてる。やっぱ不思議空間なのか。
うー。
わざとじゃないんだ。置いてったりしねーからさ。
しっかしお前のそれ、ここまで来ても残ってるとはねぇ…いっそ本物の天使になれそうだな。
手繋ぐか?天界を案内してくれよ、ははっ。
手はつなぐ。
でも…違うよ。私も男と同じだもん。
だからね、
私を天使と呼ばないで。
ー終わりー
197 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2020/09/25(金) 02:30:04.39 ID:Q8aaU0Ei0
これにて完結となります。
元々「天使と呼ばれた子」というフレーズが浮かんできたのがきっかけで考え始めた話でしたが、大きな参考元は途中でも指摘して頂いた通り「エルフェンリート」です。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
198 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/25(金) 02:35:24.83 ID:yjrAzXNKo
おつ
少女さん、なんで無関係な隊員は殺したのに所長は殺さなかったのwって
ツッコミは野暮なんだろうな。おもしろかったよ
199 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/25(金) 02:42:10.21 ID:iTCyVKaDO
おつです
生きて幸せにはなれなかったか…
生まれ変わったら兄妹になってたりして
200 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/25(金) 02:59:28.50 ID:Tf0OuQ6C0
乙
生まれ変わったら、か………無限に幸せな妄想しか捗らない。
201 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/25(金) 05:17:11.20 ID:gavqjCI2o
おつおつ
楽しませていただいた
202 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/25(金) 14:16:07.05 ID:XJBZ6rDzo
う〜ん、小難しいこと言って煙に巻く感じ、それこそオマージュ元のエルフェンリートや極黒のブリュンヒルデそのものだ。そんなとこまで似せなくていいのに残念だ。
結局所長は何がしたかったのか?とか、何故秘書は唐突に改心したの?とか描かれずじまいか…
203 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/25(金) 21:12:36.13 ID:giT1OfQQo
おつ
幸せになって欲しかったな…
でも何度読んでも好きだわ
ありがとう
204 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/09/27(日) 11:49:36.10 ID:qRIvGqWCO
男の設定意味ある?主がパチンカスだからギャンブル中毒の男が登場人物になったのか?
借金踏み倒して少女の世話してイキッてるチー牛過ぎる。反省するなら多額の借金してまでギャンブルするの辞めろや
それこそ身近な子供引き取って世話させろやって話。
爺婆が突っ込みを入れずに迎え入れるのも都合良すぎて草。
205 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/09/27(日) 11:54:04.16 ID:qRIvGqWCO
少女は幸せになって欲しいとは思うが男は論外。
206 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/27(日) 12:20:01.16 ID:JU1zurMPo
どうでもいいからsageろ
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