桐乃「アタシの兄貴がゲイなわけがない」

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67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 18:55:46.02 ID:34E8RAEK0
「まぁ...別にわざわざ予習しなくても..瀬菜のシナリオは他の部員にボロクソに叩かれると思うぜ?なぜならウチの部の連中はホモに生理的嫌悪感があるんだからな」

「わかってないわね先輩..私はヤラレタことは100倍にして返さないと気が済まないの...あの女の心を完膚なきまでに叩きつぶすために、的確な呪いの言葉を考えておく必要があるのよ」

「ようはあらかじめ、作品の粗を探しておいてより辛辣な悪口を考える時間が欲しいってことね..イイ性格してるぜ...」

「なんとでもいいなさい..アナタは黙って呪いの書物の在処に私を導けばいいのよ..」

「へいへい..」

俺はブツクサ愚痴をいいながらも、黒猫をわが家へと誘導する..
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 18:56:21.54 ID:34E8RAEK0
黒猫の奴..わかっているのか?瀬菜が書いた今回のシナリオは主に俺が男連中に犯される話だ..

すなわち..俺は自分の部屋で、俺がホモられる作品を女の子に読まれるということになる...なにこれ?なんで俺こんな辱めを受けないといけないんだ..?前世でなにか悪いことしたのかな?

などと前世の悪行を考えていると、俺たちは自宅へとたどり着いた..


「ついたぜ俺んちだ..つっても..お前はもう何度も来ているから今更言うまでもないか..最近は俺のシナリオを作るのを手伝ってもらってるからな..」

「アナタが俺にはイラストが描けないから黒猫手伝ってくれ..と言ってきたから手伝ってあげてるのよ?感謝しなさい?」

「ああ..シナリオが完成したら何かおごらせてくれ..ん?」


俺はドアノブに手をかけた時..背筋に冷たいモノが走るのを感じた。

なんだ?ただ..自分の家に帰ってきただけなのに..なぜこんなに嫌な予感がするんだ?
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 18:56:50.01 ID:34E8RAEK0

「なにをしているの?早く入りましょう」

「お..おう..」

黒猫に促され俺は自宅の限界を勢いよく開け放った..

「ただいまー!」

長男の帰宅を知らせる大声が家の中に響き渡る..

まだ親父も仕事から戻っていないはずだし、お袋も今日は用があるから出かけると言っていた..

すなわち、今日は俺と桐乃だけになるはずなのだが、玄関には女の子物の革靴が3つ並んでいた。
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 18:57:19.86 ID:34E8RAEK0
「あれ?靴がずいぶん多いな..桐乃はもう帰っているみたいだな..おーい桐乃ー帰ってるのかー?誰か来てるのー?」

大声で桐乃を呼ぶと上の階からドタドタという慌ただしい足音が階段を下りてきた

「なに〜?今友達呼んでるんだからそんな大声出さないで...て..なんで黒いのも一緒にいるわけ?今日は約束してないでしょ?」

桐乃は俺と一緒に玄関に立っている黒猫をギロッと睨みつけた

階段を下りてくるなり、辛辣な言葉を投げ捨ててくる妹..か〜かわいくねぇ〜

しかもなんで黒猫を睨んでいるんだよ..黒猫はお前の大切な親友だろーが...自分の親友を俺にとられるのが面白くないのか?

まったく..嫉妬深い妹を持つと兄貴は苦労するぜ...
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 18:57:47.40 ID:34E8RAEK0

「フフ..別に今日はアナタに会いに来たわけじゃないのよ..?さ、行きましょう先輩...私たちの愛の巣へ..」

黒猫は俺と腕を組むと挑発的にそう言い放った

..心なしか黒猫の頬が赤く染まっているのは俺の気のせいだろうか..?

「ちっ..キモッ..なにが愛の巣よ..邪気眼電波女が..」

桐乃は軽く舌打ちをすると、汚物を見るような視線を俺たちに投げつけてきた


「おいおい..その辺にしとけよ..どうしておまえたちは顔を会わせるたびに喧嘩ばかりするんだ..」

俺が二人の仲を諫めようとするも..


「誰のせいだと思ってんのよ!!」

「誰が原因だと思っているの?」


「えええ!?お、俺のせいなのか!?」

桐乃と黒猫の両方に罵声を浴びせられた俺は驚きのあまり身を竦めた
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 18:58:17.00 ID:34E8RAEK0
「とにかく..学校の友達部屋に呼んでいるから..アンタたちは外で遊んでよ!」

「今日は先輩と大切な用があるの..先輩の部屋じゃないとできないことよ..別にやましいことじゃないからすぐに終わるわ..」

部屋じゃないとできない..やましいこと..という単語を聞いて恥ずかしくなった俺はほんのりと頬を赤らめる


大切な用って..俺が犯されているBLシナリオを読むこと..なんだよな..

十分すぎるほどやましいことだと思うんですが...


「うっさい!!とにかく今日はアタシの部屋に他の友達がいるから、どっか別の場所へ...」


桐乃が俺と黒猫を外に追い出そうとしたとき..
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 18:58:46.74 ID:34E8RAEK0
「こんにちはお兄さん!お邪魔しています」

「ちーす!..お邪魔してるぜー桐乃の兄貴ー!」

あやせと加奈子が階段を下りてきて姿を現した


「あ..アンタたち..なんで..アタシの部屋で待っていてって言ったでしょ?」

「桐乃がなかなか戻ってこないから心配になったんだよ..」


「なんだ、あやせと加奈...おほん...え〜と..来栖さんだったっけ?いらっしゃい」

俺はマネージャーとして加奈子と面識があるのだが、加奈子はマネージャーと桐乃の兄貴が同一人物だとは知らない..

あやせとの約束で加奈子に正体を明かすわけにもいかないので、俺は加奈子に正体を隠しているのである..

うっかり加奈子の名前を呼びそうになったのを訂正し、記憶の中から苗字を絞り出したという体を装い加奈子の苗字を口にした
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 18:59:13.85 ID:34E8RAEK0
「あん?アンタにアタシの苗字教えたっけ?」

「桐乃が時々話しているから..」

「ああ、なるほど...でも..アンタの声どっかで..」

加奈子は顎に手を置き俺の声をどこで聞いたのか思い出そうとする..

「そ、それより..そろそろ部屋に戻ろうよ..私まだ桐乃とおしゃべりしたいよ..」

加奈子の言葉を遮るようにあやせは口を挟み桐乃の部屋に戻ろうと促した。いいぞあやせ、ナイスジョブ!!うっかり加奈子に俺の正体がバレるとこだったぜ
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 18:59:40.77 ID:34E8RAEK0

「それじゃあ先輩...私たちも行きましょう?」

「あ、ああ..あやせ、来栖さん..ゆっくりしてってな?」

「はい、どうぞお構いなく..」

俺と黒猫は3人の女子中学生の合間を縫って階段を上りだ
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:00:14.94 ID:34E8RAEK0

「待ってください..」


そうとしたとき..あやせに再び呼び止められた


「アナタは..どちら様ですか?」

あやせは初対面のハズの黒猫を敵意を剥き出しにした目で睨みつける
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:00:44.17 ID:34E8RAEK0

「私?私は..フフ..そうね..ここにいる桐乃の真の親友にしてこの男の性奴隷といったところかしら?」

「人聞きの悪いことを言うんじゃない!!!」


とんでもない爆弾発言を口にした黒猫に俺は全力で突っ込んだ

こ..この邪気眼中二病女..な、なんてことを言いやがるんだ!?お、俺を社会的に抹殺するつもりか!?


「せ..性奴隷..!?」

あやせの目が驚愕で大きく見開き、ズザザザ...と猛スピードで後ずさりをして俺から距離を取った
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:01:17.15 ID:34E8RAEK0
「そう..この京介は私たちの学校ではセクハラ先輩の異名を持つ性獣なのよ..京介は学校で後輩の女子の胸を揉もうとしたり、私なんかエロゲーを作らされそうになったわ」

「お前は俺になんの恨みがあってこんなことを言うんだ!?あやせも真に受けるんじゃない!!こいつは俺の学校の後輩で桐乃の友達なだけだ!!」

事実も一部混ざってはいるが、俺は自分の名誉を守るために黒猫の発言を全力で否定した。

「ちょっと..これはどういうこと?アンタ学校でナニやってるわけ?」

桐乃が殺意の籠った目で俺を睨みつける..

「おい、桐乃!!それが実の兄貴を見る目か!?なんちゅー目で俺を睨みつけるんだ!!小便ちびりそうになるわ!!」

「キモッ!!早く死んでよもう!!友達の前で恥ずかしい思いをさせて信じられない!!」

「イテッ!!こら兄貴を蹴るんじゃない!!イテテテッ!俺が悪かった!頼むからやめてくれ!グワッ!」

「死ねッ!!死ねッ!!」

桐乃は怒りに身を任せて俺の足をゲシゲシと蹴り上げる..

なにこの仕打ち!?なぜに家に帰るなりこんな目に合わらなければならんのだ!?

79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:01:43.62 ID:34E8RAEK0
「ふふ..さあイキましょう京介..アナタの部屋で闇の儀式を行い、私とアナタの魂が交じり合った暗黒の申し子を生み出しましょう?」

「おい!!今とんでもない文字を使わなかったか!?聞き違いだよな!?おい!!」

「あ..アンタ..妹とその友達がいるっていうのに..一体なにをおっぱじめるつもりなの!?」

「誤解だ!!黒猫と一緒にゲームのシナリオを考えるだけだよ!!」

「いいから行くわよ..」

「おい、黒猫!!おいってば!!」

こうして俺は黒猫に手を引かれて強引に俺の部屋へと連れていかれたのだった
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:02:15.58 ID:34E8RAEK0
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ーーーーーーー

「まあ、とりあえずゆっくりしていけよ..後で下からお茶持ってくるからさ」

「お気遣いは無用よ..」


黒猫は俺のベッドの上に腰掛けると、さっそく瀬菜が書いたBLシナリオを要求してきた

年頃の女の子が俺のベッドに腰掛けて..男と男が交わる本をリクエストしてくる..なんだよこの状況..


「ちょっと待ってろ..え〜と..どこに置いてあるんだったかな〜」


俺は瀬菜のBLシナリオが描かれているノートを見つけるために、ノートが閉まってありそうな場所を探し出した。

「ああ、あったあった..机の引き出しに入ってた..だが妙だな..?俺はこんなところに仕舞った覚えはないんだが..まあいっか」

仕舞った覚えのない場所からノートが出てきたことに違和感を感じたが、そんなこともあるだろうと思い直すとノートを黒猫に手渡した
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:02:44.72 ID:34E8RAEK0
「な..なんて禍々しい瘴気なの...このノートからあの女の邪悪な念がヒシヒシと伝わってくるわ..」

「おいおい..見た目はなんの変哲もないノートだろうに..中身は呪物と呼ぶにふさわしい内容が描かれているが...」

黒猫はごくり..と唾を飲み込むと、恐る恐る表紙をめくろうと指を伸ばした

「お、おい..本当に読む気なのか?これに何が描かれているか..お前も知っているハズだろう..?一生モノのトラウマになるかもしれないんだぞ?」

「フ..愚問ね..この千葉の堕天聖(せんようのだてんせい)黒猫にトラウマになるですって?...ずいぶんと見くびられたモノね..あの女の持つ邪悪ごとき我が器の前では塵に等しい..」

「強大な魔力を持つこの私があの女の創り出した邪悪を飲み込んで従えてみせよう!!」

黒猫はそう言い放つと、バ..と勢いよくノートのページをめくった
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:03:14.08 ID:34E8RAEK0
「高坂...高坂..!!」

「う..赤城..赤城..!!」

初っ端の一ページ目には俺と赤城が裸になってベッドで交わっているシーンがデカデカと映し出される..

筋肉質な身体の赤城が華奢な俺を後ろからシッカリとホールドして、犬の交尾のごとく俺のケツの穴に腰を打ちつけていた


「ッ...くっくっく..この程度なの?ガッカリさせないで頂戴..」

黒猫は余裕の笑みを顔に浮かべるも、しっかりとジャブが効いているようで声に若干の震えが混じっていた

「グオ...ッ」

俺の精神にも強烈な負荷がかかり、腹の底から吐き気がこみ上げてくるのを必死になって抑えた
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:03:42.48 ID:34E8RAEK0
「臭いだろう..なあ高坂..7日間風呂に入ってない俺の汚いピーをしっかり舐めてきれいにしてくれよ..」

「臭い..ヒック..臭い..臭い..」

2番手は部長と俺が交わっているシーンで、部長の足元に跪いた俺が腐臭を放つ部長のピーを舌を使って丹念に舐め挙げていた..

「いいぞ..高坂..ウッ..!そ、そろそろ..で..出る..」

「いいですよ..部長..部長の汚いピー!を俺の口の中に出してください..俺..部長のピー!を体に取り込みます..」

「高坂..高坂ーーーーーーー!!!!ウオッ!!」

「んんん!!」

部長のピー!が俺の口の中に発射されノートの中の俺は恍惚の表情を浮かべて、一滴残らずソレを飲み込んで体内へと取り入れた
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:04:11.51 ID:34E8RAEK0
「ハァ...ハァ...く..くく..中々ね...でもまだまだ..我が器を満たすには程遠い...」

黒猫の顔色は血の気が引いたように真っ青になっている..

「ウェ..ウエエ..!」

どちらかというと俺への精神ダメージの方が大きく、嘔吐感が喉元にこみ上げてきた俺は大きくえずいてトラウマを吐き出した。



「でもこの程度の作品では..私を屈服させることなんてできないわよ..さあ..おまえの次の闇を吐き出しなさい..」

黒猫は震えの止まらない指で、ペラ..と次のページをめくりあげた



(どうせ隣の部屋であの小娘どもが聞き耳を立てているんでしょう..いいわ..聞かせてあげる..私たちと一緒に闇の世界を彷徨いましょう...)



黒猫は何を血迷ったのか、本に書いてある内容を声にハッキリと出して音読を始めた..
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:04:41.98 ID:34E8RAEK0
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「ムカつく!!ムカつくムカつくムカつく〜〜〜!!!あのクソ猫ふざけたマネしてくれちゃって〜〜〜!!!」

「あの泥棒猫...わたしの桐乃をたぶらかしただけでなく、お兄さんの心も惑わせるなんて..絶対許さない!!」

「お..おい..なんでそんなに怒ってんだよお前ら...」

地団太を踏んで怒り狂うアタシと、光彩がドス黒く濁っているあやせの変貌を見た加奈子は動揺した声を上げる..

「あやせ!加奈子!アタシたちも行くよ!!」

「うん!!」

「へ?行くってどこにだよ?」

「決まってるでしょ!?アタシの部屋で兄貴たちの会話を盗み聞きするのよ!!もしも変なことやってたらとっちめてやる!!」

「あの女はお兄さんと一緒にシナリオを作るって言っていた..きっと例の..B..BL小説にもあの女が関わっているに違いないよ!!二人の会話を傍受して真相を確かめよう!!」

「お..おい..加奈子は別にどうでも...」

「いいから行くよ!!」

「わかったよ...」

アタシたちは兄貴と黒猫の会話を盗み聞きするために、アタシの部屋へと飛び込んだ
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:05:08.57 ID:34E8RAEK0

アタシの部屋と兄貴の部屋の境を繋ぐ壁は薄い..

兄貴の部屋から聞こえる物音や声は、もれなくアタシの部屋にも聞こえるの..

兄貴と黒猫の会話を聞き取るべく、アタシとあやせは壁に耳を押し付けた

(なにやってんだコイツラ...)

加奈子はそんなアタシとあやせを呆れたような表情で後ろから眺めている

加奈子からの好感度の低下を気にもとめず、アタシとあやせは京介の部屋から聞こえる会話を残さず聞き取るために聴力を研ぎ澄ませた
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:05:38.57 ID:34E8RAEK0
「まあ、とりあえずゆっくりしていけよ..後で下からお茶持ってくるからさ」

「お気遣いは無用よ..」

兄貴と黒猫の会話が壁越しにアタシたちの耳に聞こえてくる..


なによ..アタシがアンタの部屋に行ったときはワザワザお茶なんて持ってきてくれないくせに..

黒猫にデレデレしちゃって気を使ってさ..キモイっつーの..
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:06:06.77 ID:34E8RAEK0

「それより、さっそく例の呪われし書物を見せてくれるかしら?」

「ちょっと待ってろ..え〜と..どこに置いてあるんだったかな〜」

兄貴が例のBLシナリオを探す音が聞こえてきた


「や..ヤバッ兄貴の部屋にBL小説を戻しておくの忘れてた!」

「心配しなくていいよ桐乃..わたしがお兄さんの机の中に戻しておいたから」

「え?そうなの..?よかった..ありがとあやせ..」

「おい、しゃべんじゃねーよ..アイツらの声が聞き取れねーだろ?」
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:06:35.56 ID:34E8RAEK0
ああ、あったあった..机の引き出しに入ってた..だが妙だな..?俺はこんなところにしまった覚えはないんだが..まあいっか」

あやせの活躍のおかげで無事兄貴はBLシナリオを見つけることに成功したみたい..

どうでもいいけど..あやせってBL小説なんて見るのも汚らわしいとか言いそうなのに、なんか積極的だよね..



「ウ..クソ..気持ち悪くなってきた...」

「フフ..この程度の邪悪で根を上げるなんて..まだまだね...日ごろから魔力を貯める器を養う訓練を怠るからよ..


黒猫と共にBLシナリオを読んで気持ちが悪くなったのか、兄貴のうめき声がアタシの部屋に聞こえてくる..

自分が書いたシナリオで気持ち悪くなるとか..バカじゃん?
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:07:21.10 ID:34E8RAEK0
「アナタも我が眷属の末裔なんだから..我に恥じない程度の器に育ってもらわないと困るわ」

「お前はドラキュラかっつーの!!なんだ魔力を養う器って!?訓練って何すんの!?」


黒猫の言葉に対する兄貴の突っ込みが大きく響き渡った。


あのバカ..隣の部屋にアタシたちがいること忘れてんの?

アンタの突っ込みって声がデカいのよ..近所中に聞こえてるかもしんないっつーの


「器を養う..我が眷属の末裔...そういうことでしたか...」

黒猫の発言にあやせがポツリと口を開く...

「お..おい..あやせ..なんで光彩が濁ってるんだよ..な、なんか..怒るようなことでもあったか?お、おまえ..体から魔力が出てんぞ..」

「加奈子が何を言っているのかわからないな...話に集中したいから静かにしていて」

あやせは怯える加奈子を冷たく突き放し、部屋の壁により深く耳を押し付けた
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:07:48.46 ID:34E8RAEK0
すると..黒猫の声がさっきよりもなぜかハッキリと聞こえるようになり、黒猫の口から紡がれる呪いの物語が私たちの部屋に聞こえてきた...



「高坂先輩..僕たちが付き合い始めてから..もうけっこう経ちますよね?」

「そうだな真壁君..そろそろ君のご両親にもご挨拶にいくべきかと思っているんだが..俺たち..将来は結婚するつもりだってな..」

「高坂先輩..僕..うれしいです..先輩が僕との将来をちゃんと考えてくれているなんて..」

「真壁君..俺たち..高校を卒業するまでは清い付き合いでいようって約束したけど..俺..もう我慢の限界だよ!!いますぐ君を犯して犯して犯しまくりたいんだ!!」

「先輩..僕も先輩と同じ気持ちです...高坂先輩と...一線を越えたい..」

「真壁君..」

「先輩...」

京介と真壁君は固い抱擁を交わし、口づけを交わそうと抱き合う...
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:08:20.54 ID:34E8RAEK0
「あ..アイツら..一体なにやってんの!?」

「あ..あのおぞましい本を..口に出して読んでいる..し..信じられない!!」

兄貴の部屋から例のBLシナリオを音読する黒猫の声が聞こえてくる...

「なんかキメーの始まったな...加奈子ピー!したいからトイレ行ってくるな」

驚愕で固まっているアタシと桐乃を尻目に加奈子は部屋を出ていった

「あ、ちょっと..!!加奈子..!!」

便意を催した加奈子はそそくさと部屋を出ていってしまい、部屋の中には戸惑いの表情を浮かべたアタシと光彩をドス黒く染め上げた無表情のあやせの二人だけが取り残された

アタシの戸惑いをよそに黒猫の口から更なる呪いが解き放たれる..
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:08:47.11 ID:34E8RAEK0
「高坂!?俺との仲は遊びだったのか!?俺を捨てるなんてひどいぞ!!」

「げげ!?あ、赤城..!?」

「おい高坂!!あれほど俺と愛し合ったじゃないか!!真壁と浮気なんて..絶対に許さないぞ!?」

「ぶ..部長..!!どうして!?」


京介と真壁君の唇が触れ合おうとした寸前..

前の章で京介と愛し合った赤城と部長が、京介と真壁君の間を割くように乱入してきた

二人ともスッポンポンで路上に立っており、極限まで勃起したピー!がビクン..ビクン..と小刻みに脈打っている
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:09:15.84 ID:34E8RAEK0

「ちょっと..!!この章では僕と高坂先輩のラブストーリーを描くんですよ!?突然乱入してこないでください!!」

「うるせえ!!俺は高坂の親友だ!!何人たりとも俺の嫁は渡さん!!」

「ウホッ!!イイ男..ガチムチとはやったことがねえからな..おい、お兄ちゃん..後で俺とヤラないか?」

「おえ..生ごみが腐ったような匂いの奴はお断りだ..それに俺は高坂一筋!!高坂の穴は俺のモノだ!!」


「あ..赤城..お前そんなに俺のこと..」

「高坂ーー!!」

「赤城ーー!!」


欲情した赤城に地面に組み伏せられた京介は、ビリビリ..と豪快な音を立てて衣服を破り捨てられてしまう..

京介の黒いトランクスがヒラリと宙を舞い赤城は京介の体を固く抱きしめた
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:09:43.85 ID:34E8RAEK0
「ち..ちょっと..ヒドイですよ!!今は真壁編なんですよ!?僕の高坂さんを取らないでください!!」

「うるせえ!!自分の男を取られるのがイヤだったら力ずくで取り返してみろ!!お前も男だろうが!!」

赤城は真壁君の抗議の声を一喝して黙らせ京介の体を貪るように蹂躙する..



「い..言ってくれましたね..僕だって漢だ!!高坂さんは力づくで僕が奪い返す!!」

真壁君は素早く服を脱ぎ捨てると全裸になってしまった

「高坂先輩から離れろ!!」

「ウオッ!!」

全裸になった真壁君は赤城にタックルをお見舞いし、赤城の筋肉質な身体がコンクリートの路面に投げ出される
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:10:10.13 ID:34E8RAEK0

「ハァ..ハァ..高坂先輩は..僕のモノなんだーー!!」

「来い!!真壁君!!俺はおまえのすべてを受け入れてやるぞ!!」

京介は立ち上がると背を向けて、ケツの穴を真壁君に突き出した..

「高坂..せんぱーい!!!」

ズブリ..!!

「ウオッ!!」

真壁君の極限まで勃起したピー!が京介のお尻の穴をぶち抜いた...
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:10:48.04 ID:34E8RAEK0

「先輩!!先輩!!」

「ウ..グオ..!」

真壁君は犬が交尾するかのごとく、何度も京介のケツに腰を打ちつける..

「ふ..ハァ..ハァ..」

「う..く..ウオッ!!」

京介と真壁君は一つに繫がり二人を快楽が包み込んだ
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:11:17.12 ID:34E8RAEK0
「へへ..やるじゃねえか..モヤシヤローのくせに中々いいタックルだったぜ..気に入った!!お前のケツの処女はおれがもらう!!」

真壁君を漢として認めた赤城は真壁君の背後に回り込むと、勃起したピー!で真壁君のお尻の処女を奪い取った

「う..ウワアアッ!!」

ガチムチマッチョな赤城に後ろから貫かれた真壁君は悲鳴にも似た快感の叫びをあげる

「ヘヘ..初めてだったのか?お前のケツの中..キツキツだぜ...」

「ハィ..♡僕..初めてなんです..優しくしてください♡」

「任せろ..!!」

赤城はピストン運動をするかのごとく、真壁君のケツに勢いよく腰を打ちつけていく...

「うわ..あああ!!」

ガチムチマッチョな赤城の攻めに真壁君は恍惚の叫び声をあげた
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:11:42.80 ID:34E8RAEK0
「ヘヘ..こんなおいしそうなモノを見せつけられて..俺だけ除け者なんてそりゃなしだぜ...おい..お兄ちゃん..引き締まったいいケツしてるな..俺の好みだ..たっぷり..開発してやる..」

赤城の筋肉質な身体に興奮した部長は体から腐臭を放ちながら赤城の背後へとにじり寄っていく

「お、おい!!やめろ..!!俺はお前みたいな臭い男は趣味じゃないぞ!?」

部長に尻の穴をロックオンされた赤城は恐怖の叫び声を上げる

「ヘヘ...逃げてもいいんだぜ?逃げられるモノならなぁ..」

「クソッ!真壁の尻の穴が気持ちよすぎて..動けん!!」

「ウァッ!!アアッ♡」

赤城は真壁君の尻を突くスピードを速め、真壁君は涎を垂らして恍惚の表情を浮かべた
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:12:15.54 ID:34E8RAEK0

「貴様!卑怯だぞ!男とヤッテいる最中に襲い掛かってくるなんて!!」

「へへ..人間は食っている時と寝ているとき..そしてヤッてる最中が一番無防備になる生き物だからな..さて..入れるよぉ...」

「や..ヤメ...ウォッ!!」

口から涎を垂らした部長が赤城のケツの穴にゆっくりと..極限まで勃起したピー!を挿入した


「く..臭い!!でも..気持ちいい!!」

「ヘヘ..イイだろう..だてに歳はくってねえんだぜ..?たーーぷり..可愛がってやるからな..」

部長の臭いに赤城は吐き気がこみ上げてくるも..

部長のテクニシャンな性技によって快楽が突き上げてくるのを感じた

「き..キモチ悪い..で、でも..キモチ良い..なんだこれ..俺..こんなの初めてだ..!!」

「臭いだろう..いいんだぜ..お前を俺色に..汚してやるからよ...」

「ヒャウ♡」

部長は赤城の耳を甘噛みし、赤城は今まで上げたことのない女の子みたいな悲鳴をあげた
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:12:51.29 ID:34E8RAEK0
不快感と快感が交互に赤城の身に降りかかり、清と濁を混合した快感が赤城の身を包み..

赤城は自分の身も心も汚れていくのを感じていた


4人はでんしゃごっこのような体制で繋がり..

道路の上には漢たちの喘ぎ声が轟き渡り...

道行くサラリーマンや作業員の男たちは若者たちをニタニタと下卑た笑みを浮かべて見守っていた


「おい..お兄ちゃん..前が寂しいだろう..俺がおまえのを咥えてやるよ..」

「な..なんだアンタ..ウオッ!?」

でんしゃごっこの先頭で真壁君に尻を蹂躙されている京介の前に、見ず知らずのハゲデブのおっさんがしゃがみこんで、京介のピーを口に咥えこんだ
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:13:22.72 ID:34E8RAEK0
それからどのくらいの時間が経ったのだろう..

永遠とも思える宴の時間にも終わりの時がやってきた..


「高坂先輩..出ます!!」

「真壁..行くぞ!!」

「受け取れ..赤城!!」

「お..そろそろ出るな..いいぞ..おっちゃんの口の中に出しな..」

ドクン...!!


『アッー!』

『アッー!』

『アッー!』

『アッー!』


4人は快楽の波に溺れながら、体の中に溜まりに溜まった衝動を...それぞれの相手の中にブチまけた...
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:13:50.25 ID:34E8RAEK0
オオオオーーーーーーー!!!!!


パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!!!!!!


最後までやりきった4人にギャラリーのおっさんたちが惜しみない拍手を送る...


今まで生きてきた中でこれほど充実した瞬間はなかった...

ホモは...いい...




全ての呪いを受け止めた後..

アタシとあやせは何も言わずゆらりと立ち上がり、ゆっくりと部屋の出口へと歩き始めた
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:14:16.03 ID:34E8RAEK0
ーーーーーーー
ーーーーーーー

「ハァ..ハァ..ッ..ギリギリだったわ...これ以上の魔力が注ぎ込まれたら..私の器がもたなかったかもしれない...」

乱交シナリオを読み終わった黒猫の顔は恥ずかしさのあまり真っ赤になっている..しかし、その顔はやり切った女の顔で清々しさすら感じることができた。

「くっくっく...なんて稚拙な話だったのかしら..物語としてこれ以上ないほど破綻していたわ..」

「前の章のキャラクターたちが予定調和を押しのけて出張ってきたり..往来のど真ん中で乱交を始めたり..ギャラリーが全員ホモで乱入してくるモブがいたりと滅茶苦茶だったわ」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:14:42.04 ID:34E8RAEK0
「ウッ!!!」

対する俺は吐き気を抑えきることができず、部屋を飛び出して廊下を駆け出した

トイレに駆け込もうとドアノブを思い切り捻るも、ガチャガチャ..という音を立てるだけでトイレのドアが開くことはなかった

誰だ!!この非常時にトイレを占有している不届き者は!?

「誰?桐乃?それともあやせ?あ〜ワリー〜今ピー!してる最中だから待ってて..もう少しで出そうなんだけど..あ〜うぜー!!ちゃっちゃと出て来いよてめー!!」

かーなーこ!!!なぜこのタイミングでトイレに入っているんだおまえは!?

それに女の子がピーしてる最中とかいうんじゃない!!

クソッやむを得ん!!
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:15:10.07 ID:34E8RAEK0
「オエッ!!オロロロッ!!!!!!!!!」

近くにあった窓に駆け寄ると庭に向かって胃の中のモノをぶちまけた

「しょうがなかった..しょうがなかったんだ!!」

しょうがないという言葉を繰り返し、自分を納得させようとしていると..


ジャー...ガチャ..

「お..おい..おまえ..一体なにやったんだ!?ま..窓の外にゲロ吐いてんじゃねーよ何考えてんだ!?」

ようやくトイレから出てきた加奈子が道路に嘔吐している俺の背中に追い打ちの言葉を投げかけた


「し..仕方がなかったんだ..仕方が..なかったんだよ..」

加奈子に対して言い訳にもなっていないセリフを返すと、あまりにも情けなくて目からポロ..と涙が一滴滴り落ちた
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:15:41.65 ID:34E8RAEK0
「コラーーー!!!京介ーーー!!!アンタ何やってるの!!?」

「ゲゲッ!!お袋!?」

窓の下からお袋の怒鳴り声が響き渡る..

道路の真ん中にお袋が仁王立ちしており、鬼のような形相で俺の顔を見上げていた

どうやら俺が2階の窓からゲロを吐くところを見られてしまったらしい..

ちくしょー!!なんだってんだ今日は!!厄日なのか!?


2階の窓からゲロしているところを加奈子とお袋に見られてしまい、俺のプライドと尊厳は粉々に砕け散ってしまった..

108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:16:09.29 ID:34E8RAEK0
「フフ..トイレには間に合わなかったのかしら?無様ね...先輩」


ドン引きの表情を浮かべている加奈子と、涙目になっている俺の背後に黒猫が姿を現した

黒猫の手には瀬菜のBLシナリオが握られており、顔面蒼白になりながらも勝ち誇ったような笑みを浮かべていた


「あー!!オメーさっき大声でホモ小説読んでいた変態女だろ!?何考えてんだよマジきめー!!」

「な..誰が変態ですって!?ビッチ3号め!!」

「誰がビッチだこのヤロー!!あんな小説大声で読んでいるお前の方がよっぽどビッチだっつーの!!」

「グ..ぐぬぬ..」

加奈子に正論を言われた黒猫はぐうの音も出ないようで、悔し気に唇をかみしめていた
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:16:39.67 ID:34E8RAEK0
「こらー!!京介ー!!アンタ後でお父さんに叱ってもらうからねー!!」

窓の外からはカンカンに怒ったお袋の叫び声が聞こえてくる..

ひえええ!!窓からゲロを吐いていたことが親父にバレたら絶対恐ろしいことになる!!

ちくしょー!!なんだってこんなことになっちまったんだ!?


「黒猫!!おまえのせいで俺は気持ち悪くなって吐くことになったんだぞ!?そもそもなんでわざわざ口に出して読むんだよ!?何を考えてんの!?」

「あら..口から涎が垂れているわよ..?ゴックンした方がいいんじゃないかしら?」

「ゴックンじゃないっつーの!!もうホモの話はやめろ!!」


だが..2階からゲロを吐くところを加奈子やお袋に見られたことなど..これから起きる不幸に比べれば前座に過ぎなかったのだ..
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:17:10.56 ID:34E8RAEK0
なぜなら...


ギィィィ....


桐乃の部屋の扉が軋む音を立てゆっくり開き..

スタ..スタ..という静かな足音が俺たちに迫ってきた


「な、なんだ!?」

「き..桐乃?」


突然の来訪者に驚き固まる俺と黒猫..

「アンタ...何やってるの?」

「あなた..だったんですね..全ての元凶は...」

俺たちの退路を断つかのごとく..鬼神を思わせる憤怒の表情を浮かべた桐乃と、光彩がドス黒く変色し妖艶な笑みを浮かべたあやせが現れた
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:17:36.18 ID:34E8RAEK0
「アンタ..なに自分が書いたホモシナリオ黒猫に読ませて興奮してるの..?キモッ..!」

「は..はぁッ!?お前何言ってんの!?」

桐乃は心底軽蔑している目つきで俺を睨みつけた



「アナタが..あの小説の作者だったんですね..あんな小説でお兄さんをたぶらかし..桐乃を苦しめたアナタを許すわけにはいきません...」

「な..なにアナタ..ちょ..ちょっと落ち着きなさい...私はあのシナリオの作者じゃないわ..!な、なんという邪悪を器に宿しているの..こんな禍々しい魔力..現世では見たことがない!!」

光彩がドス黒く濁ったあやせの瞳に射抜かれた黒猫は神話に登場するメデューサに石にされてしまったかのごとく、その場から動けなくなってしまった
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:18:04.80 ID:34E8RAEK0
「な..なんだお前突然..!!ま、まさか..さっきの黒猫の朗読..聴いていたのか!?」

「聴いていたのか?じゃないでしょ!?あんなデカい声で朗読されれば嫌でも聞こえるっつーの!!どうせアンタが黒猫に声に出してあのキモイ文章読んでって頼んだんでしょ!?」

「違う!!俺はそんなこと頼んでないし!!そもそも..ホモの話で興奮するわけないだろ!?」

「ウソつくな!!!」

「ひぃ..!!」

桐乃の怒鳴り声が2階の廊下に響き渡る..鬼気迫る表情で俺を糾弾する桐乃の気迫にすっかり俺の心臓は縮み上がってしまった

113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:18:32.17 ID:34E8RAEK0

「汚らわしい..アナタのすべてが汚らわしい..その醜悪な心で醜い文章を創り出し..お兄さんと桐乃を堕落させようとするアナタは..駆除しなければなりません...」

あやせはスカートのポケットの中に手をゆっくりと差し入れるとスタンガンを取り出した

「ま..待ちなさい!!アナタは誤解してるわ!!あの文章は私が創りだしたものじゃないって言っているでしょう!?」

「嘘つくな!!あの作品がアナタのモノでないのなら、あんなに楽しそうに読めるはずがない!!」

「そ、それは..桐乃をからかうためにわざと大きな声で...」

「ほらやっぱり..桐乃を困らせるためにやっていたんじゃないですか..お兄さんと桐乃にこれ以上害をもらたそうとするのなら..本当に駆除しますよ!?」

あやせはスタンガンの電源を入れるとバチバチという青白い火花が廊下に撒き散らされた

「ヒッ..!!」

あやせの怒りを買ってしまった黒猫は恐怖で縮み上がってしまった

黒猫の手からBLノートが滑り落ちバサッ!という音を立てて床に叩きつけられた
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:19:01.65 ID:34E8RAEK0
「おいその辺にしとけよあやせ!!桐乃もだ!!人んちで殺し合い始める気かテメーら!!」


悪鬼と化した桐乃と暗黒面に堕ちたあやせを一喝する加奈子の叫びが廊下に響き渡った


加奈子ーー!!お前だけは信じていたぞ!!俺の周りの女子で麻奈実を除けば何気にお前が一番の常識人だもんな!!


「た..助けて!!」

「わ!!暑苦しーんだよ!!しがみつくなキメーな!!」

あやせの狂気に心底震えあがった黒猫は加奈子の背後に隠れ、雨に打たれた捨て猫のようにブルブルと震えていた

「お..俺もだ!!匿ってくれ!!」

「なんだテメー男だろ!?女の子の後ろに隠れてんじゃねーよカス!!」

咄嗟に俺も加奈子の背後に隠れた。

笑いたきゃ笑えばいーさ!!それほど桐乃とあやせがおっかねーんだもん!!
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:19:29.51 ID:34E8RAEK0
「加奈子どいて!そいつ殺せない」

悪鬼を思わせる表情を浮かべた桐乃が加奈子を威嚇する..

「お..おま..!!仮にもおれはお前のお兄ちゃんだぞ!?それにそのセリフはお兄ちゃんに向けるモノじゃ..」

「うるさい!!ホモは死ね!!」

桐乃は黒猫が落としたBLノートを拾い上げると、俺めがけて勢いよく投げつけた

「ぶべぇ!?」

空中でノートのページが開き、俺がホモ電車の先頭で犯されている挿絵のページが顔面に叩きつけられた


「加奈子..手癖の悪い泥棒猫のしつけをしないといけないからどいて..」

あやせはスタンガンを握りしめると、井戸の底のようなドス黒い瞳で黒猫を睨みつけた

「ッ!!」

殺意の波動に目覚めたあやせの迫力に黒猫は怯えの表情を浮かべるも..

ゾクゾクッ..!と何かに興奮したように体を震わせた
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:19:59.90 ID:34E8RAEK0
「だーかーら!!その物騒なの仕舞えつってんだよ!!いいかげんにしろよテメーら!!」

二人の悪鬼を毅然とした表情で一喝する加奈子を俺たちは羨望の眼差しで見つめていた..


「く..黒猫ぉ..!!」

「せ..先輩..!!」

俺たちはそんな加奈子の背後に隠れると、嵐が過ぎ去るのを願うように身を抱き合って震えることしかできなかった..

117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:20:30.54 ID:34E8RAEK0
「アンタ!!なに黒いのと抱き合ってんのよ!!離れろ!!」

「桐乃とお兄さんをたぶらかす魔女め..!!わたしがこの手で成敗してくれます!!」



「お..落ち着けおまえら!!暴力は何も生み出さない!!話せばわかる!」

「私とアナタはきっと同胞になれる..さあ..来なさい..アナタの内に秘める邪悪を我が器に注ぎ込むがいい..!!」

「突然お前は何を言い出すんだ!?死にたいのか!?」


黒猫の奴..恐怖で頭がおかしくなったのか!?
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:21:00.02 ID:34E8RAEK0
桐乃とあやせが牙を剥き場の空気が極限まで張り詰めたその時..


「京介!!アンタ2階の窓から嘔吐するとか何を考えてんの!?」

お袋がドスドスという大きな足音を立てて階段を上ってきた


「ご近所さんに見られていたらどうしてくれるの!?お母さん恥ずかしくて表を歩けなくなるじゃ..あら?桐乃帰ってたのね..あら、お友達も一緒で..お、おほほ..いらっしゃい♪」


「お母さんただいまー!!今友達来てるからさ..何かお茶菓子を用意してくれない♪」

「桐乃のお母さんお邪魔してます♪」


にこやかな笑みを浮かべた桐乃とあやせが愛想よくあ袋にあいさつした


怖えええええーーーー!!!なんだコイツら!?二重人格か!?
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:21:26.02 ID:34E8RAEK0
俺と黒猫を追い詰めていた二人の鬼気迫る表情が一変し、普段通りの桐乃とあやせに一瞬で戻ったことに俺の背筋にゾクゾクッ..と悪寒が走った

女って..やっぱり怖え...

あ、だからって俺はホモには走らないからな?勘違いすんじゃねーぞ?


「お..おほほ..待っててね..今お茶とケーキを準備するから..!!」

娘の友達に汚い言葉を聞かせてしまったことをごまかすようにお袋は作り笑いを浮かべると、お茶菓子を準備すべく下の階へと降りて行った..

お袋..よくぞこのタイミングで来てくれた..初めてアンタに感謝した気がするよ..
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:21:54.50 ID:34E8RAEK0
ーーーーーーー
ーーーーーーー

「な...なーーんだ..これはアンタが書いたものじゃなかったんだ..そうならそうともっと早く言ってよね〜!!」

「も..もう..そそっかしいんですから..もっとはやく言ってくれれば私もあんなに怒らなかったのに...」


「何度も言ったよ!?大体なんで俺がホモ小説を書くんだよ!?」

「この本は私が書いたものじゃないわ..これはウチの部活の脳みそが腐りきっている女が創り出した呪いの書なのよ..」


桐乃とあやせはバツの悪さをごまかすように笑みを浮かべ、俺と黒猫の分のケーキやお茶の準備をしていた
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:22:28.50 ID:34E8RAEK0

「このケーキうめー!!おばちゃんもう一個食っていいか!?」

「どうぞどうぞ♪..好きなだけ食べてって頂戴..!!あ、私ちょっと急用を思い出したからでかけてくるわね〜」

そういうとお袋はそそくさと家を出て行ってしまった..年頃の娘たちに嘔吐という言葉を聞かせてしまったのがよっぽど気まずかったようだ..


騒動の発端になった本の裏表紙に赤城瀬奈という作者の名前が記されており、桐乃とあやせの誤解はあっけなく解けたのだった

俺たち一同は場所を下のリビングへと移し、和解の印としてテーブルを囲んで和やかにケーキを頬張っていた


「それにしても..なんでおまえらあんなに怒ってたんだよ?黒猫がちょっと卑猥な小説読んでいたからって過剰反応しすぎじゃねえのか?」

「ハ..ハァ!?あんなキモイ文章の朗読を聞かされたら怒るにきまってんじゃん!?」

桐乃は顔を真っ赤にしてそう叫んだ。コイツ..何か隠してやがんな?
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:22:54.28 ID:34E8RAEK0

「桐乃..お兄さんと黒猫さんに迷惑をかけてしまったんだから..隠すのはもうやめよう?ごめんなさいお兄さん..黒猫さん..実は私と加奈子は桐乃に相談を受けていたんです」

「相談?なんの..」

俺は何げなく紅茶が入ったティーカップをくいっと傾けて、中の紅茶をズズ..と啜った


「今日ずっとコイツ悩んでいたんだぜ?自分の兄貴がゲイなんじゃないかって..」


ブーーーーーッ!!!!


俺は口に含んでいた紅茶を盛大に吐き出した
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:23:21.78 ID:34E8RAEK0
「うわ!!汚ね!!ちょっとかかった!!」


「桐乃..今日ずっと元気なくて..数学のノートと..この..B..BL小説を間違えて学校に持ってきてしまうくらいに..お兄さんは桐乃を悩ませていたんですよ!?反省してください!!」


な、なに..!?コイツら今なんて言った!?

お..俺がホモ疑惑をかけられていて..しかもこのBLシナリオを桐乃..学校に持っていったの!?なんでどうしてWhy!?
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:23:51.49 ID:34E8RAEK0
「ま、待て..!!そもそもなんで桐乃がこのBLシナリオを持っているんだ!?そこからしてまずおかしーだろーが!!」

「アンタ..昨日の夜中..こんな素晴らしいシナリオが書けちゃう自分が怖いとか..キモイこと言ってたじゃん」

「お..おまえ..あの時の俺の独り言を..聞いていたのか?」

「べ..別に聞きたくて聞いてたわけじゃないし...壁が薄いから..聞こえちゃっただけだし..」

桐乃は頬を赤らめると、きまりが悪いのか俺から顔を背けた

「そ..それで..どんなシナリオ書いたのか添削してやろうと思って..アンタが寝静まった部屋に入ってこっそりこのノートを手に取ったら..こんなのが書かれてて..」


事情は理解した..あの時机の上に置いてあった3冊の本は部長のシナリオ、真壁君のシナリオ、そして瀬菜のシナリオだった。

桐乃はその中の瀬菜のシナリオを俺が描いたモノだと思い込んでしまったのだ。
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:24:21.26 ID:34E8RAEK0

「で..でもよー..なんでそのままBLシナリオを部屋に持って帰ってしかも学校にまで持っていくんだよ..意味わかんねえよ..」

「あ..アンタがゲイかもしれないって思ったら..ショックで..うっかり部屋に持って帰っちゃって..数学のノートと間違えてカバンに入れちゃったの!!」

「どんなうっかりだ!!俺はゲイじゃねえ!!それに製作途中のシナリオを勝手に読もうとするんじゃねえ!!」

「わ..悪かったわよ!!そんなに怒んなくてもいいじゃん!!」

まったく..寝ている隙に部屋のモノを勝手に持ち出されるんじゃたまったものじゃねえな..

しかも..友達連中に俺のホモ疑惑を打ち明けるとは..もうお兄ちゃんのライフはとっくに0だぜ..


もうライフポイントが0になってこれ以上俺のライフが削れることはないと思っていたが..
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:44:45.64 ID:34E8RAEK0
「加奈子は桐乃の兄貴はゲイじゃないって最初からわかってたぜ..だってベッドの下のエロ本の中にゲイの本がなかったからな」

加奈子が俺の心にさらなるダイレクトアタックを仕掛けてきた


「んなーーーーーー!!!!お..おおおおおおまえら!!!!ベッドの下を覗いたのか!?」

恥ずかしさのあまり俺の顔は真っ赤になり、思わずイスから立ち上がった


「あ、やべ..これ言っちゃいけない奴だった?わりーわりー」

加奈子は右手てボリボリと頭を掻くとテヘペロ♡と言わんばかりにかわいく舌を突き出した

「おい!!なんで俺の部屋勝手に漁ってるんだよ!?じ..人権侵害だ!!」


「う..うっさい!!アンタがゲイじゃない証拠を見つけるために仕方ないことだったの!!つーかなに?アンタ..どうしてエロ本の中に、アタシとあやせと加奈子と黒猫の写真が混じってんの!?」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」


攻撃力4500は超えるであろう強烈な一撃が俺の心を殴りつけた

ピピピピピピピピ..!!という俺のライフポイントを勢いよく削っていく電子音が聞こえたような気がした。
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:45:33.40 ID:34E8RAEK0
「加奈子は桐乃の兄貴はゲイじゃないって最初からわかってたぜ..だってベッドの下のエロ本の中にゲイの本がなかったからな」

加奈子が俺の心にさらなるダイレクトアタックを仕掛けてきた


「んなーーーーーー!!!!お..おおおおおおまえら!!!!ベッドの下を覗いたのか!?」

恥ずかしさのあまり俺の顔は真っ赤になり、思わずイスから立ち上がった


「あ、やべ..これ言っちゃいけない奴だった?わりーわりー」

加奈子は右手てボリボリと頭を掻くとテヘペロ♡と言わんばかりにかわいく舌を突き出した

「おい!!なんで俺の部屋勝手に漁ってるんだよ!?じ..人権侵害だ!!」


「う..うっさい!!アンタがゲイじゃない証拠を見つけるために仕方ないことだったの!!つーかなに?アンタ..どうしてエロ本の中に、アタシとあやせと加奈子と黒猫の写真が混じってんの!?」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」


攻撃力4500は超えるであろう強烈な一撃が俺の心を殴りつけた

ピピピピピピピピ..!!という俺のライフポイントを勢いよく削っていく電子音が聞こえたような気がした。
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:48:02.99 ID:34E8RAEK0
「そ..そうだった!!変態変体変態!!私の写真集だけならともかく..実の妹である桐乃の写真をナニに使っていたんですか!?」

「ご..誤解だ!!お前たちは誤解をしているぞ!!」

「どう誤解だっていうのか..ちゃんと筋道を立てて聞かせてもらえるかしら?」

黒猫がジ..と蔑むような目で俺を見つめてきた

「アンタの抜きネタの中に加奈子がコスプレして踊ってんのもあんじゃん?アンタ...妹の友達がアニメキャラのコスプレしてんのに興奮すんのかよ..」

「違うんだって!!だから俺の話を聞いてくれ!!」


「ホモ疑惑は晴れたけどよ..実の妹やその友達に片っ端から欲情するとかマジきめぇ..これからアンタのことエロ大魔王って呼ぶからな」

「やめんか!!わかった!!俺がお前たちの写真やエロ本を何に使っていたのかちゃんと説明するから..!!変なあだ名で俺を呼ぶのはやめろ!!」
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:48:40.00 ID:34E8RAEK0
「じゃあ説明してよ!!エロ以外の目的にアタシたちの写真を何に使っていたっていうわけ!?アタシだけでなく皆の写真まで..このシスコン!変態!!」

「だから誤解だっつってんだろ!!俺は自分のシナリオの資料にお前たちの写真を参考にさせてもらっていたの!!」



「シナリオの資料?それって..兄貴がキモイ声で傑作だって自賛してたやつのこと?」


「キモイは余計だ..ああ、そうだ..俺たちゲーム研究会は女の子をメインとしてシナリオを描くことが多い..」

「おまえやその周りの友達はモデルもやっているし女の子としてのレベルが高い..だからシナリオで女の子を描くときにお前たちを参考にさせてもらっていたのさ」


「レ..レベルが高い..//おほん..言いたいことはわかりましたが..わたしたちの許可を取らずに勝手にシナリオに使おうとしたのは問題です..」

「罰としてお兄さんが書いているシナリオをわたしたちに見せることを要求します!!」


あやせが顔を赤らめて俺にシナリオを見せろと要求してくる..
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:49:11.45 ID:34E8RAEK0
「いや、言いたいことはわかるが..あのシナリオはまだ未完成で今日一気に完成させるつもりだったんだよ..未完成の作品を人に見せるのはちょっと..」

「何いっちょ前に作者気取ってんのよ..これだけ人を騒がせて大事にしたんだから責任もってみせろ!!」

「お前が俺の部屋に勝手に入って部屋にあったモノを無断で持ち出すからだろーが!!」

「うっさい!!いいから見せろ!!」

恥ずかしさを隠すために桐乃は大声を張り上げる..


「ちっ..しゃーねーな..そんなに言うんじゃみせてやるか」

俺はやれやれとため息を吐くと、学生カバンの中から一冊のノートを取り出した

「ほらよ..これが俺のシナリオが書いてあるノートだ..読みたきゃ読め..」

無造作にテーブルの上にノートを放り投げると桐乃たちは興味津々といった感じで、ノートの周りに集まった
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:49:40.97 ID:34E8RAEK0

「どれどれ...タイトルは..きりりんの冒険?なにこれ..?あれ..?この主人公っぽいかわいい女の子..アタシにそっくり..」

「桐乃似の女の子の隣にいる黒髪の子はわたしそっくりです!!」

「なあなあ..このメルルみたいな服着てる女..加奈子にそっくりじゃね?」


登場するキャラクターたちのイラストを見て桐乃たちは戸惑いの声を上げる..



「ええ..登場するキャラクターたちは私がデザインしてアナタたちに似ているように書いたから..本人に似ているって言ってもらえてうれしいわ..」

黒猫は口元に手を添えて満足げにクスクスと笑みを浮かべた

132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:50:11.38 ID:34E8RAEK0
「え〜となになに..?世界を支配し人々を苦しめる闇の魔王べルフェゴールを倒す旅に出た勇者きりりん、魔法使いあやか、遊び人かなかなを操作して冒険の旅を繰り広げよう!」

「なんかベタな設定だけど..王道RPGみたいな感じね...」

桐乃は渋い顔をするもペラペラとページをめくってゆく


「あ..でもなんだか面白そうですね..舞台となる森や洞窟とかもCGみたいにキレイだし..設定もよく練られていると思います..」

「これってアタシたちを参考に描いたんだろ?さっすが加奈子をモデルにしただけあってかわいいじゃねーか!!」

「ふ〜ん...アンタが作ったシナリオにしては面白いじゃん..あ、キャラごとの一枚絵もある..あにこれ!?ちょーかっこいいじゃん!!」


勇者きりりんがモンスターたちと果敢に戦闘を繰り広げる一枚絵に桐乃は感嘆の声を漏らした

コイツがこんなに褒めてくれるってなかなかないことだよな..
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:50:45.25 ID:34E8RAEK0
「あ..あやかが仲間の傷を魔法で癒している一枚絵があります..きりりんをしっかりサポートしていて..偉いですねあやかは..//」

膝小僧から出血しているきりりんを魔法で懸命に治療しているあやかの一枚絵を見てあやせは満足げな笑みを浮かべた。

ゲームの中とはいえ、桐乃似のキャラの役に立てているのがうれしいんだな。やっぱりあやせは優しい奴だな。


「ふ〜ん..桐乃の兄貴の割には冴えない奴だなと思ってたけど...けっこうやるじゃん..!」

加奈子も自分とそっくりなキャラクターが仲間のために奮闘する挿絵を見てまんざらでもなさそうな顔を浮かべた。


俺たちはシナリオブックの話に花を咲かせながら穏やかな時間が流れていった...
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:51:22.25 ID:34E8RAEK0
ーーーーーーー
ーーーーーーー

はずだった



「キモイ..マジキモイ!!信じらんない...最ッ低!!!」

「お兄さん...黒猫さん...これはどういうことか..説明してもらえますか?」

「死ねよ」



桐乃は怒りのあまり目に涙を貯めて俺たちを罵っている..

あやせは光彩をドス黒く染めて今にも俺たちをピー!してしまいそうな面持ちだ..

加奈子はゴミを見るような目で俺に死ねと命令してくる..



俺と黒猫は江戸時代の罪人のごとく床の上に正座をし、力なく頭を垂れている

桐乃たち3人は罪人を裁く奉行のような面持ちで俺たちを見下ろしていた
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:51:54.09 ID:34E8RAEK0
「さっきまで..みんな笑顔であんなに幸せな時間が流れていたのに..どうして..こんなことに...」

ポタ..ポタ..という音を立てて俺の目から零れ落ちた涙が床に滴り落ちてゆく..


「どうして?じゃないでしょ!?これは一体なんだって聞いてんの!!」

うっかり自分の気持ちを口走ってしまった俺のひざ元にバンッ!!という大きな音を立ててシナリオノートが叩きつけられた


シナリオノートには服をビリビリに破かれたきりりんががオークにリンカーンされているシーンが繊細に描かれており..

涙目のきりりんは「くっ...殺せ!」と言わんばかりの生意気さが残る表情でオークを睨みつけている
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:52:25.99 ID:34E8RAEK0

「なにって..戦闘に敗北したときのバッドエンドシーンの構想じゃん..」

「フッ..!我ながら力作に仕上がったと自負しているわ!!」


バン!!!


「ヒィッ!!」

「キャッ!!」


あやせがにこやかな笑顔のまま手に持った竹刀を思いきり床に叩きつけた

竹刀は警察官の親父が庭で素振りをするために部屋に置いてあったものだ


「お兄さん..黒猫さん..こんなふざけたモノを世に送り出そうとしていたんですか?あやかだけでなく..きりりんにまでこんな狼藉を働いて...ブチ殺しますよ!?」
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:52:56.46 ID:34E8RAEK0
「すいません!すいません!すいません!お、俺は反対だったんです!!創作とはいえ、妹とその友達を参考にしたキャラにこんなことするなんて!!」

「ちょ..裏切るつもり!?アナタが敗北した後の展開とか考えたほうがいいのかな?なんて言ったから私が気を利かせて書いてあげたんでしょ!?」

「俺はモンスターに慰み者にされろなんて一言も言ってないぞ!?ただ、ちょっとエロいシーンがあった方がユーザー受けがいいんじゃないかって言っただけで..」


「どっちも同罪です..!!醜い罪の擦り付け合いなんてみたくありません!!黒猫さん..アナタに聞きたいことがあります!!」

「な..なにかしら..?」

黒猫は恐怖で目に涙を浮かべるも..どことなくゾクゾクとした様子であやせの尋問に対応した
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:53:33.34 ID:34E8RAEK0
「このシーン..あやかは一体何をされているんですか?しかもこのシーン..強制敗北で必ず流れるシーンなんですよね」


あやせはドス黒いスライムたちがあやかの身体を弄び..あやかが闇に汚れていく様子が鮮明に描かれているページを黒猫に突き付けた


「このシーンはシナリオの構成上必要不可欠なシーンなのよ..あやかはきりりん達を守って闇の魔王ベルフェゴールの手に落ちてしまうの」

「そしてあやかは敵に凌辱されて純潔を失ってしまうの..闇に堕ちたあやかはダークエンジェルとして覚醒し、闇の魔王ベルフェゴールの配下としてきりりん達の前に終盤の強敵として立ちふさがるのよ」



柱に縛り付けられたあやかにベルフェゴールがけしかけたモンスターたちが襲い掛かる..なぜかこのベルフェゴールという魔王..麻奈美に似ているような..いや、気のせいか..


あやかの口からスライムたちがドロリとした魔力を注ぎ込み、慈愛に満ちていたあやかの瞳が闇に染め上げられていくシーンを黒猫は得意げに語った


「あなたを今この場で凌辱してあげましょうか?」

「や..やめてくださいお願いします」

殺意に満ちたあやせの言葉を聞いた黒猫はキレイな土下座を作ると、闇に落ちたあやせに許しを請うた
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:54:07.60 ID:34E8RAEK0
「しかもなんだよこのシーン..敵になったあやかとの戦いで敗北するとパーティ全員があやかに凌辱されるんだべ?」


加奈子はあやか戦での敗北シーンをペラリとめくった

そこには..あやかが召喚した大量の触手がかなかな..そしてブリジットちゃんを参考にしたと思われるキャラにあんなことやこんなことをしている一枚絵が記載されていた

きりりんの凌辱はあやかが直々に行っており、恍惚な表情を浮かべたあやかがきりりんの身体を堪能していた


「あやかはきりりんたちを捕らえて自分の仲間にしてしまおうと考えているの..この凌辱シーンによって主人公たちは全員闇落ちしてしまい世界は破滅を迎えるというバッドエンドよ」

「ブリジットにまで目を付けていたのかよ..ほんときめえ..死ねよ」

「すいません..」

加奈子はゴミを見るような目で俺を見下ろした...やべえ..死にたくなってきた..
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:54:40.33 ID:34E8RAEK0
「ブリジットじゃなくて、ブリジッタよ..この子はあやかの代わりにパーティに入ったメンバーで、条件が揃えば他の隠しキャラと交代されることもできるのよ」

設定資料集には沙織バジーナを参考にしたと思われる大柄の女性キャラや、赤城瀬奈を参考に創ったと思われるセナチーという名前のキャラの設定が記載されていた


「わ..わたしが桐乃とあんなことやこんなことを...///じゃなくて..こんなものは認めません!!」

「わ..わかってるよ..!!そもそもここにあるシーンはすべて没ネタだ..!!さすがにこういうシーンを作品に載せるのはマズいと思っていたから使う気はなかったんだよ!!」

「な..なんだ..そうだったんですか...」

あやせはホッとしたような、なぜかガッカリしたような微妙な表情を浮かべた
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:55:11.38 ID:34E8RAEK0
「アンタ..アタシたちにこんなキモイ物見せて..どうなるかわかってんでしょうね?」

「ど..どうすれば気分を直してくれるのでしょうか?」

「ノート貸して..アタシがこの作品のキモイ部分を全部修正して名作にしてあげる..」


桐乃はそう言うとノートを拾い上げサラサラとペンを走らせていった

142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:55:42.30 ID:34E8RAEK0
ーーーーーーーー
ーーーーーーーー

「ひっぐ..ひっぐ...どうして..どうして皆私の芸術をわかってくれないんですか...!」

ゲー研の部室に瀬菜のすすり泣く声が響き渡る..

泣きじゃくる瀬菜をゲー研の部員たちは鋭い目で取り囲み、罪人を断罪するかのような厳しい面持ちを浮かべていた。


「どうもこうもねえだろ..?なんだよこの作品は!!なんでゲー研の部員たちとお前の兄貴がホモ電車してるんだ!?ボツだこんなの!!」

テーブルの上には件のゲイシナリオが置かれており、怒りのあまり眉間に血管を浮きだたせた部長の雷が瀬菜に落ちた

「ひっどーい!!これ書くのに何時間掛かったと思ってるんですかー!?ま、真壁先輩なら..この作品の良さをわかってくれますよね!?」

「ごめん..ちょっと僕には無理かな..」

「そ、そんなー!!」

「ごめん..ちょっとトイレ..」

瀬菜に対して思いを寄せている真壁君でさえこのシナリオはキツ過ぎたようで..

気分が悪いのか青い顔で部屋を出ていった
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:56:08.23 ID:34E8RAEK0
「そんなー真壁先輩まで...ん?トイレ...?ハハァ..そういうことですか..もう!真壁先輩ったら..恥ずかしがることないのに..//」

瀬菜は顔を赤く染めると、ホモシナリオを手に真壁君を追いかけた

「真壁せんぱーい!!忘れ物ですよーー!!トイレのお供に私の作品を使ってもいいですよーー!!」

「え!?い、いらないよ..僕はそんなもの..ウッ!!オロロロロロロロッ!!!」

「きゃあ!!真壁先輩が吐いた!!吐くほど興奮したんですね!!次回作も楽しみにしていてくださいね!!真壁先輩♡」

「ウエッ!!」

ひでえ会話が廊下から聞こえてきた...真壁君..安らかにな...
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:56:36.83 ID:34E8RAEK0

「せっかくあの女に浴びせる辛辣な言葉をたくさん考えてきたのに..私が出る幕もなく終わってしまったわね..」

「だから言ったろ?お前がワザワザ手を下すまでもなく、あのシナリオはボロクソに酷評されて没になるって..」


ガッカリしたように肩を落とした黒猫に俺は労いの言葉をかけた

昨日俺が味わった苦行は一体何だったんだ...
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:57:07.48 ID:34E8RAEK0

「真壁と赤城が出ていっちまったが..まあいい..次は高坂..おまえのシナリオを見せてくれ」

「はい!!これです..!!」

「ほお..どれどれ..おお!なかなかいいぞ!!正統派RPGとは..悪くねえな!!」

「本当ですか!?」

「ああ..シナリオの完成度も高いし..キャラクターデザインもよく描けている..!!次のゲームはこれで決まりだ!!」

「あ、ありがとうございます..!!部長!!」

「よかったじゃない先輩..おめでとう」

「ありがとう黒猫..おまえが手伝ってくれたおかげだと..本当にありがとう!!」

「べ、別に私は..」

黒猫は照れくさいのか頬を赤く染めると顔を背けてしまった

「おいおい..これからが大変なんだぞ?よし..真壁と赤城が戻り次第作業に取り掛かるぞ!!全員気を引き締めて各々の役割に打ち込めー!!」

オーーー!!と他の部員たちの雄たけびが上がり、こうして俺と黒猫の合作「きりりんの冒険」が正式に制作されることが決まったのだった。
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:57:48.45 ID:34E8RAEK0
そして少しの時が流れ..


「先輩..「きりりんの冒険」なかなか評判がいいみたいよ?」

「おお..そうか..皆の力のおかげだよ..なかなかいい作品ができて俺もうれしいぜ!!」


「ネットに上がったコメントをいくつか読み上げていくわね..シナリオのテンポがよく、ゲームバランスも適正で面白かった」

「キャラのデザインがかわいく、小物などの細かいところも良く書き込まれていて、本当にダンジョンの中を冒険しているような気持ちになれた」

「闇落ちしたあやかちゃんとのバトルは燃えと萌えが合わさった名バトルだった。きりりんの友情パワーであやかちゃんが闇から救い出されて、仲間に戻ってきたときは涙が出た..」

「まさかベルフェゴールの正体が道具屋の看板娘だったなんて..何食わぬ顔できりりんたちに道具を売りつけて探りを入れていたとか怖すぎ..」

「回復薬を使ったら時々毒を受けることがあったからバグかと思っていたらそういうコトだったのか..」


黒猫はコメントをいくつか読み上げると満足げな笑みを浮かべる。コイツがこんな顔をするなんてよっぽどうれしかったんだな。
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:58:31.34 ID:34E8RAEK0
「ふふ..絶賛されているようでなによりだぜ..」

「でも..不満に思われている点もあるみたいね..敗北したあと凌辱エロシーンがあると思ったら、画面が暗転して宿屋から再スタートになるのはどういうことなんですか?という質問が来ているわよ?」

「そこは桐乃が修正したポイントだから..実を言うと俺も理由は聞いてないんだ..」


俺はゲームを起動させると敗北イベントのシーンが画面に映し出された


「や..やめろ!!バカッ!!」

「ち..近づかないで!!私たちになにをするつもりなんですか変態!!」

「きりりんとあやかには手を出すな!!やるならアタシからやれ!!」


戦闘に敗北したパーティがゴブリンやオークなどのモンスターたちに囲まれて怯えたように身を震わせている..

ゴブリンやオークは下卑た笑みを浮かべて、ジリ..ジリ..とヒロインたちににじり寄っていく..


「や..やだ..」

きりりんが絶望しギュッと目を瞑る..そして画面が暗転し...
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:59:01.70 ID:34E8RAEK0
「よお..気分はどうだ?」

次の瞬間パーティは宿屋のベッドの上で目を覚ましていた


「ハッ..あ、あたしたちは..それにここは..」

「ちゃ..着衣に乱れはないようですね..」

「誰だテメー!?アタシたちは敵にやられて気を失っていたハズだろ!?」


「敵?なんのことだ?夢でもみていたんじゃないのか?おまえたちはずっと俺の宿に泊まっていたんだぞ?」



「あ、あれ..そうだっけ?」

「そう言われれば..そんな気も..あれ?私たちって何をしていたんだっけ?」

「アタシたち..夢でもみていたのか..う〜んよく眠ったな..元気いっぱいになったし、みんな冒険に出かけようぜー!!」

「やれやれ...」

元気いっぱいになったきりりん一行は冒険の旅へと出ていった
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 19:59:43.10 ID:34E8RAEK0
「あの女はバッドエンドのエロシーンを全部カットして戦闘に敗北したら強制的に前の宿屋に戻されるみたいね..」

「セーブポイントからやり直しっていうのはRPGの鉄則だけど..ゲームオーバーの表記もなく前の宿屋に戻されるっていうのは斬新な仕様ね..」


「エロを求めていたユーザーからは受けが悪いけどな..まあ、でもそれ以上に肯定的なコメントが多いな。」




コメント欄にはきりりんたちが無事でよかったとか、かわいそうな女の子たちなんていなかったんだ..などの擁護コメントが記載されている。
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 20:00:17.18 ID:34E8RAEK0
「まあ..俺個人としてはあやかたんの闇落ちシーンだけはあのままの方がよかったんだが..仕方ねえか..」

「変態」

「んな..!!お、おまえ..俺の心が読めるのか!?」

「考えていることがうっかり口に出ていたわよ..」

「ググ..!!」


あやかの闇落ちスライムシーンは桐乃監督の手によってエロなしの設定に差し替えられており、ベルフェゴールが直々にあやかに魔力を注ぎ込んで配下にしてしまうという設定になっていた


「まあ..でもなかなかいい作品に仕上がったと思うぜ!シナリオ原案の俺も大満足だ!!」
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 20:00:57.09 ID:34E8RAEK0

「それにしても..あの子たちには資料として使うためだ!といってごまかしたけれど..桐乃やあやせの写真集をエロ本と一緒の場所に隠してあったことは..本当にそういう目的がなかったのかしら?」

「な..なんのことだ..アレを使ったことなど..ない..」

「本当かしら..私がメイド服を着ていた写真も混じっていたけれど..本当に使ったことがないの?」

「な...ない..!!」

俺は顔を赤くすると黒猫の視線から逃れるために顔を背けた...ちくしょー!!これじゃあバレバレじゃねーかー!!


「フフ..まあそういうことにしておいてあげる..1つ貸しよ..今度は..写真なんかじゃなくて..もっとリアルなモノを使ってみる?」

黒猫は顔を赤らめると、俺の手の上にそっと掌を置いた

「な...!!お、おまえ..それはどういう..!!」

「冗談よ..イヤらしい雄ね..」

「ぬぐぐ..!!」

黒猫にからかわれたことを悟った俺は悔し気に唇をかみしめた

ちくしょー!!年頃の男の子の純情を弄びやがってーー!!今夜は妄想の中でお前をめちゃくちゃにしてやる!!
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 20:01:33.58 ID:34E8RAEK0
「おい高坂!五更!!これから打ち合わせを始めるぜ!!今回の作品の反省点を踏まえて、次の作品のシナリオを作ろうぜ!」

「はい!!」

「ええッ!」

部長の呼びかけに俺と黒猫は元気な返事を返すと、俺たちは次の作品についての構想を話し合った
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 20:02:01.95 ID:34E8RAEK0

ーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー

「ふふふ〜ん♪」

「桐乃..ご機嫌だね?」

「え?そ、そんなことないよ〜もうやだなぁ〜あやせったら〜♪」

「どうせあれだろ?桐乃の兄貴が作っていたシナリオがゲームになって、ネットで好評されてんのがうれしいんだろ?あのシナリオの総まとめは桐乃が関わってたしな」

「もう加奈子ったら〜♪違うって言ってんでしょ〜♪」


「機嫌が良すぎて全然隠せてないよ..ねえ、桐乃..どうして戦闘で敗北したらゲームオーバーにもならずに宿屋から再スタートになるの?」

「そうだな..アタシもそれはおかしく思った。凌辱エロシーンをカットしたなら普通はゲームオーバーになってタイトルに戻るのが自然じゃね?」
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 20:02:32.69 ID:34E8RAEK0
「しょうがない..二人には特別に..アタシが考えた裏設定を教えてあげる..」


「う..裏設定?」

「なんだよそれ?」

「これは兄貴も黒いのも知らないアタシだけの秘密..特別にあやせと加奈子にだけ教えてあげるね?他の人には絶対しゃべっちゃだめだよ?」



「う...うん..」

「いいからさっさと教えろよ」

「実はね..?この宿屋の店主って、かわいい女の子を見つけるとコッソリその後をくっついていくストーカーなの」


「えええ!!?」

「な、なんだとぉ!?」

ウヒヒ..あやせと加奈子びっくりしてる..
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 20:03:06.67 ID:34E8RAEK0
「この店主は宿屋に泊まったきりりん一行のことを気に入ってその後をずっとつけてきたストーカーなの..きりりん達のことを隠れた所でずっとみていて、ハァハァと興奮している変態っていうわけ」

「でも女の子に手を出す度胸はないから、ただ隠れて見ているだけで絶対に手は出さない変態紳士っていうところかな」

「きりりんたちがモンスターにやられてしまったら、ヒドイことをされる前にさっそうと現れて、モンスターたちからきりりんたちを命がけで救出して近くの宿屋まで連れて行ってくれるっていうわけ..」


「ずいぶん親切な変態だな..」

加奈子は呆れたような表情を浮かべた
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 20:03:35.81 ID:34E8RAEK0
「で、でも..どうしてきりりんたちは誰もこの人のことを覚えていないの?命がけで助けに来てくれるんだったら..絶対にその人のことを覚えているはずでしょ?」



「ああ..それはコイツが実は作中最強の能力を持っていて、あらゆる魔法を使いこなすことができるエキスパートなの」

「コイツは恥ずかしがり屋だから..女の子に好意を持たれちゃったらどうすればいいのかわからなくて..」

「ヒロインたちを救出したら記憶を改ざんする魔法を使って、自分の宿屋に最初から泊まっていたことにしちゃうの」


「なんだそれ..そんな強さがあるんだったらもうお前が魔王倒しにいけよって話だな...」


「コイツは世界の平和とか全然興味なくて..自分の気に入った女の子が幸せだったらそれでいい変態だから..仕方ないの!」


「.....」

「.....」

あやせと加奈子は呆れたような顔を浮かべている..そんな二人の様子に気が付かないアタシはさらに解説を続けた
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 20:04:01.16 ID:34E8RAEK0

「アタシね..RPGとかやっているとずっと思ってたんだ..戦闘に負けて敗北するとゲームオーバーになって、セーブしたところからやり直しになるのが普通でしょ?」

「RPGの主人公たちは幾多のゲームオーバーの末にラスボスを倒して平和な世界を享受するけれど..それは魔王に勝つことができた世界戦の主人公たちだけのハッピーエンドなんだよね..」

「でもね..敗北した世界の主人公たちは、負けた後に敵にひどいことされて殺されちゃって終わりなんて..あんまりだと思わない?」

「アタシはゲームオーバーっていう言葉が大嫌いなの..負けた世界戦の主人公たちが悲惨な運命で終わりなんて許せない..」

「だからアタシは兄貴のゲームの設定を改ざんしてでも、ゲームオーバーという定義を無くしたかった..」

「ゲームオーバーという言葉に殺されてしまう主人公たちを誰かが必ず助けてくれる..そんな救いのある世界を創りたかったの」
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 20:04:32.89 ID:34E8RAEK0
「桐乃...優しいんだね桐乃は..」

「ずいぶん小難しいこと考えているな..イチイチそんなメンドクサイこと考えてゲームしたことなんてねえよ..」


「きりりんの冒険というゲームはゲームオーバーという名のバッドエンドが存在しない、ハッピーエンドの1ルートしかない世界なの..」

「アタシはシナリオのクソな部分を修正して素晴らしい作品に昇華してあげただけだよ」


「そうだね..桐乃の考えは素晴らしいと思う..!お兄さんたちのゲームが名作に生まれ変わって私も自分のことみたいにうれしいよ!!」

「ま、考え方は人それぞれだからな..桐乃がイイならそれでいいんじゃねーの?」


フフ..あやせと加奈子もわかってくれたみたい..

他のプレイヤーの人たちもアタシの考えに共感してくれる人がたくさんいるといいな..
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 20:05:02.33 ID:34E8RAEK0
「ねえ..桐乃..最初に見た時から気になってたんだけど..この助けに来てくれる宿屋の店主のデザインって..」

「どことなく桐乃の兄貴に似てるし..絶対このキャラのモデルあの変態兄貴だろ?」

「うぇ!?そ、そんなわけないじゃん!?何言ってんの二人とも!?」

「自分の兄貴を救いの救世主に無理やり設定して、自分そっくりなキャラを助けに来させるとか..桐乃ってブラコンだったのな」


「ハァ!?な、なに言ってんの!?アタシはブラコンなんかじゃないってば!!ね!?あやせもそう思うでしょ!?」

「お兄さんは..いつも私たちのことを助けてくれるから..」

「いざというときはお兄さんが助けてくれるハズ..っていう桐乃のお兄さんに対する信頼と愛情の気持ちがヒシヒシと伝わってくるね..」


「そんな〜〜!!あやせまで誤解だってば〜!!」


「ヒヒ...ゲイな兄貴が大好きなんて..桐乃もとんだ変態だな〜!!」

「はぁ!?アタシの兄貴がゲイなわけがないし..それにアイツは..」


妹大好きなシスコン兄貴...なんだからね//


おしまい
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 20:05:32.50 ID:34E8RAEK0
「黒猫さん..こんなところに呼び出して..何の用ですか?」

「フ..よくぞ逃げずに来たわね..ほめてあげるわ..ダークエンジェル..」

「誰がダークエンジェルですか..!!おほん..あの..わたしモデルの仕事とかあって忙しいんで..用件があるのなら手短にお願いします。」


先日の騒動の件と桐乃とお兄さんを巡るライバルということもあって、黒猫さんに対してついツンケンした態度を取ってしまう..

わたしってまだまだ子供なんだなぁ...
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 20:06:03.09 ID:34E8RAEK0
「そうね..まずはこれを見てもらえるかしら?」

「なんです...ッ!?」


怪訝な表情を浮かべるわたしに黒猫さんは一枚のスケッチブックを差し出してきた..そのスケッチっブックに何が描かれていたのかというと...


『いい..いいわ..ダークエンジェル..あなたの殺戮衝動を..この私に叩き込みなさい..!!』

『ハァ..!ハァ..!!気持ちいい..!!他人を痛めつけるのって..こんなに気持ちのいいモノだったなんて..!!』


地面に寝転がる黒猫さんを私がグリグリとお腹を踏みつけている一枚絵が描かれていました。

黒猫さんはなぜか恍惚の表情を浮かべており、黒猫さんのお腹を踏んでいるわたしもまんざらではなさそうです...
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 20:06:45.79 ID:34E8RAEK0
パーン!!

「フグッ!!」

「な..なななななんてものを見せてくるんですか!?この変態!!ぶち殺しますよ!?」


激情に駆られた私は手に持ったスケッチブックで黒猫さんの顔を殴りつけていました。

ちょっと力を入れすぎたせいか、黒猫さんは地面にズテンという音を立てて転んでしまいます。


「くっくっく..口より先に手が動くのね..さすがよ..さすが我が魔眼に魅入られし逸材..!!」

「なにを言いたいのかさっぱりわかりませんが..あなたがとんでもない変態だということだけは伝わってきました。」


「新垣あやせさん..折り入ってお願いがあります..聞いていただけますか?」

黒猫さんは急に素の態度になると地面の上にきれいに正座し、私を濁り切った瞳で見上げてきました。

「な..なんですか?」

「アナタに一目あったときから惹かれていました..どうか...私を踏んでください!!」

「へ?」

黒猫さんが地面に頭を擦りつける見事な土下座を私に披露し、自分を踏んでくださいとお願いしてきたのです。
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/07/28(火) 20:07:12.19 ID:34E8RAEK0
困惑と同時に..嗜虐心が私の心に湧き上がってくるのを感じ..

私の口から思いもがけない言葉が飛び出していました。


「いいですよ...私もアナタのことを壊したくなるほどイジメてあげたいと思っていたんです..これから私の部屋に行きましょう...たっぷりと..かわいがってあげますよ♪」

「....ッ!!」

光彩の濁ったわたしを黒猫さんはパァァッ!!という擬音が似合う笑みを浮かべて見返してきました..

この時から私と黒猫さんは心の奥底で惹かれ合う親友になり長いお付き合いが始まったというのはまた別のお話です


本当におしまい
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/29(水) 08:10:19.64 ID:sW8ATdCsO
懐かしいな俺妹
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/30(木) 00:10:13.90 ID:uMI5Fw0eo
最終巻前の懐かしい雰囲気だな
完成度たけーや超乙
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/30(木) 12:26:10.97 ID:ROJcvtT/O
いつウンコ漏らすんだろって思いながら読んでごめんなさい
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