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桐乃「アタシの兄貴がゲイなわけがない」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/07/28(火) 18:13:12.01 ID:34E8RAEK0
BL注意
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1595927591
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/07/28(火) 18:17:14.47 ID:34E8RAEK0
「ふひひ..ひ..久しぶりのりんこちゃん..今までごめんね?寂しかったでしょ?た〜っぷり..かわいがって上げるからね...ふひひ..じゅるり」
アタシ高坂桐乃..学業優秀、スポーツ万能な上容姿端麗な完璧美少女中学3年生!
海外留学から帰ってきたばかりのアタシはベッドの上でエロゲーを機動させて、りんこちゃんの裸体をたっぷりと堪能しているの
あ〜もう!りんこちゃんかわいすぎる..愛しのマジエンジェル..はぁはぁ(*´Д`)
海外留学中はエロゲをプレイできなくてエロゲ中毒を起こしていたアタシは画面の中のりんこちゃんで妹成分を五臓六腑にたっぷりと染み込ませているの♡
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:17:57.32 ID:34E8RAEK0
「あちゃ..もうこんな時間か..夜更かしはお肌の大敵なのに..今日はこの辺にしておくか..ふひひ..りんこちゃん..またちゅっちゅしよーね♡ふひひ♡」
時計を見ると深夜の2時を回っていて、そろそろ眠くなってきたアタシはエロゲを終了しパソコン画面を閉じて、ベッドで眠ることにした
「...あのバカ..さすがにもう寝ちゃってるよね..」
パソコンを閉じたことでシン..となった部屋になんとなく落ち着かなくなったアタシは隣の部屋で寝ている兄貴の様子を確かめるために壁に耳を押し付けてみた
べ、別に変なこと考えてるわけじゃないし!!
た、ただ..兄貴の寝息を聞けば..落ち着いてグッスリ眠れるかなって..ってちがう!
ア..アイツが..何かエロい夢でも見てキモイ寝言でも呟いていたら、上に飛び乗ってたたき起こしてやろうと思っているだけなんだから!!
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:18:36.94 ID:34E8RAEK0
「ふぅ..我ながら自分の才能が怖い..俺って..天才かも知れないな..」
あ、あれ?兄貴まだ起きてるの...?
寝言の代わりに薄い壁越しに聞こえてきたのは自分に酔ったキモイ声だった
「フフフ..アイツら..きっと驚くだろうな..俺がこんなシナリオを書けるようになったなんて知ったら..」
なに?シナリオって..そういえば..兄貴と黒いのがゲームを作る部活に一緒に入ったって聞いたけど..もしかしてソレ関係の?
「おっと..もうこんな時間か..続きはまた今度にしてそろそろ寝るか..」
カチャ..パタン..というペンを置く音とノートを閉じる音がしたあと、兄貴がベッドにもぐりこむゴソゴソ..という音が聞こえてきた
兄貴..ゲームのシナリオなんて書いてるんだ..どんなの書いているんだろ...
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:19:20.30 ID:34E8RAEK0
「zzz..zzz...」
はやッ!もう寝ちゃったの?
アタシなんか妹空書いていた時は神経が昂っちゃってなかなか寝付けなかったっていうのに..ある意味すごいわ..
「ラブリーマイエンジェルあやせたん..ふひっ」
キモッ!アイツあやせの夢みてる!! キモッ!!キモキモキモキモッ!!
何アイツ..妹の親友を夢にまで見て興奮しているっていうの!? こんなかわいい妹が隣の部屋にいるのにふざけんな!
海外留学から遥々私を連れ戻したっていうのに..他の女の子を夢に見るなんて何考えてんのよ!
あ〜ムカつくッ!ムカつくムカつくムカつく!どうせならアタシの夢を..って何考えてんのよアタシ..
(こんな気分になったのは全部アイツのせいだ!!)
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:20:02.10 ID:34E8RAEK0
アイツがあやせの夢を見ていることにいてもたってもいられなくなったアタシは部屋を飛び出して兄貴の部屋の前へとやってきた
カチャ..キィ..
カギのかからないドアを開けると、ベッドの中でだらしない寝顔を浮かべる兄貴の姿が目に飛び込んできた
「グオー..グオー..ふひひ..あやせたん..」
兄貴は毛布を抱き枕のごとく抱きしめて、チュッチュと口づけを交わしている..マジキモイ
「キモっ...夢の中であやせに刺されて死ねばいいのに..」
親友のあやせを夢の中で慰み者にされていることに怒りを覚えた私は、兄貴の頭にティシュボックスを叩きつけて部屋から逃げようと考えた
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:20:36.17 ID:34E8RAEK0
「アレ..これってもしかしてさっき兄貴が書いていた..」
ティッシュ箱を振り上げた時、机の上に3冊のノートが置きっぱなしになっているのが目に入った
兄貴がシナリオを書いていたと思わしき数冊のノートが机の上にあることに気が付いた私は、ティッシュを投げるのを中断してその中の赤いノートを手に取った
「ふーん..どうせ素人の兄貴が書いたシナリオなんて読めたモノじゃないだろうけど..妹空作者の理乃先生が添削してあげようじゃないの..どれどれ..?」
ペラ..何気なくノートをめくり、兄貴が作ったシナリオが目に飛び込んできた..
「な..なにこれ..」
アタシはページをめくったことをすぐに後悔した..なぜならそこに描かれていた内容はというと..
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:21:12.19 ID:34E8RAEK0
『なぁ..いいだろ..?高坂..』
『や..やめろ...何をするんだ赤城!?』
『暴れんなって...ローションを入念に塗っておかないと痛いからな..ジっとしてろよ..』
『や..やめろ..ウワッ!』
な..なによ..これ..お、男の人同士で..何をやっているの?
そこに描かれていたのは兄貴とガチムチマッチョの男のBLシナリオだった。
右のページには全裸にひん剥かれた兄貴がベッドに手足を拘束され、ガチムチマッチョの親友に尻の穴にローションを塗られている挿絵が描かれている
アタシの頭にガーン!という強烈な衝撃が走り、足元に根っこが生えたかのようにその場から動けなくなってしまった
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:21:47.65 ID:34E8RAEK0
「あ..アイツ..一体何を考えて..」
アタシはペラペラとノートをめくっていき、兄貴が脳内で創り出した物語をドンドンと読み進めていった
「部長..お、俺..初めて会った時から部長のことが...」
「高坂..お前もか..俺も一目見た時からおまえのことが...」
「部長..」
「高坂..」
兄貴と臭そうな眼鏡の男が狭い部室の中で全裸になって抱き合い...
二人は床に倒れ込んでそのまま...
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:22:29.08 ID:34E8RAEK0
「あ..あああ...」
アタシの口からうめき声が漏れ出す...
これ以上はもう読んではいけない..これ以上は..
頭ではわかっているのに...指が勝手にページを次々とめくってしまい...
「真壁君...キミ..かわいいよね...」
「か..からかわないで下さいよ高坂先輩...」
「子犬みたいな潤んだ瞳で俺を見つめないでくれよ...興奮するじゃんか...」
「こ、高坂先輩..だ..あ...」
兄貴は真壁という男の顎を指先でクイと摘まみ、口をゆっくりと近づけていき....
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
心に大きなショックを受けたアタシは声なき悲鳴を口から漏らし、茫然とその場に立ち尽くしてしまった
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:23:11.81 ID:34E8RAEK0
「う...うーん...」
「や、やば..」
兄貴が寝返りを打ち布団の中でモゾモゾと動きだす
焦ったアタシはそのまま部屋を飛び出し、自分の部屋へと逃げ帰った
「ハァ..ハァ...ハッ!!し、しまった..持って帰ってきちゃった!!」
混乱していたアタシはうっかり兄貴の部屋にあったBLシナリオを手に持ったまま部屋に戻ってしまった
「ど..どうしよう..戻したほうが..いいよね?」
兄貴の部屋に戻ってノートを元の場所に戻そうか迷っていると..
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:23:46.31 ID:34E8RAEK0
ガチャ..バタン
「ふぃ〜..トイレ...」
兄貴の部屋の扉が開き、トイレへと向かう兄貴の足音がスタスタと廊下に鳴り響いた
兄貴が起きてきちゃった..どうしよう..これじゃあこっそり戻すのは無理だよ..
兄貴の部屋に再度忍び込むのを諦めたアタシは、BLシナリオが書かれた赤いノートを両腕に抱きベッドの上に座り込んだ
(もしかして..アタシのせいなのかな..アタシがエロゲばっかりやらせていたから..兄貴は変な性癖に目覚めちゃったんじゃ...)
(でも..アタシはホモゲーなんて一本も持ってないし...それじゃあこれは兄貴の性癖...)
アタシは混乱する頭と悶々とする情緒を引きずったまま布団の中へと潜り込んだけど..結局一睡もすることができずに次の日を迎えてしまった
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:24:22.31 ID:34E8RAEK0
ーーーーーーー
ーーーーーーー
「ない..ない!..ない!!..ない!!!」
俺は高坂京介、自分で言うのも悲しいが特に目立った特徴のない平凡な高校3年生だ。
そんな俺はいまかつてないほどの焦りに襲われていた
「どうしたのかしら?先輩..」
俺の後ろからあまり感情の籠らない声で問いかけるコイツは黒猫
桐乃のオタク仲間にして、俺の大切な後輩だ
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:24:59.57 ID:34E8RAEK0
「く..黒猫..ない..ないんだよ!!」
「ないって...なにが?」
「瀬菜のシナリオがだよ!!まいったな〜..自分の作品を失くされたなんて知られたらアイツ怒り狂うぞ..」
「何をやっているのかしら..これだから下等な人間は..家に置いてきてしまったんじゃないの?」
「おまえも人間だろーが..それにしてもまいったな..今日は皆が書いたシナリオを踏まえて、皆の前でシナリオの良かったところと直すべきところを発表する場だったのに..これじゃあ瀬菜に怒られちまうな..」
俺はゲー研の部員だが専門的なスキルは何も持っていないので、みんなが書いたゲームのシナリオを読んで、思ったことや感想を述べるという役割を最近になって担うようになった。
もちろん、俺も自分も物語を作ってみたいという気持ちがあるから、みんなの書いた話を読んで勉強させてもらっているという目的もある。
正直言って読むのもキツイ作品も多々あったが、皆が心の中に持っている世界観の片鱗を覗くことができて中々面白くもあった。
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:25:39.67 ID:34E8RAEK0
部長の作品はエロや2次元のキャラが中心の作品が多かったが、さすが部長というべきか..なかなかに完成度の高い話が多く大変参考になった。
真壁君が書いたシナリオは巨乳の女がやたらと出てくるお話で、思春期の男子高校生が抱く健全なエロがふんだんに盛り込まれていた。
そして...瀬菜が書いたシナリオは
「まあいっか...瀬菜の書いたシナリオはホモばっかりだったから、流し読みしかしてないんだよな..」
「あの女が聞いたら怒るでしょうね..」
「だって..アイツの今回の作品って..俺がメインキャラになっていてさ..俺が赤城やゲー研の皆に犯される内容がノートの隅から隅まで描かれているんだぜ?」
「そんじょそこらのホラー小説よりもよっぽどホラーね...」
黒猫の額に一筋の汗がツ..と流れ落ちた
「たく..なにが悲しくて俺と周りの男どもが交わっている話を読まなければならんのだ...しかも、挿絵の完成度が滅茶滅茶高くて、脳内にそのシーンが妙に生々しく浮かんでしまうところがまた...」
俺は肩をすくめると、やれやれと頭を横に振った
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:26:11.27 ID:34E8RAEK0
「あの女の頭には腐海が詰まっているようね..アナタごとき人間風情がその一端に触れるだけでも邪悪な瘴気に身も心も侵食されて、正気を保てなくなるのも当然ね」
「役割とはいえアレを読まされる俺の身にもなってくれよ..なにが悲しくて俺が赤城や部長に犯されているシーンが描かれている話を読まにゃならんのだ..正直言って吐きそうになったぜ」
「そ..それなら..私が代わりに..読んであげてもいいのよ?」
黒猫は頬をわずかに赤く染め、体を落ち着きなくモジモジとさせた
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:26:42.96 ID:34E8RAEK0
「お..おまえ..俺が男に犯されているのをみたいっていうのか?変態!変態!変態!通報しますよ!?」
「バ..バカにしないでちょうだい!!た、ただ..私はあなたが読むのが辛いのなら、代わりに読んであげてもいいっていっているだけじゃない..」
「それにしてもだな〜!!」
俺が黒猫に追い打ちをかけようとしたとき、部室のドアが勢いよく開いた
「おはようございまーす♪高坂先輩!!アタシの作品読んでくれましたか〜!?」
瀬菜が部室に飛び込んでくるなり、俺がメインのBLシナリオの感想を聞いてきた
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:27:18.43 ID:34E8RAEK0
「気持ち悪くて吐きそうになったよ!!..というより..よくもまあ俺が周りの男子にホモられる内容のシナリオを当の本人に手渡せたな!?この変態!!」
「な...人聞きが悪いこと言わないでくださいよ!!今回のお題は各々の書きたい内容のシナリオを描いていいっていう話だったじゃないですか!!」
「だからって..なんで俺が皆に犯されてんの!?おまえの頭の中はどうなっているんだ!?」
「だって...」
俺と大声で瀬菜を糾弾すると、瀬菜は突如顔を赤らめて照れを隠すように体をモジモジさせた。
そんな女の子らしい仕草をしたって騙されないからな!!
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:27:50.42 ID:34E8RAEK0
「し..仕方がないじゃないですか!!先輩を見ていると..インスピレーションが沸いてきちゃったんですから..」
ポッ..と顔をさらに紅潮させて、恥じらうように俺から目を反らす瀬菜..仕草はとても可愛らしいが内容が最悪だった
「どんなインスピレーションだ!!どんな!!」
「ウチのお兄ちゃんと先輩って..絶対できてるよね..とか...真壁先輩と高坂先輩を絡ませたら...絶対新しい扉が開けるよね..とか..」
「開かんでいいそんな扉!!」
「どうしたんです?そんな大声だして..廊下まで響いていますよ?」
大声を出した俺を嗜めるように真壁君が部屋の中に入ってきた
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:28:29.02 ID:34E8RAEK0
「聞いてくださいよ〜真壁せんぱ〜い!!高坂先輩ったらひどいんですよ〜?あたしが書いたシナリオをボロクソにこき下ろしてくるんですもん!」
「ああ..大体のことは今の言葉でわかったよ...」
真壁君の頬から一筋の汗がツ..と流れ落ち、瀬菜の視線から逃れるように真壁君は目を横にそらした
「そういえば..僕のシナリオは読んでくれましたか?」
真壁君は話題を反らすために俺に話題を振ってきた。真壁君グッジョブ!!
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:29:00.31 ID:34E8RAEK0
「ああ..中々に良かったよ..真壁君はどれだけ巨乳を愛しているのかという気持ちがヒシヒシと伝わってきたよ..」
ぶっちゃけると気持ち悪かったんだけどな
「おお!!高坂先輩が僕のシナリオを褒めてくれた!!具体的にもっと言ってくれるとうれしいです!!」
「それは皆が揃ってからにするよ..赤ペンで誤字脱字とかも添削してあるから後でノートを渡すよ」
「おお..高坂先輩と真壁先輩がイイ感じになってる..次の作品は高坂先輩を攻めで続投するか...いやいやそれとも、真壁先輩を攻めに回らせてみるっていうのもありかも..」
「書かんでいい!!」
「書かなくていいから!!」
俺と真壁くんの気持ちがシンクロし二人の叫びが一体となって部屋に響き渡った
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:29:39.43 ID:34E8RAEK0
「おお!!先輩たちの声がハモった..!!やっぱり高坂先輩と真壁先輩は心の底では惹かれ合っているんですね!!」
「おまえなー」
「おー!おまえら元気でやってるかー!?」
俺が瀬菜に追撃をしかけようとしたとき、またもや部室のドアが勢いよく開き、部長が室内に入ってきた
「部長..また遅刻ですか..僕たちのリーダーなんですから、皆の手本になるような行動を心がけてくださいよ..」
真壁君が遅れてやってきた部長に苦言を呈す
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:30:53.33 ID:34E8RAEK0
「おースマンスマン!!徹夜でエロゲーやっていたらすっかり遅くなっちまってな!!ひと眠りしてさっき学校に来たところだ!!」
「部長..また留年しますよ?イヤですよ僕..部長と同級生になるなんて..」
「や..やっぱり部長と真壁先輩はできていて..部長が留年ばっかりしているのは真壁先輩と一緒になりたいから...ヤバい!!興奮してきましたー!!」
「やれやれ..こんな変人だらけで部として成り立っていられるのは、やっぱりこの部で唯一の常識人の俺の存在があってこそなんだろうな..世話が焼けるぜまったく..」
「バカばっかりねこの部活は..」
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:31:32.27 ID:34E8RAEK0
「さて..それじゃあ部の活動を始めるぞー!高坂、みんながお前に渡したシナリオ全部目を通してきたか?」
各々落ち着きを取り戻したところで、部長が部の活動を始めるための音頭を取った
「ああ、全部読んできちんと添削もしてきたんだが...スマン瀬菜!!お前からもらったシナリオだけ家に置いてきてしまったみたいなんだ!!」
「ええーー!?ひどいですよ高坂先輩!!私のだけ忘れてくるなんてあんまりです!!」
「ホントにスマン!!明日必ず持ってくるから!!」
俺は瀬菜に謝罪すべく両手を合わせて米つきバッタのごとくペコペコと頭を下げた
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:32:08.75 ID:34E8RAEK0
「もう..しょうがないですね高坂先輩は...」
瀬菜は呆れたようにため息をつくと、俺を許してくれた
「しかし..珍しいな高坂が忘れ物とか」
「そうですね..高坂先輩は変態ですけれどこういう所はいつもきちんとしてますもんね..」
「ハッ..もしかして..先輩もホモに目覚めたんですか!?それで、私にシナリオを返すのが惜しくなって家にわざと置いてきたんじゃ..」
「断じて違う!!おれはホモになんか目覚めてねえ!!」
「もう..それならそうと言ってくださいよ..そうですね..入門者向けの本をコレクションの中から見繕って明日持ってきますね」
「持ってこんでええ!!俺はホモじゃねえって言ってんだろ!!」
おいおい..勘弁してくれよ..俺は健全でノーマルな性癖を持った普通の高校生なんだよ..ぐすん
「まあいい..赤城の作品は明日検分するとして..高坂、他の部員の作品の感想と直すべきだと思った部分をあげてくれ」
「はい!!まず部長の作品をみて思ったことは...」
俺は皆が書いてくれたシナリオのコピーを一同に渡し、感想と直すべきところを挙げていった
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:32:47.52 ID:34E8RAEK0
ーーーーーー
ーーーーーー
「ふぁ...」
あのバカのせいで..結局一睡もできなかった...授業中にあくびしているのを先生に怒られたし..チョー最悪..
それより..なんで兄貴はホモになんか目覚めちゃったのかな...男が好きになっちゃたら...女のアタシなんて眼中に入らなくなっちゃ...いやいや何考えてんのよアタシ..
「桐乃..眠そうだね..大丈夫?具合悪いなら保健室に行く?」
「ニシシ...桐乃〜..授業中にあくびなんかしちゃって..せんせーに怒られてやんの..ダッセー」
「あ..あやせ..加奈子..大丈夫..ちょっと寝不足なだけ...」
くぅ〜..加奈子の奴〜バカにしてくれちゃって〜!全部アイツのせいだ!!後でとっちめてやるんだから!!
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:33:18.75 ID:34E8RAEK0
「桐乃が寝不足なんて..何か心配事?困っているなら相談に乗るよ?」
「い..いいよ..別に困っていることなんて...」
「お!その顔はありますって感じじゃん..なになに〜?完璧超人の桐乃様はどんな悩みを抱えているわけ〜?」
「加奈子..茶化しちゃダメだよ..でも桐乃..悩みがあるなら相談してほしい..わたしたち..友達でしょ?」
「あ..あやせ..だから悩みなんてないって...」
兄貴がゲイかもしれなくて悩んでいるなんて口が裂けても相談できないよ...あやせはともかく加奈子に知られたら、面白がられて何をされるかわかったものじゃないし...
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:33:53.28 ID:34E8RAEK0
「そう..桐乃がそういうのならいいけど..でも..いつでも相談に乗るからね?」
「うん..ありがとあやせ」
「ふーん..ま、別にどーでもいいけど〜」
「あ...桐乃!そんなことより数学の宿題写させてくれよ!!アタシやってくんの忘れちゃってさ〜」
「かーなーこ!!宿題は自分でやらないと意味ないでしょ!?」
「あやせにはかんけーねーべ!?な〜桐乃〜お願いだよ〜あたしこの前も宿題やってこなかったからさ〜」
「今回もやってこなかったってなったらやべーんだ!数学の先生おっかねーべ!?なーお願いだよ桐乃〜」
「はぁ..しょーがないなー今回だけだよ?」
アタシはしぶしぶとバッグから数学で使っている赤いノートを取り出すと加奈子に手渡した
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:34:24.88 ID:34E8RAEK0
「サンキュー桐乃〜やっぱ持つべきものは学業優秀な友達だぜ〜!...て、おい..なんだよこれ...」
「へ?どうしたの加奈子...ッ!?き、桐乃..これは一体..どういうこと?」
「え?どういうことって...!!」
赤いノートの中身を見た加奈子とあやせの表情が見る見るうちにこわばっていく...自分が何を手渡してしまったのか気が付いた瞬間..
サァーという音を立ててアタシの血の気が引いていく音を確かに聞いた
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:35:20.99 ID:34E8RAEK0
『ハァ..ハァ...高坂..で..出そうだ..おれ..もう..!』
『ウ..!ハァ..!いいですよ..部長!出してください!!部長のピーを俺のケツの中にブチまけてください!!』
加奈子が広げた赤いノートには数式の代わりに、アタシの兄貴と臭そうな男が裸で交わっている文章が記されていた
しかも右のページにはクオリティの高い挿絵が描写されており、イキ顔を浮かべた兄貴が臭そうな男に後ろから犯されていた
『受け取れ高坂ーー!』
『部長ーー!!』
兄貴と臭そうな男の交わりはクライマックスを迎え..
『アッー!』
『アッー!』
兄貴の中にピー!がたっぷりとぶちまけられ物語は幕を閉じた..
最後のページには右と左のページをフル活用した挿絵がデカデカと描かれており、兄貴はアタシが今まで見たことのない恍惚の表情を浮かべていた
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:35:53.02 ID:34E8RAEK0
「いやああああああああああああああああ!!!!!!」
ノートの中の兄貴に負けないくらいの音量でアタシの叫び声が教室中に鳴り響いた...
動揺していたアタシは数学のノートと兄貴の部屋にあったゲイシナリオを間違えてカバンに入れてしまったみたい..
「き、桐乃!!落ち着いて!!」
「なんだよこれ..おい!なんなんだよこれぇ...!」
比較的冷静なあやせとは対称に、心に多大なショックを受けた加奈子は(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブルという顔文字がピッタリの表情で震えていた
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:36:25.11 ID:34E8RAEK0
「おい、どうした!大丈夫か!?」
「高坂さん大丈夫!?なにかあったの!?」
叫び声を聞いたクラスメイトたちがわらわらとアタシの席の周りに集まってきた
まずい..!こんなものをクラスのみんなに見られたら社会的に死ぬ!!ここは逃げないと!!
「桐乃が体調悪いみたいだから、わたしと加奈子が保健室に連れていきます!!」
「あ..あやせ!?」
「え?おいなにす..ぐえ!?」
あやせはそう叫ぶと私の手首と加奈子の襟首をつかみ上げて、アタシたちを廊下まで引きずっていった
「なにす...グエーー!!く、首が絞まるーー!!は..離ぜーー!!」
あやせ..窮地に追い込まれたアタシを助けるために...ごめん加奈子....
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:36:57.73 ID:34E8RAEK0
ーーーーーーー
ーーーーーーー
「ってーなブス!!なにすんだよ!!死ぬかと思ったじゃねーか!!」
あやせはアタシたち二人を誰もいない資料室まで連れてくると、ようやく手を放してくれた
「ごめんね加奈子..でも、桐乃のピンチだったし..しょうがなかったの」
「しょうがなかったの..じゃねーよ!!加奈子まで連れてくる必要なかったろ!?」
「だって..あの場に加奈子を残したら..みんなにいらぬことをペラペラとしゃべられるかもしれないじゃない...桐乃の名誉のためにも..それは...ね?」
「ヒッ..!わ、わかったよ...もういいよ...」
あやせの光彩がドス黒く濁ったことに気が付いた加奈子は怯えの表情を浮かべて、それ以上はなにも言わなかった
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:37:29.12 ID:34E8RAEK0
「桐乃..説明してくれる...?これは一体どういうことなの?」
あやせはBLシナリオを手に取ると真剣な表情でアタシの顔を覗き込む..うう..どう説明すればいいのこの状況..というかあやせ..なんでそんなにグイグイ来るの..
「これっていわゆる..BL小説って奴だろ?姉貴の持っている資料でチラッと見たことがある...まさか桐乃がソッチ系の性癖を持っていたなんてな〜」
「ち..違う!!これは兄貴が..」
「お兄さん...?」
「あっ...」
うっかり兄貴の名を口走ってしまい、アタシの顔が見る見るうちに紅潮していくのが自分でもわかった
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:38:12.68 ID:34E8RAEK0
「どういうこと?桐乃...まさか..あの変態が桐乃にまた何かしているの?....この本に写っているの...桐乃のお兄さんだよね?」
あやせはBLシナリオをペラペラとめくり兄貴がマッチョの男のソレを咥えている挿絵を私に突き付けた
「お..おい..マジかよ桐乃..お前自分の兄貴でホモ小説を書いていたのかよ!?マジきめー!!」
加奈子はドン引きの表情を浮かべると、私から半歩後ろに遠ざかった
「違う!!これはアタシのじゃなくて兄貴の部屋にあったヤツ!!あたしはBL小説なんて書いてないし、そういう性癖もない!!」
「おまえなー..言い訳にしても苦しすぎんだよ..大体なんでホモ小説を学校に持ってきてんだよ..」
「そ、それは..私が使っている数学のノートとこのノートが同じタイプのノートだから間違えちゃって...」
「間違えるか?フツー」
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:38:43.63 ID:34E8RAEK0
「兄貴の部屋でこのノートを見つけたのが昨日なの!!慌てていたからこのノートを持ったまま兄貴の部屋を出ちゃったの!!」
「この話はたぶん兄貴が書いたもので...私は兄貴がゲイなんじゃないかってずっと悩んでいたの!!」
「怪しーなー..自分がそういうのを好きなのを兄貴のせいにしているようにしか聞こえねえよ」
「うう...」
加奈子はジト目で私を覗き込み尋問の言葉を投げかける
アタシは加奈子に対して言葉を返すことができずに、制服の裾をギュッと握りしめていた
「待って..桐乃はウソをつくような人じゃないのは加奈子も知っているでしょ?わたしは桐乃の言い分を信じるよ」
「あ..あやせー」
よかった...あやせは信じてくれるんだ...兄貴でBL小説を書いていた変態なんて、あやせにまで誤解されたら私もう学校に来れなくなるとこだったよ..
腐女子疑惑をうまく晴らすことができずにいたアタシは、あやせのその言葉に心の底からホッとするのを感じた
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:39:17.20 ID:34E8RAEK0
「ごめんね..桐乃..気付いてあげられなくて...」
あやせはアタシを優しく抱きしめると、ホロホロとあやせの涙がアタシの肩に伝い落ちてきた
「あ..あやせ?」
「桐乃はあの変態に強要されたんだよね..俺をネタにしてBL小説を書けって..」
「ハ...ハァ!?」
「妹だけでなく..男にまで手を出すなんて..あの変態..とうとうソコまで...」
あやせはギリッと奥歯を噛み締めると、アタシを抱きしめる力を強めた。...ちょっと痛い
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:39:44.74 ID:34E8RAEK0
「ち..違..アタシはBL小説なんて書...」
「あの変態にこんなに高度な文章が書けるはずないもの..お兄さんが桐乃を脅して無理やり書かせたに決まってる!!許さない..わたしの桐乃を汚したあの変態は..絶対に許さない!!」
や..やばいッ!!あやせがまた変な勘違いしてる..!でもどうやって止めればいいの!?
「桐乃の兄貴ってマジやべー奴なんだな..ウエッ..」
ヤバい!アイツの名誉がドンドン汚れていく..!なんとか止めなくちゃ!
「あ..あのねあやせ..私は別にそんなことされて...」
「今日の放課後桐乃の家にお邪魔させてもらうから!!わたしが直々にあの変態鬼畜お兄さんを成敗して桐乃を助け出す!!
や..ヤバい..こうなった時のあやせは誰にも止められない..ど..どうしよう!
「ヒヒ..なんだかオモシロそーなことになってきたな..加奈子も付き合ってやんよ!!桐乃の兄貴の正体を暴いてやるぜ!!」
ああ..もう知らない..!!どうにでもなれ..!
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:40:13.70 ID:34E8RAEK0
ーーーーーーー
ーーーーーーー
「....とまあこんなところだ」
俺は瀬菜以外の作品の論表を終え、ふぅと一息をついた
「いや...なかなか良かったぜ?中立的な目線がきちんと出来ていたし、俺の独りよがりになっていた部分に気が付くことができて中々有意義だった」
「ほ..ホントっすか?ありがとうございます部長!」
発表が褒められたことが素直にうれしくて俺は部長に頭を下げて礼を言った
「すごい良かったですよ高坂先輩!!でも..もうちょっと褒めてくれるとうれしかったなー..なんて..」
真壁君は少しだけ拗ねたように、俺から顔を背けた
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:40:54.38 ID:34E8RAEK0
「すまんな真壁君..俺なりの感想を言ったんだが..少し言葉が過ぎた部分があったかもしれない..気分を害したなら謝る」
「いいんですよ..作品の作り手としてきちんと批判されることは逆にありがたいことなんです..高坂先輩に言われたことを踏まえて今度はもっと完成度の高い作品を作ってみせます!!」
「ああ..期待してるぜ!!」
真壁君と俺は笑顔で向かい合うと、ガッシリと手を組み男と男の握手を交わした
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:41:24.11 ID:34E8RAEK0
「真壁×高坂..イヤ次も王道の高坂×真壁で行ってみるか...高坂先輩に作品を酷評されているところを、高坂先輩が真壁先輩を慰めに来てイイ感じになってそのまま...(/ω\)イヤン」
「(/ω\)イヤンじゃねえ!!即刻その腐りきった妄想をドブ川に捨ててこい!!」
「なんてことしてくれるんだよ赤城さん!!爽やかな男の友情が台無しじゃないか!!」
「爽やかな男の友情...そそりますね〜!!ジュルリ..ハァハァ..やば..興奮したら鼻血が出てきました..」
瀬菜は口から涎を..鼻から血を垂れ流して、俺と真壁君を食い入るようにみつめていた
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:41:55.85 ID:34E8RAEK0
「ちょっと先輩...私の作品の論表が他の人に比べると大分短かったと思うんだけど..私の作品だけ手抜きをしているわけじゃないでしょうね?」
「あ、ああ..別に手を抜いたわけじゃねーよ..俺なりに思ったことはきちんと述べたつもりだ...」
黒猫が手をあげて俺に対して抗議の言葉をぶつけてきた。黒猫にイタイ所を突かれた気がして俺の心臓が少しだけビクッと飛び跳ねる
「ウソね..先輩は私の作品に対してはワザと評論を避けていたように思ったわ..」
黒猫はジ..と睨むように俺を見据えてきた..うう..そんな目で俺を見るなよ..
正直なところを言うと俺は黒猫の作品に対しては、大分言葉を選んで当たり障りのないことを言ったよ...なぜかって?
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:42:25.40 ID:34E8RAEK0
「う〜む...俺の目で見ると五更の作品は..少々読むのがシンドイな..この分厚い設定資料を読んでからじゃないと物語で何を言っているのかわからないというのは...プレイヤーにとって酷な話だぞ?」
「そうですね..プレイヤーっていうのは基本的に短気で即物的な人が多いですから...これではプレイをする前にソッポを向かれてしまうと思います。」
「そ..それは..ふ..フフ..これは選ばれたモノだけがプレイすることができる魔導書なのよ...我が魔力に導かれた我が眷属に値するモノだけがこのゲームをプレイすることができるのよ」
ドラキュラかお前は...黒猫の言葉を聞いた部長や瀬菜たちの表情はますます険しいモノになってゆく..
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:42:52.45 ID:34E8RAEK0
「まあ..要はやたらと分厚い説明書ってところですかね..でも..これはダメですね..」
瀬菜はペラペラと魔導書もとい説明書をペラペラとめくり、遠慮の一切ない言葉で黒猫の作品を切り捨てた
「な...ダ、ダメですって...?」
「はい..ダメダメです..言っちゃ悪いですけど..読むに値しないレベルでひどいです..」
瀬菜の容赦ない言葉に黒猫の顔がみるみるウチに赤くなっていく...ほらな?こうなることがわかっていたから俺はできるだけ黒猫を傷つけないように、ポジティブ気味の当たり障りのない論表をしたんだ..
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:43:21.08 ID:34E8RAEK0
「まず第一に...この分厚い設定資料を読まないとゲームを進めることができないのなら...この設定資料もデータに取り込まなくてはならなくなります..」
「確かに..この分厚い資料をテキストに直すとなると..それだけで膨大なリソースを取られてしまうな...」
「時間もパソコンの容量も限られてますしね...この分量だとキャパオーバーかな..」
「そ..そんな...」
部長と真壁君も瀬菜の言葉に賛同し、黒猫の顔色は赤を通り越して青へと変わってゆく..、
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:44:00.21 ID:34E8RAEK0
「まさかこの分厚い資料を量産してプレイヤーの人に郵送で届けるなんてできるわけないでしょう?」
「ッ!」
瀬菜の言葉が追い打ちとなり、黒猫はスカートの裾をギュッと握りしめてその場に立ち尽くしてしまう....
顔面蒼白になって目に涙を浮かべている黒猫を一瞥し、俺はやはりこうなってしまったかと内心頭を抱えていた
瀬菜の言う通りこれをパソコンに取り込むとなると膨大な容量になってしまうということは、この分厚い資料集をみた瞬間に俺もそう思っていた。
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:44:29.81 ID:34E8RAEK0
「それに...設定が複雑な上に...中二セリフのオンパレードで読むのも正直言ってシンドイです...恥ずかしくなってくるというか...」
瀬菜の遠慮の一切ない評論が続く...
黒猫の作品に対する俺の感想は瀬菜とまったく同じだった。
俺は一通りあの分厚い資料にも目を通して、黒猫の作品を一読したけれど...相変わらず独自の設定や複雑な言葉が多すぎてまったく頭に入ってこなかった..
登場キャラクターたちの痛々しい中二セリフを読み続けるのも...趣向の全く異なる俺にとっては苦行以外の何物でもなかったのだ..
だが...この設定資料集には黒猫の情熱が籠っていることは一目で伝わってきた...
素晴らしいモノを作ろうと思って時間と手間暇をかけてこの作品の制作に打ち込んだ黒猫の気持ちを考えると...
俺の口からはどうしてもコイツを否定する言葉を吐くことができなかったんだ..
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:45:19.07 ID:34E8RAEK0
「.....ヒック」
悔しそうに目に涙を浮かべる黒猫を見て、部長や瀬菜たちはしまったという表情を浮かべる
「す...すいません五更さん...つい熱くなってしまって...ちょっと言葉が過ぎました...」
瀬菜は黒猫を泣かせてしまったことに負い目を感じひたすら詫びの言葉を口にした
すすり泣く黒猫の姿を見て、俺の脳裏に黒猫と共に出版社に乗り込んだ時の記憶がよぎる..
「妹空」の作者が桐乃だということを証明するために二人で出版社に乗り込んで...
熊谷という編集者に自分の作品を酷評され泣いていた黒猫..
俺の妹のためにネチネチと作品を酷評されて、辛い思いをしている黒猫を見て俺はとても苦しい気持ちになった..
チッ...もう二度と..黒猫を泣かせたくなかったんだけどな...
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:45:48.97 ID:34E8RAEK0
俺は黒猫を傷つけたくないから卑怯な手を取った...
黒猫を傷つける痛みに俺が耐えることができない..黒猫に本当の感想を告げるのを恐れ、うやむやにしてしまおうとした..
本来だったら瀬菜の役割は俺が担わなければならなかったんだ...俺は卑怯な奴だ..
「いえ..いいの..私も勝手に泣いてごめんなさい..」
黒猫は袖で涙を拭うと瀬菜と部長に丁寧に頭を下げた
「客観的な感想をくれてありがとう...今後の作品を作るときの糧にさせてもらうわ」
「まぁ..これだけの分量の設定を練ることができるんだ。きっとすごい大作を作ることができるさ...次に期待してるぜ!!」
部長は笑みを浮かべると右手の親指を立てて、黒猫に激励の言葉をかけた。
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:46:16.63 ID:34E8RAEK0
「黒猫...」
「なにを情けない顔をしているのかしら?私を見くびらないでちょうだい...」
黒猫は凛とした表情で俺の顔を見据えてきた
「アナタの気持ちなどお見通しよ...この程度の批評に私の心が折れるとでも思ったのかしら?情けをかけたつもりなのかもしれないけれど...クリエイターにとってそれは侮辱になるわ」
「スマン...」
俺は心底すまないことをしたと思い、黒猫に頭を下げて詫びの言葉を告げた
「べ..別に..怒っているわけじゃないわよ..アナタが優柔不断な性格をしていることなんてわかっているし..その..私を傷つけないようにしているんだなって..その気持ちは少しだけうれしかったし..//」
黒猫は顔を紅く染めると、プイと俺から顔を反らしてしまった
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:46:47.43 ID:34E8RAEK0
「さて..後は私のだけですね..高坂先輩!!明日はちゃんと持ってきてくださいよ!?」
「あ..ああ..わかってるよ..」
瀬菜のBLシナリオをみんなの前で評論するのか...黒猫の時以上に気が重い...絶対荒れるだろうなコイツ...
「さて、それでは今日の部活はこれで終わりに...」
「ああ、ちょっと待ってくれ..俺からもう一点だけ伝えたいことがあるんだ」
「なんだ高坂?」
「実は俺もシナリオを書いていて..今日中には書き終える予定だ..瀬菜の作品とついでに俺の作品も見てもらいたいんだ」
「ほぉ..高坂がシナリオをねぇ...興味深いな..」
部長は指で眼鏡の縁をクイッ..と持ち上げるとシゲシゲと俺の顔を見つめてきた
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:47:24.23 ID:34E8RAEK0
「高坂先輩がシナリオなんて書けるんですか?」
「俺を見くびるなよ瀬菜..この中の誰よりも素晴らしいシナリオを描いているという自負が俺にはある!!」
「それに..黒猫..五更にもイラストを描いてもらっているから、これは俺と五更の合作だ..!!五更と俺の熱い力作をしっかりとその目に焼き付けやがれ!!」
俺は胸を張って高々と宣言した..何をそこまで俺を駆り立てるのか自分でもわからないが...胸の奥から根拠のない自信が溢れてくるのを感じるんだ
「すごい自信ですね..そこまで言うとどうなモノなのか見てみたくなりますね!!」
「期待していてくれ真壁くん...最高の物語を明日君たちにお見せすると約束する..!」
「あ..あのシナリオには改善しないといけない問題点が残っているから..そ、そんなにハードルを上げない方が..」
黒猫が不安げな目で俺をジッと見つめてくる...
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:48:04.94 ID:34E8RAEK0
「俺と五更でお前たちをあっと言わせて見せる!!覚悟しやがれ!!」
俺は黒猫の不安げな声を押し殺して、部長たちに啖呵を切ってやった
黒猫が酷評されて泣いているのを見て、ますます俺の炎が熱く猛ったのだった
「まあいい..楽しみにしてるぞ高坂..それでは今日はこれで解散だ」
部長のその一言で今日の部活動は終了となった
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:48:46.22 ID:34E8RAEK0
ーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
「さ、上がって...お父さんもお母さんも今日はいないから遠慮しなくていいよ」
「おっじゃましまーす!!」
「お邪魔します」
家の中に加奈子の元気のいい叫び声が響き渡る...
「お兄さんもまだ帰っていないみたいだね...今のウチにお兄さんの部屋を調べよう?」
「ち..ちょっと待って..勝手に部屋を引っ掻き回されたらさすがに兄貴も怒るって..!!」
「今更ソレはねーべ?それにアタシは桐乃のこと完全に信じたわけじゃねーんだからな?」
「だからアタシはBL好きじゃないってば!!」
どうしたら信じてもらえるの?
確かにアタシはエロゲーが大好きの変態女子中学生だけど、BLなんかにはこれっぽっちも興味がないのに...
アタシが心の中で途方に暮れているのを無視して、あやせと加奈子は2階へ続く階段をズンズンと上がっていった
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:49:17.28 ID:34E8RAEK0
「ちょっと待ってったらー!あやせー加奈子ー!!」
2階へ上った二人を追いかけると、あやせと加奈子は神妙な面持ちで兄貴の部屋の前に佇んでいた
「いい?開けるよ加奈子...」
「おう..準備はできてるぜ..何が出てくるかわからねえ...気をしっかり引き締めろよ..」
あやせと加奈子はアイコンタクトを送るとコクンと頷いた。セーブ無しでラスボス戦の扉までやってきた時のような緊迫感が廊下に張り詰める..
アタシの家は魔王の城か!!
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:49:44.54 ID:34E8RAEK0
ガチャ...ギィィィ...
カギのかからないドアノブを回すと扉が軋む音を立ててゆっくりと開き...
とくに何の変哲もない兄貴の部屋が姿を現した
「なんだよ..特に何もない普通の部屋じゃん...マッチョな男が前面に写っているポスターがいっぱい壁に貼ってあると思ったのに..拍子抜けだぜ」
「わぁ...//ここがお兄さんの部屋...」
勉強机と本棚..ちょっと大きめのベッドがあるだけの簡素な部屋だけど、年頃の男の人の部屋に入るのが初めてなのか、あやせはちょっと恥ずかしそうな顔をしていた
あー...アイツの部屋に女なんて本当は上げたくないんだけど..事情が事情だし..仕方ないか...
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:50:13.29 ID:34E8RAEK0
「ウヒヒ..桐乃の兄貴はどんなエロ本を持っているのか...加奈子さまがチェックしてやんよ〜....」
「ちょ..ちょっと加奈子!!」
加奈子はベッドの下に手を伸ばすと、兄貴が隠し持っているエロ本を引きずり出した
「へへ..!加奈子の読み通り...やっぱりここに隠していたな..どれどれ..うぇ..どれも眼鏡の女ばっかり..桐乃の兄貴は眼鏡フェチか...お..おい..これ...」
「どうしたの?...そ、それは...」
「へ?なに?どうしたの..ッ!!」
加奈子が引きずり出したエロ本の中に、あやせの水着の写真集が混じっていた
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:50:44.51 ID:34E8RAEK0
「し...信じられない..あ、あいつ...あやせの写真集をエロ本と一緒の場所に...帰って来たらコロス!!」
「ふ..ふふ...そう..お兄さんにとってわたしの写真集はエッチな本と同じ扱いなんだ...フフ...フフフフ....」
あやせの光彩がドス黒く濁っていき部屋の中に狂気を孕んだ笑い声が鳴り響く...
「お、おい...桐乃の写真集も混じってんぞ!?お、おまえの兄貴...マジやべー奴じゃん!!!」
「〜〜〜〜〜〜〜〜//////」
恥ずかしさのあまり私の顔から湯気が出そうな気がした。あ..アイツ..妹の写真を使って毎晩ナニしてるわけ!?
しかも黒猫と一緒にメイド服で写った写真も混じってんじゃん!!あ..アイツ..妹の友達を片っ端から...信じられない..最ッ低!!
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:51:18.63 ID:34E8RAEK0
「桐乃の写真まで..フ...フフフフ...これは..キツイお仕置きをしてあげないとダメね...」
あやせの瞳に燃え盛る闇の炎が猛りを増していく...
「よく見たら..加奈子の記事も混じってんじゃねーか!!これって..メルルのコスプレでステージで踊った時の写真..ブリジットのまである..!!桐乃の兄貴マジきめぇ!!」
「え...?メルルって..このメルルのコスプレしてるのって加奈子なの!?」
「んぁ?あ、そーか..桐乃には言ってなかったっけ..最近アタシの仕事にコスプレをして踊ってくれっていう案件があってさ〜!ガキのアニメに出てくるキャラのコスプレして踊ってるんだよね」
「そ..そうなんだ...これって..加奈子だったんだ...じゅるり...」
「あ?なんで桐乃よだれ垂らしてんの?なんか加奈子を見る目つきが気持ちワリーんだけど..」
「な、なんでもない..なんでもないから!!!」
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:51:46.68 ID:34E8RAEK0
あ..アタシ..親友の加奈子のコスプレに欲情していたんだ..やばい..どうしよう..これから加奈子の顔まともに見れないかも...
やばいやばいどうしよう..!!うぇひひひひひ!!!
「桐乃...」
ヤバッ..あやせがなんか心配そうな目でアタシを見てる..ちゃんとしなきゃ
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:52:17.78 ID:34E8RAEK0
「それにしても..ブツはねーな..どれもこれも女の裸ばっかりで..肝心のホモネタがねーじゃねーか...これじゃあ、桐乃の兄貴がホモ小説を書いたっていう証拠はどこにもねーよ」
「そのホモ小説..やっぱり本当は桐乃が考えて書いたものなんじゃねーの?」
「違う!!アタシはホモ小説なんか書いてない!!」
無実の罪を着せられそうになったアタシは自分の名誉を守るために大声で否定した
「つってもな〜机の中にも...本棚にも...」
加奈子は無遠慮に兄貴の勉強机の引き出しや本棚の中をガサゴソと漁る..
引き出しの中から出てきたのは筆記用具などの特に変哲の無いモノばかりで、BL小説などの類は一切出てこなかった
「やっぱりなんにもねーよ...桐乃〜..そろそろゲロしちゃえよ?誰にも言わないから加奈子にだけ言ってみ?」
加奈子は見下すような笑みを浮かべてアタシを見つめてきた..
「う〜〜!!だーかーら!!アタシはそういう趣味はないって言って...」
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:52:55.17 ID:34E8RAEK0
「ただいまー」
アタシが大声を出して加奈子の疑惑を否定しようと瞬間..兄貴が家に帰ってきた
「ウヒッ!ちょうどいいタイミングで兄貴が帰ってきたみたいだな...よっしゃー!!こうなったら兄貴に直接問いただしてみっか!!」
「ばッ..!!」
「むご!あにひやはる..はなへー!(何しやがる!放せー!)」
アタシは暴挙に及ぼうとした加奈子を羽交い絞めにすると、掌で加奈子の口を塞いだ
どんな顔をしてアイツにこの事を問いただせっていうのよ!?
63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:53:27.79 ID:34E8RAEK0
アタシの脳内で京介にBL小説を突き付けている構図が思い浮かぶ..
「ねえ、アンタって..ゲイなの?男の人が好きなの?」
京介は隠していた秘密を突き付けられたことに驚きの表情を浮かべる...
バカじゃん!?こんなこと聞いたらアタシの心が死ぬってーの!!そ、それに..もしも兄貴がゲイだったら...
「ああ...今まで隠していてすまなかった..実は俺...ホモが好きなんだよ!!妹ゲーよりBLゲーの方が好きなんだ!!よく聞け桐乃..俺は..ホモが大好きだーーーーーーーーー!!!」
アタシの想像の世界の中心で兄貴はホモへの愛を叫ぶ...
ひいいいいいい!!!も、もしもこんな展開になったら、この先どんな顔をして兄貴に会えばいいのかわかんないじゃん!!
あまりにもおぞましい妄想にアタシは心底震えあがった
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:54:23.54 ID:34E8RAEK0
「ねえ、桐乃..大丈夫?顔色悪いよ?」
あやせがアタシを気遣って声を掛けてくれた..
「だ、大丈夫..とにかく今は様子を見たいから...問い詰めるのは後にしよう..そ、それより部屋の中を元に戻して!!兄貴に気付かれたらまずい!!」
「え〜?お前の兄貴をとっちめて吐かせたほうがはえーじゃん...」
「加奈子..ここは桐乃の言う通りにしよう?ほら、私は文房具を机の中に戻しておくから、加奈子は本をベッドの下に戻して」
「さりげなく加奈子に汚いモン押し付けんなよー..チェッしゃーねーなまったく...」
「あれ?おーい桐乃ー帰ってるのかー?誰か来てるのー?」
玄関から兄貴の大声が聞こえてくる...しまった..あやせと加奈子の靴を見られたか..これじゃあ二人にどこかに隠れていてもらうわけにもいかない..どうしよう..
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:54:50.55 ID:34E8RAEK0
ちょっと..下で兄貴の足止めしてくるから、今のうちに部屋片づけといて..アタシたちが兄貴の部屋を物色したってことは絶対内緒だからね!」
「わーたよ!早く行ってこい!」
「わたしたちが片づけておくから桐乃は早くお兄さんの所へ..わたしと加奈子は部屋の片付けが終わったら桐乃の部屋にいるからそこで合流しよう」
「わかった!ありがと、あやせ!加奈子!」
部屋の片付けを二人に任せアタシは兄貴のいる下の階へと駆け下りた
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/07/28(火) 18:55:19.39 ID:34E8RAEK0
ーーーーーー
ーーーーーー
「おい..ほんとに俺んちに来るのか?」
「ええ..腐った脳みそしか頭に詰まっていないくせに、私の崇高な作品をコケにしてくれたあの女に復讐をしないと気が済まないわ」
「ハァ..もう少し仲良くやれないモノかねぇ..」
先を思いやられる気分になった俺は深くため息を吐いた
先ほどゲー研の活動で瀬菜に自分の作品を酷評されたことに腹を据えかねた黒猫は、明日瀬菜のシナリオをボロクソに酷評するために、俺の手元にある瀬菜のシナリオを読ませろと言ってきたのだ。
瀬菜のシナリオは俺の部屋にあるはずなので、黒猫と仲良く自宅を目指して歩いているのだった。
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