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隣に住んでる女大生「あの……魚醤作りすぎたんですけど」社会人男「魚醤!?」
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236 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 21:15:35.77 ID:1RJc5Kdc0
女「……完全に安全に対して対抗策を取った上での、野生を食べるというアクションに対する、拭いきれないドキドキ感……うぇひ、うぇへへへへひひひ……♡」ガクガク
男(性癖が理解できない)
237 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 21:17:18.27 ID:1RJc5Kdc0
女「おっとっと……結構アクが出るな……」ヨソイヨソイ
男「なあ、俺なんかすることある?」
女「じゃあコップとお箸と、大きなお皿出してください。そっちの棚にありますので……大きなお皿は下です」
男「ほいほい」カパッ
女「その間にサラダでも作っておきますかねー。あとディップソースと、ザリガニ料理するための準備と……」テキパキ
男「俺3人分くらいの仕事を一人でしないでほしいなあ」
238 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 21:21:17.95 ID:1RJc5Kdc0
女「……よし!茹で上がったものをザルにあけて、お皿に盛れば……」
バァーン
女「『ザリガニの塩ゆで盛り』!完成です!」
ザリッ……
男「おおう……想像以上にすげえ見た目だ……!」ゴクリ……
239 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 21:22:36.47 ID:1RJc5Kdc0
男「赤くなってんのはエビとかカニとかと一緒だな……一匹で見ると割とイケそうな感じするが、大量で見るとなあ……目が多いよ、目が」
女「エビの調理前だってこんなもんですよ」
男「しかしなあ……ハサミがダメなのかな。これがエビとは違うってのを全力で出してる感じする……」
女「オマール海老はもっと立派なハサミありますって」
男「いや、ハンパなハサミがすげえ虫感あるのよ……サソリみたいな」
女「次虫の話したら、ハナからハサミ突っ込みますからね?」
男「ゴメンナサイ」
240 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 21:24:29.31 ID:1RJc5Kdc0
女「むー、いいですよ。あたしから食べます。ええっと、確かネットで見たカラの剥き方は……」
男「あーいやいや悪かった。俺も付き合うって……で、どうすりゃあいいの?これ」
女「……まず、頭をヒネるようにして、スポッと抜き取ります」グリグリ
男「ふむふむ……さっきまで生きてたのをこうしてイジるの、なんか新鮮だな……」グリグリ
241 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 21:29:11.24 ID:1RJc5Kdc0
男「……お!抜けた……ああ、これならエビっぽいな」
女「次に、背中とお腹の部分のカラを剥ぎ取ります」
男「ふむふむ……カラ硬っ」
女「エビとは全然違いますね。ヨロイみたい……イタタタタ」
男「これ尻尾の先は引きちぎっていいの?」
女「大丈夫です。FallGuysみたいにすぽーんと」
男「そのたとえはよくわからない」
女「あたしも動画見ただけなんで……」
242 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 21:33:40.08 ID:1RJc5Kdc0
男「……おお、カラ剥いたら完全にエビみたいな――……エビみたいな……」
ち ま ー ん
女「……」
男「……食える所すっくな!!?」
女「うおお、普通のエビの3倍はありそうな大きさなのに、食べられる所は普通のエビより少し小さいくらい……!」
男「スーパーで売ってるブラックタイガー、これより大きいの普通にあるぞ……」
女「あ、最後に背中をほじくって、背ワタを取ってください。ベリンとめくるようにやったら取れるはずです」
男「……さらに小さくなるなあ……」ホジホジ
243 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 21:35:45.52 ID:1RJc5Kdc0
男「……流石にここまで加工したら、紛うことなきエビだな……」
女「とりあえずディップソースとして、ケチャップ・レモン・わさびを混ぜたレッドソース、マヨネーズ・醤油・七味を混ぜたイエローソース、マスタード・はちみつを混ぜたハニーマスタードソースを用意しました」
男「……とにかく、食ってみるか……」
女「はい……」ドキドキ
244 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 21:36:49.66 ID:1RJc5Kdc0
「「いっただっきまーす」」
パクッ
男「……」モグモグ
女「……」グニグニ
ゴクン
245 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 21:37:38.33 ID:1RJc5Kdc0
男「……エビだ」
女「……カニかな?」
男「いや、エビ……カニ?」
女「いやエビですけど……カニっぽさも……」
男「……」
女「……エビですね」
男「……いや、カニかも」
女「やっぱカニ?」
男「いや、エビ……ううん?」
246 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 21:39:15.26 ID:1RJc5Kdc0
男「なんだろ、この独特の旨味……8割エビなんだけど、カニっぽさが2割見え隠れしてる」モグモグ
女「そして弾力がすごいですね……プリプリじゃあなくって、グニングニンみたいな……エビでもカニでもない食感」パクパク
男「意外と泥臭さがないのはビックリだ。普通にうまい……ちょっとクセあるけどな」
女「!!……男さん、試しに……背ワタつけたままかじってください」
男「ええ?……まあ、やるけど……」
パクッ……
247 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 21:41:40.74 ID:1RJc5Kdc0
男「……オオウ……ほのかにドロくせえ……!」オエエ
女「でしょー?でしょー??」
男「なんでそんなことやらすんだよお」
女「いや、背ワタ取る作業なかったらもっと楽に食べられるのになーと思って……やっぱり下処理は大切ですねえ」
248 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 21:46:30.98 ID:1RJc5Kdc0
男「うええ……ソースつけて口直し、と……」パクッ
女「取り急ぎ作ってみたソースはどうですかね?エビならいけるかと思いましたが……合いますかね?」
男「うーん……ケチャップベースは無難に合う感じだね。ビールにピッタリだし。……けどやっぱ日本人だとマヨネーズ・醤油・七味の合せ技がなーっ。本能に刷り込まれてるっていうか……定番だけど、これこれ、この味!ってなるな。……ハニーマスタードはちょっと、合わない」
女「あー確かに……長時間の塩茹でだと少し水っぽい感じするので、ハニーマスタードの甘みが薄まって気持ち悪い感じになりますね……」
男「そうそう」
249 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 21:48:52.10 ID:1RJc5Kdc0
女「……逆に言うと、油っこいものなら合う味……ってこと、ですかね?」
男「まあ、そんな感じかな」
女「ふむふむ、なるほど……」
250 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 21:50:31.67 ID:1RJc5Kdc0
女「ちょっと待ってくださいねーっ」
テキパキテキパキ
男「え、何――……殻剥くの早ッ!!」
女「定番の料理を試してみたいってのと……ディップソースに合うのを簡単にやってみますか」
男「ええ?」
251 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 21:52:30.83 ID:1RJc5Kdc0
女「まず、殻を剥いたザリガニを軽く洗った後、水気を切ってから片栗粉にまぶしてー」ポンポンッ
男「片栗粉?」
女「じゃっと熱した油で揚げます!!」
ジャアアーッ!
男「!!……そうか……油っこさが足りないなら、足せばいいだけのこと!」
女「簡単ですが、これで塩茹でザリガニの弱さを克服出来るはずです!」
252 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 21:54:28.94 ID:1RJc5Kdc0
女「完成!『ザリガニの唐揚げ〜三色のディップソースを添えて〜』」
男「なんかぐるナイのゴチで出てきそうな名前になった」
女「これで三色ディップソースと合うはずです」
男「マヨネーズとハニーマスタードがほとんど同系色なんだけど」
253 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 21:56:38.05 ID:1RJc5Kdc0
パクッ
男「……おお、合う合う!カラッと仕上がった身にハニーマスタード合うわ。もちろん他のソースもすげえ良い。揚げるとさらに身がしっかりしてる感じするし……いけるな、これ」
女「ふふふ……そうでしょうそうでしょう」
男「これは全部完璧ビールに合うし……いやあ、最初ザリガニ食わされる時はどーかと思ったけど、タダでこんなの食えるって良いもんだな。ありがとう女さん」
女「ふふふふふふ……男さあん……」
男「……え、何?怖いんだけど」
254 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 21:59:25.56 ID:1RJc5Kdc0
女「あたしのバトルフェイズは――まだ終わっていませんよ!!」
ドン☆
男「何ぃーッ!?」
255 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 22:02:03.52 ID:1RJc5Kdc0
女「今のザリガニを食べて、こうは思いませんでしたか?……『スナック感覚でおつまみみたいだなあ』『やっぱメインにはなれないかあ』『メインの一品になるには塩茹でと唐揚げじゃあキツいわなあ』……と!」
男「……いやまあ、ちょっと思ったけど……え、どうすんの?」
女「まあ、ザリガニ使って普通にエビ料理作るだけですけど」
男「独創性低いな」
女「ザリガニ使ってるだけで独創性はマックスですよ」
男「それはそうだけどさあ」
256 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 22:03:58.38 ID:1RJc5Kdc0
女「とりあえずー、すり下ろしたしょうがとにんにくをたっぷりごま油で炒めまして」ジャオーッ
男「ほう」
女「そこに、スライスした玉ねぎとみじん切りした長ネギを中火でざっくり炒めます」ジャッジャッ
男「……ん?これは……」
257 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 22:05:46.99 ID:1RJc5Kdc0
女「チリソース・スイートチリ・ケチャップ・酒・水で溶かした鶏ガラスープを入れて……一回火を止めて、そこに水溶き片栗粉を少し投入」トペーッ
男「……なるほど」
女「さっき揚げておいたザリガニの唐揚げを入れて、強火でざっくりかき混ぜて……最後に酢をちょっぴり入れて、塩で味を整えたら……」
258 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 22:07:29.64 ID:1RJc5Kdc0
女「完成!『ザリチリ〜ザリガニのチリソース和え〜』」
ドバァ~ン
男「やっぱりエビチリか……『ザリチリ』って名前なんか食欲無くすな」
女「まあエビ料理といえば定番でしょう」
男「……味は?」
女「ド定番ですよ。どうぞ」
男「……まあ、もう普通に塩茹でとか唐揚げ食ってるしな……」
パクッ
259 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 22:09:45.18 ID:1RJc5Kdc0
男「お!うまっ……ああこれ、一番合ってるかも」モグモグ
女「うーん、白ごはん欲しくなりますねーっ!」パクパク
260 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 22:12:05.83 ID:1RJc5Kdc0
男「ザリガニの塩茹でだと少し感じてたクセもないし、この身の歯ごたえが食べごたえあるっ!あえてシャキシャキの食感残した玉ねぎもいいね……様々な食感のハーモニーは、エビだと表せられないんじゃないか……」
ガシッ!
ゴクゴクゴクゴク……!!
男「……っかーっ!!ビール、うまっ!!……こんなにうまかったか、ビール……マジで今、生きてて最高だわ……」グビグビ
女「……ふふふ……」
261 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 22:14:33.18 ID:1RJc5Kdc0
男「?……どうかした?女さん」
女「いえ……ちょっとね」
男「?」
女「『生命の最後』――『暴れる身体』――『赤いボディ』――『たくさんの目』!!そんな彼らを食べて……そして!『生きてて最高と思える』――……!!」
262 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 22:19:29.66 ID:1RJc5Kdc0
女「そう!!これらは――導いていたのですッ!!ザリガニを、一つの『答え』に!!――人類全てをッ!!」
ド ド ド ド ド ド ド
男「なッ――!?一体、『それ』」はッ!?
女「ふふふふふ……つまり――……ザリガニとは……『ザリガニを食べるということは』――!!」
263 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/08/26(水) 22:21:47.77 ID:1RJc5Kdc0
女(『いのちの輝き』だということ――……!!)ホッコリ
ペカーン!
男「……なんか引っ張ったワリにタイムリーなネタで納得しちゃった――ッ!!」ガビーン!!
…………
264 :
◆eUwxvhsdPM
[sage saga]:2020/08/26(水) 22:23:03.65 ID:1RJc5Kdc0
今回はここまでです
毎回オチに困るのですが、今回は桐谷さんが強かったと自分でも思う。反省
オチの展開もう少し考えます
265 :
◆eUwxvhsdPM
[sage saga]:2020/08/26(水) 22:23:31.28 ID:1RJc5Kdc0
もう一つのスレの方は来週更新、できたらいいなあと思います
266 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/08/26(水) 23:05:34.78 ID:CrA2tI0hO
ザリパとかいうパワーワード
乙
267 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/08/26(水) 23:41:51.99 ID:QAzw9uxTo
おつおつ
……エビチリつーくろ
268 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/08/27(木) 01:48:57.15 ID:itaJRhb4o
乙
エビチリかなと思ったらやはりエビチリ
美味しそう。食べてみたいな
269 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/08/29(土) 14:25:05.21 ID:GEc5YGHZO
やはり桐谷さん読んでたか
かわいいですよね
270 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 19:18:54.36 ID:6DEMWf/t0
…………
男の仕事場――……
男「……」カタカタカタ
後輩「先輩ー。セーンパーイ」
男「んー?」カタカタ
後輩「会社の打ち込みのヤツ、最初入る時のパスワード……なんでしたっけ?」
男「お前のID下4ケタ2回だ。……昨日言ったろ、それ」
後輩「あ、そうでしたそうでしたねー」ポチポチ
271 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 19:22:41.60 ID:6DEMWf/t0
男「……あれ、くそ……計算合わん……」ポリポリ
後輩「えー、なんか計算ミスってるんじゃないっスかー?」
男「んー……どこだ?……」
後輩「もー、先輩けっこーオッチョコチョイな所あるんスからーっ」
男「……あ。ここか。…………おい後輩」
後輩「なんスか?」
男「……お前が昨日打ち込んだ所……計算ミスっとる」
後輩「……てへぺろ」
男「いい加減怒るよ、俺も」
272 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 19:25:53.30 ID:6DEMWf/t0
男「あーもー忙しいのに……」カタカタカタ
後輩「……あれえ?ねーねー先輩せんぱーい」
男「今度はなんだよ」
後輩「あのですねー……」
同僚男「なあ男ーっ、この前の資料あれどうなったー?」
男「え?ああ、会社のフォルダ入れてるよー。パスいつものー」
同僚男「サンキュー」
273 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 19:29:00.53 ID:6DEMWf/t0
上司「なー男君ー。○○社での見積もりなんだけど……」
男「はいはい?……これ高すぎでしょ。どっか間違えてますって」
上司「だよなあ」
男「あとで見ときますよ。書類借りときますね」
上司「おう。ありがとうなーいつも」
274 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 19:32:10.39 ID:6DEMWf/t0
同僚女「ねえ男くんー、これどうやって作ったらいいの?」
男「ん、あー……これはちょっとややこしいけど、俺この本で勉強してやったら出来たわ。マーカーで印入れてるから、読みながらゆっくりやったらいいよ」
同僚女「ありがとう。助かるーっ」
男「んー。……で、後輩。なんか言ったっけ?」
275 :
ていうか右クリック
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 19:34:38.60 ID:6DEMWf/t0
後輩「あのー……画像のコピーってどうやるんですか?」
男「コントロールキーと――お前だけ質問のレベル低いんだよ!」
…………
276 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 19:36:47.38 ID:6DEMWf/t0
…………
男「はあ……やっと昼休みか……今の案件しんどいなー」フゥ
後輩「それにしても先輩って、仕事バリバリできて凄いっスよねー!いやー尊敬しますよー!」
男「別に……そんなんじゃないって」
後輩「いやいや、同期や上司からも頼られて、ソツなくこなす感じ!いやーあたしも先輩みたいになりたいっスねー!」
男「あのなあ……俺みたいになんか、絶対なったらダメだからな?」
後輩「へ?」
277 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 19:38:52.21 ID:6DEMWf/t0
男「俺はなあ……与えられた仕事だけきちーんとやって、それ以外は絶対しない。しんどいことはしたくない。出世とかもヤダ」
後輩「……ええ?」
男「ただ、のーんびり仕事やって給料もらって、刺激のない普通の生活できたらそれでいいんだよ……」
後輩「い、いやいや……全然違うじゃないっスか。言ってることとやってること」
男「……それがなあ……」
278 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 19:43:44.41 ID:6DEMWf/t0
男「俺が初めて就いた時、仕事教えてくれた師匠がなあ……俺がなーんも知らないことをいい事に、普通新入社員がやらん仕事まで全部丸投げしてきてなあ……」
後輩「……うええ……」
男「しかも親切丁寧にきちーんと教えてくれるんだ」
後輩「あ、それは良いじゃないっスか」
男「そう。それはいいんだよ。すげえわかりやすかったし。……だから俺は知らず知らずのうちに師匠の仕事ほとんど全部覚えていって――……」
279 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 19:46:40.92 ID:6DEMWf/t0
男「…………覚えきった時、師匠は寿退社しやがった」ギリッ
後輩「……あー……」
280 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 19:48:56.96 ID:6DEMWf/t0
男「後に残ったのは師匠の仕事引き継いで、仕事バリバリ出来るようになってしまった俺だけだ。……俺の仕事の5割は同期がしないような仕事になってた」
後輩「大変っスね、それ」
男「そのくせ同期と給料かわんねえでやんの」
後輩「それはひどい」
281 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 19:51:57.13 ID:6DEMWf/t0
男「師匠には世話になったし尊敬しているが、絶対ゆるさん」
後輩「まあまあ、いつか報われますって」
男「後輩、お前も事なかれ主義で『上に言われた仕事だからやるかぁー』とか考えてたら俺みたいになるぞ。気をつけろよ」
後輩「大丈夫っス!あたし、上に言われた仕事すら満足に出来ないんで!」
男「それはそれで駄目だからね?」
282 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 19:55:28.29 ID:6DEMWf/t0
男「はあ、普通のなんもない生活がしたいのになあ……」
後輩「そんなこと言っちゃってー、先輩結構、刺激的な生活望んでるんじゃないっスかー?」
男「ないない絶対ない」
後輩「ホントっスかー?日常は刺激に飢えてたりして」
男「だからそんな事は――……」
283 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 19:59:03.00 ID:6DEMWf/t0
『魚醤作ってみたんですけどー』アハハー
『生ハム、どうですかー?』ウフフー
『ザリガニ食べましょう、ザリガニ!』エヘヘー……
男「……ないって……そういう刺激はいらんって……そんなんじゃねえし……」ブツブツ
後輩「……なにやらお疲れの様子っスね……」
284 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 20:02:11.48 ID:6DEMWf/t0
男「……お前がもうちょい仕事覚えてくれたら疲れもなくなるんだがなあ」
後輩「いやーあたしこういうの苦手でー」
男「どれ、何がわかんないんだよ。休み時間まだあるし、軽く教えてやる」
後輩「いやいや!そんな!先輩の手をわずらわす訳にはいきませんから!」
男「もうすでに午前中結構わずらったんだよ」
後輩「そんなー、せっかくのお昼休みに仕事の話やめましょうよー。それより!もっと明るいこと話しません?」
男「明るいことぉ?」
285 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 20:04:35.88 ID:6DEMWf/t0
後輩「例えばー……今の案件片付いたら、打ち上げしましょうよ、打ち上げ!」
男「打ち上げなあ……ウチの部署は人それなりに多いし、まとまらんと思うぞ」
後輩「あ、じゃあじゃあ二人で飲みにいきません?」
男「……お前とぉ?」
286 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 20:06:54.78 ID:6DEMWf/t0
後輩「はい!オシャレなバーとか連れてってくださいよぉー」
男「んー……オシャレなバー、ねえ……」
後輩「先輩知ってるでしょ?バーの一つや二つくらい!」
男「いや知らん」
後輩「マジっスか」
男「行かんもん、バーとか……たまに立ち飲み行くくらいで……」
後輩「っちゃー……ダメっスねそれ。ダメダメっス」
男「ダメダメっすか」
287 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 20:10:12.68 ID:6DEMWf/t0
後輩「男たるものバーの一つや二つ、エスコート出来るくらいじゃあないとー」
男「えぇー……バーとか高いしオシャレな雰囲気ニガテだし……」
後輩「……モテませんよ?先輩」
男「ぐっ……」グサリ
288 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 20:12:10.74 ID:6DEMWf/t0
男「いや俺はモテないわけではない……モテようとしないだけだ」
後輩「それはちょっと意味がわかんないっス」
男「……じゃあお前は知ってんのかよ、オシャレなバーとか」
後輩「いやー、あたしも疎いもので」ヘヘヘ
男「なんだ」
後輩「あたしは良いんですよ。先輩からバーに誘われる側ですから」
男「あっもう誘うの確定なんだ?」
289 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/02(水) 20:15:46.47 ID:1VJ4oOzCO
米とサーカス!珍獣屋!
290 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 20:16:17.68 ID:6DEMWf/t0
後輩「先輩、モテたくないんスかー?女の子デートに誘う時、オシャレなお店知ってないと恥ずかしいっスよー?」
男「うぜえ……確かにそうかもしんないけどさ」
後輩「ふふふ、このあたしが一肌脱いであげますよー。先輩が決めた店、あたしの視点から採点してあげてもいいっスよー?」
男「……本音は?」
後輩「タダザケ ノミタイ」
男「お前はいつも正直だなあ……」
後輩「えへへ、照れるっスね」
男「ホメてないんだよ」
291 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 20:19:25.24 ID:6DEMWf/t0
男(しかし、バーか……いつも料理ご馳走してもらってるお礼に、女さん誘ってみるのもアリ、か……?)
後輩「とにかく、練習だと思って!先輩、オシャレなバー連れてってくださいねー?」
男「ううーん……」
…………
292 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 20:20:50.89 ID:6DEMWf/t0
…………
夕方――……
男「……って言われてもなあ……どーいった店がいいんだか……」テクテク
ガヤガヤ……
男「……バーってなんか地下に続く階段とかにあったりして、店内わかんないから入りづらいんだよなあ……中見せてほしい」
293 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 20:23:01.62 ID:6DEMWf/t0
男「うーん……会社の人にどんな店がいいか聞くのもなあ……食べログ見るか?……後輩に煽りちらかされそうだな……」
テクテク……
女「……あれ?男さんじゃないですか」バッタリ
男「え?……あれ、女さん?」
294 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 20:25:03.00 ID:6DEMWf/t0
女「奇遇ですねー町で会うなんて。お仕事終わりですか?」
男「うん。ちょっと一杯飲もうと思ってたんだけどね……ていうか、女さん」
女「はい?」
男(……なんかいつもよりシックでお洒落な服着てるな……)
295 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 20:27:41.82 ID:6DEMWf/t0
男「女さんは、えーっと……どこかで遊んだ帰りとか?」
女「いえいえ。あたしもこれからお店に行く所でして」
男「店……」
女「ちょっと向こうに行った所にある、バーなんですけどー」
男「バー……(……彼氏、とかじゃあ……ないよな……)」
296 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 20:29:39.54 ID:6DEMWf/t0
女「男さんは、どこのお店に行く予定なんですかー?」
男「いや、特に決めてない……ちょっと仕事場で色々あってね、お洒落なお店探してるんだけど」
297 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 20:31:17.58 ID:6DEMWf/t0
女「あ、じゃあじゃあ、一緒にお店、どうです?」
男「……え、いいの?」
女「はい!」
男(……なんか、いつものパターンな気がするが……)
298 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 20:34:18.97 ID:6DEMWf/t0
男(いや、待て待て待て……バーだろ?お洒落な。だったら変なことないだろ、うん……ないない。絶対ない。……ていうか、お洒落なお店探して女さん誘おうとか考えてたのに、女さん紹介の店とか本末転倒な気がしてそっちの方が問題な気が……)
女「?……どうしました?男さん」
男「いや、なんでもない……そうだ。いつもご馳走なってるし、今日俺奢るよ」
女「えー、そんないいですのに……いつもあたしに付き合ってもらって、あたしだって嬉しいんですよ?」
男「いいからいいから。お店どこ?」
女「こっちです。ここを真っ直ぐ行った所にあるビルの地下で――……」
テクテク……
299 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 20:36:12.32 ID:6DEMWf/t0
女「……ついた。ここですよーここ」
男「ほう……」
『〜BAR・HEART〜』
男「バー・ハート……か」
カランカラーン……
300 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 20:38:42.74 ID:6DEMWf/t0
バーテン「……いらっしゃいませ」ペコリ
男(おお……店内も凄くお洒落だ……)
女「お久しぶりですバーテンさん。バイト代入ったから来ちゃいました。……と言っても奢ってもらえることになりましたけど」
バーテン「お久しぶりです女さん。……あら、そちらの方は?」
男「あ。どうも……女さんのお隣さんの、男です」ペコリ
女「最近仲良くさせてもらってるんですよー」
301 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 20:40:25.37 ID:6DEMWf/t0
バーテン「へえ、珍しい……というか、初めてのことですね。女さんにイイ人、なんて……」
男「いやいやそういうモンじゃないですから」
女「?……男さんは良い人ですよー」
男「君はよく意味をわかっていないようだね」
バーテン「ふふ、仲睦まじくていいですね……こちら、ドリンクメニューです」スッ
男「あ、どうも……」
302 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 20:42:40.59 ID:6DEMWf/t0
男「へえ、メニューも多くて……一杯500円?バーにしては安いな」
女「このお店はお料理がメインな所ありますからねー」
男「ふーん?そうなんだ」
バーテン「失礼いたします。こちら、お通しです」コトン
男「おお、ジャーキーですか。これはまた美味しそうな……」
バーテン「ええ……」
303 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 20:44:25.82 ID:6DEMWf/t0
バーテン「当店名物、『イノシシのジャーキー』でございます」
男「待って待ってちょっと待ってね」
304 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 20:46:50.69 ID:6DEMWf/t0
バーテン「?……あら、女さんが連れてきたので、当店の説明は受けているかと」
男「いや、なんかなんとなくわかったよ……なんとなくわかってきたけど……またこういうのか、女さん……!」
女「お洒落でオススメのバーであることは間違いないですよーだ」
男「……ちょっと食事メニュー見せてもらえます?」
バーテン「ええ、どうぞ」スッ
305 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/02(水) 20:47:49.04 ID:6DEMWf/t0
男「……『鹿とイノシシ肉の合い挽きハンバーグ』……『アナグマのミニ鍋』……『鴨のディップソース添え』……『ウサギの唐揚げ』……」
女「ふふふ……このお店は!『ジビエ料理が食べられるバー』なんですよー!」
バァーン!
男「普通のバーが良かったよお……!」
306 :
◆eUwxvhsdPM
[sage saga]:2020/09/02(水) 20:49:07.65 ID:6DEMWf/t0
今回はここまでです
ジビエネタではなくまたゲテモノ系になるかもしれませんすみません
アナグマとかイノシシとか別に語るような味じゃあないし……
307 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/02(水) 20:56:57.58 ID:ZeSAUJh70
まあ、安全に料理が食べられそうなだけ良さそうだけどな
308 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/02(水) 20:57:10.72 ID:QdY+2849o
おつ
>語るような味じゃない
おぉう…
309 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/02(水) 21:03:26.19 ID:XQ0uQNbh0
乙
ウサギはちょっとくるな…
310 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/03(木) 03:18:50.22 ID:gtgADXPH0
アナグマはジビエ肉の中ならトップクラスに美味いと思う
311 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/03(木) 09:59:04.43 ID:SbwYMNgQO
後輩が宇崎ちゃんにしかみえん
312 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 12:23:19.08 ID:qZrYHKvc0
女「最近流行ってますものね、コンセプトバー」
男「コンセプトが攻めすぎだろ。なんだジビエて」
バーテン「ジビエはフランス語で、狩猟により得られた鳥獣を指します。畜産との対比で――……」
男「語源を聞いた訳じゃあないんだよ」
313 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 12:25:48.28 ID:qZrYHKvc0
男「店名が『HEART』でお洒落な雰囲気なのになあ……」
バーテン「ああ、この店名もジビエに由来するんですよ」
男「へ?……心臓食べるとか、そういうこと?」
バーテン「いえいえ……いやまあ心臓ありますけど」
男「あるんだ」
女「鴨のハツ串くださーい」
男「食べるんだ」
314 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 12:27:57.48 ID:qZrYHKvc0
バーテン「実は、ハート模様というのは外国由来ではなく、古来の日本にも同じ模様があるのです」
男「え、同じ模様が……日本に?」
バーテン「ええ。上下は逆さまですけど……この模様の事を『猪(い)の目模様』と言い、魔除けや厄除けとして彫られてきました」
男「『猪の目』……」
バーテン「その名の通り、イノシシの目の形に似せて彫られたものですね。……お寺や古墳をよく見てみると、意外とあるんですよ。猪の目模様」
男「へえ、そうなんですか……」
315 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 12:30:25.56 ID:qZrYHKvc0
バーテン「たまーにテレビの旅番組とかで、『このお寺の瓦には、なんと!ハート模様が彫られてあるんです!見つけたら相思相愛になれるかも♡』とかいうのありますけど」
男「……ありますね。なんかそーいうの」
バーテン「『いやいや厄除けだよ!?君らがラブラブしながら見てるのイノシシの目を元にした魔除けだよ!?』って声を大にして言いたい」
男「まあ、うん……魔除けと言われるとハート模様の意味合い変わるなあ……」
女「ふむ、お寺だけに……『知らぬが仏』!」
男「…………」シラケーッ
316 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 12:33:12.77 ID:qZrYHKvc0
バーテン「かなり大爆笑。カクテル一杯サービスしましょう」
女「わーい」
男「えっマジで?……どういうシステムなの?」
317 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 12:36:33.98 ID:qZrYHKvc0
バーテン「とにかく、猪と言えばジビエの入口みたいなもの。……私共の店ではそれにあやかって、『HEART』という名前にしております」
男「なるほど……勉強になる」
バーテン「そして今日は28日……『ジ(2)』ビ『エ(8)』の日、と勝手に決めておりまして」
男「ふむ?」
バーテン「本日、当店では……あえて普通のジビエではないレアジビエ料理をお出ししています」
男「NA☆ZE☆DA」
318 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 12:44:41.96 ID:qZrYHKvc0
男「ジビエの日なら普通のジビエ出しゃあいいじゃん!安くするとか!」
女「普通のジビエはいつでも食べられますしい。普段から結構お値打ち価格ですよ、ここ」
バーテン「一ヶ月に一度のお楽しみですよ。本日のお客様は、そういったものを楽しみにしている方ばかり」
男「……よく見ると、テーブル客の人……」チラッ
「ククク……野生の血が騒ぐぜ……」
「ヒヒヒ……今日はどういったものを食えるのかなア〜〜ッ」
「ジビエルーキーは帰ってヤギのオッパイでも飲んでな……」
男(……変な人ばっかだ)
319 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 12:48:49.90 ID:qZrYHKvc0
女「まあ、男さんはザリガニ食にチャレンジしたばかりですので、ジビエ中級者ですよねえ」
男「いやそれは――……」
「何!?ザリガニ……だと……!」
「ヒヒヒ、やるじゃあねえか。ガキかと思ったのによ〜〜」
「寄生虫がヤバいだろうに、よくやるぜ……負けたぜ。ルーキー……フッ」
男「……なんか認められてる」
バーテン「ほう、ザリガニ食済みならば、ジビエ料理も問題ないですね」
男「イノシシ食ったの今日が初めてなんですけどね……おいしいわこのジャーキー」モグモグ
320 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 12:51:45.56 ID:qZrYHKvc0
女「では早速ですけど……マスター、あたしは『例のアレ』……『特性カクテル』をいただきましょうか」フフフ……
バーテン「『例のアレ』ですね……しばしお待ち下さい」
ざわっ
「マジか……最初から飛ばすな、あの女……」
「躊躇しねえだと……怖いもの知らずが……!」
「『特製カクテル』……大したものですね」
ザワザワ……
321 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 12:54:09.55 ID:qZrYHKvc0
男「……なに?スピリタス原液でも頼んだ?」
女「いえいえ。全くもって普通のものですよ」
バーテン「ええ、普通のものですね……」
コトン
322 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 12:57:22.55 ID:qZrYHKvc0
バーテン「『マムシの生き血のワイン割り』です。どうぞ」
ドゲ――ェン
男「普通って何!?」
323 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 13:00:08.55 ID:qZrYHKvc0
バーテン「今日は活きのいいマムシが入りましたからね」
男「うおおお……赤っ」
女「いやまあワインも赤いですしね」
男「いや違う、なんかドス黒くて重たい色の赤だよこれ」
バーテン「分離する前に、どうぞ」
男「分離て」
324 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 13:01:53.59 ID:qZrYHKvc0
男「そもそもヘビの生き血て……なんか精力剤とかで名前は聞くけど、効能あんのか?」
バーテン「元々は、ヘビのペニス……つまり、おち○ぽがですね」
男「言い方!」
バーテン「根本から二つに分かれていて、二本あるんですよ。ヘビって」
男「……へえ……」
バーテン「しかもヘビのエッチは一日二日は繋がりっぱなし当たり前の超長期戦。それらを見て昔の人は、ヘビを精力剤に使おうと考えたのかもしれません」
325 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 13:04:53.39 ID:qZrYHKvc0
男「……それって、科学的な効能は?」
バーテン「ぶっちゃけ血の方はないと思いますよ」
男「ぶっちゃけるね……」
バーテン「肉はアミノ酸たっぷりで効能あるかと思いますが――……」
「悪いな兄ちゃん、マムシの蒲焼きはいただいたぜ」モグモグ
「鳥みたいな感じで美味いぜ……」パクパク
「見た目から生臭そうな感じがするがそんな事は全くない。少し野性味を感じる鳥という感じだ」ガツガツ
男「いつの間にか食べてるし……」
326 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 13:07:04.40 ID:qZrYHKvc0
女「えいっ」ゴクッ
男「うわ、一気にいったね……」
女「……うーん……」
男「どうなの?味は」
女「……ちょっとしょっぱい?」
男「そ、そうなんだ……」
女「あまり血の感じはしないですかねぇ。意外とスッとイケるというか」
男「そうか。俺はそれ遠慮しとこうかな……」
327 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 13:10:35.36 ID:qZrYHKvc0
女「むふふふふ、マムシでテンション上がってきましたよー。バーテンさん、今日はどんなメニューが!?」
バーテン「そうですねえ……マムシの他には、カラスにイルカ、ワニ、ミシシッピアカミミガメ――……」
男「ミシシッピアカミミガメ!?」
バーテン「今朝、近所の池にいたのをひっ捕まえてきました」
男「しかもバーテンさんが取ったのかよ」
女「……前食べたんですけど、マズいんですよねぇ……」
男「食べたことあるの!?」
328 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 13:12:58.34 ID:qZrYHKvc0
女「なんていうか……カメの水槽に溜まってる水の味、みたいな……」
男「……想像するだけで気分悪くなってきた」
バーテン「前回は茹で方と内臓の処理をミスしてたと思うんですよねぇ。そこを改善すれば――……」
「うおえええええ!このスープ不味ッ!!」
「カメの水槽の味がする!!」
バーテン「チッ、怖いから味見してなかったけど、駄目だったか」
男「テーブル客を毒味に使うなよ!!」
329 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 13:15:55.46 ID:qZrYHKvc0
女「皮を剥いでから調理すると美味しいらしいですけどね」
バーテン「やっぱスープじゃあ駄目なんですかね。甲羅も皮も死ぬほど硬いから他の調理面倒なんですよねえ」
男「面倒て」
女「うーん、今日は普通にクセのなくて美味しいのを食べたい気分かなー」
バーテン「あら珍しい。いつもはガンガン攻めますのに」
女「いやほら……今日はビギナーの男さんがいますし」
バーテン「……ふふ、そうですね」
330 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 13:18:09.81 ID:qZrYHKvc0
男「女さん的にはザリガニはビギナー食材なの?」
女「アカミミガメよりかは遥かに」
男「……それ言われるとなんとも言えねえな」
331 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 13:20:03.64 ID:qZrYHKvc0
女「カラスもいいですけど、あれも肉が少し硬いんですよね」
男「いやそれより生ゴミつつく黒い鳥とか食いたくねえ」
バーテン「都市部で生ゴミを荒らすカラスとは別の種類ですよ。あれはハシブトガラスという種類で、食用になるのは田舎に住むハシボソガラスです」
男「……それどう違うの?」
バーテン「鳴き声とか」
男「結局カラスじゃねえか」
332 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 13:22:34.41 ID:qZrYHKvc0
女「ハシボソの方が植物食傾向なんで、肉に臭みが少ないそうですよ」
男「あ、臭いことには臭いんだ?」
女「そんなイヤな風味はしないですけど、なんていうか……血の味というか、レバーみたいなクセがありますね」
バーテン「ハシブトなんて食えたものじゃあないですよ。マジでくっさいです」
男「なんで食ったことあるんだよ」
333 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 13:24:38.26 ID:qZrYHKvc0
女「今日はあたしの好きな、アレをいただきましょうかねー」
バーテン「アレですね……少々お待ち下さい」
男「……本当にビギナー食材なの?」
女「当然。あたしはなぜアレが牛・豚・鶏に並ばないのか不思議でなりません」
334 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 13:26:25.00 ID:qZrYHKvc0
女「高たんぱく・低脂肪で、ビタミンB2、B6、鉄分が豊富。生活習慣病に効き、肉はやわらかくそしてジューシー……」
男「ほう……言葉だけ聞くと魅力的だが」
女「あたしの大好きな食材!その名も――……」
335 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/09/12(土) 13:28:08.80 ID:qZrYHKvc0
女「カエルです」
ゲコーン
男「どこがビギナーじゃい!!!」
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