交換日記『私、あなたに会ってみたい』

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109 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/25(土) 07:06:55.40 ID:vfHh3tnR0
ーーーーーーー

男(………)

男「……」

男(…いつの間に寝てた…)

男(もう、朝になったかな…)

男「…?」

男(まだ暗い。夜なのか。今何時だ…?)



スマホ『00:00』



男「ちょうど12時…」

男(なんか、キリが良過ぎて不気味だ)

男「…風呂でも入るか」




110 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/25(土) 07:07:42.42 ID:vfHh3tnR0
ーーー風呂場ーーー

ザー

男「ふぅ…」

男(そういや、俺が寝たのって何時だったんだろう)

男(お腹空いてないし喉も渇いてないから、あんまり寝られてないっぽいな…)

キュッキュッ

男「ま、いいや。風呂出たらもう一眠り…」



風呂場の時計『00:00』



男「……12時ぴったり」

男(馬鹿な…そんなわけない、さっきから何分経ったと…)

男「……」



ガタッ




111 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/25(土) 07:08:18.75 ID:vfHh3tnR0
ーーー玄関ーーー

男「…嘘だろ…」

男(家中の時計は全部、12時で止まっていた。電池を交換しても動かない)

男(だけど最もおかしいのはそこじゃない)

男「母さん…どこ行った…?」

男(普段この時間自分の寝室で寝てるはずの母さんがどこにも見当たらない)

男(誰に電話してもLINEしてもメールしても誰も出ない、返事が来ない、返信が来ない)

男(そして思い出した。一眠りする前、学校から家に戻るまでの間、通行人どころか人の乗った自転車や車にさえ会わなかったこと)

男(まるで、時間の止まった世界で俺一人だけ取り残されたような…)

男「………」

男「………」

男「」ダッ



ガチャッ!



男「誰か!!誰かいませんか!!」

男「誰でもいいんです!!大変なことが起きてるんです!!」

シーン...

男「誰かーー!!」



(静まり返った町並み)


112 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/25(土) 07:08:46.12 ID:vfHh3tnR0

男「……………」

怖い

男「……………」

寂しい

男「……………」



――委員長に会いたい



男(―!)

男(何考えてるんだ俺…!そんなわけない!あんな怖いところ…!)

ならここで一人朽ちていくのと、どっちが怖い?

男(………)

男(…そうだ、ここはまだ元居た世界じゃないんだ)

男(委員長が見せる夢の中なんだ。このまま一人で居たところできっと何も解決しやしない)

男(だから…そう、しょうがないんだよ)

男(委員長に会って説得するしかないから、もう一度委員長のとこに行くのは仕方のないことなんだ)

男「しょうがないよな…?うん」

男「俺が本気で頼み込めば、帰してくれるって…はは…」

男「さ、さてそうと決まったら…」



男「あの教室に戻らないと」




113 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/25(土) 07:11:40.02 ID:vfHh3tnR0
今回はここまでです。

こんな風にじわじわ追い詰められてみたいものです。
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/25(土) 15:14:47.42 ID:mr50fj4ro
おつおつ
怖い…
115 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 03:55:02.48 ID:wFMUFjg80
ーーー空き教室ーーー

男「……」

男「後ろのドアだったよな…」

...ガラ



(真っ暗な空間)



男「………」

スッ



.........




116 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 03:55:53.04 ID:wFMUFjg80

男(…!)

男「……」

男(広い和室…戻ってきた)

委員長「おかえり」

男「!」

男「委員長…」

ドクン

男(――っ)

今すぐこの人を抱き締めたい

抱き締めてもらいたい

男(……ち、がう…!)

委員長「どうしたの男くん?とっても苦しそう」

委員長「こっちにおいで?私が慰めてあげる。優しく、優しく…」

男「優しく……」

男(!そうじゃない、しっかりしろ…!)

男「委員長、お願い」

男「俺を元の世界に帰して欲しい」

委員長「………」

男「委員長がこんなことをするのって、俺が委員長の…女ちゃんのことを忘れてたからだよね…?」

男「ごめん!委員長の言う通り、高校に入ってから女ちゃんを思い出すことはなかったよ。ずっと寂しい思いをさせた。こんな風に俺のことを想ってくれてるなんて知らなくて…」

男「でも、俺今の生活が好きなんだ」

委員長「……」

男「勿論女ちゃんのことだって今でも好きだよ。…ここはさ、違い過ぎるんだ。俺の知ってる人も物もここにはないから」

男「元の生活に戻ったら、今度こそ女ちゃんのこと忘れない。委員長のことも」

男「だから、お願い」
117 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 03:56:28.64 ID:wFMUFjg80

委員長「………」

男「………」

委員長「………」

男(…これでもダメか…?)

委員長「元の世界、ね」

委員長「男くん、あなた自分がどこに居るかまだ分かってないんだ」

男「どこって…」

委員長「男くんはね、もう"こっち側"の深いところまで来ちゃったんだよ?男くんの言う元の世界からは遠く遠く離れた場所なの」

委員長「男くんも見たよね?姿形はそっくりだけど人が誰も居ないあの町」

委員長「こっち側ではね、あれが世界なんだ」

男「母さん達は…?」

委員長「居ないよ。ここに居るのは男くんと私だけ」

委員長「それでもう一つ悲しいお知らせがあって…男くんを連れてきたのは私なんだけどね、すっごく複雑な道を通ってきたから」

委員長「――帰り方覚えてないの」クスッ

男「……は?」

男「…冗談はやめてよ…頼むから」

委員長「嘘じゃないよ?男くんと二人だけで居られる場所ってなかなか見つからなくて、いっぱい探し回ってさ」

委員長「仲良しの姉妹にもお別れを告げて、やっとここまでたどり着いたんだもの」

男(……帰れない……?)

男(いや、委員長が嘘をついてる可能性もあるけど…どっちにしても俺を帰すつもりなんてはなからなかったんだ…)

男(じゃあ……俺はもうここでずっと……)
118 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 03:58:17.80 ID:wFMUFjg80

委員長「でもそっかぁ、男くんはあの世界がいいんだね」

男「え…」

委員長「そんなに言うなら私も邪魔しないよ。男くんにも会わない。あの誰も居ない世界で一人がいいんだもんね?」

男「…あの、世界…」

男「孤独で……暗い……町……」

ドクン

男(あ、――もう、無理だ)

委員長「誰にも邪魔されないから何しても怒られないね」

委員長「それじゃあ今から男くんを送――」

ダッ!

ギュウゥゥ

男「違う、違う…!そんなのやだ!」

委員長「…何が嫌なの?」

男「ひとりはやだ…委員長と一緒がいい」

男「離れたくない…!」

委員長「そうなの?男くん私から何回も逃げるからてっきり私と居たくないのかと思ってたなぁ」

委員長「もし嫌がってるなら名残惜しいけど男くんから離れて」

男「やだお願い!もう逃げないから!」

男「捨てないで…離れないで…!」ギュー

委員長「…♪」ゾクゾク
119 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 03:58:45.42 ID:wFMUFjg80

委員長「どうしよっかなぁ…♪」

男「」ギュー!

委員長「……フフッ」ナデナデ

男「…!」

委員長「なんて。私が男くんを見放すわけないでしょ?」ナデナデ

男「委員長……委員長…!」

委員長「大丈夫、大丈夫」

委員長「絶対離れないからね」

男「…ほんとに?」

委員長「うん」

委員長「これからはずっと一緒だよ」



.........




120 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 03:59:20.45 ID:wFMUFjg80

委員長「……」ナデナデ

男「……」ギュー

委員長「男くん」

男「…?」

委員長「好き」

男「おれも」

委員長「♪」

委員長「大好き」

男「へへ…」

委員長「キス、したくなっちゃった」

委員長「今度は男くんからして?」

男「わかった…委員長少し下向いて」

委員長「こう?――んむっ」

男「ん、はむ…」

委員長「んん……んぁ…」

チュッ...レロ...

委員長「ぷはっ…フフッ、強引なんだ」

委員長「でも、おいし♪」

男「」スリスリ、ギュー
121 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 04:00:07.45 ID:wFMUFjg80

委員長「男くんは?私の味、好き?」

男「うん。…あの、もっとしたい」

委員長「……」

パク

チュウウゥゥ

男「…!…っ?」

パッ

委員長「生意気な舌は吸っちゃう。今みたいに」

委員長「私から逃げようとしてた罰。男くんは私の言うことを聞かなければいけません。分かった?」

男「うん…」

委員長「ンフフ…」

委員長「ね、どうしてノートを使って男くんとお話ししてたか分かる?」

男「……」ギュー

委員長「"こっち"の私を通じて、思い出して欲しかったの」

委員長「だって悔しいじゃない?男くんは私を忘れて、私だけ長い時間待ってて、それで委員長さんの口から私のことを教えるなんて。納得いかないもの」

委員長「あれだけたくさんヒントを散りばめたのに結局分かってくれないし、私のひと押しでやっと気付いたよね」

委員長「…あー、思い返したらもやもやしてきたなぁ」

委員長「ねぇ聞いてる?男くん」

男「……」ギュー
122 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 04:00:48.19 ID:wFMUFjg80

委員長「……」

委員長「」ガバッ

ドタン

男「……?」

委員長「もーらい♪」

委員長「女の子に組み敷かれる気分はどうかな?」

ググ(両手を押さえつける)

委員長「ほら、こうされたら動けないでしょう」

委員長「どれだけ足掻いても……」

委員長「フフッ…アハハ♪」

委員長「もう逃げられないねぇ…♪」

男「……」

委員長「男くんのこの顔も、手も脚も身体も心臓も脳も…みんな私の♪」

委員長「いいなぁ…幸せだなぁ…」

委員長「次、何シようか?」

男「……」

委員長「……」ニィ...

委員長「もっと男くんのこと味わいたいな…」

委員長「時間は無限にあるから……じっくり、二人で、愛し合おうね…」

男「…二人、で…」

委員長「そうだよ…」ソッ
123 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 04:01:53.00 ID:wFMUFjg80

委員長「ん、いけないいけない。"浄化"、終わらせておかないと」

委員長「いつまでもボーッとしたままじゃ辛いもんね?」

スクッ

男「え…委員長…?どこ行くの、待って…!」

委員長「大事な用意。すぐ迎えに来るから」

男「行かないで!俺から離れないで…!」ギュウウゥ

委員長「こら…♪私を困らせていいんだっけ?」

男「うぅ…」

委員長「ちゃんと良い子に待ってたら男くんの好きなこと、させてあげる」

委員長「それに"浄化"が終われば、もっと深く私と繋がれるんだよ」

委員長「待てる?」

男「……うん」

委員長「よしよし…」ナデナデ

委員長「すぐだから、ね?」

男「あ…」



トットットッ...


124 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 04:02:46.30 ID:wFMUFjg80

男「………」

男「………」

男「………」

男「……っ」

男「…委員長…」

男「まだ…?」

男「……………」

男「こわいよ…委員長…!」フルフル

男「あぁ……ぅ……」フラリ...

フラ..フラ..

男「委員長……ここ…?」スッ(引き出しを開ける)

男「こっち…?」スッ

男「いない……」

男「さびしいよ……委員長……!」

スッ、スッスッ

男「…!」



(赤い着物の人形)



男「………」

(手に取る)

男「……」

男「」ヒシッ

ゴロン

男「」ギュー
125 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 04:03:15.22 ID:wFMUFjg80

男(……懐かしい)

男(昔…よくこうやって…)



ーーーーー

男母「もう、またこの子は人形を持って寝て…そんなことしてるから破れてくるのよ」スッ

幼男「…やーだ…女ちゃん…」ムギュ

男母「……」

男母「しょうがないわね…」

ーーーーー



男(……昔……)

男(俺、は……)



目を覚ませ



男(………)ゴロ...

グリ

男「…?」

男(ポケットに何か…)

ゴソゴソ

男「………」

男(………)




126 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 04:03:47.46 ID:wFMUFjg80
ーーーーーーー

委員長「わたしの人形はよい人形」スッ

委員長「目はぱっちりでいろじろで」トン

委員長「小さい口もと愛らしい」スッ

委員長「わたしの人形はよい人形」コツ

委員長「………」

委員長「男くん」

委員長「私を大切にしてくれる、私だけのご主人様」

委員長「あなたの人形は、あなたを愛しています」

委員長「……ふふっ」

委員長「わたしの人形はよい人形」スッ

委員長「歌をうたえばねんねして」トン

委員長「ひとりでおいても泣きません」スッ



.........




127 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 04:04:51.25 ID:wFMUFjg80
ーーー大きな扉の前ーーー

男「……」

男「……」スッ



ギィ...



男(……)

委員長「あれ、来ちゃったの?」

男「……」

委員長「待ちきれなくなっちゃったんだ。言い付け破るのは悪い子だなぁ」

委員長「…クスッ、でも許してあげる。寂しくなっちゃったんだよね?ちょうど今、準備も終わったから」

委員長「おいで」

男「…委員長…」

委員長「!」

委員長「男くん、それ…私?」

委員長「見つけてくれたんだね」

委員長「そうやって男くんの手の中にあると、とっても安心する」

委員長「男くんの隣は私の場所だったから…」

男「……」

委員長「もう、何も私達を引き離すものは無い……この世界で…」

委員長「そう思うと嬉しくて嬉しくて……♪」

委員長「男くんもおんなじだよね?」

男「……」
128 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 04:05:53.89 ID:wFMUFjg80

委員長「ねぇってば…♪」

男「……」ゴソ



スッ(ライターを取り出す)



委員長「……それは何?」

男「……」

委員長「ねぇ」

男「……」

ソッ...

委員長「何する気、男くん」

委員長「そういうの、冗談でも嫌い。後でどうなっても知らないよ?」ゾワッ

男「っ…」

男「…俺は…」

委員長「渡して、今すぐ」

男「……」

委員長「"渡しなさい"」

男「あ゙ぁ゙…!」

男「ぐぅ…俺は……帰るんだ……」

委員長「っ!なんで…」

男「帰らないと……」ソッ

委員長「だめ……やめて、男くんっ!」

男「…っ」グ...

委員長「やめてえええええ!!」ダッ
129 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 04:06:35.86 ID:wFMUFjg80





カチッ





――ブワァッ!





委員長「いやぁ!」ボオォ

委員長「熱い!熱い…!」

委員長「やだやだ消えない!火が、火が!」

男「……あ、ぁ……」

委員長「私が…なくなってく…!」

委員長「やだ……やだよぉ……」

委員長「男、くん……」



ボオォ...


130 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 04:07:02.90 ID:wFMUFjg80

男「……」

男「」ヨロ...

ペタン

男「………」



(床に散った灰)



男(……委員長、燃えて……)

男(これで…終わった……?)



ピシッ



男「…?」

男(…天井に白いひびが…)



ミシミシ...ベキッ



ガシャアン――




131 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 04:07:34.75 ID:wFMUFjg80
ーーー学校ーーー

「余裕の到着〜」

「朝練お疲れ」

男「うぁー…」グデー

男(学年末テストの返却、憂鬱過ぎる…)

男(神様仏様どうか古典の赤点だけは回避出来てますように!)

友「よっす」

男「…!?友!」

友「おひさだな」ヘヘッ

男「退院してたのか!いつの間に」

友「意識自体は先週くらいに戻ってたんだぜ」

男「そういやテスト期間中お見舞い行けてなかった…」

友「体に何の異常もないから退院させてもらったんだ。お前も格ゲー相手が居ないとつまんねぇだろ?」

男「格ゲーっつか…まぁ待ってたけども」

「友ちゃんだ!」

「おかえりー!心配してたんだよー!」

「どうして入院してたの?」

友「よぉ。大したことじゃねぇんだけどな、――」

男(…良かった)

男(友が入院したって聞いた時は頭真っ白になって、お見舞いに何回も病室に通ってる合間もずっと気が気じゃなかった)

男(クラスの奴らも俺を気遣ってくれたのに、ほとんどおざなりに相手しちゃったしな…。そのせいかそのうち誰も俺に触れなくなって)

男(せめてテストに託けて無理矢理気を紛らわせようとしたんだよな)
132 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 04:08:38.98 ID:wFMUFjg80

友「ならオレだけ学年末免除になってたりするかな?」

「先生が修了式までなら受けさせてやれるって言ってたよ」

友「マジか…」

男(…ははっ)

男「友」

友「ん?」

男「今日、一緒に帰ろう」

友「おう」ニカッ

地味娘「…友さん、どうぞ…」

友「うわ…プリント?」

地味娘「…友さんが休んでた間の分、全部…」

友「こんなにあんの…」

友「わざわざとっておいてくれたのか?」

地味娘「……」コク

友「サンキュー、クラス委員長さん」
133 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 04:09:05.44 ID:wFMUFjg80

地味娘「…何か困ったら、言ってね…」

友「助かる」

男「友さんや、優秀な数学のノートが必要なんじゃないかね?」

友「……」

友「地味娘さん、早速なんだけど数学のノート写させてくれない?」

男「ちょぉい!なぜスルーしたし!」

友「いや病み上がりに鬱陶しいテンションは堪えるんだわ」

男「誰が鬱陶しいか!」



ワーワー



.........




134 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 04:09:34.79 ID:wFMUFjg80
ーーー放課後ーーー

友「学年末まるっと別室受験だってよー…いやだー」テクテク

男「評定無しよりはマシだよ。推薦の目も残るだろうし」テクテク

友「こんなことなら退院先延ばしにすりゃよかった」

男「おいおい…」

男「…本当に体大丈夫なんだよね?」

友「平気。病院の先生は過労じゃないかって言ってたけど、オレそんなに酷く疲れた覚えなかったんだよなー」

男「そういうのって案外自覚ないって言うじゃん」

友「…シフトちょっと減らしてもらおうかなとは思ってる」

男「俺もその方がいいと思う」

友「親父と同じこと言ってら」ククッ

男「……」

友「……」

男「…あー、チョコ、美味しかったよ」

友「そ、そうか」

男「なんていうか、力強い味だった」

友「それ本当にうまかったのか?」

男「本当だよ!うん」

友「まぁ…お前を守るっつーか…悪い虫が付かないようにっつーか…」

友「そんなん込めて、作ってみたから…」モゴモゴ

男「悪い虫?」

友「お前は無防備過ぎるんだよ」

男「え!そんなことないだろ不審者には常に気を付けてるし」

友「……はぁ」
135 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 04:10:34.92 ID:wFMUFjg80

友「…で、続きは?」

男「あぁ、だから…この前の告白の返事な…」

男(くっそ…いざ友を前にするとめっちゃ緊張する…!)

男「……」ドキドキ

男「付き合おうか、俺たち」

男(言えた…!)

友「………」

友「やり直し」

男「へ?」

友「へ、じゃない。これでもオレ期待してたんだぜ?男なら格好良く決めてくれるって」

友「あれから何日空いたと思ってんだ。俺が起きてから一回も病院来てくんなかったしよ」

男「それは悪かったけどさぁ…今日は行くつもりだったんだ」

男「というか先週から起きてたなら連絡してくれればよかったのに」

友「う……なんか、催促してるみたいで恥ずいし…」プイッ

男「病室で返事すんのは俺も恥ずいんだけど…」

男「友?どっち向いてんの?」

友「……」

男「おーい」

友「……っ」

男「……」ヒョイ

友「!見んな!」

男(にやけてた)
136 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 04:11:26.03 ID:wFMUFjg80

男「さてはなんだかんだ言いつつ、嬉しいんだろー?」

男「あんなダメ出しする割にお顔は正直だね〜」

友「〜〜!」

友「だー!そうだよ悪いかよ!」

友「オレを辱しめるのそんなに楽しいか!?えぇ!?」ギチギチ

男「痛い痛い!ギブ!ギブ!」

友「ったく…」

男「いてて…」サスサス

男「…返事、まだ終わってないんだ」

友「あん?」

男「友、俺な、たった今からお前をその…恋人扱いするっていうのは難しい。けど、付き合えばいつか変わるかもしれないと思って……OKした」

男「付き合ってくうちに友をちゃんと彼女だって見れる日が来るはずだって…!」

男「こんな俺でも、いいのかな…」

友「……」

友「たりめぇだろ」

男「!」

友「男に告るって決めた時からそんなの織り込み済みだっての」

友「任しとけ。1ヶ月もしねぇうちにベッタベタに惚れさせてやっから!」

男「…ありがとな」

友「礼言うのはなんか違うだろ」
137 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 04:12:11.90 ID:wFMUFjg80

友「?男、頭にゴミ付いてんぞ」

男「え?」スッ



(赤い糸)



友「やたら長い糸だな。マフラーでもいじってたのか?」

男「……」

男(……赤……)

友「男?」

男「!いや、うん。木に引っかかってたのが付いたとかそんなんだよ」

友「ふーん」

友「よし、男、デートしようぜ」

男「デート?」

友「おう。ゲーセン行ったり食べ歩きしたり!」

男「いつもと変わらないな」

友「バッカ、付き合って初めてのデートだろ?もっと女心を考えてだな…!」

男「悪い悪い!それもそうだよな!」

友「お前に恋心を叩き込むの、骨が折れそうだぜ…」

友「…まっ」

キュッ(手を取る)

男(…!)





友「これからよろしくな、彼氏さん♪」




138 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/27(月) 04:13:25.57 ID:wFMUFjg80
今回はここまでです。
まだ続きます。
次回の投稿で完結する予定です。
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/27(月) 14:33:12.68 ID:FXSWsIqFO
おつです
140 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/30(木) 19:49:48.16 ID:Mb5flnRC0





―――.........




141 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/30(木) 19:50:38.41 ID:Mb5flnRC0
ーーー高校卒業日ーーー

『卒業証書授与、3年1組』

『地味娘』

地味娘「はい」スクッ



男「……」

男(卒業式)

男(あっという間だったな。中学の知り合い誰も居ない高校に入って、いきなり席間違えられて、それが友で)

男(テストでもゲームでも運動でもあいつと競い合ったよなぁ。友のやつ、体力テスト男子の平均以上とか恐れ入る)

男(修学旅行も……自由行動時間、二人で色々回ったっけ。手繋いでるところクラスの連中に見られて散々からかわれたんだよね)

男「」フッ



『友』

友「はい!」ガタッ



男(…そうか、友と付き合ってから1年か)

男(……)

男(ちゃんと、言わなきゃだよな)



『男』

男「はいっ」カタッ




142 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/30(木) 19:51:18.68 ID:Mb5flnRC0
ーーー昇降口前ーーー

「大学行ってもまた遊ぼうね…」グスン

「ね!ね!写真撮ろ!」

「あの、先輩!…第二ボタンとかって…」

ガヤガヤ



男「……」

男『下駄箱のところで待ってる』12:05(既読)

男(もうちょいかな)

男(早く出て来過ぎたかも……女子は結構こういうので泣いちゃう人いるよな。思い出とか記念とかで写真何枚も撮ったりして。その点男子はあっさりし過ぎだ)

男(…俺がはぶられてるだけとかはないよな?クラスの打ち上げには呼ばれてるし…)

ピロリン

友『今行く』12:13

男「!」

男「……」スッ、スッ

男『人少ないとこ居た方がいいか?すれ違っちゃうかも』12:13(既読)

友『心配ご無用』12:13

男『本当かよ』12:14(既読)

友『見つけた』12:14

男「早っ」キョロキョロ

ポンッ

男「うおっと」

友「こっちだよ、へへっ」

男「さてはそこでスタンバってたな?」

友「一人ポチポチスマホいじってる男子を観察してた」

男「いい趣味をお持ちだこと」

友「オレ専用の趣味なー」

男(……)

男「じゃ、行くか」




143 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/30(木) 19:51:58.80 ID:Mb5flnRC0
ーーーーーーー

男「もう出てきちゃってよかったの?友達、まだ学校に居たんだよね」テクテク

友「挨拶は済ませてきたよ。…そしたら何故か1年2年の女子に囲まれた」テクテク

男「はは。3年になってやたら女子からモテるようになったもんな、友」

友「オレなんもした覚えねぇんだけどなぁ…」

男「何してなくてもかっこいいからじゃない?」

友「……かっこいいだけかよ……」ボソッ

男「ん?」

友「なんでもねぇ」

男「……」

友「……」

男(…なんてさ。本当は聞こえてる)

男「………」

友「………」

男(友と居て沈黙が続くのは珍しい。どっちかが喋り過ぎることはよくあるのに)

男(この空気、去年を思い出す)

男(1年前友に告白されて数日間、お互い何とも言いがたい雰囲気で会話もしづらかったんだよな)

男(その時とちょっと似てる)

友「……」

男「……」

男「友、話があるんだ」

友「………」
144 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/30(木) 19:52:40.36 ID:Mb5flnRC0



男「友達に戻らないか、俺たち」



男「友と付き合ってから1年、色んなことがあったよ」

男「デートコース勝負なんてしたことあったよな。どっちが上手く計画立てられるかーみたいな。お互いの家にも行ったり」

男「俺付き合うっていうのが初めてでさ、そうやって友と遊ぶのは楽しいんだけど世に言う恋人っぽいことしてあげられてるかは分かんなかった」

男「…友はやっぱり親友って印象の方が大きいんだ。それは今でも変わんなくて…」

友「………」

男「優柔不断で、ごめん」

友「……断る」

男「え」

友「ごめんじゃねぇ。たかだか1年で何が分かるってんだよ。10年20年考えてから言えっ」

男「いや、20年て…」

友「お前がオレのことそういう目で見れてないのは知ってたよ。手繋ぐ以上のことしてこなかったし。しまいにゃ襲ってやろうかと思ったぜ?…しなかったけどよ」

友「恋人っぽいことな。オレとなんかじゃ想像も出来ねぇってか?」

男「そんなこと……ただ、このままずるずるいっても……」

友「女々しい!」

友「けどそういうとこ含めて全部好きなわけ!いい加減分かれ!」

友「とにかく、絶対別れないからな。嫌いじゃないならもっとオレのわがままに付き合え。中途半端とか言ってんならこっちにも考えはあるんだ!」ダッ

男「あ、友!」



タッタッタッ...



男「……」ポツン

男(全力で拒否られた)




145 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/30(木) 19:54:04.84 ID:Mb5flnRC0
ーーー自室ーーー

男「……」ガサゴソ

男「んー…」ジー

男「これは要らない」

男「……」ガサゴソ

男(友のやつ、悲しませちゃうだろうなとは思ってたけど、あれはまったく予想外だった)

男(あの後LINEしても返事ないし……なんかすごい情けないな、俺)

男(こういう時どうするべきなんだろ。恋愛マスターが居るなら教えて欲しいよ…)

男「……」

男「あーダメだダメだ、全然集中出来ない。持ってく荷物、明後日までにまとめとかないとなのに」

男(大学から一人暮らしを始めるから。それもあって自分の中で宙ぶらりんなままの友との関係をはっきりさせとこうとしたんだよな…)

男「いいや、一回押し入れから全部出しちゃおう」



ガサッ、ズズズ



男(出てくる出てくる)

男(使わなくなった教科書、リコーダー、部活のラケット)

男(こっちはアルバム系。小、中ときてここに高校の卒アルが追加されるわけだ)

男(うわ…これおもちゃ箱か?めちゃくちゃ埃かぶってる。ゆっくり取り出さないと)

ゴソ...

男「……?」

男(奥にまだ何かあるな)

スッ

男「……これって……」



(あちこち破れた赤い着物の人形)


146 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/30(木) 19:55:08.38 ID:Mb5flnRC0
男「……………」

男「……………」

男(――!)

男(そうだ……俺が隠したんだった)

男(まだ小学校にも上がる前。ボロボロになったからって捨てようとする母さんを誤魔化すために、自分で捨てたって嘘をついてここにしまい込んだ)

男(隠し続けてるうちに忘れて……そのままいつしか高校生になってたんだな…)

男「………」

男「………委員長………」



ーーーーー

委員長「じゃあ、委員の補佐として推薦しておくね。これからよろしく♪」

委員長「それとも私口説かれてるのかな?」クスッ

委員長「全部全部男くんとの大事な思い出…♪」

委員長「いいなぁ…幸せだなぁ…」

ーーーーー



男(………)

男「」バッ

タッタッタッ(階段を駆け下りる)

男母「あらどっか行くの?」

男「ちょっと学校!」

男母「アルバムお母さんにも見せてよ〜」

男「後で!」ガチャッ



.........




147 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/30(木) 19:55:36.47 ID:Mb5flnRC0
ーーー夕方 空き教室ーーー

男「はぁ…はぁ……ふぅ」

男(…来てしまった)

男「……」...テクテク

男(ここの机だったっけな)
 
男(…さっきの記憶…)

男(俺の学年に委員長という人は居ない)

男「……」

男(けど、夢と言うにはこの記憶はあまりにも鮮明過ぎる)ソー

男「…!」

男(ノート……本当にあった)

男「………」

男(怖くないと言えば嘘になる)

男(それでも)



ーーーーー

委員長「やだ……やだよぉ……」

委員長「男、くん……」

ーーーーー



男「……………」

...ペラ



(白紙)


148 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/30(木) 19:56:34.97 ID:Mb5flnRC0

男「……」

ペラ、ペラ

男「……はは、真っ白だ」

男(だったら後ろのドアも)

タッタッタッ ガラッ



(西日の差し込む廊下)



男「だよな」

男(あんな漫画みたいなことが現実で起こるわけないか。所詮は単なる奇妙な夢…)

男(……夢……)

男「………」

男「こんにちは」



カァ、カァ...



男(………)

男「帰ろう」




149 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/30(木) 19:57:02.15 ID:Mb5flnRC0
ーーーーーーー

男「……」テクテク

男(夢っていうのは大抵起きればすぐ忘れちゃうんだけど、時々強烈に頭に残ったりする)

男(それが悲しい夢なら涙が出てることもあるし、怖い夢なら夢でよかったって胸を撫で下ろすこともある)

男(それで言うと、この夢はどうなんだろう)

男「……」テクテク

男(……夢の話より今は現実か)

男(やっぱり友ともう一度話し合ってみよう)

ガチャリ

男母「おかえり。そろそろ夕飯出来るわよ」

男「うん」

男母「それとアルバム!持ってきて早くっ」

男「後で持ってくって」

トットットッ

男(部屋散らかしっぱなしのまま出てきちゃったんだよなそういや)

男(…端に寄せとくかな)

男(!あれ、部屋のドア閉めてたっけ?まぁいっか、母さんが閉めたんだろ)

ガチャ パタン

男「先に友に電話だけで…も……」





委員長「」スー..スー..




150 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/30(木) 20:00:04.99 ID:Mb5flnRC0

男「……うぇっ!?」

委員長「…ん…んー…」

委員長「おはよ、男くん」

男「ぇ……委員長…?」

委員長「うん」ニコ

男「……?……!…?」

委員長「ふふっ、私が居るのがそんなに不思議?男くんが放り出していったんじゃない」

男(放り出して……そういえば人形が見当たらない)

委員長「男くんが火をつけたのは、"あっち"の世界での私。こっちの私はずっとしまわれたまま」

委員長「男くんがやっと見つけ出してくれたから、またこうしてお話出来るの」

男「夢じゃ、ないんだ」

委員長「夢で片付けちゃうなんて酷いなぁ」

男「……」...ジリ

委員長「私が怖い?」

男「それは…あんなことされたら」

委員長「私と居るの嫌だった?」

男「一緒に居る云々の話じゃなくて…」

委員長「…ふふっ」

委員長「ね、遠いよ男くん。こっちで一緒にあったまろ?」

男「………」

委員長「そんな警戒しなくても、もう私は男くんを連れてくことも"向こう"に戻ることも出来ない。あなたに燃やされちゃったもの」

委員長「ただのお人形さんです」

男(…そんなこと言われても…)
151 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/30(木) 20:01:36.72 ID:Mb5flnRC0

委員長「焼かれるの、苦しかったな」

男「っ」

委員長「熱くて、痛くて、悲しくて…」チラッ

男「……あの時は……"帰らないと"としか考えられなくて……」

委員長「慰めて?」

男「へ」

委員長「慰めてくれないと、泣いちゃう」

男(な、泣く?想像出来ない…)

委員長「……しくしく」

男「…絶対泣いてないでしょ」

委員長「いいですよー、代わりに男くんの毛布もらうから」ギュ

委員長「スゥー……はぁ…男くんの匂い♪」

男「ちょ、嗅がないで…っていうか委員長服!なんでそんなズタズタなの!?」

委員長「男くんにやられたんだよ?」

男「えぇ…?」

男(あ、委員長の着物って女ちゃんのあれか)

委員長「男くんが着替えさせてくれるんだよね」

男「とか言って、近付いたら何かする気なんだよね…?」

委員長「しないよ。男くんがいいって言わない限り」

男「いいって言ったら?」

委員長「押し倒す」

男「ほら!」

委員長「くふふ♪」

男(言ってることはあんまり変わってないはずなのに、なんだろう、今の委員長を見てるとさっきまでの恐怖は薄れてくる)
152 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/30(木) 20:02:41.36 ID:Mb5flnRC0

委員長「でも、お洋服の一つくらいは男くんに選んでもらいたいなー」

男「…人形用の服とかでもいいの?」

委員長「もちろん」

委員長「男くんお引っ越しするんだよね?楽しみだね二人暮らし♪」

男「つ、ついてくる気?」

委員長「だって私はあなたのものだよ。あなたのことが大好きな、あなたのお人形」

委員長「いつまでも傍に居させてね」ニコッ

男「」ドキッ

男(…い、いやいや惑わされるな。この人に俺はどんなことをされかけたか)



ドタドタドタ バタン!



男「!?」

友「男!これでどうだ!これで少しはお前の理想にも近付いて――」

(スカート、髪型、薄いメイク、女の子らしい格好の友)

委員長「……」

友「あーー!」

友「なんでお前が居るんだよ!?」

委員長「ここ私の家よ?」

友「男ん家だろ!どっか消えたんじゃなかったのか!」
153 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/30(木) 20:04:13.19 ID:Mb5flnRC0

男「友、委員長のこと覚えてるの…!?」

友「あぁ。忘れるかよこんな粘着ストーカー」

友「男は全っ然気付いてねぇみたいだったけど、こいつ四六時中お前に付き纏ってたんだぜ?オレが見張ってたんだが…迂闊にもやられちまってよ」

友「こいつは普通の人間じゃねぇ。お前にも言うつもりだったが、目覚ましたら全員こいつのこと忘れてたから都合がいいと思ってたんだ」

委員長「泥棒猫さんに言われたくないなぁ。私と男くんの間に図々しく割り入ってきて」

友「男はお前のじゃない。第一お前がなんと言おうと今男と付き合ってるのはオレだ」

委員長「そう?私達はもう何回も熱い口付けを交わした仲よ?」フフッ

友「は?」

友「…おい男、まさかオレと別れたがったのって…」ジロ

男「ち、違う!俺も委員長が本当に居たんだって今さっき――!」





ワー! ギャー!

男母「賑やかね〜」

男母「今日は何してるのかしら?友ちゃんもあんなにおめかしして…」

男母「お夕飯、友ちゃんの分も作ればよかったわ〜」




154 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/30(木) 20:05:49.91 ID:Mb5flnRC0

友「――男はこいつの正体知ってるんだな!?」

男「話す!話すから落ち着いて…!」

友「いや…その前にさっきの、キ、キスについて聞かせろ」

男「そ、それは向こうが無理矢理」

委員長「男くんからしてくれたこともあったのに」

男「あれだって委員長が…!」

友「」バッ

男「わっ!」サッ

ポスッ

委員長「いらっしゃい♪」ギュ

友「避けんなって」ニコニコ

男「まず話を聞いて!?頼むから!委員長も離して…!」

委員長「なんで?このまま見せつけちゃおうよ」

友「ほぉ…」

男「煽らないで!」

男(思えば、どうしてこんな状況になってるのだろう)

男(始まりはあの交換日記?いや、女ちゃんをもらったことか?それとも友の告白を受けたりしたから…?)

男(……そうじゃないな。多分、俺が"何もしなかった"からこうなってるんだ)

男(しゃんとしなくちゃ)
155 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/30(木) 20:06:36.45 ID:Mb5flnRC0

委員長「…初めまして、こんにちは」ボソ

男「?何か言った?」

委員長「ううん。何も」ギュー

友「いつまで抱きついてんだよ!」ガシッ

委員長「きゃーこわーい♪」



ギャーギャー!



.........





ー終わりー
156 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/30(木) 20:09:48.06 ID:Mb5flnRC0
以上で完結となります。

最初は、夏なのでホラーな話にしようかと思っていました。
徐々に徐々に病んでいくようなお話もそのうち書きたいです。

ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/30(木) 20:28:24.99 ID:+GMfBDFKo
おつでした
梅雨明けに相応しい、これからが気になる良作をありがとう
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/30(木) 22:34:20.45 ID:4AlzW8kw0
おつ
ホラー描写とこれからが楽しみな爽やかな、夏にぴったりの良作でした。
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