交換日記『私、あなたに会ってみたい』

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1 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/12(日) 03:06:31.73 ID:E2zdpwtY0
SS10作目です。
ヤンデレものとしては2作目となります。

・ヤンデレちゃん1
ギャルゲー後輩ヒロイン「先輩!会いに来たっスよ♪」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1587399877/



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1594490791
2 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/12(日) 03:08:12.51 ID:E2zdpwtY0
ーーー学校ーーー

教師「と、この形まで変形できたら後は6分の1公式使っておしまい」カキカキ

教師「今日はここまでだ。定積分の章末問題、来週までの宿題だからな」

「えー!」

「鬼だ、鬼がおる」

教師「ブーブー言うんじゃない。2ヶ月後には受験生なんだぞ?」

ソウデスケドー

男(やばい、後半寝ててノートとってない)

男(友は…)

友「」グッタリ

男(抜け殻になっとる)




3 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/12(日) 03:08:59.35 ID:E2zdpwtY0
ーーー昼休みーーー

友「男ー、オレ理系にしたの失敗だったかもしんない…」

男「元々数学苦手だったもんなー。女子で理系クラスって友含めて10人も居ないんだよね、この学年」

友「うぅ、数学受験したくねー」

男「文系いけば良かったのに。なんでわざわざ理系に?将来やりたいこととかあんだっけ?」

友「……まぁ、そんな感じ」

男「へぇ、なになに?」

友「男には教えない」

男「なぜ!?」

男「あ、友さ、さっきの数学のノート貸してくれない?俺最後の方寝ちゃってて」

友「数学得点源にすんだろ?そんなんで大丈夫なのかよ」

男「平気平気、ちゃんと復習はするから。そのためにも頼みます!」

友「いやいいけどさ」

スッ(ノートを渡す)

男「さすが持つべきものは――」パラ

男「……あの、友さん。これ答えしか書いてないんですが」

友「おう」

男「途中式は?解法ポイントは!?」

友「問題と答えがありゃ途中式は作れる!そんくらいしねーと克服できねーだろ」

男(まずは基本的な解き方を身に付けてからだと思う)
4 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/12(日) 03:09:34.28 ID:E2zdpwtY0

委員長「そこの二人、古典のプリント集めるよ」

友「ん」スッ

男「委員長!丁度いいところに!」

男「数学のノート見せてくれませんか!書き写せなかったところがあって…」

委員長「寝る余裕があるくらいバッチリだったんじゃないの?」

男「うぐ」

委員長「…フフッ、冗談。ノートくらい見せてあげる」

男「ありがと〜!」

委員長「ちょっと待ってね、持ってくる」

トットットッ

男「委員長、いいよなぁ。しっかりしてて何だかんだ優しいしさ」

男(スタイルも…)デヘヘ

友「…オレあの人苦手」

男「友は正反対のタイプだもんな。友も委員長みたいな眼鏡かければ賢そうに見えるかもよ?」

友「いらんわ。つかプリント出しとけよ。また回収に来るぞ」

男「……………」

友「はぁ、こりゃノートはお預けかもな」




5 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/12(日) 03:10:05.22 ID:E2zdpwtY0
ーーーとある日の放課後ーーー

男(突然だが俺には友という友人が居る。知り合ったのは高校に入ってから。初めは女子なのに自分のことを"オレ"とか言ってギャルこえーくらいに思ってたんだけど、話してみると意外と気が合ってそれからこうしてほぼ毎日つるむようになった)

男(さて、なぜいきなりこんな話をしたのかというと)

友「待ておらぁ!」ダダッ

男「待てと言われて待つ奴は居ない!」ダダッ

友「消せ!今すぐに!」

男「えー?勿体ない」

友「なら壊す!」

男(絶賛逃走中なのである)

男(経緯は簡単。所用を終えて教室に戻ってくると、友が一人で告白の練習?のようなものをしていたのだ。普段聞かないいじらしい声だったから思わずスマホで録画してしいたら気付かれて…)

男(今に至る)

男「誰に告るのか教えてくれたら消すよ!」

友「あれは劇の練習だっつってんだろ!?」

男(何の劇ですかねー?)チラッ

友「」ダダダッ

男(友のやつ本気で追いかけてきてる!?)

男(捕まったらデータ消去だけじゃ済まなさそう…!)ダダダッ



.........




6 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/12(日) 03:10:33.57 ID:E2zdpwtY0
ーーー空き教室ーーー

男「………」

男(とりあえず撒けた?)

男「ふぅ…」

男(あんな風に追ってくるからつい全力で逃げちゃったけど、友が本気で嫌がってんなら…名残惜しいが消すしかないか)

(スマホを取り出す)

男「LINE見てくれるかな」

スッ、スッススッ



男『絶対誰にもバラさないからさ、自分の鑑賞用として残しておいちゃダメ?』



男「……まぁ普通に考えたら嫌に決まってるよね」

男(とはいえなるべくなら残しておきたいなー。それほどまでにあの時の友は乙女だった)

男(にしても)

男「……」ミマワシ

男(こんな教室うちの学校にあったんだな。いつもこっちの方来ないから全然知らなかった)

男(机も椅子も並べてあるけど埃積もってるし、使われてないんだろうな)

男「ん?」

男(あの机、中にノート入ったままだ)

男「……」

ソー...

男「…ふむ」

男(何のノートだろう?名前も教科も書かれてない。誰かが新品を置き忘れてったのかね)ペラ

男「お」
7 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/12(日) 03:11:01.80 ID:E2zdpwtY0



『こんにちは』



男「……」ペラ、ペラ

男(…これだけ?)

男(最初のページに"こんにちは"って……自由帳?イタズラとか?)

男(………)



ガサゴソ

サラサラ、サラ



『初めまして、こんにちは』



男「よし」

男(何だろうこの、テレビで喋ってる人に返事するみたいな感じ)

男(戻しとくか)

スッ

男「……」

男(うん。冷静に考えれば)

男「何してんだ、俺」ハハ



友「本当にな???」


8 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/12(日) 03:11:47.33 ID:E2zdpwtY0

男「!?」

ガシッ

友「こんなとこまで逃げやがって。さ、消してもらおうか目の前で即刻」ググ...

男「友、痛い痛い腕が…」

男「LINE見てくれてないのっ?」

友「あんなの許すと思うか?」

友「さっさとしないと血を見ることになるぜ…」ギュウゥ

男「分かった!分かったから…!」

スッ、スッスッ

ポン

男「ほら、これで消えた!間違いなく!」

友「……」ジロジロ

友「…確かに。スマホからは消えたな」

男「え?」

友「あとはお前の頭の中だけか」

男「……友さん?」

グワシッ

男「じ、冗談ですよね…?」

友「………」

友「」ニコッ



ギャアアアア!




9 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/12(日) 03:12:34.68 ID:E2zdpwtY0
ーーー翌日 学校ーーー

男「まだ痛む……友め、あそこまでしなくてもいいのに」

委員長「どうしたの男くん?今日は友さんと一緒じゃないんだ」

男「昨日ちょっとね」



友「……」ムスー



委員長「まあ怖い」

男「実は…」



.........




10 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/12(日) 03:13:01.60 ID:E2zdpwtY0

委員長「それは男くんが悪い」

男「あんなに怒るとは思わなくて」

委員長「誰だって見られたくないところ盗撮されたら怒るよ」

男「と、盗撮」

委員長「違った?」ニコリ

男「いいえ…」

委員長「でも、ちゃんと謝れば許してくれると思うよ。あの様子だと嫌だったから怒ってるってわけじゃなさそうだもの」

男「そうする。友居ないとなんか調子狂うし…クラスの奴らにはついに別れたのかとかおちょくられるし…」

委員長「……で、プリントは持ってきたの?」

男「………あ」

委員長「男くーん?」

男「いや違うんです、やってはいるけど家に置いてきちゃっただけで」

委員長「やってないのと同罪です」

委員長「私昨日言ったよねー?今日も忘れたら委員のお仕事手伝ってもらうって」

男「…それって、どんな?」

委員長「書類整理だけだからざっと2、3日くらいかな〜」

男(多くない!?)

委員長「じゃあそういうことで、来週の放課後よろしくね♪」

男「一つ訊いてよかですか」

委員長「どうぞ」

男「なんで今回だけそんなペナルティが?」

委員長「それは男くんが…」



委員長「未提出常習犯だからだよね」ニッコリ




11 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/12(日) 03:13:37.99 ID:E2zdpwtY0
ーーーーーーー

「帰ろうぜー。今日どこ寄る?」

「俺ちょっと腹減ったわ」

ガヤガヤ

男「……よし」ガタッ

トットッ

男「えー、友?」

友「……」

男「ごめん!調子に乗り過ぎた。越えちゃいけないラインとかさ、そういうのが見えてなくて……もうしない」

友「……」

男「そ、そうだ、今度何か奢らせてよ。大したことじゃないかもしれないけど、お詫びの」

友「……」

男「印として……」

友「………」

男(これは想像以上に厳しいのでは)

友「……ラーメン一杯」

友「青木亭の。それで手打ってやる」

男「友!」

友「別にオレもやり過ぎたしよ……あんなタイミングで…お前じゃなきゃ…」ゴニョゴニョ

友「とにかく、昨日のは忘れろ」

男「努力します」

男「…けど、そんなに卑下することないと思う。あの時の友、冷やかし抜きにかわいかったしさ。多分相手も普段とのギャップでときめいてくれるんじゃないかなーって」

友「〜〜!?」

友「お、おま、なんも分かってねぇじゃんかっ!大体劇の練習だっつったろ!」

男「わー!ごめん!ごめん…!」

友「ったく、ほんとに…」

男(こ、この話題は触れるのもやめとこう…)ビクビク
12 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/12(日) 03:14:37.78 ID:E2zdpwtY0

友「じゃ今夜8時な。お前ん家迎えに行くから」

男「へ?」

友「奢ってくれんだろ?ラーメン」

男「あぁうん。…って今日!?」

友「オレ、バイトだからその後な。こういうのは早いに限る」ガタッ

男「帰り結構おそくなっちゃうんじゃ」

友「中坊じゃあるめぇし、ちゃちな門限なんかないだろ」

男(いや、友の方が大丈夫なのか…?)

友「…また夜に」

男(あれ?友ちょっと笑ってる?)

タッタッタッ

男「行ってしまった」

男(…そういえば)




13 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/12(日) 03:15:08.90 ID:E2zdpwtY0
ーーー空き教室ーーー

男「確かこの机に…」

男「あったあった」スッ

ペラ



『お返事ありがとう。このノートを見つけてもらえるとは思ってなくてとてもびっくりしています。私のこのノートは元々――、―――。』



男「返事が来てる!!」

男(綺麗な字。これ読む限りノートの持ち主は女の子みたいだ)



『良かったらまた返事をくれると嬉しいな』



男「おー…!」

男(また書いて、って期待してくれてる!)

男(気になってちらっと見に来たらまさかこんなことになってるなんて)

男(誰なんだろうなぁこの人。ここに来てるってことは少なくともうちの学校だとは思うけど)

男「ひとまず返事返事」

男(なんて書こうかなー。何書けば喜んでくれるかなー)

男「……」ウーン

男「!」ハッ

男「こちらこそ、ありがとう、俺がこれを見つけたのは、昨日たまたま…」カキカキ



.........




14 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/12(日) 03:16:11.92 ID:E2zdpwtY0
ーーー翌放課後 空き教室ーーー

男「お、今日もきてる。なになに…」

男「………」

男「へぇー、姉妹がいっぱいいるのか」

男「"みんな良い子なのでとても可愛らしいです"。…文章も丁寧だしなぁ、なんとなく清楚なお姉さん的人物で脳内再生される」

男「俺一人っ子だから兄弟が居る感覚がどんなもんかちょっと気になるんだよね」

男(おし、なら今日書くことは――)



.........







ーーーまたまた放課後 空き教室ーーー

男「ほうほう、なるほどねぇ」

男「つまりこの教室はもう何年もこのままで大掃除の時以外誰も入ってこないと」

男「そんなことまで知ってるってことは先輩?高3なのかな」



.........




15 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/12(日) 03:16:48.14 ID:E2zdpwtY0
ーーー翌週 学校ーーー

男(ノートの中のやり取りを始めてから今日で丁度一週間。最近は放課後が楽しみでしょうがない)

男(こっちの書いたことにはちゃんと反応を返してくれて、彼女の話も退屈しないときてる。一回の返事で1ページくらい書くのが二人の暗黙のルールみたいになってきてんだよね。実際それくらいがちょうどいいし)

男「……」ニヤニヤ

男(顔も名前も知らない相手だけど、俺の中ではもう育ちの良い美人さんという勝手なイメージが日々膨らみつつある)

男(…名前、やっぱり気になるな)

男(最初のうちに訊いておかなかったせいでタイミング逃しちゃった感があるんだよな…)

男「……」ウーム

友「…なぁ、最近どうした?」

男「んー?」

友「妙にニヤついたり渋い顔したり。はっきり言って不審だぞお前」

男「えー?そうかなー」ヘヘヘ

友「……」

友「や、やっぱあれか?そろそろアレが近い、からか…?」

男「アレ?」

友「……なんでもねぇよ!」

男「」ビクッ

友「次体育だからとっとと出てけ。着替えらんねぇだろうが」

男「お、おう」



サササ...

ガラ



男「びびった…なんで俺怒鳴られたんだ…?」




16 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/12(日) 03:17:19.41 ID:E2zdpwtY0
ーーー放課後ーーー

「先生さよならー!」

教師「気を付けてな」

男(待ってました!やっと行ける!)

男(見るだけなら昼休みでもいいんだけど、あの教室案外遠くて返事まで書こうとすると時間が足りないんだよね。あの人はいつ書きにきてるんだろう)

男「ま、いいか」スクッ

男「今日はどんなことが書いてあるかなー♪」テクテク

チョンチョン

男「?」

委員長「男くん、そっちじゃないよ。こっち」ニコニコ

男「……?」

委員長「委員の仕事の手伝い。まさか無かったことに出来るとか思ってないよね?」

男「………」

男(忘れてたー!)




17 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/12(日) 03:17:48.20 ID:E2zdpwtY0
ーーー資料室ーーー

委員長「――最後にこのプリントを名前順に並べてから綴じ込みしたらおしまい」

委員長「ね?簡単でしょう?」

男「…うん。説明は分かった」

男「けどさ」



(大量の紙束)



男「この量は一体何!?」

委員長「なんかね、先生達もずっと忙しくてなかなか手が回せなかったみたいなの」

男「それでこんだけ溜まってしまったと?」

委員長「男くんが居てくれて助かるなー。私一人だったら紙の触り過ぎでそのうち手切っちゃうところだったもの」

男「そういう問題なのか…てかそもそもこれを委員長一人でやろうとしてたんだよね…」

委員長「他に頼める人が居ないんだって。先生に言われちゃった」

男(頼まれたら断れないところは、優しいけど損しちゃうところだよなぁ。手伝ってあげられて良かったのかもしれない)

委員長「その代わり、成績には色を付けてくれるようにお願いしておいたよ」フフ

男(…前言撤回。委員長は意外と…)

男「…あのさ、それって俺の成績も…」

委員長「うん?何かな忘れん坊将軍様?」

男「何でもないです」

男(あれから提出物忘れはしてないのに……古典のプリントだって次の日には出したし…)



委員長「本当、忘れっぽいんだよね」



男「そこまで言います…?」

委員長「……」ジッ...

男「…委員長?」

委員長「始めるよ男くん。これ今週中に終わらせなくちゃいけないんだから」

男「あ、はい」




18 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/12(日) 03:18:14.32 ID:E2zdpwtY0
ーーー数日後ーーー

男「友!聞いてくれよ、この前話してた漫画なんだけどさ、今年の夏に――」

友「わ、悪い、オレ先生に呼ばれてたんだわ。また後でな」



.........





教師「この形のものを三項間漸化式というが、解き方自体は――」

友「」ウトウト

男(お、珍しい。友が授業中眠そうにしてるとは)

男(……)

ソー...

ツン

友「ひゃんっ!?」ビクゥ!

クラス一同「?」

教師「どうした?具合でも悪くなったか?」

友「いや…何でもない、です」

教師「そうか。でだ、次にこの二つの解をだな」

友「……っ」ギロ

友(後で覚えとけよ)

男(――っていう目してる)




19 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/12(日) 03:19:02.31 ID:E2zdpwtY0
ーーー放課後 資料室ーーー

男「なんてことがあってさー。昼に関節極めてきたんだよ?」パラ、パラ

男「人のこと不審とか言っといて最近は友の方が挙動不審だって話」ガサ

委員長「最後のは男くんの起こし方も良くないと思うけど」パラパラ

男「でも元はと言えば居眠りしてた友の自業自得だろー。親しき中にも礼儀を持って欲しいよなー」

委員長「あなたが言う?」



パラ、パラパラ

ガサ...



委員長「本当、仲良しよね二人とも」

男「おかげで常に二人一組みたいな扱いされるけど」

委員長「男くんは友さんのことどう思ってるの?」

男「ベストフレンド」

委員長「…親友?」

男「そ。あいつあんなだから最初は近寄りづらかったんだけどさ、趣味とかめっちゃ合ってて喋りやすいし今じゃ家族よりも話した回数多いかも」

男「ま、それは冗談にしてもすごい気が合うのは本当。こんな感じでこの先続けていけたらなって思ってるよ」

男(……あ)

男「…今の恥ずいから友には言わないで」

委員長「素敵なことじゃない」

男「委員長にはそういう人居ないの?」

委員長「居たよ。何年も前にね」

男「おぉ!その人とは今は?」

委員長「疎遠になりましたとさ」

男「そうなんだ…」
20 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/12(日) 03:19:33.88 ID:E2zdpwtY0

委員長「…でもそろそろ迎えに行くつもりだよ」

男「迎え?」

委員長「仲が悪くなったわけじゃないからね。むしろずっと仲良しでいようねって約束したくらい」

男「ほぉ…いいねいいね。なんていうかロマンチック」

委員長「さて、と」パチン

委員長「はい、私の方は終わり。男くんは?」

男「俺もあとちょっと」パラパラ...

委員長「口ばっかりじゃなくて手も動かしてよ?」

男「委員長の手際が良過ぎるんだと思います」

委員長「ありがと」ニコ

委員長「今日は金曜日……なんとか間に合わせられたね。男くんの手伝いがなかったら本当にピンチだったかも」

男「忘れん坊将軍の汚名は返上出来たよね!これからは頼れる男として名を馳せていけるかな」

委員長「じゃあ、委員の補佐として推薦しておくね。これからよろしく♪」

男「えっ」

委員長「フフッ、冗談よ冗談」

男(委員長って結構、冗談好きだよね)




21 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/12(日) 03:21:15.15 ID:E2zdpwtY0
ーーー空き教室ーーー

男「もう真っ暗だ…」

男(今週は委員長の手伝いしてから来てたせいで遅くなっちゃってたけど、今日は特に遅い。委員長の一面を知れただけよかったと思うべきか)

男(それでも律儀に返事をくれるもんだからやめられないんだよね)

男「さてさて今日は…」



『昨日も遅くまで書いてくれてたんですね。あまり無理させたくないけど、あなたとこうしてお話するのとっても楽しくて私からやめてとは言えません。』



男「……」ニヘラ

男(この人も俺と同じこと考えてくれてるんだ…)

男(うん、いいよね。なんでも一瞬で済ませられる今の時代に、二人だけの交換日記みたいで)

男「……?」

男(最後の行、枠線からはみ出てる)



『私、あなたに会ってみたい』


22 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/12(日) 03:21:42.52 ID:E2zdpwtY0

男「…!」

男(会ってみたい…?会ってみたいってことは)

男(――ついにこの人を見ることが出来る!?)

男「マジかっ!」

男(そんなのウェルカムに決まってる!)

サラサラサラ

男(今日あったことも書いて、最後に…)

サラサラ...



『俺もあなたと会ってみたいです!』



男「これでよしっ」

男(いやー直接話せるかもと思うと緊張するなぁ)

男(どんな人なんだろう?会う場所はやっぱりここかな?今更初めましてって言うのはおかしいよな…?)

男(何にしても、次の月曜の返事が待ち遠しい…!)




23 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/12(日) 03:22:31.77 ID:E2zdpwtY0
一旦ここまでとなります。
24 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/14(火) 21:09:19.31 ID:56wXiMG50
ーーー翌月曜日 空き教室ーーー

...タッタッタッ

男「」ザッ

男「フゥ…フゥ…」

スッ(ノートを手に取る)

男(待ちきれなくてつい走ってきてしまった)

男「……」ドキドキ

男(なんて、返事してくれてるかな)

ペラ――



『嬉しい』



男「………」

ペラ

男「あれ?」

男(これしか書いてない)

男「俺も嬉しいけど…」

男(思ってたのと違う…。もっとこう、あれこれ色んなことが書いてあってもしかしたら今日この人と会えるかもなんて)

男(…俺、飽きられた?)

男「」ブンブン

男「めげちゃダメだ。少なくとも"嬉しい"って言ってくれてるんだし、いつも通り書いていこう」

男(……念のため先週変なこと書いちゃってないか確認しとこう)




25 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/14(火) 21:10:07.44 ID:56wXiMG50
ーーーーーーー

男「うーん…」テクテク

男(何がいけなかったのか)

男(やっぱりあれかな?しつこく自分の話ばっかりし過ぎた?それともあの質問のせい…?)

男(く〜…考えても分からない…)

男(明日の返事を見るのが怖い)トホホ

男「はぁ…」

ガチャ

男「ただいまー」

男母「あ!今更帰ってきた。間が悪いわねーもう」

男「…なに?」

男母「寄り道しないで早く帰ってきてたらよかったのに」ニヤニヤ

男「だからなんなのさ」

男母「さっき来てたのよ?つい5分くらい前だったかしら」



男母「あんたのガールフレンド!」


26 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/14(火) 21:10:47.71 ID:56wXiMG50

男「……は?」

男母「まったく、彼女出来たんなら言ってくれてもいいじゃない!あんなに可愛くて礼儀正しい子、そうそう居ないわよ!」

男「え、彼女?」

男母「泣かせたりしたら承知しないからね」

男母「そういえば真っ赤なお着物着てたけど、そういうお家の子なの?」

男「ちょっと待ってって!」

男「さっきから何の話してんだよ。俺、彼女とか居ないよ?」

男母「照れなくていいのにこの子は〜」

男「照れとかじゃないから!着物の女子なんて俺の周りに居ないの!それ多分誰かのイタズラだろ。名前なんて言ってた?」

男母「そうね確か――」

男母「……?おかしいわね、確かに教えてくれたんだけどねぇ…」

男「忘れたのか…」

男母「ボケたんじゃないわよ?もう少しで思い出せそうなの」ムムム

男「もういいよ。俺自分の部屋行くから」

男母「あ、男、あんたの彼女なんだから名前くらい教えてくれてもいいのよ!」

男「彼女なんか居ないって」

男母「それにしてもあの男がねぇ……ちっちゃい頃はお人形さんと結婚するーとか言ってたあの男が」シミジミ

男「そんな昔のことほじくり返すな!」



タッタッタッ

バタン



男「なんなんだよまったく」

男「交換日記といい、母さんといい、今日はツイてない日だ」

男(…着物の女子…)

男「………」

男(さっぱり心当たりがない)




27 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/14(火) 21:11:31.30 ID:56wXiMG50
ーーー翌日 学校ーーー

「はいあげる!」

「ありがとー。じゃあ私も」



友「……」ソワソワ



「こ、これ!勘違いしないでよ、ただの義理なんだから!」



友「……」キョロ、キョロ

男「なぁ友」

友「!な、なんだ」

男「着物を着た女子って見たことある?」

友「着物くらいならオレも着たことあるぜ…」

男「そうじゃなくて」

男「昨日俺ん家にさ、赤い着物を着た女子が来たらしいんだよ。夜の、暗くなってからすぐくらいかな」

男「この辺りでそんな子居た?友何か知らない?」

友「知らん知らん。お祭りにでも行ってたんじゃねぇの」

男「冬にやってるお祭りなんて近くにあったっけ」

友「あーそれかあれだ、七五三とかだろ」

男「7歳の子が夜に…?しかも七五三って時期違くなかった?」

友「なんだよ着物着る行事だろ?遅めの成人式っつー線もあるわな」

男「友、さっきから真面目に聞いてないでしょ」

友「き、聞いてるよ。着物着たいなら今度一緒に見に行くか?」

男「おいっ」
28 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/14(火) 21:13:29.67 ID:56wXiMG50

男「頼むよー、そいつが不気味なやつなんだよ。俺の彼女だって言って母さんに挨拶してったみたいでさ…」

友「!?お前彼女居たのか!?」

男「居ない居ない。だから気味が悪いんだ」

友「……ホッ」

友「んなのイタズラに決まってんだろ。ピンポンダッシュと同じようなもんだよ」

男「そうだよな、やっぱイタズラだよな」

男「それか母さん自身が俺をおどかして楽しんでるとか……でもそんなことする意味が……」ブツブツ

友「…男!」

男「ん?」

友「今日の放課後、一緒に帰らねぇか…?」

男「いいよ。どっか行くの?」

友「いや行く場所があるっつか、言うことがあるっつか…」

友「とにかく放課後忘れんなよ!」

男「?おう」

男(……やば、安請け合いしちゃったけどあの教室行けなくないか?)

男(……)

男(ま、いいか。明日二日分書こう。今日はまだ見る心の準備が出来てないし…)



委員長「……」




29 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/14(火) 21:14:03.54 ID:56wXiMG50
ーーー帰り道ーーー

男「そんで結局連戦してたらさー、途中で変なキャラが乱入してきてこいつがまた強いのなんの」テクテク

友「へぇ…」テクテク

男「友もそこまでは進めてるよね?ネットで調べてもロクな攻略情報載ってないしさ、どうやって倒せばいいか教えてくれない?」

友「うん…」

男「あいつの下段と投げのコンボが鬼畜過ぎていかんよな。本当にCPUか疑いたくなるよ」

友「そうな…」

男「……友くん乙女」

友「ん…」

男「どうしちゃったんだよ友。今日おかしいぞ」

友「……」

男「バイトで嫌なことでもあったか?話くらいなら聞けるけど」

友「…今日、何の日か分かってるのか?」

男「今日?………あぁ!」

男「2/14、バレンタインか。そういややけに教室浮ついてたもんな」

男(着物女のインパクトが強くて忘れてた)

友「はぁ〜〜……だからオレは……苦労して……」

男「なになに」

友「何でもねぇよ」

ガサゴソ

友「これ、やる」

男「おーありがとなー。今日初チョコだ。…いや、高校入ってから初だな…家族もくれないし」ハハ...

男「ちなみにこれって義理か友チョコかどっちになるんだろうな?」





友「オレと付き合ってください」




30 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/14(火) 21:14:32.80 ID:56wXiMG50

男「……………んん?」

友「…き、聞こえたろ」

男「えっと………格ゲーの件?」

友「殴んぞっ!」

男「いや、だって!?」

友「あぁあぁお前はそういうやつだもんな!ならはっきり伝えてやろうじゃねぇか!」

友「オレはお前のことが男の子として好きなんです!だからオレの彼氏になってください!」ズイ

友「これでどうだ文句は言わせねぇぞ!」ズズイ

男「わ、分かった!伝わったから!そんな近くで怒鳴んなくても…!」

友「………//」カアァ

友「返事今じゃなくていいから!」ダッ



タタタタッ...



男「……」ポツン

男「……告白された……」

男「友に……?」




31 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/14(火) 21:15:53.50 ID:56wXiMG50
ーーー翌朝 学校ーーー

「おはよー」

「今日も寒いね〜」

男「………」

友「………」

男(なんでしょうこの空気)

男(いつもならゲームだの宿題だの軽く駄弁ってる時間だけど)

友「……」

男(まったくこっちを見向きもしないんですが……かく言う俺もまともに向こう見れないけどさ!)

男(席が隣同士なのを恨めしく思う日が来るとは思わなかった)

男「………」

友「………」

男(どうしよう)




32 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/14(火) 21:16:51.63 ID:56wXiMG50
ーーー昼休みーーー

キーンコーンカーンコーン

友「……」

男(…うむ)

男「昼だね」

友「っ」ピクッ

男「…お腹が空くね」

友「お…うん」チラリ

友「…//」

男(そういう反応されると困るんですけど…!対応案を持ってない!)

男「た、食べるか…昼」

友「…オレ!今日購買にするっ!」サッ

男「あ!友!」

タッタッタッ...

男(…最近友から逃げるか友に逃げられるかばっかりだな)

委員長「脱兎の如く逃げ出しました」

男「!見られて…たよね」

委員長「なーに?また喧嘩でもしたの?」

男「喧嘩じゃないんだけどね」アハハ...

男「今度も俺から何とかしなくちゃいけないことでさ」
33 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/14(火) 21:17:21.50 ID:56wXiMG50



――ゾクッ



男(!?)

男「…っ…?」

委員長「どうしたの?」

男「い、いや…今…」

男(背筋が凍るような、何か……)

男「…なんでもない」

委員長「友さんが居ないなら、今日は私が同席してあげよっか」

男「委員長が?」

委員長「うん。お弁当分けてあげる。先週のお手伝いのお礼に」ニコ

男「先週のアレって罰なんじゃなかったの?」

委員長「…じゃああげない」

男「あ、嘘嘘!是非分けて欲しいです!」




34 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/14(火) 21:19:35.19 ID:56wXiMG50
ーーー夜 自室ーーー

男「……」スッ、スッ



[スマホ]
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"友達 告白"の検索結果

・友達から告白された!男女の本音ー実際に付き合いますか?ー

・質問です。長い間友達と思ってた男子から告白をされま...

・友達から恋人になる方法
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男「………」スッ

男(メリット…お互いをよく知ってる、周りに言いやすい、意外な一面を知れる、自分らしく自然体でいられる…)

男「だー!」ゴロン

男「そうじゃないんだよなー…」

男「…あー…」



ーーーーー

友「あん?…ここお前の席か。るせぇな、間違えただけだ」

友「よお、お前もゲーセンなんて来んのな。やってくか?格ゲー」

友「うしっ!英語なら男にゃ負けねぇからな、へへ!」

ーーーーー



男「……」



ーーーーー

友「オレと付き合ってください」

ーーーーー


35 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/14(火) 21:20:07.15 ID:56wXiMG50

男(正直、友をそういう目で見たことはこれまでなかった)

男(なら恋愛対象外かと言われると……)

男「…わっかんない」ゴロ...



スマホ『デメリット:異性として見ることができない』



男「異性として……」

男(男友達と同じようには見てなかった、かな。可愛いって思う場面もたまにあったし)

男(だったら友が彼女でも…?)

男「……………」

男「」ワシャワシャ

男(ダメだダメだ!友は居心地の良い今の関係から、それでも進みたいって覚悟決めて告白を持ちかけてくれたんだ。受けるにしても振るにしてもこんな中途半端な気持ちじゃ失礼だろう)

男(でもいくら考えても答えなんか出てこない…)

男「んー……あー……」

男(………)

男(受けるか、告白)

男(現状いくら考えてもあいつを振るような要素が出てこないってことは、友とそういう関係になれる可能性も十分にあるってことだ)

男(褒められた考えじゃないかもしれないけど、自分の気持ちを確かめるって意味でもまずは付き合ってみるのはあり……だよな)

男(もちろん友にもちゃんと伝えた上で)

男「…そうと決まれば」




36 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/14(火) 21:23:03.99 ID:56wXiMG50
ーーー翌日 学校ーーー

男(――早速、って思ったんだけど)

友「……」ソワソワ

男(なんかまた昨日と雰囲気違いますね友さん…!)

友「」...チラ

男(そんな風にされるとこっちまで緊張してくるから!なるべくいつも通りで頼みます!)

友「っ…//」

男(そんなの無理だよなごめんね!!)

男「……」グッ

男「友」

友「!あ、あぁ?」

男「話があって…その…」

男「き、今日…いや明日!一緒に帰ろう!」

友「…明日?」

男「う……ごめん、ヘタれた」

友「………ぷっ、あはは!」
37 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/14(火) 21:23:34.63 ID:56wXiMG50

友「なんだよそこまでガチガチになってんのか?お前恋愛ごととかてんで無頓着かと思ってたぜ」

男「な、誰のせいだと思ってるんだよ…」

友「はいはいオレのせいなー、くくっ」

友「いいぜ明日で。1日ありゃ大喜びだろうが大泣きだろうがいくらでも準備出来るわ」

男「泣くことにはならないからそっちは要らないかな」

友「んぇ?」

男「…あ」

二人「……」

友「お前は本当……そういうとこだぞ」

友「決めるとこくらい決めろよなーまったくよー♪」バシバシ

男「痛っ痛っ」



「友がすげー笑顔で男を叩いてる…」

「ゲームで勝ちでもしたんじゃね?知らんけど」

「まーいつもの二人だな」



男(すごい格好悪い様を見せてしまった。実質返事もしちゃったようなもんだし…)

男(まぁ)

友「男がこの前言ってたチートキャラな、実はオレも――」

男(むずがゆいような微妙な空気は無くなったかね)

男(いやいや、正式な返事は明日だからな…スマートに決めないと)

男(……返事……)




38 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/14(火) 21:24:59.62 ID:56wXiMG50
ーーー放課後 空き教室ーーー

男「危うく忘れるところだった」

男「昨日も見れなかったしな…待っててくれてるかな」

男(今日はそうだな、友のことでも……)

男「…それはやめとくか」

ペラ



『なんで来てくれないの?男くんと会えるのとっても楽しみにしてた。』



男「待っててくれてた…?」

男(だとしたらやっちまった)



『いつも授業が終わってからここに来てたよね。大体4時半から5時の間に一人で来てノートを開いてから中をじっと見つめてるの。何て書こうか考えてる男くん見るの好きだったよ?先週は遅くてもちゃんと来てくれた。男くんも会いたいって言ってくれた時はやっとやっとやっとやっと通じ合えたんだって心が苦しくなるくらい嬉しかったのに。』

『私はもう要らないのかな。』

『ねぇ』

『男くん』



男「っ――」ゾクゾク

男「!……っ!」バッ



(誰も居ない教室)


39 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/14(火) 21:25:26.07 ID:56wXiMG50

男「…なにこれ…」

男(い、今までの見られてたのか?全部?)

男(確かに二日間来なかったけど、それだけでこんな…)

男(それに、俺名前教えたっけ…?)

男「……そこに居るの?」

シーン...

男「………」

男(と、とりあえず)

サラサラ、サラ



『待たせちゃってごめんなさい。昨日と一昨日はちょっと立て込んでて来れなかったんだ。決して要らなくなったとか――』



.........




40 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/14(火) 21:26:04.47 ID:56wXiMG50

男(…こんなんでいいかな)

男(ほとんど謝ってばかりになっちゃった。でもこれで伝わるなら……伝わるよね?)

男「……」



『何て書こうか考えてる男くん見るの好きだったよ?』



男(今もどこかで見てるのか…?)

男「……」ゴクリ

男(ま、まぁ今日は帰ろう。ここ来てからどっと疲れた)

男「…?」

(謝罪文を書き殴ったページ)

男(あれ、これって……)

男(次のページの字?)

ペラ...



『じゃあ私に会いに来てくれる?』



男「っ!」

男(……おかしい、なんで……)

男(こんな、まるで今書いたような返事が…)

男「…いやいや」

男(落ち着け俺。元々このページにも書いてあっただけだろう)

男「………」

カリ、カリ



『うん、出来るなら直接会って謝りたい。』


41 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/14(火) 21:26:59.08 ID:56wXiMG50

男「………」

男(………)

男「………………」

男「………………」

男(!……また……)

男「……」...ソッ

ペラ



『教室の後ろのドアを開けて』



男「……後ろ……」

男(あれ、だよな)

男「……」スクッ



トッ..トッ..トッ..



男(この向こうに……?)

男「……」

男(……)

男「……」トクン、トクン

男(……)

男「……」ドクン、ドクン

男(………)

男「………」バクン、バクン

男(………っ)



ガラッ


42 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/14(火) 21:27:35.11 ID:56wXiMG50



男「…………………………は?」



(真っ暗な空間)



男(ドアの外は普通の廊下…の、はず)

男(まだ日も沈みきってないよね…?)

男「………」

男「………?」

男「………」

男「……?……??」



――ニュッ



ガシッ



男「!?」

グイッ!

男(引っ張られ――)



.........




43 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/07/14(火) 21:28:55.65 ID:56wXiMG50
今回はここまでです。
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