【シャニマス】P「よし、楽しく……」-noctchill編- 【安価】

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342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/08/08(土) 00:11:10.23 ID:PWPDB5+W0
ほしゅ!
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/09(日) 02:49:28.15 ID:XkzXifOIO
>>1です。

>> 342 ありがとうございます。

ここ最近書き進められていませんが、その間、このSSのお話を整理したり、これから書く話の構想を練っていました(例えば、いまのはnoctchill編なので、そうすると他のユニットとか)。

余裕ができたら再開します。
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/09(日) 03:07:29.66 ID:FLTeDGYSo
楽しみ
待ってます
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/17(月) 01:46:30.35 ID:V4yYnR5xO
一気に読んだ
面白い続き待ってる
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/17(月) 22:33:01.97 ID:K4Jx6eBN0
>>1です。

>>345 ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです。

合間を縫って少しずつ更新することはあるかもしれませんが、本格的な再開は、早くて8月下旬、遅くても9月上旬を予定しています。
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/17(月) 22:39:38.09 ID:ExapKuA9o
リアル大事に
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/08/24(月) 03:44:21.68 ID:JmOBtW2f0
読み始めたら止まらんな
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/26(水) 19:47:35.06 ID:pIno30yCO
P(まあ、俺のデスクに入っててこの宛先?なら開けてもいいだろ)

ペリペリペリッ

P(中身は……あ、紙が入ってるな。どれどれ)

ペラッ

P「……」

P(な、何も書いてないだと……?)

P(どういうことなんだこれは)

P(確かに、俺のデスクに入ってて、宛先?は『あなたへ』だ)

P(見た目も完全に手紙……なのにこれってどういうことなんだ?)

P(わけがわからん……)

P「……」

P(ただ、気になったのは)

P(確かに手紙の中身は何も書いてない紙が入っていたが)

P(その紙は、新品同様というには程遠くーー)

P(ーー明らかに何か手が加えられたような質感だった)

P(しかし、それ以上はどうしようもなかった)

P(俺は、手紙を元あった場所に戻した)
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/26(水) 19:48:51.89 ID:pIno30yCO
数ヶ月後。

〜某市街地、雑誌の撮影〜

P「透もモデル業がいたについてきたな」

透「イェーイ」

P「俺が仕事とって来なくてもオファーくるんだもんなぁ」

透「ねえ、プロデューサー」

P「なんだ?」

透「撮影終わったらさ、あそこ、いきたい」

P「あそこって?」

透「ほら、さっき通りすがりに見かけた公園」

P「公園……」

P「あぁ、……っ、ジャングルジムのあったところな」

P(ジャングルジム、か……)

透「……そう。行きたいな」

P「……わかった。じゃあ、撮影が終わったら行こう」

透「うん」
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/26(水) 19:51:57.78 ID:pIno30yCO
撮影後。

P「ジャングルジムは……」

透「使われちゃってるね、ちっちゃい子たちに」

P「そうだな」

透「空くまで待つよ」

P「あの子たちが飽くまで、か」

透「……ほんとは、あの子たちを蹴散らしてでも登りたいけど」

P「……さすがに冗談だよな?」

P「騒ぎになるぞ」

透「冗談だよ。ふふっ、プロデューサー、焦ってる」

P「そりゃそうだ……まあ」

P「わかったよーー」


P「ーー一緒に待ってる」


透「うんっ」
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/26(水) 19:55:30.12 ID:pIno30yCO
サ、ソロソロカエルワヨー
ア、マッテヨー
アハハ、ワタシモカエルー

P「さ、遊んできたらどうだ?」

P「透、さっきからすごい見てるだろ、ジャングルジム。気にせず行ってきていいんだぞ。他に人もいないしさ」

透「……っ」


「ーー……あっちで遊んできたら?」

「……え?」

「ジャングルジム、すごい見てるでしょ。行ってきていいよ」


透「……」

P「なんだよ、らしくないな」

P「……」

P「……はあ」

P「じゃあ、透が登りたくなるようにしてやろう」

P「よいしょっと」

P「ほら」

P「俺が、行くからさ!」

透「もう……ほんとに……」ポロ…ポロ…

透「待たせすぎなんだから」

P「何か言ったか?」

透「なんでもないよ」ボソッ


「あーっ、いいのかなぁ? きっと行きたくなるよーー」

「俺が、行くからさ!」


透「ふふっ」

透「待ってよ、プロデューサー!」

透「僕も行くよ!」
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/26(水) 20:02:20.50 ID:pIno30yCO
P「はは、これがてっぺんか」

透「また、のぼっちゃったね、私たち」

P「『僕たち』ーーだろ?」

透「……ばか」

透「あってるけどさ」

P「透の言ってることがようやくわかった気がする」

P「……」

P「待たせた、よな」

透「うん」

P「ごめんな」

P「あの時の男の子は……いや、あの子は、透で」

P「透は、気づいてたんだよな。俺だって」

P「だからこその、思い出して欲しい、か」

P「すまなかった……俺は、お前を忘れていて……」

透「忘れっぱなしじゃなかったし、いいよ」

透「言ったでしょ、思い出して欲しいって」

透「時間がかかっても、私が求めてたところには、たどり着けそうだから」

透「だから、許す」

P「そうか、よかった」

透「……ねえ、もっと近くに行ってもいい?」

P「……いいぞ。人もいないし」

P「ジャングルジムだから、気をつけてな」

透「んしょ、っしょ、っと」

透「プロデューサーのすぐ隣だ」

透「……」トン

P(透が俺の肩に頭を乗せてきた。体重を委ねるように、よりかかってくる)

透「〜〜〜っ///」

透「やばい。なんていうか、やっぱこれすごい」

透「壊れちゃうかも」

P「な、なんでだよ」

透「嬉しすぎて」

透「爆発しそう」

P「まあ、側からみればリア充だしな」
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/26(水) 20:06:30.47 ID:pIno30yCO
透「……」

透「……ふぅ」

透「プロデューサー、私を見て」

透「……僕も、見て」

P「……見た。見てるよ」

透「ふふっ。……ふふふふっ」

透「こんなに、近くにいる」

透「いままでで、本当に、一番近い」

透「……嬉しいな」

P「なあ、あんまり見つめあってると、こっちとしても照れるんだが……」

透「ドキドキ、してる?」

P「そ、そりゃ透みたいな綺麗な子に寄り添われて見つめあってたらな」

透「それ、お互い様だから」

透「手、貸してよ」

P「……? はい」

透「えいっ」

フニュッ

P「なな、な、なにして」

透「私の胸、触ればわかるかなって」

ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、ドッ......

透「わかる? こう、心臓の動く感じ」

P「わ、わかる、わかるよ! だからその、手を……」

透「ふふ、こういうとこ触られるの、普段なら苦手……っていうか嫌なはずなのに」

透「いまは全然そんなことないんだ」

透「……」

透「揉んで」

P「大人をからかってるのか?」

透「違うよ」

透「むしろ、子ども扱いしないで欲しいかな」

透「もっと、感じたくて」

透「……だめ、かな」
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/26(水) 20:12:00.48 ID:pIno30yCO
P「っ、こ、ここは、ほら、公園だし」

P「“おおやけ”の“その”と書いて公園だぞ? さすがにまずいって」

透「そっか……」

透「わかった、ごめんね」

P「……」

P「あー、でも、なんだ」

P「もしこれが、だれの目にも届かない場所で」

P「だれにも邪魔されない透との時間が過ごせたのだとすれば」

P「……そ、その」

P「いますぐにでも、押し倒したいくらいだ」

P「……」

透「……」

P「……あ、やっぱいまの……」

チュ

P「んっ」

透「はむっ」

透「ぷぁっ」

透「……えへへ」

透「プロデューサー」

透「ううんーー」

透「ーーP」

透「好きだよ」

透「好き」

透「あのときから」

透「ずっと」

透「想い続けてる」

P「と、透……」

透「僕はあなたが好き」

透「私はプロデューサーが好き」 

透「浅倉透は、Pが、好きです」

透「もっと言えば」

透「愛してる」

P「……ありがとう。透」

P「俺は、お前のことをしばらく忘れてた」

P「都合の良いことを言ってるってわかってる、でも……」

P「……俺も、いま、同じ気持ちだ」

356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/26(水) 20:19:40.23 ID:pIno30yCO
P「いまわかった。バス停で会ったあの時から、俺は透に惹かれていたんだ」

P「自分を僕という透との再会であり、自分を私という透との出会いだ」

P「プロデューサーとしてアイドルのスカウトをした、という以上の魅力を、既に俺は感じていたのかもしれない」

P「俺と透の出会いは必然だったんだよ」

P「透があの時の子だってわかったとき、偶然という言葉はふさわしくないと思ったんだ」

P「だって、俺も、透が好きになってたから」

P「好きな子との運命を信じるくらい、いいだろって思った」

透「照れる」

透「そんなこと言われたら照れるって……あれ……」ポロポロ

透「ふっ……ふふっ……」ポロポロ

透「涙、止まんないや」ポロポロ

透「ほんと、嬉しくて……」ポロポロ

P「透……」

透「今度は、あなたの口から聞かせて」

透「言葉で」


1.「俺は、浅倉透を、愛している」
2.「俺は、浅倉透が、好きだ」(既読)
3.「それは、待ってくれないか」

選択肢↓2
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/26(水) 20:20:00.84 ID:Y+24fufso
1
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/26(水) 20:23:34.63 ID:CDJe2O1to
1
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/26(水) 20:46:06.63 ID:pIno30yCO
P「俺は、浅倉透を、愛している」

透「うん」

透「うん……、うん……っ!!」

透 ダキッ

透 ギュゥゥゥ

P「じゃ、ジャングルジムの上だし、あんまり抱きつくとあぶないぞ」

透「やだ。離さない」

P「別に逃げたりしないから……」

透「それでも、だめ」

透「少なくとも待たされたぶんだけ抱きしめてたい」

透「それくらい、いいでしょ」

P「あ、ああ……」

透「あと、ハンカチ持ってないから、涙と鼻水拭くところが欲しい」

P「……、いや、おいおいおいおい」

P「俺がティッシュ持ってるからそっちで……って」

透「ごめん、もう拭いちゃった」

P「うわ……べっとりついてら」

透「まあ、マーキング? ってことで、さ」

P「帰るときどうしろっていうんだよ……」

透「自然乾燥」

P「後でひどくなるだろそれは、知らんけど」

P「はあ……透は透だな」

透「なに、私のことそんなに言えるほど知ってるの?」

透「まだまだ、甘いよ」

透「もっと知ってもらわなきゃ」

透「私も、プロデューサーのこと、もっと知りたい」

P「ははっ、そうだな」

P「これから、時間はいくらでもあるさ」

P「プロデューサとしての俺と、アイドルとしての透」

P「もちろん、仕事ではそうだけど」

P「本当の意味で2人で歩んでいくのは、これからだよな」

透「よろしくね。これからも」

P「こちらこそ」

透「……だいすき」
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/26(水) 20:56:10.59 ID:pIno30yCO
〜某タワー〜

透「ふふっ、人がゴミのようだ」

P「……まさかそれ言うためだけに来たって言うんじゃないだろうな」

透「……」

P「マジか……」

透「ううん。マジっぽい顔してみただけ」

透「プロデューサーと過ごすために来た、っていうのが本音」

P「っ……お前なぁ」

透「もしかして、照れてる?」

P「言うな言うな。大の大人が恥ずかしいだろ」

透「別にいいのに」

P「俺が気にするんだよ」

P「しかし、あれだな。透は、高いところが好きなのか」

透「高いところがっていうか、まあ、てっぺん、というか」

透「まあ、タワーの展望台は、てっぺんじゃないけど」

透「うーん」

透「やっぱ、プロデューサーがいればなんでもいいや」

透「なんていうか」

透「もうジャングルジムはこの前登ったし、せっかくデートするなら、こういうところがいいかなって」

透「上にのぼるって意味じゃ一緒だし」

P「高さはえらい違いだけどな」

透「ふふっ、まあね」
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/26(水) 21:20:34.42 ID:pIno30yCO
透「すごいね、景色」

P「ああ、さすがの高さだ」

P「道で歩いてるときに見ると高い建物も、ここからなら全部が小さく見える」

透「……」

透「この前までの私には、見えてなかった景色」

透「見上げることしかできなくて、いろんなものが大きくて、長くて、立ちふさがってるような気がしてた」

透「でも、今は違うよ」

透「あなたに、伝えられたから」

透「あなたと、通じ合えたから」

透「ああ長いなぁって感じてたのも、感じ方が変わった」

透「あなたとなら、人生なんていくらでも長くていい」

透「だって、あなたがいるから」

P「透……」

P「……そうだな。これから俺たちがしていくのは、2人で上を向いてジャングルジムを登っていくことじゃない」

P「前を向いて、共に人生を歩んでいくこと、だな」

P「これからの景色を、俺と一緒に見ていこう」

P「きっと、いいものが見れると信じて」

透「楽しみだね」

P「ああ、俺もそう思う」
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/26(水) 21:37:24.12 ID:pIno30yCO
P(透が俺の手を取る)

ギュ

P(手を握って腕を組む形になり、透が少しばかり体重をこちらに預けてきた)

透「身長」

P「え?」

透「プロデューサーも、こんなに近いってだけじゃなくて、見上げなくてもちゃんと感じられる」

透「大きくなったからさ」

P「最初に会ったときよりは、そりゃあな」

透「いろいろと成長してるから。ほら」フニュ

P「……反応に困る」

透「そっか」

透「あー、喜んでおけばいいんじゃないかな、とりあえず」

透「この身体を好きにできるんだし」

P「その言い方だと俺が身体目当てみたいに聞こえるぞ」

透「そうなの?」

P「いや、違うが……」

透「じゃあいい」

P「ははっ、透は面白いな」
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/26(水) 21:47:57.81 ID:pIno30yCO
透「ここ、雲の上になることもあるんだってね」

P「これくらいの高さがあれば、そうかもな」

透「雲の上の存在になれちゃう」

P「物理的にはもうなれたってか」

P「あとは……アイドルとして、だな」

透「モデルとしてもね」

P「そうだな」

P「プロデュース、頑張るよ」

P「透のために、俺は全力を尽くすよ」

透「私は、プロデューサーを信じるよ」

透「だから、導いてね」

透「アイドルとしても」

透「モデルとしても」

透「なにより、愛を誓い合った者どうしとしても」

P「最後のは、時には導き導かれ、っていうのもいいんじゃないか?」

透「私が導く……何かできるかな」

P「まあ、思いつきで言ったから俺にもよくわからん」

透「ふふっ、そっか」

透「あ、できること、あった」

P「なんだ?」

透「秘密」

P「言ってくれないのか」

透「知ったらプロデューサーは無理しちゃうかもしれないから」

透「過労死は、させない」

P「透がそう言うんなら、まあそれでいいか」
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/26(水) 21:57:12.78 ID:pIno30yCO
透「ねえ」

P「どうした?」

透「いや、幸せだなって」

P「急だな」

透「いつも思ってるよ」

透「急なのは、言葉になったことだけ」

P「俺も幸せだよ」

P「なんていうか、こう、安心できるというかさ」

P「タイミングこそずれてしまったけど、お互いにお互いを思い出す瞬間というのがあったわけで」

P「俺たちは、再会する喜びを、共に上を目指すという過程を、共有できるだろ」

P「それが、心地良いんだ」

透「私も同じこと思ってた」

透「僕が出会った人、私が好きになった人、浅倉透が愛した人は……」

透「いつだって、導いてくれて」

透「いまはこうして気持ちと時間を共有することもできて」

透「それが幸せ、かな」
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/26(水) 22:14:42.41 ID:pIno30yCO
P(それから、透はモデルとアイドルという2足のわらじで頑張っていった。いまや、知らない人はいないタレントだろう)

P(もちろん、noctchillも健在だ。依然として人気は高い)

P(283プロには、事務員が数名新たに雇用されるようになった。まあ、事務所としてもお金を持つようになってきたから、ブラック同然の体制を変えようとしてのことだろう)

P(その後、俺は、透の専属プロデューサーになることを決めた。noctchillのプロデューサーには、人員補填で少しばかり暇になったはづきさんが就くこととなった)

P(最近は、デスクワーク以外の時間のほとんどの時間を透と過ごしている)

P(……プライベートも含めて、だ)

P(俺と透は恋人同士になった)

P(いや、恋人と一言で片付けられるような関係ではないだろう)

P(透との間には、愛と同時に絆があるからだ)

P(友情の上位互換ともいえるような感覚が、愛情と共存している)

P(2人でその幸せを噛み締めながら日々を過ごしていた)

P(そして……)
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/26(水) 22:36:20.88 ID:4O0kn0v00
〜田舎の一軒家〜

P「おーい、透」

透「ん。どうしたの」

P「いや、お前また水やるのわすれただろ」

透「……あ」

P「ちゃんと世話してやれよ」

透「ごめんって。次から気をつけるからさ」

P「次から、じゃなくて、いまから、な」

P「ほれ、如雨露やるから」

P「これで水あげてこい」

透「うん。そうする」

P「あとな、水あげすぎるのも駄目だぞ」

透「わかってるって」

P「本当かなぁ」

P「ちゃんと調べなおしておけよ、キンレンカ 育て方、ってな」

透「ふふっ、世話焼きだね」

P「そういう仕事もしてるからな」

透「うーん、プライベートでの世話焼きは、プロデューサーというより、お母さんって感じかも」

P「家族……ではあるがまさかお母さんポジとは……」

透「それか、樋口」

P「円香に怒られるぞ」

透「うん」

P「……言ったことあるって顔だな」

透「怒られたからね」

P「やっぱり」
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/26(水) 22:47:52.00 ID:4O0kn0v00
P「自分で買った花の面倒は自分でみてやれって。どうしても忙しいときは、俺もやるけどさ」

透「自分でスカウトしたアイドルの面倒をここまで見てくれる人に言われると、言葉の重みが違うね」

P「揚げ足をとるなよ……」

透「まあいいや、行ってくる」タタタ

P「ふう……まったく」

P「世話焼き、か」

P「ははっ……好きでやってるんだ、いいだろ、別に」

P「それが幸せなんだよ」


透「おーい、キンレンカやーい」ツンツン

透「水が欲しいかー?」

透「……」

透「あげるのやーめた」

透「……」

透「と、見せかけて、やっぱりあげる」

ジョボボボボ

透「……」

透「虫が寄り付かない花」

透「食用にもなる花」

透「別名は、ナスタチウム」

透「……」

透「虫が来ないってことは、そのぶんにぎやかにはならないよね」

透「せめて、たくさん花が咲くように、水はあげるよ」

透「また来るね」


P「水、ちゃんとあげてきたかー?」

透「うん。土から喜ぶ声が聞こえた」

P「ははっ、そっか」

透「嘘だけど」

P「いや……うん、そうだろうけどさ」

透「いつ食べよっか、あれ」

P「もう食う気かよ。育てる段階からそんなこと考えてやるなって」

透「冗談だよ」
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/26(水) 23:05:06.92 ID:4O0kn0v00
P「飯、できてるぞ」

透「水やりに行ってからお腹空いてたんだ」

P「やっぱ花食べる気まんまんじゃねーか」

透「冗談」

P「本当かよ……」


P ズズズ

透 モキュモキュ

P「……」

P「……のどかだな」

P(透と田舎で二人暮らしを始めて1ヶ月になる)

P(透と円香が出演していたドラマがあり、どちらも準主役級の役だったから、ここしばらくは休養期間といったところだ)

P(駆け出しの頃とは違うのだと、改めて思った)

透「田舎暮らしが? それとも、2人暮らしが?」

P「田舎で暮らすこと自体はのどかだけど、よく考えたら、透と過ごす時間はにぎやかだったな」

透「私は楽しいよ」

P「もちろん、俺もだ」

P「もう、人生が長いとは思えないだろ?」

透「うん。むしろあっという間だっていつも思うようになった」

透「あなたのおかげ」

P「透のおかげでもある」

透「私、何かしたっけ」

P「いや? 別に」

透「?」

P「ただ、そばにいてくれてるからさ」

透「っ/// ……不意打ち、刺さる」

透「あ、でも、またしばらく忙しくなるよ」

P「透に直接オファーが来たのか?」

透「うーんと、まあ、そんなところ?」

P「仕事の話となれば、プロデューサーとして把握しないわけにはいかないんだが」

透「大丈夫、ちゃんと話すよ」

透「まあ、あとでね」

P「あ、ああ……」

透「うん」

ヴーッ、ヴーッ

P「お、事務所から電話か。ちょっと出てくるよ」

ガチャ、バタン

透「……ふぅ」

透「……」ガサゴソ

透「……」つ母子手帳

透「ふふっ」

透「どうやって教えてあげようかな」


END.
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/26(水) 23:06:20.40 ID:4O0kn0v00
浅倉透のエンディングが1つクリアされました。

市川雛菜に関するエンディングを開放するための条件がすべて揃いました。

冒頭に戻ります。
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/26(水) 23:07:26.81 ID:4O0kn0v00
〜Pの自宅〜

ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピ……

P「……っ」

P「……朝か」


P「いってきます。……って、まあ一人暮らしなんだけどな」

P「よし! 今日も一日頑張るか!」


〜駅前〜

P(事務所まであと少しだが……)

P「っ、暑いな、まったく……」

P「そうだ」


1.我慢できん……とりあえずコンビニに入ろう。(既読)
2.急いで事務所に行けばクーラーの効いた部屋が待っている!(既読)
3. 路地を歩けば涼しいかな……?(既読)
4.あれ、部屋の鍵ちゃんと閉めたっけ……。

選択肢↓2

(とりあえずここまで)
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/26(水) 23:10:18.89 ID:m7iZMFVDO
たんおつ

4でも
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/26(水) 23:44:36.22 ID:QAzw9uxTo
たんおつー
4
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/27(木) 22:57:49.43 ID:BhO5euPmO

よかったなぁ透
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/28(金) 23:41:16.52 ID:P6lD5lApO
P(あれ、部屋の鍵ちゃんと閉めたっけ……)

P(なんだか不安になってきたな)

P(……まだ出勤のタイムリミットまではあるな)

P(よし、戻ろう)
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/28(金) 23:49:34.85 ID:P6lD5lApO
〜Pの自宅の近所〜

P(ここを曲がれば……って、あれ)

P(あそこにいるのは、雛菜か?)


雛菜「〜〜〜(スマホを片手に会話中)」


P(誰かと電話中か)

P(気づかれずに通りたいけど、この道でいかないとえらい遠回りになっちまうんだよな……)

P(ええい、行くしかないか)


雛菜「!」


P(やっぱ気づかれるよな、そりゃ)

雛菜「〜〜〜〜(スマホを片手に会話中)」

雛菜 ポチッ

雛菜「プロデューサーだ〜おはよ〜」

P「お、おう、雛菜か。こんな朝から、偶然だな」

雛菜「そうだね〜」

雛菜「雛菜はプロデューサーに会えてしあわせ〜」

P「ああ、俺も嬉しいよ」

雛菜「やは〜プロデューサーもそうなんだ〜!」

P「でも、悪いことしちゃったよな。電話の邪魔だっただろ、俺」

雛菜「うーん、まあ、いいよ〜」

雛菜「それよりプロデューサーは、ここで何してるのー?」

P「自分んちの部屋の鍵を閉めたか不安になっt……」

P(まずい、ここが近所だって担当のアイドルに知られるのはいろいろと良くないのでは……)

P(しまったな……)

雛菜「プロデューサーのおうちがあるの〜!?」

P「あ、ああ……まあ、な」

雛菜「雛菜もついてく〜」

P「いや、アイドルが……それ以前に女子高生が1人で、それも大人の男と2人きりで部屋にいくとか、いくらなんでもまずいだろ」

雛菜「え〜」

P「ほら、今日はnoctchillでのレッスンもあるだろ。雛菜は早く事務所に向かうんだ。いいな」

雛菜「……は〜い」

P「よし、頼んだぞ」

P タッタッタッタッ

雛菜「……」
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/28(金) 23:55:14.09 ID:P6lD5lApO
〜Pの自宅前〜

P ガチャガチャ

P「よかった……鍵はかけてたな」

雛菜「よかったね〜」

P「うおあぁっ!?」

雛菜「あは〜プロデューサーおどろいた〜」

雛菜「面白い顔〜」

P「雛菜っ! お前なんで……」

雛菜「雛菜がしあわせ〜って思えるのは、プロデューサーを追いかけることかなーって思って」

P「お前な……」

雛菜「もしかしてー……怒る?」

P「うっ」

P(そんな顔、声で言われたら怒るに怒れないだろ……)

P「忘れ物を思い出した。だからついでに部屋にも寄っていく」

P「入ってくるなよ。さすがに問題になるからな」

雛菜「ここにいていいの〜?」

P「変装用の帽子とメガネをかけていてくれるならな。おとなしくしていてくれ」

雛菜「わかった〜りょーかい」

P「はあ……」
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/28(金) 23:58:49.04 ID:P6lD5lApO
P(まあ、忘れ物があるっていうのは嘘だけどな)

P(とりあえずあの場を切り抜けたくて部屋に入ってきちまった)

P(部屋の前にいさせてるのは……やっぱりまずいよな)

P(今から言って事務所に行くよう説得しよう)

ガチャ

P「おい、雛菜――」

P「――って、あれ。いないな」

P「……」

P(どこに行ったんだ?)

P(……スマホに通知が)


雛菜『雛菜、プロデューサーのことすきだから、いまはいい子でいてあげるね〜』

雛菜『事務所で会おうね〜』


P「ふぅ……」

P「一安心、なのかな」
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/29(土) 00:06:48.01 ID:diWyLfCgO
〜事務所〜

P「おはようございます」

透「プロデューサー、おはよ」

小糸「あ、おはようございますっ! プロデューサーさん!」

円香「……ハァ」

P「さすがにひどくないか?」

円香「まだ何も言ってませんが」

P「言わずとも伝わることってあるんだぞ」

円香「そういう高度なコミュニケーションもとれたんですね。覚えておきます」

P「はいはい。よろしくな」

雛菜「あ! プロデューサーだ〜。おはよ〜」ダキッ

P「うぉっ。……おはよう、雛菜」

雛菜「目が覚めたらプロデューサーに会えるとか、雛菜しあわせ〜」パァッ

P「あはは……ありがとな」

P「ほら、あんまりくっついて大人をからかっちゃだめだぞ」

雛菜「え〜」

円香「珍しく意見が一致しますね」

円香「ほら、雛菜。あんまりくっついてると汚れるよ」

P「結局そういう扱いなのかよ!」

雛菜「別にいいも〜ん」

雛菜「ね? プロデューサー」

P「俺に聞かれてもな……」

透「……」

小糸「雛菜ちゃん……」
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/29(土) 00:13:15.61 ID:diWyLfCgO
数時間後

P(今日のnoctchillはレッスン漬けだったよな)

P(あいつらのことだから心配しなくてもいいかもしれないけど……)


1.まあでも、様子を見に行くか!(既読)
2.仕事で疲れたし昼寝でもしよう。(既読)
3.休憩がてらはづきさんと話すか。
4.社長がいないから、適当な理由つけて少しサボっちゃおうかな……。


選択肢↓1
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/29(土) 01:39:14.96 ID:B7MAtCqEo
4
381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/29(土) 17:42:47.98 ID:ffr/oiqUO
wktk
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/30(日) 00:50:53.08 ID:i4PVKAYw0
P(社長がいないから、適当な理由つけて少しサボっちゃおうかな……)

P(なんというか、仕事が手につかない)

P(いまは忙殺されているわけでもないし)

P「あの、はづきさん」

はづき「? どうしましたー?」

P「スカウトのために外出てきます」

はづき「いま、ですか?」

P「は、はい……」

はづき「別に私は何も言いませんけど、ちゃんと今日の分の仕事は今日のうちに終えてくださいね」

P「それはもちろん……では、行ってきます」

ガチャ

P「……ふぅ」

P「本当にサボっちまったな」
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/30(日) 01:01:47.76 ID:i4PVKAYw0
P(適当にブラついてみたが……)

P「……」

P(なんか、無意識のうちにレッスン場の近くをぐるぐるしてるな)

P(仕事に対する責任感からなのか、それとも……)

「あ! プロデューサーだ〜」

P「……え?」

雛菜「やは〜こんなところでも会えるなんて偶然だね〜」

P「お、お前……レッスンはどうしたんだよ」

雛菜「え〜その話になるの〜……?」

P「当たり前だろ、だって今日は1日中その予定で……」

P(絶賛サボり中のやつが何言ってるんだって感じだな)

P(しかし、あくまでもプロデューサーとして振舞おう)

雛菜「……レッスンはねー」

雛菜「なんか簡単だったから、何回も大変な思いして繰り返すの、しあわせ〜じゃない〜ってなって」

雛菜「そう思ってたら、トレーナーさんが怒り出して」

雛菜「やる気がないなら帰りなさい! ……って言うから」

雛菜「帰ってきちゃった〜」

P「なにやっt……」

P(いや……)

P(それ以上言う資格が今の俺にあるか?)

P(雛菜はレッスンをサボったも同然。でも俺も、仕事をサボってる)

P(説教垂れることなんて……)

P「……」

雛菜「?」

P「……そう、だよな」

P「辛くて大変じゃないと頑張ったことにならないなんて、そんなのは間違ってる」

P「雛菜が前に言った通りかもな」

P「雛菜、お前は悪い子だよ」

雛菜「え〜そんなこと言うの〜?」

P「そして、俺は悪い大人だ」

P「悪い大人だから、悪い子な雛菜と一緒に、どっか行こうなんて思ってる」

雛菜「!」

雛菜「やは〜それはしあわせ〜」

P「マイナスとマイナスをかけるとどうなる?」

雛菜「プラスになる〜!」

P「よし、今日は雛菜の“しあわせ”を大切にする日にしよう」

P「行こう、雛菜」

雛菜「うん!」
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/30(日) 01:19:19.96 ID:i4PVKAYw0
P(レッスンを抜け出した雛菜を探すために俺は急遽捜索に向かったということにし、2人で遊ぶことにした)

P(放課後に寄り道をする高校生みたいに)

P(俺は、社会人であることを忘れて、雛菜との時間を楽しんでいた)

P(ゲーセンに行って、レーシングゲームやシューティングゲームで対戦をしたり、クレーンゲームで景品を取ってやったり、プリクラを撮ったりした)

P(カラオケにも行った)

P(そして……)


〜某所 スイパラ〜

雛菜「ん〜おいし〜」

P「はは、おじさんには少し重いな……」

雛菜「え〜、プロデューサーってそんな歳じゃないでしょ〜」

P「まあ、社会人としちゃまだまだ全然若いけどさ」

P「それでも、高校生の元気と比べちゃうと、だいぶ劣るってものさ」

雛菜「高校生のときのプロデューサーか〜……どんなだろ〜」

P「別に、面白いことはないぞ? 普通の高校生だったよ」

雛菜「プロデューサーが雛菜たちと同じくらいに生まれてて、同じ高校に通ってたら良かったのにな〜」

P「ははっ、……でも、それじゃあ今みたいにアイドルとしてプロデュースしてやれてないよ」

雛菜「それでもいいよー」

P「雛菜はアイドルやっててしあわせにはならないか?」

雛菜「そんなことは言ってないけどー……」

雛菜「アイドルじゃなくても、雛菜がしあわせ〜になる方法はあると思うな〜」

雛菜「いまはいまでいいけどね〜」

P「そうか……」

雛菜「……プロデューサー、大丈夫〜?」

P「え? どうして」

雛菜「いまのプロデューサー見てると、ぜんぜんしあわせ〜な感じがしないから」

雛菜「もしかして、雛菜がそうさせちゃってる……とか〜?」

P「い、いや、そんなことはないぞ!」

P(そう……だよな)

P(でも……俺はなんで仕事をサボろうとしたんだろう)

P「……」

雛菜「今日のプロデューサーはね〜……雛菜の好きなプロデューサーだよ」

雛菜「だけど……こうやって一緒に過ごしてると、プロデューサーがしあわせじゃないのは、雛菜もしあわせじゃないかも〜」

雛菜「雛菜がしあわせならそれで良いけど、プロデューサーがしあわせ〜ってなってたらもっとしあわせ〜になれるって思うな」

P「雛菜……」
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/30(日) 01:30:09.62 ID:i4PVKAYw0
雛菜「ごめんね〜、雛菜はプロデューサーになにかしてあげられるわけじゃないのに」

雛菜「他の人のことなんて、わからないもん」

P「俺こそすまない。アイドルに気を遣わせて、何やってるんだろうな、ほんと……」

雛菜「プロデューサーは悪くないよ〜……誰かが悪くなきゃいけないなんて、おかしくない〜?」

雛菜「雛菜ね、よくわからないけど〜……」

雛菜「プロデューサーがずっと頑張ってるってことはわかるよ〜」

雛菜「それも、プロデューサーが雛菜がしあわせ〜ってなるように考えてくれたからなんでしょ?」

雛菜「頑張らなくていいときもあるのかな〜って思うな」

P ポロ・・・

P「え、あれ……」

P「な、涙が……」

P「どうして……」

P「悪い、雛菜、ちょっとトイレに……」

雛菜「隠れて泣いちゃだめなのはなんで〜?」

P「なに言って……」

雛菜「頑張ってる人は頑張り続けてないといけないの〜?」

雛菜「小さい頃はどこで泣いても良かったのに、大きくなったら泣いちゃいけなくなるのはどうして?」

雛菜「正直じゃないのは、しあわせ〜って言えるのかな……」

P「……」

雛菜「お店出よ〜。目立っちゃう、よね」
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/30(日) 01:57:03.27 ID:i4PVKAYw0
〜河川敷〜

雛菜「あは〜ここなら誰も見てないよ〜」

P「いや、ここまで来る間にもういろいろ引っ込んだよ……ははっ」

雛菜「その苦しそうな笑い方きらい〜」

P「……ごめんな」

雛菜「すぐ謝るのもきらい〜〜」

P「……」

雛菜「どうしたらプロデューサーがしあわせ〜になるか、雛菜考え中〜」

雛菜「う〜ん」

P「……前に言ったこと、覚えてるか」

雛菜「?」

P「雛菜にとっての『楽しい』っていうのは、『楽をする』ことじゃないって話」

P「『ここまででいいや』って考え方は、いますることじゃないとも言った」

P「でも、今の俺は、ここまででいいやっていうノリで、楽をしてるような気がするんだ」

P「やりたいことを仕事にして、雛菜に言わせれば、しあわせ〜ってなってるはずなのに」

P「今の俺には、それがない……」

P「どうして、なんだろうな……」

雛菜「どんなに好きなお仕事でも、同じことを繰り返さないといけないってこと……あるんじゃないかって思うな〜」

雛菜「アイドルもそうでしょ〜? ……今日のレッスンもそう」

雛菜「雛菜はね、別にうまくいかないからいやだ〜ってなったわけじゃないんだよ」

雛菜「うまくいってるのに、辛い〜ってなるくらい何回も繰り返さないといけないなんて〜って思ったの」

雛菜「いまの雛菜たち、似た者どうしなのかもね〜」

P「俺は……」

雛菜「プロデューサーは、プロデューサーのこと、自分で頑張ってるな〜って思う〜?」

P「そりゃ……アイドルが輝けるように、精一杯……」

雛菜「プロデューサーは、プロデューサーのためにお仕事をしてるわけじゃないの〜?」

雛菜「雛菜、それがわからないな〜」

雛菜「雛菜は雛菜のためにお仕事してるよ? もちろん、プロデューサーがしあわせ〜ってなればいいな〜って思ってすることもあるけどね〜」

雛菜「プロデューサーに出会ってからね、雛菜、誰かのために……誰かのしあわせ〜のために頑張るってことも少しはわかった気がしたんだ〜」

雛菜「ちょっとだけどね〜」

雛菜「でも、やっぱりわかんないや」

雛菜「だって、いまのプロデューサー、ぜんぜんしあわせ〜に見えないよ?」

雛菜「すごく辛そうに見えるもん」
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/30(日) 02:15:22.93 ID:i4PVKAYw0
P「……アイドルのためでもあり、自分のためでもあると思っていたんだ」

P「自分のプロデュースするアイドルが活躍するのを見て、素直に誇りに思った」

P「嬉しかった。感動した」

P「自分の努力が報われるような結果が得られたと実感できた」

P「noctchillはまだまだ成長していくアイドルユニットだが、駆け出しの時代はもう終わりを迎えているだろう」

P「人気が安定してからのプロデュースというものについて、俺はあまり考えていなかったのかもしれない」

P「それが原因かもわからない……けど」

P「俺は今……なにをして生きてる?」

P「なんのために生きてるんだ?」

P「お前らアイドルには、レッスンに行け、仕事を頑張ってこいと言う……それは何のためだ?」

P「わからない……わからないんだよ!」

P「なあ、雛菜……教えてくれ。しあわせ〜って、なんなんだ?」

P「俺は、もう……」

雛菜「よしよし〜」ギュッ

P「!」

雛菜「細かいことはね〜……よくわからないよ。プロデューサーはプロデューサーだし、雛菜は雛菜だから」

雛菜「でもね〜、雛菜は、プロデューサーに頑張って欲しいって思わないよ〜?」

雛菜「プロデューサーのおかげでアイドルにはなれたけど、しあわせ〜になれたのかは、よくわかんない」

雛菜「それでも、いまの雛菜はね〜……プロデューサーとしあわせを探せたらって思ってるんだ〜」

雛菜「いまのままじゃ、もううまくいかないね」

雛菜「大変だったよね〜。プロデューサー、頑張ったよね」ナデナデ

雛菜「雛菜たちのために、頑張ってくれてありがと〜」

雛菜「雛菜たちのために、何度も何度も、いろいろと駆け回ってくれたんだよね〜うれし〜」

雛菜「だからもう、頑張るの禁止〜」

P「うっ……お゛……」ボロボロ

P「ひぐっ……お、俺は……」ボロボロ

雛菜「うんうん。泣いたって、別にいいよ〜」

雛菜「泣いたぶん、後でしあわせ〜ってなれれば、問題ないよね〜」

雛菜「……」

雛菜「しばらくこうしてよ〜っと」

P「雛菜っ……」グスッ

雛菜「今日まで頑張ってくれたプロデューサーが、ちゃんとしあわせ〜になれますよ〜に」ギュッ
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/30(日) 02:15:53.76 ID:i4PVKAYw0
選択肢はありませんが、とりあえずここまで。
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/30(日) 02:26:15.67 ID:ZRwkLntHo
おつおつ
ママ……
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/30(日) 15:14:05.65 ID:i4PVKAYw0
P(その日、俺と雛菜は、結局事務所には戻らなかった)

P(俺は社長命令で精神科にかかることになった)

P(そして、しばらくの間、仕事ができないことになった)

P(はづきさんは、どうやら以前からプロデュース業に関して勉強していたようで、俺の代わりにプロデューサーをやってくれるようだった)

P(右肩上がりの業績だった283プロは、数名の事務員を雇用し、いまでも問題なく運営できているという)

P(すべて、入院しながら人づてに聞いた話だ)

P(俺は……なにをしているんだろう)
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/30(日) 15:19:54.98 ID:i4PVKAYw0
P(見舞いに来てくれたのは、はづきさん、小糸、円香だった)

P(社長は忙しいらしく、なかなか来れないとのことだった。もっとも、俺の顔なんてみたくもないのかもしれない)

P(透も来なかった。なぜだかは知らない。何の連絡もなかった)

P(でも、俺にとっての問題は、別にあった)

P「雛菜に……会いたい」

P(あれから、雛菜は連絡をくれるものの、何かと理由があって見舞いには来てくれていなかった)

P(俺は……お前に会いたいのに)

P(それを言い出す勇気も資格も、たぶん俺にはなかった)
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/30(日) 15:30:48.88 ID:i4PVKAYw0
コンコン

P「……はい」

ガララ

小糸「ぷ、プロデューサーさん! こんにちは」

P「ああ……小糸か」

P「元気か?」

小糸「それはこっちのセリフですよ! わ、わたしは元気です」

P「仕事は……順調か?」

小糸「あ、はい。はづきさんがプロデューサーさんになって、おかげさまで変わらずアイドルしてますよ」

小糸「プロデューサーさんも、早く元気になって、前みたいに一緒にお仕事しましょう……」

小糸「ぴゃ、で、でも、いまははづきさんがプロデューサーさんで……いまわたしの前にいるのもプロデューサーさんで……」

小糸「あ、あれ?」

P「ははっ……」

P「もう、俺はプロデューサーでもなんでもないさ」

P「……」

小糸「ぴゃぅ……」

P「身体に異常があるわけじゃない」

P「なのに、仕事もなにもせずに、俺はなにしてるんだろうな……」

小糸「ぷ、プロデューサーさんの心が大変なら、それで理由としては十分だと思いますけど」

小糸「前のプロデューサーさんは働きすぎだったんですよ! だ、だから、いまくらい休んだって誰も文句言いません!」

P「小糸にそう言ってもらえて、なんだか助かるよ」

小糸「え、えへん! まったく、わたしがいないと――」

P「――だめだめ、だな。ほんと……」

小糸「あっ……いまのは、その……」

P「いや、いいんだ。気にしないでくれ」

小糸「そ、そうだっ。りんご持ってきたんです! だから、剥いてあげます!」

P「いいって!」

小糸「ぴゃっ!?」

P「……すまない。大きな声出して」

P「一人にしてほしい」

小糸「ご、ごめんなさい……グスッ」

小糸「今度は、剥いてから持ってきますね……」

小糸「ま、また来ますから!」

P「……」

小糸「っ! ……」ダッ

P「……」

P(一人になりたいだなんて、嘘だ)

P(何故……何故来てくれないんだ……)

P「雛菜……」
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/30(日) 15:36:57.27 ID:i4PVKAYw0
コンコン

P「……はい」

ガララ

円香「……っ」

P「円香か……」

円香「私で悪かったですね」

P「……そうは言ってない」

円香「どうだか」

円香「生存確認ができたので、もう帰ります」

P「ああ……」

円香「……」

P「……」

円香「っ!」

ガラララ バンッ

P「……」


タッタッタッタッ

円香「うぐっ……グスッ」タッタッタッタッ


円香『私……泣きませんので』


円香「ひぐ……ううっ」タッタッタッタッ


〜病院 屋上〜

円香「はぁっ……はぁっ……」ポロポロ

円香「どうして……どうして……」ポロポロ

円香「私は……こんな泣き方……望んでないのに……!」ポロポロ
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/30(日) 15:42:29.37 ID:i4PVKAYw0
コンコン

P「……」

はづき「入りますよー」

ガララ

はづき「もう、ぼーっとしてちゃだめじゃないですかー」

P「……」

はづき「今日は、noctchillの皆さんの近況報告をしにきました。主にお仕事の話を」

P「……」

はづき「まずですね――」


はづき「――という感じで、最近はバラエティへの出演が増えてますね」

はづき「そうだ。今度、新曲が出るんですけどね」

はづき「そこで雛菜さんが……」

P「雛菜……」

はづき「……」

P「……」

はづき「……今日はここまでにしておきますね」

はづき「資料、ここに置いておきますから、よかったら読んでください」

はづき「では、また」

ガラララ

P「……」
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/30(日) 15:58:05.01 ID:i4PVKAYw0
P「雛菜……」


雛菜『隠れて泣いちゃだめなのはなんで〜?』

雛菜『頑張ってる人は頑張り続けてないといけないの〜?』

雛菜『小さい頃はどこで泣いても良かったのに、大きくなったら泣いちゃいけなくなるのはどうして?』

雛菜『正直じゃないのは、しあわせ〜って言えるのかな……』

雛菜『どんなに好きなお仕事でも、同じことを繰り返さないといけないってこと……あるんじゃないかって思うな〜』

雛菜『アイドルもそうでしょ〜? ……今日のレッスンもそう』

雛菜『雛菜はね、別にうまくいかないからいやだ〜ってなったわけじゃないんだよ』

雛菜『うまくいってるのに、辛い〜ってなるくらい何回も繰り返さないといけないなんて〜って思ったの』

雛菜『いまの雛菜たち、似た者どうしなのかもね〜』


P「……」


雛菜『でもね〜、雛菜は、プロデューサーに頑張って欲しいって思わないよ〜?』

雛菜『プロデューサーのおかげでアイドルにはなれたけど、しあわせ〜になれたのかは、よくわかんない』

雛菜『それでも、いまの雛菜はね〜……プロデューサーとしあわせを探せたらって思ってるんだ〜』

雛菜『いまのままじゃ、もううまくいかないね』

雛菜『大変だったよね〜。プロデューサー、頑張ったよね』

雛菜『今日まで頑張ってくれたプロデューサーが、ちゃんとしあわせ〜になれますよ〜に』


P「……っ」

ヴーッ ヴーッ

P(こんな時間に着信……?)

――着信:市川雛菜 携帯電話――

P「!!」

P「ひ、雛菜っ……!」

ポチッ

P「……」

雛菜『あは〜、プロデューサー、ひさしぶり〜』

雛菜『いままでお見舞いに行けなくてごめんね〜』

雛菜『雛菜ね、考えたの〜……』

雛菜『プロデューサーはどうしたらしあわせ〜ってなってくれるのかな〜って』

雛菜『雛菜には、わからなかったけど〜……』

雛菜『やっぱね〜、雛菜とプロデューサーの2人でならわかるんじゃないかって思ったんだ〜』

雛菜『……ね〜プロデューサー』

雛菜『雛菜と〜……一緒にならない〜?』


1.雛菜と一緒になる。
2.雛菜と一緒にならない。


選択肢↓1

(とりあえずここまで)
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/30(日) 16:47:55.56 ID:ceJlDlH1o
1

クイックセーブアンドロード欲しくなるう
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/30(日) 22:16:25.97 ID:i4PVKAYw0
P「……俺は」

P「俺は、雛菜と一緒にいたい」

P「だから、……来てくれ! 雛菜!!」


ガラララ


P「っ!?」

雛菜「やは〜プロデューサー、雛菜を選んでくれた〜」

P「お前……なんでそこに」

雛菜「サプライズ〜……? ってやつ〜」

雛菜「雛菜を選んでくれたプロデューサーにご褒美〜って感じ〜……」

P「……っ。雛菜……」

P「雛菜っ……!!」ダキッ

雛菜「う〜ちょっと抱きしめすぎ〜……。痛いよ〜」

P「うぐっ……。お、俺は、俺はお前を、……ずっと待っていた……!」

雛菜「そっか〜。ずっと、待っててくれたんだ〜……」

雛菜「雛菜ね〜、決めたんだよ」

雛菜「雛菜のしあわせ〜のために、プロデューサーと一緒にいたいな〜って」

雛菜「……ううん。違う」

雛菜「プロデューサーが必要なんだな〜って」

P「俺のほうこそ……雛菜が……雛菜が必要で……!」

P「もう……離れないでくれ……」

P「そばに……いて欲しいんだ」

雛菜「うんうん。そうだね〜」

雛菜「大丈夫〜。どこにもいかないから〜……」
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/30(日) 22:26:11.54 ID:i4PVKAYw0
P(その後、俺は天井社長に退職願を提出した)

P(社長はそれを受け取り、けれども受領はしてくれなかった)

P(いつかまた、このプロダクションに俺が戻ってくる――社長はそう言うのだった)

P(ともかく、俺はプロデューサー業から降りた)

P(noctchillのメンバーは4人から3人になった。雛菜が活動休止となったためだ)

P(雛菜はアイドルとしての活動を休止し、事務員として283プロに再登録された)

P(といっても、以前のはづきさんのような仕事をするわけじゃない)

P(雛菜の業務は、俺のリハビリのための、付き添いだった)

P(雛菜がいれば精神が安定する。そんな俺のために、雛菜はそのポジションに収まった)

P(俺と雛菜は、天井社長がこっそり買っていた田舎の社用の住宅で静かに暮らすことになった)
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/30(日) 22:33:41.84 ID:i4PVKAYw0
数ヵ月後。

雛菜「プロデューサー。今日はいい天気だね〜」

P「本当にな。都会じゃ味わえない、心地の良い朝だ」

雛菜「あとで雛菜と一緒におさんぽしよ〜?」

P「ああ。そうだな」

雛菜「ご飯できてるから、早く下りてきてね〜」


P「おいしそうだな」

雛菜「でしょ〜? 頑張ったんだよ〜」

P「いただきます」

雛菜「いただきま〜す」

P ムグムグ

P「……うまい」

雛菜「ほんと〜?! やった〜!!」

P「一緒に暮らし始めた頃はどうなることかと思ったけどな」

雛菜「あは〜……それは言っちゃだめ〜」

雛菜「おいしいもの食べればプロデューサーも雛菜もしあわせ〜ってなれると思って、すっごく練習したんだよ〜?」

雛菜「レッスンよりも頑張った〜」

P「はは……そこはレッスンのほうを――」

P「――いや、なんでもない」

P「もう、俺はプロデューサーでもなんでもないんだ」

雛菜「あ〜、そういうこと言わない〜」

P「雛菜も、俺をプロデューサーだなんて呼ばなくていいんだぞ」

雛菜「名前で呼んで欲しいの〜?」

P「……別にそういうわけじゃ、ないけど」

雛菜「そのうちね〜」
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/30(日) 22:49:29.20 ID:i4PVKAYw0
P「ごちそうさまでした」

雛菜「ごちそうさまでした〜」

P「食器洗うの、手伝うよ」

雛菜「え〜、いいのに〜」

P「いいから、俺もやるよ」

雛菜「じゃあ、一緒にやろ〜?」


カチャカチャ

P ゴシゴシ

雛菜 〜♪

P「……」

P(
市川雛菜
年齢 15歳
身長 165cm
体重 56kg
BMI 20.57
出身地 神奈川県
3サイズ B87/W60/H86
誕生日 3月17日
星座 魚座
血液型 A型
利き手 左


P「……」

雛菜「よ〜し、これで終わった〜」

P ギュッ

雛菜「?」

P「雛菜……」

雛菜「あは〜、もう、プロデューサー……」

P「……まだ、何も言ってないぞ」

雛菜「言わなくてもわかる〜」

雛菜「我慢できないの〜?」

P「……ああ」

雛菜「そっか〜……」

雛菜「うん。じゃあ、いいよ〜……」

P「雛菜っ……」


P「はあっ……はぁ……」

雛菜「頑張ったね〜プロデューサ〜」

P「ごめん……俺……」

雛菜「いいよ〜。いっぱいしあわせ〜ってなったもん」

雛菜「プロデューサーは、しあわせ〜……?」

P「あ、ああ……もちろんだ」

雛菜「やは〜よかった〜」

雛菜「雛菜、ちょっとお着替え探してきちゃうね〜」

雛菜「そしたら、一緒にお風呂いこ〜」

雛菜 テテテテ

P「……」

P「……俺は」
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/30(日) 22:53:26.08 ID:i4PVKAYw0
雛菜「おさんぽ〜」

P「あ、スマホ置いてきちまった」

P「先に外に出ててくれるか? すぐ行くから」

雛菜「わかった〜。じゃあ、庭にいるね〜」

P「ああ、すまない」


P「……おまたせ。じゃあ、行こう」

雛菜「うん」ジーッ

P「なに見てるんだ?」

雛菜「このお花〜」

P「黄色とオレンジの花だな」

P「もともと植えてあったのが咲いたのかな」

雛菜「かわいいな〜って思いながら見てた〜」

P「ははっ、雛菜らしいよ」

P「よし、それじゃあ行こうか」

雛菜「うんっ! れっつご〜」
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/30(日) 23:02:33.19 ID:i4PVKAYw0
〜林道〜

P「……雛菜は、さ」

P「アイドル、またやりたいか?」

雛菜「ん〜、どうだろ〜」

雛菜「プロデューサーがまたプロデューサーやってくれるなら、やってもいいかな〜」

雛菜「プロデューサー以外なら、もういいや〜って感じ〜……」

P「そうか……」

雛菜「またお仕事したい〜?」

P「……わからない」

P「また、あいつらに迷惑をかけてしまうかもしれない。もちろん、お前にも」

P「俺は、またプロデューサーとしてお前らを導いてやれる自信がないんだ」

P「そんな状態で、仕事をすることは、できない……」

雛菜「そっか〜」

雛菜「……」

雛菜「ねえ……」

雛菜「……Pさ〜ん」

P「!?」

雛菜「やは〜プロデューサー、おどろいた〜」

雛菜「決めた〜。雛菜、プロデューサーって呼ぶのやめる〜」

雛菜「これからは名前で呼んであげるね〜」

P「……どうして?」

雛菜「さ〜? どうしてでしょ〜」

雛菜「やは〜」

P「……ふっ、なんだよそれ」
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/30(日) 23:21:55.03 ID:i4PVKAYw0
雛菜「Pさんはね〜」

雛菜「雛菜を、しあわせ〜にしてくれたと思うよ〜」

P「まあ、そもそも雛菜自身、自分がしあわせ〜(?)であることを第一としてるしな」

雛菜「ううん。そういうことじゃなくてね〜」

雛菜「Pさんに会うまでは、雛菜は自分が自分でしあわせになることしか考えてなかったし〜……してこなかったよ〜?」

雛菜「アイドルになって、誰かにしあわせ〜にしてもらうとか、誰かとしあわせ〜になるとか、そういうことがわかったんだ〜」

雛菜「これもPさんのおかげだね〜」

P「……そうか」

雛菜「だからね〜。雛菜はね、何度でも言うよ」

雛菜「雛菜は、Pさんのこともしあわせにしてあげる!」


雛菜『だからね〜……』

雛菜『プロデューサーのこともしあわせにしてあげる!』


P「雛菜……」

雛菜「雛菜がPさんのことをいちばん褒めて撫でてあげるし〜……」

雛菜「Pさんがもうだめだ〜って思っても雛菜がぎゅ〜ってしてあげるし〜……」

雛菜「雛菜は、ちゃんとPさんの隣にいてあげる〜」

P「そうか……そうだよな」

P「俺を見てくれているのは、雛菜で……」

P「雛菜さえいれば、俺は……」

雛菜「あ、でもリビングのおっきなソファは雛菜の特等席だから、ゆずってあげな〜い」

P「……ははっ、それはどうかな」

P「いつでもその座を狙ってるからな?」

雛菜「あ〜、もう〜」

雛菜「絶対守りぬくんだから〜」

P(いつぶりだろう)

P(こうして、冗談を言い合って笑いあったのは)

P(乾いた笑いではなかったのは確かだ)

P(久々に、アイドルとプロデューサーの関係のときの、楽しい時間がよみがえった気がした)
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/30(日) 23:26:52.43 ID:i4PVKAYw0
P「そろそろ林道もおしまいか」

雛菜「たしか〜この道を抜けると喫茶店があったよね〜」

P「そうだな」

P「そういえば、まだ入ったことはなかったな」

雛菜「せっかくだし、行ってみようよ〜」

P「ああ、そうしよう」

雛菜「じゃあ、そこまで競走ね〜!」ダッ

P「あっ、こら、危ないぞ!」

雛菜「転びそうになったらPさんが助けてくれるから〜」テテテテ


P『危ないぞ!』

雛菜『転びそうになったら』

雛菜『プロデューサーが助けてくれるでしょ〜〜〜?』


P「……ははっ」

P「よし、負けないからな!」

P ダッ
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/30(日) 23:32:23.28 ID:i4PVKAYw0
P「はあっ……はあっ……」ゼェゼェ

P(い、息が切れてしまった……)

P(運動不足だな……)

P「情けないな、俺」

P「……ってか、やばい。雛菜を見失ったぞ」

P「あれ、ここ、どこだ?」

P(通ったことがあるはずの道だけど……)

P(いままで気づかなかったが、もう1本道があるな……)

P「ど、どっちに行けばいいんだ……」

「雛菜はまっすぐの道に行ったよ」

P「そうか、ありがとう……」

P「……え?」

「久しぶり、プロデューサー」

透「元気だった?」
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/30(日) 23:33:09.61 ID:i4PVKAYw0
一旦ここまで。
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/30(日) 23:42:52.74 ID:ANlKBMQoo
おつおつ
ヒェッ…最後に背筋凍った
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/31(月) 00:37:53.28 ID:qx2gGN750
P「と、透……?」

P「なんでここに……」

透「プロデューサーたちが住んでるとこ、283プロの持ち物だし」

透「住所ならすぐにわかるよ」

P「そ、そうか……」

P「久しぶりだな、透」

P(そういえば、透は俺が入院してたときも見舞いには来てないし……)

P(……本当に久しぶりだ)

透「……」

透「……ねえ、いつ戻って来れるの」

透「私、ずっと待ってた」

P「……待ってた、か」

P「見舞いには来なかっただろ」

透「それは……っ」

透「……」

P「いや、悪い。透が悪いわけじゃないよな」

P「悪いのは、全部俺だ」

透「……思い出して欲しいんだ」ボソッ

P「え?」

透「ねえ、プロデューサー」

透「私は、プロデューサーと一緒にアイドルをやっていきたい」

透「私のプロデューサーは、1人しかいないよ」

P「透……」
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/31(月) 00:43:46.85 ID:qx2gGN750
P「……すまない」

P「今の俺に、アイドルの――透のプロデューサーは、できない」

P「雛菜と暮らすことで得たものはたくさんあるんだ」

P「俺は……透に応えてやれる自信も資格も、ない」

透「っ……!」

透「なんで……」

透「っ、なんで!?」

透「私は……私は……」

P「……」

「Pさ〜ん?」

P(この声は……雛菜か?)クルッ

雛菜「もう〜、待たせすぎ〜」

P「あ、ああ。すまない、いま透に会ってな……」

雛菜「え〜? 透先輩〜? どこどこ〜?」

P「いや、ほら、そこに……」

P「……あれ?」

P「いない、だと……」

P(そこには、足跡だけが残されていた)
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/31(月) 00:51:57.57 ID:qx2gGN750
〜喫茶店〜

雛菜「Pさんが待たせたせいで、雛菜お腹ぺこぺこ〜〜」

P「わ、悪かったって……好きなだけ食べてくれ」

雛菜「やは〜、そうするね〜」


雛菜「わ〜、サラダにお花が入ってる〜!」

P「ははっ、おしゃれなサラダだな」

雛菜「食べれるお花なんて、おもしろ〜い」ムシャムシャ

P「たしかに、花を食べるってあんまりしないよな、普段は」

雛菜「だよね〜」

P「そういえば、メニューに説明があったな……どれどれ」

P「ナスタチウムの入ったサラダ、か」

P「この花はナスタチウムって言うんだってさ」

雛菜「へ〜、聞いたことない名前だね〜」

P「そうだな……」

雛菜「プロデューサーも、食べる〜?」

P「ああ……いただくよ」

雛菜「はい、あ〜ん」

P「あむっ」

P「……うん、悪くないな」

雛菜「あは〜雛菜もそう思う〜」

雛菜「このサラダ、雛菜は半分たべたから、もう半分はPさんにあげるね〜」

P「いいのか? 好きなだけ食べていいんだぞ?」

雛菜「? だから、好きなだけ食べたよ〜?」

P「半分でいいのか」

雛菜「うんっ」

P「じゃあ、遠慮なく……」ムシャムシャ

雛菜「あ、そだ、そのお花のこと調べてみるね〜」

雛菜「検索〜」
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/31(月) 00:57:22.15 ID:qx2gGN750
雛菜「へ〜」

P「何かわかったか?」

雛菜「うんとね〜」

雛菜「なんか、キンレンカとも言うんだって〜」

雛菜「ほら〜」

P「お、おう……なんだかいろいろと書いてあるな」

P「……っていうか、これ」

P「うちの庭に咲いてたやつじゃないか?」

雛菜「あ〜! ほんとだ〜!」

雛菜「じゃあ、あのお花も食べられるんだね〜」

P「食べちゃうのか?」

雛菜「う〜ん、別にどっちでもいい〜」

P「そうか」
412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/31(月) 01:07:41.20 ID:qx2gGN750
〜Pと雛菜の家(仮)〜

雛菜「やは〜。ただいま〜」

P「散歩のつもりだったけど、ずいぶんと帰りが遅くなっちまったな」

雛菜「お腹いっぱい食べれたし、雛菜は満足〜」

P「ははっ、満腹ってか」

P(そういえば、あのあと透はどうしたんだろう)

P(いつの間にか姿を消していたが……)

P(LINEでもしてみるか?)

P(……なんだか、勇気が出ないな)

P(間接的にではあるが、とりあえずはづきさんに聞いてみるか)


P『突然すみません。はづきさん、今日、透は事務所に来ましたか?』

はづき『あ、プロデューサーさん。こんばんわ〜』

はづき『透さんですか? さっき事務所に顔を出して、すぐ帰っちゃいましたね』

P『そうですか。ありがとうございます』

はづき『何かあったんですか?』

P『いえ、たいしたことじゃないです』

はづき『わかりました〜』


P(良かった……とりあえず、無事に帰れたようだな)

雛菜「Pさ〜ん」

雛菜「こっちで一緒に映画見よ〜」

P「ああ、いま行くよ」
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/31(月) 01:14:42.60 ID:qx2gGN750
雛菜「やは〜〜〜……すっごく面白かったね〜」

P「ああ……映画に夢中になったのなんていつぶりだろう」

雛菜「ん〜〜〜っ! ずっと座りっぱなしで疲れちゃった〜」

P「ははっ、ずっと雛菜を乗せてた俺の足も限界だ」

雛菜「それって……雛菜が重いってこと〜〜?」

P「……レッスンしなくなってから、少しはふっくらしたんじゃないか?」

雛菜「も〜〜!! Pさんきらい〜〜〜〜」ポカポカ

P「いてて……こらこら、叩くなって」

雛菜「う〜、雛菜、ダイエットしたほうがいいのかな〜」

雛菜「雛菜が痩せたほうが、Pさんはしあわせ〜?」

P「……いや、別にいいよ」

P「雛菜が雛菜でいてくれれば、俺はそれでいい」

雛菜「〜〜〜〜〜っ」

雛菜「そういうとこ、雛菜はだ〜いすきだよ〜」ダキッ

雛菜「Pさ〜ん」スリスリ

P「よしよし」ナデナデ

P「……あ、ほら、雛菜、空見てみろ」

P「今日は星が一段と綺麗じゃないか?」

雛菜「ん〜? ……っ! ほんとだ〜〜〜!!」

P「ちょっと外に出てみよう」

雛菜「うんっ! 雛菜も行く〜」
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/31(月) 01:35:26.30 ID:qx2gGN750
雛菜「すご〜〜い!! 綺麗だね〜!」

P「ああ、ここに住み始めてから、星空自体は珍しく感じなくなったけど……」

P「ここまで綺麗なのは初めてだ」

P(思わず、見入ってしまって言葉が出てこなくなる)

P(星空の美しさに、圧倒されていた)

雛菜「……ね〜、Pさん」

P「ん? どうした?」

雛菜「雛菜ね、この空を見て思ったよ」

雛菜「たぶん〜……この世界には、たーっくさんのしあわせ〜なことがあって」

雛菜「普段は気づかないけど、このお星さまたちみたいに……雛菜たちの見えるところできらきら〜ってしてるんだろうな〜って」

P「雛菜……」

雛菜「下を向いてたら、しあわせもお星さまも見えないんだね」

雛菜「だからね、雛菜は前を――上を見続けるんだ〜」

雛菜「あなたはどう〜? Pさん。ううん――」


雛菜「――プロデューサー」


P「!」

P「……ああ、雛菜の言う通りだ」

P「下を向いてたら、見るべきものを見なければ……大切なものも欲しいものも、見えてこないし見つけられない」

P「ありがとう、雛菜」ダキッ

雛菜「やは〜、プロデューサーに抱き寄せられちゃった〜」

P「俺は、ずっと下を見続けていたんだな」

P「上を向いていくよ。これからは、前を見据えて」

P(俺は、ずっと見失っていたんだ――自分は何のためにそこにいるのか、なにがしたいのか)

P(目的と手段の区別が曖昧になって、自分で自分の首を絞めていたんだな)

雛菜「ね〜プロデューサー」

雛菜「頑張ることがしあわせ〜ってことも、あるかな〜?」

P「ああ、もちろんだ」

雛菜「誰かのために働くことも、しあわせ〜ってなる?」

P「それが、プロデューサーって仕事だからな」

雛菜「そっか〜……プロデューサーは、プロデューサーのしあわせを見つけられたんだ〜……」

P「雛菜のおかげだよ。でも……そうだな」

ギュッ

P「この星空を、雛菜と見つけられたように」

P「俺は、これからの自分の幸せを、雛菜と一緒に見つけていきたい」

P「一緒に幸せに、なっていきたい」

P「雛菜……俺と生きてくれるか?」

雛菜「うんっ! 雛菜も、おんなじ気持ちだよ〜!」

P(雛菜を強く抱きしめる。雛菜も俺を強く抱きしめてくる。この感覚を、忘れたくない)

P(プロデューサーとして、雛菜のパートナーとして、これからの人生を精一杯幸せに生きよう)

P(よし、楽しく生きていこう!)


END.
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/31(月) 01:39:35.36 ID:qx2gGN750
市川雛菜のエンディングが1つクリアされました。

「――――――――――――――――――――――――――――――――」

冒頭に戻ります。
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/31(月) 01:42:01.75 ID:qx2gGN750
〜Pの自宅〜

ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピ……

P「……っ」

P「……朝か」


P「いってきます。……って、まあ一人暮らしなんだけどな」

P「っ……なんか、頭痛いな」

P「まあ、特に辛いってほどのものでもないけど……」

P「……よし! 今日も一日頑張るか!」


〜駅前〜

P(事務所まであと少しだが……)

P「っ、暑いな、まったく……」

P「そうだ」


1.我慢できん……とりあえずコンビニに入ろう。(Read)
2.急いで事務所に行けばクーラーの効いた部屋が待っている!(Read)
3. 路地を歩けば涼しいかな……?(Read)
4.あれ、部屋の鍵ちゃんと閉めたっけ……。(Read)

選択肢↓2

(とりあえずここまで)
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/31(月) 01:47:32.58 ID:qgqrLidso
おつ
4
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/31(月) 06:55:48.99 ID:aBfcHz0UO
4
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/31(月) 19:38:57.56 ID:qx2gGN750
P(あれ、部屋の鍵ちゃんと閉めたっけ……)

P(なんだか不安になってきたな)

P(……まだ出勤のタイムリミットまではあるな)

P(よし、戻ろう)


〜Pの自宅の近所〜

P(ここを曲がれば……って、あれ)

P(前にも、こんなことなかったか……?)

P(家に向かう途中で……)

P(いや、よくわからん。まあ、いいか)

P スタスタ

P「ん?」

P(あそこにいるのは、雛菜か?)


雛菜「〜〜〜(スマホを片手に会話中)」


P(誰かと電話中か。なんか、あまり穏やかな雰囲気ではない感じもするが)

P(うーむ。気づかれずに通りたいけど、この道でいかないとえらい遠回りになっちまうんだよな……)

P(ええい、行くしかないか)


雛菜「!」


P(やっぱ気づかれるよな、そりゃ)

雛菜「〜〜〜〜(スマホを片手に会話中)」

雛菜 ポチッ

雛菜「……プロデューサーだ〜おはよ〜」

P「お、おう、雛菜か。こんな朝から、偶然だな」

雛菜「そうだね〜」

雛菜「雛菜はプロデューサーに会えてしあわせ〜」

P「ああ、俺も嬉しいよ」

雛菜「やは〜プロデューサーもそうなんだ〜!」

P「でも、悪いことしちゃったよな。電話の邪魔だっただろ、俺」

雛菜「あ〜……電話ね〜……。うーん、まあ、いいよ〜」

ヴーッ ヴーッ

P「あれ、俺のスマホか? 透からか」

P「はい、もしもし」

透『はづきさんが呼んでる』

P「マジか」

透『プロデューサー、いつもより事務所に来るの、遅くない?』

P「そ、そうか?」

透『とりあえず、伝言、したから』

P「ああ……ありがとう」

プツッ

P(部屋の鍵は……うーん)

P(まあ、大丈夫だろう。鍵を閉めるのはいつもの癖だ)
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/31(月) 19:41:41.63 ID:qx2gGN750
P「よし、それじゃあ事務所に向かおうk――」

P「――って、あれ?」

P(雛菜がいない……だと?)

P「さっきまで、ここにいたよな」

P「LINEで聞いてみるか……って、もう向こうから来てるな」


雛菜『雛菜、ちょっと寄る所あるから〜……先に行ってるね〜』


P「そういうことか」

P「事務所での集合時間には遅れるなよ、……っと。送信」

P「俺も向かうか」
421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/31(月) 19:51:48.77 ID:qx2gGN750
〜事務所〜

P「おはようございます」

透「おはよ」

小糸「あ、おはようございますっ! プロデューサーさん!」

雛菜「ふわ〜〜、ちょっと寝ちゃってた〜〜〜〜」ムクッ

雛菜「あ! プロデューサーだ〜。おはよ〜」

円香「……ハァ」

P「さすがにひどくないか?」

円香「まだ何も言ってませんが」

P「言わずとも伝わることってあるんだぞ。そういう高度なコミュニケーションもとれるからな」

円香「まるでこっちの考えを読んでるみたいな言い方……。はい、覚えておきます」

P「ははっ、よろしくな」

P(さっきの円香とのやりとりは、なんだか自然に言葉が出てきたな。円香ならこう言うだろうって)

P(俺も、プロデューサーとしてアイドルの考えていることがだんだんとわかってきたのかな)


透「……」

P「どうした透。スマホみながら険しい表情で」

透「えっ……いや、別に」

透「いらないアプリとか、消してた」

P「スマホって、あんまり考えないで入れたアプリとかゲームを使いもせず放置しがちだよな」

P「ゲームか……久しくやってないな……」

P「……」

P「……仕事すっか」
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/31(月) 19:55:57.73 ID:qx2gGN750
数時間後

P(今日のnoctchillはレッスン漬けだったよな)

P(あいつらのことだから心配しなくてもいいかもしれないけど……)


1.(Deleted)
2.仕事で疲れたし昼寝でもしよう。
3.休憩がてらはづきさんと話すか。

選択肢↓1(2.? 3.?)
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/31(月) 20:09:31.76 ID:qgqrLidso
2
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/31(月) 20:37:20.07 ID:qx2gGN750
P(仕事で疲れたし昼寝でもしよう)

P(体力回復に努めるんだ)

P「……」

P「zzzZZZ」


P「……んっ、あれ」

P「ここは……どこだ?」

P「俺は、事務所で昼寝をして……それから……」

P「……」

P「知らない建物だな、ここは。夢でも見てるのか?」

P「窓からの景色を見る限り、近くには海があるみたいだけど」


「せっかくのオフに仕事なんてさせないから」


P「いまの声は……円香か?」

P(様子を見に行ってみるか)


円香「あ、あなたは……いっぱしのプロデューサーではあるんだから……」

円香「ここに連れてきたのは、過労死させないためでもあるんです」

P「そ、そんなに働いてるのか? 俺って」

円香「いまにも倒れそうですよ」

P「それは大変だ……」

円香「それに、言ったでしょ」

P「?」

円香「私を見て、って」ダキッ


P(な、なにしてるんだ円香……!)

P(……っていうか、抱きつかれてるのは……俺?)

P(いや、俺はここに……)ズキッ

P「うっ……」

P(ず、頭痛が……)

P(駄目だ……意識が……もたない……)

P バタッ
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/31(月) 20:43:35.45 ID:qx2gGN750
P「……っ」

P「ここは……」

P(夢と魔法の王国……だよな)

P(なんでこんなところで倒れてるんだ、俺)

P「よいしょっと」スック

P(これは、さっきの夢の続きなのか?)


「えへへ、プロデューサーさんと同じ目線です」


P「……小糸?」

P「あそこにいるのは……小糸と……俺、だよな」

P(物陰から見ていよう……のぞきみたいで気が引けるが)

P(もう1人俺がいる以上、なんだか迂闊なことをしてはいけない気がする)


P「小糸が急に大きくなった」

小糸「これで小さい子とは言わせませんよ!」

P「それはごめんって、ほんと」

小糸「撮りましょうか」

カシャ

小糸「……グスッ」

小糸「プロデューサーさんっ、ちょっとこっち向いてください!」

P「え?」クルッ

チュッ

P「」

小糸「グズッ……夢なら、覚めないでほしいなって」

小糸「魔法なら、とけないでほしいなって」

小糸「こ、こうすれば、大丈夫かなって」

小糸「……」

小糸「わたしは……」

小糸「うっ…… グズッ、ぷ、プロデューサーさんのことが」

小糸「だいすきです」


P(小糸に告白されてるな……俺)

P(いや、でも……こんなの俺の記憶にはないぞ……?)

P(ない……よな?)

P「……うっ、ぐあっ」ズキィッ

P(またしても頭痛か……)

P(意識が……)

P ドサリ
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/31(月) 20:50:53.06 ID:qx2gGN750
P「……、……はっ!?」パチリ

P(こ、ここは……? 今度はどこなんだ!?)

P(って、この格好は……まるで客室乗務員みたいな……)


「……すごい景色だな」

「すごい高度だからね」


P(……透と俺の声だ)

P ソローッ


透「これで私たち、また一つてっぺんにたどり着いたね」

P「はは……そうかもな」

透「物理的なてっぺん、だね」

P「でも、ほら」

P「宇宙はまだまだ広い」

透「うん」

透「だから、私たちも」

透「まだまだ、「てっぺん」を目指し続けることができる」

透「諦めずに、ずっと」

透「頑張ろうね、プロデューサー」

P「ああ! もちろんさ」

P「俺たち2人で、どこまでも!」

透「うん!」


P(透は……なんだかいつもとは違う表情を見せてるな)

P(すくなくとも俺は……ここにいる俺は、その顔を見たことがない)

ガタガタガタッ

P(な、なんだ……!?)

P(急に機体が揺れ始めて……あ、ベルト着用のサイン……)

P(俺の……スタッフ用の席はどこだ?)

ガタガタッ

P「うおぁっ!」

P(やばい……このままだと備品棚に頭をぶつけ――)

――ガンッ
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/31(月) 21:02:26.86 ID:qx2gGN750
P「……ぅゎぁっ!」ガバッ

P「はあっ……はあっ……」

P(こ、ここは……)

P(さっきも見た……円香と俺がいた場所だ)

P(同じ……場所だ……)


「私に似てよくわかってるみたい」

「あなたの安直さが」


P(円香の声だ)

P ソローッ


P「えぇ」

P「でも、ほら、このつぶらな瞳とか、俺に似てるんじゃないか……?」

「わたし、ぱぱににてるの?」

円香「安心して、あなたはママ似だから」

「よかったー」


P(今度は子どももいる……だと?)

P「……」


P「この母にしてこの子ありだ!」

P「俺はいま、妻と子にいじめられている!」

円香「でもそれが?」

P「幸せだ!! ……って、言わせるなよ」

円香「なに照れてるんだか」

円香「……」

円香「……ふふっ」

円香「私も、幸せよ!」


P(さっきから……この夢はなんなんだ?)

P(俺と、アイドルが、幸せそうにしている様子……)

P(夢にしては……やけにリアルだが……)

P(俺の記憶には、こんな経験はない)

P ズキズキ

P(くそっ。また頭痛か)

P ギリギリギリ

P「ぐあああっ」

P「はあっ……くっ」

P(もし、この頭痛に耐えたら……)ズキズキ

P(試してみるか)ズキズキ

P「くそおおっ」グッ

「――無駄だよ」

P「あっ……」

P バタリ
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/31(月) 21:19:55.30 ID:qx2gGN750
P フラフラ

P「……」

P(気づいたら、日本ではないどこかにいた)

P(人々が話しているのが英語だというのはすぐにわかった)

P(なんなんだ……この夢は)

ドンッ

P「いてて……すみません……」

通りすがりの外国人「Watch where you're walking, fuckin' asshole!」

P「……」フラフラ

P(……ん? あれは。間違いない、小糸と俺だ)

P「……」

P(とにかく、追いかけてみよう)

P ダッ


P(俺は、2人が入っていったガラス張りの超高層ビルへと進んだ)

P(さすがは夢、というか、ロックがかかっていたりセキュリティの厳しいゲートであったりを俺はなんなく通過できた)


「だ、だって……! わたしがアメリカに来ちゃったら、もうプロデューサーさんとは……」


P(2人は……あっちか)

P(ここからなら、声が聞こえるし、姿もそれなりに見える)

P「……」


P「ああ、そのことなら気にしなくていいぞ」

P「ほら、これが俺の新しい名刺だ」

小糸「……! これって」

P「そうだ。今日から俺は――」

P「小糸担当、小糸専属のプロデューサーだ」

P「だから、俺も小糸と同じ時期からアメリカ暮らしさ」

P「うちの事務所も最近人員補填をしてな。noctchillのプロデューサーははづきさんが引き継いでくれるから心配しなくていいぞ」

小糸 パァァ

小糸「に、にやけてなんてませんよ!」

P「別に言ってないが……」

小糸「でも……良かった」

小糸「これからもよろしくお願いしますね! プロデューサーさん!」


P(今度はそうきたか)

P(小糸は勉強熱心だし、アメリカに留学しててもおかしくないかもな)

P(あの2人がいる場所の近くにある表札らしきプレートには……どれどれ)

P(283プロ・カリフォルニア支部、か)

P(それに……事務所の人員補填とか言ってたな、あそこにいる俺は)

P(たしかに、いまのうちの運営状況だと、そうしてくれればありがたいが……)

P(夢のくせに……事情が妙にリアルなんだよな……)

P「うっ……!」ズキイッ

P(この夢のシーンは……ここまで、か……)ドサッ
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/31(月) 21:33:32.87 ID:qx2gGN750
P「……っ」パチリ

P キョロキョロ

P(……ここ、学生のときに来たことがあるな。東京で1番高いタワーだ……展望台のある。それに、ここはその展望台のある階だ)

P(ここに、俺と誰かがいるんだろうな……ここまでの流れを踏まえれば)

P「……」スタスタ


「すごいね、景色」

「ああ、さすがの高さだ」


P「!」

P(あれは……透と俺だ)


P「道で歩いてるときに見ると高い建物も、ここからなら全部が小さく見える」

透「……」

透「この前までの私には、見えてなかった景色」

透「見上げることしかできなくて、いろんなものが大きくて、長くて、立ちふさがってるような気がしてた」

透「でも、今は違うよ」

透「あなたに、伝えられたから」

透「あなたと、通じ合えたから」

透「ああ長いなぁって感じてたのも、感じ方が変わった」

透「あなたとなら、人生なんていくらでも長くていい」

透「だって、あなたがいるから」

P「透……」

P「……そうだな。これから俺たちがしていくのは、2人で上を向いてジャングルジムを登っていくことじゃない」

P「前を向いて、共に人生を歩んでいくこと、だな」

P「これからの景色を、俺と一緒に見ていこう」

P「きっと、いいものが見れると信じて」

透「楽しみだね」

P「ああ、俺もそう思う」


P(なにやら2人で語り合ってるな……それも、幸せそうだ。透は……あんな表情や態度もできるんだな……)

P(いや、これがただの夢なら、俺の抱く幻想という可能性だってあるが……これをただの夢だと思えない俺がいる)

P(俺が見ているのは、一体何なんだ?)


透「あ、ちょっと、ね。行ってくる」


P(ん? 2人でいたのに、なんかこっちに向かってきてないか?)

P クルッ

P(って、ここトイレの前じゃねぇか!)

P「やばっ……」ズルッ

ガンッ ...バタリ

P(くそ……頭打っちまった……)

P「うう……」

透「……」

P(と、透……?)

P(なんで、“俺”を見てるんだ……って、意識――が――……)
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/31(月) 21:47:16.53 ID:qx2gGN750
P「っ、はっ!」

P「今度はどこだ……って、森? ……いや、林か?」

P(林道と呼ぶべき場所に出たな……)

透「久しぶり、プロデューサー」

透「元気だった?」

P「と、透……? ……っていうか、え?」

P「この俺に、話しかけてるのか?」

P(今回は、いままでとは違うのだろうか)

P「なあ、ここは……」

透「プロデューサーたちが住んでるとこ、283プロの持ち物だし」

透「住所ならすぐにわかるよ」

P(俺“たち”が住んでる、だと?)

P(わ、わけがわからん……)

透「……」

透「……ねえ、いつ戻って来れるの」

透「私、ずっと待ってた」

P「……」

P(透は一体何を言ってるんだ)

透「ねえ、何か言ってよ」

透「……」

P「いや、その……」

透「……思い出して欲しいんだ」ボソッ

P「え?」

透「ねえ、プロデューサー」

透「私は、プロデューサーと一緒にアイドルをやっていきたい」

透「私のプロデューサーは、1人しかいないよ」

P「透……」

P(事情もよくわからない俺が、ここで何か発言して良いものなのか?)

P(くそっ……どうすればいい?)

透「っ……!」

透「なんで……」

透「私は……私は……」

「Pさ〜ん?」

P(この声は……雛菜か?)クルッ

P「……って、あれ?」

P(確かに、雛菜の声らしきものが聞こえた……のだが)

P(振り返ったそこには、透がいた)

P(さっきまで俺と向き合ってた以上、振り返ってそこに透がいるなんて、おかしいはずだ)

透「……」

透「目を……」

透「目 を 覚 ま し て(目を覚ましてください? メヲサマシテヨ めを……)」
431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/31(月) 22:02:44.38 ID:qx2gGN750
P「ぁぁぁぁぁあああああっ!!」ガバァッ

「きゃっ!?」

P「はぁ、はぁ、はぁ……」

P「こ、今度はどこだ!?」

はづき「お、落ち着いてください、プロデューサーさん。ここは事務所ですよー……」

P「は、はづきさん?」

はづき「お昼休みが終わったので、起こしてあげようかなーって思ったんですけど」

はづき「もう、いきなり飛び起きるからびっくりしちゃいましたよ」

P「す、すみません……」

はづき「おはようございます、プロデューサーさん」

P「昼休み終わってるのに、俺……」

はづき「今終わったところなので、まだ大丈夫ですよー」

はづき「あと、お願いがあるんですけど」

はづき「先日メールで送ってもらった企画書、紙媒体でファイリングしたいので、コピーいただけますかー?」

P「わかりました。ちょっと待っててくださいね」

はづき「はーい。私のデスクで待ってますね」

P「はい。印刷が終わったら持っていきます」

はづき「ではでは」タタタ

P「えーっと」

P「確か……企画書が入ったUSBはデスクの引き出しの2番目に……」ガララ

P「……?」

P(なんだこれ)

P(手紙、だよな)

はづき「? どうかしましたか? プロデューサーさん」

P「い、いえ。企画書でしたね。はい、どうぞ」

はづき「ありがとうございます〜」

P「……」

P(中高生のときならラブレターかと思ってはしゃいでたかもしれないが……)

ペラッ

P(反対側には『あなたへ』とある)

P(俺宛……ってことでいいのか?)


1.手紙を開封して中身をあらためる。(Read)
2.(Deleted)
3.手紙を話題のネタにしてはづきさんに話をふってみる。

選択肢↓1
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/31(月) 22:27:08.34 ID:YUEzvVjco
3
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/31(月) 23:49:27.89 ID:qx2gGN750
P「……はづきさん」

はづき「? なんですかー?」

P「はづきさんって、手紙書いたことあります?」

はづき「ありますけどー……、どうしたんですか? 突然」

P「いえ、その、手紙を、もらいましてね」

P「なんとなく、聞いてみただけです」

はづき「そういうことですかー」

はづき「そうですね……私が手紙を書いてたのは、小学生とか中学生のときですかね」

はづき「転校しちゃった子に書いてあげたりとか、仲の良いグループの子たちで渡し合いしたりとかー、そんな感じです」

はづき「プロデューサーさんはどうだったんですか?」

P「俺は、そういうのとは無縁でしたね」

P「だから、いま手紙を貰って、なんだか妙な気分になっているというか……」

はづき「ラブレターかもー……って思ってます?」

はづき「それも、アイドルから、とか」

P「アイドルからっていうのは職業柄あり得ますけど、ラブレターではないんじゃないですかね」

P「まあ、中高生のときなら、そう思って舞い上がってたかもしれません」

はづき「もしかして、その手に持ってるのが、いま話に上がってる……」

P「はい。そうなんです」

はづき「差出人は何て書いてあるんですー?」

P「それが、書いてなくて……」

P「まだ中身は見てないんですけど、表には『あなたへ』とだけ……」

はづき「開けないんですか?」

P「……」

P「……開けますか」

P「中身、気になりますし」

ペリペリペリッ

P(中身は……あ、紙が入ってるな。どれどれ)

ペラッ

P「……」

はづき「な、なんて書いてありました……?」

はづき「って、まだ読んでる途中ですよね、ごめんなs――」

P「――いえ、それは気にしなくて大丈夫です」

はづき「……?」

P「ほら」

P「何も書いてないんですよ」
434 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/31(月) 23:56:20.18 ID:qx2gGN750
はづき「ほんとですね……」

はづき「でも、変じゃないですかー?」

はづき「その紙、確かに何も書いてませんけど、新品同様というには程遠いというか」

はづき「明らかに何か手が加えられたような質感……ですよね」

P「俺も、まさにいま同じことを考えていました」

P「うーん、どうしたらいいんですかね……」

はづき「……あっ」

はづき「そういえば、昔……」

はづき「友だちに書いた手紙に、遊び心であぶり出しの細工をしたことがありました」

はづき「その時は、友だちが手紙を読むときに火を使って軽く騒ぎになっちゃって」

はづき「私とその子ですごく怒られたのを覚えてますー」

P「あぶり出し……」

はづき「なんか、それを思い出しましたよ」

P「はづきさん、ここにライターってありますか?」

はづき「あ、はい。備品なら倉庫に」

P「わかりました」

P「……試してみます」
435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/09/01(火) 00:40:32.67 ID:gjLmqdMj0
P「持ってきました」

はづき「……いよいよ、ですね」ゴクリ

P「はい……」

カチッ

ボォッ

ジジジジジ

P「……」

はづき「……」

P「……あ」

はづき「だんだん浮かび上がってきましたね!
436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/09/01(火) 00:41:16.82 ID:gjLmqdMj0
キーを押し間違えて書き込んでしまいました。投下しなおしますので、しばしお待ちを。
437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/09/01(火) 00:46:03.78 ID:gjLmqdMj0
P「持ってきました」

はづき「……いよいよ、ですね」ゴクリ

P「はい……」

カチッ

ボォッ

ジジジジジ

P「……」

はづき「……」

P「……あ」

はづき「だんだん浮かび上がってきましたね!」

P「!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    マリカー
  ジャングルジム
     ぼく

   おもいだして

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


はづき「? 何かの呪文なんでしょうか……」

はづき「プロデューサーさんは、これ、わかります?」

P「いえ……わかりません」

P「でも、ただのイタズラとも思えないんですよね」

P(どういう意味なんだ? これは……)
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/09/01(火) 00:48:46.42 ID:gjLmqdMj0
P(結局、手紙の謎のメッセージについては、解決せず……)

P(俺とはづきさんは仕事に戻った)


数時間後。

P「……うーん」

P(集中が切れてきた……)


P(ふらふらと事務所の冷蔵庫の前まで来てしまった)

P(なんとなく何かから逃げたい時とか、気分転換したい時とかに、冷蔵庫を開けに来てしまうのはなんでなんだろう)ガチャ

P(うーん、開けたはいいものの……)


1.冷やされたコーヒーを飲む。
2.プリンを食べる。(Read)
3.何もせずにデスクに戻る。(Read)

選択肢↓2

(とりあえずここまで)
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/01(火) 00:57:41.46 ID:rH3tGlKeo
おつ
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/01(火) 02:15:19.72 ID:nEXKzxkDO
1

たんおつ
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/09/02(水) 01:31:01.67 ID:IsVSaapb0
P(おっ、冷やされたコーヒー発見)

P(そういえば、俺は今日コーヒーを淹れてないけど……)

P(親切な人もいたもんだな。誰が淹れたのかわかればお礼でも言えるのに)ゴクゴク

P「ふぅ……」

P(やけにリアルな夢といい、意味不明のメッセージが記された手紙といい、今日はいろいろあったが)

P(これで少しはリフレッシュできた気がするな)

P「よしっ……」

P(仕事仕事っと)
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