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りあむ「星井美希ちゃんと八宮めぐるちゃんとのユニット!?」
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67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 13:26:05.01 ID:5kSS+tSVo
−レッスンスタジオ−
美希「おはようなの……あふぅ」
りあむ「おはよ、ミキミキ。まだ目が起きてない感じだけど」
美希「うん、すっごく眠いの……あれっ、めぐるは?」
りあむ「今日は部活の試合。また助っ人だってさ」
美希「……ねーねー。もしかしてりあむって、ヒマ人さんなの?」
りあむ「急になんだよう。やむぞ? すぐやむぞ、絶対やむぞ、ほ〜らやむぞ?」
りあむ「……でも最近、推しに罵倒されるのも悪くないんだよなぁ」
美希「またわけわかんないコト言ってるの」
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 13:29:48.36 ID:5kSS+tSVo
美希「ミキやめぐるは学校の出席日数とかもあるし、たまにレッスンお休みするけど」
美希「りあむって、いつもスタジオにいるなーって」
りあむ「そりゃあもうおっしゃる通り、ヒマ人だもん」
りあむ「それにサボった分は取り返さないと、またPサマや専務に怒られちゃうし……」
美希「今度は『努力してる』ってカンジ?」
りあむ「ぼくなりにね! ミキミキやめぐるちゃんに比べるとカスだよ!」
りあむ「……てかだいたい、家にいても一人で、あんまやることないしさ」
美希「りあむって一人暮らしなんだね」
りあむ「実質そうかも。両親は仕事で海外。お姉ちゃんはアメリカで画家やってるんだ」
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 13:32:23.06 ID:5kSS+tSVo
美希「ミキもお姉ちゃんいるよ。菜緒っていうんだけど」
りあむ「ミキミキの姉てことは、ミキミキよりナイスバディ? 推せる!?」
美希「ううん、全然。歳は5つか6つくらい上なんだけど、胸はDしかないの」
美希「ミキがいじわるして横に並んであげると、シュンってなっちゃうんだよね」
りあむ「鬼! 悪魔! ちひろ!」
美希「あっ、いいこと思いついたの!」
美希「胸のサイズ、ミキが86でしょ。めぐるが90で、りあむが95だよね?」
美希「今度は、プログレシブ三人で並んであげるの!」
りあむ「うん、ホントやめたげよ? おねえさま、ぼく以上にやむよ?」
70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 13:34:57.97 ID:5kSS+tSVo
−りあむ自室−
りあむ「今日もちかれた……充実感はあるけど、もっとぼくを労れよな〜」
りあむ「あ、そうだ。プログレシブって一般公開されたんだっけ」
りあむ「とりあえずエゴサしよ」ポチポチ
『期間限定ユニット、プログレシブ結成!』
『765プロ星井美希、346プロ夢見りあむ、283プロ八宮めぐるの強力ユニット!』
『財布絞りに来てんなぁ。グッズもCDも買いますけど?』
『オイオイオイ死ぬわ俺ら』
『三曲出して終わりとか勿体なさすぎる……』
りあむ「そうそう! こういう甘い言葉を待ってるんだよ、ぼくは!」
りあむ「やっぱオタク共はチョロいな! りあむちゃん大勝利!」
りあむ「…………ん?」ポチポチ
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 13:37:34.83 ID:5kSS+tSVo
『三人とも乳がでかいだけでは?』
『星井美希が相対的に貧乳で草』
『あの765がこんな企画しか出せないとか、落ちぶれたな』
『うわっ……りあむだけ顔面偏差値低すぎ……?』
『八宮って誰だよ。地下アイドル?』
『そもそも283プロを知らね。876プロで良かっただろ』
りあむ「………………」
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 13:40:42.05 ID:5kSS+tSVo
りあむ「オタクが……舐めてると潰すぞ……!」
アンチの書き込みや、自分がこきおろされるのはもう慣れた。
「は〜、めっちゃやむ!」なんて言いつつも
反射的に言い返して、炎上するのがいつものパターンだった。
しかし、今回は違った。美希やめぐるがバカにされ……
あの二人がどれだけ努力し、日々自分を磨き、ファンの為に頑張っているか。
オタクどもに、尊いアイドル達の何がわかるのか。
ネットの無神経な書き込みに、りあむは普段とは異なる憤りを覚えていた。
りあむ「……やってやる!」
りあむ「全力でレスバだ! ぼくが二人の魅力を存分に語ってやる!」
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 13:45:05.81 ID:5kSS+tSVo
りあむ(……いや。ちょっと待てよ)
りあむ(うん。そりゃぼく自身が批判されてたら、必死になって言い返すよ?)
りあむ(だから今回は、二人のために)
りあむ(『ミキミキが相対的に貧乳?でかくて揉みごたえあったし!』とか)
りあむ(『地下アイドルはめぐるちゃんほど輝いてないだろ!』とか、反論しようと)
りあむ(……って思ったけど、おいぼく。本当にそれでいいのか?)
りあむ(これ……炎上しないか?)
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 13:48:39.15 ID:5kSS+tSVo
りあむ(これは、ぼく一人の話じゃない。余計なことしない方がいいんじゃ……)
りあむ(……だからって、仲間をバカにされて黙ってる方がひどくない?)
りあむ(とか言っても、それで炎上して二人に飛び火したら、逆に迷惑じゃん)
りあむ「……どうすりゃいいんだよう……」
夢見りあむの胸中に浮かんだ想い。
仲間を守るため、批判コメやアンチと全力で戦うべきか?
仲間を守るため、あえてスルーするべきか?
二つ我に有り―――
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 13:50:59.22 ID:5kSS+tSVo
翌日――
りあむ「ミキミキぃ! めぐるちゃぁぁぁん!」ブワァ
めぐる「わっ! な、なに?」
美希「りあむ、ひどい顔だね」
りあむ「また罵倒された! ぼくが可愛くないのはわかってるんだよう!」ダラ-
美希「そーゆー意味じゃないの……」
めぐる「とりあえず、涙と鼻水は拭こっか。ね?」
りあむ「う゛んっ……それより…………ごめ゛ぇぇぇん!!」ダバァ
りあむ「ごめ゛んな゛ざい! じゅみまじぇぇん! ひぃぃ……」
めぐる「ちゃ、ちゃんと説明して? 怖いよ!」
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 13:53:53.36 ID:5kSS+tSVo
りあむ「うぅ……昨日エゴサしてたらさ? ぼくらへの批判コメを何個も見つけちゃって」
りあむ「ムカつくじゃん!? あいつらテキトーなことばっか書いてさ!」
りあむ「ぼくだけならまだしも、二人のことまで……!」
りあむ「でさ! ぼくは二人より年上で! 力になりたいだろ!」
りあむ「じゃあさ! ミキミキやめぐるちゃんの魅力を語りたくなるじゃん!?」
美希「あっ……」
めぐる「あっ……」
りあむ「なのに、なのに……! ひっく……ぼくっ……えぐぅ……!」ポロッ
りあむ「結局さ! スルーしちゃったんだよぅ……!」ポロポロ
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 13:56:44.49 ID:5kSS+tSVo
りあむ「二人はぼくを仲間だって言ってくれるのに!」
りあむ「うぐっ……ぼくは何も返してあげられない……ひぃ……!」
りあむ「二人がバカにされてるのに、ひぐっ、見て見ぬフリしてさぁ!」
りあむ「やむっていうか……もうクソすぎて、死にたい……!」
美希「……エライよ、りあむは」
りあむ「ひぅっ……?」
美希「そーゆー声とまっすぐに向き合える人って、凄いと思うな」
美希「ミキの友達にもいるの。曲がった事がキライな子で」
美希「ミキがほっとけばいいのにって思うことにも、がーって噛み付いちゃう」
美希「でもその子は……我那覇響は、そんなところが魅力的だって思うの」
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 13:59:05.19 ID:5kSS+tSVo
美希「ミキはそーゆーの気にしないけど……」
美希「りあむや響のまっすぐなとこ、きっと大事にした方がいいの」
めぐる「うん。それにああいうのって言い返して言い返されて、キリがないし」
めぐる「りあむさんはそんな気持ちを我慢できて、すごく偉いと思うな」
りあむ「あうぅ……」
めぐる「何よりも、わたし達を守ろうとしてくれたその気持ちが、凄く嬉しい!」
めぐる「だからわたし、りあむさんが……大好きだよ!」
りあむ「アッ」
りあむ(ぼく死んだ)
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:02:14.05 ID:5kSS+tSVo
ライブ前週――
トレーナー「よし、いい出来になってきたぞ」
りあむ「ぜぇ〜、はぁ〜……もーだめ! やみやみの!や!」
トレーナー「いや夢見、お前の動きも悪くなかった」
トレーナー「346Pに言われて、レッスンを抑え気味にしたのが逆に功を奏したな」
りあむ「え、ほんと……? さすがぼく? えらい?」
トレーナー「ああ。えらいぞ」
りあむ「そうそれ! もっとチヤホヤしてよ! りあむちゃんを!」
トレーナー「ちょっと褒めるとすぐこれだ」
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:04:01.66 ID:5kSS+tSVo
めぐる「りあむさん、おつかれさま! どう、楽しくなってきた?」
りあむ「始めたばっかでゲロ吐きそうだった頃よりはね」
美希「吐きそーっていうか、実際吐いてたの」
りあむ「もう、二人に掃除を手伝わせる時の情けなさ。そりゃぼくも引きこもるって」
めぐる「あはは……でもこんな日々も、あと少しで終わっちゃうんだね」
りあむ「そーなんだよ! もう二人に会えなくなっちゃうんだよ!」
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:05:51.69 ID:5kSS+tSVo
美希「ミキ的には、いつでも765プロに遊びに来ればいいって思うの」
めぐる「嬉しいけど、765プロは有名人が多すぎてちょっと行きづらいかも……」
りあむ「そーそー。美希はその張本人だから、実感ないだろうけどさ」
美希「じゃあミキが個人的に、二人の家に遊びに行くのは?」
めぐる「それなら大丈夫!」
りあむ「ムリムリムリムリムリ」
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:08:13.40 ID:5kSS+tSVo
美希「なんで? お部屋がキタナイの?」
めぐる「もしかして、足の踏み場が無いやつ?」
りあむ「そこまで酷くはないけど、見られたくないものもあるし……」
めぐる「じゃあライブが終わったら、りあむさん家で打ち上げだね!」
美希「その後カラオケもね!」
りあむ「話聞いてよ! たすけて美希めぐる!」
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:09:48.04 ID:5kSS+tSVo
めぐる「えへへ。日本語って難しいね」
りあむ「急にハーフ的なこと言うのやめよ? 『進歩的』とか知ってるのに」
美希「でもめぐるって、あんまり英語喋んなくない?」
めぐる「あー、そういえばそうかも。もう日本での生活も長いからかな?」
りあむ「『ぱーふぇくとぉ!』しか聞いたことないよね」
美希「うん。アピールした時によく言ってるの」
めぐる「わたしってそんなイメージなんだ!? もっと英語使お……」
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:11:54.86 ID:5kSS+tSVo
ライブ当日、某アリーナ――
りあむ「ここって……こないだ、ミキミキや響ちゃんがライブしたとこだよね」
346P「はい。場所が被ったのはまったくの偶然ですが」
りあむ「あのさ。そういえばあの時……なんで、ぼくの座席が分かったの?」
346P「……夢見さん、765プロのホームページでチケットを購入されましたよね」
りあむ「え? そうだけど……」
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:15:04.38 ID:5kSS+tSVo
346P「つまり……私が、あのライブであなたを捕まえることを提案して」
346P「765Pさんが、765プロ経由であなたのチケットの購入情報を得て」
346P「283Pさんが、その後ろの座席を八宮さん用に購入したのです」
りあむ「そんなとこで事務所を超える連携プレー!? 頭の使い方おかしいだろ!」
りあむ「……しかも、座席が分かったとしてもさ? ぼく二階だったじゃん?」
りあむ「ミキミキはガチで、暗くて遠い二階席まで見えてたってことになるけど……」
346P「そう、なりますね」
りあむ「ミキミキ、マジでマサイ族の生まれ変わりか?」
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:17:16.49 ID:5kSS+tSVo
りあむ「はは……でも、ちょっと気が楽になったかも。ありがと、Pサマ」
346P「やはり、緊張されていましたか」
りあむ「そりゃそうだよ……ねえPサマ。ぼく、変われたかな?」
りあむ「本当の意味で、アイドルになれた? あの二人に少しでも近づけたかな?」
346P「それを確かめるためのライブだと、私は思っています」
りあむ「んもー。こういう時くらいスッパリ『そうだ』って言ってよ!」
りあむ「気が利かないなあ、Pサマは。そーゆーとこだぞ?」
346P「も、申し訳ありません……」
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:19:05.97 ID:5kSS+tSVo
346P「ただ、夢見さんの……あの日からの努力と練習は、誰もが知るところです」
346P「だから、今のあなたは『尊い』と思います」
りあむ「ぼ、ぼくが尊い!? 目が腐ってるよ! すぐ病院行こ!」
346P「努力するアイドルは尊く、ファンはそれに惹かれる。あなたの持論です」
346P「その証拠に……余裕があれば、二階のB席中央を見てみてください」
りあむ「や、だからぼくみたいな凡人には見えないってば……」
スタッフ「プログレシブさん、スタンバイお願いしまーす!」
美希「りあむー! そろそろ行くのー!」
りあむ「……もう! なるようにしかならないぞ! 骨は拾ってよ、Pサマ!」
346P「はい。幸運を……祈ります」
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:21:25.73 ID:5kSS+tSVo
ステージ、開幕――
ワァァァァァァァァァァ!!
めぐる「いくよっ、みんな〜!!」
『Spread the Wings! 行こう!』
『今、はじまる奇跡!』
めぐる(りあむさん、美希。たった数ヶ月だけど、いろんな事があったね)
めぐる(でもこれからもワクワクすることが、いっぱい待ってる!)
めぐる(わたし達のアイドル人生は、まだ始まったばかりなんだ!)
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:23:01.37 ID:5kSS+tSVo
『ひとりではできないこと 仲間とならできること』
『乗り越えられるのは Unity is strength!』
美希(……ミキね。いつも765プロのみんなとばかりお仕事してるから)
美希(新しいコトでキラキラするキモチ、消えそうになってたの)
美希(ミキ、二人のこと……ゼッタイ忘れないよ!)
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:24:40.69 ID:5kSS+tSVo
『星いっぱい 輝く! 輝く星になれるよ』
『運命のドア開けよう 今! 未来だけ見上げて』
りあむ(このぼくが。輝くとか、未来とか、言っちゃってるよう)
りあむ(でも……こんなぼくでも。クズでも、ザコメンタルでも、才能なくても)
りあむ(アイドルって楽しいじゃん!? ぼく、これからも続けたい……!)
りあむ(…………えっ!?)
あかり「あ! ねぇねぇ、こっち見たんご〜!」
あきら「ここ二階席デスよ。見えるわけ……あれ? 見えてる?」
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:26:21.08 ID:5kSS+tSVo
『私思い込んでいた 微笑みは交わすけれど 泣く時には一人きりだって……』
『だけど今は知ってるよ 涙流す時も』
『キミと キミと 一緒 それが キズナ 私の背中 押している……魔法!』
りあむ「う゛っ……」ブワァ
りあむ「ぞう゛だ……ぼく、一人じゃな゛がっだ……!!」ボロボロ
めぐる(本番中に呟きだした!?)
美希(また涙と鼻水で、顔ぐちゃぐちゃなの……)
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:27:57.08 ID:5kSS+tSVo
ステージ裏――
346P「夢見さん」
りあむ「ごめ゛ん、感極まって……りあむちゃん、さすがに反省……」ズビッ
346P「いえ。良い、ステージでした。聞こえますか、あの声が」
アンコール! アンコール! アンコール!
りあむ「ほんとだ!? ぼくえらい? 推せる!?」
346P「…………」
りあむ「だからそこで黙るなよう! これだからPサマは!」
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:30:09.33 ID:5kSS+tSVo
美希「ミキ的には、アイドルがあんなキタナイ顔になるのはNGだって思うな」
りあむ「ミキミキが過去最高に辛辣!」
美希「千早さんが『約束』で泣いた時とは大違いだよね、ハニー」
765P「いや、あれと比べたら誰だって負けるよ……」
めぐる「あはは……ねえプロデューサー。真乃と灯織も見ててくれたかな?」
283P「きっとな。でも、まだ終わりじゃないぞ」
283P「アンコールまでやり遂げて、有終の美を飾るんだ!」
めぐる「うん! わたしのこと見ててね、プロデューサー!」
283P(よし、楽しく話せたな)
りあむ(この人たまにドヤ顔するけど、なんでだろ……)
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:31:29.74 ID:5kSS+tSVo
765P「お前達もいけるよな?」
美希「うん。大丈夫だよ、ハニー!」
りあむ「あ……ミキミキ! そういえば、ぼく分かったよ」
りあむ「座席さえ知ってれば、意外と見えるって。ファンの人とかさ」
美希「ち〜が〜う〜! ゼンゼンわかってないの!」
りあむ「えっ」
美希「誰でもは見えないよ? ファンの人たち、凄くいっぱいいるもん」
りあむ「でもぼく、さっき……」
95 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:33:13.26 ID:5kSS+tSVo
美希「ホントーにちゃんと見えるのは、好きな人や……大事な友達だけ! アハッ☆」
りあむ「えっ、あ、ぼ……ぼく、ミキミキの……友っ……!」ブワァ
美希「もー、泣かないの。ほら行こっ、りあむ!」
りあむ「……うん! 行く、行くよう……!」ズビビ
346P「いい……笑顔です」
765P「めちゃくちゃ汚いけどな……」
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:35:24.33 ID:5kSS+tSVo
そしてライブが大団円を迎え、二週間が過ぎた。
そんなある日の、夢見家―――
めぐる「お邪魔しまーす」
美希「なの!」
りあむ「うわ、ほんとにウチに来やがった!」
めぐる「じゃあ帰った方がいい?」
りあむ「うそうそ、どうせ来たならゆっくりしてって! 滅多に人来ないし!」
めぐる「えへへ、わかってるよ〜」
美希「りあむはタブン、かまってちゃんなの」
りあむ「タブンじゃなくてそうなの! 全力でかまって!よ!」
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:36:42.48 ID:5kSS+tSVo
ジュウウウウウウ... モグモグ...
美希「すっごくおいしいの!」
めぐる「うん。でもなんで餃子なの?」
りあむ「え゛っ、ダメ!? ぼく非リアだし、こういうのよくわかんなくて……」
めぐる「別にいいけど、はじめてのホムパで餃子って珍しくない?」
美希「タコパとかお鍋とか? ミキはおいしければどっちでもいいの」
りあむ「ごめんね、ぼく餃子しか作れないから」
めぐる「逆にすごいね……」
98 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:38:08.75 ID:5kSS+tSVo
めぐる「自炊とか……しないよね、絶対」
りあむ「ひどっ! でも正解だけど。普段は外食かコンビニ弁当だし」
りあむ「その外食も、牛丼やラーメンばっかりでさ」
美希「うわ〜。なんかりあむって、ハニーみたいな生活してるね」
めぐる「ちょっと分かる! わたしのプロデューサーも似てるかも」
りあむ「ぼく、まだ未成年女子なのに……ん゛ぐっ!?」
めぐる「? どったの?」
99 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:40:00.49 ID:5kSS+tSVo
りあむ「な……なんか変な味する! なにこれ甘っ!」
美希「あれ? おいしくなかった?」
めぐる「美希、具になに入れたの?」
美希「いちごババロア」
りあむ「おい! おいこら!」
めぐる「んむっ!? わ、わたしも甘いやつだ……!」
美希「アハッ☆ なにかな〜?」
めぐる「……分かった! チョコレート!」
美希「うん!」
りあむ「うんじゃないが!」
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:42:52.71 ID:5kSS+tSVo
−りあむの自室−
めぐる「うわぁ。アイドルのグッズ、ホントにいっぱいあるねー」
美希「ねぇねぇ、ミキのファーストシングルのCDがある!」
りあむ「ミキミキのはグッズも結構あるよ。駆け出しの頃からファンだもん」
美希「エヘッ、ありがとうなの!」
りあむ「めぐるちゃんのCDも一通り買ったんだ。推せるからね!」
めぐる「だから『ヒカリのdestination』知ってたんだ?」
りあむ(それは別の理由だよ! CDの方が後でごめんね!)
101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:45:21.89 ID:5kSS+tSVo
美希「…………?」
めぐる「どしたの美希? 首かしげて」
美希「本棚ね、なんかお医者さんの本が多いなーって」
りあむ「……あぁ……」
美希「お姉ちゃんの? じゃないよね。画家って言ってたもん」
りあむ「ぼくのだよ」
めぐる「え?」
美希「え?」
りあむ「はい出た、『え、こいつが!?』のリアクション! 分かってました!」
めぐる「ご、ごめんね。意外だなって……」
102 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:47:16.36 ID:5kSS+tSVo
りあむ「……ぼく、本当は看護師になりたかったんだ」
美希「カンゴシ?」
りあむ「ナースとかあるじゃん? 昔は看護婦って言ってたみたいだけど」
りあむ「いっぱしの専門学校にも入学してさ」
りあむ「ぼくらしくもなく、がんばっちゃった時期もあったんだよ」
りあむ「でも、やっぱムリってなって。今はもう行ってないんだよね」
美希「……ミキが言うのもヘンだけど、学校は行った方がいいと思うよ?」
りあむ「正論なんだけど、ぼくってほんとにザコメンタルだから」
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:51:06.93 ID:5kSS+tSVo
りあむ「で、そんな頃に地下ライブに入り浸るようになって。髪もピンクに染めてさ」
りあむ「そこでPサマにスカウトされて、アイドル業も忙しくなっちゃって」
りあむ「夢に見た白衣は『ナース服』じゃなく、『アイドル衣装』として着ることになった」
りあむ「……後は知ってるよね。なーんにもしてないのに総選挙3位って、笑うだろ?」
めぐる「りあむさんも、いろいろ大変だったんだね……」
美希「アイドルの追っかけだけだと思ってたの」
りあむ「ミキミキはもう少し気の利いた言葉とか! またやむから!」
美希「りあむだし、『ま、いっかー』って。アハッ☆」
めぐる「でもりあむさんの新しい一面が見れて、嬉しかったよ!」
りあむ「……めぐるちゃんにそう言われると、もう何も言えねぇ……」
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:52:54.43 ID:5kSS+tSVo
一ヶ月後 346プロ――
りあむ「はぁ……」グテー
あきら「#だれすぎ侍」
りあむ「なにもかも、やる気がしないんだよう」
あきら「合同企画が終わってからも、しばらくは仕事がんばってたのに」
あきら「すっかり元に戻っちゃったんデスね」
りあむ「いやほら。あきらちゃんやあかりちゃんとお仕事するのは楽しいよ?」
りあむ「でもあるじゃん。今まであった物が急になくなると、寂しい的なやつ」
あきら「#喪失感 #虚無感」
りあむ「ほんそれ。はぁ……二人とも、なにしてるのかなぁ」
105 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:56:14.47 ID:5kSS+tSVo
ガチャッ
めぐる「呼んだ? りあむさん!」
りあむ「ほわぁ!?」
美希「りあむ、元気だった? やんでない?」
りあむ「ちょちょ、どしたの! なんで二人がいんの、ふひっ」
めぐる「りあむさん、嬉しそう」
あきら「――――」カチーン
美希「……こっちは、りあむのお友達?」
りあむ「同期のあきらちゃん。いきなり生ミキミキはきついよね……わかりみ」
美希「きついってひどいの!」
346P「あっ……みなさん、ここにお揃いでしたか」
りあむ「Pサマ。なにこれどーなってんの? ドッキリ?」
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 14:58:59.89 ID:5kSS+tSVo
りあむ「――えっ! 第二弾!?」
346P「はい、先日の企画が非常に好評で。先ほど専務の決裁もおりました」
346P「また765プロと283プロからも、同様の打診が来ています」
りあむ「でもPサマ、同じユニットじゃ代わり映えしなくない?」
美希「だから違うコでやるんだって。ミキは、りあむやめぐるとなら全然いいのに」
りあむ「ミキミキがぼくを必要としてくれる……もう死むる……」
美希「りあむのそーゆーとこ見ると、なんだか安心するの。アハッ☆」
めぐる「それでわたし達、今日は第二弾に選ばれた子を連れてきたんだ!」
107 :
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[saga]:2020/06/14(日) 15:02:22.24 ID:5kSS+tSVo
美希「ねー、入ってきていいよー」
ガチャ
千早「あの……765プロの、如月千早です」
千早「至らない点も色々ありますが、よろしくお願いします」
りあむ「う゛わ゛あ゛あぁおぇぁ! また超有名な人が来ちゃった!」
千早「私のこと、ご存知ですか?」
りあむ「もちろんだよう! 765プロの歌姫で、ボーカルガチ勢!」
りあむ「『目が逢う瞬間』『蒼い鳥』『約束』全部持ってるよ!」
千早「あ、ありがとうございます」
108 :
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[saga]:2020/06/14(日) 15:05:13.84 ID:5kSS+tSVo
りあむ「あとね、『おはよう!!朝ご飯』もぼく的には味があって――」
美希「……りあむ、ミキと初めて会った時と全然反応が違うの。つーん」
めぐる「拗ねない拗ねない。有名人オーラに慣れちゃったんだよ、きっと」
あきら「#死」
346P「砂塚さん!?」
めぐる「お友達は耐えられなかったみたいだけどね……」
109 :
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[saga]:2020/06/14(日) 15:08:44.86 ID:5kSS+tSVo
めぐる「で、うちの事務所からはこの子が選ばれたよ!」
あさひ「283プロの芹沢あさひっす。これからよろしくっす!」
りあむ「あ゛あ゛あ゛、こっちも顔がいい! 283プロって顔がいい子しかいないね!」
めぐる「あさひはすごいんだよ。ダンスも一度見ただけで覚えちゃうし……」
めぐる「路上でダンスしてたところをスカウトされたくらいなんだ」
あさひ「別に普通っすよ? 見様見真似でやってるだけっすから」
りあむ「あれっ。ミキミキと同じニオイを感じる……」
110 :
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[saga]:2020/06/14(日) 15:10:23.61 ID:5kSS+tSVo
りあむ「それでPサマ。うちの事務所は誰が選ばれたの?」
346P「夢見さんです」
りあむ「…………は?」
346P「ですから、夢見さんです」
りあむ「………………」
りあむ「ぼく?」
346P「はい」
111 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 15:12:41.82 ID:5kSS+tSVo
りあむ「なんでさ! ぼくだけ二回目じゃん!?」
346P「星井さんや八宮さんの強い希望がありまして」
りあむ「こらミキミキ! 説明しろ!よ!」
美希「んっとね。ほらミキ、勝手な決めつけでりあむを困らせちゃったよね」
美希「でもそれでミキの悪いところも分かって、すごく成長できたなって思うの」
美希「りあむのお陰で、ファンの目線っていうのもベンキョーできたし」
美希「それって765プロにはいないタイプの、変わった友達ができたからだよね?」
美希「だからミキの尊敬する千早さんにも、りあむのコト知ってほしいなーって」
りあむ「ねぇこれ褒めてんの? ディスってる? ぼく泣いちゃうぞ?」
112 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 15:14:16.29 ID:5kSS+tSVo
りあむ「めぐるちゃんもおんなじ理由なの……?」
めぐる「うん! りあむさんって変わってるけど」
めぐる「明け透けで正直で、素直な人だって思ってる」
めぐる「だって『甘えたい、楽したい』って本音を言うアイドル、普通いないよ?」
めぐる「あさひちゃんって飽きっぽいけど、りあむさんには飽きないだろうなって」
りあむ「だからそれ褒めてる? ちょっとイジってるよね?」
めぐる「そういうりあむさんのリアクションも含めて、すごく新鮮なんだよ!」
りあむ「むぐぅぅ……」
あきら「#ドツボにはまる」
113 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 15:17:48.56 ID:5kSS+tSVo
りあむ「Pサマ! どうしてぼくを天才と組ませたがるんだよう!」
346P「それは、本当に偶然です……」フッ
りあむ「あ゛あ゛ぁぁぁ! Pサマがぼくを笑った! 滅多に笑わないクセに!」
美希「千早さん、りあむは見てるだけでも楽しいの!」
千早「ええ……愉快な人みたいで安心したわ」
めぐる「あさひちゃんは、きっとりあむさんから努力の大切さを学べるよ」
あさひ「この人からっすか。全然想像できないっすけど……」
りあむ「だろうね、自分でもそう思わないもん! 過大評価なんだって!」
りあむ「……はー! もう!」
りあむ「めっちゃ! やむ!!」
おわり
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2020/06/14(日) 15:21:40.63 ID:5kSS+tSVo
最後まで読んでくださった方々、お付き合いありがとうございました。
スターリットシーズンの発売で越境SSが増えるといいですね。
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/06/14(日) 18:00:38.08 ID:/ylXnrBBO
めっちゃ!いい!!
乙
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/06/15(月) 16:09:38.68 ID:MTOxNO5To
>>112
> めぐる「だって『甘えたい、楽したい』って本音を言うアイドル、普通いないよ?」
FTBANZ「呼んだ?」
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