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男「綾鷹を選ぶ者」
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1 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:15:18.44 ID:uMTTeTyH0
このSSは
女「選ばれた能力は、綾鷹でした」
の続編であり完結編となりますが、
前作を見なくても楽しめます
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1591071318
2 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:18:25.52 ID:uMTTeTyH0
屋敷
男「僕の能力は爆雷ですっ!」
男「爆破と雷撃…2種類の能力が混ざった混合能力で、破壊に関しては家族…いや、歴代の中でも一番の自信があります!!」ピシッ
ザワザワ…
男(よし…っ!決まったか…!?)チラッ
姉「…………」
男(……無関心かよ………)シュンッ
父「ほう、頼もしいな。期待しておるぞ」
男「はいっ!!」
父「……して、後はお前だけだが…」
姉「先程も申し上げた通り、私の超能力はその辺の超能力とは格が違いますわ」
姉「格…ではなく領域、という表現が正しいかもしれませんね…?」ニヤァ
男「…………」ゴクリ
男(くっそ…!何だよそれ…!)
妹「…っ」ゾワッ
姉「あっ、綾鷹どうぞ」サッ
父「えっ?今?…まぁいいか……」
父「……それで。口に出す事すら出来んのか?その力は……」
女「えぇ。なんせこの能力は…」
女「おっと。危ない危ない…思わず選ばれた力を発動させてしまうところでした」
男「…っ!?」
男(俺以上にヤバい能力だってのか…!?畜生!そんなのありかよ…!)
父「……なに?選ばれた力だと?」
姉「えぇ」
妹「…ふん!どうせ、弱すぎて言えないような能力なんじゃないの!?」
男(弱すぎて、言えない…か……)
男(能力も勝てず…剣技も勝てず…)
3 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:18:55.30 ID:uMTTeTyH0
妹「な、なによ!やろうっての!?」
男「止せ妹!お前じゃあいつは早すぎる!」ガッ
妹「止めないでよ兄さんッ!剣技で勝てなくても能力さえあれば…!」
男「その能力がわからないからヤバいんだろ!」
妹「くっ…!」
ダンッ!!
男「っ!」
妹「!!」
父「…………どうした?」
姉「……」
姉「これ以上は不毛だと思いまして。失礼させていただきますわ」
父「…ふむぅ……そうか…」
妹「なっ、なによ!逃げるっての!?」
姉「…逃げる?」ピクッ
男「っ…!やべぇ…!」
妹「そうよ!…私が怖いんでしょ!だから、」
姉「逃してやってるんですよ。そんな事もわからないんですか?」ムスッ
妹「ひっ……!」ビクッ
姉「…いつでも挑戦は受けますよ」スタスタ
男「………っ!」
妹「あ…あっ……」ブルブル
妹「………っ」ヘタァ
男「!大丈夫か!?」
妹「う、うるさいわねっ!触らないでよ!!」ウルウル
妹「ぐすっ…私も部屋に戻るから!!」ダッ
男「おい…!」
妹「……!」スタスタ
父「……」
男「………………」
男(……姉さん………)
4 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:19:41.13 ID:uMTTeTyH0
道場
男「フッ…!フッ…!!」ブンッブンッ
男(強く…!強くなるんだ……!!)
…バタンッ!
男「っ!」
男「……なんだ…?外か…?」スタスタ
妹「ぐうっ……!」ボロッ
男「!?ど、どうした!何があったんだよ!」
姉「…………これだから、警告したのに」スッ
男「姉さん!?……まさかっ!」
妹「……ううぅ…!兄さん!」グスッ
男「ばっかお前…。なんで姉さんに勝負挑んだんだよ!負けるに決まってんだろ!」
妹「だっで!超能力さえあれば!!」
姉「………"能力さえあれば"ですか…」
姉「そんな甘い考えで私に挑むとは。同じ勇者の血を継ぐ者として恥ずかしい限りですね」
妹「くうぅ…!」ウルウル
男「………」
姉「立ちなさい。貴女には、その考えをしないように矯正する必要があります…」グイッ
妹「え…!やだ、やだよぉ…!」ズリズリ
姉「黙りなさい」
男「……っ姉さん!」
5 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:20:12.47 ID:uMTTeTyH0
姉「………何ですか?」
男「…許してやってくれないかな。そいつなら、俺が叱っとくからさ…」
妹「………兄さん…!」
姉「………むぅ……」ヒューン
姉「んべっ!?」ガコンッ
コロコロ…
男「…えっ?綾鷹……?何処から落ちてきたんだ……」
姉「……私のです」
男「あ、うん…」
姉「えぇ。…それはともかくとして」
姉「努力に励む弟くんに免じて、今は許してやりましょう」
妹「……」ブルブル
男「ほっ…」
姉「しかし今後こういう事があったら…」
妹「も、もうやりません!やりませんから!!」
姉「……ふん」スタスタ
男「あっ、姉さん!綾鷹忘れてるよ!」
姉「…それはあげます。二人で分けて飲んでください」
男「えぇ……」
6 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:20:48.08 ID:uMTTeTyH0
妹「いたっ!ちょっと!もっと丁寧に治療しなさいよ!」
男「ああもう動くなって!…大体お前が無謀な事するから悪いんだろ!」
妹「だって仕方ないじゃない!足を凍らせたらそれで蹴り飛ばしてくるし、身体を凍らせても溶かしてくるのよ!!」
妹「挙げ句の果てに氷結光線そのものを斬り飛ばすし…!どうなってんのよあいつ!」
妹「もぅ…!綾鷹やけ飲みよ!」ガッ
男「仕方ねぇだろ…国剣連高等部1位なんだから…」
妹「んくっ…んくっ…ぷはぁ!」
妹「あんたはそれでいいの!?このままじゃあいつが跡継ぎになっちゃうわ!」
男「………強い奴が勇者するのは当然だ。父さんもそれで納得してる」
妹「もーっ!どうしてそんなになよなよなのよあんたは!!」パンッ
男「いってぇ!?おい!治療してやってんのに何すんだ!」
妹「ふん!馬鹿兄さんなんて知らないんだから!!」
妹「綾鷹!置いとくからねっ!」
男「はいはい…」
7 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:21:18.64 ID:uMTTeTyH0
男の部屋 夜
カチ カチ
男「…………」カリカリカリ
男「…………」カリカリ…
男「…あれ、これなんだっけ……」
男「…くっそ……」
男「こんなんじゃ姉さんには遠く及ばない…!もっと頑張んなきゃ……!」
男「そしていつか妹に…!」
姉「…お夜食です」スッ
男「おわっ!?姉さん!?…今の聞いてないよね!!?」
姉「ん?悪口でも言っていたのですか?」
男「いや、意味の無い独り言っていうか……」
姉「……聞いていませんね」
男「そっか!…ほっ……」
姉「…そこ、調整理論のところですね。途中式が違います。教科書には載っていない公式を使うのですが、理解していますか?」
男「えっ!?あそこかよ…!くそう…」ケシケシ
姉「…ふふ。勉学に励んで、偉いですね」ナデナデ
男「うわっ撫でないでよ!何歳だと思ってんだ!」
姉「…?まだ中学生ではないですか」ナデナデ
男「やめてくれよっ…///」ジタバタ
8 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:21:45.23 ID:uMTTeTyH0
姉「…中学生といえば、どうして弟くんはこれだけ真面目なのに、あの娘はああも残念なのでしょうか……」
姉「………っ」ギュッ
男「いっ!?痛いよ姉さん!頭!頭砕ける!!」ミシミシ
姉「!おっと、すみません…つい力んでしまいました…」パッ
男「…いてて…。…あいつに関してはさ、姉さんの見えないところで頑張ってるんだよ」
姉「……」
男「俺が撫でられんの恥ずかしがるように、頑張ってる姿見られるのが恥ずかしいっていうか……」
姉「理解に苦しみますね」
男「なんでだよ!」
姉「弟くんがあの娘の肩を持つのもわかります。双子の妹ですし」
姉「ですがあのままではこの家の恥になりかねない」
男「…そんなことは!」
姉「…すみませんね。この家に、母が居れば…」
男「………っ」
姉「…ですが、弟くんの心配は要りません。大丈夫。私が全て解決してみせます」
男「……くっ…」
9 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:22:11.59 ID:uMTTeTyH0
姉「…もう遅い時間です。勉学に励むのも良いですが、明日に影響が出ないようにしてくださいね」
姉「おやすみなさい」
バタン
男「……くそ。俺は小学生の頃から何も変わってないじゃないか…!」
男(いつも姉さんは全て背負って、いつも姉さんに負けて!)
男(勇者とか関係無しに、悔しいし情けない!いつか絶対に勝てると思っていたのに……!)
男「やっぱり俺じゃ姉さんには勝てないのか…!?」
男「………なんて、諦めたら勝てるものも絶対勝てないよな…っ!」
男「よぉし、あと3時間はやるぞ!目標は80ページだ!」
男「とそのまえに。夜食食うか。…ラップかけてくれてんのありがたいなぁ」ガサッ
男「…ん、お茶漬けか…」
男「うっま……」モグモグ
男「けど綾鷹…」モグモグ
10 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:22:37.41 ID:uMTTeTyH0
…?…
男「あれ?ここどこだ?山道?」
?「お母さま早く早くー!」タッタッタ
?「待ってくださいな。元気なのはいいけれど、転んでしまいますよっ」
男「あれって…小さい頃の姉さん?」
姉「もうっ!遅いよお母さま!」
?「ふふ。貴女は足が早いですね…」ナデナデ
男「…あっちの女の人は誰なんだろう……」
ヒューン
男「んべっ!?」ガツンッ
男「なっ、なんだよいきなり!…石ころか…」
ガラガラガラッ!
男「って!!土砂崩れかよ!」ダッ
姉「お母さん!!」
男「あっ……!あの人押し潰されて……!」
ガラガラガラガラガラガラッッ!!
男「っ!ヤバい…っ!飲み込まれる」
11 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:23:26.35 ID:uMTTeTyH0
チュンチュン
男「…んがっ!?」
妹「ほらっ!起きなさい…よっ!」ベシン
男「いてて…、…あれ?」
妹「いつまで寝てるの!?遅刻するわよ!!」
男「…机で寝てたのか俺…。…あれ、姉さんは?」
妹「朝ご飯食べてもう行っちゃったわ!今日は和食よ。けど、食べる時間なんて無いんだからね!」
男「そっか…。…じゃあ着替えるわ……」
妹「早くしてよねっ!」バタンッ
男「はぁ…なんだったんだろあの夢…」
男「……つーか、学園くらいいい加減に一人で行けばいいのに…」ゴソゴソ
ハヤクシナサイヨッ!
男「ごめんごめん!今すぐ着替えるから!」
12 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:23:56.13 ID:uMTTeTyH0
学園 中等部
キーンコーンカーンコーン
男「はぁ…はぁ…あっぶね…」
妹「体力無さすぎ!情けないわ!」
男「お前が全部荷物持たせっからだろうが!…ったく…!」
妹「こーんな美少女の荷物持ちになれるんだから、むしろ感謝して欲しいくらいなんだけどね〜」
男「はぁ…?誰の事言ってんだ…」
妹「あんたねぇ!!」
妹「…まぁいい。それより、お昼暇?」
男「暇だけど」
妹「じゃあちょっと特殊体育館に来なさい。能力の特訓するわよっ!」
男「はぁ?お前、一般生徒が特体借りられる訳無いだろうが」
妹「私はテストで4科目一位だったからいけるわよ!馬鹿兄さんと一緒にしないで!」
男「うおっ…!えげつねぇ…」
妹「じゃ!そういう事だから!」スタスタ
男「はぁ……すっげぇなぁ……」
13 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:24:23.30 ID:uMTTeTyH0
ガララッ
男「……」スタスタ
ヒソヒソ ザワザワ
男「……はぁ…」
男(勇者の家系。それは、必ずしもいい事ばかりではない)
男(特に俺のような落ちこぼれは、生徒教師問わず嫌われやすい)
男(…ま、取り柄も無いし、仕方がないよな……)
?「おはようっ!男君!」
男(だが、そんな俺に唯一分け隔てなく接してくれる人も少からず存在する)
男「おはよう!委員長さん。今日はやけに元気だね」
委員長「男君と朝から会えたから、かな!」
男「本当のところは?」
委員長「月曜日だから!一週間の始まりって、なんだか元気になるんだよね〜」
委員長「今週は何があるのかな〜、みたいに!」
男「はぁ、………凄いな…」
委員長「え?何が?」
14 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:24:54.20 ID:uMTTeTyH0
男「いや、月曜日ってみんな嫌うイメージあったから」
委員長「そうなの?」
男「そうだよ。みんなからしてみれば、仕事が始まる訳だからね」
委員長「…そうか、そういう視点もあるのか……」
委員長「やっぱり男君は頭いいね!私、感動しちゃった!」
男「お、大袈裟だね…」
委員長「大袈裟じゃないよっ!」
委員長「あとさっき男君と会ったのが嬉しくないみたいになっちゃったけど、嬉しいんだからねっ!」
男「ありがと、お世辞でも嬉しい」
委員長「お世辞じゃないよ!……どうしたら信じてもらえるのか……」
委員長「あっ、そうだ。じゃあさ、これあげる」トンッ
男「……伊右衛門?」
委員長「うんっ。私最近緑茶にハマってるんだよね〜」
男(…また緑茶かよ……)
委員長「なんでもカテキンっていう成分が良いらしくて。男君にもお裾分け!」
男「悪いな。お金出すよ」
委員長「あぁ、それはいいの。自販機で当たった奴だから!」
15 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:25:23.58 ID:uMTTeTyH0
男(…前も当たったとか言ってたな。当たりやすい自販機で買ったりしているんだろうか)
男「まぁいいや…。…これ、ありがとう!大事に飲むよ!」
委員長「なにそれ!…男君にとって、ここ教室は乾燥地帯だった…?」
男「あはははは」
男(……実際は砂漠なんだけど…)
委員長「…そうだ、男君!お昼空いてる?」
男「あー…今日は用事があるんだ。それまでなら!」
委員長「そう!?実はまたお弁当のおかず作ってきたんだよね〜」
男「……今度はエビチリにコーヒー入れてないよね?」
委員長「大丈夫っ!今回は自信作だから!」
男「それ毎回聞いてるけど、聞いた時は不安要素ゼロな笑顔だから凄いよね」
委員長「にっひひ〜!今回はマジのマジです!ほっぺた、落ちないように抑えとけよ〜?」
男「期待してるよ」
男(………ほっぺたどころか、口が気体だらけにならなきゃいいけど)
男(水素スペシャルとか言ってなんかの肝臓片と過酸化水素飲まされた時は、流石に死を覚えたよ)
委員長「舌洗って待っとけ!〜♪」
男(でも、委員長は間違いなく俺にとってはクラスの中のオアシスだ)
「………………チッ……」
男(………ああいうのも、耐えられる)
委員長「………………」
委員長「……………にひひっ」ニヤァ
16 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:25:51.84 ID:uMTTeTyH0
…………
妹「ちょっと!!遅いわよ!何してたの!!」
男「プシュー…プシュー……」フラフラ
男(俺のオアシスは硫酸だった…?まさかメントスが中に入ったコロッケなんて……!)
男(あの伊右衛門も伊右衛門のラベル貼ったコーラとか、ふざけんなっ…!)
妹「ちょっ!?何をどうしたらそうなるのよ!!」
男「…あはは…プシュー……ちょっと食べすぎちゃって……げほっ…」ドサッ
妹「食べすぎって怖いわね…ってなる訳無いでしょ!!」
妹「とりあえず…その持ってるお茶でも飲みなさいよ」
男「は?やめろ!マジで………キキキ……!!」
妹「かなりヤバいじゃない!…しょうがないわね、飲ませてあげるから…ほら!膝の上に頭乗せるわよ!」
男「…っぐおお…!脳が揺れるぅ……しぬぅ…!」
妹「ああもう、ふざけてないで……」
バタンッ
妹「今度は何!?」
「ああよかった!二人ともここに居たのか!」
妹「せっ、先生!どうかしたんですか?」
「お前らの姉が緊急搬送されたんだ!近所の公園で!」
男(………!?)
男「姉さんがっ!?」ガバッ
妹「あんた平気なのぉっ!?」
男「こんなの日常茶飯事だ!それより、姉さんが!」
「今タクシーが来る!授業はもういいから行け!」
男「…っ!ありがとうございます!いくぞ!」
妹「え、えぇ!」
17 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:26:29.60 ID:uMTTeTyH0
………
男「……嘘だろ…………」
妹「…あの人を、あんなにボロボロに出来る奴が居るなんて驚きだわっ…それに気絶まで……」
男「え?あれ転んだんじゃないのか?」
妹「はぁっ!?どうみても超能力者の襲撃じゃない!」
男「いやいや、何言ってんだよ。あの姉さんだぞ?超能力者相手でも勝てる…てか、基本的に怪我しないだろ…」
男「中等部の時点で軍隊の人と相討ちした帰りにラーメン3杯平らげる姉さんだぞ?」
男「どうせまた、自分の限界に挑んでみたかったとか言って、暴れちゃったんだろ」
男「能力も手に入れたばっからしいし。現場がボロボロらしいのも多分そのせいさ」
妹「…それもそうね……。たしかにあの人、あれで抜けてる部分あるし…」
妹「そう考えたら、周囲の人達への被害が気になってきたわ…」
男「…ッ!?お前それ…!……ワンチャンこの世から消え失せたんじゃないか…?」
妹「まさかそんな〜……ッ!?」
男「どっ、どうしよう…!もう跡継ぎとか言ってる場合じゃねぇぞ!」
妹「あばばばばば…」ドンッ
18 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:27:02.58 ID:uMTTeTyH0
妹「ふぎっ!!」バタンッ
男「だ、大丈夫か!?くそ、恐怖で気絶……って!すみません!妹がぶつかっちゃって…」
?「…大丈夫!あたしも前を見てなかったから!それより急いでるから…!」
?「ぶつかったのお前じゃねぇだろ」
?「いやほらでも…」
?「あーっはっはっは!!僕様のおかげで事情聴取が手早く済んだんだから感謝なさい!」
?「るっせぇな!誰のせいで遅延したと思ってんだ!今度は知らねぇ奴にぶつかりやがって!!」
男「…………」
男(…高等部の制服か。どうやら、姉さんはたしかにドジを踏んだ訳じゃ、無さそうだな)
妹「いたたた…!ちょっと!何すんのよ!おでこ腫れちゃったじゃない!!」
男「あっこら!お前が前見て無かったのがいけないんだろ!」
妹「うるさいわね!私は明らかに蹴られたの!!」
?「あ、あの…ごめんね??」
?「…何あんた?厨房なのに生意気な口利くじゃない。いいわ、僕様とデスマッチする権利を…」グサッ
?「あえっ」バタッ
?「はぁ…もう黙れ」
男「!?」
男(なんだ今の攻撃…早すぎるだろ…!こんなの見たら……!)
19 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:27:35.68 ID:uMTTeTyH0
妹「あばばばばば…」ガタガタ
男「遅かった…!姉さんのお仕置き思い出しちまったか…!」
?「え?え?大丈夫!?」
?「やっべぇな…!おい、お前は先に行け!ぶつかったのはこいつだが、私がなんとかしといてやるから…!」
男「あっ、こいついつもこんな風なんで気にしないでください」
?「……そ、そうか……恩にきる!いくぞ!」ダッ
?「うん!…ごめんね!ありがとう!」ダッ
?「はえぇ…」ズルズルズルズル
男「…………」
男「なんだか騒がしい人達だったな、姉さんとは正反対だ」
男(あの厳しい姉さんとは、絶対に仲良くなれなさそうなタイプだな)
男「なっ、そう思うだろ?」
妹「あばばばばば…」ピクッピクッ
男「………人の事言えないような気もするけど、お前それでよく戦えるよな…弱すぎるだろ……」
20 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:28:07.05 ID:uMTTeTyH0
帰り道
妹「キーっ!なんなのよあいつ!あの変な帽子引きちぎりたいーっ!!」
男「なんか、魔法使いっぽい帽子だったな」
妹「あれは魔法使いじゃなくて駄法使いよっ!あのムカつく高笑い…くーっ!!」
男「そこは覚えてるのか……」
妹「何よ!!」
男「何でもないよ。…さて、今日の夕飯どうすっかな…」
妹「あー…当番姉さんだっけ。でもあれじゃあ駄目そうね」
男「父さんも出張だし……。…たまには二人で外出しちまうか…!」
妹「…!兄さんナイス!私、ファーストフードが食べたい!!」
妹「もう何年食べてないかわからないわ!」
男「それもそうだな。でも健康に…」
妹「それなら姉さんにトクホの綾鷹貰ったから大丈夫よ」
男「姉さんは予知能力を手に入れたのかな」
21 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:28:33.30 ID:uMTTeTyH0
男「…時々さぁ、こういう店にテロリストが来る妄想をしたりするんだよ」
妹「なにそれ。ばっかみたい」
男「でも見知らぬ人を颯爽と助けられたら、格好いいだろ?」
妹「………………」
男「はい今考えたでしょ」
妹「…!なっ!ズルいわ!嵌めたわね!!」ポコポコ
男「痛い痛い。叩くなって。…ほら、入るぞ」
妹「兄さんが悪いんじゃない!この馬鹿兄さん!!」ポコポコ
ウイーン
強盗「おら金だせやァ!!」
「きゃーっ!!」
男「…!!」
強盗「あぁっ!?今入ってくんじゃねぇ!!」チャキッ
男「…妹!」
妹「えぇ…!いけるわよ!」
22 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:29:03.95 ID:uMTTeTyH0
強盗「なんだ…!やんのか!撃つぞ…」カチコチカチ…
強盗「ぎえっ!?銃が凍りついたぁっ!?」
妹「……私の能力は氷華【シャーベット】!物を凍らせることに関しては、右に出るものは居ない力よ!」
強盗「…っだったらそのまま殴ってやるよォ!!」ブンッ
妹「ひっ……!」
男「遅い!!」ガキンッ
男(ってこれ咄嗟に取ったけどトレイか!?折れる…!)
男「っわぁ!」バキッ
妹「ちょっ!?兄さん!?弱すぎるでしょ!!」ブウンッ
妹「っきゃあ!!」ガッ
男「妹!!」
強盗「さっきはよくも舐めた真似してくれたな…!ぶっ殺してやる…!」
妹「ふえぇ…」プルプル
男「くっそ…!」
23 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:29:35.32 ID:uMTTeTyH0
男(…俺の力なら、強盗を倒す事が出来るだろう。だけど、あれは範囲の中心に炸裂させるタイプの能力だ…!)
男(この狭い店内で使ったら、逆に被害が増えてしまうのは間違い無い!)
妹「ぐうぅ…!」ギリギリ
強盗「首へし折ったる…!」ググッ
男(…!急がないと!)
男(能力は無しとして……姉さんならともかく、この状況じゃ俺の動き程度ではどうにもならない…)
男(万事休すか…!)
男「休す……急須…?」
強盗「ああっ!?」
男「そうか…!見えたぞ突破口!!」パチッ
男(爆ぜろ…トクホの綾鷹!)
強盗「何しやがっ…おわっ!!」
パンッ!!
妹「ぎゃっ!…けほ……」ビシャッ
男「今だ!」ガバッ
「わしも手伝ったる!」ガバッ
男「…!ありがとうございます!!」
強盗「ぐお…!」
24 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:30:09.07 ID:uMTTeTyH0
強盗「ん"ー!!」
男「…っしゃ!縛り終わった!」
妹「にひひ…びしょ濡れになっちゃったけど…ありがと兄さん…」
妹「でもお茶を狙って爆発させるなんて、器用な真似できるわね…」
男「あはは、まぁね」
男(めっちゃ妄想してたし…!テロリスト撃退…!)
男(…にしても、まさか現実になるとは……!)
男(警察に呼ばれて、ニュースに出ちゃったりなんかしてね!ふふふ…)
妹「………!!危ない兄さん!!」ガバッ
男「─────は……?」
パンッ……!
25 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:30:35.57 ID:uMTTeTyH0
病院
男「…………っ!」
男「くそ…!俺は何やってる…!!」
男(少し考えればわかることだったんだ!みんな縛られてる店内で動ける奴が居るのはおかしいって!)
男(ていうか、常識的に考えて強盗見て戦おうってのがおかしいだろ!)
男(……いや、それ以前か…!家族が入院したその日に外出に行くのが馬鹿だったんだ…!)
男「想像力とか無いのかよ…!」
男「糞馬鹿…!こんの馬鹿野郎……!!」
男(何が勇者だ…これじゃ俺は愚者じゃないか…!)
「あの…」
男「っはい!!」
男「い、妹は大丈夫なんですか!!生きてますよね!?」
「…入ってください………」
男「…っ………!」
男「……はい…!」
26 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:31:05.86 ID:uMTTeTyH0
ガララッ
ピーッ ピーッ
男「…っ!」
妹「…」
男「妹…妹!!」
妹「…」
「…………」
男「せ、先生!妹は…妹は大丈夫なんですか!!」
医師「…目覚めるかどうかは五分五分、といったところですね……」
男「…そんな……」
医師「普通ならば、の話ですがね」
男「は…?」
医師「当たりどころと、それから撃たれる直前に能力を使っていたせいで衰弱が激しいのです」
医師「そこに、君の暴走が刺さり…」
医師「可能な限り、手は尽くしますが。厳しいかもしれません…」
男「………は……?」ドサッ
男(……なんだよこれ……………)
27 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:31:37.19 ID:uMTTeTyH0
男「…………………………………」
姉「はぁ…はぁ…!…まさか、一日に二回もここに来る事になるとは思いませんでしたよ…!」
姉「これなら、さっさと出るべきじゃなかった…!」
男「………………………姉さん…俺…」
姉「……よしよし。よく頑張りましたね…」ギュッ
男「…やめてくれよ…!」バッ
姉「…あ………」
男「…俺のせいで…俺のせいで妹が…!」
姉「貴方のせいでは無いですよ。だから自分を責めないで…」
男「違うッ!!」
姉「…っ………」
男「俺は…俺は……っ……」
姉「…しかし……!」ヒューン
姉「んべっ!?」ガコンッ
コロコロ…
男「…………………姉さん」
姉「は、はい…」
男「こんな時に…そんなお茶なんて!見たくなかったよ!!」
姉「…………いいえ」
28 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:32:08.91 ID:uMTTeTyH0
姉「綾鷹です」
男「え……?」
姉「いいですか、綾鷹とは選ばれるものです」
姉「そしてあの娘もまた幸か不幸か、勇者の、選ばれし家系です」
男「………」
姉「その選ばれし者がそう簡単にくたばるようなことは、ある筈が無い」
男「…!」
姉「弟君。あの娘は今頑張っています。貴方が後悔で無駄な時間を浪費している今この瞬間も」
男「っ!!」
姉「これは友人の受け売りですが…」
姉「いつだって妹を助けるのは姉か兄の役割です」
姉「─私達は助かる希望を、信じて前へ進む道を選択しましょう」
男「…………………」
男「………っく……!」ポロポロ
姉「…」ナデナデ
29 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:32:38.89 ID:uMTTeTyH0
委員長「私、男君の家族に似た顔してると思うんだけどな〜」
委員長「……やっぱり、シスコンなのかな……」
30 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:33:08.31 ID:uMTTeTyH0
男「………」
男「……」トボトボ
タッタッタ…
男「……」ドンッ
?「ふぎゅ!?」
男「…!妹っ!?」
?「誰よそいつ!?人違いなんですけど!?」
男「あ………」
男(…俺…何やってんだ………)
?「というか!!ちゃんと前見て歩きなさいよ!!僕様今すっごく忙しいの!!」
男「…すいません……」
?「もうっ!やる気の無い謝り方!近頃の中学生はみんなあんななのかしらっ!!」プンスコ
タッタッタ…
男「…………」
男「……」トボトボ
31 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:34:01.46 ID:uMTTeTyH0
キーンコーンカーンコーン
ガララッ
男「…………」
委員長「おは…ッ!?どうしたの!?……もしかして、私のお弁当が不味かったとか!?」
男「………ああ、おはよ…」
委員長「…………何かあったの?悩み相談するよ…?」
男「いや、なんでもない…。なんでもないんだ……」
委員長「……っ!」バンッ
男「いっ…!?」
ザワザワ…
男「…伊右衛門…っ!?」
委員長「……にひ、や〜っと顔あげたね」
男「っ……」ウツムキ
委員長「こら!下向くな〜!」ガシッ
男「………っ!」
委員長「ありゃりゃ、目の周りが真っ赤じゃない…!」
男「………だから、見られたくなかったんだ…///」
委員長(……それに隈が酷い。こりゃ、何かあったな…!?)
32 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:34:37.03 ID:uMTTeTyH0
委員長「…ちょっと来て!」ガシッ
男「えっ!?おっ、おい…!」
ザワザワ…
「おい委員長!どこいくんだよ!」
委員長「この子、具合悪いみたいだから保健室に連れてくー!先生にもそう伝えといてー!」
「……。…はーい!」
委員長「よっし!行こっか!」
男「おい!?だから何処に…!」
委員長「…ヒ・ミ・ツの場所!」
男「えぇっ…!?」
委員長「…二人きりだよ…?」キランッ
男(普通なら喜ばしいイベントだけど…っ!)
男「…君だから、不安しか無いな……!」
タッタッタ…
「兄貴!あいつ…」
「ブッツブシチャオ!ブッツブシチャオ!」バシンバシン
「あァ…。ようやく来たな…この時が!!」
「なら!」
「ナラ!」バシンバシン
「今から、この天然水みてぇに狩り潰す」グシャッ
33 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:35:03.03 ID:uMTTeTyH0
男「……ここは…?」
委員長「体育倉庫裏!滅多な事が無きゃバレないよっ!」
男「そうなんだ…」
委員長「…一説によると、生徒達が如何わしい行為をする際にもよく用いられる場所だとか…!」
男「如何わしい行為って…」
男(如何わしい行為………)
男(…………)
男(って!俺は何考えてんだ!!まさか家族でそんな事考えるなんて…!)
男「お、おいっ!ふざけんなし!!」
委員長「ふふん?やっと元気になったね〜」
男「あっ…」
委員長「やっぱり男の子はそういう事で元気になっちゃうんだ?お?」
男「………………」
委員長「……こりゃ、冗談通じない感じか。…何があったの?」
男「…………ううぅ…」ポロ
委員長「えっ…!?こういうのはアレルギーだったり!?」
男「そうじゃない、そうじゃないんだけどぉ…!」ポロポロ
男(くっそ…!そのまま妹の事まで思いだすなんて…!)ポロポロ
男(メンタルリポDかよ…っ!)ポロポロ
委員長「…いいよ。ゆっくりでもいいから。話して…?」ギュッ
34 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:35:36.06 ID:uMTTeTyH0
委員長「……あの爆発、そういう事だったんだ…」
男「……撃たれただけなら、まだ治癒能力とか薬で何とかなったかもしれない…」
男「だけどあろうことか!気が動転した俺は能力を暴走させてしまって…!!」
男「もしも妹が死んだら、間違い無く俺のせいだ…」
委員長「…そっか……」
男「…姉さんは希望を持てって言ったけど…、……俺には出来ないよ」
男「そんな資格…無いよ……」ポロポロ
委員長「……ならさ、もう諦めちゃえば?」
男「…っ!?」
委員長「出来ない事を無理にやろうとしても、出来ないだけなんじゃないかな」
委員長「それにさ、妹さんもこんな事望んで無いと思うよ?」
委員長「君が辛そうにしてるとこなんて……」
男「…………………………」
委員長「諦めれば?楽になっちゃえば?多少の犠牲も、英雄の道には仕方がないものだよ?」
委員長「もしも妹さんが許さなかったとしても……」
委員長「私はっ。…許してあげるよ?」
男「………!!」
コロコロ…
35 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:36:24.04 ID:uMTTeTyH0
男(諦めるのは簡単だ)
男(希望を見るのは難しい)
男(でも、それでいいのか?)
男(妹が許すとか、姉さんが許すとか、委員長さんが許すとか、そういうの関係無しに)
男(………俺は俺自身を、この先許せるのか…?)
男(…違うだろ……!)
36 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:36:52.40 ID:uMTTeTyH0
男「………っ」バッ
委員長「あっ…」
男「…ごめん。…俺は、選ばれるものじゃないんだ」
委員長「………」
男「勇者や魔王みたいな凄い存在にはなれない」
男「俺がなれるのは凡人だ。いつだって、英雄を選ぶ側の存在だ」
男「………俺は希望も見ない。絶望も見ない。見る事が出来ない。…目の前の現実しか!」
委員長「…!」
男「委員長さん。ありがとう。俺、わかったよ」
男「俺には現実しか選べないのに、様々な可能性なんてものを選ぼうとしていた。俺自身の事ばかり考えていた」
男「…それじゃあ、前にも後ろにも行ける筈が無い…!」
委員長「……っ」
男「だから俺は…現実を見て、前に進むッ!」
「………な〜に言ってんだ?テメー…」
男「っ!?」バッ
委員長「誰っ!?」
37 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:37:23.42 ID:uMTTeTyH0
DQN「へへへっ!姉貴の事を知らねぇなんて失礼な奴らだぜ!」
パワー系「マッタクダ!マッタクダ!」バシンバシン
女生徒「へ…!命知らずどもが…!」
男「………………」
委員長「………………」
DQN「おい!なんとか言ったらどうなんだよ!!」
パワー系「ソーダ!ソーダ!!」バシンバシン
男「いや…………マジで知らないし……」
委員長「……………」
女生徒「エ"ッ!??」
DQN「あっ……」
シーン…
バシンバシン…
バシンバシン…
女生徒「……ッ!」ガタンッ
38 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:37:49.76 ID:uMTTeTyH0
男「…っ!」
委員長「…!?」
女生徒「っギャハハハハハ!!!こいつは傑作だぜェ!!!」
DQN「お…おう!傑作だァ!!」
パワー系「ケッサクダ!ケッサクダ!」
女生徒「まさか!ここまで愛してきた奴が!アタシの名前だけしか知らなかったなんて!!」
女生徒「やっぱ…ストーキングはバレるようにやんなきゃ意味無ェかァ!!!!」ズザッ
男「くっ……!」サッ
男(俺はお前の名前すら知らねぇよ…!だが…)
委員長「きゃあっ!」
男「……っ!」
男(やっぱり委員長狙いか…!)
男(どうすればいい…俺は姉さんが居ないと何も出来ない訳じゃない!)
男(考えろ…俺に選べる事を…!)
男(ここでの凡人の最善策…それは…っ!)
男「…ッ!!」ガシッ
委員長「えっ…」
男「逃げるんだよ!!」ダッ
委員長「…っうん!」
39 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:38:17.66 ID:uMTTeTyH0
男「…はぁ…はぁ……くそっ!行き止まりか…!」
委員長「……………」
委員長「…ごめんなさい」
男「……え……?」
委員長「君と過ごした時間、案外悪くなかった」
委員長?「ううん。最高だった。最後の伊右衛門は、本物だからね」
男「………なんだよいきなり!それより、早く逃げる方法を…」ガシッ
男「……っ!?」
委員長?「ここはね」
委員長?「"滅多な事がなきゃ、バレないの"」
女生徒「……まだ気が付かねェのかよ!」
DQN「……………」
パワー系「……………」バシンバシン
男「…どういう事だよ……!」
女生徒「………お前が委員長って呼んでたそいつは…!」
女生徒「委員長を偽って、お前をずっとストーキングしていた隣のクラスメイトだよ…!!」
男「…………!!!!」
40 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:38:44.00 ID:uMTTeTyH0
委員長?「………」
女生徒「…このクラスの本物の学級委員長はアタシだ」
男「は…?何言ってんだよ。ウチの学級委員長は委員長だろ。それ以外に…」
男「……………え……」
男(う…嘘だ…!)
男(よく見たら、顔もほぼ同じじゃないか…!?なんだよ…どうなってんだよ…!)
女生徒「あんたはクラスでずっと邪魔だと思ってんだ」
女生徒「選ばれし家庭…血筋…アタシはそういうもんが大っ嫌いだったのさ!」
女生徒「元々、イジめて不登校にしようと思ってた。…そんときに、そいつがアタシに接触してきた」
女生徒「…オイ!そろそろお前の能力を明かしてもいいんじゃないかい!?」
委員長?「…うん!それもそうだねっ!」
男「…………能…力……?」
委員長?「うん!能力!超能力だよ!私の能力はね……」
41 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:39:13.95 ID:uMTTeTyH0
ストーカー「運命の相手を落とす為の恋の力?」
ストーカー「私の能力のうちの一つ……」
ストーカー「─付き纏う者【ストーカー】だよっ?」
男「…っ!!」
女生徒「……そいつさァ、マジで半端ねェよ?」
女生徒「お前を落とす為になら顔、声、体格から性格、上手くいけば自分の記憶までも変えちまう能力なんだと」
女生徒「そういったありとあらゆる要素を駆使して、完璧なストーキングを完成させる。ただその為の能力」
男「………ッ」ゾクッ
女生徒「クラス全員にお前が嫌われるように仕向けたのもそいつだよ。自然と自分を心の拠り所にする為にね」
女生徒「あの強盗は偶然だったらしいが…」
女生徒「ま、アタシとしちゃ、あんたさえ消えてくれれば良かったんだが…」
女生徒「…いやー!にしても気持ちわりィねェ!自分の顔をそんなふうに使われんのは!!」
男「……………」
42 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:39:40.40 ID:uMTTeTyH0
男「ずっと、俺を騙していたのか」
ストーカー「騙してなんか無いよ!むしろ、騙してたのは男君のほうだよ!」
ストーカー「毎朝毎朝、私だけに挨拶を返してくれる!毎朝毎朝、私だけに笑顔を見せてくれる!」
男「は…?」
ストーカー「それでね?毎日毎日私の作るご飯を食べてくれるんだぁ…?」
ストーカー「私の為に…?」
ストーカー「……それなのに!」
ストーカー「どうして他の女とばかりイチャイチャしているのよ!!!」
男「何を…言って……」
ストーカー「…貴方なんて、私だけのものだと思っていたのに」
ストーカー「私だけに選ばれていれば良かったのに!!!」
男「……」
ストーカー「…なんてね!冗談だよ!」
男「……」
ストーカー「私がイケないんだよね!」
ストーカー「君が逃げないように捕まえてしっかり檻に閉じ込めて、逃げようとしないようにお薬一杯飲ませて幸せな気分にさせて、沢山沢山私が愛してあげて身も心も私のモノになるようにしてあげられなかったし!ああでも違うよね!少しは貴方の気持ちを残しておかないとそれはただのお人形さんだもの!私はただのお人形さんの貴方も好きだけど、やっぱり貴方は貴方だもの!意思を持って笑いかけてくれれ貴方でなきゃ貴方じゃないわ!そうよ!そうするべきだった…!!!」
男「……………………………………」
43 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:40:08.12 ID:uMTTeTyH0
女生徒「…あーもういいか?」
ストーカー「うんっ?どう飼うかは決めたっ?」
女生徒「よし。…そんじゃあさ、潰す時間、いくか」
DQN「待ってましたー!!」
パワー系「マッテタ!マッテタ!!」バシンバシン!!
男「………」ブルブル
男(身体の震えが止まらない。勝てる気がしない)ブルブル
男(今、ここで逃げなきゃ間違い無く死ぬ)ブルブル
男(だが…俺は綾鷹じゃない)ブルブル
男(にごりのある旨味も、ふくよかな味わいも、何もない)ブルブル
男(ここにあるのは、いつだって無茶だけだ)
男「─だからこそ」
男「……姉さん。頼むぜ……!」
チャキッ
44 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:40:37.23 ID:uMTTeTyH0
女生徒「……なんだァそれ?折れたボロい剣……。はっ!ふざけてんのかい!!」ザンッ
男「これは俺にとって最強の剣だ!馬鹿にするんじゃ…ねぇ!!」ドカッ
女生徒「…!チッ…!切れ味なんて関係の無い力押し…!」
男「…っ!」バッ
パワー系「ウアー!!!」ドカンッ!!
男「危ねぇ…!」
パワー系「ンー」ボリボリ
DQN「油断したなっ…!」
男「…お前こそ…」ピンッ
DQN「石ころなんて効くかい!!」
男「ただの石ころじゃねぇ!」
DQN「ぐえぇっ!!痺れる…!」バチバチッ
ストーカー「…三人がかりでこれ?意味わかんない!始めから全部私に任せてくれれば良かったのに!!」
女生徒「チッ…!ならこっちも能力だ!」シュインッ
45 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:41:06.66 ID:uMTTeTyH0
女生徒「おらァッ!!」
男(…!?剣に向かって掴みかかってきた…っ!?)
男「くっ…!」サッ
メコッ!
バラバラバラ…
男(壁を粉々に握り潰したっ)
男「肉体強化系…!」
女生徒「…あァ。どんなもんでも"いろはす"みたいにぶっ潰せて気分がいいぜェ?」
DQN「ほらほら油断すんじゃねぇぞ!」ダンッ
男「くっ…!」ガキンッ ズバッ
男(…!剣がさらに切られた…!水の刃か…!?)
DQN「水刃、アクエリアス…!本当はただの水の力なんだが、かっけぇからこう読呼んでる…!!」
男「………だったらもう一度!」ピンッ
パワー系「アー…」ゲフッ
女生徒「おっと…!これは…」
男「………!?なんで…!?」ピンッ ピンッ
男(能力が…使えない…!?)
46 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:41:39.64 ID:uMTTeTyH0
女生徒「……ひひっ!」
女生徒「ギャハハハハハ!!最高だよその顔!!!それが!それが見たかった…!!」
女生徒「運のいい奴が恵まれていた、ただそれだけの理由で手に入れたものを奪われた時の顔!!」
女生徒「……最高だ!!!」
男「……どういうことだ!」
ストーカー「私が説明してあげるね?」
ストーカー「そこのパワー系くんの能力、能力をがぶ飲みメロンソーダしちゃう能力なの?」
男「…は……?」
ストーカー「あれれ?馬鹿になっちゃった…?」
ストーカー「超能力を!飲んじゃう力!!」
ストーカー「つまりね?今の男君はもう、能力も何も無いマジの凡人なの?」
男「…………………」
DQN「明らかに筋肉隆々で肉体系だと思っただろ!こいつはパワー系に見せかけた頭脳系なんだよ!!」
パワー系「ナンダヨ!ナンダヨ!!!」バシンバシン
男「…………………………ふふ」ブルブル
47 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:42:12.81 ID:uMTTeTyH0
ストーカー「…へ?」
男「…今更、超能力が無いからなんだ」
男「超能力があろうがなかろうが関係無い!選ばれなくたって人間だ!!」ヒューン
男「んべっ!?」ガコンッ
「よく言いました。その通りです」ストッ
男「……いてて…っ!」
コロコロ…
男「…これ…!綾鷹…限定版の玄米茶!」
女生徒「チッ…!誰だテメー!!」
「誰だ…と聞きますか…そうですね……」
姉「綾鷹…といいたいところですが…」
姉「その子の姉です。そして姉ならば、下の子を救う義務がある」ムスッ
ヒューン
姉「……」サッ
ガコンッ
男「………………?」
48 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:42:45.36 ID:uMTTeTyH0
姉「……その剣、借ります」サッ
男「えっ、それ姉さんのじゃ…」
姉「……」ダッ
女生徒「はっ…調子に乗るな…!」ヒュンッ
姉「ぬるい」ザンッ
バタッ
DQN「あ…?」
DQN「あああああ…!」
姉「…」ダッ
DQN「くっそ!来るんじゃねぇ!」ダンッ
姉「…水…水ですか…」
姉「私はアルプスの天然水は嫌いですね」ザンッ
バタッ
姉「天然水だというのに、違いがわからない」
男「……………ははは…!」
男「…!危ない姉さん!!」バッ
姉「…!」
49 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:43:18.72 ID:uMTTeTyH0
パワー系「アー!!」ブウンッ
男「ガッ…!」バキッ
ドサッ
姉「……………」
姉「ジュースはもっと嫌いです。健康に悪いので」
パワー系「…?」
パワー系「ダー!!!」ダダッ
パワー系「」ドサッ
ストーカー「…………へ?」
姉「…私は今、こう見えて怒っています」ムスッ
姉「弟君の大切なものを、捨てられたからです」
ストーカー「…………………はぁ〜あ。他人って、役に立たないの」
姉「…言い残す事はそれだけですか?」
ストーカー「うんっ?」
姉「……そうですか」
姉「貴女、誰かの姿を借りないほうが可愛いですね」ザンッ
50 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:43:51.23 ID:uMTTeTyH0
………
男「……くっ……」
男「…またこの山道か…。土砂崩れ、起こった後みたいだな…」
?「……………」
男「……あの女の人は居るのに、姉さんは見当たらない……」
男「土砂崩れに巻き込まれて死んでしまったのか…?」
?「………そこに、誰か居るのですか…?」
男「!?」
?「…すみません。私はもう、両目が見えないみたいです。居るのなら近くへ来てください」
男「っはい!!」タタッ
?「……今、家族がふもとに居るんです。幼い双子の赤ん坊二人と、夫が…」
?「そのところに、この子を連れていってあげてください…」ガシッ
姉「……………」ボロッ
男(…!姉さん…!)
?「……………なんて。誰も居る筈無い…か………」
?「…………」バタッ
ヒューン
男「!!起きてください!起きて…!」
男(今、この人を見逃したら二度と見る事が出来ないのに…!)
男(それどころか、二人とも岩に潰されて…!)
男「くっ…!意識が遠退いて…」
グシャッ
51 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:44:31.32 ID:uMTTeTyH0
→ここまでの情報
男
勇者を先祖に持つ家の次男。妹に対しては双子の兄。剣技も勉強も微妙。能力は爆雷だったが消滅。
妹
男の双子の妹。剣技は姉よりは下だが男とは僅差で勝つ。勉強は得意。能力は氷華。現在、意識不明の重体。
姉
男の姉。剣技、勉学共に高水準。男達が中等部なのに対して、高等部。友達には甘いが身内には優しい。
委員長→ストーカー
男の、隣のクラスメイト。女生徒の顔を借りて、男に委員長であると偽っていた。男が嫌われていた間接的な原因。
女生徒 DQN パワー系
男の血筋を憎み、追放しようとしていた三人組。女生徒が男のクラスの本物の委員長だった。
現在は姉により撃退済み。もう出番は無い。
52 :
◆X0lVDgvcQ2
[sage saga]:2020/06/02(火) 13:45:02.50 ID:uMTTeTyH0
屋敷
男「ぐ……」
姉「む、起きましたか」
?「良かった〜!助かったんだね〜!!」
男(……女性の…高等部の生徒…?)
姉「そうは言いますが、これは貴方の力のおかげですよ。ちなみに私の傷はまだ治っていないのでもう少し…」ギュッ
?「ちょっ!?女ちゃんはもう治ってるでしょ!あたし知ってるんだよ!」バッ
姉「……」ムスッ
?「そんな顔しても駄目だよ!……そういうのは、二人きりの時に……」
姉「はい。お待ちしてます。あっ、次のお泊りの時には綾鷹を口移しで飲ませたいと思っているのですが、いかがですか?」
男(…………え。何この姉さん)ジトー
?「えっ!?ちょっ!?弟君見てるんだよ!?そういうのやめようよっ!」
姉「見せつけているのです。自販機に陳列した清涼飲料水のように…!」
?「あっ、愛は自販機で売らないよぉ!!」
男「……………あの。そろそろいいですかね…」
?「あわわわわっ!ごめん!ごめんね!?」
姉「…友さんの膝枕を拒むとは…。見損ないましたよ、弟君」
男「いや…膝枕っていってもクッションあるし…」ガバッ
姉「当たり前です。彼女の生足は私だけのものですから」
男(……見たくなかったなぁ、こんな姉さん………)
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