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高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「南風のカフェテラスで」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/05/30(土) 18:36:21.62 ID:3708Ugp60
――おしゃれなカフェテラス――
北条加蓮「わっ……!」
高森藍子「きゃ。強い風が……。加蓮ちゃん、大丈夫? あっ、髪飾りが外れて……」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1590831381
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/05/30(土) 18:36:56.28 ID:3708Ugp60
レンアイカフェテラスシリーズ第120話です。
<過去作一覧>
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「膝の上で」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「最初にカフェで会った時のこと」
〜中略〜
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「アイドルのいるカフェで」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「言葉を探すカフェで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「今日も、私とあなたとの時間を」
・高森藍子「加蓮ちゃんの」北条加蓮「膝の上に 3回目」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/05/30(土) 18:37:31.37 ID:3708Ugp60
加蓮「もう。髪がぐちゃぐちゃになっちゃった。これでもちゃんとセットしてたのにっ」
藍子「…………」
加蓮「今の風、強かったねー。雨でも降っちゃうのかな――……? どうかした? 藍子」
藍子「あ、いえ……」
加蓮「……髪を降ろしてる加蓮ちゃんがそんなに珍しい? 藍子にはたまに見せたことがある筈だけど」
藍子「そうですね。でも、なんだか今日は、すごく真新しく見えるんです」
加蓮「そう……?」
藍子「ふふ、ごめんなさい。もしよければ、もうちょっとだけ、加蓮ちゃんのことを見続けさせてくださいっ」
加蓮「どうしよっかなぁ」
藍子「そこをどうかっ」
加蓮「何が違うのかピンと来ないんだけど……藍子が見たいなら、どーぞ」
藍子「では、お言葉に甘えて。じ〜」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/05/30(土) 18:38:01.16 ID:3708Ugp60
加蓮「私も藍子のことじっくり見ちゃお。じー」
藍子「じ〜」
加蓮「……。あんまりじっくり見られると照れちゃうな?」
藍子「まだ10秒も経っていませんっ」
加蓮「最近藍子が私のことを熱血だの情熱的だの、ピントのズレたこと言うから、我慢するのが苦手になっちゃった」
藍子「じゃあ……。私たちのグループに、スカウトしちゃおうかな?」
加蓮「藍子のグループってポジパとかのことじゃなくてパッショングループそのもののことだよね?」
藍子「そのつもりですよ〜」
加蓮「……………………」
藍子「……思い浮かべるだけでげんなりって顔になるのなら、無理にとは言いません……」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/05/30(土) 18:38:31.73 ID:3708Ugp60
藍子「そうだ。今度、一緒にレッスンをしてみるくらいならどうですか?」
加蓮「体験? 私はいいんだけどさー。そしたらクールグループのみんなに、行かないでー、って言われちゃうかもしれないからなー」
藍子「移籍ではなく体験ですよ、って伝えておけば、きっと大丈夫ですっ」
加蓮「……今の一応、ツッコミ待ちのつもりだったんだけど?」
藍子「へ?」
加蓮「なんでもない……」
藍子「……??」
加蓮「じゃあ、今度見学くらいはさせてもらおっかな――」ピュウ
加蓮「きゃ。またっ! さっきからもうっ……」
藍子「……。……ね、加蓮ちゃん。次にまた風が吹いたら、加蓮ちゃんの写真、撮ってもいいですか? 絶対に誰にも見せませんからっ」
加蓮「…………」
藍子「……ほ、本当ですよ……?」
加蓮「じゃあ……いいけど、その代わり、髪がボサボサになってる瞬間だったらその写真は消すからね」
藍子「はい。それでもいいです」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/05/30(土) 18:39:02.00 ID:3708Ugp60
加蓮「珍しい。ぐずらないんだ」
藍子「私も、うまく撮れるか自信がなくて……さっき、髪飾りが外れて髪が巻き上がった時の、本当に綺麗だなって思った加蓮ちゃんのこと――」
藍子「私と加蓮ちゃんとの間でだけでも、残しておきたいなって」
加蓮「……真顔でそういうこと言われると、もう。茶化せないじゃん」
加蓮「じゃあ、その時は私も藍子を1枚撮らせなさい。それでいい?」
藍子「もちろんです♪」
加蓮「私の写真、どーせアルバムに入れるんでしょ。隣に並べて、開く度に恥ずかしいってなるような写真を撮ってやるっ」
藍子「ど、どういう写真を撮るつもりですか?」
加蓮「それは……。ね?」
藍子「……加蓮ちゃんの言いたいことを分かりたくないって思ったの、なんだかすごく久しぶりです」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/05/30(土) 18:39:31.49 ID:3708Ugp60
加蓮「スマフォの連写機能とか使えば、1枚くらい気に入るのが撮れるかもね。試してみたら?」
藍子「あっ、確かに。その手がありましたっ」
加蓮「こういうのって、普段使わないと忘れちゃうよねー」
藍子「それにいつもは、確実に撮るより偶然撮れた1枚の方が、なんだかいいなって思いませんか?」
加蓮「ちょっと分かるかもー」
藍子「でも、今は確実に撮る方が優先です。早速、スマートフォンを取り出して、連写にセットして……」ガサゴソ
藍子「これで、準備できました! あとは、風が吹くのを待つだけです」
藍子「……」
加蓮「……」
藍子「……」
加蓮「……あの、一応聞いてみるんだけど……もしかして、さっきみたいな強い風が吹くのを待ってる?」
藍子「そうですよ?」
加蓮「スマフォを両手で持って、私に向けて構えて、そのままずっと待ってるつもり?」
藍子「はい♪」
加蓮「カフェテラスで?」
藍子「カフェの中だと、風は吹きませんよ?」
加蓮「いやそういうことじゃ……。藍子がそれでいいならいいんだけどさ……」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/05/30(土) 18:40:01.82 ID:3708Ugp60
加蓮「風なんていつ吹くか分からないんだよ? さっきの2回だって、急に吹いてきたからびっくりしちゃったし。そんなのずっと待ってたら疲れちゃわない?」
藍子「待つの、けっこう好きですから♪ しかも今回は、加蓮ちゃんの写真のため。何時間だって……!」
加蓮「はぁー。気合が入ってて何より……。髪、くくるのはいい?」
藍子「はい、どうぞ。……でも、また風が吹いたら――」
加蓮「それならまたくくり直すだけだよ」
藍子「ふふ、そうですか」
加蓮「今日はなんだか完全オフモードじゃ落ち着かなくて。さてどうしよっかなー。同じ感じにしてみてもいいけど……」
加蓮「あ、そうだ。藍子、やってみる?」
藍子「へ?」
加蓮「髪」
藍子「……いいんですか?」
加蓮「いいっていいって。じゃ、あとはお任せー♪」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/05/30(土) 18:40:31.23 ID:3708Ugp60
藍子「は〜い。では、今だけはカメラを置い……」
藍子「……どうしよう?」
藍子「ううん、いいやっ。失礼しますね」
加蓮「どうぞ。……ひゃ」
藍子「わっ」
加蓮「……びっくりした。意外とくすぐったいんだね」
藍子「私は、加蓮ちゃんがびっくりしたことにびっくりしちゃいましたっ」
加蓮「次は落としちゃダメだよ?」
藍子「ふふ。緊張しちゃいます。ゆっくり、ゆっくり……」
加蓮「……やっぱりくすぐったいっ」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/05/30(土) 18:41:01.36 ID:3708Ugp60
藍子「加蓮ちゃんの髪って、やっぱりさらさらで綺麗ですよね。触りごこちも――」
加蓮「こら、撫でるな!」ブン
藍子「きゃっ。こら、加蓮ちゃん。頭を思いっきり振ったら、目が回ってしまいますよ?」
加蓮「そうさせたのは藍子でしょ」
藍子「もう1回……。……〜〜〜♪ 〜〜〜〜♪」
加蓮「……髪、ベタベタしてない? 大丈夫?」
藍子「ううん、ぜんぜん」
加蓮「ならよかった。今日ちょっと湿気てるし、べたついてないかなって思って」
藍子「空は綺麗に晴れてるのに、なんだか雨の前みたいな感じがします」
加蓮「こういう時くらい帽子をかぶった方がいいのかなぁ」
藍子「たまにはいいかも? ……あ、でも、そうしたら加蓮ちゃん、お気に入りの髪型をおひろめできなくなってしまいますね」
加蓮「私の言いたいことを先に言うなー」
藍子「ごめんなさいっ」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/05/30(土) 18:41:31.22 ID:3708Ugp60
藍子「あ……。加蓮ちゃん、ちょっとだけいいですか? 髪、ちょっとこう持っててください」
加蓮「私が持つの? いいけど」
藍子「首のところに少しだけ汗をかいてるみたいだから。拭いてあげますね」
加蓮「サービス精神豊富ー♪ ……ひゃうっ? こらっ。拭く前にもう一声かけなさいよ。やっぱり気遣いが足りてなーい」
藍子「……えいっ」フキ
加蓮「んぃっ!? こら! わざとやってるでしょ、アンタ!」
藍子「〜♪」
加蓮「そういうことするんだったら、髪、もう触らせないよ?」
藍子「ええっ。せっかく――あっ」
加蓮「……何に閃いたの」
藍子「加蓮ちゃん、加蓮ちゃん。もし、私が加蓮ちゃんの髪を触っちゃ駄目だってなったら――」
藍子「膝枕をしてあげている時に、加蓮ちゃんの頭を撫でてあげられなくなっちゃいますよ?」
藍子「ふっふっふ〜。それでもいいんですか?」
加蓮「いや、別にいいけど」
藍子「あれっ!?」
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/05/30(土) 18:42:01.09 ID:3708Ugp60
加蓮「あのね。今だって私がやってもらってるんじゃなくて、藍子にやらせてあげてるの。分かる?」
加蓮「膝枕だって、藍子がやりたいって言うから私が頭を乗っけてあげてるだけ。むしろ、今まで頭を撫でさせてあげてる分を、藍子は感謝すべきなの」
藍子「えぇ……」
加蓮「だってさ、最近の私と藍子の立場を考えてみなさいよ」
藍子「立場?」
加蓮「私は頑張ってる藍子をいっぱい助けてあげた。困った時には助け舟を出してあげて、疲れた時には注文を取りに行ってあげた」
加蓮「これはもう、完璧に私の方が面倒を見ているっていう関係だからこそだよね?」
藍子「それが言いたかったんですね」
加蓮「いいチャンスだし、こういう時にはっきりさせておかなきゃ」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/05/30(土) 18:42:30.98 ID:3708Ugp60
加蓮「そんな訳で。撫でてあげるっていうことを交渉材料にするなんて無駄なの。いい?」
藍子「加蓮ちゃん」
加蓮「ん?」
藍子「とりあえず、前を向いててください。そのままだと髪がまとめられません」
加蓮「ノリわるーい」
藍子「ふふ。〜〜〜♪ 〜〜〜〜♪」
加蓮「変な髪形にはしないでよー?」
藍子「しませんよ〜」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/05/30(土) 18:43:01.25 ID:3708Ugp60
藍子「〜〜〜♪ ね、加蓮ちゃん」
加蓮「んー?」
藍子「いつもありがとうっ」
加蓮「それもう聞き飽きたよー」
藍子「じゃあ……。大好きです、加蓮ちゃん♪」
加蓮「んぐっ」
藍子「これも、聞き飽きてしまっていますか?」
加蓮「……ま、まあ? 聞き飽きてる聞き飽きてる。もう1万回は聞いたから、他のネタを用意したら?」
藍子「前を向いたままでも、加蓮ちゃんが嘘をついているって分かりますよ〜」
加蓮「アンタが後ろを向くなって言ったんでしょうが」
藍子「それとこれとは別ですっ」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/05/30(土) 18:43:31.70 ID:3708Ugp60
藍子「……はい、できました。簡単にひとくくりにしただけですけれど、これでよかったですか?」
加蓮「どれどれー?」
藍子「あ、ちょっと待って。……うんっ。加蓮ちゃん、こっちを向いて?」
加蓮「?」クルッ
藍子「ぱしゃり♪」
加蓮「……成程?」
藍子「はい。こんな感じにまとめてみました。どうでしょう?」
加蓮「ホントに1つにくくっただけなんだ」
藍子「加蓮ちゃんみたいに、すごくオシャレにやれる自信はなくて。私らしくやってみたくって♪」
藍子「加蓮ちゃん。今の写真は、みなさんに見せても大丈夫ですか?」
加蓮「んー……。ポテト」
藍子「今度、ご用意しますね」
加蓮「2袋分」
藍子「一緒に食べましょうね」
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/05/30(土) 18:44:32.53 ID:3708Ugp60
加蓮「髪をシンプルにくくっただけの振り向き姿って、そんなにネタになる?」
藍子「……」
加蓮「……? いや、なんか撮った瞬間すごく嬉しそうにしてたし……。あれ、私に写真で見せたかったからだけじゃないでしょ」
藍子「……その……私が、加蓮ちゃんの髪をくくってあげたんだよ〜って、これならみなさんに教えてあげられそうで、それをちょっぴり……自慢が、したかったり……」
加蓮「えええぇ……」
藍子「や、やっぱりやめておきます。うぅ、なんだか恥ずかしい」
加蓮「藍子がそういう風に言いふらしたら、それはもう大変なことになるからね。懸命だよ」
藍子「大変なことって?」
加蓮「どうせ他のみんなが自分も自分もってなるでしょ。未央を先頭に。あ、こういう話になると奈緒の方が乗っかってくるかな。私、1日中髪を弄くられてるのなんて嫌だよ?」
藍子「…………、」
加蓮「もみくちゃにされてる加蓮ちゃんを見てみたいかも、なんて思ってない?」
藍子「ぎくっ」
加蓮「はいスマフォ没収ー。写真削除ー」
藍子「あああああっ!」
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