商人「夢に染まる林檎の果実」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

70 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/18(月) 14:11:25.22 ID:Dxavt+YR0
巫女「それで、今日は何を売っているんですか」

少女「今日はこれ!化粧品だよ!」

巫女「……参考までに聞きたいのですが、明日は何を売るんですか」

商人「えっと……明日は武器ですね」

巫女「明後日は……」

商人「食料品」

武士「明々後日は?」

少女「衣類」

巫女「統 一 性 !!」クワッ!!

商人「うわビックリした!?叫ぶこたぁ無いでしょうに」

巫女「そういうの見るとイライラするんですよウチ!!」

71 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/18(月) 14:11:54.22 ID:Dxavt+YR0
商人「私は旅商人ですからね、種類に拘りは無いので言ってもらえれば基本的に何でも取り扱ってますよ」

商人「ま、オメーみてーなブルジョワが欲しがるようなもんは無いかもしれないけどな、HAHAHA☆」

巫女「ホント口悪いですね」


武士(この二人なにかあったの?)

少女(お姉ちゃんが一方的に敵視してるだけかな……)


巫女「ところでそこの武士っぽい人」

武士「あ、はい、武士ですよー」

巫女「見たところ同郷みたいですね、林檎さんたちと同じく」

武士「あ、そうですね。私戦家イクサと申します」ペコ

巫女「ウチは兎です。しかし戦家ですか……」

武士「あ、知ってるんですか?」

72 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/18(月) 14:13:13.90 ID:Dxavt+YR0
巫女「戦争屋だって事はよく存じてます。貴女は見たことが無いので分家の方ですね?」

武士「はい!あ、でも戦争屋って呼び方はちょっと……」

巫女「ふむ、では控えます」

巫女「本家の方とはよく家柄の関係でお付き合いがあるので」

武士「え?そんな方が護衛も付けずに一人でこんなところに……?」

少女「こ ん な と こ ろ」

商人「失礼極まりねぇ言い方だなオイ」


73 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/18(月) 14:14:02.96 ID:Dxavt+YR0
巫女「探し物も兼ねて……仕事で来てるんですよ、ウチこう見えても商売人ですので」

商人「あぁん?貴女も商売人でしたか」

巫女「えぇ、ウチは元々名家ですけど商売を本格的に始めたのはウチからですよ。自分で始めた事でまだ従業員も居ないので人を付けずにやってます」

少女「実質一代目かぁ」

巫女「色々と伝手はありましたけどね」

商人「いいねぇスタートラインが私と違って」

巫女「……立派じゃないですか、旅商人」

商人「?」


74 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/18(月) 14:14:28.57 ID:Dxavt+YR0
巫女「ではこの化粧水いただけませんか」

少女「はい!では……これで!」

巫女「どうもです」

巫女「……」

商人「なに?」

巫女「今日は飴ちゃんくれないんですか」

商人「はいはい……ほらよ」

巫女「ん。それともう一つ……情報売ってくれませんか」ペロペロ

商人「情報?」

75 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/18(月) 14:14:56.06 ID:Dxavt+YR0
巫女「それとも取り扱いはしてません?」

商人「いんや、物によるね。言ってみ」

巫女「"黄金の果実"について」

武士「!」

商人「この町の近くに中規模の森があるでしょ。そこにあるんだとよ」

巫女「……それは」

76 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/18(月) 14:15:32.45 ID:Dxavt+YR0
商人「その程度の情報は持ってるんじゃないですか?情報源はそこのイクサですし」

武士「私が持ってる情報なら多分兎ちゃんの方が詳しいと思うけど……」

巫女「なるほど、イクサさんも黄金の果実狙いですか……まぁ、そうですね」

商人「この程度、お代はいらないんでとっとと帰んなさいな。こっちは忙しいですし」

武士(そこまで忙しくは……)

少女(前日と比べての模様)

77 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/18(月) 14:16:43.41 ID:Dxavt+YR0
巫女「……」

商人「なんです?まだ何か聞きたいんですか?」

巫女「単刀直入に聞きます」

巫女「林檎ちゃん、貴女黄金の果実……持ってるんじゃないですか?」

武士「え!?」

少女「うそ!?」

78 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/18(月) 14:17:15.41 ID:Dxavt+YR0
少女「ど、どうなのお姉ちゃん!?」

武士「林檎ちゃん!!言い値で買う!!言い値で買うからそれください!!」

商人「えぇい金持ちの本性を出すな!!この文無しが!!」

巫女「金額の話になったらウチが勝つに決まってるでしょ。不毛な争いは無しにしましょう」

武士「つらい」

商人「はーいはいストップ。何を勘違いしているのか知りませんけど私はそんなもの持ってませんし知りません」

巫女「初日にこの売り場で貴女が落とした物を見ました!!あんな光っている果実は……」

商人「コレの事?」ヒョイ

巫女「そう!それ!!」

79 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/18(月) 14:18:33.41 ID:Dxavt+YR0
商人「これただ色付けただけのリンゴですよ」シャクッ

巫女「あ……」

武士「食べたー!!」

商人「ほら普通のリンゴだ。その黄金の果実がどんなものかは私には分からないですけど、そんな大層なもん持ってたらとっとと売り飛ばして林檎ちゃん御殿でも作ってますよ」

巫女「……」

商人(むしろ探してるのは私の方だっての……)

巫女「また来ます」

商人「私が何か知ってると思ってるんだろうけど、何回来ても無駄ですよ」

巫女「……それとは関係無しに来ます」

商人「そうですかい」

80 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/18(月) 14:18:59.26 ID:Dxavt+YR0
武士「……」

少女(お姉ちゃん、どうしてそんなもの用意して……)

武士「……」

少女「……イクサちゃん?」

武士「よしんば、これが本物の黄金の果実だとしたら」

武士「いや逆にこの程度の偽装なら本家を欺けるか……?」

少女「お願い、よからぬことは考えないで。神器で人生一発逆転狙わないで」

81 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/18(月) 14:19:27.29 ID:Dxavt+YR0
商人「はー、なんか白けたなぁ」

商人「ちょっと私休憩がてら市場調査でもしてきます。イクサ、ちょっとこの娘と店番お願いします」

武士「あ、分かりました」

少女「お姉ちゃんどこ行くつもり?」

商人(このままバックレます)

少女「オイふざけんな」

商人(まーまー話を聞きなさい)

82 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/18(月) 14:20:14.14 ID:Dxavt+YR0
商人(わざわざイクサを抱え込んだのは理由があるんですよ)

少女(うんまぁ……同じもの探してるライバルなのに一緒に行動するのはおかしいと思ってたけど)

商人(ここで貴女と商売させてコイツを足止めします。その隙に私が森へ行って黄金の果実を探してきます。責任感強い子ですから仕事を途中で投げたりはしないでしょう)

少女(私を置いていく気?)

商人(私も本当は一緒に行動したいですけど我慢してください。効率のいいやり方でやろうとしてるだけで)

商人(私の足なら一日かからずにあそこまで行って帰ってくるのはワケないですし)

商人(それに……貴女を一人にはさせたくなかったから)

少女「……」

商人(何かあったらイクサか……あの兎ちゃんでも頼ってください。貴女なら邪険にされないでしょう)



商人(その隙に私が勝者になります)

少女「言い方ァ!!」

83 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/18(月) 14:20:41.69 ID:Dxavt+YR0
武士「どしたの二人とも?」

商人「いえいえこちらの話です」

少女「イクサちゃん、今日お姉ちゃん遅くなりそうだから二人で店番だって」

商人(そこは伝えなくていいのに)

少女(騙す形は悪いよ流石に)

武士「ええ、構いませんよ。それじゃあ二人で頑張ろー!!」

少女「おー!!」

商人「……」

商人(ごめんなさいイクサ、こんなにいい子なのに裏切るような事をして)

商人(でも……心を鬼にしろ!!"林檎"!!)パンパン

84 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/18(月) 14:21:08.28 ID:Dxavt+YR0
小休止
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/20(水) 03:37:53.56 ID:ekCEp+eBo
はーじまーってたー
イノミュみてきましたよー
86 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:20:12.95 ID:ylBcWnh30
再開
87 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:20:59.92 ID:ylBcWnh30
――――――
―――


商人(黄金の果実は……必ずしも必要なものではない)

商人(アレは最終手段のつもりだった……だが、その最終手段に頼らざるを得なくなった)

商人(それは、"私自身"が決断した事だ。そう、例え"私"が望まなかった事だろうと)

商人(あそこで大人しく強行していれば、あんなものを探す必要も無かっただろう)

商人(だが……あの娘がそれを許さなかった)

商人(だからだ。最終手段が入れ替わってしまった)

88 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:21:25.78 ID:ylBcWnh30
商人「町からしてもそうでしたけど、この地も随分と様変わりして……」


商人(ちょっと前に来た時とは随分と地形が変わっている……気がする)

商人(まぁ私がその時さほど興味を示していなかったというのもあるんだろうけど)

商人(そのせいで黄金の果実の場所が分からんわけで)

商人「さーて、探すって言っても手掛かり無しはキツイな」

89 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:22:02.57 ID:ylBcWnh30
商人(無理矢理森を燃やして文字通り炙り出す……何てことしたら確実に果実も焼けるだろうしなぁ)

商人(なるようにしかならんか……しかし)

商人「ところで……だ」

商人「誰です?さっきから私をつけてきているのは。町を出た時からずっと私を見てますよね」


ガサッ



「よく分かったな」


商人「割と気配漏れていたもので……いや誰だよ兎だと思ってたぞ、ここに来て新キャラかよ」

「何を訳の分からん事を言っている」

90 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:22:43.35 ID:ylBcWnh30
商人「何の用ですか?私今忙しいんですけど」

「何も持たない人間を襲う程こちらも暇ではないんでな」チャキン

商人(族か……)

「町に金持ちの東洋人が居ると聞いてな。身ぐるみ剥ぎに来た」

商人「何?」

「金と……そうだな、あと金目の物だ。お前が差しているその武器も貰おう」

商人「あの……」

「なんだ」

商人「それ別人です」

「……」

商人「……」

91 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:23:18.65 ID:ylBcWnh30
ブンッ!!

商人「うぉあっぶねぇ!?何すんだゴルァ!?」

「剣は当てるつもりは無かったぞ、お前が当たりに来た。脅しただけだ」

商人「だろうね!!避けた方向に刃飛んできたからね!!」

「お前の動き、戦い慣れしてるな。何者だ」

商人「何物もなにもただの旅の商人ですよ。あ、私襲っても商品は町に置いてきてあるので意味ないですよ」

「この際もうどうでもいい。金目の物だけ貰っていくぞ」

商人「チッ、そうなるか」

92 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:23:49.60 ID:ylBcWnh30
「諦めろ、怪我をするぞ」

商人「お前が諦めろ、怪我じゃ済まなくなる前に」

(コイツ……強いな)

商人(斬り結ぶ前から力量を見ているな……さて、なるべく穏便に済ませたいんですが)

「……」ボソボソ

商人「ん?」

「凍てつけ」


「刃よ!!」ピキンッ


商人「これは!?」

93 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:24:24.92 ID:ylBcWnh30
ギィン

商人「氷の刃ッ!!」

「避けたな。今度は当てるつもりだったのだが」

商人(周囲が一気に氷漬けに……コイツ、使い慣れてるな)

商人「お前、魔法が使えるのか」

剣士「あぁ、剣士だがな。どうだ、驚いたか」

商人「ええまぁ……このご時世に堂々と魔法を使ってくる相手なんて滅多にいないですからね」

剣士「……驚いているのか?」

商人「ええ、ですから。魔法なんて差別の対象ですよ、これ使って犯罪でもしようものなら鬼の首とったように魔法の存在を認めない連中が……」

剣士「驚いたのなら金目の物置いてどっかいけ」

商人「えぇ……」

94 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:25:24.55 ID:ylBcWnh30
剣士「どうした、怖いだろう?」

商人「いや別に……」

剣士「?」

商人「?」

剣士「おかしいな、これを見せると大体どんな相手でも従うのだが」

商人「そりゃまぁ剣片手に持った奴が魔法まで使って来たら大半そうするでしょうけども……炎よ」ボワッ

剣士「……あれ?」

商人「おあいにく、驚きはするけど屈しはしませんよ」

95 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:26:13.11 ID:ylBcWnh30
剣士「なるほど、お前も魔法が使えるという訳か。まぁいい」

商人「よくねぇよ、見逃してやるからとっととどっかいけ」

剣士「見逃す?」

商人(しまった口が過ぎた)

剣士「予定変更だ、丁度お前も魔法が使えるようだしフェアな条件だろう」

剣士「どちらが見逃す方の立場か……決めるぞ」ジャキン

商人「狂戦士め……」キッ

96 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:26:42.04 ID:ylBcWnh30
ギィン!!

剣士「ク……」

剣士「クヒヒ……」

剣士「クハハハハハハハハ!!」

商人「チッ、思っていたより暴れる!!」

剣士「いいぞ!いいぞ!!戦いはいいぞ!!」

ザンッ

商人「木が……随分とまあいい切れ味だな!!」ガッ

剣士「フン、逃げ回るだけの腰抜けが」

商人(こっちは本気で戦えねぇんだよ馬鹿!!)

97 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:27:28.57 ID:ylBcWnh30
ブンッ

商人「ッ」

ブンッ

剣士(当たらん)

商人「しっかしまぁ、暇はないとか言っておきながら私に構うなんて随分と暇を持て余しているじゃないかっとと!!」

剣士「出した刃の収まりどころが分からなくなっただけだ」ブォン

商人「オイふざけんな!?そんな理由で戦ってんのか私達は!?」

剣士「十分だ。そら」

商人「おあ!?」バッ

98 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:27:54.03 ID:ylBcWnh30
剣士「お前は何故攻撃してこん。これでは弱い者いじめだ」

商人「族をやっておいて何をいまさら……そうやって弱い人間から物を奪ってきたんでしょう」

剣士「金持ちは強いと行く先々の老人たちからよく聞かされた。だから金持ちを襲っていたが……違うのか?」

商人「ちげぇよ純粋だな!?……いや違わないけど!!パワーイズマネー!!」

剣士「そういえば腕っぷしが強いのは用心棒だけでまともに戦っていた金持ちはいなかったな」

剣士「まぁどっちでもいい。私は今戦えればそれで満足だ」

商人「くっそ!!」

99 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:28:22.78 ID:ylBcWnh30
商人「ッ!?しまった、岩場か!!」

剣士「追い詰めたぞ。逃げ隠れ出来るような木はここには無い」

商人「石を盾にして隠れりゃ問題ないでしょう」

剣士「私の刃は鉄をも断つ。あきらめてその武器よこせ、命までは取るつもりはないが最悪の事態が起こっても知らんぞ」

商人(思った以上に甘ちゃんらしいが……ダメだな、これ以上魔法使わせたまま暴れられたら危険だ)」

商人(……しゃーない、やるか)

剣士「?」

100 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:29:04.38 ID:ylBcWnh30
商人「……」カタッ

剣士(武器に手を……?抜くのか)チャキン

商人「"炎剣・真撃(しんうち)"」

商人「抜いちまったらもう止められねぇぞ!!」ズァッ!!


剣士「何だ……これは……」

剣士「炎が……刃に」


バキッ


剣士「ん?」

商人「あぁん?」

101 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:29:50.99 ID:ylBcWnh30
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


商人「は?」

剣士「地面が!?」


ガララララララララ


商人「落ちたああああああああああああああああああああ!?」

剣士「……フン、どうやらお互い暴れすぎたようだ」

商人「暴れてたのお前だけだよ!?」

剣士「何を言っている、お前地面を物凄い蹴りながら移動していたじゃないか。私だけのせいにするな」

商人「半分私におっかぶせようとしてんじゃねぇよ!?オイ何澄ました顔してやがる!?」

剣士「私悪くないし」

商人「とうとうブン投げたぞコイツ!?」

剣士「そんな事はどうでもいい」

商人「よくねぇよ!?オイ責任取れゴルァ!?」

剣士「落ちているのに元気だなお前は」

商人「落ちているのに冷静だねお前はあああああああああああああああああああああああーーーーーーーーー!!」

102 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:30:19.77 ID:ylBcWnh30
……

少女「ありがとうございましたー」

武士「売り上げ好調だったね」

少女「お姉ちゃんいなくなった途端これだ」

武士(果たして林檎ちゃんは必要な存在なのだろうか)

少女「さて、今日はこの辺にしようか」

武士「林檎ちゃん帰ってこなかったね」

少女(もう日も暮れる……遅くなってるって事は何かあったな……お姉ちゃんの事だから死ぬようなことは無いだろうけど)

武士「えっと、どうしよっか。待つ?」

少女「ううん、市場のリサーチの他にちょっと大きい所からの仕事も溜めこんでたからそっち優先しちゃってるんだと思う。よくあるんだ」

武士「こんな小さな子に負担掛けるなんて困ったヒトですね」

少女「しょうがないよ、お姉ちゃんも立場があるから」

少女(あぁ、シレっと嘘を付けるレベルになってしまった……)

103 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:31:10.88 ID:ylBcWnh30
武士「それじゃあ宿に戻ろっか。昨日と同じところだよね」

少女「うん。片付けてから行こう」

武士「うーん!!しかし働くって何て素晴らしいんだろう!私も旅商人やってみようかな」

少女「イクサちゃん向いてないからやめた方がいいよ」

武士「ストレートォ!!」

少女「まぁ、こういうのは向いてる向いてないじゃなくて、楽しんだもの勝ちなのかな」

武士「林檎ちゃんの事?」

少女「うん、お姉ちゃん商売下手だけど私が見てきた限りだとずっと楽しそうにしてるから」

武士「お姉さんのこと好きなんだね」

少女「へへ、大好きだよ」

104 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:31:51.51 ID:ylBcWnh30
「あの、すみません。もう店じまいですか?」

少女「いらっしゃいませ、まだ大丈夫ですよ」

「そうですか……買い取りをお願いしたいのですが」

少女(買い取りか……私査定とかやったこと無いけど)

武士「はい!勿論大丈夫ですよ!!」

「それじゃあお願いします。ちょっと困っていたもので」パァァ

少女「なんで勝手にそういうこと言うの!?お客さん喜んじゃってるよ!?」

武士「え?出来ないの?」

少女「やったことねぇよ!?いきなり店の主に聞かないで二つ返事でOKするんじゃねぇよ!?だからお嬢様なんだよ!!」

武士(林檎ちゃんそっくりでこわい……)

105 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:32:43.25 ID:ylBcWnh30
「あの、やっぱり駄目でしたか?」

少女「あ、ゴメンなさい、その、私まだ駆け出しで経験が無く……」

「それでも構いません」

少女「え?」

「これは……大した価値の物ではないので」スッ

少女「指輪だ……」

「お値段はそちらで好きなように決めていただいて構いません」

「もう私には必要のないものなので」

少女「……」

106 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:33:58.73 ID:ylBcWnh30
「貸し露店のようですけど、出ていく予定はないですか?」

少女「はい……当分はまだこの町に留まる予定ですが」

「それでは後日お伺いいたします。その眼で、しっかりと貴女の目で値段を決めてください」

少女「え、あ。数日お預かりになるという事ですか!?」

「はい」

少女「私が持ち逃げしてしまうような人間だったら……」

「貴女はそんな事をするんですか?」

少女「いいえ、決してそのような事はしません」

「それならそうして頂いても……いいのですけどね」

少女「え……」

「ではお願いします」

107 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:34:40.99 ID:ylBcWnh30
武士「行っちゃった……」

少女「時間かけてでも値段を決めろってことか……」

武士「あの人にとってどうでもいい物なのかな」

少女「……」

少女(名前が書いてある……)

少女(これきっと……)

108 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:35:23.58 ID:ylBcWnh30
……

武士「いやぁ早速日給出るなんて思いもしなかった!!」

少女「一応働いてもらった分だしこっちも支払う義務は勿論発生するしね、当然」

武士「んふふ、人生初のお給料、これで何買おうかなぁ」

少女「でもそれお姉ちゃんの提示した食事代にほど遠いからまだウチに拘束されてるよ」

武士「かなしい、でもがんばる」

少女(強制力一切ないのにそこに疑問を持たない辺り本当にお嬢様なんだなぁ……いや、正直イクサちゃんいてくれないと私も人手足りなくて困るんから何も言わないけど)

109 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:35:59.32 ID:ylBcWnh30
巫女「何の話をしているんです」

武士「あ、兎ちゃんこんばんわ」

巫女「はいこんばんは。こんな時間にも持ち込みでお仕事ですか」

少女「うんまぁ……いや、兎ちゃんなんでこんな所に居るの。ここ違う宿だよ」

巫女「気が変わってウチもここに泊まることにしたんです。あっちは寝心地悪くて」

少女(こりゃ私達を追ってきたな)

110 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:36:54.24 ID:ylBcWnh30
巫女「林檎ちゃんいないんですか」

少女「お姉ちゃんはちょっと用事で数日離れるかもって」

武士「あれ、数日単位だったんだ……」

巫女「貴女は何を見てるんですか」

少女「指輪だよ。値段つけて買ってくれって言われちゃった」

巫女「高そうですね」

少女「うん、高いよ。多分7桁は余裕で超える」

武士「え……そんなものを言い値で売るって事ですか?」

巫女「正確な目利きですね……しかし変わった人も居るんですね」

111 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:37:30.73 ID:ylBcWnh30
少女「名前が入ってるから婚約指輪か婚約指輪かな」

巫女「!そんなもの……」

少女「ほら、ここ」

武士「THESTAR……ジス……いや、星?」

巫女「&XENO……まぁ読み方なんて色々ありますし気にするほどでもないでしょう」

112 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:38:11.70 ID:ylBcWnh30
少女「私は試されているのだろうか……」ガクガクガク

巫女「そこまで思いつめなくても当たり障りなくそれっぽい値段で吹っ掛けてやればいいじゃないですか」

武士「そ、それはダメ!!そんな相手に悪い……」

巫女「悪いのはそんなよく分からないような店で処分しようとしたそのヒトですよ」

武士「うーん……」

少女「でもこれもしも何らかの事件に巻き込まれた代物だったら……」

武士「事件?」

少女「……一応考えられる線は」

113 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:39:16.84 ID:ylBcWnh30
少女「1.呪いのアイテムの処遇に困り、特に関係の無い私達に黙って丸投げ」

武士「ヒェッ、辻褄があう……」

少女「でも禍々しいものは感じないからそれは無いかなー」

巫女「そうですね。そういうものは割と一発で分かったりします。手に持ったらそういう感覚しますし」

武士(触った事あるのか……)

少女「2.単純に盗品。足がつきそうだったためとっとと流した」

巫女「一番ありえそうですね。ウチも覚えがあります」

武士「えぇ……」

巫女「善意の第三者です。詳細は知らないフリです」

少女「それも無いかな……」

巫女「というと?」

少女「これを私に出してきたあの女の人……凄く辛そうな顔してた」

114 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:40:20.57 ID:ylBcWnh30
武士「手放したいのか手放したくないのかよく分からないね」

巫女「まだ未練があるとかそういう話ですか。ウチそのようなお付き合いしたこと無いのでそういう感情わかりません」

少女「……ふむ、まぁ悩んでも仕方ないし、時間も貰ってるからじっくり考えるよ。これは私が受け取った仕事だからね」

巫女「困ったら頼ってもいいんですよ」

武士「そう!!私だって働く仲間なんだから!!」

少女「イクサちゃんはいいかな」

武士「」

115 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:41:00.68 ID:ylBcWnh30
巫女「そういえば今更ですが」

少女「?」

巫女「お名前、聞いてなかったですね」

武士「あ、私もだ。ごめんなさい、失礼だったね」

少女「あぁ、いいのいいの、気にしないで」




少女「私、名前無いから」

巫女「え……」

武士「今……なんて?」

116 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/05/21(木) 04:42:23.99 ID:ylBcWnh30
小休止
117 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/05/21(木) 09:59:44.15 ID:ylBcWnh30
婚約指輪か婚約指輪ってなんやねん名無しちゃん結婚指輪か婚約指輪だよ……
118 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/05/24(日) 15:24:05.92 ID:AX80HbLV0
再開
119 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/05/24(日) 15:24:33.35 ID:AX80HbLV0
――――――
―――



武士「ウェーイラッシャイラッシャイ」

巫女「……」

武士「ヤスイヨヤスイヨー」

巫女「……」

武士「なんで一緒にやってくれないの」

巫女「なんでウチがやらなきゃならないんです」

武士「今日お店手伝ってくれるって言ったのにー」

巫女「あの娘一人で大丈夫か気になったから様子見てるだけです。客引き以外なら手伝いますけど」


少女「いらっしゃい、これはですね……」

120 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/05/24(日) 15:25:00.05 ID:AX80HbLV0
武士「なんか」

巫女「はい」

武士「名前が無いって事に驚いちゃってそれ以上聞けなかったね」

巫女「そうですね。とりあえず林檎ちゃんが来るまでは様子を見るつもりです」

武士「一応私もいるし大丈夫だと思うけど」

巫女「大丈夫じゃなさそうだからウチここにいるんですけど」

武士「」

121 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/05/24(日) 15:25:40.02 ID:AX80HbLV0
少女「兎ちゃん、そこの商品の梱包お願いできます?」

巫女「はい、終わってます」

少女「おぉ!やっぱり手際がいい!!あ、イクサちゃん呼び込み止まってるよ」

巫女「……」ドヤァ

武士「ハハハ、ハハハ(反復)」

少女「……二人とも、ひょっとして昨日の事気にしてる?」

巫女「えぇまぁ」

武士「あんな唐突なカミングアウトがあったら……ねぇ?」

122 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/05/24(日) 15:26:43.58 ID:AX80HbLV0
少女「私は名前どころかお姉ちゃんに拾われる以前の記憶もないし」

少女「どうせ碌な事が無かったんだなって思う事にして今を生きるようにしてるよ。だからそんなに気にしないで」

巫女「それもあるんですが。林檎ちゃんから名前貰わなかったんですか?」

少女「"それは私がしていい事じゃない"ってよく分からないけどそう言われたんだ」

少女「名は言霊(ことだま)、その者の運命を決めてしまう物だとか」

武士「まーたよく分からない事を……」

少女「私はここ1年くらいお姉ちゃんと一緒だったけど、名前が無くても結構どうとでもなってたよ」

巫女「二人だけで生活をしていたら案外どうにかなるものなんですね」

123 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/05/24(日) 15:27:40.70 ID:AX80HbLV0
武士「ん?でも私林檎ちゃんと貴女は本当の姉妹だと思ってたんだけど……」

巫女「それはウチも」

少女「え、どうして?」

武士「どうしても何も」

巫女「そっくりですよ、貴女たち」

少女「あー、それはよく言われるけど……お姉ちゃんと本当に血縁とかあるのかな」

巫女「故郷の話すると露骨に嫌そうな顔してましたし、親戚関係で何かあったのかもしれないですね」

武士「それで連れ出してきたと……」

少女「案外お母さんとかだったりして。自分の事たまに年寄りみたいに言う事あるし」

武士「いやー、それにしてはちょっと若すぎる気も……」

124 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/05/24(日) 15:28:14.07 ID:AX80HbLV0
武士「ハッ」

武士(若くして子を孕む→相手の男が分からない→実家から追われる→そのさなか娘が記憶を失う→妹として受け入れ記憶を呼び戻さぬよう名を言わない悲しみの親子)

武士「……」

武士「よし」

少女「よしじゃねーよ」

巫女「なにを想像しているか図になって頭に浮かんでますよ」

125 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/05/24(日) 15:28:47.56 ID:AX80HbLV0
少女「ま、そういう事だから私の過去についてはあんまり詮索しないでね。お姉ちゃんも怒るだろうし」

武士「でも名前が無いのも不便だね、こうして一緒にいる以上は」

巫女「お互いこの町にしばらく居るつもりですし暫定的にでも付けときます?」

少女「それも……いいかな、名前付けてもらうんだったらお姉ちゃんがいいから」

少女「あ、不便なら別にどう呼んでもらってもいいよ」

武士「おっぺけぺー」

巫女「おっぺけぺー」

少女「よぅしお前ら、そこに座れ」

126 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/05/24(日) 15:29:13.78 ID:AX80HbLV0
少女「……」

少女(正直……私がお姉ちゃんに拾われた時の事はよく覚えていない)

少女(私が目覚めた時、お姉ちゃんがそこに居た)

少女(とても、辛そうにしてた。とても、悲しそうにしてた)

少女(でも、私に笑顔を向けてくれていた)

少女(涙を浮かべながら、私を祝福してくれていた……)

127 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/05/24(日) 15:29:59.58 ID:AX80HbLV0

―――
――――――


あの時は……そう、雨が降ってたな、多分

思い出そうとしても靄がかかったように不鮮明だ
私を抱きかかえていた彼女の手はとても冷たかった

無我夢中で走り回って、転げ落ちて
ただただ、目の前の惨事から逃げるようにしてこうなってたんだっけか、覚えてないや

訳の分からん事態に振り回されて、仕舞いにこの状況だ。お笑いだよ、私ともあろうものが

やっぱり歳取ったかな……もうあの時から衰えを感じて……

必至こいて逃げ込んだ先でようやく一息つけた

そして、その手の中で目覚めた彼女を……私は強く抱きしめた


あれ?
これ、どっちだ……?

128 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/05/24(日) 15:30:25.50 ID:AX80HbLV0
――――――
―――


商人「……」

商人「私の高級和菓子ッ!!……ハッ、夢か……」

剣士「なんちゅう夢を見ているんだお前は」

商人「……?」

商人「…………」

商人「……あぁ」

商人「テメェなんでここに!?」

剣士「ようやく目覚めたか、状況の整理は出来たか?」

129 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/05/24(日) 15:31:04.26 ID:AX80HbLV0
商人「あたたた腰が……ったく、えっと?」

剣士「お互い丸一日程寝ていたようだ。随分と頑丈だな」

商人「一応鍛えてっからな……それはいいんだが」

商人「もしかして治療してくれたのか?」

剣士「お前の持ち物を使ったがな」

商人「いえ……助かります。しかしどういった心境の変化ですか、今の今まで戦ってたのに」

130 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/05/24(日) 15:32:11.77 ID:AX80HbLV0
剣士「弱いものイジメはする気はないと言っただろう」

商人「やんのか?あ?」チャキ

剣士「……冗談だ。最後に私に"魅せた"一太刀でお前がただ者じゃないという事は分かった」

商人「それじゃあどうして……」

剣士「おまえの荷物を物色したが大していいものが無かった。それだけだ」

商人「あっ!?テメェこいつ私のカバンの中見たな!?あぁ!?おにぎり無くなってる!?」

剣士「アレはおにぎりと言うのか、美味かったぞ」

商人「また私は昼食を食べられなかったのか……」

剣士「どちらにせよ昨日の米だろう、傷んでるぞ」

商人「お前はそれを承知で食ったのかよ」

131 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/05/24(日) 15:32:38.77 ID:AX80HbLV0
商人「……武器は盗らなかったんですか?まだ私の腰にありますけど」

剣士「それはいらん、私では鞘から抜けなかった」

商人「でしょうね。そういう風に作られてますから」

剣士「深くは追及せん……状況が状況だ、お互いに助け合わねば打破出来る状況ではなさそうだ。そういう面もある」

商人「あぁ……随分深く落ちたんですね」

剣士「灯りはお前の荷の中にあった物を使わせてもらったぞ」

商人「構いませんよ。他に何か使える道具入って無かったかな……」

132 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/05/24(日) 15:33:12.51 ID:AX80HbLV0
剣士「よく分からん物ばかり入っていたな。襲った事自体が間違いだったぞ」

商人「やれやれ、そう言いますか……これでも役に立つ便利グッズの山なんですけどね」

商人「例えばこの魔方位磁針なんて魔力を注げば……あれ?」

剣士「何だそのガラクタは」

商人「おっかしーなー、落ちた衝撃で壊れた?いや、この位置に仕舞ってあったから大丈夫なハズ……壊れては……あ、贋物(察し)」

剣士「?」

商人「……いえ、何でもありません」

133 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/05/24(日) 15:33:49.39 ID:AX80HbLV0
商人「とりあえずこの地下はまだ道が続いているようなので進んでみましょう、どこかには出るかもしれません」

剣士「そうか、なら悪いが手を貸せ」

商人「ん?どこか怪我をしました?」

剣士「足が折れている」

商人「私より重症じゃねぇか!?よくそんな余裕で喋っていられるな!?」

剣士「痛いものは痛い」

商人「もうちょっと痛がれよ!?」

134 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/05/24(日) 15:34:22.01 ID:AX80HbLV0
小休止
135 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/05/29(金) 19:27:41.14 ID:XBQnF4zX0
ごめんなさい、おうちの引っ越し準備忙しくて明後日まで触れないかもです
136 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/06/11(木) 02:43:48.43 ID:5+ZIkQ2j0
再開
137 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/06/11(木) 02:44:19.35 ID:5+ZIkQ2j0
商人「ちょっと治療するので見せてください」

剣士「どうするつもりだ?」

商人「魔法を使います。まぁ治癒はあんまり得意じゃないんで道具使いますけど……チッ、治療魔法の道具置いてきてるな……しゃーない、応急処置だけでも」

剣士「……」

商人「どうしました、黙っちゃって。まさか魔法が珍しいとかいうんじゃないでしょうね。自分もアレだけ散々使っておいて……」

剣士「人間の身体を治癒させる魔法を見たのは初めてだがそうではない」

剣士「……お前、人間か?」

商人「突然何言いだすんだよどう見ても人間だろ。ちょっとグリーブ外しますよ」

剣士「そうか」

商人「突然何なんだよ……」

138 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/06/11(木) 02:44:46.55 ID:5+ZIkQ2j0
剣士「魔法は何処で?」

商人「ん?話す程じゃねーですよ。ま、ほとんどは独学ですけど……んー、見た感じはそこまで酷くないな……ちょっと動かしますよ」

剣士「ッ……」

商人「痛かったら素直に言えよー」

剣士「痛い」

商人「だろうな、我慢しろ」

剣士「言った意味」

139 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/06/11(木) 02:45:12.91 ID:5+ZIkQ2j0
剣士「魔法の事もそうなのだが」

商人「今度はなによ」

剣士「急に態度が柔らかくなったな」

商人「一応こっちも助けてもらいましたからね。ま、襲われたことと合わせてプラマイ0って事で。どっち道助け合わないと状況の打破も出来なさそうですし」

剣士「……」

商人「ハハ、お礼くらい言ってもいいですよ?」

剣士「なんで?」

商人「もう一本へし折るぞテメェ」

140 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/06/11(木) 02:45:49.71 ID:5+ZIkQ2j0
剣士「冗談だ、感謝する」

商人「へいへい……あとは固定だけして……」

剣士「凍てつけ」パキンッ

商人「ぅあっぶねぇ!?突然凍りを出すんじゃねぇよ!?」

剣士「これなら冷やすのと同時に固定もできるだろう。先を急ぐぞ」カツカツ

商人「んまー勝手だなぁもう」

商人「……」

商人「いや、その程度なら自分で最初から治療出来たろオイ。ちょっとまて!!折れてるのには変わりないからな!?そんな早く移動すんなオイ!!」

141 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/06/11(木) 02:46:34.80 ID:5+ZIkQ2j0
剣士「しかし長いな」

商人「私が前来た時はこんなの無かったんだけどな……気付かなかっただけか?」

剣士「ここらの地理には詳しいのか?」

商人「あ、いえ、ちょっと前に一度出向いただけです。それからはサッパリ」

剣士「こんな森の中に出向くとは、随分と変わっているな。族に狙われるぞ」

商人「まぁ現に貴女に狙われたんですが……あ、ちょっとストップ」

剣士「どうした」

商人「水だ。しかも流れてる」

剣士「地下水か……或は」

商人「外に繋がってるかもしれません。辿りましょう」

142 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/06/11(木) 02:47:03.41 ID:5+ZIkQ2j0
剣士「……」

商人「……そういえば」

剣士「なんだ」

商人「いえね?さっきから貴女ばっかり私に質問してたもんですから私からも何か聞こうと思って。間が持ちませんし」

剣士「やかましい奴だな」

商人「うるせぇ。まぁそう言わずに……」

商人「どうして略奪行為なんてしてるんですか?貴女くらいの腕があるのなら魔物退治や用心棒もできるでしょう」

剣士「奪う以外の生き方を知らんのだ。今までこうして生きてきた」

商人「そりゃまぁ厄介なこった」

剣士「それにだ」

143 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/06/11(木) 02:47:47.29 ID:5+ZIkQ2j0
剣士「私は闘争を求める。相手が強ければ強いほど……その相手を降(くだ)した時に得るものは大きい」

商人「戦ってる時も思ってましたけど随分とまぁ身勝手で酔狂な」

剣士「言ってろ。今更生き方を変えられん」

商人「家族は居ないんですか?」

剣士「居ない、死んだ。育ての親は居たが本当の親は知らん」

商人(捨てられたか売られたか……ま、碌な世の中じゃねぇな)

剣士「同情するか?」

商人「や、全然。同情して欲しかった?」

剣士「まさか」

144 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/06/11(木) 02:48:14.06 ID:5+ZIkQ2j0
剣士「お前は?家族は居ないのか?」

商人「いますよ。妹が一人」

剣士「妹か。連れてきているのか?」

商人「えぇ、今は街の方に置いてきてますけど」

剣士「……」

商人「……」

商人「え?それだけ?」

剣士「それ以上何があるんだ。聞き返しただけありがたいと思え」

商人「なんでそんな事でありがたがらなきゃならんのだ!?会話続かねぇのなんなの!?コミュ障なの!?」

剣士「見ろ、外の明かりだ」

商人「話ぶった切るなよ!?あぁもう噛み合わねぇな!!」

145 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/06/11(木) 02:48:41.40 ID:5+ZIkQ2j0
剣士「案外簡単に出られ……ん?」

商人「おっと、外じゃなかったな」

剣士「上から光が漏れているのか。といってもまだ薄暗いな」

商人「天井がそこそこ開いてますね。登るにゃちょっと高すぎるが……」

剣士「無理すれば行けそうだが」

商人「いやいややめとけって……外に繋がってるって分かっただけでも良しとしておきましょう」

商人「日の当たり方からして昼前か……」

146 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/06/11(木) 02:49:25.79 ID:5+ZIkQ2j0
商人(あの娘は私の強さを知ってるから心配はしないでしょうけど、あんまり遅すぎるとイクサちゃんと最悪兎ちゃんに声かけて探しに来るかもしれないですね)

商人(やれやれ、日帰りのつもりがとんだ災難だ。黄金の果実を探すどころじゃなくなっちまったな)

剣士「妙な場所だな」

商人「ん?どした?」

剣士「草が生い茂っている」

商人「あーホントだ。ここだけ外と似たような土になってますね。丁度光も差してるし水も流れてるし……植物が育つ環境として成り立ってるんじゃないですか?」

剣士「……」

商人「思わせぶりに黙るの多いなオイ。なんか言えよ」

剣士「あれは……なんだ?」

商人「あれ?」

147 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/06/11(木) 02:50:21.25 ID:5+ZIkQ2j0
商人「薄暗くてよく見えないですけど……」

剣士「丁度いい、日が差すぞ」

商人「え?」

剣士「"あれ"の真上が丁度大穴になっている。太陽が昇ってくる」

商人「あ……」

剣士「何だ木か……しかし一本だけ生えているのもおかしな感じだな」

商人「……」

剣士「おい、今度はお前が黙るのか。どうした」

商人「……」

商人「見つけた」

148 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/06/11(木) 02:50:53.66 ID:5+ZIkQ2j0
小休止
一応まだまだ先は長いよ……
149 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/06/14(日) 18:33:54.21 ID:GJOYYYEh0
再開
150 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/06/14(日) 18:34:21.21 ID:GJOYYYEh0
剣士「……なにを見つけたんだ?」

商人「いえいえ、こっちの話です。それにしても……」

商人(いくら地下に"木"があったとしてもくまなく探していれば見つからないなんて事は無いと思うんだけどな、これ)

商人(噂を聞きつけてくるような連中がこの短期間に二人も居たんだ、過去にも探索自体は何度もされているだろう、にもかかわらずだ)

商人(私だから見つけられた……?その線も無くはないだろうが何が何やら……まぁ、それはいい)

商人(黄金の果実、回収させてもらうか)

商人(これでようやく……)

151 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/06/14(日) 18:34:47.94 ID:GJOYYYEh0
剣士「まて、動くな」チャキン

商人「な、何ですか突然剣を握って……まさかお前この木を!!」

剣士「様子がおかしい、それ以上木に近づくな」

商人「え?」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


商人「洞窟が……ッ!?」

剣士「動いている……何だこれは」


商人「ッ!!木が!!」

剣士「動くなと言っているだろう!!」ガッ

商人「チクショウ離せ!!」

剣士「死ぬ気かお前は!!」

商人「死んでも必要なもんが目の前にあんだよ!!」

152 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/06/14(日) 18:35:14.04 ID:GJOYYYEh0
剣士「妹がいるんだろう!!」

商人「ッ!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

剣士「……沈んでいったな。というより、移動したのか」

商人「……」

商人(躊躇(ためら)ってしまった)

商人(あの娘には、"私よりも"あの実が必要なのに……)

153 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/06/14(日) 18:35:41.80 ID:GJOYYYEh0
商人「……」

商人(それとも……私は命を秤にかけたのか……今更生きていたって……)

剣士「丁度いい、地面が動いた事で随分と地上に近づけたみたいだ。登るのに現実的な位置まで来たぞ」

商人「……助けてくれてありがとうございます。一応お礼だけは言っておきます」

剣士「助けたつもりはない。お前が飛びこまなかっただけだ」

商人「正直役に立つとは思ってませんでしたけど助けられたのは事実です」

剣士「一言多いな」

154 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/06/14(日) 18:36:43.98 ID:GJOYYYEh0
商人「よいしょっと……手を貸します。登ってきて……」

シュバッ

剣士「よし、街まで案内しろ。とりあえず足を治療したい」

商人「……貴女ホントに足折れてんのか?」

剣士「折れてるの確認しただろう、ほら行くぞ」

商人「はいはい……」

商人「……」

商人(しかし、なるほどな)

商人(木自体が黄金の果実を守っているという事か。神器なんだ、そのくらいは容易だろう)

商人(自身で場所を移動させていればそりゃ見つからないハズだ)

155 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/06/14(日) 19:16:24.13 ID:GJOYYYEh0
商人(だが確かにあった……希望は見えてきた)

剣士「動くな」

商人「またかよ、今度は何ですか」

剣士「……あれだけ強そうに見せておいてお前は何故気付かん」

商人「おっと失礼……5ってとこですかね」

剣士「確認出来る人数はな。多分まだ潜んでるぞ」

商人「面倒な……」

156 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/06/14(日) 19:17:10.51 ID:GJOYYYEh0
――――――
―――



少女「むぅ……」

武士「ラッシャイラッシャイ」

巫女「妹ちゃん、まだ悩んでるんですか」

武士「値段が値段だからねー。そりゃ妹ちゃんも悩むよ」

少女「まぁ……この指輪どうしようかってのは本当に困ってるけど……妹ちゃんで定着したんだ」

巫女「ええまぁ」

武士「勝手に名前付けるのもアレだし」

157 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/06/14(日) 19:17:45.76 ID:GJOYYYEh0
少女「やっぱお姉ちゃんに相談するべきだよね」

武士「それは思うかな。私でも初めての事は誰かに相談したいし」

巫女「当の本人はこの場に居ませんけどね」

武士「あ、そうだよー。結局2日も空けてるなんてちょっと無責任すぎるよ!」

少女「うーん」

少女(結局昨日も帰ってこなかったけど……確かに2日も私の前から姿を消すのはあの過保護気味なお姉ちゃんらしくもない)

少女(何かあったか……それともお姉ちゃんを信じるか)

158 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/06/14(日) 19:18:17.76 ID:GJOYYYEh0
武士「どこで何してるかは分からないの?」

少女「うん、大きい取引としか聞かされてないから」

巫女「……」

武士「どったの兎ちゃん」

巫女「もしかしてですけど、森の方に行ってるとかじゃないですよね?」

少女「」ギクッ

武士「ハッ!まさか黄金の果実の捜索を!?」

巫女「抜け駆けですか。許せないですね」

少女「」ダラダラダラ

159 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/06/14(日) 19:19:04.33 ID:GJOYYYEh0
巫女「ま、それは正直どうでもいいです。ですがちょっと不味いですね」

少女「ど、どうでもいいの!?よし」

巫女「どうしたんですか妹ちゃん」

少女「イエーナンデモナイデスヨ」

武士「それで何がマズいの」

巫女「いえ、ウチが仕入れた情報なんですが」

巫女「今あの森に凶悪な野盗の集団が入ったとの通報がありまして」

少女「ファッ!?」

160 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/06/14(日) 19:19:35.44 ID:GJOYYYEh0
……

剣士「ハァ……ハァ……」

商人「少し休んでろ。見張りは私がやります」

剣士「……チッ、腹の立つやり方だ」

商人「消耗戦仕掛けてくるとは……私たちの実力を確認してすぐに作戦切り替えて来やがった」

剣士「頭がいいのが紛れているんだろう。数で圧す事も出来ただろうに」

商人「初っ端5人斬り捨ててますからね。一気に攻めるのは無駄だと分かったんでしょう。しかし、こうチマチマと矢だのナイフだの投げてこっちの退路も無くさせるのは……」

剣士「物資も少ない。私が手負いなのもバレた。チッ本当に歯がゆい」

商人「……」

161 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/06/14(日) 19:20:10.71 ID:GJOYYYEh0
商人(手負いのこの娘を置いていけば私だけでも逃げられるか。助けはそのあと呼べばいい)

商人(どうせ出会ったばかりの、それも敵対していた相手だ……誰も咎めはしないだろう)

商人「……私が」

剣士「私が囮になる。お前は逃げて助けでも呼んで来い」

商人「え?」

剣士「助けを乞うのは癪だが今はそれが最善手だろう。どうせ出会ったばかりの仲だ、私が犯されようが殺されようがどうなってもお互いに後腐れも無かろう」

商人「……ああ、私もそれ今考えていた」

剣士「だろうな、そういう目をしていた」

商人「ハァ……死ぬなよ」バッ

剣士「無慈悲な慈悲だな。可能な限りそうさせてもらう」

162 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/06/14(日) 19:20:37.63 ID:GJOYYYEh0
「ヘヘッ」

「一人置いて逃げたか」

「これを待ってた……ここまで消耗させたんだ、分断さえすればこちらのもんだ!!」

「犯せ!!奪え!!まずはあの手負いの女からだ!!」


剣士「来たか……」

剣士(所詮は族か)


商人「っしゃオラああああああああああああああああああ!!」ズガァ


「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」

「なんか帰ってきた!?」

163 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/06/14(日) 19:21:18.35 ID:GJOYYYEh0
商人「こっちはそんなチマチマしたのが嫌いなんだよ!!テメェらが集団で姿見せる為の演技だっての!!」

「ぐあぁ!」ザシュ

剣士「よく言う。本気で考えていたくせに」

商人「……割りと、そういう考えを持ってしまった自分を恥じている所です」

ザシュッ

剣士「私はお前を囮にするつもりだったのだがな」

商人「まじかよ」

ザシュッ

剣士「マジだ。その為にずっと自分が逃げられるだけの体力を蓄えて……」

商人「さっきの息切れは演技かよチクショウ!?お前名女優になれるぞ!?」

剣士「それは罵倒か?」

ザシュッ

164 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/06/14(日) 19:21:57.31 ID:GJOYYYEh0
剣士「だが色々と御破算だな。また数人逃がした」

商人「あぁ畜生、結構いい線行ってると思ったんだけどなぁ。何人やった?」

剣士「5人か。だがまだ数は居そうだ」

商人「どうすんべ、そうは言っても貴女も割と疲れが見えてますけど」

剣士「散っている今のうちに場所を移動した方がいいだろう。本当ならば森を抜けたい所だが……」

商人「それなんですよねぇ。結局森からの脱出が出来ないんだよなぁ」

165 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/06/14(日) 19:22:43.57 ID:GJOYYYEh0
剣士「おい、お前の妹は助けに来られないのか」

商人「うーん……」

商人(嘘ついてテキトーに誤魔化せ言った手前なぁ)

商人「ハァ、こんな事ならこんな偽者の魔方位磁針じゃなく本物も買っておけばよかったなぁ」

剣士「前もそれを取り出していたが、それはなんだ」

商人「あ?これ?ただのガラクタだよ……」

商人「あーもう、まだマーカーも使い切ってなかったしホント無駄な買い物だったなぁ」

166 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/06/14(日) 19:23:15.42 ID:GJOYYYEh0
剣士「他に役に立つ物は持ってないのか?」

商人「治療道具さえ置いてきちゃってる私が他に有用なもの持ってると思うか?」

剣士「確かに」

商人「あ、そういえばー♪」ゴソゴソ

商人「あったあった!!」

剣士「それは何だ?」

商人「テッテレテッテッテーテーテー♪信号弾ー♪」濁声

商人「もし近くに冒険者が居てくれたらコレを見てなにかしらのアクションをしてくれるでしょう!!」

剣士「そうか」

167 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/06/14(日) 19:24:00.46 ID:GJOYYYEh0
商人「そーれ発射ー!!」

ピュルルルルルルルルルルルル

商人「……」

剣士「……」




商人「……あ」

剣士「……止めなかった私も悪かったが即行動に移したお前自身も悪いと思え」


「こんな所に居やがったか……」

「よくも仲間を殺しやがったな」


商人「デスヨネー」

剣士「余計な手間を……」

168 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/06/14(日) 19:24:28.55 ID:GJOYYYEh0
商人「まったくしょうがない……このまま体力が許すまで」

剣士「やり合うぞ。どちらにせよもう逃げられんだろうし限界だ」

商人「フゥ……だがまぁ、こっちはこっちでまだ死ねないんだ」

商人「周囲巻き込んででも生き残るッ!!」ボワッ

剣士(出るか……炎の刃)



「おねえちゃあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!」


商人「ッ!!」

剣士「なんだ?」

169 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2020/06/14(日) 19:25:14.17 ID:GJOYYYEh0
武士「こんの」

武士「変態がーーーーーーーーーーーーーー!!」ザシュッ

「ぐぁ!?」

商人「イクサ!?」

巫女「ウチも居ます」ザシュッ

商人「兎ちゃんまで!?」

少女「よかった、お姉ちゃん無事で!!」

剣士「誰だコイツら」

商人「最高だぜ!!チーム林檎ちゃんの復活だ!!」

巫女「勝手に満足なチームにしないでください」

112.39 KB Speed:0.1   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)