商人「夢に染まる林檎の果実」

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202 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/06/16(火) 19:11:05.87 ID:xHJy0M/N0
武士「借金の方は大した額じゃないから今回の報酬でほとんど支払えたし」

武士「残りは林檎ちゃんのところでアルバイトして返そうかなって」

武士「私、今日までの事で色々と学ぶことが多くて……自分がいかに世間知らずだったかってのを思い知らされた気がして」

巫女「ですね」

武士「肯定は割と心に刺さるからやめて」

武士「妹ちゃんとも仲良くなれたし、私はしばらくこのままでいいかなって……」

少女「イクサちゃん……」

商人「いい話風に締めようとしてっけど早く返さねぇと利子で膨れ上がるぞ」

武士「悪魔!!!!!!!!!!!!」

商人「ハッハッハ、かつてないほど力強いセリフだ」

203 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/06/16(火) 19:11:33.50 ID:xHJy0M/N0
少女「私もイクサちゃんが居てくれると助かるな」

武士「というわけで、この林檎ちゃんたちが街から出るまでの間はお世話になるよ。あ、でも私も黄金の果実は探しに行くからね!!」

商人「分かってるよ。抜け駆けしちゃった身としてはそこは文句は言いません」

巫女「それで、貴女は?」

剣士「行くアテがないし足も折れてて何も出来ん」

少女「足折れてんのに一番暴れてた気がするのですがそれは」

商人「おっと忘れてた、ちょっと待ってな」ゴソゴソ

204 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/06/16(火) 19:12:01.50 ID:xHJy0M/N0
商人「またちょいと足見せて」

剣士「ん」

商人「失礼!」グサッ

剣士「ッ……それはなんだ?」

商人「治癒魔法を通すための器具です。さっき私が治すって約束したのほっぽりだしてましたからね」

巫女「ほう……随分と変わった物を持っているんですね」

商人「これも色んな地方を回ってる時に買ったものです。あぁ、動かない動かない、そのままそのまま」

205 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/06/16(火) 19:12:42.15 ID:xHJy0M/N0
武士「治癒魔法は使える人が限られているって聞くけど」

巫女「それも、魔法が使える人材を迫害するようなこのご時世で……全く、もうそんな時代は終わるというのに」

巫女「しかしよくそんなものを見つけられましたね」

商人「それはまぁ……人のつながりって奴ですよ。私には私の大冒険がありましたからね。聞きたいですか?」

巫女「長くなるならいいです」

商人「でしょうね。私も易々とは話す気はないかな……気分はどうです?」

剣士「目が回る、吐きそうだ」

商人「えぇ……」

武士「もしかして不良品?」

剣士「冗談だ」

商人「ビックリした!!」

少女「……」

206 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/06/16(火) 19:13:22.40 ID:xHJy0M/N0
少女「これ、いい道具だよ」

商人「ん?」

少女「これを揃えて作った人は、他の人が使いやすいように魔力を通す回路を丁寧に記している」

少女「お姉ちゃん、結構魔法の使い方が荒いから、治癒魔法がそんなに上手じゃないんだけど」

少女「でも、この道具はそれを補ってお姉ちゃんの魔力を通している」

少女「確かに、ちょっと高価な素材で出来てるけど、この道具を布教しようって思って精一杯コストダウン図ったんじゃないかな」

商人「……」

巫女「……」

武士「……」

剣士「……」

少女「ん?どしたのみんな」

207 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/06/16(火) 19:14:06.29 ID:xHJy0M/N0
巫女(指輪の価値を一発で見抜いた辺りから気になってましたけど)

武士(この娘、どうやってそういう所見抜いてるんだろう)

剣士(意味ありげに黙ってみたが話が見えん)


商人「……この道具は、とても優しい女の子から買い取った物です。それも格安で」

少女「え?」

商人「その娘は、流行病で家族を失い、そして自身は魔法を使えるという事で周りから謂れのない扱いを受けていました」

商人「そんな娘が、多くの命を救いたいといって残したものがこの道具です。私は喜んでこれを買い取りました、私自身も色んな人に広めるためにね」

巫女「それ、ギルドでも取り扱いしたいのですが、製作者はどこに?」

商人「さぁ、もうこの世にはいないんじゃないでしょうかね」

巫女「訳アリみたいですね」

208 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/06/16(火) 19:14:56.63 ID:xHJy0M/N0
商人「この道具を持っているのも私くらいですし、もう新しいものは望めないと思います」

少女「……その子は、幸せだったのかな」

商人「さぁ……私には分かりませんが」

商人「きっと幸せだったんじゃないでしょうか。ガラスの海で、愛する人を待つ彼女は……」

武士「あ、聞いた事ある。それって確か童話の話でしょ」

剣士「確か、優しい声は竜の……」

巫女「じゃあ林檎ちゃん、その道具を買い取らせてもらってもいいですか?」

商人「はい、勿論。まだ他にも備蓄は沢山ありますし、いいですよ」

209 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/06/16(火) 19:17:48.08 ID:xHJy0M/N0
巫女「ギルドで量産できるのならそうした方がよさそうですね。中々いいものです」

商人「……」スッ

巫女「……?」

商人「……」ススッ

巫女「何ですかこの手は?」

商人「ライセンス料」

巫女「は?」

商人「私しか持ってない道具」

巫女「……林檎ちゃん?」

商人「くれよ」バァ――z___ン


少女「ハハ、ウチの姉悪魔だったって事忘れてたわ」

剣士「まったく悪びれる様子も無くああいう事を言えるヤツは初めて見た」

武士「上の流れ全部ぶち壊しだよ」
210 : ◆cZ/h8axXSU [sage saga]:2020/06/16(火) 19:18:43.22 ID:xHJy0M/N0
小休止
この物語の主人公は基本的に悪魔
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/15(土) 15:12:28.42 ID:dXyScYcZo
2ヶ月
212 : ◆cZ/h8axXSU [sage]:2020/08/16(日) 00:55:21.86 ID:4hk+cMrl0
スマネェ…
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/16(日) 11:24:39.76 ID:inOBFsj2o
生きてたか
待ってるぞ
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/29(火) 18:17:55.87 ID:OMHDxVDl0
もうすぐ10月だな
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/15(日) 03:31:09.94 ID:r5wHB/UiO
6年以上この人のssの更新をせっついてる計算になる
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/01/10(日) 15:46:36.09 ID:AedzkFluO
まだかなーまだかなー
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/29(水) 01:52:06.70 ID:G/gNiSU1o
これは大作
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/02(金) 21:27:54.75 ID:gpT0EnXW0
保守








まもなく2年☆
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/02(金) 21:30:21.30 ID:uopqdnREO
間違えた…



もう3年………(ガクッ
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