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ボーンゴーレム娘「人間の子供拾ったっす」ドラゴン「お前ざっけんなよマジで」
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161 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/23(土) 22:14:37.77 ID:Ju4yvznM0
ボンゴレ「はーい、じゃあママはお野菜仕舞ってきましゅからねー。ここでパパと一緒に、ぐっすりスヤスヤしててくだしゃいねー?」
赤子「うー?」
ボンゴレ「じゃ、ドラゴンさん様子見ておいて下さいね。あと子守唄歌ってあげて下さい」
ドラゴン「歌えねえよ」
ボンゴレ「じゃあ子守雄叫びとかでもいいです」
ドラゴン「うわあすげえ目が覚めそう」
162 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/23(土) 22:18:45.38 ID:Ju4yvznM0
ボンゴレ「ふんふんふーんっ♪もらったーおイモは何しよかーっとっ♪」パタパタ
ドラゴン「……」ジーッ
赤子「う?」
ドラゴン「……おい、寒くないか?洞窟は結構冷えるからな。毛布を敷いているから大丈夫だと思うが……寒かったら、こう……言えよ」
赤子「……」キョトン
ドラゴン(…………人間っていつぐらいから話せるようになるんだ?……何考えてるかサッパリわからん)
赤子「……ういー……」ググッ……
163 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/23(土) 22:23:08.81 ID:Ju4yvznM0
赤子「だっ!」コロンッ!
ドラゴン「うおっ!?」
・ ・ ・
ドラゴン「……え?何?何転がってんのお前」
赤子「……う〜〜……だっ!」コロンッ!
ドラゴン「おーい待て待て!それ以上転がるとベッドの外出る!岩肌に直はヤバイ!」ワタワタ
ボンゴレ「ほえ?どーかしました?ドラゴンさん」
ドラゴン「た、助けてくれ!コイツがいきなり寝返り打って――……」
ボンゴレ「え!?寝返り!!?」
164 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/23(土) 22:29:00.09 ID:Ju4yvznM0
ボンゴレ「きゃー!きゃー!見せてくださいアタシにもっ!」ズイッ
赤子「う〜〜……だっ!」コロンッ!
ドラゴン「おお、逆回転……コイツ賢い」
ボンゴレ「わー!わー!見ました!?寝返り!寝返り打ちましたよ!!」
ドラゴン「……え、うん……それが?」
ボンゴレ「感動が薄いっ!!」ガーン
165 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/23(土) 22:32:12.56 ID:Ju4yvznM0
ボンゴレ「成長したって事ですよー!今まで寝返り打った事なかったでしょー!?」
ドラゴン「え、こういうのも成長なのか……?」
ボンゴレ「足腰がしっかりしてきたって事ですよ!いやーめでたいっすねー。この分だと案外すぐに歩けるようになるかもしんないっすよー」ニコニコ
ドラゴン「成長……そうか……何てことはない日々が続いてると思ったけど……コイツ、いや……この子は成長しているんだな……」
166 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/23(土) 22:40:58.91 ID:Ju4yvznM0
ボンゴレ「しかし、寝返り打てるようになったって事は、この子のベッドも何とかしないとですねー」
ドラゴン「石の上に藁置いて毛布敷いてるだけだもんな……柵みたいなの作らないと駄目か?」
ボンゴレ「そうですね。ちょっと可哀想かもですけど、転がってどっか行かないようにしないと……」
赤子「う〜〜…………」プルプルプル……
ドラゴン「?……何だ?」
ボンゴレ「ほえ?」
167 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/23(土) 22:44:58.68 ID:Ju4yvznM0
赤子「だっ!だっ!だっ!」
ゴロゴロゴロゴロ!!
ドラゴン「うおおおおおいお前っ!出てるっベッドから出てるッ!!」
ボンゴレ「きゃあああああああ!!!だだだ、大丈夫っすかぁぁっ!?硬い地面で怪我ぁぁぁああ!!!」
ワーキャー!!
168 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/23(土) 22:49:33.30 ID:Ju4yvznM0
赤子「きゃっきゃっきゃ!あははっ!」ニコニコ
ボンゴレ「も〜〜、寝返り打てるのが楽しいのかもしんないっすけど、無茶しないで下さいよっ!」ギュッ
ドラゴン「うわーすげえ笑ってる……タフだなーこの子」
ボンゴレ「あっ!けどオデコから血ぃ出てます!ど、ドラゴンさん!白魔法で治してあげてくださいっ!」
ドラゴン「何で泣かないんだこの子……」
169 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/23(土) 22:54:24.80 ID:Ju4yvznM0
ドラゴン「『汚れを知らぬ私のこの手に、貴方の痛みを預けておくれ。傷ついた戦士達の身体に、私の優しさを与えておくれ』……」ブツブツ
シュウウ……
赤子「おおー……」パチクリ
ボンゴレ「良かったー。綺麗に治りましたねー」ホッ
ドラゴン「あーしんど」ハァー
ボンゴレ「それにしても、相変わらず鮮やかっすねー。アタシもそういうの使えたらいいんすけど」
ドラゴン「白魔法と黒魔法の二色魔法は、めっちゃ魔力使うからおすすめはしないぞ……」
ボンゴレ「あ、そうなんすか?」
ドラゴン「自然にあるマナと自分の魔力を練らず、自分自身の魔力だけを使って唱えるからな……っていうか、魔法の基本だろ」
170 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/23(土) 22:57:04.02 ID:Ju4yvznM0
ボンゴレ「ゴーレムになってから魔法の基本とか色々忘れちゃったんですよねー。あぱー本当大変だー」
ドラゴン「……まあ、覚えてる事があるだけでも異常っちゃ異常だけどさ。……それにしてもこの子、だいぶたくましくなったな」
赤子「あいっ」ニコッ
ボンゴレ「最近はオークのお父さん達の顔見ても泣かなくなりましたしねー。お父さん達喜んでましたよ」
ドラゴン「あーそういえば……ちょっと前までびーびー泣いてたな」
ボンゴレ「ふふふ……それでこそ未来の魔王っすね!!」
ドラゴン「お前まだそんな事言ってんの?」
171 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/23(土) 22:59:40.13 ID:Ju4yvznM0
ボンゴレ「当然っすよー!全ての魔物の頂点に立つ、最強の者っ!そんな子の育ての親とかテンション上がるじゃないっすかー!!」
ドラゴン「いや、全然」
ボンゴレ「ちぇー、ノリ悪いっすねー。魔王とか強さとか、そういうの興味ないんすか?」
ドラゴン「興味っつーか、ここは魔王の支配下じゃない土地だからな。疎いんだよそういうの」
ボンゴレ「ああ、なるほど……」
172 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/23(土) 23:10:14.36 ID:Ju4yvznM0
ボンゴレ「支配下じゃないって珍しいっすよね。近頃はどいつもこいつも魔王軍の配下じゃないすか?」
ドラゴン「だな。あんなのの何がいいんだか……」ハァー
赤子「……あい?」ピクッ
ボンゴレ「配下になれば魔王のネームバリューで色々お得っすよー?名が売れて上の地位まで行くと領地とかもらえるらしいですしー」
ドラゴン「その代わりに人間の町侵略したり、勇者と戦ったりしないといけないんだぞ。面倒くせぇ……嫌だわそんなん」
173 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/23(土) 23:12:09.61 ID:Ju4yvznM0
赤子「あいっ!あいっ!」パタパタ
ボンゴレ「しかし、支配下にない土地でしたら……魔王軍が侵略しに来てもおかしくないっすよねー」アハハー
ドラゴン「ねーよ。無い無い。魔王城がある北の果ての不毛大陸からここまで、どんだけ離れてるんだっつの」ワハハー
ボンゴレ「ですよねー!」ニャハハー
赤子「あぶー……あい、あいっ!」グイグイッ
ドラゴン「……さっきから騒がしいな。どうした?」
ボンゴレ「んー?外見てどーしたんですかー?今日のお天気でも気になります……か……?」
ピタッ
174 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/23(土) 23:16:10.20 ID:Ju4yvznM0
飛竜「「「グオオオオオオオオオオオオオ」」」
オオオオオオオオオオオオ!!!
ビリビリッ!
ボンゴレ「!!?……なんっ……!?」キーン!
ドラゴン「!!……わ、『飛竜』(ワイバーン)!?」
赤子「ふえ……うええええーんっ!!!」ビエー!
ドラゴン「!!……ボンゴレ、その子連れて洞窟の奥行ってろ」
ボンゴレ「え!?でも……」
175 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/23(土) 23:18:56.07 ID:Ju4yvznM0
ドラゴン「怖いもん知らずのそいつが泣いてんだぞ。……マズいかもしれん。っていうか、実際マズい」
ボンゴレ「ま、マズいって……!!」チラッ
ゴオオオオオ……
ボンゴレ「……あの飛竜(ワイバーン)、何ですか?旗みたいなの、掲げてますけど……」
ドラゴン「……あの旗に書かれてるのは……魔王軍の紋章だ」
ボンゴレ「ほわっ!?」
176 :
◆eUwxvhsdPM
[sage saga]:2020/05/23(土) 23:20:41.02 ID:Ju4yvznM0
今回はここまでです
自分がイメージイラスト描いた時は別にメーテル似てなかったんですが、
「服装はメーテルみたいな感じ」と注釈入れたらめっちゃ寄りました
絵上手い人ってすごい
177 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/05/24(日) 14:23:08.88 ID:h5fVg6WS0
赤ちゃん名前つけないのかな
178 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/25(月) 20:43:38.16 ID:nSxxkBfU0
飛竜「グオオオオオオオオオオオオオ!!!」
ゴオオオオオ
ボンゴレ「あの飛竜……もしかして、上に誰か乗ってます?」
ドラゴン「奥行ってろっての」
179 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/25(月) 20:45:50.52 ID:nSxxkBfU0
タンッ
ヒュウウウ……
ボンゴレ「?(何かが飛竜から落ちて――……いや!『降りて』きている!?)」
180 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/25(月) 20:48:08.18 ID:nSxxkBfU0
スタンッ!
ドラゴニュート娘「…………」
ザッ!
ボンゴレ「!!(な、なんちゅー足腰……あんな高い所飛んでる飛竜から飛び降りて、無傷っすか!?)」
赤子「うえええ……」ヒックヒック
181 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/25(月) 20:50:45.93 ID:nSxxkBfU0
ドラゴン「……竜人族か。一体何の用だ?」
ドラゴ娘「…………貴様がこの辺りを治めている、ドラゴンか?」キリッ
ドラゴン「ああ……お前は魔王軍のやつか?」
ドラゴ娘「そうだ。ドラゴン……貴様の事は音に聞いているぞ 。幾千万の呪文を唱え、大空を舞う絶対強者、と……」
ドラゴン「やめてなんかそれ恥ずかしいんだけど」
182 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/25(月) 20:53:10.80 ID:nSxxkBfU0
ドラゴ娘「私は魔王軍四天王の一角、火の『明星』ドラゴニュートだ」
バン
ボンゴレ(し、してんのー!?)アパアパ
ドラゴン「あー……四天王変わったんだ。前はオーガじゃなかった?」
ドラゴ娘「フン、奴は所詮力だけの雑魚……殺すのは容易かったわ」
ドラゴン「あ、そう……」
183 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/25(月) 20:58:55.01 ID:nSxxkBfU0
ドラゴ娘「先代の火の四天王を殺した時、私は思ったのだ……魔王軍は腐敗し、弱さという毒に侵されていると」
ドラゴン「……そりゃ熱心な事で……」
ドラゴ娘「私は考えた。……どうすれば魔王軍を、元のような強き集に変えられるか、とな。……そこで、思い当たったのが貴様だ」
ドラゴン「……いや、いきなりすぎますし……意味がわからん」
184 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/25(月) 21:04:56.19 ID:nSxxkBfU0
ドラゴ娘「とぼけるのもいい加減にしたらどうだ?……元・魔王軍四天王。火の『覇者』ドラゴン」
ドン
ドラゴン「…………」
185 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/25(月) 21:12:50.45 ID:nSxxkBfU0
ボンゴレ「うえええええええええ!!?」
赤子「あぱー?」
バーン!
ドラゴ娘「……何だ、貴様は」ギロリ
ドラゴン「洞窟の奥行ってろってお前」
ボンゴレ「い、いやいやいや……え、ドラゴンさんが元四天王?……はい?」
ドラゴン「100年以上昔の話だぞお前……あん時は若くてちょっと調子乗ってたし。結構黒歴史なんだよ」
ドラゴ娘「黒歴史?……歴代最強の四天王と呼ばれるのがか?」
ドラゴン「ああそうだよ。恥ずかしいわ」
186 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/25(月) 21:16:42.11 ID:nSxxkBfU0
ドラゴ娘「……フン、腑抜けたな。ドラゴンよ」
ドラゴン「……」
ドラゴ娘「貴様を我が魔王軍の配下へ加え、100年前の地獄を世に見せつけようと考えていたのだがな……」
ドラゴン「そりゃご愁傷様。お断りだ」
ドラゴ娘「……見た所、あいつらが……今の貴様の拠り所か?」スッ
ボンゴレ「へ?」
赤子「あい?」
187 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/25(月) 21:20:41.91 ID:nSxxkBfU0
ドラゴン「拠り所っつーか……なんか、成り行きで?」
ドラゴ娘「……歴代最強と言われた貴様が、人間の赤子なんぞを育てているとは」
ドラゴン「成り行きだよ、成り行き」
ドラゴ娘「残念だ……弱くなった。貴様、魔物としての誇りを何処へ失った?」
ドラゴン「おい待て、弱くなった?誇り?……お前なあ……」
188 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/25(月) 21:24:08.38 ID:nSxxkBfU0
ドラゴン「夜中に泣き止まないから背中に乗せて山ん中散歩したり……」
ドラゴン「風邪引いたから全速力でドライアドの所まで薬草貰いにいったり……」
ドラゴン「教育のため、この俺ともあろうモンがメシのたびにわざわざ風魔法使って、ナイフとフォーク浮かせてきちんとしたテーブルマナーで食事したり……」
ドラゴン「不慣れながらもくっせぇオムツ替えたり……」
ゴゴゴゴゴゴ……
189 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/25(月) 21:29:32.91 ID:nSxxkBfU0
ドラゴン「本当に弱くなってたら――……んな事誰が出来るかぁぁぁああ!!!」カッ!!
ドッゴォ――!!!
ドラゴ娘「なっ、炎!?くっ!!」バッ!
ズッドォ――ッ
ドラゴン「魔物のプライドや誇りなんざで赤ん坊が泣き止むかぁぁあああ!!」ボウー!!
ボンゴレ「ちょーちょちょちょ!!ドラゴンさん火ぃ吐くのやめて下さいっ!山に燃え移りますってばぁっ!」
190 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/25(月) 21:35:00.58 ID:nSxxkBfU0
シュウウ……
ドラゴ娘「……ハァ、ハァ!こ、この威力……!!」
ドラゴ娘(火の高位魔法と同程度のものを、詠唱・溜め無しで、だと……!?)
ドラゴ娘「……名剣・『竜殺し(ドラゴンキラー)』で受けなければ死んでいたな……!」
ザッ!
ドラゴ娘「……面白い。衰えてはいないという事か……!!」
191 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/25(月) 21:43:49.13 ID:nSxxkBfU0
ドラゴン「よーしボンゴレ、ちょっと待ってろよ」
ボンゴレ「はい?」
赤子「う?」
ドラゴン「今日の晩飯はドラゴニュートの丸焼きだ」
ボンゴレ「いやいやいやいや……魔物食べるのはアタシ嫌なんですけど」
ドラゴ娘「……殺る気という訳か。覇者・ドラゴン」ギロリ
ドラゴン「お前が帰らねえなら、そういう事になるな。……っていうか俺はドラゴニュートが気に入らねぇんだ。二本足で歩けりゃエラいのかよ」
192 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/25(月) 21:46:57.14 ID:nSxxkBfU0
ドラゴ娘「良かろう。ただし、私が勝利したなら……私の配下についてもらうぞっ!!」
ダッ!
ドラゴン「寝言は寝て言え」ヒュッ
ガキィン!!
193 :
◆eUwxvhsdPM
[sage saga]:2020/05/25(月) 21:48:14.36 ID:nSxxkBfU0
今回はここまでです
赤ちゃんの名前はとりあえずつけるつもりはなく、
作中では名前で呼ばれてるみたいな感じで
194 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/05/26(火) 13:15:41.47 ID:GAasSR6Z0
ボンゴレが子育てにくわしい 経験者なのだろうか
そろそろ数年後……みたいに時間を飛ばすのかと思ったらそんなことはなかった
どのくらい続けるのかな
195 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 21:06:15.10 ID:UsXsKinB0
ギギギ……!
ドラゴ娘「!?私の剣を尻尾で受け取めるとは……!!」ガギギッ
ドラゴン「痛たたた!『竜殺し(ドラゴンキラー)』じゃねーかこれ!!」ブン!!
ザザッ!
ドラゴ娘「くッ!?(切り落とすつもりだったが……弾かれた!?)」
ドラゴン「なんで竜人がドラゴン特効の武器持ってんだよ……ウロコちょっと切れたぞこの野郎」
196 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 21:10:59.35 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「一太刀目から予想外だな。……何故効かない?」
ドラゴン「いや効いてる効いてる。見て尻尾から血ィ出てるから」
ドラゴ娘「……この剣は、勇者が祭壇で手に入れた伝説の剣を、ドワーフによって打ち直させ、教会の祝福を重ねた剣だぞ……!」
ドラゴン「マジでなんでそんなヤベー武器持ってんだよ……普通にキくからやめろや」
ドラゴ娘「……効いてる割には余裕だな」
ドラゴン「まあ……真面目に俺を殺したけりゃあ、光の勇者を連れてくるべきだろうよ」
197 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 21:15:03.31 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「フン!ならばこれならどうだッ!?『火精サラマンダーよ!我の下に集いて奇跡を呼び起こしたまえ!』」ゴウッ!
ドラゴン(火魔法?別にそのくらい……)
198 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 21:17:49.29 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「『明けの明星・血に濡れた同胞・復讐に燃ゆる魂・刹那』――……」ペラペラペラ
ドラゴン(あ、やべ、あれ高位魔法だ……受けたら痛いし、弾き飛ばしたとして山に燃え移るの怖いな……っつかあいつ詠唱早いなー。あーどうしよ……)
ドラゴ娘「終わりだ!『――燃やし尽くせ!フレイム・ブラスト』!!」
ドゴウッ!
199 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 21:21:28.84 ID:UsXsKinB0
ドラゴン「『水精ウンディーネよ――』……『奇跡を――』……」
ペラペラペラペラペラペラ!!
ドラゴン「……『――守れ。ウォーター・ウォール』」
ザバアッ!!
ドラゴ娘「何ッ!?」
ジュオウッ!!
200 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 21:24:30.54 ID:UsXsKinB0
シュウウ……
ドラゴ娘「……く!」
ザッ!
ドラゴン(危ね、間に合わない所だった)タラリ
ドラゴ娘(……何故間に合うッ!?)ギリリッ
201 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 21:28:07.54 ID:UsXsKinB0
ボンゴレ「……ビックリするくらいアタシ空気なんですけど……なんか、実況とかした方がいいですかね?」
ドラゴン「隠れてろお前。危ないぞーこいつ結構強いわ」
ドラゴ娘「『結構強い』程度で済ますな!私は現・四天王だぞ!?」
ドラゴン「じゃあ……相当強い」ウン
ドラゴ娘「言い方の問題じゃあない!」
202 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 21:31:31.49 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘(こいつ……ふざけた態度を取っているが、実力は本物だ……私以上に早い呪文詠唱なんぞ、初めて見た……!!)ギリッ
ドラゴン「?……どうした?終わりかー?」
ドラゴ娘「っざけるな!まだ……」
ドラゴン「次、俺攻撃していいかー?」
ドラゴ娘「……な――……!?」
ドラゴン「すうー……」コオオオ……
203 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 21:34:54.24 ID:UsXsKinB0
ドラゴン「おりゃ」ゴオッ!
ドラゴ娘「うわあっ!糞っ!」ガガガッ!
ドラゴン「てーい」ボオッ!
ドラゴ娘「このッ……!!」ガガガッ!
204 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 21:39:14.06 ID:UsXsKinB0
ドラゴン「もういっちょ」グオッ!
ドラゴ娘「チッ!受けきれな――……!!」ガガガッ
ドラゴン「そーらよ」グオー
ドラゴ娘「待、待――……!!」プルプル……
205 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 21:42:41.11 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「待て貴様ぁっ!適当な感じで私の全力の火魔法レベルのを吐き出すな!!」バッ!
ドラゴン「はっはっはー。ドラゴニュートは残念だな。二足歩行で歩ける代わりに火を吐き出す事も出来んとは」
ドラゴ娘「貴様レベルの炎は普通のドラゴンでも吐けないぞ!?」
ドラゴン「元四天王ナメんなよ」
ボンゴレ「ドラゴンさん、それだけチートなのに何でこんな所いるんすか?」
206 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 21:53:00.92 ID:UsXsKinB0
ドラゴン「……確かに俺は自分でも驚くくらい、ただのドラゴンにしては、まあ強いよ。……つーか普通のドラゴンは喋る事すら出来ないし」
ボンゴレ「え、そこから?」
ドラゴン「けどな……そんな強さ持ってても、人間の勇者にゃあ中々勝てねえ。もしそいつに勝ったとしても、また強い勇者が現れる」
ドラゴ娘「……」
ドラゴン「最後にゃあ光の勇者のお出ましだ。キリが無ぇし、勝てる訳ねえ。……魔王の言う、人間を滅ぼして魔物の王国作るっつーのは、無理なんだよ……100年前によーくわかったんだ」
ドラゴ娘「…………」
207 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 22:00:29.22 ID:UsXsKinB0
ドラゴン「だからもう俺は争いたくねえ。ここでのんびり、暇つぶしにガキでも育てるのが性に合ってんだ」
ドラゴ娘「……」
ドラゴン「わかったら帰れ。……悪いけど、お前の強さはだいたい理解した。このまま戦うなら、本当に丸焼きにするぞ」
ドラゴ娘「……だ、黙れ」
208 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 22:04:35.45 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「私は……現・魔王軍四天王だぞ。尻尾を巻いて逃げ出した貴様とは違う」
ドラゴン「逃げ出したっつーか……まあそうだけどさ」
ドラゴ娘「そんな貴様に……私は負ける訳にはいかないのだっ!!」
ブワッ!
ドラゴ娘「『他者を愛せぬ私の右手で、貴方の心を貫こう!全てを傷つける貴方の牙が、私の左手に食い込もうとも』――……!!」
ゴゴゴゴゴ……
209 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 22:08:25.31 ID:UsXsKinB0
ボンゴレ「こ、この詠唱……もしかして、黒魔法!?」
ドラゴン「お前は俺を殺す気か」
ドラゴ娘「貴様を超えるためならば……何だってしてやる!!」
ドラゴン「あーもー何なんだよコイツはー」
ゴゴゴゴゴ……
赤子「ふ、ふえ……」
210 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 22:14:01.13 ID:UsXsKinB0
ドラゴン(避けて赤ん坊に当たりでもしたら最悪だ……けどまともに受けたら死ぬよなぁ。白魔法で相殺出来るか?……やった事ねえ。一か八かになるか)
ゴゴゴゴゴ……
ドラゴン「こっちも全力で止めるぞ。『汚れを知らぬ私のこの手に、貴方の痛みを預けておくれ。傷ついた戦士達の身体に、私の優しさを与えておくれ』――……!!」
ドラゴ娘「遅いッ!終わりだ!『デス・――……」
211 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 22:16:03.40 ID:UsXsKinB0
赤子「ふ……うえええええーん!!!」
ビエー!
ドラゴン「あ、ちょっとタイム」
ドラゴ娘「――ブレイド・――……』……は?何?」
ドスドスドス……
212 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 22:19:35.12 ID:UsXsKinB0
ドラゴン「おーよしよし泣くな泣くな。ほーら風魔法で高いたかーい」ブワッ
赤子「えーん!えーん!!」ビヤー!
ボンゴレ「いないいなーいあぱー!足をすぽーん!」カポッ
ドラゴン「お前はもっと笑わすネタねえのかよ」
ボンゴレ「何をー!?ドラゴンさんだって高いたかーいしかないじゃないすか!」
ドラゴン「花火・水芸・土の揺りかごに火吹きも出来るぞ」
ボンゴレ「あぱー、何気に多様性がすごいー」
ドラゴ娘「……ま、待てドラゴン、貴様……!!」ワナワナ
213 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 22:22:40.93 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「私を舐めているのか!?勝負の最中に何をしているーっ!?」ジタバタ
ドラゴン「いや、だって子供が泣いたし……」
ドラゴ娘「ふ!ざ!け!る!なっ!!」ジダンダッ
ボンゴレ「ドラゴンさん、泣き止ますの上手くなりましたよねー」
ドラゴン「俺だって毎日成長してる訳だなー」
赤子「あぶ……えへへへへ……きゃっきゃっ!」ニコー
ボンゴレ「あー良かった。やっぱこの子には笑顔があってますね」
ドラゴン「ん……そうだな」
214 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 22:26:00.24 ID:UsXsKinB0
ドラゴン「よっしゃ、タイム終了ー。今どんな感じだっけ」
ボンゴレ「ええーと、ドラゴニュートさんが黒魔法唱えてた所だったような」
ドラゴン「ああそうだった。よっしゃもっかい撃ってこい。今度は受けたる。なんとかそらしたらいける気がする」バッチコーイ
ドラゴ娘「……どう考えてもそんな空気じゃあないだろう……!!」ワナワナ
215 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 22:29:20.97 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「貴様は……貴様という奴は……本当に腑抜けている。どうしようもないくらいに……!!」
ドラゴン「腑抜けてる言われてもなあ……」
ドラゴ娘(……しかし、そんなコイツに、私は……本気で戦ってすらもらえない。……それが今の私の実力、か……!!)
216 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 22:33:06.18 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「……貴様のような奴は産まれて初めてだ。……本当に腹が立つ」
ドラゴン「……なんかごめんなさい」
ドラゴ娘「貴様のような腑抜けを……腑抜け中の腑抜けで、腑抜けを腑抜けで煮込んだような奴を連れて行った所で、箸にも棒にもかからんわ。この……腑抜けが!!」
ドラゴン「腑抜け言い過ぎだろ。流石に傷付くぞ」
ドラゴ娘「……糞!貴様が腑抜けでなければ……魔王軍はもっと……!!」ギリッ
ボンゴレ「……あのー、ですね。ドラゴニュートさん」
ドラゴ娘「……何だ、骨女」
217 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 22:35:47.29 ID:UsXsKinB0
ボンゴレ「大丈夫です!あと数年……数十年ほど待ってくれれば」
ドラゴ娘「……何だと?何の話だ」
ボンゴレ「その頃にはこの子、すっごく強くなって……魔王になってますから!」
バン!
赤子「……あぱ?」
218 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 22:37:33.03 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「……何を言ってるんだこいつは」
ドラゴン「すまん、こいつ脳まで骨なんだ」
ボンゴレ「ちーがーいーまーすー!ドラゴンさんを渡して魔王軍強くするのは無理ですけど、将来この子を強く育てて、魔王にして、魔王軍を強くさせるって話ですよ!」
赤子「あいー」
219 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 22:40:33.40 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「……冗談にしては笑えんな」
ボンゴレ「冗談じゃないっすもん!」
ドラゴ娘「……本気で言っているのか?貧弱な人間の子供を……私よりも強く、全ての魔物の頂点に立つ……魔王にすると」
ボンゴレ「はいっ!」
赤子「あいっ」
ドラゴ娘「……フフフ……ハハハ……」
220 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 22:42:45.99 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「ハハハハ!面白い!冗談ではないからこそ、面白いな……」
ボンゴレ「むっかー!結局笑うんじゃないすかー!」プンスカ
ドラゴン「どうどう、落ち着け」
ドラゴ娘「……フフ、人間の子が、魔王に……か」
221 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 22:44:54.47 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「その泣き虫の赤ん坊が、どう育つのか……少し、興味がわいた」
ボンゴレ「!」
ドラゴン「……」
ドラゴ娘「……腑抜けた貴様がその子をどう育てるか……期待しているぞ。ドラゴン」
ドラゴン「……ああ。腑抜けが育てたとは思えんくらいにしてやるよ」
ドラゴ娘「……フン」
ザッ!
222 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 22:46:44.83 ID:UsXsKinB0
飛竜「オオオオオオ……」バサアッ!
ヒュウウウ……
ドラゴン「……行ったか。フウ……誰も怪我しなくて良かった」
ボンゴレ「さーてと!四天王に大見得を切っちゃったんだし!これから忙しくなりますよー!」
ドラゴン「……」
223 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 22:47:57.37 ID:UsXsKinB0
ボンゴレ「やっぱり魔法はある程度使えるようにしたいでしょ?剣術だって教えないといけないし……あ!魔王だったら頭も良くないとダメですよね……そういうのって小さい時から教えないといけないのかなー……」ウーン
ドラゴン「……なあ、ボーンゴーレム」
ボンゴレ「なんすか?アタシ今この子の育成方針で考え中なんすけどー」
ドラゴン「いや、あのな。これ常識だと思ってたんだど……」
224 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/27(水) 22:48:55.00 ID:UsXsKinB0
ドラゴン「魔王って基本、世襲制だぞ」
ボンゴレ「…………えっ」
ドラゴン「『えっ』ってお前……」
赤子「あぱー……」
…………
225 :
◆eUwxvhsdPM
[sage saga]:2020/05/27(水) 22:49:43.97 ID:UsXsKinB0
今回はここまでです
226 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/05/27(水) 23:12:26.50 ID:+yCZEKqT0
乙。
227 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/05/28(木) 01:14:12.08 ID:qIwvOHTh0
つまり魔王の娘だか息子だかと結婚させればいいんだな
228 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/05/28(木) 01:37:53.13 ID:rGYtKP4j0
マジで魔王目指す流れになるのか
229 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/05/29(金) 08:36:44.77 ID:UBwcMlBuO
基本は世襲なら
世襲出来ないように一族郎党根絶やしにして
魔王になれば良いじゃない
230 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 19:52:46.47 ID:zVCWflUA0
…………
テコテコ……
ボンゴレ「こんにちはーっ、母オークさーん」ヒョコッ
赤子「あーいー」
母オーク「あら、ボーンゴーレムちゃんじゃあないか。おっぱいかい?」
赤子オーク「ぷぎ?」
ボンゴレ「はいー。少し飲ませてあげてもらえますかー?」
母オーク「おーよしよし、さぁおいでー」ギュッ
赤子「んー……」チュウチュウ
231 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 19:59:34.07 ID:zVCWflUA0
母オーク「この子も大きくなったねぇ。もうだいぶ離乳食を食べるようになったんじゃないかい?」
ボンゴレ「そうですねー。おっぱい頂くのも、もうそろそろ終わりになりそうですねぇ」
母オーク「そうかい。それは寂しくなるねぇ……」
赤子「んー……」チュウチュウ
ボンゴレ「いえいえ、今まで無理言って甘えてすみませんです」
母オーク「なんの、子供の一人や二人増えた所で変わんないよ!」
232 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 20:04:21.31 ID:zVCWflUA0
ボンゴレ「オークの赤ちゃんも大きくなりましたねぇ。いないいなーい、あぱー!」ベー!
赤子オーク「きゃっきゃっ!」ニコニコ
ボンゴレ「うんうん!目鼻立ちとか母オークさんに似てきましたねえ。美人さんになりますよーこの子も」ニコニコ
母オーク「そういやボーンゴーレムちゃん、あんたおんぶ紐持ってるのかい?こうしておんぶしてたら家事とか楽だよ?」
ボンゴレ「あぱー、持ってないですねぇ。こーいうのって下の人間の町で買えますか?それとも革をより合わせて作る感じですかねぇ」
母オーク「いいよいいよ!このくらい何本も余ってるからさ!……おーいアンター!奥におんぶ紐置いてなかったかーい!?」
233 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 20:09:49.06 ID:zVCWflUA0
ノソノソ……
父オーク「おう、これか?……んん?なんだボーンゴーレムちゃん。来てたのか」ノソッ
ボンゴレ「どうもお邪魔してます、父オークさん」ペコリ
父オーク「おー坊主も一緒かー。いないいなーい、オラー」クワッ!
赤子「きゃっきゃっ!」ケラケラ
ボンゴレ「よく笑えるなぁこの子……鬼のような形相なのに」
母オーク「アンタ!この子は女の子だって何回言わすんだい!坊主じゃないよ!」
父オーク「カタい事言うない……俺ァ男子が好きなんだ」ブスッ
234 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 20:14:04.92 ID:zVCWflUA0
母オーク「またそんな事言って……ちょいと聞いとくれよボーンゴーレムちゃん。この人ったらウチの上の娘にデレデレでねえ。一人部屋のほら穴掘ってほしいって言われて、ウチのリビングなんかより大きな穴掘っちゃって!」
父オーク「うるせーぞ母ちゃん!ベラベラうちの事喋るない!」
ボンゴレ「あ、あはは……まあ娘さん可愛いですもんねぇ。優しくなっちゃうのもわかりますよー」
父オーク「うん、母ちゃんに似たんだ」ニコニコ
母オーク「恥ずかしい事言うんじゃないよアンタは!」バシッ!
235 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 20:19:34.50 ID:zVCWflUA0
母オーク「娘が可愛いのはわかるけどねえ、息子の方も可愛がってあげなよ。上のお兄ちゃんはともかく、下の三人はまだ小さいんだから」
父オーク「男はみんな戦士だ。可愛がるなんてバカ言っちゃいけねえよ……お前も男だったらなあ。立派なオークの戦士に育てたっていうのに……」
赤子オーク「ぷいー?」
父オーク「ちくしょう、母ちゃんに似て可愛いなあコイツも」
母オーク「バカな事ばっかり言ってんじゃないよアンタは!」バッシィー!
父オーク「いちち、母ちゃん年々力強くなってるぜ……」
236 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 20:28:13.20 ID:zVCWflUA0
ボンゴレ「下の男の子達三人は、今何してるんですか?」
父オーク「戦士の特訓だ」
母オーク「向こうの丘で、お兄ちゃん達三人と遊んでもらってるよ。上三人は三つ子でねえ、今15かそこいらなんだけど、下の年子の三人の良い遊び相手だよ」
ボンゴレ「本当、大家族ですね。お兄ちゃん三人に6歳のお姉ちゃん、5歳から3歳までの弟に、今年産まれた妹ちゃん……」
父オーク「たまに誰が誰だかわからんくなるんだ」ガハハ
母オーク「こんだけ産んだんだから、ちょっとは家事の手伝いして母ちゃんに楽させて欲しいもんだよ!」
237 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 20:33:54.66 ID:zVCWflUA0
父オーク「バカ言うない、女は家庭を守って、男は戦士になるんだ」
母オーク「はいはい古臭い考えだよ。戦士ったって、遊んでるだけじゃないか」
父オーク「ああいう遊びを通じて戦士へ成長していくんだよ」
ボンゴレ「……その遊びって、そのー……強くなるんですか?」
父オーク「うん?」
238 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 20:41:43.83 ID:zVCWflUA0
父オーク「ああ。上三人には子供の時からみっちり俺が剣術やら斧での戦闘やら教え込んどるからなぁ。……あいつらがやってるのは戦いごっこだが、オークの子供は年上から叩きのめされて成長していくんだ」
母オーク「上三人もお隣さんの子に昔っからよくいじめられてねぇ。よくタンコブ作って帰って来たもんだよ」
父オーク「その痛みがあればこそ、俺のような立派なオークになれるんだよ」ムキッ
母オーク「はいはい、アンタいつまでも家でゴロゴロしてないで、晩御飯何か獲ってきな」
父オーク「……母ちゃんには勝てねえぜ」ノソノソ……
239 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 20:44:39.10 ID:zVCWflUA0
ボンゴレ「うーん……そういうのって何歳くらいからやるもんなんですかねー?」
母オーク「なんだいボーンゴーレムちゃん、オークの子育てに興味あるのかい?」
ボンゴレ「いや、アタシこの子を強く育てたいんですよ」
赤子「あう?」
母オーク「……女の子だろう?この子。別に強く育てなくったって……」
ボンゴレ「そうはいきません。アタシはこの子を魔王にするんですからっ!」フンスッ
240 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 20:49:13.71 ID:zVCWflUA0
母オーク「あーあー、前に四天王だか何だかが来た時に約束したんだったか。うーん……けどねぇ、魔王ったって……」
ボンゴレ「……難しいですかね?」
母オーク「オークってのは身体が強くてね。子供ん時から大怪我したって数日経てばケロッとしてるもんさ。だからあたしも安心して無茶な事やらせて、結果として強く育てちゃいるが……人間の、しかも女の子ってのは弱いからねえ……」
ボンゴレ「うーん……」
241 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 20:55:09.59 ID:zVCWflUA0
母オーク「まあ、まだ赤ん坊なんだしそんな先の事考えたってしょうがないさ!いい年になったらウチの子と遊ばせて、色々教えてもらったらいいだろ!」
ボンゴレ「ありがとうございます。色々迷惑かけますねぇー」
母オーク「ご近所付き合いなんて迷惑かけてナンボさアンタ。ああけど、ウチの娘とも遊ばせてもらっていいかい?」
ボンゴレ「え?」
242 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 21:01:27.40 ID:zVCWflUA0
母オーク「ウチは男だらけだからねぇ。ウチの娘、その子が来た事で妹がもう一人出来たみたいだって喜んでんだよ。強く育てるため息子と遊ばせるのもいいけど、たまには娘とも遊ばせてやっとくれ」
ボンゴレ「ええ、必ず。……ふふっ、まーだちっこい赤ちゃんなのに、将来の予定はぎっしりですねー?」
赤子「あうー?」
母オーク「ははっ、せわしない事だよ!」
アハハハハ……
…………
243 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 21:15:58.38 ID:zVCWflUA0
…………
テコテコ
ボンゴレ「ただいま帰りましたーっ」
赤子「あーい」
ドラゴン「おかえりー……遅かったな。なんかあったか?」
ボンゴレ「いえいえ。ちょっと母オークさんと話し込んじゃっただけですよー」
ドラゴン「そうか。母オークさんの話は勉強になるからなぁ。……狩り行ってきたぞ。野生化した馬がいたから一匹とってきた」
ボンゴレ「おっと、じゃあ血抜きしないとですねー」
244 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 21:19:47.05 ID:zVCWflUA0
ボンゴレ「よっこい、しょっ……っと。うひー、でっかいっすねーコイツ」グイッ
ボタボタ……
ドラゴン「母オークさん、何か言ってたかー?」
ボンゴレ「色々お話しましたけどー……あ、この子の子育て方針についてちょっと相談しまして」
ドラゴン「……強く育てるには、か……」
ボンゴレ「そうっすよ。ドラゴンさんあんまり乗り気じゃないっすねー」
245 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 21:23:25.01 ID:zVCWflUA0
ドラゴン「いや、別にそういう風に育てたいなら協力はするが……うーん……」
ボンゴレ「何すかー?何か言いたいことあるんすかー?」
ドラゴン「えっと、あのな……」
……バタバタバタ!
ドラゴン「……ん?」
ザザッ!
ミノ娘「……はぁ、はぁ!ど、ドラゴンにボーンゴーレム!赤ちゃん!無事なのかよっ!?」
246 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 21:30:58.00 ID:zVCWflUA0
ボンゴレ「あぱー?ミノタウロスさん、どうしたんすか?息切らして」
ミノ娘「た、旅先で……四天王が南の山のヌシを襲ったって聞いたから、急いで戻って来たんだよ!!」
ドラゴン「お前それ結構前の話だぞ」
ミノ娘「ううう、うるせえっ!これでも全速力で帰って来たんだぞ!赤ちゃんは!?」
ボンゴレ「怪我一つありませんよ。ほーら抱いてもらいまちょうねー」
赤子「あーいっ♪」ヒシッ
247 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 21:34:33.58 ID:zVCWflUA0
ミノ娘「おっとっと、よしよし……おっ、結構重くなったな」
ボンゴレ「ミノタウロスさん、旅ってどこまで行ってたんですか?」
ミノ娘「ん?ああー大したもんじゃねえよ。ムックォーの山まで行ってただけだ」
ボンゴレ「遠っ!馬で10日はかかりますよ!?」
ドラゴン「お前、いい加減流浪の旅とかやめたらどうだ?いい歳だろ」
ミノ娘「いや、だから……婿探しに旅してんだよ」ボソッ
ドラゴン「あ、そう……」
248 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 21:37:35.01 ID:zVCWflUA0
ミノ娘「あそこに魔物の村があるって聞いたから行ってみたんだが、エルフの隠れ里だったよ……無駄足だ」ハァー
ボンゴレ「今時珍しいですね、隠れ里って」
ドラゴン「そうでもねえよ。人間と共存してるエルフもいるが、自然を好んで森に住むのが大多数だ……迷いの森に住んでる奴らもそうだろ」
ボンゴレ「あ、そういえば確かに……」
249 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 21:42:32.93 ID:zVCWflUA0
ミノ娘「って、おれの話はどうでもいいんだよ!四天王はどうだったんだ?戦ったんだろ?」
ドラゴン「いやまあ一応戦ったけど……どういう噂が広がってんだ?」
ミノ娘「四天王とドラゴンの総力戦で、始まりの町が壊滅状態だって聞いたけど……」
ドラゴン「尾ヒレ付きすぎィ!」
ボンゴレ「始まりの町って、下にある人間の町の事ですか?あんな所まで攻撃飛ばないっすよ遠い!!」
250 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 21:45:08.50 ID:zVCWflUA0
ドラゴン「平和ーにバシバシやりあって、平和ーにお帰りいただいただけだ」
ミノ娘「平和ってなんだよ」
ドラゴン「事実なんだが……」
ボンゴレ「向こうは殺す気で攻撃してたっすけどねえ……あ!そーですよ聞いて下さいよミノタウロスさん!」
ミノ娘「は?」
ボンゴレ「ふっふっふ……実はですねぇ、このドラゴンさん!今まで隠してたそうですが、何と!!……元四天王だったんですよ!ぱんぱかぱーん!!」
251 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 21:49:31.03 ID:zVCWflUA0
ミノ娘「あー……やっぱそうなんだ」
ドラゴン「うん」
ボンゴレ「反応が薄いっ!」ガビーン
252 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 21:52:54.27 ID:zVCWflUA0
ボンゴレ「なーんなんですかぁーもうー!もっと驚いて下さいよおっ!」プンスカ
赤子「きゃっきゃっ!」ニコニコ
ミノ娘「いや、旅してたら意外と元四天王ってのに会うんだよな……それにこいつが強いのは知ってるし」
ドラゴン「風の四天王は入れ替わり激しいからなぁ……まあ元四天王っていうの、嘘も多いけど」
ミノ娘「つーかお前、なんで四天王辞めたんだよ。こんな田舎の山ん中で暮らすよりよっぽど良い生活だったろ」
ボンゴレ「そ、そうですそうですそれですよっ!ドラゴンさん敵なしレベルで強かったんでしょ?いくら勇者達と戦うのが嫌だからって……」
253 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 21:58:21.26 ID:zVCWflUA0
ドラゴン「……自信、無くしてな」
ミノ娘「へ?」
赤子「あい?」
ボンゴレ「……『自信』?」
ドラゴン「……大昔の話だ。100年前……俺は魔王軍四天王として、遠征中……北の大地で人間の軍隊に出会い、不覚を取った……」
…………
254 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 22:02:31.80 ID:zVCWflUA0
…………
ワアアアアア……!!
「「「射て――ッ」」」
ヒュンヒュンヒュン!!
ドスドスッ!
255 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 22:06:29.18 ID:zVCWflUA0
オ オ オ オ オ オ
「やった!当たったぞ!!」
「覇者に深手を与えた!もっと弓を射て!!」
「死ね!ドラゴンめ!!」
ヒュンヒュンヒュン!
ドスドスッ!
「!!!……」ガフッ
256 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 22:10:46.80 ID:zVCWflUA0
ゴウッ!!
「「「ぎゃあああああ……」」」
「炎に怯むな、もっと射て!!」
「化物め!!この……悪魔めえっ!!」
ヒュンヒュンヒュン!!
ドスドスドスッ!!
「!……ぐ……」
バサッ!
257 :
◆eUwxvhsdPM
[saga]:2020/05/31(日) 22:14:28.42 ID:zVCWflUA0
バサッバサッ……
「逃げていくぞ!卑怯者め!」
「追え!殺せーっ!」
「見たか、人間の力!」
「万歳、ばんざーい!」
ウオオオオ……
…………
258 :
◆eUwxvhsdPM
[sage saga]:2020/05/31(日) 22:16:07.17 ID:zVCWflUA0
今回はここまでです
少し中途半端ですが……
259 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/06/01(月) 19:43:56.53 ID:garWUqKe0
量産型四天王…
260 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/06/02(火) 00:27:54.78 ID:d+3MRMg10
地位に固執して何でもやる四天王もほしい
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