絶対に笑ってはいけない勇者一行

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2 : ◆uw4OnhNu4k [saga]:2020/04/26(日) 18:19:17.38 ID:WwI9Uzsy0
勇者「三人とも無事か?」

僧侶「ええと、寝ぼけてるのか記憶があいまいで」

勇者「世界中の教会を破壊されて、俺たちの復活の力も失われただろ。満身創痍で魔王城に乗り込んで、それで……」

王様「おお勇者よ。世界中の教会を破壊されたとは情けない」

魔法使い「王様!?申し訳ございません、目が覚めたらどういう訳かここに転送されていて……」

王様「おお魔法使いよ。事態を把握できていないとは情けない」

僧侶「王様、一体どういうことでしょう?復活の力は魔王の手によって失われたはずでは……」

王様「おお僧侶よ。失われてしまうとは情けない」

戦士「……むーう。さっきからなんでござるか」

王様「おお戦士よ。今目覚めるとは情けない」

魔法使い「ふふwww」

僧侶「ちょっと!王様の前で失礼ですよ!」

魔法使い「だって!!さっきから王様がおっしゃってることがおかしくて……」

デデーン 魔法使い アウトー

魔法使い「……えっ?」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 18:20:36.11 ID:WwI9Uzsy0
魔法使い「なになに!?今の音なに!?」

僧侶「魔法使いさん!後ろ!!」

魔法使い「誰こいつら……痛っああああああ!!?」

魔法使い「お尻叩かれたわ!!敵!?」

勇者「全身黒い衣装。兵士か?」

ガチャ……

姫「いいえ。彼らは兵士ではありません。『罰』そのものです」

魔法使い「姫様!?一体これはどういう……」


姫「参加者は絶対に笑ってはいけません。笑ってしまった場合、笑ってしまったことに対しての罰を受けるのです」

4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 18:21:57.07 ID:WwI9Uzsy0
姫「さっそくですが、あちらのボックスにお入りください。衣装に着替えていただきます」

戦士「衣装?お言葉ですが姫殿、冒険は遊びではござらぬ。装備を貧弱なものに変える訳にはいかぬ」

魔法使い「私も事態を把握できていません。魔王城に到達してからの記憶が曖昧です。どうしてこの城下町に転送されたのでしょう?」

僧侶「もしも私たちが復活したというのであれば、それもおかしな話です。全国の教会が破壊し尽くされた今、勇者一行のパーティーといえど戦闘に敗北したら復活できないはずでは」

勇者「姫様は僕たちに何が起きたか、事情をご存知で……」

姫「FUCK YOU!!ぶち殺すぞゴミめら!!!世間はお前らの母親ではない!!!」

デデーン 勇者 魔法使い アウトー
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 18:22:48.33 ID:WwI9Uzsy0
勇者「ご乱心ですかwww」

魔法使い「笑っちゃだめよww」

勇者「こ、こいつらまた……痛っ!!!?」

魔法使い「キャッ!!!」

戦士「なんという手際の良さ。尻を叩く動きに一瞬の無駄もなかった」

僧侶「フー……危ないところでした。笑うと叩かれてしまうシステムのようですね」

姫「質問すれば答えが返ってくるのが当たり前か?バカがっ!いいから黙って着替えてこい!!」

戦士「逆らわぬ方がよさそうだ……」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 18:23:44.55 ID:WwI9Uzsy0
姫「みなさま、お着替えは済みましたかね。それでは魔法使いさんから出て来て頂けますか」

……ガチャ

魔法使い「なによ、このピンクのフリフリドレス!絵本の魔法少女じゃないんだから。すっごい恥ずかしいんだけど」

姫「それでは、僧侶さん。どうぞ」

……ガチャ

僧侶「……どうも」

魔法使い「なんで全身にお鍋の蓋を身に付けてんのよwwwwお尻のとこだけ蓋ついてないしwww」

僧侶「魔法使いさんこそ少女みたいな格好をしてwww一応私は皮のドレスも着ていますからねwww」

デデーン 魔法使い 僧侶 アウトー

魔法使い「やば……キャっ!!」

僧侶「や、やだ!!怖い!!……イタっ!!!?」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 18:25:43.95 ID:WwI9Uzsy0
僧侶「イタタタ!!!これ痛すぎます!!!今すぐ回復魔法を!!」

魔法使い「待って!気持ちはわかるけど、この先何が起きるかわからないし、魔力は温存しといた方がいいわ」

僧侶「……そうですね。一理あります」

魔法使い「事態が把握できるまで様子を見ましょう」

僧侶「わかりました、笑わないように気をつけます。笑いさえしなければいいんですものね」

魔法使い「そういうこと」

姫「それでは戦士さん。出て来てください」

……ガチャ
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 18:31:25.89 ID:WwI9Uzsy0

戦士「…………」

デデーン 魔法使い 僧侶 アウトー

戦士「笑うでない!!」

魔法使い「まさかのバニースーツwww痛っ!!」

僧侶「屈強な肉体にピチピチに張り付いていますねwwwキャッ!!」

戦士「拙者はこれも羞恥に耐える鍛錬だと心得る!!己が精神を不動にさせてこそ戦士に足ると!!」

魔法使い「あんたが嫌々着てるのはわかってるから心配しないでよ。くっ……ふぅー」

僧侶「私も僧侶の身でありながら、人様の姿を見て大笑いをしたことに後悔の念に駆られています……ふわ〜あ」

戦士「二人とも頰が緩んでいるのは気のせいか?」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 18:33:00.42 ID:WwI9Uzsy0

姫「さて、それでは最後。勇者様、お出になってください」

……ガチャ

勇者「こんにちは」

デデーン 戦士 アウトー

戦士「全裸wwwwwwww……グハっ!!な、なかなかのダメージ……」

僧侶「神聖なお姿でお出でとは……」

魔法使い「勇者のバカ!!衣装を着忘れたの!?」

勇者「全部脱いで出てこいって指示が書かれてたんだ。言う通りにできたぞ」

魔法使い「その馬鹿正直な性格を直しなさいって言ってるでしょ!!」

勇者「戦士から貰ったミサンガはつけてるぞ?」

戦士「おお、友情の証!!」

魔法使い「逆に変態度増すわよ!!服を取って来なさいって言ってるの!!私があげた道具袋だって無いじゃない!!ろくに戦闘もできないわよ!!」

勇者「今やろうとしてたのに今のでやる気なくしたよ、お母さん」

デデーン 魔法使い アウトー

魔法使い「こどもみたいなこと言うなwwwイタッ!!」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 18:34:22.19 ID:WwI9Uzsy0

ガチャガチャ

勇者「あれ、おかしいな。更衣室のドアが開かない」

姫「さて、着替えも終わったことですし、朝食に向かいましょう。勇者様、心配はご無用です。食堂は暖かいので風邪を引く心配はございませんよ」

勇者「それはよかった。姫様、やっぱりお優しいんですね。心まで暖かくなりそうです」

姫「そんな////」

魔法使い「はぁー???」

僧侶「魔法使いさん落ち着いて!!さぁ朝食に向かいましょう!!」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 18:36:06.49 ID:WwI9Uzsy0

魔法使い「そうはいってもさぁ、このままだと勇者のこと、まともに直視もできないんだけど……」

戦士「うーむ、どうしたものか。着替えは預けられてしまったようだ」

僧侶「あっ、妙案を思いつきました。勇者様、これを」

勇者「ん?」



デデーン 戦士 僧侶 アウトー

戦士「お鍋の蓋で股間を隠すなwwwwぐおっ!!」

僧侶「でもこれですっぽり覆えますwwwwイタっ!!」

勇者「僧侶、やっぱり優しいな。心まで暖かくなるよ」

僧侶「そ、僧侶の勤めですから……フー、フー……」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 18:37:19.73 ID:WwI9Uzsy0

魔法使い「僧侶も楽しんでるんじゃないわよ!!」

僧侶「失礼ですね!!神に仕える者として、他人の辱めを嘲る真似はいたしません!」

魔法使い「どう見ても楽しんでるじゃない!」

僧侶「そういう魔法使いさんこそ、さっきから顔を覆った指の隙間から勇者様のことをチラチラみているんじゃないですか?」

魔法使い「は、はぁ!?何言ってんの!?バカじゃないの!?」

僧侶「バカ?それじゃあ、バカに回復魔法をかけられたくなかったら、やくそうでも使うといいですよ。自分のお尻に直接塗ったらどうですか?私が調合した回復魔法瓶も返却してかまわないですよ」

戦士「まあまあ、二人とも落ち着け」

僧侶「はぁー……」

魔法使い「ふんっ……」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 18:38:15.37 ID:WwI9Uzsy0

姫「少し距離がありますが、この廊下の先に食堂がありますので」

勇者「楽しみだなぁ」

魔法使い「…………」

僧侶「…………」

魔法使い「ねえねえ僧侶」

僧侶「……なんでしょう」

魔法使い「隣の家に、囲いができたんだってさ」

僧侶「…………」

魔法使い「Cooooool!!!(巻き舌)」

僧侶「…………」

魔法使い「……ブフッww」

僧侶「ふふwww」

デデーン 魔法使い 僧侶 アウトー

魔法使い「自爆しちゃった……キャッ!!」

僧侶「異国語ジョークで仲間になんてことを……イタっ!!」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 18:38:56.51 ID:WwI9Uzsy0

僧侶「よくもやってくれましたね……」

魔法使い「誰も笑えなんて言ってないけど?」

僧侶「…………」

魔法使い「…………」

僧侶「魔法使いさん」

魔法使い「なによ」

僧侶「メンヘラ女とかけまして」

魔法使い「…………」

僧侶「リストカットとときます」

魔法使い「……そのこころは?」

僧侶「闇に沈んでいる!!!!!」

魔法使い「……w」

僧侶「心が!!!闇に!!!深くwww」

魔法使い「wwwww」

デデーン 魔法使い 僧侶 アウトー

魔法使い「勢いで笑わせるのやめて……キャッ!」

僧侶「道連れ成功です……痛っ!!」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 18:39:59.50 ID:WwI9Uzsy0

魔法使い「痛たた……じんじんする……」

僧侶「毎回痛恨の一撃です……」

戦士「何を二人でくだらぬ諍いをしているのだ」

魔法使い「私が悪かったわ……ごめんなさい……」

僧侶「私こそ、もう無益な争いはやめましょう……」

魔法使い「お腹も空いてるし、体力温存しましょう」

カランカラン……

僧侶「そうですね」

カランカラン……

魔法使い「…………」

カランカラン……

僧侶「…………」

カランカラン……

魔法使い「………ww」

僧侶「www」

デデーン 魔法使い 僧侶 アウトー

魔法使い「歩くたびにお鍋の蓋の音がうるさいwww痛っ!!」

僧侶「不可抗力ですwwwキャッ!!」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:21:33.51 ID:WwI9Uzsy0

姫「さあ、着きましたよ。こちらが食堂です」

デデーン 勇者 戦士 アウトー

勇者「男子トイレじゃねーかwww痛っ!!!」

戦士「姫様、ご冗談が過ぎますぞwwwwぐおっ!!」

魔法使い「なんて所に連れてきてるんですか!」

僧侶「不衛生極まりないですね……しかも生暖かい……」

姫「さぁ、みなさま。それぞれのチェアにお座りになってください」

魔法使い「チェアじゃなくて便器でしょ!」

僧侶「食事のメニューは?」

姫「カレーを用意しております」

デデーン 勇者 アウトー

勇者「最悪だwww痛っ!!!」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:22:41.15 ID:WwI9Uzsy0

戦士「何か事情があるのだろう。仕方あるまい、それぞれ個室に入ってチェアに座り茶色の液状を食そう」

魔法使い「言い換えが絶望的に汚い」

僧侶「まぁ私も幼い頃は馬小屋で食事をしていたこともありますしね。食事をいただけるだけでありがたいことです」

魔法使い「……しょうがないわね。でも、個室のドア全部閉じてるわよね」

勇者「鍵はかかってないみたいだぞ」

ガチャ

王様「のわっ!!使用中じゃボケッ!!」

デデーン 勇者 アウトー

勇者「びっくりしたwww痛っ!!」

戦士「ノックもせずに入るからだ。王も一般兵と同じ厠を使うのだな」

姫「いいえ。こちらが、王の間です」

デデーン 戦士 魔法使い アウトー

戦士「便所の個室wwwwぐおっ!!」

魔法使い「よっぽどの財政難なのかしら……イタっ!!!」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:23:17.02 ID:WwI9Uzsy0

姫「みなさま、席につきましたね?それではいただきましょう」

勇者「いただきまーす」

戦士「いただく」

僧侶「いただきます」

魔法使い「個室の仕切りでみんなの顔が見えない……」

戦士「早速ではあるが、状況を整理しておきたい。今後の魔王討伐にあたって……」

王様「食事中の私語は慎みなさい!!!!!!!!!!」

戦士「っ!!?」

戦士「す、すまぬ!!!」

王「…………」

戦士「…………」

魔法使い「…………」

僧侶「…………」

戦士「…………」

僧侶「…………」

勇者「……ww」

デデーン 勇者 アウトー

勇者「空気が重過ぎるwwwwイタっ!!」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:24:23.39 ID:WwI9Uzsy0

姫「ごちそうさまでした。さて、食後の運動も兼ねて屋上まであがりましょうか」

〜屋上〜

僧侶「うわぁ、いい天気ですね。見晴らしもきれいです」

魔法使い「ここで食事をすればよかったのでは?」

王「それで、戦士殿が言いかけたこととは」

戦士「今後の魔王討伐にそなえて、状況を整理しておきたいのです。魔王城に入った記憶はあるが、それ以降の出来事を忘却している。どうしてもあれが夢の出来事とは思えん」

魔法使い「私も同じ。やっとの思いで魔王城までたどり着いて、それからどうなったんだっけ……」

僧侶「勇者様は何か覚えてないですか?」

勇者「……俺は」



――――ドクン


20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:25:17.62 ID:WwI9Uzsy0

魔法使い「どうしたの、勇者?」

勇者「…………そうだ。ぼろぼろの身体で魔王城の上階にたどり着いたんだ。そこには、四天王がいた」

王様「なんと!」

勇者「でも、魔王と対峙したのは俺ひとりだった」

魔法使い「私たちは、死んじゃったってこと?」

勇者「わからない。ただ、あらゆる戦いにおいて、戦闘力に圧倒的な差があった。武術でも魔術でも、魔王と四天王に歯が立たなかった」

戦士「信じられぬ……」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:25:57.34 ID:WwI9Uzsy0

勇者「それに魔王城までの道のりで道具や魔力が尽きたことも痛手だった。最新鋭の装備もしっかりと整えておくべきだった」

僧侶「そんな……」

勇者「そこで王様、お願いがあります」

王様「何でも申せ」

勇者「軍資金を、100万Gいただきたい」

王様「何でもは申すな」

デデーン 勇者 魔法使い アウトー

勇者「前言撤回がはやいwww痛っ!」

魔法使い「即答だったわねwwwイタっ!」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:26:38.17 ID:WwI9Uzsy0

戦士「勇者、さすがに無礼だぞ」

僧侶「無理なお願いですよ」

王様「そうじゃ。いくら勇者殿といえど、国民の汗の結晶である100万Gをそのまま渡すことはできぬ」

姫「父上、そこをなんとかできないでしょうか。私からもお願いです」

王様「100万Gを渡そう」

デデーン 勇者 魔法使い アウトー

勇者「前言撤回がはやいwww痛っ!」

魔法使い「娘に弱いwwwイタっ!」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:27:49.13 ID:WwI9Uzsy0

王様「いやぁ、しかし、家臣や国民からの反発を招いて反旗を翻されかねん。渡すにも皆が納得するような建前が必要じゃて」

僧侶「では、こういうのはどうでしょう。国家からの要請として、100万Gのクエストを用意するのです。私たちにしか達成できないような高難易度の内容にすれば、結果的に私たちが100万Gを受け取れることになります」

王様「そんな危険なクエストを請け負って大丈夫なのかね?」

戦士「俺たちも、この国の役に立ってお金が受け取れるなら気分がいいというもんです」

王様「……わかった。家臣と協議し手配をしておこう。後ほど、町の広場にある掲示板を見に行くと良い。そこにクエストが記載される」

勇者「ありがたき幸せ。必ずそのクエストをこなしてみせます。ご協力を賜り感謝します」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:28:33.94 ID:WwI9Uzsy0

〜広場〜

魔法使い「そろそろクエスト情報更新の時間ね」

僧侶「早速人だかりができていますね。王様が用意したクエストにみんなが注目しているのでしょう」

勇者「すいません、ちょっと通してください!」

勇者「えーと、クエスト内容は……」

魔法使い「みつかった?」

勇者「おお!!すげえ!このクエストをこなせば100万G手に入る!!」

魔法使い「どれどれ?」

『魔王討伐 100万G』

デデーン 魔法使い アウトー

魔法使い「そのための100万Gでしょwwwwイタっ!!」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:32:13.87 ID:WwI9Uzsy0

勇者「これで100万G手に入れれば魔王討伐の準備を整えられる!!あれ、でもその前に魔王を討伐する必要があるから……」

魔法使い「騙されてんじゃないわよ!!これならむしろもっと欲しいわ!!」

僧侶「他のクエストはどれも少額のものばかりですね。資金調達はやはり難しいのでしょうか……」

町民「あんたたち、冒険者かい?」

僧侶「ええ、そうですけど」

町民「金にこまっているなら、隣町で行われる闘技場での大会に参加すればいい。エントリー締め切りは今日までぎりぎり間に合うよ」

僧侶「それは決闘なのでしょうか?」

町民「毎年競技内容は当日まで明かされないんだよ。2年前は綱引き、去年は演武の美しさを競い合う内容だった。今年は芸を競い合うって噂だけど、詳しいことは知らねーな」

僧侶「なるほど。気になりますね」

勇者「闘技場に行ってみるか。おじさん、ありがとうな!」

町民「エントリー料も用意しとけよ。せいぜい気をつけな!」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:32:53.46 ID:WwI9Uzsy0

勇者「ふぅー、なんとか締め切りに間に合った」

僧侶「エントリー料が思いのほか高かったですね。人数を制限するためでしょうが、これで負けては元も子もないですね」

戦士「チーム戦と考えれば良い。誰かひとりが勝てばいいのだ。心配してもしょうがない」

魔法使い「そうね。今日はもう遅いしご飯食べてさっさと寝ましょう。勇者、期待してるわよ!」

勇者「チーム戦と考えるのでは?」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:35:09.10 ID:WwI9Uzsy0

〜大会当日〜

司会「さぁー!今年もやって参りました!!朧月夜の開闢トーナメント2020!!優勝は誰の手に!?」

デデーン 魔法使い アウトー

魔法使い「タイトル名が厨二くさいwwwwキャッ!」

司会「優勝者にはトロフィーと、賞金50万Gを授与します!!」

僧侶「魔王討伐の半額報酬が貰えますね」

勇者「トロフィーほしいなぁ」

司会「それでは、Aブロック第一回戦。挑戦者は前に!」

勇者「俺と戦士だな」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:36:06.20 ID:WwI9Uzsy0

戦士「勇者、お互い戦い合うことになっても手加減は抜きだ。俺も全力で戦わせてもらう」

勇者「当然だ」

魔法使い「二人とも、怪我にだけは気をつけてね」

僧侶「ご武運をお祈りしています」

勇者・戦士「ああ、行ってくる」

スタスタ

魔法使い「…………」

僧侶「………ふっw」

デデーン 僧侶 アウトー

僧侶「セリフがかっこよくてもバニースーツと全裸に鍋男なんですよwwwキャッ!」

魔法使い「見ちゃいられないわね……」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:37:34.47 ID:WwI9Uzsy0

司会「今年の競技を紹介しましょう!」

司会「内容は、今ジパングで話題のNIPPONグランプリ!!お題に対していかに面白い回答を出せるか競い合っていただきます!!」

司会「Aブロックの選手は、勇者、戦士、商人、宿屋の4名!」

司会「今回は特別ルールとして、全ての回答が終わったあとに審査員による投票で勝者を決定します」

勇者「な、なんだって!」

戦士「大喜利というやつか……」

司会「では、お題の発表です!」


司会「『今のはメラゾーマではない』この後に魔王が放った一言は?」


勇者「……負けないぞ、戦士」

戦士「望むところだ、勇者」

司会「スタート!!」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:38:38.94 ID:WwI9Uzsy0

僧侶「お題の意味がよくわからないのですが……」

魔法使い「『今のはメラゾーマではない、メラだ』」

魔法使い「勇者冒険譚の漫画が元ネタよ。魔王が放った強大な炎が、メラゾーマという最上級呪文かと思ったら、実はメラという下級呪文だったっていうね。メラにも関わらずメラゾーマに見えるほど、魔王が強力であることを描写したシーンのセリフよ」

僧侶「なるほどです。娯楽系の知識にどうも疎くて」

魔法使い「どうなるかしらね。勇者は天然なところがあるし、戦士は堅物なところがあるから、上手にボケることができない気が……」

ピンポン!

勇者「…………」

魔法使い「うそ!?はやい!」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:39:18.34 ID:WwI9Uzsy0

司会「お〜お!勇者選手がボタンを押した!!」

『今のはメラゾーマではない』この後に魔王が放った一言は?


勇者「今のはメラゾーマではない。ファイガだ」

wwww  www  www

魔法使い「ウケてる!他のシリーズの呪文を使うのは良い発想ね!!」

デデーン 戦士 アウトー

戦士「ふははwwwwwぐおっ!!」

魔法使い「何あいつ普通に笑ってんのよ!」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:39:52.17 ID:WwI9Uzsy0

魔法使い「戦士のやつったら、今はライバルでしょう!」

僧侶「……なるほど。戦士さんはこれをチーム戦と考えているのです。勇者さんが回答した時に自分も笑うことで、会場を盛り上げる作戦のようですね」

魔法使い「あら、戦士も頭が回るじゃない。そうね、私たちの誰かが優勝すればいいのよね。二人で力を合わせて回答を……」

ピンポン

商人「おほん」

魔法使い「他の選手が!」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:40:56.05 ID:WwI9Uzsy0

司会「商人選手がボタンを押したー!どうぞ!」

『今のはメラゾーマではない』この後に魔王が放った一言は?


商人「今のはメラゾーマではない。私は巨乳が好きではない」

wwwww www wwwwww

魔法使い「会場が沸いてるわ!!」

僧侶「巧妙なジョークですね。『お前の趣味なんて聞いてねえよ!!』と思わず突っ込みたくなるボケ回答です」

デデーン 戦士 アウトー

戦士「お前の趣味なんて聞いてねえよwwwwwwぐはっ!!」

魔法使い「あいつ馬鹿笑いしてる!!ただ面白かったから笑ってるだけ!!!」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:41:48.53 ID:WwI9Uzsy0

魔法使い「コラー!!戦士!!!笑ってる場合じゃないっての!!はやくあんたも回答しなさいよ!!!!」

戦士「はっ!!!い、いかぬ……俺としたことが」

ピンポン!

勇者「よし」

戦士「なぬ!?」

僧侶「勇者様が押しましたよ!」

『今のはメラゾーマではない』この後に魔王が放った一言は?


勇者「今のはメラゾーマではない。そして優勝するのもこの俺ではない」

wwwww  www wwwww

魔法使い「自虐ネタ!!ウケてる!勇者やるじゃないの!」

僧侶「さすがリーダーですね」

魔法使い「戦士にいたっては、頭を抱えてるわ」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:42:27.57 ID:WwI9Uzsy0

ピンポン!

宿屋「よし」

僧侶「違う回答者が押しましたわ!」

『今のはメラゾーマではない』この後に魔王が放った一言は?


宿屋「今のはメラゾーマではない。投げつけたフレイムだ」

wwwwww ww wwwww

魔法使い「魔物の名前を知ってる人は笑ってる印象ね。敵もなかなかやるわ。戦士も頑張って!!」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:42:58.31 ID:WwI9Uzsy0

ピンポン!

ピンポン!

戦士「(ぐっ……くそっ……)

ピンポン!

ピンポン!

戦士「(何も思い浮かばん!!)」

ピンポン!

ピンポン!

戦士「(くそっ!!ぜんっぜん思い浮かばん!!)」

ピンポン……

ピンポン……

戦士「(何も!まったく思い浮かばぬ……)」

ピンポン……

戦士「(ぐぬぅううう…………)」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:44:01.50 ID:WwI9Uzsy0

魔法使い「戦士!もうすぐタイムリミット来ちゃうよ!なんでもいいから答えて!!」

僧侶「そうです!!ここで会心の一撃を出しましょう!!」

戦士「そうはいっても、堅物の俺なんかでは……」

僧侶「自分ではいまいちだと思っていても、他者にとってはすごく価値があるということがあるのです!!」

魔法使い「見せてやりなさい!!あなたが脳筋だとしても、脳の筋肉まで鍛えてるんでしょうが!!」

戦士「……そうだ、俺は。俺は戦士!!」

戦士「戦うものだ!!どんなフィールドでだって!!」

ピンポン!

司会「おおーっと!!ここで戦士選手!!はじめてボタンを押したー!!」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:44:32.26 ID:WwI9Uzsy0

司会「回答をどうぞ!!」

『今のはメラゾーマではない』この後に魔王が放った一言は?


戦士「今のはメラゾーマではない。俺のひいおばあちゃん家から持ってきた、暖炉の火だ!!!!!」

………… ………… …………

………… ………… …………

………… ………… …………

司会「…………」

魔法使い「…………」

僧侶「…………」

商人「…………」

宿屋「…………」

戦士「……え?」
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:45:10.94 ID:WwI9Uzsy0

ピンポン

勇者「…………」

司会「ここで、勇者選手がボタンを押したー!!」

『今のはメラゾーマではない』この後に魔王が放った一言は?


勇者「今のはメラゾーマではない。マヒャド級に寒いジョークだ」

wwwwwwww  wwwwwww wwwwwwww

司会「wwwwwwwwwwwww」

商人「ふふwwwwwwwwwww」

宿屋「ぬはwwwwwwwwwww」

デデーン 魔法使い 僧侶 アウトー

魔法使い「ごめんなさいwwwイタwwww」

僧侶「勇者様ひどいwwwwwwキャッwwww」

戦士「……………………」





グス……
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:46:21.13 ID:WwI9Uzsy0

司会「Aブロックの勝者は、勇者選手!!」

〜〜〜〜〜〜

僧侶「さすが勇者様ですわ!!キレッキレの冗談でしたね!!」

魔法使い「まぁ、ちょっとだけあんたのこと見直したわよ」

僧侶「さっきまであんなに褒めていたのに」

魔法使い「し、知らないわよ!」

勇者「次に進めてよかったよ」

魔法使い「ところで戦士は?一緒じゃないのね」

勇者「戦士なら、人間界を滅ぼすってつぶやきながら魔王城の方角に歩いて行ったよ」

デデーン 魔法使い 僧侶 アウトー

魔法使い「とめてあげてwwwwキャ!」

僧侶「相当傷心中のようですねwwwイタッ!」
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 19:47:26.91 ID:WwI9Uzsy0

勇者「少し目を離した隙に見失ってしまった。俺が試合中に戦士の回答をフォローする回答もしたのになぁ」

魔法使い「あれがとどめを刺したんでしょ」

僧侶「こればかりは回復魔法でも癒せませんね」

魔法使い「ほうっておいて大丈夫なのかしら」

勇者「戦士は俺が探してくるよ。それより次、二人ともBブロック出場だろ。行ってきてくれ」

魔法使い「あーあ、会場で滑ったら嫌だな〜」

僧侶「私こそ不安ですよ。昔から厳戒な教会で育ってきたのですから」

勇者「ベストを尽くすしかないよ。二人なら大丈夫。それじゃあまた後で!!」

魔法使い「仕方ないわね。私たちもがんばろっか」

僧侶「はい……。人前に出るのは緊張しますね……」
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 20:21:03.25 ID:WwI9Uzsy0

司会「Bブロックの選手は、魔法使い、僧侶、バニー、踊り子の4名です!」

踊り子「よろしくー」

バニー「テンションあがるなぁ」

魔法使い「あれ、参加者全員が女性ね」

僧侶「わわ……人がこんなに……うぅ……」

魔法使い「大喜利どころじゃなさそうね」

司会「Bブロックのお題を発表します!!」


司会「『魔王との決戦前夜。勇者があなたを呼び出して告げた一言とは?』」


司会「試合、開始!!」
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/26(日) 20:28:30.90 ID:WwI9Uzsy0
書き溜めはしておりますが見直し中です。
また明日続きを投稿します!
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 02:43:02.06 ID:3fHmNG6P0

魔法使い「(あなたを、っていうのがミソよね。つまり、勇者が女性に対して何かを言うシチュエーションってことね。このロマンチックな背景で、アホなことでも言えば笑いにできそうだけど……)」

ピンポン!

踊り子「よーし」

魔法使い「(はやい!)」

司会「踊り子選手がボタンを押した!!どうぞ!!」

『魔王との決戦前夜。勇者があなたを呼び出して告げた一言とは?』


踊り子「いまさら道間違えたって、みんなにどう伝えればいいと思う?」

www ww wwww

魔法使い「(ウケてる。やはりコツコツヒットを打つしかないのかしら)」

僧侶「…………」

魔法使い「(僧侶ったら緊張のあまりか目を閉じてるわ。どうしたものか……ん?)」

魔法使い「(審査員席、女性も何人か混じってる。この人たちを狙って票を取れないかしら)」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 02:43:52.91 ID:3fHmNG6P0

ピンポン!

バニー「できた〜」

司会「バニー選手!回答をどうぞ!」

『魔王との決戦前夜。勇者があなたを呼び出して告げた一言とは?』


バニー「魔王の正体がうちの親父らしいんだけど、どう驚けば喜んでくれるかなぁ?」

www www www

魔法使い「(ややウケね。男性審査員は笑ってるけど、女性審査員はほほえんでるだけみたい)」

魔法使い「(ロマンチックな設定、女性選手、女性審査員……っ!!?)」

魔法使い「(そういうことね!!会場に今勇者もいないし……いける!!)」

ピンポン!
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 02:45:40.91 ID:3fHmNG6P0
司会「魔法使い選手!!回答をどうぞ!」

『魔王との決戦前夜。勇者があなたを呼び出して言った一言とは?』


魔法使い「魔王が今日まで生きててよかった。君と一緒に、冒険することができたから」

///// /// /////

司会「おっと!!会場がニヤついている!!」

魔法使い「(若手の女性審査員が嬉しそうな顔をしてる!!やはりね。盛り上げるっていうことは、笑わせることだけじゃない)」

魔法使い「(ここでの鍵は、心を掴むこと!!)」

魔法使い「(このままロマンチックなことを言い続けるわ!!他の選手が今更私の真似をしたって二番煎じにしかならない!!企画者の意図を完璧に読み取った私の勝ち確……)」

ピンポン!

魔法使い「(誰!?)」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 02:46:31.68 ID:3fHmNG6P0

僧侶「…………」

魔法使い「(僧侶!?緊張のあまり手が滑ったの!?)」

司会「おおっと、僧侶選手がボタンを押した!!どうぞ!!」

魔王との決戦前夜。勇者があなたを呼び出して言った一言とは?


僧侶「ああ〜〜wwなんか決戦前の男って生き物は、ムラムラするんだなぁこれがwwwwwちらwwwww」

wwwwwwww  wwwww  wwwwwww

デデーン 僧侶 アウトー

僧侶「ちらちらwwwwイタっ!!!」

魔法使い「(えっ、最低……)」

魔法使い「(というか女性審査員も爆笑してる。企画者の意図とか関係ないのね。みんな下ネタ好きなのね……)」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 02:47:20.66 ID:3fHmNG6P0

魔法使い「(でも、僧侶のやつ、相当無理して言ったはず。元が戒律の厳しい教会育ち。一票取るために心を削って言ったに過ぎないわきっと。普段あんなこと言う子じゃないもの)」

ピンポン

司会「魔法使い選手、ボタンを押した!!」

魔法使い「(私が試合で勝つから、あなたは無理しなくていいのよ)」


『魔王との決戦前夜。勇者があなたを呼び出して言った一言とは?』

魔法使い「魔王のセリフを少し借りるよ。俺の世界を君に半分あげる。だから、君の世界を半分俺にくれ!」

//// /// /////

魔法使い「(やっぱり女子ウケがいいわ!男子もニヤついてるし、反応いいわね。この攻め方こそが……)」

ピンポン!

魔法使い「!?」
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 02:48:14.02 ID:3fHmNG6P0

司会「僧侶選手、回答どうぞ!」

『魔王との決戦前夜。勇者があなたを呼び出して言った一言とは?』


僧侶「魔王のセリフを少し借りるよ。僕の遺伝子を半分君にあげる。だから君の遺伝子も半分、僕とシェアしないかい?」ニタァ……

wwwwwwwww wwwww wwwwwwww

魔法使い「(ひどい。聴衆の民度が低過ぎる。僧侶も自分の職業を忘れたの!?)」

魔法使い「(というか私のネタに被せてきてるんじゃないわよ!!ふざけないで!!)」

ピンポン!
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 02:49:10.08 ID:3fHmNG6P0

司会「魔法使い選手、どうぞ!」

『魔王との決戦前夜。勇者があなたを呼び出して言った一言とは?』


魔法使い「この戦いが終わったら結婚する。そんなフラグより誓いを立てたい。今から、俺と結婚してくれ!」

////// //// //////

魔法使い「(ヒャ〜。恥ずかしかったー。でもみんなも恥ずかしがってる!!心をちゃんと掴ん……)」

ピンポン!

僧侶「…………」

魔法使い「(……貴様)」
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 02:50:12.02 ID:3fHmNG6P0

司会「僧侶選手、回答をどうぞ!」

『魔王との決戦前夜。勇者があなたを呼び出して言った一言とは?』


僧侶「周期的に明日から女の子の日だと思うけど、決戦大丈夫でっか???」

wwwwwwwwwwww wwwwwwww wwwwwwwwww

踊り子「きもwwwwww」

バニー「ないわwwwwwwww」

魔法使い「(もはや被せてすらこなくなった……)」

魔法使い「(負けない……ロマンチックが負けるものですか!)」
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 02:51:17.13 ID:3fHmNG6P0

ピンポン!

司会「魔法使い選手、どうぞ!」

『魔王との決戦前夜。勇者があなたを呼び出して言った一言とは?』


魔法使い「この冒険を通して覚えた呪文がある。キミノ・コトガ・スキダ!」

www /// www

魔法使い「(えっ、なんか笑われてる。だめだ。完全に会場が下ネタの余韻を引きずってる)」

ピンポン!

司会「僧侶選手、どうぞ!」

『魔王との決戦前夜。勇者があなたを呼び出して言った一言とは?』


僧侶「ぶっちゃけ、野糞ってどのタイミングでしてました?」

wwwwwwwwww wwwwwwww wwwwwwwwww
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 03:06:57.16 ID:3fHmNG6P0

魔法使い「(飲まれる……私のロマンチックが飲まれる……)」

ピンポン!

司会「僧侶選手2連続!どうぞ!」

『魔王との決戦前夜。勇者があなたを呼び出して言った一言とは?』


僧侶「もう絶対全滅するって確信した瞬間おっぱい揉む!!!絶対揉む!!俺は勇者様だぞ!!」

wwwwwwwww wwwwwwwwwwwww wwwwwwwwwwww

ピンポン!

司会「僧侶選手3連続!どうぞ!」

『魔王との決戦前夜。勇者があなたを呼び出して言った一言とは?』


僧侶「明日の全滅に備えて懺悔しておきたい。今まで寝顔見ながら白魔法を放っていました。ごめん。本当ごめん。神の慈悲で我を天国に導き給へ」

wwwwwwwwwwwwww wwwwwwwww wwwwwwwwwwww

魔法使い「(私の……ロマンチックが……)」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 03:08:02.67 ID:3fHmNG6P0

勇者「わりぃ、戦士をずっと探してた」

僧侶「見つかりましたか?」

勇者「打倒勇者って言いながら、木の前でブンブン剣を振り回してたよ。身の危険を感じて逃げてきた」

僧侶「元気そうでよかったです」

勇者「結果はどうだった?」

僧侶「私が勝ちました」

勇者「おお、よかった!!ところで、魔法使いはどこに?」

僧侶「魔法使いさんは、人間界を浄化するってつぶやきながら魔王城の方角に歩いて行かれました」

勇者「なんでみんな人間の敵になるんだよ。勇者一行の半分が魔王の味方になってるよ」

僧侶「人混みの中を歩いて行ったのですぐ見失ってしまって。心配なのでちょっと探してきます。あっ、でも次の試合は勇者様の出番……」

勇者「俺のことは心配すんなって。魔法使いのこと頼んだぞ。決勝で会おうな」

僧侶「かしこまりました。ご笑運お祈りしています」

勇者「なんだそりゃ。まあ、行ってくるぜ」
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 03:10:34.54 ID:3fHmNG6P0

僧侶「やっぱりここにいました」

魔法使い「……ぐす……なによ……」

僧侶「落ち込んだ時はいつも本屋に行かれますものね。それも、難解な呪術書を読みに。私だったらやさしい絵本でも読みたくなるところですが」

魔法使い「勝者が敗者を慰めにきたってわけ。放っておいてよ。私ったら、あんな恥ずかしい言葉を晒して……」

僧侶「確かに少し、聴衆に向かって恥ずかしい言葉を並べてばかりいましたね」
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 03:11:18.01 ID:3fHmNG6P0

魔法使い「笑いに来たんでしょ」

僧侶「お尻を叩かれなかったとしても、笑いませんよ。心配だから来たのです。ちなみに今はどんなタイトルの本を……」

【縊殺呪文】

僧侶「あっ、用ができたので故郷に帰ります。さようなら」

魔法使い「待ちなさいって。次の試合もあるんでしょ」

僧侶「漢字は読めないけど生命の危機くらいは読み取れます……」

魔法使い「残虐系の呪文はあまり覚えてないの。痛みを与える工程が無駄だし、魔力も余計に消費するからね。ただ呪文の仕組みの勉強にはなるわよ」
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 03:13:35.77 ID:3fHmNG6P0

魔法使い「悔しいって思った時さ、新しい自分にならなくちゃって思うんだ」

魔法使い「こんな自分じゃダメだって。自分に厳しくしようと、普段なら読みたくない難解な書物に取り組むの。でも、いざ取り組みはじめたら、大して時間も経たないうちに退屈になってきちゃって中断しちゃう」

魔法使い「私の悔しさなんてこの程度なんだなって自分を客観的に見れて、そこで感情が収まるの。なんでも器用にこなすあなたにはわからないでしょーけど」

僧侶「…………」

魔法使い「さ、いきましょ。不貞腐れてわるかったわ。まぁ私のフリのおかげであんたが勝てたと思えば……」

僧侶「器用なんかじゃ、ないですよ」

魔法使い「えっ?」
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 03:32:39.70 ID:3fHmNG6P0

僧侶「確かに、幼い頃から特別な教育を受けることもなく、教会にある書物を読んで私は呪文を自然に体得していきました。とりわけ回復魔法に関しては、周囲の大人を上回るくらいに」

僧侶「賢者であったと聞く両親の血を確実に継いでいると自覚していました。教会の特別選抜に選ばれ、支援を受けて王国のアカデミーに入ることもできました。でも、その後に挫折したんです」

僧侶「人間関係で色々と揉めて、つらい日々が続きました。最初はトップだった成績もみるみる下がってしまいました。結局私は、教会にも無断でこっそりアカデミーから逃げ出してしまったんです」

魔法使い「……早く実践に出たくて抜け出したとばかりに」

僧侶「劣等感と中途半端なプライドを引きずって一人で旅して、瀕死になっていた私を、救ってくれたのがあなたたち3人でした」

僧侶「それぞれ実力がありながら、私の力を頼ってくれたこと、本当に嬉しかったんですよ。女の子の仲間ができてうれしいってあなたが言ってくれたこと、ずっと忘れないですよ」

魔法使い「僧侶……」
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 03:33:28.49 ID:3fHmNG6P0

僧侶「さて、勇者様の応援に行きましょう。それと、せっかく買うならこっちの本にしましょうよ」

魔法使い「ちょ、ちょっと!!恋愛の心理学なんて今は関係ないでしょ!!呪文の要素のない学問なんて怪しいものだわ!!」

僧侶「あらそうですか。残念。じゃあお会計は私だけの分ですね」

魔法使い「いつのまに、あなた何の本を持って……」

【天才のあなたへ 〜職場の軋轢を避ける極意 『挫折を告白せよ』〜】

デデーン 魔法使い 僧侶 アウトー

魔法使い「さっそく使ってきてたのねwwwキャッ!!」

僧侶「天才でごめんなさいwwwイタっ!」
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 03:35:50.56 ID:3fHmNG6P0

魔法使い「闘技場見えてきたわ!!すごい盛り上がってるみたい!!はやくはやく!!」

僧侶「待ってくださいってば!走るたびにお鍋の蓋がなるのが恥ずかしいんです!!」




僧侶「(試合に勝てなくて、悔しかったんじゃないんですよね)」

僧侶「(勇者様のお役に立てなくて、悔しかったんですよね)」

僧侶「(そんな感情を抱いているあなたが、ちょっと羨ましいですよ)」
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 03:37:13.95 ID:3fHmNG6P0

勇者「…………」

ぶつぶつ……ぶつぶつ……

魔法使い「あら、勇者!どうしたの?」

ぶつぶつ……ぶつぶつ……

僧侶「戦いの結果は?」

勇者「…………人間界を滅ぼす……魔王と世界の半分をシェアする…………」

デデーン 僧侶 アウトー

僧侶「4分の3が魔王側にwwwイタっ!」

戦士「帰ってきたか、二人とも」

僧侶「何が起きたのですか?」
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 03:37:58.54 ID:3fHmNG6P0

戦士「今人気絶頂の『笑わせ師』が出場していた。他の出場者は戦意喪失し、全員棄権」

僧侶「ええと、つまり」

戦士「これから僧侶と笑わせ師、決勝戦だ」

僧侶「そんな人を相手に、勝てるんでしょうか……」
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 03:38:38.03 ID:3fHmNG6P0

ざわざわ…

司会「決勝戦についてですが、もうしばらくお待ちください……」

ざわざわ…

戦士「いつまで待たせる気だ。すぐに開催すればいいではないか」

魔法使い「段取りが狂った影響かしら。僧侶も一人で立たされててかわいそうよね」

勇者「あれ、なんか動きがあったみたいだぞ」
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 03:39:15.93 ID:3fHmNG6P0

司会「……大変お待たせいたしました。決勝戦は僧侶選手と笑わせ師の一騎打ちの予定でした。しかし、笑わせ師の棄権により、僧侶選手の優勝といたします!!」

エー!! フザケンナー!!

カネカエセー!!

司会「僧侶選手に、トロフィーと賞金を授与します!!」
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 03:47:47.32 ID:3fHmNG6P0

僧侶「怖かった……」

戦士「何も僧侶にブーイングを浴びせることはなかろう。悪いのは勝負を棄権した奴だ」

魔法使い「ねえ勇者、笑わせ師と戦ったんでしょ?どういう奴だったの?」

勇者「……リズムネタで回答していた。回答の内容に関わらず、ずっと爆笑の嵐だった。俺もそこそこうまいことを言ったつもりだけど、勝てなかった」

魔法使い「なるほど。ブームのリズムネタほどウケるものはないからね。会場にいる小さな子まで巻き込めるのが強いわ」

戦士「なんだか、ずるい気もするな。言葉でつくる笑いこそ王道の笑いではないのか」

僧侶「私は娯楽には疎いですが、リズムネタは好きですよ。小さい子も含めて、同じ時を生きている人たちと共通のもので笑う仲間意識が芽生える感じがいいですよね」

魔法使い「でもあんたはそういうので笑わないでしょ?」

僧侶「さぁ、どうでしょうか」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 03:49:22.34 ID:3fHmNG6P0

戦士「何はともあれ、僧侶が優勝してよかった。賞金50万Gだ!」

勇者「トロフィーも金ピカでかっこいいな。……あれ、何かここにボタンがついて……」

「押してはなりませぬ!!!!!」

勇者「今の声は!」



姫「そのボタンは絶対に押してはなりませぬ!!!!」

勇者「姫様!」

魔法使い「どういうことですか?」

姫「それは『“絶対に”笑ってはいけないボタン』です。帝王学でそのトロフィーに関する記述を読んだことがあります」

姫「トロフィーを対象の敵に掲げてボタンを押すと“笑いの決闘”が始まります。決闘状態では、武術と魔術による攻撃、及びアイテムによる回復が不可能になります。笑った場合は、非常に重い罰がくだると言われています」

魔法使い「笑いのみで敵と戦いたい場合に使用するのね」

勇者「……自分の実力を上回る敵に使えるな。例えば、四天王とか、魔王とか」

魔法使い「なるほど……」
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 03:50:27.84 ID:3fHmNG6P0

姫「みなさまが大会に出場したと聞いて、駆けつけた甲斐がありました」

勇者「このためにわざわざ?」

姫「他にも朗報があります。学園都市のアカデミーの推薦状を1パーティー分入手したのです。とても貴重なものなので、従者を連れて私が直々に渡しに来ました。それと、預かっていた服装や装備もお返しします」

魔法使い「やっとこの変態パーティーから元に戻れる……」
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:13:32.47 ID:3fHmNG6P0

僧侶「学園都市のアカデミーの推薦状、本当に私達がいただいてもいいのですか?」

姫「ええ。短期コースですが、クラスに入学できます」

魔法使い「姫様には申し訳ないけど、私も地方のアカデミーには通ってたわ。今更また通うことに意味があるのかどうか……」

戦士「拙者は通ったことはないが、授業をのんびり受けている余裕はないと思うぞ」

僧侶「学園都市のアカデミーは特別ですよ。全国からトップクラスの能力や知識を持つ生徒しか入学できません。あるいは、資産家か、由緒ある家系か、王国や教会からの推薦状でもない限り。学区内の立ち入りさえ部外者は不可能です」

魔法使い「あんたが通ってたアカデミーより凄いの?」

僧侶「学術系統に違いはありますが、おそらくは」
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:14:37.15 ID:3fHmNG6P0

僧侶「アカデミーに通わなくとも、形式だけでも生徒になる価値はあります。学区内のお店で装備を整えることができるので。賞金の50万Gもありますし」

魔法使い「でも、トロフィーの“笑いの決闘”ボタンがあるんだし、装備を整える必要あるの?」

姫「……笑いの決闘の罰は、尋常ではない威力だと言われています。なので、守護の魔法をかけられた衣服でないと命に関わります」

戦士「俺たちのは着慣れた装備ではあるが、最新式とは言えんな」

僧侶「勇者様、いかがなさいますか?」

勇者「……今の俺達のままじゃ、きっと魔王たちには勝てない」

勇者「装備を揃えに、学園都市に行こう」
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:16:32.32 ID:3fHmNG6P0

〜数日後〜

勇者「魔法使い、ちゃんと姫様からもらった推薦状持ってるか?」

魔法使い「持ってるわよ。あんたが失くすのが不安だからって私に預けたんじゃない」

戦士「景色がすっかり変わってきたな。ここが学園都市か?」

僧侶「まだ郊外ですね」

魔法使い「僧侶、よかったの?違うアカデミーとはいえ、行くことに対して抵抗とか……」

僧侶「もう過去のことですから。それに、皆さんと一緒に学生時代を過ごしていたら楽しかっただろうなって、時々想像するんです。その夢が叶いそうなのが嬉しくって」

勇者「僧侶は純粋だな」

僧侶「えへへ、それほどでも」

魔法使い「(……えげつない下ネタを連発した子と同一人物には思えない。あれは戒律に抑圧され生み出された二重人格だったのか)」
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:18:06.66 ID:3fHmNG6P0

戦士「地面が気色の悪い色になってきたな」

僧侶「ここらの道路は舗装されているんです。馬車の代わりに、動力による乗り物も通っているんですよ。資材を運ぶのに重宝されていて」

魔法使い「なにそれ?」

僧侶「『トラック』って言うんです。ご存知ないですかね?」




ブロロロロロ!!!!!!

「キャー!!!」

勇者「あそこ!!騒ぎが起きてる!!」

「酒気帯び運転か!?」「みんな逃げろー!!」

僧侶「トラックが暴走しているみたいです!!」

戦士「こっちに向かっている!!凄まじいスピードだ!!」

魔法使い「キャッ!」

魔法使い「(まずい、つまづいて……)」

勇者「魔法使い、危ない!!」

ドン!

魔法使い「えっ……」




バーーーーーーン!!!!!!!!!



魔法使い「う、うそでしょ……」

魔法使い「勇者ぁあああああああ!!!」


72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:19:11.13 ID:3fHmNG6P0

魔法使い「勇者!!どこ!?どこなの!!?どこにいったのよ!!!」

戦士「魔法使い、落ち着け!!錯乱していては解決できる問題も解決できんぞ!!」

魔法使い「だ、だって私のせいで!!私を救うために、あのでかい乗り物に吹き飛ばされて……」

僧侶「……おかしいです。勇者様の姿が見えないこともそうですが。さきほどのトラックもみつかりません」

魔法使い「もしかして、勇者はまた王様のところに転送されているんじゃ……」

僧侶「パーティーメンバーがひとりで転送されることはまずあり得ません」

魔法使い「勇者……わたしのせいで……」
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:21:45.61 ID:3fHmNG6P0

戦士「駄目だ。いくら探しても肉片の一つも見つからない」

僧侶「見つからなくていいんですよ」

魔法使い「……徹夜で探そうよ。見つかるまでずっと……」

戦士「しかし、現場は散々見たぞ」

僧侶「手がかりが全くない今、勇者様を探そうとする行動は無意味です。勇者様と再会した時にそなえて、当初の予定通りに行動すべきです」

魔法使い「あんた、勇者のことは放っておいて、アカデミーに行けとでも言うの!?」

僧侶「そうです」
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:23:47.20 ID:3fHmNG6P0

魔法使い「ふざけないで!!そんなの納得できるわけないでしょ!!私はここで勇者を探し続けるわ!!」

戦士「いや、僧侶の言う通りだ。それに、この学園都市に何か秘密があるのなら、学区内で活動しているうちに勇者が消えた手がかりが見つかるかもしれない」

魔法使い「推薦状は私が預かってる!どうしてもアカデミーに行くというなら、私を置いてあなたたちだけで入学してちょうだい!!」

僧侶「嫌です。3人で行きます」

魔法使い「だったら招待状を力づくで奪うことね!!私も手加減しないから!!」

僧侶「……戦士さん、ちょっと来てください。作戦を練りましょう」

戦士「うむ」
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:25:44.06 ID:3fHmNG6P0

魔法使い「……あいつら何やってるのかしら」

魔法使い「放っておけばいいわ。それより私は勇者を……」

僧侶「おまたせしました」

魔法使い「……何?戦うっていうの?」

戦士「すれ違いコント」

僧侶「お花を摘みに行くという表現の意味を知らないパーティーメンバーとの会話」

魔法使い「…………」
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:26:25.69 ID:3fHmNG6P0

僧侶「うう、冷えてきましたね。ちょっとお花を摘みに行ってきます」

戦士「おう、俺も手伝うぞ」

僧侶「何言ってるんですか!!」

戦士「カップに浮かべるといい感じなんだよな」

僧侶「注ごうとしないでください!」

戦士「俺はまっ黄色いのが好きだな」

僧侶「好きとか言われても困ります!!」

戦士「僧侶は女の子だし赤が好きそうだな」

僧侶「それ一番嫌です!!」

戦士「青いのも良いよな」

僧侶「それ病気です!!」

戦士「風情を感じるよな」

僧侶「どこに!?」

戦士「ひらひらしてるところに」

僧侶「ビラビラしてますから!!」

デデーン 魔法使い アウトー
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:27:29.79 ID:3fHmNG6P0

魔法使い「最後のツッコミはないわ……痛っ!!!!」

僧侶「戦士、今よ!!」

シュパ!

戦士「推薦状は預かった。三人分アカデミーへの入学手続きをさせてもらう」

僧侶「頭を冷やしてからまた会いましょう」

魔法使い「ちょっと待ちなさいよ!!力づくで止め……」

戦士「因みに茶色いのも好きだ」

魔法使い「wwwww」

デデーン 魔法使い アウトー

魔法使い「こ、こんな低俗なネタで……痛っ!!!」
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:28:14.86 ID:3fHmNG6P0

〜アカデミー〜

僧侶「戦士さん、おはようございます」

戦士「おお、僧侶。俺らは隣の席みたいだぞ」

僧侶「それはよかったです。あっ、魔法使いさん。おはようございます」

魔法使い「……おはよ」

僧侶「おはようございます。みなさんとクラスメートになる夢が叶いそうです」

魔法使い「……叶いそう?」

僧侶「勇者さんが揃ったら叶います。私だって、見つけるのを諦めてなんてないですよ」

魔法使い「……昨日はごめんなさい」

僧侶「ふふ、お互い様です」

バタバタ! ドタドタ!

戦士「なんだか廊下が騒がしいな」
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:28:53.06 ID:3fHmNG6P0

「あー!!もう!!最悪!!」

生徒A「げっ、アクアのやつ、朝から不機嫌だぜ!」

生徒B「何があったかは知らんが、巻き込まれないようにしとこうぜ」

アクア「……あんたたち、何か言った?」

生徒A・B「い、いえ!!何も!!」

アクア「私に喧嘩売るつもりなら、いつでも買ってあげ……」

コツ コツ

先生「どうされましたか。ミス・アクア・デ・ルシャルイローズ・シャンメリゼ」

アクア「……何でもないわ」

先生「そうですか。では、朝礼を始めるので席についてください」
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:29:40.11 ID:3fHmNG6P0

戦士「あの女子生徒、なんだか異彩を放っているな」

僧侶「なんでしょう……表現するなら……」

魔法使い「澄み渡るようなブルーに染まった髪。西洋のお人形さんの様な顔立ちで、唇はほんのりとした桃色。くっきりとした目鼻立ちて気の強さを感じさせながらも、そっと伏せた目からは切なく脆い印象を受けるような……」

僧侶「今のは何ですか?」

魔法使い「な、何でもない!!」

魔法使い「(あまりにもヒロインらしさを感じて、つい本みたいな描写を口にしてしまった……)」

魔法使い「(こんなこと今までなかったのに……嫌な予感がする……)」
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:30:28.04 ID:3fHmNG6P0

先生「みなさん、はじめまして。私がこのクラスの担任です。よろしくお願いします」

生徒A「先生!!毎日顔をあわせてんだから知ってるよ!!」

先生「長期コースのみなさんはいつも顔をあわせていますが、短期コースの生徒さんが新しくお仲間になります。短い期間の参加とはなりますが、既に働かれている社会人の方もいらっしゃるので、ぜひ交流を深めてくださいね」

戦士「俺たちのことだな」

僧侶「し、しばらくよろしくお願いします……」

魔法使い「ふんっ」

生徒A「へー、あの二人の女、ツラは極上じゃん」

生徒B「短期コースだし能力はしれてるな。どうせコネだよ。お遊び相手なら最高だけどな」

戦士「……こやつら」
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:31:27.91 ID:3fHmNG6P0

先生「さて、もうひとりご紹介です、本日から長期コースのお仲間になる、転校生の方がいらっしゃいます」

ガヤガヤ……

生徒A「こんな時期に長期コースに編入なんて珍しいよな」

生徒B「噂で聞いたんだけど、入学前テストでレベル1だったって噂だぜ」

生徒C「はぁ!?レベル1!?こりゃあ、初日で逃げ出すな」

生徒A「ギルドにも入ってたけど、すぐ追い出されたらしいぞ」

生徒B「落ちこぼれ決定だな。まぁ、アクアみたいな乱暴者じゃなければ誰でもいいけど」

アクア「…………」ギロ…

生徒B「ひっ!!」

先生「それでは、教室に入ってきてください」

ガラガラ……

魔法使い「……えっ」
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:31:58.52 ID:3fHmNG6P0

「はじめまして。今日からこのアカデミーで一緒に学ばせていただく」

勇者「勇者と申します」

魔法使い「っ!?」


アクア「あー!!あんたは今朝の!!!」

勇者「げっ!!!お前はビチャビチャ!!!」

アクア「ビチャビチャって言うな!!」


僧侶「ど、どうなっているのでしょう……」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:30:24.49 ID:3fHmNG6P0

先生「1時間目はガイダンスですが、2時間目からは魔法訓練を行います。みなさん、新入生にわからないことがあったらお手伝いを……」

生徒A「しつもんしつもーん!勇者くんのスキルって何なんですかー?」

先生「えーと……」

勇者「スキルは『地面に落ちているゴミが気になる』です。よろしくお願いします」

生徒A「くくっ……ありがとうございまーす!」

生徒B「聞いたか今の!?外れスキルもいいところだぜ!!」

生徒C「しかもレベル1!こりゃ終わりだな」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:31:24.66 ID:3fHmNG6P0

僧侶「まさかの勇者様との再会ですね。ただ、私達のことをまったく気にかけてくれませんが」

戦士「瓜二つの別人じゃないか?」

魔法使い「……そんなことないよ。戦士があげたミサンガも、私があげた道具袋も持ってる。間違いないよ」

僧侶「事故のショックで記憶を失っているのかもしれません。無意識のルーティンで物を身に着けることもありますし」

戦士「しばらく様子を見たほうがよさそうだ」

僧侶「そうですね。装備を整えるのも勇者様の記憶が戻ってからにしましょうか」

魔法使い「記憶喪失……そんなの認めないわ……」
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:32:05.47 ID:3fHmNG6P0

〜2時間目 魔法訓練〜

魔法使い「ガイダンス後はいきなり魔法訓練なんて、なかなか厳しいアカデミーね」

僧侶「新学期が始まる前に、基本的な座学は自習していることが前提となっているんです。これは訓練という名の、生徒の実力を測るテストのようなものですね」

戦士「俺は魔法はからきしなんだが……」

僧侶「魔術を使える生徒しか基本いないので、仮病で休むのが一番です」

戦士「…………」

魔法使い「勇者ったら、長期コースの若い生徒たちに囲まれてるわね」

僧侶「それに、なんだかあの水色の髪の女の子と口論になっているようです」
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:32:53.24 ID:3fHmNG6P0

勇者「あれは不可抗力で!!」

アクア「初めて会ったのにあんなことまでして!!あんたのせいでお嫁に行けなくなったらどうすんのよ!!」

勇者「だから事故だって!!それに、あんたなら貰い手なんてたくさんいるだろ!!」

アクア「はっ///へっ///ばか、何言ってんのよ!!!そ、それじゃあ……あんたが私のこと……」

勇者「その暴力癖さえなおしたらな」

アクア「こんのぉ〜!!!!」

勇者「や、やめろビチャビチャ!!あんな水責めは二度とごめんだ!!」

アクア「だからビチャビチャって言うなぁ〜!!!」
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:34:03.49 ID:3fHmNG6P0

戦士「仲がよさそうだ。俺たちがいなくても成立するような寂しさを感じる」

僧侶「なんだかあの子、魔法使いさんに似てますね……ってあれ、魔法使いさんは?」

戦士「向かって行ったようだぞ」

僧侶「様子を見ましょうと行ったのに……」



魔法使い「ちょっと、馬鹿勇者!!今まで何やってたのよ!!」

勇者「ぼ、僕?」

魔法使い「本当に心配したんだから……さっきから私たちのこと無視するし。何かあったなら、ちゃんと言ってよ!!」

アクア「どういうこと?あんた他の女の子にもちょっかい出してるわけ!?」

勇者「誤解だよ!!」

魔法使い「何が誤解なのよ!!」

勇者「君たちのこと、知らないよ!!!」

魔法使い「…………そう。わかった」
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:34:50.74 ID:3fHmNG6P0

先生「はい、それじゃあ次の生徒。魔法使いさん、こちらに来てください」

魔法使い「……はい」

先生「あの人形に向かって、得意な攻撃呪文をぶつけてください。大砲でも撃ち抜けないほど頑丈な素材でできているので、遠慮なく攻撃してください」
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:35:42.00 ID:3fHmNG6P0

魔法使い「どういうことよ……私たちのこと、忘れちゃったっていうの?」

魔法使い「……なんでそんなことになったのよ。なんでこんな目に遭うのよ!!」

ゴゴゴゴゴゴゴ!!!!

魔法使い「『爆炎弾!!!!!』」



先生「……ほぉ」

生徒A「すげぇ!!人形が遥かまで吹き飛んだぞ!!」

生徒B「なんて威力だ!!もしかして、レベル5の実力があるんじゃないか?」

先生「それでは次の生徒。アクアさ……」

アクア「『清冽なる水龍の涙(デ・セ・ポルネルーゼ・クアンテット)』!!!!!」



――――――――――――――――――


91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:36:31.12 ID:3fHmNG6P0

アクア「ふん、こんなもんよ」

生徒A「おわ〜すげー!!!」

生徒B「相変わらず恐ろしい水流だな!!さすが学園都市最強のレベル5!!」

先生「今年は面白い生徒が多そうですね……。では、次。勇者さん、前へ」

勇者「はい、今いきます……あれ、なんか地面に埋まってるぞ」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:37:26.47 ID:3fHmNG6P0

先生「どうされましたか?」

勇者「いや、地面に何かゴミが埋まってて。つまづいたら危ないので取ってもいいですか?」

生徒A「あいつ、洗練された一角獣の伝説を知らないのか?」

生徒B「学園創立以来、訓練場の地中に埋まっているという謎の武器。周りの土を爆発させようが絶対に掘り出せない」

生徒C「もしそんなの掘り出せるとしたら、あの偉大なる伝説の偉人、ガオガー・D・バネットの子孫ってことに……」

ひょい

勇者「あれ、抜けたぞ?」
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:38:09.16 ID:3fHmNG6P0

「う、うそだろ!?」

「あれが洗練された一角獣!!手のひらに収まるくらいのサイズだ!!」

「シルバーの輝きだな。しかも四角い形」

先生「これは……勇者さん。その武器を使って、あの的を攻撃してみてください」

勇者「攻撃つったって、一体どうしたら」

『起動してください』

勇者「だれだ、今の声」

『私の名はヒップ。側面についているボタンを長押ししてください』

勇者「ええと、これか。押してみるか」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:38:50.02 ID:3fHmNG6P0

――――ピカン!

僧侶「光り出した!!」

戦士「りんごのマークが見えるぞ!!」


勇者「は、羽のように軽い……いや、羽よりは重い」

勇者「初めて握るはずなのに、ずっと使ってたみたいに……スマートに操作できる……」

勇者「いくぞ」

勇者「『フラッシュライト!!!』」

ピカーーーーーーーーーーーーーーーン!!



「人形が……消滅した」

先生「伝説のオーパーツ、洗練された一角獣『スマートホーン』を手にしましたね」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:39:23.20 ID:3fHmNG6P0

生徒A「今年の新人はやばいぞ!!」

生徒B「俺たちとは桁違いだ!!」

先生「次は戦士さん。よろしくお願いします」

生徒C「次は、一体どんな力が……」
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:40:05.70 ID:3fHmNG6P0

戦士「やぁーーーー!!!!!!」

ダダダダ!!!!

戦士「ていていてい!!!!」

ザシュザシュ!!!

戦士「せいせいせい!!!!」

ズバズバズバ!!!


………… ………… …………

………… ………… …………

………… ………… …………

先生「…………」

魔法使い「…………」

僧侶「…………」

アクア「…………」



戦士「……あれ?」

戦士「またオレ何かやっちゃいました?」

デデーン 魔法使い アウトー

魔法使い「本当にやらかしてる……イタッ!」
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:43:15.94 ID:3fHmNG6P0

〜昼休み〜

魔法使い「勇者に何が起きたかわかったわ」

僧侶「一体何が?」

魔法使い「あいつは今、ナロウ系主人公になっているの」

僧侶「?????」

魔法使い「narrow(ナロウ)って異国語知ってる?」

僧侶「ええと、狭い、という意味だったかと」

戦士「ナロウ系主人公とはなんなのだ?」

魔法使い「私は冒険譚とかよく読んでたからわかるんだけど。ファンタジー世界に転生した無双系主人公をそう呼ぶの。趣味を同じくする者同士の距離感を縮めることから、ナロウって言葉で表現しているんだけど」

僧侶「なるほど。勇者さんはどういうわけか記憶を失い、ナロウ系主人公としてこの世界に再登場しているわけですね。ところで、そういう冒険譚は面白いのでしょうか」

魔法使い「私も昔はよく読んでたわ。主人公が最初から最強な状態で冒険を進めていくから、無敵な自分の理想像を重ねてしまえるのよね」

戦士「けしからん!!鍛錬や努力あってこその強さであろう!!」

魔法使い「それじゃあ魔法も覚えてくださいな」

戦士「俺は剣術で生きるのだ!!勇者が使ったあのインチキ光線など言語道断!!」
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:45:10.57 ID:3fHmNG6P0

僧侶「まぁまぁ、本題に戻りましょ。勇者様の記憶はどうすれば戻せるのでしょうか?」

魔法使い「そんなの簡単よ。ナロウ系主人公の座から引きずり下ろすのよ」

僧侶「どうやって?」

魔法使い「徹底的に笑わせて、尻を叩かせまくる」

魔法使い「気取ったナロウ系主人公のプライドを破壊し、主人公の座から引きずり下ろすのよ!!」

僧侶「それじゃあ私たちが悪役みたいでは……」
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:47:39.33 ID:3fHmNG6P0

〜入学1週間後〜

勇者「おいおい、ドラゴったら。学校なんだから大人しくしてろよなー」

ドラゴ「ドラドラ〜♪」

アクア「ちょっとあんた!!今朝もまた逃げたわね!!しかもそんな派手な銀髪にして!!」

勇者「げっ!ビチャビチャ!!これは薬瓶をうっかり被っただけで……」

巫女「勇者様、おはようございます。先日は一夜を共にしていただきありがとうございました。それにしてもドラゴったら、すっかり懐いちゃって」

ドラゴ「ドラドラ〜♪」

アクア「一夜を共にって……あんたねぇー!!!!」

勇者「誤解だっつーの!!」

眼鏡っ娘「あっ、勇者くん!!昨日は私が一人で帰っている時に暴漢から守ってくれて本当にありがとう。古代に失われたはずの伝説のスキル『地表看破』により罠を全て見破った姿、とてもかっこよかったです。ちなみに私は男の子とまともに話したことのない処女です」

ドラゴ「ドラドラ〜♪」
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:48:21.55 ID:3fHmNG6P0

僧侶「数日様子を見ている間に勇者様がドラゴンみたいな魔物に懐かれています。髪の毛も銀髪になっていますし、ヒロインらしき人物も一気に増えています」

戦士「くそ、勇者の奴。常に女に囲まれているか、トラブルとの遭遇続きで話しかける隙さえない。登場人物も増えすぎて覚えきれん……。女子に囲まれても全然うれしくなさそうなのは格好つけてるだけなのか?」

魔法使い「それが主人公属性なのよ」

僧侶「地表看破だなんて初めて聞きましたけど。勇者様にそんな力が?」

魔法使い「それは多分……」

僧侶「あっ、勇者様が頭を抱えながら溜め息をついています!」
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:49:01.02 ID:3fHmNG6P0

勇者「目立ちたくないのに余計なことしちまった。これから異界の十字架(エルシュアレンス・サウザンドクロス)を手に入れて聖騎士の魔窟(ホーリートワイライト・カーズ)を攻略した後、腐海の大時計(クロノ・デュ・マザー)を巨神の大振り(ギガンティック・ウォー・オブ・ウォー)しないといけないってのに……」

デデーン 僧侶 アウトー

僧侶「ダメです、一語も解読できませんwwwキャッ!」

戦士「魔王討伐より凄そうなのは気のせいか?」

魔法使い「ナロウ系主人公としての適正が高すぎる……。このままじゃ、ヒロインと一夫多妻制のハーレムエンドに……」

魔法使い「なんとかしないと……」
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