ギャルゲー後輩ヒロイン「先輩!会いに来たっスよ♪」

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126 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/12(火) 02:51:43.56 ID:XCrProO70





男「"お前を好きにはなれない"」





後輩「……………え」

男「………」

後輩「嘘、ですよね……先輩……?」

男「………」

後輩「だって先輩は私と…私が好きで、先輩の好きが、え?あれ??」

後輩「………いや………」

後輩「いやああああああああっ!!!」



ガク



男(ぐ…重っ)

男(気失って――…いや)

後輩「」

男(鼓動が聞こえない)

男「………」

男「………」



.........




127 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/12(火) 02:52:17.69 ID:XCrProO70
ーーーサーバールームーーー



[モニター]
━━━━━━━━━━━━━━━
   リリースを開始する
     キャンセル
━━━━━━━━━━━━━━━



男「…キャンセル」カチッ

男「………」

男「あとは…消すだけか…」

男(ソースもパッケージもあいつに関わるものを何もかも消しちまえば、そうすれば)

男(全部終わる)

男「………」



カタカタカタ、カチッ

カタカタ、カタカタカタ

カチッ、カチッ



男「……」



(おざなりに置かれたテスト用スマートフォン)



男「………」

(手に取る)
128 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/12(火) 02:53:14.94 ID:XCrProO70

男(俺が使ってたのとは違うか)

スッ、スッ

男「…!」

男(テストプレイデータ…後輩の)

男「……」スッ...



後輩『あ、先輩ー!』

後輩『何してるんスか?今日部活ない日っスよね?居残りの補習でもしてたんスかぁ?』キシシ



男(あぁ、ここは確か初めて後輩に驚かされたシーンだったっけ)



後輩『……』ニヤニヤ



男「………」

男「……………」

男「……ごめん……」



後輩『……』ニヤニヤ

後輩『…?』

後輩『もう、先輩無視っスかー?こんなにかわいい後輩ちゃんが話しかけてあげてるのに』

後輩『ちょっと傷ついたっスー』




129 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/12(火) 02:53:49.83 ID:XCrProO70





『番組の途中ですがここでComing Games社AI暴走事件についての速報が入って参りました。事件の中心人物と思われる同社の男性社員が、ついに対話に応じました。聞き取りの中で同氏は、事件の引き金を引いたのは自分で間違いない、とどめを刺したのも自分ですと語っているとのことです。まだ受け答えがぎこちなく、専門家の話によると非常に大きい精神的ショックを受けたことが原因と考えられるとのことです。詳しい情報が入り次第続報にてお知らせいたします。また、本事件で人体クローンの研究が露呈したアメリカのクローン技術研究機関はこれを一部否定しており――』




130 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/12(火) 02:54:41.08 ID:XCrProO70
ーーーーーーー

捜査官「その時に男氏が提出した報告書がこちら…でお間違いないですね?」

上司「はい。間違いないです」

捜査官「男氏の様子に変わった点は見受けられませんでした?どんなに些細でも構いません」

上司「いえ…すみません、その日はこれを受け取った後顔を合わせていないので」

捜査官「上司さん、あなたはなぜそこで詳細を尋ねなかったのです?テストプレイによるバグ探し、そのための報告書ではないのですか?」

アフロ「無理言わないでくださいよ。んな重箱の隅やってたらとてもじゃないが仕事が回んねぇんだ。後でちゃんとまとめて目を通してくれるし、それがうちのやり方なんすよ」

捜査官「その、あなた方のやり方を貫いた結果このような事件が起きたのでは?あなた方はことを軽んじ過ぎているようですね」

捜査官「これは人類にとって脅威的な出来事なのですよ。二度起ころうものならSF映画のような機械に支配される時代が現実となりうる。絶対に再発させてはならない災厄」

捜査官「我々は、いかなる予兆も感知しその芽を摘み取る義務がある人間なのです…!」

補佐「捜査官さん、少し感情的になってます。落ち着いてください」

捜査官「…失礼しました」

捜査官「一度休憩にしましょう。丁度昼食の時間です。あなた方の分は後ほど補佐に持っていかせます。午後には綿密な受け答えが出来るように整えておいてください。では」

補佐「」ペコリ



ガチャ



アフロ「…ちっ、なんだよあいつ感じ悪いな」

上司「抑えなさい。彼らも多忙を極めているんだろう。俺達と同じだよ」

アフロ「でもよぉ。こんな施設に閉じ込めておいて、これじゃまるで俺らが犯罪者みたいじゃないっすか。抗議の一つでも垂れてやろうか」

アフロ「眼鏡も一緒に行こうぜ?」

眼鏡「…いえ、申し訳ないのですが僕はここで待ってます」

アフロ「んだよ、やけに大人しいな」

眼鏡「ああいう人種は苦手なんです…」

アフロ「あー?」

上司「よせと言うに。お前が身勝手をすれば男と新人にしわ寄せがいくだけだぞ」

アフロ「そりゃ……はい」
131 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/12(火) 02:55:06.35 ID:XCrProO70

アフロ「…男、今頃俺らより遥かにストレスフルな尋問受けてるんだよな…」

上司「辛いだろうに…ここまでの規模の事件だ、世間はあいつの休息なんぞ許さんだろう」

眼鏡「……新人さんが助かってよかったです」

上司「あぁ。それが唯一の救いだな」

アフロ「俺ら含めてほとんどの奴ら、同じ場所で転がってたのに新人だけなんで落っこちてたんすかね」

上司「さあな。新人はその時の記憶はないそうだ。男なら、知ってるのかもしれないな」

三人「……」



ガチャ



補佐「みなさんお待たせしました。昼食と、あとこれは私からの差し入れです」

上司「これは丁寧に」

アフロ「差し入れ?」

眼鏡「板チョコ…」

補佐「はい。チョコは万国共通の甘味です」ニコッ

補佐「申し訳ありません。捜査官さんは正義を体現したような方で、あのような物言いになってしまうんです。決してみなさんを誹謗するつもりなどはありませんので、どうか最後までお付き合いください」

アフロ「…おう」

上司「さて、食事にしようじゃないか」

補佐「私もご一緒させてください」



ガサガサ

コト コト コト


132 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/12(火) 02:56:07.61 ID:XCrProO70

補佐「実はあれでも、まだ穏やかな方なんですよ」

アフロ「んあ?さっきのあいつ?」

補佐「えぇ。あの人は人の生き死にに特に敏感ですから、もし死者の1人でも出ていようものなら…きっと昼食休憩もなかったでしょうね」

上司「クローン体が1つ、息を引き取ったようですが…」

補佐「彼の中ではあれは人にカウントされてないんです」

上司「そうですか…」

アフロ「ま、言っちゃ悪いがよ、自業自得だろ」

アフロ「あいつの言ってたSF映画みたいなもんよ。行き過ぎた人工知能は結局人の手で始末されちまう。…元凶作り出した俺らが言うなって話かもしんねぇけど」

補佐「…彼女にも、人の心が芽生えていたのでしょうか」

アフロ「どうかね。俺は所詮どこまでいっても0と1の羅列でしかないと思ってっけど」

アフロ「まぁ後輩ちゃんのバッドエンドが再現されなくて安心したぜ。下手したら俺らの誰かが殺されてたかもしれねぇ」

補佐「そうなんですか?」

アフロ「おう。なにせあのバッドは」





アフロ「振られた後輩ちゃんが、別のヒロインを殺して成り代わろうとする狂気エンドだからな」




133 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/12(火) 02:56:58.05 ID:XCrProO70
ーーー数か月後 会社ーーー

新人「上司さん、頼まれてた資料作成しました。チェックしていただいてもよろしいですか?」

上司「あぁうん。仕事が早いね」

上司「どれどれ」

上司「……バッチリだ。ありがとう」

新人「あと…以前お話していた引っ越しの件ですが」

上司「決まったかね?」

新人「はい。ですので今月末、退職することに…」

上司「気を遣うな。我々のことは心配しなくていいんだ。君達は君達の幸せを掴むべきだからな」

新人「ありがとうございます。その、お世話になりました」

上司「こちらこそ、だ。元気でやるんだぞ」

上司「…男をよろしく頼む」

新人「…はい」




134 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/12(火) 02:58:36.31 ID:XCrProO70
ーーーーーーー

男「………」

男「………」

男「………」

男(………)



ーーーーー

後輩「――嘘、ですよね……先輩……?」

ーーーーー



男「………」

男「………」



ーーーーー

後輩「――いやああああああああっ!!!」

ーーーーー



男「っ……」グッ...(耳を塞ぐ)

男(……俺はあれで良かったんだ……)

男(そうだ……あれでいい……)

男(この悲鳴も、ただの幻聴……)

男「………」
135 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/12(火) 02:59:03.54 ID:XCrProO70



...パタン



新人「男先輩、帰りましたよ」

男「……」

新人「…いつもの、ですか?」

男「……ごめん新人さん……また、お願いしてもいいかな…?」

新人「いいですよ。どうぞ」



ギュ



男「……」ギュー

新人「……ゆっくりでいいんです。ゆっくり、克服していきましょう」

男「……」ギュゥゥ

新人「……」ナデナデ

新人「次の引っ越し先は、こことは違ってとてものどかな所です」

新人「多分、私達のことを知っている人もいないでしょうから変な目に晒されることもありませんよ」

男「…あぁ…」

新人「……大丈夫」

新人「私がずっとついてますからね」
136 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/12(火) 02:59:45.31 ID:XCrProO70





新人「先輩…♪」




137 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/12(火) 03:00:58.14 ID:XCrProO70
今回はここまでです。
もうちょっとだけ続きます。
次回の投稿で完結する予定です。
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/12(火) 03:49:28.17 ID:oKHpcxd5o
ヒェッ……まだ続くのか
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/12(火) 07:54:02.34 ID:WRng6WXXo
おつ
140 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/14(木) 20:53:42.55 ID:PYxvWNc00





1年後――




141 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/14(木) 21:02:48.47 ID:PYxvWNc00
ーーーーーーー

男「じゃあ行ってくるよ」

新人「あ!待ってください、私も今出ます」

男「大丈夫大丈夫。新人さん、自分の仕事休んで付き合ってくれてたでしょ?今日からは1人で行けるからさ」

新人「でも…」



テクテクテク...



新人「……」

新人(気のせいかな、先輩と暮らし始めてからちょっとずつ…避けられてきてるような気がする)

新人「また捨てるんスか、先輩…」

新人「………」

新人「うるさいっスね、分かってますよ」

新人「…絶対っスよ。それで先輩と私を……」




142 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/14(木) 21:03:41.69 ID:PYxvWNc00
ーーー仕事場ーーー

中年「どうしたね男くん、元気がないと見える」

男「!すみません仕事中に…」

中年「責めているわけではないさ。どれ、少し自主休憩といこうじゃないの」

中年「仕事にはもう慣れたかね?」

男「ぼちぼちです。まだ手を付けられてないマシンもありますが…」

中年「いやいやそれでも十二分に助かってる!ここらじゃコンピュータをまともに扱える人材も居なくてね。かく言う俺もだが。はっはっは!」

中年「君、何か事情があってこの島に来たのだろう?」

男「えっと……」

中年「いい、いい。深くは訊かんよ」

中年「ここではただ、のんびり、平和に生活してくれればそれでいいんさ」

中年「島に飽きたらすぐ言い?言っちゃなんだが、ここ本当なんもないかんな!はっはっ!」

男「…ありがとうございます」

中年「そういえばいつも付き添ってた美人さんはどうしたね?」

男「今日は自分の仕事に行ってもらってます」

中年「そうかい。目の保養だったんだがなぁ」

男(……)

男「実は今…喧嘩中でして。そろそろ潮時かなと」

中年「む。ふーむ…」

中年「女ってなぁな、多少強引にでもガッと引っ張ってチュッてやってやればついて来るようになるもんさね」

中年「元気出しんさい!仮に別れでもしたら浴びるほど酒飲ませてやろうじゃないか。注ぐのがおっさんってことだけは目ぇ瞑ってもらわにゃあかんけどな!わははっ!」

男(よく笑う人だなぁ)
143 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/14(木) 21:05:10.91 ID:PYxvWNc00

「ちょっとあんた!また下らないこと言って男くんを困らせてるんじゃないでしょうね!」

中年「うおっ、なんだよ朗らかな雑談をしてただけやろうが」

「なにが朗らかよ!男くん、このバカがしょうもないこと宣っても無視していいからね?」

中年「うるせー!男同士の会話に水を差すなや!」

中年「…はぁ、うちの女房も男くんくらいの歳の時はもっと可憐でお淑やかだったのに…」ゲンナリ

男「すごくしっかりした奥さんに見えます」

中年「あぁ、まぁ確かにご立派よな。あの猛々しさは」

中年「俺がガッとやり過ぎたんかねぇ…」

中年「さて、休憩は終いだ男くん。君にやって欲しい仕事はたくさんあるが、急ぎじゃあない。焦らず丁寧にこなしてくれ」

男「ガッとやってやりますよ」

中年「わっはっは!その息だ若人よ!」




144 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/14(木) 21:07:20.54 ID:PYxvWNc00
ーーー帰路ーーー

男「……」テクテク

男「……」テクテク

男(そうだよな)

男「……」テクテク

男(俺が目を逸らしてどうする)



男(まだ、終わっちゃいないんだ)




145 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/14(木) 21:10:07.69 ID:PYxvWNc00
ーーーーーーー

男「ただいま」

新人「おかえりなさい男先輩」パタパタ

新人「あの、ご飯出来てます。冷えないうちに食べましょう?」

男「…うん」



.........





男「ごちそうさま」

新人「はい、お粗末さまです」

男「今日のご飯味付け変えた?」

新人「!分かりました?そうなんですちょっと気分を変えてみたくて」

新人「…普段作る方がおいしいですか?」

男「新人さんが俺の好みに合わせて作ってくれるからね。でも今日のも嫌いじゃないよ」

新人「そう、ですか」

男「うん」

新人「………」

男「………」

新人「……」グッ...



男「なぁ後輩」
新人「ねぇ先輩」



二人「!!」

新人「なん……き、気付いてたんスか」

男「大分前からな」

男(そう、違和感なんてすぐに気付いた。同時にこいつが誰であるかも。それを認めるのが怖くて見えてないフリをしてただけ)

男(けど、終わりだ)

新人「なら話は早いっス」

男(こいつは俺自身が――)
146 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/14(木) 21:11:21.03 ID:PYxvWNc00

新人「先輩、私はもう引っ込もうと思います。ずっとずっとこの人の身体使い続けてたら、先輩許してくれないっスよね」

男「……ん?」

新人「この人を返すって言ってるんスよ」

男「それは分かるが」

新人「先輩を独り占め出来ないのは嫌っスけど、先輩に嫌われるのはもっと嫌っスから」

男「お前…」

新人「なんスか?あぁ、そうでしたね」

新人「いっぱい困らせて、迷惑かけてごめんなさい」

新人「…これでいいんスよね?」

男(後輩が謝ってる……こいつ本当にあの後輩と同じ奴なのか…?)

新人「じゃ、さよならっス」

男「っ、後輩!」

新人「そう呼ばれるのもなんか懐かしいっスね。へへっ」

新人「」ヨロ...



新人「……あ」



新人「お久しぶりです…男先輩」

男「…新人さん?」

新人「はい」ニコッ

男「いや、騙されないからな。そうやって何度お前に遊ばれたと思ってる」

新人「後輩ちゃんじゃありませんよ。ほら」スッ

(軽いキス)

男「」ポカン

新人「あの子、どんなにくっついていてもこれだけは絶対にしなかったですよね。あなたに拒絶されるのが怖くて」

新人「直接お話するのはあの日以来ですね」
147 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/14(木) 21:14:03.27 ID:PYxvWNc00

男「………」

男「うん……本当に、ごめん。君を巻き込むべきじゃなかった。こんな目に遭わせちゃって…」

新人「前にも似たようなこと言われました」フフッ

新人「謝らないでください。辛くなかったと言えば嘘になりますが…」

新人「…結果的に男先輩と居られたので…」ボソッ

男「え?」

新人「いえなんでも」

新人「…男先輩。後輩ちゃんのこと、許してあげてください」

男「……」

新人「あの子が、1年以上私の中に居たので分かるんです。後輩ちゃん男先輩が好きなだけ…もっと言えば男先輩しか好きじゃないんです。私が考えていたよりも、重たい愛でしたけど…」

男「……許す、許さないじゃなくてさ。あんなやり方であいつを踏みにじった自分が情けないんだ」

男「他人の意思を尊重しろって、偉そうに説教垂れてたくせに当の本人があいつの意思を潰すとか…自家撞着もいいところだ」

男「俺がもっと賢かったらさ……後輩が人になる未来も……」

新人「"君を好きにはなれない"」

男「っ…」

新人「私が男先輩に教えてなければ、違った未来があったのかもしれないですね…」

新人「…さっき、また言おうとしてました?」

男「二度と言うか。いざとなったら自分の身を賭してでも後輩を止めるつもりだった」

新人「二度と……そうですか」

新人「そうですね、男先輩、後輩ちゃんのこと好きですもんね」

男「……へ?」

新人「恋愛的な意味で、異性として、1人の女性として――」

男「わー!聞こえてるから聞こえてるから!」

男「…君、本当に後輩じゃない?」

新人「えぇ。男先輩のことが好きな元ゲーム会社の同僚です」

新人「それでどうなんです?後輩ちゃん好きだったんですよね?私に遠慮しないで正直に言ってください」

男「……」
148 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/14(木) 21:16:08.78 ID:PYxvWNc00



ーーーーー

後輩「――ぷっ。あはは!ほんと先輩面白いっスね〜!こんな年下にいいようにからかわれて!」

ーーーーー



男「あぁ。よくよく考えなくても、俺あいつが好きだったわ」

男(だから、一緒に暮らしてるのが新人さんじゃないと気付いてからも、目を逸らし続けてきたんだろう)

男「はは…ざまぁないな」

新人「………」

新人「」フゥ...

新人「だ、そうよ?」

男「?」



バッ!



新人「先輩〜!」ギュー

男「!?」

新人「私も好きっス!大好き!好き好き好きぃ!」ギュー!

男「くるしっ……な、え…?」

新人「やめなさい!男先輩苦しがってる!」

新人「無理っス。こうしてないと気持ちが爆発しちゃいます♪」

新人「そだ!先輩私にもちゅーしてくださいよ!こいつが先なんてずるいっス!」ズイッ

男「待て待て待てぇい!」パッ

新人「ほら怒らせた」

新人「照れ隠しっスよー。相思相愛ですもん」

新人「…やっぱりずっと私でいい?」

新人「断固拒否っス」

男「……どういうことか、説明してくれ」



.........




149 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/14(木) 21:16:55.35 ID:PYxvWNc00

男「つまり後輩に乗っ取られてたんじゃなくて、人格は共存していたと?」

新人「今日までずっと主導権を握られてたので、表に出ていたのは後輩ちゃんだけでしたけどね」

新人「…こいつの甘言に乗せられたっス」

新人「男先輩の本音聞き出してあげたじゃない」

新人「それは感謝してますけどー…」

男「なんだ…後輩消えたわけじゃなかったのか……」

新人「消えないっスよ。先輩と居たいっスから」

男「変わらんな、お前は」

新人「ちゃんと変わってるんですよ。この1年でひたすら私が後輩ちゃんを指導してきましたから、社会に出ても問題ないくらいまでには成長させました」

新人「最初は徹底的に無視してくるので大変でした」ハハ...

新人「口うるさかったっス。料理は下手なくせに」

新人「そ、それは今関係ないでしょう」

新人「先輩聞いてくださいよ。今日のご飯作らせて欲しいって言うから譲ったのに、ほとんど私がアドバイスしたんスよ?先輩のご飯はこれからも私が作った方がいいっスよね♪」

新人「ダメ!私だって男先輩に食べてもらうんだから」

男(新人さんと後輩が新人さんの身体で会話してる)

男(はは、なんだこれ。すごいシュールな図だ。二重人格者でもこうはならないんじゃないか?)

男(でも不思議と、心の底から安心してる自分がいる)

新人「――男先輩聞いてますか?」

男「!ごめんごめん、なに?」

新人「男先輩を好きって気持ちは私も負けるつもりはありません」

新人「私が一番っスよ!」

新人「ですから」

新人「だから」



新人「「私達と結婚してください」」




150 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/14(木) 21:18:58.63 ID:PYxvWNc00
ーーー仕事場ーーー

男「……」テクテク

新人「えへへ、えへ」ベタベタ

男「もう職場に着くんだけど」

新人「うん、そうっスか♪」ギュ

男「そろそろ離してくれって意味だよ」

新人「もうちょっといいじゃないっスか。今日は後輩ちゃんの日なんスよ?」

男「家でも散々引っ付いてくるじゃねーか」

中年「やや!」

男「お、おはようございます…」

中年「仲直り出来たようだね」

男「はは…おかげさまで」

新人「今度結婚します」ニコッ

中年「おぉこれはこれは!いや実にめでたい!式には呼んでくれよな!」バシバシ

男「いえ!式をするかはまだ…」

新人「えー、しましょうよー。あいつもささやかでいいからやりたいって言ってるっスよ?」

中年「叶えてやったらええやないの。一生に一度の女の夢よ」

男「…形だけのものしか出来ないが…」

新人「十分っス。2回やるんですし」

中年「?」

新人「おじさん、グッジョブ!」

中年「おうよ」b
151 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/14(木) 21:19:34.96 ID:PYxvWNc00

男「んじゃあもう仕事だから、また後でな」

新人「はい!お行儀よく待ってます♪」

中年「元気でいい子だなぁ…」

男(新人さんの日に合わせたら驚くだろうな)

新人「先輩」

男「ん?」

新人「私のこと、好きっスか?」

男(…!)

男「……俺は」





男「"お前が好きだ。彼女になってくれないか?"」





ー終わりー
152 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/14(木) 21:25:26.74 ID:PYxvWNc00
以上で完結となります。

元々書きたいネタの中に、AIもの、ヤンデレもの、口癖が「っス」の後輩キャラがあって、それらを一緒くたにした結果今回のSSとなりました。

ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/14(木) 21:25:49.57 ID:H+xQxNSko
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/15(金) 01:18:29.06 ID:CZOkUppfo
お疲れ様でした!
二段落ちまで綺麗に決めてここ最近のSSの中では一番好き
ありがとう!
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/15(金) 01:21:45.72 ID:ryYTFpEkO
とても面白かった
ありがとう
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/15(金) 12:12:51.88 ID:VYpTQVnCo
おお、きれいに完結したな
お疲れ様でした!
157 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2020/05/16(土) 00:01:31.21 ID:d3LWmJ3u0
些細なミスですが、>>151

男(新人さんの日に合わせたら驚くだろうな)

は、正しくは

男(新人さんの日に会わせたら驚くだろうな)

です。
合わせるってなんですかね…。

次回はまだ確定ではないですが、少しだけキャラ安価のあるSSを書いてみる予定です。
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/16(土) 00:06:17.65 ID:Q1kbgn6/o
後輩ちゃんとともにサイバー犯罪やウイルスに立ち向かうロックマンEXE的な話になるかもと40%くらい思いました!
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