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荒木比奈「何百回目のプロポーズ」
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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/03/30(月) 23:00:17.66 ID:nJ12rVXd0
「……好きなんだ」
「お前とならきっとずっと一緒で居られる。お前となら同じ道を寄り添いあいながら歩いていける。そんなふうに思えるくらい」
「好きだ。好きなんだ。……だから。……だから、叶うなら」
「結婚してほしい。俺と、一緒になってくれないか」
プロポーズ。
プロデューサーが口にした。二人きりの事務所の中、ソファへ腰掛ける私を見ながら。
少しぶっきらぼうな口調で。何気なく、ちょうど日も沈み始め仕事も落ち着いてきた頃にふと。大切に贈る、というよりは照れを隠して放り投げるような言い方で。
プロポーズ。愛の言葉を口にした。
「……」
「……」
「……プロデューサー」
それに私は向き直す。
レッスンを終えた後の疲労感に身を委ねて崩し座らせていた身体を起こし、手にしていたスマホを脇へ置く。
まっすぐ整えた体勢でソファの上へ座り、デスクの向こうのプロデューサーと視線を交わす。私からの答えを待つように口を閉じた、キーボードを叩く手を止め、意識を私へ留めたプロデューサーへ、私はゆっくり口を開く。
先の言葉を思い返して。吟味するように、頭の中で何度か反芻してから。それに対する答えを、私の答えを言葉で返す。
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