【艦これ】ある艦娘の告白

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/23(月) 20:52:20.31 ID:l2/tCf/f0
 大淀は、毎朝、鎮守府の食堂で朝食をとると、鎮守府管理棟の秘書官室へ、とじこもるのが例になっていた。

今朝とても、彼女は、秘書官室の机の前に坐ると、鎮守府内から寄せられる書類処理にとりかかっているのだった。

それはいずれも、きまり切った様な書類ばかりであったが、彼女は秘書官としての責任感から、どの様な書類であろうとも、ともかくも、一通りは読んで見ることにしていた。

簡単なものから先にして、夜間当直の日誌と索敵部隊の報告に目を通してしまうと、あとには工廠からの連絡袋が残った。

修理報告書や発注依頼書、高速建造許可願。それは、多くの場合、長々しく退屈極る代物であったけれど、彼女はともかくも、概要だけでも見て置こうと、袋を開けて、中の紙束を取出して見た。

それは意外にも、原稿用紙を綴じたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「秘書官様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。

ハテナ、では、手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。

そして、もちまえの好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 秘書官様
 
秘書官室へ直接報告にあがらず、突然、このようなぶしつけな御手紙を、差上げます罪を、いくえにもお許し下さい。

こんなことを申上げますと、秘書官様は、さぞかしびっくりなさる事でございましょうが、私は今、あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのです。

私は数週間の間、全く鎮守府から姿を隠して、本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。

もちろん、鎮守府に誰一人、私の所業を知るものはありません。

もし、何事もなければ、私は、このまま永久に、鎮守府に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。

ところが、近頃になりまして、私の心にある不思議な変化が起りました。

そして、どうしても、この私の因果な身の上を、懺悔しないではいられなくなりました。

ただ、かように申しましたばかりでは、色々御不審に思われる点もございましょうが、どうか、ともかくも、この手紙を終りまで御読み下さいませ。

そうすれば、なぜ私がそんな気持になったのか。又なぜ、この告白を、ことさらあなたに聞いて頂かねばならぬのか、それらのことが、ことごとく明白になるでしょう。

さて、何から書き初めたらいいのか、余りに人間離れのした、奇怪千万な事実なので、こうした手紙という様な方法では、妙に筆の鈍るのを覚えます。

でも、迷っていても仕方がございません。ともかくも、事のはじまりから、順を追って、書いて行くことにいたしましょう。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1584964340
25.75 KB Speed:0   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)