他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
このスレッドは950レスを超えています。そろそろ次スレを建てないと書き込みができなくなりますよ。
【艦これ】提督「墓場島鎮守府?」不知火「その3です」
Check
Tweet
718 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:03:17.44 ID:zSOq3Kobo
提督「鹿島、山風、ガンビアベイの3人には、申し訳ないことをした」ペコリ
鹿島「じ、准尉さん!?」
ガンビアベイ「な、なんであなたが謝るんですか!?」
提督「俺がこいつらの暴走を煽って、この状況を作ったからだ」
鹿島「……!」
クルー1「……俺たちを、はめたのか!?」
提督「ここまではまると思わなかったがな。決定的な不始末を引き起こすよう、酒を用意して気を大きくさせ……」
提督「俺の艦隊は哨戒に出たと嘘の情報を流し、かつ鎮守府内をわざと無人にして、こいつらが動きやすい環境を作ったのは事実」
鹿島「……」
提督「そうして馬脚を現したところを、一網打尽にするつもりだった。お前たちを囮にして、な」
ガンビアベイ「Oh...」
提督「だからこそ俺はお前たちに謝らなければいけないし、鹿島の顔の怪我は、俺の落ち度としか言いようがない」
鹿島「!」ハッ
提督「……許す許さないは別にして、治療はさせてもらいたい」
摩耶「許さなくてもいいってことか? おまえ、それでいいのかよ」
提督「ああ、恨まれて当然のことをしたからな」
鹿島「……」
719 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:04:02.69 ID:zSOq3Kobo
ドォン!(窓の外から響いてくる砲撃音)
山風「きゃあ!?」ビクゥ
ガンビアベイ「What !?」
鹿島「な、何の音ですか!?」
提督「始まったか」
鹿島「い、いったい何を」
ドォン!
山風「ひっ!?」
ドォンドォン!
ガンビアベイ「……」
ドドドドォオン!
摩耶「……この音、空砲だよな?」
白露「うん、爆発音ではあるけど、打撃音じゃないよね」
鹿島「……」
山城「ふふ、ふふふふ……」ヌゥッ(山城が笑いながら窓の外から部屋をのぞき込む)
山風「!?」ビクッ
720 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:04:47.32 ID:zSOq3Kobo
山城「ああ……不幸だわ」ニィッ
山城「窓から逃げ出すなんて有り得ないでしょ、って言ったのに、まさか本当に窓から逃げ出そうとするなんて」
山城「おかげでこんな夜中に窓の外で張り込みよ? 何が悲しくて夜更けにこんなところで待ってなきゃいけないのと思ってたんだけど」
提督「でも、正解だったよな?」
山城「ええ、ええ……その通りよ。なんて不幸なのかしら」ニマァァ
山城「おかげで、一緒に張り込んでいた大和型と金剛型、そして扶桑お姉様と一緒にあの男を取り囲んで、私の号令で一斉砲撃したんだもの」
山城「なんで空砲なのかしら、実弾だったらこれ以上なく気分爽快だったのに。あぁ、不幸だわぁぁ」ポヤァァ
摩耶(くそ幸せそうじゃねーか……)
黒潮(恍惚の表情て、こういう顔を言うんやろなあ)
提督「で、首尾はどうだった」
山城「見てもらった方が早いわよ」ユビサシ
留提督「」ピクピク
提督「泡吹いてぶっ倒れてやがるな」
霧島「空砲ではありますが、撃ったときに砲口から勢いよく熱風が出ますので、その衝撃も影響したのでしょう」
比叡「普通に反動もすごいもんね!」
721 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:05:33.04 ID:zSOq3Kobo
武蔵「それに、大和と榛名の迫力がすさまじかったからな……鬼気迫るものがあったというか」
金剛「我が妹ながら、ドン引きデース……」
扶桑「そうねえ。でも、その不安の元凶もああなったことだし……」ニコニコ
榛名「敵の首魁を打ち取りました!」ハイタッチ
大和「これで安心ね!」ハイタッチ
提督「……ま、そうだな」
クルー1「……留さん……」
提督「さてと、とりあえずこいつらは牢屋にぶち込んどくか。武蔵、留提督の運搬は頼んでいいか?」
武蔵「ああ、任せろ」
提督「摩耶、こっちの連中も手分けして連行してくれ。神通は牢屋への道案内頼む」
神通「承知しました」
クルー1「……あんた」
提督「ん?」
クルー1「ただで済むと思うなよ……!」
提督「……ふーん」
最上「負け惜しみかな?」
クルー1「!?」ギッ!
722 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:06:17.04 ID:zSOq3Kobo
三隈「もがみん!」シーッ!
利根「最上は素直に思ったことを口に出し過ぎじゃぞ……」アタマオサエ
五十鈴「ほら、そっちの二人も連れて行くわよ」
クルー2「」グッタリ
クルー7「」グッタリ
由良「って、ちょっとやりすぎじゃない?」タラリ
提督「そりゃしょうがねえよ、白露は姉妹艦やられそうになったし、黒潮は昔の怒りを思い出してるし」
提督「こいつらに腹を立ててたのも俺は理解できる。二人が溜飲下げるくらいには痛めつけてもバチは当たらなねえよ。なあ?」
黒潮「せやせや」ウンウン
提督「それに場面が場面だから駆逐艦は連れて行かないつもりだったが、この二人はたっての希望だったしな」
白露「五月雨と島風が大人しく留守番してくれてて良かったよー」
五十鈴「とにかくこいつらも持っていきましょ。担架を持ってくれば良かったかしら」
白露「こんなふうに担いでいくと楽だよ。こうやって、ブロックバスターみたいに横から入って……」
三隈「ブロック……?」
白露「プロレス技だよ。知らない?」
由良「知らないわ……」
723 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:07:02.38 ID:zSOq3Kobo
白露「こういうふうに担ぎ上げて、後ろへ倒れ込む技がブロックバスターだよ。で、こういう担ぎ方をファイアーマンズキャリーって言うんだけど」
摩耶「良く知ってんなあ……」
白露「担ぐ相手のお腹側と背中側を逆にすると、アルゼンチンバックブリーカーとか、タワーブリッジとかになるよね!」
神通「そ、それはいいですから、とにかく連れて行きましょう? 案内しますから」
白露「はーい!」
摩耶「あ、そうだ、こいつはどうすんだ?」
クルー4「……」
提督「……おい、山風。お前、こいつはどうする? 牢屋に入れるか?」
山風「え……っと……」チラッ
山風「……そこまで、しなくていいと、思う」
提督「そうか。じゃあ、あんたは部屋に戻って大人しく寝ててくれ。俺の気が変わらないうちにな」
クルー4「わ、わかった……」
クルー4「それから、その……本当に、申し訳なかった。嫌な思いをさせてしまって……すまなかった」ペコリ
山風「……」コク
提督「よし、不知火と利根は執務室へ行って大淀に報告してくれ。あと他の連中は……」
クルー6「なんか、騒がしいっすね」スタスタ
足柄「准尉? なにかあったの?」スタスタ
724 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:07:49.68 ID:zSOq3Kobo
提督「ああ、なにかあったぜ。お前らこそどうしたんだ?」
足柄「さっきまで彼と飲んでて、お開きにしたところよ」
クルー6「すいません、いろいろ愚痴を聞いてもらってました」
足柄「そんなのお互い様よ!」バシバシ
クルー6「いてて!?」
提督「ふーん。そっちは平和そうだな」
足柄「で、何があったのよ」
提督「ああ、いろいろあってな……ちょっと面倒臭えことが……」
クルー4「……准尉さん。それなら、俺が説明しますよ。なにがあったか、ちゃんとお話しします」
クルー6「?」
* *
クルー6「……マジっすか……はぁ……マジっすか」
足柄「なんで二回も言うのよ」
クルー6「そんくらいショックだったってことっすよ。はぁ……犯罪じゃないっすか、こんなの」
クルー6「4さんはあれっすか。土壇場で理性が帰ってきたって感じすか」
クルー4「……まあ、な。関わったら社会的に死んでただろうし、当然と言えば当然なんだが、勇気出して良かったよ……」
725 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:08:32.39 ID:zSOq3Kobo
クルー4「はあぁ、これで俺もめでたくクビか……次の仕事、どうすっかな」
足柄「勇気……って、どうせこうなるなら、この部屋に入る前に嫌だって言えば良かったじゃない」
クルー6「同調圧力ってやつっすよ。言えばどうなるか、わかってるよな? みたいな空気感、あるじゃないっすか」
提督「こいつの肩を持つわけじゃねえが、こんなもん持ち歩いてるような奴が上にいたんじゃ、大怪我してた可能性もあったな」スッ
足柄「なにそれ、警棒?」
提督「だな。下手に歯向かってたらこいつで殴られて、下手すりゃ殺されてたかも、だな」
クルー4「……」
提督「ともかく、こいつも証拠品として押収、明日にでもやって来た特警にでも押し付けるさ」
足柄「ここまで準備してたってことは、最初からこういうことを想定してたのかしら」
提督「いや、わかんねえぞ。こんなもん持ち歩いてるところを見ると、日常的に暴力的な奴だったんじゃねえの?」
クルー6「まあ、ちょっとパワハラ気味なところもあったっすけど……」
クルー4「かもしれないな。俺たちみたいに長く一緒にいると麻痺してきて、まあこの人だししょうがない、って思うようになっちまうし」
クルー4「今回の事件も、そういう感覚がまずかったんだろう。酒が入って気が大きくなって、なんとかなるの感覚で暴走して」
クルー4「……言いたくないですけど、甘く見てた……高をくくってたんでしょうね。留さんがいるから、たいしたことにはならないと」
726 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:09:17.70 ID:zSOq3Kobo
提督「そりゃあ、留提督の父親がいるからか?」
クルー4「ええ。1さんが言ってましたが、この企画も留さんのお父さんが呉の大将さんと仲良しだから通ったって話ですし……」
クルー4「留さんのお父さんが、留さんの起こしたいろんな不祥事を揉み消してるって噂もちらほらありますので」
提督「なるほどねえ……今後はその黒幕がどう出るか、か。面倒臭えな」フー
足柄「面倒って……」
提督「あとは遠大佐が何を考えてるか、だな。なんでこんな奴に大佐の役職を譲る気でいるんだ? そこがわからねえ」
足柄「えええ!? ゆ、譲るって、そんなことできるの!?」
提督「それこそ、留の父親のコネか何かで捻じ込むつもりだったんだろ。実際にできるかどうかは別としてな」
提督「けど、大佐の椅子を遠大佐が譲る気でいるのは事実っぽいからな。そこが俺は一番気になってんだ。何かメリットあんのか?」
足柄「あるわけないわよ、失職でしょ? ……でも、その気でいるのよね?」
提督「そうなんだよなあ……」
727 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:10:02.22 ID:zSOq3Kobo
クルー4「ところでお前、5さんと一緒じゃなかったのか?」
クルー6「いえ、俺に一人で行けみたいな感じで、一人でどっか行っちゃったんですよ。野暮用とか言って」
クルー4「野暮用? こんな夜中にか?」
クルー6「そうっす。3さんも戻ってきてないんすか?」
クルー4「ああ……」
提督「2人が行方知れず、か」
クルー6「3さんは風に当たってくるって言ってたんで、埠頭に行ったはずなんすけど」
提督「その埠頭にさっき川内が行ったんだが、誰もいねえって話だったぞ」
クルー6「そ、そうなんすか」
提督「やれやれ。随分好き勝手に動いてくれたもんだ。捜索は明日の朝から始めるぞ、今夜はもう消灯だ」
足柄「そういえば遠大佐たちはどうしたの?」
提督「寝てるってよ。ぐっすりだそうだ」
足柄「ええええ……?」
728 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:10:47.08 ID:zSOq3Kobo
* 一方そのころ *
* 墓場島 北東の砂浜〜伊8が作った露天風呂へ通じる道への入り口 *
ザザーーン…!
(鼻歌を歌いながら、砂浜へ歩いてくるクルー5)
クルー5「うまく撮れてっかなあ。撮れてっといいなあ、ひひっ」
ザザーーン…!
クルー5「それにしても今日は波が高えな。艦娘が海に出てるせいか?」
クルー3「……おい」
クルー5「うお!? な、なんだお前かよ……焦らせんなよ」サッ
クルー3「おい、今お前が隠したカメラ、長時間撮影できる定点カメラだったよな?」
クルー5「……」
クルー3「こっちに何があるんだ? お前、ここで何を撮ってたんだ?」
クルー5「……」
クルー3「お前、以前厳重注意を受けたよな? 俺は覚えてるぞ。私物のカメラを撮影現場に持ち込んで、更衣室に仕込んで隠し撮り……」
クルー5「お前なあ!」
クルー3「!」
729 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:11:37.93 ID:zSOq3Kobo
クルー5「昔っからごちゃごちゃうるさいんだよ! 俺のやることにいちいち口を出すな!」
クルー3「な……ふざけんな! お前がくっだらねー真似ばっかりしてるからだろうが!」
クルー5「くだらねーと思うんなら放っとけよ! 神経質すぎんだよお前は! この前だって屋上でタバコ吸ってたのチクりやがって!」
クルー3「お前が無神経すぎるんだよ! タバコくらい喫煙室で吸えよ!」
クルー5「ちょっとくらいいいだろうが! 灰皿持ってったんだぞ!? くそったれ!」
クルー3「おい、どこへ行く! 話は終わってないぞ! だいたいそのカメラ……」
クルー5「お前には関係ねえだろ!」
クルー3「俺はわかってるんだぞ! お前、この先に温泉があるのを地図で確認してたよな! そこに置いて盗撮してたんだろ!」
クルー5「チッ……あーはいはいそーですよ! そう答えりゃ満足か!?」
クルー3「ふざけんなよ! そんなもので小遣いを稼ごうだなんて、見下げ果てた奴だ!」
クルー5「あぁ!? 金目当てじゃねえよ! 俺が個人で楽しむだけだ、売ったら足が付くだろうが!」
クルー3「信じられるかそんなこと!」
クルー5「俺はこれまで撮った画(え)を売ったことなんかねえよ! 勝手に決めつけんじゃねえ!」
クルー3「そんな言い訳、通じると思うか!!」
クルー5「俺はこれでもわきまえてんだよ。撮られたことが誰にも知られず、俺以外の誰にも見られないなら、迷惑にはならねえだろうが!」
クルー3「……お前……!」
730 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:12:32.10 ID:zSOq3Kobo
クルー5「それに、誰かに公開しなくても撮影しただけでNGだって言うんなら、お前だって同じだろうが!」
クルー3「誰が同じだ!? 一緒にするな!」
クルー5「同じだろ! ここの提督は撮影禁止って言ってたんだろ! なのにカメラ持ち込もうとした留さんたちを止めなかったのはなんでだよ!」
クルー3「それは、もしここの提督が悪人だったら、証拠を掴むためにカメラは必要だろう! 必要悪だ!」
クルー5「自分に都合よく解釈してんじゃねーよ! 結局お前の屁理屈でどうとでもなるんだろ!?」
クルー3「違う! 悪人が定めた法律なら、守らなくて当然だろう!」
クルー5「はぁ!? お前が法律なのかよ! お前が良いって言うなら何やってもいいのかよ! 偉そうなこと言ってんじゃねーぞ!」
クルー5「で、結局ここの提督は悪人だったのか? もしそうじゃなかったら、お前のやったことも無断撮影で悪だよなあ!?」
クルー3「そ、そうなったら真摯にお詫びすればいいだろう!?」
クルー5「お詫びぃ? 謝ればいいってか? そんな軽いもんで済ませんのか!」
クルー5「無実を言い張ってた相手を勝手に犯人と同等に扱って、何もなかったらごめんなさいで済ますってか! 立派だなあおい!」
クルー3「お前……!」
クルー5「お前がこの島の取材の志願したのって、この鎮守府に閉じ込められて迫害されてる艦娘を保護するつもりで来たんだろ?」
クルー5「それが、ここの艦娘も困ってる様子がなくて、提督准尉を糾弾する当てが外れて……」
クルー5「振り上げたこぶしを下す場所がなくなって、それでさっき風に当たるとか言い出したんだろ?」
クルー3「……」
731 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:13:17.68 ID:zSOq3Kobo
クルー5「どうせこんな島に来たって、得られるもんは何もねーんだ。轟沈した艦娘はワケあって海軍に復帰できねーって話らしいし」
クルー3「は!? な、なんでお前、そんなこと知ってるんだ……!?」
クルー5「お前も集めた情報を鵜呑みにするんじゃなくて、裏を取れって言われなかったのかよ? 今時取らねえか、そういうの時間かかるしなあ」
クルー3「そ、そうじゃない! なんでそれを知ってて、なんでこの島に……なんで留さんたちを止めなかったんだ!?」
クルー5「言って聞く人じゃねーよ、あの人は。言うだけ無駄無駄」
クルー5「1さんだって留さんの腰巾着だし、下手なこと言って機嫌損ねたらどうなるかわかんねえって、お前も知ってるだろう?」
クルー3「だからって、そんな重要なことをなんで黙ってんだよ……」ヨロッ
クルー5「お前みたいに逐一報告してたら、あの人たちがなんて言うか想像つくだろ?」
クルー5「俺たちの邪魔をするな、って突っぱねられて終わりさ。最悪、次から仕事に呼ばれないなんてこともあり得る」
クルー3「っ……!」
クルー5「俺が、お前がこの島に来るのをさり気なく反対してたのもそういうことだよ!」
クルー5「お前が自分の正しさを証明したくてこの島に乗り込んだとしても、どうせ無駄骨だったんだからなあ!」
クルー3「……じゃあ」
クルー3「じゃあお前は、なんのためにこの島に来たんだよ!」
クルー5「そりゃあ仕事のためだ。ディレクターと主演男優がお仕事に来たんだ、付き従ってカメラを回すだけさ」
クルー5「失敗するのがわかっていても、言う通りにして迂闊な進言もしない。ちょっと気を回して、やる気を出すフォローをしてやりゃあいい」
732 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:14:17.43 ID:zSOq3Kobo
クルー5「考え方を変えろよ。今回の仕事はな、失敗したのを放送するのが仕事なんだ」
クルー3「……」
クルー5「艦娘の運用には複雑な事情があって、留提督たちにその試練は乗り越えられなかった、ってさ」
クルー5「トライして結果NGだった企画だってこれまでたくさんあったろ? それでいいんだよ、必ずしも予定調和にならなくていいんだ」
クルー5「その上で、協力的な態度を示せば、失敗も次の糧になるってもんだ。お前みたいに、身勝手で場違いな思惑を現場に持ち込むなよ」
クルー3「お、お前がそれを言うか……お前が、それを言うのか!?」ガシッ
クルー5「うおっ」エリクビツカマレ
クルー3「ディレクターやアイドルに従っていれば、何をしてもいいってのか!? お前がやってることは犯罪だろう!?」
クルー5「だからいちいちうるせえよ! 俺なんか可愛いもんだ、あっちじゃもっと派手なことやってんだからな!」
クルー3「……どういう意味だ」
クルー5「そんなもん言わなくたってわかってんだろ。艦娘のひとりやふたり、手を付けたって代わりなんて大勢いるだろ」
クルー3「……は? お前は……知ってたのか」
クルー5「今更イイ子ちゃんぶるなよ、童貞じゃねーんだからお前だって気付いてたろ? それか、見ないふりでもしてたか?」
クルー5「ま、どうせヤれても2番手か3番手だし、それよりも俺はこっちの方がいいしな……ひひっ」
クルー3「……」ボーゼン
ザパーン…!
クルー5「おらっ、いい加減、手を放せよ!」バッ
クルー3「……」
733 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:15:17.51 ID:zSOq3Kobo
クルー5「ったく……あの人たち、まだヤってんのかな。しゃーねえ、乱交に混ざりたくもねーし、もう少し時間潰して疲れたってことにして寝るか」
ガッ!
クルー5「ぐあっ!?」ヨロヨロッ
クルー3「……幻滅したよ。許せねえ」
クルー5「お、お前、なにしやがる……」
クルー3「艦娘ってのは、俺たちのために戦ってるんだぞ!?」
クルー5「そ、そうかもしれねえけど……」
バキッ!
クルー5「がっ!」ドサッ
クルー3「かもしれねえじゃねえよ! そうなんだよ! 今、俺たちがこうやって海を行き来できるのも、艦娘がいるからだぞ!」
クルー3「それを! かもしれない、だと!? ふざけんな!」バキッ
クルー5「ぐえ……っ」ドシャッ
クルー3「挙句の果てに風呂場の盗撮まで……俺がこの島に来るのを反対したのは、それがしやすくなるからって言うのが一番の理由じゃないのか!」
クルー5「く……ほんっとうに、うるせえな! こんな電気も電波も通ってねえような島に、誰が好きで来るんだ!?」
クルー5「ロケに来るのに、娯楽が何もねえとか、やってられっかよ! くそ、なんで俺だけ、お前なんかに殴られなきゃなんねーんだ……」
734 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:16:02.12 ID:zSOq3Kobo
クルー3「……こんなもの……」
クルー5「はっ! お、おい、カメラはよせ!」
クルー3「こんなものがあるから……!」
クルー5「よせって言ってんだろ!!」ドガッ
クルー3「!」ズシャア
クルー5「くそ……仮にも会社の備品なんだぞ。壊したら弁償しなきゃなんねーだろ、ちくしょう……」
クルー3「会社の備品だって……? お前、そんなことのために持ち出したのか……!」ジリッ
クルー5「く……つ、付き合ってられるか!」ダッ
クルー3「逃げるな!!」ダッ
ザッザッザッザッ…
クルー3「はあ、はあ……待て!」
クルー5「く、くそ……砂が水吸ってて重てえし、月が雲に隠れて暗いわで走りづれえ……」
ガッ
クルー5「うわあ!?」ズデーン
735 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:17:02.48 ID:zSOq3Kobo
クルー5「ああくそっ、何に躓いたんだ……」
クルー3「や、やっと追いつい……な、なんだ? これは……」
(ゆっくりと月を覆っていた雲が薄れて砂浜を少しずつ照らしていく)
(二人の足元が見えるようになって現れたのは、砂浜に打ち上げられた艦娘の死体)
クルー5「ひ……!?」ズザザッ
クルー3「う、うわあああ!?」
クルー5「な、なんだこれ……艦娘か? 艦娘が死んでんのか!?」
クルー3「嘘だろ……お、おい、大丈夫か……?」
クルー5「ば、馬鹿! 頭吹っ飛んでんだぞ……それで生きてたら化け物だ……!」
クルー3「だ、だが……艦娘ってのは不死身なんだろ?」
クルー5「知るかよ! 現にこうやって死んでんじゃねえか!」
クルー3「け、けど、工廠に連れて行けばどんな怪我も治って、蘇るって……」
クルー5「そ、そんなわけあるか! 艦娘は死んだら深海棲艦になるって俺は聞いたんだからな!?」
クルー3「は!? じゃ、じゃあ、なんでこいつは深海棲艦になってないんだよ!」
クルー5「だから知るかって言ってんだろ!」
736 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/20(土) 03:18:17.24 ID:zSOq3Kobo
クルー3「もしかして、まだ間に合うんじゃ……おい、この艦娘を鎮守府に……工廠に連れて行くぞ! 手伝え!」ガシッ
クルー5「何言ってんだお前!? 嫌に決まってんだろ! 放せよ!」
ザザーッ
クルー3「!」
ザバーン!
クルー5「うわっぷ!?」バシャーン
クルー3「な、なんだ今の高い波は……!」ビッショリ
クルー5「……おい、よく見ろ。もしかして、こいつら、流れ着いてきたのか……?」
クルー3「こいつら? こいつらって……あ、あああ……」
クルー5「3……いや、4体いるか? こいつら全部、この浜に……今みたいな強い波で、押し流されて……」
クルー3「と、とにかく、誰かにこれを知らせないと……へきしっ」
ザザァ…
クルー5「な、なあ、海の上に誰かいるぞ」
クルー3「艦娘か? おーい!」
??「……!」
クルー3「気付いたみたいだな、助かった……あれは長門か?」
クルー5「……いや……」
??「……」ザザァ…
クルー3「ん? あれ……?」
クルー5「あ……あれは……」ガタガタ
??→ル級「……」
737 :
◆EyREdFoqVQ
[saga]:2021/11/20(土) 03:19:37.32 ID:zSOq3Kobo
今回ハ、ココマデ。
738 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/20(土) 10:45:27.18 ID:4ASkvtmc0
妹のために静かにブチギレる白露お姉ちゃん好き過ぎる
乙
739 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/11/20(土) 11:00:18.73 ID:j4bX3jwW0
5…逝ったな
740 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/21(日) 03:41:31.82 ID:9R3zz0qR0
3と5の会話パートすげーな。
>>1
の文章力が溢れ出してるわ。
ル級さん、タイミング悪すぎですよ…さて、5はどうあがいても牢屋だとして、ちゃんと艦娘に対する敬意があって、善悪を自分なりにわかってる3が墓場島の全貌を目の当たりにした時の反応が気になるな。
741 :
一般の艦これ好き
:2021/11/21(日) 22:00:26.86 ID:3h7LDheI0
もうね、この人が神でいいと思うの。
話の構成、抑揚、口調、全部好き
742 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/11/24(水) 08:29:26.33 ID:7YZUb8Y70
ル級先輩が来た!これで勝つる!!
743 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:46:01.64 ID:K5+fZQPfo
続きです。
744 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:47:02.08 ID:K5+fZQPfo
* 翌日 早朝 *
* 北東の砂浜 *
霧島「司令、こちらへどうぞ」
提督「おう。ほれ、お前らもキリキリ歩け」
手を縛られた留提督「どうして僕がこんな扱いを……」
遠大佐「……自分の行いを省みてはどうかね」ジロリ
留提督「く……っ」
手を縛られたクルー1「なんであの2人は縛られてないんだよ……」
クルー4「……」
クルー6「……」
提督「そりゃお前らみたいに不届きな真似をしてねえからな」
手を縛られたクルー2「直前で怖じ気づいただけのヘナチンのくせに……」
手を縛られたクルー7「やっぱり、あいつ最初から准尉とグルだったんじゃないすか?」
提督「俺は最初から全員しょっ引きたかったんだがな。山風と足柄が許せっつったからそうしてるだけだ」
雷「あの……准尉さん、私たち、どうして砂浜に案内されてるの?」
745 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:47:48.57 ID:K5+fZQPfo
提督「この島が墓場島って呼ばれていることは知ってるよな?」
雷「え? ええ……知ってるわ、轟沈した艦娘が流れ着いてくる島だから、って……」
提督「それを改めて説明してやろうって話じゃねえか。よく見ろよ」
雷「え……えええ!?」
遠大佐「……こ、これは……!?」
(砂浜に流れ着いた艦娘たちを、電たちが囲んでいる)
電「ぐすっ、ぐすっ」
電の背中をさする由良「……」
敷波「摩耶さん、この子たちって……」
摩耶「ああ。B提督の艦隊の……あん時の艦娘たちだな……」
遠大佐「提督准尉。これはどういうことだ……!?」
提督「どうって、見ての通り、聞いての通りだろうが。知ってんだろ? この島がどんな島かを……!」
提督「少し前にテレビでも放送されたっていう、空母棲姫の戦い……あいつらはその戦いで轟沈した艦娘だ」
クルー2「轟沈、って、そういう……マジかよ……」
クルー6「う……」フラッ
クルー4「お、おい、大丈夫か」
クルー7「ちょっ、俺こういうの駄目……うぷっ」ヨロヨロ
746 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:48:32.02 ID:K5+fZQPfo
雷「こんな……こんなに、轟沈させられたの……!?」
留提督「なんだよこれ……なんなんだよ、これは!」
提督「これ? その言い草こそなんなんだよ、失敬な奴め」
留提督「そうじゃねーよ、なんで艦娘が死んでんだよ……!」
提督「ああ? 何言ってんだお前? ……まさか艦娘が死なないと思ってたのか?」
留提督「聞いてない……こんなになるなんて聞いてないぞ! 艦娘ってのは、いくら怪我したって修復材ぶっかけりゃ直るんだろ!?」
留提督「どんな大怪我しても戻ってこれるんだろ!? 死ぬわけがないって……!」
提督「なんだそりゃ? どこから湧いて出てきた、そんな話」
留提督「だ、だって、そうじゃなきゃ艦娘が海で見つかるなんて有り得ないだろ!?」
留提督「轟沈だって、しばらく動けなくなって一時的に眠ってるだけなんだろ!?」
提督「海で? ……ああ、もしかしてドロップ艦を、轟沈した艦娘が蘇ったもんだって考えてるわけか」
提督「説としちゃあ興味あるが、そいつは多分違うな。そもそも艦娘は不死身なんかじゃねえ」
留提督「そんな!? 深海棲艦だってすぐ復活してるじゃないか! あいつら、倒してもすぐ復活してくるだろう!? 艦娘だけ死ぬなんて……」
提督「そいつも多分違うな。俺が思うに、連中は復活してるわけじゃねえ」
提督「喩えは悪いが、おそらく魚とか蟻みたいに、同じ顔した奴がいっぱいいて、次から次と生まれ出てきてるだけなんじゃねえかな?」
747 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:49:17.14 ID:K5+fZQPfo
留提督「遠大佐! こいつの言うことは本当なんですか!?」
遠大佐「いや、それは私にもわからない」
遠大佐「しかし、深海棲艦が海に無尽蔵に出てくる以上、深海にも建造ドックと同じものがあって、大量生産されているという見方はある」
留提督「……」
提督「艦娘も、同じ顔、同じ名前の艦娘が複数存在してんのを、お前らも見たことあるだろ?」
提督「だが、そいつら全員が全員、性格や嗜好まで完全一致してるわけじゃねえし、艦娘になってからの記憶を共有してるわけでもねえ」
提督「ただ似ているだけの別人……と呼ぶには無理があるが、双子や三つ子が何十人、何百人にもなったようなもんだと、俺は思ってる」
留提督「……」
提督「ところでお前ら、艦娘を解体したことあるか? 毎日の任務にも出てくるんだ、やったことある奴のが多いんだろ?」
雷「それは……」
遠大佐「ああ、ある。日々の任務に指示されているからな」
提督「で、だ。お前らは、解体した艦娘を、元に戻せるのか? 建造したそいつは、どこかで解体された記憶を引き継いできたことがあるか?」
遠大佐「……」
留提督「……」
748 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:50:01.93 ID:K5+fZQPfo
提督「同じ艦娘を建造したり発見したりしても、そいつがどこかで解体した艦娘の記憶を引き継いだりしてたことなんか、なかっただろ?」
遠大佐「……ああ。確かに、それはない」
留提督「……」
提督「仮に魂というものが存在して、巡り巡って再び同じ艦娘として生まれたとしても……」
提督「過去に解体した、もしくは沈んだ艦娘の記憶が失われていたのなら、それは死んだのと同じじゃあねえのか?」
提督「……死ねば終いさ。それが艦娘であっても、人間であっても。そうだろ?」
留提督「……」
クルーたち「「……」」
遠大佐「……そろそろ戻ろう。呉からの船が戻って来るんだろう?」
提督「慌てんな。お前らをここに連れてきた一番の理由がまだ残ってる」
クルー2「?」
クルー1「……まさか」
霧島「司令、こちらです」
提督「ああ。ついてこい」
留提督「なんだって言うんだ……」
749 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:50:51.01 ID:K5+fZQPfo
ザッザッザッ…
クルー4「……え? あれってもしかして……」
クルー1「おい、嘘だろ……やめてくれよ……!」
クルー3の水死体「」
クルー5の水死体「」
遠大佐「!!」
クルー2「うわあああああ!?」
クルー6「……そんな」
クルー1「もう駄目だ……もう、終わりだ……」ガクッ
提督「おい、誰でもいいから確認しろ。この2人は、お前らと一緒に来たテレビクルーの2人で間違いないな?」
クルーたち「「……」」
雷「准尉さん、クルーさんたちが亡くなってすぐ確認するのはさすがに無理よ……心の準備ができてないと思うわ?」
提督「ふん。しゃあねえな」
雷「あの……この二人が発見されたのはいつなの?」
提督「5時ごろか? 夜明けと同じくらいに砂浜を見回ったときに見つけて、その時点でこうなってたんだよな?」
750 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:51:46.85 ID:K5+fZQPfo
霧島「はい。それからこちらを……若干ですが、争った形跡が見られます」
提督「……顔にあざができてるな。殴り合いでもしたか?」
霧島「1人は埠頭に行ったということでしたので、そこで殴り合って海に落ち、溺れてこの浜に流れ着いた、と推測しています」
提督「んー……まあ、そのくらいしか思いつかねえな。案内もしてねえ砂浜へ夜中に二人で来る理由がわかんねえし」
提督「しかし、こいつら何を争ってたんだ? この二人、仲が悪いのか?」
クルー4「……え、ええ、まあ……良いとは言えませんね」
クルー4「同期だけれど、3さんは真面目で融通が利かなくて、5さんは要領はいいけど犯罪スレスレのことも平気でやる人でしたから」
提督「……面倒臭え関係だな。そんな奴等を同じ部署に入れてて大丈夫なのかよ」
クルー4「社長はバランスをとるためって言ってましたけどね……最終的には1さんがよく取り成して、双方納得させてましたよ」
提督「ふーん」
雷「埠頭からここまで流されてくるものなの?」
提督「この島の潮の流れは普通じゃない。だからこそ轟沈した艦娘が浜に流れ着いてくる。この島に来る輸送艦もたまにこっちに流されるくらいだ」
提督「それで海に落ちたんじゃあ、余程泳ぎが達者でない限りはこうなっても不思議とは思わねえがな」
クルー4「なくは、ないのか……2人が泳げたかどうかは俺も知らないし、今となっては確かめようもないか」
提督「服も着てるし、おまけに夜中だ。海に落ちて岸がどっちかわからなくなったら、助かるとは思えねえな」
雷「……」
751 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:52:34.91 ID:K5+fZQPfo
クルー6「なんで……なんでこんなことに……」
クルー6「3さんは艦娘を支援したくて、この撮影班に入ったんですよ。それなのに、こんなのって……」
提督「おい。事故や災害ってのは、悪人だけを殺すのか?」
クルー6「……」
提督「俺はお前らにこの島に入るな、帰れと言った。夜中も大人しくしてろと言った」
提督「それを無視して外に出た奴が、本当にいい奴なのか?」
クルー6「でも……っ」
提督「そこまでこの世は都合よく出来ちゃいねえよ。手前に都合の良いことばっかりほざいてんじゃねえ」
クルー6「……」
留提督「……だからって、まさか、死者が出るなんて、ないだろ……」
提督「おい。よりによって、お前がそんな台詞を吐いてんじゃねえぞ」ズイ
提督「いいか? 艦娘を『沈める』ってのは、こういうことだからな?」
留提督「……っ」
提督「鳥海と加古は、たまたまこの海岸に打ち上げられて、たまたま命が助かった。運が良かったってだけの話だぞ?」
提督「あいつらも、こいつらみたいに、なっていたかもしれねえんだ……お前の命令によってな」
留提督「……!!」ビクッ
752 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:53:33.17 ID:K5+fZQPfo
提督「お前は軽い気持ちで『行け』と言ったんだろうが、艦娘にとっては命懸けだ。深海棲艦だって死にたくないから必死に抗ってくる」
提督「俺たちは、その艦隊指揮を執った責任を取る立場にある。それが俺のような准尉であろうと、大佐であろうとな」
提督「ま、その艦娘をレ○プしようとしてた奴らが、死ぬのは残酷だ、とかほざくんなら……」ギロリ
霧島「司令」
提督「……とりあえず、見せたかったもんは以上だ。鎮守府に戻りな」
留提督「う……」
クルー2「……戻りましょう、留さん」
留提督「……あ、ああ」
クルーたち「「……」」ゾロゾロ…
提督「……霧島」
霧島「はい」
提督「勢い任せに要らねえ説教までしちまうところだった。ありがとな、止めてくれて」
霧島「いえ……」ペコリ
ウワアアア!
提督「んん、なんだ?」
753 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:54:16.92 ID:K5+fZQPfo
霧島「あれは……さっきのクルーの一人ですね」
クルー7「なんでですか! なんで5さんが死ぬんですか!!」
クルー2「おい、落ち着け!」
クルー7「あの人だけっすよ! 俺が番組でヘマしたのを笑って慰めてくれたのは!」
クルー7「飯おごってもらったし! 企画も取り上げてもらったのに……これからだって時に、なんで死んでんですか!!」
クルー7「ちくしょう……ちくしょおおお!!」
霧島「彼らにあまり良い印象がなかったのですが、そういうわけでもないのですね……」
提督「悪人と呼ばれる奴にも、いいところはあるだろうさ。カンダタだって蜘蛛の命を助けたことがあるんだぜ」
提督「ただ、それでそいつのやった事を帳消しにできるかと言えば、それとこれとは話が別だ」
霧島「……はい」コク
提督「さてと、霧島も案内ご苦労さん。あとは摩耶達と一緒に、こいつら弔うの手伝ってやってくれ」
霧島「了解しました。司令はこれから船の出迎えですか」
提督「ああ。ただ、その前にあいつを問い詰めねえとな」
754 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:55:01.82 ID:K5+fZQPfo
* 墓場島鎮守府 埠頭 *
提督「さてと……テレビの連中は牢屋に戻ってもらった」
遠大佐「……それで、私に訊きたいこととは?」
雷「……」
提督「そっちの秘書艦も薄々感付いてるんじゃねえの。あんた、なんであんな奴に、手前の大佐の階級を譲ろうとしたんだ?」
遠大佐「……」
提督「あんたのせいであの留提督が増長したのは自覚してるか? ちょっと酒で酔わせただけでこのざまだ」
提督「自分の艦隊を手に入れて、好き勝手できると思ってフライングで鹿島たちに手を出しやがった」
提督「こんな奴らを海軍に引き入れて、どうしようって言うんだ? これだけ手を煩わせておいて、説明なしってのはねえだろ」
遠大佐「……」
雷「司令官……お願い、私にも理由を教えて。私たち、これまで一緒に戦ってきたじゃない……!」
遠大佐「……雷……」
提督「……」
遠大佐「わかった……話そう。准尉のような、口の利き方も知らん生意気な小僧にまで聞かせねばならんのは癪だがな……!」
755 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:55:46.69 ID:K5+fZQPfo
雷「彼に話すのが癪、って……!?」アセアセ
遠大佐「こんな生意気な、甘やかされたクソガキには理解できまいよ!」
提督(面倒臭え奴……)ブゼン
雷「し、司令官! 落ち着いて!? 深呼吸して、ゆっくり……」
遠大佐「……す、すまん、取り乱した……」
雷「それじゃ司令官、話せる? 聞かせてもらえる?」
遠大佐「ああ。私が大佐を譲ろうとしたのは……」
雷「したのは……」ゴクリ
提督「……」
遠大佐「何もかも嫌になったからだ」
提督「……」
雷「……は?」
遠大佐「嫌になったのだよ……何もかも! 確かに私は大佐だが、艦娘が現れ、この私を飛び越えて少将になった若造が何人いると思う!?」
遠大佐「私だって努力はしている! なのに、あいつらは得体の知れない装備を開発して、聞いたこともない戦術で海域を解放していくんだ!」
遠大佐「私のほうがキャリアは長いんだぞ!? それをあいつらは、私と話すときも艦娘を侍らせてへらへらいちゃいちゃと……」
遠大佐「目上の者であるはずの私に対する敬意が微塵も感じられんのだ!!」
756 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:57:01.83 ID:K5+fZQPfo
雷「し、司令官はよくやってるわ!」
遠大佐「だが、現実は残酷なものだよ……私の知らぬ間にあいつらは独自の情報網を作り上げ、深海への対応をマニュアル化していたんだ」
遠大佐「その情報を見せられて私は愕然とした。斬新すぎてまったく意味が分からんのだ……! は、ははは……なんと、なんと情けない」
遠大佐「私もいつの間にか、古い流儀、古いやり方に縛られた、時代に置き去りにされた人間だったんだ」
雷「司令官……駄目よ、そんなんじゃ! しっかりして!」
遠大佐「ああ、しっかりと、自分の立ち位置を確認したよ。ふふ……恐ろしいな、若さというのは。それに引き換え私はどうだ?」
遠大佐「……だから、もういいんだ。私がこれ以上、この席に固執しても、なんの進歩もない……老兵は去るのみなんだ」
遠大佐「今だから言えるが、私は彼らに嫉妬していたんだろう……その思考の柔軟さも、才能も、環境も」
雷「嫉妬……?」
遠大佐「ああ、彼らの顔つきを見ればわかる。それに私は聞いてしまったんだ、彼らの会話を」
遠大佐「何を話していたと思う? 友達のこと、恋人のこと、両親のこと……家族のこと……!」
遠大佐「彼らは、私が持っていないものを、すべて持っていたんだ……!」ブワッ
提督「……」
遠大佐「この地位になるまで、必死になって勉強し、恋すら知らずに働いてきた私には、彼らの存在が眩しすぎるんだ……!!」
遠大佐「准尉も政治家の息子という恵まれた環境だったそうじゃないか。お前のようなリア充には、俺の苦難は理解るまい!」
提督「……」
757 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:57:46.85 ID:K5+fZQPfo
遠大佐「私は……女性が嫌いだった。母だったあの女は、私が5つの時に男を作って逃げた!」
遠大佐「父も、私が中学に上がるころに付き合い始めた女に骨抜きにされ、高校を出てすぐ二人でどこかへ消えた……」
遠大佐「父が私を育ててくれたことは感謝している……だが、私と父の人生を狂わせた、女性に私はどうしようもない嫌悪感を持っていたんだ」
遠大佐「そんな思いを抱いた私が、まともに女性と接するなんて不可能だ。そこへ、この深海棲艦騒ぎ……艦娘の出現だ」
遠大佐「女性との接し方すら知らない陰キャの私が、彼らにかなうわけがなかったんだ……!!」
提督「……」
雷「司令官……」グスッ
遠大佐「だから私は今の地位を捨て、最初からやり直す道を選んだ」
遠大佐「留とかいう男に地位を譲ろうとしたのも、私の苦労の1割でも味わってもらいたかったがゆえだ」
遠大佐「あの傲慢な陽キャが、私よりはるかに学も力もある若者たちに、打ちのめされればいいと思っていた」
遠大佐「その前に、准尉が彼らを叩きのめしてしまったようだがね……」
提督「……」
遠大佐「私は気付いてしまったんだ」
遠大佐「私は心の奥底で嫉妬していたんだよ。彼らの幸せな境遇を……私も、それを欲しがっていたんだと」
遠大佐「艦娘たちといることで、それに気付いてしまったんだ……!」
758 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:58:32.08 ID:K5+fZQPfo
雷「大丈夫よ、司令官には私がいるじゃない!」
遠大佐「ありがとう、雷……その通りだ。私には、雷がいる」
雷「司令官……!」
遠大佐「だからこそ……だからこそ、雷。君に、頼みがある」キッ
雷「うん……司令官、なぁに?」
遠大佐「私の……私の母親になってくれ!!」
雷「」
提督「」
.
759 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 10:59:17.12 ID:K5+fZQPfo
* 鎮守府内 執務室 *
スピーカー『母親になってくれ!!』
室内の艦娘たち「「ぶーーーーーーーーっ!?」」ズドガラドシャァ
扶桑「……みんな、派手にずっこけるわね?」
五十鈴「ずっこけるわよ、こんなの聞かされたら!」ムクッ
吹雪「私の部屋に取り付けたマイクを司令官が持って行ったのは、これを聞かせたかったからかぁ……」
千歳「い、いくらなんでも、准尉さんだってこんな答えを聞くことになるなんて思ってもなかったと思うんだけど!?」
武蔵「……つまり、なんだ? 遠大佐は最初から全てを投げ捨てるつもりだったということか?」
足柄「そういうことよね……多分。はた迷惑な話だけど」
* 鎮守府内 通信室 *
利根「まあ、退役しようというのなら、後釜なんぞ気にしないというスタンスもわからんでもないが……」
予備スピーカー『……』
榛名「提督たちも驚きすぎてて、次の言葉が出てこないみたいですね……」
那珂「なんていうか、今回来た人たちが残念過ぎていろいろショックだよぉ……」ガックリ
鳥海「ええ、本当に……」ガックリ
加古「……」グンニョリ
神通「その……胸中、お察し致します……」
760 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 11:00:02.07 ID:K5+fZQPfo
* 埠頭 *
遠大佐「……」
雷「」
提督「……」
雷「……!」ハッ!
提督「……」
雷「……は、ははおやっ!?」アセアセッ
遠大佐「あ、ああ、そうだ!」
雷「そ、そんな……そんなの……駄目よ……っ!」モジモジ
提督「……」
* 執務室 *
如月「ねえ、声の調子からして、雷ちゃん喜んでないかしら」
筑摩「ま、まだそうとは……」
スピーカー『いや、正直に言わせてもらいたい。雷……君をお母さんと呼ばせて欲しいんだ!!』
スピーカー『はうっ!』トゥンク!
陸奥「……ちょっと、喜んでるみたいよ?」
大和「い、いろんな愛情表現があるのですね……」ヒキッ
761 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 11:00:46.93 ID:K5+fZQPfo
* 通信室 *
予備スピーカー『いや、ここはママと呼んだほうがいいかな!?』
予備スピーカー『はぁぁぁんっ』ズキューン
鳥海「」シロメ
加古「」ズルベチャー
那珂「ちょっ、加古さんが椅子から転げ落ちちゃったよ!?」
利根「しっかりするんじゃあああ!」
榛名「こ、これをこの二人に聞かせたのは失敗だったのでは……」タラリ
神通「いえ……聞かせないわけにもいかないと思います、けど……」アタマオサエ
* 埠頭 *
提督「……」
雷「マ、ママ……? 私が、司令官の、ママ……!?」
遠大佐「そうだ! 私が、本当に欲しかったのは、愛情だ……母親の愛だ!!」
遠大佐「気付いてしまったんだ! これが自分の素直な欲求だってことに!」
遠大佐「お願いだ! 私の……私のママになってくれ!! 雷!!」
雷「」ズギャァァーーン!
762 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 11:01:47.02 ID:K5+fZQPfo
雷「」
雷「」
提督「……」
雷「も、もう、仕方ないわね……! いいわ、この私が、司令官のママになってあげるわ!」ズバァーーン!
遠大佐「ほ、本当か!? やったあああ!!」ワーイ!
提督「……」
遠大佐「ママ! ママと呼んでいいんだね! ママ!! ママーーーー!!」
雷「も、もう、がっつきすぎよ! 落ち着いて!」
遠大佐「うん!」
雷「その、じゃあ、改めて……おいで?」リョウテヒロゲ
遠大佐「ママーーーー!!」ダキツキー
遠大佐「ずっと……ずっとこうしたかった! こうしてみたかったんだ!!」
雷「もう、昨晩のベッドの中でもたくさん甘えてきてたじゃない!」ナデクリナデクリ
提督「……」
763 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 11:02:31.94 ID:K5+fZQPfo
遠大佐「あのときはまだ我慢していたんだよ! でも今は違う! やっと、自分に偽りなく、ママに甘えられる!!」
遠大佐「全然違うんだよ!」
雷「ふふふっ、わかったわ! 今日からもたくさん頼っていいんだからね?」ナデナデ
遠大佐「ママァァァァァァアアア!!!」ダキツキー
提督「……」
雷「……あ、えっと……」
提督「……」(←無言で頷く)
雷「そ、それじゃ、失礼するわね! 船が来たら呼んで貰えると嬉しいわ!」
提督「……」(←無言で頷く)
雷「それじゃ行きましょ! 司令官!!」テヲツナギ
遠大佐「うん、ママ!!」ニッコニコー
提督「……」
提督「……」
提督「……」
暁「……しれーかん?」コソッ
霧島「失礼します」スッ
764 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 11:03:17.67 ID:K5+fZQPfo
提督「……」
暁「し、司令官、大丈夫?」ツンツン
提督「ん……う、おお、暁か。霧島はどうした?」
霧島「私は、砂浜の作業がひと段落つきましたので、ご報告にと。お取込み中だったようなので、待機しておりました」
霧島「なにやら大変なことになったようですが……暁はなぜこちらに隠れていたんです?」
暁「暁は、雷が暴走しないか、見張るように言われてたの。結果的に、取り押さえたりするような事態にはならなかったけど……」
提督「とりあえず、二人とも見てたか? 今のやりとり」
暁「ええ、見てたわ……少し頭が痛くなっちゃったけど」
霧島「私も途中からですが……その、なかなか衝撃的と言いますか……」
提督「……」
暁「司令官?」
提督「ああ、悪い。肝心の俺が、理解が追い付かないっつうか、理解したくないっつうか……とにかく今あったことを頭が咀嚼したがらねえ」
霧島「……ああ……」
暁「……まあ、そうよね……」
提督「んー……ともかく、なんだっけ? えーと……」クビカシゲ
霧島「司令……だいぶ混乱してらっしゃいますね」
765 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 11:04:01.98 ID:K5+fZQPfo
暁「え、ええっと……まとめると、遠大佐は、今の立場や地位を捨ててでも、家族の愛っていうか、母親からの愛情が欲しかった、ってことかしら」
霧島「そうね……全部投げ捨てるからこそ、留提督が付け入る隙になった、と考えられそうね」
提督「……あー、なんとなく、頭が整理できてきたぞ……?」
霧島「司令、大丈夫ですか? 所属の艦娘への説明はできそうですか?」
提督「ああ、それは大丈夫だろ。これまでの会話はこのマイクで拾って、執務室で聞いてもらってる。もうスイッチオフにしていいか」プチ
暁「いいと思うけど……これ聞いてて、みんなどう思ってるのかしら」
提督「どうだろうなあ……」
霧島「少なくとも、遠大佐が少しおかしくなったのは周知したほうがよろしいかと」
提督「……少し、か?」
霧島「いえ、遠大佐の名誉のために控えめに表現させていただきましたが……」
暁「遠大佐、どう見ても壊れちゃったとしか思えないんだけど」
* 執務室 *
如月「なんていうか、いろいろな意味でショックな話ね……」
扶桑「そうね。聞いてる限りの様子だと、遠大佐は童子帰りしたってことかしら」
足柄「母親の愛情が欲しくて、精神だけ子供になった、ってこと? わからなくはないけど……」
千歳「ずっとストレスを感じていて、それが今回爆発した、ってことなのかしら……」
766 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 11:04:47.25 ID:K5+fZQPfo
筑摩「……」
五十鈴「筑摩さん? どうしたの、大丈夫?」
筑摩「いえ……私も、利根姉さんにあんな風に接していたのかと……」
陸奥「あんな風……って、遠大佐みたいに? あそこまで酷くはなかったと思うけど」
武蔵「筑摩の場合は、違う意味で大変だったがな。甘えたいというより、ひたすら迫りたがっていた、というか……」
筑摩「……」
大和「……」ズーン
武蔵「! どうした大和、お前も顔色が悪いぞ」
大和「だ、大丈夫よ……」
大和(ああ、私も提督に甘えたいのに……私もあんな風に気持ち悪く見られてたらどうしよう……)
大和「ううっ……」グスッ
武蔵「お、おい!?」
如月「大和さん!? 本当に大丈夫!?」
大和「は、はい、だいじょ……うううう」ボロボロ…
如月「……大和さん、お部屋に行きましょ? 少し落ち着かないと……」
武蔵「そうだな、一緒に行こう。つらいときは私や明石にも頼るといい」
大和「……うううっ」コクン
767 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 11:05:46.97 ID:K5+fZQPfo
* 通信室 *
那珂「加古さん落ち着きました?」
加古「あー、うん。いちおーね……」
加古「あのひとがヤケになったからこその、あの指揮だってことは、まあ理解できたっていうか……」ハァァァ…
加古「やられたあたしたちはたまったもんじゃないけど、これで縁が切れるって言うんなら、まあ無理矢理にでも納得するけど……」チラッ
那珂「……」チラッ
鳥海「え……エヒッ……ひは、あヒヒ……っ」マッシロ
神通「鳥海さん! しっかりしてください! 鳥海さんっ!!」
鳥海「ウヒ、ハヘッ……グゲッ、アガガガ」ガクガク
利根「神通! 鳥海を明石のところへ連れて行くぞ! これはもう吾輩たちの手には負えん!」チョウカイセオイ
神通「は、はい!!」
ワーキャー ミチヲアケロォォ
加古「鳥海は真面目すぎるんだよなあ……指揮が雑になっても信じてたわけだし。思い詰めてたりしなきゃいいなって思ってたんだけど」
那珂「あの様子はやばいよね……提督さんにも連絡しておかないと」
768 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 11:06:47.86 ID:K5+fZQPfo
榛名「……」アオザメ
那珂「榛名ちゃんも大丈夫?」
榛名「いえ……提督も同じように、ご両親から愛情をいただいていない方でしたから、同じようなお気持ちになったりしないのかと……」ブルブル
那珂「それは大丈夫じゃないかなあ? 提督さん、甘やかされるの好きじゃないみたいだし……」
那珂「どっちかって言うと艦娘を甘やかしすぎるタイプだよね。放任主義に見えて、ちゃんと私たちのこと見てくれてるしー」
榛名「そ、そうだと良いんだけれど……その、途中から一言も発さなくなっていたので……!」ソワソワ
那珂「そういえば……! 榛名ちゃん、ここは私がいるから、見てきてあげたら?」
榛名「は、はいっ! お願いします!」
ガチャ タタタッ…
加古「……ここの提督も訳ありなの? すごい心配されてたけど」
那珂「家庭の事情はちゃんと聞いたわけじゃないけど、遠大佐と同じか、それ以上に不運なんじゃないかなー?」
加古「マジかー……」
769 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/11/28(日) 11:07:38.55 ID:K5+fZQPfo
今回はここまで。
770 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/28(日) 22:55:46.87 ID:KEB7/AJ5O
更新乙
3と5は死んだか
ル級見てあわてふためいて転落からの溺死っぽそう
771 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/29(月) 03:01:07.48 ID:h0Z9vnliO
更新乙です。遠大佐指揮下の子たちや死んだクルーには悪いが、あまりにもあんまりなオチで笑うしかないわ……うだつの上がらない中間管理職って傍目からは昼行灯に見えても大変なのかもねぇ。
772 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/29(月) 06:18:07.31 ID:7zXwyTTx0
なんだ、3死んじまったのか。嫌いになれないやつだったからどこか惜しいな、
遠大佐…あんたそういう…いや、雷が喜んでるなら、いいか。
773 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/05(日) 22:27:43.37 ID:1mbWFkSso
続きです。
774 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/05(日) 22:28:48.32 ID:1mbWFkSso
* 墓場島鎮守府 牢屋 *
クルー7「ひっく、ぐすっ……うえっ」
クルー1「……」
留提督「……」
クルー2「はぁ……参ったな……」
ガラガラガラ…
クルー2「ん……台車の音か? 誰だ?」
古鷹「おはようございます。朝餉をお持ちしました」
クルー2「あ、ああ……そういや、朝飯まだだったんだっけか」
古鷹「おにぎりとお味噌汁、それからお漬物です。あとでお茶もお持ちしますね」コト
クルー2「……いいよ。いろいろありすぎて、とても飯なんて食える気分じゃない」
古鷹「……差し出がましいようですが、こういうときこそ、しっかり食べてください」
古鷹「あなたがたはまだ生きています。まだ、今日を生きられることができます」
クルー2「……そりゃあ、そうかもしれないが、多分、これで俺たちの仕事は駄目になった。稼ぎが消えたんだ」
クルー2「おまけに入った先が牢屋だ。これから俺たちはどうなるんだ? もう、俺たちゃ死んだも同然じゃないのか……」
775 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/05(日) 22:30:03.37 ID:1mbWFkSso
古鷹「私たちの仕事は、あなたがたの命を深海棲艦から守ることです」
古鷹「ですから、あなたがたのこれからの人生に直接関われるわけではありません。ですが……」
古鷹「私は、こうやってお話しできた人たちが、出会った人たちが、みんな幸せになれればいいな、って、思ってます」ニコ
クルー2「……!」
古鷹「今を、不幸だ不幸だと嘆くのは、仕方のないことだと思います」
古鷹「提督や、あなたがたと話した皆さんから、あなたがたが何をしたか、何をしようとしてたかを聞きました」
古鷹「提督は厳しい方ですから、あなたがたがやったことに容赦しなかった結果がこうなったのだと思います」
古鷹「……ですが、それでも命を奪うようなことまではしませんでした」
クルー2「……」
古鷹「人の世界には、人の世界の決まりや法律がありますから、あなたがたが行った行為に対する処罰がこれから決まると思いますが」
古鷹「私は、それを乗り越えて立ち直って欲しいと思っています」
クルー2「……簡単に言うなよ……!」
古鷹「ええ、簡単ではないと思いますよ。でも、あなたは今、死にたいとは思っていないでしょう?」
クルー2「……」
古鷹「食べた方がいいと思います。どうやってこれから生きていくか考えるために」
クルー2「……」
776 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/05(日) 22:31:18.68 ID:1mbWFkSso
クルー7「……なんだよ……なにが、どうやってこれから生きるか、だよ……」
クルー7「先輩、死んじまったんだぞ……仕事だって、続けられるかわかんねえ。俺は、これから何を目標にすりゃあいいんだ……」
古鷹「素敵な先輩だったんですね。では、あなたも、その先輩のいいところを、誰かに伝えていってはいかがでしょうか」
クルー7「ど、どういう意味だよ……」
古鷹「あなたがその先輩から受けた、嬉しかったこと。それを、他の誰かに同じようにしてあげるんです」
古鷹「私も、されて嬉しかったことは、同じように誰かにしてあげたいと思っています」
古鷹「ここで腐ってしまっては、その先輩の良かったところを、誰にも伝えられません。それは、悲しくありませんか?」
クルー7「う……!」
古鷹「どんな人にも、良いところと悪いところがあります。どうせなら、良いところをみんなに知ってもらいたいと思いませんか?」
クルー7「あ、ああ……!!」
古鷹「そして、良いところを知れば、応援してくれる人も現れます」
古鷹「人は誰だって過ちを犯すものです。自分の悪いところを反省し、見直して、改める……そして、自分の間違いとちゃんと向き合うこと」
古鷹「正直に言えば、あなたがたが襲った艦娘の皆さんが、あなたがたを許すかと言えば、それはわかりません」
古鷹「でも、素直な気持ちで自分の間違いを認め、省みることができれば……ほんの少しでも、変わるのではないでしょうか」
クルー7「ううっ……ぐす……」
777 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/05(日) 22:32:33.58 ID:1mbWFkSso
古鷹「それに、短絡的にここで死んだことにするのも簡単かもしれませんが……」
古鷹「この島で亡くなった方たちの遺族のように、悲しむ人を増やすのもどうかと思います」
古鷹「生きて、お世話になった人たちや、悲しんでくれるであろう人たちを安心させてあげた方が、何倍もいいのではないでしょうか」
留提督「……父さん……」
クルー1「……妻と、娘に……」
古鷹「さっきも言いましたけど、私たちの仕事は、あなたがたの命を深海棲艦から守ることです」
古鷹「生きるのなら、これから、もっと良い人生にして欲しいな、って思います」
古鷹「それでこそ、私も、戦う意義が……命をかける理由があると、感じられますから」ニコッ
クルー2「……」
クルー1「う……」ジワッ
留提督「……あんた……いや、あなたの、名前は……?」
古鷹「私ですか? 古鷹と言います」
留提督「ふる……ま、待ってくれ、もしかして、加古の……」
古鷹「はい。加古は私の姉妹艦です」
留提督「……なんで……なんでだ!? 俺は、加古を沈めたかもしれなかった……いや、それくらいのことをしたんだぞ!」
留提督「なのに、なんで……」
778 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/05(日) 22:33:33.43 ID:1mbWFkSso
古鷹「結果的に、加古が助かったからというのもありますが……」
古鷹「戦争に於いては、誰を憎んでも仕方ないと思うんです。それと、これもさっき言いましたけど……」
古鷹「私は、こうやってお話しできた人たちが、みんな幸せになれればいいな、って、思ってるだけなんです」ニコ
留提督「……」
古鷹「だから、この島で二人の方が亡くなられたのは本当に……残念で」ウツムキ
古鷹「だからこそ、これ以上、悲しくなるような事件が起きなければいいな、って思っているんです」
留提督「……」
古鷹「……ごめんなさい、話し込んじゃいましたね。朝餉、冷めないうちにお召し上がりください」ペコリ
留提督「あ……」
タタタッ…
留提督「……」
クルー2「……」
クルー1「……」
クルー7「……ぐすっ、ぐすっ」
クルー2「……飯、食いましょーよ……」
クルー1「……ああ」
留提督「……」
留提督「……しょっぱい」
クルー1「留さん……」
クルー2(あの人が泣いてるとこ、初めて見た……)
留提督「しょっぱいよ、このおにぎり……」ボロボロボロ
779 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/05(日) 22:34:33.58 ID:1mbWFkSso
* 同時刻 *
* 墓場島鎮守府 埠頭 *
提督「あれ? お前……」
士官(←もと中佐の部下1)「……お前のおかげで散々な目に遭ったぞ、ちくしょうめ」
提督「散々? そうか? あれの下で働くよりはずっと快適だろ?」
士官「うるさい。中将に顔を覚えてもらうチャンスだったのに」
提督「お前の狙いはそっちか。大和を連れてったついでに、か?」
士官「ああそうだ。だが、あの大和、本営で噂になるほどの問題児らしいな?」
提督「らしいな。俺も詳しく聞いてねえが、少将相手にやらかしたとかいう話は聞いてる」
士官「はぁ!? そりゃやらかしすぎだろ!! 聞いてねえぞそんなの……無茶苦茶じゃねーか」
提督「今は大和のことはいいだろ。今やらかしたのはあいつらだ、とりあえず連れ帰ってもらえるんだろ?」
士官「ああ、呉に戻ったら呉の大将直々に審問するらしい。遠大佐は降格ののち、おそらく余所に転籍になるだろうがな」
提督「転籍、ねえ」
士官「海外の泊地に左遷されるはずだ。早い話が不始末だからな、この島に置いていこうかって話もあったくらいだ」
提督「あぁ!?」
士官「露骨に嫌そうな顔すんな。中佐が大将に頭下げてやめてくれって頼んだらしいから、その話はなくなったぞ」
提督「……ふーん」
780 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/05(日) 22:35:48.40 ID:1mbWFkSso
士官「なんだその反応は。遠大佐たちが島に留まるのが嫌だったんじゃなかったのか?」
提督「留まられるのは当然嫌なんだが……中佐がやめろと言う話も、多分そうなるだろうと予測できてたからな」
士官「……どういう意味だ」
提督「俺が中佐にとって不都合なことをいろいろと知ってるせいで、俺と他人とを接触させたくねえんだよ」
士官「……だから、お前はこの島で隔離されてる、ってことか?」
提督「中佐の望みは俺がこの島で野垂れ死ぬことだ。ただ、下手に中将と関わりがあったせいで、俺を故意に死なせるのは難しい」
提督「だからあいつは、この島に放り込んで提督として着任した扱いにして、勝手に死んでくれるのを待ってんのさ」
士官「いったい何をしたんだお前は……」
提督「何もしてねえよ。あいつが勝手に俺を疎んでこの島に閉じ込めたのが悪い。ご丁寧に初期艦や大淀、明石の着任も妨害してやがったしな」
士官「はぁ!? それをどうやってここまで……」
提督「それこそいろいろあったんだよ。俺の素性くらい中佐の部下だったんなら知ってんだろ?」
士官「生憎と俺は何も聞いてない。そもそも俺は中佐の下じゃ3か月も働いてないんだぞ」
提督「ほーん……」
士官「本当は中将の下で働きたかったんだ。息子である中佐に認められれば、中将にもお近づきになれると思ってたんだが……お前のせいで台無しだ」
提督「そりゃあどうかねえ……それより、今は呉の大将と仕事できてんだろ? 好転してんじゃねえのか」
士官「残念ながらそれも今回だけだ。呉の重鎮にはこの島との関わりを異様に嫌がるお方もいるせいで、俺は今回限りの使い捨てだよ」
提督「そいつはまた面白くねえ話だな」ウヘェ
士官「ああ、まったくだ」ムスッ
781 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/05(日) 22:37:18.66 ID:1mbWFkSso
提督「ところで、鹿島たちの艤装はどうした? この船、昨日あいつら乗せて来た船と違うよな?」
士官「そっちの船は、本営に回ってからこっちに来る手筈になってる。おそらく明日になるだろう、早くても今夜だな」
提督「なんだそりゃ?」
士官「遠大佐……というか留たちテレビ関係者の荷物を、本営の中佐に届けることになってるんだ」
提督「中佐に? じゃあ、お前もこの後あいつに会うのか?」
士官「いいや、さすがに中佐とはもう顔を合わせづらいからな。俺の仕事は、ここへ来て遠大佐たちの身柄を確保するのと引き渡しまでだ」
士官「あの船に乗って鹿島たちの艤装を持ってここに来るのは、別の『提督』だ」
提督「なんだそりゃ? 二度手間じゃねえか? 今の時点でこいつらがカメラ隠し持ってたらどうすんだ」
士官「それはそれで回収するさ。とにかくテレビ局の連中は、全部着替えさせて衣服も全部回収しろってお達しだからな」
提督「身ぐるみ剥げってか」
士官「中佐が、この島で撮影された内容を全部精査するって息巻いてるんだよ。放送可能なシーンを選んでテレビ局に返すんだと」
士官「だから今ある荷物はすぐさま全部回収するし、こっちにいる奴らが隠し持ってる荷物も全部回収する」
士官「二度手間だろうとなんだろうと、急いで全部持ってこい、というお達しなんだそうだ」
提督「……随分焦ってやがんな」
士官「まあ、仕方ないと言えば仕方ないんだよ」
782 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/05(日) 22:39:03.18 ID:1mbWFkSso
士官「今や艦娘の存在は、過熱しすぎてて食傷気味になる程度にはブームになってる。あの二世タレント軍団はそれに乗っかりたかったんだろう」
士官「そんなご時世に、実は艦娘が轟沈してるだの、こんな島があるだの、そんな話が流れたらどうなるか想像してみろ」
提督「まあ、間違いなく面倒臭いことになるか……」
士官「そういうことだ。暫くはメディアを迎合していた海軍全体が、今じゃ引き締めにかかってるからな」
士官「特にこの島には外に出せない事情が多すぎるとか……俺も詳しく聞けなかったんだが」
提督「ふーん……だとすると、テレビ局というより、俗にいうパパラッチ連中には間違いなくこの島はスクープの種になると思うんだが」
士官「そうならないように大将が釘をさすらしいぞ? 緘口令も出るし、轟沈させるなってお達しも……」
提督「いやいや、そういう意味じゃねえよ、これからの話じゃない。昨日今日でこの島で起こったことの話だ」
提督「あいつらが今回撮影した動画とか、衛星通信とかで直接テレビ局に送ったりされてたら、その時点でアウトだろ?」
士官「んん……そういう話なら、今回はそこまで心配はいらないはずだな」
提督「そうなのか?」
士官「動画ってのは必然的にデータサイズがでかくなるからな。こんな離島から衛星通信使って送信したんじゃ、金と時間がかかりすぎる」
士官「こんな離島からスマホで転送できる動画の量なんてのもたかが知れてるし……」
士官「テレビで使いたい映像をリアルタイムで撮る気で来たんなら、できれば転送用の専用の通信機材と、それ用の電源がないと無理だな」
士官「連中が乗って来た船にバッテリーが入ってた鞄があったし、予備を持ち歩いてなけりゃあ撮影の継続もできなかっただろう」
提督「つうことは、情報は漏れてないと見ていいのか……?」
士官「希望的観測だが。送信履歴を遡ってみるが、多分、奴等のスマホから外には出てないはずだし、撮影用のカメラにも通信機能はなさそうだ」
783 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/05(日) 22:41:21.37 ID:1mbWFkSso
士官「どのみち、こいつは没収して中佐に送って、中身が見られないことを確認することになるだろう」
士官「写真数枚なら送ってる可能性もあるが、普通に撮影機材一式を持ち込んでるし、ピンポイントでスマホで数枚だけ、ってのは考えにくい」
提督「このメモリーカード? だったか、こいつも全部ぶち割って水に浸したけど、これも持っていくのか?」
士官「ああ、これはこれで復元不可能だってことを確認するためにも、全部持っていく」
提督「そうか。連中が持ってきた缶ビールの空き缶とかはどうする」
士官「それはさすがにお前んとこで処分しろ」
提督「なんだ、つまらねえな」
士官「なんだじゃねえよ、ゴミ回収まで俺に押し付けんじゃねえ」
提督「留提督連中も同じゴミなんだから、いいじゃねえか」
士官「生ゴミだろ? 離島だからってゴミの分別サボんじゃねえ」
士官「とりあえずテレビ局の関係者8人と、遠提督を連れてきてくれ。あと6隻の艦娘もだ」
士官「ただ、艦娘の回収はこの船じゃ行わないぞ。留提督と遠大佐がやったことを事情聴取するだけだ」
提督「それなんだが、テレビ局関係者は2人ほど死体になったぞ。いわゆる土左衛門だ」
士官「っ!! そりゃ本当か?」
提督「ああ。お前の言う通りの生ゴミだ」
士官「マジかよ……ったく、頭が痛えな……」
提督「それから、遠大佐も狂ったから、秘書艦がいないと話になんねえかもしれねーぞ?」
士官「はああ!? どういう意味だそりゃああ!」
提督「見たほうが早えぞ」ハァ…
士官「……やっぱとんでもねえな、この島は……」
784 :
◆EyREdFoqVQ
[saga]:2021/12/05(日) 22:42:49.47 ID:1mbWFkSso
短いですが、今回はここまで。
785 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/05(日) 22:48:40.97 ID:1mbWFkSso
おっと書き忘れ。
もと中佐の部下1だった士官は、1スレ目の中佐が島に来た騒動のときに出ています。
ついでに書くと、>690で上がっていた留提督の「昔の悪友」は、
2スレ目で出た黒潮の鎮守府にいた雪風たちを襲った一味の一人です。
786 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/12/06(月) 01:08:54.14 ID:+u52DCG0O
天使や……
天使がおる……!
787 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/12/06(月) 11:10:38.10 ID:X9ANNptu0
続き待ってます
788 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/12/07(火) 11:47:32.51 ID:JTJZu96IO
更新乙
789 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/12/12(日) 19:12:56.98 ID:1WQnYKmx0
更新お疲れ様です
790 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/12/14(火) 21:38:23.73 ID:Mn/jseA5O
保守
791 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/12/16(木) 14:03:40.80 ID:XjU6eKdg0
続きはまだか!まだかってんだよ!
792 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/12/16(木) 20:07:15.57 ID:mansuY1XO
投稿ペース落ちてるからなぁ まあ神作品だから期待されるってことで
793 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/12/16(木) 21:02:03.81 ID:mansuY1XO
y
794 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/12/16(木) 21:58:00.58 ID:3v6dqOqU0
sageしない人が増えているのでイッチに代わって申し上げます。
書き込む時は「名前」の下の「Email」の部分から「sage」を選んでか書き込みましょう。
795 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/12/16(木) 22:09:33.12 ID:QiK+J1qq0
故意的に上げる荒らしには言っても無駄じゃね?
796 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/12/17(金) 08:04:01.26 ID:+rrPeeGD0
令和にもなってsage自治おんの草生えるわ
797 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/12/17(金) 14:09:17.69 ID:XWBbmTvP0
>>798
令和とか関係ないしスレ主がsageお願いしますって言ってんだからsageするだろ
798 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/12/17(金) 14:10:26.78 ID:XWBbmTvP0
>>797
>>796
だわ
799 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/12/17(金) 20:36:30.06 ID:N/aFB/QY0
エタったスレに連投してまでお気持ち表明とか痛すぎる
800 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/12/19(日) 17:17:12.17 ID:J3rxEWemO
まだ来ない予感
801 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/19(日) 21:37:37.80 ID:WmSDkBawo
下げた方が荒らしに巻き込まれづらいと言うのが
当時のセオリーだったと記憶していますが、今はどうなんでしょうね。
続きです。
802 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/19(日) 21:39:02.61 ID:WmSDkBawo
* それからしばらくして *
* 埠頭 *
利根「……と、いうわけでの」
提督「鳥海がおかしくなったってか」アタマカカエ
暁「た、確かにショックよね……鳥海さん、遠大佐を信じてたみたいだし」
利根「とりあえず鳥海には、明石に鎮静剤を打ってもらって眠らせておる」
利根「ほかにも朧も立ち直っておらんし、大和も泣きながら如月に連れられて部屋に行くところを見た」
暁「大和さんが?」
提督「なんでそっちにまで飛び火してんだよ……」
利根「すまんが、そちらの二人もおぬしからフォローしてもらえまいか」
提督「いやまあ行くけどよ……あいつら、どんだけこの鎮守府引っ掻き回してくれてんだよ、くそが」
暁「……そういえば……ねえ、司令官?」
暁「さっき巡視船に乗り込んでいった留提督たち、落ち込んでいたっていうか……反省してたみたいな感じだったけど、司令官がなにかしたの?」
提督「うん? いや、俺はあいつらには砂浜で文句言っただけだぞ? むしろ、もうちょっと反抗的な目を向けられると思ってたが」
利根「ああ、それは古鷹のせいらしいぞ?」
提督「古鷹? あいつ、あいつらと話したのか?」
803 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/19(日) 21:40:02.72 ID:WmSDkBawo
暁「どういうこと?」
利根「古鷹が朝餉を持って行って、優しい言葉をかけたそうだ。提督が砂浜で打ちのめした直後であろう? 効果覿面である」
提督「……ったく、あれほど念押ししたのに、結局なにか話したのかよ」
暁「いけなかったの?」
提督「今となっちゃあ、いいけどよ。これ以上俺たちがあいつらと接触することもねえだろうし、古鷹がなにか悪い影響受けてなきゃ、それでいい」
暁「ふーん……」
提督「古鷹にあいつらとの接触を控えろって指示してたのも、連中を下手にもてなして調子に乗らせないようにしたかったってのと……」
提督「あいつらが加古を轟沈させてるから、そもそも近づけさせたくなかったってのと」
提督「あとは、雷に関わってお人好しが悪化しないようにしたかった、って意図があったんだ」
暁「……その……ごめんなさい」
提督「そこは暁が謝るなよ。いくら姉妹艦だからって、今回来た雷とはほぼ関わってないだろ? 俺がいろいろ仕事を押し付けたせいでな」
暁「それって、私が雷を見てショックを受けないようにって気を使ってくれてたわけでしょ?」
提督「この鎮守府に古鷹が来たときのこと、覚えてるか? それこそやりすぎだったからな」
提督「あんまりな姿にショックを受けさせたくなくて接触を控えさせてたわけだが……」
暁「大丈夫だと思ってた最後の最後に、とんでもない爆弾を投げつけられた感じよね……」アタマオサエ
804 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/19(日) 21:40:47.76 ID:WmSDkBawo
利根「ふむ……欲望というのは単純であればあるほど強くなるからな。遠大佐は余程、母性に飢えていたんだろうよ」
提督「母性、ねえ……ん?」
利根「む? あれは……千歳たちか?」
提督「なんだあいつら、もう戻って来たのか?」
(埠頭に寄港している巡視船から降りてくる千歳たち)
千歳「あら、准尉! わざわざ待っててくださったんですか?」
提督「ん……まあ、そんなところだ。事情聴取は終わったのか?」
千歳「ええ、思った以上にすんなり終わりましたよ。当時の状況はガンビアベイちゃんが理路整然と説明してくれましたし」
提督「理路……あの控えめな性格でか?」
ガンビアベイ「私の国は、訴訟大国ですから……」エヘヘ
提督「あー、なるほど。お国柄とはいえ、あんまり嬉しくねえ適性だな」
足柄「テレビ局の6人も、一部しぶしぶだけどやったことは認めてるし、遠大佐以外は早いうちに解放されてたわね」
暁「それで雷が帰ってきてないのね……」アタマカカエ
提督「……まあ、骨が折れるだろうな、あれは」
805 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/19(日) 21:41:33.52 ID:WmSDkBawo
鹿島「その、なんと申し上げたら良いか……私たちの提督が申し訳ありません」
提督「いや、それで鹿島が謝るのはおかしいだろ。お前たちだって被害者なんだぞ」
暁「そうよ! それより鹿島さん、早くそのお顔、治療しに行きましょ?」
利根「うむ、ここに来た呉の関係者に見せるためとはいえ、その青あざをそのままにしておくのは、この鎮守府に所属する者として申し訳が立たん」
利根「いくら時間がたてば消えると言っても、怪我は早期治療が肝要じゃぞ」
鹿島「で、ですが……」
提督「その怪我は俺が連中を焚きつけた結果だ、鹿島が委縮する要素はどこにもない。俺が言うのもおこがましいが、治療を受けて行ってくれ」
鹿島「……」
山風「鹿島さん……!」
ガンビアベイ「鹿島……!」
鹿島「……わかりました」コク
提督「よし、利根、修理ドックまで案内を頼む」
利根「うむ、任されよ」
山風「私も、鹿島さんについてく……」
ガンビアベイ「Yes, 同行します」
ゾロゾロ…
806 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/19(日) 21:42:33.00 ID:WmSDkBawo
提督「早期治療か……利根が言うと説得力が違うな」
暁「司令官、利根さんって確か……」
提督「ああ、一緒に風呂に入りたがらない理由がそれだよ」
暁「そうなんだ……」ウツムキ
提督「さてと、雷だけここに戻ってきてないが、そもそも戻ってくるのか?」
足柄「どうかしら……遠大佐のあのはっちゃけぶりだと、雷と離したら発狂するんじゃないかしら」
暁「そんなにひどいの……?」
足柄「遠大佐がはっちゃけたせいで、留提督の企みもわかったのが良かったのか悪かったのかなんだけど……」
千歳「留提督の目的は、単純に芸能界での力を得ることだそうです。海軍に所属して艦娘を率いたとなれば、それだけで知名度は段違い」
千歳「親の七光りなんて言われたくなくて、自分独自の……と言っても親のコネを使ってるわけだけど、独自の地位を築きたかったみたい」
提督「軍人系アイドルってか。斬新だな」
千歳「誰かの二番煎じを避けたかった、という意図があったのなら、まあまあいいところに目を付けたとは思うけど……」
千歳「初手で鳥海と加古を沈めましたからね。スタート地点がマイナスじゃ格好がつかないから、なんとかサルベージしようって話になって」
千歳「彼らか墓場島のことを知ったのは、それからみたいですね」
807 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/19(日) 21:43:33.12 ID:WmSDkBawo
足柄「この島の話はあちこちで誇張されてるみたいなの」
足柄「やれ提督が艦娘を奴隷にしてるだの、囚われた艦娘が帰れなくて困ってるだの、どこまで本当かがわからないくらいよ?」
暁「もう……誰も見てもいないのに、どうしてそういう話になるのかしら」
提督「まあ、噂話なんてだいたいそんなもんだ」ハァ
千歳「それから、留提督は、轟沈した艦娘が深海棲艦になるかもしれないって話を知らなかったようです」
提督「本当かよ?」
千歳「意図的に情報が止められてたみたいで、ディレクターのクルー1さんしか知らなかったみたいですね」
足柄「6君と一緒に飲んでたときもその話になったけど、彼も知らなかったって言ってたわね」
足柄「連れて帰って何か起きたら誰が責任を取るんだ、って頭を抱えてたわ」
足柄「そういえば千歳も昨日言ってたわよね。あの人たち、やってしまえばこっちのもの的な考えがあるって」
提督「面倒が起きたら海軍に丸投げ、何も起きなきゃあいつの手柄、ってか?」
千歳「ええ。それに加えて、どさくさに紛れて准尉さんの功績も奪うつもりだったんじゃないかしら……」
提督「あいつらには手に余る話だと思うがな」
暁「……ねえ司令官? 私たちがこの島を出てもいいって判断するのは、本営の人たちになるの?」
提督「ん? ……多分、そうなるな。ぶっちゃけ俺は本営がそんなことはしないと思ってるが」
808 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/19(日) 21:44:32.61 ID:WmSDkBawo
暁「えっと……一番長くいるのは如月と不知火よね? 次が吹雪と朧?」
提督「だな。ただ、不知火は本営の中将麾下だから、ちょっと都合が違うな」
千歳「え、ちょっと待って。本営中将って……」
提督「今言った通りだぞ。不知火は俺の部下じゃなくて、本営中将の部下なんだ」
提督「この島には憲兵も特別警察もいないだろ? 不知火にはその代わりにお目付け役をしてもらってる」
提督「だから今回の騒ぎも不知火には中将に直接報告してもらうつもりだ」
足柄「ちょっとぉ、一番最初にその話をしなさいよ。話してたらこの島に乗り込まれずに済んだんじゃないの?」
提督「さあ、どうだろうな? あまり中将に頼りたくないってのもあるが、それを伝えても強引に押し切られる前提で考えてたからな」
提督「あいつらが言って素直に聞く連中とは思えないし、この島にメディアが来たらこうなるぜ、って見せしめを作りたかったってのもあるしな」
足柄「見せしめって……」ヒキッ
提督「だからこそもうちょっと念入りにすり潰しておきたかったんだが……しょうがねえ、あとは中佐けしかけて追い打ちかけとくか」
千歳「そ、そこまでやる必要あります?」
提督「何度も言ってるが、俺が外の人間と関わりたくないんでな。二度と起き上がれない程度にやりすぎるくらいで丁度いい」
暁「……司令官。そういうの、ほどほどにしたほうがいいわよ?」ジト
提督「やめとけってか? しゃあねえな」カタスクメ
809 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/19(日) 21:45:17.72 ID:WmSDkBawo
暁「やりすぎて余計な恨みを買わないほうがいいでしょ? もう」ヤレヤレ
足柄「な、なんかここの暁ちゃん、大人びすぎてない?」ヒソヒソ
千歳「そ、そうね……以前もこんな感じでびっくりしたけど」ヒソヒソ
暁「……それから、さっきの話の続きなんだけど。如月って、ここへ来て1年以上経ってるわよね?」
提督「ん? そうだな……1年半くらい経つか?」
暁「それまでずっと、司令官が様子を見てきたんでしょう? 普通の鎮守府に戻れる判断基準とか、決まってないの?」
提督「まったくないな。俺は俺でこのままでいいと思ってたし、向こうから働きかけてくることもなかった」
提督「とはいえ、放置し続けるのも問題か。俺たちが受け入れ続けるにも限界があるしなあ」
提督「持ち直した奴を戻してやるってのも、真面目に考えねえと駄目な時期にきたってことかねえ」
暁「司令官。そこで『面倒臭い』はなしよ?」
提督「なんでだよ。やることはやるから、そうぼやくくらいは許してくれよ。手続きにしろ調査にしろマジで面倒臭えんだからよぉ」ハァ…
提督「この島から送り出す先の相手を探すのも骨が折れるぞ? それなりに……いや、それなりじゃなく信頼できそうな安心できる相手を探さねえと」
足柄「心配しすぎじゃないの?」
提督「しすぎなもんかよ。送ってやった先が中佐や留提督みたいなくそ野郎だったりしたらどうすんだ」
810 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/19(日) 21:46:02.94 ID:WmSDkBawo
暁「……司令官って、お父さんみたい」
提督「あぁ?」
暁「だって、そうでしょ? 司令官のお父さんはそうじゃなかったんだろうけど」
暁「お父さんっていうのは自分の子供を心配して、それが娘だったら『お前のような男に娘はやらん』みたいなことを言うんでしょ?」
提督「どっから仕入れてんだよ、そういう俗な知識……」
足柄「でも、よくあるシチュエーションよね。『お義父さん、娘さんを僕に下さい!』『貴様にお義父さんと呼ばれる筋合いはない!』みたいな!」
提督「お前もそこで暁に変な知識吹き込むんじゃねえよ」
足柄「その反応がもう完璧に、娘を持つお父さんと同じじゃないの」
暁「ねー?」
提督「……」
千歳「お父さん、ねえ……」ウーン
千歳「ねえ、足柄? 留提督のお父さんって、どのくらい海軍に顔が利くのかしら」
足柄「へっ? どのくらい……って、民間人でしょ? そんなの、たかが知れてるんじゃないの?」
提督「いや、なんか、あいつの父親は有名人らしくて、海軍に金を出してるとか言ってやがったぞ?」
足柄「そうなの!?」
千歳「足柄……また聞いてなかったの?」ガックリ
足柄「えへへ……」
811 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/19(日) 21:46:48.01 ID:WmSDkBawo
暁「留提督のやってることがすごく行き当たりばったりな気がするのも、そのせい?」
提督「かもなあ。金があるから好きにさせろ、って頭はあるかもしれねえな」
暁「うーん……だからって、鹿島さんを殴るなんて、やっぱりおかしいわ! やっていいことと悪いことの区別もつかないのかしら!」プンスカ
提督「それこそ区別つかなかったんだろうよ。あいつらの生きてる世界はまた特殊で、注目を集められる人間こそが正義ってところがある」
提督「芸能界なんて、いるだけで特別扱いされる世界だし、それこそここでも特別扱いしてもらえるって目算もあったんだろ」
提督「ただ、芸能人なら体裁を気にすると俺は思ってたんだ。色恋沙汰のスキャンダルくらいならありふれてるが、暴力はそうはいかねえ」
提督「だから煽ったんだが、そういうラインを平気で越えてくる輩だと見抜けなかったのは、俺の落ち度でしかねえよ」
暁「そういうのがテレビの世界なの? 幻滅しちゃうわ……」
提督「俺個人の色眼鏡がかなり強く入ってるから、全部が全部そういうわけじゃないだろうがな」
提督「暁はどうなんだ? お前、自分がテレビに映ったりしたら嬉しいか?」
暁「うーん……それはわかんないけど、どうせ映るなら、もっと立派なレディーになってからにしたいわ。今だとまだ子供に見られそうだし」
足柄「もう十分に大人びてると思うんだけど……」
千歳「どんな育ち方をしたらこんなに大人びた子になるのかしら……」
812 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/19(日) 21:47:33.11 ID:WmSDkBawo
提督「そうだなあ、俺なんか目立ちたくも他人と関わりたくもないから撮影拒否してんだ。暁と比べたらくそガキもいいとこだぜ」ヘッ
暁「司令官はそうやって、自分を悪く言うのやめてよねって、みんな言ってるでしょ?」ジトッ
提督「へいへい、悪かったよ」
足柄「ちょっと准尉? 暁ちゃんの精神年齢、高すぎない?」
提督「それは別にいいだろ、暁はレディーになりたいって言ってんだから。俺たちが困るようなことあるか?」
提督「むしろ、そうありたいって望んでんのに、それを俺たちの感情で、見た目通り子供らしくしろって言うのこそ理不尽だろ」
足柄「そ、それもそうだけど……」
暁「大丈夫よ、暁はレディーなんだからそのくらい気にしてないわ。むしろ大人に見られて光栄だって思わなきゃ」
千歳「対応が大人過ぎるわ……」
暁「でしょ?」ニコ
千歳「笑顔が愛らしいだけにますますギャップが……ううん、こういう物言いこそ失礼な話ね。ごめんなさい」ペコリ
暁「ふふっ、いいのよ! 間違いは誰にだってあるんだから!」
提督「笑って済ませられる間違いならいいんだがなあ……なあ暁、応援を呼ぶからこの場を任せていいか?」
暁「?」
提督「そろそろ朧たちのフォローも入れてやらねえと、と思ってな」
813 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/19(日) 21:48:34.27 ID:WmSDkBawo
短いですが、今回はここまで。
814 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/12/19(日) 22:18:29.64 ID:geMy2V5wO
更新乙です
この文章力…見習わなければ
815 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/12/20(月) 19:16:23.98 ID:S+165CY/0
更新乙。一件落着だな?
816 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/12/21(火) 11:59:27.64 ID:YuhIkno/0
綺麗に片付いた感あるけど、こっから中佐来ちゃうんだよな......
817 :
◆EyREdFoqVQ
[sage saga]:2021/12/26(日) 19:50:08.43 ID:TSQ7cZ5Qo
まだまだいろいろ片付いてないんですよねえ、これが……。
続きです。
747.90 KB
Speed:0.5
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)