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魔女「寂しい人ね。頭も心も」屍男「……余計なお世話だ」
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33 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/02(月) 18:42:28.99 ID:s7W+/pzao
老女「今までも、あんたらみたいな二人組は何回か来た。普通の人間と違う雰囲気を出しているのがね」
老女「だがそれでも……帰ってくる者はいなかった。みんな、消えちまったんだよ」
老女「それでも行くのかい」
魔女「……えぇ」
屍男「……そうするつもりだ」
老女「……止めはしないよ。言っても効かないってのは分かってるからね」
老女「無事を祈っている。見送りはさせてもらうよ」
34 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/02(月) 18:44:15.19 ID:s7W+/pzao
………………………………………
…………………………
スタスタ スタスタ
魔女「話を聞きに行って正解ね。収穫はたくさんあったわ」
屍男「……あぁ、そうだな」
魔女「それにしても、まさか行方不明者がそんなにいるとは思わなかったわ。これが表に出たら大変な騒ぎになるわよ」
魔女「それに、私達と同じように何人かの狩人も来てたみたいだし」
屍男「……一人も戻らなかったのを見ると、生半可な相手ではなさそうだな」カキカキ
屍男「この道具を取り寄せてもらえるか。今の装備では心もとない」ペラッ
魔女「了解、明日には届くようにするわ」
35 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/02(月) 18:45:44.83 ID:s7W+/pzao
魔女「色々調べてたらもう真っ暗ね。適当な店でディナーでも食べましょうか」
魔女「そうだ。そこの角を曲がったところに美味しいピザの店があったはずよ。今日はそこにしましょうか」
スタスタ スタスタ
屍男「……見当たらないが」
魔女「あれー……おかしいわね。確かに食べた記憶があるんだけど」
魔女「…………」
魔女「そっか、もう潰れちゃったんだ……美味しかったのに」
魔女「いいわ、別の店にしましょうか」スッ
屍男「……」
36 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/02(月) 18:46:45.45 ID:s7W+/pzao
今日はここまで
実は今回の話ほとんど吸血娘の出番はないです
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/03/03(火) 00:13:45.33 ID:VWevFoe7O
乙
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/03/03(火) 21:45:19.81 ID:QgRcvKEOo
乙、待ってたぜ
39 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/04(水) 21:02:49.72 ID:WaTQ/Fmxo
…………………………………………
………………………………
魔女「Zzz……Zzz……」スゥ
屍男「……」カキカキ
屍男「……状況を整理するとこんなものか」
『フレア・ウィッチの森』
・数百年前に魔女狩りとして、何百人も若い女が火あぶりで処刑された。だが、その中には本物の魔女が混じっており、森に強力な呪いをかけたという伝承が残されている。
しかし、その伝承は40年前にはもう廃れていて、当時は一般人も多く訪れていたが、何も起きることはなかった。
・初めて失踪者が確認されたのは40年前、夫婦のうち妻だけが行方不明となり、現場には靴が片足だけ残されていた。それ以降立て続けに失踪者が増えるが、現場に被害者の着用しているものが残されていたのはこの一件のみ。
・失踪者は40年間で70名以上、警察が隠蔽し続けていたが、20年前に4人が失踪したことが漏れ、世間にその存在を知られる。この事件で警察は数百名を投入し、捜索するが手掛かりは何も見つからず。
この際、警察関係者に失踪者は一人も確認されなかった。
・実際に炎の魔女は実在する。その姿は炎に包まれた女の姿をしており、森から出ることは出来ない。
屍男「……気になるのはやはり、始めの事件と……20年前の捜索だな。他の事件と比べれば、この二つは何かイレギュラーがあったとしか思えない」
40 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/04(水) 21:03:58.66 ID:WaTQ/Fmxo
屍男「……警察の方は人数が原因か?数百人規模の人間相手では“足付き”や“突然変異”でも手は出さないのはおかしくない。生気を吸い過ぎて、逆に消滅する可能性があるからな」
屍男「となると、怪物や人外の者が住み着いている線は消えるな。こいつらはわざわざそんなことを気にする必要はない」シュッ
屍男「……いや、もう一つあるな。犯人が人間だった場合だ」
屍男「もし、複数の人間による凶行なら説明が付く。異形の者ではなく、ただの猟奇殺人事件の可能性も――」
屍男「さすがに無理があるか。いくら何でもこれだけの期間と規模で殺人を行うのは不可能だ……“Shadow”でもあるまいし」シュッ
41 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/04(水) 21:05:04.92 ID:WaTQ/Fmxo
屍男(……なんだ?何か引っ掛かる。心の奥底に魚の小骨が刺さっているような、嫌な違和感がある)
屍男(見落としは何もないはずだ。少なくとも現段階の情報では……つまり、俺が気になっているのは未確認の情報……?)
屍男(……俺の記憶はまだ完全に戻っているわけではない。死の直前に関する記憶の他にも、まだいくつか戻っていない記憶がある。全体に例えるなら8割と言ったところか。残りの2割はまだ不明だ)
屍男(この一連の失踪事件、まさか……俺の記憶に関わっているものなのか?)
魔女「ゾーンビーくん」ギュッ
屍男「……離せ。暑苦しい」
42 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/04(水) 21:06:02.19 ID:WaTQ/Fmxo
魔女「こんな夜中に何やってるの?自分でも慰めてたり」クスッ
屍男「見て分かるだろ。状況整理と対抗策の模索だ」
魔女「……へぇ、これが“Shadow”のやり方ってわけか。で、どう?準備完了した?」
屍男「まあな。後は道具の到着を待つだけだ」スッ
屍男「俺は寝る。お前も体を休めておけ」ゴロン
スッ……
屍男「……何のつもりだ」
43 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/04(水) 21:06:53.22 ID:WaTQ/Fmxo
魔女「狭い密室に二人の男女……と言ったら、やることは一つじゃない?」
屍男「……前に言っただろ。死体と寝る趣味があるなら墓場に行けと、俺にそのような欲はない」
魔女「何も肌を重ねるのは気持ちよくなるだけじゃないわ。孤独を紛らわすためにもするものよ?」
魔女「ゾンビくんは……寂しくないの?私は孤独が怖いわ。私だけじゃなく、人間は孤独を一番恐れるのよ」
魔女「死を恐れるのも、最後に辿り着く場所では一人っきりってのを本能的に悟っているから。群れることでその恐怖を少しでも誤魔化したいのよ」
屍男「…………俺は、そうは思わん」
44 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/04(水) 21:08:13.92 ID:WaTQ/Fmxo
屍男「人生の終着点は思い人が待っている場所だ。家族や友が必ず再会できる……その後のことは分からんがな」
魔女「……」
魔女「ゾンビくんにしては……ずいぶんメルヘンチックな考え方ね。まるで実際に見てきたみたい」
屍男「信じるかどうかはお前次第だ。それに、俺にとって孤独は恐れるものではない。孤独こそが強さになる」
屍男「その強さの証明が“Shadow”だ。俺も、彼も……孤独でいたからこそ、勝ち続けてきた」
魔女「……じゃあ、今のゾンビくんはどうなの?」
魔女「ドラキュラちゃんと共に過ごした時間は……ゾンビくんを弱くしたのかしら」
屍男「……さあな」
屍男「もういい加減に寝る。お前も自分のベットに戻れ」
魔女「寂しい人ね。頭も心も」
屍男「……余計なお世話だ」
45 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/04(水) 21:09:22.91 ID:WaTQ/Fmxo
ちょっと短いですが今日はここまで
46 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/09(月) 01:16:58.34 ID:bb9mklIfo
□□□□ 翌日 □□□□
カチャッ
シュッ
カチッ
屍男「……よし、準備完了だ」
魔女「こっちはいつでもOKよ。じゃあ行きましょうか」
魔女「出来れば日が落ちる前に行きたかったから、間に合ってよかったわ」
屍男「……」
魔女「ん?どうしたの?」
屍男「……トイレに行くのを忘れていた。少し待っていろ」
魔女「あらら……」
47 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/09(月) 01:17:37.68 ID:bb9mklIfo
スタスタ スタスタ
魔女「ずいぶん長い間トイレに籠ってたけど、もしかして緊張でお腹でも痛くなったのかしら」クスッ
屍男「違う」
魔女「隠さなくてもいいじゃない〜私とアナタの仲なんだから〜」
屍男「しつこいぞ」
スタスタ スタスタ
老女「……来たかい」
魔女「あ、どうも」
屍男「……」
48 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/09(月) 01:18:29.37 ID:bb9mklIfo
老女「そこの金網は100メートルほど左の方に進めば破られている箇所がある。みんなそこから入って行くよ」
老女「……止めはしない、生きて帰ってくることを祈っている」
魔女「ありがとうございます。それじゃいってきます」スッ
屍男「……」
老女「……っ!」
老女「ま、待っておくれ!!!!」
老女「もし……孫の手掛かりが何か見つかったら……も、持ってきてくれないか!」
魔女「……」
屍男「……あぁ、必ず報告する」
老女「あ、ありがとうよ…………」
49 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/09(月) 01:19:46.14 ID:bb9mklIfo
魔女「彼女、まだ諦めていないのかもね。心のどこかで……生きていると信じているのかしら」
屍男「……死体が出ていないからな。恐らく、失踪した者の親族は皆、同じ心境だろう」
魔女「……救ってあげたいわね。その人達のことも」
ガサッ
魔女「あった。ここだわ。確かに、大人が一人通り切れるぐらいの穴が開いてる」
魔女「ずいぶん杜撰な管理ね。こんなの誰でも通れちゃうじゃない」
屍男「……そういえば、まだ聞いていなかったな」
魔女「ん?何が?」
屍男「もし“炎の魔女”と遭遇したらどうするつもりなんだ。お前は何のために、この森に足を踏み入れる?」
50 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/09(月) 01:20:29.67 ID:bb9mklIfo
魔女「んーそうね。とりあえずゾンビくんに倒してもらおうと思っているわ。理由については……全部終わってから話してあげる」スッ
魔女「ほら、ゾンビくんも早く入って。もしかして今更怖気づいたの?」
屍男「……」
魔女「あ、でもこの穴からゾンビくんも潜れるかしら。私でも結構ギリギリだったから、、大柄なゾンビくんの体格だと――」
ドンッ!!!!!!!!!
ガシッ!!!!!!
ズドンッ!!!!!
屍男「……問題ない」
魔女「わーお……そのまま金網を乗り越えれるなら、関係のない話だったわね」
魔女「さて、これでお互い上陸成功ね」チラッ
魔女「精々死なないように、力を合わせて頑張りましょうか」ニコッ
屍男「……あぁ」
51 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/09(月) 01:22:01.22 ID:bb9mklIfo
スタスタ スタスタ
魔女「今のところ目立った変化はないわね。ただ木と石と葉っぱしかない、何の変哲もない森だわ」
魔女「ところで、少し気になっていたんだけど……」
魔女「ゾンビくん、どうしてそんなに食糧を買い込んでるの?軽く一週間分はあるでしょ、それ」
屍男「……念のためだ。エネルギーを摂取出来なくなるという状況が一番不味いからな」
魔女「それにしても多すぎる気はするけど……まあいいわ。持つは全部ゾンビくんだし」
屍男(この怪物の肉体で一番重要なのはいかに効率的にエネルギーを摂取出来るかどうかだ。再生能力は便利だが、それで動けなくなってしまってはどうしようもない)
屍男(常に栄養食は持ち歩いた方がいい。いつ戦闘が起きてもいいようにな)
52 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/09(月) 01:23:19.80 ID:bb9mklIfo
…………………………………
……………………
魔女「ちょっと疲れてきたわね。ここら辺で休憩しましょうか」ストン
魔女「森に入ってから三時間ちょっとってところかしら、まだ何も起きないわね」ゴクゴク
屍男「……あと数時間で日が沈むな」
魔女「予定通り、このまま何も出ないようなら野営して待ち構えましょうか」
屍男「……そうだな」
ガチャッ
ギュッ
魔女「よし、これでテントは設置完了ね」
魔女「ゾンビくん、そっちはどう?」
53 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/09(月) 01:24:06.34 ID:bb9mklIfo
屍男「問題ない。魔祓いの仕掛けは機能している」
屍男「これで、人為らざる者が近付けば鈴がなる。下級霊程度ならそもそも触れることさえ出来ないがな」
魔女「さて、辺りも暗くなってきたけど“炎の魔女”は現れるのかしら」
屍男「……さあな。だが、こちらが踏み入ったことは向こうも承知のはずだ。仕掛けてくるなら……夜だろうな」
『23:00』
魔女「……来ないわね」
屍男「……あぁ」
54 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/09(月) 01:25:00.31 ID:bb9mklIfo
魔女「ふわぁ……私、そろそろ眠くなってきたら一休みさせてもらうわね。交代で見張りをしましょ」
屍男「分かった」
屍男(……動きはなし、か。本当に人が消える森なのか、疑わしいくらい静かな森だな)
屍男(……待てよ、静か……)
屍男(……鳥の一匹くらい鳴いていてもおかしくないはずだ。この森に入ってから草木が揺れる音以外、動物の鳴き声などは何も聞こえていない)
屍男(……逆に不気味だな)
55 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/09(月) 01:25:49.78 ID:bb9mklIfo
『7:00』
魔女「……」
屍男「……」
魔女「……夜、明けちゃったわね」
屍男「……そうだな」
魔女「はぁ、一晩過ごしたけど結局何も出なかったわね。朝食にしましょうか」スッ
魔女「ちょっと拍子抜けしちゃったわね。このまま森を出たら私達普通に生還しちゃうんじゃないの」
屍男「……そこがトリガーになるのかもしれないな」
魔女「ん?どういうこと?」
56 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/09(月) 01:27:24.55 ID:bb9mklIfo
屍男「脱出しようとすることで何かの力が働く可能性がある。それをしない限りはここはただの森なのかもな」
魔女「……なるほど。条件付きってことね。確かに、なくはない話だわ」
魔女「今日はそれを試してみましょうか。森の入り口まで一度引き返しましょ」
屍男「そうするか」
屍男(……そうだ。一応、確認しておくか)スッ
魔女「あら?ゾンビくんどこに行くの?トイレ?」
屍男「違う、外に仕掛けた結界がどうなってるか確認してくる」
魔女「あ、じゃあ私も一緒に着いて行くわ。ちょっと気になるし」
57 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/09(月) 01:28:09.66 ID:bb9mklIfo
『』ズズズ
魔女「えっ……な、なにこれ」
屍男「……」
屍男(糸が黒く染まっている。どうなっている、触れれば鈴が鳴るはずだ)
屍男(……侵入された形跡はないな。引き返したのか、それとも……)
魔女「……訂正するわ。この森はやっぱり異常ね。絶対何かいるわ」
屍男「……あぁ、間違いない」
58 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/09(月) 01:29:09.53 ID:bb9mklIfo
今日はここまで
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/03/09(月) 07:35:48.42 ID:2Jz9k9V0O
乙乙
60 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/12(木) 02:17:16.57 ID:i/7o/Mx3o
スタスタ スタスタ
屍男「……」
魔女「……」
屍男「……おい、もう何時間になる」
魔女「……」チラッ
魔女「8時間ね」
屍男「……少し、休憩するか」
ストンッ
魔女「おかしいわね……そろそろ森の出口が見えてもおかしくないはず。それなのに一向に辿り着かないわ」ゴクゴク
魔女「ねぇ、ゾンビくん。これって――」
屍男「……あぁ、ほぼ間違いないな」
屍男「この森は異界と化している。脱出不可能の異空間になった可能性が高い」
61 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/12(木) 02:18:45.18 ID:i/7o/Mx3o
魔女「……」チラッ
魔女「朝は通じてた携帯が圏外になってるわね。一体いつから……」
屍男「可能性の一つとしては想定していたがな。失踪者の遺留品が見つからなかったのは恐らくこのせいだろう」
屍男「元の世界とは隔離された空間だ。森が丸ごと別の場所に転移してしまえば、証拠なんて一つも残らないだろうな」
魔女「で、これからどうするの?このままだと私達餓死しちゃうんじゃないの」
屍男「あぁ、その通りだ。俺達には二つの選択肢が残されている」
屍男「まず一つはここから脱出する方法だ」
魔女「出来るの?そんなこと」
62 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/12(木) 02:20:57.87 ID:i/7o/Mx3o
屍男「簡単に、とは言えないが不可能ではない。異空間と言っても、完全に外界と隔ているわけじゃないからな。大抵は規則性が存在する」
魔女「規則性?」
屍男「空間全てを掌握するというのはどのような力を持っていても有り得ない。どこかに必ず、元の世界に繋がる穴、綻びが存在する」
屍男「その穴を無理矢理こじ開ければ、ここから脱出可能なはずだ。幸い、道具は十分揃っているしな」チラッ
魔女「……もう一つは?」
屍男「“炎の魔女”は実体が存在する。なら、そいつを殺せばその力は失われ、空間も戻るはずだ」
屍男「どちらの方法にするかは依頼主のお前が選べ。それに従ってやる」
魔女「…………」
63 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/12(木) 02:22:08.16 ID:i/7o/Mx3o
魔女「いいわ。じゃあ炎の魔女を倒す方にしましょ。ゾンビくんの力を信じるわ」
屍男「……ずいぶん、炎の魔女に執着するんだな」
屍男「いつものお前なら、リスクがある方を選択しないと思ったが」
魔女「だって、どちらにしても炎の魔女と鉢合わせるリスクはあるわけでしょ。みすみす逃げるのを見逃してくれると思わないし」
魔女「なら、最初から倒した方が手っ取り早いじゃない」
屍男「……分かった。では炎の魔女を殺す方でいいんだな。行くぞ」クルッ
魔女「どこに行くの?」
屍男「水源を目指す。さっき通ったところに小川があったはずだ。まずはそこに戻る」
64 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/12(木) 02:23:02.77 ID:i/7o/Mx3o
スタスタ スタスタ
屍男「あったな。ここだ」
魔女「ふぅ……ちょっと迷ったけど、見つかってよかったわね」
魔女「で、これからどうするの」
屍男「飲料水が少し足りなくなってたからな。ここで補給する」スッ
屍男「そして、この川の上流を目指す」
魔女「上流?」
屍男「あぁ、炎の魔女はあの老婆の話では名の通り、炎を纏っている」
屍男「ならば、水場で戦う方が有利だ。そこで待ち伏せる」
魔女「……それって、炎の魔女が現れる前提で話してるけど、もし姿を見せなかったらどうするの」
屍男「その時はその時で引っ張り出す方法はある。行くぞ」
65 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/12(木) 02:24:36.93 ID:i/7o/Mx3o
ザザーーーーーーーー……
屍男「よし、テントも設置完了だ。今日はここで休むとするか」
魔女「もう日が暮れちゃってるわね。久しぶりにこんなに歩いたわ……ちょっと疲れちゃった」ストン
魔女「それにしても、この川の水はどこから流れてきているのかしら。異空間のはずなのに」
屍男「水源ごとコピーしているか、丸ごと持ってきているかだろう。それより、お前は睡眠を取っておいた方がいい。朝からずっと歩いているからな。疲労が溜まっているはずだ」
魔女「いいの?ゾンビくんは休まなくて」
屍男「俺は怪物だぞ。人間より頑丈に出来ている。96時間までは不眠でも活動出来る」
魔女「わーお……じゃあお言葉に甘えてちょっと横になるわ。また交代で見張りましょ」ゴロン
66 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/12(木) 02:27:04.40 ID:i/7o/Mx3o
屍男「……」カキカキ
屍男(森が異空間になっているところまでは……想定通りだ。後は炎の魔女がどれほどの力を持っているかだな)
屍男(何せ、この数十キロはある森を再現しているんだからな。力のある足付きの幽霊でも、建物一つ出来ればいい方だ)
屍男(だが、死者であるならいくら力を持っていても、弱点は同じだ。何も変わらない、いつも通り対処可能な相手だ)
屍男(それが例え突然変異だとしても……変わらない。人型の実体が存在するなら、始末する方法はいくらでもある)
屍男(……なのに、なぜだ。この妙な胸騒ぎは……)
67 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/12(木) 02:28:36.56 ID:i/7o/Mx3o
……………………………………
……………………………
魔女「……んっ」パチッ
魔女「ふわぁ……あーよく寝たわ」スッ
屍男「……起きたか」
魔女「あぁ、ゾンビくん、今何時?結構寝ちゃってたと思うんだけど」
屍男「……8時だ」
魔女「ってことは2時間ぐらい寝てた?おかしいわね、結構熟睡してたと思ったけど」チラッ
屍男「……いや、違う。お前は半日以上寝ていた。今は朝の8時だ」
魔女「えっ?」
魔女「う、嘘ぉ……!?だってまだ外は暗いじゃない!」チラッ
68 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/12(木) 02:29:45.41 ID:i/7o/Mx3o
屍男「携帯で時間を確認してみろ。間違いないはずだ」
屍男「今、この時空間は炎の魔女が操っているということだろう。アイツが……時を止め、太陽を昇らせないようにしたんだろうな」
魔女「……た、確かに。携帯の時計だと間違ってないわね」
屍男「気を付けた方がいい。明らかに前日とは違う変化だ」
屍男「炎の魔女が姿を現す前兆に近い現象かもしれない」
魔女「……!」ゴクリ
69 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/12(木) 02:30:39.05 ID:i/7o/Mx3o
……………………………………………
……………………………
魔女「……ゾンビくん、今何時?」
屍男「……」チラッ
屍男「ちょうど昼だな」
魔女「はぁ……ずっと真っ暗だと、時間感覚が狂うわね。外にも危なくて出られないし」
屍男「今は待ち伏せるのが最善手だ。いずれ姿を現す」
魔女「だといいんだけどね。でも、ゾンビくんがいっぱい食糧持ってきてくれて助かったわ。最悪しばらくはこれで持つし」モグモグ
屍男(……そんなムシャクシャ食わずに、少しは節約してほしいんだがな)
70 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/12(木) 02:31:22.16 ID:i/7o/Mx3o
ガサッ
屍男「!!」
魔女「!!」
魔女「なに今の物音……外から聞こえたわよね?」
屍男「……あぁ、間違いない」
屍男「様子を見てくる。お前はここで待っていろ」スッ
71 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/12(木) 02:32:40.42 ID:i/7o/Mx3o
ガサガサッ
屍男(草木が揺れる音、間違いない。何者かがいる)
屍男(さぁ、姿を見せろ)ピカッ
スッ
ガサガサッ
ガサガサッ
ズズッ
影『』ズズズ……
72 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/12(木) 02:33:42.61 ID:i/7o/Mx3o
屍男(……なんだこいつは。人型の影?炎の魔女ではない?)
影『』ズズッ!!!
屍男「!?」
屍男(飛びかかってきたか。どうする、物理攻撃は通用しないだろうな)
屍男(なら……聖水でダメージが与えられるか試してみるか)ブンッ
ビチャッ
73 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/12(木) 02:34:49.24 ID:i/7o/Mx3o
影『』ビクッ
影『』シュンッ
屍男(……消滅したか)
ガサガサッ ガサガサッ
影『』
影『』
影『』
屍男「……っ」
屍男(こいつら……どこに潜んでいた。軽く数十体はいるぞ)
屍男(ここであまり消耗したくないんだが……仕方ない。片づけるか)
74 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/12(木) 02:35:57.36 ID:i/7o/Mx3o
影『』
影『』
影『』
屍男(……襲ってこない?どうなっている、左右に分かれ列を作っているように見えるが)
ボゥッ
屍男(……なんだ。森の奥に……光が見える。あれは……)
75 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/12(木) 02:38:43.50 ID:i/7o/Mx3o
スタスタ スタスタ
屍男(……!!あれは光じゃない、炎だ)
スタスタ スタスタ
炎の魔女「…………」
屍男(こいつが“炎の魔女”か)
76 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/12(木) 02:39:42.74 ID:i/7o/Mx3o
今日はここまで
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/03/12(木) 20:14:56.21 ID:z7/N5EmRO
乙
78 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 09:54:58.77 ID:mYXLUH9Qo
屍男(容姿に関してはあの肖像画通りだな。炎を纏った女の姿をしている)
屍男(妙だな。なんだ、この感覚は……今まで霊とは何体も対峙したことは会ったが、そいつらとはまた違うようなモノを感じる。違和感、とでも言うんだろうか)
屍男(しかし、一番気になるのは……)
炎の魔女「…………」
屍男(……“Shadow”の頃の俺ならば、相手を見るだけでどれほどの時間で仕留められるかが視えた。あの夜も、あいつと戦った時も……それは変わらなかった)
屍男(だが、今は違う。秒数が見えない、こんなことは初めてだ)
屍男(勘が鈍ったのが、それとも……考えても仕方ないな)
屍男(今はやるべきことをやる。それだけだ)
79 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 09:55:47.11 ID:mYXLUH9Qo
炎の魔女「…………」スッ
屍男(――来るか)
ジュッ……
屍男「!?」サッ
ボォォォォォ!!!!!!!!!
80 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 09:56:34.67 ID:mYXLUH9Qo
屍男(な、なんだ。今のは……急に、俺がいた場所に炎が噴き出したぞ。後ろに下がらなければ、丸焼けになっていた)
屍男(……どうやら、その名に偽りはないらしいな。どんな原理かは知らんが、自由に炎を操れるのか。そして――)チラッ
影『』
影『』
影『』
屍男(あの影も、奴の能力の一部だと考えられる。今は手出ししてこないが、警戒は怠らない方がいいな)
屍男(大方の分析は終わった。今度はこちらから仕掛けるぞ)スッ
81 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 09:58:47.89 ID:mYXLUH9Qo
キュポン
屍男「ッ!!!!」ブンッ
パリンッ
悪霊『アアアアッ…………』スゥ
屍男(使い捨ての悪霊【インスタント・ゴースト】だ。瓶に悪霊を閉じ込めていて、これを割ることでその悪霊を解き放つ)
屍男(こいつらの特徴は普通の霊とは違い、自我がないことだ。恨み妬み殺意……様々な負の感情しか持たない下級霊で、目の前にいる相手なら生者死者問わずに襲い掛かる)
82 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 09:59:36.97 ID:mYXLUH9Qo
悪霊『アアアアアアアアアアアッ!!!!!!!』バッ
炎の魔女「…………」
屍男(さぁ、どうする。同じ死者の攻撃なら突然変異相手にも有効だ)
炎の魔女「…………」スッ
ボゥ
悪霊『アアアアアアアアアアアッ!!!!!!!』ゴォォ
屍男(あの炎、霊体にも効果があるのか。だが、火力が足りないな。その程度では全て焼き払うことは不可能だ)
83 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:01:12.37 ID:mYXLUH9Qo
シュルルルッ
悪霊『アアアアアアアアアアアッ!!!!!』
炎の魔女『…………』ググッ
屍男(捕らえたぞ)チャキッ
パララララララッ!!!!!!!!
屍男(9mm短機関銃、無論全ての弾は死者を祓えるようにコーティングしてある。狩人の火力としては最高峰だ)
パララララララッ!!!!!!!!
炎の魔女「…………」ズドン
84 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:03:06.98 ID:mYXLUH9Qo
パララララララッ!!!!!!!!
屍男(効いているな。ダメージの通りは悪くないと見た。後はどれだけで倒せるか)
炎の魔女「…………」スッ
ジュッ……
屍男「ッ!?」サッ
ゴォォォォ!!!!!!
屍男(この炎を操る能力、一瞬だが発生する前に空気が乾燥するような音が鳴る。その動作を読めればそこまで対処は難しくない)
屍男(それに、射程も掴めた。動きながら距離さえ取っていれば脅威ではない)
85 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:04:01.32 ID:mYXLUH9Qo
パララララララッ!!!!!!!!
炎の魔女「…………」ブンッ
悪霊『アアアアアッ……』シュンッ
屍男(もう悪霊共が焼き払われたか。追加をくれてやる)キュポン
パリンッ
悪霊『アアアアアアアアアアアッ!!!!!!!』
炎の魔女「…………」ブンッ
86 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:04:57.66 ID:mYXLUH9Qo
ゴオオオオオオオオ!!!!!!
屍男(ここだ)ダッ
チャキッ
グサッ
炎の魔女「…………」フラッ
ゴオオオオオオオオ!!!!!!!!!
屍男「ッ!!!」サッ
屍男(ナイフでの一撃には成功したな。だが――)チラッ
87 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:05:58.49 ID:mYXLUH9Qo
屍男(……耐熱処理を施しているのにも関わらず、刃先が溶けている。もう使い物にならないな)ポイッ
屍男(どうやら体内はかなりの高温のようだ。捕まればそこで終わりだな)
炎の魔女「…………」
炎の魔女「…………」メラッ
屍男(……っ。何か仕掛けてくるか)グッ
88 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:07:13.56 ID:mYXLUH9Qo
炎の魔女「…………」スッ
メラメラ……
メラメラ……
ジュッ
屍男(!!!!!!)
屍男(まさか!こいつ――)ダッ
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!
ズドオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!
89 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:07:46.23 ID:mYXLUH9Qo
魔女「」ビクッ
魔女「なに……今の音……」
魔女「……ゾンビくん」スッ
90 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:08:41.19 ID:mYXLUH9Qo
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!
屍男(くっ……辺り一面を炎で吹き飛ばすとは……)フラッ
屍男(何とか直撃は回避出来たが、地形が変わるほどの威力だったぞ。あれでは自分も食らっていてもおかしくない)チラッ
炎の魔女「…………」
屍男(ふっ……そう都合よく死んではくれないか)
屍男(またあの爆発を起こされたら厄介だ。早急に始末しなくては)
91 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:11:08.41 ID:mYXLUH9Qo
ドクンッ
屍男(……あの力を使うか)グッ
シュルルルルルッ……
屍男(これは俺の怪物としての固有の能力、筋肉を燃焼させ、その分を速さに特化するように骨格を作り替える……)
屍男(意識を保ったまま実戦で使うのは初めてだが……そんなことを言ってる場合ではない)
屍男(50%、ここまで減らせば……奴の攻撃は全て対処可能だ。持続時間は10分と言ったところだろうな。それ以上使えば動けなくなり、飢え死ぬ)
屍男(それだけあれば充分だ)
ザッ
屍男「……行くぞ」シュンッ
92 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:12:15.81 ID:mYXLUH9Qo
炎の魔女「…………」スッ
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!
屍男(炎は全て発生前に回避出来る。今更その程度の攻撃には当たらん)
屍男(しかし……身体が軽いな。まるでペラペラの紙にでもなったようだ。気分がいい)
シュンッ
シュンッ
シュンッ
炎の魔女「…………」キョロキョロ
屍男(俺の動きに全く対処出来ないようだな。いい的だ)
93 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:13:52.41 ID:mYXLUH9Qo
パララララララッ!!!!!!!!
炎の魔女「…………」グラッ
屍男(さて、このまま蜂の巣になれば楽だが、そう簡単に行くとも思えん)
屍男(恐らく次の手は……)
炎の魔女「…………」スッ
ゴオオオオオオオオオオオオオ……
屍男(やはり、自身の周辺に炎を張ったか。それで銃弾を防ごうというわけだな)
屍男(確かに、奴の体内温度は鉄も溶けるほどだ。防御に徹すれば、銃弾を空中で溶かすのもわけないはず)
屍男(……予想通り。こちらもその程度で倒せるとは思っていない。奥の手を使わせてもらう)スッ
ピンッ
屍男(貴様の炎の力、逆に利用させてもらうぞ)ブンッ
94 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:14:49.56 ID:mYXLUH9Qo
ゴオオオオオオオオオオオオオ
炎の魔女「…………」
パリンッ
ボォォォォォ!!!!!!!!!
炎の魔女「…………」ブワッ
屍男(奴の炎に聖水とガソリンをぶつける。聖水の力で炎を清め、ガソリンでその炎の威力を高める)
屍男(聖水の効果で奴の炎はそのコントロールを失い、ただの炎に戻る。そこにガソリンを加えれば、炎の威力は増し、奴自身を燃やし尽くす業火になる)
屍男(そうなれば炎から逃れるために、隙が出来るはずだ。そこを……突く)
95 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:15:59.26 ID:mYXLUH9Qo
ボォォォォォ!!!!!!!!!
炎の魔女「…………」サッ
屍男「ッッッ!!!!!!」ダッ
ブンッ
炎の魔女「…………」クルッ
ボコォ!!!!!!
屍男(……ッ!やはり、本体はかなりの高温だな。拳が灼ける)
屍男(だが、俺の打撃は通用する。遠くからチマチマ撃つより、直接頭を潰す方が速い)
96 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:16:57.01 ID:mYXLUH9Qo
炎の魔女「…………」スッ
屍男「ッッッッ!!!!」ブンッ
ドゴォ!!!!!!!
炎の魔女「…………」フラッ
屍男(近接格闘は専門外らしいな。俺の動きについて行けていない。押し切れる)
ズドドドドドドドド!!!!!!!!
炎の魔女「…………」ボコボコ
97 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:17:52.37 ID:mYXLUH9Qo
屍男「ッッッッッ!!!!!!」ブンッ
屍男(……身体能力は低いわりに、かなりタフだ。あれだけの銃弾を浴びていて、この殴打にも耐えるか)
屍男(少しリスキーだが、このままではこちらの肉体が持たない。勝負を決めるか)グッ
ドゴォ!!!!!!
炎の魔女「…………」フラッ
屍男(今だ!)グイッ
ガシッ
グググッ
炎の魔女「…………」ジタバタ
屍男「!!!!!!」グッ
98 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:18:39.54 ID:mYXLUH9Qo
ジュウウゥ……
屍男(ッ!!関節技に持ち込めたが、これは想像以上の熱だな……こちらの筋肉が落ちているのもあるが、まともに触れていれば肉が溶ける)
屍男(だが、恐らくこれが最善手だ。物理攻撃が通用するということはこいつに霊体化する力はない。性質的には俺と同じ、怪物に近い……ならば、急所も同じだ)
屍男(持ってあと5秒だな。5秒以内に、こいつの首を引き千切る)
グググッ……
炎の魔女「…………」バタバタ
屍男「ッッ!!」グイッ
99 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:19:21.92 ID:mYXLUH9Qo
屍男(あと3秒……!!!!)
炎の魔女「…………」バタバタ
ジュウウウウ……
屍男(2秒……!!!!)
ミシッ
ミシミシッ
炎の魔女「…………」バタバタ
屍男(これで……終わりだ)グイッ
ブチッ
100 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:20:46.41 ID:mYXLUH9Qo
ボトッ
屍男「……っ」パッ
炎の魔女「」バタッ
屍男「……ふぅ」
屍男(終わったな。実体の首と胴体を切断すれば、生命活動は止まるはずだ)
屍男(体中が大火傷だ。何とか動けるが……再生が追い付いていない。早くエネルギーを摂取しなければ)ジュウ
101 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:21:26.00 ID:mYXLUH9Qo
フラッ
炎の魔女「」バッ
屍男「!?」クルッ
102 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:22:17.12 ID:mYXLUH9Qo
ガシッ
ジュウウウウウウウ!!!!!!
屍男(なっ……!?)
炎の魔女「」ググッ
屍男(こ、こいつ……!なぜ動ける!?)
屍男(完全に首は切断している……この状態で動けるわけが……!)
炎の魔女「」ギュッ
ジュウウウウウウウ!!!!!!!!
103 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:23:46.91 ID:mYXLUH9Qo
屍男「ガァッ!?グウッ!!!!」バタバタ
屍男(脳が焼ける……!拘束を解かなくては!このままだと……)
屍男(くッ……!!この体勢は不味いッ……頭を掴まれてッ……力がッ!!!!)
炎の魔女「」ギュー
屍男「ガアアアアアアアアッッッ!!!!!!!!!」ジュー
ボウッ
ゴオオオオオオオオオオオオオ
104 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:26:10.36 ID:mYXLUH9Qo
ガサッ
魔女「……!」チラッ
屍男「!!!!!」
屍男(そ……うだ。あいつの存在を……忘れていた……戻ってきたのか!)
屍男(ま……だ……勝機は…………!)
105 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:27:08.24 ID:mYXLUH9Qo
魔女「…………」
魔女「」ダッ
屍男「!?」
屍男(なっ……逃げたッ!?)
屍男(あ、あいつ……何を考えて……!?)
炎の魔女「」ギュッ
ボオオオオオオオオオオ!!!!!!!
106 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:27:46.49 ID:mYXLUH9Qo
屍男「グァッッ!?」ピクッ
屍男(熱――意識が――このままでは――マズ――)
ボンッ!!!!!!!!!!!!
107 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:28:14.36 ID:mYXLUH9Qo
………………………………………………
…………………………
108 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:29:52.48 ID:mYXLUH9Qo
ダダダダダダッ
魔女「はぁっ……はぁっ……」
魔女「ふぅっー……ふぅっー」フーフー
魔女「こ、ここまで来れば……追ってこないかしら」クルッ
魔女「…………」
魔女「…………」
魔女「ごめんね、ゾンビくん」
109 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2020/03/21(土) 10:31:52.08 ID:mYXLUH9Qo
今日はここまで
これで大体前半部分は終わりだと思います
長さ自体はいつもよりちょっと短いです
110 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/03/21(土) 19:19:29.27 ID:Fwo+grFDO
乙
111 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/03/31(水) 00:58:31.70 ID:79sbGHac0
久々に読みたくなって来たがもう1年音沙汰なしか…
112 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/05/30(日) 13:31:20.73 ID:GpqbiV9/o
きてたか!
更新なくて辛い
113 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/06/05(土) 02:21:21.83 ID:tVLxHiT7o
まだかな
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/06/25(金) 22:23:06.60 ID:uUskIDLqo
いきかえれ
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/07/05(月) 00:44:21.09 ID:I9n15NHoo
待ってるよ
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/07/12(月) 00:23:29.14 ID:3C18l308o
まだかな
117 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/07/17(土) 17:58:24.52 ID:MYnLx/ARo
よみがえって
118 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/12/31(金) 16:51:48.26 ID:tSsYvJSLO
待ってるぜ
119 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/01/20(木) 22:06:52.11 ID:0fQVVB0Yo
あけたよ
120 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/02/18(金) 03:16:32.65 ID:8N/Y6o+rO
寂しいスレになった
頭も
121 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/02/18(金) 03:45:50.31 ID:fy/IAk9ZO
SS速報避難所
https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196/
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/07/01(金) 07:59:05.07 ID:veMk64z3O
まってる
123 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/08/12(金) 12:26:55.72 ID:J0AJn7FB0
ずっと待っとるんね、武漢ウイルスにやられたか分からんが生存報告だけでもしてほしいんね
124 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/12(金) 14:04:01.57 ID:vW4CTB/0O
俺以外にも待ってる人がいたことが嬉しい
俺も待ってる
125 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/13(土) 01:23:34.52 ID:KN59iJZE0
私も待ってる(覗いたの1年ぶりだけど……)
126 :
以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします
[sage]:2022/08/13(土) 03:25:18.75 ID:uIQIfXwr0
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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127 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/09/19(月) 00:10:35.65 ID:CifQf8Llo
まだかな
128 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/11/11(金) 00:33:09.25 ID:ojbAOrM20
冨樫はもう復活したぞ
あんたはまだか
129 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/12/24(土) 00:52:06.27 ID:90fYSXGeo
待ってるよ
130 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/12/24(土) 19:23:51.45 ID:KC4ejLm50
粘着質なアゲガイジに死体蹴りされ続けて可哀想だわ、そら創作意欲も失せるってモンよ
再開するとしても別の場所でやるわな
131 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/12/24(土) 23:52:40.00 ID:n0vK02CEo
それマジ?でも待ってるよ
132 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/12/24(土) 23:58:25.81 ID:KC4ejLm50
頼むからキ印さん書き込むな不快だから
そしてsageも出来ないガイジは死んでくれ
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