男「僕の生徒は亜人だらけ」ミレイア「ろっ、六回目だからって嬉しくないんだからっ」

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359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/06(月) 20:11:46.74 ID:rRqCR9HwO
2ベルスタシア
360 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/06(月) 20:26:27.12 ID:h/jXT9MS0
男「なにか視線を感じる」

ベル「先生ったらモテモテ♪」

男「すごい冷たい視線を感じるんだけど」

ベル「んーなんでだろーねー」

ベル「あっ、もうお昼だよ! ねぇねぇお昼だよ!」

男「それじゃあどこか食べに行こうか。資料整理を手伝ってもらったわけだし、僕がおごっちゃうよ」

ベル「手伝っても手伝わなくても先生にはおごってもらうつもりだったから!」

男「僕の周りには僕を財布と思っている人が多すぎる…!」

ベル「なーんて冗談冗談♪ 冗談さんだよ!」

男「ところでどこに食べに行く? 君のお姉さんがやってるラーメン屋?」

ベル「ヴェールお姉ちゃんはテトロドトキシンもいけるんだから硫酸もいけるんじゃないかって硫酸飲んでお腹壊してるって」

男「なぜそれだけで済むんだろうか」

ベル「アシッドスライムなら大丈夫なんだろうけどねー」

男「もっと普通のものを、いや食生活に口を出すのはやめておこう」

男「あ、ってことはベルスタシアさんは金属を食べたり?」

ベル「食べないよ。もったいない」

ベル「あー、今日はピッツァの気分かなー。学内に良いピッツァ屋さんがあるんだよ。ちゃんと石窯で焼いてる奴」

男「本当この学園なんでもあるなぁ」

ベル「学外で食べるよう多分充実してるかもしれないねっ。ピッツァ〜ピザピザピッツァ〜。チーズたっぷりとろとろピッツァ〜。コーンは多めで〜」
361 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/06(月) 20:44:16.73 ID:h/jXT9MS0
ベル「はむっ、はむはむはむっ」

男「チーズがこれでもかっていうくらい乗ってるね」

ベル「チーズは多ければ多いほどいいのだっ」

男(成人男性にはきつい量だ)

男「…まだ視線を感じる」

ベル「あつぅいっ!」

男「あぁ、気を付けて食べないと、焼き立てなんだから」

ベル「火傷しちゃったかも」

男「スライムって火傷するんだ」

ベル「火傷はいやだよー、怖いよー」

男「すいません。氷くださ―「大丈夫? ベルちゃん。氷だよ。冷やさないと。火傷はとっても嫌だからね」

「ほら、氷、氷、氷、氷」ドサドサ

ベル「あひゃーっ! ちべたいっ!」

男「どこからともなく大量の氷が!?」

「火傷跡が残るといけない。病院に行こう。腕のいい医者がいる病院があるんだ」

「さぁ行こう、すぐ行こう、いやむしろ病院が来い」

男「き、君は?」

「……あぁ、人間か。人間臭くて目を背けてしまっていたよ。申し訳ないけど人間臭いから消えてくれないかい?」

男「ストレートに傷つく。じゃなくてベルスタシアさんのお知り合い?」

ベル「ベルンちゃんだよ! 親戚なんだっ」

ベルン「名乗りたくはないけどベルンカステル。ベルちゃんの親戚だ」

ベルン「まったく熱々のピザを食べさせるだなんて人間は本当に頭が回らない。この子が火傷を負ってしまう可能性を考えることもできないだなんて」

ベルン「もし火傷を負って、傷が残ってしまったらどうする気なんだい。責任はとれるのかな? その冴えないぼんくら眼鏡に責任とれるとは到底思えないけれど」

ベルン「責任をとれないのならベルちゃんに関わらないでほしい。それとベールちゃんにも近づかないでほしい」

ベルン「あの子はただでさえ対人耐性なくて優しくされるとコロッと行っちゃうほどチョロいんだから」

男「色々と酷い。ってお言葉だけど君に言われれることじゃないし、ベルスタシアさんは僕の教え子だしベールさんは僕の友人だ」

男「もし彼女たちになにかあったら僕は責任とるよ」

ベルン「ピザは冷やしておいたよ」カチンコチン

男「話聞いて」

ベル「美味しくない…」

ベルン「美味しくないピザを食べさせるだなんて、これだから童貞のまま死んだ男は」

男「僕のせいじゃなくない?」

ベルン「とにかく、ボクは君がベルちゃんやベールちゃんと親しくするのを、許しはしないんだからね」

男「君に言われることじゃないよ」

ベルン「そうか。きっと君はこう言いたいんだろう。彼女たちに優しくしてると得があると」

ベルン「そんな不純な輩は金をくれてやるから早く消えてしまうといいよ。さぁいくら欲しい。いくら欲しいんだい」

男「お金なんていらないよ。困ってもいないしね。僕は教師でベルスタシアさんは教え子だ。損得勘定なんてないよ」

男「ベールさんも僕の大切な友人だ。力になってもらうこともあるけど、利用できるから仲良くしてるわけじゃない。向こうが仲良くしてると思ってるかはわかんないけど」

ベル「私は先生におごってもらうために仲良くしてますっ」

男「そういうことは僕がいないところで言ってね」
362 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/06(月) 20:49:15.10 ID:h/jXT9MS0
ベルン「ふん。人間は嘘つきだ。それが本当かはわからないね」

ベルン「今はベルちゃんに免じて引き下がるけど覚えておくといい」

ベルン「もし彼女たちに何かあったら君の皮をはいでやるから」

男「…君がそうしなくていいように、ベルスタシアさん達を守るよ」

ベルン「ベルちゃん。火傷大丈夫かい?」

ベル「大丈夫だよ。ピッツァもう一枚頼んでいい? 先生」

男「いいけど」

ベルン「こんな奴に頼まなくても私がこの店ごと買っちゃうよ?」

男「…えーっと、君はお金持ちだったりする?」

ベルン「なんだい。もしかして私に媚び諂うつもりかい?」

男「そんなことしないけど」

男(ベルスタシアさん。親戚の方はお金持ちなんだなぁ)

ベルン「このカチコチアイスクリームピザがいいと思うよ」

ベル「却下!」

男(…悪い人ではなさそうだけど)

ベルスタシアの好感度【45】
363 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/06(月) 20:55:29.94 ID:h/jXT9MS0
〜42週 日曜日〜

「ロンバルド様。アリストファネス様。ご準備ができました」

ロザリア「わ〜い」

エンプーサ「なんで私までエステに」

ロザリア「女子会よー」

エン「死体のあんたはともかく私はまだエステなんて必要ないわ」

ロザリア「おっぱいも大きくなるのよー」

エン「気にしてない。気にしてないわ。気にしてないんだから」グスッ

ロザリア「エンプーサちゃんもいっぱいエステすれば、おっぱいがふわふわのもちもちになるわよ〜」

エン「なりたいだなんて思ってないんだから。その無駄な肉塊は邪魔だし、不便になるし」

エン「女性をおっぱいで判断する男みんな死ねばいいのよ。あの透明人間とか」

ロザリア「あっ、この子は豊胸コースでお願いします〜」

エン「ロザリアぁああっ!」
364 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/06(月) 20:57:14.43 ID:h/jXT9MS0
メイド「………その、サイズが合わなくなってきました」

男「成長期だもんね。お金あげるから買ってきなよ」

メイド「ありがとうございます。申し訳ありません。私のために」

男「サイズの合わない下着付けてるのは体によくないからね」

男「さて、今日は僕は」

1.誰かに勉強を教える

2.誰かに会いに行く

3.自由選択

>>365
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/06(月) 21:00:38.64 ID:f8nh5wKhO
2ヒヅキ
366 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/06(月) 21:10:09.16 ID:h/jXT9MS0
ヒヅキ「………」ボーッ

男「やっぱりここにいた」

ヒヅキ「…どうした」

男「今更だけど。おかえりヒヅキさん」

ヒヅキ「………お前は、なぜそのような姿になったんだ」

男「わかんない。よくわかんないけど気付いたらこうなった」

ヒヅキ「殺されたのか」

男「殺されてはないよ。これでも元気
367 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/06(月) 21:26:05.28 ID:h/jXT9MS0
ヒヅキ「………私が東の国へ行ったとき、そこでお前の声を聞いた」

ヒヅキ「…すべてを捨て、力を求めたというのに、私は、捨てきれなかった」

ヒヅキ「私の弱さがお前を見せたんだ」

男「あ、それ僕だよ」

ヒヅキ「………どういうことだ」

男「君を探して霊山まで行ったんだ。あの日、騒ぎを起こしたのは僕なんだよ」

ヒヅキ「………」

ヒヅキ「来てた、のか…いや、まて………なぜだ」

男「大切な教え子がいなくなったら探しに行くのは当然でしょ」

ヒヅキ「………まさかお前がそこまでするとは」

男「僕もヒヅキさんがまさかそこまでするとは思ってなかった。東の国まで行って何をするつもりだったの?」

ヒヅキ「白鞘童子を呼び出してもらっていた。私を育てた鬼だ」

男「そういえば交霊できるとか言ってたな………。その人と修行を?」

ヒヅキ「……あぁ。リンネを倒すために、でもリンネはもういない」

ヒヅキ「私は…なんのために」

男「…僕としては君に何かある方が嫌だよ。無事でいてくれてよかった」

ヒヅキ「私はお前が傷つくことが嫌だったんだ。どんどん傷ついていくお前をみて」

ヒヅキ「自分の弱さが嫌になった」

ヒヅキ「私はお前が好きだ」

男「うん、知ってるよ」

ヒヅキ「だが、もうお前を好きでいる資格がない。どこまで行っても私は弱いんだからな」

男「そんなことはないよ。人を好きになるのに資格なんていらない」

ヒヅキ「……強くない鬼にはなにも許されはしない。生きることすらな」

ヒヅキ「鬼とは強くて至上。弱ければ生きる価値無し。そういうものだ」

男「………じゃあ、僕が君に、僕のことを好きでいてくれって言ったら?」

ヒヅキ「…困る」

男「ごめん。教師らしくないこと言った。でも、僕はヒヅキさんにもっと幸せに生きてほしいと思ってる」

男「鬼じゃなくて、ヒヅキさんとして生きてほしい。美味しいもの食べて、楽しいことをして」

男「まっすぐに恋をして、当り前に幸せになってほしい」

ヒヅキ「………難しいことを言うな。私の恋路を邪魔するものは多いいからな」

ヒヅキ「でも、負けるつもりはない。これは鬼ではなく私としての意地だ」

男「頑張れヒヅキさん」

ヒヅキ「そういうからには協力してくれるのだろうな」

男「え、協力って?」

ヒヅキ「………好きなお前を守るために一層の修行をしなければならない。付き合ってくれるな」

男「結局、前のヒヅキさんとやることは変わんないんだね」

ヒヅキ「強くなければ愛する資格はないからな。これは鬼ではなく、私の思いだ」

ヒヅキの好感度【80】

ヒヅキの運動【601】
368 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/06(月) 21:42:24.56 ID:h/jXT9MS0
〜43週〜

少年「もうすぐテストの時期だな」

バジロウ「ぐわーっ」

オル「やだーっ」

ノヘジ「勉強会をするか?」

少年「必要、みたいだな」

バジロウ「教えてくださいノヘジ様少年様」

オル「私の店の半額券あげるから!」

ライオ「自分にも教えてくれ」ニョキッ

リューン「定番イベントに参加したいです」ニョキッ

ワルフ「なんだなんだ、少年が勉強を教えてくれるってーのか? 教えてください!」

少年「ワルフさん先輩でしょ!?」

ユエ(ここで私も頼っていいのでしょうか。いえ、でも実は勉強ができないだなんて言えません)

ハナヨ「わぁ、皆楽しそうだなぁ。あ、ユエちゃんも一緒に参加しませんか?」

ユエ「んむっ!? は、ハナヨさんがそういうなら、このユエ・フォン・メーイン藪坂ではありませんが」

シノ「これ少年! 妾の勉強を教えるという約束はどうしたのじゃ!」

バジロウ「おーい。みんな勉強が不安ならノヘジと少年が教えてくれるってよ!」

ワイワイガヤガヤ

少年「こんな人数教えれねぇよ。つーかこの人数は入れる部屋なんてないし勉強会は」

ジャンヌ「おーっほっほ。困っているようですわね、少年!」

ジャンヌ「今爺やに行って部屋を用意させましたわ。いえ、これも貴族としてのつとめ「余計なことを」

ジャンヌ「なっ。れ、礼儀を知りませんわね下民! こうなったら決闘! 決闘ですわ!!」

アダム「祭りの気配を感じた」

ディー「なんだいなんだい、祭りかい?」

少年「あーっ! もういやだーっ!!」
369 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/06(月) 21:45:11.08 ID:h/jXT9MS0
男「少年・ノヘジによる大勉強会。会場はこちら?」

男「…大変そうだなぁ」

男「さて、我がゼミの勉強会は」

亜人【ヒヅキ・ベルスタシア・ジェラルド・サレム・ルーティ・プライヤ・ロウェナ・ミレイア・リリから一人】

教科【文系・理系・魔術・魔導・運動から一教科】

>>370
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/06(月) 21:47:42.06 ID:uzB7lLqz0
ジェラルド 魔術
371 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/06(月) 21:55:46.49 ID:h/jXT9MS0
ヒヅキ【魔術 653】

ベルスタシア 【文系 475】

ジェラルド【魔術 410】

サレム【理系 596】

ルーティ【魔導 323】

プライヤ【魔導 1269】

ロウェナ【文系 419】

ミレイア【魔術 355】

リリ【魔術 576】
372 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/06(月) 22:14:29.05 ID:h/jXT9MS0
〜43週 土曜日〜

モマ「最近大人しいですね」

ソロ「私はいつだって正直だよ。近所でも評判さ」

モマ「嘘を言う字を書いて、それを煎じて飲んだような人が何を」

ソロ「アマネじゃないかな?」

モマ「貴方も一緒です。私としては大人しくなってくれたのはありがたいのですが」

モマ「一方で何か計画をしてそうな不安を抱くのですよね」

コタ「ソロさん! モマさんのパンツ写真集の流通ルート確保できたッス!」

ソロ「おやおや(汗)

コタ「って、ひぃっ! モマさんもいたんスね!」

モマ「二人とも、正座!!」

ソロ「………さらば!」

コタロウ「おいて行かないでッス!」

モマ「あっ、こら! ネガ寄こしなさい!!」ピュウー

コタ「…言われた通りに話し変えたっスけど、ソロさんは何を考えてるんスかねぇ」

コタ「ソロさんのヒミツを暴くのも面白そうっスけど、ちょっと怖いんスよねぇ」
373 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/06(月) 22:16:15.89 ID:h/jXT9MS0
男「レポートもまとまったし」

男「さて今日はなにをしようかなぁ」

1.誰かに勉強を教える

2.誰かに会いに行く

3.自由選択

>>375
374 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/06(月) 22:16:56.15 ID:h/jXT9MS0
今日はここまで

モマさんのパンツ写真集は縞パン多め
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/06(月) 22:17:20.30 ID:wx++CaXn0
2ルーティ
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/06(月) 22:17:22.11 ID:hwkwrAhuo
2プライヤ
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/06(月) 22:17:41.22 ID:Yat77mhDO
2ブライヤ
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/06(月) 22:19:54.28 ID:wx++CaXn0
乙です
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/06(月) 22:24:26.07 ID:f8nh5wKhO
おつ
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/06(月) 22:51:52.83 ID:2Ml3A2Zi0
381 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/07(火) 19:44:06.66 ID:aF9ecF0i0
アイ「やっとこの日が来た!」

セラス「落ち着きなさい。プロとして余計なスタミナは消費するべきじゃないわ」

アイ「だってだって! 久しぶりのライブなんだもん!」

男(そう、今日は合同ライブの日。僕は興奮しているアイホワイトさんと興奮を隠そうとしているセラスさんと共にいた)

ユー「本当にありがとうございます。またマオをステージに立たせることができました」

男「僕は何もしてないよ。全部ルーティさんがやってくれたんだ」

男(そう。全部ルーティさんがやった。ステージを用意したのも宣伝をしたのも全部ルーティさんだ)

男(僕たちはあれよあれよという間に決まっていたステージにやってきただけ)

ユー「しかし、リハーサルがないとは。急なことですからスケジュール的に無理だったのでしょうか」

アイ「大丈夫! 暇だったから練習だけはいっぱいしてたからねっ」

セラス「リハーサルがなかったからって見苦しい歌を聞かせるような真似はしないわ」

「スタンバイお願いしまーす」

アイ「! いくよっ、セラスちゃん!」

セラス「えぇ。聞かせてあげましょう。私たちの歌を」
382 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/07(火) 19:55:42.02 ID:aF9ecF0i0
ザワザワザワザワ

男(すごい数だ。数千人はいるんじゃないだろうか。それだけルーティさんが凄いということか)

ユー「これだけ大きなステージは初ですね。無事マオが歌いきれるでしょうか」

男「大丈夫ですよ。きっと」

ルー「ご機嫌用。愛しの皆様。あぁ、皆様の愛が私の体に響いてるわぁ。ゾクゾクしちゃう」

エグゾ「はっ。所詮愚民の愛など無意味で張りぼてな愛だ!。だがだからと言って容赦はしない! 貴様らの愛はこのアイレーン様が全部奪い去ってやるのだ!」

ノゥティ「ねぇねぇ、君たちはボクが見える? だったら透明なボクに君たちで色を付けてよっ。ほらっ、もっとボクを見て! ―――ボクに夢中になって!」

ワァァァァァァ

アイ「うーっ!やっほーっ! 久しぶりだねみんな! ときめくハートのリズムで一緒に踊ろ! みんなの心に届けビート! ポッピングハートだよ!」

セラス「騒々しいのは好きじゃない。だから私はこれだけを約束する。―――本物を見せてあげるわ」

ワァァァ

男(ルーティさんたちのほうが歓声が凄い。二人に向けられた歓声がまったくないってわけじゃないけど)

ルー「うふふ。ステージをお受けいただき、とてもうれしく思うわぁ。アイホワイトさん。セラスさん」

アイ「私もうれしいよ。みんなも前で歌うことができるんだから」

セラス「確かに。こうして舞台を用意してくれたことに、感謝するわ」

ルー「それでは始めましょう。『Witch's Bruw』と『アイホワイト・セラス』の対抗ライブを」

アイ「………え?」
383 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/07(火) 20:15:06.28 ID:aF9ecF0i0
男「!? 対抗ライブ!?」

ルー「私たちはただ愛が欲しかっただけ。でも私たちの愛はこの人たちににらまれてしまったの」

ルー「愛がほしい。そんな純粋な思いも、目立ってしまえば、出る杭。でも私たちは絶対打たれても諦めないわ」

アイ「ま、まってルーティちゃ――」ブツッ

セラス「くっ。マイクを落とされたわ」

ルー「だから私は戦うことにしたの。負けるつもりはない。だって私は皆の愛を背負っているのだから」

ルー「ねぇ、そうでしょう。皆様」

オォォオオオ ソウダー マケルナー

男(怒号のような盛り上がり。熱量のうねり)

男(用意された舞台はルーティさんがアイホワイトさん達に立ち向かうという『とても都合の良い』設定だった)

エグゾ「下等生物共! これはアイレーン様の宣戦布告だ! 報われなかった者共! 立ち上がれなくなった者! 打ち砕かれた者! お前ら敗者を引き連れて百鬼夜行が如くこのアイレーン様が強者を打ち砕く!」

エグゾ「夢を見たいならついてくるのだ!」

セラス「強者って……貴方たちも似たようなものじゃない」

ノゥティ「違うね。ボク達は君たちほど優れてはないからさ。セラスほど歌が上手ければ。アイホワイトほど可愛ければ。そんな諦めに似たたらればを背負ってボクたちはここにいる

ノゥティ「ボクたちだって君たちを超えれる。ここにいる皆は『Witch's Bruw』という夢を見ているんだよ」

ルー「お話はここまで。ここで負けた者は引退する。それでいいわよねぇ」

アイ「え、え、えぇ、っと」

セラス「………」

ルー「逃げ場はないわ。逃げた瞬間、ここにいる数千の証人があなた達の翼をそぎ落とすわよぉ?」

アイ「そんな、そんなのって」

セラス「……わかったわ」

アイ「セラスちゃんっ!?」

セラス「私たちが歌い続けるには勝つしかない。ここにいる観客を納得させないといけないのよ」

アイ「やだよ。私そんなのっていや。楽しくないよ」

セラス「アイホワイト! 歌いなさい!!」

アイ「っ」ビクッ

アイ「………うん」

セラス「それじゃあライブの始まり。どうか悔いのないようにね」
384 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/07(火) 20:34:51.56 ID:aF9ecF0i0
男(結果から言うと惨敗だった)I

男(当然だ。いくらセラスさんの歌が上手だとして、アイホワイトちゃんが愛らしかったとして)

男(ルーティさんの歌声は全ての男をひれ伏させる)

男(幽霊である僕ですら魂を引っ張られるような感じがするというのに、耐えきれるわけがない)

アイ「ひっ、ひっく、ひっく」

男「アイホワイトさん………」

アイ「ねぇ先生。なんで、なんでなの。私はただ、皆と一緒に楽しく、持ち上がりたかっただけ」

アイ「なのに、あんなステージって、ないよぉ」

男(後半はもうひどいものだった。アイホワイトさん達に向けられるのは歓声ではなく罵声、怒号)

男(ルーティさん達に害成すものとして向けられた敵意が二人の心を砕くのは容易いことだった)

セラス「………」グシャッ

男(セラスさんが握りつぶした退部届には今後一切学内で活動を行うことができないという文字があった。つまり彼女たちの未来はここで途絶える)

男(なんでこんなことになったんだろう)

ルー「くすくす。お疲れ様。本当に良いステージになりましたわぁ」

セラス「! あなたっ」バッ

リーゼ「おっと」ガシッ

アイ「ひっく、ひどいよぉ。ルーティちゃんは、私たちをだましたんだね」

ルー「騙すもなにも、私はこの学園からアイドルや歌手をすべて一掃する気でしたし、ステージの上で決着をつけただけでもチャンスをあげたつもりよ?」

男「ルーティさん」

ルー「あぁ、先生。ご機嫌麗しゅう」

男「君は、アイホワイトさんとセラスさんを傷つけて」

ルー「………先生。これは彼女たちに対する当然の報いよ」

アイ「報いって、私達なにかした? ただ歌って、楽しんで」

ルー「人の夢を打ち砕いた」

ルー「スポットライトの光を浴びれるのはほんの一握り。『三歌人』の輝きの影にはそうなれなかった者の無念が濃く色を落としている」

ルー「勝者がいるから敗者がいる。そんな当然のことを分かろうともせず、ただ『楽しい』だなんて無責任な言葉を吐く貴方に罰が下るのは当然じゃなくて?」

ルー「貴方のその『楽しい』という気持ちにどれだけの者が打ち砕かれ、涙したか」

アイ「あ、あ、あ、え、でも、私、そんな、そんなつもりじゃ」

ルー「無知は罪でないと。あぁ、あなたに夢を奪われた人たちはなんて可哀そう。涙がでてきそうだわ」

ルー「でもこれで、あなたたちは『普通』の学生ね」
385 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/07(火) 20:37:56.43 ID:aF9ecF0i0
男(ルーティさんは二人の退部届をもって去っていった)

アイ「ひっく、ひっく」

セラス「………いっぱい思ってるのに、言葉にならない」

男「ごめん。ごめんなさい」

男(多分、僕が二人に力になるなんて言わなければ、ここまでのことにはならなかったのかもしれない)

男(…ルーティさん。君は、心優しい、女の子、だよね?)

男(自分の教え子を信じられない僕が、今ここにいた)

ルーティの好感度【88】
386 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/07(火) 20:43:47.74 ID:aF9ecF0i0
〜43週 日曜日〜

イルミ「最近、顧問が部活に来ませんね」

ペレグリン「もうすぐ冬の大会だというのに。あぁ、この天空をかける美しき青い稲妻ことペレグリンの羽ばたきを見てくれないとは」

イルミ「何かあったんでしょうか。テラス先生………」

ペレ「花は見られて美しく咲き誇る。あぁ、私に視線を! もっと視線を!!」

イルミ(なんでこの人が航空部門のエースなんだろう)

ペレ「プリーズギブミー! ルックアットミー! アイズオンミー!!」クネクネ
387 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/07(火) 20:44:44.13 ID:aF9ecF0i0
男「雨が酷いな。みんなは大丈夫だろうか」

男「さてと」

1.誰かに勉強を教える

2.誰かに会いに行く

3.自由選択

>>389
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/07(火) 20:47:15.97 ID:j4ntePgg0
2ブライヤ
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/07(火) 20:47:31.71 ID:OUwL6mJDO
2ブライヤ
390 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/07(火) 20:59:12.56 ID:aF9ecF0i0
プライヤ「おぉう」

プライド「あぁん?」

男(なんかちっちゃいのが二人いた)

男「えーっとプライヤ君」

プライヤ「おぉ。こんな雨の日にどうしたんだぁ?」

男「こんな雨の日に廊下でにらめっこしてどうしたの?」

プライド「これは睨めっこではない! にらみ合っていたのだ!」

男「へぇ」

男(迫力はまったくない)

男「で、なんで睨み合っているの」

プライド「こいつが下らぬゼミなんぞに身を寄せているjからよ!」

男(下らぬゼミで悪かったね)

プライヤ「くだらなくなんてないぞぉ。あそこはオイラのじっけn…居場所なんだぞぉ!」

プライド「えぇい! 天才とは孤高! 天才とは孤独! 凡愚に交わり身を窶すなどあり得ぬ!」

男「状況がよくわかんないんだけど」

プライヤ「あにぃが発明を手伝えってうるさいんだぞぉ」

男「へぇ………兄?」

プライヤ「これ、オイラのあにぃだぞぉ」

男「あぁ、なるほど。似てるね。目つき以外は」

プライド「我の研究を手伝え! これほど有意義なことはないぞ!」

プライヤ「でもオイラだって忙しいしなぁ」

男「手伝ってあげたら?」

プライヤ「手伝うとなるとゼミも委員会も一切出れなくなるぞぉ?」

男「それは困る」
391 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/07(火) 21:03:26.25 ID:aF9ecF0i0
プライド「ちっ、埒があかないようだな! こうなれば魔導王らしく、魔導兵器で決着をつけるしかあるまい」

プライド「首を洗ってまっておくんだな! ふはは、ふははは。ふーっはっはっは」

男「あ、帰ってった」

プライヤ「やれやれだぞぉ」

男「魔導兵器って言ってたけど、大丈夫なの?」

プライヤ「…うーん。あにぃは一応天才ではあるから、面倒なことになりそうだぞぉ」

プライヤ「おいらも対抗手段としてなにか開発しないといけないかもなぁ」

男「あまり危険なことはしないようにね」

プライヤ「先生も一緒にやるんだぞぉ?」

男「え?」

プライヤ「オイラ、ゼミに出れなくなる。先生、困る」

男「………OK」

男(こうして僕はプライヤ君の助手になってしまったのだった)







ベール「!」

ベール「何か、何かを奪われた気がするわ」

プライヤの好感度【45】
392 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/07(火) 21:08:29.51 ID:aF9ecF0i0
〜44週〜

サレム「ご機嫌はいかがでしょうか」

男「おはようサレム君」

サレム「今日も情熱をもってしかと参りましょう」

サレム「! あそこに喧嘩をしている生徒が!」

男「あれ多分痴話げんかだから口を挟まないほうが、サレム君! サレムくーん!?」

男「………悪い子ではないんだけどなぁ」
393 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/07(火) 21:09:10.88 ID:aF9ecF0i0
男「さてと」

亜人【ヒヅキ・ベルスタシア・ジェラルド・サレム・ルーティ・プライヤ・ロウェナ・ミレイア・リリから一人】

教科【文系・理系・魔術・魔導・運動から一教科】

>>394
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/07(火) 21:10:00.44 ID:mY0x/a3Ro
サレム魔術
395 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/07(火) 21:15:05.66 ID:aF9ecF0i0
ヒヅキ【魔術 673】

ベルスタシア 【魔導 434】

ジェラルド【運動 430】

サレム【魔術  235】

ルーティ【文系 430】

プライヤ【魔導 1279】

ロウェナ【運動 296】

ミレイア【魔導 416】

リリ【魔導 543】
396 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/07(火) 21:29:56.61 ID:aF9ecF0i0
〜44週 土曜日〜

シノ「テンコー、テンコー」

テンコ「あらあら、どうしたのかしら私の可愛いシノ様」

シノ「んむ。勉強が疲れたのじゃー。お菓子が食べたいのじゃー」

テンコ「だったらとっても美味しい甘味処を見つけて、シノ様と食べにいきたいと思っていたのです」

シノ「むふふ。テンコの選んだものならさぞ美味しいことと思うのじゃ!」

ベルノスケ「あいやまたれい!」

テンコ「ベルノスケ様。いきなりどうされたのかしら」

ベルノ「テンコ殿。シノ様はもうすぐ戦の時。ゆえに遊ぶ暇などござらん!」

テンコ「息抜きも大事だとおもいますわ」

ベルノ「なんの! 『武』の文字を継ぐシノ様がこのようなことで挫けるはずがござらん!」

ベルノ「父上殿もシノ様の健闘を願っておられるはず! さぁシノ様。机にお戻りくだされ!」

シノ「いやじゃいやじゃ! 鉛筆を握りとうない!」

テンコ「シノ様を追い詰めることはこの私が許しませんわ」

ベルノ「くっ、ご理解下され! シノ様が大成されることこそシノ様の幸せ、ひいては東国の幸せとなるのです」

シノ「うぅぅ…。み、みたらし団子一本! 一本許してほしいのじゃ! そのあとは大人しく机に戻る!」

ベルノ「であれば」

テンコ「堅苦しいことこの上ないわ。中身みたいに柔らかくはなれないのですか」

ベルノ「拙者水魂霊侍! 硬くてなんぼでござる!」

テンコ「むむむ」

ベルノ「ぐぬぬ」
397 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/07(火) 21:31:08.04 ID:aF9ecF0i0
男「もうすぐテストのせいか休日でも人が多い」

男「さて、それより僕は」

1.誰かに勉強を教える

2.誰かに会いに行く

3.自由選択

>>400
398 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/07(火) 21:31:33.73 ID:aF9ecF0i0
今日はここまで

雨がものすごいですが皆様はご無事でしょうか
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/07(火) 21:31:48.63 ID:mY0x/a3Ro
2ジェラルド
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/07(火) 21:31:52.12 ID:kJszq32XO
2ロウェナ
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/07(火) 21:32:52.91 ID:mY0x/a3Ro
乙乙
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/07(火) 21:34:54.39 ID:kJszq32XO

雨は問題ない
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/07(火) 21:37:05.60 ID:svFNodgT0

404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/07(火) 21:38:51.01 ID:OUwL6mJDO
乙です
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/07(火) 21:41:42.84 ID:0Y+BsjkKO
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/07(火) 21:46:26.77 ID:j4ntePgg0
407 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/09(木) 19:44:35.80 ID:34tALdkd0
男(以前見た白昼夢。それがどうしても僕の頭の中にこびり付いていた)

男(ロウェナさんといて不思議なことは何度もあった。だからこれはきっと何らかのメッセージ)

男(おそらく、失われたロウェナさんの記憶)

男「と言っても何をすればいいか」

男(思案した結果、僕は)

1.ロウェナさんに会いに行った

2.ロウェナさんについて調べることにした

>>409
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/09(木) 19:45:42.26 ID:dNv3l7iOO
2
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/09(木) 19:48:25.54 ID:YzzOaht+0
410 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/09(木) 20:01:21.85 ID:34tALdkd0
男(悩んでいてもしょうがない。ロウェナさんに会いに行こう)

男(と思っていると向こうから探し人が現れた)

ロウェナ「先生、呼んだ?」

男「う、うん。呼んだけど。なんでわかったの?」

ロウェナ「んー。先生が思ってることがなんとなくわかるんだー。愛の力かな?」

ロウェナ「で、お姉さんに何の御用かな? かな?」

男「…この前、ロウェナさんと一緒にいた時に、白昼夢を見たんだ)

ロウェナ「幸せな結婚生活とか?」

男「ううん。そこではね。君が檻の中に閉じ込められてた」

ロウェナ「檻?」

男「うん。ボロボロになった君がいた」

ロウェナ「…覚えは、ないなぁ」

男「多分君の生前の時の記憶なんだと思う、きっとそこに君が思い出せないなにかが」

ロウェナ「お姉さんの、知りたいこと、か」

ロウェナ「幸せじゃない記憶なら、いっそ思い出せないほうがいいかもね」

男「………それは」

ロウェナ「ふへへ。そんな暗い話より、私とイチャイチャしようよ」

男(………君がそう思うなら)
411 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/09(木) 20:04:43.89 ID:34tALdkd0
ロウェナ「ふはぁー。楽しい! 楽しいねぇ!」

男「まさか人間になってもいたずら好きとは」

ロウェナ「ロウェナさんここにあり! って示したいのだよ」

男「だからって番長連の倉庫に忍び込んで木刀を全部サラミにかえるだなんて」

ロウェナ「平和のためにやったのだー。わははー」

ロウェナ「はー、楽しかった。さて、もう日も暮れたし帰ろうかな」

ロウェナ「あ、私の家に泊まっちゃう?」

男「女子寮には入れないよ」

ロウェナ「それは残念。それじゃまたねっ」

男「うん。バイバイ」
412 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/09(木) 20:10:11.85 ID:34tALdkd0
男(もう思い出さないほうがいいのだろう。今のロウェナさんが本当のロウェナさんだ)

男(人間になったのだからもう無理をすることもない)

ロウェナ「もうすっかり夜だね」

男「! あれ、なにか忘れ物?」

ロウェナ「ううん。探し物」

男「探し物? 一緒に探すよ」

ロウェナ「ありがとう。でもね、もしかすると見つからないかもしれない」

男「?」

ロウェナ「だって」

ロウェナ「先生が盗ったから」

男「!」

男(ロウェナさん、じゃない。白い髪の幽霊だ)

ロウェナ「待って、待って、逃げないで」

男「ひっ」

男(追いかけてくる。僕だって幽霊なのに、逃げきれない。壁をすり抜けても床をすり抜けても同じ距離を保ったまま追いかけてくる」

ロウェナ「待って、なんで? どうして? なんで逃げるの? ねぇ」

ロウェナ「悪いのは先生なのに」

男(怖い。怖い。どうすれば逃げれる)

男「!」

男(ここは図書館の近く。もしかしたらベールクレアさんなら幽霊くらい退治してくれるんじゃないか)

男(だけどベールクレアさんを危険にさらすわけには)

男「………ええい!」

1.ベールクレアさんのもとへ駆け込む

2.自力で逃げる

3.立ち向かう

>>413
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/09(木) 20:13:36.51 ID:36UoCO72O
3
414 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/09(木) 20:28:06.46 ID:34tALdkd0
男(いいや、逃げてばかりじゃだめだ。僕は、僕は教師なんだから!)

ロウェナ「先生。捕まえた」

男(!)

男(僕の肩へ手がかかる。その真っ白な指先を見た瞬間、僕の意識は真っ暗な底へと消えていった)
415 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/07/09(木) 20:28:32.34 ID:34tALdkd0
申し訳ありませんが今日はここまで

次回ロウェナ編始まります。
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/09(木) 20:32:07.68 ID:YfuyGtzdo
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/09(木) 20:44:15.08 ID:xur/1qVco
おつー
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/09(木) 21:35:37.16 ID:zSfR/tpW0

ルーティ編に加えてロウェナ編までスタートするのか
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/09(木) 21:54:11.78 ID:dNv3l7iOO
おつ
420 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/04(火) 19:38:04.56 ID:oU+ig+it0
「あれま、お兄さん、お兄さん」

「う、うぅん」

誰かが僕を呼んでいた。その声に引き上げられるように意識を取り戻す。

たしか僕は………

あれ、おかしいな。僕は今は幽霊。眠ることもなければ意識を失うこともない、はず。

でもあの白い髪の幽霊に触れた時、脳を引っこ抜かれるような感覚がして

「お兄さん、お兄さん。こんなところで寝てたら、死んじゃいますよ」

「あ、はい…」

それより僕に話しかけてくれてるのは誰だろう。僕は冷たい地面から体を起こ、す。

「あれ、なんで僕、生きてるんだ」

「あぁ、もしかしてお兄さん、死ぬ気だったのかね」

地面が冷たいという感覚。 空気が肌を撫でる感覚。音が鼓膜を震わす感覚。

僕が失ったはずのものが確かにあった。

「いえ、死ぬ気はないんですけど。ところで、ここは」

周りを見渡す。そこは学校の中ではなかった。見渡す限り木々しか見えない。学園の森というわけでもなさそうだ。建物一つ見えやしないから。

存在するのは僕と、僕を起こした人だけ。その人は見た感じは人間の女性に見えるが。

「辺鄙な田舎ですよ。さぁさ、こんなところにいたら亜人に襲われますから」

「亜人に、襲われる?」

「あらま。もしかしてここよりずっと辺鄙なところで暮らしてたんですか」

「…えぇ、ちょっと世間に疎くて。何があったか教えてもらってもいいですか?」

女性曰く亜人が人間に反乱を起こして、奴隷解放運動と称して人間たちを襲っているらしい。

はは、そんな馬鹿な。

そんなことがあったのは、1000年も前のことだぞ。奴隷なんてとっくの昔に

―――人間だけになってる、のに。
421 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/04(火) 19:46:22.17 ID:oU+ig+it0
「こんなご時世だからね、私みたいな弱い人間は助け合っていかないと」

僕を助けた? 女性はそう言う。問題は僕がそんなご時世に存在していないということだ。

夢かなとも思ったが幽霊は夢を見ない。白い髪の少女によって幻覚を見させられている、その方が可能性としてはあり得る。

「お兄さんは、なにをしてる人で?」

「僕は…教師をしています」

「あらま、先生さんでしたか。そりゃあお偉い方で」

「学校があるってことは都会からいらしたんですねぇ」

「えぇ、まぁ」

「でもなんでこんなところに?」

「えーっと、ちょっと人間関係が複雑で」

「あらま、生きる希望を忘れちゃいけませんよ。生きてれば何とかなるんですからね」

「そうだ。先生さんが嫌でなければうちの村で小僧たちに勉強を教えていただければどうでしょか。大したお給金は出せませんが生きてくことはできますよ」

「! あ、はい。こちらとしてはありがたい話です」

もしこれが夢や幻でなかった時、僕は一人じゃ到底生きてはいけないだろう。だからあらまさんの申し出は僕にとって渡りに船だった。

「これで私の村にも箔が付くってもんですよ。ここいらじゃ学校なんてもんありゃしませんからね」
422 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/04(火) 20:00:15.27 ID:oU+ig+it0
あらまさん(僕がそう呼んでるだけで本名じゃない)に連れられた村は本当に辺鄙なところだった。

広くはあるが家はまばら。僕が育った村よりもずっと寂れていた。

でも、こんなところだから亜人に襲われなくて済んでいるのかもしれない。

亜人に襲われてるだなんて、信じられないよなぁ。そんなこと冗談でも口にしたら捕まってしまうよ。

「村長さん、村長さん。夜分遅くに失礼します」

あらまさんに案内されたのは村の中でも割と大きい家だった。村長と呼んでいるから、村のリーダーなんだろうな。

あらまさんが扉を数回叩くと中から眠そうな顔をした老人が出てきた。

「なにかね」

「こちら、教師をやってる先生さんで、この村で働きたいと」

「…これが、先生ぃ?」

訝し気な目で見られる。確かに威厳やなんやらはないけども。

「はい。教師をやっていました。人間関係のいざこざで飛び出てきた身なのでどうか置いてくださると幸いです」

「学校ができたら、村がきっと盛り上がりますよ。もう隣村に馬鹿にされなくてすみますよぉ」

「ま、よかね。空いてる家があるから案内してやりんさい」

村長は僕という外部の人間よりも自分の睡眠を優先したらしく、欠伸を一つしてぴしゃりと扉を閉めた。

とにかく寝床は確保できた。後は

「先生さん。良かったらご飯いかがですかね。大したものはないですけど」

そういえば空腹だ。何か月も食べてないと空腹っていう感覚を忘れてた。

思い出すと急速に食事というものがしたくなる。どうやら僕の腹の虫はまだ生きてたらしく、元気に鳴き声をあげた。

「あらまぁ、元気だ事、ささ、うちにいきましょか」
423 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/04(火) 20:06:40.28 ID:oU+ig+it0
食事を戴く。

文句を言うわけではないが、本当に質素な食事だった。豪勢でないということではない。味付け自体が薄く淡泊なのだ。

「最近は戦争で調味料もあまり手に入りませんで、これでも村では一番料理上手と言われてるんですよ」

「商人でも、難しいんですね」

彼女は商人だった。夫はすでに亡くなっているらしく、一人でこの村に物資を運んでいる。

「商人だから、貴重なもんには手を付けませんよ」

確かにそうだ。貴重ということはそれだけ高値で売れるということなのだから。

亜人と人間の敵対。そして戦争で物資が不足。そんなこと経験したこともなかった。

…ほんとうに僕は過去に来てしまったのだろうか。
424 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/04(火) 20:12:52.72 ID:oU+ig+it0
食事とお風呂を頂いた僕は、あらまさんから空き家を紹介された。

話を聞くと先月亡くなった老夫婦の家らしく、家具は揃っているらしい。それはありがたい話だけど幽霊とかでないよね?

「それでは先生さんおやすみなさい」

「えぇ、ありがとうございます」

こんなとんとん拍子に話が進むとは。素性不明の人間なんて怪しまれてしかりだろうに。

僕は古ぼけたベッドに横になると、久しぶりに目を閉じた。

一体何がこの身に起きているのか。

それはわからないけど

皆元気なぁと一日も立ってないのにすごい寂しくなった。
425 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/04(火) 20:31:32.05 ID:oU+ig+it0
「先生、ありがとうございましたー」

「はい、それじゃあまた明日」

半年がたった。

村の共用施設のような場所で僕は教師として子供たちに勉強を教えている。貰える給金はスズメの涙程度だけど衣食住は保証されているから十分だ。

だからなんとか生きてはいけている。でも帰る手段は見つかっていない。

本当に、僕は1000年以上前の戦争時代に来ていた。まだ人間と亜人が共存できてない時代に。

「さて、と」

授業を終えた僕は余った時間でこの世界を調べることにしている。なにかヒントが見つかるかもしれないからあらまさんにお願いしていろんな文献を仕入れてもらい、時にはあたりを歩き回って何かないかと探す。

成果はまったくないけどね。

「学校が恋しいな」

時折こうして無性にみんなが恋しくなる。人間に囲まれた生活だと特に皆の姿が頭を過る。

「う、うぅー」

「………?」

声が聞こえた。子猫の威嚇のような唸り声が。

さて一体誰かとその出所を探ると

「じぃー」

女の子がいた。木に隠れてこっちを伺っている。その長い黒髪、どこかで

『よろしくね、ボク!』

ま、まさか、いやそんな

でも彼女は

いや、つまりこれは

ロウェナさんが生きている、時代?
426 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/04(火) 20:39:20.73 ID:oU+ig+it0
「じじじぃー」

「……ワルイヒトジャナイデスヨー」

「!」ビクンッ

あ、声を掛けたら隠れてしまった。

「じぃー」

でもすぐにまた僕を観察している。

「こんにちは」

「! チハー」

声を掛けたら隠れるだなんて、ロウェナさんとは思えないな。

でもロウェナさんにそっくりだ。少し幼いけど。

「貴方、誰」

「僕は男。一年前にこの村に引っ越してきたんだけど、知らない?」

「知らない」

「そっか」

どうやら僕を知らないらしい。でも僕も彼女を知らない。

一年もその存在を知らずにいるだなんて。決して人が多い村ではないのに。

「君はどこの子?」

「身代金は、ないです」

「誘拐犯じゃないから」

「体、目当て?」

「これでも教職者だからね?」

「………」

「あー、良かったら一緒に何か甘いものでも食べる?」

「ん、いく」

甘いものにつられるだなんて、まさに子供。いやロウェナさんらしいけど。

財布の中身が十分あることを確認して僕はあらまさんの店に向かった。この時代、甘味は結構高いからね。
427 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/04(火) 21:10:50.60 ID:oU+ig+it0
「あらまぁ、先生子持ちだったんですねぇ」

「いや僕の子供じゃないです。僕がこの村に来た時覚えてるでしょう?」

「ん、んまい」

シロップを凍らせた砂糖氷を舐めるロウェナさん(仮)。

ただ甘いだけだけど、それでも子供には大受けらしい。夢中になって舐めている。

また値上がりしたらしく一個しか買えなかったけど、ま、甘いものが特別好きってわけじゃないからいっか。

「なくなっちゃった」

あれだけ夢中で舐めていればそりゃあなくなる。名残惜しそうに砂糖氷を支えていた棒を見ているけどもう一本買ってあげられるほど懐に余裕はない。

「ごちそー、さまでした」

「美味しかった?」

「ん」

「ならよかった」

「こうやって、ゆだんさせて、どうする気?」

「どうもこうもないけど」

「なら、なんでこんな、優しくするの?」

…僕はその問いに答えれなかった。幽霊となった君と親しくしているから、なんてもちろん言えるはずがない。

彼女から見れば僕はいきなり現れ、なぜか高価なお菓子をあたえてくれた不審者。警戒するのも無理はない。

「あー、えっと」

「私のみりょくに、ほれぼれ?」

「…かもね」

「いやん」

大人しいけど、ロウェナさんっぽいなぁ!

428 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/04(火) 21:20:01.08 ID:oU+ig+it0
砂糖氷を食べ終えた僕たちは元気になく虫の声をBGMにわけもなく歩いていた。

「君はこの村の子供なのかい?」

「ん、きょうかいに、すんでる」

「そういえば村の外れに教会があったなぁ」

無神論者ってわけでもないけど、信仰心にあふれているわけでもないから行ったことなかった。

村に住んでる子供はみんな把握してると思ったんだけどなぁ、学校に通わせてもらえないのだろうか。

家庭の事情に口を出すわけにはいかないから、何も言わないけど

「せんせーは、せんせーなんだよね」

「うん。そうだよ」

「おべんきょうって、たのしい?」

「楽しいさ。嫌がる子供も多いけどね」

「……いいなー」

「………だったら教えてあげようか?」

「いいの?」

「もちろん。それが教師の役割だからね」

でも、それ以上にこの子と仲良くならないといけない気がした。

確信があるわけじゃない。でもロウェナさんと同じ姿をした彼女がいるのは多分偶然なんかじゃない。
429 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/04(火) 21:35:59.89 ID:oU+ig+it0
一か月がたった。

僕は毎日授業を終えると村の外れまで行く。そこに彼女がいるからだ。

「こんにちは、先生」

「こんにちは」

彼女の名前はロウェナではなかった。スズシロという名前だった。

でも彼女を知るごとに僕は彼女がロウェナさんであることを確信していった。

「だから、こことここが合体して、こうなるんだ」

「なるほど、よくわからん」

地面を黒板にして彼女に授業を行う。初めは外見よりもずっと知識が乏しかったが、吸収力はすさまじく、はじめのころと比べてどこか知性を感じさせる立ち振る舞いになっていた。

「はい、それじゃあ今日の授業はここでおしまい」

「ありがとうございました。先生。起立! 礼! 着席!!」

「一人なんだからそんなことしなくても」

「でも、学校だったらこうやってるんでしょ。だったら私もやりたいな」

「君も学校に行けたら、いいのにね」

「おと、神父さんが許してくれないから。あっ、でもね、先生に是非教会に来てほしいって、言ってた」

「本当に? だったら教会でスズシロさんに授業させてもらえないかな」

「暑いもんね。はぁ、溶けちゃいそう。溶けると言えば」

「駄目、砂糖氷は高いんだから」

「お礼は体で払うよ?」

「その言葉の意味知ってる?」

「しらん!」

「はいはい。それじゃあ明日は教会に行ってもいいのかな」

「じゃあここで待ち合わせしよ」

「うん。それじゃあまた明日」

「また明日ね。先生」
430 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/04(火) 21:36:30.54 ID:oU+ig+it0
今日はここまで

更新できず申し訳ありません
431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/04(火) 21:41:26.80 ID:bG6au5THo
乙乙
過去編期待
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/04(火) 21:55:53.70 ID:Cyvrt6BxO

名前的には東国っぽさがあるがはたして
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/04(火) 22:52:12.02 ID:2KxvgUr80
434 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/05(水) 14:21:29.41 ID:Y4UOTpeOo
おつ
次も待ってる
435 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/09(日) 20:25:49.91 ID:+QSHLmum0
次の日、スズシロさんに連れられて初めて僕は村にある教会へ来た。

「ふへへ、結構立派でしょ」

田舎でも、教会は立派なんだなと変な感想を抱く。村の規模と比べても少し大きすぎるんじゃないだろうか。

そういえば教会って何が神様なんだろう。

スズシロさんに聞いてみると

「えっとね、この世界を作った神様なんだよ! あと死んだあとの世界も作ったんだって」

「だから死んだ人がこの世に帰ってこれるのも、女神様のおかげなんだ!」

死んだ人が、この世に帰ってくる?

はは、そんな馬鹿な。

「本当だよ! ちゃんと信仰してれば女神様は色んなご加護をくれるの。あれ、でも街だったらかえってきた 人珍しくないんじゃないっけ」

「あ、えーっと僕は出歩かない人だったから」

「そっかぁ。なら仕方ないね。それじゃ先生、今日もよろしくお願いします」

ぺこりとスズシロさんが頭を下げる。やる気なのは良いことだと僕はスズシロさんと一緒に教会へ入った。

教会の中は涼しかった。魔導も全然発展していない時代なのに、冷房でもあるのだろうか。

それともこれが女神様のご加護ってやつなのかな。

見渡してみると礼拝用の椅子と、大きな女神像。その下で司祭のような恰好をした男の人が祈りをささげていた。

「貴方が、先生ですかな」

男性が振り返らずに僕に聞く。

「えぇ、半年前から村で子供たちに勉強を教えています」

「それはそれは結構なこと。今はお祈りの時間ですのでお構いできませんが、どうかスズシロをお願いいたします」

「はい。あ、それとお構いなく。ただ僕は教職者としてするべきことをしているだけですので」

「くーっ、先生かっこいいねっ」

「はいはい、茶化さない。それじゃ勉強を始めるけど、どこでしようか」

「こっちに机があるからそっちでしよ。それと、じゃーん!」

スズシロさんが何か見せびらかしてきた。ノートと鉛筆。それがどうかしたのだろうか。

「買ってもらったの。いいでしょ
436 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/09(日) 20:45:14.90 ID:+QSHLmum0
確かに新品だ。

まるで宝物を見せびらかすような素敵な笑顔でスズシロさんが笑っている。

そんなに勉強が好きなのかな。ロウェナさんも嫌いなわけじゃないだろうけど集中力が続く人ではなかったとふと思い出す。

期待されたなら僕も頑張らないわけにはいかない。はりきって教えることにしよう。

「だから、ここはこうなるんだよ」

「そっかぁ、へぇ」

「聞いてる?」

「聞いてる聞いてる」

スズシロさんを見ると、何が嬉しいのか、にやにやと笑っている。顔になにかついてるだろうかと手を当ててみたが何もついてなかった。

「大丈夫だよ。今日も先生はかっこいいから。よっ、憎いね!」

「お世辞をどうもありがとう。それじゃあ授業に戻るよ」

「はーい」

その後もスズシロさんの視線を感じては、そのにまにまとした笑顔を見ることになった。

授業が楽しくないのだろうかとちょっとへこむ。

「それじゃあきりも良いしここまでにしようか」

「はーい。ありがとうございました! うへへぇ」

「何か面白いことでもあった?」

「うんっ」

「へぇ。でも授業中は授業に集中しないとだめだよ」

「無理かなぁ」

「な、なんで? ちょっと悲しいんだけど」

「だって先生と一緒にいるのが楽しいからさ! うへへぇ」

「………」

出会って数日でここまで懐かれるとは思ってなかった。じっくり仲良くなって情報を手に入れるつもりだったんだけど。

都合がいいと言えばいいけど。

「お疲れ様です。どうぞお茶でも」

後ろから声がかけられる。振り向くとティーカップが3つ乗ったお盆を持った神父さんがいた。

「あ、どうも。ありがとうございます」

ティーカップからは湯気がたっていたが、この場所なら涼しいから美味しくいただけそうだ。

「いいの?」

「えぇ、スズシロもどうぞ」

「! わぁい!」

「では私も失礼して」

「お、神父さん、椅子ですっ」

「ありがとう、スズシロ」

机の上の勉強道具を片付けると三人でお茶を始める。

437 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/09(日) 21:07:18.52 ID:+QSHLmum0
「すいません。この引っ越してきて挨拶もできず」

「いえ、私もめったにここを離れませんので。あなたの噂だけは聞いておりましたが」

「私達もあなた方も、人を導くという点では同じ、一度お話してみたいと思ってました」

人を導くだなんて。その通りかもしれないが改めて言われると恥ずかしい。聖職者にいわれるとなおさらだ。

照れを隠すために一口、お茶を飲む。この暑い日に温かいお茶を飲むとは思わなかったが不思議なほどにここは涼しい。おかげでお茶が進む。

「スズシロに勉学を授けて頂き、ありがとうございます」

「い、いえ。好きでやってることですから」

「そうそう、先生は私が好きなんだよねー」

「それはない」

「ガーン」

「ははは。でも先生、この子のことが嫌でなければどうか仲良くしてやってください」

「もちろん」

「えっ、やっぱ先生は私のことを愛してる!?」

「それはない」

「がーん」







438 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/09(日) 21:21:13.58 ID:+QSHLmum0
「あっ、私ちょっとおトイレ行ってくるね。先生も行く?」

「一人でいってきなさい」

「ちぇー」

すたたたと、小走りで去っていくスズシロさん。あんな冗談を言ってるけど僕が行くっていったらどうする気だろうか。

「男さん。あなたはスズシロのことをどう思っていますか」

「可愛い生徒だと思ってますよ。えぇ、子供は皆可愛い僕の生徒です」

「そうですか。スズシロとあなたが恋仲になってくれればと思っていたのですが」

「ぶっ、そんな見ず知らずの男にいきなりそう言いますか?」

「貴方ならいいと思っています。スズシロが懐いている人間はあなただけなので、それにあなたも」

じっと神父さんが真っ直ぐこっちを見てくる。何か心の中を見られているようで居心地が悪い。

「きっとスズシロはあなたを好きになりますよ」

「そんなことないです。子供は身近な年上を好きになるものですし、それは憧れと一緒です」

僕と同じで。

「神様もきっと、あなた方を祝福しますよ」

「いやに押しますね」

「ははは、幸せになってほしいという親心ですよ」

いったいなぜこの人は今日であったばかりの僕にそんなぐいぐい来るんだろうか。

スズシロさんはきっと僕のことを憧れのようにしか思ってないのに。

ロウェナさんは………僕のこと好きだけどさ。

だからってスズシロさんも、すぐ好きになるものだろうか。逆ならまだしも。

「ただまー。待たせたかな?」

「もう少しゆっくりしてきてよかったのに」

「きゃっ、先生もエッチ」

「………」
439 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/09(日) 21:35:27.11 ID:+QSHLmum0
それから僕とスズシロさんは毎日のよう会って、勉強をし、雑談をし、ときには外で遊んでいた。

「あっ、あはははっ、すごいっ、ぱちぱちって、眩しいよっ 光ってる! これすごい!」

「わわ、わかったからこっちに向けないで! 熱いっ、あっいっ」

夏には二人で手持ちの花火をし

「そりゃ、葉っぱ隠れだーっ ばーんっ!」

「木を蹴らない、虫が落ちてくるからやめなさい」

「あ、先生の背中に」

「ぎゃーっ」

秋には紅葉を布団に二人で寝ころび

「この雪玉の中に、先生に上げるプレゼントが入ってるから頑張って受け止めてね」

「なんでそんな渡し方を、あばっ、あばばっ、よ、避けさせないためか!」

「先生なら真剣に受け止めてくれると思ってたよ!」

「僕が避けたらプレゼントはどうなるんだよ!」

「そんなことされたら泣くよ!」

冬には雪合戦とかまくらで雪を堪能し

「見て、いっぱい草が生えてきてる、にょきにょきだー」

「冬も終わったね。お花見でもする?」

「花のような私を見て楽しむの? きゃっ、恥ずかし乙女っ」

「村の真ん中にお立ち台を作ってあげるから思う存分見られてくるといいよ」

「そしたらお金貰う。そして美味しいもの食べる。あっ、お菓子持ってきたの忘れてた。一緒に食べよ?」

春は花よりもお菓子が美味しい季節で

いつの間にか一年が経っていた。
440 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/09(日) 21:45:35.90 ID:+QSHLmum0
暑い夏の日。運よく戦火に巻き込まれなかったおかげか、僕たちはなんら変わらない日々を送っていた。

今はスズシロさんを送って教会に向かっているところだ。

物流が悪くなっているせいで、一回り以上小さくなった氷砂糖を食べた帰り、僕たちは木々の影を帰り道に選んで、太陽から逃れていた。

「ここで、先生に出会ったんだよね」

「一年前だったね。随分と勉強もできるようになったと思うよ」

「えっへん。私、天才ですから」

「それでもまだまだだ。勉強をもっとまじめにしないとね」

「ふぇーん。もっと褒めてよぉ」

「はいはい、偉い偉い」

「………ね、先生」

「なに?」

「ちょっと待ってて」

とててとスズシロさんが木の後ろに隠れる。

「今からすっごい恥ずかしいこと言うから」

「恥ずかしいこと?」

「私先生が好き。お嫁さんにしてほしいです」

「………そ、それは」

「恥ずかしいから木の後ろからでごめんね。でもあの時も先生に話しかけようとするの、すごい勇気がいったんだよ」

「………僕は、その」

「返事は明日にしてください! お願いだから。だってきっと先生なら悩んでくれるでしょ?」

「その時だけでも、先生が私に夢中になってくれたら、すごい嬉しいから。えへへ」

「ロウェナさ―――」

スズシロさんにロウェナさんの姿が重なった。あの一直線に好意を伝えてくるロウェナさんと、今のスズシロさんの姿が重なったんだ。

「……わかった、また明日ね」

「うんっ。キャー恥ずかし乙女っ」

木々の間を駆け抜けてスズシロさんが教会へと帰っていく。ちらりと見えたその横顔は

夏の太陽に負けないほど真っ赤だった。





















そして次の日。

スズシロさんは行方不明になった。
441 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/09(日) 21:46:02.01 ID:+QSHLmum0
今日はここまで

おやすみ乙女
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/09(日) 21:57:52.31 ID:8oO1K+yyO
こんないいところで終わるか…!
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/09(日) 22:08:40.14 ID:rxNUpJyIo
乙乙
スズシロかわいい
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/09(日) 22:11:12.31 ID:FLTeDGYSo
おつ
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/10(月) 00:05:34.25 ID:wZN+LhsL0
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/10(月) 16:50:34.22 ID:MrOmI+/to
おつ
447 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/10(月) 20:20:10.09 ID:HsNCgYnu0
「おかしいな。いつもならこの時間には来てるはずなのに」

太陽は真上を少し過ぎたころ。いつもならこの時間にはスズシロさんが待ってくれているはず。

もしかして体調でも崩したのだろうか。

すれ違いになるかもしれないけど、一人で教会にいこう。

「夏風邪でも引いたのかな。あのスズシロさんが体調を崩すなんてめずらしい」

なんだか寂しい一人道を歩いて教会へと向かう。

手土産は持ってきてないことに文句言われそうだなぁ。病気でもきっと元気なんだろうなと思うのは偏見だろうか。

教会は小高い丘の上にある。やっぱり一人だと大変さしか感じないな。いつもスズシロさんと話しながら来てるから大変さなんて感じない。

………随分とこの世界に、スズシロさんに馴染んでしまったものだ。

「こんにちは。神父さん」

「あぁ、こんにちは先生」

礼拝堂の前、箒を持った神父さんがいた。神父さんにスズシロさんのことを尋ねる。

「スズシロなんですが、昨日から帰ってないのでてっきりあなたのところに泊っているのかと」

「! 昨日、教会へ送っていったんですが」

「どこに、行ってしまったのでしょうか。まさか亜人に………」

亜人の仕業。でないと言いたいけどこの時代の亜人には野盗なんかが多い。

人さらいだっていないとは言えない。

戦火から免れていたのは運がいいだけ、だったのかな。

「探してきます」

「えぇ、よろしくお願いします。私は帰ってくるかもしれないのでここで待ってます」

「はい」

スズシロさん………

また明日って言ったじゃないか。
448 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/10(月) 20:33:07.34 ID:HsNCgYnu0
心当たりがある場所は全部行った。

隠れれそうな場所

思い出の場所

色んな人に話を聞いた。

あらまさん

村長

子供たち

でもみんな揃って首を横に振るだけだった。

それだけじゃない。

皆、スズシロさんのことを知らなかった。

僕と一緒にいる子、としか認識されていない。

教会のことを話しても教会の神父さんに子供はいないと教えられた。

そういえば…スズシロさんも神父さんのことを父親と呼んでなかったな。

一緒に暮らしてるみたいだから父親と思ってたけど、違うのかな。

「はぁ、一日かかっても情報が一つも手に入らない。亜人の目撃情報すらないし」

「まるで神隠しだ」

本当、いったいどこにいったんだろう
449 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/10(月) 20:55:25.15 ID:HsNCgYnu0
三日後。もしスズシロさんが遭難をしたとして、もう命が危ない。

それなのに僕はスズシロさんの影も見つけられないでいた。

ほんとに忽然とこの世界からいなくなったみたいで。

「こんにちは…」

「先生。スズシロは………いえ、その様子だと見つからないようですね」

「………はい。すみません」

「私も毎日、女神様に祈りをささげているのですが」

信じていれば加護を授けるという女神様。だけどなんでスズシロさんを守ってくれないんだ。

一生懸命祈ってたのに。なにがダメだったんだ。

女神の像を睨みつけても顔色一つ変えない。

「もう一度探してきます」

「少し休まれたほうが」

「スズシロさんが! 苦しんでるのにっ 休むことなんてできない!!」

「…すみません。軽率でした」

「………神父さんはスズシロさんが帰ってくるかもしれないのでよろしくお願いします」

探さなきゃ。

探さないといけない。

だけどこの時僕は忘れていた。

ロウェナさんが子供のころに死んでいるということに。
450 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/10(月) 21:16:36.75 ID:HsNCgYnu0
ろうそくだけがここでは太陽の代わり。太陽の光すら入らないこの場所。

うす暗くてじめじめしてるこの場所は嫌い。

だけど冷たい鉄の檻が私をここに閉じ込める。

「なんで、なんでこうなったのかな」

小さい頃。私の世界に太陽はなかった。

地下室だけが私の世界で、そこには私と神父さんしかいなかった。

そして神父さんが教えてくれることだけが真実だと思ってた。

だから外の世界はとっても怖い場所。女神様が守ってくれるこの場所にいないといけないんだって、そう思ってた。

だけどある時、神父さんは私が外に出ることを許してくれた。15歳になったから、立派な大人として認めてくれた。

初めて出た外はとっても眩しかった。動いたことなんてほとんどなかったし、太陽がとっても暑かったから教会からちょっと離れただけで疲れちゃって木陰で私は休んでた。

その時、先生に出会ったんだ。

私が見た、神父さん以外の初めての人間。

外の世界はとっても怖いって聞いてたから、もしかすると悪い人なのかもしれないって怖かった。

だけど好奇心はそれ以上に強くて、おっかなびっくりで私は先生に声をかけたんだ。

あの時の先生の驚いた顔、面白かったな。いきなり声をかけたからびっくりしちゃったのかな。

でも先生はすぐに私を受け入れてくれて、いろんなことを教えてくれて、美味しいものも食べさせてくれた。

それくらいで簡単に良い人だなって思う私はおかしいのかな。

「寒いよぉ」

外は暑いのに、ここは冷たい。与えられた布団をかぶっても冷たさが私の体を芯まで冷やした。

なんでだろう。昔はこんなことなかったのにな。

451 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/10(月) 21:30:17.20 ID:HsNCgYnu0
あの日、私は教会に帰ったら、神父さんにこの牢屋へと入れられた。

なにか悪いことをしたのかなって思って謝っても神父さんは何も答えてくれなかった・

ただ一日一回貰えるご飯のときだけここに来てご飯を置いて帰るだけ。

一生懸命謝っても神父さんは何も言ってくれない。表情一つ変えずにご飯だけを置く。

そんな神父さんでも地下室にいれば少しは安心できたから、必死に呼びかけて、何とかこっちを見てもらおうと頑張った。

無駄だったけどね。

今、何日だろう。

私が告白してから、どれだけの時間がたったんだろう。

ごめんね、先生。約束守れなかったよ。

また明日って言ったのに。これじゃあ嫌われちゃったかな。

そんなの嫌だな。

会いたいよ先生。

返事貰ってないから。嫌いって言われてもいいから会いたいよ。

寂しいよ。

冷たいよ。

一人にしないで。

私を見つけて。
452 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/10(月) 21:47:41.28 ID:HsNCgYnu0
何か月たったのかな。

もう先生探してないだろうな。

それって寂しいな。

先生を夢中にしたいって思ってたけど

私が先生のことで頭一杯だよ。

先生から教えてもらったこと一杯思い返したんだよ。

きっと成績も良くなってるよ。

だからテストしよ、ねぇ、先生。

私、良い子になったよ?

先生はやっぱり良い子の方が好きなのかな。

どうやったら好きになってくれるかな。

考えよう。

いっぱい考えよう。

また先生に会えたら

いっぱい私のこと、好きになって、もらうんだ。
453 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/10(月) 21:52:40.49 ID:HsNCgYnu0
好き

好き

好き

好き

「あれ、今私何回数えたっけ、まぁいいや、最初から数えよ」

好き

好き

好き

好き

好き

好き

好き

好き

好き

好き

好き

好き

好き

好き

好き

好き

好き

好き

好き

好き

好き

好き

好き

好き

好き

好き

好き

好き

大好き
454 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/10(月) 21:57:16.20 ID:HsNCgYnu0
好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き「好き」好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き「好き」好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き「大好き」好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き「私」好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き「好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き先生が」好き好き好き好き好き好き好き好き好き「好き」好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き「先生の」好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き「お嫁さんに」好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き「なりたいな」好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き「だから」好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き「早く」好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き「迎えに来て」
455 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/10(月) 22:00:52.12 ID:HsNCgYnu0
好き好き好き好―――カチャリ、音がした。

顔を上げると神父さんがいた。

なんだろう。

私になにか用なのかな。

ご飯は、もう食べたよ。………食べたっけ

まぁいいや私は忙しい。

そうだ、私は忙しいのに

先生のこと、考えてるから

忙しいのに。

どうしたら先生に好きになってくれるかなって

ずっと考えてたよ。

先生としたいこといっぱい考えたよ。

子供の名前もね、いっぱい考えたんだよ。

だって、だってそうしないと、先生のこと考えてないと苦しいよ。

独りぼっちは嫌だから。

寒いのも冷たいのももういやだから。

お腹空いたよ。

喉乾いたよ。

もう体も動かないよ。

先生としたいこと、できないよ。
456 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/10(月) 22:04:30.11 ID:HsNCgYnu0
ざりざり、ざりりり

私の体が引きずられていく。

階段をがっこがっこ引っかかりながら連れられて行く。

どこに行くんだろう。

久しぶりに地下室から出た。

女神様だ。

お久しぶりです。

女神さまは元気ですか。

私は、あんまり元気じゃないです。

最近お祈りしてなくてごめんなさい。

こんな私ですけどお願いがあります。

先生に会いたいです。

一度だけでもいいから先生に会いたいです。

お願いします。

お祈りいっぱいします。

だからお願いします。

良い子になりました。

だからお願いします。

お願いします。
457 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/10(月) 22:13:18.13 ID:HsNCgYnu0
首に冷たいものが巻かれた。

硬い何だろう。

手も足も硬いものがつけられた。

そんなことしなくても、もう動けないよ、神父さん。

………その手に持ってるのはなぁに。

危ないよ。怪我しちゃうよ。

「スズシロ」

なぁに。神父さん。

「貴方は死にます」

………そっか。

「死んで、精霊になるのです」

死んじゃうのかぁ。

死にたくないなぁ。

逃げたいなぁ。

なんで死なないといけないのかなぁ。

やっぱり私良い子になれなかったのかなぁ。

悪い子だったのかなぁ。

それともお父さんは私のこと嫌いなのかなぁ。

私はそんなことないのになぁ。

お父さんも、好きなのになぁ。

じゃあやっぱり私が悪いのかなぁ。

だったら仕方ないのかなぁ。

「見えますか。スズシロ。村の様子が」

神父さんに持ち上げられてみた、村は真っ赤だった。

太陽のようなあったかい赤色じゃなかった。

怒ってるみたいな赤色。

何に怒ってるんだろう。

「亜人がやってきました。このままだと村はなくなってしまいます」

「でも、あなたが死ねば、あなたが守り神になればきっと村は救われます」

「このままではあなたが大好きな先生も、犠牲になってしまうことでしょう」

先生も、死んじゃう。

それは嫌だ。

死んじゃいやだよ、先生。

うん、だったら、私守り神になる。

守り神になって、先生を守るよ。

そのために死ぬんだったらきっとそれって

愛だよね。

でも、その前に、やっぱり

会いたかったなぁ。

先生に、会いたかっ「スズシロさん?」
458 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/08/10(月) 22:28:24.99 ID:HsNCgYnu0
「何をしてるんですか。神父さん」

「…おや、先生」

「僕には、スズシロさんを、殺そうとしてるようにしか、見えないんですが」

大丈夫だよ。

「………どうしてここに?」

「軍隊が攻めてきましたから、それを知らせようと思いまして。そんなことより、あなたは一体なにを」

「仕方ないことなのです」

「仕方ない。何が仕方ないっていうんですか」

先生、どうしたの?

「こうすれば村の皆は救われます! スズシロはこの村の守り神になるために生まれた存在なのです!!」

「何を言ってるんですか! その鉈を捨ててください!!」

「貴方は村を亡ぼすつもりなのですか!」

「村一つのために何の罪もない子供を殺すんですか! あなたの女神はこんなことを望んでるんですか!?」

「女神がなんですか! いくら祈ってもこの世は良くならない! 邪悪な亜人には神の威光など通じない!! こんな世界に女神などいませんよ!!」

そんなことないよ。

だって女神様はお願いかなえてくれたよ。

先生を呼んでくれたんだから。

「だから私が神を作るのです! 私たちを守ってくれる神を!! だから邪魔を、っっ!」

先生、人を叩いちゃだめだよ。

「スズシロさん。逃げよう!」

先生が私の手を握ってくれた。

暖かい。とっても暖かい。

「このっ、邪魔をしないでください」

お父さん。先生を叩かないで。

血が出ちゃってるよ、先生。

「このっ、このっ、邪魔をするなっ」

「ぐっ、うっ、うぐっ」

やめてお父さん。先生も死んじゃうよ。

逃げて、先生。

「大丈夫。大丈夫だからね、スズシロさん」

「ええいっ、こうなれば先にあなたを殺すことにしましょうか!」

「っ」

「―――っ」

「えっ」

必死に力を入れたら体がちょっと動いた。

なんとか先生を突き飛ばす。

ごりっ、ばきって音がした。

痛い。

とっても痛い。

死ぬのかな。

やっぱり怖い。

先生のためなら死ねるって思ったけど、やっぱり怖いよ。

死にたくないよ。
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