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キョン「好きだ」佐々木「えっ?」
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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/01/11(土) 21:36:33.06 ID:tYd/KiKIO
「キョン……僕の話を聞いてるのかい?」
「んあ?」
「どうやら全く聞いてなかったようだね」
あれはまだ、俺が中坊だった頃。
同じクラスに佐々木という変わった奴が居て、同じ学習塾に通ったこともあり親しくなった。
変わっていると言っても、どこぞの団長様のように毎日髪型を変えたり校庭に地上絵を描いたりすることはないのだが、何故か男子相手に限定で、まるで男のように振る舞う奴だった。
「すまん、なんだって?」
季節は冬であり、まるで強いられているかの如く、狂ったように温風を吐き出す教室内に設置された暖房の熱気にやられて、授業の後、ぼうっとしていて聞きそびれた俺に、佐々木はやれやれと嘆息して、こんなことを尋ねてきた。
「だから、もしキミが貰うならマフラーと手袋だったらどちらが必要かと聞いているんだ」
なんだ、何かと思えばそんな話か。
マフラーと手袋。究極の選択である。
守るべきは手か首か。悩みどころだ。
急所という意味ではまず真っ先に首を守るべきだろうとは思うが果たしてそれが正解なのか。
すぐに返事が出来ない優柔不断な俺を見て、佐々木はまたしてもやれやれと首を振り、くつくつと喉の奥を鳴らして笑った。
「そんなに悩むことかい?」
「若いんだから、悩ませろよ」
「それは若者の台詞ではないと思うよ」
それもそうだなと思い、俺は結論を出した。
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