勇者「魔王封印するつもりがミスって殺してしまった。俺はもうダメかもしれない」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/04(水) 00:52:37.92 ID:PuNeAhkJO
勇者「……」

勇者「いややべえよ」

勇者「どうすんだよこれ」

勇者「魔王死んだら勇者とか厄ネタまっしぐら」

勇者「みんなに命狙われて殺されるに決まってる」

勇者「先祖代々わざわざ魔王封印してきたのってそういうことだろ絶対」

勇者「やらかしマン惨状〜!wwwwwwwwww」

勇者「笑えねえよ[ピーーー]ぞ」

勇者「俺はもう駄目かもしれない」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1575388357
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/04(水) 01:04:07.39 ID:PuNeAhkJO
勇者「……」

勇者「言い訳をさせてくれ」

勇者「俺は弱らせてから封印しようと思ってたんだよ」

勇者「でも魔王強すぎて加減する余裕なかったんだよ」

勇者「素でクソ強いのに封印耐性?魔法無効?回復不可?」

勇者「いやラスボスがやっちゃダメでしょそういうメタは」

勇者「なんなのあいつ。マジでなんなの」

勇者「……」

勇者「前向きに生きよう」

勇者「まあ俺多分殺されるんですけどね」

勇者「ハハッ」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/04(水) 01:43:04.50 ID:PuNeAhkJO
戦士「っ…勇者、やったのか」

勇者「あ、はい戦士さん。怪我大丈夫ですか?」

勇者(戦士さん。魔王城直前の町で防衛部隊の隊長やってた人。人…ゴリラ…?頭いいし物理がパワーでタイマン張ったら死。妻帯者だから家族人質に取られたら多分躊躇いなく殺しに来る。やばい)

魔法使い「痛ぅ…あー、私生きてる…?」

勇者「ちゃんと生きてますよ魔法使いさん。強化魔法ありがとうございました」

勇者(魔法使いさん。樹海に住んでたエルフのハーフ。魔法どころか近接もできる。さっき知った。遠近中万能とか勝てる要素なし。研究資金とかレアな触媒とか欲しがってたし命令されたら普通に殺しにきそう。やばい)

僧侶「勇者様、終わりましたね。これで、全部…」

勇者「そうですね。僧侶さんもお疲れ様でした」

勇者(僧侶さん。世界でたった一人の聖女様。魔王の魔法直撃してもピンピンしてるし魔法の威力もえげつない。回復も補助もできるからなす術なく死。宗教家だしむしろ率先して殺しにきそう。やばい)

勇者「詰んだ」

戦士「?」

勇者「ナンデモナイデス」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/04(水) 10:36:32.11 ID:kJ2xe8umo
続けて
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/04(水) 12:58:13.60 ID:PuNeAhkJO
戦士「それじゃ…帰ろう。魔法使い、リレミトは使えるか?」

魔法使い「魔翌力空っぽって言ったでしょ。僧侶は?」

僧侶「すみません、私も…」

勇者(もしこのまま帰ったとしよう)

勇者(そしたら王様、教会、民衆、軍、犯罪者ギルド、魔女同盟、その他エトセトラから命を狙われるのは間違いない)

勇者(そりゃメガンテみたいな人間がその辺散歩してたら邪魔だし何より怖いもん。気持ちは分かる。俺だってそうする)

勇者(というか、困ったことにこの三人もその中のどれかに所属してるんだよな)

勇者(つまり三体一で襲われる)

勇者(死ィ〜!wwwwww)

勇者(もうここで闇討ちするか?)
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/04(水) 13:36:41.38 ID:PuNeAhkJO
勇者(落ち着け。冷静になれ)

勇者(この三人死なせたらそれこそそれぞれの勢力に狙われることになるだろ。だから必死こいて死なないようにやってきたんじゃねえか)

勇者(ただでさえキツいのに大義なんて与えちゃったらもうどうしようもなくなる)

勇者(…でももうこんなチャンスねえよなぁ…)

勇者(魔王になすりつければ…いけるか…?)

僧侶「勇者様もそれでよろしいでしょうか?」

勇者「ん、え?あ、はい。何がですか?」

魔法使い「何を上の空で考えてるんだか。戦士、もっかい言ってあげて」

戦士「王都に帰るためにも、まず俺の街で休んで疲れを取らないか?そう裕福じゃないが、できる限りの歓迎は約束するぞ」

勇者「いいですね。そうしましょう。戦士さんの奥さんにも挨拶しておきたいですしね」

勇者(俺も疲れてるし、とりあえずそこで休んでから色々考えよう)
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/04(水) 20:50:15.81 ID:PuNeAhkJO
勇者(悩んでるうちに街に着いちまった…)

兵士A「勇者様!よくぞ戻られました!隊長もご無事で何よりです!」

兵士B「空が晴れるのをこの目で見ました。私の生きているうちに日の光を拝むことが出来るとは…思わず泣いてしまいましたよ」

僧侶「勇者様が魔王の魂を滅したからでしょうか…?」

勇者(あっ、バッ!?)

兵士A「おおお!それは真ですか!我が王国の因縁をついに!」

兵士B「このことを一刻も早く国王に!」

勇者(やばいやばいやばい!王様に伝わるのも時間の問題じゃねえかこれやばい!)

勇者「あ、あ〜いや、断言は出来ないというか、実は生きてる可能性がなくもなく…」

兵士A「何を仰いますか!あなたほどの方が!」

戦士「すまない。話はまた後にしてくれ。みんな疲れているのでな」

魔法使い「そうして。私もう限界」

勇者(ざっけんなお前ら)

戦士「宿の部屋を三人分用意出来るか?」

兵士B「既に。宴の準備も筒がなく進んでおります」

戦士「助かる。勇者、俺は家へ行くがお前達はどうする?」

勇者(   )

勇者「じゃあ…ハイ自由行動で。俺は宿で報告書書いてますんで」

魔法使い「私も宿で寝てるから。時間なったら起こして…」

僧侶「私は少し…教会の方に」

戦士「分かった。宴の時間になったら部下を向かわせよう」

勇者「……」

勇者(オワタ)
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/04(水) 21:03:24.51 ID:PuNeAhkJO
勇者「盗聴水晶なーし。盗撮水晶なーし」

勇者「……」

勇者「ああああああああやばいやばいやばいやばいやばいいいいいいいいい!」

勇者「魔王死んだら勇者いらねえって王様が思わない可能性!!」

勇者「なんと!!!0パーセント!!!」

勇者「そりゃそうだよ!!俺だってそう思うわボケ!!」

勇者「それもこれも全部アイツらのせいだよ!!!やっぱ闇討ちしとくべきだったじゃねえか俺の馬鹿野郎!!!」

勇者「どうする!?逃げるかもう!?」

勇者「どこに!?!?!?」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/04(水) 21:43:00.51 ID:PuNeAhkJO
勇者「王都が駄目だとして、故郷はどうだ?あんなど田舎、それに母さんなら信用…」

勇者「いや… 母さんだって人の子だ。報奨金でもつけられたら秒で売るに決まってる。人間だもの」

勇者「教会はどうだ。あそこは生命至条主義だ。王国民のほとんどが信者だから国王だって無碍には…」

勇者「馬鹿か。魔王殺した勇者なんてそれ自体が宗教みたいなもんだ。神の代わりに俺を崇めるアホが出てもおかしくないし、それくらい連中だって分かってるはずだ」

勇者「大体僧侶だって疲れてるのに教会に行ったのは何故だ?このタイミングだ。怪しいなんてもんじゃない」

勇者「他は…エルフの森?あいつら人間嫌いだし、王国との国交も断絶してる。逃げ込めばバレないかも…」

勇者「…ないな。俺の首で王国に恩売れるし、そもそもトラブルの種を迎え入れるわけがない」

勇者「最後に…王国軍。英雄として歓迎してくれる可能性もなくは…」

勇者「うん、ねえわ。普通に邪魔だし、もう用済みだし。しかもなんか王様口約束で姫様と結婚とか言っちゃってたし。あれ絶対冷静になってから後悔するパターンでしょ…馬鹿じゃねえのあのジジイ…」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/04(水) 22:30:19.82 ID:wr5K7f8a0
コンコン

勇者「はい…どうぞ…」

僧侶「勇者様。今お時間よろしいですか?」

勇者「!?」ガタッ

僧侶「ゆ、勇者様…?」

勇者(落ち着け。まだ僧侶の魔翌力は空のはず。大丈夫、大丈夫…)

勇者「何でもないです。何か用ですか?」

僧侶「その…お話がしたいんです。二人きりで」勇者「ヒッ」

僧侶「ひ?」

勇者「いやほんとなんでもないです…なんでも…」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/05(木) 02:24:10.61 ID:yrytASdTO
勇者「それで話って?」

僧侶「これまでの感謝と、これから先のことです」

僧侶「勇者様は、この聖書を諳んじるしか能のない世間知らずの小娘に何くれとなく良くしてくださいました」

僧侶「特に出会った頃など…よく見捨てずにいてくれたと思うばかりです」

勇者「ああ…確かに昔の僧侶さんはちょっとアレでしたもんね」

僧侶「あ、アレ扱い…反論の余地もないですけど…」

勇者(力もないのに綺麗事ばかりほざく足手まとい。一人旅だったからほんっとにイラついたんだよなぁ)

勇者「スライム殺したら半日説教かますわ、旅の資金をど田舎の貧乏教会に全額喜捨するわ。ああ、野宿が怖くて眠れないせいでやたらラリホーの掛かりが良かったりもしましたっけ」

僧侶「ううっ…!どの節も本当にご迷惑お掛けしました…」

勇者「別に。僧侶さん変わりましたし。今となっては思い出話です」

勇者(まぁ聖女としては非常にアレだから隠した方がいいとは思うけど)

僧侶「こ、こほん。その、私の黒歴史は置いておいてですね」

僧侶「勇者様の言う通り、この魔王討伐という大任を通して私は変われたと思います。その感謝を直接言いたかったんです」

ありがとうございました
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/05(木) 02:25:43.58 ID:yrytASdTO
>>11はミス
勇者「それで話って?」

僧侶「これまでの感謝と、これから先のことです」

僧侶「勇者様は、この聖書を諳んじるしか能のない世間知らずの小娘に何くれとなく良くしてくださいました」

僧侶「特に出会った頃など…よく見捨てずにいてくれたと思うばかりです」

勇者「ああ…確かに昔の僧侶さんはちょっとアレでしたもんね」

僧侶「あ、アレ扱い…反論の余地もないですけど…」

勇者(力もないのに綺麗事ばかりほざく足手まとい。一人旅だったからほんっとにイラついたんだよなぁ)

勇者「スライム殺したら半日説教かますわ、旅の資金をど田舎の貧乏教会に全額喜捨するわ。ああ、野宿が怖くて眠れないせいでやたらラリホーの掛かりが良かったりもしましたっけ」

僧侶「ううっ…!どの節も本当にご迷惑お掛けしました…」

勇者「別に。僧侶さん変わりましたし。今となっては思い出話です」

勇者(まぁ聖女としては隠した方がいいとは思うけど)

僧侶「こ、こほん。その、私の黒歴史は置いておいてですね」

僧侶「勇者様の言う通り、この魔王討伐という大任を通して私は変われたと思います。その感謝を直接言いたかったんです」

僧侶「――ありがとうございました。私の勇者様」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/05(木) 02:41:57.53 ID:yrytASdTO
勇者「はい。どういたしまして。こちらこそありがとうございました」

勇者「で、もう一つの方は?」

僧侶「…あの、反応軽くないですか?普通そんなさらっと流します?」

勇者「実は照れてるんです。心配しなくてもちゃんと受け取りましたよ。それで?」

僧侶「いいですけど…」

僧侶「もうひとつ、これから先のことです」

僧侶「魔王が死んで平和になった世界で、勇者様はどうされるおつもりですか?」

勇者「…どこなりで普通に生きていくつもりですよ。誰の迷惑にもならないように」

僧侶「勇者様さえよければ、私と一緒に来てくださいませんか?」

勇者「……」

勇者「は?」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/05(木) 02:58:54.66 ID:yrytASdTO
僧侶「魔王の魂が消滅したことで、私の神託の聖女としての役目は終わりました」

僧侶「もちろん教会に戻れば役目は再び与えられるでしょうが…恐らくはお飾り」

僧侶「世界中を歩いて回ったんです。そんな味気ない余生はごめん被ります」

僧侶「だから再び旅に出ようかと。今度は純粋な人助けのために」

勇者「その旅に…ついて来いと?」

僧侶「はい。役目を終えた者同士、共に歩いては頂けませんか?」

勇者「……」

勇者「返事、急ぎですか?」

僧侶「いいえ。どうかよくよく考えてくださいね」
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