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姉「異世界の遊戯王で…」弟「ディアハして魔王を倒す?」
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1 :
◆W.sgopFg5E
:2019/11/30(土) 22:31:23.17 ID:0+Qe5RRh0
兵士「では、こちらがお二方の寝室となります。部屋の前には必ず兵士が待機しておりますので、何かありましたら遠慮なくお申し付けください!」
姉「は、はい…」
弟「あ、ありがとうございます…」
兵士「それでは、今日はごゆっくりお休みください」ペコリ
カチャ バタン
姉「………」
弟「………」
姉「なんで……こんなことに…」
弟「なっちゃったんだろう……お姉ちゃん」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1575120682
2 :
◆W.sgopFg5E
:2019/11/30(土) 22:34:06.72 ID:0+Qe5RRh0
姉「あれだ、わかった、これは我らが母上の怨念なのよ」
弟「おんねん?」
姉「そう。『姉弟揃ってカードゲームにうつつを抜かすなんてあたしゃ情けないよ』なんて常々言うくらいの母だから、遊戯王を嗜む我ら姉弟を憎むあまりこんな異世界に送ってこらしめようとしたのよ。うん、そうに違いない」
弟「うーん、でもママならこんな異世界に送って懲らしめるなんて回りくどいことするくらいなら、手っ取り早く僕らが学校行ってる間にカード焼き捨てそうな気がする」
姉「……そりゃそうだけどさ。弟よ、今のは現実逃避も兼ねた冗談だからそんなマジレスしなくていいんだよ」
弟「そう? でもよくよく考えてみたら、他人を異世界に送るなんて力、ママに使えるとは思えないよね」
姉「よくよく考えなくても分かることでしょうに…そんな力がママにあったら、私は土下座してでも5D's次元に送ってもらうわよ」
3 :
◆W.sgopFg5E
:2019/11/30(土) 22:38:10.58 ID:0+Qe5RRh0
弟「僕も行けるものならARC-Vの世界に行きたかったけど…でも実際僕らが来たのは、どうみても遊戯王の世界に見えないよね」
姉「ふと気がついたら、なぜか周囲にはファンタジーの魔術師みたいな格好したおっさん達が狂喜乱舞していて…」
弟「僕らのこと何一つ聞かないで、ザ・王様って感じの人の前に連れて行かれて…」
姉「『そなた達は魔王を倒す力を持った異世界の召喚士。どうかその魔獣を扱う力をもって、魔王を倒して欲しい』だなんて、ふざけんじゃないわよ! って感じよね…」
弟「そうだね…。そこは『召喚士』じゃなくて『決闘者(デュエリスト)』って言って欲しかったよね...」
姉「さてはあんた、あんまり深刻に思ってないな」
4 :
◆W.sgopFg5E
:2019/11/30(土) 22:42:45.54 ID:0+Qe5RRh0
姉「そして、お誂え向きにデッキがしっかりとセットされている上に…」スッ
姉「………ああ、間違いなく、私のデッキだわ…ちょっと安心した。スリーブないのがすごい不安になるけど…」
弟「ちょっと待って僕も確認……って、これどう使うのー!? ボタンどこ!?」サワサワ
姉「ああ、ARCのやつはデッキもディスクの内部に収納してたわね…そう言えば」
弟「えーっと、どれがこれで…あ、あれか。で、あれがそれでそうなって…」ガチャガチャ
ガッガッガッ キュイーン!
弟「わっ! 動いた動いた! やった! デッキも出てきたし、カード置くところも出てきた!」
弟「凄い凄い! これがリアルソリッドビジョン!? 触れるし硬い! ちゃんとリアルだ!」キャッキャッ
姉「凄いのは分かったから、デッキを確認しなさいって」
弟「あ、うん。えっと……」ガチャン
弟「……………うん。間違いなく、僕愛用のデッキに間違いないよ」
姉「そう。それはよかったわね……というか」
姉「私達は、これでどうやって魔王を倒すのかしら?」
5 :
◆W.sgopFg5E
:2019/11/30(土) 22:45:24.82 ID:0+Qe5RRh0
弟「へへ……だってさ、見てよお姉ちゃん。これ」ガチャ
弟「こんな本物っぽいデュエルディスクがいつの間にかついてたらさ…テンションもあがっちゃうよね」
姉「ああ、これね…」ガチャ
姉「…見た感じ、弟のはARC-Vのタイプよね? スタンダード次元で使われてたやつ…でも私のこれは……あ、もしかしてVRAINSで遊作が使ってた旧式ってヤツかしら?」
弟「言われてみれば…ってことは、その丸いとこにAiがいたりする!?」
姉「それは流石にないと思うわ…」
6 :
◆W.sgopFg5E
:2019/11/30(土) 22:46:45.29 ID:0+Qe5RRh0
姉「そして、お誂え向きにデッキがしっかりとセットされている上に…」スッ
姉「………ああ、間違いなく、私のデッキだわ…ちょっと安心した。スリーブないのがすごい不安になるけど…」
弟「ちょっと待って僕も確認……って、これどう使うのー!? ボタンどこ!?」サワサワ
姉「ああ、ARCのやつはデッキもディスクの内部に収納してたわね…そう言えば」
弟「えーっと、どれがこれで…あ、あれか。で、あれがそれでそうなって…」ガチャガチャ
ガッガッガッ キュイーン!
弟「わっ! 動いた動いた! やった! デッキも出てきたし、カード置くところも出てきた!」
弟「凄い凄い! これがリアルソリッドビジョン!? 触れるし硬い! ちゃんとリアルだ!」キャッキャッ
姉「凄いのは分かったから、デッキを確認しなさいって」
弟「あ、うん。えっと……」ガチャン
弟「……………うん。間違いなく、僕愛用のデッキに間違いないよ」
姉「そう。それはよかったわね……というか」
姉「私達は、これでどうやって魔王を倒すのかしら?」
7 :
◆W.sgopFg5E
:2019/11/30(土) 22:51:00.43 ID:0+Qe5RRh0
弟「え、そりゃあ…デュエルで倒すんじゃないの?」
姉「魔王がデュエルのルール知ってると思う?」
弟「え? 知ってるからこうして僕らが呼ばれたんじゃないの?」
姉「でも、見た感じこの世界ってデュエルなんて流通してなさそうじゃない?」
弟「うーん、確かに…王様も『決闘者』じゃなくて『召喚士』って言ってたし」
姉「……まあ、魔王だけデュエルを知ってて、最後はデュエルするって可能性はゼロとは言えないけど…」
8 :
◆W.sgopFg5E
:2019/11/30(土) 23:00:22.55 ID:0+Qe5RRh0
弟「分かった! だったら一回やってみようよ!」
姉「へ?」
弟「デュエルディスクを使ってデュエルだよ! 魔王を倒す旅に出るならディスクの使い方と戦い方をしっかりマスターしとかなきゃね!」
姉「そ、そりゃ、そうだけど…まさかこの部屋でやる気!? もしリアルに実体化するデュエルだったら大惨事になるわよ!」
弟「もちろんここでやるわけじゃないよ。すいませーん!」ガチャ
兵士「はい! 何か御用でしょうか?」
弟「あの! 僕たち、召喚士としての技を互いに試してみたいんですけど…どこか、広くて頑丈な訓練できる場所…ありますか?」
兵士「あ、はい!それでしたら、おそらく第三修練場が空いているかと…部隊長に確認を取って参りますので、少々お待ちください!」ダダッ
弟「ありがとうございますー! …よかったね、使えるかもだって!」
姉「さっきまで兵士達にはあんなに緊張してたくせに、急に生き生きしだしたわね…」
姉(...でも……アニメの世界でしかあり得なかった、ソリッドビジョンのデュエルが実際にできるとしたら……)
姉(...ヤバい、私もワクワクしてきた。あのイルカのモンスターの顔がチラつくわ)
姉(家に帰れるかどうかは…死ぬほど心配なのにね…)
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/11/30(土) 23:03:43.38 ID:Xl9clEgoo
期待
10 :
◆W.sgopFg5E
:2019/11/30(土) 23:07:12.33 ID:0+Qe5RRh0
第三修練場
弟「いやあ、よかったねお姉ちゃん。快く貸してもらえて」
姉「そうね。それは素直に嬉しいんだけど…」
ザワザワ ガヤガヤ ヒソヒソ
姉「こんなにたくさんの兵士達に囲まれちゃ、落ち着かない…」
弟「うーん、仕方ないんじゃない? 僕らって、この人からしたら異世界人なんでしょ?」
弟「そりゃあ、目立ちもするよ」
姉「理屈は分かるけど、学校のラウンジの隅でカードゲームやってる人間には辛い視線なことにかわりないわよ…」
弟「レディースエーンジェントルメーン!...ってやった方がいいかな?」
姉「あんたはノリノリにも程があるわ」
11 :
◆W.sgopFg5E
:2019/11/30(土) 23:12:06.50 ID:0+Qe5RRh0
弟「ま、ギャラリーのことはじゃがいもだとでも思ってさ! 早速デュエル始めようよ!」
姉「それはいいけど…どう動かすのよ、このデュエルディスク」
弟「それはさ、裏にこういうボタンが……あっ、お姉ちゃんと僕のじゃ次元が違う品なんだっけ」
姉「次元が違うというか番組が違うというか………あ」ピュイーン
姉「……動いた。ボタンが横にあったわ」
弟「お、やったね! じゃあ僕も……よっと!」ガッガッガッ キュイーン!
弟「じゃあ初期手札を……ん、アレ!?」グッグッ
弟「お姉ちゃーん! ドローができないよう!」
姉「へ? ……あれ、ほんとだ。ふしぎなちからでカードが固定されてるみたい」グッグッ
姉「またどっかにボタンあるのかしら…」
12 :
◆W.sgopFg5E
:2019/11/30(土) 23:15:34.51 ID:0+Qe5RRh0
弟「………ひらめいた! 二人で『デュエル!』って叫んだらデュエルが始まるとディスクが認識して、ドローさせてくれるんじゃない?」
姉「ここにきて急にそんな音声認識機能なのかしら? これ」
弟「だってアニメでもそうじゃん。始まる時絶対『デュエル!』って叫ぶのはそういう仕様だからなんだよ! きっと!」
姉「………例えそうだとしても…やっぱり恥ずかしいわね。この衆人環視の中アニメみたいに叫ぶのは…」オドオド
弟「もー! いちいち恥ずかしがってちゃダメだよ! 僕はギリセーフかもしれないけど、世間一般じゃお姉ちゃんの年齢でカードゲームやってるだけでも充分恥ずかしいんだからね!」
姉「頼むからそれだけは言わないでくれ弟よ……」
13 :
◆W.sgopFg5E
:2019/11/30(土) 23:19:08.99 ID:0+Qe5RRh0
姉「もう! こうなったらやけくそよ! デュエル!」
弟「デュエル!」
LP:8000
LP:8000
パッ パッ パッ パッ パッ
パッ パッ パッ パッ パッ
弟「ええ!?」
姉「わ!? な、何これ!? カードが……目の前に浮いてる!?」
弟「五枚…僕のデッキのカード…あ、これひょっとして初期手札じゃない? ほら、VRAINSの時もこんな感じでカードが浮いてたでしょ確か」
姉「つまり…手札を手に持たなくても、タッチするだけで使えるってこと? 妙に便利ね…これもう機械の技術というより魔法に近い気がするわ」
14 :
◆W.sgopFg5E
:2019/11/30(土) 23:23:28.82 ID:0+Qe5RRh0
弟「じゃ、早速デュエルしてみようよ! 僕後攻ね!」
姉「ちょっと! 何しれっと勝手に決めてんのよ! 嫌がらせ!?」
弟「え、そりゃお姉ちゃんのデッキ相手だったら後攻とるでしょ」
姉「じゃなくて! これは真剣勝負じゃなくて上手く動くかのお試しみたいなもんでしょ! ならお互い動けるようにするべきでしょ! あんたのデッキは別に先攻でも動けるけど、私のデッキは先攻だと動くの超難しいんだから!」
弟「えー。僕は後攻の方が好きなのに……」
姉「大体、ジャンケンもしてないのに勝手に決め…………ん、ちょっと待って」
姉「…どうやって、先攻後攻決めるのかしら、これ」
15 :
◆W.sgopFg5E
:2019/11/30(土) 23:29:43.69 ID:0+Qe5RRh0
弟「え? 言ったもん勝ちじゃないの? アニメでもそうじゃん」
姉「何でもかんでもアニメ通り……なのかしら? デュエル始める時もそうだったし…え、てことは私が先攻?」
弟「ほらほら! お姉ちゃん早くやってみて! モンスター出して出して!」キラキラ
姉「…はあ。分かったわよ。えーっとそれじゃ初手は…」チラ
姉「………」
姉「………」
姉「………」
姉「………ターンエンドで」
弟「………」
姉「………だから言ったじゃないの!」
弟「…うん、ゴメンなさい」
16 :
◆W.sgopFg5E
:2019/11/30(土) 23:36:32.47 ID:0+Qe5RRh0
姉「うう…あの出張セットが規制されてなけりゃもうちょっと安定するのに…いや出張されたから規制されたというのも一理あるんだけど…でも本当に悪いのは出張じゃなくて本家のデッキが暴れたからであって…」ブサクサ
弟「…えっと、じゃあ僕のターンだね! ドロー!」シャキン
弟「え、うわ! 凄い! 凄いよお姉ちゃん! ドローって言っただけで目の前にカードが増えた!」
姉「あらそう、相変わらず便利な音声認識ね…」
弟「確かに便利だけど、カッコいいドローの動きができないだけが残念だなあ…」
姉「…実際に引いてなくても引いてる振りすりゃいいんじゃないかしら。それよりほら、あんた動けるの?」
弟「うん、いける……よっし、いくよ!」
17 :
◆W.sgopFg5E
:2019/11/30(土) 23:40:56.98 ID:0+Qe5RRh0
弟「僕は……魔法カード《螺旋のストライクバースト》を発動! デッキからレベル7オッドアイズをサーチ!」
キュドーン!
弟「う、うわあ!?」
兵士達「ザワザワ」
姉(地面から赤い螺旋の竜巻みたいなものが……これが《螺旋のストライクバースト》ってこと?)
姉(天井にまで届いてるけど…特に天井が壊れている様子はないわね)
姉(特に現実に影響を与えるわけではないただのソリッドビジョンなのかしら…いや、モンスターやプレイヤーにダメージを与えるわけではない、単なるサーチ魔法だから無害なだけかもしれない…)
弟「……」ボーッ
姉「こら弟! 見惚れてないで何サーチするのか宣言しなさい!」
弟「……はっ。ご、ごめん。僕がサーチするのは、《オッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴン》!」
18 :
◆W.sgopFg5E
:2019/11/30(土) 23:45:28.71 ID:0+Qe5RRh0
弟「よ、よし……いくぞ…いくぞ…」スゥー
弟「僕は! スケール4の《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》と、スケール8の《オッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴン》を、ベンデュラムスケールにセッティング!」キュイーン
キュイーン PENDULUM キュイーン
オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン「シュワーン」
オッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴン「シュワーン」
弟「〜〜〜!!!」
弟「あ、ああ…うわあ……ほ、本物だ……本物の、オッドアイズが……」ウットリ
姉(アニメ通り、ペンデュラムスケールってあんなふうに青い柱にモンスターが浮く感じなのね)
姉(......ああでも、なんだろうこの感じ。…確かに、凄い…綺麗だわ)
姉(アニメの…画面越しでしか見れなかったこと。私達が生きてるうちには、決して現実に現れないであろう光景…)
姉(それがみれるなんて……思ってもみなかった…)
姉(......ちょっと、素敵じゃない)
19 :
◆W.sgopFg5E
:2019/11/30(土) 23:50:34.75 ID:0+Qe5RRh0
3分後
姉「………はっ」
姉(やだ! 私も見惚れてた! デュエルの続きしないと!)
姉「こ…こらー! 弟!」
弟「…………」ウットリ
姉「起きなさい!」ツカツカツカ ポカリ
弟「痛! あ、ご、ごめん……つい…」
姉「や、私も人のことは言えないけど…でも、気をしっかり持ちなさい! いちいち見惚れて動き止めてたらデュエルになんないでしょ!」
姉「これからこのデュエルで戦っていくのなら、いくらでも見る機会あるんだから!」
弟「………うん、そうだね。よし…!」
20 :
◆W.sgopFg5E
:2019/11/30(土) 23:55:46.88 ID:0+Qe5RRh0
弟「いくぞ! ぺ、ペンデュラム召喚!」
弟「来てくれ!《オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン》と《オッドアイズ・ファントム・ドラゴン》!」
オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン ATK2500
オッドアイズ・ファントム・ドラゴン ATK2500
ギャオオオオオオン!!!
グォオオオオオオオ!!!
兵士達「オオ ザワザワ」
姉(うわあ…す、凄い迫力……)
姉(カードの通りの姿なのに…こうやって三次元で見るだけでこの身体中が竦むような感覚…)
姉(中学生の私だったらちびってたかも…)
姉(これが実際に………ん、実際に?)ピク
弟「はああああ……すごいなあ、かっこいいなあ…って、ハッ!」
弟「いけないいけない! 気をしっかり持たないと!」パンパン
21 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/01(日) 00:02:44.14 ID:NnE1K/t00
弟「よし、それじゃあ……バトルフェイズ!」
姉「ちょちょちょちょちょっと! ちょっとストーーップ!!」
弟「どうしたの? お姉ちゃん」
姉「頼む、冷静になってくれ弟よ」
姉「この一般人の私が、あんな超巨大ドラゴンのダイレクトアタック受けたら死んじゃうよ!」
弟「そう? ライフ8000もあるんだから大丈夫じゃないの? こっちは二体合わせても5000だよ?」
姉「システム的な問題じゃなーい! 噛みつきかビームか突進か知らないけど、そのドラゴンから繰り出されるどんな攻撃を食らっても物理的に私がお亡くなりになるって言ってんの!」
弟「うーん、やっぱりそうなのかな。決闘者ならライフが尽きない限り死なないもんだと思ってたけど…」
姉「そういうのをにわかって言うのよ。あのね、アニメでも城之内がラーの翼神竜に焼かれちゃって、ライフが残ってるのに倒れて負けちゃったじゃない。しかも息をしてないくらいの重体で」
弟「なるほど…例え数字上のライフが残っていても、モンスターのダメージに体が耐え切れないと死んじゃう…と」
姉「そういうこと。そして私は間違いなく、このオッドアイズの攻撃で死ぬと思う…」
22 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/01(日) 00:11:48.55 ID:NnE1K/t00
弟「でもさー…殴らないとデュエルにならないじゃない?」
姉「うっ、いやそうだけど…でも流石にそのドラゴン達はしょっぱなからハードル高いと思うのよ…」
姉「せめて最初は、もっとこう…優しそうなモンスターで…」
弟「優しそうなモンスター……そういえば、僕まだ召喚権使ってなかったね」
弟「じゃあこれ! 《オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン》を召喚!」
《オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン》 ATK1200
姉「うーん、攻撃翌力は確かに半分以下になったけども…」
姉(あの鋭い四本の顎のトゲも、長くしなる尻尾も…やっぱり怖いわ…)
弟「ようし、じゃあ今度こそバト…」
姉「待って待って! もう一回タンマ! やっぱり直接攻撃自体のハードルが高いと思う!」
姉「せめて……そうだ! 私がそっちがエンドしたら、私のターンでモンスター出すから! ここは一旦モンスター同士の戦闘で…」ピッ
ギュイーン
リバースカード セット!
姉「えっ?」
弟「んっ!?」
23 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/01(日) 00:19:37.82 ID:NnE1K/t00
弟「あ、あれ? 僕まだターンエンド宣言してないのに? なんでお姉ちゃんカードセットできてるの?」
姉「わ、私にも…手札に触れちゃったら急に…」
弟「ジャッジー! …っている訳ないか」
姉「……ちょっと、試してみようかしら」
姉「…同じ列に《燈影の機界騎士》を自身の効果で特殊召喚!」
《燈影の機界騎士》「ヌゥン!」DEF3000
姉「…えっと、じゃあ…通常ドロー」ピッ
弟「え? え? どういうこと!? 今のドローフェイズのドロー? もうフェイズめちゃくちゃじゃない!」
姉(うーん…この無茶苦茶なフェイズ…少なくとも普通のデュエルじゃないわよね)
姉(やはり、この世界独自のルールがあるのかしら)
姉(デュエルでないデュエル……か)
24 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/01(日) 00:24:44.00 ID:NnE1K/t00
弟「えっと……じゃ、さ」
弟「試しに僕、攻撃してみていい?」
姉「え? 燈影に?」
弟「そう。直接攻撃は怖くてもさ、モンスター同士の戦闘……しかも高い守備表示モンスターに突撃するなら、モンスターも破壊されないし」
弟「これなら試してみてもいいんじゃない?」
姉「……大丈夫? 遊戯王通りなら、あんたにもダメージ入るのよ?」
弟「だいじょーぶ! たがだか500ダメージ、耐えられないようじゃ魔王なんて倒せないでしょ!」ニッ
姉(ああ、この子はもう魔王倒す気マンマンなのね…)
姉「……わかった。じゃあ、やってみなさい」
弟「うん!」
弟「いけっ! 《オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン》! 《燈影の機界騎士》に攻撃!」
オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン「グオォォ…」キュィーン ATK2500
燈影の機界騎士 「ヌッ!」DEF3000
オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン「グァァアアア!!」ズゴォ!!
ドオォォォン ビリビリ
25 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/01(日) 00:30:11.61 ID:NnE1K/t00
姉「うわっぷ!!」
弟「…っ!!」
LP8000→7500
姉(燈影がウィザードドラゴンの赤と緑のビームを防いで……ていうか、私なんて守備表示で受けている側なのにめっちゃ衝撃がくる!)
姉(やっぱり、これはリアルダメージが発生するってことで確定みたいね…)
姉「弟ー! 大丈夫ー!?」
弟「あ、うん……ちょっと痛かったけど、体は特に問題ないよ…」
姉「痛い? 今の衝撃で吹き飛ばされたの?」
弟「や、違うんだ。その…なんか体の内部から締め付けられるような痛みがきてさ…」
弟「多分…これはいわゆる『闇のデュエル』におけるダメージだと思う…!」
姉「そりゃ縁起でもないわね。『闇のデュエル』まんまだとしたら、あんたそのダメージあと15回受けたら死ぬってことになるわよ」
弟「そ、そっか……死んじゃうんだよね……あはは、そう考えると、確かに怖い…」
姉「…ちょっと、一回やめましょう。少なからず、デュエルディスクの使い方は分かったし」
26 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/01(日) 00:34:31.59 ID:NnE1K/t00
弟「じゃ、多分さっきのディスク起動ボタンをもう一回押してみたら…」ポチ
オッドアイズ達 スゥ
手札 スゥ
弟「やっぱり。モンスターもペンデュラムスケールも、手札も消えていくよ…」
姉「はあ……それにしても、あまり時間が経ってないのに、結構疲れた気がするわ…」ポチ
燈影の機界騎士 スゥ
セットカード スゥ
弟「僕も疲れちゃったよ…生のオッドアイズ達を見て興奮しすぎちゃったのかな…」ハハ
姉「そうね。でもひょっとしたら、モンスターを召喚することにより気力的なもの消費されたり…ん?」
ザワザワ ヒソヒソ ジロジロ
姉「……早く、部屋に帰ろ!」
弟「え、う、うん…」
27 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/01(日) 00:37:21.19 ID:NnE1K/t00
中断します。
もうちょっと書き溜めてからまたきます。
>>4
はミスです。すいません。
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/12/01(日) 00:41:57.17 ID:EHX6CcUZ0
乙
この世界で他の奴らとデュエルすることになったとしてもターン形式じゃなさそうだな
29 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/02(月) 21:54:40.96 ID:cfzNVBHN0
お部屋
弟「ねえ、お姉ひゃん」モグモグ
姉「弟よ、母上がいないからって、口にモノを入れたまま喋るのはよしなさい。行儀が悪いぞ」
弟「ゴックン。あのさ、なんでさっきのデュエルはさ、フェイズもターンもメチャクチャに動けたんだろうね?」
姉「うーん、私も食べながら考えたんだけど…多分、デュエルってより、この世界だと『ディアハ』なんじゃないかなあって」
弟「ディアハ…遊戯王DMの記憶の世界でやってたアレ?」
姉「モグモグ ング。そう、簡単にいえば古代エジプトでやってたモンスター実体化させたリアルファイト」
姉「あのディアハの現代遊戯王版…ってことじゃないかなって思うのよ」
姉「アニメでやってたのは、モンスター召喚して指示を出して…どっちかといえばやってることはポケモンに近かったけど…」
姉「私達はそれに加えて、手札を使ってモンスターを展開したり、魔法罠で補助したりできる…みたいな感じじゃないからしら」
30 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/02(月) 22:01:16.94 ID:cfzNVBHN0
弟「《螺旋のストライクバースト》みたいに、魔法罠も実体化するのかなあ…ということは《ブラック・ホール》 とか発動したら…」ゾ~
姉「やな想像するわねあんた…まあ本物のブラックホールとかじゃなくて、ただモンスターを全破壊してくれるだけならいいんだけどね。どっちにしろ私達二人ともブラホ入れてないし、考えなくていいわよそんな想像」
弟「そういえばそっか。……うーん、ディアハ…かあ」
ガッ ガッ ガッ キュイーン!
弟「… デュエル!」パッ パッ パッ パッ パッ
LP:8000
姉「ちょちょちょ! あんたこの狭い部屋でドラゴン出すつもり!? やめてよシャレにならないから!」
弟「違う違う、試したいのはもっと別なこと! ドロー!」シャキン
弟「続けてもう一回…ドロー!」
シーン
弟「……ドロー! ドロー!」
シーン
弟「………うーん、やっぱり、連続でドローってできないみたいだね…」
姉「ああ、ドローの検証がしたかったのね…。確かにフェイズ無茶苦茶なディアハとはいえ、際限なくドローできたらもうなんでもありになっちゃうわよね…。エクゾディアとか」
31 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/02(月) 22:08:52.62 ID:cfzNVBHN0
弟「……ドロー!」シャキン
弟「あ! 二回目のドローできたよ! ね、お姉ちゃん、一回目のドローからどれくらい時間経った?」
姉「モグモグ……ンン。そうね。大体三分くらいじゃないかしら」
弟「三分…三分って確か、公式大会で考えていい時間とかじゃなかったっけ」
姉「『戦略考察時間』とか言われてるヤツね。三分が一応の1ターンと考えると…罠とかもセットしてから三分経たないと発動できない…とかあるかもね。とりあえず、検証終わったならしまいなさい」
弟「…ね、やっぱり誰かしょうかん…」
姉「ダ メ で す !」
弟「お願い! オッドアイズペルソナドラゴンならギリこの部屋にも収まると思うから…!」
姉「お前の見識なんかあてになるか! ドラゴン出されるだけでもこっちの心臓に悪いんだから!」
弟「そんなあ。ドラゴンで心臓悪くしちゃあ、魔王と対峙した時どうするの?」
姉「だから! 私は最初っから魔王倒す気なんて…」
コンコン
姉・弟「!!??」ビクッ
???「すまない。召喚士の方々。入室してもよいだろうか?」
32 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/02(月) 22:12:53.46 ID:cfzNVBHN0
女騎士「む。食事中であったか。これは失礼した」
姉「あ、いえいえお構いなく。ちょうど食べ終わったところでしたから」
弟「大変美味しゅうございました……」ペコリ
姉(騎士の格好をした女性……なんだろうこの…普通ならコスプレにしか見えないはずなのに、このコスプレにあらず的な雰囲気…)
姉(これが本職ってヤツの迫力なのかしら…)
姉「ええっと、それで…何か御用ですか?」
女騎士「…まずは、王から言伝を」
女騎士「三日後までには、魔王討伐のために出立せよとのことだ」
弟「み、三日……ですか!?」
姉「そんな…! ああいえ、その…私達、まだ今日この世界に来たばっかりで、あの…三日というのは、不安というか…」
女騎士「無論、右も左もわからぬこの世界に呼び出され、魔王を倒せと下知されたあなた方の心中は、お察しする」
女騎士「だからこそ、私がお二人に付いて、共に行くこととなった」
姉「へ?」
弟「え?」
33 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/02(月) 22:18:22.60 ID:cfzNVBHN0
女騎士「私も、あなた方の魔王討伐の旅へお供するということだ」
姉「え、そ、それは……」
弟「本当ですか! それ、凄くありがたいです! 流石に僕たちだけじゃ、この世界歩き回るの凄い不安でしたし!」
姉(や、そりゃその意味じゃありがたいけどさ…監視役がいるってことは、何をどうあがいても魔王討伐から逃れられないってことなのよね…)シクシク
女騎士「私は女騎士。あなた達の魔王討伐を、全力でサポートさせて頂く。召喚士のお二方、これからはよろしく頼む」
姉「こ、これはどうも…私は姉と申します」ペコ
弟「僕はその弟です。で、女騎士さん…1ついいですかー?」
女騎士「なんだろうか、弟君」
弟「この世界じゃ僕達は召喚士って呼ばれるかもしれないけど、本当の呼び名は『決闘者(デュエリスト)』って言うんです! だから、女騎士さんもそう呼んでくれると嬉しいです!」
女騎士「ふむ、決闘者(デュエリスト)か…不思議な響きの言葉だな。承知した」
姉(我が弟はデュエリストにプライド持ちすぎだ……まさか学校でも堂々と公言したりしてないでしょうね…)
34 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/02(月) 22:26:02.18 ID:cfzNVBHN0
次の日
弟「…今こそチャンス! 手札から《ペンデュラム・フュージョン》を発動!」
姉「あ、じゃチェーンで《星遺物の機憶》発動」
弟「げ」
姉「デッキから《紺碧の機界騎士》を《ペンデュラム・フュージョン》が発動した列に特殊。《星遺物の囁き》があるから《ペンデュラム・フュージョン》無効ね」
弟「くっそー! じゃ、手札から《オッドアイズ・フュージョン》を…」
姉「じゃあ紺碧の効果で《蒼穹の機界騎士》をこっちに動かして、それも無効になるわね」
弟「ああもうやだー! 次のターンに全部食らって終わりじゃん! 僕サレするー!」
姉「ふう…うまいこと回せてよかったわ。じゃもう一戦やる?」
弟「もちろん! 勝つまでやるからね! 今度こそは…」サッサッ シャッシャッ
35 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/02(月) 22:29:53.54 ID:cfzNVBHN0
コンコン
女騎士「失礼するぞ……何をやっているのだ、お二方は」ガチャ
姉「あ…女騎士さん」
弟「えっとですね…デュエリストの嗜み、みたいなものです!」
女騎士「ほう……見たところ、トランプのような遊戯か?」
姉「ええまあ…そんなとこです」
姉(この世界にもトランプはあるんだ...これは遊戯なのには間違い無いけど、その遊戯で敵を倒していかないといけないのよねえ)ハア
姉(あ〜〜〜〜、魔王なんて倒せるのかしら……死にたくないわ……)
女騎士「今日は、来るべき出立の日に備えて色々と準備をしたい。私は部屋の前にいるから、外出の準備ができたら声をかけてくれ」
36 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/02(月) 22:34:47.10 ID:cfzNVBHN0
服屋
弟「どう、お姉ちゃん? 変じゃないかな?」
姉「や、日本人的価値観しか持たない私に聞くんじゃないわよ。女騎士さんに聞きなさいな」
女騎士「うむ。これならこの土地における一般的な服装だ」
女騎士「あなた方の衣装は少しばかり目立つからな。あまり注目を浴びるのは好きではないのだろう?」
姉「ええ。それはそうですね…」
姉(女騎士さんと一緒にいても充分目立つと思うんだけど…)
弟「へへ、これで僕達もファンタジー世界の人間だね」
姉「左腕のデュエルディスクがその雰囲気を台無しにしてるけどね…」
37 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/02(月) 22:40:51.58 ID:cfzNVBHN0
数時間後
弟「うう……」ズッシリ
姉「弟よ…少しばかり持とうか?」
弟「大丈夫…僕は…男なんだから…これくらいの荷物......」
姉「強がるんじゃない、これからこの荷物を持って長旅なんだぞ。ほら半分は私のリュックに移しなさい」ヒョイヒョイ
弟「あ、ありがとう…お姉ちゃん」
女騎士「さて、帽子や外套、保存食糧に盃、水筒、火打ち石、ナイフや雨除けの小天幕等々、必要なものは買い揃えた」
女騎士「お二方は一度、荷物を部屋に置いてくるといいだろう」
姉「一度……ってことは、また何かすべきことがあるんですか?」
女騎士「ああ…またお二方は、この世界の魔物と相対したことは…ないだろう?」
38 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/02(月) 22:46:34.84 ID:cfzNVBHN0
更に1時間後 郊外
スライム「ピキー!」
弟「うわ……本当にスライムだ…」
姉「リアルだと可愛さ二割、不気味さ八割って感じね…」
弟「でも『チェンジ・スライム』よりは不気味じゃないと思う」
姉「また懐かしいモンスターの名前ね…あんなの基準にされても困るけど」
女騎士「スライムにはいくつか種類があるが、あのスライムは低級クラスの魔物だ」
女騎士「攻撃手段は、見た目以上の重さとスピードによる突進」
女騎士「その気になれば棒を持った子供でも退治できるが、それゆえに油断した子供の顔の上に乗っかって、窒息死させるような事故が年に何件か起こっている」
弟「怖い話ですね…それ」
女騎士「まずはああした低級魔物相手に、君たちの戦い方を見せてもらいたい。兵士達には大分話題が広まっているようだが、私はまだ目にしたことないでな」
39 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/02(月) 22:49:51.54 ID:cfzNVBHN0
弟「ようし、それなら僕が…」
姉「や、弟よ。ここは私にやらせてちょうだい」
弟「お姉ちゃん? なんか積極的だね?」
姉「積極的というより…今後死活問題になるかもしれないから、確認したいのよね」
姉「よし……」ピュイーン
姉「……デュエル!」パッ パッ パッ パッ パッ
LP:8000
女騎士「ほう…?」
40 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/02(月) 22:56:44.61 ID:cfzNVBHN0
スライム「ピキー!?」
弟「お姉ちゃん! 今の音でスライムに気づかれたみたいだよ!」
姉「分かってる! えーっと…それじゃ、このリバースカードをセット!」
リバースカード「ウィーン」
姉「そして…同じ縦列に《紅蓮の機界騎士》を特殊召喚!」バッ
紅蓮の機界騎士 「フンッ」ATK2300
スライム「ピピピキー!?」
姉(...よし! 特殊召喚できる!)
姉(あのスライム…あれもモンスター扱いで、私がカードをセットしたことで『同じ縦列にカードが2枚以上』の条件を満たすことになったってことかしら)
姉(出来る限り目測でスライムに近い位置にカードをセットしたけど、やっぱりちゃんと位置を合わせないと特殊召喚できないのかしら…そうだとやっぱり面倒だけど…)
41 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/02(月) 23:02:30.39 ID:cfzNVBHN0
スライム「ピピ-!!」ピョンピョン
弟「お姉ちゃん! スライム逃げちゃうよ!」
姉「え、あ、じゃあ……《紅蓮の機界騎士》で、あのスライムに攻撃!」
紅蓮の機界騎士 「オオオオオ!!」ブンッ
スライム「ピ……!」
ズガァンッ!
スライム「」
弟「うわっ…流石攻撃翌力2300……オーバーキル気味だね…」
姉(綺麗に真っ二つに割れて、紅蓮の一撃でできた地面の切れ込みに埋まって土に塗れてるスライムの姿……なかなかグロいわね)
女騎士「………これが、召喚士…いや、デュエリストの力か……」
42 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/02(月) 23:07:00.61 ID:cfzNVBHN0
弟「お姉ちゃん、ちょっとやり過ぎたんじゃない?」
姉「し、仕方ないでしょ! 私のデッキなんて基本的に大型しかいないんだから!」
女騎士「…いや、それにしても……素晴らしい力だった」
女騎士「召喚士というのは魔獣を扱うのが定席というものだが…そのような金属質ゴーレムを扱えるのも、異世界のデュエリストだから…ということか」
姉「そ、そうですねーあはは…」
姉(金属質ゴーレム……いや、そもそもコイツが機械なのかなんなのか、詳しい設定がまだよく分からないよね…マスターガイドでちゃんと解説されるのかしら…)
紅蓮の機界騎士「……」
姉(...というより、マスターガイドが発売する元の世界に私は帰れるのかしら…。はあ、そんなこと考えてたらますます気が滅入ってきたわ……)ハァ
43 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/02(月) 23:12:10.30 ID:cfzNVBHN0
女騎士「デュエリストの力はよく分かった……なるほど。君たちならば、あるいは本当に魔王を倒せるかもしれんな…」
弟「い、いやあ…それほどでも…」テレテレ
姉(なんもしてない弟がなぜ照れているのか…)
女騎士「そうだな……今日はもう帰って、休むといい」
弟「え、もうですか? まだお昼ちょっとなのに」
女騎士「出発まであまり日数もない。休める時にはしっかり休んで欲しいと思う。魔王城までの道のりは長いからな」
弟「そうですか……あ、それじゃあそろそろお昼ご飯の時間ですし、ご一緒にどこか外食するというのはどうですか? この辺の美味しいお店、教えてください!」
姉「こら! お金もないのに何を図々しいお願いしてんのあんたは!」パカ
弟「いたっ!」
44 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/02(月) 23:14:14.79 ID:cfzNVBHN0
女騎士「…気持ちは嬉しいが、私はこの後兵士達の調練があるのでな」
弟「そうなんですか…女騎士さんって、やっぱりエライ人なんですね!」
女騎士「……まあ、一応は。王国の第七部隊 部隊長を務めている」
弟「へえ! 部隊長さんですか! 凄いなあ、かっこいいですね!」
姉「……ん、女騎士さんが部隊長……なのに、私達の旅に一緒について行っていんですか?」
女騎士「ああ、まあ……。私は…な」
姉「?」
弟「?」
女騎士「……そうだな。どうしても知りたいなら…旅に出た後に、機会があれば話をしよう」
姉「あ、いえそんな…話したくないことなら、無理には…」
弟「そうですか! 楽しみに待ってますね!」
姉「おい弟コラ」
45 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/02(月) 23:14:48.77 ID:cfzNVBHN0
中断します。
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/12/02(月) 23:15:44.93 ID:NBXsnY2p0
乙
隣の芝刈りとか相手を参照するカードとか相手に選ばせるカードはどうなるかが気になるな
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2019/12/07(土) 05:09:23.57 ID:V6M3BFLxo
乙ー
48 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/07(土) 21:08:17.54 ID:T/z58juJ0
そして一日飛んで…出立の日
弟「よっし……」キュッ
弟「お姉ちゃん! いよいよ……だね!」ニッコリ
姉「ああ……いよいよ…かあ」ゲッソリ
弟「世界の命運が、僕達の手にかかっているんだ…絶対、魔王を倒して、世界を平和にしよう!」
姉「弟よ。今一度確認するんだ。私たちの目的は『この世界を平和にすること』ではなく、『元の世界へ帰ること』だ。はい、復唱!」
弟「はい! 私たちの目的は『この世界を平和にして元の世界へ帰ること』です!」
姉「よろし……くない! 私たちはこの世界が平和になろうがどうでもいいから、元の世界へ帰ることだけを考えなさい!」
弟「ひどいよ! この世界がどうなってもいいなんて…世界の一つも救えなくて、ママにどう顔向けするっていうの!」
姉「ママなんか私達がいい企業に就職さえできれば喜んでくれるんだからヘーキなの!」
女騎士「お二方。そろそろ王への謁見の時間だ。準備はよろしいか?」
弟「はいっ!」
姉「はい…」
49 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/07(土) 21:14:42.55 ID:T/z58juJ0
王「魔王が現れてから、三十年の月日が経つ……そしてその間に、奴の手によって二つもの国が滅ぼされた」
王「奴は…魔王は我々人類を弄んでおる。始めのうちは生かさず殺さずの攻勢を繰り返し…それに飽きたならば、唐突に巨大なる軍勢をもって滅しにかかるのだ」
王「我が国のみならず、全ての国の民が魔王の存在に怯えながら日々を過ごしておる。もはや奴の存在がある以上、人類の安息と発展は永久に訪れまい」
王「世界を救うために、そなた達の力が必要なのだ。勇敢なる召喚士の少年よ!」
弟「はっ!」
王「そなたには、我が国公認となる『勇者』の号を授ける。そして同じ力をその身に宿す少女よ!」
姉「はっ!」
王「そなたにも同じく、『女勇者』の号を授ける。異世界の召喚士達よ! 我が国を旅立つがよい! 必ずや魔王を討ち滅ぼし、人類を救うのだ!」
勇者「必ずや!」
女勇者「必ずや!」
王「女騎士よ。二人の勇者を導き、共に魔王討伐を成し遂げるのだ!」
女騎士「承りました。陛下。必ず任務を成し遂げて見せましょう」
50 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/07(土) 21:18:07.13 ID:T/z58juJ0
勇者「勇者だなんて、照れるなあ」ウキウキ
女勇者「弟君がご機嫌なようで何よりだよ……というか、本当に王様のセリフが一言一句、女騎士さんの言う通りだったわね…。お陰で定型句を喋るだけでなんとか乗り切れた…」
女騎士「何度も見てきたからな、あの手のセリフは…」
女勇者「…?」
勇者「それより…随分ひっそりと出発するんだね。僕、てっきり盛大に見送られるのかと…」
女勇者「ちょっと自意識過剰じゃない…? 私はそんなに持ち上げられるより、ひっそり出かける方が百倍いいわ…」
女騎士「………では、出発しよう。とりあえずは次の街まで、だな」
51 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/07(土) 21:21:09.63 ID:T/z58juJ0
八時間後 次の町
女勇者「…あ……つ、着いた……の、ね…」ゼエゼエ
勇者「お姉ちゃん大丈夫ー?」
女勇者「いや、なんと、か……。途中休憩あったとはいえ、荷物持って朝からここまで歩き通したの、私の人生じゃ初めてよ…」
女勇者(弟もそんな運動得意じゃなかったはずなのにこの元気さは…男の子特有のエネルギーか、それとも異世界にきた興奮から発せられるアドレナリンのお陰か…)
女騎士「すぐに宿に向かい、休むとしよう。もう少しだけ踏ん張ってくれ」
女勇者「ふ、ふぁぁい…」ヨタヨタ
52 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/07(土) 21:28:42.07 ID:T/z58juJ0
宿屋 女勇者の部屋
女勇者「ふいー! やーっと一息つけるわ…」ドサッ
勇者「おねーちゃーん! 遊びに行こー!」ガチャ
女勇者「弟よ。さっきまでのお姉ちゃんの様子を見た上でそんな要求をしてくるというのなら、私は1からお前を教育し直さなくてはならない……今はそんな気力すらないんだけど……」グッタリ
勇者「もったいないよお姉ちゃん! 明日にはもうこの町を出るんだから、色々見て回りたいじゃない!」
女勇者「どーしてもというのなら、女騎士さんと一緒に行きなさい…わたしゃしばらくこのベッドの上から動けないよ」
勇者「んー・・・じゃ、僕もベッドから動かなーい♪」ドサッ ゴソゴソ
女勇者「コラ! 人のベッドの中に潜り込むんじゃない!」ドン
勇者「ふぎゃ!」ドサ
勇者「酷いや。昔のお姉ちゃんは僕と一緒のベッドで寝てくれたのに…」シクシク
女勇者「残念ながら、あんたはもう女湯に入ることを許される年齢をとっくに超えている。よって女性のベッドに入ることも許されないのよ」
53 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/07(土) 21:33:11.95 ID:T/z58juJ0
コンコン ガチャ
女騎士「邪魔するぞ。……勇者殿はなぜ、床に倒れているのだ?」
勇者「女騎士さーん…お姉ちゃんが酷いんですぅ…」ウルウル
女勇者「残念ながら世間ではお姉ちゃんのベッドに入ろうとしたお前の方が悪いと、そういうことになる」
勇者「お姉ちゃんったら分かってないなあ。ここは異世界だよ? 異世界の世間じゃ、お姉ちゃんのベッドに潜り込んだって…」
女騎士「む。確かに女性のベッドに潜り込むのは良くない行為だ。変態扱いされてもおかしくない。慎むといいだろう」
勇者「そんなことより女騎士さん! 聞きたいことがあるんだけど…」
女勇者「都合が悪くなるとこれなんだから」
54 :
◆W.sgopFg5E
:2019/12/07(土) 21:40:22.39 ID:T/z58juJ0
女騎士「なんだろうか? 私に答えられることなら、なんでも」
勇者「えーっと…この街に来るまで、全然魔物に襲われなかったのが、僕的にちょっと不思議だったかなーって…」
女勇者(そういえば…延々歩いてるだけで、魔物の影も形もなかったわね…)
女騎士「街周辺にいる魔物は、今となっては人間を襲わないものばかりだ」
女騎士「人間を襲っては逆に退治され、また襲っては退治されを繰り返しているうちに、遺伝子レベルで人間を恐れるようになった魔物達ばかり。人間を容易に殺せるほどの力を持った魔物は、はるか昔に根こそぎまで駆逐済みだ…少なくとも、大きな街の周辺ではな」
勇者「え、それじゃあ…魔物に襲われる時って、どういう時なんですか?」
女騎士「例えば、街から遠く離れた郊外……君たちがスライムを倒した場所のようにな」
女騎士「それに夜。夜は魔物の活動も活発になる。普段は人間を恐れる魔物達も、この時ばかりは凶暴性も跳ね上がる」
女騎士「この街を出てから、次の街に行くまでには少し遠い。数日は野宿になるだろう……その時こそ、魔物を警戒しないといけなくなるだろうな」
女勇者「………」ビクビク
勇者「野宿…つまりキャンプですか! 僕まだやったことないんだよね…ワクワクする!」
女騎士「それに…小さな町が点在する地域などは、強力な魔物の駆逐が追いついていない場合が多い。そうした地域の住人は常に、魔物の襲撃に怯えながら暮らしているのだ」
女騎士「そして…そうした恐怖は、魔王の支配する地域に近づけば近づくほど激しいものとなる」
女勇者「………」ビクビク ビクビク
勇者「へえ、そうですか…大変なんですね…」
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