先輩「不老不死になりました」 後輩「はぁ」

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1 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/11/12(火) 22:52:34.12 ID:xbGiBxwf0
百合です

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2 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/11/12(火) 22:55:03.60 ID:xbGiBxwf0





先輩「よっと。よいしょ……」

先輩「よし……、こっちのがサバで〜」

先輩「こっちのイカが、にぃ、しぃ、ろぅ、はち……」

先輩「アジにツブ貝にマグロ――……、……うん?」

先輩「……?」

先輩「ん〜……?」

先輩「店長ぉ〜、ちょっといいっスか店長〜」

店長「はい、はいはい。はいよ、どうしたん?」

先輩「いやぁ、これなんですけど」

店長「これ?」

先輩「えぇ。なんかマグロのケースに、違うの混ざっててぇ」

3 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/11/12(火) 22:56:12.64 ID:xbGiBxwf0
店長「ありゃ。向こうの出荷ミスかな」

先輩「な〜んスかね、これ。白身の……、何だろ?」

店長「あんたね、もうこの店も長いんだから。パッと切り身を見たら、これは何の魚だって、サッと言えるようにならんと」

先輩「はぁ……。で、何スか、これ?」

店長「これはね」

先輩「……」

店長「……」

先輩「……」

店長「……ん〜〜?」

先輩「ちょっと。ちょっと店長」

店長「いや〜、何かしらね、これ。初めて見たかも……」

先輩「まあ、何でもいいんですけど。どうします、これ? お店には出せないっスよね」

店長「まぁねぇ……、何の魚か分からんもん、お客様に出すのは、さすがにねぇ……」

先輩「ですよね」
4 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/11/12(火) 22:56:55.13 ID:xbGiBxwf0
店長「う〜ん……」

先輩「あ、じゃあこれ、私もらっちゃってもいいですか?」

店長「え。いいけど、どうするん?」

先輩「今日のまかないに食べてやろうと思って」

店長「うえぇ、本気で言ってんのあんた……。何か分からない切り身見て、よくそんな気起きるわねぇ」

先輩「もしかしたら、メチャクチャ美味しいかもしれないじゃないっスかぁ」

店長「はぁ……、好きにしたらいいけどさ。アタっても自己責任だよ。労災出ないからね」

先輩「分かってますってぇ。えへへ、ゴチでぇ〜っす!」






5 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/11/12(火) 22:59:00.97 ID:xbGiBxwf0






先輩「……――ってな感じでな」

後輩「はぁ」

先輩「まぁ、あれが世に言う、人魚の肉ってやつだったんだろうなぁ……」

後輩「先輩……、留年しすぎて、ついに気まで〇っちゃったんですね」

先輩「うは、後輩ちゃん辛辣っ! いやいや! マジなんだって! 大マジのマジで!」

後輩「大マジの……不老不死?」

先輩「不老不死」

後輩「……お医者さん行きます? 心の」

先輩「少しは信じろよ〜! すごいんだぞ〜! 何かな、怪我とかしても、すぐ治っちゃうんだよ! ジュワワワ〜ッってなって!」

後輩「ワインとステーキでも山ほどやったんですか?」

先輩「ビスケット・オリバじゃねーのよ、私は」
6 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/11/12(火) 22:59:47.60 ID:xbGiBxwf0
後輩「……じゃ、不老の方は?」

先輩「あ?」

後輩「キズが治るのは、もし本当なら、何となく不死? 感ありますけど……。不老なのは、どうやって分かったんですか?」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……なんか、若々しい気分になった、感じがする。気持ち的に」

後輩(バカだ……)

先輩「ま、人魚の肉をな、食べた当人には、何となく分かんのよ。感覚的に」

後輩「ちなみにお味は」

先輩「薄味のブリ?」

後輩「はぁ……。悪くもねぇ感じですね」

先輩「なんつーか、お前、アレだな。水族館とか行ったら、泳いでる魚見て『うわ〜♪ 美味しそ〜♪』とか言っちゃうタイプだな」

後輩「ほっといてください」
7 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/11/12(火) 23:01:22.35 ID:xbGiBxwf0
先輩「はぁ……。ま、やっぱり実際に目にしてみねーと、理解(ワカ)ってもらえねぇんだろうなぁ」チキチキチキ

後輩「うわっ、何してんですかちょっと! 何でカッターなんて持ってるんですか先輩っ!」

先輩「そりゃ、もしもの時の防衛手段だろ。乙女のたしなみだろうが」

後輩「そんな乙女いません」

先輩「いいか、よく見てろよ? カッターでちょっと指切ったくらいなら、あっという間に治っちゃうんだからよ」グッ

後輩「うゎ、わわ! や、やめましょうって、先輩ぃ……」

先輩「黙って見てろい! ちょっと指切ったくらいなら……」

後輩「う……」

先輩「ちょっと指を……」グ

後輩「……」

先輩「ちょーっと……」ググ

後輩「……」

先輩「……」ググッ

後輩「……先輩」

先輩「どわぁ!? バカお前っ! やめろよ! 急に声かけんなよなっ!」

後輩「どヘタレじゃねえか」
8 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/11/12(火) 23:03:26.34 ID:xbGiBxwf0
先輩「いや……まぁ、治るってわかっててもさぁ、いざ自分でやろうと思うと、ふんぎりがさぁ……」

後輩「だったらやらなきゃいいじゃないですか……」

先輩「あっ、そうだ! 後輩ちゃんやってよ!」

後輩「はぁ!? 何で私が!」

先輩「いいだろー! そもそもお前が信じようとしねえから、証拠見せてやるって言ってんじゃん! お前が疑ってかからなきゃ、こんなことしなくたっていんだからなっ! ほらっ、分かったら早く!」

後輩「何で私のせいみたいになってるんですか……。まったく……、分かりましたよ」チキチキ

先輩「ちょっとだからな! ちょっと切るだけでいいんだからな!」

後輩「はいはい。じゃ、せーのっ――……」グイッ

先輩「うわぁぁ!? バカバカ!」バッ

後輩「わっ! 何ですか! 暴れないでくださいよいきなり……」

先輩「いやお前……、お前なんでノータイムで人刺そうと出来るんだよ!? 怖ぇわ! シリアルキラーか! バッファロー・ビルか!」

後輩「先輩がやれって言ったんじゃん」
9 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/11/12(火) 23:04:19.31 ID:xbGiBxwf0
先輩「いや、せめて5カウントくらいからさぁ……、頼むよ……こっちにも心の準備ってもんがあるんだからよ」

後輩「うるさいなぁ、もう……。分かりましたよ。じゃ……5、4……」グッ

先輩「ぅぐ……」

後輩「3、2……」

先輩「……っ」

後輩「1」グイッ

先輩「ああああダメダメ!!!! やっぱちょっと待って!!!!」ジタバタ

後輩「何なんですか! 何なんですかマジでもう!!」

先輩「怖ぇぇぇ! マっっっジでおっかねぇ! うわぁ……、ちょっと……、やば……」

後輩「こんなクソダサい不老不死がいてたまるか」

先輩「いや、ごめんて……。ちゃんとやるから」

後輩「はぁ……、もう。次でラストですからね?」

先輩「ウ、ウス」
10 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/11/12(火) 23:05:20.59 ID:xbGiBxwf0
後輩「……そうだ。じゃあ、こうやって……、後ろから……」ギュ

先輩「え、いや……後輩ちゃん?」

後輩「こう……、身体を、先輩が逃げないように、押さえつけながらですね」ガシッ

先輩「いやっ、ちょっ、無理ムリこれ怖ぇ! 待って! 怖いから! 怖いからこれ!」

後輩「へっへっへ、そんな暴れても無駄ですよ……。大人しくしてくださいよ……」

先輩「うぅぅぅ〜〜〜〜っっ」ギュウッ

後輩「行きますよ、先輩……。イタいのは最初だけですからね」

先輩「こ、後輩ぃ……っ!」

後輩「……」チクッ

先輩「ひっ!」

後輩「……」チクチク

先輩「きゃひっ!……お前っ! お、おま、お前なぁぁ……っ」

後輩「はぁぁぁぁ……、先輩が私の腕の中で、小さくなって震えてる……。まるでいたいけな子犬の様に……、あの先輩が……」ゾクゾクッ

先輩「性癖イカツいんだよお前ぇ……!」
11 : ◆UhQaGpUR76 [sage saga]:2019/11/12(火) 23:06:47.18 ID:xbGiBxwf0

こんな感じで、何も起きません
今日の所はここまでです
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/13(水) 12:26:55.20 ID:bIXZCbf2o
おつ
きたい
13 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/11/23(土) 19:20:35.38 ID:IYqJZyLx0
後輩「……っ!」プツ

先輩「ぎゃっ」

後輩「あっ……!」

先輩「……」

後輩「すみません、ちょっと深くいきすぎ――……」

先輩「……」

後輩「ぁ……」

先輩「……」

後輩「血が……、止まって……」

先輩「……」

後輩「……傷、塞がってる……」

先輩「……」

後輩「嘘……」

先輩「……ふ。驚いたろ?」グス

後輩「半ベソじゃねーですか」
14 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/11/23(土) 19:21:35.30 ID:IYqJZyLx0
先輩「ほっとけ! それより! 見たな! 見ただろ後輩! 嘘じゃなかっただろーが!」

後輩「はぁ、まぁ……」

先輩「なー! これで信じるだろ! なぁ! 信じるだろ不老不死!」

後輩「まぁ……、さすがに実際に目の当たりにしちゃうと、信じないわけには……」

先輩「そーだろそーだろ! か〜っ! 得ちゃったんだよなぁ〜! 永遠に尽きない命! そして絶対に傷つかない体ってヤツをさぁ〜〜っ! かぁ〜〜〜っ!!」

後輩(急にウザくなったな……)

後輩「絶対に傷つかな――……あっ」

先輩「あ?」

後輩「……」カプ

先輩「ふぁぁぁ!?」ビクン
15 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/11/23(土) 19:22:08.36 ID:IYqJZyLx0
後輩「……」チュゥゥゥ

先輩「〜〜〜〜〜っっっ!?!?!?」バシッ

後輩「あうっ!」

先輩「ば、バカっ! や、やめろって言ってんじゃん首! やめろって! いっつもいっつもぉ!」

後輩「首筋、アホみたいに弱いですよね、先輩」

先輩「っ!」ゲシッゲシッ

後輩「あうっ! あっ、すみませっ、すみませんっ! 痛い!」

先輩「バーカ! バカ後輩! どうすんだよお前、また痕残ったら!」

後輩「残してるんですよ」

先輩「バカぁぁ! お前なぁ、人が毎度毎度、どうやって隠そうと――……あ」
16 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/11/23(土) 19:22:41.12 ID:IYqJZyLx0
後輩「……」

先輩「あ〜……」

後輩「……」

先輩「……消えた?」

後輩「消えた」

先輩「……ぉーん」

後輩「……はぁぁぁぁぁ」

先輩「いやいや」

後輩「はぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜……」ガックリ

先輩「こんなことでそこまで萎える?」





17 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/11/23(土) 19:23:20.62 ID:IYqJZyLx0





〜大学構内〜


後輩「……」

後輩「……ふぅん」ペラ

後輩「……」


後輩(昔、ある漁村の娘が――……)

後輩(そうと知らずに、人魚の肉を食べてしまった――……)


後輩「……」ペラ

後輩「……」


後輩(以来、娘は不老不死の体となり――……)

後輩(八百年の歳月を生き、やがて八百比丘尼と呼ばれるようになった――……)


後輩「……はぁ」
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