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先輩「不老不死になりました」 後輩「はぁ」
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1 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/12(火) 22:52:34.12 ID:xbGiBxwf0
百合です
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1573566753
2 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/12(火) 22:55:03.60 ID:xbGiBxwf0
・
・
・
先輩「よっと。よいしょ……」
先輩「よし……、こっちのがサバで〜」
先輩「こっちのイカが、にぃ、しぃ、ろぅ、はち……」
先輩「アジにツブ貝にマグロ――……、……うん?」
先輩「……?」
先輩「ん〜……?」
先輩「店長ぉ〜、ちょっといいっスか店長〜」
店長「はい、はいはい。はいよ、どうしたん?」
先輩「いやぁ、これなんですけど」
店長「これ?」
先輩「えぇ。なんかマグロのケースに、違うの混ざっててぇ」
3 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/12(火) 22:56:12.64 ID:xbGiBxwf0
店長「ありゃ。向こうの出荷ミスかな」
先輩「な〜んスかね、これ。白身の……、何だろ?」
店長「あんたね、もうこの店も長いんだから。パッと切り身を見たら、これは何の魚だって、サッと言えるようにならんと」
先輩「はぁ……。で、何スか、これ?」
店長「これはね」
先輩「……」
店長「……」
先輩「……」
店長「……ん〜〜?」
先輩「ちょっと。ちょっと店長」
店長「いや〜、何かしらね、これ。初めて見たかも……」
先輩「まあ、何でもいいんですけど。どうします、これ? お店には出せないっスよね」
店長「まぁねぇ……、何の魚か分からんもん、お客様に出すのは、さすがにねぇ……」
先輩「ですよね」
4 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/12(火) 22:56:55.13 ID:xbGiBxwf0
店長「う〜ん……」
先輩「あ、じゃあこれ、私もらっちゃってもいいですか?」
店長「え。いいけど、どうするん?」
先輩「今日のまかないに食べてやろうと思って」
店長「うえぇ、本気で言ってんのあんた……。何か分からない切り身見て、よくそんな気起きるわねぇ」
先輩「もしかしたら、メチャクチャ美味しいかもしれないじゃないっスかぁ」
店長「はぁ……、好きにしたらいいけどさ。アタっても自己責任だよ。労災出ないからね」
先輩「分かってますってぇ。えへへ、ゴチでぇ〜っす!」
・
・
・
5 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/12(火) 22:59:00.97 ID:xbGiBxwf0
・
・
・
先輩「……――ってな感じでな」
後輩「はぁ」
先輩「まぁ、あれが世に言う、人魚の肉ってやつだったんだろうなぁ……」
後輩「先輩……、留年しすぎて、ついに気まで〇っちゃったんですね」
先輩「うは、後輩ちゃん辛辣っ! いやいや! マジなんだって! 大マジのマジで!」
後輩「大マジの……不老不死?」
先輩「不老不死」
後輩「……お医者さん行きます? 心の」
先輩「少しは信じろよ〜! すごいんだぞ〜! 何かな、怪我とかしても、すぐ治っちゃうんだよ! ジュワワワ〜ッってなって!」
後輩「ワインとステーキでも山ほどやったんですか?」
先輩「ビスケット・オリバじゃねーのよ、私は」
6 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/12(火) 22:59:47.60 ID:xbGiBxwf0
後輩「……じゃ、不老の方は?」
先輩「あ?」
後輩「キズが治るのは、もし本当なら、何となく不死? 感ありますけど……。不老なのは、どうやって分かったんですか?」
先輩「……」
後輩「……」
先輩「……なんか、若々しい気分になった、感じがする。気持ち的に」
後輩(バカだ……)
先輩「ま、人魚の肉をな、食べた当人には、何となく分かんのよ。感覚的に」
後輩「ちなみにお味は」
先輩「薄味のブリ?」
後輩「はぁ……。悪くもねぇ感じですね」
先輩「なんつーか、お前、アレだな。水族館とか行ったら、泳いでる魚見て『うわ〜♪ 美味しそ〜♪』とか言っちゃうタイプだな」
後輩「ほっといてください」
7 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/12(火) 23:01:22.35 ID:xbGiBxwf0
先輩「はぁ……。ま、やっぱり実際に目にしてみねーと、理解(ワカ)ってもらえねぇんだろうなぁ」チキチキチキ
後輩「うわっ、何してんですかちょっと! 何でカッターなんて持ってるんですか先輩っ!」
先輩「そりゃ、もしもの時の防衛手段だろ。乙女のたしなみだろうが」
後輩「そんな乙女いません」
先輩「いいか、よく見てろよ? カッターでちょっと指切ったくらいなら、あっという間に治っちゃうんだからよ」グッ
後輩「うゎ、わわ! や、やめましょうって、先輩ぃ……」
先輩「黙って見てろい! ちょっと指切ったくらいなら……」
後輩「う……」
先輩「ちょっと指を……」グ
後輩「……」
先輩「ちょーっと……」ググ
後輩「……」
先輩「……」ググッ
後輩「……先輩」
先輩「どわぁ!? バカお前っ! やめろよ! 急に声かけんなよなっ!」
後輩「どヘタレじゃねえか」
8 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/12(火) 23:03:26.34 ID:xbGiBxwf0
先輩「いや……まぁ、治るってわかっててもさぁ、いざ自分でやろうと思うと、ふんぎりがさぁ……」
後輩「だったらやらなきゃいいじゃないですか……」
先輩「あっ、そうだ! 後輩ちゃんやってよ!」
後輩「はぁ!? 何で私が!」
先輩「いいだろー! そもそもお前が信じようとしねえから、証拠見せてやるって言ってんじゃん! お前が疑ってかからなきゃ、こんなことしなくたっていんだからなっ! ほらっ、分かったら早く!」
後輩「何で私のせいみたいになってるんですか……。まったく……、分かりましたよ」チキチキ
先輩「ちょっとだからな! ちょっと切るだけでいいんだからな!」
後輩「はいはい。じゃ、せーのっ――……」グイッ
先輩「うわぁぁ!? バカバカ!」バッ
後輩「わっ! 何ですか! 暴れないでくださいよいきなり……」
先輩「いやお前……、お前なんでノータイムで人刺そうと出来るんだよ!? 怖ぇわ! シリアルキラーか! バッファロー・ビルか!」
後輩「先輩がやれって言ったんじゃん」
9 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/12(火) 23:04:19.31 ID:xbGiBxwf0
先輩「いや、せめて5カウントくらいからさぁ……、頼むよ……こっちにも心の準備ってもんがあるんだからよ」
後輩「うるさいなぁ、もう……。分かりましたよ。じゃ……5、4……」グッ
先輩「ぅぐ……」
後輩「3、2……」
先輩「……っ」
後輩「1」グイッ
先輩「ああああダメダメ!!!! やっぱちょっと待って!!!!」ジタバタ
後輩「何なんですか! 何なんですかマジでもう!!」
先輩「怖ぇぇぇ! マっっっジでおっかねぇ! うわぁ……、ちょっと……、やば……」
後輩「こんなクソダサい不老不死がいてたまるか」
先輩「いや、ごめんて……。ちゃんとやるから」
後輩「はぁ……、もう。次でラストですからね?」
先輩「ウ、ウス」
10 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/12(火) 23:05:20.59 ID:xbGiBxwf0
後輩「……そうだ。じゃあ、こうやって……、後ろから……」ギュ
先輩「え、いや……後輩ちゃん?」
後輩「こう……、身体を、先輩が逃げないように、押さえつけながらですね」ガシッ
先輩「いやっ、ちょっ、無理ムリこれ怖ぇ! 待って! 怖いから! 怖いからこれ!」
後輩「へっへっへ、そんな暴れても無駄ですよ……。大人しくしてくださいよ……」
先輩「うぅぅぅ〜〜〜〜っっ」ギュウッ
後輩「行きますよ、先輩……。イタいのは最初だけですからね」
先輩「こ、後輩ぃ……っ!」
後輩「……」チクッ
先輩「ひっ!」
後輩「……」チクチク
先輩「きゃひっ!……お前っ! お、おま、お前なぁぁ……っ」
後輩「はぁぁぁぁ……、先輩が私の腕の中で、小さくなって震えてる……。まるでいたいけな子犬の様に……、あの先輩が……」ゾクゾクッ
先輩「性癖イカツいんだよお前ぇ……!」
11 :
◆UhQaGpUR76
[sage saga]:2019/11/12(火) 23:06:47.18 ID:xbGiBxwf0
こんな感じで、何も起きません
今日の所はここまでです
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/11/13(水) 12:26:55.20 ID:bIXZCbf2o
おつ
きたい
13 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/23(土) 19:20:35.38 ID:IYqJZyLx0
後輩「……っ!」プツ
先輩「ぎゃっ」
後輩「あっ……!」
先輩「……」
後輩「すみません、ちょっと深くいきすぎ――……」
先輩「……」
後輩「ぁ……」
先輩「……」
後輩「血が……、止まって……」
先輩「……」
後輩「……傷、塞がってる……」
先輩「……」
後輩「嘘……」
先輩「……ふ。驚いたろ?」グス
後輩「半ベソじゃねーですか」
14 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/23(土) 19:21:35.30 ID:IYqJZyLx0
先輩「ほっとけ! それより! 見たな! 見ただろ後輩! 嘘じゃなかっただろーが!」
後輩「はぁ、まぁ……」
先輩「なー! これで信じるだろ! なぁ! 信じるだろ不老不死!」
後輩「まぁ……、さすがに実際に目の当たりにしちゃうと、信じないわけには……」
先輩「そーだろそーだろ! か〜っ! 得ちゃったんだよなぁ〜! 永遠に尽きない命! そして絶対に傷つかない体ってヤツをさぁ〜〜っ! かぁ〜〜〜っ!!」
後輩(急にウザくなったな……)
後輩「絶対に傷つかな――……あっ」
先輩「あ?」
後輩「……」カプ
先輩「ふぁぁぁ!?」ビクン
15 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/23(土) 19:22:08.36 ID:IYqJZyLx0
後輩「……」チュゥゥゥ
先輩「〜〜〜〜〜っっっ!?!?!?」バシッ
後輩「あうっ!」
先輩「ば、バカっ! や、やめろって言ってんじゃん首! やめろって! いっつもいっつもぉ!」
後輩「首筋、アホみたいに弱いですよね、先輩」
先輩「っ!」ゲシッゲシッ
後輩「あうっ! あっ、すみませっ、すみませんっ! 痛い!」
先輩「バーカ! バカ後輩! どうすんだよお前、また痕残ったら!」
後輩「残してるんですよ」
先輩「バカぁぁ! お前なぁ、人が毎度毎度、どうやって隠そうと――……あ」
16 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/23(土) 19:22:41.12 ID:IYqJZyLx0
後輩「……」
先輩「あ〜……」
後輩「……」
先輩「……消えた?」
後輩「消えた」
先輩「……ぉーん」
後輩「……はぁぁぁぁぁ」
先輩「いやいや」
後輩「はぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜……」ガックリ
先輩「こんなことでそこまで萎える?」
・
・
・
17 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/23(土) 19:23:20.62 ID:IYqJZyLx0
・
・
・
〜大学構内〜
後輩「……」
後輩「……ふぅん」ペラ
後輩「……」
後輩(昔、ある漁村の娘が――……)
後輩(そうと知らずに、人魚の肉を食べてしまった――……)
後輩「……」ペラ
後輩「……」
後輩(以来、娘は不老不死の体となり――……)
後輩(八百年の歳月を生き、やがて八百比丘尼と呼ばれるようになった――……)
後輩「……はぁ」
18 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/23(土) 19:24:01.38 ID:IYqJZyLx0
後輩(八百年かぁ……)
後輩(言うほど永遠の命感はないな)
後輩(鶴は千年、亀は万年だぞ)
後輩「……」
後輩(まぁ、でも……)
後輩(八百年は……)
後輩(長い、かな……)
後輩「……」パタン
後輩友「おいっすー! なになに? 何読んでんの?」
後輩「ああ、友か……。別に、何でもないよ」
友「ん〜?『人魚の民話』……、アンタ民俗学なんて取ってたっけ?」
後輩「何でもないったら。ただ、暇つぶしに読んでただけ」
友「ほぉ〜ん? ま、いいや。今日道場行く?」
後輩「ああ。……行くよ」
友「んじゃ、一緒に行こー!」
後輩「はいよ」
・
・
・
19 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/23(土) 19:24:39.34 ID:IYqJZyLx0
・
・
・
後輩「あのさぁ」
友「ん?」
後輩「もしさ、不老不死になれるとしたら……、友、なりたい?」
友「は? 何じゃそりゃ」
後輩「いや、ただの世間話」
友「あぁ、さっき読んでた本の話? 人魚の肉ってやつでしょ?」
後輩「ま、そんなとこ」
友「ん〜、どうかなぁ。そうだねぇ……。正直、私は絶対ノーサンキューって感じかな」
後輩「そう?」
友「そりゃそうよ。別に長生きしてまで、やりたいことないし」
後輩「意外とドライよね、友ちゃんさ」
友「ほっとけ。それにさぁ、人に知られたりしたら、絶対ヒドい目にあうでしょ」
後輩「ヒドい目?」
20 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/23(土) 19:25:33.23 ID:IYqJZyLx0
友「たとえばほら、怪しい研究機関にさらわれて、謎の人体実験されたり」
後輩「……」
友「カルト宗教の団体に監禁されて、謎の儀式のイケニエにされたり」
後輩「は、はは……、ま、まさか……」
友「カブトガニ工場みたいな目にあったり!」
後輩「カブトガニ工場……」
友「だって不老不死だよ? どんな手使ってでも研究したい、調べたいって人なんて、山ほどいるに決まってるじゃん」
後輩「……」
友「それ考えたらさぁ、ただの小市民として、分相応に生きてくのが一番……ん? どした後輩?」
後輩「……別に。何でも」
友「そう? ……あ」
21 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/23(土) 19:26:00.98 ID:IYqJZyLx0
後輩「ん?」
友「あそこ、駐車場に停まってるレクサス」
後輩「ゲ、今日師範いるんだ」
友「はぁ〜。まーたシゴかれるよ。目ぇつけられてんのよ私、あのババアに」
後輩「ま、ドンマイ」
友「はぁぁ〜……」
・
・
・
22 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/23(土) 19:26:38.73 ID:IYqJZyLx0
・
・
・
〜剣道場〜
後輩(人体実験……、儀式のイケニエ……)
後輩(……確かに、不老不死なんて知れたら、放っておかれるはずがないよな……)
後輩(先輩……)
正面に礼ー!
神前に礼ー!
アザッシターー!!!
後輩「あざっしたー」
後輩「……」
後輩(もし、先輩が……)
後輩(悪い連中につかまっちゃったら……)
後輩(それで、人体実験なんてされて……)
・
・
・
23 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/23(土) 19:27:15.71 ID:IYqJZyLx0
・
・
・
先輩『ひぃィっ……! な、何すんだよぉ! やめろよぉ!』
先輩『お、おい……、何だよソレ……。そんなドリルなんて、何に使――……うわぁぁっ!』
先輩『いやだ! いやだよぉ! カブトガニみたいなことしないでよぉ!』
・
・
・
後輩「……」
後輩(……先輩)
後輩(泣いちゃうだろうな。ヘタレだし……)
後輩「……」
後輩(それはちょっと……、可哀想だな……)
24 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/23(土) 19:27:42.63 ID:IYqJZyLx0
後輩「……」
友「おつ〜……」
後輩「おつかれ、友」
友「あのババア、いつか絶対泣かす」
後輩「イジめられたね、今日は」
友「ほんとクソ。……あ、この後どうする? メシでも行く?」
後輩「あー、ごめん。今日これから飲み」
友「お、合コン?」
後輩「まさか」
友「じゃ、あの先輩さん?」
後輩「……ま、ね」
25 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/23(土) 19:28:18.12 ID:IYqJZyLx0
友「いやぁ〜、ま〜たですかぁ? おアツいことで、結構でございますなぁ! ヒューヒュー!」
後輩「うっさい。ヒューヒューは古い」
友「まったくぅ、いーっつも先輩さんじゃん。妬けちゃうわっ、もうっ」
後輩「何でちょっとオネエ入ったの今」
友「あのクールな後輩が、こんなにベッタリになる人がいるなんてねぇ……。高校の時の下の子たちが見たら、腰抜かすわよ」
後輩「別に、ベッタリってわけじゃ……」
友「はいはい。ま、たまには友ちゃんとも遊んでよねぇ?」
後輩「分かった分かった。じゃ、またね」
友「うい、おつかれ」
・
・
・
26 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/23(土) 19:28:53.50 ID:IYqJZyLx0
・
・
・
〜駅前〜
先輩「いつもんトコでいいか?」
後輩「ええ、はい」
先輩「おっし、行くかぁ」
後輩「……」
後輩(……先輩)
先輩「空いてっかなぁ、今日〜」
後輩「……」チラ
後輩(もし、不老不死のことが、周りに知られたら……)
後輩(……うっかりバレちゃいそうだしな、先輩アホだし……)
先輩「なーんか」
後輩「へっ?」ビクッ
27 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/23(土) 19:29:52.85 ID:IYqJZyLx0
先輩「今日元気ねーね、後輩ちゃん」
後輩「そ、そうですか? 別にそんなこと……」
先輩「や、何となく」
後輩「……稽古が厳しかったんで、ちょっと疲れてるんですよ。それだけ」
先輩「ふーん? ま、無理すんなよ」
後輩「どうも……」
後輩(アホだけど……、優しいところもあるし……)
後輩(この人が、可哀想な目にあうのは……)
後輩(ちょっと……、いや、それなりに、結構……、だいぶ……)
後輩(……いやだな)
後輩「……」チラ
先輩「〜〜♪」
28 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/23(土) 19:30:20.95 ID:IYqJZyLx0
後輩(私が守らなくちゃ)
後輩(私が助けなくちゃ)
後輩(私が――……)
先輩「あっ! 待って、お金おろしてねぇ!」
後輩「ちょっとぉ……、コンビニ過ぎちゃいましたよ?」
先輩「ちょ、ちょい待ってて! すぐ行ってくるから」ダッ
後輩「もう……」
後輩(私が……、先輩を――……)
・
・
・
29 :
◆UhQaGpUR76
[sage saga]:2019/11/23(土) 19:32:13.51 ID:IYqJZyLx0
今日はここまでです
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/11/23(土) 20:26:19.07 ID:rHn3iYKQo
乙
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/11/25(月) 11:18:55.24 ID:eRNNHKpYo
おつ
32 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/26(火) 22:22:06.58 ID:Ud6Zs9i30
・
・
・
〜居酒屋〜
イラッシャイマセー
ラッシャッセー!!!
店長「いらっしゃー……って、なんだ、先輩ちゃんかぁ」
先輩「えっへっへ……、店長どうも。席あいてる?」
店長「ちょうどよかった! ちょっとあんた、手伝ってきなさいよ! 今日はもうてんてこまいなんよー!」
先輩「えぇ〜〜」
店長「いいじゃない、一時間だけでいいからさ、ねっ。どうせ暇してて飲みに来たんでしょ?」
先輩「やですよ、今日は客っス。ほれ、ツレもいるし」
後輩「ど、どうも」ペコリ
店長「あーらまあ、後輩ちゃんじゃない! 久しぶりー!」
後輩「ごぶさたしてます……」
店長「あっはっは、そんなにかしこまんないでぇ! ま、ゆっくりしてってよ」
後輩「は、はぁ」
先輩「この扱いの差よ……」
店長「当たり前でしょー! ま、後輩ちゃんが一緒ならしゃーないかー。はい、2名様ごあんなーい!」
ヨロコンデー
ヨーコンデェェイイ!!!
・
・
・
33 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/26(火) 22:22:44.02 ID:Ud6Zs9i30
・
・
・
先輩「かんぱーい」カチン
後輩「かんぱーい」チン
先輩「……」グビグビ
後輩「……」グビグビ
先輩「……っぷはぁー!」
後輩「……っぷはぁ……」
先輩「はぁ……、シメサバ頼む?」
後輩「頼みます」
先輩「あとどうしよっかなぁ……」
後輩「っていうか、先輩」
先輩「あん?」
後輩「その後、変わりないです?」
先輩「え? あぁ、相変わらずよ。完全無欠の不死身っぷり」
後輩「そっかぁ……」
34 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/26(火) 22:23:48.20 ID:Ud6Zs9i30
先輩「昨日なんかな、机のカドに、太腿ガツーンって、まあまあエグめにぶつけちゃったのに、アザもあっという間に消えちゃってさぁ」
後輩「バカ丸出しじゃないですか」
先輩「ほっとけ! いやぁ、しかし便利なもんだなぁ、不老不死ってのはさ」
後輩「不死はすごいですけど……、でも不老の方は、言ってもたかだか、八百年くらいなんでしょ?」
先輩「おん?」
後輩「屋久島の杉の木は千年ですよ、千年」
先輩「いや、屋久杉はすげーけどさ……、八百年って何よ」
後輩「ほら、八百比丘尼って」
先輩「……後輩ちゃんね」
後輩「はい?」
先輩「『八百』っつーのはさ、古い言葉だと『めっちゃいっぱい』くらいの意味よ?」
後輩「え、そうなの?」
35 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/26(火) 22:24:29.62 ID:Ud6Zs9i30
先輩「そうだよ。ほら、あるじゃん。『八百万』とか、『ウソ八百』とか」
後輩「八百屋とか……?」
先輩「そう……、あ、いや、それは、どうだろ。分からんけど」グビ
後輩「でも、私の読んだ本だと、八百年生きたから八百比丘尼って……」
先輩「ま、諸説あります、って感じ?」グビグビ
後輩「じゃあ、八百年以上……先輩は生きるってこと?」
先輩「知らねぇよ。参考事例もねぇんだし」グビ
後輩「……そっかぁ」
先輩「つーか、いちいちそんなの調べなくても――……ん……?」
後輩「……どうかしました?」
先輩「……」グビグビグビ
後輩「ちょっと、そんな一気にいったら……、先輩弱いんだから……」
先輩「けふっ。……ん〜〜?」
36 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/26(火) 22:25:19.74 ID:Ud6Zs9i30
後輩「先輩?」
先輩「これ、ビールか? 本当に」
後輩「そりゃそうでしょ」
先輩「いやだって、全然酔わない、これ。ノンアルじゃねーの?」
後輩「まさかぁ……。ちょっとください」
先輩「ほいよ」
後輩「……」グビグビ
先輩「あっ、飲みすぎ! おいっ」
後輩「けふっ」
先輩「……どうよ」
後輩「……どうって、普通にビールですね。普通の」
先輩「あっれ〜? ……っかしいなぁ、普段なら一杯目から、まあまあ気持ちよくなるはずなんだけど……」
後輩「……あ。あれじゃないですか? 不老不死だから」
先輩「だから?」
後輩「毒が効きません、的な理屈で、アルコールにも耐性ができてる、みたいな」
先輩「あー」
後輩「とか」
37 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/26(火) 22:25:52.15 ID:Ud6Zs9i30
先輩「なるほどね」
後輩「適当ですけど」
先輩「いや、それっぽい! ってことはあれか! 今ならシコタマ飲みまくっても、酔いつぶれねーし、二日酔いにもならないってことかぁ!」
後輩「い、いや、それは分からな――……」
先輩「いやっほう! いやー、前からやってみたかったんだよな! バカ強い酒を浴びるほど飲むやつ!」
後輩「ちょっと……、そんな、無理しない方が……」
先輩「すみませーん!」
ハーイ
後輩「もう、先輩……」
店長「はいはい」
先輩「お、店長。注文ね! シメサバとー、イカとー……」
店長「はいよ」
先輩「……あと、このジンを、ストレートで」ニヤリ
後輩「はぁ……、アホだ……」
38 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/26(火) 22:26:33.74 ID:Ud6Zs9i30
店長「ちょっとあんた、こんなの頼んで大丈夫なわけ? いくら不老不死だからって……」
後輩「え」
先輩「だーいじょうぶ、だいじょーぶ! 酒の毒も効かねーの、不老不死だから!」
後輩「ちょ――……」
店長「いいけど、お店で吐かんでよ? ……あ、後輩ちゃんも、飲み物頼む?」
後輩「え、いや、え? あ、あの……」
店長「?」
後輩「……な、生で」
店長「はぁーい! ご注文いただきましたぁー!」
スタスタ
39 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/26(火) 22:27:05.51 ID:Ud6Zs9i30
後輩「……ちょ、あの……先輩?」
先輩「大丈夫だっつーの! マジで全然酔わねえんだから!」
後輩「じゃなくて……。あの、なんで店長さんが、知ってるんですか。その……」
先輩「不老不死のこと?」
後輩「えぇ……」
先輩「なんでって……、言ったから」
後輩「は……はぁぁぁ!?」ガタッ
先輩「わっ、なんだよ」
後輩「ど、どういうつもりなんですか! どうしてそんな大事なこと、軽々しく他人に――!」
先輩「当然だろー、健康上の問題なんだから、勤め先の責任者には、一応伝えとくってのが一般ジョーシキだろ」
後輩「いやいや……」
先輩「何かあったら、お店にだって迷惑が掛かるんだしな。バイトっつっても、そういうとこはしっかりしねーとさぁ」
40 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/26(火) 22:28:12.92 ID:Ud6Zs9i30
後輩「だ、だけど……、もし他の人にバレたり、噂が広まったり……」
先輩「そんなん、お前に話したのだって一緒じゃん」
後輩「そ、それは……、そう、です……けど」
先輩「だろー?」
後輩「……」
先輩「安心しろってー、話したのは店長と、あとお前だけなんだから」
後輩「……」
先輩「店長も、口カタい人だしな」
後輩「……」
後輩(……なんだ)
後輩(……私にだけじゃ、なかったんだ……)
後輩「……」
先輩「後輩ちゃーん? どしたのほんと。今日元気ねーね、マジで」
後輩「……何でも、ないです……」
先輩「そう?」
41 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/26(火) 22:28:50.84 ID:Ud6Zs9i30
後輩「……それで、店長さんにも見せたんですか? あの傷がムニョムニョ治るやつ」
先輩「へ? 見せてないけど?」
後輩「え……」
先輩「いや〜、やっぱそういうとこ、お前よりか大人だわ、あの人」
後輩「……」
先輩「私が一言、こういうことなんで―っ! って伝えたら、店長もはいはい了解ーっ! ってなもんでな」
後輩「そ――……」
後輩(そんなこと……)
後輩(そんなことって、あるか、普通……!?)
後輩(本気にしてない、にしても……)
後輩「……」
後輩(いや、そもそも……)
後輩(ただの飲み屋に、人魚の肉なんてものが、どうして届いた……?)
後輩(どうして店長さんは、先輩が食べるのを、強く止めなかった……?)
後輩(何の魚かも分からないものを――……)
後輩「……」
先輩「? ……後輩?」
42 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/26(火) 22:29:50.66 ID:Ud6Zs9i30
店長「おっ待たせしゃーした〜♪」
後輩「っ!」ビクッ
先輩「おっ、きたきた!」
店長「あんたはホント、ほどほどにしとくんよ?」
先輩「へいへ〜い」
後輩「……」ジッ
後輩(わざわざ店長さんが、自分で注文を持って……?)
後輩(いったい、何のために……?)
後輩「……」ジー
店長「……」
後輩「……」ジー
店長「あたしの顔、なんかついてる?」
後輩「へっ!?」ビクッ
店長「いやぁ〜、そんな情熱的に見つめられたら、オネーさん照れちゃうわあ♪」
後輩「いっ、いや! 別にっ、そういうわけでは……っ!!」ワタワタ
43 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/26(火) 22:30:59.53 ID:Ud6Zs9i30
店長「あっはは、後輩ちゃんって、からかいがいあるよねぇ」
先輩「後輩ぃ〜、ちょっかい出すのもいいけど、この人旦那さんいるぜー?」
店長「今は! バツ! イチ! だっての! ――って、何言わすのあんたは!!」ペシッ
先輩「ってぇ!」
後輩「あ、あはは……」
店長「あ〜、あんたらと話してると飽きんわ、ほんと」ケラケラ
先輩「だからって店長、酒運んでまで遊びに来てたら駄目でしょー。真面目に働いてくださいよー」
店長「うっさい! 見に来たかったからいーの! あたしの店だからいいんだー!」ケラケラ
先輩「あっ、さてはまた飲んでやがるな、この人!」
後輩「……」ジー
後輩(店長さん、この人は一体……)
後輩(どこまでが本気なんだ……?)
店長「ごゆっくりどうぞ〜♪」スタスタ
先輩「やれやれ、仕事中に飲むなよなぁ、まったく……」グビグビ
後輩「……」
先輩「……っくぅ〜〜! ストレートは効くなぁ〜! 効かねぇけど!」
44 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/11/26(火) 22:31:35.45 ID:Ud6Zs9i30
後輩「……」
先輩「……後輩?」グビグビ
後輩(冗談のつもりなのか……)
後輩(それとも、何か……)
後輩(何か裏が……、隠してるものが……?)
後輩(もし……、そうだとしたら……)
後輩(私は――……)
先輩「……後輩」
後輩「え? あ、すみません。ちょっとボーッとしちゃって……」
先輩「あのさ……」
後輩「は、はい?」
先輩「ちっとも酔わないのも、割とつまんないのね、お酒って」
後輩「でしょうね」
・
・
・
45 :
◆UhQaGpUR76
[sage saga]:2019/11/26(火) 22:33:39.58 ID:Ud6Zs9i30
今日はここまでです
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/11/27(水) 07:29:27.36 ID:Sms3XiEAo
乙
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/11/27(水) 12:29:08.33 ID:Td3SziCxo
おつ
48 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/12/10(火) 21:18:31.58 ID:hgHB/eFA0
・
・
・
ダッダッダッ
後輩『はっ……はっ、はぁ……!』タッタッ
先輩『ハッ、ハッ、ハ……』タッタッタッ
こっちだー!
逃がすなー!
後輩『……っ! こっちです、先輩……!』ダッ
先輩『お、おい、後輩!』タッタッ
ダッダッダッ
ダッダッ
・
・
・
49 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/12/10(火) 21:19:03.20 ID:hgHB/eFA0
・
・
・
後輩『あっ――……』
先輩『うぉ……っ』
ザザーン
ザーン
後輩『……』ハァハァ
先輩『嘘だろ……』ハァハァ
後輩『……』
先輩『崖かよ……、行き止まりじゃねえか……』
ザッ
黒服1『追い詰めたぞ』
黒服2『さぁ、大人しくその女を渡してもらおう』
後輩『……』
先輩『はぁ……、くそ……っ』
50 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/12/10(火) 21:19:48.58 ID:hgHB/eFA0
ザザーン
後輩『……先輩』
先輩『あ?』
後輩『先輩ひとりなら……、ここから飛んでも、生きて逃げられますよね……?』
先輩『お、おい……、どういう意味だよ、後輩……』
後輩『ここは私が食いとめます』
先輩『なっ……!』
後輩『私は大丈夫です! だから、どうか先輩だけでも!』
先輩『馬鹿やろ……っ! お前な――……』
『お、いたいた』
後輩『へ?』
先輩『は?』
51 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/12/10(火) 21:20:41.49 ID:hgHB/eFA0
店長『おーい。先輩ちゃーん』
先輩『あれ、店長ぉー』
後輩『な……っ!?』
店長『何してんのよ、もう。そんな危ないとこいないで、こっち来んさい、こっち』
先輩『えぇ〜? いやでもさぁ……、うぅん、まいったなぁ、もぉ』
後輩『せ、先輩! 駄目です! そいつらのところに行ったら……!』
店長『だーいじょーぶだってぇ。悪いようにはしないからさぁ』
先輩『うーん……、まぁ、店長がそういうなら……』スタスタ
後輩『先輩ぃ!』
先輩『悪ぃな、後輩。店長に言われちゃったらさぁ、ほら、しゃーないじゃん?』
後輩『そ、そんなぁ……!』
52 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/12/10(火) 21:21:11.01 ID:hgHB/eFA0
先輩『そんじゃな、後輩』
店長『そうそう、おいでおいで。あ、ついでに今日シフト入れる?』
先輩『え〜、それは勘弁っスよ、店長〜』スタスタ
店長『固いこと言わんでさぁ』スタスタ
後輩『せ……せんぱ……』ヨロッ
ガラッ
後輩『あっ!』
ガララッ!!
後輩『あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!』
・
・
・
53 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/12/10(火) 21:26:59.17 ID:hgHB/eFA0
・
・
・
ピピピピピピピピピピピピピピピ
後輩「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!」ガバッ
後輩「っっ!?!?」
ピピピピピピピピヒ
ピッ
後輩「……」
後輩「……」
後輩「……夢?」
後輩「……」
後輩「……」ハァ
〜数日後・早朝 後輩のアパート〜
後輩(何つー夢だ……)
後輩「……」ハァァァ
54 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/12/10(火) 21:27:34.18 ID:hgHB/eFA0
後輩(結局、あの日の店長さんの真意は……)
後輩(考えれば考えるほど、分からなくて……)
後輩(ずっと悶々とした挙句……、こんなしょーもない夢まで……)
後輩「……」
後輩(……いや、ありえないんですけどね、普通に考えて)
後輩(こんな陰謀論じみた妄想、真剣に悩んでる方が、アタマおかしいです)
後輩「……」
後輩「……ぅん」
後輩「……うぅぅん」
後輩(けど……)
後輩(そもそも不老不死なんて、ありえないことが起こっている以上、何があったって不思議とは言えないわけで……)
後輩「うぅ〜〜ん……」ブンブン
後輩「いやぁ〜〜……」ブンブンブン
55 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/12/10(火) 21:28:12.93 ID:hgHB/eFA0
先輩「お、起きた」
後輩「あっ! お、おはよう……ございます……」
先輩「何してんの、お前」
後輩「え? あー、いや……、朝の……体操……?」
先輩「へぇ。起き抜けから大変ね、剣道ガール」
後輩「あ、あはは……」
先輩「つーかお前、結構うなされてたぞ? 大丈夫か?」
後輩「え」
先輩「何か、明け方ずっと、カブトガニぃ〜、って言ってた」
後輩「な、なな何ですかねっ!? 変な夢でも見たのかな!? あは、あははは……」
56 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/12/10(火) 21:29:03.70 ID:hgHB/eFA0
先輩「また変なストレス溜めてんじゃねーの?」
後輩「や、あの、別に、何ともないですから!」
先輩「そう?」
後輩「も、もちろん! 元気いっぱい! いっぱいいっぱい!」
先輩「いっぱいいっぱいなのかよ」
後輩(先輩……)
後輩(今、先輩に、妄想みたいな話をして……)
後輩(怖がらせたり、不安にさせたりするのは……)
後輩(それは……、いやだな……)
後輩「……」
57 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2019/12/10(火) 21:29:36.06 ID:hgHB/eFA0
後輩「って、ていうか、先輩、今朝は珍しく早いですね」
先輩「1コマ目出なきゃなんだよ、今日」
後輩「へぇ〜、すごい。ついに卒業する気になったんですね」
先輩「シバくぞこの野郎」
後輩「はは……」
先輩「ったく……」
後輩「……あの」
先輩「ん?」
後輩「先輩、今日バイトあります?」
先輩「あー? おう、7時から」
後輩「私、飲み行っていいですか、今日?」
先輩「別にいいけど。相手してやれねーぞ。金曜だから混むしな」
後輩「え、えぇ。大丈夫です。普通に飲むだけなんで……」
先輩「ほーん……?」
後輩「……」
・
・
・
58 :
◆UhQaGpUR76
[sage saga]:2019/12/10(火) 21:31:42.56 ID:hgHB/eFA0
今日はここまでです…
エタらねぇぞ…
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/12/10(火) 23:49:45.57 ID:Q77tlBLQo
舞ってたぜ
乙
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/12/10(火) 23:49:55.68 ID:/fU2TgiPo
舞ってたぜ
乙
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/12/10(火) 23:59:14.01 ID:Q77tlBLQo
ルーターの調子が悪くて連投になった
スマソ(´・ω・`)
62 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:20:34.84 ID:xfZunq6b0
・
・
・
〜夜・居酒屋〜
後輩「……」ガラッ
イラッシャイマセー!
ラッシャッセェェーイ!!
後輩「……うーん」
後輩(本当に混んでた……)
先輩「いらっしゃ……うわ、お前、本当に来たのかよ」
後輩「はぁ、すみません……。席、空いてます?」
先輩「空いてるけどさ。……カウンターでいいよな?」
後輩「ええ、全然」
63 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:21:42.12 ID:xfZunq6b0
先輩「んじゃ、そこの席な」
後輩「どうも。……って、あれ。予約席?」
先輩「取っといてやったんだろが。お前が来るっていうから」
後輩「うわぁ、何か、すみません。ありがとうございます」
先輩「つーか、マジで相手してやれねーからな、今日は」
後輩「わ、分かってますって」
先輩「生でいいかー?」
後輩「お願いします」
先輩「はいよー」
後輩「……」
後輩(……なんか、気ぃ遣わせちゃったな)
後輩(……まあ、とにもかくにも)
後輩「……」キョロキョロ
64 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:22:50.85 ID:xfZunq6b0
後輩(店長さん……)
後輩(あの人の様子を探って……)
後輩「……」
店長「はい、これ4卓様ー!」
後輩(……いた)
後輩「……」ジッ
後輩(もし店長さんが、先輩のことに、何か関係してるとしたら)
後輩(何か、怪しい動きがあるはず……)
後輩(先輩をこっそり観察していたり……、妙な態度を見せたり……)
後輩(何か、不自然なところが……)
後輩「……」ジーッ
店長「……」
後輩「……」ジーー
店長「……?」ニコ
後輩「あ」
店長「……」ヒラヒラ
後輩「……」ペコリ
65 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:23:45.33 ID:xfZunq6b0
後輩(……うーん)
後輩(……普通だ)
先輩「なーにボケっとしてんだよ」
後輩「うひゃあ!」
先輩「変な声出すなバカ」
後輩「せ、先輩……。な、何ですかもう……」
先輩「お前が何なんだよ。ほら、ビール」
後輩「あ、どうも……」
先輩「それと、お通し」
後輩「わぁ……」
先輩「これが山芋のたまり漬け。こっちがつぶ貝の甘辛煮で、あと豆あじのマリネな」
後輩「また、こじゃれたものを……」
先輩「店長の趣味だよ。……じゃ、あとはごゆっくり。飲みすぎんなよー」
後輩「分かってますよぅ……」
66 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:24:35.24 ID:xfZunq6b0
後輩「……」
後輩(……ふぅ)
後輩「……」グビ
後輩(店長さんは……)
後輩「……」
後輩(相変わらず、忙しそうだけど)
後輩(別に変ったところは……)
後輩「……」
後輩「……」ジー
後輩「……」グビ
後輩「……」
後輩(……山芋)
後輩「……」パクリ
後輩「……」シャキ モグ
後輩「……!」
後輩(美味しい……!)
67 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:25:07.07 ID:xfZunq6b0
後輩「……」パクパク
後輩(ほのかに生姜の風味がきいてて……)
後輩「……」グビグビ
後輩(お酒にもよく合う……!)
後輩「……」プハ
後輩(……つぶ貝)
後輩「……」モグ
後輩(美味……っ)
後輩(柔らっかぁ……!)
後輩(どんな仕組みだこれ……!)
後輩「……」モグモグ
後輩「……」グビグビ
後輩「……」モグモグ
後輩「……すみませーん! 生ひとつー!」
ハーイ!!
68 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:26:33.77 ID:xfZunq6b0
後輩「……♪」
後輩(次は何頼もっかなぁ)
後輩(お揚げと漬物……)
後輩(いやいや、まずは刺身のお勧めの引いてもらって……)
後輩「……」ハッ
後輩(……って、違う違う!)
後輩(今日は店長さんの動向を、調べないと!)
後輩(そのために来たんだってば!)
後輩「……っ」ジー
後輩「……」
後輩「……」キョロ
後輩(……お勧めはホンビノスの酒蒸しかぁ……)
後輩「……!」ハッ
後輩(違うってば私ーーー!!!)
・
・
・
69 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:27:12.70 ID:xfZunq6b0
・
・
・
先輩「はい4卓様おかえりでーす!」
アリガトーゴザイマシター!
アリャーシタァァー!!
先輩「……ふぅ」
先輩「……お」
先輩(あいつ、まだ飲んでたんだ)
先輩「……」
先輩「……?」
・
・
・
後輩「……」
後輩「……」ジー
・
・
・
先輩「……」
先輩(何だ? 何かジッと見て……?)
70 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:28:22.85 ID:xfZunq6b0
先輩「……」ヒョイ
店長「またお越しくださーい、ありがとうございましたー!」ニコニコ
後輩「……」
先輩「……?」
先輩(……店長?)
先輩(何だってアイツ、店長のことなんてジロジロと――……)
先輩「……あ」
先輩(そういや、後輩……)
先輩(この前店に来た時も、店長のこと……)
先輩「……ほほーん」
店長「ちょっと先輩ちゃん! 何突っ立ってんの! 席かたしちゃって!」
先輩「あ、サーセーン」
・
・
・
71 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:29:03.17 ID:xfZunq6b0
・
・
・
〜後日・大学〜
キーンコーンカーンコーン
後輩「……ふぅ」
後輩(……あれから)
後輩(何度か、お店に行ってみたけど……)
後輩(これといった手ごたえもなく……)
後輩「……」
後輩(店長さんが先輩をジッと見ていることは、確かに何度となくあった)
後輩(でも、単なる仕事上の目配りと言ってしまえば、それまでで……)
後輩「……」
後輩(怪しむ理由にはなりませんよね)
後輩(でも、疑いを晴らすほどの根拠もありません……)
72 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:30:07.12 ID:xfZunq6b0
後輩「……はぁー」
後輩(これ以上、お店に顔を出しても、この状況が進展する気はしないし……)
後輩(そして何より――……)
先輩「おーっす後輩ー!」
後輩「あ……、先輩。どうもです」
先輩「あれ、お前、次この教室?」
後輩「法学棟ですよ。ちょっと疲れたんで、休んでただけです」
先輩「あっはは、飲み疲れだろ、どうせ」
後輩「ですかねー……」
先輩「そうだって。ここのとこ連チャンじゃん。おっさんかよ」
後輩「否定できないのがムカつく……」
先輩「んで? 今日はどうする? また一人で飲み来ちゃう?」
後輩「……――ません」
先輩「ん?」
後輩「行け、ません……。もう無理ですよ……」
73 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:31:10.80 ID:xfZunq6b0
先輩「何だよ」
後輩「お金ないんですよぅ……!」
先輩「あっはははは!」
後輩「笑い事じゃないんですよっ」
先輩「あははは!そりゃだって、お前、あんな毎晩あれだけ飲み食いしてりゃさぁ!」
後輩「お店のメニューが美味しいのが悪いんですよ……」
先輩「お前がアホなだけだろー?」
後輩「うっさいですっ!」
先輩「あははは」
後輩「……先輩、念のため聞きますけど……」
先輩「金なら貸さねーぞ」
後輩「ですよね……」
後輩(……まさかこの歳になって、親に仕送りの前借りを頼むハメになるとは……)
後輩(こうなっては、お店でこっそり探りを入れることもできません)
後輩(いったい、どうしたら……)
74 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:31:43.10 ID:xfZunq6b0
後輩「……」
先輩「……」
後輩「……」
先輩「……な、なぁ、後輩さ。お前さ、最近よく来るのって、やっぱ店長が――……」
後輩「……あ、はい? ごめんなさい、何です?」
先輩「い、いや、だからさ。お前、店長を――……」
キーンコーンカーンコーン
後輩「あっ、やば! 授業始まった! ……すみません! またです!」ダッ
先輩「あっ……」
タッタッタッ
先輩「……」
先輩「……ほーん」
・
・
・
75 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:32:36.41 ID:xfZunq6b0
・
・
・
〜夕方・居酒屋〜
店長「〜♪」トントン
店員1「大根こっちオッケーでーす」
店長「あんがと〜、そこ置いといてー」
店員1「うぃっすー」
店員2「店長〜!」
店長「はいはーい」
店員2「お客さんですけどぉ〜」
店長「へ? 私?」
店員2「あの何でしたっけ? 先輩ちゃんとこの……」
店長「……後輩ちゃん?」
・
・
・
76 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:33:12.18 ID:xfZunq6b0
・
・
・
後輩「……」
後輩(来てしまった……)
後輩(いや、でも……、もう探りを入れてもラチがあかない)
後輩(そもそも、もう懐も余裕がない)
後輩(だとしたら、もうこの際、仕方がない……)
後輩(イチかバチか! 直接聞いてみるしかない……っ!)
後輩「……」
後輩「……何やってんだろ、私……」
店長「あ〜、ごめんごめん」
後輩「あっ」
店長「や!」
後輩「ど、どうも……」ペコリ
77 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:33:46.35 ID:xfZunq6b0
店長「どしたのー。まだお店開かないよー?」
後輩「す、すみません、忙しい時に……」
店長「いやぁ、いいんよいいんよ。それで? どしたん?」
後輩「……あの。実は、先輩の、ことで……」
店長「うん? 先輩ちゃん……?」
後輩「……へ、ヘンな話、なんです、けど……。あの、先輩が……、店長さんに……」
店長「うん」
後輩「……ふ、不老不死、って……」
店長「……」
後輩「あの話……、店長さんは、その、そ、率直に言って、どう思――……」
店長「……ぶっ!」
後輩「え?」
店長「あっっはははははっ! あはははははっっ!!」
後輩「あ、あの……」
店長「あははははっ! ひぃ……っ! ははっ、な、何もぉ! 後輩ちゃんもグルなん? あのしょうもないネター!」
後輩「え、あ……」
78 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:34:14.16 ID:xfZunq6b0
店長「ドッキリ……ってか、モニタリング? あの子もアホだよねー!『店長……、私、死ねない体になった……』ってさあ……クッ、クックク……」
後輩「ドッキリ……」
店長「ハイハイ、っつって流したけど、後輩ちゃんまで仕掛け人なのは……ぶふっ……あははは! あー、駄目だぁ、アホすぎて笑っちゃう!」
後輩「え、えっと……、あ、あー……、あははー、ば、バレてましたかぁー」
店長「あったりまえでしょー! 今時ね、もうちょっとヒネらないと! あんなん、小学生でも引っかからんよー」
後輩「で、ですよねー」
店長「後輩ちゃんもね、あのアホの子に付き合って、しょうもないことやってたらいけんよ? 冗談の通じない相手だったら、カーッていかれてんよ?」
後輩「ご、ごめんなさい」
店長「んっふふ……、私は大丈夫だけど! 面白かったから全然オッケー! はー、久しぶりにアホ見た」ケラケラ
後輩「……」
後輩(……やっばい)
後輩(めちゃくちゃ恥ずかしい……)
後輩(もう絶対、お店飲みに行けない……)
79 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:34:51.77 ID:xfZunq6b0
後輩「……はぁぁ」
店長「ま、アンタたちがこんな、仲良しカップルなのはね、お姉さん的にも見てて嬉しいけどね」
後輩「か、カップル……」
店長「あら、違った?」
後輩「違っては〜……、いやまぁ、そういうのじゃ……、まぁ何か、腐れ縁……っていうかぁ、いやま、そのぉ……」
店長「……あ、へぇ。う〜ん」
後輩「……え、何です?」
店長「ああ、ごめんね。後輩ちゃんね」
後輩「はい」
店長「好きでしょ? 先輩ちゃんのこと」
後輩「ぶっ!」
店長「違うん?」
後輩「違っ…………」
店長「……」
後輩「……く、ないです」
80 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:35:24.28 ID:xfZunq6b0
店長「……」
後輩「……好き、です」
店長「だーよねー! でさでさ、それって、ちゃんと先輩ちゃんにも言ってる?」
後輩「そ、それはぁ〜……」
店長「……」
後輩「でも、わ、わざわざ言うこともないっていうか……。一緒に生活してますし、なんやかんや、いっつも一緒ですし、それも中学から一緒だし、それに――……」
店長「言ってないん?」
後輩「……えっと、あの……」
店長「……」
後輩「……」コクン
店長「あ、違うんよ。責めてるとか、駄目よって言ってるわけじゃ、なくてね?」
後輩「は、はい……」
店長「ただねぇ……。ほら、アホでしょ、あの子」
後輩「はい」
店長「まぁまぁのアホでしょ」
後輩「はい」
81 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:36:39.87 ID:xfZunq6b0
店長「だからね……。もし後輩ちゃんが、あの子のこと大好きで、大切に思ってても……」
後輩「……」
店長「近くにいるのが当たり前すぎるとね、その気持ちに気付けないことって、きっとあると思うんよ。……先輩ちゃんみたいな子は、特にね」
後輩「当たり前……」
店長「そう、当たり前。……一緒にいるのが当たり前だから、一緒にいるのか。好きだから一緒にいるのか……」
後輩「……」
店長「……同じ一緒でも、きっと、ちょっと違うの」
後輩「……」
店長「もし、あなたたちに何か、ちょっとしたトラブルが――……たとえば、たとえばよ?」
後輩「はい……」
店長「何かを試されるような、そんなことが起きたとして」
後輩「……」
店長「そのピンチを救ってくれるのって――……、きっと、そういうちょっとした違いだったりするんよね」
後輩「……店長さん」
店長「……なんてね。ちょっと説教はいっちゃった? ごめんね!」
後輩「い、いえ……」
82 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:37:20.33 ID:xfZunq6b0
後輩(……店長さん……)
店長「……、……バツイチの言葉は重いなって思ったでしょ」
後輩「お、思ってない! 思ってません!」
店長「あっはは! ……ね、後輩ちゃん」
後輩「はい……」
店長「私ねぇ、後輩ちゃんと先輩ちゃん、あなたたちのこと、本当に大好きなの」
後輩「……」
店長「二人にはずっと仲良しでいてほしいし、二人でずっとアホやって、笑っててほしいし、暇なときは二人で、私のお店に来て、そんで山ほど飲んでほしいわけ」
後輩「……」
店長「だからさ、二人が苦しそうだったり、気まずそうにしてるところは、見たくないんよ……」
後輩「店長さん……」
83 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:38:00.24 ID:xfZunq6b0
店長「……でもね、そんな風になっても、きっとあなたたちは、何やかんや乗り越えて……」
後輩「……」
店長「それで、またアホみたいに笑かしてくれるって」
後輩「……」
店長「そう思ってるよ、私は。本当に」
後輩「はい……」
店長「応援してるんよ、私。これでも」
後輩「……店長さん」
店長「……」ニッコリ
後輩「ありがとうございます」ペコリ
店長「んふふ、真面目よねぇ、後輩ちゃんは!」
・
・
・
84 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:40:19.06 ID:xfZunq6b0
・
・
・
〜後日・大学〜
先輩「……ふぁ、ねむ」ファー
先輩「……っ」ノビー
後輩「せーんぱいっ!」ダキッ
先輩「うわぁ! びっくりしたぁ!」
後輩「ふふっ、もう、ビビりすぎですよぉ」クスクス
先輩「やめろよ、お前……、心臓止まるかと思っただろ……」
後輩「おっ、不老不死ジョークですね? いやぁ、キレてますねぇ、今日の先輩!」
先輩「……今日は機嫌いいわね、後輩ちゃんよ」
後輩「え〜、そうですかぁ? いつもと変わんないと思いますけどぉ」ギュー
先輩「めっちゃひっついてくるじゃん……」
後輩「えへへ……、当たり前ですよぉ」
先輩「当たり前なのかよ」
後輩「でも、当たり前じゃないんですよ」
先輩「……は? 禅問答か?」
85 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:40:56.24 ID:xfZunq6b0
後輩「……ふふ、あのね、先輩」
先輩「何だよ」
後輩「……あ、あー、でもやっぱり、今じゃない方がいっかぁ……。もうちょっと、やっぱり、雰囲気とか……、せっかくだし……」ゴニョゴニョ
先輩「あ、何て?」
後輩「な、何でもないですっ」パッ
先輩「……後輩?」
後輩「また今度、ちゃんとお話しします! ……とっても、大事な話」ニコニコ
先輩「……」
後輩「じゃ、先輩! またでーす」タッタッタッ
先輩「お、おー……」
先輩「……」
先輩(……どうしちゃったんだ、アイツ?)
先輩(近頃妙に、思いつめた顔してると思ってたら……)
先輩(急にアホ面で、ニヤニヤしちゃって……)
先輩「ほーん……」
先輩(とっても……、大事な話……)
先輩「ほほーん……」
・
・
・
86 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:41:40.60 ID:xfZunq6b0
・
・
・
〜夜・居酒屋〜
先輩「4卓オッケーでーす!」
店員2「ウェーイ」
先輩「洗いもん、手伝いますー」
店員2「ウェイ、サンキュー」
先輩「ウェーイ」
店員2「……」ジャブジャブ
先輩「……」ガチャガチャ
店員2「……」ジャブジャブ
先輩「……」
店員2「……あ、そういやさぁ」
先輩「はい?」
87 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:42:25.84 ID:xfZunq6b0
店員2「何つったっけ? 先輩ちゃんといっつも一緒のさ、あの子」
先輩「後輩?」
店員2「あ、そうそう。後輩ちゃん」
先輩「アイツ、どうかしました?」
店員2「何かさ、こないだお店に来てたよ」
先輩「あー、最近ちょくちょく来てますよね。一人で」
店員2「いや、そうじゃなくてさ。開店前に」
先輩「へ? 開店前? ……何スかそれ?」
店員2「それがさぁ、店長に話したいことがあるとか、何とかってさ」
先輩「……」
店員2「何か、真剣っつーか、こう……、思いつめた顔してて」
先輩「……な、何の用だったんすかねぇ〜……?」
店員2「いや、話の内容までは分かんなかったんだけど」
先輩「……」
88 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:42:57.43 ID:xfZunq6b0
店員2「でもさ、店長、戻ってきたら妙にニコニコしちゃっててさぁ!」
先輩「……そっかぁ」
店員2「そっかぁ、じゃないでしょ。どーすんのアンタ」
先輩「どー、って、何をどうするんですか」
店員2「だってさぁ!」
先輩「だっても何も、別に私ら、付き合ってるわけでもねーですし」
店員2「えっ!?」ガッシャン
先輩「うわっ! ちょっ……!? 割れた!?」
店員2「割れてない割れてない! セーフ! ……セェーッフ」
先輩「ちょっとぉ……」
店員2「え、ていうか、真面目に? 恋人じゃないの?」
先輩「違いますって」
89 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:43:58.87 ID:xfZunq6b0
店員2「でも、同棲してんじゃん」
先輩「ルームシェアですって」
店員2「セックスだって」
先輩「!?」ガッシャン
店員2「あっ! ちょっ!?」
先輩「割れてない割れてない!!」
店員2「セェーフ……」
先輩「はぁ……」
店員2「……」
先輩「……何で知ってんスか」
店員2「だってアンタ、たまに首にキスマーク……」
先輩「うぁー……」
店員2「それで付き合ってないってのはさ、ちょっとアレでしょ」
先輩「アレですか」
店員2「アレだよー」
90 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:44:32.32 ID:xfZunq6b0
先輩「……でも実際、お互い告白とか、そういうのもしてねぇですし」
店員2「や、告白とかは、別になくてもいいっしょ」
先輩「恋人っぽいこととかも、まぁ、全然」
店員2「何それ、たとえば?」
先輩「えー? 何だろ……クリスマスデートとか?」
店員2「しないんだ」
先輩「しませんよ」
店員2「バレンタインは?」
先輩「あ、それは友チョコ的なのを」
店員2「あぁ、へぇ……」
91 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:45:03.13 ID:xfZunq6b0
先輩「……だから、アイツが店長とどうにかなったって、別に私に、とやかく言える筋合いはないってワケでしてね……」
店員2「そうかなぁ、筋とか別に、関係ないと思うけどなぁ……」
先輩「リーダー、実は割とイケイケですよね……」
店員2「えぇ〜、そんなことないと思うけど〜――……」
3名様ご来店でーす!
先輩「いらっしゃいませー」
店員2「ラッシャッセェェーッッ!!」
先輩「……掛け声イカつすぎません?」
店員2「そんなことないと思うけど〜……」
・
・
・
92 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:45:36.84 ID:xfZunq6b0
・
・
・
先輩「お先失礼しまーす」
お疲れさまー
お疲れー
ガラララ バタン
先輩「……ふぅ」
先輩「……」
先輩(……後輩)
先輩「……そっかぁ」
先輩「……」
93 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:46:23.85 ID:xfZunq6b0
先輩(……ちゃんと)
先輩(言っとけばよかったなぁ……)
先輩(ちゃんと……、思ってること……)
先輩「……無理じゃんね、もう」
先輩「……死ねない身体なんかじゃ、ね……」
先輩「……」
先輩「……はぁ」
先輩「……」
・
・
・
94 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:47:20.29 ID:xfZunq6b0
・
・
・
〜後日・後輩宅〜
先輩「……」ペラ
先輩「……」
先輩(八百比丘尼は――……)
先輩(その長い生涯を経たのち……)
先輩(福井にあるお寺で、入定を果たしたという――……)
先輩「……」ペラ
先輩「……」
先輩「福井かぁ……」
先輩「越前ガニだな……」ペラ
先輩「……」パタン
先輩「よし」
95 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:48:59.21 ID:xfZunq6b0
先輩「準備オッケー」
先輩(……悪いな、後輩)
先輩(黙っていくなんて、申し訳ないけど……)
先輩「……」
先輩「これでいいんだ、これで……」
先輩「……行くか」スッ
ドタドタ ガチャン
後輩「ただいまです〜! は〜、疲れ――……」
先輩「あっ」
後輩「え?」
先輩「……」
後輩「……あの」
先輩「お……、おかえり」
96 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:50:17.55 ID:xfZunq6b0
後輩「はぁ。ただいまです。……お出かけです?」
先輩「あー……まぁ、その……」
後輩「ってか、何ですかその大荷物。旅行行くんじゃない……ん……で――……」
先輩「……」
後輩「……先輩?」
先輩「あー、コホン」
後輩「……」
先輩「んー、後輩」
後輩「はぁ」
先輩「店長と……、仲良く、な」
後輩「はぁ?」
先輩「じゃ」ピッ
97 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:51:25.82 ID:xfZunq6b0
後輩「ちょ、ちょっ、ちょ……っ! じゃ! じゃないんですよ! 何訳わかんないこと言ってるんですかアンタ」ガシッ
先輩「ふぎゃっ」ガクン
後輩「何なんですかいやマジで! 店長さんと仲良くって、どういうことですか! ってかそもそも、どこに行く気なんですかぁ!?」
先輩「ふ、福井……」
後輩「何で福井! 越前ガニでも食べ行く気なんですか! アホなんですかアンタは!」ガッチリ
先輩「うーるーせー! はーなーせー!!」ジタバタ
後輩「やーあーだー!!」
ドタバタ! ドタン! バタタン!!
ドスン!
先輩「ぎゃんっ」
後輩「はぁ……はぁ、ふー……、ふぅー……っ」
先輩「はぁ、はぁ、はぁ……」
98 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:52:11.82 ID:xfZunq6b0
後輩「先輩……」
先輩「ちょ……、退きなさいよ、重……」
後輩「どこに行く……つもりだったんですか」
先輩「……福井のお寺にな、八百比丘尼が最期をむかえたお洞があってな……」
後輩「な……」
先輩「……そこで過ごすのさ。この永遠の命が尽きるまで、ひっそりとな……」
後輩「アホじゃん」
先輩「んだとー!」
後輩「いやアホですよ! アホそのものー! そんなの先輩絶対無理ですから! 一人で一日もいられない寂しんぼのくせに!」
先輩「う、うるせーうるせー!」
後輩「お寺なんて、美味しいもんも何もないんですよ! お酒だって飲めないし!」
先輩「うっ……、飲めないのは……、うぅん……」
99 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:53:06.55 ID:xfZunq6b0
後輩「だいたい! 何のつもりでそんなアホなこと思いついたんですか。小学生の家出じゃあるまいし」
先輩「は……っ、定命の者には分からねぇだろうよ……。トコシエに生きる宿命の、その孤独なんて……」フッ
後輩「うっわ」
先輩「引いてんじゃねーこの野郎ー!」
後輩「……先輩、昔好きでしたもんね、そういう系の。ファンタジー? ラノベ? みたいなやつ」
先輩「やめろー! 昔の話はやめろー!」
後輩「なーにがジョーミョーノモノですか、アホのくせに賢ぶっちゃって……」
先輩「うるせっつーの! い、いいから、さっさとどけ! そんで店長のとこでも行ってこい!」
後輩「あ、それ!何なんですかそれ! なんで店長さんが出てくるんですか!」
先輩「いやだって、この間お前……、店来たんだろ? 開店前に。店長に会いに」
後輩「えっ、なぜそれを……」
100 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:54:13.70 ID:xfZunq6b0
先輩「で、言ったんだろ?」
後輩「へ?」
先輩「付き合ってください的なさ」
後輩「いえ?」
先輩「……」
後輩「……」
先輩「……告白……」
後輩「いやしませんし」
先輩「……」
後輩「……」
先輩「え?」
後輩「え? 何で? 何でそうなるんです?」
先輩「い、いやだって、何か色々、雰囲気がこう……ゴニョゴニョ。……っつーか、だったらお前、何しに行ったんだよ、店長のとこなんて」
後輩「あ、そ、それは〜……、黒幕的な、色々、雰囲気がこう……、ゴニョゴニョ……」
先輩「何で泣きそうなんだよ、そこで」
101 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:55:13.43 ID:xfZunq6b0
後輩「と、とにかく! 全然違います! そんな話、全然してないんです!」
先輩「じゃ、どんな話したんだよ!」
後輩「それは――……」
先輩「あ?」
後輩「……」
先輩「……?」
後輩「……あぁ、そうか」
先輩「ん?」
後輩「こういうことだったんですね、店長さん……」
先輩「……後輩?」
後輩「先輩」
先輩「お、おう」
後輩「私、先輩に、どこにも行ってほしくありません」
先輩「……!」
102 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:55:43.28 ID:xfZunq6b0
後輩「ずっと一緒にいたいし、もっと近くにいたいし、いっぱい二人の時間がほしい」
先輩「こうは――……」
後輩「一緒にいて当たり前、だからじゃなくて。私が、そうしたいから」
先輩「……」
後輩「先輩のことが、好きだから……」
先輩「……っっ」
後輩「だから……、どこにも、行かないでください、先輩……」
先輩「……バカ」
後輩「お願い……」
先輩「……私、多分死なないんだよ?」
後輩「……はい」
先輩「だったら、ずっと一緒なんて、いれないじゃん……」
後輩「……」
先輩「……だから。だから……、私に、お前の隣にいる資格なんて……」
103 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:56:59.65 ID:xfZunq6b0
後輩「関係ないんです。先輩が何歳まで生きたって。私が死んじゃったって」
先輩「……」
後輩「それでも、離ればなれになんて、なりたくないんです。好きだから……」
先輩「……こ、後は――……」
後輩「……」
先輩「……い……」
後輩「……」
先輩「……いいのか?」
後輩「……」コクン
先輩「……不老不死だよ?」
後輩「……」コクン
先輩「お前がお婆ちゃんになっても、私、ピッチピチだったりするんだよ?」
後輩「お婆ちゃんになっても、一緒にいてくれんですね?」
先輩「……お前」
後輩「本当です。先輩が不老不死でも、人間じゃなくても、カブトガニでも……。私、先輩のこと、好きだって言えます」
先輩「……あはは」
104 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:57:47.30 ID:xfZunq6b0
後輩「……」
先輩「カブトガニは、ちょっと無理だろ」
後輩「ふふ……、そうかも」グスッ
先輩「……泣くなよ」
後輩「だってぇ……」グスグス
先輩「……ごめんな、後輩。……ありがとう」
後輩「……」
先輩「私もね、後輩のこと、好き。大好き。たぶん、ずっと前から」
・
・
・
105 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:58:14.15 ID:xfZunq6b0
・
・
・
106 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:58:51.79 ID:xfZunq6b0
・
・
・
後輩「……」
先輩「はぁ……」
後輩「……」
先輩「水いるか?」
後輩「あ、はい」
先輩「ほい」ヒョイ
後輩「どうも」
先輩「……ってかさぁ」
後輩「はい?」
先輩「マジでさ。店長のこと。何の用だったん?」
後輩「いやぁ〜……、別にその、本当、大したことじゃなくて……」
先輩「何だよもう」
107 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:59:17.31 ID:xfZunq6b0
後輩「いや何て言うか……、……あ! そう! 先輩のためだったんですからね!」
先輩「はぁ? 何で私?」
後輩「先輩のために、私がどれだけ骨を折っていたか! 身も心も擦り減らして、懐も散々寒くして……」
先輩「あー、はいはい。どうせまたしょーもないことで、空回ってたんだろ? アホくさ」
後輩「なっ……、アホにアホって言われたくありませんー!」
先輩「いや、あはは、どう考えてもアホじゃんお前さー」
後輩「2留の方がアホじゃん」
先輩「だから2留以下じゃん。下の下じゃん。アホレースの一等賞じゃん。優勝ー、後輩ちゃーん」
後輩「〜〜〜〜〜っっ!!」ガブッ
先輩「ふぁぁぁっ!」ビクン
後輩「……」チュゥゥゥゥ
先輩「〜〜〜〜〜っっ!!」バシッ バシッ
後輩「あうっ! あうっ!」
108 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 00:59:46.06 ID:xfZunq6b0
先輩「首は! やめろって! 言ってるだろが! いいか! 首はダメ!」ハァハァ
後輩「ちぇ……、いいじゃん、どうせ痕消えるんだし……」
先輩「あのな、そういう問題じゃ――……」
後輩「……え?」
先輩「おい、聞いてんのかよ。人の話をなぁ――……」
後輩「待って! 先輩ちょっとストップ!」
先輩「なーんだよ! 話逸らす――……」
後輩「痕!」
先輩「あと……?」
後輩「……あと、消えない……」
先輩「……嘘」
109 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 01:00:23.50 ID:xfZunq6b0
後輩「……」
先輩「……ちょっと、鏡ある? 見せて?」
後輩「……」スッ
先輩「……」
後輩「……」
先輩「……え」
後輩「……」
先輩「……消えて、ない」
後輩「……」
先輩「元に……、戻った……?」
後輩「……」
先輩「……」
後輩「……」
先輩「……あは」
後輩「……ぷっ」
110 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 01:00:56.79 ID:xfZunq6b0
先輩「あは、あっははははは!」
後輩「ふっ、ぶふ、ふふふふふ! ふふふっ!」
先輩「あははははっ! あーっはっはっはは!」
後輩「ふふふ! あはははは!」
先輩「はははっ! お前、どうすんだよこれー! また人に見られたら恥ずかしいだろー!」ケラケラ
後輩「クスクス……。もっといっぱい付けてあげます」
先輩「にゃろー! 仕返しだっ、この!」カプッ
後輩「ひぁっ! やっ、ちょっと、駄目ですって! もう、バカぁ!」
先輩「ふ、ふふっ。……なぁ」
後輩「何です?」
先輩「……愛してるよ、後輩ちゃん」ギュ
後輩「バカ……。……私もですっ」ギュッ
先輩「んふふ……」
・
・
・
111 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 01:01:41.77 ID:xfZunq6b0
・
・
・
112 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 01:02:15.39 ID:xfZunq6b0
・
・
・
113 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 01:02:56.14 ID:xfZunq6b0
・
・
・
〜????〜
プルルル
プルルル
店長「あー、もしもし? 私わたしー」
店長「うん、そうそう、その話。……ま、簡潔に言うね」
店長「『研究所』からのレポートよ。被験者7は『不適合』」
店長「……そ。そういうこと。『教団』もすでに、彼女の監視を解いたわ」
店長「私たちも、早急に次のテストケースに移行すべきって、伝えといて」
店長「……」
店長「……ホッとしてる? 私が?」
店長「ふふっ……、どうかしらね。秘密よ、秘密」
店長「とにかく、次の『人魚の肉』は、早めに回してね。そうね、来週中にでも」
店長「『教団』にも、『研究所』にも、絶対に先を越されちゃいけないからね」
店長「『比丘尼計画』……、プロジェクトの主導権を握るのは私たち」
店長「……そう、我々『カンパニー』こそが、不死の謎を解き」
店長「そして、生命の真実を手に入れるのよ――……」
店長「ふっ……、ふふふ……っ! あーっはっはっはっはっは!!」
・
・
・
114 :
◆UhQaGpUR76
[saga]:2020/01/16(木) 01:03:59.14 ID:xfZunq6b0
〜おわり〜
115 :
◆UhQaGpUR76
[sage saga]:2020/01/16(木) 01:05:02.99 ID:xfZunq6b0
これでこのお話は終わりです
お読みいただいてありがとうございました
……間空いちゃったり、急ぎ足になっちゃったりですみませんでした
それでは
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/16(木) 07:17:23.21 ID:vxeRrYUBo
乙
最後で回収するとはwwwwww
117 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/16(木) 23:59:36.71 ID:ca6rgev8O
店長のカンパニー編始まるよね?
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