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タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part7
- 153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/21(金) 07:17:51.29 ID:OmPE0e520
- タイトル「ローソンどきどき四丁目店」
- 154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/02/21(金) 23:34:56.76 ID:OtUQF87N0
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- 155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/22(土) 19:35:53.00 ID:6fJuAN6qO
- タイトル「スタンド能力関連犯罪対策捜査部」
- 156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/23(日) 20:03:25.67 ID:+xaTAyFMO
- タイトル「最果ての村」
- 157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/02/23(日) 21:26:13.38 ID:H3jULl5R0
- タイトル「こちら横浜港ダイヤモンドプリンセス号派出所」
- 158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/24(月) 10:01:36.26 ID:y6LTa1CE0
- タイトル「愛され系飼い猫になりたいだけの人間だった」
- 159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/02/24(月) 14:29:08.90 ID:jlNj+JE40
- タイトル「ご注文はうなぎですか?」
- 160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/02/26(水) 17:44:09.76 ID:Tf5+R/ntO
- タイトル「沈黙戦隊サゲルマン」
- 161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/02/28(金) 11:36:04.38 ID:k8I8eIugO
- タイトル「サトーマンvsスズキマン」
- 162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/28(金) 21:24:02.64 ID:ET8gWwAh0
- タイトル「てやんDAY」
- 163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/02/29(土) 17:29:03.52 ID:6Buit0Or0
- タイトル「テンサイ馬鹿凡」
- 164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/02/29(土) 22:21:25.14 ID:6Buit0Or0
- タイトル「ご注文はうさぎですか!?」
- 165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/02(月) 19:17:40.28 ID:VBQn1btn0
- >>74「海底の花火」
――聞こえるか? おい、返事ができるやつは返事をしろ。
…………いいや、やめだ。点呼だ、点呼を取る。番号!
――いち!
――に!
――…………………………
――よん!
――…………………………
――…………………………
――…………なな。
――…………………………
――きゅう!
そうか、半分しかいないか。みんな、艦内前方に集まってくれ。真っ暗だから、壁を伝ってな。
明かりは全滅、計器類はほとんどダウン。動いてるのは酸素メーターと深度計、あとは酸素供給系統か……。
くそっ、通信、レーダー、発信機はことごとくだめか! ハッチもいかれてて脱出も試みられやしない!
なまじ生きられるだけあって、かえって地獄だな、これは……。
ちくしょうめ、と手の中でライターを揉んでいる。彼は艦員の中で一番若く、短絡な男だった。整髪剤で逆立てた髪の乱れを気にしている。
焦っても仕方ないさ、と壮年の男がたしなめるような優しい声で言った。こちらは三十代前半の整備士である。
左手の薬指にはプラチナの指輪がきらめきを待ちつつはめられている。指の背に触れるところには、Hirochika Yanaseの文字が刻まれている。
その彼の背中にしがみついているのは髪の長い、三十路ちょうどくらいの若い女だ。
こちらも左手の薬指にリングがあって、やはりMasano Yanaseと刻印されている。二人は夫婦で、結婚してから三か月だった。
出航した直後には、二人向かい合って笑い、早く子供が欲しいな、などといちゃついて桃色の関係を披露していた。
航海士は生存こそしているものの、全身を打って衰弱甚だしい。すでに意識はもうろうとし、へし曲がった腕はタオルで簡易的に縛られている。
舌の周りが随分と悪い。急性硬膜下血腫だろうか?
艦長は動けない航海士の代わりに操舵を担っているが、動かないものはどうしようもないから、レンズをのぞきあたりを見回している。
見えるのは青ざめた砂である。のっぺりとした感触に思われ、おそらくはかき回す存在がまれなのだろう。
うっすらとした影が見えた。オオグチホヤである。透明な口をばっくり開け、流れてくる微細な餌を飲み込んでいる。
近くには小さなエビ。長いひげを垂らして歩いていた。従容とした態度が艦長には気に入らなかった。
エビごときがあんなに悠々としておいて、どうしておれたちがこれほどに静かに絶望しなければいけないのか?
明かり、使っていぞ。動ける三人の艦員はそろって顔を上げた。
闇のヴェールがかかった輪郭しかわからず、どんな表情をしているのか知ることはできない。
ただ確かなのは、Yanase夫妻が濃厚なキスをしようとしていたことだけだ。
二人は見つめ合うと、MasanoはHirochikaの首に手を回し、曖昧な香りの息をして顔を寄せた。そして吸いつくように二つの唇を重ねたのである。
今さら愛するものたちが絡み合っても、場が華やぐということは決してなかった。
そうなるためには、機能をほとんど停止し、生殺しに処されている潜水艦内はあまりに希望がなかった。
その証拠に――Yanase夫妻は涙を流しながら舌を絡めあっている!
「あっ」と艦長が声を上げた。艦員は――航海士はわずかに首を傾けたのみだが――一斉に艦長のほうを振り向いた。「火山が揺れている」
「噴火ですか」「ああ、海底火山の噴火だ」「でも火口は」「いや……低い。かなり深いところから裾野はつながっているみたいだ」「では火山灰は我々の上に積もるのでは」「そうなるだろう」「わたしたちは移動することができないんですよね」「無論」「灰に埋まってグッド・バイですか」「そうなるな」「じゃあ、僕らは二度度発見されないというわけですか! 結婚したばかり、可憐な子供が生まれたかもしれないのに」「残念だ」「いやですよ、そんなの……」「もっと、燃えるように生きたかったぜ、馬鹿野郎が! ナナ、ちくしょう!」
あ、と航海士が細い声を上げた。モニターが点灯していた。「外が見える……」
マリンスノーが、彼らを葬らんばかりに美しく振っていた。桜吹雪が散るみたいに……そして奥の海底火山が二度、三度震えて火を噴いた。
赤いマグマは瞬間的に冷えて黒くなる。そのわずかな光の繚乱さを彼らは認めないわけにはいかなかった。
- 166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/04(水) 10:40:40.09 ID:gz7GqTzzO
- タイトル「笑う男」
タイトル「Mr.Box」
タイトル「13」
タイトル「半透明人間」
タイトル「暗闇の中で」
- 167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/04(水) 23:27:48.99 ID:guu+Gjm20
- タイトル「死神と少女」
- 168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/05(木) 16:38:43.60 ID:JzJrDIMM0
- >>123の少女視点バージョンも見たいかな
- 169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/03/05(木) 17:57:21.52 ID:bleRoA02O
- タイトル「高輪ゲートウェイ駅一番乗り男」
- 170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/03/06(金) 17:17:56.42 ID:IGMWxUYCO
- タイトル「矢野がうつになりまして。」
- 171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/06(金) 18:19:59.28 ID:L1Shuw9h0
- タイトル「アヤカシゴロシ」
タイトル「ヒトゴロシ」
タイトル「ケモノゴロシ」
タイトル「アクマゴロシ」
タイトル「カミゴロシ」
タイトル「悪魔の銃」
- 172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/06(金) 18:22:48.96 ID:L1Shuw9h0
- タイトル「異世界行き特急」
- 173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/07(土) 16:47:21.47 ID:M27Mh1hUO
- タイトル「ハートに火をつける簡単なお仕事」
- 174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/03/08(日) 20:04:46.82 ID:S1rLa3gk0
- タイトル「熱湯甲子園」
- 175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/10(火) 08:36:16.53 ID:dWNEOc0m0
- タイトル「癒しの実」
- 176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/03/11(水) 19:04:56.29 ID:XCx+uM5+O
- タイトル「FORCE OUT」
- 177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/11(水) 22:41:18.05 ID:+6L7oJRI0
- タイトル「セカイノハジマリ」
タイトル「セカイノフシギ」
タイトル「セカイノルール」
- 178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/11(水) 23:40:04.68 ID:+6L7oJRI0
- タイトル「全人類蘇生計画」
- 179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/13(金) 14:43:29.22 ID:NObtlSibO
- タイトル「殺人列車〜murder train〜」
タイトル「ヒトクイレッシャ」
- 180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/16(月) 03:42:47.80 ID:oK5p3SwZ0
- タイトル「その時、当たり前の事が起こった」
- 181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/17(火) 21:37:04.08 ID:pbsJoG2po
- SSって書き手も読み手も悪い意味での「大人」になったら成り立たない文化だと思う
- 182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/03/19(木) 19:11:44.11 ID:r123igW4O
- タイトル「THIS IS 蘇」
- 183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/03/19(木) 20:48:00.55 ID:YkUUXEQ/0
- >>165
乙です。雰囲気好き
- 184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/20(金) 00:31:15.06 ID:5ljZ8Sf2O
- タイトル「異形姫」
- 185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/03/20(金) 22:23:56.47 ID:DefHUZV/0
- タイトル「鈴木戦隊サトーマン」
- 186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/03/20(金) 22:25:15.27 ID:DefHUZV/0
- タイトル「蘇に愛された男」
- 187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/03/21(土) 22:09:44.42 ID:6PrV1mXi0
- タイトル「100手後に死ぬ黒石」
- 188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/26(木) 23:49:16.99 ID:HzwCLkz90
- >>77「停止した惑星」
北方――これはあくまで便宜的な呼び名ではあるが――に、爛々と太陽が燃えている。
その場所に北中してから、同じ箇所を延々と照らし続け、杏子色の空には南へとたなびいていく雲があった。
周辺は嫌というほど荒涼としている。かつて青かったこの地も、夜が来ず強烈な日差しにやられ、強風も手伝って植物の痕跡は骨粗しょう症になった骨のように穴が開いた黒い樹木の幹のみだ。移動ができる生物は皆ここから離れ、昼と夜の(すでにその二元的な概念は消滅している)境目に盛んに集まって過ごしていた。
扁平な生物が太陽に向かって飛んでいく。コシライである。昼半球にずっと生息しているのはこの生物くらいのものである。コシライは風に乗って飛来するプランクトンを、網目状の大きな口で漉しとるようにして食べる。地球の生物でいったら、最も近いのはジンベエザメだろうか? 少なくとも食事に関しては近似するものとして考えてもいい。そして地上を移動する機構というものを持っていないために、ずっと空中に留まっていなければならないのだが、夜半球には風が少ないために、そこでは生存が困難になってしまう。だからコシライは昼半球の強風に向かってプランクトンがやってくるのをひたすら食う生活を行っているのである。
昼半球と夜半球の間。砂埃がもうもうと舞うところに、のっぺりとした肌の生物がうずくまっている。扁平な頭、短い手足、その手足と胴を結ぶ膜、目を覆う瞼のようなもの。ハレイノーだ。後ろ足で立つことが可能になり、全体的にいっそう扁平に、鰓の張り出しがより極端になったブラキオプス類のような見た目?
一匹だけ取り残されている。砂埃に巻き込まれるとハレイノーはぷよぷよした肌が砂にまみれて身動きが取れなくなる。水分が吸い取られて強張ってしまうのだ。仲間は逃げ出せたが、ふるふる一匹だけうつぶせたままだ。
それを狙う大きな生物。鋭角的な作りの頭部、細い体、薄い翼、無駄のないひょろりとして締まった脚、その先には鋭い爪と細かい棘がある。エッキノーダーという。この惑星最大の捕食者である。普段は流れる砂の中で体を縮めて動かない。そして腹が減った頃になって首を伸ばして獲物を探し、それめがけて一気にとびかかって仕留める。不意打ち、そしてスピード勝負だ。
エッキノーダーはしばし取り残されたハレイノーを見つめていた。同情しているような見方ではなく、どの角度から襲おうか見分している、残酷な目つきである。
あッ……と息をつく暇もなく、可哀そうなハレイノーはエッキノーダーの口で背骨を砕かれてぐったりしていた。目にもとまらぬ早業。砂埃の引いた岩の上にハレイノーをいったん落とすと、爪でその体を抑えて弾力のある肌を裂こうと尽力し始めた。脂肪が豊富にあって、エネルギーには困るまい……。
どれだけ時間が流れようと、夜は来ないし昼もまた同様に来ない。一方はずっと昼であり、一方はずっと夜である。太陽は地軸の真上にあって変わらない。影は常に、最も近い状態だ。その光を直に受ける極地は、冷酷な表情をしたクレーター状に大地が削れていて、そこからオニヒトデの触手のように幾筋かがそこから伸び、流れていく雲と同じく強い風の存在を示している。
星は止まっている。それでも、この星に適応した生き物が生きている。
- 189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/31(火) 00:32:12.87 ID:UxSSfY4l0
- >>80「寂れた街」
一番小高いところに続く、コンクリートの階段を駆け上がって振り返る。蔦の這った壁が消えて、のろのろと漁船がやってくる細い湾港と、仄かに揺らぐ更紗のような雲が水平線の彼方までを覆っているのが、初夏の植物の青臭さと潮の香りが混じった風と共に届いた。
「ほら見てみい、ヤッちゃんとこのおじちゃんがかえってきとるが!」真っ白いランニングに白いラインの入った短パンを身に着けた褐色の少年が声を上げた。安物のサンダルは酷使されて足裏が擦れて溝はほとんどなくなっている。
「ちょっと待ってぇな、登るの早いんよ、カッツンは」一つ下の踊り場をようやく越した辺りから、大柄な少年が息を切らせて褐色の少年を見上げていた。白い靴下に青いスニーカー。アイボリーのポロシャツに鉄紺の半ズボン。「そない走られたら、おれはどうやったって追いつけんよ」
カッツンと呼ばれた少年は縁に設置された手すりに肘を乗せ、口をとがらせて彼を見ていた。まるで対戦カードゲームのカードの交換を断られた時みたいに。「そんなでっかい体しといて、すぐ疲れたとか情けないことやで! ぐちゃぐちゃ言わんと、早よきい!」
彼らは町に二人だけの中学三年生で、来年には島を出て高校に通う公算である。過疎が進んで高校がなくなって十年以上が経ち、それを当然のこととして受け入れていた。彼らの下の学年はおらず、島を出ていくと同時に中学校には一人だけが入学する。その下の三学年にそれぞれ一人、二人、一人。限界集落として国の資料には記載されていたりもする、そんな町で彼らは育ってきた。
「けーちゃんはええな、勉強ができて! 大学にも行かせてくれるんやろ? そないなったらずっと自慢でけるわ、けーちゃんのこと」
けーちゃんと呼ばれた大柄な少年は、肩をすぼめてうつむいて少し恥ずかしそうに手を揉んだ。声が大きく活発なカッツンとは反対に気が弱く物静かだったため、二人が並んでいると身長差が縮まったか、あるいはないような感じがする。
「そうでもないで、おれくらいのやつはそこら中におるし、むしろおれは追っかける側やと思う。全然知らんことが山ほどあってな、不安で不安でしょうがないんや。いつここが帰られへん場所になってまうかもわからんしな」
「そない考える必要がどこにあってん、けーちゃん! 悪いことばっか考えとってもあかんで、楽しないやろ! ええこと考え、ええこと!」
「いや、それはおれもわかってん。でも見てみ、おれらが知っとんのはこの島ん中だけやろ? 外にはな、もっとぎょうさん人がおんのや! 望月さんとかな、そんな人がいてん、おれには理解が追いつかんのやよ、どうやったらあないな人がいることができるんかっちゅうことが!」
カッツンは黙って聞いていた。何か思うところがあったのかもしれないし、あるいは言っていることを理解できる頭がなかったのかもしれない。だがいずれにせよ、無理に説得する姿勢はその場では見せなかった。これまでに身に着けた人付き合いについての学習から、ここは余計な励ましをするべきではないと、意識的にせよ無意識にせよ判断したことは確かだった。
「それにな、見てみい、カッツン。こっから見下ろしたら結構な数の家が見えるやろ? 高台からの景色で言ったら栄えているように見えるやんな? でもな、この家の中で人が住んどる家がどれほどあるっちゅう話や!」 一旦中絶
- 190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/03/31(火) 07:59:44.56 ID:qyHliMANO
- タイトル「盤取」
- 191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/31(火) 22:07:28.42 ID:UxSSfY4l0
- >>189の続き
とけーちゃんは家の並びを指さし、町の縁の斜面に沿うようにして示した。窓の中身は真っ黒く、ガラスが破れているのもちらほら見える。
あるいは外壁を蔓が這って覆い、玄関わきの柱が濃緑色に隠されてしまっている。
「見えたやろ。どうや、そう思わんか。あれが悲しうてたまらんのや、ちっさいころに可愛がってもろたかもわからんのに、いつの間にかいなくなってもうとんねん。お礼も何も言われへんねやぞ!」
「そないに空いてるんばっかやったか? そのうち帰ってきよるかも知らんで」
「帰ってくるもんか! 年々人が減っとるのに気づかへんの、カッツン? 現実見い」
カッツンは黙り込んだ。現実見い、この言葉が引っかかって考えざるを得なかったのだ。
俺がおったんは、現実ちゃうかったんか?――けーちゃんのオヤジさんにアイスクリームおごってもらったんとか、ヤッちゃん家の漁船の排気のうるさい響きとか、また今度な、と言ってサヨナラした矢壁の秀おじさんとか、あれはみんな嘘やったん? ……やや、混乱が来ていた。現実と現状とをない交ぜにしてしまったのが原因ではあるが、それをきっぱり見分けることができるほど彼は諦めがよい性格ではなかった。できる限り自分が抱く感触と近いように、現実を認識する質だったのである。
「カッツン」けーちゃんはウミネコが鳴く沖のほうを見て、
「俺は高校を出たら、もうこの島には戻って来ん。外で億万長者になれるような人間でないんはわかっとるけどな、ここにずっといるほうがあかん、というのはほとんど確信しとる」
なにゆうとん、と言おうとしたが出てこなかった。カッツン自身は高校卒業後に島に戻って漁師になるつもりでいた。そしていつでもけーちゃんに会うことができると、いかにも当然のように思っていたから、けーちゃんと将来顔を合わせることが二度となくなるかもしれないという、たった今告げられた告白が明らかにした事実をうまく自分の発言と紐つけることができなかったのである。数拍待って、彼はなして、と絞り出した。
「なして、ってな、今ここで物買えるとこがどんだけある? おれは田端さんとこの八百屋と楡おばちゃんのお店しか知らんで。ほんであとは工事屋の行木さんやろ。こんなとこで、どうやって生きて行けばええんや!」
「魚や、魚を取るんや! それを冷やしたり干したりしてな、山ほど売ってやるんよ。それでな、いいもん食ってな、それで十分やんか」
「いや、」とけーちゃんは頑強な、断固とした声音で、
「それじゃあかん。魚じゃあ今どきどうにもならへん。いくらうちが漁師町やというてもな、そもそも規模がちっさいもんで、懐が潤ってしゃあないということにはならへんのよ。悲しいけどな。それに、外に出てって帰ってきたんは何人おるん? おれは二、三人しか知らんで。毎年二人くらい外に出ていくのを、十年近く見とったんによ!」
カッツンは驚きつつけーちゃんの顔に見入っていた。彼はけーちゃんがこれほど強く自分の気持ちを述べることを見たことがなかった。いつも彼が訊かれもしないうちに自分からべらべらと公開して、その流れでけーちゃんに言わせていた。それが自然であった。常にけーちゃんが彼の後ろについてくるような状態だったので、彼が自分の影響下から外れてしまった気分になっていたのかもしれない。それをわかってはおらずに呆然と反論を探している。
「わかったか、カッツン? おれが戻っても、ここじゃいかんのや。いくら勉強ができたって、体を動かせなここでは生きてけん。はっきり言って、もう二度と船には乗りたないし、かといってそれを助ける裏方の役も勉強がまったく意味ないもんや。せっかく効率いい方法探しても聞き入れてもらえんような気がするしな」
「気がするだけやろ、そんなことないで」
けーちゃんはカッツンの無邪気な顔を見た。「そんなことないで」明るく、無垢な希望の言葉。彼は根本的にカッツンと違うことを再度思い知らされた。
おれはこいつにはかなわない、この街の論理にはカッツンの方があっている。おれとは違って……。
「なあカッツン、降りようよ」感じた劣等感を完全に隠してけーちゃんは言った。かまへんけど早ないか、とカッツンは少し不服そうだ。
「早やないで」噛みしめる表情を見せないようにして、カッツンに止められる前に階段を一段一弾降り始めた。
ちょい待ってな、まだ降りるとか言ってへんやろ、と抵抗するような言葉を口にしながらもカッツンはけーちゃんの後をついて行った。
沖に出る漁船はなく、帰ってくる漁船も当然なかった。止まっている船は水揚げを全て済ませ、海水に使った網の絡まった部分をほどきながら点検している最中であった。
- 192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/04/02(木) 00:21:34.81 ID:BXPvmphL0
- >>81「死を待つ天使」
重い、鈍色の錠に繋がれながら、けば立ち汚くなった翼に涙して考えた。おれが女と交わることが、いったいどうしてそんなに甚大なことなんだ。
ああ、確かに良いことではないさ。それでもだ、それでも、だ……両方の性器を破壊した上に首を切り落とすって、あまりに残酷じゃないか。しかも天使が手を下す。名目では正義の下での裁断は構わぬ、ということ。いうには、父なる存在の思し召しの通り、だとよ。そりゃもちろん知ってはいるんだがな、だからといって全員が全員、父なるを骨の髄まで信奉し心酔せねばならない、というのには違和感があるんだ。何故かって、父なるが必ず真理を透徹していると、誰が保証できるというんだ?
あの女は、天国にあって似つかわしくない、いかにも煉獄から這い上がることのない者の典型みたいな、おどおどした態度で岩陰に隠れていた。
他の住人は暢気に水辺をとことこ散歩したり、花を眺めて口笛を吹いているのによ、そいつはこっそり座り込んだまま、俯いて、時折辺りを見回しては肘を縮こませたりと、明らかに挙動が怪しいんだ。掟に触れなきゃ、誰をガイなんて与えないのに……。
――なぜ踏み出して歩かない? ここは天国だ、お前を捕まえて食おうなんて、とこにもいやしねえ。おれは言った。
――あなたがいるじゃありませんか……。驚くことに、女はそう返したんだ。
まさか、と純粋におれは狼狽えたね。こいつは天使を何だと思っていやがる、そんなに見下げたものとお前の目には映っていたか、そんな憤りを隠さずに女の前に立っていた。
新たな声は聞かれなかった。妙だな、謝罪の一つもできないのか、と女に目を向けると――ここでおれは初めて女の姿をしっかり認識したわけだが――、震えて歯を鳴らせているんだな。ビビッて声が出ないくらいに腰が抜けてんだよ、情けないことにさ。しかも白衣の股間のあたりがしみになって、土もだんだん濡れていくしな。どんな顔してんだ、と興味が湧いてそっちに目を移すと、案外大きな目をしていて、睫毛も長い。そこにたっぷり涙を貯めて、唇が蜃気楼みたいに波打って曖昧な輪郭をしていた。すげえ怯えようよ、あれは。滅多なことじゃお目にかかれんぜ。あの感じだと、畏怖が先だって心を埋め尽くしていたから、漏らしていたことはちっとも気づいていなかったろう。 一旦ここまで
- 193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/04/02(木) 23:37:27.61 ID:BXPvmphL0
- >>192の続き
目の形を見ていて気が付いたんだが――結構きれいな顔をしていたんだよな。しっとりとした柔らかい黒髪が肩に触れて、更紗みたいに流れている。長い前髪が右目を覆い隠していて、――おれが見ていたのは左目だった――一本一本の隙間から潤んだ瞳が上目遣いで見つめている。小ぶりな唇が統御を失って震えていたのは先に言ったとおりだ。引きつった口角の両横にある頬は蒼白で、リンゴのような赤らんだ様子はない。精力は伝わらなかった。女なら、そういうのはあってほしいもんだがよ……。
黙って女の体の検分をしていた。ほっそりとした首から、白衣の隙間に顔を出した、窪みが明瞭な鎖骨、その真下、ハッキリとしたことはわからないが、大きいわけではないものの形のよさそうな乳房。細身の腰。小ぶりな尻、痩せぎすな太ももとうって変わって弾力のありそうなふくらはぎ。おれはそれが何だか気に入って、一度試してみたい、そう思ったんだ。掟には触れるが、信条からしてそれが拷問のち死刑に匹敵する重罪とは認めることができないから……。
幾周期か経って同じ場所に出向くと、女は同じ姿勢で座っていた。そのときは周りに誰もいなくって、おれのなかに茶目っ気というか、イタズラ心が芽生えたんだよ。どうしてそんな答えだったのか知らんが、――ここで襲うような仕草を見せたら――その想像はおれを力強くさせた。体の一部がみなぎって、さあこれを放出してやろう。そう思って足音を殺して抜き足、差し足、忍び足で女の死角を縫い背後に立った。女は気づいているようにはおれには見えなかった。あの柔らかそうな髪が背中に沿って、美麗な滝のような印象を与えていた。うなじが髪の一本一本が生み出す間隙の中に自己主張を押し込めていた。滑らかそうな、砂浜のように手触りと想像されるうなじ。色は白くて雪を思い起こさせる。では滾った体で荒らしてやったらこの女は存在ごと消し飛んでしまうのではなかろうか……。
肩を叩いて不思議そうな、とぼけた顔で振り向いた瞬間に、唐突に押し倒してやろう。これから自分がどんな目に遭うのか想像の俎上に及ぶこともなく、ただ降りかかった出来事を理解しようと精一杯の、クエスチョンマークたっぷりの顔で女はおれの顔を見上げるだろう。
いよいよ、いよいよだ……手を肩に伸ばしたその瞬間、女はおれを振り返って見、……幸せそうな笑顔を見せた! ……おれはこれまでただ一度も、あんな笑顔を見たことはなかった。天国の奴らはみんな幸福そうな顔をして跳ねまわっているんだが、それはあくまで幸福の発現であって、幸せの表現ではなかったんだ。つまりは、幸福に満たされているがために幸せを自発的に表すことができなくなっているんだな。それが良いことなのか悪いことなのか、この口では断言できんのだが。
それを向けられたおれは激しく動揺した――さっき言った考えは、おれが捕えられてからまとめた内容だから、そのときは気づいていなかった――。慌てて引きずり倒して服をはぎ、顕わになった胸の頂の突起を強く摘まんだ。あっ、と悲鳴を上げてのけぞった女は痙攣し、白い顔を上気させている。馬乗りになって執拗にいじくり、喘ぐたびにおれは濡れ、……あとはもうそっちで想像してくれ。すべて終わると、女はぜいぜい喘いで火照った顔をとろけさせていた。白いものが流れ出てもいて、唇の縁には泡がついて女が胸部を上下させて呼吸をするごとに小さな粒が爆ぜ、また新しい気泡が湧いてきていたのだ。放出した器官は萎えつつあったが、おれ自身はかえって力があふれていて、まだしたりなかった。もう一度、とまたがりなおそうとしたとき、後頭部に赤い何かが散って暗転した。そして、気づいたら繋がれて、陰嚢、陰茎、陰唇を使用不可になるまで破壊したあと斬首だって……自己弁護の間もなくそう決められた。
なあ、おれは悲しいんだ。どうしてあんな不幸をため込んでいたような女を襲っちまったんだ? どうせなら互いに幸せな気分がよりよいだろうに。おれは何かに急かされ追い立てられ、尊厳を破壊されそうな焦燥に駆られて……あのとき、どうして周りに誰もいなかったんだ? どうしておれを殺す前に、おれを止めるような何かが存在していてくれなかったんだ?
- 194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/03(金) 17:01:43.18 ID:7qsFhhgnO
- タイトル「あの世行き特急」
- 195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/03(金) 17:29:20.27 ID:lW8bYa+4O
- タイトル「THE LOCAL THREAD」
- 196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/04(土) 17:13:11.89 ID:XOrW6Wun0
- タイトル「竜の巫女」
- 197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/04(土) 20:11:19.28 ID:DvuzuNZL0
- タイトル「あの人への手紙」
タイトル「今は亡きあの人へ」
- 198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/04/05(日) 11:44:05.31 ID:iIT1uubs0
- >>82「血塗られた手紙」
三か月ぶりにポストを開けると、小さな横型封筒が一つ、横たわっていた。各辺に、棕櫚のような植物の模様が、やや赤みを帯びて描かれている。
差出人の名前はなく、宛名だけの飾り気のないものであったが、消印はきちんと押されていて、母の住所に近い郵便局の消印だった。
四か月間もの長きにわたり、母からの手紙は途絶えていたのだった。それまではひと月からひと月半に一通程度、欠かさず届いていたのだ。母は一人で暮らしていたから、手紙を書く余裕もないような大病を患ってしまったか、アルツハイマー病や認知症といった記憶障害を伴う何かになったのか、と考えていた。
そのためか、差出人不明の怪文書(?)であることにも気づかず、毫の逡巡もなく開封してしまった。中身は一枚の、罫線が十行前後ある便箋だった。いつも母が寄越す手紙はいつもこのシンプルな便箋なのだ。自室に戻り、炬燵机でそれを読んだ。
「こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。しっかり三食食べて、健康でいますか。母は心配です。お前が死にゆきつつある時を想像すると、恐ろしくて寿命が日々加速しながら縮んでいく思いです。返信の一つでも、電話の一つでも寄越してください。そしてお前の声を聴かせてください。それだけでも、母は幸せな気持ちになります。お願いです。」
ところどころ震えていたが、母の字で、安心感を抱かせる文面だった。変わらない母の手紙。
しかしその次の行からは小筆の、なぜか赤い文字で、中心が大きくぶれた文章が連なっていた。稚拙な文体で、下手な文字で。
「おまえの母おやはずいぶんいい人みたいだ、むす子のようすをこんなに心配して、しあわせをねがっていて、ぼくはとてもうらやましい。こんなお母さんがほしくってたまんなかったなあ。だからもらおうとしたんだけど、だれあんた、やめてやめて、ってうるさかったのでだまってほしかったからべしってたたいたらぐったりしちゃった。たぶん殺しちゃったんだろうな、と感じて、とりあえずこまったからばらばらにして血を全部ぬきとってみた。どす黒い血もあったけど、きれいなピンク色の血もあったから、そっちをつかってみた。ためしにそれで字を書いてみたらすごく、太ようみたいにあかるかったから、書いてたと中のてがみのつづきを書いてみました。これがそれです。あなたのお母さんの血で、ぼくは文しょうを書いてみました。どうでしょうか?」
- 199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/06(月) 08:18:02.40 ID:wHJcC4q60
- タイトル「スピン$」
- 200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/04/07(火) 01:41:57.45 ID:BHLnQ+ae0
- >>194「あの世行き特急」
ーーーーーーー
『えー、次はあの世ー、あの世ー』
『尚この列車はあの世行き特急につき、途中の――駅、――駅、――駅には止まりません』
……?
なんだ、ここ…
ガタンゴトン
電車…?
でも外は真っ暗だな…
黒髪の女「……」
女の人だ。
すごいな、ピクリともしない。
寝てるのか?
他に乗客は――
ーーーーーーー
ジリリリリ!
男「!?」バッ
ジリリリリ!
男「」ワタワタ
ガチャ
男「……びくった……」
男「目覚ましうるさすぎなー…」
- 201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/04/07(火) 01:42:53.86 ID:BHLnQ+ae0
- >>200の続き
ーーー学校ーーー
友「へー…電車の夢ならボクもたまに見かけるよ」
男「そうなのか」
友「うん。ボクの場合は走る電車を外で眺めてることが多いけどね」
男「友、鉄道好きだっけ?」
友「夢の話だろっ。ま、嫌いじゃないけど」
友「けどきみが夢の話をしてくるなんて珍しいね」
男「うーん、なんかやけにはっきり覚えてるもんだからさ。こう、つい誰かに話したくなるというか…分かる?」
友「その記憶力をちょっとは勉強に使ったらどう?」
男「あーあー聞こえなーい」
友「また追加課題もらっても知らないよ」
男「う……精進します」
キーンコーンカーンコーン
男「ってあれ、次って体育だっけ」
友「そうだね。さ、着替えるから早く出てった出てった」
男「やべぇ体操着もジャージも何もかも忘れた…」
男「頼む!ジャージ…は無いと寒いから体操着だけ貸してくんないか!?」
友「きみ、セクハラで突き出すよ?」
- 202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/04/07(火) 01:44:38.08 ID:BHLnQ+ae0
- >>201の続き
ーーーーーーー
『えー、次はあの世ー、あの世ー』
『尚この列車はあの世行き特急につき、途中の――駅、――駅には止まりません』
…まただ。
またこの電車。
黒髪の女「……」
あの人も同じ。
座席の端っこでマネキンみたいに座ってる。
黒髪の女「………」スッ...
!
ちょっと動いた…?
…彼女は何をしているんだろう。
もっと他に気になることだってあるはずなのになんでだろう。
この人のことが、気になる。
ーーー学校ーーー
友「それで?きみの好みが黒髪ストレートのやや年上のお姉さんという話の続きは?」
男「なんでだよ!いやそうじゃなくて!」
男「気になんないか普通。だってそこに乗ってるのその人だけなんだぜ?」
男「怪しい雰囲気マシマシの状況なのにさ、その人だけなぜか全然怖くないし」
友「ふーん…まぁ実を言うとボクもちょっと気になって調べてみたんだ」スマホトリダシ
友「これとか、似てるんじゃないかい?」スッ
男「"猿夢"?」
男「どれどれ……」
男「………」
男「いや、違うなぁ」
男「こんなえぐり出しだの挽肉だの物騒なアナウンスしてなかったしな」
友「でもあの世行きって言ってたんだろ?十分物騒じゃないか」
男「んー…突き詰めれば死へ向かっていることだけは共通してるのか…?」
男「っつか、俺死ぬん!?」
友「夢に殺されたら世話ないよ。迷信だよ迷信」
友「きみの夢もどうせ取り越し苦労さ」
男「他人事だからって気楽に言ってくれちゃってよー…」
男(…気になるんだよなー)
- 203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/04/07(火) 01:45:18.94 ID:BHLnQ+ae0
- >>202の続き
ーーーーーーー
『えー、次はあの世ー、あの世ー』
『尚この列車はあの世行き特急につき、途中の――駅には止まりません』
やっぱり来れた。
間延びしたアナウンス、殺風景な車内、真っ暗な窓の外。
そして…
黒髪の女「……」
一人静かに座る、彼女。
意識すればするほどいつもより鮮明に見える気がする。
…どうしよう。
彼女に話しかけてもいいのかな。
黒髪の女「………」スッ...
黒髪の女「――、――?」
え?
黒髪の女「――、――?」
なんだ?何か、喋ってるよな?
くそっ…よく聞こえない…!
黒髪の女「――、――?」
……あの!
- 204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/04/07(火) 01:46:00.83 ID:BHLnQ+ae0
- >>203の続き
ーーー学校ーーー
男「そこで目が覚めちまったわけよ!」
男「あぁ…せっかく話しかけてくれたのに返事どころか聞き取れもしないなんて」
友「はぁ。これは相当お熱だね」
男「だから違うって。これはほら、あれだよあれ」
男「なんていうか、遠目で見てきた憧れのミュージシャンが、手の届く距離まで来た感じ?」
友「全然分かんないよ」
男「とにかくさ、これって絶対何か神秘的で霊的なあれじゃない?もうどうしようもなくあれ過ぎるよな!?」
友「ボクはきみの頭の方がアレな気がする」
友「…で?きみはそんなにその子が気にかかるのかい?」
男「そりゃそうよ!ここまで来たら何としてもあの人と知り合いになってやる!」
友「知り合ってどうするのさ」
男「どうするって……そう、夢の中の友達、夢友になる!はっはー、これ自慢できっかな!?」
友「………」
友「きみは、その子を助けたいかい?」
男「はい?助けたい?」
友「……」ジー
男「…苦しんでるとかなら、まぁ助けるだろ、うん」
友「そ…っか」
男「でも助けるってなんだよ、友?」
友「寝れば分かるよ、きっと」
男「???」
- 205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/04/07(火) 01:51:19.06 ID:BHLnQ+ae0
- >>204の続き
ーーー夜ーーー
男「さーて、今日もあの人に会えるかなー」ウキウキ
男「おっと楽しみ過ぎて寝らんなくなんないようにせんと」
男「この時のためにわざわざジョギングして疲れといたし!」
男「宿題もやって頭脳労働もバッチリ」
男「じゃ、寝ますか」
カチッ(消灯)
男「……」
男「……」
ーーーーー
友「――その子を助けたいかい?」
ーーーーー
男(助ける……助ける……)
男「………」
男(お客が一人で寂しいから?)
男「………」
男(よー分からん…)
男「……」ウトウト...
.........
その夢が何なのか。
彼女が何者なのか。
そして男の奥深くに眠ったままの、真実とは…
以上です。
プロローグになってしまいました。
こんな感じのフリーホラー系ゲームってないんでしょうかね?
- 206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/07(火) 21:20:29.26 ID:ZMoi9h8l0
- タイトル「刀と剣と拳銃と」
- 207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/04/08(水) 14:04:11.04 ID:Tn6iZyoI0
- >>83「監獄に咲く花」
ママが死んだから、私は家に火をつけた。赤い火と黒煙が立ち上って最寄りの路線からも異変がわかるほどになってようやく消防が来て、家の土塀の前でうずくまっていた私を保護したのだ。そして事情を聴かれ、家を燃やしました、と第一声。目の前で狼狽の色を見せた消防士の姿が、私にはなんだか滑稽に映った。
警察は、おそらく放火だ、と言い、二階から高齢の女性の黒焦げの遺体が見つかった、とも話した。それは母です、と警察に伝え、火も私がつけました、と。予期していなかった様子で、ではあの遺体はどういうことですか。私は、母は病気で死にました。だから放火したんです。何といったって、母が死んだのですからね。それが理由になりますか、と警官が少し怒ったような口ぶりで、問いかけるふうに糾弾しにかかった。ええ、理由、と言ったらちょっと違う気もしますけれど、それが理由であるということしか確かなことは言えません。母が死んだから火を放ったというふうにお伝えするしか術は私にはなくて、なぜ母が死んだから火をつけたか、ということはどうやっても答えられません。ともあれ私は放火魔ですね。ではさっさと連れて行ってください!
死体遺棄・死体損壊・非現住建造物放火等罪で起訴され、第一審判決のまま控訴せずに刑が確定し、服役中。のろのろと刑務作業をし、ひっそりと房で座り続ける日々。私は自らの手で放った火のことを思った――暖かかったな。あんなに暖かいものを受けたのは、ひょっとして人生なかったんじゃなかろうか……。あとは細い竹の枝を折るような高い音とともに舞い降りてくる火花、立ち上がる赤い舌。炎は盛んで、桜吹雪のような儚さと可憐さ。硬直している壁の向こうでうねる熱気が、生き生きした活力を私に少しずつ伝播させていた。あのときの、生命の胎動をもはや私は知っていない……。
狭い窓からそれを見てみる。暗く、しかし視界に入らない年の明りが影響して、殊に明るい一等星、二等星がかろうじて見える程度。それでも、その一粒一粒の小さなつぼみが、ちょっぴり愛らしく見えた。遠くでサイレンの音がする。細いたなびくものが、星にかかってぼやけたような気がした。あのたなびきの足元で、また活力を持った赤い華が、物を食らわんと咲いているのだ、と感じた。私がそうしたように――。
- 208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/14(火) 22:19:58.72 ID:m92uMtO3O
- >>200
>>207
すき
タイトル「数字と真実」
- 209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/16(木) 18:08:09.41 ID:gioEB0vI0
- タイトル「列車事故」
タイトル「異常気象」
タイトル「ドント・ムーヴ 〜そこから、動いてはいけない〜」
- 210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/17(金) 22:24:07.57 ID:ADYK5lF60
- タイトル「ニート探偵」
- 211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/21(火) 06:41:23.14 ID:q3jywG340
- タイトル「ゲーミングジャージ」
- 212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/21(火) 06:58:23.04 ID:a/m9muC40
- タイトル「気弱な少年と気弱な少女」
- 213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/21(火) 21:43:22.22 ID:6buewDUZ0
- タイトル「13号室」
タイトル「デス・パズル」
- 214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/22(水) 04:53:41.10 ID:M4rR8EAJ0
- タイトル「売るセールの猫」
- 215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/22(水) 21:24:30.74 ID:h2Fjn5jo0
- タイトル「Buffalo buffalo buffalo buffalo buffalo buffalo buffalo buffalo」
- 216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/23(木) 05:29:49.29 ID:7xOltJwe0
- タイトル「イヒッと」
- 217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/23(木) 07:28:52.33 ID:WzJ+G8pr0
- タイトル「ヘタレな彼氏と奥手な彼女」
- 218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/23(木) 12:38:39.73 ID:oERmbAGAO
- タイトル「異世界行き特急」
- 219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/23(木) 13:56:25.98 ID:nsX2D1mF0
- タイトル「A canner cannot can a can」
- 220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/27(月) 23:00:56.10 ID:9OnXi7ru0
- タイトル「過去からの手紙」
タイトル「未来からの手紙」
- 221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/03(日) 12:59:28.89 ID:WTRGHLnP0
- タイトル「被告人を懲役1年6月に処す」
- 222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/05(火) 15:11:14.27 ID:Jn7yA0370
- タイトル「IQがカンストした男」
- 223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/10(日) 21:34:31.63 ID:BkAD++d90
- タイトル「TAKA−KO−SAKI」
- 224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/10(日) 21:35:25.87 ID:BkAD++d90
- タイトル「将来の夢はノーベル賞で優勝することです」
- 225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/20(水) 18:54:11.03 ID:+CPtimmU0
- タイトル「クトゥルフ神話の神々に好かれすぎてて困ってます」
- 226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/20(水) 19:01:34.70 ID:+CPtimmU0
- タイトル「Another Island」
タイトル「或るYouTuberの日常」
- 227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/22(金) 21:38:46.56 ID:TVUnGMIl0
- タイトル「THE遠藤」
- 228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/24(日) 15:41:04.49 ID:5qSiQfds0
- タイトル「マーダーグランプリ」
- 229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/24(日) 18:11:38.79 ID:F54FLeFw0
- タイトル「3年D組斎藤先生」
- 230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/24(日) 18:15:25.46 ID:F54FLeFw0
- タイトル「3億ジンバブエドル事件」
- 231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/27(水) 23:21:52.31 ID:FVO0IVAG0
- タイトル「a new career in a new town」
- 232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/07(日) 17:02:35.49 ID:sZ0P0d83O
- タイトル「おれドラえもん」「僕はジャイアン」
- 233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/08(月) 21:14:20.99 ID:/ypACInm0
- 「"バカには見えない服"ってあるだろ。裸の王様のさ。あれ、もし仕立て屋が本物を作ってたとして、なんでそんなものを作るんだろうって、思ったことないか?」
「だってそうだろ、裸に見えたって、何の役にも立ちゃしないじゃないか。だからおれ、思ったんだ、"バカには見えない"って、ひょっとして――」
……
夜。天気は曇り。街の明かりに照らされて、あちこちで赤い水たまりが光っている。
ビルがびっしりのオフィス街も、もはや見る影もない。砲弾が抉り、その上に瓦礫をトッピングした車道を突き進むのは、国が所有する正規の戦車たちだ。
それに随伴するのもまた、正規の隊員たち。しかし不思議なことに、彼らは狙いもないようなめくら撃ちを繰り返している。
割れる音、叩く音がこやかましい。
「"J"はまだ見つからないのか!」
誰かを探す彼らのそばに、歩み寄る者が一人。高校生くらいの少年だ。武器は持っていない。
装いも、何の変哲もないジャージを上下に着ているだけだ。……七色に光っていること以外は。
「こちら西ハ班、制圧続行中です、どうぞ」
『こちら東イ班、同じく制圧続行中。"J"の痕跡なし、どうぞ』
全身を光らせながら、隊員のそばまで近付くが、彼らの誰一人として少年の存在に反応しない。
少年は、無線機を持った隊員の前でぴたりと止まり、右拳をゆっくり引く。
「"高トルク"パンチ!」
少年が宣言した瞬間だけ、ジャージの光が一際強くなった。
放たれたのは、喧嘩慣れした様子もない、構えもコースも素人のパンチ。それが隊員に当たると、彼を向かいのビルに叩きつけた。ビルの壁にヒビが走る。彼の胴体は二つにちぎれながら、ずるりと地面に落ちた。
この時、他の隊員たちが見たのは、吹き飛ばされる隊員だけだったが、それによって全く別のことを確信した。
「"J"と接敵!随時掃射せよ!」
隊長格の男の号令で、小銃が一斉に火を吹く。先と同様、めくら撃ちだ。
号令を聞いたところで少年はジャンプし、空中でジャンプし、また空中でジャンプし……虹色で軌跡を描きながら宙を舞い、戦車の上に着地した。空中でキャッチした弾丸を放り捨て、拳を握り、振り上げる。
「"金属化"・"ハンマー"・"高トルク"パンチ!」
銀色に変化した拳が足元の装甲に触れると穴は開かず、戦車全体にヒビが走る。少年が跳躍してその場を離れると、戦車は爆発大破した。
「後ろだ!戦車がやられた!」
「こちら西ハ班!"J"と交戦中!応援を――」
無線機に向かって叫ぶ隊員の前に、少年が着地する。
「"高トルク"パンチ!」
……
多勢に無勢が逆一方の戦いも終わり、燃える街の真ん中で、少年が座り込んでいる。ポケットからスマホを取り出し、イヤホンを繋いで耳にはめた。
SNSのチャット履歴を見れば、通話の不在着信がずらりと並んでいる。通話ボタンを押した。
「gekkohくん!オペレートするって言ったでしょ!なんで通話切るの!」
かけるなり甲高い声が飛び出す。
「すみません、待てませんでした。市街地ステージで民間人がいたんで、動転してしまって」
「だーから、ステージにいるのは旧人類で、わたしたち人間とは違うって、何べん言わせるのよ!」
「どうみても同じなので、つい」
「ついじゃない!っていうか、あんな知能指数の低いサルどもが、わたしたちと同じなわけないでしょ!」
「はい……すみません……」
少年の声に力がないのは、立場の上下よりも、疲れと落胆の方が大きかった。
「それで?今日のスコア、どうするの?きみの取り分は30kくらいあるけど」
「次のマッチングは50時間後でしたっけ。適当に食料と日用品補充して、ジャージの修理まではsuper_dryさんの方でやっといてください。残りは帰ってからで」
「はいはい、いつもどおりね。迎えはいらないの?」
「月曜で輸送ヘリの燃費がすんごい下方修正されましたし、ちょくちょく節約しないと。じゃ、お疲れ様です」
「はーい、気をつけてね」
通話を切って立ち上がった少年は、街を去る前に、火の手に向かって少しだけ手を合わせた。
タイトル:「ゲーミングジャージ」「IQがカンストした男」
- 234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/10(水) 17:58:54.00 ID:cCQ77NLzO
- タイトル「シャーロック・ホームズの孫」
タイトル「泳げなくなった河童」
タイトル「パンデミックテラー」
- 235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/17(水) 16:25:10.72 ID:+QJcdTJeO
- タイトル「或るバンドグループの話」
- 236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/18(木) 12:23:20.79 ID:8TAkYJos0
- >>155の者
もうちょっとそれっぽくしてみた
タイトル「警視庁特殊犯罪捜査班〜スタンド能力関連犯罪対策捜査部〜」
- 237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/20(土) 16:04:37.99 ID:IF4PcuuV0
- タイトル「放課後の魔術師」
- 238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/21(日) 23:14:12.84 ID:awMQf9XI0
- タイトル「ヘイセイマンvsレイワマン」
- 239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/27(土) 23:50:28.79 ID:JfIXzgND0
- タイトル「湯婆婆ー婆・婆ー婆婆」
- 240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/07/04(土) 22:39:58.45 ID:mttR1WsY0
- タイトル「偏差値マイナス1.0」
- 241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/07/11(土) 22:35:35.87 ID:qgX0fVTc0
- タイトル「デザインゑ」
- 242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/25(土) 20:37:47.83 ID:gPVApLSz0
- タイトル「パラパラレルレル」
- 243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/26(日) 19:25:07.59 ID:nCSDumnV0
- タイトル「デザインゐ」
- 244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/29(水) 23:06:57.66 ID:q69xlDF10
- タイトル「エイエイウラー」
- 245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/31(金) 23:19:28.71 ID:utRkRhak0
- タイトル「コエガキコエル」
- 246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/05(水) 12:50:41.20 ID:NEQ1ILrj0
- タイトル「わゐうゑを」
- 247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/06(木) 19:11:55.53 ID:cxVkvOnE0
- >>120「黄昏時に君は誰」
田園は快く錆びたみたいに光っていて、それはどこまでもを包含するかのように瀰漫した光だ。僕の影もまた手を伸ばしても届きそうにないくらい遠くまで延長されてしまって、輪郭が曖昧に溶けてしまいそうだった。
君は僕よりも前に出ないまま、「夕暮れって、好き?」と闊達な印象の、かたちのある声で言った。ふふっ、ごく短い笑いが耳に届く。君はある限りまで話し終わると、いつも決まってはにかみ、そのような声を上げる。僕はそれに魅了されつつあったうちの一人だった。その君と、僕は夕日の背後に歩いている。
「嫌いじゃないよ、全然。むしろ好きだ。」
慣れない口つきで送り出されたその言葉は、どうやら逆光にあてられて一瞬のうちに風化し切り、空中へと消えていったようで、続けて言われた「僕を含めて、みんなが君を好きなくらい」をまったく受けつけない感じで君は、「好きな人と感動しながら歩けたらな」と感慨を込めてぼやいている。
だからぼ、ぼ、ぼぼぼぼくは、す、あ、ああ、うれし、い、うん、うれしい、よ、吃音にかかったようにひどく唇を強張らせて僕は伝えようとした。今度こそ、聞こえただろうか、しかし聞こえてきたのは逆光つええな、という若く青っぽい、しかし頼りがいのあるきれいに通る声。
一旦ここまで
- 248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/06(木) 19:38:11.07 ID:cxVkvOnE0
- undefined
- 249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/10(月) 15:45:49.53 ID:LAcrkc2c0
- タイトル「アメリカの首相と日本の大統領」
- 250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/10(月) 15:51:08.50 ID:LAcrkc2c0
- タイトル「学校の墓場」
- 251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/10(月) 15:51:51.41 ID:LAcrkc2c0
- タイトル「築地市場と大田市場」
- 252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/08/10(月) 15:52:57.38 ID:LAcrkc2c0
- タイトル「エーマンとビーマン、たまにシーマン」
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