Helleborus Observation Diary 

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/10/22(火) 02:54:24.10 ID:ShxRzgitO


【0】



 今となってはとても昔のことのようで、けれど歳月にしてみればまだ数年前の話。

 小学生の頃、かなりのお祖母ちゃん子だった私は、たくさんの時間をお祖母ちゃんの家で過ごした。
 自分の家がどちらかと聞かれたら答えを迷うくらい、朝も夜もそこに居続けた。

 両親が忙しそうにしていたことも大きな理由だけれど、やはり一番の理由は、私がお祖母ちゃんのことを好きで、なついていたからだろう。
 だから、お父さんの転勤が決まったときも、私は積極的に付いていこうとはしなかった。

 まあ、ここはさして都会ではなく住むのに適していて、幼稚園から仲良くしていた友達と離れたくなかったという事情もある。
 いきなり知らない土地に行くと言われて気が乗らないのもあたりまえのことだし、
 私自身がこの場所を気に入っていたというごくごく普通の理由に言い換えてもべつにかまわない。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1571680464
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/10/22(火) 02:55:42.68 ID:ShxRzgitO

 両親からの質問と私の返答は、とてもシンプルなもので、

 ──お母さんとお父さんと一緒に行きたい?
 ──べつにどっちでもいいよ。

 ──じゃあ、お祖母ちゃんと今までみたいに過ごしたい?
 ──まあ、それは、うん。

 たしか、そんなあっけないやり取りで、お祖母ちゃんの家にとどまることが決まった。
 というより、決められた。初めから私の意思なんてものは意味をなしていなかったように思える。その真偽はどうであれ。

 もしかしたら転校するかもしれない、と告げていた当時の友達は私がここに居続けることを喜んだ。
 抱きつかれて、泣きじゃくられて、どうしてか私もつられて泣いた。
 あまり泣くという行為や涙そのものに縁が無いから、ぱっと思い出せるうちで最後に泣いたのはその時だったように思える。

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