少年「アヤカシノート」

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1 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/10/04(金) 18:07:51.49 ID:qYsOfvLU0
SS6作目です。

今回はとあるシリーズものの歌を参考にしています。
これまでの作品よりも長丁場になる予定ですが、よろしければお付き合い下さい。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1570180071
2 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/10/04(金) 18:09:28.22 ID:qYsOfvLU0
■第一幕 トモダチ■



ーーー学校 教室ーーー



ガララ



同級生A「今日の体育しんどかったわー」

同級生B「ほんとな。マラソン大会の為の外周とか、喜ぶの陸上部くらいだろ……俺昼食い過ぎてめっちゃ脇腹痛くなってた」

同級生A「ゲボッたらお前のあだ名ゲロリアンにすっから」

同級生B「お前にかけたるわ」

ギャハハ!



少年「……」テクテク

少年(…うるさいな。下らないこと喋り続けるなよ)

少年(まぁいいや。次の授業までに早く着替えちゃわないと)ガサゴソ

少年「……!」

同級生A「」ニヤニヤ

同級生B「」ニタニタ

少年(っ……)



『6月10日  曇りのち、雨

鞄の中に絵の具を散らされた。
町中を自分色に染めたがる"イロヌリ瘴女"なる妖怪に目を付けられたみたいだ。ついてない。』




3 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/10/04(金) 18:11:33.81 ID:qYsOfvLU0
ーーー学校ーーー

少年「……はぁ」テクテク

少年(今日もあいつらの居る教室に行かなくちゃいけないのか……早く夏休みにならないかなぁ)



テクテク ガララ...



「あ、来たよ」

「うわ…確かにあれはやってそうな顔してる」

「こっち見てない?きもっ」

ヒソヒソ...



少年「…?」

少年(なんだ?クラスの奴が見てくる…)

少年(……席着こう)

ストッ



...トットットッ



同級生A「なぁ聞いたぜ?」

同級生B「少年さ、お前本当面白いよな」ニヤニヤ

少年「…何だよ」

同級生A「お前昔好きな女子のリコーダー舐めて泣かせたんだって?やっべぇな!今時そんなことするとか勇者かよ!」ゲラゲラ

同級生B「いやー流石だわ!俺たちにゃ出来ないことやってきてるよなぁ!」ギャハハ

少年「はっ!?なんだそれ!そんなことしてるわけないだろ!」

同級生A「今更隠さなくてもいいって!今朝からみんなその話で持ちきりなんだしよ」ニヤニヤ



ヒソヒソ ジロジロ



少年「……っ」



『6月20日  嫌になるほど、晴れ

根も葉もない噂を流された。
雨の様に噂を垂れ流すのが好きな妖怪"イイフラシ"の奴らの仕業だろう。』



4 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/10/04(金) 18:12:19.07 ID:qYsOfvLU0

少女「……」

「少女、どうしたの?」

少女「ん?いや…なんでも」

「それよりさ、今日はどこ行く?」

少女「校庭かなー」

「またー?どうせ今日もノックでしょ」

少女「うん。付き合ってくれる?」

「えー…私はもうパスさせてもらおうかな。行きたいお店あるし」

少女「あはは…そうだよね」

「少女もいい加減その趣味はどうなの?女の子が野球っていうのも変な話」

少女「ほっといて。気が紛れるからやってるだけ」

「ふーん」




5 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/10/04(金) 18:20:31.83 ID:qYsOfvLU0
ーーーーーーー

教師「期末テストの結果、返してくぞ。順番に名前呼ぶから取りに来い。まずは少女」

少女「はい」

教師「ぼちぼち…ってとこだな」

教師「猫又娘」

猫又娘「はーい!」

教師「返事だけなら満点なんだがなぁ…もうちょっと真面目に勉強も取り組むように」

猫又娘「…はーい」

教師「二つ編み」

二つ編み「はい」

教師「…うん。言うことなしだ。この調子で頑張れ」

二つ編み「ありがとうございます」

教師「次は──」

少年(……ほんと、うんざりだ)

少年(バカみたいなことしてくるあいつらにも、それに便乗するクラスの奴らも)

少年(…けどもっと嫌んなるのは、みっともない逃避に縋る自分)

少年("アヤカシノート")

少年(いつからだっけな。こんな風にノートに嫌な出来事を書き付けるようになったのは)

少年(あいつらに言い返すこともしないで、自分で考えた妖怪のせいなんかにして……)

教師「派手娘」

派手娘「ん」

教師「…席ぐらい立ちなさい」

派手娘「はぁ?目の前なんだからそのまま渡して下さいよ」

教師「派手娘」

派手娘「…分かったわよ。面倒くさっ」

少年(……いや、どうせ奴ら様の仕業だ。この世の嫌なこと全部全部、悪い妖怪が起こしてるんだ)

少年(だからしょうがないんだよ。僕が何も出来ないのは。相手は恐ろしい妖怪なんだから)

教師「──少年、居ないのか?」

少年「!は、はい」

教師「聞こえてるなら早く来なさい。後回しにするぞ」

クスクスクス

少年「……」スクッ

少年(……はぁ)



少女「………」



.........




6 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/10/04(金) 18:22:25.16 ID:qYsOfvLU0

教師「お前たち、期末テストが終わったからって気を抜くんじゃないぞ。うちは夏休み前の基礎学力テストがあるんだからな」

教師「内申点に大きく関わってくるから、推薦組もそうだが一般受験組にとっても大事な試験だ」

教師「それが終われば……いよいよ本格的な受験勉強の始まりだ」

少年(受験か…面倒だなぁ嫌だなぁ)

少年(入試なんて、いっそ妖怪が食べてしまってくれたらいいのに)

少年(……ここの奴らと離れられるのだけは清々するけど)







ーーー数日後ーーー

「起立、気を付けー、礼」

全員「さようなら」

ガタッ、ガタッ

「今日から俺塾なんだよね」

「そうなの?あれ、部活は?」

「県予選で負けて引退。いいとこまでいったんだけどさー」

ガヤガヤ

少年(塾…僕もそのうち行けって言われるのかな)

少年(今の成績じゃあんまりいいとこ行けないのは分かってるけど……めんどい)

少年「……ん?あれ…?」

ゴソゴソ

少年(おかしいな、財布、ここに入れといたはずなんだけど)

ガサゴソ

少年「……」

少年(……まさか、あいつら……)



『7月1日  晴れ、のちのち憂鬱

買ったばかりの財布が無くなった。
あームカつく。本当嫌んなる。奴らはきっと知らんぷりだろうし。
……そう、どうせ"カネクイ蟲"にでも喰われたんだ。とんだ災難だ。』




7 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/10/04(金) 18:24:41.30 ID:qYsOfvLU0
ーーー翌日ーーー

少年「……」テクテク

少年「……」テクテク

少年(……くそ……)

少年(今日は靴を隠された。これから帰ろうって時にうざったい。そんなことしてる暇があるならお前らこそとっとと帰れよ)

少年「……」テクテク

少年(…靴の事はまあいい。どうせ教室のゴミ箱辺りから出てくる)

少年(それより、もっとまずいのは…)





少年(──ノートをどこかに落としたみたいだ)





少年(見つかるのが教師ならまだいいけど、あんなのがクラスの誰かに見られたら……)

少年(見つけ出さないと。早く、早く…)

少年「……」スタスタ

少年(やっと戻ってきたか、教室)



ガラッ!



少年「!」

少女「あ…」フリムキ

少年(…誰だっけ。確か同じクラスの……)

少年(…気にしない気にしない。とりあえず靴を見つけてしまおう)チラッ

少年「──!?」

少女「……」

少年(おい……嘘だ……)

少年(この人が手に持ってるの……僕のノート……?)
8 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/10/04(金) 18:26:18.28 ID:qYsOfvLU0

少年「………」

少女「……これ、あなたのだよね?」

少年「……」

少年「……見たのか?」

少女「…まぁ、ちょっとだけ」

少年「………」

少年(……あぁ……最悪だ……)

少年(最悪の失態)

少年(あんな奴らにいいようにやられてるってだけでも情けないのに、居もしない妖怪なんかのせいだと書き殴って…)

少年(こんな惨めな方法で、自分で自分を甘やかしてんだ)

少年(なのに…)



少女「……」



少年(なんでそんな目で見てくるんだよ)

少年(バカにするならバカにしろよ!哀れむなら哀れめよ!)

少年(何もかも見透かしたようなその目をやめろよ…!)

少年「……」グッ...

少年(さっきからなんなんだ…)

少年(こんなしょうもない僕に何か用かよ……)

少年(情けない……情けない……勝手に涙まで出てきそうだ)

少年(??面白いものが見られて良かったろ?満足したならもう消えてくれ)

少年(……そんなこと言えるはずもない)

少年「は……はは……」

少年「どうしようもないだろ。そんな日記」

少女「………」

少年「さぁ、笑ってくれよ」

少年「こんなバカな僕を」

少女「……」

少女「………」

少女「……ううん」フルフル

少年「…?」

少女「ふふっ、違うよ。バカにしたいとかじゃなくて」

少女「…ねぇ、少年君」

スッ(手を差し出す)





少女「友達になってくれませんか?」




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