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城ヶ崎美嘉「いつまでも」
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1 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/10/03(木) 21:05:29.72 ID:JpWGvtY50
――楽屋 ライブ後
城ヶ崎美嘉「お疲れさまでーす!」
スタッフ「お疲れさま!」
アイドル「おつかれー!」
美嘉「ん、あれ、プロデューサー!」
モバP(以下P)「おう、お疲れさま」
美嘉「お疲れさま。楽屋来てたんだ」
P「どうだった、初のステージライブ」
美嘉「緊張したよ。でも、めっちゃ楽しかった」
P「いい返事だ。初めての店舗ライブでガチガチだったときより、だいぶ慣れたな」
美嘉「い、いつの時の話してんのさ。アタシだってちゃんと成長してるんだから」
美嘉「……って言ったけど、ちょっと嘘。お客さんが目の前に、あんなにたくさんいるなんて初めてだった」
美嘉「ステージに立っているとね、照明が自分に当たるから、顔とかほとんど見えないじゃん?」
美嘉「でも、見えた。サイリウムが波のように揺れているのが、あのひとつひとつがいま私を見てくれている光なんだって、はっきりわかった」
美嘉「イントロくるまでちょっと意識飛んじゃってたよ」
P「おいおい」
美嘉「ジョーダンジョーダン★ やり切ったの見ててくれたでしょ」
P「まあな」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1570104329
2 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/10/03(木) 21:06:34.87 ID:JpWGvtY50
美嘉「……すごかったぁ。完璧……じゃなかったかもしれないけど、今できることをやってきたと思うな」
P「それでいい、いまはそれで十分だ」
P「この調子で、これからも頑張っていってくれよ」
美嘉「うん。……プロデューサー」
スッ
P「ん? ああ」
パシッ
美嘉「へへ……ちょっと手のひら痛い」
P「えっ、あっ、すまん!」
美嘉「大丈夫。プロデューサーもテンションアゲちゃったカンジ?★」
P「そんな……いや、そうかもな」
美嘉「あははっ、プロデューサーも楽しんでくれたなら嬉しいよ」
美嘉「ま、アタシに目ぇつけたプロデューサーだもん。アタシの輝くところ、一番近くで見ててよね」
P「ああ」
P(やっぱり、パッションにして正解だったな)
3 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/10/03(木) 21:07:09.66 ID:JpWGvtY50
P「……」
美嘉「?」
P「なんでもない。打ち上げはするのか?」
美嘉「うん。他の子何人かと……」
P「今日のステージのか」
美嘉「そう。年近い子たちで」
P「ん、それじゃあ気を付けてな」
美嘉「あ。あのさ、プロデューサーは?」
P「え?」
美嘉「えと……打ち上げ」
P「ああ、裏方組のやつ行くけど」
美嘉「そっか」
P「未成年組が来てもいいけど、ちょっとお酒は飲ませらんないな」
美嘉「そこはキチンとしてるし! でも、んー……」
P「なんだ」
美嘉「ううん、プロデューサーとも打ち上げしたかったかなーとか」
P「んー……担当ばかりが固まっているってんなら考えるけどさ……その集まり、俺の担当美嘉だけじゃないか。アウェーすぎるよ」
美嘉「あはは、だよねー。仕方ない、諦めるか」
P「まぁ、ライブ成功で何か連れてってやるくらいは」
美嘉「ほんとっ?」
4 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/10/03(木) 21:07:38.97 ID:JpWGvtY50
P「行きたい店あったら教えといてな」
美嘉「うん!」
P「じゃあな。お疲れ、美嘉」
美嘉「お疲れさま、プロデューサー」
−−−
P(城ヶ崎美嘉は、割と最初から優秀なアイドルだった)
P(宣材写真で「城ヶ崎美嘉らしく」なんて注文を付けてもこなせて見せた)
P(自分らしく、なんて普通なら難しい要求なのに)
P(元読者モデルとしての場慣れはプラスの方向に働いたし、派手な見た目はファンの目を惹いた)
P(なにより彼女の一番の才能だと思ったのは、その見た目に反して地道な努力というものを知っていることだった)
P(お陰で彼女を育てるのに苦労はしなかったし、表に出せばすぐに人気が出ていった)
P「カリスマって言うが、本当、その通りだよな」
美嘉「え、何々? いきなり褒められたけど?」
P「いや、別に。次でデザートだな」
美嘉「ん〜、なんだろ。楽しみ♪」
5 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/10/03(木) 21:08:06.12 ID:JpWGvtY50
P「定番ならジェラートとかか」
美嘉「いいね〜。メインのパスタも、普段うちで作るのと全然違うし、美味しかったなぁ」
P「それはなにより。そんな高級ってわけじゃないイタリアンだけど」
美嘉「いーよいーよ。フレンチとか堅苦しそうだし。緊張しないで食べられる方が美味しいじゃん」
P「一理ある」
美嘉「それにー、プロデューサーのお財布にも優しいし?★」
P「ありがたいけど心配されるほどじゃないよ」
美嘉「ふふ……お願い聞いてくれてありがとうね、プロデューサー」
P「まあ、約束だったしな」
美嘉「……こうしてゆっくり話せたのも嬉しかったな」
P「話くらいなら、事務所でいつも聞くぞ」
美嘉「んー、そういうんじゃなくて」
P「どういう?」
美嘉「んと……んー……」
店員「お待たせしました。シチリアレモンのジェラートです」
P「あ、はい」
6 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/10/03(木) 21:08:32.57 ID:JpWGvtY50
美嘉「やっぱりジェラートだった」
P「定番だよな」
シャク
美嘉「わっ、なにこれ。レモンの皮入ってる」
P「おー……噛み潰すと香りが広がるな。市販のアイスでも似たようなのあるけど、全然違う」
美嘉「触感にも違い出て面白いねー」
P「えーと、それで何の話をしたいんだったっけ」
美嘉「んっ…… そんな話してたっけ★」
P「そうか? まあいいや」
美嘉「ん〜、さっぱりしてるのに満足感あるってイイね」
P「ああ」
7 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/10/03(木) 21:09:05.85 ID:JpWGvtY50
店員「ありがとうございました」
美嘉「ごちそうさまでした」
P「ごちそうさま」
美嘉「プロデューサーにも、ごちになりまーす」
P「おー、良きにはからえ」
美嘉「……じゃあ」
P「駅まで歩くか」
美嘉「うん」
コツ コツ スタスタ
美嘉「陽が落ちても暑いよねー」
P「嫌んなるよな」
美嘉「歩いているだけで汗出るし、そのくせ電車は寒いし」
P「家でのクーラーもな、かけっぱなしにすると朝だるくなるし」
美嘉「だよね! 朝起きるの辛くてびっくりしたよ」
P「かけっぱなしは喉にもよくないぞ」
美嘉「うん、それ以降はやってない」
P「喉によくないといえば……レストランの水が炭酸だったな。ガス無しにしてもらえばよかったか」
美嘉「そこまではいいよ。明日ライブがあるわけじゃないんだし」
P「まあ、炭酸なにも飲めないのも辛いか」
美嘉「そうそう。あ、でも甘くない炭酸って新鮮だったなー」
P「あー、慣れると悪くはないけど、やっぱり味がないと寂しく感じるよな」
美嘉「だよねー。せめてちょっとくらいね」
コツ コツ コツ
スタスタスタ
美嘉(あ……)
美嘉(……ふぅん)
8 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/10/03(木) 21:09:35.70 ID:JpWGvtY50
P「この先の通りから人増えるな。なんか、髪隠せないか」
美嘉「あ、うん。帽子持ってるから……オッケー」
P「おう」
美嘉「あーあ、せっかく髪セットしてきたのに」
P「すまないが、目立つからなぁ……」
美嘉「あっ、でもめっちゃ芸能人っぽいねコレ★」
P「芸能人だけどな……しかし、それでも見た目気にするっていうのはさすがだよ」
美嘉「そりゃもう。見た目で業界わたっていくわけだし?」
美嘉「それに、レッスンの最初の頃に言われたんだ。『見られることが仕事なんだから、常に見られているという意識を持て』って」
P「何人かのアイドルに聞かせてやりたい」
美嘉「あはは★ まあ、それはそれでそういうトコが魅力だったりするじゃん」
P「そうかもしれないけど。やっぱりそういうところはポイント高いだろ」
美嘉「ふふふ、ありがと。……プロデューサーもね」
P「ん?」
美嘉「ちゃんと歩調合せてくれてるの、ポイント高いよー?」
P「……」
美嘉「んふふふっ」
P「……」
コツコツコツコツ
美嘉「あっ、ちょっと! わざと早歩きとか、もー!」
9 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/10/03(木) 21:10:22.16 ID:JpWGvtY50
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
――駅前の書店
美嘉「あ」
P「ん?」
美嘉「プロデューサーはっけーん★」
P「外で会うのは珍しいな」
美嘉「どしたの、サボり?」
P「事務所に戻る途中にさっと寄っただけだよ。ちひろさんには黙っておいて下さい」
美嘉「あはは、おっけ。どうして本屋に?」
P「芸能雑誌のパラ見」
美嘉「ふーん。でも、アイドル誌とかなら事務所にも置いてあるじゃん」
P「うちのアイドルが載っている本ならな。この業界、狭いようで広いから、店頭に並んだ本を見るだけでもいつの間にか、知らないアイドルがデビューしてる。アンテナは常に張っておいた方がいいだろ」
美嘉「市場調査ってやつだ」
P「そういうこと。例えば……このユニットはCDデビューしたから、単独ライブも遠からず発表があるし、ファン層と規模からするとハコが絞りこめてくる」
美嘉「そういうのも分かるの?」
P「うちだってCD出すならライブも織り込んでるだろ」
美嘉「そういえばそうだね」
P「事務所ごとに特色はあるけど、売り出し方はそんな大きくは変わらないよ」
10 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/10/03(木) 21:10:49.60 ID:JpWGvtY50
美嘉「へー……あ。この表紙、うちの事務所の子だよね」
P「あー、速水さんか。そうだな」
美嘉「事務所で見かけた気がしたんだ。……わ、オフと印象変わらないってすごいなー」
P「確か同い年じゃなかったか」
美嘉「えっ、マジ? フツーに年上だと思った」
P「わかる」
美嘉「えー……17? えー」
P「今度話してみたらどうだ。何か共通の話題でもみつかるかもよ」
美嘉「考えとく」
P「もしかしたら、ユニット組むなんてこともあるかもな」
美嘉「どうだろうねー」
パラパラ
P「お。……へぇ」
美嘉「なに?」
P「身長体重、美嘉と同じだ」
美嘉「もっ……もーっ、何見てんの!」バシバシ
11 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/10/03(木) 21:11:16.58 ID:JpWGvtY50
P「悪い悪い、仕事の癖で」
美嘉「プロフ見るのはともかく、アタシにそれ言う? フツー」
P「悪かったって」
美嘉「……っていうか、数字覚えてるの」
P「ん、まぁ。なんなら本当の数字も把握してる」
美嘉「えー、やらしくなーい?」ニヤニヤ
P「仕事だから仕方ないだろう」
美嘉「だよね★ まあでも、ちゃんと知っててくれているのは悪くないかも」
P「……そんじゃぁ、そろそろ事務所戻るか」
美嘉「はーい、アタシもご一緒するよー」
P「あ、じゃあちひろさんへの言い訳立ったな」
美嘉「おっと、アタシをダシにする気?」
P「んー……タダじゃなんだよな。じゃあ、途中にあるスタバでなんか頼め」
美嘉「やった★ んー……バニラクリームフラペチーノをモカシロップにして……チョコレートソース、チョコレートチップ、エクストラパウダー!」
P「よく分かんないけど、カロリー凄そうなのは分かる」
美嘉「にひひっ。一口あげてもいーよ?」
P「うーん、遠慮しておく」
12 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/10/03(木) 21:11:43.11 ID:JpWGvtY50
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
――事務所
美嘉「あ、プロデューサー! お疲れ、いま帰るとこ?」
P「ああ、そっちもあがりか」
美嘉「うん。ラジオ終わって帰ってきたトコ」
P「直帰しなかったのか」
美嘉「えっ」
P「え、って」
美嘉「あそっか、あははは★ そうね、うん、直帰ね」
P「お疲れさん。じゃあ」
美嘉「えーっ、送ってってくれないの? せめて駅までとかさ」
P「まあ、構わないけど」
美嘉「やった」
P「飯でもたかる気か?」
美嘉「んー……それもいいけど、今日はお母さんがご飯作ってるし」
P「そりゃあ帰った方がいい」
美嘉「プロデューサーもまた、うちに来てよ。莉嘉も喜ぶし」
P「まあ、いずれな」
13 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/10/03(木) 21:12:12.94 ID:JpWGvtY50
美嘉「それじゃあ……」
P「駅まで行くか」
美嘉「うん」
−−−
コツ コツ コツ
スタスタスタ
美嘉「さっきまで夕暮れだったのに」
P「日が短くなったよな」
美嘉「毎年同じように秋になっていってるのに、なんでいつもしみじみ思うんだろね」
P「だな。俺の歳でも思うよ」
美嘉「プロデューサーの歳でも変わらないんだ」
P「まぁ……っていうほど離れてねーって」
美嘉「あっははは」
P「……」
美嘉「……」
P「どうした?」
美嘉「あ……ううん」
コツ コツ コツ
スタスタスタ
美嘉「プロデューサー」
P「ん」
美嘉「すぅ、はぁ……手、繋いでほしいなー、なんて」
14 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/10/03(木) 21:12:43.41 ID:JpWGvtY50
P「深呼吸が気にはなったが……どうした」
美嘉「えーと、その、暗いから?」
P「……」
美嘉「……」
P「なんていうか、雑」
美嘉「ひどっ」
P「いくら変装してるとはいえなぁ」
美嘉「まあ、確かにプロデューサーはそう言うかもね」
P「分かってるんじゃないか」
美嘉「でもさ。莉嘉なら?」
P「うん?」
美嘉「プロデューサー、莉嘉に言われたら、OKしてると思うんだよね」
P「……つまり?」
美嘉「莉嘉はOKで、アタシがダメな理由があるんだなーって」
P「んー……いや、年頃なわけだろ」
美嘉「莉嘉は、そういう対象外なんだ」
P「……」
美嘉「アタシは、そういう対象ってコトでいーのかな?」
P「あーもう、わかったよ。駅前の、明るいところまでな」
美嘉「う、うんっ」
キュッ
美嘉「♪」ニコニコ
P「いくぞ」
美嘉「うん」
P「……」
15 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/10/03(木) 21:13:25.94 ID:JpWGvtY50
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
――控室
P「トークショーはまぁ、いつもの感じでいいか。放っといても延々喋れるだろ君ら」
セクギャル「そーだね」「うんうん」「ぽよ〜」
P「長めに時間とっているけど、あんまり脱線するようなら修正利かせてな。まぁ……美嘉がやることになるだろうが」
大槻唯「美嘉ちゃんよろしくね〜」
藤本里奈「頼りにしてるぽよ☆」
美嘉「はいはい……まぁ、任せておきなさいって」
唯「よっ、日本一!」
P「なんのだよ。時間が来たらそのままサイン・握手会。まぁ、こっちもそんな緊張することもないだろ」
美嘉「はーい」
P「終了したらそれで解散でいいぞ」
唯「えー、Pちゃん、ごはんたべにいこーよー」
P「終わっても15時だよ、まだ仕事あんだから」
唯「ちぇー」
P「じゃあ、あとは時間まで待機。トークで新曲の告知は抑えといて」
里奈「りょーかーい」
P「俺は打合せと挨拶回りいってくる。それじゃあ」
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