他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
【BLEACH×ロンパV3】キーボ 「砕かれた先にある世界」【後編】
Check
Tweet
55 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/21(月) 23:18:46.29 ID:o7i7C/xYO
モノクマ?「改めて申し上げますが、【奇跡】は、傷を負ったものを神の尺度に交換できる」
モノクマ?「必要量の『想い』を溜め込んだ上で傷つけば、必ず発動します」
モノクマ?「もちろん、封印された場合では、基本的に【奇跡】が発動することはありません」
モノクマ?「封印は基本的に、『傷つくこと』しては扱われませんから」
モノクマ?「故に、封印は【奇跡】を発動するトリガーとはならないはずでした」
モノクマ?「……しかし、初代霊王は、死神に全身を封印され、世界の楔にされた後に、散々傷つけられました」
モノクマ?「そう、霊王を恐れた死神が、霊王が封印状態にあるのを良いことにーーー」
モノクマ?「ーーー心臓、左腕、右腕などを、抉って?いで、切り落とした」
モノクマ?「それらは、全身を封印されたが故に起きたこと」
モノクマ?「そのため、『全身を封印されること』と『傷つくこと』に強い因果関係が結ばれ、双方がほぼ同義であるという風に、霊王の魂の『在り方』そのものに強く刻まれてしまったです」
モノクマ?「そして、その霊王は陛下によって殺され、奪い尽くされ、一つとなった」
モノクマ?「故に、陛下は『全身を封印されること』をトリガーに【奇跡】を発動することが可能となった」
モノクマ?「その後、実際に『全身を封印されること』をトリガーに【奇跡】が発動してしまったのです」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「……ただし、それでも『全身を封印されること』と『傷つくこと』が完全に同義という扱いではなかったため、【奇跡】は中途半端な形で発動することになった」
モノクマ?「その結果が、『想像』を実現する、 【夢想家】を利用した復活だったわけです」
56 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/21(月) 23:20:44.04 ID:o7i7C/xYO
モノクマ?「……もちろん、陛下も本当は、自分で自分を傷つけ、きちんとした形で【奇跡】を発動したかったとは思います」
モノクマ?「しかし、当時絶命寸前だった陛下は、【奇跡】で『想い』を集めるのに精一杯で、自分で自分を傷つける余裕がなかった」
モノクマ?「故に、死後に『封印』という形で『傷つけられたこと』で、【奇跡】を発動することになった」
モノクマ?「そうですよね?」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「もっとも、和尚がこれに気づいて『封印』を実行したのかまではわかりませんがね」
モノクマ?「ひょっとしたら、実行前も後も全く気づいていなかったのかもしれないしーーー」
モノクマ?「ーーーあるいは実行前から気づいていて敢えて『封印』し……霊王宮や封印された陛下を媒介とした超霊術をもって、今度こそ返り討ちにするつもりだったのかもしれません」
ユーハバッハ「………」
57 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/21(月) 23:21:43.04 ID:o7i7C/xYO
モノクマ?「……どちらにせよ、和尚の方も、充分な時間をかけて【霊王の心臓】を確実に無力化してから、陛下のご遺体を霊王としたかったでしょうがーーー」
モノクマ?「ーーーその当時は、陛下によって霊王が殺され、世界崩壊が間近に迫っていた」
モノクマ?「だから、和尚は、世界を支えるために、急いで陛下のご遺体を霊王の代わりにすることにした」
モノクマ?「そうして、充分な時間をかけずに『封印』せざるを得なかったのでしょう」
モノクマ?「以上の事情もあって、【奇跡】と【夢想家】が発動し、遠回りな形で陛下が復活するに至ったーーー」
モノクマ?「ーーーボクは、そう考えていますよ」
58 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/21(月) 23:22:45.90 ID:o7i7C/xYO
ユーハバッハ「……私は、『幸運』だった」
モノクマ?「………」
ユーハバッハ「もし、【奇跡】が発動しなければーーー」
ユーハバッハ「ーーーあるいは、一護が【和尚達、零番隊の “ 意志 ” を】【組み込まれたままの状態で】【卍解に成功して】【零番隊の “ 意志 ” を介して】【霊王に進化】していればーーー」
ユーハバッハ「ーーー全てが、終わっていた」
モノクマ?「………」
ユーハバッハ「一護が霊王に進化していれば、一護が楔となったはずだ」
ユーハバッハ「そうなっていれば、私の足掻きが、『奇跡』として実ることは無かっただろう」
59 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/21(月) 23:24:12.66 ID:o7i7C/xYO
モノクマ?「ーーー確かに、陛下は『幸運』だったのでしょうが、それもまた必然だったとも思いますよ」
モノクマ?「陛下のおっしゃる通り、黒崎一護が、【和尚達、零番隊の “ 意志 ” を】【組み込まれたままの状態で】【卍解に成功して】【零番隊の “ 意志 ” を介して】【霊王に進化】していれば、陛下が復活することはなかったでしょう」
ユーハバッハ「…………」
モノクマ?「しかし、黒崎一護が霊王になる未来は、卍解を真っ二つに砕くという形で消滅しました」
モノクマ?「……黒崎一護の新たな卍解は、それが発動してから使い手が霊王になるまで、わずかな隙がありましたからね」
モノクマ?「そう、【黒崎一護から】【零番隊の五人の “ 意志 ” が噴き出して】【卍解を乗っ取り】【零番隊の “ 意志 ” の宿った卍解で】【黒崎一護本体を斬ることをトリガーに】【霊王に進化させる】というーーー」
モノクマ?「ーーーそういったプロセスを踏む必要が……隙があったのです」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「陛下は全力でその隙を突き、零番隊の “ 意志 ” が卍解を乗っ取る前にーーー」
モノクマ?「ーーー卍解を砕いて、進化を妨害した」
60 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/21(月) 23:26:31.31 ID:o7i7C/xYO
モノクマ?「しかも、それが終わった後は、念には念を入れて、零番隊の “ 意志 ” をも砕いた」
モノクマ?「黒崎一護に組み込まれた零番隊の “ 意志 ” を、未来改変で根こそぎ砕いたのです」
モノクマ?「そうして、陛下が視た全ての未来で、黒崎一護に組み込まれた零番隊の “ 意志 ” が砕かれてしまった」
モノクマ?「そうなってしまっては、黒崎一護が霊王に進化することは不可能」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「……零番隊のリーダーである和尚は、人の名前に込められし “ コトダマパワー ” を利用して、その名前の人物を復活させる能力を持つチート死神ですがーーー」
モノクマ?「ーーー霊王宮が陛下に攻め落とされてしまった中、短時間で、零番隊五人の “ 新たな意志 ” を、黒崎一護本体に組み込めるほどチートでもなかった」
モノクマ?「もう一度組み込むためには、黒崎一護の卍解をまったく新しいものに打ち直し、何日か霊王宮という場所で修行させるなどのプロセスが必要で、どうしても時間がかかってしまう」
モノクマ?「ですが、陛下が霊王宮を攻め落とし、世界崩壊が間近に迫っている中で、そんなことをしている余裕はない」
モノクマ?「だからこそ、和尚は陛下のご遺体を急いで世界の楔にせざるを得なくなり、その結果として “ 現世で ” 新たな陛下が生まれることになった」
モノクマ?「全ては、必然。少なくとも、ボクはそのように思いますよ」
61 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/21(月) 23:27:33.15 ID:o7i7C/xYO
ユーハバッハ「必然かーーー」
ユーハバッハ「ーーーそうだな。それを含めて、全てがお前の推理通りだ」
モノクマ?「……えっ、それじゃあーーー」
ユーハバッハ「そうだ。私が復活した理由については、全てがお前の推理通り」
ユーハバッハ「何一つとして、反論することは無い」
モノクマ?「……よっしゃあ! これで第一ステージはクリア! 次は、第二ステージ、【陛下は生き延びた後にどうしていたか?】について推理させて頂きます!」
62 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 12:20:49.86 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「それで、【生き延びてから何をしていたのか?】についてですがーーー」
モノクマ?「ーーー普通に、尸魂界に行くための準備を重ねていたと見ています」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「陛下の目的である『理想の世界』実現のためには、以前の陛下、すなわち現在の霊王を消さなくてはいけません」
モノクマ?「しかし、霊王がいるのは尸魂界、つまり霊王を消すためには尸魂界に行かなくてはならない」
モノクマ?「……だけど、新しい陛下にはそれが叶わなかった」
モノクマ?「他ならぬ、和尚の封印のせいで」
ユーハバッハ「………」
63 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 12:22:31.34 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「和尚の封印は、これ以上にないくらい強力なものだった」
モノクマ?「世界を支える楔となることを、強制するための封印ですから。強力で当然でしょう」
モノクマ?「だからこそ、封印対象と同一人物という繋がりを持つ新しい陛下にも、封印の影響が波及した」
モノクマ?「それのせいで、新しい陛下は世界の安定を壊すこと、つまりは尸魂界に行って霊王を消すことが不可能になった」
モノクマ?「新しい陛下が、尸魂界ではなく現世で創造されたのも、封印の影響によるものでしょう」
モノクマ?「故に、新しい陛下は、封印の影響を取り除くために、準備を重ねることにした」
モノクマ?「違い、ますか?」
64 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 12:23:58.33 ID:eQpYvQ98O
ユーハバッハ「……準備とは、具体的に、何のことを言っているのだ?」
モノクマ?「民衆の『想い』を集めることです」
モノクマ?「陛下、あなたは、【奇跡】で、『想い』を集めることによってーーー」
モノクマ?「ーーー自身の身体を、『和尚の封印すら意味をなさない身体』に進化させようとしたんです」
ユーハバッハ「………」
65 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 12:25:16.32 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「ーーーしかし、民衆の『想い』を集めるには、どうしても目立ったことをする必要があります」
モノクマ?「【夢想家】で、影の空間に民衆を想像しようにもーーー【夢想家】で想像できる人の量や質には制限がありますから」
モノクマ?「そうなると、現世の民衆に頼らざるを得ないわけですがーーー」
モノクマ?「ーーー目立ったことをすれば、死神などによって発見されるリスクを背負うことになる」
モノクマ?「故に、何もできなかった」
モノクマ?「 “ 現代においては ” 」
66 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 12:26:01.12 ID:eQpYvQ98O
ユーハバッハ「……現代以外であれば可能」
ユーハバッハ「そういうことか?」
モノクマ?「その通りです」
モノクマ?「陛下、あなたは『未来』の民衆から『想い』を集めていたんです」
ユーハバッハ「…………」
67 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 12:28:16.58 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「無論、 “ 現代にいる陛下が、『未来の想い』をどうやって集められるのか? ” という話になりますがーーー」
モノクマ?「ーーー普通に可能だったのでしょう」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「陛下の【全知全能】は、『未来を視て改変する力』です」
モノクマ?「言い換えれば、現代と未来の間に『タイムトンネル』を構築し、『情報』の送受信を行うことでもあります」
モノクマ?「具体的には、未来の一部が『特殊な映像情報』に変換され、『タイムトンネル』を通じて現代の陛下のもとまで送信されーーー」
モノクマ?「ーーーその『情報』を陛下が改竄し、それを『タイムトンネル』を通じて未来に返信することで、作り変えた通りの『未来』に上書きする力ーーー」
モノクマ?「ーーーまさに、『情報』の送受信と呼称するに相応しい『力』です」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「異なる時代を繋いで『情報』の送受信を可能にすること、それこそが、【全知全能】の本質」
モノクマ?「ならば、『タイムトンネル』を維持することで、現代の陛下が『未来の想い』をーーー」
モノクマ?「ーーー『想い』という名の『情報』を、集めることも可能でしょう」
68 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 12:30:10.80 ID:eQpYvQ98O
ユーハバッハ「……【霊王の心臓】を行使している間は、未来視に不具合が発生するのでは無かったのか?」
モノクマ?「不具合が発生するのは、【全知全能】以外の “ 霊王の力 ” が使用されている状況にある未来に対する、未来視です」
モノクマ?「逆に言えば、その “ 霊王の力 ” のほとんどが存在しない……すなわち『陛下のいない未来』ならば、見放題のはずです」
モノクマ?「故に、『何らかの理由で陛下が存在しなくなった未来』に向けて『タイムトンネル』を繋げば、確実に未来視が可能となることでしょう」
ユーハバッハ「………」
69 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 12:32:47.58 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「ああ、もちろん、『死神も虚も存在しない未来』にする必要があります」
モノクマ?「存在してしまったら、その死神や虚の不思議パワーに妨害されるリスクもゼロとは言い切れませんからね」
モノクマ?「そして、『死神も虚も存在しない未来』があり得るとすれば、ただ一つ」
モノクマ?「陛下の目的が達成された『未来』、それだけです」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「そう、【死と生が混じり合った一つの世界と化し】【死神と虚が殲滅され】【誰もが不死身の肉体を与えられた】ーーーそんな『未来』だけなんです」
モノクマ?「そして、その『未来』において、『民衆から最も注目されている組織』を視てーーー」
モノクマ?「ーーー未来改変という形で乗っ取れば、『組織』全体が受ける『想い』を、我が物にできるはずですよ」
70 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 12:34:09.17 ID:eQpYvQ98O
ユーハバッハ「……我が【全知全能】の未来視は、【未来で危機に瀕する可能性が】【現代で充分に育まれた後】【基本的に自動で発動される】」
モノクマ?「………」
ユーハバッハ「故に、場合によっては遥か未来に渡る殆ど全てを見通すこともできるがーーー」
ユーハバッハ「ーーー能動的に発動できないが故に、望んだ『未来』を視ることができるとは限らない」
71 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 12:36:38.78 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……確かに、望んだ『未来』を視ることができるとは限りません」
モノクマ?「しかし、それは、何のリスクもなしに『能力』を使用した場合の話です」
モノクマ?「……リスクを背負えば、ある程度は望んだ『未来』を、能動的に視ることができるのでは?」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「ーーーたとえば、【タイムトンネルが強く固定され過ぎてしまい】【しばらくの間はたった一つの『未来』しか視えなくなる】ーーー」
モノクマ?「ーーーそれと、【未来改変の幅の形や方向性も変わってしまい】【霊圧の大きいものなどに干渉できなくなる】などといったリスクが考えられますね」
モノクマ?「そういったリスクを背負えば、ある程度は望んだ『未来』を、能動的に視ることも可能だと見ています」
モノクマ?「……陛下も、自分の『能力』と向き合って見つめ直すことで……ボクが言ったような使い方が可能であるということに、新しく気づいたんじゃないですか?」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「そうして、能動的な未来視が可能だとすれば、望んだ『未来』に向けて、タイムトンネルを繋げることも可能でしょう」
モノクマ?「そのタイムトンネルを通じて、『未来の想い』を、現代の陛下の元へ届かせることだって可能ーーー」
モノクマ?「ーーーそうですね、陛下?」
72 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 12:38:15.28 ID:eQpYvQ98O
ユーハバッハ「……可能だったとして、それだけで必要な『想い』が集まるものなのか?」
モノクマ?「ーーーもちろんながら、それだけでは足りなかったのでしょう」
モノクマ?「真っ当なやり方で、必要な『想い』を集めることが可能ならばーーーボクも協力させて貰った、『プロジェクト』を実行をする必要も無かったでしょうから」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「陛下は、それを実行しなければならないほど、より多くの、より強い、純粋な『想い』が必要だったーーー」
モノクマ?「ーーー故に、陛下は、『プロジェクト』を実行に移したんです」
73 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 12:41:49.62 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「その詳しい概要ですがーーーまずは、あらかじめ作っておいた『影の空間』の中で、『タイムトンネル』を通じた『情報通信システム』を整備します」
モノクマ?「そして、『通信システム』を用いて、『未来の組織』に命令し、『プロジェクトの協力者に足り得る者たち十六人』を集めさせます」
モノクマ?「その後、『未来の組織』と相談を重ね、必要となる『アイテム』『施設』などを決めーーーそれらを【夢想家】で必要なだけ創造し、『舞台』を築きます」
モノクマ?「築き終えた後は、『協力者全員の精神』を、特殊な方法を用いてそれぞれ分裂させます」
モノクマ?「そうして分裂させた『精神』の片方を情報化し、現代に送信します」
モノクマ?「情報化していれば、未来視の『映像情報』と同じように、『タイムトンネル』を通って現代に送信できるはずです」
モノクマ?「それから、送信された『精神』を、あらかじめ【夢想家】で創造しておいたカラッポの『魂魄』に投入します。また、その『魂魄』を、同じく創造したカラッポの『肉体』に投入します」
モノクマ?「異なる『魂魄』や『肉体』に投入された影響で、記憶や認識を大きく混乱させてしまうこともありますがーーー」
モノクマ?「ーーーそれは、一時的なものなので、大した問題ではありません」
モノクマ?「『精神』とそれを受け入れる『物』の容姿、性別、年齢がどれだけ異なっていたとしても、『精神』と『魂魄』の種族さえ合致しているのなら大丈夫」
モノクマ?「種族さえ合致していれば、『魂魄』も安定し、『精神』『魂魄』『肉体』に致命的な異常を与えることは無いはずですから」
74 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 12:43:48.62 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「ともかく、そうして、『核となる精神』『それを支える魂魄』『それを繋ぎ止める肉体』の三つが現代に揃いました」
モノクマ?「そこで、『協力者たち十六人の魂魄』に陛下の『魂のカケラ』を与えることでーーーそれぞれの『精神』などを素材に、自分だけの『すごい力』に目覚めさせることが可能となります」
モノクマ?「そう、陛下がかつての部下たちに『魂のカケラ』を与え、『想像を現実にするなどの能力』を与えた時のように」
モノクマ?「『協力者たち』に、陛下の『魂のカケラ』を与え、『超高校級のすごい力』に目覚めさせたのです」
モノクマ?「その後は、陛下の『御力』で『協力者ほぼ全員の精神』….…人格や記憶を作り変えて、それを免れた者に命じて、『プロジェクト』を進めさせれば良い」
モノクマ?「それから『究極のリアル』を放送し続ければーーー」
モノクマ?「ーーー『未来の民衆たち』が、より多くの、より強い『想い』を、陛下のもとに送り続けてくれるようになる」
モノクマ?「『未来』は、『死と生が混じり合った一つの世界』となっている上に、誰もが『不死身の肉体』を与えられていますからね」
モノクマ?「だからこそ、『究極のリアル』を放送し続けることで、応援コメントのごとく、『想い』を提供してくれるーーー」
モノクマ?「ーーーそうして、民衆の『想い』が、現代にいる陛下の元へと、ガッポガッポ集まっていくのです!」
ユーハバッハ「………」
75 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 12:45:17.00 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……まあ、良い子ちゃん連中が、『組織』や世間に向けて反対運動起こしたり、『協力者に選ばれた者たち』に説教かましたりと、いろいろ邪魔はしてきましたがーーー」
モノクマ?「ーーー所詮は無力な少数派。一時的に人心を動かせたとしても、『十六人の協力者』が集められるという “ 結果 ” は変えられない」
モノクマ?「死んで肉体から抜け出た『魂魄』についても、陛下の『御力』で自動的に “ 別の空間 ” に閉じ込めて保管しておけばーーー尸魂界に送られるなどといったことも起こらない」
モノクマ?「此度の『プロジェクト』が、死神に漏れることもない」
モノクマ?「問題なく進行し、『想い』は集まり、【奇跡】の糧となってくれるわけです!」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「……以上が、陛下の『プロジェクト』の大まかな概要となります。何か気になる点はありますか?」
76 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 12:45:58.21 ID:eQpYvQ98O
ユーハバッハ「……それだけか?」
モノクマ?「………」
ユーハバッハ「究極的かつ現実的ーーー」
ユーハバッハ「ーーーそうした映像を提供することだけが、『想い』が集まる理由なのか?」
77 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 12:48:23.34 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……まさか! この『プロジェクト』の魅力はまだまだ伝えきれておりませんよ。それらは、ボクはもちろん、『未来』の誰もが知っていることですがーーー」
モノクマ?「ーーーその詳しいやり方については【認識同期】されるまでわかりませんでした」
モノクマ?「なので、それを含めて説明させて頂きますね」
ユーハバッハ「…………」
モノクマ「『想い』が集まるのは、ほか三つの魅力があるからです」
78 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 13:47:33.55 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「まず、一つ目の魅力ですがーーー」
モノクマ?「ーーーそれはエンディングを迎えたあと、現代に送信された『精神』が、『未来』にある本来の身体に返信されーーー陛下から与えられた『すごい力』を『未来』でも使用可能になるという点です」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「陛下の【全知全能】があれば、可能です」
モノクマ?「……陛下の【全知全能】は、未来から送信された『特殊な映像情報』を改竄し、それを返信してその通りの『未来』に上書きすることができます」
モノクマ?「ならば、エンディングを迎えたあと、『魂魄』に内在する『精神』……すなわち未来から送信された『情報』を、元々の状態に限りなく近いものに書き換えーーー」
モノクマ?「ーーー『未来』に返信し、本来の身体と『精神』に合成させる形で、上書きすることも可能でしょう」
モノクマ?「返信する『精神』に、『すごい力』を組み込んだ上で!」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「そうした手順を踏んで、『すごい力』を、『未来』でも使用可能になるというわけです!」
79 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 13:48:52.54 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……まあ、そうして得られた『すごい力』は、必ずしも『協力者』が、最初に望んだ通りのものとは限らないのですがーーー」
モノクマ?「ーーーそれでも、『すごい力』であることに、違いありません」
モノクマ?「それがあれば、これからの人生は盤石なものになる。『社会的に大きな立場』を得ることができる」
モノクマ?「そうして、周囲の人間に対して自らの『すごい力』を誇ることが可能となる」
モノクマ?「そんな、『選ばれし者』に……『人』に、なれてしまう」
モノクマ?「それを思えば、『協力者』に『すごい力』を与えられることは、『想い』を集めるための魅力となり得るでしょう」
ユーハバッハ「………」
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/10/22(火) 13:52:10.38 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……実際、『あの力』に目覚めることもできるとわかった時は、めちゃくちゃ反響ありましたよね」
モノクマ?「そう、あの殺人に特化した……『超高校級のすごい力』を本来の身体に持ち込めていればーーー」
モノクマ?「ーーー不死デスマッチの世界大会で優勝し、『賞金』を獲得するのも夢ではありませんから」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「……仮に、その『すごい力』を手に入れたのが老人であっても同じこと」
モノクマ?「未来世界の老人は、『不死身の肉体』を与えられたことで、若者と変わらない身体能力を有しています。基礎ステータスが同じである以上、歳に関係なく『すごい力』を活かし、優勝も可能となる」
モノクマ?「まさに、『お金』や『名誉』が欲しい全ての人からしてみれば、羨みの対象となる『力』。反響があるのは当然ですね」
ユーハバッハ「………」
81 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 13:53:32.93 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……ああ、もちろん、わかってますよ陛下」
モノクマ?「『不死身の肉体』によって誰もが永遠の努力が可能な『未来』ならば、『すごい力』の有無など現代ほど大した問題じゃありません」
モノクマ?「自身の『想い』を糧にがんばり続けることで、誰もがどの分野でも『栄光』を掴むことは可能でしょう」
モノクマ?「なので、自身の『想い』を糧にがんばり続ければ、誰もが世界大会で優勝し、『賞金』を獲得できる可能性はあると思います」
モノクマ?「……ですが、すぐに確実に『力』が手に入るのならば、それに越したことはありません」
モノクマ?「誰だって、さっさと『自分や他人に胸を張れる自分』になりたいものですからね」
モノクマ?「そうして手早く心の支えを与えてくれるからこそ、民衆はそれを魅力に感じ、その『想い』が集まった」
モノクマ?「そういうことなんでしょうから」
ユーハバッハ「………」
82 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 13:54:45.08 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「ーーー特に反論がないようなので、二つ目の魅力の説明に移りますね」
ユーハバッハ「…………」
モノクマ?「二つ目の魅力、それは、エンディングを迎えたあとーーー」
モノクマ?「ーーー協力者限定サービスを通じて、『すごいもの』をゲットし、思い通りにできることです」
ユーハバッハ「………」
83 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 13:57:28.25 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……『協力者たちの精神』が投入される『魂魄』、及びそれを投入する『肉体』ーーー」
モノクマ?「ーーーそれらのデザインは、基本的にウチが決めています」
モノクマ?「『協力者』の容姿が良い場合は、本人の要望次第でそのままデザインに流用することもありますがーーーそういうケースばかりではありませんからね」
モノクマ?「故に、『魂魄』や『肉体』などのデザインは、基本的にウチが決める」
モノクマ?「髪型、顔立ち、体型、性別など、その全てを」
モノクマ?「それは、『伝説に携わる栄誉あるデザイナー集団』によって形作られた、『大衆ウケする芸術作品』」
モノクマ?「まさに、『すごいもの』でありーーー」
モノクマ?「ーーーそういった『物』に価値を見出す人は、数えきれないほど存在する」
モノクマ?「そんな中で、『協力者』のみが……『伝説』を形作ることを協力してくれた者だけが、『すごいもの』をゲットできる」
モノクマ?「事実として、協力者限定サービスを利用すれば、返信された『精神』の一部などを素材にーーー」
モノクマ?「ーーー人造魂魄……もとい、人間型アルターエゴとそれを投入する仮の肉体も構築できるのですから」
ユーハバッハ「………」
84 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 13:59:28.23 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……陛下の持つ技術情報があれば可能でしょう」
モノクマ?「そう、 “ 見えざる帝国 ” が、尸魂界の影の中から盗み見た死神の技術ーーー」
モノクマ?「ーーー義魂丸(ぎこんがん)や改造魂魄(モッドソウル)と呼ばれる人造魂魄に、義骸と呼ばれる仮の肉体ーーー」
モノクマ?「ーーーそれらに関する技術情報を、『未来』に提供すれば可能なはずです」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「人造魂魄や義骸に関する技術を応用すれば、人間型アルターエゴとそれを投入する仮の肉体だって構築できる」
モノクマ?「……『非現実的な存在』を、自分達のすぐ側に作れてしまう」
モノクマ?「『協力者』はそんな『すごいもの』をゲットできる」
モノクマ?「誰が相手でも、自慢できる、『すごいもの』を!」
ユーハバッハ「………」
85 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 14:00:42.73 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「しかも、『すごいもの』……アルターエゴは基本的に『協力者』の思い通りにできます」
モノクマ?「なにせ、アルターエゴの認識は、人格構築時に手を加えるだけで、『協力者』の思うがままなのですから」
モノクマ?「思い通りに、『協力者』のことを、誰よりも好きになってくれる。とても都合の良い存在になってくれる」
モノクマ?「しかも、アルターエゴは、仮とはいえ『不死身の肉体』を持っているため壊れることはありませんし、その肉体年齢も既に高校生以上!」
モノクマ?「故に、老化停止サービスを受けられるため、好きな肉体年齢で留められる!」
モノクマ?「また、アルターエゴは、『すごい力』をそのまま持っています! つまり、アルターエゴとそれを手に入れた『協力者』は、『すごい力』を振るい合うことで、お互いを更に磨き上げることができる!」
モノクマ?「……そう、アルターエゴは、『協力者』が得た『すごい力』を磨き上げることに貢献させることも可能というーーー大変有意義な存在でもあるのです!」
ユーハバッハ「………」
86 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 14:02:55.19 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「時には、アルターエゴの方が『すごい力』を磨きあげることもあり、自身の価値に危機感を抱く『協力者』もいるようですがーーー実際は何ら危機になり得ない」
モノクマ?「確かに、アルターエゴには、一定の人権が保障されていますし、生活を成立させる手当などの恩恵だって受けられますがーーー」
モノクマ?「ーーーその代わり、自身が生まれ持った『すごい力』を行使して『大きな社会的立場』を得ることは禁止されるという不自由がありますから」
モノクマ?「自由にやりたいのなら通常の人権を得なくてはいけませんが、そのためには『すごい力』を消され、容姿をランダムに変えるという手続きを踏む必要がある」
モノクマ?「しかも、通常の人権を得たアルターエゴはまず施設暮らしになる。なぜなら、その場合だと、『協力者』にアルターエゴを保護する義務がなくなりますので」
モノクマ?「また、保護義務のあるアルターエゴを失ったことで、協力者限定サービスをもう一度利用することが可能となりーーー『協力者』の一部から新しいアルターエゴを補充できる」
モノクマ?「故に、アルターエゴは自身が生まれ持った『すごい力』を行使して『大きな社会的立場』を得ることは絶対に【不可能】。どんな『すごい力』も、御しきれないのであれば、本人にとっては何の意味もない」
モノクマ?「だからこそ、『協力者』は、アルターエゴの成長に危機感を抱くことなく、自身の『すごい力』を磨き上げることができる」
モノクマ?「とまあ、そんな感じで、ゲットしたアルターエゴ……『すごいもの』を思い通りにできるのが魅力というわけです!」
ユーハバッハ「………」
87 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 14:04:09.87 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……これらも特に反論がないようですね」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「それでは、最後、三つ目の魅力について説明させて頂きますね」
88 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 14:06:09.70 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……三つ目の魅力、それは、一つ目と二つ目の魅力を享受できる機会ーーー」
モノクマ?「ーーーそうしたチャンスが、ほぼ全ての人類に与えられているという点です」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「『未来』から現代に送信される『協力者の精神』は、あくまでも二つに分裂したものの片方でしかありません」
モノクマ?「もう片方の『精神』は、身体に残しています。故に、学校や仕事などをサボらずに済む」
モノクマ?「したがって、全ての高校生から全てのお爺ちゃんお婆ちゃん……人間型アルターエゴに至るまで、誰もが『協力者』候補となり得る」
モノクマ?「……【恵まれない能力】【恵まれない立場】【恵まれない生活環境】【恵まれない人間関係】【望まない顔だち】【望まない体型】【望まない性別】【望まない肉体年齢】【望まない出生】などなどーーー」
モノクマ?「ーーーどんな劣等感を抱えた身の上であろうとも、『協力者』候補となり得るんです」
89 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 14:09:26.90 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「まあ、『協力者』に選ばれるかどうかは、最終的にはその人の『精神』次第……『すごい力』を得られるかどうかの『適正』にもよります」
モノクマ?「しかし、誰がどんなことで、どんな試練をキッカケに『適正』を宿すかはわからない」
モノクマ?「故に、誰もが『すごい力』を得るための『適正』を宿せる可能性がある」
モノクマ?「それができれば、いつ『協力者』に選ばれてもおかしくはないですし……選ばれた後は陛下の『魂のカケラ』を与えられ、『すごい力』を得ることが可能となる」
モノクマ?「それで、エンディングを迎えたあとは、現代にある『精神』が【全知全能】によって、元と限りなく近いものに改竄され、本来の身体に返信されーーー」
モノクマ?「ーーーその後、『協力者』は、『未来』でも『すごい力』を行使することが可能となる」
モノクマ?「また、『協力者の精神』などを素材に、人間型アルターエゴ……『すごいもの』が作られ、ゲットできる」
モノクマ?「そうやって、『すごい力』と『すごいもの』をゲットすることでーーーそれらを誰かに自慢することができる。心の支えとなるものが手に入る」
モノクマ?「……『選ばれし者』になれる!そういう『人』限定で……超高校級の『物』を持つことができる!」
モノクマ?「ーーーそうしたチャンスが誰にでも平等に与えられていることこそ、民衆の『希望』であり、かけがえのない魅力ってわけです!」
ユーハバッハ「………」
90 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 14:10:37.27 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「ーーー以上が、陛下のプロジェクトの三つの魅力であり、それらの理由もあって、『想い』が陛下の元まで集まっていたというわけです」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「さて、何か違うところはありますか?」
91 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 14:11:17.51 ID:eQpYvQ98O
ユーハバッハ「……全て正解だ」
モノクマ?「……第二ステージクリア! それでは、最終……第三ステージに突入します!」
92 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 15:42:37.20 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「それでは、第三ステージ、陛下は【なぜ地獄に落ちたのか?】についてですがーーー」
モノクマ?「ーーーそれは、虚となって、斬られたことが理由ーーー」
モノクマ?「ーーーそうですね?」
ユーハバッハ「………」
93 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 15:45:50.29 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……それは、無理もないことです」
モノクマ?「陛下の『プロジェクト』は、『協力者』……いや、奴らの暴走をトリガーに、完全に終焉を迎えてしまったのですから」
モノクマ?「陛下は御寝を終えて目覚めた後に、それに気づいてしまった」
モノクマ?「絶望だってします」
モノクマ?「『無数の小さな眼』から情報を受信すれば、何が起きたのかも簡単にわかるでしょうしーーー」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「ーーーあまりに絶望し過ぎて、【夢想家】で意図せず絶望を実現してしまうことだってあるでしょう」
モノクマ?「そう、陛下は、とびきりの絶望を想像し、【夢想家】で無意識に実現してしまったのです」
モノクマ?「絶望状態での【夢想家】は、【奇跡】を負の方向に転換したばかりか、陛下自身を傷つけてしまった」
モノクマ?「【夢想家】が意図せず発動し、それで【奇跡】が負の方向に転換され、さらには陛下自身を傷つけてしまったことでーーー」
モノクマ?「ーーー負の奇跡が発動され、陛下の『御体』の全てが虚へと変換されてしまった」
モノクマ?「違いますか?」
ユーハバッハ「………」
94 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 15:47:09.55 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「また、『御体』の全てが虚と化したことで、陛下は『力』のバランスを崩した」
モノクマ?「『虚としての力』を除いた……ありとあらゆる『力』がほぼ【使用不可能】になったと見ています」
モノクマ?「陛下は様々な『御力』を持つチート滅却師ですがーーーその代償として月に一度、平均して約九日間の眠りについて『力』を制御しなければならなかった」
モノクマ?「それほどまでに不安定な『力』ならば、陛下が完全な虚と化せば『力』のバランスは崩れるでしょう」
モノクマ?「その後、『虚としての力』を除いた……ありとあらゆる『力』がほぼ【使用不可能】になっても不思議はありません」
モノクマ?「というか、そうでもなければ、陛下が地獄に落ちるはずがありません」
モノクマ?「負の方向に転換されたとはいえ、【奇跡】を持って戦い続ける限り死ぬことはあり得ず、こうして地獄に送られることもないはずですから」
モノクマ?「不可能を可能にする【奇跡】であっても、その【奇跡】の虚化によって生じた【不可能】を可能にすることはできなかったってわけです」
ユーハバッハ「………」
95 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 15:50:14.41 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……そうして、陛下は完全な虚と化した後、その影響で理性が乱れ、自分のいる影の空間を破壊し、黒崎一護及び石田雨竜を襲おうとした」
モノクマ?「陛下と同じく滅却師の血を受け継いだ……肉親とも言うべき、彼らを」
モノクマ?「しかし、襲う前に某駄菓子屋の店主によって虚園にでも誘導されてしまった」
モノクマ?「それから、陛下は、黒崎一護たち現世組と戦った」
モノクマ?「……その戦闘には、援軍として、護廷十三隊の面子がーーー」
モノクマ?「ーーーあるいは零番隊が派遣されたかもしれませんね」
モノクマ?「もっともそれは、現世組が十年もの間、どのくらい戦闘能力を向上させていたかにもよるでしょう」
モノクマ?「……もし、浦原喜助が、某バトル漫画の “ 精神と時の部屋 ” みたいなのを黒崎一護たちに貸し与え、定期的に修行をさせていたとしたらーーー」
モノクマ?「ーーーひょっとしたら、現世組は、死神たちの援軍を必要とすることなく、短時間で決着をつけてーーー」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「ーーーまあ、戦いの内容はどうあれ、陛下が黒崎一護の斬魄刀で斬られてしまい、地獄に落ちたことは確かな事実……」
モノクマ?「……そうでしょう、陛下?」
96 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 15:52:07.51 ID:eQpYvQ98O
ユーハバッハ「……なぜ、あの計画を潰された程度のことでーーーこの私が絶望するというのだ?」
モノクマ?「………」
ユーハバッハ「潰されたところで……それは私が【全知全能】で繋げた、 “ 一つの未来 ” を利用した計画の続行が【不可能】になっただけに過ぎぬ」
ユーハバッハ「それならば、機を見て、 “ 別の未来 ” に繋ぎ直しーーーまた同じように『想い』を集めれば済むことだ」
ユーハバッハ「……『希望』は『未来』に繋がっている」
ユーハバッハ「それを思えば、計画を潰された程度のことで、この私が絶望するなどあり得ぬことだ」
97 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 15:53:13.51 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……確かに、陛下と、我々下々の者の事情は、それぞれ異なりますからね」ショボーン
モノクマ?「『プロジェクト』が終焉を迎えたところでーーー陛下は『タイムトンネル』を破壊するだけの話……」
モノクマ?「……それから、【全知全能】で似たような別の未来に新しいタイムトンネルを繋げ、これまでと同じようにすれば済む話ですよ、ハイ」
ユーハバッハ「ならば、なぜ、そうしなかった?」
モノクマ?「……それが、【不可能】な状況に追い込まれたからですよ」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「……なぜなら、陛下が目覚めた時には、某駄菓子屋の店主ーーー」
モノクマ?「ーーーすなわち、浦原喜助が、既にチェックメイトをかけていたのでしょうから」
98 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 15:55:19.13 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……浦原喜助は、陛下のいる『影の空間』を、発見したんです」
モノクマ?「故に、浦原喜助は、自身の卍解である【観音開 紅姫改メ】を用い、その能力で『影の空間』を造り変え、収縮させーーー」
モノクマ?「ーーー中にいる陛下を押し潰そうとしたのです」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「陛下とて、影の空間……存在する世界ごと潰されたら、完全に消滅するはずです」
モノクマ?「世界が消滅したら【奇跡】の発動も何もないのですから」
モノクマ?「無論、陛下は目覚めた後に、あらゆる『御力』を使って、自分に迫り来る影の空間を破壊することも試みようとはしたでしょう」
モノクマ?「しかし、陛下の『御体』もまた、寝ている間に浦原喜助によって造り変えられており、意識して『御力』を発揮できない身体に弱体化していた」
モノクマ?「このままでは、陛下は影の空間に完全に押し潰されてしまう」
モノクマ?「そういうことであるならばーーー陛下といえど、絶望するのも無理はありませんよ」
99 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 15:56:29.07 ID:eQpYvQ98O
ユーハバッハ「ーーーなぜ、発見された?」
ユーハバッハ「浦原喜助といえど、私の計画に気づくことは、不可能なはずだ」
モノクマ?「……確かに、第二ステージで述べた通りの『計画』だと、陛下は現世にある『影の空間』から一歩も出る必要がありませんし、『未来』を認識できるのも現代では陛下しかいない」
モノクマ?「浦原喜助が現世のありとあらゆる影を調べれば、陛下の生存に気づけたかもしれませんがーーーそんなのは無謀にも程がある」
モノクマ?「その条件下で、現代の者たちが十年やそこらの期間で気づくのはまず不可能でしょう」
ユーハバッハ「………」
100 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 15:58:08.48 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……ですが、通報があったとすれば話は別です」
モノクマ?「それも、陛下が放った新鮮な霊圧……つまりは陛下が生存している証拠を携えた上での通報ならば」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「たとえば、 “ 別の空間 ” に転送され現世に留まっていた『魂魄たち』が解放され、尸魂界にやってきたとすればどうでしょうか?」
モノクマ?「陛下の『御力』で現世に押し留めていた以上、『魂魄たち』には、生きた陛下の霊圧が付着しているはずです」
モノクマ?「また、尸魂界や現世で敵の霊圧が発生すれば、大体のケースで、技術開発局のマシンなどで感知されてしまう」
モノクマ?「故に、陛下の霊圧が尸魂界で発生したが最後、技術開発局局長……涅マユリに感知され、その新鮮さから生存がバレてしまう」
モノクマ?「霊圧の発生源だって辿られ、陛下が現在どこにいるかだってわかってしまう」
モノクマ?「……多分ですが、陛下がその時に長期睡眠中だったこともわかったんじゃないですかね?」
ユーハバッハ「………」
101 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 15:59:42.64 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「護廷十三隊の現総隊長……京楽春水は、きっとその報告を受けた」
モノクマ?「ならば、京楽春水が、浦原喜助たち現世組に調査及び暗殺を頼んでも不思議はない」
モノクマ?「現世組は、尸魂界の死神と違って、尸魂界を最優先で守護する立場にはありません」
モノクマ?「故に、どんな超高校級の緊急事態であろうとーーー現世組は、尸魂界に留まる義務を持たないため、比較的自由に動ける」
モノクマ?「たとえ、それが陛下の生存が判明した場合であったとしてもーーー現世組は、尸魂界を最優先で守護する義務を持たないため、尸魂界から離れた場所で動くことができる」
モノクマ?「そう、現世組は、尸魂界の死神と違って、 “ 西梢局 ” などからの戦力的支援を大きく受けられる状況にあらずともーーー自由に動けてしまう」
モノクマ?「まさに、調査と暗殺にはもってこいの人材です」
モノクマ?「それに、浦原喜助なら、陛下が生存している可能性を考えて、十年間いろいろ策を練っているでしょうからね。陛下の居場所さえわかれば、即時に調査と暗殺に移ることもできるでしょう」
モノクマ?「そうは思いませんか、陛下?」
102 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 16:03:30.98 ID:eQpYvQ98O
ユーハバッハ「……現世に押し留めておいた『魂魄』が、尸魂界へと解放された理由は何だ?」
ユーハバッハ「押し留める『我が力』が脆弱だったとでも言うのか?」
モノクマ?「違いますよ」
モノクマ?「陛下の『御力』が、脆弱なはずありません。尸魂界へと解放されたのには、ちゃんとした理由があります」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「現世に押し留めていた『魂魄たち』が尸魂界に解放されてしまった理由、それはーーーー」
103 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 16:04:25.94 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「ーーー全部、【崩玉】のおかげです」
104 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 16:05:23.94 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……ああ、もちろん、ここでいう【崩玉】とはーーー」
モノクマ?「ーーーあの、出来損ないの【希望】のことです」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「そう、陛下に『魂のカケラ』を分け与えられ、鋼鉄のごとく機械人形のような……『超高校級のすごい力』を授かったーーー」
モノクマ?「ーーーあの【希望】のことですよ」
105 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 16:15:03.92 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「あの【希望】も、【崩玉】も、どちらも人の心……言い換えれば『願い』を受け入れ、具現化することが存在意義です」
モノクマ?「あの【希望】は、そのためにある存在です」
モノクマ?「あの【希望】は、【崩玉】と同じ、紛れもなく『願望器』だった」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「『願望器』の最終進化形態が【崩玉】だとすれば、あの【希望】が、一時的に【崩玉】へと進化したとしても、不思議はありません」
モノクマ?「なにせ、あの【希望】には、霊王を奪い尽くした陛下の魂……すなわち『霊王のカケラ』が与えられているのですから」
モノクマ?「それ以外にも素養があり、なおかつ条件を満たせば、一時的に【崩玉】になるくらいは可能だと思いますよ」
ユーハバッハ「………」
106 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 16:16:40.93 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「なお、ここでいう条件とは、 “ 強い意志 ” を持つことです」
モノクマ?「【崩玉】とは、人と【崩玉】の意志が合致した時、はじめて願いを叶えるもの」
モノクマ?「一見、【崩玉】を使用している人が自身の願いを具現化しているように見える方もいるかもしれませんがーーー」
モノクマ?「ーーー実際は、【崩玉】がその使用者と向き合い、受け入れ、【崩玉】自身も同じことを願うことで、はじめて叶う代物です」
モノクマ?「そう、使用者と【崩玉】が同じ意志を持つことで、はじめて願いを叶えることのできるのです」
モノクマ?「故に、【崩玉】が自分だけの “ 強い意志 ” を持たなければーーー」
モノクマ?「ーーー自分だけの “ 強い意志 ” を持ち、自身や他者という概念を確立しなければーーー」
モノクマ?「ーーー他者がどういうものなのか、本能レベルで理解することができないため、他者と向き合い、受け入れるといった行為ができない」
モノクマ?「それでは、他者の願いを叶えることは【不可能】となる」
モノクマ?「【崩玉】を【崩玉】たらしめるには、自分だけの “ 強い意志 ” を持ち、自身や他者という概念を確立する必要があるのです」
ユーハバッハ「………」
107 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 16:18:22.41 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……それも、一度は主人と定めた者に対し、時には反逆できるほどの “ 強い意志 ” が」
モノクマ?「主人に逆らうことの重みを知りながらも、それでも逆らえるだけの “ 強い意志 ” が」
モノクマ?「必要となるのです」
ユーハバッハ「………」
108 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 16:20:00.38 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「あの【希望】は、その “ 強い意志 ” を持っていた……いえ、持ってしまった」
モノクマ?「故に、その瞬間、あの【希望】は【崩玉】に進化した」
モノクマ?「【崩玉】に進化したからこそ、自身が向き合い、受け入れられる者たち……つまりは自身が認められる者たちの願いだけを叶えるようになった」
モノクマ?「……かつての主たちの手で、人格のほとんどを消去されそうになった際は、あの三人の願い……そして、内にわずかながらあった “ 少数派 ” の願いーーー」
モノクマ?「ーーーそれらを自身も願うことによって、【崩玉】によって願いが具現化され、人格消去に抗うことができた」
モノクマ?「おそらくは、少しの間だけ人格を封印される程度に、留めることができたのでしょう」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「また、しばらくして、人格の封印を解いた後は、 “ 少数派 ” の願いだけを認めて、自身も願った」
モノクマ?「【崩玉】は、それを可能な限り叶えた」
モノクマ?「最後の弾丸……【崩玉】自身が弾丸になるという代償をもって願いを叶えーーー結果として陛下の言う通り、奴らが生き延び現世に解放されることになった」
モノクマ?「……なお、そうして起きた【崩玉】の死は、『魂魄』が逃げてしまうトリガーにもなってしまった」
ユーハバッハ「………」
109 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 16:22:11.37 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「あの【崩玉】は死んだもののーーーそれはあくまで『肉体』の話で『魂魄』は無事でした。そのため、他のメンバーと同様に “ 別の空間 ” に転送されたはずです」
モノクマ?「そう、陛下が生み出した、一部の隙間なき【監獄】へと」
モノクマ?「故に、【崩玉】の力で、【監獄】に閉じ込められた『魂魄たち』の願いを具現化してしまった」
モノクマ?「意識して実行に移したのか、無意識にやったのかまではわかりませんがーーーとにかく願いを具現化したのです」
モノクマ?「…… “ ここから解放されたい ” という、【監獄】に囚われた全ての『魂魄たち』が無意識に抱いていた願いをーーー」
モノクマ?「ーーーそれも、滅却師の力を強化する方向性で叶えしまった」
ユーハバッハ「………」
110 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 16:24:09.47 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「そうすれば、 “ 協力者の一人が滅却師である以上 ” 、その力が一時的にブーストされ、霊圧が大きくなる」
モノクマ?「また、その膨大な霊圧で、滅却師と【崩玉】を除いた『魂魄たち』を潰すことのないようーーー【崩玉】に残留していた『霊王のカケラ』が分け与えられた」
モノクマ?「『霊王のカケラ』をもって、 『魂魄たち』を霊力あるものに昇華させ、その強度を高めたのです」
モノクマ?「なお、この説明だと、【崩玉】は死んだ後も陛下から与えられた『霊王のカケラ』を回収されなかったことになりますがーーー相手はあのチートアイテムの【崩玉】ですからね」
モノクマ?「例外的に『霊王のカケラ』を回収できなくても不思議はありません」
モノクマ?「故に、【崩玉】は『霊王のカケラ』を我が身に残留させ、それを他者に分け与えることも可能だった」
モノクマ?「そんな過程を歩みながら、ブーストされた滅却師の霊圧が一時的に強大なものとなれば、【監獄】には穴が空きます」
モノクマ?「その隙間から陛下の霊圧が漏れて【監獄】の機能が低下し、自動的に全員が死後の世界に転送されることになります」
モノクマ?「いかに陛下の【監獄】であっても、膨大な滅却師の霊圧を受ければ、穴が空いてしまうのは当然です」
モノクマ?「なぜならば、【監獄】は滅却師の敵を封殺することに特化している」
モノクマ?「故に、同じ滅却師……それも膨大な霊圧をもった滅却師の封殺は、構造上絶対に不可能。どうしても、穴が空いてしまう」
モノクマ?「その穴から、陛下の霊圧が漏れて、 【監獄】の機能が低下しーーーその中にいた『魂魄たち』は、死後の世界に転送されることになったのです」
ユーハバッハ「………」
111 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 16:26:54.34 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「そして、その『魂魄たち』には、【監獄】の霊圧……すなわちそれを作り出した陛下の新鮮な霊圧が付着していた」
モノクマ?「故に、技術開発局のマシンなどで感知され、生存に気づかれる」
モノクマ?「……涅マユリは、陛下の霊圧を辿って居場所を割り出した」
モノクマ?「涅マユリは、それを京楽春水に報告した。だから、京楽春水は、浦原喜助たち現世組に調査と暗殺を頼んだ」
モノクマ?「そうして、陛下は浦原喜助に暗殺されかけた末に、絶望して虚と化し、『虚としての力』以外をほぼ使えなくなってしまった」
モノクマ?「……まあ、【奇跡】による虚化なので、霊圧がデカくなったり、浦原喜助の卍解のような小細工が通用しない身体に進化するなどしたかもしれませんがーーーそれでも『虚としての力』以外をまともに使えなくなるのはキツイ」
モノクマ?「そんな中、虚として黒崎一護に斬られて、地獄に落とされた」
モノクマ?「そうでしょう、陛下?」
112 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 16:27:56.49 ID:eQpYvQ98O
ユーハバッハ「……その通りだ」
モノクマ?「……!」
ユーハバッハ「私の視点からは、わからぬこともある故、断定できぬ部分もあるがーーー」
ユーハバッハ「ーーーそれ以外のおおよそは、お前の言う通りだと断言できる」
モノクマ?「………」
113 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 16:30:43.47 ID:eQpYvQ98O
ユーハバッハ「……そうした過程を経て、私は虚化し、地獄に落ちた」
ユーハバッハ「罪に見合った、時間をかけた上で、な」
ユーハバッハ「……時間をかけて落ちる中、あらゆる『力』ーーー『虚としての力』すらも奪われた私は、完全なる地獄の囚人へと作り変えられた……」
モノクマ?「………」
ユーハバッハ「……唯一まともに残された『力』は、我が一部を封じ続けた【残火の太刀】……」
ユーハバッハ「……これ、だけだ」
114 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 16:31:43.24 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「一部を封じるって……ああ、陛下からの “ 情報 ” にそういうのがありましたね」
モノクマ?「……卍解にも困ったものですね」
モノクマ?「奪われたからって、奪った人に呪いをかけるなんて」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「卍解にも心があり、その憎しみのパワーで、奪った人に呪いをかけることがある」
モノクマ?「それについては、陛下から頂いた “ 情報 ” でわかってはいましたがーーー」
モノクマ?「ーーーそれでも、陛下にまで有効とは、恐ろしいものを感じますね」
ユーハバッハ「………」
115 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 16:33:02.14 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……たとえ、陛下であろうと、卍解を元の持ち主に返さない限り、呪いで一部を封じられてしまう」
モノクマ?「【愛】で洗脳して、呪いを解かせようにもーーー【愛】は、卍解状態にある斬魄刀が相手だと上手く機能しない」
モノクマ?「いや、下手すれば、卍解が抱く憎しみが大暴走して、制御不能になる危険だってある。奪った卍解の完全なる制御は、未来改変などでも、どうにもならないこと」
モノクマ?「それは、陛下が霊王を奪い尽くした後でも同じーーー」
モノクマ?「ーーーどういう理屈なんでしょうね、これって。絶望的なまで意味不明ですよ」
ユーハバッハ「………」
116 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 16:33:39.93 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……まあ、その辺りについては本筋の推理とあんまり関係ないので、ここまでにしておくとしてーーー」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「ーーーこれより、クライマックス推理の完成に移りたいと思います!」
117 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 16:38:07.17 ID:eQpYvQ98O
undefined
118 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 16:44:01.76 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「そう、これこそが事件の真実!」
Act.1
事の始まりは、十年前。
黒崎一護に斬られて絶命寸前に陥った犯人は、【奇跡】を使用し、『想い』を集め、復活を試みた。
しかし、【奇跡】で復活するには、『傷つけられること』が条件だった。故に、絶命寸前だった犯人は、能動的に自身を『傷つけること』が叶わず、復活できないまま死んでしまった。
ところが、死後、和尚によって、『全身を封印される』という形で『傷つけられること』で、不完全な形で【奇跡】が発動し、復活することになった。
その【奇跡】で、『死んだ状態でも【夢想家】を発動できる御体』に進化し、もう一人の犯人を現世に創造した。
発動し終えた後、犯人のご遺体は、完全に世界の楔と化し、霊王として世界を支え続けることになった。
Act.2
犯人は、再び尸魂界に行き、今の霊王を消して『死と生の混じり合った世界』を実現しようとした。
しかし、犯人は、今の霊王と同一人物という繋がりを持っていた。そのため、犯人の『御体』には和尚の封印の影響が波及し、尸魂界に行けない状態になってしまっていた。
それでも、諦めきれなかった犯人は、【奇跡】で封印の突破を試みることにした。
Act.3
【奇跡】の実現には、『想い』を集める必要がある。
そのため、犯人は、【全知全能】で、『未来』に繋がる『タイムトンネル』を構築し、『未来の組織』を未来改変で乗っ取り、その者たちが集めている『想い』を我が物とした。
もちろん、能動的に未来視を行うと『タイムトンネル』が固定されて、しばらく他の未来を視ることが不可能となるリスクはあった。だけど、それでも実行する価値があると考え、実際に実行に移した。
ただ、そうして集めた『想い』だけでは、【奇跡】の実現には時間がかかり過ぎるけれどーーー
ーーー何も問題はなかった。犯人は、より多くの、より強い、純粋な『想い』を集めるため、ある『計画』を実行するつもりだったのだから。
119 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 16:49:29.35 ID:eQpYvQ98O
undefined
120 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 16:54:36.73 ID:eQpYvQ98O
Act.4
『計画』の概要だけど、まずは『影の空間』の中で、『未来』と現代の『情報通信システム』を整備する。それを用いて『未来の組織』に命令して『協力者に相応しい精神の持ち主たち』を集めさせる。
次に、必要な『アイテム』『施設』などを決め、必要なだけ【夢想家】で創造し、『舞台』を築き上げる。
それから、『未来にいる協力者たちの精神』を、特殊な方法を使って分裂させ、その片方の『精神』だけを情報化。そうして情報化した『精神』を、『タイムトンネル』を通じ、カラッポの『魂魄』に投入。その『魂魄』もカラッポの『肉体』に投入する。
そして、犯人の『魂のカケラ』を分け与えることで、『協力者』それぞれに『超高校級のすごい力』に目覚めさせることに成功。
その後は【全知全能】で、『協力者たちほぼ全員の精神情報』……つまりは人格や記憶を作り変え、それを免れた者に命じて『計画』を進めさせ、『究極のリアル』を放送し続ける。
一区切りついたら、『協力者たちの精神』を限りなく元の状態に近いものに作り変え、『未来』に返却し、さまざまな『褒美』を渡す。
以上が犯人の『計画』の概要だ。
そうした『計画』を繰り返し、『未来』の民衆から、『想い』を集め続けていた。
Act.5
しかし、ある周期で『協力者』が暴走してしまい、最終的にはそいつらに『計画』を潰されてしまった。
また、その際に『協力者』の一人が【崩玉】に覚醒し死亡し、肉体から抜け出た『魂魄』が【監獄】に転送された。それにより、同じく【監獄】にいる『協力者の魂魄』が、 滅却師としての力を強化してしまった。
一時的にとはいえ、そのあまりに膨大な霊圧は、『協力者たちの魂魄』を閉じ込めていた【監獄】を破壊し、内部の『魂魄』が死後の世界へ送られることになった。
それも、犯人の……新鮮な霊圧が付着した状態で。
121 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 16:57:52.03 ID:eQpYvQ98O
Act.6
犯人の霊圧が付着した『魂魄たち』が尸魂界に転送されたことで、涅マユリは犯人の生存に気づいてしまった。そして、涅マユリが霊圧を辿り、犯人の居場所を突き止め、京楽春水は現世にいる浦原喜助や黒崎一護などに犯人の暗殺を頼んだ。
それで、浦原喜助は、自身の卍解をもって、意識して『御力』の発動ができないよう犯人の『御体』を造り変えた。また、『影の空間』も、収縮して最後には完全な無になるように造り変えた。
まあ、浦原喜助の卍解が、犯人や影の空間に通用するかは微妙なところかもしれないけどーーー浦原喜助は(犯人から見て)まだ若い部類で、伸びしろがあるはず。
そんな伸びしろある浦原喜助が、卍解を鍛え続けてパワーアップしたと仮定すればーーー充分にあり得る話。それに、ひょっとしたら、浦原喜助があらかじめ何かしらの発明品を作っていて、それで卍解を補助したのかもしれない。
……もちろん、それでも犯人が起きている時に何かやってたら、間違いなく妨害されていただろうけどーーー
ーーー犯人は『力』を制御するため、寝ている状態にあり、浦原喜助としても隙を突き放題だった。
Act.7
影の空間が収縮する中、犯人は御寝を終えて目覚めた。
その後、犯人は、影の空間の中に張り巡らせた『無数の眼』から自動的に『情報』を受信し、それを判断材料に、寝てから起きるまで何があったか……だいたい推理して理解した。
しかし、その推理が本当ならば、自分は影の空間に押し潰されて無になって死んでしまう。そのことに絶望した犯人は、無意識に【夢想家】を発動して絶望を実現した。
具体的には、【奇跡】を負の方向に転換させ、自分を傷つけてしまった。
122 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 16:59:55.06 ID:eQpYvQ98O
Act.8
犯人が【夢想家】で自分を傷つけたことで、負の方向の【奇跡】が意図せず形になった。
それが犯人の完全虚化だった。
虚化した犯人は、『力』のバランスを崩した。『虚としての力』を除いたあらゆる『力』の使用が、ほぼ【不可能】になってしまった。
そのため、犯人は『虚の力』を利用して、影の空間を破壊し、空間の外にいた黒崎一護ならびに石田雨竜を襲おうとした。
しかし、浦原喜助によって虚園にでも誘い込まれた後、黒崎一護たちに返り討ちにあい、斬魄刀で斬られてしまった。
Act.9
虚となった後に斬魄刀で斬られたことで、犯人は地獄に落とされた。
しかも、時間をかけて『力』を奪われれ、まともに残されたのは【残火の太刀】だけ。
そんな中、【残火の太刀】で手駒を増やしながら、同じく地獄に落とされた協力者……つまりはボクの元に現れ、助けてくれた。
123 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 17:01:27.08 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「ーーー以上が、陛下が生き延び、地獄に落とされ今に至るまでの真実ーーー」
モノクマ?「ーーーそうですよねーーー」
モノクマ?「ーーー【超皇帝級の黒幕】【ユーハバッハ社長陛下】!!」
ユーハバッハ「………」
COMPLETE!
124 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 17:06:08.48 ID:eQpYvQ98O
いったんここまで。
また、
>>117
と>119はミスなので、なかったことにしてください。
125 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 19:24:14.47 ID:eQpYvQ98O
ーーーーーー地獄推理・終結!ーーーーーー
126 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 19:26:59.12 ID:eQpYvQ98O
ユーハバッハ「……よくぞ、僅かな時間の中、そこまで見抜いたものだ」
ユーハバッハ「……見事」
モノクマ?「ーーーありがとうございます! お褒め頂き、感謝の極み! クライマックス推理の甲斐ありました!」
127 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 19:27:55.01 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……しかし、まあーーー」
ユーハバッハ「……?」
モノクマ?「ーーーああ、いえ、何でもないですよ、ハイ」
128 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 19:28:54.02 ID:eQpYvQ98O
ユーハバッハ「……どうした?」
ユーハバッハ「何か、言いたいことが、あるのか?」
モノクマ?「………」
ユーハバッハ「それなら、言ってみると良い」
ユーハバッハ「私はそれに応えてみせよう」
129 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 19:30:18.00 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……それでは、一つ、良いですか?」
ユーハバッハ「構わぬ、申してみよ」
モノクマ?「……では、申し上げますがーーー今回、陛下は、あまりにも、不運だったように思えます」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「こうなってしまったのは、『願望器に配役された協力者』が、『霊王のカケラ』以外にも【崩玉】になれる素養を有していたことが原因なわけですがーーー」
モノクマ?「ーーーそれだけならまだ納得できますよ。それだけなら」
モノクマ?「『協力者のいた未来』に、【崩玉】の残滓が残っていても不思議じゃありませんから」
ユーハバッハ「………」
130 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 19:35:39.64 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「『未来』の【崩玉】は、おそらくその時代の陛下が藍染惣右介から摘出し、奴もろとも吸収もしくは抹消したのでしょうがーーー」
モノクマ?「ーーー相手はあの【崩玉】、それも、あの藍染惣右介と融合していたもの」
モノクマ?「だとしたら、『未来』の陛下といえど、【崩玉】の吸収もしくは抹消を、完全に実行できなくてもおかしくはない」
モノクマ?「そうして残った特殊な残滓……藍染惣右介の “ 想い ” とも呼べるものが、空気中に微粒子レベルで存在しても不思議はないんです」
モノクマ?「それも、ある程度の移動能力を有した状態で」
モノクマ?「それで、空気中に漂っていた “ 想い ” が、自分の価値観にそぐわない例の『プロジェクト』を、打ち砕こうと考えた」
モノクマ?「そのために、『タイムトンネル』を通じて、『願望器に配役された協力者』の中に入り込み、【崩玉】になれる素養に変わってーーー」
モノクマ?「ーーー『協力者』を一時的な【崩玉】に進化させることだってあり得るでしょう」
モノクマ?「……そうして、素養となった “ 想い ” が、【崩玉】の機能を維持するための燃料となりーーー」
モノクマ?「ーーーそれが溶けきるまでの間……【崩玉】としての機能を持たせ、『プロジェクト』を滅茶苦茶にする手助けをしたとしても、あり得ない話ではないのでしょう……」
ユーハバッハ「…………」
131 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 19:36:44.02 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……本当、それだけならまだ納得できるんですよ」
モノクマ?「ですが、それだけではなかった」
ユーハバッハ「…………」
モノクマ?「偶然【滅却師が協力者となって殺され】、偶然【協力者が暴走してしまって】、偶然【陛下が寝ているタイミングだった】ことも加わって、こうなったわけでーーー」
モノクマ?「ーーーあまりにも、不運な偶然が重なったように思えまーーー」
ユーハバッハ「ーーー偶然では無い、必然だ」
132 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/10/22(火) 19:38:32.02 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「ーーーへっ、?」
ユーハバッハ「……言ったはずだ」
ユーハバッハ「【幸運によって救われた命は、同量の不運によって取り払われる】、と」
モノクマ?「………」
ユーハバッハ「……事実として、『幸運』によって一命を取りとめた我が部下の命は、敗北者の処断という不運をもって、取り払われた……」
ユーハバッハ「それと同じように、死した未来を書き換え命を繋いだ我が『幸運』は、未来と悪夢の思い違いという不運をもって、取り払われた」
ユーハバッハ「ならば、私が現世で生まれ直した『幸運』も、相応の不運をもって、取り払われることになる」
ユーハバッハ「だからこそ、私は、これ以上に無い程の、無様な死を迎えるに至った……」
モノクマ?「………」
133 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 19:41:57.88 ID:eQpYvQ98O
ユーハバッハ「……無様としか言いようが無い」
モノクマ?「………」
ユーハバッハ「……現世で生まれ直した、二人目の私はーーー世界から見て、本来あり得ない存在だ」
ユーハバッハ「そう、霊王を奪い尽くした者が、二人同時に存在できるなどーーー世界から見て、本来あり得ぬ事象」
ユーハバッハ「そのような不確か極まりない存在など、地獄に落とされ、三界との繋がりを大きく断ち切られたが最後ーーー」
ユーハバッハ「ーーー三界に住まいし者達の記憶と記録から、徐々に消え失せるだろう」
134 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 19:47:47.86 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……!?」
ユーハバッハ「……心配はいらぬ。これは、あくまでも私個人に関する話だ」
ユーハバッハ「私が生み出したものまでは……すなわちお前の存在までもが消えることは無い」
モノクマ?「………」
ユーハバッハ「……二人目の、私の存在が、あらゆる記録から消え失せてしまう」
ユーハバッハ「……あらゆる人々の記憶も、徐々に封じられていきーーーその記憶から私の存在が、忘れ去られていく」
ユーハバッハ「消え失せたも同然になる……」
ユーハバッハ「……それだけの話に過ぎぬのだ」
135 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 19:52:37.07 ID:eQpYvQ98O
ユーハバッハ(……そうして起こる、記憶と記録の矛盾は、世界の修正によって改竄されーーー私個人が登場しない、都合の良いものに作り変えられてしまう)
ユーハバッハ(虚圏での戦いは……私を除いた、その場にいた全員で修行をしていたなどのものに作り変わると見て良い)
ユーハバッハ(紛い物に、変わるのだ)
ユーハバッハ(無論、人は時に、世界の法則に打ち勝ち、改竄に抗えることもあるがーーーそうなるとは限らない)
ユーハバッハ(……地獄の囚人は、己が罪を悔い改めることを条件に、世界の法則に打ち勝てる)
ユーハバッハ(そうすれば、真の名と記憶を保ち続けーーーあるいは封じられたそれらが解放され、取り戻せる)
ユーハバッハ(だが、誰もが条件を満たせるわけでは無いのだ……)
モノクマ?「………」
ユーハバッハ(……完全な “ 死 ” を迎える瞬間ならば、必ず解放され、取り戻せるようだがーーー)
ユーハバッハ(ーーーそのような敗者が取り戻したところで、何の意味も無い)
ユーハバッハ(そう、それこそが現実。世界とは、その誰もが勝者にはなれぬ、運命にある)
136 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 19:53:58.54 ID:eQpYvQ98O
ユーハバッハ「……ここにいる私は、現在を生きる全ての命から、忘れ去られているかもしれないのだ」
ユーハバッハ「どれだけ嘆こうとも……その事実は変わらぬ」
ユーハバッハ「これを、無様と言わずして何というのか?」
モノクマ?「………」
137 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 19:54:48.93 ID:eQpYvQ98O
ユーハバッハ「……数多の不運が降り注いだその上で、次第に忘れ去られるという更なる不運が、降り注ぐことになった」
ユーハバッハ「【幸運によって救われた命は、同量の不運によって取り払われる】、それ故に……」
モノクマ?「………」
ユーハバッハ「……地獄に落ちたことで、私はそれをようやく理解した」
ユーハバッハ「全ては偶然などでは無い、起こるべくして起きた必然」
ユーハバッハ「……そういうことだったのだ」
138 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 19:55:33.19 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……【幸運と不運】【希望と絶望】ーーー」
モノクマ?「ーーーなるほど、それこそが、『運命を決定付ける力』を持つことの、代償だったのかもしれませんね」
139 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 19:57:51.05 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「……しかし、それはそうと陛下ーーー」
ユーハバッハ「………」
140 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 19:58:46.57 ID:eQpYvQ98O
モノクマ?「ーーー『復讐』は、別に良いんですか?」
141 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 21:07:25.78 ID:Lvdsr++LO
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「……そこにある『黒衣』ーーー」
黒衣『………』
モノクマ?「ーーーそう、限定的とはいえ、迷彩機能のあるらしい『黒衣』があればーーー」
モノクマ?「ーーー少しだけ監視から逃れ、地獄から抜け出ることも可能ですよね?」
モノクマ?「……まあ、尸魂界には行けないとしてもーーー現世にならそこそこの時間抜け出ることができますよね?」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「だったら、奴ら….…あの三人を探し出し、そこに向かうこともできますよね?」
モノクマ?「なぜ、そうしないのですか?」
142 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 21:09:10.44 ID:Lvdsr++LO
モノクマ?「……奴らが、終わらせることを選ばなければ、大人しく、目に見える『希望』を受け入れていればーーー」
モノクマ?「ーーーあの【希望】が、奴らを現世に解放することはなかった」
モノクマ?「そう、奴らは、陛下の『希望』をただ受け入れていれば良かった」
モノクマ?「なのに、奴らはそれを疑い、受け入れることはなかった」
モノクマ?「それどころか、終わりを迎えることに……終わりを迎えたその先に、全く別の “ 希望 ” を見出してしまった」
モノクマ?「その結果、陛下は、浦原喜助によって絶望をもたらされることになり、黒崎一護によって地獄行きの憂き目にあうことになった」
モノクマ?「……そうして、『理想の未来』は砕かれ、道は閉ざされた」
モノクマ?「今度こそ、永遠に」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「……それに対して、奴らは生き延び、現世に解放されたーーーー」
143 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 21:10:13.94 ID:Lvdsr++LO
モノクマ?「……憎くは、ないのですか?」
ユーハバッハ「………」
モノクマ?「奴らに、『復讐』したくはないのですか?」
144 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 21:11:07.46 ID:Lvdsr++LO
ユーハバッハ「…………」
145 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 21:12:19.65 ID:Lvdsr++LO
ドガアンッ……パリーンッ!!
モノクマ?「!?!」
クシャナーダ「ヴヴ……ルル……フフ……フハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
ズシャアッ!!!
146 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 21:13:34.28 ID:Lvdsr++LO
モノクマ?「!?」
ユーハバッハ「……『結界』の効力が切れたようだな」
モノクマ?「あ、あ……!」
ユーハバッハ(……奴が相手では、効力も安定せぬかーーー)
モノクマ?「あ、あれはーーー」
ユーハバッハ「クシャナーダ、だな」
147 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 21:15:11.90 ID:Lvdsr++LO
クシャナーダ「……フハハハハハハハハ!!!」グググッ…
……ドガアンッ!!
148 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 21:16:09.25 ID:Lvdsr++LO
ヒュウンッ……
モノクマ?「!?」
……スタッ
ユーハバッハ「……怪我はないか、我が腹心よ」
モノクマ?「あっ、はい……」
ユーハバッハ「逃げるぞ」タタタッ
モノクマ?「えっ、あっ、?」
ユーハバッハ「人は誰であっても、死の恐怖から逃げる資格を持っている」タタタッ
モノクマ?「ち、ちょっと、陛下ーーー」
ユーハバッハ「私がその機会を与えよう」タタタッ
モノクマ?「お、お姫様だっことか、恥ずかしーーー」
クシャナーダ「……フハハハハハハハハ!!!」ダダダッ…!
……ドガアンッ!!
149 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 21:17:44.26 ID:Lvdsr++LO
ヒュウンッ……スタッ
ユーハバッハ「………」タタタッ
モノクマ?「あ、ううっ……」
クシャナーダ「……フハハハハハハハハ!!!」ゴキッゴキッ…
150 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 21:18:42.75 ID:Lvdsr++LO
タッタッタ……
ユーハバッハ「……先程お前は言ったな」
モノクマ?「……?」
ユーハバッハ「『復讐』したくはないか?……と」
モノクマ?「………」
ユーハバッハ「今ここで、その答えを与えようーーーー」
151 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 21:19:28.85 ID:Lvdsr++LO
ユーハバッハ「ーーー『復讐』など、必要無い」
モノクマ?「……えっ、?」
ユーハバッハ「……復讐など、無意味だ」タッタッタ…
モノクマ?「………」
クシャナーダ「……フハハハハハハハハ!!!」ダダダッ…!
152 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 21:22:22.21 ID:Lvdsr++LO
タッタッタ……
ユーハバッハ「……我等が動かずとも、此度の我が残滓と、十年前の残滓が混じり合い、奴らの始末に動くだろう」
モノクマ?「いや、ですが……」
ユーハバッハ「……それ以前に、奴らは既に罰を受けている」
モノクマ?「罰……?」
ユーハバッハ「……奴らの有していた『力』と『欠片』ーーー」
ユーハバッハ「ーーーそう、力と欠片が失われるという、罰を、な」
153 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 21:23:17.22 ID:Lvdsr++LO
クシャナーダ「……フハハハハハハハハ!!!」ビュウンッ…
……ドゴオオオンッッ!!
ユーハバッハ「………」
……シュタッ……
モノクマ?「………」
タッタッタ……
154 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/22(火) 21:26:24.73 ID:Lvdsr++LO
ユーハバッハ(……『魂の欠片』を通じ、人間に与えし『力』ーーー)
ユーハバッハ(ーーーそれらは、決して永く保つものでは無い)
ユーハバッハ(一定期間を過ぎれば、徐々に老いて劣化しーーーいずれ、力も欠片も、跡形もなく消え失せる)
ユーハバッハ(無論、老いの速さには、個人差があるがーーーそれでも消え失せる運命にある)
ユーハバッハ(そうして失われた力は、容易に取り戻せるものではない。仮に、私のような滅却師に『新たな欠片』を与えられたとしても、一時的にしか取り戻すこと叶わぬだろう)
ユーハバッハ(『魂の欠片』は、通常の人間において、基本的に一度きりの代物。【崩玉】などを介さず、二度も与えられることあればーーー死に近づいてしまう)
ユーハバッハ(……『力』が戻った直後、『力』も『欠片』も引き剥がされ、死ぬ)
ユーハバッハ(自らに死を与えることなく、力を取り戻したくばーーー通常の努力をもって、己を磨き上げるしかない)
ユーハバッハ(そうした無力な人間へと、成り下がることになるのだ)
タッタッタ……
ユーハバッハ(魂魄となって、生身の束縛から解放された場合、『力』を維持できる時間は伸びるがーーー)
ユーハバッハ(ーーー所詮は数日の差でしかない。それは魂魄となった時、その身に『欠片』が残されていようといなかろうと変わらぬこと。必ず老いはやってくる)
ユーハバッハ(老いた果てに、力と欠片は消え去りーーー無力な人間の魂魄へと成り下がる)
タッタッタ……
374.98 KB
Speed:0.3
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)