【BLEACH×ロンパV3】キーボ 「砕かれた先にある世界」【後編】

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449 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 13:22:00.03 ID:WKShCB+kO



百田「……アンジーのことも、ありがとな」



キーボ「!」



アンジー「………」



百田「オレは、キーボみたいに、やれなかった」

茶柱「……っ、それを言うなら、転子は……! 転子は……!」

赤松「私は……っ、!!」

ゴン太「ゴン太は……っっ、!!」

東条「………」

星「………」

入間「………」

王馬「………」

天海「………」

真宮寺「………」


450 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 13:23:58.76 ID:WKShCB+kO



アンジー「……ごめんね、解斗、みんな」



アンジー「心配かけて、本当に、ごめんね」



茶柱「なっ、アンジーさんが謝ることじゃーーー」



アンジー「謝るよ」



茶柱「!」



アンジー「だって、アンジーは、差別していたから」


451 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 13:24:47.50 ID:WKShCB+kO



ゴン太「差別……?」

キーボ「………」



アンジー「……アンジーは、解斗たちのことを、『物』だって思ってた」



百田「………」



アンジー「『すごい才能』があって……そうでなくても瀞霊廷に住めるってだけでーーー」



アンジー「ーーー運良く、『人』になれた、『物』だって、思ってたんだよ」



天海「………」

王馬「………」


452 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 13:27:26.87 ID:WKShCB+kO



アンジー「……だから、解斗たちを差別して、キーボが来たことを教えなかった」

アンジー「キーボのことを教えないよう、是清にも、キーボにも、口止めさせた」

アンジー「解斗たちが忙しいのを理由に、口止めさせたんだ」



真宮寺「………」

キーボ「………」



アンジー「……勝手な話だよね」

アンジー「忙しくても、そうでなくても……キーボと会うか決めるのは、解斗たちなのに……」


453 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 13:28:40.53 ID:WKShCB+kO



茶柱「アンジーさん……」

赤松「………」



アンジー「……キーボと是清のことも『物』だってーーー」



アンジー「ーーーそれどころか、アンジーだけの『物』だって思ってた」



キーボ「………」



アンジー「……アンジーは、自分を、『人』だって想いたくて……物であることが嫌でーーー」



アンジー「ーーーそのために、ふたりを、アンジーだけの『物』にしたの」



真宮寺「………」


454 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 13:31:13.66 ID:WKShCB+kO



アンジー「……『物』だと思っている、だから、アンジーはみんなに黙って、キーボを独り占めしてーーー」



アンジー「ーーー是清の劇場を、聞き続けた……」



真宮寺「……!」



アンジー「……あの時、アンジーは、是清の劇場が嬉しかった」

アンジー「だけど、それはーーー “ 聴く人を想ってるから ” ……だけじゃなかった」



アンジー「……『超高校級の民族学者』は、短い時間で、これだけの知識を持てる、劇場もできる。そんな是清を思い通りにできる自分は『すごい』ーーー」



キーボ「!」

真宮寺「………」



アンジー「ーーーそんな風に思うことも、できたから」


455 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 13:34:55.08 ID:WKShCB+kO



アンジー「……是清がキーボに、この世界について説明していた時ーーー期待してた」

アンジー「……流魂街と瀞霊廷の違いだとか、それらを聴くことでーーー」



アンジー「ーーーキーボが、アンジーと同じ気持ちになることを……期待してたんだ」



キーボ「………」

真宮寺「………」



アンジー「……是清の説明を聴けば、キーボもアンジーと同じ気持ちになる」

アンジー「そうなれば、誰よりもアンジーを理解して、大切にしてくれるーーー『物』になるだろうって」



アンジー「……そんなことを、期待してたんだ……」


456 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 13:37:19.91 ID:WKShCB+kO



アンジー「……アンジーだけの『物』ーーー『すごいもの』があれば、誰かに自慢して、誇ることができる」

アンジー「そうして、自分を、『人』だって想える」

アンジー「……それなら、少なくとも人として死ぬことができる。それなら、痛くないし、こわくない。死んだって大丈夫ーーー」



アンジー「ーーーそんな風に “ 死 ” から目を逸らして逃げていた」



アンジー「……真剣に向き合おうとしなかった」



入間「………」



アンジー「……人を『物』にすること」



アンジー「それは、人を “ 死 ” に近づけることなのに……」



アンジー「…… “ 死 ” と向き合っていないから、簡単に踏み切れる……」


457 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 13:38:57.96 ID:WKShCB+kO



アンジー「……そうやって逃げてーーーキーボと是清を、アンジーだけの『物』にした」

アンジー「解斗たちのことも……運良く『人』になれた『物』だって、差別したままーーー」



アンジー「ーーーいや、自分の思い通りにしていい『物』をふたつも持てた、アンジーの方が『すごい』ーーー」



アンジー「ーーーきっと、そんな風にだって、思ってた」



アンジー「……アンジーは、そういうことをしていたんだよ……」



キーボ「………」

真宮寺「………」


458 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 13:41:00.16 ID:WKShCB+kO



アンジー「……そんなの、おかしいのに」



アンジー「キーボも、是清も、解斗たちもーーー人だったのに」



アンジー「だから、『物』にされることが、悲しかった」



アンジー「……気分ひとつで、価値のない物にされてしまうのがーーー嫌だった」



アンジー「……そのまま、終わりを迎えることの、痛みがわかる」



アンジー「……死の恐怖がわかる」



アンジー「わかるから、解斗たちも是清も、踏み出すことができなかったんだよ」


459 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 13:41:40.05 ID:WKShCB+kO



百田「………」

赤松「………」

茶柱「………」

天海「………」

ゴン太「………」

東条「………」

星「………」

入間「………」

王馬「………」

真宮寺「………」



キーボ「………」


460 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 13:44:16.29 ID:WKShCB+kO



アンジー「……そうした痛みとこわさーーー “ 死 ” に、耐えられそうになかった」



百田「………」



アンジー「……解斗たちも是清も、他の人から『超高校級』の意味を、聞いてしまってた」



アンジー「それで、自分達が、物かもしれない現実ーーー」



アンジー「ーーーそれを突き立てられた……」



茶柱「………」



アンジー「……そんなことされたら、苦しくてたまらない」

アンジー「自分を、しっかりと信じきれなくなって……耐えられなくなっても、おかしくない」

アンジー「耐えられないまま、間違えるのが嫌だった。踏み外してしまうことがこわかった」



アンジー「……言葉を大きく間違えれば、 “ 死 ” を招くことだってあるんだから……」



真宮寺「………」


461 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 13:45:42.16 ID:WKShCB+kO



アンジー「……みんな、それが嫌だった。優しい人だった」

アンジー「作り物だとか、そういうことに呑まれない。強い『人』だった」

アンジー「……だから、上手くやれなかった、踏み出せなかった」



赤松「………」



アンジー「……それでも、踏み出そうと、解斗は立ち上がってくれたけどーーー」



アンジー「ーーー解斗も、アンジーの言葉を前に踏み出せなかった」



百田「………」



アンジー「……今の自分から才能や立場がなくなっちゃえば、価値が減っちゃう感じがするからーーー」



アンジー「ーーーそうやって、もっと物にされる感じがして、 “ 死 ” がさらに近づいてしまうような気がしたんだよね?」


462 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 13:46:34.80 ID:WKShCB+kO



アンジー「……それが、すごく苦しかった」



アンジー「踏み外しそうになるくらい……こわかった」



百田「………」



アンジー「だから、解斗は “ あの時 ” 何も答えられなかったんだよ……」


463 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 13:56:47.54 ID:WKShCB+kO



アンジー「……なのに、アンジーは、隠した」



アンジー「…… “ あの時 ” 、解斗たちの気持ちが、言葉に込められてたはずなのに」

アンジー「……是清がアンジーのためにいろんなお話をする時だってーーー是清の気持ちが、言葉に込められてたはずなのに」

アンジー「そう、アンジーを、信じて必要としてくれた気持ちが、込められてたはずなのに」



アンジー「……こんなアンジーを! 人として扱ってくれた! 確かな気持ちが、込められていたはずなのに……!」



アンジー「……アンジーは、隠した」



アンジー「……昨日、アンジーが……! キーボの気持ちを踏みにじった時のように……! 隠した……!」



キーボ「………」



アンジー「みんなに嫉妬して差別してーーー雲で隠したんだ……!」


464 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:00:55.36 ID:WKShCB+kO



アンジー「……ごめんね」






百田「………」



キーボ「………」



真宮寺「………」






アンジー「……本当に、ごめんね……っっ、!!」


465 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:02:09.56 ID:WKShCB+kO



百田「………」

キーボ「………」

真宮寺「………」

茶柱「………」

赤松「………」

ゴン太「………」

天海「………」

東条「………」

星「………」

王馬「………」

入間「………」


466 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:02:53.35 ID:WKShCB+kO



百田「……オメーの言いたいことは、よくわかったぜ、アンジー」



アンジー「………」



百田「……だから、その答えを、今ここで言ってやる」



アンジー「……?」






百田「……ありがとよ」


467 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:07:30.58 ID:WKShCB+kO



アンジー「!?」



百田「オメーの気持ち、オレ達が確かに受け取った!」



アンジー「………?!?!」



百田「アンジー! オメーは謝った!」

百田「それは、自分の胸の痛みやこわい気持ちと……真剣に向き合ったってことだ!」

百田「……弱さと向き合って、苦しんで! それでも『自分』を信じてーーー」



百田「ーーーそうした勇気……『想い』と共に! オレ達の元に踏み出してくれたってことだ!」



百田「オレ達の全てを、大切にしてくれたってことなんだ!」



アンジー「……!」


468 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:09:28.15 ID:WKShCB+kO



百田「……そいつは、オレ達のことを、人として見ていたってことだ! だからこそ、できたことなんだ!」

百田「物でもなければ『物』でもねえ……かけがえのない人なんだって!」



百田「そう認める気持ちだって、オメーにはあった! だから、それを信じて、やってのけた!」



百田「だったら、ボスとして、礼を言わねえわけにはいかねえ!」

百田「そうだろ!」



アンジー「解斗……!」




キーボ(百田クン……!)




百田「オレ達はオメーを許すぜ、アンジー!」


469 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:10:09.41 ID:WKShCB+kO



アンジー「……っ、でも、アンジーはーーー」



百田「ーーーそれでも、オメーが納得できないってんならーーー」



アンジー「………」



百田「ーーーオメーもオレ達の『想い』、受け取ってくれ!」


470 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:11:21.79 ID:WKShCB+kO



アンジー「……解斗たちの、『想い』?」



百田「そうだ! オレ達と一緒に、何かやろうぜ!」



アンジー「!?」



百田「内容はなんでもありだ!」



百田「アンジーとキーボと一緒に! 絵を描いたりーーー」



百田「ーーーカルタや花札で遊んだりでも良い!」



百田「オレ達とも一緒に何かして、『想い』を残してくれ!」






百田「それが、オレ達の『想い』だ!」


471 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:21:00.48 ID:WKShCB+kO



王馬「……ホント、百田ちゃんってウザいよねー」



百田「!?」



アンジー「……小吉?」



王馬「勝手に、みんなのことまで決めちゃってさー」



キーボ「……ちょっと、王馬クンーーー」



王馬「……いくら、その答えが決まってるとはいえ、自分以外にもそれを言わせてあげないなんてーーー」







王馬「ーーーボスの名が泣くよ?」


472 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:24:54.70 ID:WKShCB+kO



赤松「ーーーそうだよ、百田くん!」

赤松「私だって、アンジーさんを許すよ! アンジーさんは、友達で! みんなで、楽しく生きたいから!」

茶柱「転子も右に同じです! まったく、これだから男死は!」

キーボ「ボクも、アンジーさんを許します! 一緒に夜空を描きましょう! アンジーさん!」

ゴン太「ゴン太も、アンジーさんを許すよ! それから、みんなで一緒に、虫さんで和みたい!」

入間「む、虫プレイとかぁ……! 一緒にヤるんなら、はじめはもっと別のぉ……っ、!!」

真宮寺「……何をするかは、よく相談した上で決めた方が良さそうだネ」

星「……スポーツに関してなら、いくらか教えられるぜ」

東条「万が一、誰かが怪我するようなことがあれば、いつでも言ってちょうだい。応急処置は私がするわ」

王馬「キー坊の場合は、入間ちゃんに修理して貰うことになるだろうけどねー」

キーボ「なっ、王馬クン! ここでまたロボット差別ですか!?」

入間「ムシすんなよぉ……! それと、キーボは言われずとも直してやるからなぁ……!」


473 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:26:27.72 ID:WKShCB+kO



アンジー「………!!」



百田「……たはは、まさか、王馬に一本取られちまうたあな……」

王馬「にしし! 今更だね、百田ちゃん! 普段から、一本どころか、三振ノックアウトの癖してさー!」

百田「う、うるせー! オレは野球よりもテニス派なんだよ!」

入間「言い訳になってねーぞ、ダボ!」

百田「あー、もー、とにかく、そういうこった、アンジー!」ビシッ


474 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:27:25.59 ID:WKShCB+kO












「「「「「「「「「「「これが、みんなの『想い』だ!」」」」」」」」」」」











475 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:37:24.75 ID:WKShCB+kO









アンジー「………っっ、!!」








476 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:40:06.77 ID:WKShCB+kO



キーボ「………」

真宮寺「………」

茶柱「………」

赤松「………」

ゴン太「………」

東条「………」

星「………」

王馬「………」

天海「………」

入間「………」

百田「………」


477 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:40:42.37 ID:WKShCB+kO



アンジー「……うん、わかったよ、みんな!」



キーボ「!」

真宮寺「……!」



アンジー「みんな一緒に! 神った『想い出』! 作っちゃおー!」


478 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:42:37.51 ID:WKShCB+kO



キーボ「……アンジーさん……!」

真宮寺「……夜長さん……」

百田「おう! その通りだ、アンジー!」

百田「よし! それなら、さっそく何やるか決めねーとな!」

入間「な、ナニをヤるかぁ!? こんな大人数で、そんな……!?」



赤松「……だったらさ、アレやらない?」



ゴン太「? アレって何なの? 赤松さん」



入間「ま、また、ムシかよぉ……!」



赤松「ほら、前に話したでしょ?」

赤松「……もしここに、同じ学園の仲間が来たら、全員でやろうってーーーー」


479 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:44:47.38 ID:WKShCB+kO



キーボ「……?」



真宮寺「………」



アンジー「……アンジーも良いのかな?」



赤松「もちろんだよ、アンジーさん! それに、こういうのは全員でやった方が良いに決まってるんだから!」



アンジー「……ありがとう、楓……」


480 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:45:40.37 ID:WKShCB+kO



キーボ(……なんでしょうか?)




キーボ(先ほどから、何の話をーーー)




百田「ーーーよし、さっそくやるぞ、オメーら!」



アンジー「……うん!」


481 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:46:20.69 ID:WKShCB+kO



タッタッタッ……!



キーボ「!?」



赤松「いくよー、みんなー!」

赤松「せーのっ、!!」


482 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:47:16.59 ID:WKShCB+kO












「「「「「「「「「「「おかえり(なさい)(っす)(だな)! キーボ(くん)(さん)!」」」」」」」」」」」











483 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:47:59.04 ID:WKShCB+kO





キーボ「………」






キーボ「……えっ、?」





484 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:48:43.50 ID:WKShCB+kO



王馬「……もー、ノリ悪いなー! これだからロボットはーーー」



キーボ「あっ、えーとーーー」



キーボ「ーーーこれは、いったいーーー」



アンジー「……おかえりの、あいさつだよ」



キーボ「!?」


485 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:50:09.98 ID:WKShCB+kO



赤松「……実はね? 学園の仲間が来たら、こうして、おかえりを言うことにしてたんだ……」



百田「オレ達、全員の『想い』を込めてな!」



キーボ「………!!」


486 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:50:50.55 ID:WKShCB+kO






アンジー「……遅くなっちゃったけどね」






キーボ「アンジーさん……」





487 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:52:13.59 ID:WKShCB+kO



王馬「……まー、ここ何週間かは、かなり忙しくて全員が一斉にやってこれる機会なんてなかったしーーー」

王馬「ーーー今日の場合はたまたま都合がついただけだから、どのみち遅くなってたとは思うけどね」



アンジー「小吉……」



星「……それに、今こんなこと言うのもなんだがーーー本来こうやって出迎えをするのは、遅いに越したことはねえからな」

天海「……同じく死後の世界に来たら来たで悲しむことになる……複雑な問題っす」

東条「事実、すごく悲しむ人がいることを考慮すればーーー」



入間「………」

ゴン太「………」

茶柱「………」

百田「………」



東条「ーーーそう、一概には、間違いとも言い切れないわ」


488 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:52:45.72 ID:WKShCB+kO



アンジー「……みんな……」



真宮寺「………」



キーボ「………」


489 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:54:07.32 ID:WKShCB+kO



茶柱「……実際、転子は複雑です」




キーボ(茶柱さん……)




茶柱「……まさか、男死が来ることで、こんな複雑な気持ちになるだなんて……!」


490 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:54:51.11 ID:WKShCB+kO



キーボ「……えっ、?」



アンジー「……!」



真宮寺「………」



王馬「……あー、やっぱり、茶柱ちゃんは、そうくるよねー」


491 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:55:50.83 ID:WKShCB+kO



入間「……おい、茶柱。一応聞いとくが、お前、いつからキーボを “ 男 ” って認めたんだ?」

茶柱「……男らしく、女子をたらし込むというのならば、例外なく男死です!」



キーボ「……はい? たらし込む?」



アンジー「………」



キーボ「いったい何のーーー」



真宮寺「ーーーそれはそうと、キーボ君……」



キーボ「?」



真宮寺「……君は、おかえりって言われたら、どうするのかな?」


492 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:56:32.05 ID:WKShCB+kO



キーボ「あっ……!」



アンジー「………」

真宮寺「………」

茶柱「………」

赤松「………」

ゴン太「………」

東条「………」

星「………」

王馬「………」

天海「………」

百田「………」

入間「………」


493 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:58:28.43 ID:WKShCB+kO



キーボ(ーーーそうでした、その通りでした)




アンジー「………」

真宮寺「………」

茶柱「………」

赤松「………」

ゴン太「………」

東条「………」

星「………」

王馬「………」

天海「………」

入間「………」

百田「………」




キーボ(ーーーみんなの『想い』が、ここにある)




キーボ(他ならない、ボクに向けてくれた……)




キーボ(……そんな、あたたかい、心がーーー)




キーボ(ーーーならば、ボクの放つ言葉はーーーー!)


494 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 14:59:13.77 ID:WKShCB+kO









キーボ「ーーーただいま!」








495 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 16:24:49.71 ID:WKShCB+kO
次の投下からエピローグになります。

ただ、その前に>>344の内容を修正します。
496 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 16:30:48.33 ID:WKShCB+kO



キーボ(……だとすれば、渡りに船ですね)


キーボ(昨日、最後に修練場を出てから今日の朝食前に至るまで、真宮寺クンは自室にいませんでした)


キーボ(ーーー昨晩の空鶴さんの話によれば、真宮寺クンは別の部屋で、 “ 何か ” をしていたようです)


キーボ(そして、それに集中するため、真宮寺クンは一人でいる必要がありーーー集中し過ぎた結果、疲労で別の部屋で寝落ちしてしまった)


キーボ(……寝室以外で寝たことの罰として、空鶴さんは真宮寺クンを起こさず、別の誰かが起こすことも許さずーーー)




キーボ(ーーー布団もかけずに、寝させたままにすることに決めた)




キーボ(そうした罰を与えたと、空鶴さんは昨晩話していた)


キーボ(故に、ボクがアンジーさんに伝えたことを、真宮寺クンにも詳しく伝えることはできなかった)




キーボ(ですが、今からであれば、しっかり伝えられる)




キーボ(伝えれば、真宮寺クンの苦しみも、良い方向に和らぐかもしれませんしーーー)


キーボ(ーーーその後、ボクら三人で、百田クン達に同じ話をすればーーー)


キーボ(ーーーもしかしたら、全員の苦しみをーーー)






岩鷲「おー、どうした、キーボ? こんなとこでよ?」


497 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 16:33:07.52 ID:WKShCB+kO
>>344の内容を>>496の内容に修正します。
498 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 16:42:51.37 ID:WKShCB+kO



ーエピローグー






ー砕かれた先にある世界ー


499 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 16:45:15.17 ID:WKShCB+kO



キーボ(ーーーあれから、半世紀以上ものの時が経ちました)




キーボ(百田クン達と再会したあと、ボクら三人でみなさんに真相をお伝えしーーーみなさんは深い覚悟をもって、受け入れてくれました)




キーボ(その上で、改めてそれぞれの辿る道を考え、見出しーーー)




キーボ(ーーー歩むことになりました)


500 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 16:46:29.24 ID:WKShCB+kO






キーボ(そうして、歩み続けている)






キーボ(半世紀以上が経過した現在でも、なりたい自分を見出し……その道のままに、歩み続けているのです)





501 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 17:00:56.94 ID:WKShCB+kO



キーボ(その過程で、茶柱さん、ゴン太クン、東条さんの三人はーーー)




キーボ(ーーー真宮寺クンの話していた通り、護廷十三隊の死神となりました)




キーボ(それも全員が、救護部隊……【四番隊】の死神となったのです)


キーボ(それからは、医療霊術である回道や隊士への心理的ケアなどを必死に研究し、鍛錬と実践に励んでいます)


キーボ(その結果、多数の護廷隊士が、彼女達によって心と命を救われることとなりました)




キーボ(そうして、人の心と命を護り続けています)




キーボ(……これは、みなさんのたゆまぬ努力の結果ではありますがーーーそれができたことには、四番隊の虎徹隊長を中心とする先達の方達が、尊敬に足る存在だったことも大きかったと思います)


キーボ(だからこそ、先達の支えになりたいと思うことができ、その気持ちのままに、己を磨き上げることもできた)




キーボ(ボクは、そう考えています)


502 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 17:02:29.31 ID:WKShCB+kO



キーボ(……もちろん、通常の死神としての鍛錬も、怠ってはいません)




キーボ(茶柱さん達は、斬魄刀との “ 対話と同調 ” 、瞬歩の修得に成功し……さらにはそれぞれ白打の鍛錬に励んでいます)




キーボ(その結果として、茶柱さんは技術を中心とした、ゴン太クンは力を中心とした白打を、扱えるようになりました)




キーボ(……もっとも、 “ 千里通天掌 ” の修得は流石にまだ先の話でしょうが……)


503 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 17:04:33.27 ID:WKShCB+kO



キーボ(……なお、東条さんも、白打を身に付けています)


キーボ(技術や力に特化したものではありませんがーーーその二つをバランスよく合わせもった格闘スタイル、それを身に付けているのです)


キーボ(一対一の模擬戦闘では、茶柱さんとゴン太クンに、勝るとも劣らない戦いを見せていたくらいでした)


キーボ(また、東条さんは、他にも鬼道の才能などにも秀でており、基本能力の優れた死神として……多数の方から評価され続けています)




キーボ(今では、既に高い立場を得ており、霊圧は副隊長クラスです)




キーボ(もしかしたら、近いうちに副隊長に昇進するかもしれません)


504 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 17:08:27.00 ID:WKShCB+kO



キーボ(……もっとも、東条さん自身は、評価され、上に行くことを恐怖していますがーーー)




キーボ(ーーー東条さんには仲間がいる)




キーボ(護廷の二字の名の元に、人を護る、大勢の仲間がいる)


キーボ(四番隊の、護廷隊の、仲間がいる)


キーボ(側には、恐怖のあまり誤った判断を下すことの痛みを知る、ゴン太クンがいる。仲間に心を開いて感情を表現することの大切さを知る、茶柱さんがいる)


キーボ(今は、そうした仲間と共に、恐怖を背負うことができる)


キーボ(だから、東条さんが、どこまで上り詰めようと、どんな力や実績、称号を手に入れようとーーー)




キーボ(ーーーそれに振り回されることなく、仲間と共に、人を護り続ける)




キーボ(……そんな、隊長格に相応しい存在として、歩み続けることができる)




キーボ(ボクはそう信じています)


505 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 17:13:56.90 ID:WKShCB+kO



キーボ(……次に、入間さんと百田クンですがーーー)




キーボ(ーーーまたもや真宮寺クンの言っていた通り、護廷十三隊ではなく、貴族お抱えの死神となりました)




キーボ(それも、【四楓院家】という、大貴族の抱える技術開発部門ーーー)




キーボ(ーーーそこの科学者として、働くことになったのです)




キーボ(ただ、その技術開発部門は、名目上のものらしく、入間さんと百田クンしかいません)


キーボ(……どういうことなのか、人事に質問したそうですがーーーその後に四楓院家の現当主の方がやって来て、瀞霊廷の外で研究を行うよう命じられたそうです)


キーボ(瀞霊廷に在住していない、某フリー科学者の元まで行くようにと)


キーボ(そう、入間さん達は、浦原さんの元まで出向いて研究を行い、その成果を四楓院家に還元するように言われたのです)


キーボ(そのため、入間さんと百田クンは、浦原さんの元で助手をするという形で、必死に勉強し、技術開発のための研究を重ねています)


キーボ(その成果は、四楓院家もしくは浦原商店の商品となり、今でも尸魂界の役に立ち、人を支え続けている)




キーボ(……事実、そうした入間さん達の発明品を、ボクも浦原商店などから定期的に購入し、毎日の生活を支えられているのです)


506 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 17:18:25.35 ID:WKShCB+kO



キーボ(……このまま研究を続ければ、入間さん達の発明で尸魂界はさらなる発展を遂げていく)


キーボ(百田クンも、霊王宮の守護を任されるに足る何かを、創り出す日が、きっとやってくる)


キーボ(その後、霊王様やその守護を任される死神と出会い、そこでコミュニケーションや霊王宮の研究を行えばーーー)


キーボ(ーーー霊王様や霊王宮が、世界全体にとってどういう存在なのかを、理解することもできるでしょう)




キーボ(そうして、世界の仕組みを、より深く知ることができるはずです)




キーボ(また、霊王宮の守護を任された暁には、尸魂界にも宇宙のような場所があるか否か? 自分達の手で徹底的に確かめると話していました)


キーボ(百田クンと入間さんでロケットのようなものを開発し、霊王宮のさらに上……宇宙かもしれない場所ーーー)




キーボ(ーーーそこに敵となるような存在が潜んでいないか? 確かめるという名目で、探検するとのことでした)


507 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 17:21:29.23 ID:WKShCB+kO



キーボ(……そこには、まだ自分達の知らない知的生命体がいるかもしれませんしーーー)




キーボ(ーーーそうでなくともまだ見たことのない素晴らしい何かがあるかもしれない)




キーボ(そこに辿り着いて、社会全体に発表すればーーー地上にいる人達も、新たな知的生命体や素晴らしい何かの存在を知り、その価値を知ることができる)


キーボ(その人達が、百田クン達に続き、空の上まで出向いて……新たな知的生命体や素晴らしい何かと触れ合うことができるかもしれない)


キーボ(……もちろん、霊王宮の警備上の理由などもあって、大勢の人達が空の上に行くことには問題があるかもしれませんがーーー)




キーボ(ーーーそれでも、研究を続けて、己が発想力を鍛え続ければ、その発想力をもって解決できるかもしれない)




キーボ(……そうした気持ちをもって、百田クンと入間さんは、お互いの手を取り合っている)




キーボ(その上で、霊王宮という名の “ 目に見える光 ” 、その先にある “ 可能性の闇 ” ーーー)




キーボ(ーーー霊王宮のさらに上の方まで、手を伸ばす予定、とのことでした)


508 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 17:23:16.19 ID:WKShCB+kO






キーボ(……ボクは、そうしているお二人を想像すると、とても心があたたかくなります)








キーボ(まるで、自分のことのように、誇らしい)





509 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 17:26:02.51 ID:WKShCB+kO



キーボ(……なお、浦原さんは普段は現世の日本に住んでいるということなので、入間さんと百田クンも、必然的に同じ場所に住むことになりました)


キーボ(そこで、百田クン達は、現世で生き残ったみんなと会おうとも考えたようですがーーーそれは叶いませんでした)


キーボ(百田クン達に限らず、生前の記憶を封じる処置を取らずに死神になった者は、自分から生前の関係者や関係組織と接触することを、掟で固く禁じられているのです)


キーボ(偶然を頼って会おうにもーーー浦原さんからの情報によると、現世で生き残ったみんなは、日本国内に在住していないらしく、偶然会うことは不可能でした)




キーボ(……もし、会える時が来るとすればーーーー)


510 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 17:28:35.28 ID:WKShCB+kO



キーボ(ーーーそして、赤松さん、王馬クン、天海クン、星クンの四人は、またしても真宮寺クンの言う通り、音楽芸人となりました)


キーボ(赤松さんの演奏と王馬クン達の芸は、観客を巻き込んだショーでもありーーー)




キーボ(ーーー流魂街の住民、瀞霊廷の貴族、平民、死神に関係なく、人の心を照らし……多くの人々から絶賛されています)




キーボ(……ボクら三人も、その中に含まれています)


キーボ(【三番隊】の鳳橋隊長も、赤松さん達のファンを公言し、実際に演奏を聴いて芸を見るためにーーー何度も貴重な時間を割いてくれています)


キーボ(他にも、多数の死神が赤松さん達のファンであり……何者かが赤松さん達に危害を加えることのないよう、目を光らせたりーーー)




キーボ(ーーーある時には、赤松さん達を直接守ってくれることだってあります)




キーボ(……赤松さん達が流魂街に出向いた時、尸魂界に生息する虚に狙われることも稀にありましたからね。多くの方から守って頂けるのは本当にありがたい)


511 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 17:30:01.31 ID:WKShCB+kO



キーボ(……なお、赤松さん達が初めて虚に狙われた際は、死神に助けて貰った後、赤松さん達の才能の形が一風変わったものになりました)




キーボ(……それは、銀城さん曰く【因子を持つ存在が】【虚に襲われた】ことにより、起きることもある現象とのことですがーーー)








キーボ(ーーーそれはまた、別の話)


512 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 17:31:19.05 ID:WKShCB+kO



キーボ(……信じてますよ、王馬クン)




キーボ(キミは嘘つきでロボット差別のようなことをしますがーーー)




キーボ(ーーーその嘘の風船には、キミ達の想いが詰まっていると)




キーボ(赤松さん達と一緒に、そして観客と一緒に想い描いた夢が、風船の中で自由に泳いでいると)




キーボ(ボクは信じていますからね)


513 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 17:32:42.69 ID:WKShCB+kO



キーボ(……結局みんな、大まかには、真宮寺クンが話していた通りの道を辿ることになりましたね……)




キーボ(ーーーそれで良い)




キーボ(なぜなら、その道は、想うままに選択し、想うままに進んだ道なのですから)




キーボ(だからこそ、それに意味を感じ、価値を信じることができる)




キーボ(ならば、それで良い)




キーボ(そうして歩んだ道なら……どんなに痛くて苦しくても、後悔はない)




キーボ(きっと、そうなんですから……)


514 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 17:34:01.41 ID:WKShCB+kO



キーボ(……そして、そうした道を歩むのは、王馬クン達だけではありません)






キーボ(そう、残るボクら三人も、またーーーー)



ーーーーーーーーーー


ーーーーーー


ーーーー


ーー



515 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 17:48:37.77 ID:WKShCB+kO



ー尸魂界・志波家の屋敷ー



アンジー「ーーー今日も楽しかったねー、キーボ!」

キーボ「ええ! ボクも楽しかったですよ、アンジーさん!」

アンジー「キーボとふたりで、すっごい神った絵描けたよー! にゃはははー!」

キーボ「休暇をとって正解でしたね。今日こうして時間をかけなければ、ボク達の絵はここまで昇華されなかったでしょうから……」






真宮寺「ーーーやあ、お疲れ様、夜長さん、キーボ君」


516 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 17:50:06.78 ID:WKShCB+kO



キーボ「あっ、真宮寺クン、お疲れ様です」

アンジー「お疲れ、是清ー! 今日の仕事と修行は終わりー?」



真宮寺「うん、今日の分はネ……」



真宮寺「ーーーククク、それにしても、花火作りは本当に奥が深いヨ!」

真宮寺「半世紀かけて未だに、学ぶことはまだまだ多い!」

真宮寺「尸魂界の花火は霊子で構成されている以上、現世のものよりも自由度が高く、難易度は高いと、弟子入りの際に覚悟していたけれどーーー」



真宮寺「ーーーまさか、これほどまでとは夢にも思わなかった! あァ、この感動を、言葉にせずにはいられないヨ!」


517 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 17:51:16.42 ID:WKShCB+kO



アンジー「にゃはははー! 是清は相変わらずだねー!」



キーボ「ええ、空鶴さんに弟子入りしてから今に至るまで、ずっと同じことを言い続けています」

キーボ「ボクが出した統計によれば、これでーーー」



アンジー「ーーーあー、数字はともかく、どうかな? 是清ー?」



アンジー「今日の【鰤清劇場】は、どんな感じー?」


518 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 17:52:11.45 ID:WKShCB+kO



真宮寺「ーーーごめんネ、夜長さん。申し訳ないけど、今日は披露できそうにないヨ」

アンジー「あれま? そうなの?」

真宮寺「休日中にいろいろと調べたんだけど、その時点で考えがまとまらなくて……」



真宮寺「……すまないネ、本当に」



アンジー「気にすることないよー! やろうとしてくれたことだけでも、アンジーは嬉しいよー!」

キーボ「そうですよ、真宮寺クン! ボク達のために貴重な休日を使って調べてくれたのでしょう?」

キーボ「それだけでも、ボク達は嬉しく思いますよ!」



真宮寺「………」


519 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 17:54:18.63 ID:WKShCB+kO



キーボ「……それに、キミが作る、【誓いの花火】を待っている人は、たくさんいるんでしょう?」






真宮寺「……そうだネ。確かにそうだヨ」






キーボ「それに加えて、クライアントの要望に応じて【打ち上げタイプ】【手に持つタイプ】【その他のタイプ】に分けーーー調合だって変えなくてはいけません」






キーボ「……大変、でしょう?」


520 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 17:57:44.41 ID:WKShCB+kO



真宮寺「……人それぞれ、込めたい『想い』の形は違う」

真宮寺「そうした違いと向き合い、その人に合ったものを考えることが、人と向き合うことでもある」



真宮寺「その事実から、目を逸らすわけにはいかないヨ」



アンジー「そうそうー! だから、今は劇場しないで、カラダ休めて、明日に備えるべきなんだよー!」



キーボ「ボクもそれに賛成です!」

キーボ「なので、ボク達だけでなく……クライアント、そしてキミ自身も大切にしてください! 真宮寺クン!」

キーボ「キミが、今すぐここで寝たとしても、ボクが守ってみせますから!」




真宮寺「ーーーありがとう」


521 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 17:58:32.28 ID:WKShCB+kO



真宮寺「ーーーと言って綺麗に終わらせたいところだったけどーーー」



キーボ「?」






真宮寺「ーーーキーボ君、 “ その刀(ひと) ” は大丈夫なのかい?」


522 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:00:12.77 ID:WKShCB+kO



キーボ「……それは、どういった意味なのでしょうか?」



真宮寺「いや、君がつい最近、名を教えて貰ったという “ その刀(ひと) ” はーーーどうにも呟きが多いという話だったからネ」



真宮寺「実際、他の人は、君がそうした呟きに反応していると話していた」

アンジー「あー、確かにー!」



キーボ「………」



真宮寺「だけど、今の君はそうした反応をしていない」

真宮寺「だとすれば、説得して御しきれるようになったと思いたいところだけどーーー」






真宮寺「ーーー大丈夫だよネ?」


523 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:01:11.23 ID:WKShCB+kO



真宮寺「……戦闘中に喧嘩とかしないよね?」



キーボ「………」



真宮寺「……何か言ってヨ」






真宮寺「……【黒き死覇鎧を纏った】【白の鉄神】ーーー」






真宮寺「ーーー “ 超始解級の死神ロボット ” 、キーボ君?」


524 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:03:11.97 ID:WKShCB+kO



キーボ(死神ver)「ーーー大丈夫ですよ。喧嘩なんてしません」



キーボ「この斬魄刀(ひと)が、浅打だったこれまでと同じようにーーー共に戦いますよ、虚と」



真宮寺「………」



キーボ「ーーーただ、この斬魄刀(ひと)、口をひらけばあまりにも理解しがたいことばかり呟くんですよ」


525 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:05:02.08 ID:WKShCB+kO



真宮寺「……どんな感じなんだい、それは?」



キーボ「……少なくとも、この斬魄刀(ひと)と比べればーーー」



キーボ「ーーー周りに、親しい人しかいない時の入間さんの方が、遥かに常識的な言動を取っていると思います」



アンジー「……自重しない美兎の方がマシって……」



真宮寺「それは凄まじいネ……」



キーボ「ええ……なので、ボクは思考を重ねた結果、この斬魄刀(ひと)の言葉は普段は心に留めるだけにしてーーー返答は夜の対話の時に行うことにしたんです」


526 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:06:07.22 ID:WKShCB+kO



真宮寺「……ちなみに、今は何て言ってるんだい?」



アンジー「アンジーも気になるー!」



キーボ「……いや、ちょっと、人に伝えるには、いささか以上に気が引ける内容でーーー」







キーボ「ーーー申し訳ありませんが、あまり気にしない方針でお願いします」


527 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:07:00.10 ID:WKShCB+kO



真宮寺「……わかったヨ。そこまで言うなら気にしないヨ」



アンジー「アンジーもねー! アンジーは日本語だけじゃなくて、空気も読めるのだー!」



キーボ「……ありがとうございます」


528 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:09:02.41 ID:WKShCB+kO



アンジー「……あー、そうそうー」



アンジー「アンジーねー、気になることがあるんだけどーーー」



キーボ「……?」






アンジー「ーーーキーボは、次いつアンジーと “ 一日 ” 一緒にいられるー?」


529 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:10:49.31 ID:WKShCB+kO



キーボ「……そうですね。スケジュールを再計算してみたところ、二週間後の同じ曜日が妥当かと」

キーボ「この日ならば、一日近く一緒にいられますよ! アンジーさん!」

アンジー「……あれ? キーボ、来週はダメなの?」

キーボ「すみません、その日は眠八號さんとの先約が入ってまして」



アンジー「……んー?」



キーボ「……ありがたいことに、彼女から付きっきりで、斬魄刀との対話に関する指南を頂けるとのことでーーーー」


530 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:13:27.16 ID:WKShCB+kO



アンジー「………」



キーボ「……アンジーさん?」



アンジー「主とアンジーは言いました。女心を弄ぶ屑鉄は自爆しろ、と」



キーボ「ちょっ!? 縁起でもないこと言わないでください!!」

キーボ「というか、“ 女心を弄ぶ ” !?」

キーボ「真っ赤な誤解ですよ! ボクと眠八號さんはそんな関係じゃありません!」



アンジー「……本当、キーボ?」



キーボ「本当ですよ! 信じてください!」



アンジー「……そっかー、なら良いけどー」



真宮寺「まァ、誤解じゃなかったら、涅隊長の手でネジ一本まで分解されることになるだろうけどネ」



キーボ「恐ろしいことを言わないでください! そして、蒸し返さないでください!」



真宮寺「ククク……ごめんヨ。ちょっと気になってネ」



キーボ「いや、蒸し返すのは、本気で勘弁してください!」

キーボ「ただでさえ普段から、涅隊長と大前田副隊長のお二人に、 ただならぬ目で睨まれているんですから!」


531 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:14:53.36 ID:WKShCB+kO



アンジー「ーーーえっ……」



キーボ「誤解を招くような発言はくれぐれもーーー」



真宮寺「……大前田副隊長ってーーー」



アンジー「ーーー何かなー?」


532 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:15:41.89 ID:WKShCB+kO



キーボ「……?」キョトン



真宮寺「……いや、涅隊長はわかるヨ? 眠八號さんの父親だからネ」



アンジー「だけど、そこでー、どうして、まれち……あの人が出てくるのかなー?」


533 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:16:52.10 ID:WKShCB+kO



キーボ「……ああ、実はこの前、茶柱さん達と合同任務をした際、同じく四番隊の希代さん……大前田副隊長の妹さんと仲良くなりましてね」



アンジー「………」



キーボ「ですが、それ以降、大前田副隊長のボクを見る目がさらに厳しくなってーーー」



アンジー「屑鉄自爆しろ」



キーボ「ーーーええっ、!?」ガガーンッ


534 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:18:22.40 ID:WKShCB+kO



アンジー「………」



キーボ「ち、ちょっと、違うんですよ! 確かに希代さんにも付きっきりで、斬魄刀との対話に関する指南をして頂ける予定はありますが、決してそんなーーー」



キーボ「ーーー【屑鉄爆発しろ☆】!? キミまで何を言っているんですか?」



真宮寺「ククク……どうやら、自分の斬魄刀にまで批難を受けたようだネ」

アンジー「……今回ばかりは刀が正しいみたいだねー」

アンジー「うんうん、女心のわからない屑鉄だからねー、しょうがないねー」



キーボ「うっ……」



真宮寺「まったく、これでは卍解修得まで何千年かかることやら。先が思いやられるようだヨ」


535 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:21:09.37 ID:WKShCB+kO



キーボ「ぐぬぬ……確かにボクにもまだわからない心があるようですが、決してこのままでは終わりませんよ!」



アンジー「………」



キーボ「そうでもなければ、この理解しがたい斬魄刀と……もう一人のボクと一生付き合っていくなんて不可能ですから!」



真宮寺「………」



キーボ「絶対にわかってみせますよ! 刀心も! 女心も!」

キーボ「そうやって人の心と向き合い、対話して理解して、いつか卍解を修得してーーー」



キーボ「ーーー様々な心と想いを、大切にできる『歯車』にーーー」



キーボ「ーーーそう、隊長になってみせます!」






キーボ「それが、ボクの歩み続ける、 “ 道 ” です!」


536 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:26:25.64 ID:WKShCB+kO



アンジー「……うんうん、わかろうとしてくれるなら大丈夫だよー!」

アンジー「それなら後で、お菓子、また食べさせてあげるねー!」



キーボ「……えっ、?」

真宮寺「………」



キーボ「……待ってください、今日の分は既に頂いてーーー」



アンジー「……今日、キーボは、アンジーに、一日ずっと付き合ってくれた……」



キーボ「………」



アンジー「それに加えて、ずっと心に、その斬魄刀(ひと)の言葉受け止めて、大変だったよね?」


537 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:27:20.47 ID:WKShCB+kO



キーボ「……この斬魄刀(ひと)の相手が大変なのは、確かですね」



アンジー「でしょでしょー?」



キーボ「………」



アンジー「……だから、アンジーが作った、お菓子、キーボに、また食べさせてあげるんだー」


538 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:28:34.63 ID:WKShCB+kO



キーボ「……良いんですか?」

キーボ「また、作らなくてはいけなくなりますよ?」



アンジー「うんうん、問題ナッシングだよー!」

アンジー「キーボだったら、いくら食べてもデブデブにはならないしーーー」



キーボ「………」



アンジー「ーーー何より、美味しく食べてくれる人がいる」



アンジー「それなら、アンジーは、いくらでも作れちゃうよー!」


539 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:29:54.45 ID:WKShCB+kO



キーボ「……ありがとうございます、アンジーさん」

キーボ「アンジーさんのお菓子、楽しみにしています!」



アンジー「ふっふー、期待しててねー、キーボ!」

アンジー「アンジーたちだったら、デブデブになっちゃうくらい、甘くてトロトロなのをーーー」






アンジー「ーーーいっぱい、いっぱい、食べさせて、あげる」






アンジー「……満足するまで、ね?」


540 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:30:49.46 ID:WKShCB+kO









キーボ「……はい!」








541 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:33:28.20 ID:WKShCB+kO



真宮寺「……アー、ちょっと良いかな?」



キーボ&アンジー「「?」」



真宮寺「いや、無粋なことを言うようでなんだけれどもネ……?」



キーボ「………」



真宮寺「……卍解修得は、あくまでも、隊長になるための基本条件の一つであって、それで隊長になれるとは限らない、ということーーー」



真宮寺「ーーーそこは、わかっておいて欲しいかな……」


542 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:37:53.20 ID:WKShCB+kO



キーボ「ーーーわかってますよ! だからこそ、様々な人の心と想いを、大切にできる存在になるんです!」

キーボ「その結果こそが隊長なんです! それは、ボクら【十三番隊】の教えが、朽木隊長の教えが証明していることです!」エッヘン

アンジー「……んー? でもでもー、隊長の椅子って、もう空きゼロだよねー?」

真宮寺「そうだネ、空きがゼロである以上は隊長になれないはずだヨ」



真宮寺「……それでも隊長になるのであれば、隊士二百名以上の立会いのもとで、現隊長と一対一で斬り合うしかなくなるけどーーー」



キーボ「そんなことするはずがないでしょう! そんなことしたら、朽木隊長に恩を仇で返すことになりますし! 何より、生き残れたとしても、絶対に茶柱さん達と苺花さん達から処されますよ!」



キーボ「……ボクが隊長になる時は、ボクがその器を持った上で、誰かが引退したその時です!」


543 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:39:02.92 ID:WKShCB+kO



真宮寺「ククク……そうかい。ならば、その斬魄刀(ひと)に夜長さん……共に生きる誰かとのコミュニケーションに、いっそう励むことだヨ、キーボ君」



キーボ「……!」

アンジー「………」



真宮寺「その斬魄刀(ひと)にも、夜長さんにも、誰にも恥じることのないようーーー」



真宮寺「ーーーしっかりと、生きないと、ネ?」


544 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:40:03.45 ID:WKShCB+kO



キーボ「……もちろんですよ、真宮寺クン!」



真宮寺「………」



キーボ「ボクだって、これからも、しっかりと生き抜いてみせます!」



キーボ「キミにも、負けませんからね!」


545 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:40:46.03 ID:WKShCB+kO









真宮寺(……その意気だヨ、キーボ君)








546 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 18:42:13.81 ID:WKShCB+kO



カランカラン……!



真宮寺「……おや、これはーーー」

キーボ「誰か来たみたいですね」スッ…

真宮寺「……僕が行くヨ。キーボ君は、そこでゆっくりしてて」

キーボ「……そうですか?」

アンジー「そうだよー、キーボはお客様なんだから、そこにドッシリだよー」

アンジー「アンジーはここの居候だから、行くけどねー!」

アンジー「ゆっくりマッタリ待っててねー、キーボ!」

キーボ「……わかりました。お願いします」



スタスタ……



ーーーーーーーーーー


ーーーーーー


ーーーー


ーー


547 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 20:32:56.22 ID:UKb+9Q+UO



キーボ「………」


キーボ(……二人とも、客人との話に時間がかかっているようですね)


キーボ(……いや、アンジーさんの霊圧がこちらに近づいていることからみて、もう終わってはいるのでしょうがーーーそれでも時間がかかり過ぎている)




キーボ(どうかしたんでしょうか?)




キーボ(……まあ、玄関近くで空鶴さんの元気な霊圧が感じられますしーーーそれ以前に、アンジーさんは、ずっと “ あの霊的グッズ ” で、守られている)


キーボ(それらを考えれば、危険はないとは思いますが……)


キーボ(……ですが一応、集音器の精度を上げて、アンジーさん達の状態を確認するべきでしょうか? 一応現在は非常時以外は禁止されていることですがーーー)




キーボ(ーーーいや、それなら、普通に、アンジーさん達の元まで出向いた方がーーーー)



548 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/27(日) 20:35:07.18 ID:UKb+9Q+UO



ガララッ……!



真宮寺「キーボ君……」

アンジー「……キーボ」

キーボ「あっ、アンジーさん! 真宮寺クン!」

キーボ「どうかされたんですか? かなり時間がかかっているようでしたがーーー」



アンジー「ーーーあー、ちょっとねー」



真宮寺「ーーーごめんヨ。確認のために話し込んでしまってネ……」


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