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絵里「例え偽物だとしても」

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232 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2019/09/25(水) 21:33:34.02 ID:RR8ZWgfX0
真姫「サブマシンガンでしょうね、部品的に」

果南「それは私も分かるよ、ただどんなサブマシンガンかが分からないんだよ」

真姫「…それは私もよく」

ことり「同じサブマシンガンでも性能は大きく違うからね、武器種を聞いたところで一概にどんなものか想像は出来ないね」

善子「そうね」

絵里「…まぁその話はいいわ、それより真姫はどうする?もう帰る?」

真姫「ええ、本当はもっといたいけど流石に長居は危険だからね、帰らせてもらうわ」

果南「はーい、気を付けて帰ってよ?」

真姫「言われなくてもそのつもりよ」

絵里「じゃあね」

真姫「ええ、また」

スタスタスタ ガチャンッ
233 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 21:35:28.14 ID:RR8ZWgfX0
絵里「…お金は全額真姫負担な上にわざわざ部品を持ってきてもらうなんてなんか申し訳ないわね……」

ことり「西木野真姫の性格を見るにイヤなら断ってるから大丈夫だと思うよ」

果南「私もそれは同意見かな」

善子「同じく」

絵里「…戦闘型アンドロイドと標準型アンドロイドは感受性が違うのかしら」

絵里(夕方のわずかな時間で話は一気に進んだ、部品が届き曜は私の銃を作ってくれるということで家の機械やら何やらを使って一室にこもってるし真姫はすぐに帰ってしまった)

ことり「あ、ずるいよ!」

善子「ふふふっ…これは早いもの勝ちなのよ…」

果南「いっけー!これでもくらえっ!」

絵里「ふふふっ」

絵里(それで残された私たちはそれぞれ自由な時間が出来るわけだけど、私を除いた三人はゲーム三昧の様子)
234 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 21:37:59.85 ID:RR8ZWgfX0
一旦中断
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/25(水) 21:52:31.41 ID:lxuObvUqo
曜ちゃん一見まともそうだけどかなりサイコパスだな
236 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2019/09/25(水) 22:09:04.44 ID:RR8ZWgfX0
果南「絵里はゲームしないの?」

絵里「お皿洗ってお風呂沸かしたらね」

善子「あ、ごめん…」

絵里「いいわよ別に、三人は遊んでて」

絵里(私も遊びたいけど、色々やることあるしそれを先にやってから)

絵里(だからキッチンで皿洗いをしながら三人の姿を見てるけど、この時間は不思議と私の人生が充実してるなって思ってしまう。間違ってはないのだろうけど、でもどこかが違うそんな充実は実に甘味で……)

絵里(銃弾一つで壊れてしまうような、硝子で出来た秘密の楽園。そんな場所なのかもしれない、ここって)
237 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 22:10:47.40 ID:RR8ZWgfX0
善子「そういえばことり」

ことり「何?」

善子「ことりって人の名前を呼ぶ時って必ずフルネームで言うわよね、なんで?」

ことり「その呼び方が一番しっくりくるからだよ」

果南「えー私たちのことちゃん付けしてよー果南ちゃん♪って」

ことり「…絵里ちゃん」

絵里「! え、ええ?」

ことり「……善子ちゃん」

善子「ええ!後ヨハネちゃんでもいいわよ!」

ことり「………」


ことり「松浦果南」


果南「なんで!?」
238 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 22:11:31.41 ID:RR8ZWgfX0
ことり「松浦果南は松浦果南の方がしっくりくる」

善子「ぷっ…くすくす…」

果南「えぇ…なんか納得いかない」

果南「後そこの堕天使野郎笑うな」

善子「ヨハネよ!」

ことり「松浦果南にちゃん付けは似合わないよ」

果南「納得いかない…」

絵里「あははは…」
239 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 22:14:41.28 ID:RR8ZWgfX0
〜同時刻、某カフェ

にこ「…遅かったわね」

希「ごめんごめんって、色々あって遅れちゃった」

にこ「そう」

希「よいしょっと、にこっちがウチに連絡なんて珍しいやん?明日は槍でも降るんやない?」

にこ「降るなら銃弾ね」

希「うーんまぁあり得なくもない」

希「…そういえばあの住宅街のやつはよくもやってくれたね」

にこ「希がグレネードを使った時点で被害は大きかったからあの状況は何を使っても許されたでしょうに」

希「それでグレネードランチャーを使っていいなんてことにはならないやん?第一にこっちは正義の味方やん」

にこ「はっ私は正義の味方なんてやってるつもりはないわよ、勝つための常套手段を使っただけ。爆破で人が死ぬとか知ったこっちゃないわよ」

希「……よくそんなんで対アンドロイド特殊部隊で一番か二番目に常識人なんて言われたものやね」

にこ「他が頭おかしすぎるのよ、そのせいで対アンドロイド特殊部隊のメンツも仲がいいわけじゃないし」

希「…確かにウチもあそこの子たちとはあまり関わりたくないかなぁ」
240 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 22:16:20.13 ID:RR8ZWgfX0
にこ「ええそうね、でもそんなことより私は聞きたいことがあるのだけど」

希「あ、そうやったね。じゃあ改めてウチに何の用?」

にこ「曜の行方とあんたの連れであるあのお茶目なアンドロイドが言う絢瀬絵里率いる集団でもあんたら殺し屋でもない敵というのを知りたい」

希「うーん、なるほどね」

希「まぁ結論から言うと曜ちゃんの行方は言えないかな」

にこ「…どうしてよ?」

希「ウチとにこっちは友達という関係ではあるけど仲間ではない、いくらウチが無関係とはいえにこっちだけ有利に進む情報はあげれないかな。にこっちが不利っていうならあげてもいいけど、にこっちの周りは海未ちゃんを始めとした頭おかしい人が集まってるから有利になる情報をべらべら言っても面白くないんよね」

希(…というか、今の状況はあの金髪の子の方が圧倒的に不利だし尚更教えるわけにもいかないやんね)

にこ「…あんたってホント意味不明ね」

希「ウチは殺し屋だけど、これでも常識人で相手の立場を尊重してるから♪」

にこ「…それで常識人なら世界のほとんどの人間が常識人ね」
241 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 22:17:51.78 ID:RR8ZWgfX0
希「実力行使で聞きにこないんだ?」

にこ「あんたら殺し屋に喧嘩を売るととんでもなくめんどうなことになるからね、しかも今はあまり戦力を削れない状況だし」

希「んーまぁそうやね」

にこ「それでどうなの?曜の事はさておきもう一つの方は」

希「いいよ、そっちは教えたげる」

希「でも謎なところもかなり多いからあまり期待しないでね」

にこ「ええ」

希「――ちゃん曰く相手の人数はおそらく三人、それでウチらと同じように殺し屋をやってるらしいよ」

にこ「また殺し屋か…」

希「戦闘は一回もしてないから使用武器とかは分からないけど、まぁ手練れやろうね。動いてるのをわざとちらつかせてるから何かを企んでると考えた方がいいかもしれん」

にこ「…希はそいつらをどうするつもり?」

希「正直邪魔だけど、変に手は出せんからなぁ」


希「しばらくは様子見かなぁ」


にこ「…そう」

希「はぁ…何個も何個も問題を持ってこないでほしいね」

にこ「それはこっちのセリフよ、敵は一つだけ充分よ」

希「全くやね」
242 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 22:21:31.46 ID:RR8ZWgfX0
希「…まぁいいや、ねえにこっち」

にこ「何?」


希「ウチはにこっちに情報を提供したんだからにこっちもウチに情報を提供すべきだよね?」


にこ「…何が欲しいの?」

希「あの金髪の子のこと……いや欲張り言うならあの金髪の子そのものが欲しいかな」

にこ「金髪?絢瀬絵里のこと?」

希「そう、多分その子」

にこ「…絢瀬絵里が欲しいっていうのは何?部下にでもしたいの?」

希「そうそう!あの子はウチにとって魅力そのものでしかないね、アンドロイドに詳しいウチなら分かる、あの子は“未知の力”を有している」

にこ「未知の力?」

希「なんというか…潜在的っていうんかな?一回戦うだけじゃいまいち力が把握出来ないんよね」

にこ「ふむ…」

希「…まぁいいや、ウチが聞きたいのはそういうことじゃないんよ」

にこ「…何?」


希「その絢瀬絵里って子は何型のアンドロイド?」


にこ「標準型アンドロイドよ」

希「…なるほどね、ありがとうにこっち。ウチが戦ったのは金髪の子じゃなかったから分からなかったんよね」
243 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 22:23:16.01 ID:RR8ZWgfX0

にこ「…どうするつもり?」

希「……ノーコメントやね」

にこ「殺しに行くなら手伝うわよ、私たちも殺すことを目標としてるし」

希「残念だけどにこっちたちと組むつもりはない、それにウチはその絵里って子を殺したいとは思ってないし。さっきも言ったやん?部下にしたいって」

にこ「…そう、残念だわ」

希「さて、用件は済んだみたいだしウチはここらでおいとまさせてもらうよ、あまり長居はしたくないんでね」

にこ「ええ、じゃあね」

希「ほい、じゃあ」

スタスタスタ

にこ「………」

にこ(絢瀬絵里と希が組んだら……まずいわね)

にこ(その場合は……どうするかしら)

にこ(お互いの総力を費やして戦う総力戦か、それとも私も希の方へ寝返った方がいいのかしら)


にこ「…はぁ、殺し屋は一人だけで充分よ……」

244 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 22:25:16.46 ID:RR8ZWgfX0
〜数時間後、別荘

善子「そのアサルトライフルがどうしたの?」

ことり「ん、あぁこれどうしようかなって」

果南「絵里が使った時にボロボロになっちゃったから流石に使えないよね」

ことり「うん、でも長いこと使ってたしあまり捨てたくないなって」

善子「あ、分かるわ、捨てるに思い出とかが邪魔して捨てられないのよね」

果南「そういうものなの?あまり気にしたことがないんだけど」

善子「そういうものよ」

絵里「…曜に修理してもらったら?」

ことり「あ、絵里ちゃんいたんだ」

絵里「今お風呂から出たところ、曜なら直せるんじゃない?銃が作れるんだし」

果南「確かに」

ことり「……あんまりあいつに頼りたくない」

善子「…まぁ気持ちは分からなくもないわ」
245 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 22:27:54.10 ID:RR8ZWgfX0
〜数時間後、別荘

善子「そのアサルトライフルがどうしたの?」

ことり「ん、あぁこれどうしようかなって」

果南「絵里が使った時にボロボロになっちゃったから流石に使えないよね」

ことり「うん、でも長いこと使ってたしあまり捨てたくないなって」

善子「あ、分かるわ、捨てるに思い出とかが邪魔して捨てられないのよね」

果南「そういうものなの?あまり気にしたことがないんだけど」

善子「そういうものよ」

絵里「…曜に修理してもらったら?」

ことり「あ、絵里ちゃんいたんだ」

絵里「今お風呂から出たところ、曜なら直せるんじゃない?銃が作れるんだし」

果南「確かに」

ことり「……あんまりあいつに頼りたくない」

善子「…まぁ気持ちは分からなくもないわ」
246 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 22:30:03.96 ID:RR8ZWgfX0
ことり「だから対アンドロイド特殊部隊にいる人もそうだしあの殺し屋の集団もそうだけど今使ってる武器が最適な事が多いんだよ」

絵里「じゃあスナイパーを使ってる人はスナイパーが一番いいのね」

ことり「うん、そうだよ。でも私にはよく分からないかな、スナイパーをメインにしてる人の気持ちが」

果南「色々あるんだと思うよ、性格とかもそうだしスナイパーって大して動かなくていいからそういうのも関係してると思う」

絵里「あぁなるほど」

善子「人それぞれよね、使う武器にもちゃんと理由があるしその武器の中で更に種類があってそれにも理由があるんだから」

果南「アサルトライフルにサブマシンガン、ショットガンやスナイパー、そしてライトマシンガンやマークスマンライフルなんてものもあるんだからそりゃあみんな使う武器も違うよ」

絵里「みんな色々考えてるのね…」

絵里(銃なんてとりあえず持っておけばいいって考えてたけど、そんなことは全然ないみたい)


善子『…こんな拳銃一つじゃあの二人とは戦えない』


絵里(何度も頭の中で響くこの言葉、善子も果南も、そしてことりも自分の最適な銃を使ってると聞くけど私にとって最適な銃っていうのはどういうものなのかしら)

絵里(希って人のショットガン二丁もそうだし、曜の使える武器の多さもそうだし、きっとそこに個性だって求められるのだと私は思う。こういう時に銃を使った戦闘経験の浅さが滲み出るのが悔しかった)


絵里『私が…私が…!』

絵里『……なんで』


曜『人を殺すのが怖いんでしょ』


絵里「………」

絵里(人を殺すのに躊躇いがあるのも、それが関係してるのかしら…)
247 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 22:33:41.97 ID:RR8ZWgfX0
善子「それで結局どうするの?その銃は」

ことり「…考える。どうせまだ戦えないんだし」

絵里「傷酷いしね…」

ことり「そうそう、いざという時は別の銃を使うし」

果南「ことりって他の銃使えるの?」

ことり「サブマシンガンなら使えるよ、アサルトライフルならバースト銃じゃなければほぼ使えるはず。ブレが酷い銃はちょっと厳しいけど…」

絵里「バースト銃?」

善子「多分三点バーストの事を言ってるんじゃない?」

絵里「あぁなるほど」

絵里「…ん?三点バーストってトリガーを引くと弾が三発出る銃よね」

善子「そうよ、こういうバースト銃の利点はブレを抑制しやすく弾の消費を抑え銃の部品へのダメージを少なくできること、フルオートじゃない分トリガーを引いた時照準がぐんと上がることはないし、リロードの頻度も落ちる、トリガーを引くことでの銃への負担も少ないから長く使える、これに限るわ」

善子「だけど単純な手数で言えばフルオートに劣るわ、フルオートはトリガーを引きっぱなしでいいけどバースト銃は一回一回引き直さないといけないから絶対に手数負けする」
248 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 22:35:19.04 ID:RR8ZWgfX0
絵里「ふむ…難しいわね。でもバースト銃はブレを抑制しやすいんでしょ?ブレが酷い銃が使えないっていうならことり向けじゃない」

ことり「そういう問題じゃないよ、私は昔から立ち回りが丁寧だって言われてあまり決定打が無くて、だから今の私に必要なのは火力なの、だけど火力が高い銃ってどうしてもブレが酷い銃しかなくて、私どうしても扱えなくて…」

ことり「だけどやっぱり火力は欲しいからだからバースト銃っていう小回りが利く銃を使うよりかはこのQBZ-03のようなちゃんと手数があるフルオートでブレもそこまでない素直な性能をした武器が私にとって一番の銃なのっ」

絵里「へ、へぇ…」

絵里(やはりにわかが口を出すものではないと思った、私の武器については曜に任せようそうしよう…)

絵里「銃って奥が深いのね…」

果南「あはは、ホントにね」

善子「こんな話してたら曜がどんな銃を作ってくるのか気になってきたわ…」

ことり「ねっ」

絵里「ええ」

絵里(これからを生き抜くためには銃の知識も少なからずは必要になるでしょう、だからその時のために、今色々準備する必要がありそうね)
249 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 22:36:56.03 ID:RR8ZWgfX0
〜二日後夜、公園


海未「希」


希「……ん?」

海未「ようやく見つけましたよ、希」

希「何か用?ウチの少ない休み時間を邪魔しないでほしいんやけど」

海未「にこから聞きました、曜の居場所を知ってるそうですね」

希「さあね」

希「というか、今日はフードまで被ってどうしたん?夏真っ只中だって言ってるのに暑くないん?」

海未「心頭滅却すれば火もまた涼し、またその逆も然りです」

希「ひゅーすごいねぇ、剣術を歩む者ってのは」

カチャッ

希「…なんでウチに銃口を向けるん?」

海未「曜の居場所を言ってください」

希「イヤだね」
250 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 22:39:42.76 ID:RR8ZWgfX0
海未「…では、死がお望みで?」

希「……海未ちゃんさ、足を撃たれたって聞いてたけどなんで平然と動いてるん?」

海未「あなたなら知っているでしょう?」

希「…海未ちゃんって本当に人間なんだよね?実はアンドロイドでしたってオチあるよね?」


希「その再生能力、即時回復とは言わないけど数日経てば治っちゃうソレは軽蔑もんだね」


海未「ありがとうございます、私の体を褒めていただいて」

希「…気持ち悪いね」

海未「ええ、それで教えていただけるのですか?」

希「………」

希(向けられた銃口はほぼウチの真横にあった、下手な抵抗をすればウチは死ぬだろう)

希「……それは無理な出来事やねっ!」

海未「っ!?」

バァンッ!

希(…ただ、上手に抵抗すればどうってことない)

希(ジャングルジムに寄りかかりながらコーヒーを飲んでたウチはしゃがみと同時に海未ちゃんに向かって足払いをした、結果海未ちゃんの持つ拳銃から放たれた銃弾は空へと向かいウチは見事に銃弾を回避することに成功、そしてそのまま浮いた海未ちゃんの背中をキックし、ジャングルジムに叩きつけ攻撃に転じた)
251 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2019/09/25(水) 22:42:42.51 ID:RR8ZWgfX0


海未「がッ…あっ!」

希「今ここで死ぬのは海未ちゃんだよ」


海未「…っ!」ブンッ!

希「おっと」

希(叩きつけられた海未ちゃんはすぐさまジャングルジムの棒を掴んで体勢を立て直してそのまま突き蹴りをしてきたもんで、ウチは顔を少し横に逸らして回避した)

海未「あまり私を怒らせない方がいいですよ、死にたくないなら早めに曜の居場所を言った方が希の為でもあると思うのですが」

希「心配してくれるのはありがたいけど生憎曜ちゃんの居場所を言うつもりはないかなぁ」

海未「ならやはり死んでもらわないとダメなようですね」シュッ

希「そんなのお断りやねっ!」

希(海未ちゃん特有の超スピードの跳躍は人間の反応速度じゃほぼ回避不可能、だから受け止めるしかないんやけどウチはこの跳躍を何回も見てきたものでね)


希「知ってるよ!海未ちゃんが跳躍をするタイミングなんてっ!」


希(ある程度タイミングさえ読めば返り討ちだってできるんよ。海未ちゃんと距離を置いて、その距離を詰めるべく跳躍をした海未ちゃんに対しウチは蹴り上げをした、結果海未ちゃんのお腹に蹴りがヒットして跳躍の勢いは止まり海未ちゃんは背中から地に落ちていった)
252 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 22:45:21.01 ID:RR8ZWgfX0


希「まだまだいくよっ!」


希(倒れる海未ちゃんの心臓目掛けてショットガンを一丁突き刺しに行ったけど、海未ちゃんは横に転がり回避――そしてそこからウチは地面に突き刺さったショットガンを抜いて海未ちゃんに向かって片手で発砲、だけど案の定海未ちゃんは超スピードの跳躍でウチが撃つ前に射線から外れてた)


海未「後ろですよっ」

希「はいはい」


希(一瞬でウチの後ろを取るのは流石に人間とは思えないけど、これが海未ちゃんなんだろうね)

希(後ろから声がした時はウチも避けることも受け止めることも諦めて食らうことを選んだよ)

希(戦闘経験が浅い人ならここで発砲をする為に銃を構えて反撃の隙を作ってくれるんやけど、海未ちゃんはそうしてこなかった)


海未「はぁッ!」ドカッ!

希「ぐ…ぎっ…!」


希(お返しと言いたげな背中への強烈な飛び横蹴り、この威力ときたらやっぱり人間とは思えない威力だよ)

希(蹴りを食らったウチは前方へと吹っ飛んだ)

希「はぁ…いったた……」

海未「随分と余裕そうですね」

希「ウチは常に受け手なもんでね」
253 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 22:48:29.90 ID:RR8ZWgfX0
海未「あの蹴りを食らってもそこまでダメージが通ってないのはもはやアンドロイドと疑ってしまいますね」

希「それはお互い様やん?」


カランッ


海未「!?」

希「あ、気付いちゃった?」

海未「なっ…」


ドカーン!


希「…まぁもう遅いけど」

希「……海未ちゃん相手にはもっと別の場所で使いたかったんだけどね」

希(ウチの十八番と言っても過言じゃない技…なんかな?)

希(ウチは小さい時は占いや手品が好きだった、神秘学が好きでただそれに似たモノで尚且つウチでも出来た手品にハマると人を騙す行為に詳しくなった)

希(相手が一番油断するのは勝利を確信する時じゃなくて勝利を確信するキッカケが出来た時、ウチに蹴りを浴びせた海未ちゃんはウチの事しか考えてなくて、ウチの手元にあったピンの抜かれた手榴弾には目もいかなかっただろうね)

希(ウチ自身の体を犠牲にしてピン抜きグレネードを足元に転がすこの技は様々な人を葬ったよ)


希(だからウチは常に受け手なんよ)

254 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 22:50:45.42 ID:RR8ZWgfX0


海未「…その程度ですか?」


希「…!」

海未「私はその辺の有象無象とは違いますよ、グレネードと手品一つでくだばってたら対アンドロイド特殊部隊にはもういませんからね」

希「あはは…やっぱり海未ちゃんとは関わるべきじゃないね」

海未「ふふふっ降参しますか?」

希「いいや、生憎ウチはまだ死ねないんでね」

希「降参はやめとくよ」

海未「そうですか」
255 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2019/09/25(水) 22:51:47.07 ID:RR8ZWgfX0
希「じゃあ第二ラウンド開始といこうやん?」

海未「ええ、そうですね」

希「ふう」

希(ウチ深い息を吐きながら二丁のショットガンを下げた)


キランッ


希「…相変わらずやね、その武器」

海未「私の相棒ですから」

希「……そっか」

希(街灯の光に照らされ黒光りする刃物――それを見れば人間だろうとアンドロイドだろうと海未ちゃんの明確な殺意を感じ取ることは可能だった)

希「…にしてもやっぱり珍しいね、銃剣なんて」

海未「私からすればむしろなんでみんなつけないのか不思議ですね」

希「銃が頂点に立ってるというのにわざわざ剣術を嗜む異端者なんているはずないやん?」

海未「そうですか、ですがそれは私にとっては好都合ですね」

海未「誰も使わない分、対策が出来ませんから」
256 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 22:54:14.20 ID:RR8ZWgfX0
海未「希も素晴らしいと思いません?このロンズデーライトで出来た剣は」

希「……そうやね」

希(ロンズデーライトというダイヤモンドより硬い鉱物で出来たその剣はデュランダルの如く壊れない剣と化している)

希(海未ちゃんは銃を学ぶと同時に剣術も嗜んでいた為にこのようなガンソードスタイルが出来上がった)

希(ここで問題なのは――)


希(ウチの戦闘スタイルとほとんど同じということ)


希(ただウチの持つショットガンの銃口には刃物がなく鈍器として扱う型だから根本的には一緒なだけ)

希(…ただ、そこだけでも一緒というのなら……)

海未「先手必勝!」

希「させんよ!」ポイッ

希(銃口がウチに向いてきたもんですぐにスタングレネードを投げた、ウチは人間だし曜ちゃんのような銃弾を回避するための補助装置を持ってるわけじゃないし、海未ちゃんのような人間らしからぬ運動神経を持ってるわけじゃないから銃弾は避けれない)

希(だからまず前提として弾を撃たせないという立ち回りをしないといけないんよ)
257 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 22:57:05.90 ID:RR8ZWgfX0
海未「くっ…」

希「はっ!」ダッ

タッタッタッ

希(海未ちゃんが後ろへ跳躍するのを見てウチは眩い閃光の中に突っ込んだ、ウチは投擲物が大好きなもんでフラッシュに備えたゴーグルをいつもおでこにつけてる、だからこういう時関係無く行動できるのがウチの強みだ)


希「ウチのダンスを見てね海未ちゃん!」


海未「出ましたね…!」

希(ショットガン二丁を乱射しながらバレエのように舞った、近距離でウチのショットガン二丁と平面でやり合うのは誰であろうと無理に等しい、それでいてウチは乱射しながら相手に近づくんだからスナイパーでもいない限りはこの戦法が崩されることはない)

希(もちろんリロード時は止めないといけないけどね)

海未「ホントに頭の悪い武器ですね」タッ

希「ウチの相棒の悪口は言わんといてほしいねっ!」バンバンッ

希(飛び退く海未ちゃんを追うようにウチも跳躍を繰り返しながら発砲する、ウチのショットガンはどちらもAA-12と呼ばれるフルオート式のショットガンで尚且つドラムマガジンだから一つの弾倉に31発の弾が入ってるんよ)

希(だから弾切れも頻繁には起こさないし手数はどのショットガンよりもどのサブマシンガンより強く近距離最強ともいえる、そんな力強いこのAA-12二丁がウチの相棒や)
258 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 23:05:45.89 ID:RR8ZWgfX0
海未「まぁこちらも逃げてるだけじゃないですけどね!」ドドドド

希「はいはい知ってるよ!」ポイッ

希(横っ腹についてるスモークグレネードを辺りにばらまいた、次の瞬間には公園の半分が煙に覆われてお互いにお互いの居場所を分からなくさせた)

希(だから今のウチにリロードをして、よく耳を澄ませた。目を瞑り、音にだけ集中すれば微かに足音が聞こえてくる)

海未「そこですねっ!」スッ

希「うおっと…」

希(足音に気付き目を見開く頃にはもうそこまで海未ちゃんは近づいてた、目で確認出来ない情報は音で確認するのが基本中の基本、それを知ってるウチらは互いに同じ事をして、海未ちゃんはウチを捕捉することが出来たしウチは海未ちゃんの銃剣の一閃を回避することが出来た)

海未「逃がしません!」ドドドド

希「きっ…」

希(一閃を跳躍で回避した後、無理矢理体を左へとねじりその勢いを利用してスライディングをして海未ちゃんが放つ銃弾を回避した)


希「いつっ…!」


希(だけど如何せん、アンドロイドみたく射線が見えてるわけでもないし運動神経も劣るために銃弾がウチの頬を掠めた。でも、ここは当たらなかっただけマシやろうね)
259 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 23:14:00.86 ID:RR8ZWgfX0
ちょっと中断、再開できなかったらまた明日。でもキリのいいところまでやりたいので多分寝るまでにやります
260 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 23:30:20.20 ID:RR8ZWgfX0


希「仕方ないからウチと一緒におみくじやろかっ!」ポイッ


希(そういいながらグレネード、スタングレネード、スモークグレネードを周りにばらまいた)

希(煙で前が見えない状況でなら転がる物体も何かは確認できない、だから必ず避けることを強いることが出来る。そして煙でどこに何が転がってるか分からないからどこに避けていいのかも分からない、それでいてウチは動かないでいいから安全におみくじの行方を見守ることができる)


希(海未ちゃんが引くのは大吉であるスモークグレネードか、吉であるスタングレネードか、凶であるグレネードか)


希(結果は全て海未ちゃん次第やね)


ドカーン!


海未「ぐああぁっ!」

希「ヒット♪今迎えにいくで海未ちゃん!」ダッ

希(そして海未ちゃんが引いたのは凶であるグレネードだった、大きな爆発と共に海未ちゃんの苦しそうな叫び声が聞こえて声の成る方へショットガンを下げて突っ走った)
261 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 23:34:57.09 ID:RR8ZWgfX0
海未「こんなんでくたばれませんよッ!」ブンッ!

希「あっと」


カンッ!


希「…相変わらずやね」

海未「死ねませんから」

希(突っ走った先、頭から血を流す海未ちゃんはすかさずウチに銃剣を振り下ろすもんでウチは二丁のショットガンをクロスさせて受け止めた)

海未「このっ!」カンカンッ

希「ん…いっ…!」

希(左から右から上から下から――――ショットガンを撃つ暇も与えない無数の斬撃を苦し紛れに受け止めた、流石剣術を嗜む者はチャンバラごっこのようにただ振り回すだけじゃないのが厭らしい)

希(そして十数回に及ぶ斬撃の後、強烈な飛び回し蹴りをウチに浴びせ、ウチが後退した隙を狙ってアサルトライフルを発砲)


希「…っ!」


希(流石に死を悟った)

希「はっ!」

希(だけどそのまま死を受け入れるはずもなく、ウチは体を無理矢理動かし右へと跳躍した)


希「っぎ、ああぁっ!」


希(死ぬのは避けた、だけどそれでも死に至る痛みだった)

希(海未ちゃんのアサルトライフルから放たれた二発目の銃弾がウチの横っ腹にヒット、ただここで立ち止まってたらウチは死ぬ。経験がウチに語り掛けた)

希(だからそのまま跳躍途中で片方のショットガンを使って海未ちゃんに向かって発砲した)
262 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 23:37:41.09 ID:RR8ZWgfX0
海未「はっ」ダッ

希「……ぁ」

希(そして次の瞬間には人間とは思えない素早い跳躍を二回繰り返してウチの目の前にやってきた)

希(あぁ…だから海未ちゃんとは関わりたくないんよ。海未ちゃんみたいな常識外れの動きをする人と一対一で本気で戦えば)


希(死ぬに決まってるやん)


海未「ばいばいですね希ッ!」



ザクッ!


263 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 23:38:34.34 ID:RR8ZWgfX0
希「っか……」

希(超一流相手なら、銃を構えて発砲する時間でさえ隙になる)

希(焦っちゃったのかなぁ、ぶっちゃけあの状況は撃っても撃たなくても同じだったかな…)

希(…でも、あえて何もせずに相手が攻めてくるのを待った方が助かる可能性も増えたかもしれない)


希(……ほら、ウチ常に受け手やし)


希「………ぁ」

海未「無様ですね、希」

希「ぁ…ぁァ……」

海未「今ここで曜の居場所を吐いてくれるのなら、助けてあげますよ」

海未「…まぁ、その状態で言うのは無理でしょうけどね」フフフッ
264 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 23:40:49.52 ID:RR8ZWgfX0
海未「にしても、希にしては珍しいですね」

希「……ぁ?」

海未「…いや、曜の技術が上回っただけなのでしょうか」

海未「いくら私の跳躍が並外れていても、近距離でショットガンの弾を躱せるはずがないでしょう?」

希(そういいながら不気味に笑って踵を上げながら靴を指さす海未ちゃんを見て、ウチは察したよ)

海未「流石曜の跳躍アシストは希相手には効果絶大だったようですね」

海未「それを見落とすなんて、希もまだまだですね」

希(靴の裏が仄かに光ってるもんで、仕組みは分からないけど何かからくりがあるんやろうね)

希(やられたなぁ、鬼に金棒…今更知ったところで何の意味もないけどね)


海未「…では、そろそろお別れの時間と行きましょうか」


カチャッ


希「………」

希(死を受け入れたウチはゆっくりと瞼を閉じた)
265 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 23:42:49.27 ID:RR8ZWgfX0


カランッ


海未「ッ!?グレネード!?」


希「ぃ……しょに……しの…か」


希(最後にウチは海未ちゃんの足を掴んで、海未ちゃんに笑顔を見せた)


ドカーン!


「希ちゃーん!!?」

希(声が聞こえた、ウチの優秀な部下の声。太陽のように明るく、でも時に月を宿す暗き闇を持つ声の持ち主)

希(その声が聞こえた瞬間、ウチは安心して力を抜くことが出来た)
266 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 23:47:44.41 ID:RR8ZWgfX0
海未「か…ぁ……」


「希ちゃん!?ねぇ希ちゃん!?」

「ほ、穂乃果ちゃんおちつ」


穂乃果「落ち着けないよ!間に合わなかった…!花丸ちゃん!希ちゃんを持って帰るよ!」

花丸「は、はいずら!」

穂乃果「…後、こいつは私が止めを刺す」

海未「…ぃ…いぃ…!」


穂乃果「…よくも希ちゃんを」カチャッ

267 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 23:50:44.46 ID:RR8ZWgfX0


「はいストップー!」バァン!


穂乃果「っ!」シュッ

「やっぱり流石だね、その身のこなし。バイオレットムーンの右腕と呼ばれながら、軍神という異名を持つ穂乃果ちゃんは」

穂乃果「……誰?」


梨子「桜内梨子、対アンドロイド特殊部隊所属だよ」


穂乃果「…そっか、だから何?」

梨子「海未さんを回収にしに来たんです、ここで殺されては困るので」

穂乃果「…あっそ」バンッ

梨子「……どこを撃ってるんですか?海未さんに当たってませんよ?」

穂乃果「!?」

花丸「あれ!?海未さんは!?」
268 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 23:52:23.48 ID:RR8ZWgfX0


海未「はぁ…はぁ…ここですよ!」


穂乃果「なんで…」


梨子「…ふっ…ふふふっあははははっ!」


花丸「…ずら!?」

梨子「あははははっはははははーあ…」

梨子「ねえせっかくあなたたちのリーダーが命を犠牲にしてまで与えたダメージが無意味だったって知った今の気持ちはどう?」フフフッ

梨子「悔しいよねぇ辛いよねぇあなたたちのリーダーの命、無駄だったね…んふふふ…あはははははっ!」

梨子「あっはっはっはっは!あーすごい気持ちいいなぁ、人が死んだ後にこういうことが出来るから対アンドロイド特殊部隊ってやめられないよね」

梨子「んふふふ、まぁそんな私をよろしくね、穂乃果さん」ニコー

穂乃果「……へぇ、死にたいんだ。よく分かったよ」

梨子「そんな、今穂乃果さんたちと戦うつもりはないですよっ」アセアセ

花丸(さっきまで狂ったように笑ってたのに急に控えめになって気持ち悪いずら…)
269 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 23:53:22.71 ID:RR8ZWgfX0
梨子「にこ先輩!」


にこ「あいよ」ポンポンッ


穂乃果「グレネードランチャー…!花丸ちゃん逃げるよ!」ダッ


花丸「あ、うん!」ダッ

タッタッタッ

花丸「あの、穂乃果ちゃ…」

穂乃果「………」

花丸「………」

花丸(今話しかけるのはやめておくずら…)
270 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 23:54:01.77 ID:RR8ZWgfX0
穂乃果「…貸して」

花丸「え?」

穂乃果「希ちゃんのショットガン持ちながら希ちゃんをおんぶするのは辛いでしょ」

花丸「あ、うん…」

穂乃果「……仕方ないけどあの夢追い人を呼ぶよ」

花丸「…そうだね、流石に来てくれるよ」


花丸「希ちゃんの左腕だもん」

271 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 23:55:09.21 ID:RR8ZWgfX0
穂乃果「……海未、とか言ったっけ」

花丸「あの青い髪の人?」

穂乃果「それ、希ちゃんからはやばいやばいとは言われてたけどあいつは何?なんでグレネードの爆破を間近で受けても生きてるの?」

花丸「マルの情報が確かなら海未という人は他の人間と比べて魔法でも使ってるかのような再生能力と生命力があるらしいずら、だから銃弾一発貫かれたくらいじゃ死にはしないっぽくて、それ同様グレネードも耐えたんだと思う」

穂乃果「……化け物じゃん」

花丸「………」

花丸(…穂乃果ちゃんも充分化け物だけどね……)
272 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/25(水) 23:56:29.78 ID:RR8ZWgfX0
穂乃果「……なんでこんな時にあいつはいないの?」

花丸「あの人はさすらい人だから…」

穂乃果「…いくら散歩が好きとはいっても、その間に飼い主が死んじゃったら何の意味もないじゃん」

花丸「それは……そうだね」

花丸(……今あの人は何をしてるんだろう)

花丸「……ごめんね、穂乃果ちゃん」

穂乃果「…なんで花丸ちゃんが謝るの?」

花丸「マルが銃を扱えたらきっと、戦力差はそこまで生まれなかっただろうから」

穂乃果「…いいよ、花丸ちゃんの過去は知ってる。無理に銃を使う必要なんかないよ」

花丸「……今日の穂乃果ちゃんは優しいんだね」

穂乃果「………」


穂乃果「…こうなった以上、死ぬまで引き下がれないよ」


花丸「…もちろんずら!」
273 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2019/09/26(木) 00:02:49.00 ID:UhZS0BQS0
〜同時刻、別荘

コンコンッ

絵里「曜、いる?」

曜「いるよー」

絵里「入ってもいいかしら?」

曜「うん、いいよ」

ガチャッ

絵里「失礼しま…ってうわ…すごい隈じゃない…」

曜「あはは…かれこれ徹夜続きだからね…」

絵里「あなたねぇ…」

絵里(二日間ずっと部屋にこもりっぱなしでちょっと心配になって見に行ったら酷い有様、そこら中に部品や紙切れが転がってて髪はぼさぼさ、別に急いでるわけじゃないんだから休めばいいのにと一目見て思った)
274 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/26(木) 00:04:07.41 ID:UhZS0BQS0
曜「…なんかさ、寝ぼけてるだけかもなんだけど…変な予感がするんだ」

絵里「変な予感?」

曜「戦況が大きく変わりそうな予感がする」

絵里「…何を根拠に言ってるの?」

曜「…ただの勘だよ、悪寒がしただけ」

絵里「そ、そう…」

絵里「…そういえば曜は戦えるのよね?」

曜「うん、戦えるよ」

絵里「今でも銃弾は避けれるの?」

曜「もちろん避けれるよ」

絵里「どうやって?」

曜「アンドロイドの原理とはまた違うけど、私の靴には重力を利用したブースト機能があるんだ。だから跳躍すれば銃弾を避けれるようになるそれ相応の勢いがプラスされる、それで避けるんだ」

絵里「へぇ…」
275 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/26(木) 00:05:32.31 ID:UhZS0BQS0
曜「このゴーグルはアンドロイドと同じで射線が見えるようになる、この二つのアイテムで銃弾を避けるんだ」

絵里「なるほどね…人間相手はそこまで警戒する必要ないと思ってたけどやっぱり侮れないわね…」

曜「当たり前だよ、特に希ちゃんとか対アンドロイド特殊部隊の人は舐めてかかったら死ぬよ」

曜「海未さんとかと関わったりでもしたらほぼ死は確定だよ」

絵里「…そこまですごいの?」

曜「…まぁね」

曜「……あ、出来た」

絵里「え?」


曜「はい、絵里さんの武器」


絵里「え、これが?」

曜「そうだよ、どうかな?」

絵里(突然渡された一つの銃、どんな銃かは分からないけどとりあえずコメントするならグリップの部分にYOUというロゴが入ってた)



曜「スコーピオンEVO A1————それがその銃の名前だよ」


276 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/26(木) 00:07:18.12 ID:UhZS0BQS0
絵里「すこーぴおんえぼえいわん…」

曜「発射レートはかなり早めの銃で、善子さんの持ってる銃よりも早いよ。装弾数は52発のサブマシンガン」

曜「他のと比べてとびぬけた連射速度を持ってるから瞬時火力は並外れたものになってるよ、その分ブレも結構酷いけど、一応コンペンセイターとかアタッチメントをつけてブレを軽減させてるから最適の状態ではあると思う」

絵里「へ、へえ…」


曜「それが今の絵里さんにとって最適の武器だと私は思うよ」


絵里「これが……」

絵里(これが将来私の相棒になるのだろうか、曜の話を聞けばすごく攻撃的な銃らしい)

絵里(クセは強いけど、使いこなせれば人間だろうとアンドロイドだろうと瞬殺で、例え射線が見える相手だろうとそう簡単に銃弾を避けさせない銃でもあるから対人でも対アンドロイドでも非常に有効と豪語してた)




善子「これが……」

果南「絵里の武器…」

ことり「趣味悪っ……」

果南「…それことりが言うことじゃないよね」
277 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/26(木) 00:10:02.21 ID:UhZS0BQS0
絵里「どうかしら…?」

ことり「スコーピオンEVO A1ってあの瞬時火力がすごい銃でしょ?初めて見たよ」

善子「私も…これレアな銃よね…」

絵里「え、そうなの?」

ことり「名前だけは結構広まってるんだけど、肝心の実物が出回ってないの。危険な銃だからね」

果南「撃ってみれば分かるよ、トリガーを一瞬引くだけで何発の弾が出ることか…」

絵里「そんなにすごい銃なの?これって…」

曜「戦い慣れしてない人には到底扱うことは無理であろう代物だよ、銃社会においてもこういう危険な銃が増えると作る側としても使う側としても厄介だから誰も作ろうとはしないんだよ」

絵里「どうして?」

ことり「スコーピオンEVO A1を一から作った人間は貴重な人材として狙われるからだよ、こんなもの作れる人早々いないからね。それにその銃は連射速度が速すぎて射線が見えても避けれないことがあるんだよ、だからアンドロイドにとってそれは勝負においての懸念材料だし、ましてやアンドロイドが避けれない銃弾を人間が避けれるはずもなく、みんなそれを忌み嫌ってるんだよ」

果南「私もその銃にいい思い出はないかな…」

絵里「そこまでなのね…」

曜「そうだよ、まぁそれで頑張ってよ」

絵里「え、ええ」

絵里(この後家の地下にある射撃場で試し撃ちをしたけど、曜の言う通りブレがあまりにも強くて確かに戦闘慣れしてない人には無理がある銃だと感じたわ)

絵里(それにこの銃の何がすごいってトリガーを引くとすぐに一マガジンが無くなる上に、その後私の目先数mにある的を見れば蜂の巣の如く数えきれない黒い穴が無残にも残っていて、こんなのを人に向かって撃ったらすぐに死ぬに決まってるわよ…)
278 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/26(木) 00:11:18.33 ID:UhZS0BQS0
果南「どうだった?絵里の相棒になる予定の銃は」

絵里「あれはすごいわね…いくらなんでも火力が高すぎるわ」

ことり「その分クセも強いから上手く扱わなきゃだね」

絵里「ええ」

曜「ふー…じゃあ私は寝るよ、おやすみ…zzz」

善子「寝るのはやっ…」

絵里「徹夜だったらしいからね…」

果南「あはは、お疲れ様だよ」
279 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/26(木) 00:12:32.67 ID:UhZS0BQS0
ことり「…絵里ちゃんの武器が出来たわけだけど、それでどうするの?これから」

絵里「とりあえず様子見だけど、動けるようならもちろん動くわよ」

善子「でも相手が何かしてこない限りは動けないわね」

果南「そうだね、こうやって今会話してるうちも何か動いてるかもよ?」

ことり「…それはそうだね、対アンドロイド特殊部隊は今も渡辺曜を探してるだろうし」

絵里「…ええ」

絵里(いくら私の銃が強いとはいえ、それが勝敗に直接的に繋がるかと言われたらNOだ)

絵里(今AAの総戦力が私たちのところに来たりでもしたら勝ちはまずないでしょう、果南とことりが戦えるならまだしも戦えないというのだから現在も戦況は超劣勢のまま)

絵里(何回も言うけど、負け戦上等ではないからね。劣勢の状態で攻めるのは悪手であり自殺行為、おとなしく傷が癒えるのを待つのが最善の択なのよ)

絵里(……でも、私たちがこうやって何かをしている間に、誰かが廻した歯車が狂い始めてた)


絵里(それは私たちにとって、良い意味でも悪い意味でも転機であった)

280 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/26(木) 00:14:19.14 ID:UhZS0BQS0
〜次の日

穂乃果「……なにこれ」

「本です!漫画ですよ!」

穂乃果「…なんで女の人と女の人が付き合ってるの?」

「そういう漫画だからですよ!」

花丸「はわぁ…えっちずら…」

穂乃果「……まぁいいよ、そんなことよりね、なんで今日ここに呼んだか分かる?」

「いえ、全く」

「でも珍しいですよね、穂乃果さんが私を呼ぶなんて。いつもは花丸さんが呼んでくれるのに明日は槍でも降るんじゃないんでしょうか?」

穂乃果「…緊急事態なんだよ」

花丸「………」

「…緊急事態?」

花丸(穂乃果ちゃんや私の顔を見て、何かを察したのか——ちゃんの顔も引き締まったものになった)
281 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/26(木) 00:16:22.44 ID:UhZS0BQS0


穂乃果「…希ちゃんが死んだ」


「…え?」

「……嘘…ですよね?」

穂乃果「…ホントだよ、——ちゃんが業務用アンドロイドというのなら私が嘘を言ってないって分かるでしょ?」


穂乃果「あなたも私と同じ、軍人として生まれたアンドロイドなんだから」


「………」

「…分かりました。では希さんを殺したのはどこのどいつですか?」

花丸「対アンドロイド特殊部隊、園田海未さんだよ」

「……そうですか」

「悲しいです、あそことは戦いたくなかったんですけどね」

カチャッ

穂乃果「…やる気なんだね」

「当たり前ですよ、業務用アンドロイドは主がいないとやっていけない生き物ですからね」


「主が殺された今、主を殺した人物を殺しに行くのが部下ってもので、システムってやつで、本能っていうでしょう?」


穂乃果「…もちろんだよ」
282 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/26(木) 00:17:37.90 ID:UhZS0BQS0
「花丸さんはいつも通り情報収集をお願いします、穂乃果さんは私と共に行きましょう」

花丸「わ、分かったずら!」

穂乃果「…二人じゃ勝てないよ、数で負ける」

「知ってます、だから準備をしましょう。せっかくこの希さんの住んでたマンションという拠点もあることですし」

穂乃果「準備?」


「助っ人を探しに行くんですよ」


穂乃果「…誰か候補はいるの?」

「もちろんです、二人います」

穂乃果「…助っ人に出来る確率は?」

「…80%といったところですね」

穂乃果「ふーん……」
283 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/26(木) 00:19:16.05 ID:UhZS0BQS0
「……この銃、久々に持ちました」

穂乃果「私も、——ちゃんがその銃持ってるの久々に見た」

「私は戦いがあまり好きじゃありませんからね、普段はハンドガンしか持ちません」

花丸「…それ使えるずら?壊れてない?」

「はい、使えますよ」


花丸「……ハニーバジャー、やっぱりいつ見てもかっこいいずら」


穂乃果「…相手にしたくないね」

「希さんの言葉を使わせてもらうなら、ウチの相棒ってやつですから」

「…まぁそんなことより早速行きましょうか」

穂乃果「…うん、ついてくよ」

花丸「マルも!」
284 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/26(木) 00:21:10.59 ID:UhZS0BQS0




せつ菜「私、優木せつ菜は本気ですよ。希さん」




せつ菜「あなたの仇は絶対にとります」



せつ菜「……絶対に」グッ


285 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/26(木) 00:25:35.10 ID:UhZS0BQS0
一度中断します。
再開は多分今日の夕方か夜、まだまだ続くと思うのでよろしくお願いします。
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/26(木) 12:49:37.63 ID:ISByMprk0
スクスタやりながら待っとります
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/26(木) 14:30:06.23 ID:ZuMA3SP8O
CoDとデトロイト混ぜたような感じ
288 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/26(木) 22:36:09.07 ID:UhZS0BQS0
すいません、ちょっと今日はスクスタの方に集中させてください。
次キリのいいところまで行くのにかなり長くなると思うので、ちょびっとだけ更新だとどうあがいても変なところで終わるので一気にキリのいいところまでいけるようちゃんとした時間作ってから更新します。
289 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2019/09/27(金) 17:29:58.22 ID:SQcoDrlX0



「じゃあ、その前に私たちと遊びましょうか?」



せつ菜「!?」

穂乃果「っ!?」

花丸「ずらっ?」

パリーン!

せつ菜(ベランダからガラスを突き破って飛び出てきたのは見知らぬ誰か、でも相手の顔を見て明らかな“敵意”と“殺意”を感じた私はテーブルに置いてあったアーミーナイフを逆手持ちで振った)


「はっ!」

カンッ!

せつ菜「きっ…」

穂乃果「このっ…!」バンッ!

「!」シュッ

せつ菜(だけど案の定、相手もナイフを取り出して相殺。そして次の瞬間には穂乃果さんが手に持ってた拳銃を撃ったから刃が軋むことなく相手との距離が空いた)
290 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 17:31:35.61 ID:SQcoDrlX0
穂乃果「…誰?」

せつ菜「…!もしかしてあなたは最近この辺をちょろちょろしてる…あの…!」

「ちょろちょろしてるなんて失礼ね」


ツバサ「私は綺羅ツバサ、あなたたちと同じ殺し屋よ。よろしくね」


せつ菜「殺し屋が私たちに何の用ですか?殺しの依頼を受けて私たちを殺しに来たんですか?」

ツバサ「違うわね」

穂乃果「ならなんで?私たち今暇じゃないんだけど」

ツバサ「それは私も同じ、だからこうやってあなたたちを殺しに来てるじゃない」

穂乃果「……だからそれをどうしてってさっきから聞いてるんだけど」

ツバサ「殺し屋は一つでいいの、そこまで言えば分かるでしょ?」

せつ菜「…理不尽極まりないですね、希さんが死んだ今が攻め時ってことですか」

ツバサ「ええ、その通りよ」
291 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 17:33:23.27 ID:SQcoDrlX0
穂乃果「…あなたがどれだけ強いのかは知らないけど、私とせつ菜ちゃんに勝てるとは思わないほうがいいよ」

穂乃果「侮るつもりはないけど、仮にもこちらは殺すことに全てを置いたアンドロイドだからね」

ツバサ「ええ、でもこちらも一人で来てるわけじゃないのよ?」

穂乃果「…!」

せつ菜「スナイパーです!避けてくださいっ!」

せつ菜(風で靡くカーテンが大きく揺れ始め外を映した時に見えた一つの煌き——それを見た瞬間体が動いた。穂乃果さんもそれ同様、花丸さんだって戦えないとはいえ戦闘経験はあるから私が声をかける頃には死角へと逃げてた)


シュンッ


せつ菜「くっ…」

せつ菜(私がスナイパーの弾丸を躱すと、ご丁寧に白い軌跡と鋭い射撃音まで残して私の後ろにあった花瓶を貫いていった)

ツバサ「休んでる暇はないわよ!」

せつ菜「ええですよねっ!」

せつ菜(相手も私と同じCQCを得意とする人のようで、銃を持ってるのにも関わらずキックやパンチを使って攻めてきた)

せつ菜(だから私へと伸びる相手の腕を掴んだけどすぐに弾かれてしまい、そう簡単には反撃をさせてくれなさそうだった)
292 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 17:38:25.11 ID:SQcoDrlX0
花丸「あ、あんまり深追いはいけないずら!」

せつ菜「分かってます!」

せつ菜(スナイパーに見られていると分かっているなら深追いは絶対にダメです、スナイパーの弾丸はアサルトライフルやハンドガンの弾丸と違って弾速が比べ物にならないので弾道予測線が発生した直後に行動を移さないと避けきれず致命傷か或いはそこで死亡してしまいます、なので弾かれた直後は飛び退き様子を窺おうと思ったのですが……)

穂乃果「くらえ!」

せつ菜(その直後には穂乃果さんが私にカバーをするように足元に転がってたショットガンを連射しだした)

ツバサ「ひゅーAA-12は相変わらず派手ねぇ」

せつ菜(室内で、しかも平面でショットガンと対峙するのは誰であろうと不可能、だから相手はベランダへと逃げ出してそのまま飛び降りた)

せつ菜(しかしここは高層マンションの上階、そうと分かっていて自分から飛び降りるということは助かることが分かっての投身だったのでしょう)


せつ菜「穂乃果さんッ!」


せつ菜(私は考える間もなくベランダから飛び降りて相手を追った。だけどこのままだとスナイパーの的になってしまう、だから私はテレパシーを信じてあのスナイパーをどうにかして、と穂乃果さんの名前を呼んで以心伝心を願った)

穂乃果「分かったよっ!」

花丸「マルも手伝うずら!」

せつ菜(流石穂乃果さんは天才です、私の言いたいことを理解した穂乃果さんは私に続くようベランダから飛び降りスナイパーの方向に向かってアサルトライフルを使いちゃんとした殺意を込めて発砲した)
293 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 17:40:34.03 ID:SQcoDrlX0
穂乃果「花丸ちゃん!」

花丸「はいっ!」スッ


ボンッ!


せつ菜(そして連なる銃撃音の間を縫うように入り込む低い音はスナイパーの弾道を捻じ曲げた)

せつ菜(大都会の大きな公道の上空で“煙る”白い壁——その平和に入り込む違和感ですら気にせず下へ落ちる私たちには驚く暇も喜ぶ暇もない

せつ菜(花丸さんが投げたスモークグレネードは上空に厚い煙の壁を残して穂乃果さんと私へと歯向かう射線を遮った。これでスナイパーは私たちの居場所が分からず撃つことが出来ない、言葉無しでここまでの連携が出来るのは私たちの心が通っている証拠だった)

せつ菜「待てーっ!」

ツバサ「よっ…せいやっと!」ポイッ

せつ菜(空中に浮いた状態じゃろくに体を動かすことが出来ない、だからそれを利用してピン抜きグレネードをある程度溜めてから放すことで私たちは確実にグレネードの爆発に飲まれてしまう)
294 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 17:48:21.57 ID:SQcoDrlX0


穂乃果「甘い」バンッ


ドカーン!

ツバサ「ぐあっ!?」

せつ菜(でも、穂乃果さんがいるから安心出来る私がいた。放たれたグレネードは穂乃果さんのたった一発の発砲ですぐに爆発し、その爆発で相手は重力場であるこの空中で、更に重力を加速させ勢いよく落ちていった)


せつ菜「穂乃果さん!」

穂乃果「了解だよっ!」


せつ菜(以心伝心——穂乃果さんの名前を呼ぶだけで私のやりたいことを理解してくれて、次第に穂乃果さんは空に足を向けた私の上にやってきて、足の裏を合わせ、私を地に落とすように、また私を踏み台にするように私の足の裏を踏みしめた)

せつ菜(するとどうなるでしょう、地に落ちる私はメテオの如く凄まじい速度で落下していき、次の瞬間には丁度下にある店から飛び出ているシートのような屋根に落ちて落下の衝撃をやわらげ、トランポリンのように一度跳ね上がってから地面へと着地し、何故かピンピンしてる相手に向かって発砲した)
295 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 17:50:40.01 ID:SQcoDrlX0


ツバサ「はっ」シュッ


せつ菜「やはり銃弾は避けますか…」

せつ菜(しかし案の定というべきか、車が通る公道で大きく半円を描くように走り銃弾を躱すその姿はやはりアンドロイドです。仕方ないので私も大きく半円を描くよう走って発砲をしてはリロードを繰り返しました)


せつ菜「ほっと」シュッ


せつ菜(もちろん相手も私と同じ事をしてきました)


穂乃果「…っと」


せつ菜(そうして半円を描いてるうちに穂乃果さんも背中に希さんのショットガン二丁という二つの翼と、その間にあるアサルトライフルを背負って、この地に堕天使の如く落ちてきました)
296 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 17:51:45.06 ID:SQcoDrlX0


ドドドドッ!


せつ菜「! 穂乃果さんっ!」

穂乃果「私の事は心配しないでっ!」

せつ菜(私と相手が対向する中で、その相手の後ろの路地裏から飛んできた無数の銃弾。自身がアンドロイドであるならその銃弾が私ではなく穂乃果さんに向かって飛んでいるというのは一目瞭然だった)

せつ菜(だから穂乃果さんに声をかけたけど、流石にこの程度で死ぬほど穂乃果さんも弱くはない。少しの危なっかしさも見せない華麗な回避で銃弾を全て避けきった)

せつ菜「大丈夫ですか?穂乃果さん」

穂乃果「当たり前だよ、こんなんでやられてなんかいられない」


「大丈夫か?ツバサ」


ツバサ「ええ、でも別に助けなんかいらなかったのに」

「バカをいえ、失敗は誰にでもあるものだ。如何なる時も最善であることが重要だ」

ツバサ「…そうね、ありがとう」


ツバサ「英玲奈」


英玲奈「礼はいい、それよりあの二人だ」

ツバサ「ええ、やっぱり一筋縄じゃ行かなそうね」

英玲奈「どちらも生産中止になった軍人生まれの業務用アンドロイドの残骸と聞く、つまりは殺すことに関しては超一流だ。どのアンドロイド、どの人間よりも強い、簡単には殺させてくれないだろう」
297 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 17:54:02.42 ID:SQcoDrlX0
穂乃果「…簡単には殺させてくれない?勝つ前提なんだね」

ツバサ「わお、聞こえてるみたいよ」

英玲奈「耳が良いのだろう」

せつ菜「勝つ気でいるのはいいですけど、足元掬われないように気を付けてくださいね」

ツバサ「ふふふっどうも忠告ありがとう、でも勝つ前提でいるのはあなたたちも同じよね?」

穂乃果「当たり前だよ、私たちは常にこの姿勢で戦ってきたからね、“いつも”を変えるつもりはないし、常に殺すことだけを考えてるのが殺し屋の矜持ってものだと思うんだけど」

ツバサ「ふふふっこれは失礼、一本取られたわ」

英玲奈「業務用アンドロイドのくせに口が達者なんだな」

穂乃果「私やせつ菜ちゃんは他のとは違うから」

英玲奈「…そうか」

穂乃果「…じゃあ、そろそろ始めようか」カチャッ

ツバサ「ええ、そうね」

せつ菜(穂乃果さんが銃のチャージハンドルを引くと同時に高まる緊張感——お話は終わりです)

せつ菜(そしてここから始まるのは殺し合い——私たち殺し屋が幾度なく経験してきた過ちであり運命)

せつ菜「………」

せつ菜(互いが睨み合い沈黙に返る公道、周りには銃を持った警官もいるでしょうが、生憎三流が私たちのフィールドに踏み込めるほど、ここは生半可な場所じゃない)

せつ菜(死にたがりな人だけ、ここに来ればいい)
298 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 17:57:04.03 ID:SQcoDrlX0
パーンッ!

せつ菜「はっ!」

ツバサ「今ね!」ダッ

英玲奈「戦闘開始」

穂乃果「負けないっ」ダッ

せつ菜(私に向かってきたスナイパーの銃弾が始まりの合図だった。私がそれを避けたと同時に緊張で止まった時が動き出し、銃を構えたり走り出したりで、とうとう戦いは火蓋を切って落とされた)

ドカーン!

せつ菜「!」

英玲奈「余所見してていいのか?」

せつ菜「しまっ…!」

せつ菜(始まったですぐに聞こえる爆発音、体感ではそう遠くない場所で発生した爆発だと思うのでもしかしたら私たち関係なのではと思った)

せつ菜(しかし兎にも角にも爆発が起こりほぼ反射的に上を見てしまった私は相手の超接近に気付けなくて、そのまま飛び横蹴りを食らってしまった)
299 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 17:59:35.20 ID:SQcoDrlX0
せつ菜「ぐあっ!」

せつ菜(そして吹っ飛ぶ私、相手の首を見てアンドロイドとは分かっていていましたが、この相手の蹴りは一味違った)

せつ菜(通常のアンドロイド——ましてや戦闘型のアンドロイド以上の威力に、私は後ろにあったデパートの入り口のガラスを突き破ってその奥の壁に叩きつけられた)


ドカーン!


せつ菜「ふう…」

せつ菜(そして相手がいるであろう、そして私が蹴りを受けた辺りで飛び散るコンクリート、それを見て私はわずかに肩やスカートに積もった瓦礫を払いながらゆっくりと体を起こした)

英玲奈「随分と小癪な真似をしてくれるな」

せつ菜「…私は受け手の方が得意ですから」


せつ菜(希さんの十八番——近接攻撃をわざと食らってピン抜きグレネードを地面に落とす)


せつ菜(伊達に希さんの奥義の一つであったが故にその効果は絶大で、相手にダメージはそこまで通ってないものの、腕から流れる少量の血を見て私は少し微笑んだ)

せつ菜(私や希さんのような意表を突くトリッキーなタイプじゃないと出来ない技で、ポーカーフェイスと演技は必須アイテムです)
300 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 18:02:30.72 ID:SQcoDrlX0
英玲奈「受け手が得意、というがその頭から流してる血はなんだ?」

せつ菜「頭から血を流す程度じゃダメージの範疇に入りませんよ、損傷してても動くんですから」

英玲奈「…恐ろしいな、その損傷を厭わない覚悟が」

せつ菜「ここで負けてなんかいられませんから」

英玲奈「…そうか、だがどうだろうな」

せつ菜「…ええ、どうでしょうねッ!」パサパサパサ

せつ菜(私の相棒——ハニーバジャーというアサルトライフルには“サプレッサー”という銃声を抑えるアタッチメントがついています。だから、他の銃と比べて銃声が小さく、何より音が特殊なんです)
301 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 18:05:11.75 ID:SQcoDrlX0


英玲奈「ほっ!」シュッ

せつ菜「まだまだぁ!」


せつ菜(トリガーを引きながら銃弾を躱す相手に近づいて後ちょっとの距離を一回の跳躍で詰めて、ハニーバジャーを背中にやって、腰にかけてある刃渡り12cmのスペツナズナイフで素早い横斬りを行った)


英玲奈「ほっと、危ないな」


せつ菜(後ろに大きく体を反って回避する相手、そして次に相手の取った行動は右フックで、それを私は片腕で受け止め流れるように後ろ回し蹴り、これに対して相手は片手で手にしていたアサルトライフルで受け止めたけど、本命はこれじゃない)


バンッ!


英玲奈「何っ!?」

せつ菜「はぁっ!」

せつ菜(向こう側から飛んでくる一つの銃弾と銃声がデパート内で残響した、それを確認した私はダメ押しに回し蹴りをして銃弾と挟み撃ちをした)

英玲奈「くっ…」シュッ

せつ菜「遅いっ!」

せつ菜(どこまでも穂乃果さんは私の相棒であり親友です、穂乃果さんも戦ってるというのに私の方を見てハンドガンで一発、ベストなタイミングで撃ってくれて私も攻撃のタイミングを作れました)

せつ菜(そうしてその結果として、回し蹴りと銃弾を避けた相手に私は追撃の肘打ちで怯ませ、トドメの飛び膝蹴りで相手を吹っ飛ばした)
302 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 18:06:49.37 ID:SQcoDrlX0
せつ菜「よしっ!」グッ


タッタッタッ!


穂乃果「死んじゃえっ!」

せつ菜(そうして突然こっちへやってきた穂乃果さんが倒れる相手の胸に向かってナイフを一突き、しかしもちろん相手は横に転がり避けると同時にすぐに起き上がり、ブレイクダンスのように低姿勢で回転しつつ全方向に対して連続で蹴りを繰り出し、近づく私と近づいた穂乃果さんを退けさせた)

タッタッタッ

ツバサ「どこ行ってるのよ!」ドドドド

穂乃果「ふっ」シュッ

せつ菜「よっと」シュッ

せつ菜(私と穂乃果さんに飛んでくる銃弾を避けて相手の持つ銃が弾切れを起こすであろうタイミングに私と穂乃果さんは手の届く距離にまで近づいて固まった、そしてそれは相手も同様)
303 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 18:08:08.36 ID:SQcoDrlX0
ツバサ「大丈夫?英玲奈」

英玲奈「ああ、だがやはり強いな」

英玲奈「お前らほどの実力を持ったアンドロイドが何故手品師の下につくのか不思議で仕方ないな」

穂乃果「強さが全てじゃないってことだよ」

英玲奈「…一つのことしか考えられない業務用アンドロイドがその言葉を発するとは実に興味深いな」

せつ菜「ならそれは希さんがすごかったのでしょう、私たちを変えてくれたお方ですから」

英玲奈「……よく分からないがやけに希というやつを上げたがるな、何故だ?」

穂乃果「分からなくていいよ、分かる必要性も意味もないから」
304 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 18:10:17.75 ID:SQcoDrlX0


「お話のところ、ちょっといいですか?」


ツバサ「!」

せつ菜「!」

英玲奈「誰だ?」

穂乃果「…何か用?」

せつ菜(それぞれがそれぞれを睨み合う中で突然混ざった声、その声に反応して全員が同じ方向を向いた)

「お初にお目にかかりますわ、殺し屋さんの皆さん」


ダイヤ「わたくしは黒澤ダイヤ、あなたたちを殺しにわたくしも馳せ参じましたわ」


穂乃果「…面白いこというね」

ツバサ「死にに来たの間違いじゃない?」

せつ菜「…いや、そうでもないみたいですよ」

英玲奈「あぁ、少なくとも仲間が二人いるらしい」

ダイヤ「あら、どうしてお気づきに?」

せつ菜「射線が二つ、現在もこちらへ向かってますね」

英玲奈「あぁ、私も射線を感じる」

ダイヤ「ふふふっ流石アンドロイドですわね」
305 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 18:11:40.82 ID:SQcoDrlX0

スタスタスタ

せつ菜「…!」

せつ菜(ダイヤ、と名乗る人物が薄気味悪く笑うと後ろから二丁のハンドガンを腰にかけた何気なく誰かが近づいてきた)

スタスタスタ

ダイヤ「この子はわたくしの部下、そして妹のような存在」ポンッ

ダイヤ「ほらっご挨拶を」

「………」


凛「凛は星空凛!よろしくにゃんっ♪」ニコッ


ツバサ「うわっ…」

穂乃果「あざとい…」

せつ菜「なるほど…そういうことですか」

英玲奈「対アンドロイド特殊部隊のやつらか、めんどくさいな」

せつ菜(凛という子の胸元についてるバッジを見て察した相手の情報、この戦い…死ぬと思ってやらないと勝てなさそうです)
306 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 18:16:43.91 ID:SQcoDrlX0
ダイヤ「わたくし、実は殺し屋という二つ名がありますの」

ダイヤ「ここはわたくし達殺し屋で、殺し屋頂上決戦をやりませんか?」


穂乃果「やだね」


ツバサ「無理なことね」


せつ菜(食い気味に拒否して、私に“行こう”と耳打ちをして立ち去ろうとする穂乃果さんについていけば後ろから飛んでくる弾丸。それを避けて後ろを向けば凛さんがもうすぐそこまで迫ってきてるもので咄嗟に姿勢を低くしてすぐに戦える構えを取れば、次に相手のしてきた行動は私に向けての右ストレートだった)


凛「と、思うじゃん?」


せつ菜「っ!?フェイント…!?」

せつ菜(飛んできた右ストレートは私の顔の前を横切り、左手で腰にかけてたハンドガンを一つ取り、そのまま右ストレートの勢いを利用して横回転し背面からの変則撃ちで私の胸を狙って発砲してみせた)

せつ菜「当たりませんっ!」

凛「だよね、でも後ろの人はどうかな?」

穂乃果「…っ!?」シュッ

せつ菜「穂乃果さん!?」

せつ菜(迂闊でした。私の胸に向かった射線は、凛さんが発砲したと同時に、そして私が避けたせいで突然として射線は私の後ろにいた穂乃果さんの胸へと移る、すると穂乃果さんが射線を感じ取るに相当な遅れが生じて穂乃果さんが避けれなくなってしまう。それを見込んでたであろう相手の策に見事はまってしまいました)
307 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 18:18:13.54 ID:SQcoDrlX0
穂乃果「きっ…あぶなっ…」

せつ菜「だ、大丈夫ですか穂乃果さん」

穂乃果「なんとかね…」

せつ菜「すいません…」

穂乃果「いいよ、この場合は…」

凛「ん?ふふふっ凛の強さ分かった?」

穂乃果「あいつのせいだから」

せつ菜(頬から赤い涙を流す穂乃果さんを見てこの状況がいかにまずいものであるかを分からせてくれる、横を見ればダイヤと言う人も先ほどまで私と戦っていたアンドロイドの人と戦っていて、突然の超一流の襲来に焦りは加速していく一方だった)
308 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 18:21:02.04 ID:SQcoDrlX0
英玲奈「はぁっ!」

ダイヤ「おっと危ないですわね、銃を鈍器にして扱うとはナンセンスですわ」

英玲奈「別に何を思われようが構わないがこれが私のやり方なものでな、しかしながらそちらこそ銃を背中につけてるというのにナイフだけで戦おうなんてナンセンスではないのか?」

ダイヤ「あら気付きませんの?あなたほどの相手ならナイフで充分という意思表示ですよ」

英玲奈「…舐められたものだな、いくら人を殺すことに特化した集団とはいえ銃無しで私たちを殺そうなんてお前は夢追い人か何かか?」

ダイヤ「別に冗談を言ってるつもりはありませんのに」

英玲奈「…なら、尚更タチが悪い」

せつ菜「………」

凛「分かったかにゃ?あなたたちは逃げられないよ、少なくとも凛が生きている以上は」

せつ菜(相手の後ろからスタスタと歩いてくる新しい二人を見てそう簡単には逃げさせてくれないことを分からせてくれる、この場合二対三で私たちが不利になる上に相手はおそらく超一流、それは幾度となく戦場を駆けた私たちでも負けは充分にあり得た)
309 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 18:24:41.67 ID:SQcoDrlX0

穂乃果「…腹が立つね、その余裕そうな態度」

凛「余裕だからね」

穂乃果「なんで私たちの邪魔をするの?」

凛「それは凛たちが平和を守る対アンドロイド特殊部隊だからだよ」

穂乃果「平和を守るヒーローがこんなぶっきらぼうなやり方をして市民の信用を得られるの?」

凛「平和を守るヒーローは性格が良いなんて決まりはどこにもないし、凛は市民を守る為にここにいるわけじゃないにゃ」

凛「市民が死のうが死なないが凛にとってはどうでもいいことだよ、大体死ぬのなんて弱い自分が悪いんだし」

穂乃果「……ホントにつまらない回答をするね、あなた」

凛「期待してた答えでしょ?」

穂乃果「………」

せつ菜「……こんな時に…」

せつ菜(きっと、私も穂乃果さんも考えてたことは同じだった)


せつ菜(こんな時に希さんがいてくれたら解決なのに)


せつ菜(対アンドロイド特殊部隊の化け物にやられてしまったけど、私たちの主の力は偉大だった。自らを殺し屋と名乗ってはいるけど、大層優しい人で、この人といればどんな窮地も乗り越えられそうな安心感があった)

せつ菜(私と同じトリッキーで、追いかけててすごく楽しかったし、一般人と比べてネジが少し外れてるから普通じゃ思いつかないようなことをしてきてホントに追いかけ甲斐があった)

せつ菜(ここに希さんがいれば、きっと私や穂乃果さんじゃ思いつかないことをして乗り越えらせてくれたんだろう、このまま戦うのは分が悪いし、ここで消耗したくない)

せつ菜(反撃の狼煙はまだ上がってない、こんなところでつまずきたくなんかなかった。この相手は強い、動きが素早いし何より対アンドロイドに慣れ過ぎている、こんなのを相手にしたらノーダメージは無理がある)

せつ菜(だから希さんがいてくれたら……そんな叶わぬ希望は光を見せることもなく心の中で潰えた)
310 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 18:27:26.17 ID:SQcoDrlX0
せつ菜「…穂乃果さん」

穂乃果「何?」

せつ菜「……やるしかないようですね」

穂乃果「…そうだね」

スタスタスタ

海未「…昨日ぶりですね、穂乃果さん」

穂乃果「…昨日の傷はどこにいったの?」

海未「治りましたよ、全部」

穂乃果「…化け物だね」

海未「ふふふっありがとうございます」

梨子「私も一日ぶりだね、穂乃果さん」

穂乃果「………」

梨子「なんか返事してよ!」

穂乃果「二重人格?」

梨子「ううん、私の心は一つだけ」

穂乃果「…なら本当に狂ってるんだね、あなた」
311 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 18:32:28.23 ID:SQcoDrlX0
梨子「梨子って名前で呼んでよ?私は桜内梨子だよ?」

梨子「…あ、そういえばあの死んだ紫髪の人の部下は全員プライドが高いって聞いたなぁ」

梨子「……ふふふふっあぁ楽しみだなぁ、あなたたちの絶望に満ちた顔を見るのが」ウットリ

梨子「ふふふひひっ…泣き顔でもいいよ?生け捕りにして拷問でもしたら見せてくれるよね?」フフフッ

せつ菜「…っ」ジタッ

穂乃果「……希ちゃんがあなたたちを避ける理由がよく分かったよ」

せつ菜(狂気の権化…と形容しておきましょう、殺すことに全てを置いた私たちでさえたじろいでしまうほど、そして人間とは思えないほど穢れた/汚れた考えに冷や汗が出た)

せつ菜(こんなのがいる部隊に近寄ろうなんて思わないし、こんなのがいる部隊がまともな部隊とは到底言えない)

せつ菜(視界に移る最奥を見れば殺し屋と名乗るアンドロイドの人たちと対峙するダイヤさんと誰か。わざわざ私たちを殺しに五人掛かりでやってきたのですね)
312 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 18:34:27.91 ID:SQcoDrlX0
せつ菜「…私たちだけ三人なんですね」

海未「軍神とトリックスターですよ?持ってこれる戦力を使うのは当然じゃないですか」

せつ菜「高く評価してもらえるのがこんなに憎らしいなんて思いたくなかったですね」

梨子「ふふふっあなたたちの飼い主に褒めてもらえたらよかったね?」

せつ菜「…つくづくイラつきますね、それ」

凛「お話はいいからとっとと始めない?凛長話は嫌いだからさー」

海未「そうですね、じゃあ」カチャッ

せつ菜「…!」

穂乃果「…勝つよ、せつ菜ちゃん」

せつ菜「…もちろんです」

せつ菜(一斉に銃を構えだす相手に、私たちも同じように銃を構え穂乃果さんは私に耳打ちをした)

せつ菜(こんなところで負けて拷問なんてされたくない、もし負けそうになったなら自害を選ぶまである)

せつ菜(こんなに戦いの記憶を研ぎ澄ましたのはいつぶりだろう、ここまで本気で戦うということをする日は今まででも数回しかなかったはず)
313 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 18:36:12.49 ID:SQcoDrlX0
せつ菜「…行きますか」

穂乃果「うん…」

せつ菜(肌がひりつく緊張感、この戦いは絶対に負けられない)

せつ菜「………」

穂乃果「………」

凛「…出ないなら凛から行くよっ!」ダッ

海未「梨子!カバー頼みます!」ダッ

梨子「もちろんです!」ドドドド

穂乃果「あの二人は私に任せてせつ菜ちゃんはあの猫女をやって!」ダッ

せつ菜「え、でも!」

穂乃果「私が負けると思う?」

せつ菜「…!」

せつ菜(穂乃果さんは強い、それは限りなく最強に近い強さ)

せつ菜(軍神と謳われたその才能は、頼り甲斐があるってそんなレベルじゃないでしょう)

せつ菜「…思いません、あの二人はお願いします」

穂乃果「もちろんだよ」ドドドド!

せつ菜「はっ」タッ

せつ菜(穂乃果さんは相手の方に跳躍しながらトリガーを引くに対し私は一度後ろへ飛び退き受けの態勢に回った)
314 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 18:44:22.10 ID:SQcoDrlX0
凛「あなたは軍神さんと違って逃げるんだねっ!いいよ受けて立つにゃ!」ダッ

せつ菜(凛さんも私のところに来てくれたのでそのままエスカレーターをジャンプで上って戦うフィールドを変えた)

せつ菜「ここで戦いましょうか!」パサパサパサ

凛「うんいいよっ!」ズサー

せつ菜(二階にあがって最初の跳躍と同時に発砲、私に引っ付くように二階へ走って上がってきた相手も私の跳躍に反応して、よく出来た笑顔を歪ませることなくスライディングをして私に近づきながら二丁のハンドガンで私に向かって発砲を行った)

せつ菜(ただ、もちろん銃弾は私にも相手にも当たることはなく、私は跳躍の着地直後すぐにスライディングをして私の体全体に残るこの慣性を残しながら再び横方向へ跳躍し凛さんの放つ銃弾を躱し、相手はすぐさまブレーキをかけ照準を前方向から私が避けた方向である横方向へ向け発砲の対応をして休む暇も与えない展開を作り出した)


凛「はい、せーのっ!」カーンッ


せつ菜(身軽に、でも固く染め上げられた紺色のその姿。私服の上に防弾チョッキを着て、腰からマントをかけ、その上にベルト型のマガジンポーチをつけて、その姿でどこからともなく出てきて宙に浮いたピン抜きグレネードグレネードを私に向かって蹴ってきた)

せつ菜「っ!?」バンッ


ドカーン!


せつ菜(相手の突飛な行動に驚いた私は案の定即座に反応して発砲、そうすればその後は大爆発————天井や床には穴が開き、広い範囲で砂煙が立ち込め始めた)
315 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 18:50:07.11 ID:SQcoDrlX0
せつ菜「なんて手荒な真似を…」


タッタッタッ!


凛「よーしっ!いっくにゃー!」

せつ菜「…! そこですか!」

せつ菜(近づく足音を頼りに相手の位置を見破った私は腕を使って受け止める体勢に入った)


海未「ええ、ですが相手が違いますね」


せつ菜「えっ…!?」

せつ菜(気付いた頃には遅かった、濃い砂煙の中でも見える銃剣の一閃に目が眩んだ)


ザクッ


せつ菜「きっ…あああああぁッ!?」


316 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 18:53:44.90 ID:SQcoDrlX0

タッタッタッ!

穂乃果「せつ菜ちゃん!?」

せつ菜「あぁ…ああああ……!」

せつ菜(痛い、いたい。イタイ……)

せつ菜(一閃で目が眩んだその直後には私の左腕に鋭い斬撃が飛び込んできて大量の血液が噴出した)

せつ菜(この退廃的で厭世的な痛みが懐かしい。痛みを我慢しようとしても声が——体が痛みを我慢出来ず切羽詰まって息が出来なくなり、斬られたその左腕はとうに機能を失っていた)

穂乃果「せつ菜ちゃん大丈夫!?」

せつ菜「ア…あぁ…穂乃果さん…っ!」

穂乃果「ちっ…なんて厄介な…」

タッタッタッ!


凛「仲間の心配もいいけど自分の心配もした方がいいよー?」


穂乃果「ああそうだよ————」


せつ菜(声の成る方へ銃と顔を向けたであろう穂乃果さんは、何故か言葉を止めた)

せつ菜(私は手の痛みを我慢するのに必死で、それどころじゃなくて何が起ころうとしてるのか全く分からなかった)


穂乃果「——ね…?」


せつ菜(砂煙が濃い中で声も足音もしたんだから、銃を向けるのは当然だ)

せつ菜(だけど銃を向けて見えるのはピンが抜かれたグレネードだった)

穂乃果「…ぁ!」

せつ菜(……そして、それが即座に爆発するものであるというのはアンドロイドで尚且ついくつもの戦場を駆けた穂乃果さんならすぐに分かったでしょう)

せつ菜(だからこそ穂乃果さんは感じ取ってしまった。このどうしようもない状況の絶望感を)
317 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 18:57:01.50 ID:SQcoDrlX0


ドカーン!


せつ菜(私も穂乃果さんも避けれるはずがなかった、相手の煙と足音と声の使い方が上手すぎた。あんなの分かるわけありませんよ…!)

せつ菜「けっ…はっ…!」

穂乃果「……うぅ」

せつ菜(吹っ飛ばされた私たちはどちらもひどい傷だった。穂乃果さんはすぐに立ち上がってたからまだ死なずとも、まず強烈な蹴りで壁に叩きつけられ、次に剣で腕を斬られ、最後に爆発を直で受け体の至る所から血を流す私は失血死が近かった)


せつ菜(久々に感じた、これが死の味なんですね)


せつ菜(こんなにも死の味が絶望感に満ちてるなんて、もう忘れてた。そして思い出したくなかった)

穂乃果「せつ菜ちゃん…だい、じょうぶ…?」

せつ菜「こんな…ところで…ッ!」

せつ菜(…でも、まだ死んでない)

せつ菜(こんなところで負けてなんかいられない、死ねない理由が私には合って、死にたくない心が私にはまだある)

せつ菜(だから私はその心で無限に輝きを放つ希望を抱いてゆっくりと立ち上がった)
318 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 18:59:46.98 ID:SQcoDrlX0


梨子「あ、いましたよ」

凛「爆発で肉片もなく吹き飛んだのかと思ったよ」

海未「この場合肉片ではなく部品でしょう」


穂乃果「…どうする」

せつ菜「……あの二人はどうでしたか」

穂乃果「一対一なら負けない、けど二対一でやってる以上不利だし上手く攻めれない」

せつ菜「…私でも戦えそうですか?」

穂乃果「……今のせつ菜ちゃんには無理かな」

せつ菜「…そうですか」

せつ菜「…でしたら穂乃果さん」

穂乃果「何?」

せつ菜「お願いがあります」

穂乃果「…言ってみてよ」

せつ菜「時間を稼いでほしいんです、私に…私に時間をください」

穂乃果「…任せて」
319 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 19:01:43.10 ID:SQcoDrlX0
せつ菜「…そしてもう一つ、あるんです」

穂乃果「…何?」

せつ菜「………」


せつ菜「私を信じてほしいんです、今から何が起こったとしても」


穂乃果「…もちろんだよ、せつ菜ちゃんは私にとって——」


穂乃果「——家族みたいなものなんだから」


せつ菜「…ありがとうございますっ」ニコッ

せつ菜(穂乃果さんにとびっきりの笑顔を見せた後、穂乃果さんはすぐに三人に向かって発砲しだした)

せつ菜(その時の穂乃果さんの目といえば本気だった、手慣れたリロードや全く隙の無い身のこなし、相手の弱点を探るような多彩な攻め方をしてて、そんな穂乃果さんを見れば私も出し惜しみをしている場合じゃないと奮いを立ててすぐさま行動へ移した)

せつ菜(これが最終兵器になるかといえば、それは違うけど、でも今の私たちにはこれしか方法がなかった)

せつ菜(私は懐にあった携帯を耳に当て、この戦場から背を向けて逃げだした)
320 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 19:03:56.15 ID:SQcoDrlX0

プルルルルルルルルル ピッ


「もしもし?」


せつ菜「…にこさんですか」

にこ「何?珍しいわね、あんたが私に電話なんて」

せつ菜「……助けてください」

にこ「…え?何?もう一回言って?聞き間違いだと思うから」

せつ菜「…助けてください」

にこ「……何?あんたがその言葉を言うってことはとうとう狂った?」

にこ「まぁあんたは生まれてこの方殺し合いしかしてなかったからね、希も死んだし精神がやられてるとは思ってたけど正直ここまでとは思わなかったわ」

せつ菜「………なんかいませんよ」

にこ「ん?何?」


せつ菜「狂ってなんかいませんよッ!助けてほしいんですよッ!!!」


にこ「っ!?」
321 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 19:05:51.20 ID:SQcoDrlX0
せつ菜「今の私たちじゃ勝てないんです…!お願いです…!お願いですから…っ!!」


せつ菜「助けてくださいよぉ…!!」ポロポロ


にこ「……相手は誰?」

せつ菜「凛さんと梨子さんと海未さんです……」

にこ「……そう、分かった。でも、あんたらを助けられる保証はないし、もし私が行くまでに死んでたら助けることは出来ないからね」

せつ菜「…いいんですか?私から言っといて難ですけど」

にこ「私は対アンドロイド特殊部隊では海未と曜以外のやつらが大っ嫌いなんでね、特にダイヤと凛が嫌いだから、そいつらを殺せるかもというのなら行くわ」

せつ菜「…分かりました、お願いします」

にこ「……あんたらも生きてなさいよ、ここで死んだら希も悲しむわよ」

せつ菜「…もちろんですよ!」

にこ「……じゃあね」

せつ菜「はい…」

プツッ
322 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 19:09:52.84 ID:SQcoDrlX0
せつ菜「………」

せつ菜(私と穂乃果さんは、ご存じの通り軍人として生まれた業務用アンドロイドでした)

せつ菜(それはつまり殺すことだけを考えた殺戮マシーンだったんです)

せつ菜(…しかし変わりました——いや、変えてくれたんです)


せつ菜(希さんが。希さんが私たちを変えてくれたんです)


希『んー君たちー』

せつ菜『…何か用ですか?』キッ

穂乃果『…近づくと殺すよ?』

希『んあはは…まだ何も言ってへんのに』

せつ菜『じゃあ何の用ですか?もしくだらないことだったら殺しますね』

希『んーそうやねー』


希『ウチのところで就いてみる気はない?』


せつ菜(…それが始まりでした、もちろん当時の私たちは拒否しましたよ、ふざけるなって)

せつ菜(そしたら希さん、ウチとバトルしてウチが勝ったらついてきてよっていうもんですから、なんかその勝つ気でいるような態度がムカついて衝動的に体が動いてたんです。当時の私と穂乃果さんとの連携は現在と比べてもそこまで劣っていなかったので穂乃果さんと二人がかりで希さんを負かすのではなく殺しにいったんです)
323 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 19:15:01.40 ID:SQcoDrlX0


希『がっ…!』


せつ菜『…愚かなものですね、人間風情が生意気にもアンドロイドにバトルなんて挑むから』

穂乃果『遺言は何かある?』


希『…ふふふっそっちがね」


カランッ


せつ菜『っ!?』

穂乃果『グレネードっ…!?』


ドカーン!


せつ菜(…あぁ、懐かしいですね)

せつ菜(それで私たち二人は一緒に吹き飛ばされて意識を失ってしまいました、目覚めれば手当をされベッドで横になってて、私たちが目覚めるまでずっと近くにいてくれた花丸さんが動いちゃダメずらって可愛げに言ってきたのを今でも覚えています)
324 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 19:17:21.29 ID:SQcoDrlX0
希『ふふふっ別に逃げたいなら逃げてもいいよ、でも今は逃げない方がいいよ。君たち二人を処分しようとしてる連中がいっぱいいるから』

せつ菜『! どうしてそれを…!』

穂乃果『………』

希『ウチは二人を守りたいんよ、ウチはアンドロイドの味方やもん。それに、こんな可愛い子が殺されるのを見たりなんかしたら、ウチ一生後悔しそうだからね』

せつ菜(…それから希さんの背中を少しずつ追いかけた)

せつ菜(最初は反抗ばっかだったけど、次第に心を開いて、そして優しい私へ————)


せつ菜(業務用アンドロイドではない、自分だけの心を持ったアンドロイドへと変われた)


せつ菜(その自我を持った私が心の底から救済を求めてた。これを落ちぶれたというのなら、それを私は退化と呼ぶでしょう)

せつ菜(私は成長した、誰かに頼ることのできる私になった。だから希さんには本当に感謝しなければいけません)


ピッ プルルルルルルル


せつ菜(…そして私は、再び携帯を耳に当てた)


せつ菜「もしもし、——さんですか?」

325 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 19:19:26.36 ID:SQcoDrlX0



ドドドドドド!


穂乃果「ちっ…」

梨子「穂乃果さんの相棒さん、逃げちゃったけど?」タッ

穂乃果「逃げたんじゃないよ、これも作戦の内だよ」

海未「見苦しい嘘はやめてください、私は共感性羞恥なのでそういうことを聞くのが辛いんですよ」スッ

凛「というか一人で凛たち三人を相手にしようなんて凛たちも舐められたものだね、生け捕りじゃなくてそのまま殺さないかにゃ?」バンバンッ

梨子「いいや、生け捕りで拷問して楽しむ方がいいよ」

梨子「その方が絶対に気持ちいいから」ウフフ

凛「…別に凛はそういうの興味ないんだけどなー」

海未「どっちでもいいですから戦いに集中してください、三対一とはいえ相手は軍神で、希の入れ知恵まで授かってる相手です。侮ることは許されません」

梨子「あはっ…もしかして海未ちゃん、あの紫髪の置き土産グレネードがトラウマになってる?」クスクス

梨子「怖かったよね〜あんなのやられたら私死んじゃうな〜」

海未「…遠まわしに私への煽りですか」

凛「いや遠まわしも何も直球にゃ…」
326 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2019/09/27(金) 19:21:50.55 ID:SQcoDrlX0
海未「あなたの頭を治してくれる病院を教えてあげましょうか?」

梨子「あはははっそれはお互い様だね」


穂乃果「…あなたたち全員狂ってるけどね」ドドドド


梨子「何百人もの人を殺してるデスマシーンには言われたくないかな」シュッ

凛「自覚症状ないパターンが一番タチ悪いにゃー」

海未「私たちの話に参加する余裕があるとは驚きましたね」

海未「…というか、さっきから引いてばっかですね。戦う気あります?」

凛「時間稼がれてるにゃー」

梨子「何か企んでるね」

海未「そうですか、なら即行で方を付けましょうか!」ダッ

穂乃果「させないっ!」


バンバンバンバンッ!


海未「っ!希のショットガンですか…!」
327 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 19:26:01.21 ID:SQcoDrlX0
梨子「あれはまともに相手したら死んじゃうね」

海未「ええ、なら離れて集中砲火と行きましょうか!」ドドドド!

梨子「凛ちゃん投げ物よろしくねっ!」ドドドド

凛「了解にゃ!」

穂乃果「ちっ…」

穂乃果(このまま逃げ続けても状況は変わらない…!どうすればいいんだろう…)


タッタッタッ!


花丸「させるかーっ!」


穂乃果「…!花丸ちゃん!」

花丸「助けに来たずら!」

海未「ちっ…希のところの部下ですか」

花丸「これでも食らえーっ!」ポイポイッ

凛「っ!?グレネードにゃ!」

梨子「あんなに持ってきて…!」
328 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 19:27:15.47 ID:SQcoDrlX0


ドカーン!


花丸「穂乃果ちゃん今のうちに逃げるずら!」

穂乃果「う、うん!」ダッ

梨子「逃がさないッ!」ダッ


せつ菜「逃がしますっ!」ドドドドッ


梨子「ちっ…」

海未「帰ってきましたか…」

せつ菜(電話を終え戦場に戻った私はトリガー引いて発砲、穂乃果さんが逃げるタイミングをなんとか作った)


穂乃果「ありがとうせつ菜ちゃん、花丸ちゃん!」

花丸「このくらいお安い御用ずら!」

せつ菜「私もです!」

329 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 19:30:05.75 ID:SQcoDrlX0
海未「…感動の再開で盛り上がるのはいいですがその三人で私たちにどう勝ちますか?」

海未「二人は死にかけ、それにあなたは銃が撃てないらしいですね」

花丸「………」

梨子「んふっ…じゃあ銃が撃てないっていうなら殺しやすいあなたから殺すのが最善よねっ!」ダッ

花丸「ふっ」シュッ

梨子「あれ…戦えないんじゃなかったの…」

せつ菜(跳躍使って一瞬で距離を詰め、逆手持ちでナイフを突き刺そうとする梨子さんに対して花丸さんは飛び退け回避をした)

花丸「…マルだって最低限は動けるよ、非戦闘員だったらここに来るはずがないよね」

梨子「あはは、そうだね」

海未「…しかし最低限戦闘が出来るとしても状況は変わらない」

凛「八方塞がりだね、どうするにゃ?」


せつ菜「…戦うのみです」カチャッ


穂乃果「そうだね」
330 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 19:31:24.70 ID:SQcoDrlX0
穂乃果「…花丸ちゃんは逃げて、もうこの戦いに参加しちゃダメだからね」

花丸「…! で、でも!」


穂乃果「“穂乃果たち”を信じて」


花丸「その一人称…!」

穂乃果「ここで死んでも悔いのない戦いをするよ」

花丸「…そっか、でも負けないでね」

穂乃果「もちろん、だから花丸ちゃんは今すぐ逃げて」

花丸「…はいずらっ!」ダッ

凛「あーあの子逃げちゃったけどいいの?」

海未「別にいいです、むしろここで逃げる選択は賢明と言えるでしょう。戦えばどうせ死ぬんですから」

凛「そんなことは分かってるにゃーあの子はほぼ戦えないんだからあの子を集中的に狙ってあの子を弱点にすればいいじゃんって話だよ」

梨子「はぁ…これだから戦闘狂のおこちゃまは困るね」

凛「は?」

梨子「もしあそこにいる二人が万全の状態だったらみんなそうするけど、今は死にかけなんだからほとんど戦えない子を相手するより大怪我を追ってる大きな駒を取った方が旨味も大きいでしょ?」

凛「旨味って…」

海未「使う言葉がちょっと違いますが大体はあっています、つまり逃げだした子を狙うよりあの二人を狙った方がいいでしょう」
331 : ◆iEoVz.17Z2 [sage saga]:2019/09/27(金) 19:33:42.09 ID:SQcoDrlX0
穂乃果「…そうしてくれるならこっちも好都合だよ」

せつ菜「ええ」

梨子「その強気な発言がいつ崩れるか見物だね」

凛「いいからとっとと————」


凛「——やるにゃあ!」ダッ


せつ菜(やはり先陣を切るのは相手の凛さんでした、一回の跳躍で私との距離を縮めて右手を大きく後ろに構えて右ストレートかと見せかけてのローキックを繰り出してきた)

せつ菜「あぶなっ…」

せつ菜(何も考えず力任せに動いてそうな割には希さんみたいな手品の類を使ってくる相手でした、人もアンドロイドも何か構えを取れば先入観で何が来るかを読んで先にそれに対応しようとします、だからそれを逆手に取り後ろにまでやった右手に注目させて、その間にローキックを仕込むというちょっと高度な技ですが、それを今の相手がやってるとなるとこれからも何をしてくるか分かりません)

凛「その体じゃ躱しながら撃てないよね!だって片方の肩が壊れててグリップの部分が持てないから!」バンバンッ

せつ菜「ちっ…」

凛「なら攻撃を続けてればいいだけの話!」
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