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絵里「例え偽物だとしても」
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169 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/24(火) 23:55:13.01 ID:Sjljkzyd0
果南「何があったの?」
ことり「ただ単純に言ってしまえば私の親友は殺されちゃった、そして新しい記憶を埋め込まれた。その成れの果てが殺し屋だった、それだけのお話」
果南「……それで?」
ことり「私の親友の最大の特徴は業務用アンドロイドだったこと」
果南「業務用アンドロイド…よくそんなアンドロイドと親友になれたね」
ことり「業務とはいっても軍人として生まれたアンドロイドだったからね、私は戦闘型アンドロイドで生まれてこの方戦って生きてきた身だから触れ合う機会は結構あったよ」
ことり「軍人のくせに誰よりも優しくて、誰よりも勇気があって、誰よりも決意が強く、何物にも恐れないそんな人だった」
ことり「だけど軍人故に死はホントにあっけなかったかな、仲間の裏切りであっという間に死んじゃった」
果南「裏切り…」
ことり「意志が強い人は周りを見ることが出来ないの」
ことり「私はそれをあの時学んだ、警戒すれば気付きそうなものだけど色々考えこんでて分からなかったのかな」
ことり「それからしばらくして親友が生き返ったと聞いて向かったけど、案の定記憶は消滅してた」
ことり「そして代わりに埋め込まれた残酷なまでに変わり果てたその姿を見て、私は何を想像したんだろう…?」
ことり「悪魔でも見てるのかなって錯覚しちゃった、もう二度と見たくないかな…」
果南「…ことりがそこまで言うんじゃ相当なんだろうね」
170 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/24(火) 23:56:54.53 ID:Sjljkzyd0
ことり「…それでここから本題だよ」
ことり「私ね、それを見てその親友を殺そうって思った。アンドロイド相手で悪いけど、あんなのを生き物としては分類しちゃいけないから」
果南「…なるほど、だから私に言ったんだね。善子とかに言えば……」
ことり「そう、差別が脳裏を過るだろうから」
果南「あはは、それは賢明な判断だよ」
ことり「…それで戦ったけど…結果はボロボロだった。ありとあらゆるところに銃弾が突き通って目の前が真っ暗になった時には血だまりが出来てたと思う」
ことり「…ただ、近くにいてくれた人がなんとか助けてくれて助かったけど」
ことり「あいつには二度と近づかないほうがいいって警告された」
ことり「…正直肯定しちゃった、あんな殺戮マシーンとなんかいたくないって本能が叫んでて…それ以来会ってない」
果南「………」
ことり「業務用アンドロイドだからね、軍人として生まれたならざっくり言って人を殺すことをまず最初に考えるアンドロイドだから余計に親友だったアンドロイドの状況は悪化してったよ。思い出したくもないよ」
ことり「…けど、どこで何をやってるかは知ってる。だからホントにピンチって時に助けを求めてみるのも手だよ。助けてくれるかは分からないけどね」
果南「…私はあまり賛成できないかな」
ことり「それは私もだよ」
171 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/24(火) 23:58:39.53 ID:Sjljkzyd0
果南「大体殺し屋って何なのさ?お金稼ぎが目的なの?」
ことり「…人間の方は人を探してるって言ってた」
果南「人?」
ことり「昔、この都市で大規模な銃撃戦が起こったの覚えてる?」
果南「あぁ覚えてるよ、私も参加したし」
ことり「そっか、隔離都市東京が大きく変わる原因を作った出来事だったね」
果南「そうだね、あれで極悪な政府が滅んだからね。東京も一気に住みやすくなったものだよ、まだ酷いけど」
果南「それでそれと何の関係が?」
ことり「うん、あの銃撃戦で民間人側として参加した」
ことり「殺し屋っていう異名がついた人、知らない?」
果南「あ、聞いたことある。確かスナイパーを使ってたって聞いたよ」
ことり「そうだよ、狙った獲物は逃がさない――計算高い狙撃が特徴で偏差撃ちが得意なんだって」
果南「へぇ偏差撃ちか、相手にされちゃあ厄介だね」
ことり「うん、ただ民間人側についてたってだけで誰とも話してないらしいんだ」
果南「謎多き人物なんだね」
ことり「そうそう、だから同じ殺し屋として会ってお話がしたいんだって」
172 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/24(火) 23:59:16.28 ID:Sjljkzyd0
果南「…ん?今思ったけどなんでそんなこと知ってるの?」
ことり「戦ったことがあるから直接聞いた」
果南「あははは……流石ことりだね…」
ことり「…私の親友だったアンドロイドも人探しで活動してるんだって、だから方向性の一致で協力してるんだとか」
果南「ふーん、その人間ってどんな人なの?」
ことり「……複数の顔を持つ人かな」
173 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:00:44.53 ID:RR8ZWgfX0
〜同時刻、住宅街
絵里「………」
曜「………」
絵里「…くっ」
絵里(私は腕を撃たれた、手で出血を止めようとしてもぽたぽたと血が重力に沿って落ちていく)
曜「……かはっ」
バタッ
絵里「……勝負ありね」
絵里(そして私は曜の横っ腹を撃った、私は膝を地面につける程度だけど曜は拳銃を手放してその場で倒れた。出血の量は明らかな差があって逆流したのか曜の口からは少量ながら血が出ていた)
174 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:02:36.35 ID:RR8ZWgfX0
曜「く…そ…っ!」
絵里「私の勝ちね、曜」
曜「…ま、けた」
曜「いい…よ…殺してっ…よ、けほっ」
絵里「………」
絵里(仰向けで倒れてるというのに口から漏れ出す血はきっと敗北の味がするだろう、死を目の前としてるのに清々しいほどに笑顔でいる曜はただ単純に言って殺しにくかった)
絵里「………」
絵里(…いや、きっとどんな状況でも殺しにくいだろう。人を殺すことに対しての恐怖心を未だに拭えていないのだから)
絵里(きっと殺し合いっていう体でなら殺せるんだと思う、流れってものがあるから。だけどいざ改まって一方的に殺せる状況になったら再び脳は恐怖心で覆われた)
絵里(拳銃を曜に向けるとたちまちトリガーを引く指が動かなくなる、鳴らすの銃声ではなくて私の鼓動――刻まれたビートはきっと私を罵る音でしょう。今も苦しそうに顔を歪ませては笑顔に変える曜を見ると自然と歯に力が入ってしまう)
絵里「……っ!」
絵里(このご時世で人一人殺せない私が情けなくて、殺し合いという本気の戦いをしてるというのに情けみたいなものをかけてしまう私の甘さが許せなくて…いや、どうすればいいのか分からなくて瞳が潤んだ)
175 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:03:41.60 ID:RR8ZWgfX0
曜「どうした……さ、はや…く、ころ、して…よ」
絵里「っ……」
絵里(曜に声をかけられると余計にトリガーを引くのが怖くなる、この恐怖心は一体来てるのかしら)
絵里(ただ単に私が臆病なだけなの?それとも拳銃を持つ者の性なの?)
絵里(誰か教えてほしい、私が普通だってことを誰か証明してほしい)
絵里(……あくせくしたっても今ここで曜を殺すことが出来ない)
絵里「……なんで」
絵里(…導をくれる光はないけど、私は拳銃を構えて答えを待つだけだった)
ドカーン!
絵里「!」
曜「…!?」
絵里(そんな時後ろで大爆発が起こった、手榴弾なんか目じゃないほどの赤い煙が立つ凄まじい爆裂だった)
176 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:04:56.13 ID:RR8ZWgfX0
絵里「何!?」
善子「絵里!」
絵里「善子!?」
「うわー!あれはやばいでー!」
絵里「紫髪!?」カチャッ
善子「待って!今はそいつを撃たないで!」
絵里「何、どういうこと!?」
善子「対アンドロイド特殊部隊が来た!逃げるわよ!」
絵里「逃げる!?どうして!?」
善子「決まってるじゃない!数で負けるからよ!」
絵里「何人いるの?」
善子「三人!曜含めないで三人よ!」
絵里「三人…!」
絵里(それはおそらく勝てないでしょう、善子の逃げの選択は賢明と言える)
177 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:07:18.10 ID:RR8ZWgfX0
絵里「というかなんで紫髪のやつが…」
曜「あはは…希ちゃ…んは対アンドロイド特殊部隊と仲良く…ないから」
希「ちょ、ちょっとウチの名前呼ばないでや…」
曜「ご、めんごめん」
善子「絵里、曜は…」
絵里「…私が撃った」
ドカーン!
絵里「!」
希「!」
善子「あーもう曜の事は後!曜を連れて逃げるわよ!いざとなれば捕虜として使えるんだから!」
絵里「え、ええ!」
希「おー曜ちゃんは捕虜か」
曜「ぜん…そくせんし、んよーそろー…」
希「た、達者でな…」
希「…あ、そうそう。曜ちゃんから出てる血とあなたから出てる血、ちゃんと止めてから逃げた方がいいよ。走ってる時に垂れて地面にでも落ちたら特定されるから」
希「それじゃあね」
タッタッタッ
絵里(希と呼ばれる人物はそう言って私たちとは別の方向へ逃げていった)
178 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:09:32.48 ID:RR8ZWgfX0
絵里「この爆発は何?」
善子「グレネードランチャーを連射してるのよ、にこが持ってきたと思う」
絵里「また随分と派手なものを…」
絵里「というかあの紫髪とはなんで和解してるのよ?」
曜「のぞ…み、ちゃんだよ」
善子「お互い対アンドロイド特殊部隊と戦うのはイヤだから利害の一致で戦いをやめて逃げることにしたのよ」
絵里「そ、そう…」
善子「…そんなことより逃げるわよ!堕天っ!」ダッ
絵里「ええ!」ダッ
絵里(爆発に急かされて私たちもその場から逃げ出した、曜はどういうわけか抵抗する気はないようでずっと私におんぶされるがまま。むしろ私の背中で気持ちよさそうに眠ってる…これ死んでないわよね…?)
絵里「スタン!スモーク!」
善子「お、いいわね!」
絵里(ことりから学んだスタングレネードとスモークグレネードを使った隠伏術、眩い光は時に壁となるのをこの前知ったからそれをそっくりそのまま使わせてもらうことにした)
179 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:11:34.42 ID:RR8ZWgfX0
タッタッタッ
絵里「はぁ…はぁ…はぁ…」
善子「まいたわね…」
絵里「ええ…」
絵里「いったた…」
善子「絵里大丈夫?私が曜をおんぶしようか?」
絵里「頼んでもいいかしら…」
善子「任せなさいっ」
絵里「はぁ…とりあえず別荘へ戻りましょう」
善子「ええそうね」
絵里(そうして走り続ければ既に私たちの足は森の中、希って人の助言のおかげで曜の横っ腹には私の背負っているリュックに入ってる包帯を巻いて、私は袖を上手く使ってなんとか血を落とさずに済んだ)
絵里(流石に行動が早かったから追ってこれるはずもなく、私たちは傷を負いながらもなんとか帰還することが出来そうだった)
180 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:13:33.91 ID:RR8ZWgfX0
絵里「希ってやつはどうだった?」
善子「すぐにAAが来たからそこまで戦ってないけど、まぁあれはやばいわね。武器もさることながら身体能力や頭の回転速度も侮れない、一瞬アンドロイドを疑ったけど首元は何も無かった」
絵里「見たの?」
善子「見たというよりかは見えたの、数字は何も無かったから人間ね」
絵里「あれで人間…」
『悪く思わんといてねっ!』
絵里「……嘘でしょ」
絵里(人間であそこまでの動きが出来るとなるとAAの人間も警戒を強める必要がありそうだった、精鋭とは何を意味して精鋭と呼ぶのか、それを人それぞれだろうけどAAという組織に存在してる精鋭は常識外れの定義が存在してるでしょう)
181 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:14:52.42 ID:RR8ZWgfX0
善子「…今回の戦いで、得たモノってあったのかしら」
絵里「渡辺曜でしょ」
善子「……どうするこいつ?」
絵里「…正直に言うとね、殺したくない」
絵里「……うん、殺せないって言っても正しいけど」
善子「殺せない?どうして?」
絵里「曜はね、限りなく私たちに近い思想を抱いてるの」
絵里「アンドロイド差別はなくなるべきだし、果南は別に悪くないって言ってたし、警察の事が大嫌いって言ってた」
善子「そんなことを…」
絵里「…仲間に出来ないかな」
善子「それはぁ…そうね…なってくれるならそうしてほしいけど」
絵里「………」
絵里(…人を殺すという行為が怖くて殺せなかったとは言えなかった。もし善子や果南があの状況にいたら迷わず殺してたと思う、あの二人は優しいけど甘くはないから)
絵里(私はきっとそういうのに弱いのよね、戦う事は厭わないけど誰よりも平和的な解決を望んでるはずだから)
182 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:17:32.30 ID:RR8ZWgfX0
曜『絵里さんにも譲れないものがあるのは知ってる、だからこそここで決着をつけようよ』
絵里(戦ってる時に笑うなんて私には出来ない、だからそれだけ曜が強くて曜が優しい証拠だった)
絵里(そんな綺麗な笑顔を見せられては殺すなんて出来ない、死ねば誰もが無の表情になるのだから)
絵里(そんなものを見てしまっては私の心が壊れてしまいそうよ)
善子「私たちがクーデターを起こせるのはいつかしら」
絵里「…当分先かもね、まだ近づいてもいない気がするわ」
善子「アンドロイドの人生っていうのは険しいものね」
絵里「…アンドロイドだからね」
善子「………」
絵里(戦いは終わった、けど帰り道に会話をすることはほとんどなかった。負けた――とも言えないけど勝ったとも言えない結果で言葉を話すためにある口も今は言葉が生み出せなかった)
ガチャッ
絵里「ただいまー」
善子「堕天使降臨…!」
183 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:18:57.05 ID:RR8ZWgfX0
タッタッタッ!
果南「おかえりっ!」
ことり「…生きてたんだ」
絵里「ええ、当たり前よ」
ことり「…それでその津島善子がおんぶってる渡辺曜は何?」
絵里「私が殺す直前でトラブルがあって一応まだ生きてるから連れてきたの」
ことり「えぇ…それで位置とかばれたらどうするの…」
絵里「そ、そうだけどAAに回収されて再度戦うことになるよりかはマシでしょ!」
果南「まぁまぁ、絵里もなんかあったから曜を連れてきたんでしょ?だって曜を殺すなら殺すで帰り道で殺せばよかったんだから」
ことり「あ、確かに…」
絵里「ええ、もしかしたら仲間に出来ないかなって…」
ことり「仲間!?」
果南「なにそれ」
絵里(そのまま言っても理解できるはずがないのでことりと果南にも曜のことを話した、そしたら果南は何も考えずに肯定してくれて、ことりはちょっと警戒しながら“まぁ、良いと思う”と言ってくれた)
184 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:24:13.06 ID:RR8ZWgfX0
絵里「とりあえず曜は武器をとりあげてそこのソファで横にさせといて」
善子「ええ」
ことり「待って、手当しないとまずいから私がするよ」
ことり「絢瀬絵里も後で腕貸してよ?その傷を放置しとくと戦えなくなっちゃうから」
果南「おお、流石女子力が高いね」
ことり「…このくらいしなきゃ助けてもらった恩返せないでしょっ」
絵里「ふふふっ分かったわ、ありがとうことり」
絵里「…あ、そういえばごめんなさいことり」
ことり「ん?何が?」
絵里「あなたのアサルトライフル…ボロボロになっちゃったわ」
果南「うわ、なにこれところどころ欠けてるし」
絵里「曜ともう一人、敵がいたの。そいつがあまりに攻撃的で…」
善子「ショットガン二丁持ちで、そのショットガンを鈍器みたいに扱うから銃でガードすると必然的にこうなるのよ」
果南「ショットガン二丁持ちってそれはやばいね…」
185 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:26:47.50 ID:RR8ZWgfX0
ことり「…!ショットガン二丁持ちってもしかして紫色の髪してない?」
絵里「ええそうよ、確か希っていう名前だったわ」
ことり「やっぱり…あいつだ」
果南「あいつ?さっき言ってた殺し屋の?」
ことり「そうだよ、人間の方の殺し屋」
絵里「知ってるの?」
ことり「うん、知ってる。昔戦ったことがあるから」
絵里「へぇ…流石ことりね」
ことり「…うん、でもまぁいいや。この話はまた今度」
ことり「アサルトライフルの件は別にいいよ、東條希と戦ったなら仕方ないよ」
絵里「そう…ごめんなさいね」
絵里(この戦いで色々あったけど、とりあえずこうしてまたことりと果南に会えるのが嬉しかった。元より今日は死ぬつもりで戦ってたからね、お腹も空いたし目もしょぼしょぼするし私も曜と同じようにソファで横になった)
186 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:28:36.48 ID:RR8ZWgfX0
ことり「はい、手当終わったよ」
絵里「ありがとうことり」
果南「おーこれがEMPグレネードかぁ」
ことり「それ、スイッチを入れてから数秒後に爆発するから間違ってでもスイッチをONにしないでね?」
果南「了解了解」
善子「絵里の怪我は大丈夫そう?」
ことり「うん大丈夫だよ、撃たれたとはいっても腕だからそこまで酷くはないしすぐに戦えるようになるよ」
果南「いやー私もことりも肩を撃たれなければ今頃戦場にいるんだけどなー」アハハ
ことり「…私を撃ったのは松浦果南だよね」
果南「それはごめんって…」
ことり「…別にいいよ。どうせ怒ったところで戦えないから」
ことり「…でもまぁ絢瀬絵里も無理はしないでね?」
絵里「ええもちろんよ」
絵里(ことりに手当をしてもらって再び体を動かせば、まぁだいぶ楽に腕も動かすが出来た)
187 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:30:11.36 ID:RR8ZWgfX0
グゥ~
ことり「………」
善子「………」
絵里「………」
果南「…ん?今のことりのだよね?」
ことり「言わないでよっ!」
絵里「果南、そこは空気を読みましょう」
果南「え?私が悪いの?」
ことり「悪いのっ!」
善子「まったく…」
果南「えー…なんか納得いかないな…」
絵里「…まぁいいわ、お腹空いてるのなら私が何か作りましょうか?」
善子「腕は大丈夫なの?」
絵里「ええ平気よ、任せなさい!」
188 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:32:14.34 ID:RR8ZWgfX0
ことり「…料理出来たんだ」
絵里「そこまでできるわけじゃないけど、ここで料理出来るのが私以外いないからね」クスッ
善子「堕天使に食事など要らないのよ…」
果南「私はおいしく食べれればなんでもいいからなー」
絵里「はぁ…」
ことり「心中お察しします…」
絵里(食に関心のない二人はまぁ困ったものよ、溜め息を吐いた私はとりあえずキッチンに向かって料理を作る。今日作るのはつい最近亜里沙に教えてもらったハンバーグで、時間はかかるけど丁寧にやることにした)
善子「あー!今攻撃したやつ誰よ!」
果南「ふふふっ私だよー残念だったね善子」
ことり「うぇええちょっとこのゲーム難しくない!?」
絵里「三人は一体何をやってるのよ…」
絵里(私が料理をしてる間、テレビの前ではゲームではしゃぐ三人がいた)
189 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:33:14.62 ID:RR8ZWgfX0
善子「マリカーに決まってるでしょマリカーよ!」
善子「パーティープレイにうってつけでしょ!堕天使も愛するゲームよ!」
果南「やっぱり真姫もゲームは好きなんだね、テレビの横にゲーム機があったらやるしかないでしょ」
善子「ちっあーもう!果南のせいで六位じゃない!」
果南「堕天使ヨハネは先の事を考えてるんじゃなかったの?一位になるというリスクを考えてプレイするべきだったね」クスクス
善子「はー腹立つ!」
ことり「ここを右に曲がってえっと…」
絵里「ことりはなんで体まで動かしてるのよ…」
ことり「仕方ないのっ!ゲーム初めてやるんだから!」
絵里「戦闘はあんなに強いのに…」
ことり「うぅなんで抜かせないの…」
190 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:34:38.47 ID:RR8ZWgfX0
絵里「というかそんな体動かしても大丈夫なの?」
果南「激しく動くわけじゃないし、動かすの指だけだし大丈夫だよ」
ことり「私も別に…」
絵里「ことりは体動いてるけどね」
ことり「動いちゃうの!」
絵里「ええそうね…」
絵里(ことりは戦闘は鬼の如く強いのにゲームに関しては動きが初心者のソレ。ただ学習能力は高いからやり方を模索して色々頑張ってるのがちょっと可愛かった)
ことり「食らえっサンダーだっ!」
善子「はー…落ちたー…」
果南「ふふふっ私はことりの画面を見てたから安全なところで待ってたよ」
善子「はぁ?ただの反則じゃない!」
果南「私たちは常にルールなんてない戦いをしてるんだからこれにもルールはないんだよ善子」
善子「納得いかない」
ことり「やった!五位まで来た!」
絵里「ふふふふっ」
絵里(そして三人がゲームでバトルするのを見るのはとても楽しかった、こんな日常が毎日続いたらな…千歌はいないしこの世は相変わらず退廃的だし悪いことだらけだけどそんなダメダメな世界でこんな幸せを味わえるというのなら是非この幸せが永遠に続くことを願いたい)
絵里(…ただその願いがどれだけ儚くて寂しくて無謀な願いなのか知ってる私は、どうにもこうにも夢を見ることは出来なかった)
191 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:37:56.30 ID:RR8ZWgfX0
曜「ん…んん…」
絵里「!」
善子「!」
果南「!」
ことり「!」
絵里(ゲームに盛り上がる最中で、ゆっくりと意識を覚醒させる曜に注目がいくのはもはや当然だった。全員が同じ顔をして同じ場所を見ていた)
曜「ん……って、え?」
ことり「とうとう起きた…」
果南「あはは、どうも」
善子「死にかけからその目覚めは随分と気持ちのいいものだったでしょうに」
絵里「目が覚めた?」
曜「…あれ?私死んだの?」
善子「死んでないわよ」
192 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:42:25.55 ID:RR8ZWgfX0
曜「じゃあなんで絵里さんたちが…」
絵里「あの後のこと覚えてないの?」
曜「絵里さんに横っ腹撃たれてその辺りからもう何にも…」
絵里「そうなの…」
善子「その横っ腹撃たれた後すぐにAAのやつらが来てあんたを連れてここまで逃げたのよ」
曜「そ、そうなんだ」
曜「…なんで私こんな手当された上に身が自由なの?普通捕虜として扱うよね?手錠なりなんなりして」
果南「…そういえばなんで?」
ことり「えっ…私に聞かれても…」
善子「あんたらの頭がゆるゆるだからよ」
果南「いや分かってるならそれを指摘しない善子もゆるゆるでしょ?」
絵里「はいはいストップ、私は曜に仲間になってほしいの」
曜「仲間?私が?」
絵里「ええ、限りなく私たちに近い思想を抱いてるのなら是非協力してほしくて」
絵里「だから今曜は自由、その自由こそ私たちを信頼する理由になるでしょ?こっちはリスクを伴ってあなたを自由にさせてるの」
曜「…なるほどね」
193 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:48:10.55 ID:RR8ZWgfX0
曜「でも、その行動は感心できないかな。いくらなんでもリスクが大きすぎるからね」
絵里「…ええ知ってる、だけど曜なら大丈夫と判断したのよ」
曜「私なら…か」
絵里「ええ」
曜「私もそこまで優しい人じゃないんだけどね」
絵里「…つまり?」
曜「………いいよ、一緒に警察滅ぼそうか」
果南「おお、発言が物騒だね」
絵里「…こんなこと聞いたらおかしいかもだけど、なんで私たちに協力してくれるの?」
曜「絵里さんには言ったよね、もうお金は充分あるって。だからあそこにつく理由はないし、別にあそこに執着する必要もないってわけ」
曜「元はない命だったからね、助けてもらったならこの命は絵里さんたちに捧げるさ」
絵里「……そう、ありがとう」
194 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:48:59.40 ID:RR8ZWgfX0
曜「私の発言が嘘だとは思わないんだ?」
絵里「ええ、信じてるから」
曜「へー…なんか分かる気がするな…あの戦闘の鬼と言われたことりちゃんがこうやって仲間のようにみんなと暮らしてるのも」
ことり「…!何?」
曜「ふふふっなんでもないよ」
曜「まぁこれからよろしくね、精一杯頑張るよ」
善子「え、ええ」
果南「うんっよろしくね」
ことり「…なんかあまりに上手く行き過ぎてて怪しんだけど」
曜「うーん…じゃあどうやったら潔白の証明が出来るのかな」
絵里「いやいいわよそんなことしなくても」
絵里(確かにことりの言う通り仲間になるのもすんなりすぎて正直怪しいところはある、だけど戦いであんな律儀に振舞う人がこの期に及んで裏切るというのも考えづらくてめんどくさいことはとりあえず避けることにした)
絵里(…まぁ、小さい頃から色々学んで経験してる猛者なら演技ってやつも上手いのかもしれないけどね)
195 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:50:11.40 ID:RR8ZWgfX0
ピコンッ♪ピコンッ♪
絵里「ん…あ、真姫から電話ね」
善子「…絶対怒ってるわよ」
絵里「いや…まぁ……そうね」
絵里(今日でお別れかもしれないっていうメッセージだけ送って戦いに言ったわけだから、電話に出て開口一番のセリフは容易に想像できる)
真姫『何やってるのよ!?』
絵里「…ごめんなさい」
真姫『心配したんだから!いみわかんないメッセージ送ってこないでよね!』
絵里「……?真姫、泣いてるの?」
真姫『!! な、泣いてないわよ!…ぐすっ」
絵里(真姫は我慢の出来る人、だけど涙ぐんだ声は我慢できないようだった。我が子を叱るような必死な声と、嬉しさ含んだ安堵の声が混ざって真姫の声はとにかくおかしなものだった)
196 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:53:33.68 ID:RR8ZWgfX0
絵里「ごめんなさい真姫」
真姫『…許さないわよ』
絵里「……どうしたら許してくれる?」
真姫『…私だって物分かりが悪いわけじゃない。絵里が戦うのは仕方ないのは分かってる、だから戦うなら…絶対に勝って戻ってくるなら許してあげる…』
絵里「…ええ、もちろんよ」
絵里(真姫は我慢の出来る子だけどとっても寂しがり屋な子だ。だからきっと今の言葉も本心ではないのだと思う)
絵里(出来ることならみんなが笑いあえる日常で、幸せに過ごしたい。けどそうは問屋が卸さないのよね、それを分かってる真姫は、実に大人だ)
絵里(その後真姫はもう寝るだとか言ってすぐに電話を切った。電話を切った途端世界が変わったみたいに後ろから喧騒が聞こえてくるから後ろを見ればゲームをしてる人数が三人から四人になってて私は色んな意味を込めた溜め息を吐いた)
197 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 00:56:48.62 ID:RR8ZWgfX0
キリのいいところまで行ったので一度中断。
スクスタ来るまでに終わらせたいですけど、無理みたいです。再開はまた今日にでも。
198 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/09/25(水) 10:06:14.42 ID:tgZo+AjdO
とても引き込まれますここまで乙
千歌ちゃんが生きてたらみんなで逃げる道もあったんだろうか…
199 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/09/25(水) 12:14:44.27 ID:SnvPWzb3O
えりちはこういうメランコリーな雰囲気も似合うな
200 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/09/25(水) 20:28:25.07 ID:RR8ZWgfX0
〜同時刻、???
「…面白くないね」
希「んー?何が?その本が?」
「確かにこれは面白くないよ、字がいっぱいなんだもん」
希「小説本やもん、字がいっぱいなのは当たり前やろ?」
「希ちゃんが面白いって言うから私は読んだんだよ?」
希「面白いやん、スクールアイドルっていう限られた時間の中で輝こうとする少女の物語やで?」
「……半分くらいまで読んだけど、私はこんなことしたいとは思わない」
希「そりゃあ業務用アンドロイドやからねぇ…」
「…確かに私は戦うこと以外に興味がないからこの本は面白くない、けど私が言いたいのはこの本が面白いかどうかじゃないよ」
「…いつになったら見つかるの?」
「私の探してる人は」
希「それはウチが聞きたいよ、ウチだってあの殺し屋と呼ばれたスナイパー使いに会いたいっていうのにどこにもいないんやもーん…というか情報すらないし」
「……面白くない」
201 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 20:31:31.03 ID:RR8ZWgfX0
希「ふふふっまぁ確かに事が上手くいかなさすぎなのは分かる、だからウチが退屈を解消する情報をもってきたよ」
「なにそれ」
希「最近な、ちょ〜っと厄介な集団が一ついるんよ」
「厄介な集団…対アンドロイド特殊部隊じゃないの?」
希「いや、違う」
「じゃあ今日戦ってた人たちでしょ、ニュース見てたけど相当派手にやったよね」
希「あれは大体途中から入ってきたにこっちのせいかなぁ」
希「でも確かにあそこも厄介やね、知ってる限りだと堕天使がいたしことりちゃんもいるらしいしウチらと対峙することになったら無傷じゃ済まされないやろうね」
「堕天使…なんか聞いたことある、ものすごい強いんだよね、それだけは知ってる」
希「そうだよ、昔ここ東京のデパートに十数人の海外系の武装集団が乗り込んできた時があって、そいつらを一人で壊滅させたのが堕天使と呼ばれるアンドロイドだった」
希「当時堕天使は13歳という若さで普通じゃ考えられない事を起こしてしまったが故にアンドロイドという存在がとても危険なモノであるということが世に知れ渡った根本的な原因とも言えよう」
「ふーん…とにかく強いんだね」
希「まぁね」
202 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 20:32:34.43 ID:RR8ZWgfX0
絵里『まだ終わってないッ!』
希「…ただ、今はあの金髪の子が一番気になるんよなぁ」ボソッ
「…?何か言った?」
希「ううん、なんでもない。それよりさっきの話やけど」
希「厄介なのは他にいるんよ」
203 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 20:33:51.82 ID:RR8ZWgfX0
〜同時刻、別荘
曜「ほー!流石絵里さんは料理の腕もいいなー!」
果南「でしょ?絵里の料理はおいしいんだよ」
善子「いやなんで果南が威張ってるのよ…」
ことり「…まぁまぁかな」
絵里「あのねぇ…」
絵里(料理が出来ればゲームを強制終了させて五人で食卓を囲んだ)
絵里(始まりのトリガーを引いた時には予想も出来なかったこのメンツに、ちょっとだけ…そして勝手に運命を感じちゃった)
204 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 20:35:03.28 ID:RR8ZWgfX0
ことり「…それで、渡辺曜もお荷物なの?」
果南「お荷物の会へようこそ!」
曜「お荷物の会…?」
善子「怪我をしてて戦えない人のことよ、家でお留守番してるニートね」
曜「いや、私は戦えるよ。もちろん受けた弾丸の大きさにも寄るけど、横っ腹は戦闘に関してはそこまで支障をきたさない部分なんだよ、撃たれて問題なのは肩と足」
絵里「そうなの?」
曜「ちゃんと包帯とか巻いてくれてるから平気平気!」
曜「……まぁ痛いのは変わりないけど」
絵里「そ、そう……」
205 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 20:36:49.14 ID:RR8ZWgfX0
曜「人を殺すんだったら.308弾が使える銃とかで肉を抉らないと仕留めきれないかもね」
善子「うわえげつな……」
ことり「でもそれだと銃が重いのを使わないといけないから機動力を犠牲にしないといけないね」
曜「うん、だから大体の場合人間相手にそういうのを使うのはあんまり意味がないんだよね、使うべき相手はアンドロイドだよ」
果南「あー分かった、“再生能力”でしょ」
曜「そうそう、アンドロイドは人間を模して造られただけであって完璧な人間ではないんだよね。人間の不便なところもなるべく改善して出来上がったのがアンドロイド、つまり人間の進化形みたいなものなんだ」
絵里「……」
絵里(全ては曜の言う通りだ。これは私たちアンドロイドが人間と並びたいという反旗を翻すにあたって弁えなきゃいけないことだ。アンドロイドは人間ではない、人間と瓜二つなだけだ、その理由は様々あるがそのうちの一つ——再生能力はアンドロイドと人間を差別化させるくらいの大きな特徴だった)
ことり「再生能力が高い私たちアンドロイドは……」
善子「肉でも抉られない限り、例え致命傷でも数か月で完治する」
曜「そう、その通り、銃弾で貫かれる程度じゃ痛いくらいにしか感じないんだよね、まぁ貫かれる場所が横っ腹とか腕とかだったら人間も同じだけど、アンドロイドは頭以外だったら死なないから仕留めるなら確実な武器じゃないといけないね」
果南「ふむ……」
206 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 20:39:39.19 ID:RR8ZWgfX0
絵里「………」
絵里(再生能力——いえば来した傷がどれだけ早いスピードで完治するかの能力だ)
絵里(人間もアンドロイドも腕を切断されたら当然ながら再生することはない、ただしアンドロイドは腕を切断されない場合のみどんなに深い切り傷を入れられても半年くらいで何事もなかったかのように完治するのだ)
絵里(アンドロイドには皮膚の元である角化細胞より始まる四つの層と人間にはない“複素層”という五つ目の層を有していて、これは皮下組織の働きを増幅させる他角化細胞が分裂し、それが外側へ放出され皮膚になる際に角化細胞を増やし再生を早める効果がある)
絵里(つまり人間にはない体の働きをアンドロイドは有していて、それ故に再生が早いのだ)
曜「……っていうのはアンドロイドと戦う時の話!卓越した再生能力を持ってるとはいえ命は有限だ!だからみんな命は大事にね、さくせんはいのちをだいじに、だ!」
善子「だそうよ、現在お荷物のお二人さん」
ことり「うぅ〜!私だってあと少しで戦えるもん!」
果南「私はガンガンいこうぜが好きなんだけどな〜」
善子「いや誰もそんなこと聞いてないわよ……」
絵里「あはは…」
絵里(アンドロイドの再生能力について復習するような形になったが、これから色々していくうちにアンドロイドと戦う可能性もなくはない。その時は確実に仕留められるよう頭を打ち抜くか経口の大きい銃を使わなければならなそうだ)
絵里(…そしてそれは自分にも言い聞かせておかなければならない。憧れた人間とかけ離れているのは少し耐え難いモノだけど、頭以外を撃ち抜かれなければ即死は回避できるアドバンテージは活かさなければならない)
絵里(だから人間より色んな意味で優れていると自覚している以上、“それ”を多用する以上、私たちアンドロイドは人間とは別であることを弁えないといけないのだ)
207 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 20:41:38.09 ID:RR8ZWgfX0
曜「そういえばみんな私の事知ってるんだね、私もアンドロイド界では有名人なのかな?」
善子「いや、少なくとも私は知らなかったわ。ことりから聞いて初めて知ったくらいよ」
曜「へーことりちゃんは何話したの?」
ことり「…何も話してないよ」
曜「え…なにそれ」
絵里「んーと、曜は武器が何でも使えるとかEMPグレネードを作ったとかそういうことを聞いたの」
曜「あ、そういうこと」
ことり「……なんでEMPグレネードなんて作ったの?」
曜「いうまでもなくアンドロイドの無力化のためだよ、EMPグレネードがオーバーテクノロジーって言われるの、正直私からすれば意味不明なんだよね」
果南「どういうこと?」
曜「アンドロイドという存在はイレギュラーすぎたんだよ、人間よりも高い戦闘力を有したことでアンドロイドは武力で解決しようとする」
曜「…ただ、別にそこまではよかったんだよ。でもね、アンドロイドは限りなく人間に似せて造ってある、だからこそちゃんと個人差があって得意不得意があるんだよ」
善子「…?」
曜「つまり、アンドロイドにもどうやったっても殺せないような天才がいるんだよ」
曜「そういうのを無力化する有効な術が何故か今まで無かった、だからEMPグレネードを作ったんだよ」
208 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 20:42:37.01 ID:RR8ZWgfX0
絵里「天才…例えば?」
曜「……希ちゃんのところにいる業務用アンドロイド二人かな」
ことり「…!一人は知ってる」
曜「だろうね、有名だもん」
ことり「うん…」
善子「…業務用アンドロイドなんかが天才なの?」
曜「戦闘に特化した業務用アンドロイドだからね、戦う事を生業にしてるアンドロイドはそりゃあ強いよ」
果南「ふーん…」
曜「まぁEMPグレネードはそんなところだよ」
ことり「…そっか、わざわざ答えてくれてありがとう」
曜「いえいえ」
絵里「………」
絵里(あの希という人の周りにどんな人がいるのかは知らないけど、もし戦う事になれば無傷は無理でしょうね、もはや一方的に殺される可能性だってある)
209 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 20:44:12.96 ID:RR8ZWgfX0
善子「…これからどうする?戦える人が三人に増えたとはいえまさかY.O.L.Oに行くわけにもいかないし攻める場所が分からないわ」
曜「Y.O.L.Oはやめた方がいいよ、下手したらそこで全滅なんてこともあり得るからね」
善子「分かってる、だからどこを攻めるべきか聞いてるじゃない」
曜「…焦る必要はないんじゃないかな」
果南「というと?」
曜「様子を見るっていう選択もあるよ、無理して攻めるより果南さんやことりちゃんの傷が癒えるのを待ったり武器の補充をしたりで準備の時間があるといいと思う」
曜「平和を求めるなら、戦いに備えよ」
曜「…これは希ちゃんの言ってたことだけどね、案外間違ってないと思う」
絵里「なるほど」
果南「確かに」
210 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 20:49:38.34 ID:RR8ZWgfX0
善子「…そうね、少しは休む時間があるといいかもしれないわ」
ことり「そうだね」
果南「…ふふふっじゃあお泊り会と行こうか!」
ことり「遊びじゃないんだけどなぁ…」
絵里(大きな事はしてないけど、とりあえず私たちは羽休めをすることにした。これから何が起こっていくのか正直想像が出来ない)
絵里(トリガーを初めて引いたあの日から、明日ある未来なんて捨ててしまった)
絵里(…そして、その代わりに掴み取った私の望む未来を創るためのチケット)
絵里(人生は一度切り、だからこのチケットは無駄にはしない)
211 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 20:50:41.84 ID:RR8ZWgfX0
善子「…は?誰がどこで寝るか?」
果南「ことりと曜がどこで寝るか決まってないでしょ?」
絵里「寝室が二つしかないのよね」
ことり「…私は一人がいい」
曜「私はどこでもいいよ」
果南「じゃあ私と絵里と曜は一緒だね♪」
絵里「ええ、曜はいい?」
曜「うん、いいよ」
ことり「津島善子はどうするの?」
善子「私もおそらくことりと同じ考えをしてるもんでね、堕天使ヨハネの睡眠は誰にも見せてはいけない決まりなのよ…」
ことり「…?」
果南「ようするに、寝顔を見られたくないってやつ」
善子「堕天使ヨハネにそんな不毛な理由はない!」
ことり「…まぁそれはどうでもいいかな」
曜「いいんだ…」
善子「よくない!」
212 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 20:52:17.87 ID:RR8ZWgfX0
ことり「とりあえず私はこのリビングで寝るよ、津島善子はもう一つの寝室使って」
善子「え?ええ」
果南「決まりだね」
絵里「ええ」
曜「みんな何時ごろ寝るの?」
曜「なんだかんだ夜中の四時だしもう空が少し明るいよ?」
果南「私はもう寝るよ」
ことり「同じく」
絵里「私はお風呂入ってから寝るわ」
善子「私はまだ寝ない」
曜「んーそっか」
スタスタスタ
絵里「とりあえず私はお風呂に入るわね、あなたたちも寝るなら早く寝なさい」
ことり「言われなくても分かってるよっ」
果南「絵里はお母さんかな…」
絵里(とりあえずあの戦いで汗水流したのだから体はベトベト、傷は痛むかもしれないけどまさか入らないなんて選択は無いしとりあえずお風呂に入った)
213 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 20:56:00.33 ID:RR8ZWgfX0
絵里「相変わらず広いわね…」
絵里(お風呂は一般的に言えばまず考えられないであろう広さで、まさか大浴場とまではいかないけど広く四角い空間の三辺にはなぜかシャワーと鏡がついてるし、ご丁寧にシャンプーリンスボディソープも配置してあってあるべきものはしっかりある模様)
絵里「ふー…」
絵里「疲れた……」
絵里(とりあえず何かする前に湯船に浸かった、傷は染みて痛いけど耐えられないほどじゃない)
曜「お邪魔しまーす」
絵里「!」
バシャーン!
曜「うわっ!?急に酷いよー!」
絵里「びっくりした…勝手に入らないでよ!」
絵里(突然バスタオルを巻いた曜が入ってきて驚いてお湯をかけてしまった、突然というタイミングで入ったのにも驚いたけど何よりお風呂というプライベートを曝け出す時に勝手に入られたのが一番の驚きだった)
曜「勝手にってここのお風呂は一人用じゃないじゃん…」
絵里「例え相手が女でも見られて恥ずかしいモノは恥ずかしいのよ!」バシャバシャ!
曜「じゃ、じゃあ見ないから!お湯かけるのやめて!熱い!」
絵里「はぁ…はぁ…」
絵里(…まぁここは我慢するしかない、そう思い妥協した。そしたら曜は私から見て向かいのシャワーの場所に座った)
214 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 20:57:04.95 ID:RR8ZWgfX0
曜「ふー…いってて……」
絵里「横っ腹?」
曜「そうだよ、水は染みるね…」
絵里「…そうね」
曜「おーすごい、このシャンプー高級なやつでしょ」
絵里「多分そうよ、真姫の家だし」
曜「私もこんな贅沢出来るお金があったら対アンドロイド特殊部隊なんてところには入ってなかったんだけどなー」
絵里「でもいいじゃない、そこに入れたおかげで強くなれたんだから」
曜「別に私は強くなりたかったわけじゃないから何とも言えないかな…」
絵里「…そう」
215 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 20:58:11.18 ID:RR8ZWgfX0
曜「…絵里さんはさ」
絵里「…何?」
曜「私が裏切って、次確実に仕留められる状況になったら私を殺す?」
絵里「もちろん殺すわよ」
曜「…うん、それは知ってる」
曜「……一応さ、ありがとうって言っておくよ」
絵里「…?意味が分からないんだけど」
曜「絵里さんはね、優しすぎるんだよ」
絵里「…そんなことはないわよ」
曜「なら、なんであの時私を殺さなかった?」
絵里「!」
216 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 20:59:28.77 ID:RR8ZWgfX0
曜「……殺せなかったんでしょ?」
曜「人を殺すのが怖いんでしょ」
絵里「…どうしてそう思うの?」
曜「…瞳、かな」
絵里「瞳?」
曜「私に銃口を向けてから絵里さんの瞳は揺れるばかりだったじゃん、明確な殺意があったならあそこで殺すのを躊躇う理由なんて何一つないし」
絵里「………」
曜「それにね、ことりちゃんを助けようとしてた時だってにこさんを殺せてたじゃん」
絵里「あ、あれはたまたま拳銃に当たっただけで――」
曜「それは違うね、なら連射をすればよかった。違う?」
絵里「………」
曜「いくら相手が超一流とはいえにこさんはアンドロイドじゃないからね、完全なる不意打ちで初弾が当たらなかったとはいえ二発目が避けられるかといえばそれはNOだよ」
曜「…きっと殺す覚悟はあるんだと思う、流れとかに任せちゃえばきっと殺せるんだと思う。けど致命的に絵里さんは相手を痛めつけることは出来ても殺すことのできない情がある」
曜「……正直言って、戦場に立つには向いてないかな」
217 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 21:01:32.67 ID:RR8ZWgfX0
絵里「…なら」
曜「いや別にいいんだよ、絵里さんは強いから。戦場に立ったって」
曜「でも不安なんだよ」
曜「あの時みたいに確実に仕留められる状況で、いつまでも殺すことを躊躇っていたら相手が何かしてきて絵里さんを殺してしまうかもしれない、助けが来て絵里さんが殺されてしまうかもしれない」
曜「優しすぎる故に、不安なんだよ」
絵里「………」
曜「…いや、まぁだからさ…そのさ……」
絵里「…?」
曜「…私が代わりに殺してあげようって思ったの、相手を」
絵里「…なにそれ」
曜「絵里さんの戦闘は不安だらけなの!だからいざという時は私が殺してあげるって言ってるの!」
絵里「………」
絵里(どうしてなんだろう。曜は…曜はどうしてそこまでしてくれるんだろう、数時間前までは敵だったのに、今ではこんなこと言ってくれるなんて意味が分からないわよ)
218 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 21:02:35.17 ID:RR8ZWgfX0
絵里「…どうしてそこまでしてくれるの?」
曜「…正直言うとね、お金はたっぷりあるんだけど引き下ろせないんだ」
絵里「なんで?」
曜「絵里さんに協力しちゃったからね」
絵里「!」
曜「協力したのは私の意志だよ、まぁ協力せざるを得ない状況にいたのも否めないけど」
曜「だからどの道私は絵里さんの背中を追うことしかできないんだよ、お金が欲しいなら絵里さんに協力して平和に暮らせるまで戦わないといけないんだよ。それなら本気で、出来ること全てをこなして生きなきゃって思ったの」
曜「私渡辺曜は、絵里さんの背中に全速前進ヨーソロー!ってね」
絵里「曜…」
曜「…まぁ、だから少しは私のこと信用してもらえると嬉しいかな」
219 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 21:03:25.23 ID:RR8ZWgfX0
曜「ことりちゃんにはものすごい警戒されてたし、善子さんにもかなり鋭い目で見られてたから…」
絵里「…そう、でも安心して」
絵里「私は曜の事信じてるから」
曜「…ふふっありがとう」
絵里「……あははっ」
絵里(頬を赤らめて嬉しそうに微笑む曜を見てたら、私も喜びの表れで照れ笑いをしてしまった)
絵里(まぁ、この事を曜に言われなくても私は曜のことを信じてたけど、こう改めて言うとなんか小恥ずかしいものがあるわね…)
曜「そろそろ戦うのはやめたいなって思ってたけど、まだまだ私は現役かな」
絵里「ええそうね」
絵里「当分は……」
220 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 21:05:52.64 ID:RR8ZWgfX0
〜???
カランカランッ
にこ「…!随分と珍しい面がいるじゃない」
「あ、こんばんはにこさん」
にこ「このバーの場所が分かるってことはたまたまここへ来たわけじゃないのでしょう?」
「そうですね、この時間ににこさんがここへ来るというのを知ったいたのでここへ来ました」
にこ「…やっぱりあんた気持ち悪いわね」
「えへへ、殺し屋ですから」
にこ「それで何の用?私はここのイチゴジュースを飲んですぐに帰りたいのだけど」
「ふむ…では簡潔にまとめて言いますと」
「にこさんたちの敵はあの金髪ポニーテールの人たちだけじゃありませんよ?」
にこ「…それは絢瀬絵里率いる集団とは別にあんたらが敵だと言いたいわけ?」
「いえいえ違いますってば!例えあなたたちに敵愾心がなけれどいずれ戦う事になるだろう相手のことです」
221 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 21:07:47.78 ID:RR8ZWgfX0
にこ「それを私に教えて何のつもり?」
「気を付けてほしい、という私個人からの忠告ですよ」
にこ「ふーん…やっぱりあんたら殺し屋って考えてることがまったくもって理解出来ないわね」
「でも、にこさんは対アンドロイド特殊部隊の中ではかなり理解のある人ですよね」
にこ「…ええそうかもね、もしかして私のところにきたのもそう思ったから?」
「当たり前じゃないですか、対アンドロイド特殊部隊でまともなのといえばにこさんか曜さんしかいませんから」
「でも、曜さんには先客がいたみたいなのでにこさんのところに来ました」
「あ、後にこさんは数少ない私たち殺し屋と友好な関係にある人じゃないですか」
にこ「友好ねぇ…」
「間違ってませんよね?」
にこ「…どうかしらね」
にこ「……でもまぁありがとうと言っておくわ」
「えへへ…」
222 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 21:09:40.41 ID:RR8ZWgfX0
カランカランッ
海未「はぁ……ってあなたは…!」
「あ、海未さんこんばんは」
海未「…何の用ですか?」キッ
「あ、えーっと…海未さんが来たなら私はおいとまさせてもらいます」
「それじゃあ!」
タッタッタッ
「…あ、でも一つ、海未さんにもにこさんにも言っておきますね」
にこ「何?」
「今日からあなたたちが敵にする相手は全員、最強レベルですよ」
「例え化け物染みた海未さんや頭のおかしいあの人たちをもってしてもそれは変わりません」
海未「…つまりは希たちということですか?」
「…もしかしたらそうかもしれません、でも他にも敵がいることを忘れないでくださいね」
「ではっ」
カランカランッ
海未「…何なんですかあれは」
にこ「さぁね、でも間違ったことを言ってるわけじゃ無さそうよ」
223 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/09/25(水) 21:12:04.31 ID:RR8ZWgfX0
海未「曜が行方不明という時に不安を募らせないでほしいですね」
にこ「………」
『でも、曜さんには先客がいたみたいなのでにこさんのところに来ました』
にこ「先客がいた、とか言ってたわね」
海未「え?」
にこ「…いや、なんでもないわ」
にこ「これからどうしましょうかね」
海未「とりあえずは曜の捜索でしょう、それ以外にあるとは思えません」
にこ「まぁそうよね」
にこ(だけど手がかりもないのにどうやって見つけるのかしら…それに私たちだって暇じゃないから曜だけに焦点を当てられるわけじゃないし、私としては曜よりも絢瀬絵里の行方の方が気になるわね……)
海未「…なんですか、にこ?」
にこ「ちょっと考え事」
海未「そうですか」
にこ「ええ」
にこ「………」
にこ(…希に会ってみるか)
224 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 21:14:22.95 ID:RR8ZWgfX0
〜別荘、寝室
曜(しばらくは海未さんたちは私を探しに色々まわるはず…ならやっぱり動かないのがいいかな)
果南「何考えてるの?」
曜「うーんちょっとこれからをね」
果南「そっか」
曜「絵里さんは?」
果南「武器について色々調べてる」
曜「武器?」
果南「知り合いに真姫っていうお金持ちの子がいて、その子が絵里に好きな武器をくれるらしいから絵里もどの武器がいいか色々見てるんだと思うよ」
曜「へー武器か」
果南「絵里の戦法にあった銃を使わないとね」
曜「うん、その通りだね」
225 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 21:15:59.16 ID:RR8ZWgfX0
果南「確か曜はほとんどの武器が使えるんだっけ?」
曜「そうだよ、ライトマシンガン以外は使えるよ」
果南「へーどうやって武器選んだの?色々使えるならやっぱり迷うでしょ」
曜「やっぱり実際使ってみていいと思ったやつを使ってるかな、子供の頃から動物とバトってたから試し打ちはいくらでも出来たし」
果南「なるほどね」
曜「…でもまぁ、今はそういうことできないだろうね」
果南「難しいかもね」
曜「となると絵里さんは迷うと思うよ、同じ武器種でも性能は大きく違うわけだし」
果南「まぁね」
226 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 21:18:02.08 ID:RR8ZWgfX0
曜「…ん?でも絵里さん確かアサルトライフル持ってたよね?」
果南「あぁあれはことりのだよ」
曜「そっか、じゃあ借りたんだね」
果南「そうそう、ちゃんと使えてた?」
曜「うーん絵里さん自身が攻撃的じゃないってのもあるけどあんまり撃ってなかったかな」
果南「そっか、やっぱりいきなりは無理だったのかも」
曜「どうだろうね」
曜「…あ、でもそういうわけじゃないと私は思う」
果南「ん、なんで?」
曜「絵里さんはどっちかっていうと近距離で戦う方がいけるって思ってるんじゃないかな、だから近距離に対してことりちゃんの持ってるあのアサルトライフルは弱いんだよ、連射速度はそこまで高くないしアサルトライフルってそもそも重いし」
曜「それを理解した上での行動なんじゃないかな」
果南「なるほどね、じゃあ絵里は善子と同じでサブマシンガンがいいわけだ」
曜「そうだね、私はそう思う。連射速度が早くて瞬時火力が高い銃を使うべき」
227 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 21:21:40.41 ID:RR8ZWgfX0
果南「となるとどういう銃?」
曜「……お金があれば今すぐにでも私が最適な銃を作るんだけどね」
果南「んー…お金ならあるよ」
曜「え?」
果南「真姫に頼めばお金はくれるよ、絵里が生きている以上はね」
曜「…その真姫さんっていう人は絵里さんとどういう関係?」
果南「うーん…」
果南「パートナー、のような関係かな」
曜「パートナー?」
果南「まぁ昔色々あったんだよ、でも私はよく知らないんだよね」
曜「そ、そっか」
果南「まぁお金の件、絵里に行ってみようか?」
ガチャッ
絵里「ふぁ〜…」
果南「ほら丁度来たみたいだし」
絵里「ん?どうしたの?」
果南「実はさ――」
絵里(突然持ち掛けられた話、聞けば曜が私に最適な銃を作ってくれるとのことで、どんなものかは教えてくれなかったけど、戦闘経験豊富な曜が私に最適な銃を作ってくれるなら是非ともそうしてもらいたい)
絵里(調べてネットで得た知識なんかより曜の持ってる知識を使った方が何十倍もいいだろうからね)
228 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 21:22:50.07 ID:RR8ZWgfX0
果南「はー!このベットはやっぱり広いなー三人一緒でもまだ広いや」
絵里「随分と楽しそうね」
果南「そりゃあ楽しいよ」
曜「…私も分かるかも、このドキドキ感と謎の高揚感がいいよね」
果南「いいねぇ曜は分かってるよ」
絵里「私は分からないわ…」
果南「ふふふっーぎゅー!」
絵里「むぐっ…苦しいわよ」
曜「同じく…」
果南「いいじゃーん、せっかく一緒に寝てるんだし」
絵里「子供か…」
曜「ふふふっ果南さんって面白いね」
果南「毎日を精一杯楽しみたい人だからさ」
曜「…そっか、すごくいい人だね」
絵里「…ふふふっ」
絵里(やっぱり果南には敵わない、人を笑わせてくれるその明るさはホントに感謝すべきで見習うべきモノだ)
絵里(それでいて強いというのだから果南は卑怯、もっとも今は戦えないけどね)
229 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 21:24:49.06 ID:RR8ZWgfX0
〜夕方
真姫「訳の分からない話を聞いて色々来てみたけど…」
ことり「おはよう♪」
曜「おはよう!」
真姫「…なんか増えてない?私の錯覚?」
絵里「ん?錯覚?」
善子「残念ながらそれは錯覚じゃないのよ…そう、堕天使ヨハネが作り出したげんえ」
果南「本物だよ」
善子「私が喋ってる時に割り込むな!」
真姫「絵里からメールが来てなんか銃の部品をめちゃめちゃ発注してくるから急いで揃えたけど…渡す前に状況を説明してくれる?」
絵里「ええ、もちろんよ」
絵里(その日の夕方、真姫がこの別荘へ来た)
絵里(来た理由はもちろん朝起きてすぐに送った曜の作りたい銃の部品を持ってきてもらうためよ)
230 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 21:27:18.97 ID:RR8ZWgfX0
真姫「えぇ…仲間にしたって…」
絵里「いいじゃない、それで今がこうやって平和なんだから」
真姫「まぁ別に絵里がいいなら私はいいけど…でも大丈夫なんでしょうね?」
真姫「特に元対アンドロイド特殊部隊に入ってたと言われるあなた」ジロッ
曜「あはは…大丈夫だよ…」
真姫「というかあなたは退院してすぐに戦ったのね…」
ことり「戦ったんじゃなくて戦わされただけだもんっ!」
真姫「そう…」
真姫「…まぁいいわ、はい部品」
絵里「ありがとう」
真姫「大切にしてよね」
絵里「ええ」
231 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 21:30:21.25 ID:RR8ZWgfX0
真姫「…それでみんなはこれからどうするの?」
果南「とりあえず様子見ってことでみんなここでくつろいでる状態だよ」
真姫「そ、そう…」
絵里「真姫の方は大丈夫?」
真姫「ええ、おそらく私は警戒されてないはず」
絵里「ならいいけど」
絵里「…あ、はい。曜、これ部品ね」
曜「はい、預かったよーじゃあ後は私にお任せ!あ、後ここにある機械色々借りるね!」
タッタッタッ
善子「…行っちゃった」
ことり「流石行動が早いね」
果南「どんな銃が出来るんだろう?」
絵里「…分からないわ」
232 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/09/25(水) 21:33:34.02 ID:RR8ZWgfX0
真姫「サブマシンガンでしょうね、部品的に」
果南「それは私も分かるよ、ただどんなサブマシンガンかが分からないんだよ」
真姫「…それは私もよく」
ことり「同じサブマシンガンでも性能は大きく違うからね、武器種を聞いたところで一概にどんなものか想像は出来ないね」
善子「そうね」
絵里「…まぁその話はいいわ、それより真姫はどうする?もう帰る?」
真姫「ええ、本当はもっといたいけど流石に長居は危険だからね、帰らせてもらうわ」
果南「はーい、気を付けて帰ってよ?」
真姫「言われなくてもそのつもりよ」
絵里「じゃあね」
真姫「ええ、また」
スタスタスタ ガチャンッ
233 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 21:35:28.14 ID:RR8ZWgfX0
絵里「…お金は全額真姫負担な上にわざわざ部品を持ってきてもらうなんてなんか申し訳ないわね……」
ことり「西木野真姫の性格を見るにイヤなら断ってるから大丈夫だと思うよ」
果南「私もそれは同意見かな」
善子「同じく」
絵里「…戦闘型アンドロイドと標準型アンドロイドは感受性が違うのかしら」
絵里(夕方のわずかな時間で話は一気に進んだ、部品が届き曜は私の銃を作ってくれるということで家の機械やら何やらを使って一室にこもってるし真姫はすぐに帰ってしまった)
ことり「あ、ずるいよ!」
善子「ふふふっ…これは早いもの勝ちなのよ…」
果南「いっけー!これでもくらえっ!」
絵里「ふふふっ」
絵里(それで残された私たちはそれぞれ自由な時間が出来るわけだけど、私を除いた三人はゲーム三昧の様子)
234 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 21:37:59.85 ID:RR8ZWgfX0
一旦中断
235 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/09/25(水) 21:52:31.41 ID:lxuObvUqo
曜ちゃん一見まともそうだけどかなりサイコパスだな
236 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/09/25(水) 22:09:04.44 ID:RR8ZWgfX0
果南「絵里はゲームしないの?」
絵里「お皿洗ってお風呂沸かしたらね」
善子「あ、ごめん…」
絵里「いいわよ別に、三人は遊んでて」
絵里(私も遊びたいけど、色々やることあるしそれを先にやってから)
絵里(だからキッチンで皿洗いをしながら三人の姿を見てるけど、この時間は不思議と私の人生が充実してるなって思ってしまう。間違ってはないのだろうけど、でもどこかが違うそんな充実は実に甘味で……)
絵里(銃弾一つで壊れてしまうような、硝子で出来た秘密の楽園。そんな場所なのかもしれない、ここって)
237 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 22:10:47.40 ID:RR8ZWgfX0
善子「そういえばことり」
ことり「何?」
善子「ことりって人の名前を呼ぶ時って必ずフルネームで言うわよね、なんで?」
ことり「その呼び方が一番しっくりくるからだよ」
果南「えー私たちのことちゃん付けしてよー果南ちゃん♪って」
ことり「…絵里ちゃん」
絵里「! え、ええ?」
ことり「……善子ちゃん」
善子「ええ!後ヨハネちゃんでもいいわよ!」
ことり「………」
ことり「松浦果南」
果南「なんで!?」
238 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 22:11:31.41 ID:RR8ZWgfX0
ことり「松浦果南は松浦果南の方がしっくりくる」
善子「ぷっ…くすくす…」
果南「えぇ…なんか納得いかない」
果南「後そこの堕天使野郎笑うな」
善子「ヨハネよ!」
ことり「松浦果南にちゃん付けは似合わないよ」
果南「納得いかない…」
絵里「あははは…」
239 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 22:14:41.28 ID:RR8ZWgfX0
〜同時刻、某カフェ
にこ「…遅かったわね」
希「ごめんごめんって、色々あって遅れちゃった」
にこ「そう」
希「よいしょっと、にこっちがウチに連絡なんて珍しいやん?明日は槍でも降るんやない?」
にこ「降るなら銃弾ね」
希「うーんまぁあり得なくもない」
希「…そういえばあの住宅街のやつはよくもやってくれたね」
にこ「希がグレネードを使った時点で被害は大きかったからあの状況は何を使っても許されたでしょうに」
希「それでグレネードランチャーを使っていいなんてことにはならないやん?第一にこっちは正義の味方やん」
にこ「はっ私は正義の味方なんてやってるつもりはないわよ、勝つための常套手段を使っただけ。爆破で人が死ぬとか知ったこっちゃないわよ」
希「……よくそんなんで対アンドロイド特殊部隊で一番か二番目に常識人なんて言われたものやね」
にこ「他が頭おかしすぎるのよ、そのせいで対アンドロイド特殊部隊のメンツも仲がいいわけじゃないし」
希「…確かにウチもあそこの子たちとはあまり関わりたくないかなぁ」
240 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 22:16:20.13 ID:RR8ZWgfX0
にこ「ええそうね、でもそんなことより私は聞きたいことがあるのだけど」
希「あ、そうやったね。じゃあ改めてウチに何の用?」
にこ「曜の行方とあんたの連れであるあのお茶目なアンドロイドが言う絢瀬絵里率いる集団でもあんたら殺し屋でもない敵というのを知りたい」
希「うーん、なるほどね」
希「まぁ結論から言うと曜ちゃんの行方は言えないかな」
にこ「…どうしてよ?」
希「ウチとにこっちは友達という関係ではあるけど仲間ではない、いくらウチが無関係とはいえにこっちだけ有利に進む情報はあげれないかな。にこっちが不利っていうならあげてもいいけど、にこっちの周りは海未ちゃんを始めとした頭おかしい人が集まってるから有利になる情報をべらべら言っても面白くないんよね」
希(…というか、今の状況はあの金髪の子の方が圧倒的に不利だし尚更教えるわけにもいかないやんね)
にこ「…あんたってホント意味不明ね」
希「ウチは殺し屋だけど、これでも常識人で相手の立場を尊重してるから♪」
にこ「…それで常識人なら世界のほとんどの人間が常識人ね」
241 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 22:17:51.78 ID:RR8ZWgfX0
希「実力行使で聞きにこないんだ?」
にこ「あんたら殺し屋に喧嘩を売るととんでもなくめんどうなことになるからね、しかも今はあまり戦力を削れない状況だし」
希「んーまぁそうやね」
にこ「それでどうなの?曜の事はさておきもう一つの方は」
希「いいよ、そっちは教えたげる」
希「でも謎なところもかなり多いからあまり期待しないでね」
にこ「ええ」
希「――ちゃん曰く相手の人数はおそらく三人、それでウチらと同じように殺し屋をやってるらしいよ」
にこ「また殺し屋か…」
希「戦闘は一回もしてないから使用武器とかは分からないけど、まぁ手練れやろうね。動いてるのをわざとちらつかせてるから何かを企んでると考えた方がいいかもしれん」
にこ「…希はそいつらをどうするつもり?」
希「正直邪魔だけど、変に手は出せんからなぁ」
希「しばらくは様子見かなぁ」
にこ「…そう」
希「はぁ…何個も何個も問題を持ってこないでほしいね」
にこ「それはこっちのセリフよ、敵は一つだけ充分よ」
希「全くやね」
242 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 22:21:31.46 ID:RR8ZWgfX0
希「…まぁいいや、ねえにこっち」
にこ「何?」
希「ウチはにこっちに情報を提供したんだからにこっちもウチに情報を提供すべきだよね?」
にこ「…何が欲しいの?」
希「あの金髪の子のこと……いや欲張り言うならあの金髪の子そのものが欲しいかな」
にこ「金髪?絢瀬絵里のこと?」
希「そう、多分その子」
にこ「…絢瀬絵里が欲しいっていうのは何?部下にでもしたいの?」
希「そうそう!あの子はウチにとって魅力そのものでしかないね、アンドロイドに詳しいウチなら分かる、あの子は“未知の力”を有している」
にこ「未知の力?」
希「なんというか…潜在的っていうんかな?一回戦うだけじゃいまいち力が把握出来ないんよね」
にこ「ふむ…」
希「…まぁいいや、ウチが聞きたいのはそういうことじゃないんよ」
にこ「…何?」
希「その絢瀬絵里って子は何型のアンドロイド?」
にこ「標準型アンドロイドよ」
希「…なるほどね、ありがとうにこっち。ウチが戦ったのは金髪の子じゃなかったから分からなかったんよね」
243 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 22:23:16.01 ID:RR8ZWgfX0
にこ「…どうするつもり?」
希「……ノーコメントやね」
にこ「殺しに行くなら手伝うわよ、私たちも殺すことを目標としてるし」
希「残念だけどにこっちたちと組むつもりはない、それにウチはその絵里って子を殺したいとは思ってないし。さっきも言ったやん?部下にしたいって」
にこ「…そう、残念だわ」
希「さて、用件は済んだみたいだしウチはここらでおいとまさせてもらうよ、あまり長居はしたくないんでね」
にこ「ええ、じゃあね」
希「ほい、じゃあ」
スタスタスタ
にこ「………」
にこ(絢瀬絵里と希が組んだら……まずいわね)
にこ(その場合は……どうするかしら)
にこ(お互いの総力を費やして戦う総力戦か、それとも私も希の方へ寝返った方がいいのかしら)
にこ「…はぁ、殺し屋は一人だけで充分よ……」
244 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 22:25:16.46 ID:RR8ZWgfX0
〜数時間後、別荘
善子「そのアサルトライフルがどうしたの?」
ことり「ん、あぁこれどうしようかなって」
果南「絵里が使った時にボロボロになっちゃったから流石に使えないよね」
ことり「うん、でも長いこと使ってたしあまり捨てたくないなって」
善子「あ、分かるわ、捨てるに思い出とかが邪魔して捨てられないのよね」
果南「そういうものなの?あまり気にしたことがないんだけど」
善子「そういうものよ」
絵里「…曜に修理してもらったら?」
ことり「あ、絵里ちゃんいたんだ」
絵里「今お風呂から出たところ、曜なら直せるんじゃない?銃が作れるんだし」
果南「確かに」
ことり「……あんまりあいつに頼りたくない」
善子「…まぁ気持ちは分からなくもないわ」
245 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 22:27:54.10 ID:RR8ZWgfX0
〜数時間後、別荘
善子「そのアサルトライフルがどうしたの?」
ことり「ん、あぁこれどうしようかなって」
果南「絵里が使った時にボロボロになっちゃったから流石に使えないよね」
ことり「うん、でも長いこと使ってたしあまり捨てたくないなって」
善子「あ、分かるわ、捨てるに思い出とかが邪魔して捨てられないのよね」
果南「そういうものなの?あまり気にしたことがないんだけど」
善子「そういうものよ」
絵里「…曜に修理してもらったら?」
ことり「あ、絵里ちゃんいたんだ」
絵里「今お風呂から出たところ、曜なら直せるんじゃない?銃が作れるんだし」
果南「確かに」
ことり「……あんまりあいつに頼りたくない」
善子「…まぁ気持ちは分からなくもないわ」
246 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 22:30:03.96 ID:RR8ZWgfX0
ことり「だから対アンドロイド特殊部隊にいる人もそうだしあの殺し屋の集団もそうだけど今使ってる武器が最適な事が多いんだよ」
絵里「じゃあスナイパーを使ってる人はスナイパーが一番いいのね」
ことり「うん、そうだよ。でも私にはよく分からないかな、スナイパーをメインにしてる人の気持ちが」
果南「色々あるんだと思うよ、性格とかもそうだしスナイパーって大して動かなくていいからそういうのも関係してると思う」
絵里「あぁなるほど」
善子「人それぞれよね、使う武器にもちゃんと理由があるしその武器の中で更に種類があってそれにも理由があるんだから」
果南「アサルトライフルにサブマシンガン、ショットガンやスナイパー、そしてライトマシンガンやマークスマンライフルなんてものもあるんだからそりゃあみんな使う武器も違うよ」
絵里「みんな色々考えてるのね…」
絵里(銃なんてとりあえず持っておけばいいって考えてたけど、そんなことは全然ないみたい)
善子『…こんな拳銃一つじゃあの二人とは戦えない』
絵里(何度も頭の中で響くこの言葉、善子も果南も、そしてことりも自分の最適な銃を使ってると聞くけど私にとって最適な銃っていうのはどういうものなのかしら)
絵里(希って人のショットガン二丁もそうだし、曜の使える武器の多さもそうだし、きっとそこに個性だって求められるのだと私は思う。こういう時に銃を使った戦闘経験の浅さが滲み出るのが悔しかった)
絵里『私が…私が…!』
絵里『……なんで』
曜『人を殺すのが怖いんでしょ』
絵里「………」
絵里(人を殺すのに躊躇いがあるのも、それが関係してるのかしら…)
247 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 22:33:41.97 ID:RR8ZWgfX0
善子「それで結局どうするの?その銃は」
ことり「…考える。どうせまだ戦えないんだし」
絵里「傷酷いしね…」
ことり「そうそう、いざという時は別の銃を使うし」
果南「ことりって他の銃使えるの?」
ことり「サブマシンガンなら使えるよ、アサルトライフルならバースト銃じゃなければほぼ使えるはず。ブレが酷い銃はちょっと厳しいけど…」
絵里「バースト銃?」
善子「多分三点バーストの事を言ってるんじゃない?」
絵里「あぁなるほど」
絵里「…ん?三点バーストってトリガーを引くと弾が三発出る銃よね」
善子「そうよ、こういうバースト銃の利点はブレを抑制しやすく弾の消費を抑え銃の部品へのダメージを少なくできること、フルオートじゃない分トリガーを引いた時照準がぐんと上がることはないし、リロードの頻度も落ちる、トリガーを引くことでの銃への負担も少ないから長く使える、これに限るわ」
善子「だけど単純な手数で言えばフルオートに劣るわ、フルオートはトリガーを引きっぱなしでいいけどバースト銃は一回一回引き直さないといけないから絶対に手数負けする」
248 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 22:35:19.04 ID:RR8ZWgfX0
絵里「ふむ…難しいわね。でもバースト銃はブレを抑制しやすいんでしょ?ブレが酷い銃が使えないっていうならことり向けじゃない」
ことり「そういう問題じゃないよ、私は昔から立ち回りが丁寧だって言われてあまり決定打が無くて、だから今の私に必要なのは火力なの、だけど火力が高い銃ってどうしてもブレが酷い銃しかなくて、私どうしても扱えなくて…」
ことり「だけどやっぱり火力は欲しいからだからバースト銃っていう小回りが利く銃を使うよりかはこのQBZ-03のようなちゃんと手数があるフルオートでブレもそこまでない素直な性能をした武器が私にとって一番の銃なのっ」
絵里「へ、へぇ…」
絵里(やはりにわかが口を出すものではないと思った、私の武器については曜に任せようそうしよう…)
絵里「銃って奥が深いのね…」
果南「あはは、ホントにね」
善子「こんな話してたら曜がどんな銃を作ってくるのか気になってきたわ…」
ことり「ねっ」
絵里「ええ」
絵里(これからを生き抜くためには銃の知識も少なからずは必要になるでしょう、だからその時のために、今色々準備する必要がありそうね)
249 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 22:36:56.03 ID:RR8ZWgfX0
〜二日後夜、公園
海未「希」
希「……ん?」
海未「ようやく見つけましたよ、希」
希「何か用?ウチの少ない休み時間を邪魔しないでほしいんやけど」
海未「にこから聞きました、曜の居場所を知ってるそうですね」
希「さあね」
希「というか、今日はフードまで被ってどうしたん?夏真っ只中だって言ってるのに暑くないん?」
海未「心頭滅却すれば火もまた涼し、またその逆も然りです」
希「ひゅーすごいねぇ、剣術を歩む者ってのは」
カチャッ
希「…なんでウチに銃口を向けるん?」
海未「曜の居場所を言ってください」
希「イヤだね」
250 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 22:39:42.76 ID:RR8ZWgfX0
海未「…では、死がお望みで?」
希「……海未ちゃんさ、足を撃たれたって聞いてたけどなんで平然と動いてるん?」
海未「あなたなら知っているでしょう?」
希「…海未ちゃんって本当に人間なんだよね?実はアンドロイドでしたってオチあるよね?」
希「その再生能力、即時回復とは言わないけど数日経てば治っちゃうソレは軽蔑もんだね」
海未「ありがとうございます、私の体を褒めていただいて」
希「…気持ち悪いね」
海未「ええ、それで教えていただけるのですか?」
希「………」
希(向けられた銃口はほぼウチの真横にあった、下手な抵抗をすればウチは死ぬだろう)
希「……それは無理な出来事やねっ!」
海未「っ!?」
バァンッ!
希(…ただ、上手に抵抗すればどうってことない)
希(ジャングルジムに寄りかかりながらコーヒーを飲んでたウチはしゃがみと同時に海未ちゃんに向かって足払いをした、結果海未ちゃんの持つ拳銃から放たれた銃弾は空へと向かいウチは見事に銃弾を回避することに成功、そしてそのまま浮いた海未ちゃんの背中をキックし、ジャングルジムに叩きつけ攻撃に転じた)
251 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/09/25(水) 22:42:42.51 ID:RR8ZWgfX0
海未「がッ…あっ!」
希「今ここで死ぬのは海未ちゃんだよ」
海未「…っ!」ブンッ!
希「おっと」
希(叩きつけられた海未ちゃんはすぐさまジャングルジムの棒を掴んで体勢を立て直してそのまま突き蹴りをしてきたもんで、ウチは顔を少し横に逸らして回避した)
海未「あまり私を怒らせない方がいいですよ、死にたくないなら早めに曜の居場所を言った方が希の為でもあると思うのですが」
希「心配してくれるのはありがたいけど生憎曜ちゃんの居場所を言うつもりはないかなぁ」
海未「ならやはり死んでもらわないとダメなようですね」シュッ
希「そんなのお断りやねっ!」
希(海未ちゃん特有の超スピードの跳躍は人間の反応速度じゃほぼ回避不可能、だから受け止めるしかないんやけどウチはこの跳躍を何回も見てきたものでね)
希「知ってるよ!海未ちゃんが跳躍をするタイミングなんてっ!」
希(ある程度タイミングさえ読めば返り討ちだってできるんよ。海未ちゃんと距離を置いて、その距離を詰めるべく跳躍をした海未ちゃんに対しウチは蹴り上げをした、結果海未ちゃんのお腹に蹴りがヒットして跳躍の勢いは止まり海未ちゃんは背中から地に落ちていった)
252 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 22:45:21.01 ID:RR8ZWgfX0
希「まだまだいくよっ!」
希(倒れる海未ちゃんの心臓目掛けてショットガンを一丁突き刺しに行ったけど、海未ちゃんは横に転がり回避――そしてそこからウチは地面に突き刺さったショットガンを抜いて海未ちゃんに向かって片手で発砲、だけど案の定海未ちゃんは超スピードの跳躍でウチが撃つ前に射線から外れてた)
海未「後ろですよっ」
希「はいはい」
希(一瞬でウチの後ろを取るのは流石に人間とは思えないけど、これが海未ちゃんなんだろうね)
希(後ろから声がした時はウチも避けることも受け止めることも諦めて食らうことを選んだよ)
希(戦闘経験が浅い人ならここで発砲をする為に銃を構えて反撃の隙を作ってくれるんやけど、海未ちゃんはそうしてこなかった)
海未「はぁッ!」ドカッ!
希「ぐ…ぎっ…!」
希(お返しと言いたげな背中への強烈な飛び横蹴り、この威力ときたらやっぱり人間とは思えない威力だよ)
希(蹴りを食らったウチは前方へと吹っ飛んだ)
希「はぁ…いったた……」
海未「随分と余裕そうですね」
希「ウチは常に受け手なもんでね」
253 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 22:48:29.90 ID:RR8ZWgfX0
海未「あの蹴りを食らってもそこまでダメージが通ってないのはもはやアンドロイドと疑ってしまいますね」
希「それはお互い様やん?」
カランッ
海未「!?」
希「あ、気付いちゃった?」
海未「なっ…」
ドカーン!
希「…まぁもう遅いけど」
希「……海未ちゃん相手にはもっと別の場所で使いたかったんだけどね」
希(ウチの十八番と言っても過言じゃない技…なんかな?)
希(ウチは小さい時は占いや手品が好きだった、神秘学が好きでただそれに似たモノで尚且つウチでも出来た手品にハマると人を騙す行為に詳しくなった)
希(相手が一番油断するのは勝利を確信する時じゃなくて勝利を確信するキッカケが出来た時、ウチに蹴りを浴びせた海未ちゃんはウチの事しか考えてなくて、ウチの手元にあったピンの抜かれた手榴弾には目もいかなかっただろうね)
希(ウチ自身の体を犠牲にしてピン抜きグレネードを足元に転がすこの技は様々な人を葬ったよ)
希(だからウチは常に受け手なんよ)
254 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 22:50:45.42 ID:RR8ZWgfX0
海未「…その程度ですか?」
希「…!」
海未「私はその辺の有象無象とは違いますよ、グレネードと手品一つでくだばってたら対アンドロイド特殊部隊にはもういませんからね」
希「あはは…やっぱり海未ちゃんとは関わるべきじゃないね」
海未「ふふふっ降参しますか?」
希「いいや、生憎ウチはまだ死ねないんでね」
希「降参はやめとくよ」
海未「そうですか」
255 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/09/25(水) 22:51:47.07 ID:RR8ZWgfX0
希「じゃあ第二ラウンド開始といこうやん?」
海未「ええ、そうですね」
希「ふう」
希(ウチ深い息を吐きながら二丁のショットガンを下げた)
キランッ
希「…相変わらずやね、その武器」
海未「私の相棒ですから」
希「……そっか」
希(街灯の光に照らされ黒光りする刃物――それを見れば人間だろうとアンドロイドだろうと海未ちゃんの明確な殺意を感じ取ることは可能だった)
希「…にしてもやっぱり珍しいね、銃剣なんて」
海未「私からすればむしろなんでみんなつけないのか不思議ですね」
希「銃が頂点に立ってるというのにわざわざ剣術を嗜む異端者なんているはずないやん?」
海未「そうですか、ですがそれは私にとっては好都合ですね」
海未「誰も使わない分、対策が出来ませんから」
256 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 22:54:14.20 ID:RR8ZWgfX0
海未「希も素晴らしいと思いません?このロンズデーライトで出来た剣は」
希「……そうやね」
希(ロンズデーライトというダイヤモンドより硬い鉱物で出来たその剣はデュランダルの如く壊れない剣と化している)
希(海未ちゃんは銃を学ぶと同時に剣術も嗜んでいた為にこのようなガンソードスタイルが出来上がった)
希(ここで問題なのは――)
希(ウチの戦闘スタイルとほとんど同じということ)
希(ただウチの持つショットガンの銃口には刃物がなく鈍器として扱う型だから根本的には一緒なだけ)
希(…ただ、そこだけでも一緒というのなら……)
海未「先手必勝!」
希「させんよ!」ポイッ
希(銃口がウチに向いてきたもんですぐにスタングレネードを投げた、ウチは人間だし曜ちゃんのような銃弾を回避するための補助装置を持ってるわけじゃないし、海未ちゃんのような人間らしからぬ運動神経を持ってるわけじゃないから銃弾は避けれない)
希(だからまず前提として弾を撃たせないという立ち回りをしないといけないんよ)
257 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 22:57:05.90 ID:RR8ZWgfX0
海未「くっ…」
希「はっ!」ダッ
タッタッタッ
希(海未ちゃんが後ろへ跳躍するのを見てウチは眩い閃光の中に突っ込んだ、ウチは投擲物が大好きなもんでフラッシュに備えたゴーグルをいつもおでこにつけてる、だからこういう時関係無く行動できるのがウチの強みだ)
希「ウチのダンスを見てね海未ちゃん!」
海未「出ましたね…!」
希(ショットガン二丁を乱射しながらバレエのように舞った、近距離でウチのショットガン二丁と平面でやり合うのは誰であろうと無理に等しい、それでいてウチは乱射しながら相手に近づくんだからスナイパーでもいない限りはこの戦法が崩されることはない)
希(もちろんリロード時は止めないといけないけどね)
海未「ホントに頭の悪い武器ですね」タッ
希「ウチの相棒の悪口は言わんといてほしいねっ!」バンバンッ
希(飛び退く海未ちゃんを追うようにウチも跳躍を繰り返しながら発砲する、ウチのショットガンはどちらもAA-12と呼ばれるフルオート式のショットガンで尚且つドラムマガジンだから一つの弾倉に31発の弾が入ってるんよ)
希(だから弾切れも頻繁には起こさないし手数はどのショットガンよりもどのサブマシンガンより強く近距離最強ともいえる、そんな力強いこのAA-12二丁がウチの相棒や)
258 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 23:05:45.89 ID:RR8ZWgfX0
海未「まぁこちらも逃げてるだけじゃないですけどね!」ドドドド
希「はいはい知ってるよ!」ポイッ
希(横っ腹についてるスモークグレネードを辺りにばらまいた、次の瞬間には公園の半分が煙に覆われてお互いにお互いの居場所を分からなくさせた)
希(だから今のウチにリロードをして、よく耳を澄ませた。目を瞑り、音にだけ集中すれば微かに足音が聞こえてくる)
海未「そこですねっ!」スッ
希「うおっと…」
希(足音に気付き目を見開く頃にはもうそこまで海未ちゃんは近づいてた、目で確認出来ない情報は音で確認するのが基本中の基本、それを知ってるウチらは互いに同じ事をして、海未ちゃんはウチを捕捉することが出来たしウチは海未ちゃんの銃剣の一閃を回避することが出来た)
海未「逃がしません!」ドドドド
希「きっ…」
希(一閃を跳躍で回避した後、無理矢理体を左へとねじりその勢いを利用してスライディングをして海未ちゃんが放つ銃弾を回避した)
希「いつっ…!」
希(だけど如何せん、アンドロイドみたく射線が見えてるわけでもないし運動神経も劣るために銃弾がウチの頬を掠めた。でも、ここは当たらなかっただけマシやろうね)
259 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 23:14:00.86 ID:RR8ZWgfX0
ちょっと中断、再開できなかったらまた明日。でもキリのいいところまでやりたいので多分寝るまでにやります
260 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 23:30:20.20 ID:RR8ZWgfX0
希「仕方ないからウチと一緒におみくじやろかっ!」ポイッ
希(そういいながらグレネード、スタングレネード、スモークグレネードを周りにばらまいた)
希(煙で前が見えない状況でなら転がる物体も何かは確認できない、だから必ず避けることを強いることが出来る。そして煙でどこに何が転がってるか分からないからどこに避けていいのかも分からない、それでいてウチは動かないでいいから安全におみくじの行方を見守ることができる)
希(海未ちゃんが引くのは大吉であるスモークグレネードか、吉であるスタングレネードか、凶であるグレネードか)
希(結果は全て海未ちゃん次第やね)
ドカーン!
海未「ぐああぁっ!」
希「ヒット♪今迎えにいくで海未ちゃん!」ダッ
希(そして海未ちゃんが引いたのは凶であるグレネードだった、大きな爆発と共に海未ちゃんの苦しそうな叫び声が聞こえて声の成る方へショットガンを下げて突っ走った)
261 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 23:34:57.09 ID:RR8ZWgfX0
海未「こんなんでくたばれませんよッ!」ブンッ!
希「あっと」
カンッ!
希「…相変わらずやね」
海未「死ねませんから」
希(突っ走った先、頭から血を流す海未ちゃんはすかさずウチに銃剣を振り下ろすもんでウチは二丁のショットガンをクロスさせて受け止めた)
海未「このっ!」カンカンッ
希「ん…いっ…!」
希(左から右から上から下から――――ショットガンを撃つ暇も与えない無数の斬撃を苦し紛れに受け止めた、流石剣術を嗜む者はチャンバラごっこのようにただ振り回すだけじゃないのが厭らしい)
希(そして十数回に及ぶ斬撃の後、強烈な飛び回し蹴りをウチに浴びせ、ウチが後退した隙を狙ってアサルトライフルを発砲)
希「…っ!」
希(流石に死を悟った)
希「はっ!」
希(だけどそのまま死を受け入れるはずもなく、ウチは体を無理矢理動かし右へと跳躍した)
希「っぎ、ああぁっ!」
希(死ぬのは避けた、だけどそれでも死に至る痛みだった)
希(海未ちゃんのアサルトライフルから放たれた二発目の銃弾がウチの横っ腹にヒット、ただここで立ち止まってたらウチは死ぬ。経験がウチに語り掛けた)
希(だからそのまま跳躍途中で片方のショットガンを使って海未ちゃんに向かって発砲した)
262 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 23:37:41.09 ID:RR8ZWgfX0
海未「はっ」ダッ
希「……ぁ」
希(そして次の瞬間には人間とは思えない素早い跳躍を二回繰り返してウチの目の前にやってきた)
希(あぁ…だから海未ちゃんとは関わりたくないんよ。海未ちゃんみたいな常識外れの動きをする人と一対一で本気で戦えば)
希(死ぬに決まってるやん)
海未「ばいばいですね希ッ!」
ザクッ!
263 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 23:38:34.34 ID:RR8ZWgfX0
希「っか……」
希(超一流相手なら、銃を構えて発砲する時間でさえ隙になる)
希(焦っちゃったのかなぁ、ぶっちゃけあの状況は撃っても撃たなくても同じだったかな…)
希(…でも、あえて何もせずに相手が攻めてくるのを待った方が助かる可能性も増えたかもしれない)
希(……ほら、ウチ常に受け手やし)
希「………ぁ」
海未「無様ですね、希」
希「ぁ…ぁァ……」
海未「今ここで曜の居場所を吐いてくれるのなら、助けてあげますよ」
海未「…まぁ、その状態で言うのは無理でしょうけどね」フフフッ
264 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 23:40:49.52 ID:RR8ZWgfX0
海未「にしても、希にしては珍しいですね」
希「……ぁ?」
海未「…いや、曜の技術が上回っただけなのでしょうか」
海未「いくら私の跳躍が並外れていても、近距離でショットガンの弾を躱せるはずがないでしょう?」
希(そういいながら不気味に笑って踵を上げながら靴を指さす海未ちゃんを見て、ウチは察したよ)
海未「流石曜の跳躍アシストは希相手には効果絶大だったようですね」
海未「それを見落とすなんて、希もまだまだですね」
希(靴の裏が仄かに光ってるもんで、仕組みは分からないけど何かからくりがあるんやろうね)
希(やられたなぁ、鬼に金棒…今更知ったところで何の意味もないけどね)
海未「…では、そろそろお別れの時間と行きましょうか」
カチャッ
希「………」
希(死を受け入れたウチはゆっくりと瞼を閉じた)
265 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 23:42:49.27 ID:RR8ZWgfX0
カランッ
海未「ッ!?グレネード!?」
希「ぃ……しょに……しの…か」
希(最後にウチは海未ちゃんの足を掴んで、海未ちゃんに笑顔を見せた)
ドカーン!
「希ちゃーん!!?」
希(声が聞こえた、ウチの優秀な部下の声。太陽のように明るく、でも時に月を宿す暗き闇を持つ声の持ち主)
希(その声が聞こえた瞬間、ウチは安心して力を抜くことが出来た)
266 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 23:47:44.41 ID:RR8ZWgfX0
海未「か…ぁ……」
「希ちゃん!?ねぇ希ちゃん!?」
「ほ、穂乃果ちゃんおちつ」
穂乃果「落ち着けないよ!間に合わなかった…!花丸ちゃん!希ちゃんを持って帰るよ!」
花丸「は、はいずら!」
穂乃果「…後、こいつは私が止めを刺す」
海未「…ぃ…いぃ…!」
穂乃果「…よくも希ちゃんを」カチャッ
267 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 23:50:44.46 ID:RR8ZWgfX0
「はいストップー!」バァン!
穂乃果「っ!」シュッ
「やっぱり流石だね、その身のこなし。バイオレットムーンの右腕と呼ばれながら、軍神という異名を持つ穂乃果ちゃんは」
穂乃果「……誰?」
梨子「桜内梨子、対アンドロイド特殊部隊所属だよ」
穂乃果「…そっか、だから何?」
梨子「海未さんを回収にしに来たんです、ここで殺されては困るので」
穂乃果「…あっそ」バンッ
梨子「……どこを撃ってるんですか?海未さんに当たってませんよ?」
穂乃果「!?」
花丸「あれ!?海未さんは!?」
268 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/09/25(水) 23:52:23.48 ID:RR8ZWgfX0
海未「はぁ…はぁ…ここですよ!」
穂乃果「なんで…」
梨子「…ふっ…ふふふっあははははっ!」
花丸「…ずら!?」
梨子「あははははっはははははーあ…」
梨子「ねえせっかくあなたたちのリーダーが命を犠牲にしてまで与えたダメージが無意味だったって知った今の気持ちはどう?」フフフッ
梨子「悔しいよねぇ辛いよねぇあなたたちのリーダーの命、無駄だったね…んふふふ…あはははははっ!」
梨子「あっはっはっはっは!あーすごい気持ちいいなぁ、人が死んだ後にこういうことが出来るから対アンドロイド特殊部隊ってやめられないよね」
梨子「んふふふ、まぁそんな私をよろしくね、穂乃果さん」ニコー
穂乃果「……へぇ、死にたいんだ。よく分かったよ」
梨子「そんな、今穂乃果さんたちと戦うつもりはないですよっ」アセアセ
花丸(さっきまで狂ったように笑ってたのに急に控えめになって気持ち悪いずら…)
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