このスレッドは950レスを超えています。そろそろ次スレを建てないと書き込みができなくなりますよ。

【艦これ】艦娘「ショタ提督に好かれたい」照月「その35!」【安価】

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

716 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/15(日) 23:01:04.46 ID:AjcP0Ezj0
ナトリ達「………」ザッ…

ナトリ達は静かに、しかし力強く穴の前に立つ。その瞳に迷いは無かった。

ナトリ「……ありがとう」

「……ううん。お礼を言われる程のことじゃないよ。僕はただ、貴女達に……転生出来るという事実を教えたに過ぎない」

ナトリ「それでも、言わせて……?私に……私達に、あの子と再会出来るようにしてくれて……本当に、ありがとう……!」

グレ達「ありがとう……!」

「………」ニコ…

(……僕が知っている名取さん達とは違う。紛れも無く別人のはずなのに……やっぱり、重ねてしまう。どこからどう見ても、その笑顔は……名取さん達で……)ギュッ

ナトリ達「………」

ナトリ達(この穴に入れば、私達は……よし、覚悟は出来た。せーのっ!)

ナトリ達「……っ!」ピョンッ!

パシュウウウウウウウウウウウンッ!

「うっ……!」

スゥッ…

ナトリ達が穴に飛び込んだ瞬間、穴は眩い光を出しながら輝き……ナトリ達と共に消失した。

それを見た少年は、ナトリ達が現世へと旅立ち……輪廻転生していったのだと確信する。

「………」

(大丈夫。名取さん達に、その強い想いがある限り……いつかきっと、今までの出来事を思い出すはず)

(僕だって、ここに来てから……1度も忘れたことが無い。今だって、ずっと……"見ている"から)

(最愛の人の人生を……息子と娘、そして……"孫"が歩む人生を……それだけじゃない。尊敬する"先輩"の人生を……)
717 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2019/12/15(日) 23:01:50.62 ID:AjcP0Ezj0






























48周目提督(……神風ちゃん、1周目父、かみかぜ……1周目提督……今は元帥となった、先輩……)

48周目提督(約束したから。例え死んでしまっても、僕は……ずっと、神風ちゃん達を愛してるって……!)ギュッ

48周目提督「………」

48周目提督(でも……現世へ旅立っていった、名取さん達のことも……時々、見るようにしようかな)

48周目提督(乗りかかった船だし……いずれ、また……出会うことになるだろうから。もしかすると、近い内に……)
718 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2019/12/15(日) 23:04:43.51 ID:AjcP0Ezj0






























――体が、フワフワして……落ちているはずなのに、宙に浮かんでいるような……


――同時に、頭の中が……洗い流されていくような……あれ?私……何して……


――ッ!?いけない!忘れちゃダメ……!私は、50周目提督と再会する為に……


――50周目提督……?誰のこと、だろう……


――うっ、うぅっ……!だから、忘れちゃ……ダメ……!


――あの子は、私の……大好きな、人で……それで……


――それ、で……?私、一体……何を考えて……





























719 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/15(日) 23:05:49.08 ID:AjcP0Ezj0






























――――――ナトリ達……否、彼女らは、その魂が浄化され……少年の懸念通り、前世の記憶を失ってしまった。


――――――永遠と言えるかもしれない。あるいは、ほんの一瞬の出来事だったのかもしれない。


――――――己が何者で、どのような存在であるかさえ、不明瞭だった彼女らが……再び目を覚ます時が訪れる。


――――――全てが消え失せてしまったかと思われたが……そうでは無かった。ただ1つだけ、忘れてはいなかったのだ。





























720 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2019/12/15(日) 23:07:02.96 ID:AjcP0Ezj0

























――真っ暗で、何も見えない……

――私は、“何”……?何、なの……?

――分からない……何も、分からないよ……

――だけど……どうして、かな……?




――――――ずっと、待ち望んでいたかのような……




――温かくて、安心する……でも、それと同じくらい……

――切なくて、悲しい……

――私、どうして……こんな気持ちに……?

――自分が“何者”かも、はっきりしないのに……




――――――でも、これだけは言い切れる。

――――――私の、この気持ちは……!今、抱いている“想い”は……!
























721 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/15(日) 23:08:33.42 ID:AjcP0Ezj0






























――――――"彼"との再会を望む気持ちを。そして……"彼"を、この世の誰よりも愛しているという……"魂に刻まれた想い"を。





























722 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/12/15(日) 23:10:10.89 ID:AjcP0Ezj0






























――――――だが、その間に……"彼"と"彼女"による、骨肉の争いと言う言葉さえ生温く、それでいて……静かな攻防が繰り広げられていたのだ。





























723 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/12/15(日) 23:12:30.04 ID:AjcP0Ezj0
彼と彼女の拒絶反応により、2つの存在は再び破裂してしまい……時空を超えて力の欠片をばら撒いてしまう。

それがきっかけで、彼と彼女は己の存在を維持出来なくなり……永い眠りにつくこととなった。

その間に、各時代で力の欠片を宿した存在が生まれ……時には"善意"を、時には"悪意"を生み出すこととなる。

無論、そのような力とは無関係に……人は他者を思いやり、同時に憎しみを抱く。

彼と彼女は、無意識の内に……前者は"善意"、後者は"悪意"の想いを集めてゆく。

だがそれは、1つ1つが小さい力にしかならない。故に、再び彼と彼女が具現化されるまで……実に数万年の時が流れた。

それも、彼と彼女が全く同じタイミングで具現化されたのでは無い。

「……うぅ」

冷たく暗い海の底。そこで……"彼女"は目が覚めた。

彼が抱いていた"希望"より、彼女が感じていた"絶望"の方が大きく深い。故に彼女の"悪意"を引き付ける力が上回ったのだ。

「ここ、は……海?それも、かなり底の方ね……」

彼女は具現化された直後、全てを把握した。以前のような、自我さえ朦朧としている状態にはならなかった。

1度は彼と合体し、全てを"思い出した"ことは……彼女の絶望を深めるだけでなく、存在の安定にも繋がったのだ。

「………」

(あれから一体、どれほどの時が経ったのかしら……本当なら、今すぐにでも全てを破壊してやりたいけど……)

(自分の姿形を保つのがギリギリである以上、"今"はまだ無理ね……しばらくはここから、ゴミ共の憎しみを集め続けないと……)

今は憎悪の化身となってしまった彼女だが、元は神と言っても差し支えない存在。

仄暗い海の底にいたとしても、人間が生み出す"悪意"を吸収する程度のことは造作も無いのだ。

(真っ赤な瞳に、真っ白な肌……ハッ。確かに私には、こういう誰も近付けない深海がお似合いかもね……)

(それにしても、あんなこの世に必要の無いゴミ共の感情を利用しないといけないなんて……っ!)ギリッ…!

(でも、そいつらを利用するだけ使用して……後で文字通り、ゴミとして処分してやれば……そう考えれば、少しは怒りも鎮ま…………ん?この気配って……)

そこで彼女は気が付く。海の底に、それはもう憎く……同時に、今まさに必要としていた存在が近づいていたことを。

そしてそれは、同時に"その人間"にとって……とてつもなく不幸と言えるであろう運命の時が迫っていることを意味していた。
724 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/12/15(日) 23:15:05.33 ID:AjcP0Ezj0
15周目提督(10)「」ゴボゴボ…

(まさか……人間?でも、こんな過酷な場所、あんなゴミが生存出来るはずが……)

そう。謎の存在により不老不死の力を与えられ、孤独に苦しみながら800年を生き続けた……15周目提督である。

彼女が目覚めたのは、正しく15周目提督が溺れてしまった日……言い換えれば、彼に不死の力が植え付けられた日であったのだ。

「………」

(いや、違う。あいつ、後少しで死ぬわね。呼吸も止まってるし、魂がいまにも肉体から離れようとしている……)

彼は溺死寸前であった。このまま放置していれば、ものの数分で死に至るだろう。

仮に命だけが助かったとしても、長時間の呼吸停止による何かしらの後遺症は避けられない。

(あははっ、無様ね。人間の分際で調子に乗って海を泳ぐからよ。このままこいつの身体が腐り果てていくのを眺め……いや、待てよ?)

そこで彼女はあることを思いつく。目覚めたばかりの状況で、自身の力がどこまで人間に作用するのか。

いずれはこの世を滅ぼそうと考えていても、力が足りなければただ深海で身を潜めることしか出来ない。

しかし、もしかすると……現時点でも、深海から人間に干渉出来るだけの力は集っているかもしれない。

(……こいつで試してみましょうか。どうせ失敗したところで、こいつが無残な死を遂げるだけだもの)スッ…

彼女は、顔面蒼白となった彼に手を向け……己が持つ力の、それも僅かな量を注ぎ込む。

最大の力を発揮し、また永い眠りにつくことになってしまえば本末転倒だ。こんな状況で無茶は出来ない。

「……っ!」ピカッ!

15周目提督「」

「……さて、どうなるかしら」

15周目提督「」

「………」

(反応が無いわね……やはり失敗かしら。となると、しばらくはここで"悪意"を集めるしか……)

15周目提督「」ピクッ

「……!」

15周目提督「………」ピクッ…ピクッ…

(……死にかけていた肉体の生命活動が再開した?それに、血色もどんどん良くなって……こいつの魂が、私の力で……肉体に縛り付けられて……)

彼女が力を注ぐと、死亡直前まで追い込まれていた彼は……再び息を吹き返し、みるみる内に健康体となってゆく。

まるで先程まで溺死寸前だったと言われても信じられない程に……"死の概念さえ存在しない"と思い込んでしまう程に。
725 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/12/15(日) 23:17:19.92 ID:AjcP0Ezj0
「……これは収穫だわ。どうやら、今の私でも……ゴミ共にここまで干渉することが出来るなんて」

(まさか、魂と肉体ががんじがらめになることで不老不死となるなんて……ま、私が与えた力だし、その気になればいつでも取り払えるけど……)

15周目提督「うん……あれ?オラ、確か溺れとったはず……」

「………」ニヤリ

(当然そんなことする訳無い。こいつには、無限の寿命を生き続ける地獄を味わってもらわないとね……そして私の糧にしてあげるわ)

己の力が人間に干渉出来る。その事実を知ることが出来ただけでも、彼女にとっては朗報だった。

無論、彼のように至近距離では無く、深海から干渉するとなれば、それだけ彼女の干渉による影響力は小さくなってしまう。

だが、1人の人間を容易く不老不死にしてしまう程の力であれば、人々の不幸をかき集めるには十分過ぎる程だ。

「気がついた?ふぅ……その様子だと間に合ったみたいね」

(本当なら、今すぐこいつに絶望を突き付けたいけど……まずは希望を与えて、その後に叩き落した方が……あはっ)ニヤッ

15周目提督「んぁ?おめぇ誰だ?もしかしてオラを助けてくれたんか?」

「まぁそんなところ。危なかったわね〜、私が見つけなかったら今頃海の底で骨になってたわよ?」

(うげぇっ……嘘でもこんな演技をしなきゃいけないなんて反吐が出るわ。でも、後に取り込む絶望の為……!)

15周目提督「うえぇ!?そ、そうだったんか……あんがとな!おめぇはオラの命の恩人だ!」

(恩人、ね……あははっ、馬鹿じゃないの?)

「まったく……次はもっと浅瀬で泳ぎなさいよ?」

15周目提督「いやぁ〜あはは……」

「………」

(何も知らないまま地上に返すか、あえて不老不死の事実を教えておくか……後者ね。この歳のガキなら、きっと不老不死になったと思えば喜ぶはず……)

(そしていずれは、自分が不老不死という呪われた存在にされたことに絶望……あはっ。ゴミにはお似合いの末路ね)ニヤリ

「……1つだけ、いい?」

15周目提督「ん?どした?」

彼女は彼に、自身の力を与えて不老不死にしたことを伝える。現在とは違い、まだ不老不死の怖さを理解出来なかった彼は、当然喜んだ。

見事に己の策略通りの展開となり、彼女は彼に気づかれないようほくそ笑む。

同時に、人間がいかに浅はかで救いようのない存在であることを再確認した。
726 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/12/15(日) 23:19:39.96 ID:AjcP0Ezj0
「それこそ矢が刺さろうが火で焼かれようが刀で斬られようが……痛くも痒くも無いわ」

15周目提督「おおー!オラの体は鋼鉄じゃー!どんな敵でもかかって来い!あはははは!」キャッキャ

(ハッ。本当に何も知らないのね……"殺してくれと思う程の絶望を味わっても、死ぬことさえ許されない"ことが、どれほど苦痛なのかを……)

15周目提督「そんで、オラはどうやって元の場所に帰ればいいんだ?いつも遊んでる2人が待って……」

「それなら普通に泳いで行けばいいわ。ここは貴方が溺れていた場所の真下だから、上に泳ぎ続ければ10分くらいで浜辺に着くわ」

15周目提督「そっか!あんがとな〜!んしょんしょ!」ゴボゴボ

「……はぁ。私って甘いなぁ……どうせこの先、人類と争うことになるのに……」

彼は……無限の命を与えられてしまった15周目提督は、上機嫌で海上へと泳いで行った。

その様子を、さも申し訳無さそうな表情を……浮かべる演技をしながら、無知な彼を見上げる彼女。

「……なんてね。恩人?甘い?馬っ鹿じゃないの!?誰がお前のようなゴミを善意で助けるかっての!」

(お前は後で想像を絶する苦しみを味わえ……不老不死という事実が、どれ程に耐え難い苦痛なのかを……あはっ、あはははははっ!)

彼女の思惑通り……彼はその後、村から化け物として追い出され、両親に先立たれてしまう。

それどころか、自殺して後を追うことさえ許されず、800年もの長い間、出会いと別れ……そして、孤独に苦しめられることとなる。

だが、それはまだ彼女が引き起こす絶望の前座に過ぎないのだ。現に彼女は今……

「まだこの世を全て壊し尽くすには足りない……全ッ然足りない!だけど、人間に干渉出来ることは分かった……」

「だったら、私が全盛期の力を取り戻すまで……深海からでも、ゴミ共を不幸のどん底に叩き落してやる!」

(直接は干渉出来なくても、間接的な干渉なら……そうね。人間共の思考や精神に影響を与えて、憎悪を引き出すくらいのことなら簡単じゃない)

……人の精神、否、"魂"に干渉し……人々が自ら"悪意"を生み出す方向へ誘導するという最悪な手段を思いついてしまったのだ。

言わば因果へ干渉するのと同義。無論、今の彼女の力では、全人類を同時に操ることは不可能だろう。

しかし、それならば1人1人の悪意を増大させてしまえば……その後は人間同士が勝手に同士討ちし、醜い争いを勃発させるだろう。

(あははははっ!どうよ!止められるもんなら止めてみなさい!この世の誰よりも憎くて、今すぐにでも消し去ってやりたい……もう1人の"私"……!)

(お前がいつ目覚めるか、もしくは永久に目覚めないか……どっちにしても関係無い!お前が私の前に現れる頃には、全てを手遅れにしてやるッ!!)

もう1人の自分……"彼"に対する執念と怒り、その他考え得る"悪意"が、彼女の持つ力をより一層強化してしまう。

彼女と彼は、元は同一の存在。そう言われて瞬時に理解出来る人が、果たしてこの世にいるだろうか……否、いるはずが無いだろう。
727 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/12/15(日) 23:21:26.24 ID:AjcP0Ezj0






























――――――後に15周目提督は"不思議な男の子"、彼女は"海の精霊"として……人々の間で、伝説として語り継がれることとなる。


――――――その正体は、不老不死という絶望を抱えてしまった不幸な少年と……この世に災厄を振り撒く邪神とも言える、最悪の存在だったのだ。


――――――そして彼女は、"彼"が再び目覚めるまでの数百年間……世界各地の人間の魂に干渉し、ありとあらゆる不幸を生み出すこととなってしまう。


――――――同時に、人々の"悪意"を全て吸収し……時が経つにつれて、彼女は失われた力を取り戻してゆく。


――――――しかし、そのような状況は彼女のある1つの考えによって変わることとなる。実はこれこそが……





























728 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/15(日) 23:23:04.72 ID:AjcP0Ezj0






























――――――――――――人類史のターニングポイント。"艦娘"と"深海棲艦"の誕生である。





























729 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/15(日) 23:24:20.01 ID:AjcP0Ezj0
今回はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。進行が遅くなってしまい申し訳ありません。
実は15周目提督を不老不死にした存在というのは、40周目くらいまではかなりフワッとしていて、細かい設定等は考えていませんでした。
しかし50周目を最終回にすると決めた以上、伏線回収もとい後付け設定で何とかしようと考えた結果、このような展開となりました。

それではまた次回の更新でお会いしましょう。
730 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/15(日) 23:31:56.40 ID:n3ZkqXgRO
おつ
731 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/16(月) 00:17:33.77 ID:KSvh5nv7o
おつあつ
732 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/30(月) 19:48:12.75 ID:Zvz8DNa30
更新が滞ってしまい申し訳ありません。
何とか三が日前後に1回は更新出来るよう努力しますので、それまでお待ちいただけると幸いです。
733 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/30(月) 20:10:33.79 ID:HtpkdOvno
了解
良いお年を
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/01(水) 03:00:42.59 ID:D9yTOLWRO
なんだかんだこれで最後だからね
急いで雑になるよりじっくり時間を掛けて最終回に相応しいクオリティにしてくれた方が嬉しいからいつまでも待つよ
735 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 16:46:03.64 ID:h7aoNFy80
18:00〜19:00頃開始予定です。
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/02(木) 17:07:54.52 ID:0gDBXoSpo
あけおめよろ
737 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 18:33:27.95 ID:h7aoNFy80
始めます。途中で休憩を挟む予定です。
そして申し遅れましてすみません。あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願い致します。
このスレも残り僅かとなりましたが、最後までお付き合いしていただけると幸いです。
738 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/02(木) 18:46:50.55 ID:h7aoNFy80
彼女が15周目提督に絶望を植え付けた日から、実に数百年の時が流れた。西暦にして、およそ1900年前後と言ったところだろうか。

その有り余る時間を、彼女は人間の魂に干渉し……"悪意"を貪ることに費やした。

1日、否、1秒たりとも休まず……ただひたすら悪意を吸収し続けた。

全てはこの世を絶望で覆い尽くし、破壊する為。そして何より、最も許せない存在……"彼"を葬り去る為。

それだけを考えながら、彼女は己の都合で……罪の無い、多くの人々を不幸に叩き落してきた。

冷たく暗い、海の底に佇みながら……執念の炎に燃えた、赤い瞳を輝かせながら。

「………」

(足りない……まだ足りないわ。これだけじゃ、まだ全てを壊すには……全然足りないッ!!)

だが彼女は憤慨していた。人間の精神に干渉し、これまで多くの争いを生み出してきたものの……

かつて全盛期だった頃の、万物を手に取ることが出来る程の力は取り戻せていなかったのだ。

(ゴミ共の醜い欲を刺激して、見るに堪えない戦争ばかり引き起こして来たというのに……まだ足りないというの……!?)

彼女は焦りを感じていた。いくら自分が先に目覚めたとしても、いずれは彼も再び具現化するだろう。

無論、彼女とてその可能性を危惧していなかった訳では無い。だが、今の力では彼を消滅に追い込むには……まだ不十分だ。

(……このままあいつらの悪意を煽るだけでは限界がある、か。だからと言って止める訳にはいかない。何か、あいつらを更に絶望へ叩き落す方法は……)

ドォーン…

「ん?この音は……戦艦か。本当に、少し悪意を刺激するだけであいつらってすぐ争いごとを始めるのよね。ハッ、私を苦しめた時と何も変わっちゃいない」

(お前達のせいで、私は……あんな目に……っ!出来ることなら、私が自らの手であいつらを皆殺しにしてやりたいのに……"自らの手で"……私、が……)

「……!」

彼女は閃いた。閃いてしまった。今まで以上に効率的に人間達から絶望を吸収し、己の糧にする方法を。

「……そうよ。私が自ら戦争を……ゴミ共の争いを激化させてやれば良いのよ。目覚めたばかりの私なら無理でも、今の私なら……!」グッ…

「もちろん、私が"直接"大暴れするには……悔しいけど、まだ力が足りない。だけど、今までと同じように"間接的な"方法でやれば……!」

「それこそ、深海からゴミ共に干渉するのと同じように……遠隔操作で海上に出現させて、そこで大暴れさせてやれば良い……!」

(今まで溜め込んだ力を節約し、尚且つあいつらを震え上がらせる為には……そうね。あいつらが戦争で使う"破壊兵器"で……!)

(それも、奴らと同じ姿をした……それこそ、私のような女から、容赦無く攻撃されれば……惨めで、悔しくて、情けなくってたまらないでしょうねぇ!)

人類が開発した兵器は、実に多くの人間達を殺めてきた。それなら、奴らの絶望をより深くする為にも……奴らと同じ兵器で攻撃してやれば良い。

そう考えた彼女は、己に込められた悪意の力を凝縮させ……人類の破壊兵器を、それも"人間の姿"で具現化する。すると、彼女の目の前に現れたのは――
739 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/02(木) 18:58:42.61 ID:h7aoNFy80
パシュンッ…!

ヲ級「………」

レ級「………」

深海棲艦「………」

「……あははっ、どこからどう見ても人間にしか見えないわ。一部どう見ても人間じゃ無い奴もいるけど、それはそれで怪物みたいだしゴミ共も悲鳴を上げるはず……」ニヤリ











――深海棲艦。人類や艦娘達を攻撃する、謎に包まれた存在。

そう、彼女こそが……深海棲艦の"生みの親"ということになる。











深海棲艦が海で大暴れしていた全ての原因は……文字通り、彼女の海よりも深い絶望にあったのだ。

そして深海棲艦が人間の少女のような外見をしていたのも、彼女の策略と……

そして、42周目提督から読み取っていた記憶が無意識の内に反映された結果だ。

同時に、"彼"が人間達にもてはやされていたことに対し、強い"嫉妬"を感じたからこそ……

似た外見の少女で人類を襲うという、歪んだ"憎しみ"が反映されたとも言えるだろう。

故に深海棲艦は、人類や艦娘達に殺意を抱き……理由も無く攻撃し、不幸に陥れる存在となってしまった。

(こいつらを深海から操って、人間共を無残にぶっ殺していけば……今まで以上に奴らの絶望や憎しみを取り込むことが出来る……!)

(しかも具現化するのに消費する力より、人間共から得られる悪意の方が遥かに多い。これからはこいつらを増やせるだけ増やして、今まで以上にゴミ共を苦しめてやる……!)

(そしていずれは、全盛期の力を取り戻して……何もかも、滅茶苦茶にしてやる……!)

(この世に生き物なんて、必要無い……あんな馬鹿で、愚かで、どうしようもない奴らなんか……ッ!)ギリッ

深海棲艦「………」ギラリ

「……ふぅん。良い目をしてるじゃない。じゃあ早速、奴らが戦争してるところに突撃して、思う存分血の雨を降らせて来なさい!」

深海棲艦「………」コクリ

彼女がそう言うと、深海棲艦達は殺意に満ち溢れた表情をしながら……ゆっくりと、海上へ向かって行く。

今正に世界各地で戦争を始めている人類を、より深い奈落の底へと叩き落とす為に……
740 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/02(木) 19:25:51.92 ID:h7aoNFy80






























――――――彼女が深海棲艦を生み出したことがきっかけで、各国で戦争中の人類の前に……最悪の存在である深海棲艦が現れる。


――――――ただでさえ人間の醜い欲で包まれていた状況に、深海棲艦が介入したことで、戦争は我々が知る歴史より泥沼化する。


――――――当然、犠牲者も激増してしまい、太平洋も大西洋も……どの海にも血が降り注ぎ、正しく彼女の目論見通りとなってしまった。


――――――無論、彼女は深海棲艦によって生み出された人々の悲しみ、憎悪、絶望……全てを飲み込んでいく。





























741 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2020/01/02(木) 19:27:17.90 ID:h7aoNFy80






























――――――だが、世界は……人類はこのまま絶望で支配されることにならなかった。


――――――何故なら……彼女より数百年の遅れをとってしまったが、ついに……"彼"が目覚める時がやって来たからだ。





























742 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 19:40:49.76 ID:h7aoNFy80
ショタ提督「……ん」

彼は偶然にも、かつてナトリ達と共に過ごした浜辺の浅瀬で意識を取り戻す。彼女程ではないが、彼もまた、海の中で目が覚めた。

ショタ提督「ここ、は……そうだ!?ナトリ達は!?」ガバッ

彼女同様、彼も分裂前までの記憶を失っていなかった。最愛の人であるナトリや、グレ達を探そうとするも……

ショタ提督「……いない、か」

当然、見つかるはずが無い。彼はまだ知らないが、ナトリ達は既に転生している。

そして、転生したナトリ達は……"まだ"この世に存在していない。

ショタ提督「………」

ショタ提督(ナトリ達の生命反応を感じない……でも、僕は諦めない。このまま待ち続ければ、いずれ……)

ズドォォォォンッ…!

ショタ提督「……何の音だ?海の上から聞こえて……っ!?」

そして、彼は気が付く。自分が長い時を眠っていた間、何が起こっていたかを……

ショタ提督(あ、あれは一体……海の上に立ち、人間達に攻撃している……それに、あの姿は……!)

ショタ提督(まさか……"もう1人の僕"の仕業か?くっ……!そうか、僕より先に具現化されて……)

彼は全てを"見通し"、瞬時に把握した。彼女が先に意識を取り戻していたことと……

彼女が人間の魂に干渉することで争いを生み出し、挙句の果てには得体のしれない存在で人類を攻撃していたことを。

ショタ提督(人間同士の争いで、罪の無い多くの人々が命を落とし……それだけじゃない。"僕"のせいで、更に犠牲者が……)

人類は自らが開発した兵器で深海棲艦に攻撃するが、全くと言って良い程に効果が無い。

仮にもかつては神とも言える存在だった彼女が生み出した産物に、人類程度の力は……無意味なのだ。

こうしている間にも、深海棲艦は人類を攻撃し……その命を奪っていく。人類を絶望で覆い尽くしてゆく。

傷つき、絶望に呑まれ、悲鳴を上げる者もいれば……発狂し、自ら命を絶つ者も現れる。

ショタ提督「……させない。そんなこと……させるものか……!」

ショタ提督(これ以上、"僕"の思い通りにはさせない……!絶対に、食い止めなければ……だけど、どうすれば……)

人類同士の紛争であれば、こちらも彼女の同様の手段で対抗することが出来る。

しかし、深海棲艦という存在にどう対抗すべきか。人類の兵器が通用しない以上、人間の力では太刀打ち出来ない。

かといって、今の彼の力では正面から戦うことは不可能だ。眠る間に吸収した力は彼女より多いとしても、先に目覚めた彼女が貪り続けた力にはまだ及ばない。

ショタ提督「……っ」グッ

ショタ提督(……"僕"を止められるのは、僕しかいない。あの得体のしれない存在……深海棲艦の暴走を止める為には、僕も……!)カッ

彼女が生み出す"悪意"に対抗する唯一の方法。それは、彼女とは正反対の"善意"の力……そう、彼が持つ力のみ。

そう考えた彼は、彼女と同じように……自身に込められた力を利用し、"ある存在"を生み出す。
743 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 20:03:50.49 ID:h7aoNFy80
パシュンッ…!

妖精達「………」

ショタ提督「………」

ショタ提督(僕の力では、まだ深海棲艦に対抗出来る存在を直接生み出すことは出来ない。だからこそ、こうして……)

彼は"装備妖精"を生み出す。彼女らは彼の力を保有しているが、彼女らだけで深海棲艦と戦うことは難しい。

無論、彼もそれは理解している。妖精達を生み出した理由は……彼女同様、"間接的に"人類に干渉する為だ。

妖精達「………」

ショタ提督(彼女達を海の上……それも、人類の軍施設に送り込む。その後は、彼女達に僕の力を利用してもらって……)

ショタ提督(……深海棲艦に対抗することが出来る技術を組み込む。既存の兵器に、僕の力を注ぎ込めば……)

力を直接行使することが難しいのであれば、既に完成した兵器に力を宿せば良い。

そうすれば、力の消費を可能な限り節約しつつ……深海棲艦から人類を守ることが出来る。

ショタ提督「……皆、ごめんなさい。本当なら、こんなことに皆を巻き込みたくないけど……」

ショタ提督「でも、"僕"を止める為……そして、この世界を守る為なんだ。だから、お願い……!」カッ

妖精達「………」シュンッ…

ショタ提督「………」

ショタ提督(妖精達を海上の、それも人類が持つ海軍施設へと送り込む。そして妖精達と人間の精神に少しだけ干渉して……それだけではダメだ。後は……)

―――

元帥(※本編時間軸に登場する元帥とは別人)「はぁ……」

元帥(突如海から現れ、我々を襲う謎の存在……更に、こちらの攻撃が一切通用しない。)

元帥(このままでは、我が軍の損害は大きくなるばかり……どうすれば奴らに対抗することが出来るんだ……?)

「……ねぇ」

元帥「……ん?」チラッ

妖精達「深海棲艦を何とかしたいの?だったら私達に任せて!」

元帥「なっ……!?こ、これは一体……私はついに幻覚を見てしまう程に追い詰められたというのか!?小さい女が目の前に……」

妖精達「幻覚なんかじゃないよ!本当に、私達なら深海棲艦と戦う武器を作ることが出来るから!」

元帥「……本当、なのか?」

妖精達「うん!だからさ、私達を船渠に案内してくれないかな?」

元帥「………」

元帥(……ダメで元々だ。今は藁にも縋る思い……こいつらに賭けるしかない、か)

元帥「……分かった。ついて来ると良い」

妖精達「はい!」
744 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 20:19:52.16 ID:h7aoNFy80
―――

元帥「着いたぞ。ここが船渠だ」

妖精達「わぁ……大きな船が沢山あるね!」

元帥「当然だ。我が軍が誇る軍艦の数々だからな」

妖精達「ようし!それじゃ早速……作っちゃうね!」シュバババ

元帥「え?」

妖精達はどこからともなく工具を取り出し、小さな身体とは思えない程の動きと速度で船を改造していく。

元帥「お、おい!?何を……」

妖精達(深海棲艦と戦う為には、このままじゃダメ……"私達が"、ちゃんと作り替えないと……!)シュバババ

妖精達は目にも止まらぬ早さで、軍艦に彼の力を注ぎ込んでゆく。

ただ、妖精達には"己に込められた彼の力を宿している"という"自覚が無い"。

そして数分もしない内に、船の改造が完了する。それを見た元帥は、その変貌に度肝を抜かれることとなる。

妖精達「これでよし!」

元帥「なっ……!?」

元帥(う、嘘……だろ……!?あの巨大な船が……)




吹雪「………」キラキラ

電「………」キラキラ

五月雨「………」キラキラ

漣「………」キラキラ

叢雲「………」キラキラ




元帥(人間の女の姿になった、だと……!?)

そう。吹雪、電、五月雨、漣、叢雲。この5人こそが、人類史上初の艦娘だったのだ。

軍艦だった彼女らに妖精達の技術……彼の力が注がれたことで、深海棲艦と同様に人間の姿へと進化を遂げた。

妖精達「どう?凄いでしょ!これなら深海棲艦相手でも十分に戦えるはず!」

元帥「……そう、なのか?いや、あれだけの巨体がここまで小型化する技術……そう考えれば、奴らに応戦することも……!」

元帥(だが、いきなり実戦に利用するのは不安だ……まずは試験的に運用してみなければ……)

―――

ショタ提督「……!」

ショタ提督(やはり僕と"僕"は、本質的に同一の存在、か……船が人間の姿へ形を変えるとは……)

海の中から"見通して"いた彼も、吹雪達の姿を見て驚いていた。

深海棲艦を生み出した彼女と同じように、自分も力を行使した結果……船を人間に変貌させてしまったのだ。

これもまた、42周目提督の記憶を読み取った影響である。彼も彼女も、無意識の内に42周目提督の記憶に感化され、彼女らを生み出した。

ショタ提督「………」

ショタ提督(いや、今は驚嘆している場合ではない。とにかく、これで深海棲艦から人類を守ることが出来るはず……)

ショタ提督(僕の"誘導"通り、人間は"妖精達の存在に対して必要以上に疑問を抱いていない"し、妖精達も"自分自身の存在や能力を疑問に思っていない")

彼は人間や妖精達の精神に干渉し、船を人間にする技術や妖精達の存在を追及しないようにした。

そして同時に、妖精達や人間となった船……艦娘も、自分の存在を深く考えないようにした。言わば思考・因果のプロテクトだ。

こうすることで、人間と妖精達がスムーズに交流することが出来るようになり、そして艦娘とも交流することが出来る。

それだけでなく、万が一人間や妖精、艦娘が真実に辿り着いてしまい……混乱してしまうことを防ぐ為でもある。

一刻も早く人類を深海棲艦から……彼女から守る為、彼は罪悪感を抱きながらも、人の心に干渉することに決めたのだ。
745 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 20:28:52.02 ID:h7aoNFy80
少し休憩します。21:30〜22:30頃再開予定です。
吹雪達の進水日(?)が現実と違っていますが、この世界ではこういう歴史だと考えていただければ幸いです。
746 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 22:32:42.61 ID:h7aoNFy80
再開します。
747 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 22:35:45.46 ID:h7aoNFy80
その後、元帥は吹雪達を「艦娘」と名付け、妖精達と共に旧15周目鎮守府や一部の鎮守府に派遣する。

そこで活動させることで深海棲艦にどこまで戦えるかを見極めようとしたのだ。

ショタ提督「………」

ショタ提督(良かった……旧15周目提督が、艦娘達を人として扱ってくれる良い人で……)

元々が船だった艦娘を不気味に思うことなく、1人の人間として受け入れてくれるかどうかが彼の不安だった。

しかしその心配は杞憂に終わる。旧15周目鎮守府に所属する旧15周目提督は、吹雪達や妖精達を温かく迎え入れたのだ。

―――

旧15周目提督(以下・旧提督)「見ろ!これが我が鎮守府自慢の艦娘だ!」

15周目提督「艦娘とな?」

吹雪「あの、司令官。この子は一体……?」

叢雲(随分とボロボロの服を着てるのね)

漣「うはっ!ショタktkr!」

五月雨(ネットすら存在しない時代でネットスラングを使うなんて……)

電(五月雨ちゃんのその台詞もアウトなのです……)

しばらくすると、かつて彼女によって不老不死となってしまった15周目提督が旧15周目鎮守府を訪れた。

その様子を"見ていた"彼は当然、15周目提督に宿された力の正体を看破する。

―――

ショタ提督「ッ!?あ、あれは……まさか……!」

ショタ提督(あの子の魂から、"僕"の怨念を感じる……魂が肉体と雁字搦めになっていて、絶対に死なないように……それも、数百年以上の間……)

彼女と同じく魂に干渉出来る彼は、15周目提督が過ごして来た時間を瞬時に理解した。

同時に、15周目提督が抱き続けて来た絶望と孤独感も見抜いてしまう。

ショタ提督「……っ」グッ…!

ショタ提督(くっ……僕が先に目覚めていれば、こんな悲劇を防ぐことが出来たかもしれないのに……っ!)

ショタ提督(だけど、今の僕にあの子の呪いを解く程の力が無い……"僕"が込めた"憎しみ"の力が、あまりにも強過ぎる……)

ショタ提督(……ごめんなさい。"僕"のせいで……!)

だが、そんな彼に追い打ちをかけるような悲劇が起きてしまう。

そう。15周目提督が現代にこの地へ赴く理由となった、あの悲しい出来事が……
748 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 22:55:01.45 ID:h7aoNFy80
―――

15周目提督「………」

旧提督「」ゴボボ…

15周目提督「……っ!」ギリッ

吹雪達や旧提督が深海棲艦相手に応戦するも、数の暴力には敵わず……敗北してしまう。

否、ただ負けただけならまだ良い方だっただろう。だが、この戦いで旧提督は……死亡してしまった。

15周目提督「……こんな……こんなことって……っ!」

無論、15周目提督は呪われた不死の力を宿している為、ただ1人生還した。生還"してしまった"。

15周目提督「くそッ!!ワシは……ワシは子供の頃から何も変わっとらんじゃないか!親しい者1人助けることが出来ないなんて……っ!」プルプル

旧提督「」

だが、それが15周目提督の心をより追い詰める結果となってしまった。彼は再び絶望したのだ。

無限の命を持つ15周目提督では、後を追うことさえ許されない。常にただ1人……この世に取り残されてしまう。

―――

ショタ提督「そ、そんな……」

一方、海から様子を"伺っていた"彼も、この敗戦に驚愕していた。

確かに苦戦することは想定内だった。相手が大人数で攻め込むことも考慮していた。

しかし……最初こそ善戦していたが、相手に数隻増援が来ただけでここまで惨敗するとは思ってもいなかったのだ。

ショタ提督(僕は確かに、吹雪達……いや、吹雪さん達に、妖精達を通じて僕の力を注いだはず、なのに……)

―――







吹雪(駆逐艦)「」ゴボゴボ…

五月雨(駆逐艦)「」ゴボゴボ…

漣(駆逐艦)「」ゴボゴボ…

叢雲(駆逐艦)「」ゴボゴボ…

電(駆逐艦)「」ゴボゴボ…







ヲ級「あの駆逐艦達……案外弱かった」

レ級「そりゃあ5対10じゃね〜!」

ル級「私達の圧勝でしょ!」

吹雪達は戦いに敗れ、海の底へと沈み……"人の姿から、傷付いた軍艦の姿へと戻った"。

現代の艦娘とは異なり、吹雪達は"既存の船に彼の力を宿した存在"……故に、その命が尽きた瞬間、"元の軍艦の姿へと戻ってしまう"。

―――

ショタ提督「………」

ショタ提督(……ごめん、なさい……僕のせいで……そして、"僕"のせいで……ごめんなさい……っ!)

彼には謝罪することしか出来なかった。自らが生み出した存在が傷付き、命を落とす光景に……胸が締め付けられる。

だが、彼はその光景から目を背けることはしなかった。出来なかった。せめて、沈みゆく吹雪達の姿を……心に焼き付ける。

この先、このようなことが起こらない等という楽観的思考は許されない。この現実を噛み締めて、彼はそれでも……人類を守る。

ショタ提督(……だけど、ここで止まる訳にはいかない。ここで全てを投げ出してしまえば……"僕"や深海棲艦が、何をするか……分からない……!)

ショタ提督(僕が食い止めないと……それが出来るのは、僕しかいないんだ……っ!)グッ…!
749 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/02(木) 22:58:13.60 ID:h7aoNFy80






























「……ふぅん。あいつ、ついに目を覚ましたんだ」


「何やら私の真似をして、よく分からない奴らを生み出してるけど……そんなガラクタで私を止められると思ってる訳?」


「私が感じた苦しみや絶望は、その程度なんかじゃない……お前如きが、理解出来るはずが無い……!」


「これ以上、邪魔をするというのなら……潰す。潰してやる……ぶっ潰してやる……!」


「そして、今度こそ……お前をこの世から葬り去ってやる……ッ!!」





























750 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 23:22:01.96 ID:h7aoNFy80
その後、人類は深海棲艦との戦いだけでなく、世界規模の大戦争を引き起こすこととなる。

彼女が人間の悪意を刺激し、その度に彼が人間の善意を刺激するも……数百年間の重みが、彼にハンデとして圧し掛かる。

大日本帝国海軍は、連合国及び深海棲艦との戦争に対し、少しでも技術的に優位に立とうと妖精達を総動員させて軍艦を艦娘に変えてゆく。

しかし、そうすればそうするほど……当然だが、犠牲も増えてゆく。人となった艦娘が傷付き、海底に沈んでは大破した船へと変貌する。

当然、彼もその光景を目の当たりにしていた。そして彼にとって、最も辛かったのは……

―――

妖精達「完成!」

名取「………」キラキラ…

軍人「よし!お前にも早速戦ってもらう!」

名取「は、はい……!」

―――

ショタ提督「……!」

ショタ提督(な、ナトリ……いや、違う。彼女は……名取さんは、ナトリとほぼ同じ姿だけど、別人なんだ……"宿っている魂が違う")

軽巡洋艦『名取』が……彼にとっての最愛の人、ナトリと非常に似ていたことだ。

愛する者と瓜二つな少女を戦場に出さなければならない……その事実が、彼の心をより締め付ける。

ショタ提督「……っ」フルフル

ショタ提督(いけない……私情を挟んではならない。"僕"や深海棲艦から、人類を守らなければ……)

だが、彼は彼女と深海棲艦の暴走を食い止める為、妖精を通じて軍艦に己の力を注ぎ込み続ける。

そしてその度に、艦娘達は深海棲艦と戦い、傷付き……犠牲となった者が増えてゆく。

それだけでは無い。元は深海棲艦から人類を守る為に艦娘を生み出したというのに、人類同士の戦争にまで利用されてしまっている。

ショタ提督「………」

ショタ提督(……まさか、"僕"の仕業……なのか……?"僕"が誘導したからか……?)

彼はその可能性に気が付く。深海棲艦や人類同士の争いは、目覚めた時から既に彼女の仕業だと把握していた。

しかし彼女はそれに加えて、彼が生み出した艦娘さえ人類同士の争いに利用し、人々の絶望を生み出す手段として活用しているのだ。

ショタ提督「………」

ショタ提督(……いずれにしても、このままではダメだ。深海棲艦との戦いだけでなく、人類の戦争の被害にまで……)

彼は彼で人間に干渉し、少しずつだが確実に人々の人生を幸福に向かわせ、その都度"善意"や"温かい気持ち"を吸収している。

そして彼女による"悪意"の誘導も、可能な限り横から介入して阻止している。だが、それでも限界がある。

この状況が続けば、艦娘達は深海棲艦と世界大戦の板挟みとなり、犠牲者が増えてゆく一方となってしまう。
751 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 23:50:19.06 ID:h7aoNFy80
ショタ提督「………」グッ…

ショタ提督(これ以上、僕の力を争いに利用したくない……利用されたくない……)

ショタ提督(だけど、そんな我儘を言っている状況ではない……艦娘達を、今までよりも"強く"しなければ……)

彼は"善意"を集め続けたお陰で、現在は目覚めた時よりも多くの力を宿している。

すなわち、艦娘達に注ぎ込む力を増やすことが可能となったのだ。

ショタ提督(最初は人類が生み出した兵器に力を宿せば、僕の力の節約になると考えていたけれど……それが間違いだったんだ)

ショタ提督(そのせいで艦娘達は少ない力で深海棲艦と戦い、消耗しているところに人類同士の戦争にまで巻き込まれてしまった)

ショタ提督(理想を言えば艦娘を戦わせず深海棲艦の暴走を鎮めることだけど、それが不可能である以上……艦娘達を強化するしかない)

彼は大いに悩んだが、罪の無い人々を深海棲艦から守る為と考え……苦渋の選択で艦娘達を強化することを選ぶ。

今までは既存の船に力を注いでいたが、それでは宿す力が少ない為、艦娘達は真価を発揮することが出来ない。

ショタ提督「………」スッ…

ショタ提督(……"0から生み出す"。それでいて、"注ぐ力の量を増やす")カッ

―――

妖精達「……っ!」ドクンッ…

軍人「……どうした?」

妖精達「……作らなきゃ」

軍人「え?」

妖精達「艦娘達を"0から生み出す"為の設備を……作らなきゃ……!」ダッ

軍人「あっ、おい!?どこへ行く!?お前達にはまだ改造して欲しい船が……!」ダッ

―――

ショタ提督「……成功、か」

ショタ提督(本当なら、その場で艦娘を生み出すことも出来たけれど……少しでも自然な形にする為に、設備を開発するところから始めた)

ショタ提督(僕が干渉すれば、その技術に疑問を持たないようにすることは可能だ。でも、その手段を乱用すれば……やっていることが、"僕"と同じになる)

ショタ提督(後は設備が完成次第、僕がその都度妖精達に力を注ぎ……生み出された艦娘達にも、僕が力を注ぐ)

ショタ提督(そうすれば、以前よりも飛躍的に強い艦娘達を沢山生み出すことが出来る。もちろん、無暗に増やす訳にはいかないけれど……)

ショタ提督(僕が持つ力にも……限界がある。せめて、人類同士の戦争が終わらないと……多くの艦娘達を生み出すことは……)

妖精達が迅速に工廠を改造し、以後は既存の船が無くとも艦娘を"建造"出来るようになった。魂も安定し、轟沈さえしなければ不老の存在となった。

それだけでなく、艦娘達がいつか戦いを終えて自由となった時、あるいは愛する者と人生を歩むことを誓った時、限りなく"人間"に近い存在になれるようにもした。

艦娘達の艤装を"解体"すれば、すかさず彼が艦娘に宿った力の一部を回収し……不老の効果を無くし、人間として余生を歩めるようにしたのだ。

何故"一部"なのかと言うと、力の全てを回収してしまった場合、艦娘は人としての姿を保てなくなり、その存在が消滅してしまう為だ。

これにより大日本帝国海軍の戦力は飛躍的に向上し、深海棲艦に対しても以前より善戦するようになる。

もっとも、世界大戦に関しては既に大日本帝国は敗戦寸前まで追い込まれていた為、そこから事態を好転させることは出来なかったが。

だが、これで戦力の問題は解決したとしても……新たな問題が浮上することとなる。
752 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 23:55:38.46 ID:h7aoNFy80
今回はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました!
次回、あるいは次の次の更新で、ようやく回想パートが終了すると思います。
文中に入れ忘れましたが、50周目提督は「艦娘の生みの親」です。
今月の末で5周年を迎えるこのスレですが、ここまで来たら5周年に合わせて完結出来るよう努力したいと思います。

それではまた次回の更新でお会いしましょう。
753 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/03(金) 00:13:31.97 ID:VHm6PxePO
あけおめ&乙
スケールがデカい話になってきたな
754 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/03(金) 02:14:03.10 ID:ZwE7YDj10

これも全て42週目提督って奴の仕業なんだ
こいつのせいでどんだけの被害が出たんだよっていうww
755 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/03(金) 08:01:11.27 ID:GG5gtD1L0
756 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/03(金) 08:43:35.38 ID:U46eJsba0
42週目は色々と本シリーズの分岐点になったねえ
757 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/06(月) 17:39:33.54 ID:XHUDUPaW0
考えてみたら42週目提督ってある意味この世界の創造神見たいなもんだよな
758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/06(月) 18:20:50.32 ID:dM7mF/JFO
潮と羽黒がその事実知ったら深海堕ちしそう
いやこいつらなら深海堕ちしてもいつも通り42週目提督をボコるだけか
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/06(月) 19:20:51.03 ID:RVGGuozQO
ということは42周目がいないと世界が誕生しないしかし世界がないと42周目が誕生しない
42周目が先か世界が先か?
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/06(月) 19:50:02.99 ID:pZXL5xcW0
「ギャグ補正ヤバすぎる提督」で安価取った人は
自分の安価から生まれた提督が創造神みたいになってて今どんな心情か気になる
761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/08(水) 07:09:12.07 ID:KA32Rc+ZO
今回とか40周目見てて思うが>>1の引き出しの多さに驚くわ
しかも後付け設定的なこと言いつつ15周目の設定とかくっつけて書いてるの凄い
762 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/10(金) 20:43:38.45 ID:Bqp2pxgV0
22:30〜23:30頃開始予定です。
763 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/10(金) 23:09:04.23 ID:Bqp2pxgV0
始めます。
764 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/10(金) 23:12:13.46 ID:Bqp2pxgV0
―――

元帥「……これだけの鎮守府を同時に建設するのか?」

軍人「はい!深海棲艦の脅威を減らす為にも、戦力の強化は不可欠です!」

元帥「だが、戦争で焼け落ちてしまった建物等の復旧が……」

軍人「確かにそれも大切です!だからと言って無防備のままでいれば、それこそ日本は更なる被害を負うことになりかねません!」

元帥「う、うむ……」

軍人「とりあえず鎮守府を建設し、一通りの艦娘を用意さえしておけば、最悪の事態だけは防ぐことが出来ます!違いますか!?」

元帥「……分かった。鎮守府の増設を許可しよう」

軍人「ありがとうございます!」

日本はアメリカからの指示により、武装することは出来なくなった。しかし、深海棲艦の被害は既に世界各国に広がり……

例外として、深海棲艦からの脅威に対抗することを目的とするならば、日本が艦娘を保有することを許可されたのだ。

だが、日本は数年前までの世界大戦により、戦争に対して非常に恐怖心を持っていた。

その為、政府や海軍は鎮守府を日本各地に増設し、いつでも深海棲艦に応戦出来るよう準備を整えたのだ。

しかし、彼らは知らなかった。艦娘を増やすだけ増やすということが、彼女らにどれ程の苦痛を与えるのかを……

―――

名取「……提督、いつになったら来てくれるのかな」

長良「あ、諦めちゃダメだよ!待ち続ければ、いずれは……ね?五十鈴っ!」

五十鈴「………」

長良「……五十鈴?ちょっと、ねぇ?」

五十鈴「………」

長良「……っ」ジワッ…

とある鎮守府は、建設後から10年間放置され続け……既に艦娘達の精神崩壊が始まってしまっていた。

五十鈴もその1人であり、彼女の心はもう壊れてしまった。姉妹がどれだけ声をかけようと、返事が返って来ることは無い。

名取「……もう、無理だよ。ずっと、待ち続けて……期待を裏切られ続けて……限界、だよ……」

長良「……うっ、うぅっ……あぁっ……」ポロポロ…

―――

ショタ提督「……っ」

ショタ提督(鎮守府や艦娘を増やし過ぎたせいで、どの鎮守府も提督が不足している……そのせいで、艦娘達が……)

その光景を"見ていた"彼は、やはり胸を痛めていた。自分が生み出した艦娘達が、そのような絶望を感じてしまっていることに。

艦娘達は彼の力によって具現化された存在であり、力の源は"人が持つ温かい気持ち"……言うなれば"善意"だ。

彼が人の善意を取り込んで力を発揮するように、艦娘達もまた、同じ性質を持っている。

すなわち、艦娘達は身近な存在……この場合は"提督と触れ合い、優しい気持ちを受け取らなければならない"。

そうでなければ、艦娘達は己の存在や魂を保ち続けることが出来ず……いずれはその力が弱まり、魂が消滅してしまうのだ。

人間や艦娘達は精神崩壊と考えていたが、実際には"魂の死"……艦娘達は人の温もりを与えられないと、その身体は魂の"抜け殻"となってしまう。

こうなってしまえば、2度と正気に戻ることは無い。仮に彼が新たに力を込めたとしても、1度消滅した魂が蘇ることは無い。

ショタ提督(……それだけでは無い。中には、心無い提督が着任してしまった鎮守府の艦娘達は……)
765 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/10(金) 23:22:48.46 ID:Bqp2pxgV0
―――

駆逐グ級「よくも……よくも私達をこんな目に……!」グイッ

ブラック提督「うぐっ……ゆ、許してくれ!命だけは!」

駆逐ア級「はぁ?今更命乞い?馬鹿にしてるの?」ガシャッ

潜水ユ級「……私達と同じ痛みを、味合わせてあげる……覚悟、して……!」ガシャッ

ブラック提督「ヒッ!?い、嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だっ!誰か!誰か助けてくれええええええええッ!?」

ズドオオオオォォォォンッ!!

ブラック提督「ぎゃあああああああああああああああああああああああああッ!?」

―――

ショタ提督「………」

ショタ提督(例え提督が着任したとしても、深い絶望を持って沈んでしまった艦娘達は……そのまま消滅してしまうか、あるいは……)

ショタ提督(……魂の性質が反転して、この世を憎む存在となり……"僕"が生み出す、深海棲艦となってしまう……)

艦娘も深海棲艦も、元は同一の存在であった彼と彼女から生み出された。すなわち、艦娘と深海棲艦は表裏一体の関係と言える。

故に艦娘の心が憎しみで染まってしまえば、彼が注ぎ込んだ力そのものが反転し……深海棲艦として生まれ変わってしまう。

だが、深い絶望を抱いた彼女が生み出した為に存在が安定している純粋な深海棲艦とは違い、艦娘から変異した深海棲艦は、その存在そのものが不安定なのだ。

これは数百年早く彼女が目覚めたことと、彼女が抱く"絶望"の大きさが彼が持つ"善意"の大きさを上回ることが深く関係する。

通常の深海棲艦は轟沈してもいずれは復活するが、艦娘や艦娘から変異した深海棲艦は……轟沈した場合、そのまま消滅する。

艦娘の場合は魂までは消滅せず、あの世へ旅立つか転生を果たすが……1度深海棲艦となってしまった者は、肉体だけでなく魂まで消滅してしまう。

もっとも、深海棲艦とて無敵という訳では無く、正反対の力を宿した艦娘達の攻撃には多かれ少なかれダメージを受ける。

しかし、彼女が人の悪意を吸収し続ける限り……人間の醜い欲が消えない限り、深海棲艦は何度沈められたとしても復活してしまう。

ショタ提督「……ごめんなさい。僕のせいで……"僕"のせいで、辛い思いをさせてしまって……ごめんなさい……」グッ…

ショタ提督(……心無い提督が着任してしまうのも、"僕"が干渉しているせいだ。僕がそれを食い止めたとしても、"僕"はすぐに他の人間に干渉して……)

彼女が人類や艦娘を陥れようとすれば、すかさず彼がそれを制止する。しかし彼女はまた別の人間へ干渉し、それを彼が制止……

実に100年近くの間、彼と彼女の海底での攻防が繰り広げられることとなる。その中には、彼女のせいで不幸な人生を歩む者もいれば……

彼が干渉したことで、不幸な人生から抜け出すことが出来た者もいる。だが、当の本人らはそのようなことは当然知らない。
766 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/10(金) 23:34:55.25 ID:Bqp2pxgV0
その後も彼は、自らが目覚めた浜辺の底に留まり続けながら……人知れず艦娘達や妖精達に力を与え続けてきた。

同時に、多くの人々や動植物が持つ活力や温かい気持ちを分け与えてもらいながら、彼女の暴走を食い止める為に行動し続けた。

ショタ提督「……!」

ショタ提督(あの深海棲艦、通常の深海棲艦よりも憎悪が強く宿っている……これではますます犠牲者が……!)
767 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/10(金) 23:35:33.47 ID:Bqp2pxgV0
「艦娘とかいう奴ら、少し前までは雑魚だった癖に……最近になって、急激に強くなってくるなんて……」

当然、彼が人の幸福を願うなら、彼女は人の破滅を望む。

彼の行動により、彼女は目的や力の吸収を邪魔されることとなる。無論、そのような状況で黙っている彼女ではない。

「だったらこっちもより凶悪な深海棲艦を生み出すまでよ!あいつとは違って、私には大いなる絶望の力がある!」

「あんなゴミ同然の奴らにやられるような失敗作なんかじゃない……もっと、全てを殺し、破壊出来るだけの強さを……!」カッ…!

「いや、それだけじゃダメ。あのガラクタ共が所属する場所の人間共にも干渉して……!なんなら、あのガラクタ共も利用して……!」

(あいつらが絶望で消滅すれば、それだけで私が優位に立てる。いや、上手くいけば、そいつらからも悪意を吸収出来るかもしれない……!)

これにより、通常の深海棲艦よりも"残虐かつ冷酷な"深海棲艦が生み出されることとなる。

彼女らは後に様々な被害を出すが、彼と彼女がそれを知ることとなるのは……まだ先の話である。
768 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/10(金) 23:38:11.98 ID:Bqp2pxgV0
―――

22周目提督「」ゴボゴボ…

リベッチオ「あ……!」

照月「……え?」

赤城「そ、そんな……!」

大鳳「……て」

22周目提督「」ブクブク…

トプン…

22周目ヒロイン「提督(提督さん)ッ!!」

―――

ショタ提督「……っ」グッ…

ショタ提督(大本営が提督に艦娘達の戦闘を視察するよう命令したせいで、1人の男の子が瀕死に……どうしてそんな無茶な命令を……)

ショタ提督「……!」

ショタ提督(まさか、"僕"が……人を不幸に誘導するだけでなく、艦娘達を絶望させる為に……!)

彼女の妨害は、決して無視出来るものでは無かった。

時にはこうして、本来なら何事も無く人生を歩むはずだった者さえ……絶望に叩き落されてしまう。

彼は己の無力さと、彼女の身勝手な行動に怒りを覚える。

ショタ提督「……どう、して」

ショタ提督(いくら自分が辛い思いをしたからって、無関係な人間を陥れるだなんて……こんなこと、許されるはずが無い……!)

瀕死となった少年……22周目提督を見ていた艦娘達は、当然のことながら魂を絶望が支配してゆく。

しかし一部の艦娘……大鳳達は決して諦めず、その少年が再び目を開ける可能性を信じ続けた。

およそ半世紀後、艦娘達が抱いていた希望が無駄では無かったことが証明されることとなるが、彼と彼女がそれを知るのは……やはりまだ先の話である。
769 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/10(金) 23:42:53.60 ID:Bqp2pxgV0
だが、その間にも彼女による被害者は増える。増え続けてゆく。

これ以上彼女の被害者を増やさない為にも、彼は出来る限り彼女の干渉を妨害し、人々を不幸から救おうと努力し続ける。

だが、それでも彼女の妨害は牙を剥く。どれだけ彼が死力を尽くそうとも、犠牲者は必ず出てしまう。

ショタ提督「………」

ショタ提督(一部の鎮守府に、心無い提督ばかりが着任している……やはり"僕"の仕業か……)

ショタ提督(艦娘達は度重なる提督の悪行で、精神が疲労困憊している……このままでは、魂の消滅か、深海棲艦となってしまう……!)

人格に問題がある提督ばかりが着任してしまい、"呪われた鎮守府"と呼ばれた……43周目鎮守府。

彼女による干渉は、このような形でも人々や艦娘を不幸にしようと襲い掛かって来る。

ショタ提督(僕がいくら干渉しても、その度に"僕"がそれを上回る干渉で……元は同じ存在なのに、こんなことって……!)

その後、43周目鎮守府には43周目提督が着任し、愛宕や加賀を始めとする艦娘達の冷え切った心を溶かすこととなる。

しかし、その時代に至るまでに……彼と彼女は、ある現象を"知覚"することとなる。

ショタ提督「………」

ショタ提督(また、新たな生命が生まれようとしている……どうか、あの子には"僕"が干渉せず……幸せな人生を歩んで欲しいけど……)

彼は生物の善意を司る存在であり、新たな生命が生まれれば……即座にそれを把握することが出来る。

そして、そのようなことを繰り返していれば……このようなケースも存在する。

―――

36周目提督「……うわあああああああああああん!」

36周目父「お、おぉ!泣いた!ちゃんと泣いたぞ!ほら!」

36周目母「……えぇ。本当に……元気な声で……!」

36周目提督「うわあああああああああああああああああああああんっ!」

36周目提督(会いたかったよ……ずっと、ずうっと……会いたかった……っ!)

―――

カッ…!

ショタ提督「……!今、心に何かがよぎって……これは……」

ショタ提督(あの子が"かつて歩んだ"25年の記憶……いや、時間……そうか。あの子も"転生"したのか……)

ショタ提督("僕"のせいで、悪意を増大させられた心無い提督や……深海棲艦に、絶望に陥れられて……!)

そう。転生し、大和を始めとする艦娘達の運命を変えた……36周目提督。彼は36周目提督が転生した事実をその場で見抜いたのだ。

同時に、"本来の"歴史で36周目提督がどのような末路を迎えてしまったのか……それらも全て把握し、理解した。

ショタ提督「………」

ショタ提督(ごめんなさい……僕のせいで……"僕"のせいで、それほどまでに辛い思いをさせてしまって……)

ショタ提督(だけど、今の君なら……きっと大丈夫。君の魂は輝いている……強い想いを宿している)

ショタ提督(これなら絶対に、"僕"の干渉を退けて……艦娘達の運命を変えられる。僕が保証する……!)
770 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/10(金) 23:58:52.01 ID:Bqp2pxgV0
「所詮はガラクタね。ちょ〜っと糞野郎を送り込めば、簡単に絶望して追い詰められてくれるもの」

「あんな奴らなんかが人類を守る?あははっ、寝言は寝て言いなさいよ!そんなんだから私が生み出した深海棲艦にボロボロにされるのよ!」

(もっとも、ガラクタの分際で妙に強い奴らがいることも事実……糞ッ!全部あいつが私の邪魔をするから……!)

カッ…!

「ん?この感覚は……チッ、また転生者か。それもこいつ、私が干渉したことで自殺まで追い詰められただなんて……やっぱりゴミはゴミね」

(ただ、転生者の厄介なところは、同じ手段が通用しないところなのよね……ゴミの分際で汚らわしい。大人しく死んでくれれば良かったのに)

同時刻。彼女もまた、36周目提督が転生した事実を見抜いていた。同時に、自分が干渉することで得られる絶望が僅かに減少したことを嘆いていた。

しかし、彼女は転んでもただでは起き上がらない。彼女は既に、36周目提督の転生が起こす"代償"を掴んでいたのだ。

「……でも、こいつが転生したお陰で、ゴミ共の絶望以上に素晴らしい力が手に入ったわ」

(輪廻転生であれば、私にとっては何も影響しない……単に前世の記憶を持つ輩が現れたところで、別の人間に生まれ変わっているならいつも通り絶望に染め上げれば良いだけ)

(だけど、今回のような……同じ存在として生まれて来る転生であれば、多かれ少なかれ因果に矛盾が生じる。その歪みを糧にすれば……!)

36周目提督の場合、過去の自分の身体に魂を宿すことで転生を遂げた。言わば魂を通じたタイムスリップだ。

そして彼は死に物狂いで過去を変える。本来なら全滅していた艦娘達を、全員が生存する歴史へと改変する。

その際、歴史に歪みが生じてしまう。彼女はその歪みさえ、己の力として取り込むことが出来るのだ。

更に、歪みによる力は、人間の絶望よりも遥かに強く……影響力は計り知れない。何せ"時間"という、この世の摂理を覆すほどの力なのだから。

「……こいつのお陰で、下手に絶望を集めるよりも大きな力を吸収出来たわ。もちろんお礼なんて言わないけど」

(いずれ私が完全復活を遂げたら、せめて功労者として楽に殺してあげようかしら。あははっ!)

そして、因果の矛盾は転生だけに留まらない。

いずれこの時代へとやって来る16周目提督のように、タイムマシン等による過去改変も因果の歪みを生じてしまう。

それだけでなく、30周目提督や49周目提督のように"次元の壁を越えて"現れ……

本来であれば交わることの無かった世界に、強引な手段で干渉する者の存在。

過去改変ほどでは無いものの、異なる次元からの干渉も……多かれ少なかれ、この世の摂理に影響を及ぼしてしまう。

そして、次元干渉と歴史改変、2つの特性を合わせ持つ8周目提督……

彼がこの世界の、この時代に現れた瞬間、因果に大きな歪みを引き起こし、彼女はそれを全て吸収することとなる。

もっとも、どちらの歪みも……いずれは新たな歴史として刻まれ安定する。よって、重大な問題を引き起こすことは無い。

「今に見てなさい……この力で、何もかもぶっ壊してやる……!」

無論、それは彼女が存在しなければの話だが。彼女がいることにより、因果の歪みは最悪な形で人類に襲い掛かろうとしていたのだ。
771 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 00:05:07.71 ID:btZXsrl/0
しかし、何も悪いことばかりが起きた訳では無い。

覚えているだろうか?彼と彼女が合体したことで拒絶反応が起こり、互いの力をばら撒いてしまったことを。

その力はあらゆる場所に飛び散り、時には人間に、時には艦娘に宿り、そして……深海棲艦とて例外では無いのだ。

―――

21周目父「……ショタ提督を見守る会、か」

戦艦棲姫「そんな組織が発足してたのね……」

ヲ級(見守る会)「……はい」

レ級(見守る会)「争おうとする深海棲艦が馬鹿なんですよ!」

カ級(見守る会)「………」

―――

ショタ提督「……まさか、争いを好まない深海棲艦が生まれるだなんて」

ショタ提督(最初は驚いたけれど、彼女達の魂を見て……納得した。彼女達には、僕の力の欠片が宿っている……)

そう。『ショタ提督を見守る会』を発足した深海棲艦達の魂は、彼がかつてばら撒いた……温かくて優しい力で包み込まれている。

そのお陰で、彼女らは憎しみに囚われることなく……人類や艦娘の味方となってくれた。

彼女により生み出された存在が、憎悪以外の感情を持って生きてくれる……それだけでも、彼は嬉しかったのだ。

ショタ提督「………」ギュッ

ショタ提督(それだけじゃない。人間と深海棲艦が、共に分かり合い……それどころか、子を成すことさえやってのけただなんて……)

ショタ提督(やはり僕の考えは間違えていなかった。優しさと温かい気持ちを持っていれば……気持ちを通じ合うことが出来るんだ……!)

後に彼女らは、絶望により深海棲艦となってしまった元艦娘達を救うこととなる。

彼女らがいたお陰で、元艦娘達は消滅を免れ……姿こそ深海棲艦であるものの、艦娘だった頃の……

絶望に支配される前の、温かい心を取り戻すことが出来たのだ。
772 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/11(土) 00:07:32.72 ID:btZXsrl/0
「……ッ!」ギリッ

(どうしてよ……どうして、こうなるのよ……どうしてよッ!お前らは私が生み出した破壊兵器なのよ!?どうしてゴミやガラクタを攻撃しないの!?)

(よりによって"あいつ"の力が宿るなんて!それでまんまと生温い性格になってしまうだなんて……!)

(それどころか、あんなゴミと餓鬼を作るなんて……!許せない。許せない許せない許せないッ!!)

「……見守る会だか何だか知らないけど、私の意に反する行動を取るというのなら……そんな失敗作、私の手で潰してやる……!」

(今に見てなさい……私が全盛期の力を取り戻した時が、お前達の最期よ……生みの親である私の顔に泥を塗ったことを、後悔させてやる……ッ!)
773 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 00:16:47.86 ID:btZXsrl/0
だが、彼の力が宿るということは……当然、彼女の力が宿る者も現れるということ。

それどころか、彼と彼女は元が同一の存在。当初は善悪の区別が無い力だったとしても、宿主の思考次第で……その力はいかようにも性質を変える。

彼はそのような者が不幸な人生を歩んでしまう様子も……この目で見届けていた。

―――

12周目提督(ま、万引きなんて嫌だよぉ……うぅ、どうして僕ばっかり……いっそ"いじめっ子達が酷い目に遭っちゃえば"いいのに……)

男子1「ほらさっさと歩けよ!」

男子2「ったく……あんまりボスを怒らせない方がいいぜ?」

男子3「………」

ヒュウウウウゥゥゥ…

男子1・2・3「ん?」

ズシャアアアアアアアアアアアン!!

12周目提督「っ!?」クルッ

男子1・2・3「」

12周目提督「あ……あぁ……」ガクガク

おっちゃん「おい!大丈夫か!?うわっ!てーへんだ!早く救急車を……!」ピポパ

12周目提督「ま、まただ……また僕のせいで……あぁ……あああああっ!!」

―――

ショタ提督「……っ」

ショタ提督(あの子は……"僕"の力の欠片が宿ってしまったせいで、自らの望みが歪んだ形で叶ってしまう……)

ショタ提督(これも、僕のせいだ……"僕"のせい、なんだ……ごめんなさい……本当に、ごめんなさい……!)

呪われた幸運の持ち主……12周目提督には、正しく彼女の力の欠片が宿ってしまっていた。

増して12周目提督の父親が心無い人間だったせいで、彼女の欠片は……12周目提督に牙を剥く。

仮に12周目提督の父親が真っ当な人間だったとしたら、その力は親からの愛で性質が逆転し……彼が持つ力と同じ性質を持つはずだった。

しかし、現実は甘くなかった。父親が歪んでいたせいで、12周目提督は周囲の人々を不幸にする呪われた力を発現してしまったのだ。

もし12周目提督が秋月達と出会わなければ……自殺を望んだ時、自らに力が発揮され……そのまま命を落としていたことだろう。
774 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 00:24:58.55 ID:btZXsrl/0
一方、己に宿った力を上手く利用する者も存在する。

炎の力に目覚めた13周目提督、プラズマを生み出せるようになった28周目提督、忍術を扱うことが出来る39周目提督……

彼らのように、何かしらの特殊な力を持つ人間はほぼ全員、彼及び彼女の力を宿していると言えるだろう。

無論、24周目提督や49周目提督のように、彼や彼女の力とは無関係に特殊な能力を発揮する者もいるが。

そして中には、このような珍しい者も現れる。

―――

いじめっ子A・B「うええええええええん!」

先生「こら!45周目提督君!どうしてそんなことをしたの!」

45周目提督「そ、その……」オロオロ

先生「お兄ちゃん達を殴るなんてダメじゃない!」

45周目提督「うぅ……――」カッ

裏45周目提督「……は?何言ってんだお前」

先生「えっ……」

裏45周目提督「表の俺が大人しく遊んでいた時所に、年上だからどけと言いながら先に殴ってきたのはこいつらだぞ?」

裏45周目提督「俺はやり返しただけだ。何も知らない癖に表を責めるんじゃねえよ」ギロ

先生「ヒッ……!?」ビクッ!

先生(な、何この子……!?急に態度が……それに、怖い……!)ビクビク

―――

ショタ提督「………」

ショタ提督(僕と"僕"、両方の力の欠片を宿している子が現れるなんて……)

二重人格である45周目提督。その原因は、現代医学で"解離性人格障害"とされている病では無い。

文字通り、2つの魂……彼の力を宿した45周目提督自身の魂と、彼女の力により具現化された魂の2つを持っていたのだ。

それだけでなく、彼女の力により具現化された魂は……彼の力により、憎悪が取り除かれ……45周目提督を思いやる性格となった。

そして極め付けは……ある2人の少年。彼らこそが、彼にとっても、そして彼女にとっても……非常に稀なケースだった。
775 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 00:32:01.41 ID:btZXsrl/0
―――

27周目提督「………」シュパッ

42周目提督「んー!宇宙遊泳も悪くないけど、やっぱ地球の空気が1番だな!ガハハハハ!」

27周目提督「……こいつは」ガクッ

42周目提督「何だよぅ。今回の地球滅亡は俺のせいじゃないだろぅ」ブーブー

27周目提督「ふざけんな!元はと言えばお前がバナナの皮を捨てなかったからだろ!?」

42周目提督「あ、そだっけ?反省〜」

27周目提督「………」アタマカカエ

―――

ショタ提督「……し、信じられない」

ショタ提督(僕や"僕"の欠片では無く、僕がまだ"完全な存在"だった頃にばら撒いた欠片を宿している子がいるなんて……)

ショタ提督(いや、それだけならまだ可能性の範囲内だ。それ以上に驚いたのは……"僕"の力を、ここまで使いこなす子が現れるなんて……)

ショタ提督(しかも先祖代々、魂と遺伝子で受け継がれて来たせいか……とてつもなく強化されている。27周目提督でなければ、彼を止めることは難しい……)

彼が文字通り、万物を司る存在であった時に持っていた力の欠片を宿した27周目提督。

欠片とはいえ、その力は凄まじく……正に不可能を可能にする、"全知全能"の力と言って良いだろう。

それに対し、彼と彼女を分裂させ、この世の全てを創造する原因の1つとなった42周目提督は……彼女の力を宿していた。

先祖の魂と遺伝子により、力の欠片が受け継がれて来たことで……その力が長い時を経て、非常に強力なものと化した。

42周目提督もまた、あらゆる可能性を実現出来る力を持つ存在と言えるだろう。

だがしかし、42周目提督が持つ力はあくまでも彼女が宿していたもの。全能の欠片を持つ27周目提督を上回ることは決して無い。

そして27周目提督も、全能の力と言えど所詮は欠片。それすら上回る力の前には、抗うことさえ困難なのだ。

ショタ提督「………」

ショタ提督(27周目提督が、綺麗な魂の持ち主で本当に良かった……)

ショタ提督(万が一、この子が己の力で暴走していれば……今の僕と"僕"が結託しなければ、止めることが出来なかっただろうから……)

ショタ提督(もっとも、既に42周目提督が己の力で暴走しているけれど……けれど、やはり本当に恐ろしい存在なのは……"僕"だ)

ショタ提督(もし"僕"が全盛期の力を取り戻してしまえば……いや、悲観的になるのはやめよう。それを防ぐ為に、僕が存在するのだから)
776 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 00:43:15.51 ID:btZXsrl/0
やがて彼女により生み出された、通常よりも残虐な深海棲艦達は……あろうことか、外道とも言える手段に出る。

―――

31周目父「」

31周目母「」

レ級「残り2人は、見るも無残なことになってるけど♪」

ヲ級「……私達じゃなかったら、目に映った瞬間気絶してるかも」

レ級「だねぇ……よし!他の奴らに見つかる前に、とっとと赤ちゃん連れて退散しよっか!」

ヲ級「うん」

31周目提督「うわぁぁん!うわぁぁん!」

ヲ級「………」ニヤッ

レ級「………」ニヤリ

ヲ級(この子を使って、あいつらを……!)

レ級(徹底的に叩き潰してやろっと♪)

―――

レ級「……ふふっ」

3周目提督「!?」

レ級「それっ!」ブンッ

ズガッ

3周目提督「」バタッ

運転手「っ!どうした坊主……なっ!?」

レ級「じゃあねー♪」

運転手「……あの野郎!坊主、しっかりしろ坊主!」

―――

ショタ提督「……っ」グッ

ショタ提督(酷い……生まれたばかりの子供にまで……!)

相手が小さな子供、あるいは生まれたばかりの生命であろうと容赦をしない。

彼女は人類を、生命を滅ぼす為……憎しみを集める為には、手段を選ばないのだ。

人々の幸福を願う彼にとって、彼女の行為は……許されざることだった。

ショタ提督(これ以上、"僕"のせいで不幸な人間を増やす訳にはいかない……絶対に、僕が何とかしなければ……!)

だが、およそ9年後、彼女や深海棲艦達は予想だにしない形で手痛い反撃を受けることとなる。
777 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 00:46:26.25 ID:btZXsrl/0
―――

空母棲姫「……ね、ねぇ。これって……」

集積地棲姫「……私達、絶体絶命なんじゃ」

ヲ級「っく……ひるまないで!数はこっちの方が上!」ヨロヨロ

レ級「そ、そうそう!片っ端からやっつけっちゃえ!」ヨロヨロ

全深海棲艦「う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」

4周目提督「き、来ました……!」

1周目提督「よ〜うし!皆で31周目提督君達を全力で守るよー!」

歴代提督&見守る会「おー!」

―――

ショタ提督「す、凄い……!皆が31周目提督の為に、そこまでするなんて……!」

ショタ提督(友達を想う温かい気持ちと、明石さんや夕張さんが生み出した技術が……奇跡を起こしたんだ……!)

31周目提督を救う為に駆け付けた少年提督と見守る会所属の深海棲艦達。それから先は、正にワンサイドゲームだった。

彼の力を宿した少年達による攻撃と、見守る会所属の深海棲艦による攻撃、そして明石と夕張が開発した武器による攻撃。

それらが全て、31周目提督を守る為に繰り出され……残虐な深海棲艦達は、無残に敗北した。

ショタ提督「………」ギュッ

ショタ提督("僕"、見ているのだろう?人の想いは、そう簡単に壊せるものでは無いんだ。だから、もうこんなことはやめて欲しい……)

ショタ提督(君がどのような仕打ちを受けてきたかは、僕もよく"知っている"……だけど、こんなことは……絶対に、間違っている……!)
778 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/11(土) 00:47:32.10 ID:btZXsrl/0
「糞ッ!糞糞糞ッ!糞ったれがああああぁぁぁぁッ!!」

(どうして!?どうして負けるのよッ!?あれだけ私が憎悪を込めた傑作だったのに、あろうことかゴミ共とガラクタ、しかも失敗作に負けるだなんてッ!!)

同時刻、彼女も彼と同じ光景を目にして……憤慨した。己が生み出した深海棲艦が、なす術も無く無様に負けたのだ。

そのような事実を突きつけられて、人類の破滅を望む彼女が怒りを抑えられないはずが無い。

「これも全部あいつのせいよ!あいつがあんなガラクタを生み出すから……あいつが変な力をばら撒くから……ッ!」

「それに、あいつらが使っていた謎の道具……ゴミとガラクタの分際で、あんな得体のしれない物を作り出すなんて……!」

27周目提督や42周目提督でさえ、その力に打ち勝つことが出来ないとされる……"ひみつ道具"。

人類の最新技術と、明石と夕張が持つ"彼の力"を組み合わせて生み出された……人知を超えた力を持つ"神器"とも呼べる代物。

彼女はその力を、これでもかとばかりに見せつけられた。このような物を使用されれば、恐らく全盛期の力をもってしても……全く歯が立たないだろう。

「……でも、奴らは気が付いていない。どれ程凄まじい力を持っていたとしても、所詮は"道具"。その気になればいくらでも対処出来る」

(私が完全復活を遂げる時には、この厄介な物を封じておかないと……それを知ることが出来たと考えれば、この惨めな敗北も……無駄では無い)

(……だけど、それで私の怒りが静まるはずが無い。見てなさい……次に戦う時は、地獄を見せてやる……!)
779 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 00:49:40.38 ID:btZXsrl/0
その後も彼と彼女の、海の底からの攻防は続いてゆく。人が善意を持つ限り、人が悪意を持つ限り……その争いが終わることは無い。

彼女の絶望を支配する力は日に日に強くなっていき、同時に彼が宿す希望を司る力も強くなってゆく。

深海棲艦の脅威も激しさを増していき、艦娘達の精神も不安定になるが……それを彼が食い止め、艦娘達の希望を繋ぎ止める。

そしてようやく、彼にとって……待ち望んでいた、運命の瞬間がやって来る。

ショタ提督「………」

ショタ提督(……まさか、僕とナトリが初めて出会った場所に……鎮守府が建設されるだなんて)

ショタ提督(僕がこの地に具現化して、もうどれ程の時が経ったことだろう……だけど、はっきりと思い出せる……)


ナトリ『貴方のことを考えると、胸がドキドキして……貴方の顔を見ると、嬉しくなって……』

ナトリ『……一緒に過ごす内に、貴方のことが……好きになっちゃったみたい』ギュッ

ナトリ『ずっと、一緒にいたい……この温かさを、ず〜っと感じていたい……』


ショタ提督「……っ」ジワッ

ショタ提督(ナトリ……僕、信じているから……きっと、いつか……再会出来ることを……)

ショタ提督「……!」

ショタ提督(早速、ここで新たな艦娘が生まれたようだ。よし、僕の力を…………ッ!?)

彼は目を疑った。生み出された艦娘は名取、グレカーレ、朝風、U-511。ここまではただの偶然で片付けることが出来た。

しかし彼は名取達に、妖精達を通じて己の力を込めようとした時……その魂を見て、気が付いたのだ。

―――

朝風「……?」キョロキョロ

U-511「………」キョロキョロ

名取「……?」キョロキョロ

グレカーレ「………」キョロキョロ

妖精達「どうして、周りを見てるの?」

名取「……そう、いえば」

グレカーレ「どうして、かな……」

妖精達「……まさか、自分達が艦娘という自覚が無かったりは……しないよね?」

朝風「いや、それは大丈夫だけど……」

U-511「……うん。私は、艦娘……」

名取「……艦娘、だよね。うん……」

グレカーレ「深海棲艦と戦う為に、生み出されて……」

50周目ヒロイン「………」

50周目ヒロイン(……やっぱり、引っかかる。私は、艦娘……それは間違いない……)

50周目ヒロイン(だけど、違う……そうじゃなくて、えっと……)

50周目ヒロイン(……あれ?私、今……そもそも、何を探そうとして……?)

―――

ショタ提督「……同じ、だ」ウルッ

ショタ提督(僕が出会った、グレ、アサカゼ、ユー……そして、ずっと会いたかった……ナトリと……同じ"魂"だ……)ウルウル

ショタ提督(見間違えるはずが、無い……あの魂は、僕に温かい気持ちを注いでくれた……ナトリ達だ……)ウルウル

ショタ提督(僕が初めて恋愛感情を抱いた……ナトリの魂だ……やっと、会えたんだ……!)ウルウル

そう。名取達は、正しく輪廻転生を遂げた……ナトリ達だったのだ。彼は気が遠くなる程の時を待ち続け、ようやく再会を果たすことが出来たのだ。
780 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/11(土) 00:51:04.24 ID:btZXsrl/0






























――――――しかし、現実は甘くなかった。





























781 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 00:55:44.74 ID:btZXsrl/0
ショタ提督「……ッ!」ズキッ

ショタ提督(ナトリ達……名取さん達の魂は、綺麗に……"洗い流されている"……)

名取達の魂は、転生する時に彼女の呪いを洗い流したことで……記憶も流れ落ちてしまっていた。

彼はそれを、一目見ただけで気が付いた。伊達に彼女と長くの間戦い続けて来た訳では無い。

ショタ提督「………」フルフル

ショタ提督(……いや、悲しんではダメだ。こうして、再び出会うことが出来ただけでも……紛れも無く、奇跡なのだから……!)

ショタ提督(せめて……名取さん達と触れ合いたい。もう1度、あの時のように……名取さん達との日々を過ごしたい……!)カッ…!

そう考えた瞬間、彼と名取達の魂が"共鳴"し……彼の身体が完全に具現化され、海の底から地上へと引き込まれてゆく。

―――

ショタ提督「………」スタッ…

50周目ヒロイン「……!」

妖精達「あっ……」

ショタ提督(……肉体の感覚が鮮明になっている。そうか、僕は……また、完全に具現化して……)

ショタ提督(それも、あの頃の姿と全く同じ……僕の記憶が再現したのか、名取達が無意識の内に再現してくれたのか……どちらでも良い)

ショタ提督(これでまた、名取さん達と……あの頃と同じように、同じ時を歩むことが出来るんだ……)

ショタ提督(例え記憶を失っていても、名取さんは……ナトリは、きっと……僕のことを想ってくれていた気持ちは、忘れていないはず……)

妖精達「……もしかして、ここに着任してくれる……新しい、提督……?」

ショタ提督「……うん」

ショタ提督(幸い、この鎮守府にはまだ提督が着任していない。だからこそ、僕が提督となって……名取さんや、皆を……守るんだ……!)

ショタ提督(そして、今度こそ……"僕"の暴走を、食い止めなければ……これ以上、"僕"の好きにさせる訳にはいかない……!)

50周目ヒロイン「………」ジッ

朝風(何かしら……この、既視感……)

U-511(この子が現れてから……急に……)

名取(さっきまでの、不思議な感覚が……強くなったような……)

グレカーレ(でも、私とこの子は……今、初めて会ったばかりで……)

ショタ提督「………」

ショタ提督(……やっぱり、そうか。いや、贅沢は言えない……十分、奇跡と呼ぶに相応しい……!)

ショタ提督(記憶は失っていても……名取さん達の魂に刻まれた想いまでは無くなっていない。これなら、いずれは……)

自らが生み出した艦娘であり、名取達とは魂で繋がっている彼は、名取達が何も言わずともその心情を感じ取ることが出来る。

故に彼は、名取達が記憶を失っていたとしても、その想いが消えていなかったことを瞬時に"把握"した。
782 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 00:57:11.37 ID:btZXsrl/0
ショタ提督(……だけど、そんなことをしたら……今、まだ生まれたばかりの名取さん達を……混乱させてしまうのではないか?)

ショタ提督(それこそ、僕が無理に思い出してもらうよう誘導すれば……転生したばかりの魂に、負担を与えてしまうのではないか?)

彼は不安だった。名取達に全てを思い出してもらいたいのが本音だが、強引に促して名取達の心を苦しめてしまえば本末転倒だ。

増して自分の私利私欲で、人の魂に干渉するような真似をしてしまえば……それこそ、彼女と同じ立場まで落ちぶれてしまうこととなる。

ショタ提督「………」

ショタ提督(……名取さん達が思い出してくれるまで、待つしかない)

ショタ提督(こうして、再び出会えただけでもありがたいのだから……これ以上を求めるのは、贅沢だ)

彼は名取達が記憶を取り戻すその日まで、待ち続けることにした。

大丈夫、きっと思い出してくれる……彼は心の中で、そう言い聞かせる。

再会出来たことの嬉しさで、相手を思いやる気持ちを忘れてはいけない。自分の気持ちを押し付けるようでは、彼女と同じなのだから。

ショタ提督「……"初めまして"。今日からここで提督として活動させていただく……“50周目提督”です」ペコッ

50周目ヒロイン「……っ」ピクッ

50周目ヒロイン(50周目、提督……今、また……あの感覚が……)

ショタ提督(僕には、"この名前"しか無い。他の名前なんて、存在しない……)

ショタ提督(……ナトリが付けてくれた、この名前こそが……僕の、ただ1つの名前なのだから)

50周目ヒロイン「……えぇ(うん)(はい)、よろしくね(よろしくお願いします)」

妖精達「……うん。今日からよろしくね」

ショタ提督「………」コクリ

ショタ提督(グレカーレちゃん、朝風ちゃん、ユーちゃん……そして、名取さん……僕の最愛の人、ナトリ……)

ショタ提督(今度こそ、皆を守るから……"僕"から、皆を……必ず、守ってみせるから……!)

彼は固く決心した。もう、あの時のような過ちは犯さないと。

彼女の魔の手から、名取達を……ナトリ達を、守り切ってみせると。

名取達から、温かい気持ちを分け与えてもらって……彼女の企みを、阻止してみせると。
783 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 00:59:29.07 ID:btZXsrl/0
名取(――――――……)

ショタ提督「………」

名取「……ぁ」

名取(そう、だ……そう、だよ……私、どうして……こんな、大事なこと……忘れて……)

名取(あれだけ、絶対に忘れないと言い聞かせたのに……それなのに、私は……)

ショタ提督「……ナトリ?」

名取「……思い、出しました……ううん、思い出したよ……」ジワッ…

ショタ提督「……!」

ショタ提督(ナトリの魂から、とてつもない力を感じる……!温かくて、優しくて……それでいて、決して揺るがない強さを……!)

名取「それだけじゃない……貴方に何があったかも、全部……"分かった"の……」ウルウル

ショタ提督「……まさか、"共鳴"して……?」

名取「………」コクリ

名取(私より、ずっと先に意識を取り戻して……その間、ずっと……1人で、戦い続けて……)ポロポロ

名取(孤独で、暗い海の底で……たった1人で、人類を守る為に……)ポロポロ

名取(……私と、再会出来ることを……信じ続けて……)ポロポロ

名取「……っ!」ダキッ

ショタ提督「あ……」

名取「ごめんね……ずっと、待たせちゃって……ごめんね……っ!」ギュウッ

ショタ提督「………」

名取「もう1度会おうって、約束したのに……私、全部……忘れちゃってて……!」ポロポロ

名取「しかも、提督を……50周目提督を、長い間……凄く、長い間……1人にしちゃって……!」ポロポロ

ショタ提督「………」

ショタ提督(ナトリ……)
784 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 01:00:48.30 ID:btZXsrl/0
ショタ提督「……っ!」ギュッ

名取「あっ……」ポロポロ

ショタ提督「僕こそ、ごめんなさい……あの時、ナトリのことを……守ってあげられなくて……」ジワッ

名取「……!」ポロポロ

ショタ提督「ずっと、後悔していたんだ……どうして、ナトリ達を守ることが出来なかったんだ、って……」ウルッ

ショタ提督「そのせいで、大好きな人を失って……しかも、それは……もう1人の"僕"のせいで……」ポロポロ

名取「………」ポロポロ

ショタ提督「本当なら、ナトリ達が転生したと気が付いた時……すぐにでも、思い出してもらいたかった……だけど、出来なかったんだ……」ポロポロ

ショタ提督「魂に干渉して、強引に記憶を呼び戻そうとするなんて……そんなことをしたら、やっていることが"僕"と同じじゃないかって……」ポロポロ

ショタ提督「だけど、そのせいで……ナトリ達を、返って苦しめることになってしまって……!」ポロポロ

名取「……っ」ギュッ

ショタ提督「……!」ポロポロ

名取「謝らないで……貴方は、何も悪くないよ……それは、私達のことを考えてくれたから、でしょ……?」ポロポロ

ショタ提督「だけどっ……!」ポロポロ

名取「確かに、私達は1度死んじゃったけど……それは貴方のせいじゃない」

名取「貴方はあの子から私達を守ろうとしてくれた……それだけで、凄く嬉しかったの……!」ポロポロ

名取「それに、こうしてまた出会えたでしょ……?だからもう、良いの……!これ以上、自分を責めないで……!」ポロポロ

名取「悪いのは……貴方を待たせてしまった、私だから……!」ポロポロ

ショタ提督「そんなことない!ナトリは何も悪くない!悪いのは僕で……!」ポロポロ

名取「ううん!私が悪いの!私が貴方をずっと独りぼっちにしちゃったから……!」ポロポロ

ショタ提督「………」ポロポロ

名取「………」ポロポロ
785 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 01:03:36.89 ID:btZXsrl/0
ショタ提督「……初めて、だね」ポロポロ

名取「……うん」ポロポロ

ショタ提督名取(僕〈私〉が言い争いをしたのって……)ポロポロ

名取「あっ……今、50周目提督の声が……」ポロポロ

ショタ提督「……僕達はもう、魂同士で共鳴しているから。お互いの気持ちが、常に通じ合うんだ」ポロポロ

名取「……だから、かな」ポロポロ

ショタ提督「……うん」ポロポロ

ショタ提督名取(ナトリ〈50周目提督〉の、強い想いが……僕〈私〉の心に、注ぎ込まれていく……)ポロポロ

名取「……50周目提督。もう、大丈夫だよ……」ポロポロ

ショタ提督「……うん」ポロポロ

名取「私はもう、貴方を1人にしない……ずっと、貴方の傍にいるから……」ポロポロ

名取(解体なんてしない……未来永劫、この世の終わりまで……50周目提督と一緒に居続ける……!)ポロポロ

ショタ提督「……!」ポロポロ

名取「今まで離れ離れになっていた分、これからは……離れないからね……?」ポロポロ

ショタ提督「……僕も、今度こそ……ナトリや皆を、守ってみせる……必ず……!」ポロポロ

ショタ提督「そして……ナトリ達が笑って過ごせる世界に、してみせるから……!」ポロポロ

名取「……だから、そうやって自分を追い込んじゃダメ」ギュッ

ショタ提督「あっ……」ポロポロ

名取「"ずっと一緒"って言ったよね……?貴方はもう、1人じゃない……私もいるから、ね……?」

ショタ提督「……うんっ」ポロポロ
786 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2020/01/11(土) 01:05:12.06 ID:btZXsrl/0






























("死"という壁さえ乗り越え、再会することが出来た私と50周目提督の"絆"は……誰にも、壊させはしない……!)


(あの時も、今も……こうしてナトリと出会えたことが、僕にとって……1番の奇跡なんだ。僕とナトリの"絆"の力……"僕"に、見せてやる……!)




―― ----との---:50/--


――[シュパァッ…!]50/--


――[パシュン…!]50/-- ――





























――"提督との絆":∞/∞
787 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2020/01/11(土) 01:06:23.29 ID:btZXsrl/0






























《-- "魂"の"共鳴"がより強くなったことで、名取の"魂"に刻まれた"記憶"が……完全に蘇った --》


《-- 名取と想いが通じ合い、互いの"魂"が"共鳴"したことにより……提督の"神通力"が非常に強まった --》





























788 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/11(土) 01:10:04.14 ID:btZXsrl/0






























「……あはっ、あははっ。あはははははははっ!」

(ついに……ついに集まった!何百年も時間をかけた甲斐があった!ようやく集めることが出来た……!)

(ゴミ共に干渉を重ねて……時にはガラクタ共に干渉して、ゴミに絶望を植え付けることもして……ま、それはあいつに邪魔されちゃったんだけど……)

(それでもめげずにゴミ共の醜い感情を拾い集めて……ついに待ち望んだ日がやって来た……!)

「これであいつを葬れる……人間は優しいなんてほざく、あの目障りな糞野郎を葬り去ることが出来る……!」

「それだけじゃない……憎い人間共や、艦娘とかいうガラクタ共もまとめてぶっ殺すことが出来る……!」

「この世のありとあらゆる生物を破滅に追い込むことが出来る……!あぁ、長かった……本当に長かったわ……!」

(……今の私は、あの時以上の力を宿すことが出来た。正しく全盛期と言って良いでしょうね……これで、これで……!)

「……くふっ。あはっ、あははっ!あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっ!」





























789 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 01:11:25.28 ID:btZXsrl/0
今回はここまでです。遅くまでお付き合いいただきありがとうございました!
これにてようやく長い回想パートが終了です。怒涛の伏線回収もとい後付け設定のオンパレードとなってしまいました。
正直、この回想だけでは全て説明出来た感じがしない為、何か質問や疑問等がありましたら随時受け付けます。可能な限り答えます。
回想パートで語り切れなかった部分はエピローグで明らかにする予定ですが、それでもカバーし切れない部分が出てしまいそうなので……

それではまた次回の更新でお会いしましょう。
790 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/11(土) 01:13:59.72 ID:PtS9Z6wZO
おつ
791 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/11(土) 05:22:48.86 ID:Y//E/3IGO

回想だけでも今までの集大成みたいで凄いと思いました(小並感)あとはグレカーレが滑りこめるかどうか・・・
ていうか42週目提督がやらかしたこと見てると聖人の43週目提督でも助走つけて殴るレベルに思えてきた
792 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/15(水) 14:39:29.41 ID:kpIUkcdo0
1週目〜49週目は50週目に繋がる壮大なプロローグだったんだろうな
793 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/17(金) 20:28:33.00 ID:2SchH1zg0
22:00〜23:00頃開始予定です。
794 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/17(金) 22:21:43.32 ID:2SchH1zg0
始めます。
795 :長くなってしまいましたので、複数に分けて投下します。 ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/17(金) 22:23:52.71 ID:2SchH1zg0
《-- 20 --》

――41周目鎮守府・食堂


37周目提督「はぐはぐっ!やっぱ41しゅうめていとくが作るケーキはうまいなぁ〜!」

44周目提督「ふふっ……同感です。私に味覚を搭載して下さった明石様と夕張様、そしてこのようなケーキを提供していただいた42周目提督様に、心から感謝しています」

41周目提督「喜んでいただけて何よりです。お代わりもあるから、沢山食べてね?」ニコッ

49周目提督(ふぇ?50周目提督さんから、凄く温かい力を感じる……村雨お姉さん以上に……!)

40周目提督(……あの世界では、こんなに美味しい物……ずっと、食べられなかったっけ……)モグモグ

ロリ46周目提督「はい、あーん♪」

那智(46周目)「あーん……はむぅっ、美味しいよ、ママぁ……♪」

47周目提督(……46周目鎮守府の那智さん、一体どうしてこうなっちゃったんだろう)

名取「………」チラッ

ショタ提督「………」コクッ

彼と名取は、近隣に住む提督の様子を見に来ていた。ただし、彼と名取が知る真実を伝えることはしない。

名取(本当に、話さないんだね……?)

ショタ提督(……うん。皆を巻き込んで、危険な目に遭わせる訳にはいかないから……)

無論、彼と名取とて分かっていた。友人らに事情を話し、協力を得た方が彼女を抑えやすくなることを。

だが、それは友人らを危険に巻き込むこととなってしまう。ただでさえ彼女のせいで犠牲者が出てしまっているのだ。

全てを知る彼と名取は、これ以上の犠牲を出すことなど許されないと考えた。2人の意見は一致していた。

名取(それにしても……本当に、言葉を交わさずとも意思疎通が出来るなんて……)

ショタ提督(それだけ、僕とナトリが互いを想い合っているからこそだよ)

名取(……うんっ)ギュッ

ショタ提督(それにしても……何の因果か、僕や彼女の力の欠片を宿した子が近くに集まるなんて……)チラッ

39周目提督「こ、このみたらし団子……格別でござる!手が止まらないでござるぅ……!」

45周目提督「この肉まん、凄く美味しい……♪」

裏45周目提督『確かにこれは……1度食べたら病み付きになるな……♪』

名取(忍者に、二重人格……どちらも50周目提督の欠片の力、なんだよね……)

名取「……あれ?そういえば、42周目提督君は……」

43周目提督「42周目提督君なら、さっき潮さんと羽黒さんに連れられて行きましたけど……」

38周目提督「何だか凄く怒っていたようだけど、また42周目提督君が何か大変なことをしちゃったのかな?」

名取(大変どころじゃ済まないことをしでかしてるけどね……はぁ……)

ショタ提督「………」

ショタ提督(うん。確かに、ここから離れた場所から……42周目提督に宿っている、"僕"の力の気配を感じる。同時に、潮ちゃんと羽黒さんの気配も……)
796 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/17(金) 22:26:03.43 ID:2SchH1zg0
――42周目鎮守府


潮(42周目)「何してくれてんですか?何しちゃってくれてんですか!?」ズイッ!

羽黒(42周目)「司令官さんのせいで私達が深海棲艦の祖先にされちゃったじゃないですかッ!!」ズイッ!

狭霧「深wwww海wwww棲wwww艦wwwwのwwww祖wwww先wwwwクッソワロタwwwwまさかの妹が深海棲艦の元ネタwwwwダメwwwwお腹痛いwwww」バンバン

潮「………」ズドドドドッ!ズガアアアアァァァァンッ!

狭霧「ほげえええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーッ!?」チュドーンッ!!

42周目提督「いや〜すまんすまんwwwwあまりにも暇だったもんでひと暴れしたら、まさかこんなことになるとは思わなくてさぁwwww」

潮「笑いごとじゃないですッ!!提督のせいで何もかもが滅茶苦茶になってんですよ!?」

羽黒「回想でいかにもヤバそうな人が出てるじゃないですか!!」

42周目提督「その代わり俺のお陰で天地創造出来たじゃん。むしろ感謝してほしいくらいなんだが?」フンス

潮羽黒「は?(威圧)」

42周目提督「だってさぁ?俺いなかったらお前達生まれて無い訳じゃん?だとしたら俺はお前達の生みの親になる訳じゃん?ほら今すぐ感謝しろよほらぁwwww」

潮羽黒「死にたいようですね([∩∩])」ガシャッ

42周目提督「おっいいのかなぁ?生みの親にそんな態度を取って?」ニヤニヤ

潮「それは50周目提督君……さん?そういえばあの子何歳なんだろう……とにかく!50周目提督さんこそが私達の生みの親でしょうが!!」

羽黒「今すぐ>>752を百万回見直して下さい!貴方の目は腐ってるんですか!?」

42周目提督「細かいこと気にしてるとハゲるぞ。ん?ちょっと待てよ?俺と潮姉ちゃん達って付き合って」

潮羽黒「監視役」

42周目提督「アッハイ。それってある意味さぁ、親(※もちろん俺こと42周目提督様のことな?)と子供(※潮姉ちゃんと羽黒姉ちゃんのことだゾ)がガチで付き合ってる的な?ヨスガっちゃってる感じに」

潮羽黒「おうえええええええええええええっ!」ビチャビチャ

42周目提督「うわ汚ねッ!?マジで吐いてんじゃねーよゲロインかお前らは!?あっでもそう考えると俺も気持ち悪くヴォエエエエエエエエエエエエッ!」ビチャビチャ

潮「いきなりそんな壮絶に気持ち悪いこと言うからでしょーがッ!!」

羽黒「何度でも言いますけど貴方はただの人格破綻者ですから!生みの親でも何でもありませんからッ!!」

42周目提督「お前達がそう思うんならそうなんだろう。お前達ん中ではな」キリッ

潮羽黒「………」ズドドドドッ!ズガアアアアァァァァンッ!

42周目提督「おぉっとぉ!お前達の攻撃なんざお見通しだぜ!」つハリセン スパパパパッ!

潮羽黒「大人しく死んで下さいッ!!」ズドドドドドドドドッ!

42周目提督「やなこったぁ!」スパパパパッ!

狭霧「」プスプス

速吸「………」

速吸(失恋してて良かったぁ……もし自分が敵対組織の祖先なんかになっちゃったら、絶対ネタにされまくってたでしょうし……)ホッ

――

ショタ提督「………」

名取「………」

ショタ提督(……本当にあの子は規格外だよ)

名取(42周目提督君のせいで50周目提督が苦労したのに、そのことに反省すらしていないなんて……)

ショタ提督名取(それ以上に今までのことを当然のように知っていることが1番驚きだけど)

42周目提督に常識は通用しないのだ。無論、傍にいる潮と羽黒も同じことが言えるだろう。

42周目提督「ナレーションよく分かってるじゃねーか!ギャグ時空のキャラに常識なんざ求めちゃいけねーんだよ!」

潮羽黒「ただでさえ最終回でシリアス路線なんだからメタ発言は自重しなさいッ!」

ショタ提督名取「……はぁ」

……このように、第4の壁を平気で突き破ってくるのだから。
797 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/17(金) 22:27:21.77 ID:2SchH1zg0
――

グレカーレ「………」

グレカーレ(最近、提督と名取さん……今までより、一緒にいることが多くなったような……)

グレカーレ(それも、名取さんは提督を心配してるというより……何だろ。上手く言えないけど……深い仲になってる感じ……)

グレカーレ「………」

グレカーレ(良いことのはず、だけど……何だか、変な感じ……頭のモヤモヤが消えないだけじゃなくて……2人を見ていると……)

グレカーレ「……っ」ズキッ

グレカーレ(あ、あれ?私、どうして……胸が痛くなって……)

――悔しいから。

グレカーレ「……!?」

――自分は何も分からず遠巻きに眺めているだけなのに、名取は提督の傍を陣取っている。

グレカーレ(な、何、この声……頭の中に、いや、心の中に響いてくる……)

――自分だけ指を咥えて見ているだけなんて、そんなの……耐えられないでしょ?

――だからさ、奪っちゃえば良い。

グレカーレ「ッ!」

――提督と名取が一緒にいて嫌な気分になるのなら、自分が提督の隣にいれば良い。

――邪魔な奴は消してしまえば良い。そうすれば、私が提督と一緒にいられる。

グレカーレ「………」

――誤魔化しても無駄。自分の気持ちに嘘は……付けないでしょう?

グレカーレ(……確かに、そう……かも)

――簡単なことよ。名取を消して、私が提督を支えれば良い。たったそれだけのことよ。

グレカーレ(名取さんさえどうにかしてしまえば、私が提督の傍に――)

グレカーレ「――ッ!」フルフル

グレカーレ(い、いけない……私、今……何を考えて……!)ガクガク

グレカーレ(名取さんを、消す……?そんなことをして、提督が喜ぶはずが無い……!なのに、私は……そんな、怖いことを……!)ガクガク

グレカーレ(まるで"自分以外の誰かが囁いて来て、それに身を委ねる"かのように……!)


↓1朝風のコンマ       ----との---:32/--
↓2U-511のコンマ       ----との---:18/--
↓3名取のコンマ       提督との絆:∞/∞ 《-- END開放 --》
↓4グレカーレのコンマ    ----との---:41/-- 《-- リーチ --》

反転コンマが最大の艦娘が提督と交流します
ただし名取が最大値の場合、その時点で終了します
798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/17(金) 22:28:34.96 ID:q6QJXNYDO
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/17(金) 22:40:40.79 ID:gHtWR886O
この流れで失恋は辛いな
800 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/17(金) 22:41:56.64 ID:2tDtqtJA0
はい
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/17(金) 22:43:47.43 ID:SGZgY4w60
802 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/17(金) 22:56:16.27 ID:2SchH1zg0
呂500「提督、最近少しずつ元気になってきたと思わない?」

U-511「……うん。名取さんが一緒にいるからかな……」

U-511と呂500は同一人物でありながら、生み出されたタイミングは違う。

故にU-511は"ユー"の魂を受け継いでいるが、呂500は新たに生み出された魂であり、その存在は別人と言えるだろう。

呂500「そうそう!名取さんも、提督といる時はどことなく嬉しそうだし……これはもしかして……」

U-511「……もしかして?」

呂500「付き合っちゃってたりするのかな?」

U-511「付き合う……」

U-511(admiralと、名取さんが……付き合って……)

U-511「……?」

U-511(あれ……何だか、随分前にも……そんなことが、あったような……?)

呂500「……ユーちゃん?」

U-511「……え?」

呂500「どうしたの?急に考えこんじゃって……」

U-511「あ……何でも、ない……」

呂500「?」

U-511(……気のせい、かな)

全てを思い出した名取とは違い、U-511はまだ記憶が蘇っていない。

しかし、その魂には50周目提督と過ごした日々が宿っている。

いつ思い出すかは、50周目提督とどれだけ交流し、魂の共鳴を強く出来るかにかかっている。


提督や名取は何をしていた?

直下

※回想にて50周目提督及び50周目ヒロインの設定を明らかにしましたので、ここからは通常通りの形式で進行致します。
ただ、取っていただいた安価の場合によっては、展開をアレンジさせていただくこともあるかもしれません。
803 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/17(金) 22:57:08.51 ID:2SchH1zg0
すみません!赤字を解除し忘れていました!


呂500「提督、最近少しずつ元気になってきたと思わない?」

U-511「……うん。名取さんが一緒にいるからかな……」

U-511と呂500は同一人物でありながら、生み出されたタイミングは違う。

故にU-511は"ユー"の魂を受け継いでいるが、呂500は新たに生み出された魂であり、その存在は別人と言えるだろう。

呂500「そうそう!名取さんも、提督といる時はどことなく嬉しそうだし……これはもしかして……」

U-511「……もしかして?」

呂500「付き合っちゃってたりするのかな?」

U-511「付き合う……」

U-511(admiralと、名取さんが……付き合って……)

U-511「……?」

U-511(あれ……何だか、随分前にも……そんなことが、あったような……?)

呂500「……ユーちゃん?」

U-511「……え?」

呂500「どうしたの?急に考えこんじゃって……」

U-511「あ……何でも、ない……」

呂500「?」

U-511(……気のせい、かな)

全てを思い出した名取とは違い、U-511はまだ記憶が蘇っていない。

しかし、その魂には50周目提督と過ごした日々が宿っている。

いつ思い出すかは、50周目提督とどれだけ交流し、魂の共鳴を強く出来るかにかかっている。


提督や名取は何をしていた?

直下

※回想にて50周目提督及びヒロインの設定を明らかにしましたので、ここからは通常通りの形式で進行致します。
ただ、取っていただいた安価の場合によっては、展開をアレンジさせていただくこともあるかもしれません。
804 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/17(金) 23:15:15.98 ID:gHtWR886O
改二の存在について色々と調べていた
(存在する娘の有無や正にゆーちゃんとろーちゃんのような別人のようになる存在など)
805 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/17(金) 23:36:22.21 ID:2SchH1zg0
ショタ提督「………」カキカキ

名取「………」

U-511「………」

U-511(あ、やっぱり部屋でお仕事してる……admiralの表情も、前よりも穏やか……)

ショタ提督(……ゆーちゃんが部屋を覗いている)

名取(みたいだね。となると、ここからは"提督"と"艦娘"として接し合った方が良いかな?)

ショタ提督「………」コクリ

彼はもちろん、魂で通じ合った名取もまた、彼や艦娘達を知覚することが出来るようになっている。

自分達が特別な関係だと思われるのは構わないが、まだ記憶が完全に蘇っていないグレカーレ達や無関係な艦娘に……真実を知られるのはまずい。

そう考えた彼と名取は、鎮守府では今まで通りの接し方をしていこうと決めていたのだ。

名取「……ところで提督。少し良いですか?」

ショタ提督「……うん。何?」

名取「私達のルーツは理解しましたけど……"改二"はどういう仕組みなんですか?」

U-511「……?」

U-511(改二……それって、ろーちゃんみたいな子のこと……?そんなことを聞いて、どうするんだろう……)

全てを知った名取は、既に彼の干渉による魂のプロテクトの影響を受けていない。

それに対しU-511は、未だ自身についてを深く考えないプロテクトをかけられた状態にある。

だからこそ、U-511は名取がどうしてそのようなことを疑問に思うかが理解出来ない。

ショタ提督「……力の突然変異、かな」

名取「突然変異?」

ショタ提督「人の善意を元にした力。だからこそ、艦娘が『誰かを守りたい!』と強く願えば……稀に力の性質が強化されることがある」

ショタ提督「もちろん、全てのケースに当てはまる訳じゃない。こればかりは僕も予測不能だから……艦娘や人間の凄さを実感したんだ」

名取「それで改二になれたり、なれない人が……」

ショタ提督「そして1度"改二"を発現した艦娘は、改めて力を宿すと……その性質を共有し、他の同じ艦娘も同様の姿になることが出来る」

ショタ提督「ただ、力の変異の仕方によっては、本人の人格にまで影響を及ぼすことがあるけれど……それでも、今までの気持ちを忘れることは無い」

名取「……はい。それは由良ちゃん達を見ていると分かります」

ショタ提督「人間や艦娘の想いの強さを侮ってはいけない。だからこそ、僕は……"僕"がしていることを、止めなければならない」

名取「同感です」

U-511「……?」

U-511(さっきから何を言ってるんだろ……?全然、分からないよ……)

全てを知る名取にとっては、今の会話だけで意味を全て理解し……彼の目的の為に、共に戦おうと決意する。

しかし、外から覗いているU-511には……彼が施したプロテクトの影響もあり、2人の話が頭に入ってこない。

否、頭に入ってきたとしても……それを考え、理解することが出来ないのだ。

ショタ提督「………」

名取「………」

ショタ提督(……やっぱり、ゆーちゃんには伝わっていないようだね)

名取(それだけ50周目提督のプロテクトが強力なんだと思う。私もこの前まで、違和感こそ抱いていても……深く疑問に思うことは無かったから……)


提督達orU-511の行動

直下
806 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/18(土) 00:07:03.86 ID:fUDOw7/mO
提督と名取に何の話をしてたか聞いてみる
807 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/18(土) 00:09:12.93 ID:caPQ6YZO0
短くてすみませんが今回はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました!
それではまた次回の更新でお会いしましょう。
808 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/18(土) 02:52:16.89 ID:P6B+/otMO

なんかグレカーレにヤバイ感じに・・・そして案の定狭霧が爆笑からの炭にされてて草
809 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/29(水) 01:18:55.59 ID:IiMH2SCU0
もう少し42週目提督は反省した方がいいと思うの
それにしても速吸は失恋したお陰でちょうど笑いのネタにもされず42週目提督の被害も回避する能力が付いている上に狭霧みたいに消し炭担当からも外れた安全地帯にしれっと居るのもさりげなに草かも
810 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/30(木) 00:38:14.51 ID:uGSVDMYDO
5周年おめ!
1週目からリアルタイムで見てきたがこんなに続くとはなあ
811 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/30(木) 18:42:18.25 ID:aVLGXrNT0
22:30〜23:30頃開始予定です。
812 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/30(木) 22:59:20.95 ID:aVLGXrNT0
始めます。
813 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/30(木) 23:02:27.91 ID:aVLGXrNT0
U-511「………」

U-511(2人に、聞いてみよう……かな。もしかしたら、私やろーちゃんに関係することかも……)

ショタ提督「………」

名取「………」

名取(……どうする?)

ショタ提督(……上手く誤魔化すしかない。今の彼女には正確に説明したとしても、恐らく理解出来ないはずだから)

名取「………」コクリ

彼と名取は無言で心を通わせ、U-511に対してどう対応するかを決める。

プロテクトはもちろん、まだ記憶を取り戻す兆候さえ見せていないU-511に包み隠さず話すのは危険を伴うと判断した為である。

U-511「……admiral」

ショタ提督「……ゆーちゃん」

名取「ゆーちゃん?どうしたの?」

U-511「えっと……今、改二について……話してなかった……?」

名取「うん。ちょっとだけ気になって」

U-511「それって、私やろーちゃんと関係……ありますか……?」

ショタ提督「いや、そういう訳じゃないけど……」

U-511「あ……そう、ですか……」シュン

U-511(じゃあ、やっぱり……無関係なんだ……)

ショタ提督「………」

名取「………」

ショタ提督(ごめんなさい、ゆーちゃん……だけど、今はまだ話す訳にはいかないんだ……)

名取(私でさえ、記憶を取り戻すまでかなりモヤモヤしたし……取り戻した直後も、混乱していたから……)

彼と名取は罪悪感を抱くが、これもU-511のことを考えての結論なのだ。

無理に真実を伝え、激しい混乱を引き起こすと……前世の魂を受け継いだU-511に、何が起こるか予想が付かない。

増して、その隙を"彼女"に狙われれば……最悪のケースに繋がってしまう。

U-511「………」


反転コンマ判定:U-511の反応は?

01〜49:少し違和感を抱きながらも部屋に戻る
提督との絆上昇率:小 ×1.0
50〜98:提督と名取に何か考えがあるのではと無意識の内に納得する
提督との絆上昇率:中 ×1.5
ゾロ目:一瞬だけ前世の記憶が蘇りかける
提督との絆上昇率:大 ×2.0

直下
814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/30(木) 23:05:04.56 ID:BFygwb8h0
815 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/30(木) 23:15:53.15 ID:aVLGXrNT0
《-- 52 --》――惜しい


U-511「………」

U-511(よく、分かんないけど……もしかして、admiralと名取さん……私に、気を遣ってくれてる……?)

ショタ提督「……!」

名取「……!」

U-511は彼らの様子を見て、何故かそのような考えが頭に浮かんでいた。

それもそのはず、現在もU-511の魂は彼と共鳴しており……彼のU-511を心配する気持ちを、U-511は潜在意識で感じ取っていたのだ。

そして、U-511がそのような考えに至ったことを……彼と名取も、確かに心で感じていた。

U-511「………」

U-511(あまり、踏み込まない方が……良い、のかな……?)

ショタ提督「………」

名取「………」

ショタ提督(僕との距離が近ければ近い程、やはり影響を受けてしまうか……)

名取(みたい、だね……でも、幸い記憶を無理に呼び起こさせるようなことにはならなかったけど……)

U-511「………」

U-511(……うん。また、今度……聞いてみよう。admiralの、都合が良い時に……)

ショタ提督「……っ」グッ

ショタ提督(いずれは、本当のことを話す時が来る……その時には、必ず……全てを伝えるから……)


提督との絆 コンマ一の位×1.5 上昇

直下
742.19 KB Speed:0.5   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)