【オリロンパ】矛盾の希望とコロシアイ洋館生活RESTART

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1 : ◆5IONXlxNzTMN [!orz]:2019/09/02(月) 00:00:50.81 ID:PyRLcjVA0
この作品は
【オリロンパ】矛盾の希望とコロシアイ洋館生活【安価】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1451827818/
の安価なしリメイクです。

ダンガンロンパシリーズのネタバレがあります。

舞台はオリジナル【洋館】です。

当然の事ながらオリキャラとなりますのでご注意ください。

前作
【オリロンパ】安価キャラでコロシアイ特急列車の旅【安価】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1439992477/

同時進行
【ダンロン】ダンガンロンパ・クエスト【オリキャラ】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1469192282/

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1567350050
2 : ◆5IONXlxNzTMN [saga]:2019/09/02(月) 00:02:37.73 ID:PyRLcjVA0
〔名簿〕

・男子

・伊勢 実(イセ ミノル)
・才能…〈超高校級の???〉
・身長…179cm
・胸囲…87cm
・キーワード
〔主人公〕…原則的に被害者にもクロにもならない。
〔完全記憶能力〕…一度見たり聞いた事は忘れない。
〔リーダーシップ〕…みんなを引っ張る統率力が高い。
〔前向きなイケメン〕…物事を前向きに捉える。しかもイケメン。

・東 夕人(アヅマ ユウト)
・才能…〈超高校級の幸運〉
・身長…176cm
・胸囲…84cm
・キーワード
〔幽愁暗恨〕…誰も知らない深い憂い、恨みを抱えている。
〔神仏眼鏡〕…表面的にはまるで神や仏のような人物。眼鏡をかけている。
〔猪突猛進〕…目標に向かって一心に突き進む。

・ダヴィデ・エピメニデス
・才能…〈超高校級のモデル〉
・身長…194cm
・胸囲…90cm
・キーワード
〔心は女性〕…立派な男ですが心は女性。
〔真面目とふざけて盛り上げる場面のオンオフがしっかり出来る〕…空気を読むのが上手く、オンオフも問題なし。
〔ナルシスト〕…自分が大好き。

・天童 昴(テンドウ スバル)
・才能…〈超高校級の執事〉
・身長…159cm
・胸囲…70cm
・キーワード
〔中性的な顔立ちで優しく真っ直ぐな性格〕…彼の顔立ちと性格は周りに好印象を与える。
〔コーヒーソムリエ〕…コーヒーにはちょっとうるさい。
〔親切〕…困った人は放っておけない。
3 : ◆5IONXlxNzTMN [saga]:2019/09/02(月) 00:03:36.82 ID:PyRLcjVA0
・符流 ケン(フリュウ ――)
・才能…〈超高校級のピアニスト〉
・身長…199cm
・胸囲…78cm
・キーワード
〔かなりの長身〕…二メートルに行くかという長身。
〔孤高〕…群れようとしない。
〔オペラ口調〕…歌うように喋る。

・百鬼 勇次(ナキリ ユウジ)
・才能…〈超高校級のテニス部〉
・身長…183cm
・胸囲…91cm
・キーワード
〔ヤンキー〕…柄が悪く口調も荒い。
〔推理力抜群の天才〕…ヤンキーだからといって推理力が低いわけじゃない。
〔天才ですから〕…テニスも上手い、推理力も高い。だって自分は天才だから。

・奥寺 軌跡(オクデラ キセキ)
・才能…〈超高校級のプロデューサー〉
・身長…143cm
・胸囲…68cm
・キーワード
〔仲間を信じる真っ直ぐ素直な奴〕…仲間を信じて疑う事を知らない。
〔適材適所〕…プロデューサーらしく采配が得意。
〔泣き虫で守ってあげたくなる小動物系〕…よく泣くがそれが周りに庇護欲を湧かせる。

・月ヶ瀬 流行(ツキガセ ハヤリ)
・才能…〈超高校級のクラッカー〉
・身長…187cm
・胸囲…83cm
・キーワード
〔露悪趣味〕…自分が犯罪者である事を隠そうとしない。
〔喫煙者〕…煙草を愛用するヘビースモーカー。
〔世界の敵〕…クラッカーとして世界を混乱させた事もあり、マークされている。
4 : ◆5IONXlxNzTMN [saga]:2019/09/02(月) 00:04:27.13 ID:PyRLcjVA0
・女子

・甲羅 洋子(コウラ ヨウコ)
・才能…〈超高校級の修理屋〉
・身長…167cm
・胸囲…87cm
・キーワード
〔短気〕…怒りっぽく我慢を知らない。
〔骨フェチ〕…骨に性的興奮を覚える。
〔人を芸術的に壊したい〕…修理屋の心の底の願望。対象はあくまでも人。

・姫島 在留(ヒメシマ アルル)
・才能…〈超高校級の脇役〉
・身長…158cm
・胸囲…78cm
・キーワード
〔無口かつ無敵〕…基本的に喋らない。故に敵も作らない。
〔プロ意識〕…あくまで脇役に徹しようとする。
〔アイデアマン〕…たくさんのアイデアを持っている。でも脇役なので言わない。

・一里塚 ニコ(イチリヅカ ――)
・才能…〈超高校級の漫画家〉
・身長…181cm
・胸囲…73cm
・キーワード
〔ハッピーエンド主義〕…彼女の辞書にバッドエンドの文字はない。
〔夜行性〕…完全な夜型人間。夜になると張り切り出す。
〔見た目は爽やかなイケメン〕…女の子にモテる女の子。本人はかなり気にしてる。

・紫乃 美月(シノ ミヅキ)
・才能…〈超高校級の霊能力者〉
・身長…161cm
・胸囲…102cm
・キーワード
〔性欲が高まると霊能発動〕…霊能力の使用のためには性的興奮が必要になる。
〔男が喜ぶことを熟知している男好き〕…男が大好きで喜ぶ事もよく知っている。
〔隠れビッチ〕…あくまで霊能力のためと見せかけてただ単に男好きなだけ。
5 : ◆5IONXlxNzTMN [saga]:2019/09/02(月) 00:05:16.79 ID:PyRLcjVA0
・祭田 結奈(マツリダ ユナ)
・才能…〈超高校級の花屋〉
・身長…139cm
・胸囲…70cm
・キーワード
〔メルヘンチック〕…まるで童話に出てきそうな雰囲気を持つ。
〔天然〕…少しばかり浮き世離れした言動をする。
〔印象派〕…花を飾る時周りの光や空気を重視する。

・駆祭 はやて(カケマツリ ―――)
・才能…〈超高校級のレースクイーン〉
・身長…174cm
・胸囲…83cm
・キーワード
〔ドS〕…サディスト。精神的にいたぶる事が好き。
〔テンションが上がると脱ぐ〕…テンションが上がると脱ぎ出す。そこからさらにいたぶる事も。
〔綺麗な薔薇には棘がある〕…相当な美人だが迂闊に近付くと痛い目に遭う。

・中後 直巳(ナカウシロ ナオミ)
・才能…〈超高校級の鑑定士〉
・身長…160cm
・胸囲…80cm
・キーワード
〔器用〕…作業も人付き合いも器用にこなす。
〔守銭奴〕…お金が大好きでお金が絡むとかなり厳しい。
〔五感が鋭い〕…五感が人より鋭い。本人は鑑定に役立つとご満悦。

・野場 夕貴(ノバ ユウキ)
・才能…〈超高校級の冒険家〉
・身長…166cm
・胸囲…85cm
・キーワード
〔不潔〕…着替えないし野宿も多いため不潔。
〔博識〕…様々な知識を持つ。
〔ビッグマウス〕…大口をたたく。そしてやかましい。
6 : ◆5IONXlxNzTMN [saga]:2019/09/02(月) 00:17:35.84 ID:PyRLcjVA0






希望を求めよ。

絶望を求めよ。

その果てに、きっと……

答えは、ある。






7 : ◆5IONXlxNzTMN [saga]:2019/09/02(月) 00:19:01.20 ID:PyRLcjVA0






プロローグ【絶望の館への招待状】






8 : ◆5IONXlxNzTMN [saga]:2019/09/02(月) 00:29:04.77 ID:PyRLcjVA0
「くっ……」

頭が痛い……それに吐き気もする……

脳をかき回されたかのような不快な感覚に耐え、ズキズキと痛む頭を抑えながら、僕は目を開ける。

「ここは、いったい?」

見回してみるとそこは真っ赤なカーペットが敷かれた……エントランスのような場所だった。

「僕はなぜこんな……っ!」

なんだ?

何かを思い出そうとすると、痛みが走る……まるでそれを許さないと言うように。

「……マズいな」

これは所謂、記憶喪失という物ではないか?

この頭痛がその原因だろうか……痛みに顔をしかめながら何か思い出せる事はないかと脳を漁る。

「…………思い、出した」

僕の名前は……伊勢 実(イセ ミノル)だ。


・伊勢 実(イセ ミノル)
〔超高校級の???〕


伊勢「良かった、さすがに名無しではこの先困ってしまうからな」

それに名前を思い出せるくらいならば、きっと他の事もすぐに思い出せるはず。

頭痛と吐き気も沈静化したようだ……これは幸先がいいな。
9 : ◆5IONXlxNzTMN [saga]:2019/09/02(月) 00:35:53.04 ID:PyRLcjVA0
伊勢「さて、記憶がない以上断言は不可能だが、倒れていたここは僕の家か何かかもしれないわけか」

周りを改めて見てみる。

エントランスには正面に大きな扉、そして右には二階に繋がる階段があるが……なぜか階段は黄色い立ち入り禁止を示すテープで塞がれている。

伊勢「……おや?」

さらに隅に目をやると監視カメラとモニターらしき物もあった。

ふむ、どうやら防犯は完璧らしい……いいことだ。

伊勢「ここで考えていても仕方ない。とりあえず外に出るとしようか」

振り返った先にある大扉に歩み寄る。

そして大扉を開い……

ガチャガチャ

伊勢「……開かない?」

押しても引いても大扉は開く気配がない。

そもそもこの大扉……鍵らしき物が見当たらないのだが。

つまりこの扉はイミテーション……偽物の可能性がある。

伊勢「……ふむ」

ここが僕の家にしろそうでないにしろ、外に出られないのは困る事態だ。

となると……

伊勢「家人を捜した方がいいな」

大扉から離れると僕は奥にある扉に向かう。

伊勢「こちらに鍵はかかっていない……部屋に閉じ込められたわけではないのは救いだな」

ノブを回して扉を押し開ける。

するとそこには……1人の少女が、いた。
10 : ◆5IONXlxNzTMN [saga]:2019/09/02(月) 00:52:51.42 ID:PyRLcjVA0






僕は、その出会いをきっと忘れないだろう。

金のメッシュが入った茶髪の頭にゴーグルが着けられている赤いつなぎの少女。

端正な顔立ちからは気の強そうな雰囲気が漂うそんな少女。

「……!」

少女が僕の存在に気付く。

そして僕が何かを言う前に歩み寄ってきた彼女は。

「オラァ!テメエか、オレをこんな所に閉じこめやがったのはぁ!」

僕の胸ぐらを掴んで強く揺さぶってきた。






11 : ◆5IONXlxNzTMN [saga]:2019/09/02(月) 01:03:40.35 ID:PyRLcjVA0
伊勢「待て、落ち着きたまえ」

「うっせえ!今すぐここから出しやがれ!ギッタギタにすんぞ!」

聞く耳持たないと言わんばかりに少女は僕を揺さぶるのを止めようとしない。

マズイ、せっかく治まった吐き気がまた……

伊勢「話を、聞いてくれ!」

とにかく止めなければ話にならない。

そう考えた僕は少女の腕を掴む。

「……!」ビクッ!

するとどうした事だろうか……少女の動きがピタッと止まった。

ふむ、強く掴んだつもりはないのだが痛かったのだろうか?

「な、なんだコレ、マジかよ……」

伊勢「すまない、そんなに強く掴んでは」

止まってくれたようだし、いつまでも女性の腕を掴んだままもよろしくない。

そう思って放した僕の腕を……

「あっ、コラ!」

なぜか彼女はまた掴んできた。

伊勢「……どうかしたのかね?」

「へっ、へへっ……」

どうやらまた聞く耳持たないようだ……揺さぶられないだけいいのだろうが。

「あむっ」

伊勢「!?」

しかしそうも言っていられない。

少女がいきなり僕の指を口に含んだのだから。
12 : ◆5IONXlxNzTMN [saga]:2019/09/02(月) 01:15:47.54 ID:PyRLcjVA0
「あむっ、んっ」

伊勢「ちょっと、待ちたまえ……!」

恍惚とした表情で僕の指を舐めてくる少女に危機を感じた僕は慌てて指を引き抜く。

「あっ!」

伊勢「まずは、話をしよう。僕達にはそれが必要だ」

なんでもいい。

彼女を冷静にさせなければ。

「ハァ、ハァ……オ、オイ、オマエ名前は?」

伊勢「伊勢実だが……」

「そうか、伊勢実伊勢実……オイ、ミノル!」

伊勢「な、なんだろうか?」

甲羅「オレは甲羅洋子!よ、洋子って呼んでいいからな」

・甲羅 洋子(コウラ ヨウコ)
〔超高校級の修理屋〕

甲羅洋子?

伊勢「どんな物でも直すという〔超高校級の修理屋〕。医療も志しているようで医療行為も出来るとか」

なんだ、名前を聞いた瞬間急に頭に彼女の情報が……

甲羅「なんだ、オレの事知ってんのかよ!なら話は早え!さっそく続きを」

伊勢「冷静になりたまえ……いきなり指を舐めてくるのはどうかと思う」

甲羅「うっ……じゃ、じゃあ触るぐらいならいいだろ」

甲羅……洋子君は答えも聞かずに僕の手を触り始める。

……まあ、敵意を向けられるよりはいいと思おう。

甲羅「オイ、ミノル!オマエはこのままでいろよ!なっ!?牛乳とか小魚とかやめろよ!?カルシウムなんてもってのほかだからな!?」

しかし……洋子君は何を言いたいんだろうか?
13 : ◆5IONXlxNzTMN [saga]:2019/09/02(月) 01:16:34.65 ID:PyRLcjVA0
今回はここまで。
14 : ◆5IONXlxNzTMN [saga]:2019/09/03(火) 22:16:47.83 ID:DG7uUD2A0
伊勢「ふむ、つまり洋子君も気がついたらここにいたと」

甲羅「そうなんだよ!ったく、ふざけた話だろ!?」フニフニ

あれから洋子君と情報を交換したところ、どうやら彼女もここにどうしているのかわからないらしい。

最も僕のように名前以外は忘れているという事ではないようだが。

伊勢「しかしそうなると……この状況は深刻かもしれないな」

甲羅「どういうこった?」フニフニ

伊勢「僕がいたエントランスは階段が封鎖され、扉も開かなかった。さらにすぐ隣のここにもある監視カメラ……」

甲羅「誰かが監禁してるってか?だけどなんでミノルとオレなんだよ」フニフニ

伊勢「ふむ……記憶がないから何とも言えないが、犯人は何かしら共通点を見出だしているのではないだろうか」

甲羅「記憶がない?」フニフニ

伊勢「ああ、名前ぐらいしか覚えていない」

甲羅「はー、そりゃまた踏んだり蹴ったりだな」フニフニ
15 : ◆5IONXlxNzTMN [saga]:2019/09/03(火) 22:32:30.35 ID:DG7uUD2A0
ガチャッ

「あっ、ようやく人に出会えた」

伊勢「むっ?」

甲羅「あん?」フニフニ

音の方を見ると眼鏡をかけた学生服の少年が入ってきていた。

しかしなぜ彼は驚いたような顔をしているのだろうか?

「……えっと、お邪魔だったか?」

伊勢「そんな事はないが……なぜそう思うのかね?」

「いや、だってなんか向かい合って手繋いでるからさ」

伊勢「ああ……これは気にしなくて大丈夫だ。それより1ついいだろうか」

「なんだ?」

伊勢「先ほどのようやく人に出会えたという言葉から君も僕達と同じ状況だと思うのだが……」

「ああ、じゃあそっちも気がついたらここにいたのか……あっ、自己紹介がまだだったな」

「俺は東夕人。〔超高校級の幸運〕だ」


・東 夕人(アズマ ユウト)
〔超高校級の幸運〕


東夕人……毎年抽選で選ばれる〔超高校級の幸運〕。
浮かんだ情報によると99期生の〔超高校級の幸運〕らしいな彼は。

ふむ……相手の情報が浮かぶのはなかなかに便利だな。

伊勢「僕は伊勢実、彼女は甲羅洋子君だ。こんな不可解な状況だがよろしく頼む東君」

東「ああ、よろしくな」

甲羅「おう」フニフニ

伊勢「洋子君、せめて顔を見るぐらいはするべきではないだろうか」

東「あはは、気にしなくていいよ伊勢。俺は大丈夫だからさ」

そう言って笑う東君……ふむ、彼は懐の広い人物なのかもしれないな。
16 : ◆5IONXlxNzTMN [saga]:2019/09/04(水) 23:14:56.11 ID:+GQBRP5A0
東「あー、ところで1ついいか?」

伊勢「何か気になる事でもあるのかね?」

東「いや、あそこにいる子は紹介しないのかって思ってさ」

伊勢「あそこにいる子……?」

東君の指差す先を見てみるとごく普通のセーラー服を着た少女が立っている。

いつの間に、入ってきていたのだろうか……

甲羅「うおっ!?いつからそこにいたんだオマエ!?」

「……あなた達が来る前から」

甲羅「声かけろよ!」

東「あれ?よく見たらあの子ってもしかして女優の……」

「違う、私は女優じゃない」

「姫島在留……ただの脇役」


・姫島 在留(ヒメシマ アルル)
〔超高校級の脇役〕


姫島在留……どんなドラマにも必ずいる〔超高校級の脇役〕。
まるで目立たず、ただ自然にそこにいる……脇役をやらせたら彼女の右に出る者はいないとも言われているらしい。

ふむ、ここまで自然に溶け込むというのも一種の才能という事か。

東「えっと、とにかくこっち来て話し合わないか?」

姫島「……私は脇役」

東「いや、だから……」

姫島「……」

東「なんか、やりにくいな……」

伊勢「ふむ、プロ意識が高いのだろうな」

甲羅「ただのコミュ障じゃねえの?」
17 : ◆5IONXlxNzTMN [saga]:2019/09/06(金) 08:34:26.24 ID:wZuXt0AA0
「えっと……あっ、すみません!」

姫島君との距離を掴みかねていると、扉が開いて後ろで結んだ茶髪、着崩した紺のブレザーにズボンといった装いの少年が顔を覗かせる。

ふむ、しかし男性にしてはやけに声が高いな……

甲羅「ミノルよりデケエなアイツ」

東「あの感じだと、俺達と同じ境遇みたいだな」

姫島「……」

伊勢「君は?」

「あっ、私は一里塚ニコ」

「ちょっとは名の知れた漫画家だよ」

・一里塚 ニコ(イチリヅカ ――)
〔超高校級の漫画家〕


一里塚ニコ……数々の雑誌で複数の連載をしている現役女子高校生にして人気漫画家。

その連載作品は全てヒットし、アニメ映画ドラマ化など幅広い形で愛されているようだ。

東「一里塚ニコってあの有名な漫画描いてる一里塚ニコか!」

一里塚「多分そうだけど……」

甲羅「名前は見た事あんな……こんなチャラ男だったのか」

一里塚「チャラ……」

伊勢「洋子君、一里塚君は女性だ」

甲羅「マジか!?」

東「えっ、そうだったのか」

姫島「……」

伊勢「……すまない、一里塚君。僕がもう少し早く言及しておけば」

一里塚「あ、あはは、1人わかってくれてただけでも御の字だから」

一里塚君はそう言うが、その表情を見れば傷ついているのがわかる。

僕も頭に浮かぶまで彼女を男性だと思っていたからな……見た目だけで判断するのは危険という事か。
18 : ◆5IONXlxNzTMN [saga]:2019/09/11(水) 21:49:37.80 ID:8SivzNYA0
あれから膝を抱えてしまった一里塚君は女性2人に任せる事にした。

一里塚「はぁぁ……やっぱり凹むなぁ」

姫島「……」ポンポン

甲羅「まあ、気にすんなって!」

……本当に任せて大丈夫なのだろうか?

東「だけどあれだな……ここにいるのって【超高校級】ばっかりじゃないか?」

伊勢「んっ、ああ、それは僕も感じていた。洋子君、東君、姫島君、一里塚君……【超高校級】と呼ばれる者ばかりがここにはいる」

記憶がないのでどういったものかまではわからないが……僕自身も何らかの才能があったとみていいだろう。

「あら?もうこんなに集まって……パーティーの相談かしら」

そんな事を考えていると次にやって来たのは背の高い金髪の男性だ。

いや、一里塚君の例もある……男性か女性かを決めるにはまだ早い。

伊勢「少しいいだろうか?」

「あらやだ、イケメン……!まあ、アタシにはほんの少し及ばないけれど」

真っ白なシャツが眩しい……そんな彼、もしくは彼女は鏡を見てどこか恍惚としていた。

伊勢「僕は伊勢実という者だ。君の名前を聞かせてもらっても?」

「いいわね、真面目そうなところもなかなか素敵!」

「アタシはダヴィデ。ダヴィデ・エピメニデスよ。この世界で最も美しい天使……性別だけは神様が悪戯してくれたけどちょうどいいハンデかしらね」


・ダヴィデ・エピメニデス
〔超高校級のモデル〕


ダヴィデ・エピメニデス……ファッションショーから雑誌まで数々の媒体で姿を見せるカリスマモデル。

どうやら性同一性障害らしく、心は女性だと聞いたが……

伊勢「よろしく頼むダヴィデ君。それと1つ……頼みが」

ダヴィデ「あら、なぁに?」

伊勢「あそこにいる一里塚ニコ君という女性を慰めてほしい。男性と間違われて、少し落ち込んでいるのだが……」

ダヴィデ「なるほど。アタシとある意味では同じ……だから慰めるのに適任って事ね」

伊勢「頼まれて、くれるだろうか?」

ダヴィデ「ウフフ、イケメンの頼みならお安いご用よ!ちょっと行ってくるわ!」

ダヴィデ君が一里塚君の所に向かい、何かを話している。

ふむ、はた目から見て話は弾んでいる。

上手くいったなら何よりだ……
19 : ◆5IONXlxNzTMN [saga]:2019/09/11(水) 22:31:43.01 ID:8SivzNYA0
ダヴィデ「ニコちゃんは漫画家なのね!どんな物を描いてるのかしら?」

一里塚「えっと、一応代表作は」

ダヴィデ「あらやだ!アタシそのお話大好きなのよ!まさかここで作者に会えるなんて光栄だわ!」

一里塚「あ、ありがとう」

ふむ、だいぶ打ち解けたか。

東「なんというか、上手い事やったな伊勢」

伊勢「ダヴィデ君と一里塚君の相性がよかったのだろう」

甲羅「すっかり仲良くなっちまって」

姫島「……」

「失礼します」

次に入ってきたのは執事の服を着た小柄な少年だ。

その動きの1つ1つが彼がどれだけ優れているかを示している。

「あの、少しいいですか?」

伊勢「僕か?」

「はい。わたしは天童昴と言います」

天童「伊勢様、わたしの主人を知りませんか?」


・天童 昴(テンドウ スバル)
〔超高校級の執事〕


天童昴……名家に仕え、その家にあらゆる貢献をする〔超高校級の執事〕。
彼を巡って数多くの名家が争いを繰り広げているらしいが。

伊勢「君の主人はここにいるのだろうか?」

天童「わかりません……だけどここの個室で目を覚ます直前までは一緒にいたんですが」

伊勢「ふむ、天童君の主人は駆祭はやてと言うのか」

東「……駆祭はやて?」

天童「はい。はやてお嬢様をご存じなんですか?」

東「まあ、噂ぐらいはな……」

伊勢「東君、どうしたのかね?」

なんなんだろうか、この反応は……?

東「多分いるだろうから、会えばわかるよ」

伊勢「ふむ、洋子君や姫島君は何か知っているだろうか?」

甲羅「知らねえなぁ」

姫島「……知らない」

ふむ、実際に会ってからの楽しみという事か……
20 : ◆5IONXlxNzTMN [saga]:2019/09/12(木) 22:38:10.99 ID:DvsQiypA0
天童「どうぞ、コーヒーです」

伊勢「ああ、ありがとう天童君」

東「待て、今どこから出したんだ」

天童「執事ですから」

一里塚「執事ってすごい」

「あっ、もうこんなに集まっていらして……」

天童君のコーヒーに舌鼓を打っているなか入ってきたのは白い装束と黒髪に付けた赤い髪飾りが印象的な女性だった。

「皆様、はじめまして。わたくし紫乃美月と申します」


・紫乃 美月(シノ ミヅキ)
〔超高校級の霊能力者〕

紫乃美月……確か霊視、除霊、あらゆる霊的現象に対処している〔超高校級の霊能力者〕。
大多数の依頼者が彼女に詰めかけているらしいが……

紫乃「あっ……!」

伊勢「おっと。大丈夫か紫乃君?」

僕達の所に来る直前に躓いた紫乃君を咄嗟に抱き留める。

ふむ……これが彼女に依頼者、特に男性が絶えない理由と言われている……

よくはわからないが、つまりこれは役得というものなのだろうか。

紫乃「あっ……あなた様は?」

伊勢「伊勢実だ。ここで会ったのも何かの縁、よろしく頼む」

紫乃「実様……はい、よろしくお願いいたします」

伊勢「ところで紫乃君。転んだ所を抱き留めたとはいえ少々近い気がするのだが……」

紫乃「あっ、わ、わたくしったら……恥ずかしいです」

頬を染める紫乃君の仕草はどこか妖艶だ。

なぜだろう、彼女の行動1つ1つが……まるで誘うように見えてしまうのは。

一里塚「お、大きい……」

甲羅「でかくても邪魔なだけだろ?それに背はイチリヅカの方がでけえしな!」

一里塚「それ慰めになってない……」
21 : ◆5IONXlxNzTMN [saga]:2019/09/15(日) 11:50:42.46 ID:kmZ3CMrA0
紫乃「うふふ」

伊勢「紫乃君は早く打ち解けたようだな」

ダヴィテ「そうねぇ、でも少し違和感もあるのよね」

伊勢「違和感?」

ダヴィテ「まあ、勘違いかもしれないし言わないでおくわ」

「誰か〜♪いるのか〜♪」

歌声のする方を見てみると燕尾服を着た長身で痩せ形の男性が立っていた。

その身長は、ダヴィテ君よりもさらに高い……2メートル近くはありそうだ。

先ほどの歌声は彼が発したのだろうか?

一里塚「また濃そうな人が来たね……」

「この孤高のピアニスト〜♪符流ケンを捕まえて何を言う〜♪」

・符流 ケン(フリュウ ――)
〔超高校級のピアニスト〕

符流ケン……世界的なコンクールで何回も優勝した〔超高校級のピアニスト〕。
そのピアノの腕は彼が来るというだけでホールが埋まるほどらしい。

天童「あの、なぜ符流様は歌いながら会話を?」

符流「……なぜそんな事を言わなければならない〜♪」

符流「何が起きたか知らないが〜♪オレは群れる気はない〜♪」

そう言って符流君は壁に寄りかかる。

ふむ、気難しい性格のようだな。

天童「あれ?でも超高校級のピアニストって確か女の子じゃなかったか?」

甲羅「はあ?じゃあアイツ女なのか?」

ピアニストの女性、そう聞いて1つの名前が浮かぶ。

伊勢「もしやそれは赤松――」

符流「その名前を出すなっ!!」

姫島「!?」ビクッ

先ほどまでの歌声のような話し方とは違う激情を秘めた声が符流君の口から吐き出される。

その瞳には憎悪にも似た色が見え隠れしていた。

符流「……!ふん、なんでもない〜♪」

注目を浴びた事に気付いたらしい符流君は再び壁に寄りかかる。

……今出そうとした名前は、彼にとって地雷になるようだな。
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