春を売る、そして恋を知る

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/18(日) 22:49:19.99 ID:jc7g5yNHO
高層ビルが並ぶ街並みの中で、一際高いタワーの上層階。そこに私の住処がある。
 
政治家や官僚、実業家に時には裏稼業の人たちも。俗に言う『ステータス』を持つ男たちに抱かれるのが、私の仕事だ。生まれた時から、それは宿命づけられていた。

私の上で、汗をかきながら腰を振っているのが今晩の客。この時間を過ごすためだけに、彼は一般人が一年かけて働くような額を支払っているらしい。一般人とかかわることがないから、あまり実感はわかない。

「気持ち良い……んっ……」

ウィスパーボイスで言葉を漏らし、足を彼の腰に絡ませる。こういう演技はオーナーに躾けられた。12で母を亡くした私を、彼は父親代わりのように育ててくれた。感謝しつつも、そのおかげで私はいよいよここから抜け出すことができなくなったわけだけど。

間もなく、男は果てた。汗で濡れた体をそのまま私の体に重ねてきて、不快感を隠すために演技のため息をついた。

今日の仕事もこれで終わりだ。お疲れ様、私。

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