【安価】男「異世界転生しちゃった」

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155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/16(金) 14:37:07.42 ID:x2swtC+CO

「ジャスミンはさ、これからの予定とかって決まってるの?」


「えっと……えと…王都セインガルドに行こうかと…思ってます」


「セインガルド?」


「あ、王都はですね…」


この世界の事をまだ知らない俺に、ジャスミンは王都の事を教えくれる。記憶喪失設定だからね、仕方ないよね。

聞いた話では、王都とはアースガンド大陸の中央部に位置する巨大な王国で、アースガンド大陸は今俺達が居る大陸の名前らしく、1番大きな大陸でもあるらしい。


「ジャスミンは王都で何をしに?」


たしかジャスミンはメリルのヴァーダを襲名すると言っていたはずだ。


「今回の護衛中に…改めて力不足と感じてしまって……王都の魔術協会に入会しようかと……」


「へぇ、魔術協会!なんか凄そう」


「そこで…改めて魔術を学んで……もっと…強くなりたいです…」


「そっか…応援するよ」


「あ、あり…ありがとうございますっ」


魔術協会か、たしかジャスミンの村から指導者が派遣されているとか何とかゲルムさんが言ってたよな。同郷のよしみがあるかは分からないけど、きっとジャスミンなら良い方向に転がるはずだ。

会話が途切れ、気まずくなってきたので俺は話題を探す。何か話せる事は……。あ、昼間の事を話そう。


「ねぇ、昼間の…ゲールの事なんだけど…」


「は、はい…?」

156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/16(金) 14:59:42.31 ID:x2swtC+CO

「いやさ…ジャスミンは、ゲール達が西の大陸に行って更生すると思う?」


「あ……えっ…と…うーん…」


ジャスミンは煮え切らない様子だ、無理もない。奴らは野盗で、全てを奪い、命までも刈り取る悪党だ。あれくらいで更生するかと聞かれれば、するとは言い難い。


「ジャスミンは、あの時の俺の行動は……良かったと思った?」


「………」


返事は無い。たしかに、これは正解とかがあるような話ではない。個人の価値観によるモノだし、多くの人々を救う為に人を殺せって言われて、はいって簡単に頷ける話でもない。

恥ずかしい話だが、俺はああいう展開を漫画で見た事があるからこそ、あの方法を思い付けた。正解かどうかはわからないが、少なくとも俺の中で一番納得の行く方法だった。


「私は……男さんが剣を抜いた時…本当に怖かったです。後からすれば、考えがあっての事なんですけど……あの時の男さんの顔が…」


ジャスミンはそこで黙ってしまう。そんなに怖い顔していたのか俺は…逆に気になるな。


「男さんの行動の…善し悪しは……私にはわかりません。でも…あの選択は……とても良かったと…私は思います」


「お…そ、そっか…ありがとう」


誰かに自分の行動を肯定してもらうだけで、こんなにも胸のモヤが取れるのか。俺を気遣ってかは置いといて、そう言ってくれるのは嬉しい。

俺は壁の時計を見る。もうそろそろ張ってても良い時間だな。数字と思われる記号は分からなくとも、記号の位置や針の動きは同じなので問題は無い。


「えーっと……じゃあそろそろ、お風呂に…」


「……!は、はははいっ!」

157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/16(金) 15:20:35.55 ID:x2swtC+CO

俺は脱衣所で服を脱ぎ、中へと入る。風呂場によくあるバスチェアに腰掛け、浴槽から湯を汲み身体や頭にぶっかけてジャスミンを待つ。
や、やべぇ…超緊張してきた……浴室に男女が2人、ToL〇VEるが起こらないはずもなく…。


「む……!」


アホな事を言っていたら脱衣所から音がした。ジャスミンが脱ぎ始めたのか……振り向きたいが、振り向いたら終わりな気がする。くそ…落ち着け、クールになれ、平静を保て。


「お、おじゃ………うぅ〜……お、お邪魔します…」


ぎゃあああ来てしまったあああ!!どんな格好してるの!?ねぇねぇねぇ!!


「うんうんうんうん…い、いいいらっしゃい」


駄目だ!緊張し過ぎて震えが止まらん!平静なんぞ装えるか!振り向いていいのか!?良いよね!?


「う、後ろ……見ちゃ、駄目…ですよ」


「は、はいっ!」


ああああああああああああああああ!!!でも可愛いからもう何でもいいやあああああああああ!!!


「それじゃ……や、やりますね…」


「どうぞ!?」


上ずった声を出してしまった、恥ずかし!そうするとすぐに、背中に浴室にある付属品のボディブラシが当たる。


「痛かったら……言ってくださいね」


「お願いします!!」


ブラシが擦られ始めた。普通に気持ちいい、人にやってもらうのと自分でやるので、ここまで差がある物なのか。背中を流すって考えた奴天才かよ。


158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/16(金) 15:30:00.86 ID:x2swtC+CO

ゴシゴシと、ジャスミンは丁寧に洗ってくれる。いやぁ〜最高の気分ですなぁ!たまに肌に当たるジャスミンの手や指先に反応しては、邪な考えがギュンギュンとフル稼働する。

悶々としているとブラシが背中から離れ、丁度いい温度の湯が泡を流していく。ああ……これで終わってしまうのか…悲しいなあ。


「終わり…ました」


「う、うん!ありがとう!」


「じゃ、じゃあ私は…これで…」









自由安価
行動、起きた事柄、会話……etc


安価下
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/16(金) 15:35:11.26 ID:HKTSZ3yy0
滑ってジャスミンを押し倒してしまう
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/16(金) 16:03:21.24 ID:x2swtC+CO

ジャスミンが立ち上がり、脱衣所への扉を開ける音がした。


「きゃっ!」


ジャスミンが変な声を上げる。なんだ!不審者か!?俺は振り向いてはいけない掟を破り、振り向きざまに立ち上がる。ジャスミンはバスタオル1枚の姿だった。ただ残念なのはそこで俺の足が滑ってしまった事だ。


「おわっ!?」


「えっ……きゃぁ!」


何とか体勢を整えようとするが……駄目!滑った勢いのままジャスミンを押し倒してしまう。


「いてて…………ん?」


何だ?この柔らかい物は。顔に伝わる心地良い感触は。


「あ……ああ…」


「んはっ!?」


ジャスミンの震えた声で我に返り、すぐに顔を上げる。ジャスミンは前髪を上げていて、今は顔全体がわかる。超真っ赤な顔してる、可愛いけどこれはまずい。

おいおいマジかよ、リト君かよ。俺は顔を上げる際に手を突くが、突いた場所がまた最悪だった。かぁ〜っ!これはァー!
バスタオルが肌けるアクシデントは回避したものの、この手に伝わる感触は……。


「うっ……うぅ…」


「ご、ごめん!!ジャスミン!わざとじゃないんだ!」


ジャスミンは限界なのか、両手で顔を隠して震えている。俺は飛び退いて、すぐに目を逸らす。本当にToL〇VEるしちゃったよ、何だよマジかよありがとう。


「ご、ごめんね……大丈夫…?ジャスミン?」


振り返らずに聞く。事故とはいえやってしまったのは事実。
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/16(金) 22:02:40.08 ID:x2swtC+CO

「ごめん…なさい……ごめん…なさい……」


「いや!謝るのは俺の方だし!ジャスミンは悪く……ないよ」


俺は違和感に最後、言葉が濁る。ジャスミンは俺が喋っている最中でもずっと謝っていた。これは俺に言っているものでは無い…?
過去に何かあったと推測するのは容易だった。でも、それは触れちゃいけない物なんだろう。

俺は立ち上がり、ジャスミンを見る。まだ、手で顔を隠したまま謝っている。あまりの異様な光景に、今までの取り乱しが嘘のように、俺は落ち着き払っていた。

本来ならこの姿を見るだけでも大分興奮していたんだろうな、とか思いながらジャスミンをベットへと運ぶ。今日は色々ありすぎた、もう寝よう。ベットに寝かせると、服に着替えてジャスミンの部屋に行って寝た。





翌朝、ジャスミンは昨日の出来事は覚えてないらしい。俺とぶつかって気を失ったと思っているようだ。めちゃくちゃ頭を下げられたが、俺はアレに触れる事は無くジャスミンを宥め続けた。

とりあえず俺達は朝食を済ますべく、まずは王宮に居るであろうクレアからリュックを返してもらわなくては。ついでに依頼の成否も気になるしな。外へ出ると、昨日の夜とは打って変わってどうやら朝は人が少ないみたいだ。


「これくらいなら大丈夫?」


「が、頑張ります…!」


意気込むジャスミンを微笑ましく思い、王宮を目指す。



〜王宮 正門


「ご要件は?」


「多分ここにクレア様が来ていると思うんですけど…居ますか?メリルからここまで護衛した者なんですが」


「少しお待ちください」


門番の兵士は、もう1人の兵士に耳打ちすると門の奥へと走っていく。にしてもでっけぇ城だなぁ…クレアはここに何しに来たんだろう。
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/17(土) 23:37:43.58 ID:QAupTT0a0

しばらく待っていると、先程の兵士が戻ってきた。


「お待たせしました。御案内します」


そう言うと中へと歩き出したので、俺達は後を追う。


「やっぱりここに居たね」


「そう、ですね…」


こそこそ話していたら兵士が立ち止まり、俺達に向かって敬礼する。正門から王宮までは距離があり、敷地内には色々と家らしきものが大小と点々と存在している。俺達はそのうちの一つの前で止められたという事は、ここにクレアが居るのだろう。


「クレア様は此方においでになります。それでは、失礼します」


「ありがとうございます」


俺は兵士に頭を下げると、ジャスミンも続いた。兵士が遠くなっていき、俺達は段差を上がって扉をノックする。


「入りなさい」


この声は間違いない、クレアだ。こちとら苦労したってのに…まぁ言ってても仕方ないな。許可が出たので扉を開けると、そこには執事のゲルムが深々と頭を下げて待っていた。クレアは奥の窓近くのテーブルに腰掛け、ティーカップを口に運びながら俺達を見ている。


「男さん、ジャスミンさん…先日の非道なる判断……大変申し訳ありませんでした」


「い、いやいや!頭を上げてくださいよ…別にあれは仕方ない事ですし」


「は、はい……私が不甲斐ないばかりに……ごめんなさい…」

163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/17(土) 23:42:41.54 ID:ho2P27Hb0
依頼人から離れたから怒られるかと思ってたわ
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/17(土) 23:52:30.46 ID:QAupTT0a0

俺達を含め、お爺さんからすればクレアの身の安全が第一だ。飛び降りたのは俺の勝手な判断だしな。仮に止まっていたとしても、あのゲールが相手だ、クレア達が居たらただでは済まなかっただろう。


「なんと寛容な…改めて心から感謝致します」


「全く…馬車から落ちたり勝手に助けに行ったり……護衛としてどうなのかしらね」


「あぅ……」


ぐうの音も出ない。確かに頼りないうえに勝手過ぎた、怒られても仕方ない。こっちの苦労も知らないで、と思うのはお門違いだ。


「安心して下さい。お嬢様はああ見えてちゃんと心配なさっていたんですよ。昨日も──」


「ちょっと!余計な事は言わなくて良いのよ!」


お爺さんは笑って、ベットの脇に移動すると俺の荷物を持ってきてくれた。


「どうぞ、男さん」


「あ、ありがとうございます」


「報酬の方も、ギルドに話せば受け取れます。この度は誠にありがとうございました」


お爺さんはまた、深々とお辞儀をする。良かった、ちゃんと報酬も貰えるのか。


「感謝しなさい。ほんとはあげなくても良いんだから」


「はい、ありがとうございます」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/18(日) 00:27:02.83 ID:F69gr1Vz0

俺達はクレア達の元を後にして、とりあえずはギルドへと向かう事にした。道中、俺は気になる事があり、ジャスミンに聞いてみた。


「クレアはさ……俺達を心配してたって言うけど、何か引っかかるんだよね」


「…?…どういう事ですか?」


「ジャスミンが馬車から落ちた時……クレアはそれを気にする素振りもなかったんだよ。落ちる時に一瞬見えただけだけど…興味がないというか…そんな感じの顔」


俺の気のせいかもしれないし、考え過ぎかもしれない。ジャスミンは考え込んでいるのか、黙ってしまう。


「まぁ……考えても仕方ないよね。ごめんごめん、忘れて」


「あ、はい……」


話しているうちにギルドへ着き、俺達は受付嬢から報酬を受け取る。中々の額で、財布袋が潤う。とりあえずは朝食を食べようと、食事の出来るお店に入る。

見た目は普通の一軒家みたいだが、使ってる素材が鉄?みたいなもので、見た感じではとてもお店には見えなかった。中は小綺麗で、洋風テイストな良い雰囲気の店内。案の定文字は読めないのでジャスミンにあれこれ聞いて注文する。


「じゃ、依頼達成を祝して…かんぱーい」


「か、かんぱい…」


俺達はジュースで達成祝いをする。流石にこんな時間から酒を飲むのは、異世界とはいえ気が引ける。


「ジャスミンはこの後…王都に?」


「そう…ですね。準備したらすぐにでも……」


「そっかそっか…」


俺はどうしようか。今更だが、生きる、という事以外に明確な目的がない。強いて言うならば……この力の事を調べるとか?ん〜…とは言っても手掛かりがなぁ〜…あ、ゲルムさんがこの力の事知ってたか。

まぁ急ぎ過ぎって訳でもないし、未知の事が多すぎるこの世界では、当面は依頼でもいいかもしれない。



「お、男さんは……これからは…?」


「うーん…」








次の目的
安価下
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 00:32:20.23 ID:ZsSg0oLB0
昨日宿屋の代金を立て替えてもらったことを思い出して、その代金を返すとともに、せっかくだしジャスミンに何かしてほしいことがないか聞いてみる
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 03:31:49.43 ID:F69gr1Vz0

「あ、そうだった」


「…?」


俺は袋から宿屋を立て替えてもらった分を少し色を付けて、銅貨をジャスミンの前に置く。


「宿代…まだだったよね、ありがとう」


「え……でも…多くないですか…?」


「そう?まぁ取っといてよ。ほら、ジャスミン居なかったらお店で注文出来なかったしね」


「で、でも…」


しばらくこんなやり取りが続いて、料理が運ばれてくる。俺は銅貨が邪魔でしょ、と促して何とか受け取ってもらえた。


「お待たせしました。ワイルドボアの燻製塩焼きセット、お二つになります」


目の前に置かれたのは、俺の世界で言う所のベーコンだ。パンが1枚と目玉焼きにミニサラダ。リネル村でも同様のを食べたし、料理というのは異世界でも、あまり変わらないのかな?

使う素材は作品によって様々だが、味の問題はない。たまに稀ではあるが、異世界の食事に舌が合わないという作品もある。なんなら言語すら通じないやつも。俺はそのタイプではないから何とかなってるとはいえ、想像したら大変そうだ。


「いただきまーす」


「い、いただきます…」


食事は始めながら、俺は先程の問の答えを考えるが思い付かない。気になる事はあれど、やりたい事は無いのだ。
ふと、もぐもぐと食べるジャスミンを見る。


「ねぇ、ジャスミン」


「んっ……ん…は、はい?」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 06:05:06.23 ID:F69gr1Vz0

「何かしてほしい事とか……ない?」


「え……え?」


考えも無しに言ってしまった。流石にこれは唐突過ぎたか。


「あ、いやさ…さっきの続きなんだけど、このあと特にやる事も決めてなくて……ジャスミンから何か無いかなー…なんて」


「あ…な、なるほど…」


ジャスミンは手を止めて考えてくれる。言っといて何だが無茶振りだったな。


「じゃあ……その…クレア様の様子を伺ってくれますか…?」


「えっ…クレアの?」


予想外の内容だった。


「え…ど、どうして…?」


「その……クレア様の様子…変なの……気付いてましたよね…?」


「まぁうん…」


国境や野盗に襲われた時のクレアを思い出す。たしかに普通ではないと思ったけど…。
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/18(日) 06:15:28.34 ID:F69gr1Vz0

「えと…私がクレア様の様子を見ても良いんですけど……やっぱり私には…そんな時間が……」


「これは、もしかしたら私の気のせい……かも…しれないんですけど…ちょっと心配で…」


なるほど。ジャスミン自身も気にはなっているが、目的と天秤に掛けた時に目的が優先されたんだな。
確かに暫くは滞在出来る資金もあるし、かと言ってやることも無い。クレア達なら顔も知れて居るし、様子を見るのも良いかもしれない。


「ど…どうですか……?」










ジャスミンの頼みを受ける、受けない
安価下



安価下で受けない場合、別のやりたい事
安価下2
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 06:23:03.76 ID:J6JEahpN0
うけない
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 06:34:21.56 ID:ong6g2K90
しばらくこの町を拠点に依頼をこなす
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/18(日) 07:21:22.92 ID:F69gr1Vz0

問題のない頼みとはいえ、俺自身はクレアが苦手だ。出来ればあまり関わりたく無いのが本音である。ここはジャスミンから受けるという体裁を保ったまま、俺は別の事をしよう。
特に帰る場所がある訳でもないし、拠点はノース帝国で大丈夫だろう。


「わかった。任せといて」


「あ、ありがとうございますっ」


心は痛むが、承諾したフリをする。いくら可愛い可愛いジャスミンの頼みとはいえ、嫌なものは嫌だ。
俺達は食事を終えると、広場らしき所で別れる事にした。


「男さん…短い間でしたが……ありがとうございました」


「俺の方こそ。ジャスミンと会えて良かったよ」


「私もです……またいつか…会えたら良いですね」


「そうだね。会えるのを楽しみにしてるよ」


「はいっ!……それでは…失礼します。後はお願いしますね……」


「任せといて。またね、ジャスミン」


俺は手を振ってジャスミンを見送ると、ぶらりと街中を歩く。さぁさぁ、本来の主旨に戻るとするか。元々俺は生きる為に、経験を積む意味で依頼を受けたんだしな。

金はたんまりある。店を回ってみるのも良いが、ギルドへ行って早速依頼を受けてもいい。闘技場の見学も面白そうだな。





行動安価
安価下
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 07:31:02.14 ID:sRVO26GDO
占い屋に行ってみる
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 07:31:27.84 ID:ksLUuA520
とりあえず装備新調するべ
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 07:44:24.71 ID:df8ysP4g0
ジャスミンとお別れか
最後くらい彼女の依頼を受けたかった
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 08:25:33.92 ID:rj39qo6X0
うーん相変わらずのフラグへし折りっぷり
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 08:49:24.08 ID:UhQ/em3/0
安価取れない奴が悪い
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 08:52:45.37 ID:Izwcjuwp0
常に張り付いてる暇人ニートには言われたくない
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 08:54:48.15 ID:YYmqqJhW0
嫌がらせ安価しか思い浮かばない奴ってどれだけ精神が腐りきってるんだろうか
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/18(日) 09:39:24.48 ID:F69gr1Vz0
ここまでに結構専用単語出して来たんですけど、単語のまとめって要ります?
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 09:41:26.57 ID:sRVO26GDO
できればまとめ欲しいです
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 10:23:39.57 ID:V4TeZdzI0
要る
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/18(日) 14:10:12.46 ID:fahfQ4YfO

●用語まとめ


〜大陸

ガーランド大陸…中央大陸、1番大きい
北の大陸
西の大陸


〜国・地域

メリル…ガーランド大陸南東部に位置する国
メリルの町…メリル領土内中心部に位置する町
リネル村…メリル領土内南東に位置する村
ダーウィン…ガーランド大陸南西部に位置する国
ノース帝国…ダーウィン領土内南西に位置する独立国
王都セインガルド…ガーランド大陸の中心部に位置する王国
ガーランド王国…北の大陸の最北端にある王国
ベルベット村…未開拓地域にあるとされる村
メルヴィス湖…メリルとノース帝国の間にある大湖


〜能力・精霊物・その他

レヴァンテイン…男が精霊『レヴァンテイン』から授かった力。右脚右手の筋力強化、右目の視力向上。魔眼の目、漆黒の篭手。

精装束…精霊の純魔力を有した『魔獣』から作られる服。魔縫士に頼まないと作れない。現在確認済『聖光』『雷雨』『烈風』

神代(ヴァーダ)…国に仕える戦士。個人で『魔獣』を倒せる程の力を所有する。

魔縫士…魔力を縫う事が出来る魔法使い

ヒトツキの夜…満月が一つになる日。セイレーンの歌が聴けるとか。


〜主要人物

うさ耳女…転生直後お世話になった女
ジャスミン・リ・ラスティア…ベルベット村出身の魔法使い
マリア…リネル村にて救出した少女
リネル村のお爺さん…救出依頼を出した人
クレア・グランフォード・メリル…メリル領主の娘
ゲルム…クレアの執事
アレス…メリル領主に仕えるヴァーダ
エルサム・ダーウィン…ダーウィンの領主
ゲール(ダンテ)…ダーウィン領に居た野盗、改名して西の大陸へ逃がす



大体書いたと思うけど抜けてたら教えて下さい
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 14:24:30.22 ID:ksLUuA520
地図とかって作ってたりします?
あれば見たいです
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 15:10:43.35 ID:fahfQ4YfO
即興で書きました。領地とか適当過ぎたので、あくまで参考程度に。下手過ぎわろた。
https://imgur.com/gallery/ChHYkNN
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/18(日) 15:21:37.83 ID:fahfQ4YfO

そうだ、占い屋ってのがあったよな。異世界の占い…気になるな。俺は占い屋を思い出しながら街を練り歩く。
たしかわかりやすい目印が…ってあったわ。怪しげな建物に水晶玉が入口に沢山飾ってあり、如何にもって感じの雰囲気だ。


「すみませーん、やってますかー?」


「あら…いらっしゃい…」


中で出迎えてくれたのは、魔女みたいな格好のお婆さん。中は暗く、お婆さんの目の前には大きな水晶玉が置いてある。


「お座り下さい…」


「あ、はい」


俺は床に置いてあるカーペットに腰を下ろす。


「それで……本日は何を占うのですか…?」


「そうですね……」






安価下
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 15:26:37.93 ID:ksLUuA520
位置関係がしっかりわかるので十分です。ありがとうございます

この先の吉兆
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 15:29:41.04 ID:ksLUuA520
日本語間違えてるぅ

吉兆じゃなくて吉凶
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 15:31:18.98 ID:ksLUuA520
いや、吉兆でいいのか?わからん
すみません安価下でお願いします
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/18(日) 15:44:13.53 ID:fahfQ4YfO

「じゃあ…この先、俺に吉兆はありますか?」


「わかりました。それでは…見てみましょう…」


お婆さんはゆらゆらと、手を水晶玉の回りで動かしている。ああ、何かそれっぽい動きだなぁ。


「……おや?」


「何か見えました?」


「……ふむ」


お婆さんは手を止めると、俺を疑うかの様な目で睨んでくる。凄みがあるというか、少しゾッとする。


「貴方は……人、なのですか?いえ…存在しているのですか?」


「え…?」


お婆さんの言っている意味がわからない、そんなのは見ればわかるだろうに。いや待てよ…転生の事が関係してる?でも……どういう意味かわからんな。


「貴方は……誰ですか?」


「俺は……男って言うんですけど…」


「……ふむ」


その時、嫌な音がした。何かにヒビが入る音。この場にある物でヒビが入るなど、目の前の水晶玉以外にない。


「……これは…」


水晶玉にヒビが入ってもお婆さんは動じない。何処か分かっていたかのような雰囲気で、悲しげに水晶玉を見ている。


「申し訳ありません…私には貴方を占う事が出来ません……」


「そ、そうですか……」


吉兆を聞いた矢先にこんな出来事とか…どうなっちまうんだよ俺。一応銀貨を1枚置いて俺は占い屋を出る。あまり気分は良くないが、何となくこの世界の占いは当たりそうな気がする。
あーやだやだ、気分転換に別の事をしようそうしよう。







行動安価
安価下
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 15:45:03.41 ID:fahfQ4YfO
なんかそれっぽくなったからセフセフ!
安価下
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 15:56:17.51 ID:DntH7ktv0
ギルドで仕事を探す
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 15:56:30.74 ID:XJsQV/Wu0
>>174
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 15:57:14.40 ID:ksLUuA520
すまん、ありがとう
移動時間から考えてアースガンド大陸ってあまり大きくなさそうですが、さっきの地図って世界地図ですか?
それとも五大陸の人類が行ける範囲の地図って感じですか?

安価は下
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 16:28:01.57 ID:fahfQ4YfO
移動距離は書いてて思いましたね、見切り発車が仇になった。地図はまた描き直しするかも、描けなかったら想像で補完にしてもらおうかな。
地図自体は異海の先がある設定ですね、設定だけは無駄に抱えてます。
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/18(日) 16:36:57.05 ID:fahfQ4YfO

気持ちの切り替えなら、ギルドで依頼が良いな。依頼内容に集中すればさっきの出来事も忘れられるだろう。
俺はギルドまで行くと、戸を開けて壁に貼られた依頼書を見る。

やるならやっぱり戦闘か?それとも安全に採取か?壁に貼られている依頼を分けると……




大型モンスター討伐(3~5人)、洞窟探索(3人) 、魔物討伐(1人)
、採取(1人)










(魔物名)討伐
(収集物)採取
(洞窟名)探索



安価下
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 16:42:04.37 ID:XJsQV/Wu0
薬草採取
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/18(日) 20:37:59.43 ID:fahfQ4YfO

ゲールとの戦闘は激戦だったからな、ここで軽い依頼をやるのも良いだろう。俺は駆け出し冒険者がやる様な薬草採取の依頼書を摂取る。受付嬢に持っていき、採取依頼中のバッチを貰って外へと出た。

とある漫画では木の精霊に生やしてもらったり、何十日分の薬草を持ってきたりとあるが、俺の異世界転生はそうはいかない。地道に、適量を集めるのだ。依頼内容も小袋が詰まるくらいと書いてある、漫画のような事はしないし起こらない……起こっても良いけど。

目的地はノース帝国を出て北東の森だ。サンプルも貰っているので多分間違えたりはしないだろう。諸々の準備確認も簡単終わり、ノース帝国の北門に向かおうとした時──。


「うおおおおぉ!アレス様だああああ!!」


「アレス様あああああああ!」


俺達が最初に来た東門の方からいくつもの声が響く。俺は叫ばれる名前に聞き覚えがあった。アレス様ってあのアレス?クレアの?何でここに?

まぁ……うーん…色々と気にはなるが、俺には関係ない事だよな。薬草取りに行くぞ薬草。小袋を握りしめ、北門へと向かう。



〜北東の森


森についてから数時間、依頼は順調だ。サクサク取れる訳でもないが、たまにはこういうのも良いなとしみじみ思う。薬草を取るだけで金が貰えるのだ、元の世界に比べたら採取も楽しく感じる。

あと1.2時間くらい集めれば一杯になりそうな小袋、森に入ればモンスターとの遭遇も考えられたが、平和そのもの。気軽に薬草集めが出来るってもんだ。
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/19(月) 15:21:04.46 ID:za88siOXO

「よいしょ…………お?」


薬草を抜き取った時、奥の方に足跡が見えた。興味本位でまじまじと見ると、魔物と人間の足跡が左へ続いていた。
誰かここで魔物とやり合っているのか。俺は一切遭遇しなかったというのに運の悪い奴だ。


『オオオオオォォォッ!!!』


「な、なんだ!?」


突然、耳を塞いでしまいたくなる程の雄叫びが鼓膜を刺激する。今のは一体…?この先に居る魔物によるものか?









行く、行かない
安価下
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/19(月) 15:24:31.59 ID:3rnAI8Uk0
行く
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/19(月) 15:51:48.18 ID:za88siOXO

どれくらい先から聞こえたかはわからないが、近くに居るはずの人間はただでは済まないぞ。俺は小袋をリュックに入れ、駆け足で足跡を辿っていった。






お、開けた空間が見えるぞ。物音も聞こえてきた、どうやら無事のようだ。俺は近くまで来ると茂みに隠れて覗き見る。

広間にはハイゴブリンとは種族の違うガタイの良い、角が生えた人型の魔物。手には鉈を持ち、あの筋肉質な腕で鉈を振られたら一溜りもないな。

対峙するのは──








安価下 性別
安価下2 容姿、服装、名前、得物、性格…etc (1つでも可)
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/19(月) 15:55:04.23 ID:Ip33NcbDO
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/19(月) 15:57:41.89 ID:f2E5grYC0
栗色のショートヘアで小柄な体格の少年
服装は動きやすい軽装
名前エメク
獲物短刀
性格は寡黙で必要最小限のことしか喋らない
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/19(月) 16:35:54.29 ID:za88siOXO

あれは…少年か?栗色の短い髪、小柄な身体には短刀を持っている。パッと見た感じや軽装な格好から、シーフを思わせる。だが、魔物を捉える目付きが子供のそれではない。怯えた様子は一切無く、相手の出方を窺っているのが分かる。

あんな少年も冒険者なのか?苦戦しているようだし、加勢しなきゃ…!俺は茂みを飛び出し、剣を抜く。


「おいこら!俺が相手だ!」


大声で挑発すると、魔物は俺の方へ顔だけ向ける。少年も一瞬驚くが、すぐに魔物に視線が戻る。


「どうした!かかってこいよ!」


手を大きく使ってこっちに来いとひたすら挑発すると、魔物は俺に身体を向け、歯ぎしりをした口からは涎が垂れている。こっっわ、何こいつ。

俺はレヴァンテインの力を発現させる。準備は出来た、どこからでもかかってこいや。


「グルルルル…!」


魔物が俺に向かって歩きだそうとした時、少年が斬りかかる。その動きは速く、思わず口から言葉が漏れた。
魔物の身体を刻むが、短刀では致命傷となる程の攻撃は難しい様だ。魔物が鉈を振り、少年は簡単に交わすと凄い速度で俺の傍にやって来る。


「……耳」


「え?」


少年から出た言葉に一瞬困惑するが、魔物を見て理解する。魔物が息を大きく吸う動作をしていたのだ。直後、恐ろしい声量の叫び声と声の圧力というのか、身体が少しぐらっと後ろに下がる。

耳塞いでもこれって……塞いでなかったらマジでやばいやつじゃん。
その際少年は耳を塞いでおらず、俺は疑問符が見えるくらいに意味が分からなかった。鼓膜破れてんのかな?

205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/19(月) 18:00:15.46 ID:za88siOXO

雄叫びが終わると少年は電光石火の如く飛び出し、また魔物を翻弄する。苦戦している様に見えたけど、じわじわと倒しているのか。自分の体躯や得物を理解しての戦い方というのか、俺は少年に関心した。


「負けてらんないな…」


俺も距離を詰め、少し離れた所で剣を構える。真空刃を繰り出すと少年に当たる恐れがあるが、俺は何処か平気だろうという確信を持っていた。


「当たるなよ!少年!」


俺は袈裟斬りに剣を振る。少年は俺の声に反応したのか、すぐに距離を空けて退避する。数秒後、魔物の身体が斜めに血飛沫を上げる。


「ガアアアアッ!!!」


当たったが、ハイゴブリンの様には行かない。ダメージを与えたのは間違いないが、まだまだ動けるといった感じだ。真空刃がダメなら……。

強化した右脚で思い切り地を蹴ると、滑走するように一気に距離を詰める。それに合わせて魔物が鉈を振り下ろすが、右目と右腕の強化を使っているので受け止められるが、気を抜いたら押し込まれるな。


「少年!やっち…おお?」


鍔迫り合いの隙にトドメを少年に託そうとしたら、既に何かの構えを取っている。少年の足元には電気が走っていて、逆手に持った短刀は電気を帯びている。

瞬間、少年が電気音と共に疾走。目の強化のおかげで動きが見えるが、これはゲールの魔走に引けを取らない速さだ。
刃身を肩から腰にかけて短刀を振り抜き、地を削りながら勢いを殺している。
するとすぐに鉈を押し込んでくる力が弱くなり、魔物はその場に崩れ落ちた。
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 10:24:08.18 ID:7jJYpAViO

「すげぇ…」


思わず声が漏れた。俺は剣を鞘に戻し、少年へと歩み寄る。既に電気は帯びておらず、短刀から魔物の血を払って別のナイフを取り出していた。


「凄いね、少年」


俺は手を差し出し、握手を求める。


「…………」


少年は喋らないが、握手はしてくれた。さっきもそうだけど…あんまり喋らない子なのかな。握手を終えると少年は魔物に近付き、剥ぎ取りを始める。討伐依頼はやったことはないが、何かを持ち帰らないといけないみたいだな。


「…この魔物、なんて奴か知ってる?」


「………オーガ」


少年は角をナイフで削りながら答えてくれた。なるほど、こいつはオーガだったのか。そういえばオークやらオーガやら居るが、何で区別するかとか知らないな。


「オーガか、強かったね」


「……別に。1人でも勝てた」


角が切れたのか、立ち上がって角を袋にしまう。共闘した仲なのにそんな言い方する?まぁ勝手に手伝っただけだし、別にお礼を求めてた訳じゃないけどさ。


「あ、はは…そっかそっか」


「……」


少年はナイフをしまい、俺を一瞥した後にノースで待ってる、と一言だけ告げてその場を去る。俺も少年が見えなくなると、もうすぐで一杯になる小袋を取り出して薬草を探し始めた。

そういえば名前とか聞いてなかったな。ノース帝国で待ってるらしいし、改めて聞こう。



〜ノース帝国 冒険者ギルド


薬草取り終えた俺はギルドの戸を開けて中に入り、受付嬢に小袋を渡して報酬を受け取る。時間と労力の割には少額だが、まぁ採取だしなと納得する。

ここのギルドの中は簡易的な酒場になっており、置かれたテーブルで酒を飲む輩が数十人程居る。 そのガヤガヤとうるさい中、隅っこに座る少年が居た。
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 14:04:40.91 ID:7jJYpAViO

少年は待ってると言っていたし、俺は少年の隣が空いていたのでそこに座る事にした。人混みを抜けて少年の肩を軽く叩き隣に座る。


「来たよ。それで、待ってるって言ってたけど」


「……これ」


少年は俺の前に金貨1枚と銀銅貨を数枚置いた。


「え……何これ?」


突然差し出された貨幣に俺は困惑する。


「…………報酬」


「報酬…?…………ああ!」


なるほど、オーガを倒すのを手伝ったからか。おいおい何だよ、無愛想な子だと思ったけどしっかりしてんな。でも、これは受け取れないな。俺は貨幣を手の平でスライドさせて少年に押し戻す。


「俺が勝手に手伝っただけだから、これは貰えない」


「…………」


「それに報酬なら、別の物が良いな」


「…………?」


「少年の名前、教えてよ」


何かカッコイイ事言ったんじゃねなんて思っていたら、少年は怪訝そうな顔で見てきた。悲しいなぁ。


「…………エメク」


「お、ありがとう…エメクか。俺は男、宜しくな」


俺はふたたび握手を求めるが、今度は手に取ってはくれなかった。渋々手を引っ込め、俺も近くの給仕に声を掛けてエールを注文する際に少年のドリンクも頼もうとしたが既に何か飲んでいた。
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 14:37:51.99 ID:7jJYpAViO

「お待たせしました〜」


俺のエールが届いた。せっかくだしエメクと乾杯をしよう。俺は樽ジョッキを持ち、俺達の間くらいに掲げる。


「エメク、乾杯しようぜ」


「…………」


また無視されると思ったが、エメクはグラスを持って乾杯してくれた。エメクはいくつくらい何だろう、子供にしては落ち着いているし大人びた雰囲気もある。まぁ冒険者やるくらいだし、この歳の子はそういうもんなのかな。
横目に見ていたら、ドリンクを飲むエメクの顔が歪む。


「ん?……お前それ…もしかして酒か?」


「…………そうだけど」


何ぃ?異世界とはいえ子供が酒を飲むのはいかんのではないか?ギルドの奴等は何故出した?


「まだエメクには酒は早いんじゃないか?」


「…………別に」


「ほら、駄目だって」


俺はエメクからグラスを取り上げ、自分の元に持ってくる。いつから飲んでいるかは知らないが嵩が全然減っていない。


「…………」


「そう睨むな、ジュース頼んでやるから」


通りかかった給仕に甘いジュースと、ついでに適当なツマミを注文する。


「飲めないのに…どうして酒なんか頼んだんだ?」


「…………」


エメクは肘を突き、手に顎を乗せてそっぽを向いてしまう。


「……別にいいでしょ」


「良くない、子供が飲むと身体に悪いんだぞ」


「…………」


エメクは流し目で俺を見る。


「…………子供扱いしないでくれるかな」


「だって子供じゃん」
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/20(火) 14:42:48.33 ID:7jJYpAViO

「…………ちっ」


再びエメクはそっぽを向いてしまう。正論を言ったら怒ってしまったぞ。そうこうしているうちにジュースが届き、俺はエメクの前にジュースを置いてあげた。


「ほら、来たぞ」


「…………」


エメクは無言で受け取り、グイグイと飲み始める。このお年頃は扱いが難しい、子を持つ世間のお父さんも悩んでるのかな。
このままではアレなので、何か世間話でも振ってみよう。










話題安価
安価下
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 14:55:48.63 ID:T4exO5O20
無口な年下と何を話せばいいんだ…

とりあえず先程の戦闘について
最後のあれは魔走ってやつ?みたいな
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 14:56:17.81 ID:WUnqaIdG0
オーガと戦いで出した電気を使った戦い方について
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/20(火) 15:20:36.39 ID:7jJYpAViO
エメクの一人称僕か俺で悩む、どっちがいいかな
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 15:24:12.91 ID:PkdnkLwlo
子供に見られたくないようなので俺かなあ
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 15:24:34.93 ID:T4exO5O20
普段は俺、ふと素が出ると僕、とか?
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 15:25:41.02 ID:xka19LvW0
個人的には僕だけど、成人みたいだし俺のほうが合ってるのかな
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 15:42:25.38 ID:vVwEFBbDO
僕に一票
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 15:53:32.64 ID:7jJYpAViO

とはいえ…こんな無口でかつ歳も一回りは違いそうな子に振る話題ってなんだ?…駄目だ、思い付かねぇ。
俺は唸っていると、テーブルに置かれたエメクの得物、短刀が目に留まる。そういや…あの技の事とか聞いてみるか。


「なぁなぁ、オーガの時に使ったあの技ってさ、魔走とは違うのか?」


「…………」


ダメか、怒ってるからか答えてくれなさそうだ。


「…………迅雷」


「え?」


「迅雷…………俺の技」


「へぇ…迅雷…」


あの速度から連想されるのは疾風迅雷。なるほど、見た目も名前もピッタリだな。


「……男こそ、その馬鹿力は何なの。オーガの一撃ってかなり重いんだけど」


「こら。歳上なんだから、さん付けしなさい」


「だから…………はぁ、もういい」


異世界に来て数日では元の世界の感じは抜けない、多分言葉使いなんて冒険者の間では気にしないのだろう。つい諭してしまったから、また拗ねてしまった。冒険者の子供は対等に扱わないと駄目な感じかな。


「あ、悪い悪い。さっきの質問だけど、俺はこう見えて強いからな」


俺はここぞとばかりに胸を張って言う。


「…………全然そんな風には見えないけどね」


「でも、俺の真空刃見ただろ?」


「…………」


返事は無い。やはりエメクと話すのは難しいなと痛感する。


「お待たせしました〜」


「お」


頼んだツマミが来た。これは何だろう…見た目は長芋の醤油漬けっぽいが。


「ほら、エメクも食えよ」


「…………」


返事はなくとも、視線がツマミを向いている。


「遠慮しなくて良いぞ…………ん!美味いぞこれ!」


「…ふーん」


興味ありませんけど、みたいな態度をしていてもツマミに手が伸びている。難しいお年頃だしな、素直になれないのだろう。いや、俺が怒らせたからか。もしかしてウザ絡みしてくるオヤジみたいな感じなってる?俺。
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 16:18:12.43 ID:7jJYpAViO

「…………」


無言で食べるエメクだが、思いの外美味しかったのか手が止まらずに食べ終わっては次を取っている。


「エメクは明日────」


「ビックニュースだああああああ!!」


突然入口から大声が聞こえた。


「な、なんだ?」


声の出処に目をやると、冒険者と思われる男が勢いよく入ってテーブル側に近付いてくる。周囲に居た冒険者も皆視線を入ってきた男に集めた。
一体何事だ?只事ではない雰囲気だが。受付嬢が入ってきた男に近付いて事情を聴き始めた。


「何ですか突然…どうしたんですか?」


「ああ!前らに良い知らせを持ってきたぜ!隣国のメリルとノース帝国が!戦争するってよ!」


「え…?それは本当ですか?」


は?今なんと?聞き間違いか?


「本当だよ!メリルとノースが戦争するんだって!おめぇら!稼ぎ時だぜ!!」


戦争だと…?クレアは一体何しにここへ来たんだ。それにアレスも此処に来ていた筈だ、一体何が起きている?


「…………戦争だってさ」


後ろからエメクの声がした。戦争に巻き込まれるなんて冗談ではない、でもな…。


「稼ぎ時ってのはどういう事だ?」


入ってきた男はガヤガヤ騒いでいるが、俺は座り直してエメクに聞いてみる。


「…………わかるでしょ、国が冒険者を金で徴兵して使うんだよ。勝っても負けても金は払われるし、冒険者には美味しい話だよ」


「なるほど……」


だが、命の危険も伴う。冒険者は命知らずみたいなのが多そうだが、そんなに喜ぶべき事かは悩み所だな。

219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/20(火) 16:45:33.96 ID:7jJYpAViO

「…………やるの?」


「いや、今ちょっと整理中……」


何故戦争が起きた?クレアの様子を見ておかなかったのが仇になったか…いや、どっちにしろ起きていたのか?今更考えても、後悔してもしょうがない。


「お前ら参加しとけよ!なんせノース帝国には二等級様が居るんだからよ!」


俺は聞き慣れない単語に反応した、二等級とは何だ?


「なぁエメク…二等級ってなんだ?」


「……知らないの?」


「あ、ああ……俺って辺境に居たから世間に疎くてさ…」


すっかり自分の設定を忘れていた。だが、エメクの反応的に常識的な物らしいな。


「…………へぇ、まぁいいけどさ。等級ってのは王都が定めたヴァーダのランク付けだよ」


「ランク付けか……ちなみにメリルのアレスの等級って知ってるか?」


「三等だよ………でも定めたのは結構前だし、今はわかんないよ」


「そうか……」


ヴァーダにも格付けがあるのか。ノース帝国のヴァーダが二等級だとしたらアレスでは対抗が難しいな。というか、そもそも戦争の原因は何なんだ?


「……で、男はやるの?」


「…………」


無関係とはいえ、見知った者が戦争の核に居るのは何とも気持ちの悪い感覚だ。選択肢は沢山ある…俺は…












自由安価
安価下
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 16:49:38.56 ID:T4exO5O20
積極的な参加はしないが、情報を手に入れるために渦中に入る
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 16:49:46.90 ID:dFfJq89W0
会えるならクレアに会う
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 16:50:16.48 ID:T4exO5O20
すまん連取りだ
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 16:58:16.31 ID:7jJYpAViO
じゃあ221で行きますね
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/20(火) 17:25:15.79 ID:7jJYpAViO

原因が気になる。本当に今更だがクレアの様子を見に行こう。まだあそこに居てくれれば良いが。


「…俺は人に会ってくる。エメクはどうする?」


「…………早く行けば」


「……ああ。またなエメク」


俺はギルドを飛び出し、王宮へと急いだ。





俺は遠目に見える王宮を見て目を疑う。明らかに何かに破壊されたとわかる程に、一部が崩壊していた。今の状況からして、クレアを連れてアレスが暴れたのか?王宮には居ない可能性が出てきた……でも、とりあえずは行かなければ。

そこの角を曲がれば王宮までは直進だ…!結構な速さで走る俺は、角から来る人影に衝突してしまう。






衝突した人物
安価下
性別

安価下2(名前がある場合フルネーム)
容姿、服装、名前、得物……etc. 設定以外は何でもOK(1つだけでも可)
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 17:39:27.86 ID:T4exO5O20
性別不明
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 17:41:00.61 ID:vVwEFBbDO
黒マントで全身を覆い、真っ白の仮面を被っている
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 17:41:49.30 ID:2qR5O0h4O
容姿:黒髪に琥珀の目をした、飄々とした印象を持つ中性的な印象。髪はセミロング。
名前:ノワール
服装:黒い装束にフード付きのマント。額にはゴーグルのような物をつけており、ブーツを着用。
腰には折りたたまれたクロスボウと矢筒が見える。
得物:クロスボウ及び毒薬
その他:この辺り一帯を縄張りとしている情報屋兼盗賊。飄々とした性格で胡散臭い笑みを貼り付けている。
しかし、彼(彼女?)の持つ情報はどれも正確であり、それなりに人望も高い。
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/20(火) 18:47:12.57 ID:7jJYpAViO

「あっ!すみません!大丈夫です…か?」


俺は今の出来事に違和感を持つ。勢い良く衝突した筈なのに跳ね返ったのは俺だ。普通なら相手が倒れてもおかしくない勢いの筈なのに…。


「……気を付けて」


その人物からの第一声は高く、全身を黒いマントで覆い白い釣り目状に片目だけ空いた仮面を着けていた。一瞬女性かと思わせるが、格好や違和感から男性という可能性もある。声が中性的な人間はたまにいるからな。


「あっ…ほんとごめんなさい!それじゃ!」


呆気に取られている場合ではない、今は王宮に急がなくては。俺は仮面の人を通り抜け、王宮へと走った。



〜王宮前


王宮に到着すると何やら忙しなく動いている兵士が沢山居た。そのうちの1人に、朝正門の前に居た兵士が見える。とりあえずあの兵士に話を聞こう。


「あの」


「!……君は…」


「朝はどうも。えっと…クレア様は居ますか?」


「…もう居ない。メリルのヴァーダ…アレスによって連れて行かれた」


「そうですか…やっぱり…」


予想は的中した、となると帰国している最中か。これが漫画やアニメなら俺は二国の間に入って戦争を止める事が出来るんだろう。だが、そんなら大それた事を言うつもりは無い。

ただ、ジャスミンとの約束を破ってしまった事が俺の後を引くのだ。戦争を止められなくても、何かをしないといけない気がする。


「ありがとうございます」


「ああ。君は参加しないのかい?」


「わかりません。でも、その前にちょっとやる事があるんで…それじゃ!」


俺は王宮を離れるが、やる事なんてまだ思い付かない。追うか?情報を集めるか?それとも他に何か……




安価下
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 18:51:51.99 ID:Hfo6X16D0
情報を集める
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 22:22:07.39 ID:7jJYpAViO
安価外ですが227が凄く丁度良いので使わせてもらいます!
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 23:27:12.35 ID:7jJYpAViO
undefined
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 23:35:22.68 ID:T4exO5O20
何行以上でこれ出るんやろな
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 23:37:29.32 ID:9bM9t0DOo
85行までだったかな
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/20(火) 23:41:35.79 ID:T4exO5O20
結構多く思えるけど改行も入れるとそうでもない感じか
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/21(水) 00:40:39.11 ID:f9a2WY3tO

いや、今は情報を集めよう。王にしたって追いつける保証はないからな。でも誰に聞けば…………あっ、ギルドに入ってきた男が居た!あいつなら何か……ん?

待てよ。何であの男は戦争が始まるのを知っていた?見た所まだ王宮は準備を始めたばかりだし、ここまで走ってきたが街の雰囲気はこれから戦争が始まるという感じではない。

恐らく近々知らせがあるんだろうが、今の様子からまだ街の人々は知らないはず。それをただの冒険者が知っているのは……怪しいな。まだ居てくれよと願いながら、俺はギルドを目指す。



〜冒険者ギルド


「…居た」


例の男が居た。他の冒険者と一緒に酒を飲んでいるが、戦争に参加するってのに呑気なもんだ。エメクは……居ないか。俺は男の居る卓の空いた席に座った。


「なぁ、あんた」


「ああ?……何でぇ、ギルドから飛び出してった兄ちゃんじゃねぇかよ。ビビって逃げ出したかと思ってたぜ」


茶化され、周りの冒険者も同調して笑う。笑いたきゃ笑え、今はどうでもいい。


「あんたさ、何で戦争が始まるのを知っていたんだ?」


「あ?なんだよ…そんな事か。ノワールから聞いたんだよ」


「ノワール?」


「何だよ兄ちゃん、外部の人間か?」


「あ、ああ……辺境から来たもんで…そのノワールってのは有名なのか?」


「おうよ!情報屋ノワールって言ったら、ここいらで知らねぇ奴はいねぇさ」


情報屋ね…。情報は鮮度が命と言うが、仕入れの速さから相当な奴だとわかる。ならば、そのノワールから有益な情報を更に聞き出すしかないな。
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/21(水) 08:53:18.46 ID:pLCyfQrH0

「そのノワールってのはどこに?」


「ノワールに会いてぇのか?なら貧民街のBARに行きな」


ノース帝国にある貧民街か……治安的な意味で不安になるな。


「見た目はどんな感じ?」


「言う必要はねぇな。行けばわかるぜ」


「なに、そうなのか…」


余程目立つ格好なのか人物なのか?


「わかった、ありがとう。貧民街に行ってみるよ」


「おう!ただちょっと変わってる奴だから驚くかもな!」


ガハハと笑う男達から離れ、俺は貧民街にあるというBARを探しに飛び出した。



〜貧民街


貧民街に入るのは容易だった。一般街と貧民街を分け隔てる鉄柵がたり、門もあるが鍵は掛かっていないので出入り自体は自由。俺は情勢に詳しい訳ではないけど、ここ貧民街の雰囲気は一般街と比べたら大分逸脱している。

野放しで良いのかな、国は何もしないのかな。いち冒険者が考えた所で仕方はないだろうが、考える事は別に良いよな。
一般街の家は鉄?みたいな造りの家が多く、貧民街はレンガや木材で出来た家が多い。建物と建物の屋根に板やら天幕が張っており、街灯も少なく、夜にここに来たことを後悔するくらいに暗い。恐らく朝昼でも薄暗いだろう。

BARを探す道中ガラの悪そうな男達に睨まれたり、座り込む服がボロボロの子供が物欲しそうな目で見てきたり、娼婦らしき女と冒険者が金のやり取りをしたり、治安は最高だよホント。

貧民街は西区に当たる位置で、そんなに広くない筈なんだが……入り組んでいるからか全然見当たらないな。
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/22(木) 06:49:17.86 ID:Vd0j+s2o0

途方に暮れて時間を無駄にするくらいなら、少し気が引けるが貧民街の人にBARの場所を聞く方が早いな。
近くに丁度ガラの悪い男がレンガの壁に寄りかかって居たので話を聞く事にする。


「あのー」


「……あ?」


「この辺りにBARがあるって聞いたんですけど、知ってますか?」


「ああ、BARなら知ってるよ」


そう言うとガラの悪い男は俺に手を差し出してくる。ああこれは、アレだよね。俺は小袋から銀貨を一枚取り出して男に渡す。足りるのかな。


「ここの3階」


男は寄りかかっていた壁を軽く叩く。目の前だったのか、外からじゃ全くわからないぞこれは、だって普通の家だし。俺はドアノブに手を掛けると普通に開いた。三階建てのレンガの家、内装は至って普通でとてもBARがあるとは思えない。階段を上り、3階まで上がるとすぐ目の前に扉があった。


「いらっしゃいませ」


扉がの先はたしかにBARだった。渋いおじさんがカウンターの中から出迎えてくれる。BARという事にも驚いたが何より広い、3階全体を改装しているんだな、客もそれなりに居る。

238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/22(木) 14:59:15.24 ID:I0ayTI0UO

店内を見回すと、ある人物に目が留まる。その人物がノワールという確信も無いのに、俺は何故か分かってしまった。

黒装束に身を包み、セミロングくらいの黒い髪、額にはゴーグルをしている。そして何より気になるのはあの笑みだ。表現で聞く貼り付けた様な笑みとはああいうのを言うんだろう。
俺はノワールと思われる男に近付き、向かいの席に座る。


「やあやあ、お兄さん。こんばんは、僕はノワール。宜しくね」


「な……」


席に座るや否や挨拶してくるので呆気に取られてしまう。名前や遠目から見た限り女だと思っていたが、中性的な声や端正な顔立ちから男性と言われても納得出来る。


「顔見れば分かるよ、僕を探してんたんでしょ?」


「そう…なんだ。顔見て分かるって凄いね」


「そうでしょ?それで、ボクに何の用かな?コンスタン一味を倒したお兄さん」


「ん…?コンスタン一味?」


「ダンテ」


「!!……なんでそれを?」


「あれ?知ってるでしょ?僕は情報屋なんだよ」


いやいやそうは言うが、そんな情報まで仕入れられるのか。だが情報屋としては信頼出来そうだ。


「コンスタンには手を焼いてたからね、お兄さんが倒してくれて助かったよ。主力のダンテが消えれば暫くは大人しくするだろうしね。お兄さんにはお礼も兼ねて、何か答えてあげるよ」

239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/22(木) 16:29:29.44 ID:I0ayTI0UO

何かしら対価を払うとは思っていたが、無償で教えて貰えるなら大いに助かる。


「それなら、これから起こる戦争の発端を教えてくれないか?」


「お?あはは、お兄さんも聞いたんだそれ。まぁ気になるよね、クレア様の護衛してたもんね」


俺は驚かない、当然見抜かれていると思ったからだ。


「よくある話だよ、政略結婚」


「政略結婚?クレアと誰が?」


「ノース帝国皇帝の息子、ブレイク・ノース殿下だね」


「なるほど……」


「本題に戻ろうか。メリル国王ガイウス・グランフォード・メリルは密輸をしていてね、そこでノース帝国皇帝ジェラルド・ノースの耳に入ったのが発端なの」


「密輸…?一体何を?」


「本来物資の輸出入管理は王都を通さないといけないんだけど、ガイウスは内緒で盗賊達から青聖水(ラグーン)を仕入れていたんだ」


「ラグーン……それは危険なものなのか?」


「強烈な中毒性があるお酒でね、当時は人気だったんだけど飲み過ぎると副作用で死に至る事がわかって製造中止になったんだ。でも盗賊達は製造法を知っていてね、金を持った連中に売り付けては金を稼いでいるのさ」


「……つまりは…ノース帝国はその事を知って、黙ってやるから結婚しろって言っているのか?」


「大体は合ってるけど、正確にはノース帝国は領土拡大を常に狙っていて、クレア様と結婚させた後は密輸を盾にメリルを吸収するつもりだったんだ」


「んじゃ…それが破棄になって戦争に?」


「せいか〜い。ま、僕は稼げるなら何でも良いけどね♪」


「…………」


240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/22(木) 16:47:06.83 ID:I0ayTI0UO

「でも……メリルがそんな悪事を働いているなら、周りの国が黙ってないだろ?特に王都とかさ」


「普通はそうだよね、普通はね〜」


「何か…含みがある言い方だな?」


「…あはは!サービスは終わり!今日はもう店仕舞いだよ」


「なっ…まだ聞きたい事はあるんだ!」


「やーだよ、もう終わり!どうせ暇してたんでしょ?一緒に飲もうよ」


「今はそれどころじゃない!」


「つれないねぇ……しょうがないなぁ…」


ノワールは手帳を取り出して、パラパラと捲る。ふんふんと唸ると、パンッと手帳を閉じた。


「メルヴィス湖に行きな」


「え?」


「戦場はそこになるから」


そう言うとノワールは立ち上がる。戦場まで把握しているとは凄い情報網だ。逆にどうやって仕入れてるのか……情報屋って凄いな。


「あ、ありがとう…」


「大サービスだからね。バイバイ、お兄さん」

241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/22(木) 20:46:04.02 ID:I0ayTI0UO

ノワールはマスターにお金を渡して店を出て行った。メルヴィス湖が戦場になるのか……場所としては悪地だし、軍を二手に分けての戦闘になりそうだな。
情報は得た。そうと分かったらメルヴィス湖に向かうか、何が出来るかは分からないけど。俺は酒を一杯ひっかけてから店を出る事にした。



〜 一般街 大通り



「さて……」


早速厩舎から馬に乗って向かうか、時間も遅いし明日から向かうか。店も戸締まりを始めているので、行けるとしたら宿くらいしかなさそうだ。他にやれる事があるならやっておきたいが……





行動安価

安価下
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/22(木) 20:52:14.69 ID:7YfiRnOv0
宿に泊まる
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/22(木) 23:58:09.63 ID:Vd0j+s2o0

いや、今日はとりあえず休もう。急いでも好転する訳じゃないしな。俺は宿へと向かい、身体を休める事にした。



〜宿屋


手続きを済ませ、店主から鍵を貰う。


「なぁあんた…」


「え?」


「いや……何でもない」


んん?どうしたのだろうか。俺なんか変だったのかな。気にはなるが今はとにかく休みたいし、別に良いか。俺は軽く会釈をして宿舎へと向かった。

俺は階段を上がりながら明日の事を考える。戦争の準備やら進軍までに、どれほど時間が掛かるのだろうか。この世界の常識がわからない以上、明日進軍となってもおかしくはないしな。

数日掛かるとしてメルヴィス湖で待機するなら野宿の準備も必要か、テントやら食料を買っといた方が良いな。俺はあれこれ考えながらドアノブを回す。


「……ん?」


「ちょ……」


扉の先には女が居た、裸の。まさに風呂上がりといった感じだ。それよりもこの女……。


「お前…」


「早く出ていきなさいよ!馬鹿!」


「おわっ!?」


手当たり次第に物を投げてくるので俺は扉を閉めて外に退散する。間違いない、あのうさ耳はあの女だ。少し扉を開け、声が通りやすい様にする。


「お前、ここに来てたんだな」


「あんたこそ!こんなとこで何やってんのよ!開けたら殺すわよ!」


「俺はちょっと……つか、何で鍵閉めてないんだよ……」


「う、うるっさい!てゆーか見た!?見たよね!?」


「まぁ……」


「あーっ!もう最悪!」


「いやこれは事故で……確かに俺が部屋間違えたのが悪い」


「ほら!あんたが悪いんじゃないの!」


「でも身体見られたのはお前の不注意からだし……」


「はぁ!?そもそもはあんたが部屋を間違えるからじゃない!」


無限ループだこれ。これ以上は不毛だ、やめておこう。良いもの見れたしな。

244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/23(金) 00:31:30.60 ID:6HErdMwE0

「そうだよね。じゃあ…俺は寝るから、おやすみ」


俺は知人に会えた事よりも就寝を優先する。


「ちょっと!待ちなさい!」


「俺が悪かったよ、許してくれって」


「そうじゃなくて!」


「え?なに?」


「ちょっと中に入りなさい」


「えぇ…」


「えぇじゃない!早く!」


女の子から部屋に呼ばれるシチュエーションなのに、こんなに嬉しくないとは一体…。俺は扉を開けると既に着替え終わっている女がベットに腰掛けて俺を見ていた。

あの時の短パンにチューブトップの服装ではなく、今はキャミソールにジーンズを着用していた。今更だが、あの垂れたうさ耳はロップイヤーっていう兎の耳に似てるな。

俺は近くの椅子に腰掛け、欠伸をしながら女を見る。一体何だってんだ。


「で、どうしたんだ」


「さっきの続きよ、あんたここで何してんのよ」


「…寝に来たんだけど……」


「殴るわよ」


「こっっわ」


冗談のつもりだったが、凄い形相で睨まれた。


「あれだよ、ちょっと依頼で寄っただけ。明日にはここを発つかも」


「…ふーん」


女は怪しむ様な目で俺の顔を覗き込んでくる。


「…何か隠してるでしょ、わかるわよ」


「あー…そういや嘘を見抜くの得意だったんだっけ…」


「そうよ。それで、何を隠してるの?」


「(安価下)」

245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/23(金) 00:35:59.75 ID:oHvbDdL50
こっちに来て初めてできた友達と言える人から頼まれごとをされてて、そのことでちょっとね
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/24(土) 11:50:09.10 ID:HOWRhC4x0

「こっちに来て初めてできた友達と言える人から頼まれごとをされてて、そのことでちょっとね」


「頼まれ事って?」


「それは…言わなきゃ駄目か?」


「……ふん、別にいいわ」


女は諦めたのか、ベットに倒れ込んでしまう。戦争の渦中に行くなんて言えないよな。


「お前こそ、ノース帝国で何してたんだ?」


「私は…………人探しよ」


「ふーん…人探しねぇ」


「ここもハズレだったけどね。あーあー…次は何処に行こうかしら」


「誰を探してるんだ?」


「…………」


女はベットから身体を起こし、窓を見やる。


「私が探してるのは……父よ」


「お父さん?居なくなったのか?」


「そうね……居なくなっちゃったわ」


その表情は悲しそうで、これ以上は聞かない方が良さそうだった。


「あー…そういえば、お前…名前はなんていうんだ?」


「え…?急に何よ」


「いや、名前知らないなって思ってさ」


「…そういえば教えて無かったわね。私は……アザミよ」

247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/24(土) 13:19:46.43 ID:HOWRhC4x0

「アザミね。俺は──」


「男でしょ、知ってるわよ」


「あれ?行ったっけ?」


「忘れたの?あんたの身の上話聞いた時に言ってたわよ」


「あ、そうだったか。まぁ改めてよろしくな、アザミ」


「何をよろしくするってのよ」


「そう言われるとな…ほら、またどっかで会うかもしれないだろ?そん時にまたこうやって近況話したり……とか」


「近況ね……ふん。まぁ…それは別に良いけど…」


アザミはそっぽを向いて、今度はベットに潜った。俺はその様子を見て、椅子から立ち上がり挨拶をして部屋から出る。アザミとまた会えるとは思っていなかったが、旅をする以上またどこかで会えそうな気がするな。

俺は自分の部屋に入り、用意された寝巻きに着替える。ベットに飛び込み、これまでに知り合った人達や出来事を思い浮かべる。
ふり返ればふり返る程、異世界転生の主人公らしくはないなと笑ってしまう。

実は賢者に育てられた孫とか、魔王の生まれ変わりとか、何度か転生してたり……そういう設定が秘められたりしてれば良かったんだけどな。

贅沢を言っても仕方ないと分かっていても、もう自分にはそういう事に縁がないとしても、少しは期待してしまう。きっとレヴァンテインを手に入れたせいで、その欲は更に強まっているんだろうな。


「はぁ……寝よ寝よ」


248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/24(土) 13:41:21.81 ID:HOWRhC4x0

〜 一般街


翌日。昼まで寝てしまった俺はチェックアウトを済ました俺は店のある街並へと向かう。数日野宿の出来る準備をしないとならない。
俺が寝ている間に知らせがあったのか、恐らく戦争の知らせを聞いたんだなと分かるくらいに住民達はざわついてた。

俺は数日の食料と簡易テントを購入。ノース帝国にはトライポッドがあるが、これはまたの機会にしよう。他には炎焼石や小さい折り畳み椅子やランプを買った。

結構な大荷物になってしまったので、更に大きいリュックサックを購入した。漫画の商人とかが持ってるやつに似ている、あれほど詰まってはないが。


「さてと……」


キャンプの用意は出来た。そろそろ向かうか、他の店に寄るか。









安価下
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/24(土) 13:48:36.75 ID:6fEszLS30
武器や防具の店を見て必要なら購入する
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/24(土) 14:00:52.29 ID:HOWRhC4x0

武器や防具を新調するか。ここは武器と防具の店は別れているからまずは武器を見よう。


〜武器屋


店内は広く、壁には様々な大型の武器が飾ってあり、中央の棚には子型の武器がずらりと置いてある。ここでならちゃんとした得物を選べるなり。

飾ってある武器を触ってもいいかと店主に尋ねたら許可が出たので、色々と触って手に持ってみる。予想通りというか、筋力強化をしていなければ大剣や大斧を持つのは無理だった、生身の俺には重すぎる。

数十分程色々な武器を触り、俺は────






安価下
購入する 購入しない


安価下2 購入の場合
武器種
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/24(土) 14:22:21.53 ID:EN4I4ukHo
購入する
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/24(土) 14:47:11.32 ID:UZ9rF12i0
二刀短剣
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/24(土) 14:48:05.74 ID:6jrEbtLDO
弓とかの遠距離攻撃系
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/24(土) 15:15:18.32 ID:HOWRhC4x0

二刀短剣を手に取る。リーチは短いが素の状態でも持ちやすく、何より手に馴染む。正直利き手じゃない左手で扱えるかは分からないが、手が多い方が良いだろう。
某アニメの黒剣士君みたく長剣の二刀流にも憧れるが、俺にはコレが適している。得物を決め、短剣を店主に持っていき会計をする。


「お客さん、その腰の剣はどうする?これからこいつを使うってんなら、その剣買い取っても良いが」


「んー…念の為にとっときます」


「そうかい。じゃあ銀貨8枚ね」


俺は袋から最後の金貨を渡した。やはり物が良いのか高いな、防具も同じくらいだとお金が無くなってしまうかもな。
剣を腰からリュックと背の間に移し、短剣を両腰に装備した。武器屋を出て、次は防具屋へと向かう。


〜防具屋


中に入ると女性の店員が居た。俺の培ったイメージからこういった所には男性しか居ないと思っていた。


「いらっしゃいませ〜!」


元気よく挨拶され、軽く会釈をして防具を見て回る。現在俺の装備は鉢金と胴当て、まだ軽めなので機動力はある。
素人目から見ても、質の良さそうな防具がずらりと並ぶ。先程の武器屋を参考にすれば買えるとしても1つだな。

一式は買えないとして、肩当て、篭手、グリーブ、盾、ベルト、ヘルム……一式の一部も買おうと思えば買えそうだ。
さて、どれが良いだろうか……




安価下
購入する 購入しない

安価下2
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