未来「翼と入れ替わってたときの話」【ミリマス 】

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/30(火) 00:02:12.31 ID:UbedML5p0
テスト

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1564412532
2 : ◆z80pHM8khRJd [saga]:2019/07/30(火) 00:06:02.11 ID:UbedML5p0
「もういいよ春日さん、休憩してて」

トレーナーさんにちょっと冷たくそう言われ、レッスン場の端の壁までトボトボと歩いて、うつむくようにして小さく体育座りをした。もう少しちゃんと練習しておくべきだったんだ。いや、ちゃんと練習してもできたかどうかは分からない。あのステップのトコは本当に難しいから。気分を晴らそうと汗を拭こう思ったけどタオルを忘れたことに気づく。だけれども探すのもめんどくさく感じて、ボーっとみんなのレッスンを眺めることにした。

休憩する私の代わりにダンスレッスンに入ったのは、翼。トレーナーさんの手拍子に合わせて踊っていく。それにしても上手い。私が難しいなって思っている部分をあっさりとクリアしていく。……ダメだ、翼を見てると余計に落ち込む。

もし翼が自主練を頑張ってるのなら私も納得はする。だけど翼は昨日、一日中遊んでたんだよ。え、何で知ってるかって? そりゃ私も一緒に遊びにいったからだよ。

じゃあ翼は家でこっそり練習しているのかな。いや、それもないかなぁ。だってずっと私ラインしてたんだもの。やっぱりそんなに練習しているわけではない。

それなのに翼はちょっとフリ付けをみただけで、すぐマスターしちゃうから、なんだか私が練習する意味がないような気さえしてくる。……なんて考え事をしていると、気づいたらレッスンは終わってて、翼は私にニコニコと話掛けてきた。
3 : ◆z80pHM8khRJd [saga]:2019/07/30(火) 00:07:01.72 ID:UbedML5p0
「おつかれ、未来。レッスン終わったよー。帰ろ?」

むぅ、人の気も知らないで……。でもそれで意地を張るのも悔しかったので何もないように振舞った。

「そうだね。帰ろっか」



私と翼は家が近く、電車も同じ方向だ。だから自然と翼と駅に向かうことになる。

チラッと翼の顔を見た。ああうらやましいなぁ。私も翼みたいになれたらいいのに。練習をロクにやらなくても振り付けを覚えられて、おまけにすっごく上手に歌えて、スタイルもびっくりするぐらいよくて、顔だって……。
4 : ◆z80pHM8khRJd [saga]:2019/07/30(火) 00:07:41.54 ID:UbedML5p0
「どうしたの未来、わたしの顔をじっと見て?」

ありゃ、翼に気づかれちゃった。私はそれをごまかすようにして言った。

「ち、ちがうよ。向こうの占い屋さんの方をみてたんだ」

もちろん別に占い屋さんに興味があったわけじゃないよ。翼の向こう側にあってたまたま目に入ったから、言っただけ。

「ふーん、占い屋さん? ちょっとおもしろそう、行ってみよー」

「えー!?」

ごまかしただけなのに、興味をひかれたようで翼に手を引かれるようにして連れていかれた。
5 : ◆z80pHM8khRJd [saga]:2019/07/30(火) 00:08:56.53 ID:UbedML5p0


「こんばんは!占ってくださーい」

「ちょ、ちょっと翼ってば」

「ほ? 未来ちゃんに翼ちゃんじゃないですか」

「え、わたしたちのことを知ってるんですか?」

「もちろんです! お2人はとっても有名なアイドルですからね♪」

占い師さんはフードを深くかぶっていて、まともに顔が見えない。でもどこかで聞いたことのある声なんだけどな……。

「私は2人のファンなのです。だからトクベツに無料で占ってあげるのです」

「わーい♪ ねえ未来、無料なんだって。やってみようよー」

無料。それはとっても魅力的だ。占い師さんも何故か親しみもあるし、だんだんおもしろそうな気もしてきた。
6 : ◆z80pHM8khRJd [saga]:2019/07/30(火) 00:09:48.38 ID:UbedML5p0
「そうだね。やってもらおっか。何について占ってもらおうかな」

「はーい。わたしはモテモテになりたいでーす!」

「また翼はそんなこと言うんだから」

「翼ちゃん、ズバリと言いますが、モテモテ道はそう甘くはありません。イッチョーイッセキには成り立たないのです」

「がーん」

「ねえ翼、イッチョーイッセキって何?」

「わたしも知らない」

「ならいいや。私は何について占ってもらおうかなぁ」
7 : ◆z80pHM8khRJd [saga]:2019/07/30(火) 00:10:37.52 ID:UbedML5p0
「ズバリ! 未来ちゃんは悩みがあるのですね? 悩みというより願い事?」

「え、どうして分かったんですか?」

「水晶に書いてあるのです!」

「わっすごーい」

なら、言っちゃっていいかもしれない。水晶に書いてあるんだったら、隠してもバレちゃうし。

「実は私、翼みたいになりたいんです!」

「え、そうだったの?」

翼が少し驚いたようにして言う。

「うん、翼みたいになれたら人生楽しそうかなーって思ったんだ」

「はいはーい。占い師さん! 私は未来みたいになりたいでーす!」

翼の発言に私も驚いた。まさか翼が私みたいになりたいだなんて。
8 : ◆z80pHM8khRJd [saga]:2019/07/30(火) 00:11:20.46 ID:UbedML5p0
「ほ? これはどちらも需要があるみたいなのですね。未来ちゃんと翼ちゃんが入れ替わったら、ウィンウィン! なのです!」

「はいそうでーす!」

「私も翼になりたい!」

「分かったのです。明日の朝、目覚めたら、二人は入れ替わっているのです。もし、戻りたくなったら、2人ともが戻りたいと願ったらいいだけなのですよ」

「はーい!」

この時は翼と一緒に何も考えずノリで返事をしてしまった。だってまさか入れ替わる、なんて出来事が本当に起こったりしないと分かっていたもの。
9 : ◆z80pHM8khRJd [saga]:2019/07/30(火) 00:12:10.11 ID:UbedML5p0
「ほ? これはどちらも需要があるみたいなのですね。未来ちゃんと翼ちゃんが入れ替わったら、ウィンウィン! なのです!」

「はいそうでーす!」

「私も翼になりたい!」

「分かったのです。明日の朝、目覚めたら、二人は入れ替わっているのです。もし、戻りたくなったら、2人ともが戻りたいと願ったらいいだけなのですよ」

「はーい!」

この時は翼と一緒に何も考えずノリで返事をしてしまった。だってまさか入れ替わる、なんて出来事が本当に起こったりしないと分かっていたもの。
10 : ◆z80pHM8khRJd [saga]:2019/07/30(火) 00:13:07.49 ID:UbedML5p0


ジリリリリ……

聞きなれない目覚ましに起こされる。目覚ましを止めたのはいいものの、ここがどこか分からなかった。昨日はちゃんと自分の部屋で寝たはずだけど……。ん? このファンシーな感じ、甘いにおい、私知ってる。翼の部屋だ!

そのとき昨日の占い師さんの言葉を思い出す。でへへ、まさかね……と手ごろにある鏡を見つけて、のぞき込むと……

「ええ〜〜〜〜〜っ!!!!!!!!」

私、翼になってる!

「どうしたの、うるさいわよ」

私の大声に反応して、扉を開けて出てきたのは翼のお母さん。どうしよ、なんとか説明しなくっちゃ。

「私、春日未来です! 実は翼と入れ替わっちゃってて」

そんな必死の説明にもかかわらず、翼のお母さんは冷めた目をして言った。

「はいはい、そういうのいいから、早く着替えて朝ごはん食べちゃいなさい」

そう言い残してドアが閉まる。あーやっぱり信じてもらえないよなぁ。……ふと壁時計が目に入る。ってこんな時間。たしか翼もレッスンがあるはず! パジャマから着替えて、翼がよく着てる服を見繕って、やっと出かけるのだった。
11 : ◆z80pHM8khRJd [saga]:2019/07/30(火) 00:14:55.89 ID:UbedML5p0
翼の家から駅まで少し迷ったけどなんとかレッスンが始まるまでに事務所に着くことができた。そんな様子を見てプロデューサーさんが声を掛けてくる。

「こら、翼! ギリギリじゃなくてもっと余裕をもって出社しとけ」

え、翼なんてどこにもいないけど?

「何ぼおっとしてるんだ。翼って言ったら1人しかいないだろ?」

あっそうだ。私、翼だった。
12 : ◆z80pHM8khRJd [saga]:2019/07/30(火) 00:16:21.20 ID:UbedML5p0
そのとき、私の中でイタズラ心が沸いた。今の私は翼なんだ。だったら……。

「道で困ってたおばあちゃんを助けてたら、遅くなっちゃいました〜」

「そんな言い訳は通用しない」

冷たく言うプロデューサーさんに向かって気持ち胸を寄せながらクネクネして、できるだけ、あま〜い声で言う。

「だって〜人助けしたんですよ。ねぇダメぇ♡?」

「! こ、今度から気を付けろよ!」

プロデューサーさんは顔を真っ赤にして、そっぽを向く。ふふ、効いてる効いてる。
13 : ◆z80pHM8khRJd [saga]:2019/07/30(火) 00:17:53.45 ID:UbedML5p0
そんなとき、先に事務所に来ていたある人物に話かけられた。

「ねえ未来ってば、わたし、そんなんじゃないと思うんだけど……」

「ひゃあ!? わ、私?」

まさか自分に話しかけられるときが来るとは思わなかった。えっと私が翼だから、今の私(本体)は……。

「もしかして翼?」

「ぴんぽーん♪」

私が楽しそうに言う。いや、私というか私(翼)なんだけど。
14 : ◆z80pHM8khRJd [saga]:2019/07/30(火) 00:18:48.07 ID:UbedML5p0
「なんというか、無事でよかったよ」

「未来こそ。私の姿で変なことしなかった?」

「翼のお母さんに春日未来です! って名乗ったら変な顔されたくらい」

「えーなにやってるの未来」

「だってしょうがないと思うんだけどなぁ。翼こそ変なことしなかった?」

「しませんよーだ。誰かさんと違ってね」

そんな感じで翼とじゃれあってたら、すっかり調子を戻したプロデューサーさんが訊いてきた。
15 : ◆z80pHM8khRJd [saga]:2019/07/30(火) 00:19:44.71 ID:UbedML5p0
「どうしたんだ、未来、翼。お互いを逆に呼び合って」

わわっプロデューサーさんに疑われちゃった。どうしよ、このことを相談した方がいいのかなぁ。たしかバレたらダメ! みたいなこと占い師さんも言ってなかったし。

「ねえ、未来」

翼が耳打ちする。

「おもしろそーだから、このままバレないようにお互いのフリしてようよ」

「えー!?」

「だって入れ替わってるなんて知られたら、お仕事にも支障が出るよ」

「まぁそりゃそうだけどさ」

「なら、わたしに任せて」

そう言って翼はプロデューサーさんの方を見て言った。
16 : ◆z80pHM8khRJd [saga]:2019/07/30(火) 00:21:02.99 ID:UbedML5p0
「でへへ〜、なんでもありませんプロデューサーさん。いっぱい、い〜っぱいレッスン頑張ろうねって翼と話してたんです。あっこんなところにスイッチがある。ポチっとな」

……私はそんなにバカみたいかな?

「なんだいつもの未来か」

泣きそうになってきた。

17 : ◆z80pHM8khRJd [saga]:2019/07/30(火) 00:22:30.44 ID:UbedML5p0
さて今日のお仕事はラジオの収録だ。私と静香ちゃんがやってるラジオなんだけど、なんとたまたま翼がゲストの回だった。私も参加できるからまぁ良いんだけど……。

「ねえやっぱりバレちゃわない? 静香ちゃんだっているし」

「だいじょうぶ、だいじょーぶ。静香ちゃんもダマしてみせるよ」

なんて言ってたら静香ちゃんがやってきた。

「おはよう。未来、翼。何について話したの?」

「あ! し、静香ちゃん!? えっと、今日の晩御飯なにかな〜って。でへへ」

「あら翼。未来みたいなこと言うのね」

「ぎ、ぎくっ、気のせいじゃないかな〜」

うう、バレそう。翼、なんとかして。目でそう訴えかける。

「たいしたことないよ〜。お仕事がんばろうねって翼と話してたんだ。ね、翼?」

翼は私の姿で静香ちゃんにベタベタしながら言った。全くもう私の体なんだよ? それにしても翼って呼ばれるのは変な気分。

「そうだね。がんばろっかって未来と話してたんだ」

「そう。ならいいけど」

そんな感じでラジオ収録が始まった。
18 : ◆z80pHM8khRJd [saga]:2019/07/30(火) 00:23:48.07 ID:UbedML5p0


ラジオのOP曲が流れてくる。それを合図に私はしゃべり始める。

「みなさん、こんにちは! パーソナリティの春日未来です。いやぁ最近……」

「ちょっと翼! あなたゲストなのに何やってるの!」

ぐへえ、静香ちゃんに怒られちゃった。翼も静香ちゃんの横であきれた顔をしている。私はごまかすように言った。

「えへへ、ごめんね静香ちゃん。ハリキリすぎちゃった」

「冒頭からしゃべり始めるなんて、どんなゲストよ、もう。まぁいいわ。私は同じくパーソナリティの静香です。ゲストはお分かりの通り私たちの同じ事務所の伊吹翼です。全く翼は相変わらず自由なんだから。ね、未来?」

「あはは、ホントにそうだね〜」

翼はアブナゲなく応えた。私もがんばらないと。というか私、今日は黙っとこ。
19 : ◆z80pHM8khRJd [saga]:2019/07/30(火) 00:24:54.23 ID:UbedML5p0
さて冒頭こそ危なかったものの、振られたとき以外黙っておく作戦でラジオは割と順調に進んだ。

「それではお便りのコーナーいくわね。ラジオネーム〇〇さんから、この前のライブ最高でした! 特に翼ちゃんが可愛かったです! とのことで」

静香ちゃんがお便りを読み終わると、うれしかったのか翼が反応しちゃった。

「えへへー! ありがとうございまーす! 次もモテモテのハッピーライフ目指して頑張るから応援してくださーい! ってあっ!」

言い終わったあとに自分のミスに気付いたのか、「しまった!」という顔をするけどもう遅い。どうしよと目を合わせてくるけど、私にはどうにもできないよ。

こっそり静香ちゃんを見ると、私たちに対して怒っているのか、プルプルと震えていた。

「な・ん・で未来がこたえるのよ! 翼宛てのおたよりでしょう」

翼が目をそらしながら、ごまかすように言った。

「で、でへへ〜そうでした。仲間が褒められてうれしくって」

「もう未来ってば。ほら翼なんとか言ってやりなさい」

あまりしゃべってないからか、静香ちゃんに話を振られる。どうにかして翼っぽいコメントを出さないと……

「え、駅前に出来た新しいアイスクリーム屋さんのアイスが食べたいなぁ。ダメぇ?」

「何でこのタイミングでアイスの話になるのよ!」

そんな感じでグダグダになりながら、ラジオ収録はなんとか終了した。収録が終わったあと、私と翼はガミガミと叱られたのだった。
20 : ◆z80pHM8khRJd [saga]:2019/07/30(火) 00:26:11.43 ID:UbedML5p0


午後からはレッスンだ。ダンスレッスンの先生はちょっと怖い人だけど、今日は安心安心。だって私は翼なんだから。

最初は私の姿の翼がダンスをした。自分が踊る姿を見るなんて不思議な気分だったけど、改めて思った。変な気ごちない動きだなあって。

一通り、翼のダンスが終わって、次は私の番になった。

「では次、伊吹さん入って。まず通してやってみよう」

「はーい!」

音楽が鳴り始める。私は意識を集中させる。……! 勝手に体が動く。何も考えていないのに。まるで昨日までとは違う。うろおぼえな部分も、まだできないステップも別人のようにできる。いやぁまぁ別人なんだけど。おまけに次はどうすれば動けばいいか、ずっと先まで見えてくる。表情を付けてみようか、なんて余裕さえある。次はこうやって、それで最後にこう!

決まった。周りのみんなが息をのむ。私の息が上がっているのは踊ったからもあるけど、ホントは自分自身への胸の高鳴りと興奮だった。目立った才能がない自分が天才になれたんだ。ずっとずっと努力しても手に入らなかったものが今はあっさり手に入る。高揚感っていうのかな? 胸のドキドキはとまらなかった。

「さすが伊吹さん。ちょっとアレンジも入れてみようか」

トレーナーさんからも大好評。それを受けて私が元気よく「はーい!」と返事をした。
21 : ◆z80pHM8khRJd [saga]:2019/07/30(火) 00:26:50.54 ID:UbedML5p0
今の自分ならなんでも手に入る。たいして努力もしないで。これが翼が見ている世界なんだ。私はブルっと震えた。前に静香ちゃんが言ってた武者震いの意味がこのとき初めて分かった。

私のダンスが終わり、見学してた翼に声を掛ける。

「でへへ〜やっぱり翼ってすごいね! ダンスバッチリだったよ」

「……」

「……どうしたの翼?」

「あっごめんごめん。頭の中でステップを復習してて気づかなかったよ」

「翼ってば、そんなことをしてたの?」

あはは、と二人で笑いあった。
22 : ◆z80pHM8khRJd [saga]:2019/07/30(火) 00:27:44.39 ID:UbedML5p0


それからの私の生活はまさにハッピーライフだった。だって失敗しても遅刻をしても許してくれるし、ロクに練習しなくてもある程度は動くことができたから。

だんだん翼の体も私になじんできた気もする。私たちそんなに性格が違うってわけでもないし、むしろいつもよりワガママに振る舞っても許してくれるのでこの体は便利だった。

特にジュリアさんをジュリアーノって呼んでイジっちゃうくだりはクセになっちゃうかと思った。一回やってみたかったんだ。他にもプロデューサーをダメぇ? ってせまってドキドキさせたときはイタズラが成功したときみたいでうれしかったし、街でお買い物をしたときにオマケをしてくれることも多くなった。

残念なことにスケジュールが翼と合うことが少なかったので、向こうがどう過ごしてるかは分からなかった。だけど翼なら向こうでうまいことやってるとは思う。しかも良いことか悪いことかは分からないけど、普段が普段だから、私たちのボロがでても「あれ〜そうだったっけ」で済ませばごまかすことができた。
23 : ◆z80pHM8khRJd [saga]:2019/07/30(火) 00:29:09.79 ID:UbedML5p0
そんなある日、レッスン後にジュリアさんに呼び出された。

「どうしたんですかぁ。ジュリアーノ。急に呼び出したりして、まさか告白とか?」

私の翼のマネもなかなかうまくなったと思う。だけど私のテンションに反してジュリアさんの態度は少し違ってて怒っているようにもみえた

「告白か。まぁあながち間違ってないかもな」

「どういうこと?」

「単刀直入に言わせてもらう。最近のツバサ、ちょっとおかしくねえか」

ドキッとしながらも私は翼みたいに振る舞うことに徹した。

「え〜どこがですかぁ」

「あたしもうまく言えねえけどさ」

ジュリアさんは頭をがしがしと掻いた。

「奔放でムカつくところは変わんねえけどさ、前の翼はモテモテのハッピーライフとやらを目指してもっと純粋なキラキラとした瞳をしていた。モテモテってやつはよく分かんねえけど、あたしはそのまっすぐな瞳に惚れてアイルをつくったんだ。今のツバサもそうだと自分で胸張っていえるか? 言えるんだったらあたしは以上なんも言わねえ」

ジュリアさんにドキリとすること言われて思わず押し黙ってしまう。最近の私はどうだろう……ううん、思い返さずにでも分かる。ラクすることとか、人に甘えることしか考えてなかったかもしれない。

「うん。そうかもしれない……ちょっと頭冷やすね」

正直ジュリアさんが怖くなった。どこまで見抜かれているのだろう。私は逃げるように部屋から出た。
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