魔王「魔物使い、貴様はどのような世界を望む?」魔物使い「ほえ?」

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17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/07/18(木) 23:41:15.78 ID:Yz/20wypO
「はい、おしまい」

長い物語を語り終え、母は一息ついた。
子供は眠気に負けて、既に眠っている。
結局、最後まで起きて結末を聞いたことはなく、またお話してくれとせがむだろう。

それで良いと、母は思っている。

「今、戻ったぞ」
「ああ、おかえりなさい。ドラゴンさん」
「もう寝てしまったか?」
「はい、ぐっすり寝ています」

夫であるドラゴンが洞窟へと帰ってきた。
妻の傍らで丸くなる我が子を愛しそうに見つめて、母子ともども大きな翼でくるんだ。

「この子には寂しい思いをさせている」
「でも、私達は幸せです」
「それは魔王が望んだ幸せだ」
「ドラゴンさんは違うんですか?」
「それが当たり前の世界を、目指している」
「どこまでもドラゴンさんについてゆきます」

子供が産まれて、魔物使いは、母となった。
もはや飢えてはおらず抱き心地は改善した。
昔よりもずっと美しくしっかりした印象だ。
しかしその悪癖は依然として変わらぬまま。

「トイレくらいは独りでさせてくれ」
「魔物使いの習性なので、諦めてください」

2人で寝る前に用を足してから横になる。
人間が魔物を愛し、魔物が人間を愛する。
それが当たり前の日常となる日を夢見て。
愛する妻と子を抱いて、ドラゴンは眠る。


【魔物使いを愛した魔王】


FIN
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