ゾンビ娘の記憶

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1 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/12(金) 21:28:14.40 ID:U9pw36nl0
博士「熱心な墓荒らしが実を結び、女の子を発掘した」

博士「俺が彼女に電撃を浴びせれば動き出す」

博士「そして再び電撃を浴びせれば止まる」

博士「さあ!蘇れ!」


博士は超高電圧のスタンガンを使用する
彼女の瞳は開き、蘇ったのだ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1562934494
2 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/12(金) 21:37:55.54 ID:U9pw36nl0
ゾンビ娘「あー...」

ゾンビ娘「うー...あー?」

博士「ありゃ、脳がイカれてる」

ゾンビ娘「うー...」


博士はまたスタンガンで彼女を止める


博士「脳ミソを修復しなければ、それこそ原典のゾンビだ」
3 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/12(金) 21:42:06.16 ID:U9pw36nl0
博士「しかし恐れることはなく」

博士「また不可能もない」

博士「針の穴に糸を通すように根気のいる作業だがな」


博士は彼女の頭部に視認に難い穴を開ける
そこからチューブを挿入し、それを用いて脳の修復を行うのだ
4 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/13(土) 07:29:50.40 ID:22KW41XP0
博士「よし、脳のスキャンを開始しよう」

博士「脳の構造から回路を把握することにより修復ができる」

博士「こんな拘束される作業、助手にでも任せておけば良いのだが...」

博士「私のような人間に助手がいるわけがない」

博士「異常が起こらないよう監視していればよいのだし...」

博士「お茶ても飲んで待つとしよう」
5 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/13(土) 09:22:10.98 ID:22KW41XP0
博士「スキャン完了」

博士「まだ少しずつだが...脳の修復が始まった」

博士「これが一段落すれば、言語野の復元ができるだろう」

博士「言語野に大した問題がなかったのは、実に幸運である」

博士「チョコレートでも食べながら待つとしよう」
6 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/13(土) 21:02:56.23 ID:22KW41XP0
博士「お、言語野の復元が終わった」

博士「そして記憶も若干ながら戻ったようだぞ」

博士「蘇れ!」


博士はスタンガンで彼女を起こす


ゾンビ娘「ふぇっ」

博士「どんな気分だ?」

ゾンビ娘「うー...最悪ですよ...先輩」

ゾンビ娘「先輩、私のカメラ持ってますか?」

博士(先輩?俺を何か別の人間と勘違いしているのか?)

博士「いや、カメラは持っていない」
7 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/13(土) 21:18:43.39 ID:22KW41XP0
博士「そもそも、そのカメラに何が収められているんだ」

ゾンビ娘「...え...」

ゾンビ娘「秘密です!」

博士「そうか」

博士「もう一ついいか?」

ゾンビ娘「はい」

博士「俺のこと、どう思う?」
8 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/13(土) 21:52:25.23 ID:22KW41XP0
ゾンビ娘「せ、先輩!?」

ゾンビ娘「な、なななななな、なんてこと聞くんですか/////」

博士「どうしたんだ、そんなに動揺して」

ゾンビ娘「昔から鈍感なんですよね...」

ゾンビ娘「私は...私は、先輩は大切な人だと思いますよ///」

博士「そ、そうですか」
9 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/14(日) 12:42:34.53 ID:MF5tICLl0
ゾンビ娘「先輩、花火見に行きませんか?」

博士「いつ?」

ゾンビ娘「今日ですよ!ほら、あの...ッ!!」

ゾンビ娘「ず、頭痛が...」

博士「...限界のようだ」


博士はスタンガンでゾンビ娘を気絶させる
10 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/14(日) 12:59:58.50 ID:MF5tICLl0
博士「ふーむ」

博士「正体はハナから明かすつもりだったが...」

博士「この少女の『記憶』に興味が出た」

博士「あと五回程の処置で記憶が完全なものになる」

博士「正しく戻っていくまでの経過観察をしよう」

博士「新たな学会を立ち上げる事になるかもしれないな」
11 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/14(日) 13:03:05.48 ID:MF5tICLl0
博士「では機械に処置をさせておいて...」


チャイムが鳴る
あまりに長い間聞いていない音だったので彼は驚いた


博士「訪問者?」

博士「こんなところに一体何の用があって来たんだ?」

博士「とにかく、出てやるとしよう」
12 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/14(日) 13:08:25.68 ID:MF5tICLl0
博士「どちら様ですか」

???「ああ、どうもどうも」


妙な人物だった
笠を深く被り、輪郭を視認てきない
声も高くなく低くなく、性別は分からない


???「あっしは剣というものでごさいます」

剣「最近この辺りに妙な男が現れると聞いてやってきたんでさぁ」
13 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/14(日) 13:26:20.71 ID:MF5tICLl0
博士「妙な男というと?」

剣「夜な夜な出歩いて『いない、いない、...』と言っているそうです」

剣「それに墓場に出没するらしいんですわ...気味が悪いもんだ」

博士「...そうですか」

剣「その様子じゃあ、何も知らなさそうだねぇ」

剣「じゃ、何か分かったら教えてくれよな。夜はパトロールすることにしてるんで」

博士「あ、はい」
14 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/14(日) 13:29:13.66 ID:MF5tICLl0
妙な人物は去っていった


博士「...」

博士(それ、俺じゃね...?)

博士(まあいいか、奴には悪いが、俺はもう出歩くことはない)

博士(しらを切る事としよう)
15 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/14(日) 13:32:26.85 ID:MF5tICLl0
博士「む、記憶処置が進んだようだ」

博士「機械を止めよう」


博士はスタンガンを彼女に当てる
彼女の体は脈打ち、蘇る


ゾンビ娘「あらあら、先輩ではありませんか」

ゾンビ娘「わたくしに何か用?」

博士「...ええ?」
16 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/14(日) 14:05:54.78 ID:MF5tICLl0
ゾンビ娘「どうしたんですの?」

博士「...いや、なんでも?」

博士「ああそうだ。花火を見に行くんだっけ?」

ゾンビ娘「花火?何の事ですの?まぁ、やってるなら見に行きたいですわ」

博士「すまん、今の無し」

ゾンビ娘「はぁ...?」

ゾンビ娘「今先輩はわたくしの前にいるのですわよ?」

ゾンビ娘「もっと気合い入れて喋りなさい」

博士「さーせん」
17 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/14(日) 15:13:03.42 ID:MF5tICLl0
博士「じゃあ俺の発明品を見せてあげよう」

ゾンビ娘「偉そうな喋り方。それにあなた科学部でしたっけ?」

博士「そうだとも、そしてこれがジェットパック」

ゾンビ娘「ジェットパックというと、あの背中に着けて飛び回る奴ですわね」

博士「ご名答。それじゃあいくぜ!」


博士はジェットパックを装着する
起動したジェットパックは煙を巻き上げ、博士を浮遊させる
18 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/14(日) 15:16:44.67 ID:MF5tICLl0
ゾンビ娘「あら、すごいじゃない」


感心したのも束の間、けたたましい警報が鳴り響く
そう、彼は失念していたのだ
煙感知器を設置していたことを


博士「やっべぇ!!」


気が動転した博士は操縦を誤った
19 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/14(日) 22:41:14.53 ID:ZqJiUdrC0
博士「ぶっ!」


博士は壁に激突した


ゾンビ娘「ちょっ、うるさっ...」


非常用スプリンクラーが作動する
火のない所に煙が立ってしまったせいでまとめてずぶ濡れだ


ゾンビ娘「あっ!服が...」

博士「おーいていて」
20 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/15(月) 10:10:36.07 ID:2whs64vV0
博士「おーい、ゾンビ娘、大丈夫か____」


スプリンクラーで濡れた彼女の服はあろうことか透けていた
掘り出して来る際に散々見たその裸体であるが
こうして見るとなかなか美しい


ゾンビ娘「見るんじゃないですわっ!?//////」

博士「べっ」


ゾンビ娘は鳩尾に蹴りをかました
思わず崩れ落ちる
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/15(月) 12:55:51.72 ID:vBPP1GOf0
結末が楽しみです
22 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/15(月) 14:08:37.84 ID:Dujh7MCQ0
〜替えの服に着替える〜


博士「内臓吐き出すかと思ったぞ」

ゾンビ娘「お黙り」

博士「あー...腹減ったな」

ゾンビ娘「じゃあ奢ってあげますわ」

博士「何を奢ってくれるんだ」

ゾンビ娘「貴方、クレープ好きでしたわよね」

博士「クレープ?うーん」

ゾンビ娘「あれ、ステーキだったかしら...うぐぅぅっ!!」
23 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/15(月) 14:37:00.97 ID:Dujh7MCQ0
ゾンビ娘「失礼。少し頭痛が...」

博士「...ふむ」


博士はスタンガンで彼女を気絶させる


博士「何かの記憶が鍵になって頭痛の発作を起こしているということか?」

博士「それになんだあの性格」

博士「まるで多重人格者だ...」

博士「もしかしたら俺は、とんでもないやつを掘り出してしまったのかも知れない」
24 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/15(月) 14:42:24.73 ID:Dujh7MCQ0
博士「だが俺は研究者」

博士「怖じ気付いて途中で投げ出す訳にはいかないのだ」

博士「また機械に処置をさせておくことにしよう」

博士「ああ、腹が減った」

博士「ステーキだのクレープだのは別にどうでもいいんだ」

博士「ラーメンでも食べに行くかな...」
25 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/15(月) 15:03:41.56 ID:Dujh7MCQ0
博士「うおっまぶしっ」


日の光には慣れない
どうにも引きこもってしまうからだ
先祖は吸血鬼か、はたまた...


博士「ゾンビを作り出しているから、俺は実質吸血鬼なのでは...?」


下らないこじつけをかましていると、どこからともなく聞き慣れたメロディーが聞こえてくる
町内放送という奴だ。しかし、こんな田舎で町内放送とは...
土地が安いから墓地だらけだというのに、よく自治する気になれるものだ
どうせ、老人が失踪しただの運動会だの俺には無縁な話だ
26 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/15(月) 15:12:07.89 ID:Dujh7MCQ0
放送「一昨日未明、○○市内で18歳の男性が行方不明になりました」

放送「お心当たりのある方は○○警察署までお知らせ下さい」

博士「...若っ」

博士「世も末だな」

博士「しかし今日はひでぇカンカン照りだな...行方不明の男も今頃ミイラじゃないか?」

博士「お、ラーメン屋が見えてきた」
27 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/15(月) 15:15:12.16 ID:Dujh7MCQ0
〜ラーメン屋〜


店主「らっしゃい」

博士「おう、...元気が出る奴頼むわ」

店主「くたびれた顔してんねぇ...」

博士「ちょっと水浴びしてきたんだ」

店主「田んぼにでも飛び込んだんですかい」

博士「俺は蛙か。...ん?」
28 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/15(月) 15:21:47.62 ID:Dujh7MCQ0
カウンターに座り、ふと隣を見る
間違えるはずもない。笠を深く被った例の奴がいたのだ


剣「あなたは、あの時の」

博士「休憩か?観光か?」

剣「休憩でさぁ。昼は無縁塚の手入れやってんで」


奴は首をまるで動かした様子はなかったが、俺が居ることに気づいたらしい
侍みたいな奴だ
29 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/15(月) 16:06:57.88 ID:Dujh7MCQ0
博士「何ラーメンだ、それ」

剣「せうゆラーメンでござんす」

博士「コメントに困る」

剣「そりゃあそうだ。食わなきゃあなんとも言い難いのが拉麺」

店主「へいおまち」


店主の持ってきたラーメンは驚くべきものだった
溢れんばかりの、というか溢れている具材が目を引く
そしてその香りからはニンニクを大量に入れたであろうと予想される


博士「wow...」

剣「こりゃあ、一本とられましたな」
30 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/15(月) 16:24:51.64 ID:Dujh7MCQ0
結局、頑張って完食した


店主「またのご来店お待ちしておりまっす!」

博士「おっす...」


帰りの足取りもその腹も重かったという
31 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/15(月) 16:31:04.84 ID:Dujh7MCQ0
博士「ゲーーーーップ」

博士「処置ひとまず終わり」

博士「起きたまえ」


博士はスタンガンで彼女を起こす


ゾンビ娘「くっっっさ!!」

博士「!?」

ゾンビ娘「先輩!口めっちゃ臭いぜ!」

博士「...あぁ、すまん」
32 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/15(月) 16:39:33.50 ID:Dujh7MCQ0
博士「ブレスケアブレスケア」

ゾンビ娘「うん、多少マシになったな!」

ゾンビ娘「ラーメン食った?」

博士「ああ」

ゾンビ娘「やっぱりな。夏のクソ暑いなかラーメン食ったせいでシンプルに汗臭くなってるぜ」

博士「すまないぜ!」

ゾンビ娘「口調パクんな」
33 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/15(月) 16:43:13.22 ID:Dujh7MCQ0
ゾンビ娘「ていうか、一人でラーメン食いにいくなんてズルいぜ」

博士「どうしろと」

ゾンビ娘「今度ラーメン奢れ」

博士「えー...」

ゾンビ娘「あ、そっか。先輩ステーキの方が好きだったよな」

博士「...」

ゾンビ娘「どうした?」

博士「何でもないぜ」
34 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/15(月) 17:04:39.66 ID:Dujh7MCQ0
博士「そもそもだがな、別に俺は一人でラーメン食った訳じゃねぇ」

ゾンビ娘「え...?」

ゾンビ娘「先輩って一緒にラーメン食える友達いるのか...?」

博士「隣の席に知り合いがいたんだよ」

ゾンビ娘「あ、ああ、なんだそういうことか」

博士「...?」
35 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/15(月) 17:12:54.45 ID:Dujh7MCQ0
ゾンビ娘「な、なあ」

博士「どうした」

ゾンビ娘「先輩にさぁ、好きな人が居るって噂聞いたんだけど...」

ゾンビ娘「それ、誰なんだ?」

博士「さあ、何のことやら」

ゾンビ娘「はぐらかすつもりか」

博士「ああそうだとも。...と言ったらどうする?」

ゾンビ娘「それはいただけないぜ」

博士「手厳しいぜ」
36 : ◆cp20depv3E [saga]:2019/07/15(月) 17:19:43.03 ID:Dujh7MCQ0
博士「どうしてそこまで拘る?それとお前に何の関係がある」

ゾンビ娘「...え、それは...まぁ、単純にめちゃくちゃ気になるだけだぜ」

博士「...なら勝負だ」

博士「俺の発明を見て、お前が楽しめたらその話はなし」

博士「楽しめなかったら、その質問に答えよう」

ゾンビ娘「勝負とあれば望む所!」

博士「その心意気、気に入ったぜ!」
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