梨子「未来のあなたが知ってるね」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/07/01(月) 21:39:49.84 ID:LeKpDSJgO
「ねぇ、知ってる?最近この辺りに出るっていう、[亡霊]のこと」




梨子(Aqoursの練習が終わって。何故だか訂正の線が自然に思えてしまう、『スクールアイドル部』のプレートが掲げられた部屋の中で)

梨子(皆が帰りの支度をしている最中のことだった)

梨子(メンバーの一人……一年生の津島善子ちゃんが、唐突にそんなことを言いだした)


果南「ぼ、ぼうれい?」

善子「そう、亡霊。……果南ってばもしかして 言葉の意味わかってない?」

果南「いやそうじゃないよ!そうじゃなくて、本当なの?……その、オバケが出るって話」

善子「オバケじゃなくて亡霊だってば!」

果南「どっちでもいいよそれは!そんなことより本当に幽霊が出るっていうの!?」

善子「だから幽霊じゃなくて亡霊だってばー!」

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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/07/01(月) 21:46:38.97 ID:LeKpDSJgO


梨子(練習が終わった後だっていうのに、二人とも元気だなぁ……)

梨子(まあ、いつものことなんだけど)

梨子(私以外のメンバーも、特に気にしていない様子だったり「また始まった……」というような呆れ顔を浮かべたりしていた)

梨子(それにしても皆話半分に聞いているものだと思ったんだけど、果南ちゃんが食いつくのは珍しいわね)

梨子(普段は善子ちゃんだけじゃなく、結構色んな人の話を聞き流している印象があるんだけど……)

梨子(霊という言葉に過剰に反応しているところを見ると、意外に怖がりなのかな?)

梨子(いい意味でマイペースでサバサバした頼りがいのあるお姉さん、って感じの果南ちゃんだけど……結構可愛いところがあるのかも)


ルビィ「ぼうれい、かぁ……」

花丸「ルビィちゃん、どうかしたずら?」

ルビィ「あ、ううん。ちょっと気になっちゃって」

花丸「気になったって、善子ちゃんのいつもの与太話のこと?」

ルビィ「あ、うん。……亡霊って、幽霊とどう違うのかなって思って」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/07/01(月) 21:48:05.06 ID:LeKpDSJgO

梨子(ルビィちゃんの言葉を聞いて不覚にもはっとして、少し考え込んでしまった)

梨子(亡霊……確かに普通に生きていればあまり聞きなれない言葉だと思う)

梨子(こういう場合だと、それこそ果南ちゃんのようにお化けとか幽霊とか、そういう言葉で表現するんじゃないかな)

梨子(もちろん善子ちゃん特有のちょっと変わった言葉選びなんだと思うけど……でも、実際に言葉が違うってことは意味も少し違ってくるのかもしれない)

梨子(花丸ちゃんだったら読書家だし、色んな知識を持ってるから……もしかして違いを知ってるかな)


曜「あ、私もそれちょっと気になるかも。花丸ちゃん、知ってる?」


梨子(曜ちゃんが二人の話に割って入っていって率直に疑問をぶつけた)

梨子(……曜ちゃんも気になったんだろう)


花丸「ああ、そういうことずらか。……言葉の意味ってことだと……」

花丸「えっと、おらが知る限りなんだけど……」


梨子(流石というかなんというか、花丸ちゃんは知ってるみたいね)

梨子(……ふと皆の方を見てみると、視線が花丸ちゃんの方に集中しているのがチラリと目に入った)

梨子(……どうやら同じことを考えていたのは私と曜ちゃんだけじゃなかったみたい)

梨子(皆、ルビィちゃんの疑問に興味を持った様子だ)
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/07/01(月) 21:48:52.96 ID:LeKpDSJgO

善子「……」

果南「……」

梨子(……さっきまで騒がしくしていた善子ちゃんと果南ちゃんまでもがいつの間にか言い合うのをやめて花丸ちゃんの方を向いていた)

梨子(花丸ちゃんは、そんな皆の様子を知ってか知らでか、滔々と話し始めた)


花丸「亡霊って大きく分けて三つの意味があるずら」

花丸「一つは死者の魂のこと。これは幽霊とも同じずら」

花丸「もう一つは滅びたはずのもののことを比喩的に表現したもの」

花丸「そして最後に、いないはずの霊のことずら」

梨子「……それって、結局幽霊とどう違うの?」


梨子(……なんか気になってつい口走っちゃったけど)

梨子(やっぱり皆も同じように気になってたみたいで、花丸ちゃんの続きの言葉を待っていた)


花丸「言葉の意味の上だと、幽霊って今現実にはないはずのものがあるって意味で使うんだよね」

花丸「たとえば幽霊部員とかがわかりやすい例ずら」

花丸「いるはずなんだけど、いない。いない方が常識なのに、いるという証は残っている……ってことなんだけど」

梨子「実際には部活に所属してないも同然だけど……名簿上はいるって扱いになるってこと?」

花丸「そうそう。それに対して、亡霊はむしろないはずなのにあった、とか復活した存在……みたいな意味で使うずら」

5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/07/01(月) 21:50:31.99 ID:LeKpDSJgO
梨子(……まだちょっとわからないわね)


ルビィ「?まだちょっとわかんないや」


梨子(ルビィちゃんもそう思ったか……)


花丸「キーは″時間″ずら。今いないはずなのにあるって意味で使うのが幽霊で」

ルビィ「……昔なくなったはずなのに今なぜかあるっていう意味が強いのが亡霊って、こと?」

花丸「そうそう。その通りだよ、ルビィちゃん」


梨子(?ってことは……)


梨子「それって結局、今に注目するか過去に注目するかのニュアンスの違いで、指してるもの自体は同じってこと?」

花丸「まぁ、言葉が指すものっていう意味ではそうなるのかな……」

曜「理由は何であれ、今いないはずなのにいるのが幽霊で、昔”なくなった”からいないってハッキリしてるのに何故か今いる方が亡霊ってこと?」

花丸「そういうことだね。でも結局、どっちも同じものを指していることには違いないずら」

善子「えっそうだったの?」

花丸「善子ちゃん知らなかったのに使ってたずらか?」ニヨ~

善子「そ、そんなわけないでしょ!ただ……」

花丸「ただ、なんずらか?」

善子「……ただ、なんか違うっていうか」

曜「幽霊と亡霊じゃなんとなく違う気がするってこと?」

花丸「それって何も考えずに言葉の響きだけで使っただけってことじゃないの〜?」

善子「ち、違うわよ!」

梨子「……」

善子「ちょ、ちょっとリリーからも何か言ってよ!」

梨子「え、わ、私?」

花丸「そうやってすぐ梨子ちゃんに頼ろうとするのは善子ちゃんの悪い癖ずら」

善子「うっさい!あと私はヨハネ!」

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