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【Fate】キャスター「聖杯大喜利戦争」 葛木「座布団四枚目だ」【大喜利】
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58 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/06/30(日) 15:38:22.88 ID:eJrpsm3So
大河「はい、じゃあライダーさん」
ライダー『うっかり車の部品が摩耗しているのに気づかず運転して、道端で止まってしまいました』
大河『どうするの?』
ライダー『レッカー(劣化)移動ですかね』
大河「ちょっと無理がありますよww」
59 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/06/30(日) 15:38:56.02 ID:eJrpsm3So
大河「はい、アーチャーさん」
アーチャー『ム……私としたことが、大事な来客だというのに茶葉を切らしてしまうとは』
大河『どうするの?』
アーチャー『万事休す(急須)か』
大河「紅茶じゃないのかいww まぁ一枚あげましょう!」
60 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/06/30(日) 15:40:05.27 ID:eJrpsm3So
大河「はい、ランサーさんお願い」
ランサー『いっけねぇ……バゼットの下着付けてきちまった』
大河『どうするのww』
ランサー『とりあえずブラだけでも外しとこ』
大河「バーサーカー! 一枚もっていきなさい!」
キャスター「うーわキモ!」
ライダー「変態」
ランサー「うおぉ、シャレだってのにボロクソだな……」
セイバー「当たり前です。あなたの体格で女物の下着など身に着けたら、ゴムが切れてしまうでしょうに」
全員「……」
61 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/06/30(日) 15:40:34.74 ID:eJrpsm3So
大河「次は……セイバーちゃん」
セイバー「はい」
セイバー『ああ! 野営だというのに、うっかり薪を割るものを忘r』
<オ−ノ−!
セイバー「」
大河「wwwwwwwwwwww」
大河「バーサーカー、セイバーちゃんの一枚取りなさいww」
大河「それに英霊だったら手刀とかでどうにかできるでしょww」
槍弓騎剣金「それはまぁ……」
キャスター「できないわよォ!?」
62 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/06/30(日) 15:41:11.65 ID:eJrpsm3So
大河「はい、ライダーさん」
ライダー『いけない……うっかりお味噌汁の具を買い忘れていました』
大河『どうするの?』
ライダー『とりあえず、ワカメは自家栽培のものを刈ってきますか』
大河「やめてよそんな気持ち悪いお味噌汁wwwwwwww」
63 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/06/30(日) 15:41:55.00 ID:eJrpsm3So
大河「はい、アーチャーさん」
アーチャー『ヤベェ……セイバーに渡すはずだったプレゼント、遠坂に渡しちまった……』
大河『どうするの?』
アーチャー『落ち着け。こうなったら遠坂用のを桜に渡して、桜用のをセイバーに……』
大河「サイテー! みんな持っていきなさい!」
セイバー「アーチャー……貴方という人は……っ」
<マサカホントウニヤッテナイデショウネ?
<ヤッテネエヨ!?
ライダー「?……セイバーとリンのプレゼントを交換すれば、サクラは関係ないのでは……?」
<ア〜…
大河「ライダーさ〜ん……人があえてスルーところにまでツッコまないでよ……」ドッチラケ
ライダー「」
64 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/06/30(日) 15:42:35.49 ID:eJrpsm3So
大河「はい、ギルさん」
ギルガメッシュ『おぉ、我としたことがシンジを蔵の中に仕舞ったらどこにいったか分からなくなってしまった』
大河『どうするの?』
ギルガメッシュ『……』
ギルガメッシュ『ま い っ か !』
大河「いいわけあるかァ! 一枚持っていきなさい!」
<マッタク、ネタニスルニシタッテ ゲンドッテモノガアルワヨネ,サクラ
<エ? ワタシハベツニ……
<<!?
65 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/06/30(日) 15:43:48.63 ID:eJrpsm3So
大河「はい、キャスターさん」
キャスター『あぁっ! お祝いの席なのにお魚の用意だけ忘れちゃったわ!』
大河『どうするの?』
キャスター『他意はありません……』
大河「“鯛”ねww よし一枚あげましょう!」
66 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/06/30(日) 15:45:03.22 ID:eJrpsm3So
大河「ライダーさんいきましょう」
ライダー『あぁ!? 自分のと間違えてサクラがとっておいたケーキを食べてしまいました!?』
大河『さよなライダー。貴女のことは忘れない』
ライダー『グスン……』
<ナンナンデスカ モウッ!
大河「一枚あげます」
67 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/06/30(日) 15:46:25.99 ID:eJrpsm3So
大河「はい、アーチャーさん」
アーチャー『しまった! 間違って先生をお母さんと呼んでしまった!?』
大河『ヘッヘッヘ! 油断したな少年よ。とうぶん母としてイジリ倒してやるから覚悟なさい』
アーチャー「!? 違う! そういうフリで言ったんじゃない!」
<オイ! カンベンシロヨ!?
大河「あらあら、士郎ったら座布団が一枚も無いじゃないの。お小遣いで二枚あげるわ」
槍騎魔剣金「ンフフフフフフフフッwwwwwwwwwwwwww」
アーチャー「く、屈辱だ……」
68 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/06/30(日) 15:46:59.48 ID:eJrpsm3So
大河「はい、ランサーさん」
ランサー『おおっと、戦って倒さず引き上げるはずが、うっかり倒しちまったぜ』
大河『どうするの』
ランサー『どーするって言われてもな。この光の御子にくだらねぇ役割なんかやらせるほうが悪りィんだ! ハハハハハ!』
大河「……なんかギルガメッシュさんに似てきてない?」
ランサー「な!? なんてこと言いやがる! 聞き捨てならねぇ!」
ギルガメッシュ「オイ司会! 我をあの犬と比べるなど万死に値するぞォ!?」
69 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/06/30(日) 15:47:39.98 ID:eJrpsm3So
大河「はい……倅ww」
倅「よさないか!」
アーチャー『しまった! 投影で出した硬貨を使ってしまった!』
大河『どうするの?』
アーチャー『全てマスターの指示でやりました』
<アァチャァァァッ!
大河「そもそも投影した時点でアウトでしょwwwwww」
70 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/06/30(日) 15:48:23.37 ID:eJrpsm3So
大河「じゃ次はセイバーちゃん」
セイバー『しまった! うっかり答えが出来る前に手を挙げてしまいました!』
大河『どーすんの』
セイバー『どうしましょう……』
大河「バーサーカーッ! セイバーちゃんの二枚持っていきなさい!」
セイバー「あぁ!? 気づけば0枚に!?」サッキマデ ナナマイモ アッタノニ!?
71 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/06/30(日) 15:49:17.83 ID:eJrpsm3So
大河「はいキャスターさん」
キャスター『ヤダァ! うっかりお肉焦がしちゃったわ!』
大河『どうするの』
キャスター『これはあの落ち武者用、と』
大河「……キャスターさん、小次郎さんは大切にしなきゃダメだよ。ただでさえヒマで死にそうなんだから……」
キャスター「当分平気よ、最近は一人で問題作って一人で解いてるから」
ランサー「うわ、アイツそんなことやってんのかよ。寂しいヤローだな」
大河「バーサーカー、ランサーさんぶっ飛ばしなさい」
バーサーカー「■■■■ーーー!」
ランサー「!? なっ、なんでdブフォォ!?」
チ-ン
ライダー「ランサーが死んだ!」
セイバー「この人でなし!」
※死んでないってば
72 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/06/30(日) 15:49:59.22 ID:eJrpsm3So
大河「はい、アー……」
大河「息子」
息子「忘れていたなら無理してやらんでいい!」
アーチャー『し、しまった! 葵をおかあさんと呼んでしまった!』
大河『どうするの?』
アーチャー『まぁ……間違いでもない……か』
大河「!?」
<<<!?
<セ,センパイ! イエ、ネエサンッ ドウイウコトナンデスカ!?
<マジカ! マジナノカトオサカ!
<シラナイワヨォ!?
セイバー「そうだったのか……アーチャー。良かったですね……この世界で再会を果たせて」
セイバー「凛と末永く……幸せに……ッ」ウルッ
アーチャー「本気にするなセイバー!?」アセアセ
73 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/06/30(日) 15:50:37.60 ID:eJrpsm3So
大河「それじゃあ、ライダーさんお願いします」
ライダー『あぁ……うっかり裸眼で士郎を直視してしまいました……』
大河『どうするの?』
ライダー『とりあえずダビデ像的な感じで飾っておきましょう。これで士郎は共有財産。ハーレム問題も円満解決です』
<イヤダァ!
<ナニイイダスノ ライダ-!
大河「どーにもなってないでしょ!? 一枚持っていきなさい!」
イリヤ「……そういう手もあるか」
アーチャー「」ゾワッ
74 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/06/30(日) 15:51:04.97 ID:eJrpsm3So
大河「はい、キャスターさん」
キャスター『ヤダァ! お魚焦がしちゃったわ!』
大河『どうするの?』
キャスター『一成の、と』
大河「バーサーカー……ライダーさんとキャスターさんに一枚づつあげなさい」
大河「あげるから少しはウチの生徒に優しくしてよ……」
75 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/06/30(日) 15:52:32.56 ID:eJrpsm3So
結 果
ランサー 1枚
アーチャー 2枚
ライダー 2枚
キャスター 4枚 ←WIN
セイバー 0枚
ギルガメッシュ 2枚
76 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/06/30(日) 15:53:11.50 ID:eJrpsm3So
大河「はい、今回はキャスターさんが座布団0枚からの大逆転勝利ーっ! やったね!」
ライダー「キーワードは「車輪の下」……あまり気持ちの良い賞品が出るとは思えませんが」
キャスター「最初から期待なんかしていません。さ、何が貰えるの」
大河「さぁ(笑)聖杯よ、メディアさんをいい意味で裏切ってくれ!」
77 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/06/30(日) 15:54:15.20 ID:eJrpsm3So
ピカ―ッ!
ポンッ
キャスター「きゃっ、何よこれ?」
アーチャー「この水槽の形で、中には土。どう見てもアリの巣観察セットだ」
ランサー「くだらないっつーか、地味だな……」
キャスター「ちょっと! 私が足の多い生き物が嫌いだって知ってて贈りつけたワケ!? 嫌がらせのつもりかしら!」
ギルガメッシュ「ハーッハッハッハッハ! あくせく働くアリの生きざまを見て、己が矮小な有り方を思い知れということだ!」
ギルガメッシュ「アリだけに!」
イリヤ「うわぁ……」
バーサーカー「■■■■……」ゲンナリ
キャスター「セイバー、一日着せ替え遊びに付き合って〜、コレあげるから〜」
セイバ―「どういう取引だ!?」
大河「はい、じゃあ今回はこのへんでお開き! またいつかのお楽しみ。ありがとうございました〜」
78 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/06/30(日) 15:55:33.04 ID:eJrpsm3So
一旦中断します。
それにつけてもBBの縦書きミスってるのを書き込んでから気づく我が身の進歩の無さよ
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/07/01(月) 00:49:17.96 ID:sUNT0S83O
その1から一気に読み終えちゃいました
笑いどころが分かりやすく、小ネタや文章の随所からFate愛が伝わってきて面白いです
80 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 14:11:54.70 ID:36h0oykHo
では再開です。
しかし、まずは春風亭昇太師匠、ご結婚おめでとうございます。
81 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 14:14:37.53 ID:36h0oykHo
その夜 衛宮邸
凛「桜、そっちはどう!?」
桜「ダメです、どこにも見当たりません」
セイバー「道場も空振りです。となれば残るは」
桜「この土蔵……」
凛「うん。魔翌力の気配が少なすぎるわ。もう少し残滓がないと不自然ね」
桜「じゃあ、何か細工をされているんですか」
凛「そう見て間違いないわ」
セイバー「凛、桜。事態は一刻を争います。私が先頭に立ちましょう」
桜「お願いしますセイバーさん」
セイバー「では――いざ!」
バァァァァァァァァン
82 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 14:15:27.28 ID:36h0oykHo
士郎「アウアウアウ……ママ〜」トロ〜ン
イリヤ「はーいよちよち〜、シロウはよいこで――」
セイバー「」
凛「」
桜「」
イリヤ「ちゅっ!?」
83 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 14:17:47.50 ID:36h0oykHo
イリヤ「あ、あんたたち何しに来たのよーっ!?」
凛「現在進行形でこっちのセリフよっ!」
桜「急に先輩の姿が見えなくなったと思ったら、やっぱりイリヤさんの仕業だったんですね!」
士郎「アウ〜?」
凛「ああもう、案の定いつかの虎聖杯の時みたいになってるし! さっさと暗示を解きなさいよ!」
イリヤ「別にいいじゃない! ちょーっと“ままごと”をしてただけよ。何だったら、後でママ役を交代してあげたって構わないわ」
桜「! そ、それはちょっと捨てがたいかも……」
セイバー「何を言い出すのです! このような腑抜けたシロウなど見るに耐え――」
イリヤ「そぉ〜れシロウ! 石頭のセイバーには実力行使、抱っこ攻撃よ!」
士郎「マァマ〜」ギュウウ
セイバー「」ズキュ-ン
桜「あぁっ!? セイバーさんずるいです!」
セイバー「あっ……あっ……いけませんシロウ! そんな無策で人の懐に飛び込むなど///!」
士郎「アウアウ」スリスリ
セイバー「あっ……ああぁぁ〜っ、私の母性本能を無闇に呼び覚ますのは――」
セイバー「やめるんひゃ〜///」デレ〜
84 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 14:19:10.74 ID:36h0oykHo
凛「な、なに二人そろって懐柔されてるのよ! やっぱりあんたたちに士郎は任せておけないわ。私が正気に戻してあげるんだから!」
イリヤ「リンになんか渡さないわよーっ!」
ワ- ギャ- ワ- ギャ-
<アレッ!? シロウガイナイワ!
<シロウ! ドコヘイッタノデスカ!? シロォォォッ!
士郎「アブブブ……マァマ?」
「……生憎」
舞弥「私は貴方の母親ではありません」
85 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 14:20:42.12 ID:36h0oykHo
切嗣・アイリの寝室
舞弥「無事に救出できました」
切嗣(舞弥にお姫様抱っこされながら親指をしゃぶる士郎……なんてアレな光景だ……)ゲンナリ
アイリ「ありがとう舞弥さん。まったくイリヤったら、士郎にこんな暗示をかけるなんて、後でお説教ね」オ-ヨシヨシ
士郎「アウ〜」
舞弥「では、私はこれで」
切嗣「あぁ。手間を取らせたな、舞弥」
舞弥「――」
舞弥「……では」
グッ
士郎「ヤ-」
舞弥「……」
86 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 14:26:08.87 ID:36h0oykHo
アイリ「こらこら士郎くん、舞弥さんをひっぱっちゃダメよ……ウフフ、すっかり懐いちゃったみたいね」
舞弥「私に懐くなど……すみません、マダム」
アイリ「別に構わないわよ? もしかしたら刷り込み現象的ななにかで、元に戻っても舞弥さんのことを気に入ってくれるかもしれないじゃない?」
舞弥「魔術の暗示がかかっている状態でそのような現象が起きるとは思えませんが」
アイリ「そう、残念ね。普段の士郎は舞弥さんと話すとき、なかなか肩の力が抜けないみたいだから、何かのきっかけで打ち解けられたらと思ったのだけれど」
舞弥「……失礼」
87 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 14:29:38.48 ID:36h0oykHo
切嗣「さて、舞弥も帰ったし、早いところ暗示を解いてあげよう。さすがに色々としんどいからね……」
アイリ「ちょっと待ってキリツグ。今寝つきそうなところなの」
切嗣「寝つくって……まさか君まで」
アイリ「しーっ。ほーら士郎はよいーこーだー……」
士郎「……」
士郎「ス-ス-」
アイリ「……おやすみ」
切嗣「なぁアイリ。あんまり士郎にいたずらするのは……」
アイリ「そう見える?……大丈夫よ、この程度の暗示なら一晩も寝れば勝手に解けるわ」
アイリ「……ねぇ、キリツグ。士郎のこんな顔、見たことある?」
アイリ「こんな風に安心して……幸せそうで……」
切嗣「そうだね……寝顔なんて、もう何年も見ていなかった気がする」
アイリ「見ていないのよ。実際」
88 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 14:34:01.88 ID:36h0oykHo
アイリ「何年くらい前だったかしら、士郎が私たちを「爺さん、アイリさん」から「親父、義母さん」と呼んでくれるようになったのは」
アイリ「それで安心してしまったんじゃないかしら、私たち」
切嗣「……」
アイリ「この子を引き取って十年以上になるし、私も養母として出来る限りの愛情を注いできたつもりではいたけれど……こんなに安らかな顔、こんなことでもない限り見られなかったんじゃないかって気がする」
アイリ「キリツグ……私たち、本当に親の役目を果たせているのかしら」
アイリ「守って、叱って、導いて、寄り添って」
切嗣「それは……」
アイリ「この子は、“他の世界でいう”聖杯戦争が起こらなかったこの世界ですら、魔術師同士の争いに巻き込まれて本当の家族を失って……同じ事が繰り返されないようにと、正義の味方になる夢を追っている」
アイリ「貴方が一人で背負う必要なんかないって、ずっと言ってきたのに――」
士郎「」スヤ……
アイリ「――ッ……」
アイリ「……呪われているんじゃないかとすら思えてくる……ッ」
切嗣「……」
89 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 14:38:51.55 ID:36h0oykHo
アイリ「イリヤだって気づいていたわ、士郎が絶対に心の底からは笑わないこと」
アイリ「だからセイバーも、恥を捨てて舞台であんなバカみたいな役を……それで士郎が笑ってくれるならって」
アイリ「でも……全部無駄なんじゃないかって……どれだけ私たちが傍にいても、何の意味も無いんじゃないかって……」
アイリ「ひたすら他の誰かのために自分を追い込んでいく道を進んでしまうような、そんな気がして……ッ」
切嗣「……」
士郎「」ス-ス-
切嗣「士郎がどんな道を歩むのかは、士郎自身が決めることだ。僕たちが口をはさむべきじゃあない」ナデナデ
アイリ「でもっ」
切嗣「僕たちはあのふざけた聖杯から、知りたくもない別世界の知識を与えられた。自分と自分を取り巻く人々の可能性を」
切嗣「不安はある。認めたくないこともある。けれど同時に、僕たちはほんの紙一重の差が世界を大きく変えることも知ったんだ」
切嗣「僕とアイリがこうして生きていて、イリヤと士郎と……家族そろって一緒に暮らしているだなんて。僕が言えることじゃないかもしれないが、他の世界なら、それこそ奇跡に縋ってでも叶えたい望みだろう」
切嗣「理解してくれる人が傍いるということが無意味だなんてことあるはずがない……少なくとも僕はそう信じたい」
アイリ「なら……“彼”は?」
切嗣「――」
90 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 14:42:34.52 ID:36h0oykHo
新都
――何かのきっかけで打ち解けられたらと思ったのだけれど
舞弥(……)
舞弥(屋敷に任務で出向くことはめっきり減ってしまった)
舞弥(切嗣やマダムを訪ねる頻度はそう変わらない。ただ、目的が異なるだけで……)
舞弥(だというのに、私は未だに切嗣が今日こそは言ってくれるんじゃないかと心の何処かで期待していた)
『舞弥、コンテンダーの整備は万全か。すぐ使える状態か』
舞弥(彼と私は……親しくなるべきではない)
カラン イラッシャイマセ
舞弥「マスター、いつものを今日はガトーショコラで」
「こんな時間にケーキか。桜が見たらなんというかな」
舞弥「……貴方は……」
91 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 14:44:09.01 ID:36h0oykHo
舞弥「こんな時間に酒など飲みに出歩いて、遠坂に仕えるというのは案外気楽そうですね」
アーチャー「ずいぶんな言われようだな。私はマスターから正式に許可を貰って出歩いている」
アーチャー「今日の私の回答は時臣には気に入らなかったようでな、ほとぼりが醒めるまで凛から少し暇を貰っている」
アーチャー「そういう君こそ、こんな時間に一人酒かい」
舞弥「このバーはスイーツも充実しています。それが夜でも変わらずに提供されるのが良い」
アーチャー「いい店を知っている。せっかくだ、一杯おごろうか」
舞弥「結構です。それに酒は嗜みません。下戸ではないですが、いつ連絡が入るか分かりませんので」
アーチャー「そうか」
舞弥「……」
アーチャー「……」
92 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 14:45:30.28 ID:36h0oykHo
舞弥「衛宮の屋敷には来られないので?」
アーチャー「なぜそんなことを聞く」
アーチャー「そもそも、行く必要があるのかね。私はサーヴァントで、向こうの屋敷は相手の主従が二組もいる。不用意な接触は避けるべきだ」
アーチャー「強いて言うなれば魔術で罠を張るか、でなければ盗聴でもするか……まぁ、今回の聖杯戦争はそういう類ではないが」
舞弥「ならば距離を置く必要もないのではないですか。遠坂凛がこちらの屋敷に入り浸りになっても、決まって貴方は姿を見せない」
舞弥「間桐は主従揃って仲睦まじそうに訪ねてくるというのに」
アーチャー「アイリスフィールの回し者かね、君は」
舞弥「……マダムは関係ありません」
93 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 14:50:15.19 ID:36h0oykHo
<オマタセイタシマシタ ケ-キセットデゴザイマス
舞弥「ありがとう」
アーチャー「まぁなんだ、あそこには私が舞台でイリヤと戯れるのに内心複雑そうな連中がいるからな。のこのこ訪ねては飛んで火にいるなんとやらだ」
舞弥「お嬢がそう言っていたのですか?」
アーチャー「聞くまでも無いさ。最近はセラが殺気を隠そうともしなくなってきた」
舞弥「……」
舞弥「……タフですね」
アーチャー「ん?」
舞弥「舞台ではあのように口走っていても、私にはあなたが今の日々を無理なく享受しているように見える」
舞弥「セイバーも今の役割を受け入れるまで葛藤していました。あれは極端にしても、貴方とて英霊。本心では受け入れがたいこともあるでしょうに」
94 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 14:51:18.97 ID:36h0oykHo
アーチャー「……アイリスフィールが後ろにいないとすれば、衛宮切嗣に命じられたか。先行して相手の動揺を誘え、とでも」
舞弥「……」
アーチャー「人を救うためならばどんなことでもする。そんな浅はかな考えで守護者となり、私は途方もない数の者を葬ってきた」
アーチャー「それが世界の脅威となるならば、それが女子供だろうと、社会の被害者だろうと容赦なくこの手にかけてきた。そんな無限に続く繰り返しの中で、突如としてこう言われた。誰も殺さなくていい。傷つける必要もない。世界を救うために、人を笑わせろ、と」
アーチャー「このオレにだぜ?」
アーチャー「内心で毒づきながら始めたが……何だろうな、皮肉屋な性分は大喜利とは妙な相性の良さを発揮してしまった」
アーチャー「いつの間にか客が喜びそうな答えが自然と浮かぶようになり、自分でもそれが楽しいと素直に思えるようになった。これで世界を救えるのなら、こんなに幸福なことはないじゃないかと」
舞弥「……それは許されないと言いたいのでしょう」
95 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 14:52:41.72 ID:36h0oykHo
舞弥「なぜ拒絶する必要があるのです。貴方は紛れもなく役目を果たしていて、それは道を外してなどいないはずです。例え後ろめたいものを抱えていたとしても、心に何ら幸福を覚えてはならないなど、到底無理な話だ」
舞弥「貴方は間違ったことはしていない。正しさや幸福を前にしたとき、苦行者のように振舞わなければいけないというような観念は、必要もない重荷を背負う行為のように私には思える」
アーチャー「言ってくれるな」
アーチャー「舞弥。私は今の自分の有り様が間違っているとは思ってはいない。手を血で汚した人間が道化を演じるのを人がどう見るかは分かっているが、全ては人を救うという、私が掲げた目的と何ら食い違いはない。己が無様な姿を晒すことをどう思うかなどというのは、それこそ些末な問題に過ぎない」
アーチャー「だがね、笑い合う空間というのは、多くの物を飲み込み忘却させるものだ」
アーチャー「笑っていると辛いことを忘れる。苦しんでいることを忘れる。抱えたものの重さををも――」
ア―チャ―「それだけは許されない。償いを望む、諦めて受け入れる、何も考えずに行動する。どうするかは各々が決めることだ。だが、忘れることだけはあってはならない。己が何者で、何をしたのかを」
アーチャー「周りで笑っている人がいるからそれでいいなどというのは傲慢だ。自らそれを渇望するのは侮蔑すべき行為だ。私のような者には……」
ア―チャ―「こんな話をしている今ですら、頭の片隅では、何か気の利いた洒落は出来ないものかと考えずにはいられない……私は既に、自らの業と向き合う心すら失っているのかもしれないな」
アーチャー「醜悪だよ」
96 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 14:53:30.59 ID:36h0oykHo
舞弥「……」
舞弥「心無い人間、というものはずいぶん見てきました」
舞弥「が、私の知る限り、真に心の壊れた人間というものは、貴方のような人では無かった」
舞弥「そのような者が仮に貴方の立場になったとしても、延々と命ぜられるがままに答えを考え続けるだけでしょう。クオリティは知りませんが」
舞弥「少なくとも貴方は今の自分に葛藤がある。それは身体の痛覚が正しく機能しているのと同じです。慰めにはならないかもしれないですが、貴方は自分の有り様を省みずにいられない限り、壊れてしまってなどいない」
舞弥「貴方はどうしても“いい人”です。そういう人間は、得てして自分への評価が辛辣すぎる。貴方は自分の今の有り様を醜悪と言いましたが、例え一時でも守護者の責務から解放されて、人を笑わせることに執心している姿を喜んでいる人もいるはずです」
アーチャー「……仮に私がその男にこの話をしたら、何と答えると思うかね」
舞弥「……確証はないですが」
97 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 14:54:01.33 ID:36h0oykHo
「それでも、いいじゃないか。殺し合いなんかするより、ずっといい」
98 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 14:54:52.71 ID:36h0oykHo
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
切嗣「彼は――すでに結末を迎えている。結論もある。僕が彼の存在のためにしてやれることは何もない」
切嗣「だから、仮に出来ることがあるとすれば、受け止めてやることだけだ」
切嗣「親として――それがあらゆる意味で本当の親でなかったとしても、自慢の息子だと褒めてやりたい」
切嗣「頑張ったな 偉かったな……と」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
99 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 14:55:49.10 ID:36h0oykHo
舞弥「これも憶測ですが」
舞弥「切嗣は」
アーチャー「――」
舞弥「貴方がお嬢と親しくすることをさほど嫌がりはしないでしょう。もっとも、程度によりますが」
アーチャー「……」
舞弥「マスター、紅茶のお代わりを」
アーチャー「いや。マスター、少しばかりカウンターを借りて構わないかな」
舞弥「……?」
100 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 14:56:26.23 ID:36h0oykHo
アーチャー「出来たぞ。アップル・フレーズルだ。一杯奢ると言ったろう」
舞弥「聞いていなかったのですか。私は酒は」
アーチャー「アップル・フレーズルはノンアルコールカクテルだ。安心しろ」
舞弥「……では、お言葉に甘えて」
舞弥「」ツ……
舞弥「……カクテルにも詳しいのですね」
アーチャー「自慢するほどではないがね」
101 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 14:57:41.70 ID:36h0oykHo
アーチャー「さて、私も自分のを頂くとしようか」
アーチャー「」クッ……
アーチャー「ふむ――」
アーチャー「うまいッ!」テ-レッテレ-!
舞弥「ブフォッ!?」
102 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 14:58:57.72 ID:36h0oykHo
舞弥「ゲホッ、ゲホッ!」
アーチャー「ほう、手ごたえありか」
アーチャー「いや、すまない。君がどうにも他人事のように私を語るのでな。思わず一泡吹かせて見たくなった」
アーチャー「私が言うのも何だが、冗談を聞いて笑えるというのも感性が正しく機能している証だ。そういう人間をこそ、衛宮切嗣は守ろうとするんじゃないのかね」
舞弥「…………/////」プルプル
アーチャー「しかし、久しぶりにいい反応を見せてもらった。ここ最近のギャグは凛や時臣には不評だったからな。まだまだ私の現代人ネタも捨てたものじゃな――」
舞弥「」ゴゴゴゴゴゴゴゴ……チャキ
アーチャー「」
アーチャー「待て、なぜ銃を構える。そもそもどこから出し――――うわあぁぁぁぁぁぁっ!?」
バンバンバン!
103 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 15:00:27.30 ID:36h0oykHo
アイリ「今度、久しぶりに皆で大喜利を見に会場へ行きましょうよ。もちろん、舞弥さんも誘ってね」」
切嗣「そうだね。最近はテレビで見るだけだったし――」
マテェェェェェェェ!
バンバンバン
ウワアァァァァァァ!?
切嗣「ッ!? 銃声だと!」
アイリ「魔翌力の反応もあるわ!」
切嗣「クソッ! (笑)聖杯を狙う者か!?」
切嗣「舞弥! 聞こえるか舞弥! コンテンダーはすぐ使える状態か!? 舞弥ァーーッ!」
おしまい
104 :
魔翌力ってなんだよ
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 15:01:16.58 ID:36h0oykHo
おまけ:没ネタ
ギルガメッシュ『それが衛宮切嗣という人間だ』
大河『何ですか』
ギルガメッシュ『B:バン!
B:バン!』
イリヤ「あ、アンタに何がわかるのよーっ!?」
イリヤ「B:バーサーカー!
B:ボンバイエッ!(やっちまえ)」
バーサーカー「■■■■ーーー!」
前後の流れを上手く処理できないので没
105 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 15:04:00.82 ID:36h0oykHo
没ネタ2
セイバー『私も会得してみたかったです』
大河『何ですか』
セイバー『B:バ
B:ブみ』
大河「はははははははははwwwwwwwwwwwwwwww」
大河「セイバーちゃんは我が子を谷に落とすタイプだからねww ん〜バブみのあるセイバーちゃんかー……」
大河「……セイバーちゃんにオギャる士郎……」
イリヤ「……」
アーチャー「大河! そのくらいにしておけ!?」
大河「!? うわっ、私今いらんこと言った! うっわ〜、今絶対いらんこと言ったわ〜……」ガックリ
<ホントダヨ!
セイバー「大河! いらんこととは何ですか! 私はこれでも一児の父ですよ!」
ライダー「父ではダメじゃないですか……あと都合のいい時だけ認知しないでください」
全体的に会話がちぐはぐな感じがしたのと、三問目の「士郎は我が息子」ネタに水を差すので没。
一応「いらんこといった」→イリヤの士郎への暗示の布石 という流れのつもりだった。
106 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 15:05:32.41 ID:36h0oykHo
終わりです。以前からちょこちょこ出ていた独自設定は「せめてサーヴァントが大喜利してる最低限の理由くらいは考えとくか」
という絶対スルーしたほうがいい問題をこねくり回しているうちに芋づる式に膨らんでしまった結果です。終盤の無駄シリアスはその副産物。
細かい整合性は一切無いです。
107 :
◆8cB8K086lg
[sage]:2019/07/01(月) 15:07:05.66 ID:36h0oykHo
しかし、歌丸師匠が旅立たれてから明日で一年になるのですね。
チラ裏話ですが、昨年のこの時期はちょうどネタを書き溜めていた頃だったので、訃報はとてもショックでした。
実際に自分で問題や回答を考えると、本職の落語家さんの教養の深さとセンスの良さに頭が下がるばかりです。
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