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【ガルパン】鼎
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195 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/10/27(日) 22:12:12.71 ID:vwscS1ncO
2235からやります
196 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/10/27(日) 22:41:25.47 ID:vwscS1ncO
そしてその時期は、別れの季節でもある。大学進学を決めた山崎さんたちの卒業式が開催された。私が在校生代表として話をしたが、やることは大して違いはない。ただみなさんが卒業されるこの学園を、残さないという選択肢はない、その発表の場でしかない
帰り際、山崎さんは正装して私の前に来た
「角谷。お前色々と手を尽くしてくれているようだな。最近は何もしてないが、話だけでもよく聞くぞ」
「私ができることなんてそんな大したことでは……」
「いや、これで学園はいやが応にも挙市一致へ向けて進んでいけるはずだ。それに進むしかないと私も思っている。もっとも賭けるものが重すぎるけどね」
「ごもっともで」
「角谷。お前ならやれる。お前も来年にはこっちに回っているだろうが、その時に笑って終われるように頼んだぞ」
「……はい」
「お前が泣いて卒業する姿なんて見たくはないからな。お前にとって一番似合わない姿だ
笑え。笑って卒業しろ。そしてみんなと、仲間と笑ってから来い
これがこんな何も変えられない頼りない先輩からのたった一つの頼みごとだ」
黙ってただ差し出された手を握り返す。ずっと握って、握って、離さない。それが互いにとって最大限返せる返事だった
しかし笑って卒業しろ、か。確かに泣いて卒業なんてしたくはない。きっとその涙は廃校をどうしようもできなかった悲しみの末のものだろうからね
「角谷」
「はい」
「その戦車道で使う戦車、一緒に見てきてもらってもいいか?」
197 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/10/27(日) 22:42:26.59 ID:vwscS1ncO
そんな希望をうけ、普段はあまり人の立ち入らないグラウンドの奥も奥の煉瓦造りの建物にやってきた。もうここは卒業式の喧騒とは縁もなく、ただ向こうの木々が風に揺れているのみだ
「ここか……もう滅多に人が来ないところだな。私もここの中に入るのは初めてだ」
「私は視察の際に一度だけです」
重い緑の金属の扉に付けられた南京錠を開け、ギィと力を入れて片側を開ける。その奥で明かりを灯すと、中に鎮座する金属の塊が照らし出された
「……これが戦車か」
「はい。我が校の未来を決めるものです。調べたところ、ドイツのIV号戦車なるものだとか」
「ドイツか。敗戦国の、か。そして今のドイツを鑑みれば、這い上がらんとする我が校にとって縁起の悪いものではないな」
這い上がる、ねぇ。できれば勝ち組のままにこの先も生きていきたかったが、しょうがないものはしょうがないよね
「これが……ねぇ……うぇっ!」
山崎さんが車体に触れてすぐに手を離した。指先には真っ黒な汚れがこびりついている。ちょっと触れただけでこれだ。車輌全体なんて推して知るべしだ
「……洗ってないのか?」
「本来廃棄されているはずの車輌ですからね。堂々と表立って清掃するわけにもいきませんし」
「そ、それもそうか……」
乙女の道、ねぇ。これに護られるから女性の方が相応しいというが、ねぇ。試合などの映像も見てみたが、何時間も鉄の棺桶の中で重い砲弾を抱えて駆け回る。下手な男にすらしんどい作業に見えなくもない。無論伏せるけどね
「これ以外はどうするんだ?1輌では紅白戦すらできないじゃないか」
「学園艦内に10輌くらい隠されているようなので、発掘させます」
「誰に?」
「履修生に」
公にしたくない以上、これより前は人員確保すら覚束まい
198 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/10/27(日) 22:42:57.70 ID:vwscS1ncO
「まずは教材を集めて来なきゃならんのか。あまり受けたくない授業だな」
「逆に教職員連盟は丸め込んで単位数とか嵩増ししたんで、それでも人が来なきゃどうにもなりません。ウチの学生の愛校精神が足らなかっただけの話です。あとは機密費から食堂優待券を作らせました」
これを履修人数分だが、それでも額は10万くらい。値引きだけだからね
「それと学園の誇りとして能力高い人間集めなきゃならないので、一人有能な奴に目を付けてます。それ用の秘策も一応」
一個下に面白い奴がいた。家計的にも飯の話と絡めれば釣れる、と思う
「やるねぇ……」
「極め付けはこれです」
ちっちゃな鞄から透明なクリアファイルに入れた一枚の紙をそのまま差し出す
「ん?これは……必修選択科目の申し込み用紙か……こりゃまた大胆な」
「まぁ、見習ったところが見習ったところなんで、褒められるものではないですが」
「この戦車の故郷、からか」
「単に選択ですし、中身も国家併合ほどのものでもないですから」
戦車道の選択欄のみ他の欄よりめっちゃくちゃでっかくした記入用紙だ。これに西住ちゃんがチェックしてくれれば楽なんだけど
目は……笑えないですよね。なんかやばい代物を目覚めさせちゃったな、そんな感じだろうか
「角谷」
クリアファイルをこちらに返しながらその目を緩めた
「なんども言うが、お前に任せてよかった。私にはここまでは無理だ」
「ありがとうございます」
「ここまでやるんだ。後任には慎重になっとけよ」
「後任を設けられればの話ですがね」
199 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/10/27(日) 22:43:30.92 ID:vwscS1ncO
「あれ、人がいる」
「ここに?」
奥の扉から二人の少女が私たちを見つけた
「しかも角谷会長ですか」
「ナカジマちゃん?」
自動車部の人だ。黄色いツナギを着ているから薄暗いこの倉庫でも結構目立つ。もう一人はホシノちゃん。結構焼けてるよね
「卒業する人への挨拶とかはいいのかい?」
「ウチらの先輩、一人しかいらっしゃいませんから」
「すぐに終わったと……」
私も他の人に挨拶しなきゃな……
「そうなれば下手に感傷に浸るより私たちは車いじってる方が性に合ってますから」
「なるほどねぇ……それで、ここには何の用?」
「あれ?あの連絡は会長からじゃなかったんですか?」
「へ?」
「ほら、IV号の整備の案内書類置いとくから、整備してくれっていう話。これ置いてってくださったじゃないですか」
こちらに近づいてナカジマちゃんが見せてくれたのは、表紙に女性の顔が書かれた説明書だ。中身をチラッとみてみると、内容の詳細はわからないが、図面から見るに整備のための本のようだ
「これ以外にも何冊か別の戦車の整備書類置いててくださいましたけど、あれらも違うんですか?」
「私は知らないよ?」
「そしたら誰が……」
どういうことだ?
200 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/10/27(日) 22:44:17.82 ID:vwscS1ncO
undefined
201 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/10/27(日) 22:44:47.41 ID:vwscS1ncO
「戦車の整備は初回の授業の時に履修生に混じって手伝ってもらうから今日は大丈夫。それでさ、ちょっと他のも見せてもらえる?」
「今部室に残り置いてあるんですよ」
「じゃ、部室にお邪魔してもいい?」
「わ、私は少し手を洗ってくるとするよ」
こうして手をしっかり洗った山崎先輩とともに、よくわからない工具が大量に転がった部屋だった。部室で待ってたスズキちゃんに踏まないように気をつけて、と言われても、慣れてない人にはなかなか厳しいものがある
そしてその奥の机の上の書類の束、それが件の案内書のようだった
「朝方にこれとこの紙が入った紙袋がドアノブに掛かってたんですよ」
「ふーん……」
ホチキス留めされた書類を一つ一つ見てみると、残りはフランスのB1bis、ドイツのポルシェティーガー、日本の三式中戦車のものだった。これらは……我が校が書類をごまかしてまで残そうとしている戦車の一部だ
ウチが書類をごまかしてまで戦車を残していると知っている人の中で、その車輌まで把握しており、かつそれでいてウチの助けになるものをくれる人……
「しかしこのポルシェティーガーっていう奴、案内書見ただけでも骨が折れそうですよ。これ本当に70年前の車輌なんですか?」
「構造的に足回りめちゃくちゃ弱そうだし、本当に乗ろうとするなら根本から改造しなきゃダメないんじゃない?」
「見る限りこの中だとIV号が一番乗りやすいんじゃないかな。このB1bisってやつは砲塔に一人しか乗れたいみたいだしね」
「は、はぁ……」
戦車の構造について話に花を咲かせる3人とそれに全くついていけない山崎さんの横で、私は一つの結論に辿り着いた
202 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/10/27(日) 22:45:17.93 ID:vwscS1ncO
「多分ウチの戦車ショップの人が適当にくれたんじゃないかな?お礼は私の方から言っとくよ
それで整備に関しては前に話した通り、後日で頼むよ。この先も世話になるだろうしね」
「ウチらとしちゃエンジン付いてるものをいじれるのでむしろ喜ばしいんですが、そしたら代わりに予算増やしてくださいよ」
「ダメダメ。もう予算通しちゃったんだから、恩恵受けたきゃ戦車道履修しな」
「えぇ〜……」
「功績次第で来年は考えるからさ」
その書類は自動車部に預けて、私は同封された紙だけ貰っていった
その書面には一言
『大洗女子学園のさらなる奮闘に期待する』
とだけあった
「角谷。何とかなるかもしれんな」
山崎さんのその言葉は、私が心の中に浮かんだ言葉と同じだった
203 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/10/27(日) 22:45:59.56 ID:vwscS1ncO
きょうはここまでです
最近こんなのつくりました
https://sp.nicovideo.jp/watch/sm35864029?ref=my_history
204 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/04(月) 00:09:52.48 ID:FyYcOIvY0
そして春休み。宿題も特にないので、私が当たるべきは一つ
選挙対策である
今回から私が通した選挙改革案、『生徒議会基本条例改正案』に基づき、生徒議会が市民議会へと名を改め、学園内部のみならず都市でも選挙戦が展開される。選挙管理委員会も慣れぬ仕事に追われている。この選挙の成功如何も私の実績に含まれる
ルールとしては日本の選挙法と同様だ。だが何せいわゆる市民議員の数が数だ。これまで都市全体で行っていた選挙での候補者は、多くても15人、つまり大洗町議会選挙だ
それが今回選挙区は分けられているとはいえ定数は50人、立候補者は100人近い。議会を金曜日の夜にするとかしたのが功を奏している
もっとも今は町内会がバックについた議員が多い。町内会は無理矢理な廃校回避には若干懐疑的な節がある。廃校、退艦となるなら早めに話を決めておいてほしい、それが本音のようだ。要するに廃校を回避して仕舞えば問題ない
これだけの数のポスター、パネル、幟、拡声器。準備するだけでも大変だ。そしてこの宣伝、政党をバックにした議員が政党名を呼ぶことは、結果として各教室を選挙区とした選挙にも影響する。学生は学園艦に住んでるわけだしね
すなわち各党この都市での選挙活動に手を抜くわけにはいかない。そしてその時有利なのは、元々都市民との関係の強い公正会を取り込み、開校以来の歴史の中で選挙戦の経験を積み、議会第一党で資金力のある大洗フォーラムなのである
私も入学式、始業式以降3日間に渡る選挙戦では遊説にも行くし、応援演説にも入る。その間に別の仕事もあるけどね
205 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/04(月) 00:10:32.81 ID:FyYcOIvY0
そしてこの選挙戦にて、私は禁じ手の一つを発動しようとしていた
「ということで竹谷町長。市民議会選にて私と大洗フォーラムへの公認をいただきたい」
「我が党としても長年にわたり大洗町政を支えてこられた竹谷町長の公認を頂ければ、都市内での影響は計り知れません。こちらとしても都市内での町長及び近い町議会議員への支援はお約束します」
大洗町政と大洗女子学園市民議会の結託。これまで都市の自治の独立を宣言してきている以上、飛び地扱いとはいえ町政とは距離を取るのがしきたりだった。しかし学園存続は学園都市、大洗町ともに必要なことだ。そしてその方針を決めたのは生徒による政党。生徒の自治は乱していない
「悪くない」
皮の椅子に深く腰掛け、足を組んで話を聞いていた竹谷町長から聞けたのは、まずはそれだけだ
「角谷くんが色々と改革を進めているのは聞いているし、学園存続の為にも角谷くんと私たちは手を組むべきだ。戦車道再興も支持しているし、その試合会場としてこの大洗の町の登録を進めている」
「なら……」
「だが、フォーラムと組むメリットはあるのか?予算案の時に造反が出てガタガタに見えるのだが。そんな不安定なところに私を支持している議員を支持されると、逆にその不安定性が移って来かねん」
つまり自分の力だけで通せる。必要以上の繋がりはいらない、と
206 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/04(月) 00:11:02.48 ID:FyYcOIvY0
undefined
207 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/04(月) 00:11:31.76 ID:FyYcOIvY0
「それに必需品への補助金政策。あれも必要とは思えん。必要だから既に文房具屋とコンビニは進出しているし、そこらの間の競争で値段も本来は地上と大して変わらん。そこに補助金を出してさらに押し下げることに意味はあるのか?」
「ですから、この学園に来る学生の出自、生活環境は多様です。それらを問わず勉学を続けられる環境を提供する。それはこの都市が公立の学園都市であり、その与党である限り取るべき日本共通の善であると思案します」
白石ちゃんがハッキリと言い切った
「補助金額相当の引き下げをせず、差額分を取り込んで経営を保っている零細もあるという。そういうところはむしろ市民の学費、税金を恣意的に使っているとは言えんか?そういう店があるというのはこちらは把握済みだ。ただそちらの自治の意向を受けてこうして勧告だけに留めているがね」
「もちろん販売状況に関する精査は入れております。仮にそのようなことをしている店があるとしても、彼らもこの都市に住む住民です。そのような利用を止めるなら我が校としてこれ以上口を出すことではないかと」
あまり触れて深掘りして欲しくないんだよな、そこは。うん……
「こちらもそれを認めている政党だから不安だ、という意見もあるし、何より最近まで議会の1/3すら取れていなかった。それを市民の代表として町長の私が公認するのは無理がないか?」
「現在は1/3を超えております。そして得票率そのものは決して低くありません。今回の角谷会長と組むことにより、得票率の増加も見込めますし、市民議員は此方に近いものもいます。今よりは格段に議席数を増やせると見込んでおりますが」
「それはそちらの想定でしかないだろう?選挙は水物だ。結局開票結果が出るまで誰も結果は知らない。君たちだって選挙速報とかのニュースとかを見てる時に、当初の予想と違う議員が当選してるのを見るだろう」
208 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/04(月) 00:12:08.87 ID:FyYcOIvY0
フォーラムは都市の自治の独立を主張し、時に町からの要請にも反して政策を実行してきた。その距離感は私がいたところで拭えるものでもない。つまるところフォーラムが信頼されてないわけだ
私との関係だけなら一年だけだ。来年以降万が一政権与党が変わる事態になっても、政党と繋がってなければ新しい生徒会長支持に簡単に乗り換えられる
めんどいなら、妥協するだけだ
「それなら、この形ならどうです?」
一枚のメモ用紙を我々の間にある机に置いて、簡単に大きく四角形を描いた
「これを選挙ポスターだと思ってください。まず候補者の写真を載せて……その右下に私の写真と私が推薦していることを書きます」
「ふむ、普通だな」
「そして『私の写真の下に』竹谷町長推薦を書きます。つまり竹谷町長が推薦しているのは私、その体裁を取るならいかがです?」
来年以降万が一があるなら、向こうは生徒会長の写真と政党名を変えて別で作ればいい。フォーラムと町長の仲立ちが私、となれば向こうにも受け入れやすいと思う
「……だめだ。今回の選挙でそれは認めん」
ううむ、手厳しいな。やはりフォーラムを絡めるのは厳しくなるのか……
その後も交渉は進めてみたが、先ほどの案が拒絶された以上、フォーラムのポスターに町長の名前を載せるのは許されない。そうじゃないなら、この選挙での意味はない
それなら、もう一つの禁じ手を使って勝ち筋を作るのみだ
209 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/04(月) 00:12:47.12 ID:FyYcOIvY0
4月5日、始業式及び入学式。午前に始業式、午後に入学式の日程が取られる。今年度も無事倍率は1.03と辛うじて1を超えていた。正式に不合格を出した人数は全学科合わせて92人しかいない。もともとは1.4くらいあったのだが、廃校の話を受けて結局辞めるという人が多く出たのだ
そして今回入学している人の中にも、一年生のうちでより良い成績を取ることで廃校後の割り当てでさらに上を目指そうとしている者もいるだろう
だがその願いは挫かねばなるまい。私は彼女らに6年間で多くのことを学び、感じ、そして表現していってください、と挨拶した。親御さんもいる前でだ。彼らも巻き込んでやるしかない
私も今日から高校3年生。泣いても笑っても最後の一年になる。そしてそれは猛烈な誹謗中傷から幕を開けた
210 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/04(月) 00:13:24.73 ID:FyYcOIvY0
「この戦いは大洗女子学園、この足元にある学園艦を守るのか、捨てるのか、それを本当に選ぶものでございます!あちらの〇〇は学園の誇りを取り戻すことに反対し、廃校準備校指定についても、受け入れ及び退艦へ準備せよと言ってやがるのでございます!
この愛校精神への反逆!設立以降の伝統の放棄を堂々と宣う者に、学園都市の未来を託してはなりません!廃校回避学園都市の維持はなされるべきであり、この危機を目の前にして、我々は都市を挙げて団結して立ち向かわねばならないのです!それが廃校準備校指定に対する非難決議を真に実行することなのです!
口では最早止まらない。やらねば、やらねばならないのです!
どうか大洗学園フォーラムの????!????に清き一票をお願いいたします!」
「皆さんも考えてみてください!期限は来年なのです!一年後には国からここから出ねばならないと通達を受けているのです!最早それは眼前の事実であります!
角谷会長は廃校回避廃校回避と壊れたレコードのように繰り返しておりますが、果たしてそんなことをひっくり返せるのですか!
国と争い、戦車道とやらに誇りだからなんだと金を注ぎ込み、そして乱して乱しまくった挙句のうのうと来年卒業しようとしてる!あの軽々しい口に騙されてはなりません!
無所属の〇〇、〇〇に清きでも汚なきでも構いません!あなたの一票をよろしくお願い致します!」
211 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/04(月) 00:14:08.98 ID:FyYcOIvY0
「事ここに至って頼るべきはどこか!それは偉大なる同志のいるプラウダ学園にございます!我が校が生き残るには、国との対立は避けられぬことは皆さんも承知のはずです!ならばこの国の暴虐には学園都市で力を合わせ対峙するほかありません!
ならばその盟主たるのは、学園都市最大規模にして国への抵抗を主張するプラウダ学園以外にないのでございます!そしてその各都市共和発展の指針に向け、我々も足並みを揃える時が来たのでございます!
どうか人民による大洗の議員候補に投票をよろしくお願いします!」
「民主主義は堅持されるべきでございます!このままフォーラムに安定議席を渡してしまっては、その先は角谷政権独裁の道でございます!そしてその先にあるのは学園都市の経済拡大に目を向けないフォーラムの方針の完全な履行です
仮に廃校を回避できても、それではまた同じことの繰り返しでしかありません!必ずや、その不安定性によってトドメを刺されるでしょう!
それは止めねばならない!企業を呼び、産業育成を為して始めて、この大洗女子学園学園都市は未来まで安定するのでございます!
どうか新大洗クラブ、新大洗クラブに清き一票をお願いします!」
212 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/04(月) 00:14:47.49 ID:FyYcOIvY0
「この危機を変えるものは何か!それは真なる自治の獲得!クラス、学科の自治権、裁量の拡大に尽きるのでございます!それを拒み生徒会の権限を強化せんとする角谷会長は、ここで止めねばなりません!」
「こんな選挙は無駄だ!こんな選挙は滅ぼせ!政治に頼ったってなんっにも変わりはしないんだよ!」
「え〜、全世界学園都市経済共同体とは……唯一神△△の名において……その威光の下に全ての学園都市を参画させ……」
後半はどうだっていい。ここで出てきた無所属議員、ついこの前まではフォーラムの議員だったのだ。ならばその彼女を非難している彼女は?
213 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/04(月) 11:58:39.02 ID:FyYcOIvY0
私が送り込んだ刺客だ
白石ちゃんに近い人が要職を、それも選挙対策課を抑えていたのが効いた。党に対する造反を理由に、予算案に反対した議員の公認を取り消したのだ。そして党員からアンケートを取って刺客となる候補を決めていった
内部分裂そのものだが、今なら勝てる。これで勝つのだ。学園都市は廃校回避に向けて一枚岩にならねばならない
214 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/10(日) 22:26:23.26 ID:UUFfWz5YO
2240から始めます
215 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/10(日) 22:39:21.80 ID:UUFfWz5YO
私も遊説に立ったりする日々が続く。朝は学校に先に来てから荷物を置いて学校の前で演説。授業を受け終礼をダッシュで抜け出してタスキをかけ、通学路の帰り道に立つ。それが終わったら今度は自転車に乗って町巡りだ
車は一台借りるのが精一杯だったようで、日中から選挙活動ができる市民議員の支援を優先する。私も合流したら車の上に立ってまたまた演説だ。それを夜8時、制限時間のギリギリまで続けるのだ
市民からの反応は悪くない。そこは市民議員の創設がいい感じに働いているのだろう。ここで働いている人たちからの支持はほぼ完璧に近い
そして帰りがけの生徒の反応は、市民ほどではないがある程度ある。もっとも私の演説なんて式典関連で見飽きて聞き飽きている、といった風に通り過ぎる生徒も多いけどね
216 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/10(日) 22:41:19.71 ID:UUFfWz5YO
そしてそんな最中、2日目の放課後では必修選択科目の追加科目、戦車道のガイダンスが行われた。読み上げ担当は小山だから、私は生徒の反応を見ながら干し芋をつまむ
「戦車道……それは健全な婦女子を育成し、世に役立つ人物を送り出す為の、伝統的なスポーツです。乙女の目指すべきは自己鍛錬と相手への敬意、そして照準器の先に見据えた己の心なのです……」
この資料は生徒会で作ったもので、戦車道連盟にも協力してもらったものだ。なんか参考になるものはないか、とお願いしたところ、ちょっと前に作った宣伝用のビデオを送ってきたので、内容を削って初心者が見たらめっちゃくっちゃ伝統のあるまともなスポーツに見えるようにした
現実?西住流と島田流って名前が付いてて、かつ西住ちゃんみたいな存在が生まれる世界だ
なぁに、嘘はついてないよ、嘘は。仮にそんなスポーツなんだと思ったら、君たちの知識不足と騙されるだけの解釈する力の無さを恨むがいい。むしろ批判的精神を養った方がいいんじゃないかい?
現実を知ったところで単位と引き換えなら手を切るのはそうやすやすとはいかないさ。戦車道を履修している人を減らすわけにはいかないからね
そしておまけに小山からは遅刻見逃しとか食堂優待券、単位数爆高を含む戦車道履修のボーナスを通達した。そしたら本当に分かりやすいね。場の空気がパアッとこちらに傾いた。一人暮らしの人も多いから、その人たちにとっちゃ食費が抑えられるだけでもメリットは大きいしね
217 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/10(日) 22:41:47.70 ID:UUFfWz5YO
その後必修選択科目の紙が高校の各クラスに配られた。無論戦車道だけ一番でっかくしてある。いかにもこれにチェックを入れろ、といった感じだ
そして次の日の休み時間、まだ期限は来てないからおそらく科目を決めてはいるまい。そこら辺は優柔不断なところがあると黒森峰からの説明にもあったしね。西住ちゃんのいる普通科2年の教室に小山とかーしまを連れて向かう
「なぁ、かーしま」
「どうしました?」
「抜かるなよ」
「は、はい」
役割は分担済み。かーしまはその見た目と背の高さ、そして口調で西住ちゃんを直接威圧する役目だ。それを実行する場に立ち入る。中には生徒が多くおり、私を見て口々に小声で話している。誰に、何の用か。主にそんなことのようだ
そして目的の人は、2人ほどの他の少女と話しながら、その真ん中にいた
「やぁ、西住ちゃ〜ん」
「は、はい!」
「ちょっと廊下に来てもらおうか」
「あ、あの、一体何の……」
「必修選択科目なんだけどさ、戦車道、やってくんない?」
念押しはそれで済ませて2日後の4月8日、選挙の投開票日だ。だが学生も午前中だけ学校に来てクラスごとに投票を行っていく
そして一般投票も並行して行われ、体育館には朝から箱の中身を覗こうとする人たちが並び、投票が行われていった
218 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/10(日) 22:43:47.80 ID:UUFfWz5YO
19時50分、私は白石ちゃんらフォーラムの政権幹部、そして公認候補者らとともに、校内の大教室を借りてテレビをつけていた。茨城には県営放送はないのだが、代わりにNHK水戸放送局が開票結果を速報してくれる。何かしらの動物番組が流れているが、明日になって何の動物についてやっていたかを覚えているものはいるまい
「……どう見てる?」
「感触は悪くありません。他の党が地盤とするところでも、2番手には結構食い込めている印象です」
隣にいるのは選挙対策課の松本ちゃんだ。今回の刺客の選抜、擁立に協力してくれている白石ちゃんの腹心だ。こういうところを廃校回避派で占められているのは大きなプラスだ
「あとは……クラス両議席確保がどれだけできるかと、市民議員の数次第だね……」
「クラブの戦車道支持派と合わされば過半数は容易でしょう。しかし問題は……」
「フォーラムの単独過半数」
「そこに関しては何とも言えない状況です。複数擁立したばかりに、そこに割ってクラブや人民とかが入ってくる可能性もあります。話は分かっていますが、その弊害だけはどうにも……」
「人民ねぇ……」
革命派が党の議会での躍進により勢いを失ってくれればまだマシかな
単独過半数。それがあればこの先かなり楽になるし、総合局は生徒会一の閑職になるだろう
「プラウダがウチに手を伸ばしてくるとは思えませんし、そこまで気にしなくてよろしいのでは?」
「でも一応ね……国との争いが消耗戦と化してきそうなら、ちょっと警戒がいるかもね」
「なるほど。クラブを通じてサンダースがなんたらという話も聞きませんし、大丈夫だとは思いますけどね」
219 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/10(日) 22:44:48.19 ID:UUFfWz5YO
「角谷会長!」
そんな話の最中、奥の扉を開けるが早いがこちらにダッシュで駆け寄りつつ口を挟んで来たのは、新聞部の王とかいった子である
「新聞部の王大河です。間も無く開票開始となりますが、ご自身としてこの選挙、どのように考えていらっしゃいますか?」
一度息と姿勢を整える
「私の生徒会長としての行政の1/4における評価であるも考えております。アメリカの大統領の評価も最初の一年が肝と申しますし
この結果が廃校回避を志向することへの市民、学生の皆様方の判断だと受け止める所存です」
「ありがとうございます。松本選挙対策課課長。この選挙における目標などは設定なさっておられるのですか?」
「そうですね。フォーラムは角谷会長をサポートする立場におりますゆえ、それを支えられるメンバーにて過半数を目指しております。その後は学園都市行政の改革および適切な遂行に力を尽くしてまいります」
「ありがとうございます。以上、大洗学園フォーラムの幹部の皆様のおられる505教室よりお伝えいたしました!」
そしてサッと後ろに下がっていった。待つのは彼女らも同じ、20時である
「30秒前……」
時間が近づいてくると、どこからかカウントダウンが始まる。楽しみであり、不安である時が徐々に近づいてくる
「20秒前……」
私の道が正義となるか。それが市民によって示される時だ。やるべきはやった。だがそれでも不安と恐怖は拭いきれない
「10秒前、9、8、7、6、」
むしろ早く来て欲しい気持ちすらある
「5、4、3、2、」
私の頬を、汗がつたう
「1、0!」
『NHKニュース速報』
まずはそれの存在を伝える音と点滅からだ。唾を飲み込む
220 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/10(日) 22:45:14.02 ID:UUFfWz5YO
短いですが今日はここまでです
221 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/17(日) 21:54:53.37 ID:KovH2OtNO
2200から始めます
222 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/17(日) 22:00:45.58 ID:KovH2OtNO
『大洗女子学園学園都市、市民議会選挙速報
大洗学園フォーラム、過半数獲得か。角谷生徒会長の送った「刺客」も多数当選確実』
「おおおおおおおお!」
「いよっしゃぁぁぁ!」
画面の一番上に現れた文字に、歓喜が応じた
そしてネット上にはすぐに開票状況および当選確実の情報が出ていた
大洗学園フォーラム 347
新大洗クラブ 129
職人連合組合 40
人民による大洗 39
学生自治権党 18
無所属 102
未確定 125
「よーしよしよし」
その画面を覗き込んだ松本ちゃんも満足げだ。この議席獲得数で未確定が分け与えられれば、フォーラムは過半数獲得だ。旧町内会系の離反しそうな奴も切ったから、ちょいと無所属が思ったよりかは増えそうだが、何よりクラブが退潮しているのが効いたな
「まだ未確定があるから確定じゃないぞ」
まだ慢心を避ける言葉は出るが、黒板に貼り付けた候補者一覧にはどんどん名前の上に赤丸が付けられていく。そしてそれが10人くらいまとまって壇上に上がり、周りからの万歳三唱に合わせて頭を下げる
「普通一科高校2年12組組高林町江さん、当選確実!」
「水産科高校1年2組大船渡霞さん、当選確実!」
「普通一科中学3年7組永田咲希さん、当選確実!」
「ばんざーい!ばんざーい!ばんざーい!」
クラスによっては刺客と旧フォーラムの無所属が張り合う形になっているようだ。二番手に食い込む形もしっかりできているし、二番手や落選だと予想していたところで優勢なところもあるようだ
223 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/17(日) 22:02:39.34 ID:KovH2OtNO
「中一の情勢はどう?」
「無所属が他学年より多めなのは避けられませんでした。しかし小学校の伝手を使わせて中一を少々取り込んだだけあり、例年より政党への得票が多く、フォーラムが議席を多く獲得できそうです」
学園の危機を知りながら入ったもの達。即座に廃校からの放逐とはなりたくないか
「市民議員の方は?」
「公正会を取り込んだのが功を奏しましたね。確定で10議席です。残り30議席以上未確定ですからいい感じですが、情勢についてはそれ以上はなんとも……」
よしよし
「市民議員の方の混乱は?」
「町議会の延長として選管も同様の処置で処理したようです。開票開始も3ヶ所全てで開始されてます!」
大成功、だろうね。今のところは
224 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/17(日) 22:04:13.57 ID:KovH2OtNO
翌日早朝、ついに全ての確認作業が終了した。各クラス、各選挙区での各候補の得票数が決定され、選挙管理委員会より正式な当選者、落選者の発表がなされた
無所属 123
人民による大洗 51
職人連合組合 46
学生自治権党 29
新大洗クラブ 149
そして
大洗学園フォーラム 402
思ったよりギリギリであったが、大洗学園フォーラム、単独過半数獲得である
「やりましたね、角谷会長」
一晩をここの教室で過ごしていて、片付けを急ピッチで進める中、白石ちゃんが話を向けてきた
「一応、ね。問題はこの402人が完全に一致しているか」
「大丈夫だとは思いますよ。こうして結果としても出てきたわけですし。刺客の対戦成績も15勝3敗13分。少なくとも角谷会長の方針が妨害されることはないかと」
「だけど数人離反されたら単独過半数はあっという間におしまいだ。動きは注視してよ」
「了解です」
私の指示に了解です、か。本当にできるとは思っていなかったが、やっと……フォーラムは私に従った
225 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/17(日) 22:05:31.17 ID:KovH2OtNO
だが世の中そうもうまく回らないもので、良いことがあれば悪いこともある。寝不足のせいかあまり食欲もないので眠気覚ましに栄養ドリンクを流し込みながら、昼休みも生徒会長室でここ一週間のちょっと溜まった書類に印鑑を押していた。それを初めて間も無く、かーしまがいきなり飛び込んできた
「会長!」
「なんだかーしま、そんな大声で。一旦落ち着け」
こーいう時、かーしまはまず一度落ち着かせればだいたいまともに話してくれる
「は、はい。申し訳ありません。とりあえずこちらをご覧いただければお分かりになるかと……」
そう言って手持ちの紙を書類を避けて机の上に置いた
「ん?これは……」
226 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/17(日) 22:07:17.66 ID:KovH2OtNO
「これはどういうことだ?」
「どうしてこうなるかねぇ……」
昼休み。今日が月曜日なんで必修選択科目の希望の提出は今日だ。そして彼女はその日の朝、ちゃんと提出してきた
ハッキリ言って西住ちゃんがこの内容を提出するのは想定済みだ。経緯を考えればある意味当然とすら言える。だが問題は彼女にオマケが二人ついてきたことだ
入り口で呼び出したのは西住ちゃんだけだから二人の立ち入りは認めない、と言ったようだが、その制止も聞かずズカズカと踏み入ってきたらしい
名前は五十鈴華と武部沙織。普通科の高校二年生で、西住ちゃんと同じクラスだ。五十鈴という子が黒髪、武部という子は茶髪だ。入ってきて顔を見て思い出したが、私たちが教室に入った時に西住ちゃんの両脇にいたな、そういえば
「すみません……私、戦車道はできません……」
出来る出来ないではない。やってもらわねばならないのだ
「貴様は私たちからの話は聞いていなかったのか?できないわけがないだろう」
「みほはやらないって言ってるのよ!」
「強制するのが生徒会のやり方なのですか!」
ウザいね、この二人。私たちの邪魔をするか
227 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/17(日) 22:11:55.43 ID:KovH2OtNO
「そんなこと言っていいのかな〜。そんなこと言っていると、三人ともこの学校にいられなくなっちゃうよ〜」
間違いない。西住ちゃんがいないということは戦車道は烏合の集だ。優勝なんて夢のまた夢。そしたら学園は廃校だ。三人ともこの学園には通えなくなる
もっとも、その意味でこの三人は捉えていないだろうけど
「脅しですか……」
「脅しではない。会長は常に最善の方法を言っていらっしゃるだけだ」
「ねね、やった方がいいと思うよ。会長もやるならそんなこと言わないからさ。これ以上面倒なことにならないうちに……」
物腰柔らかく小山が加勢する。さて、木刀の後に洗濯バサミだ。キツイがマシに思えてくるだろう?
「やらせること自体が間違いなのよ!」
「そこに生徒会が介入する道理はありません!」
抵抗しているのは周り二人だね。核心部は揺らいでいるな。さて、どうするか。もう一押し何かあればいいな
廃校の事情は……伝えたら尚更やらないね。だからパス。今から風紀委員を呼んで二人を追い出すか
それだね。私の言っていることが勘違いのまま進むようにしようか。彼女らには悪いが、これが私の役割なんでね
取り巻きの対応は二人に任せ、私は机の下のケータイから園ちゃんにブラインドタッチでメールを送る。内容はそのまま生徒会長室の不届き者を追い出せだ
そのメールの送信ボタンに指をかけた
228 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/17(日) 22:15:11.54 ID:KovH2OtNO
その時だった
「あのっ!」
奥のこの問題の中心が、取り巻きの手を両手それぞれで繋ぎながら、久しぶりに声をあげた
何だろうか。結果それでもやらないと言い出すんだろ
そう思っていたし、もう親指に力を入れていた
「私、戦車道、やります!」
だからこの言葉が耳に入った途端、私を含め周りの全員が一瞬呆気にとられた
「ええええっ!」
その中でも反応が早かったのが武部という子である。私もそれでことの進展を理解し、笑顔でうなづいた
こうして、道はできた。やると決まれば話は早い。頼むよと一言と紙の書き直しと前の紙をシュレッダーにかければ全て済むし、普通に返した。そしてついでと取り巻きの二人も希望を戦車道に変えていった。人はいるだけ損はない
229 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/17(日) 22:16:04.88 ID:KovH2OtNO
三人を返して少しして、園ちゃんに続いておかっぱ数人が生徒会長室に突入してきた
「……あれ?」
だがこの部屋にいるのは、干し芋を食べている私だけだ。かーしまも小山もそれぞれの仕事に当たっている
「角谷会長……これはどういうことかしら?」
「いや〜ごめんね。さっきまで不届き者は居たんだけどさ、もうそうなくなっちゃったから返しちゃったんだよね」
「……はぁ」
その通りなのだから致し方ない
「でもここにそのまま来てもらったからには要件が一つあってね。ちょっといいかい?」
「……何かしら」
相手がいなければ連れ出す仕事はない。捕獲用の棒を置いて園ちゃんはこっちに来た
彼女に二枚の紙を手渡す
「二人……ウチの学生ね」
「その二人の背後関係、漁ってくれない?」
「……理由は?」
「……可能性の話だけど、国、文科省とつながっているかもしれない」
自分の学園の生徒を疑う真似だ。だが……疑って何もないなら良し、何かあったら見つけた方が良しだ
「文科省と……廃校を進めようとしているところね」
「そう。彼らからしたら私たちが戦車道で何かしら実績を残したら問題になるだろう?」
「そうね。実績の度合いにもよるけど、本格的に廃校にしようとするなら問題になるでしょうね。実績を出したのに何でだ、と」
「世論が動く。私だって戦車道を誇りだけのために立ち上げたわけじゃない」
「実績の可能性を広げるためね。あれだけ廃校回避というなら、理由はそれしかないわ」
「その実績のためには、彼女が必要だった」
ここで紙をもう一枚
230 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/17(日) 22:16:38.57 ID:KovH2OtNO
undefined
231 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/17(日) 22:17:49.00 ID:KovH2OtNO
ここで紙をもう一枚
「西住みほ……黒森峰からの転校生で、現在普通一科の高二……私立から公立だし、時期も時期とは変な転入生ね」
「私が呼んだんだよ。戦車道の強化のためにね。だけど彼女は戦車道をやりたがらないだろうとは思ってた」
「……あの話の不届き者って彼女らのことかしら?」
「結論を言えばそう。西住ちゃんに加勢して戦車道をやらせないように言って、ついさっきまでここに来てた」
「……その二人と西住ちゃんの個人的な繋がりの線は?」
「クラスが一緒とはいえ、西住ちゃんがその二人と会ってから学校に来る日は何回あった?」
「始業式にレクリエーション、そして金曜日と今日……多く見ても4回ね」
「それだけで来る?」
可能性はある。だがそれがない可能性もまた然り
「……あの二人が西住さんの背中を押してやらせないように仕向けた、と」
「そう見てる。もともとやりたくなかった西住ちゃんはその二人によって一旦は戦車道をやらないと決めた。だけど生徒会としてはそれは困る。だから呼び出して何とか説得したよ。その二人は邪魔ばっかしてきたけど」
「そういうことね……」
「西住ちゃんが戦車道をやらないことでメリットがあるのは誰か。一つは西住流だ」
「西住流……戦車道の流派で、この紙によるとその次期家元が彼女の母、と」
「そう。西住ちゃんの姉が今西住流の後継者だ。西住流がその姉ちゃんの地位を絶対のものにするために西住ちゃんの経験値を削ごうとする。考えられない話じゃない」
「ふむ……探るだけ探ってみるかしら」
「その五十鈴って子は今度は華道の五十鈴流の後継者だ。華道と戦車道。伝統ある流派の家元同士、伝手があってもおかしくない。でも私はこちらの可能性は弱いと思うけどね」
ま、去年の夏の西住ちゃんのやった事とそれに対する西住流と黒森峰の対応を考えればね
232 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/17(日) 22:18:20.76 ID:KovH2OtNO
「それを調べるならその線ね。もう一つは文科省が彼女らを使っていると」
「そう。西住ちゃんに戦車道履修を拒否させて、それをサポートしてウチらに拒否を認めさせる。現にその直前までわざわざ西住ちゃんの手を繋いで来てるわけだしね」
「考えられなくはないわね」
「そして気になるのが、西住ちゃんが履修を決めた後、二人も戦車道履修に変えた事なんだ。どういうことか推測つくかい?」
「……最悪の場合だと、戦車道の授業を荒らす、または試合の本番で味方を混乱させるような事をする。そこら辺が目的の可能性もあると」
「仮に文科省の策ならね」
「人数はいるだけ損はないし、来る人を拒否する表向きの理由が今はないから受け入れたけど、監視と背後は洗っといて」
「わかったわ。でも、もう二度とこんな煩わしい手段は使わないでちょうだい」
「わかってるって」
さて、黒と出るか白と出るか。それは分からない。疑って調べさせるなら、私も私でちょっと声だけかけてみようか
その日の夜、私は辻氏に一本のメールを入れた
『あなたの敵に警戒されたし』
と一言だけだけど。もっとも向こうにとっちゃ余計なお世話かもしれないが
233 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/17(日) 22:19:03.24 ID:KovH2OtNO
今日はここまでです
234 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/24(日) 23:43:22.86 ID:zo0Zh1CuO
戦車道最初の授業。件の奥の奥の倉庫だ。隣の草地は調べてみると昔戦車道の練習場だったらしい。戦車道が廃止されてもこの立地のせいで他のどこも使う気にならなかったらしい。農業科の敷地とも離れてるしね
それにしても、あれだけ丸をでっかくしても履修者はそんなに多くなかった。総員21名。この学園都市の高校生が9000人いるのを思えばかなり少ない
もっとも途中での履修の変更は可能だし、大会で二勝すれば途中からの履修だろうと単位が出るようにしてある。もっともこのことは伝えてないけどね
一応教職員連盟にはそう言ったが、まぁまともに見られるはずがないよねぇ。要するにベスト4狙いだもの。OKはくれたが教師の一部は鼻で笑っていた
だがそれにしても、この倉庫の前にいるのはなんともまとまりのない集団である。一部に至ってはまともに制服を着こなしているのか怪しいし、話を聞く気があるのかすら怪しい人もちらほら
ちなみにバレー部の磯辺ちゃんはウチに直接乗り込んできて、戦車道やるから単位とかの代わりにバレー部復活させてと注文してきたから、だいたいOKを出した
その行動力を気に入ったというのもあるけど、やってくれる数の水増しだね。運動部だから体力もあるだろうし
というか本当に体力使いそうなんだよね、この競技。砲弾は重いやつだと10kgとかあるし、何時間も狭い空間で行動したりするわけだ。精神力と体力はいるよ。だから最近ちょっと密かに鍛え始めてる
さて、またこの南京錠を開けて扉を開くと、前と同じく汚れに汚れたIV号戦車が現れた
235 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/24(日) 23:44:48.08 ID:zo0Zh1CuO
「汚〜い」
「ボロボロ〜」
うーむ、その通りな反応がちらほら湧いてくる。実際山崎さんが触って手を真っ黒にしているしな。だがその中で一人、そのIV号に向けて歩き出したものがいた
「見た目はこれだけど、足回りは問題なし。装備品も揃っているし、計器の類も異常なし」
その子はためらわずに車輌に触れた。呟きながらも視線は本物、なのか?
「これならやれるかも」
「おぉ〜」
西住ちゃんの一言だった。専門家の見る限り見た目より状態は良いようだ。周囲の表情も少し明るくなる
幸先は良し
「しかし、戦車はこれだけか?」
そしたら当然の疑問が
「今はね〜」
「え、じゃあどうするの?これじゃ紅白戦どころかまともに乗って練習もできないんじゃ……」
「探す」
それしかない
「生徒会の資料によると、学園艦には他にも放置された戦車があるとのことだ。現状場所は分からないが、それを発見し、洗車、修復の上で授業に用いる」
「えぇ〜めんどくさい」
「なんでそんなことするの〜」
「まーまー、私らだってこれ見つけてるわけだしさ」
「発見次第私に連絡するように。自動車部を通じて持ち出し、運搬等を行ってもらうからな。それでは全員捜索開始だ。解散!」
236 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/24(日) 23:45:25.59 ID:zo0Zh1CuO
だいたい授業はかーしまに仕切らせている。私はできるだけ戦車道に関しては遠巻きに見るようにしている
理由はいくつかあるが、一つは威圧感を与えないためだ。私の存在はメディアの手伝いもあって、なかなか強引な指導者という位置付けにされている
私個人としてはむしろ人の話を聞きに赴いて妥協することを目指しているのだが、そう思われている以上思いっきり前に出れば履修者は萎縮してしまう。履修者が戦車道に対して活発にならねばこの計画も終わりだ
もう一つは生徒会の本格的な肝いりとの話を避けるためである。それがあると来年以降生徒会と戦車道は切り離せなくなる。生徒会がなくならないなら、戦車道を自然消滅させる計画は上手く進まなくなる。金が必要以上に注ぎ込まれる未来は避けたいね
そして最後は、私の隙を作らないためだ。見るからに手を抜いていれば、そりゃできないだろ、となる。上手くなくても文句は出ない
しかし見るからに真面目にやっててもし私に才能が無ければ、私の隙だ。引き摺り降ろそうとする奴らに丁度いい材料を与えかねん
というわけで私は干し芋片手にこの授業に参加しているというわけだ
237 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/24(日) 23:46:05.59 ID:zo0Zh1CuO
発見の報告は思ったよりポンポンきた。西住ちゃんのところとかバレー部のところとか、授業前に固まってたグループごとに1輌ずつ見つけていた
しかしまぁ問題はここから。山の中の38tとかはそのまま木々の合間から運び出せばいいだけだったのでマシな部類
だが他である。池に入っていたIII号突撃砲は池から大型トラックで引っ張り上げて水抜きして電気系統まるっと錆びついていたから錆抜きから
ガケにあった89式中戦車とかはクレーンで車体ごと持ち上げる必要があった。もー業者を呼ばなきゃどうしようもできない状況だった
挙げ句の果てにウサギ小屋の中にあったM3Leeはウサギを避難させてからウサギ小屋を解体。そして運搬してウサギ小屋を組み直してウサギを戻す一大作業だった
20年くらい前の先輩の必死すぎる隠匿作業のお陰で、その日は我々生徒会の面々も荷物運びに動員されるわ、生徒会室を飛び出してした肉体仕事は深夜日付を超えるまで続くわ、と散々だった挙句、
「今日は中々刺激的な作業をありがとうございます!しかし我々だけではこのような規模だと手が回りきらず、またこうして皆さんにも苦労をかけしてしまうかもしれません」
とナカジマちゃんからススのついた顔で言われた。オモテは柔かだがウラは簡単で
「こんな面倒な仕事を押し付けんなボケ。こんなの流石に何度もできないし、もし次やるなら人増やすなりしろや。あと資金よこせ」
だろう。うん……燃料と車輌整備費ぐらいは出せる……かな?
結局そんな苦労をしたにも関わらず洗車も整備も出来ず、ただ倉庫にオンボロが4輌加わっただけとなった。そして車輌の割り当ては人数の都合上38tとIV号を逆にした以外は発見した集団に車輌を任せることにした。今ならピッタリだが、今後車輌が追加されれば増員も視野に入れないとな
238 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/24(日) 23:46:58.59 ID:zo0Zh1CuO
そして戦車を洗車する日を作って、水着姿の小山に水をぶっかけたり皆が体操着を真っ黒にする中で、私は別の案件を進めなくてはならなかった
学園都市行政の改革に関する条例をかなりのスピードで施行していくことにしたのである
理由としては色々あるが、まずは戦車道の優勝が廃校回避の条件だと公表していないことがある。つまりこのまま戦車道に頼りっぱなしだと、私はスポーツにうつつを抜かして本質的なことは何もしていない奴、となる
その悪評は避けねばならない
そして何より、私がもともといた総合局の仕事が思いっきり減らせたことがある。与党単独過半数はそれだけでも大きなボーナスだ
もっと二人だけっちゃ二人だけなんだけどさ
だから話を進めるのは今を置いて他にない。次がどうなるかどころか、次があるのかすら分からないしね
そして改革の姿勢を見せることで学園の廃校を阻止しようとしているという体裁を取れば、話としては納得してもらえる。それで戦車道の存在をある意味で誤魔化すのだ
4/27。第3回議会にて『被覆科研修及び誘致支援条例』、大洗学園フォーラムと新大洗クラブの賛成により可決。職人連合は反対したが、教職員連盟も支持の意向を示し、3年後の開始を目指して可決された
内容は前と話したのと大きく変わらない。企業の誘致と研修という名の労働、そしてその分の学費の軽減だ。学費の低減及び企業誘致による都市経済の活性化を狙った策だが、今は何も進められない。来年に廃校になるって学園都市に来る企業はないからね
239 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/24(日) 23:48:07.68 ID:zo0Zh1CuO
そしてその最中、他にも話を進めねばならない。一つはどうやら連盟から紹介された教官が派遣されるらしい
『大洗女子学園の戦車道連盟加盟は戦車道隆盛の道において誠に喜ばしいことである。大洗の戦車道の発展が高校戦車道全体の技術向上に繋がることを期待する』
という仰々しい児玉会長のお礼の文章とともに、現役自衛官が教官として派遣されることになった。名前は蝶野亜美、階級は一等陸尉。軍隊には詳しくないからどのくらいの階級かは分からないが、上に佐官と将官がいるんだしそこまででもないのかな?
と思っていた時期がありました。調べたらタダモンじゃないわこの人
なんか高校時代に15輌抜きとか12時間の激闘一騎討ちとかやってるヤバイ人なんだけど。なんでこんな人が戦車道始めたばっかりのウチに来るの?
階級はともかく、戦車道においては一級品の人材だろう。なんで来るのかは知らないけど、貰えるものは貰っておこう。もしかしたら私たちみたいなガチ新参に送るだけの理由があるのかもしれないけど
240 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/24(日) 23:48:38.07 ID:zo0Zh1CuO
あとは外交だ。ウチ単独で国と張り合う以上、いざという時にこちらについてくれるバックグラウンドは欲しいところ
候補は戦車道の強豪4つだけど、黒森峰とサンダースは本拠地が九州だから遠すぎて提携しづらい。学園艦だとはいえこの大海原、そんなに簡単に近づけるものでもないし
プラウダはウチが人民と敵対しているから厳しい。となると、答えは自ずと一つに絞られる
聖グロリアーナ女学院
横浜に母校がある←同じ関東圏であり協力が容易
民主主義←ウチと同じで思想的な隔絶がない
議院内閣制で保守党政権が安定←協約を結べればそうそうひっくり返されない
お嬢様学校と公立校という違いを除けば、関東にいる上で手を結んでおくに越したところはないところだ。もちろん体面と誇りを守ろうとするところも、協約結んでひっくり返されないようにする理由の一つだけどね
そして今の隊長のダージリンとやらは保守党に近いチャーチル会に所属しているから、戦車道から政府系の伝手に広げやすいのも理由の一つだ
かといって外交とはこちらだけが求めて成り立つものでもない。何が与えられるか……練習試合の場所確保とか向こうからしたらすぐできることだし、港湾利用優先の保証だってそもそも関東の港からしたら絶対グロリアーナ優先だ。経済規模的にね
グロリアーナも国の自治権への介入には苦慮しているみたいだし、そこで手を繋ぐ道を探すしかないかなぁ
241 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/24(日) 23:49:18.30 ID:zo0Zh1CuO
undefined
242 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/24(日) 23:49:53.29 ID:zo0Zh1CuO
そんな訳で挨拶を兼ねて校外交流担当局の者を付けて、広報の肩書を持ったかーしまを使者として送った。ちょうど近場に停泊してたしね
正直上手くいくとは考えづらかった。向こうにこちらと手を組む利益が見えなかったからね。国相手にするっていったってウチがいる程度じゃいないも同義。なら何のために?となってしまう
そして試合を組もうにも5月や6月は大会を見据え戦力を図るための練習試合が多く組まれる時期。強豪グロリアーナだったら他との予定も有るだろう。一月前の今からウチらが食い込む余裕なんてあるのか?
ところがどっこいそんな不安とは裏腹に、かーしまはスコーンで腹一杯となった体と共に、練習試合の予定をとりつけてきた。しっかりと5月末にね
なんでも向こうは話を切り出すや笑顔で了承してくださったそうだ。面白い試合になることを期待します、という言葉も添えて。幸いこの時期に他の学園との練習試合もなかったとのこと。おまけに大洗の近くまで来ることすらOKだという
あとは場所の受け入れの確認、日程の最終調整、ルールの詳細を詰めた上で向こうに確認を取るらしい
また理由は分からないが助けられたな、こちらに取って都合良すぎるくらい。西住ちゃんを呼んだのがある意味評価されてんのかもしれないね。そんくらいのことならGI6経由で把握しているだろうし
ま、こちらの利はこちらの利だ。進むっきゃないか。こちらも大忙しになるしね
243 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/24(日) 23:51:14.87 ID:zo0Zh1CuO
そんなこんなで私は竹谷氏と連絡を取り、住民の誘導と配置、屋台企画の範囲と出店業者の安全確認と身元調査、パブリックビューイングの会場整備及び警備のための人員派遣などを詰めねばならない。それに生徒会とか風紀委員とかを山ほど動員する必要も出てきた
結果としてパブリックビューイングの場所は、試合会場予定が西部の台地と中心街としたため、市街地から多少離れた北側の大洗公園に設定した。町を言葉の意味でも物理的意味でも巻き込む一大イベント。こんなのを練習試合のたびに組まされるとは……
戦車道をやるには金も勿論だが行政処理能力も必要になるな。生徒会全面協力させてよかった……それなきゃ無理だこんなの
会場側からしたら連盟からの補助金とかも含め、このイベントそのものもやりたい理由の一つになるのだろう。早速町のホームページと県のホームページのトップ画面で宣伝され始めた
……いつか学園艦巻き込もうかな
あと園ちゃんに依頼していた調査は、全く繋がりの見込みなし、の一言だけ書かれた紙を渡されて終わりになった。実際数度の練習の中であの2人妨害してくることはおろかマジメにやってるし、西住ちゃんのサポートを良くしている。尾行などの結果を見ても、単なる友人関係だったようだ
いやー、よかったよかった。やらなきゃいけないとはわかっていても、ウチの生徒を長い間疑いたくはないからね
244 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/24(日) 23:52:10.48 ID:zo0Zh1CuO
ここまでです
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