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【ガルパン】鼎
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224 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/17(日) 22:04:13.57 ID:KovH2OtNO
翌日早朝、ついに全ての確認作業が終了した。各クラス、各選挙区での各候補の得票数が決定され、選挙管理委員会より正式な当選者、落選者の発表がなされた
無所属 123
人民による大洗 51
職人連合組合 46
学生自治権党 29
新大洗クラブ 149
そして
大洗学園フォーラム 402
思ったよりギリギリであったが、大洗学園フォーラム、単独過半数獲得である
「やりましたね、角谷会長」
一晩をここの教室で過ごしていて、片付けを急ピッチで進める中、白石ちゃんが話を向けてきた
「一応、ね。問題はこの402人が完全に一致しているか」
「大丈夫だとは思いますよ。こうして結果としても出てきたわけですし。刺客の対戦成績も15勝3敗13分。少なくとも角谷会長の方針が妨害されることはないかと」
「だけど数人離反されたら単独過半数はあっという間におしまいだ。動きは注視してよ」
「了解です」
私の指示に了解です、か。本当にできるとは思っていなかったが、やっと……フォーラムは私に従った
225 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/17(日) 22:05:31.17 ID:KovH2OtNO
だが世の中そうもうまく回らないもので、良いことがあれば悪いこともある。寝不足のせいかあまり食欲もないので眠気覚ましに栄養ドリンクを流し込みながら、昼休みも生徒会長室でここ一週間のちょっと溜まった書類に印鑑を押していた。それを初めて間も無く、かーしまがいきなり飛び込んできた
「会長!」
「なんだかーしま、そんな大声で。一旦落ち着け」
こーいう時、かーしまはまず一度落ち着かせればだいたいまともに話してくれる
「は、はい。申し訳ありません。とりあえずこちらをご覧いただければお分かりになるかと……」
そう言って手持ちの紙を書類を避けて机の上に置いた
「ん?これは……」
226 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/17(日) 22:07:17.66 ID:KovH2OtNO
「これはどういうことだ?」
「どうしてこうなるかねぇ……」
昼休み。今日が月曜日なんで必修選択科目の希望の提出は今日だ。そして彼女はその日の朝、ちゃんと提出してきた
ハッキリ言って西住ちゃんがこの内容を提出するのは想定済みだ。経緯を考えればある意味当然とすら言える。だが問題は彼女にオマケが二人ついてきたことだ
入り口で呼び出したのは西住ちゃんだけだから二人の立ち入りは認めない、と言ったようだが、その制止も聞かずズカズカと踏み入ってきたらしい
名前は五十鈴華と武部沙織。普通科の高校二年生で、西住ちゃんと同じクラスだ。五十鈴という子が黒髪、武部という子は茶髪だ。入ってきて顔を見て思い出したが、私たちが教室に入った時に西住ちゃんの両脇にいたな、そういえば
「すみません……私、戦車道はできません……」
出来る出来ないではない。やってもらわねばならないのだ
「貴様は私たちからの話は聞いていなかったのか?できないわけがないだろう」
「みほはやらないって言ってるのよ!」
「強制するのが生徒会のやり方なのですか!」
ウザいね、この二人。私たちの邪魔をするか
227 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/17(日) 22:11:55.43 ID:KovH2OtNO
「そんなこと言っていいのかな〜。そんなこと言っていると、三人ともこの学校にいられなくなっちゃうよ〜」
間違いない。西住ちゃんがいないということは戦車道は烏合の集だ。優勝なんて夢のまた夢。そしたら学園は廃校だ。三人ともこの学園には通えなくなる
もっとも、その意味でこの三人は捉えていないだろうけど
「脅しですか……」
「脅しではない。会長は常に最善の方法を言っていらっしゃるだけだ」
「ねね、やった方がいいと思うよ。会長もやるならそんなこと言わないからさ。これ以上面倒なことにならないうちに……」
物腰柔らかく小山が加勢する。さて、木刀の後に洗濯バサミだ。キツイがマシに思えてくるだろう?
「やらせること自体が間違いなのよ!」
「そこに生徒会が介入する道理はありません!」
抵抗しているのは周り二人だね。核心部は揺らいでいるな。さて、どうするか。もう一押し何かあればいいな
廃校の事情は……伝えたら尚更やらないね。だからパス。今から風紀委員を呼んで二人を追い出すか
それだね。私の言っていることが勘違いのまま進むようにしようか。彼女らには悪いが、これが私の役割なんでね
取り巻きの対応は二人に任せ、私は机の下のケータイから園ちゃんにブラインドタッチでメールを送る。内容はそのまま生徒会長室の不届き者を追い出せだ
そのメールの送信ボタンに指をかけた
228 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/17(日) 22:15:11.54 ID:KovH2OtNO
その時だった
「あのっ!」
奥のこの問題の中心が、取り巻きの手を両手それぞれで繋ぎながら、久しぶりに声をあげた
何だろうか。結果それでもやらないと言い出すんだろ
そう思っていたし、もう親指に力を入れていた
「私、戦車道、やります!」
だからこの言葉が耳に入った途端、私を含め周りの全員が一瞬呆気にとられた
「ええええっ!」
その中でも反応が早かったのが武部という子である。私もそれでことの進展を理解し、笑顔でうなづいた
こうして、道はできた。やると決まれば話は早い。頼むよと一言と紙の書き直しと前の紙をシュレッダーにかければ全て済むし、普通に返した。そしてついでと取り巻きの二人も希望を戦車道に変えていった。人はいるだけ損はない
229 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/17(日) 22:16:04.88 ID:KovH2OtNO
三人を返して少しして、園ちゃんに続いておかっぱ数人が生徒会長室に突入してきた
「……あれ?」
だがこの部屋にいるのは、干し芋を食べている私だけだ。かーしまも小山もそれぞれの仕事に当たっている
「角谷会長……これはどういうことかしら?」
「いや〜ごめんね。さっきまで不届き者は居たんだけどさ、もうそうなくなっちゃったから返しちゃったんだよね」
「……はぁ」
その通りなのだから致し方ない
「でもここにそのまま来てもらったからには要件が一つあってね。ちょっといいかい?」
「……何かしら」
相手がいなければ連れ出す仕事はない。捕獲用の棒を置いて園ちゃんはこっちに来た
彼女に二枚の紙を手渡す
「二人……ウチの学生ね」
「その二人の背後関係、漁ってくれない?」
「……理由は?」
「……可能性の話だけど、国、文科省とつながっているかもしれない」
自分の学園の生徒を疑う真似だ。だが……疑って何もないなら良し、何かあったら見つけた方が良しだ
「文科省と……廃校を進めようとしているところね」
「そう。彼らからしたら私たちが戦車道で何かしら実績を残したら問題になるだろう?」
「そうね。実績の度合いにもよるけど、本格的に廃校にしようとするなら問題になるでしょうね。実績を出したのに何でだ、と」
「世論が動く。私だって戦車道を誇りだけのために立ち上げたわけじゃない」
「実績の可能性を広げるためね。あれだけ廃校回避というなら、理由はそれしかないわ」
「その実績のためには、彼女が必要だった」
ここで紙をもう一枚
230 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/17(日) 22:16:38.57 ID:KovH2OtNO
undefined
231 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/17(日) 22:17:49.00 ID:KovH2OtNO
ここで紙をもう一枚
「西住みほ……黒森峰からの転校生で、現在普通一科の高二……私立から公立だし、時期も時期とは変な転入生ね」
「私が呼んだんだよ。戦車道の強化のためにね。だけど彼女は戦車道をやりたがらないだろうとは思ってた」
「……あの話の不届き者って彼女らのことかしら?」
「結論を言えばそう。西住ちゃんに加勢して戦車道をやらせないように言って、ついさっきまでここに来てた」
「……その二人と西住ちゃんの個人的な繋がりの線は?」
「クラスが一緒とはいえ、西住ちゃんがその二人と会ってから学校に来る日は何回あった?」
「始業式にレクリエーション、そして金曜日と今日……多く見ても4回ね」
「それだけで来る?」
可能性はある。だがそれがない可能性もまた然り
「……あの二人が西住さんの背中を押してやらせないように仕向けた、と」
「そう見てる。もともとやりたくなかった西住ちゃんはその二人によって一旦は戦車道をやらないと決めた。だけど生徒会としてはそれは困る。だから呼び出して何とか説得したよ。その二人は邪魔ばっかしてきたけど」
「そういうことね……」
「西住ちゃんが戦車道をやらないことでメリットがあるのは誰か。一つは西住流だ」
「西住流……戦車道の流派で、この紙によるとその次期家元が彼女の母、と」
「そう。西住ちゃんの姉が今西住流の後継者だ。西住流がその姉ちゃんの地位を絶対のものにするために西住ちゃんの経験値を削ごうとする。考えられない話じゃない」
「ふむ……探るだけ探ってみるかしら」
「その五十鈴って子は今度は華道の五十鈴流の後継者だ。華道と戦車道。伝統ある流派の家元同士、伝手があってもおかしくない。でも私はこちらの可能性は弱いと思うけどね」
ま、去年の夏の西住ちゃんのやった事とそれに対する西住流と黒森峰の対応を考えればね
232 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/17(日) 22:18:20.76 ID:KovH2OtNO
「それを調べるならその線ね。もう一つは文科省が彼女らを使っていると」
「そう。西住ちゃんに戦車道履修を拒否させて、それをサポートしてウチらに拒否を認めさせる。現にその直前までわざわざ西住ちゃんの手を繋いで来てるわけだしね」
「考えられなくはないわね」
「そして気になるのが、西住ちゃんが履修を決めた後、二人も戦車道履修に変えた事なんだ。どういうことか推測つくかい?」
「……最悪の場合だと、戦車道の授業を荒らす、または試合の本番で味方を混乱させるような事をする。そこら辺が目的の可能性もあると」
「仮に文科省の策ならね」
「人数はいるだけ損はないし、来る人を拒否する表向きの理由が今はないから受け入れたけど、監視と背後は洗っといて」
「わかったわ。でも、もう二度とこんな煩わしい手段は使わないでちょうだい」
「わかってるって」
さて、黒と出るか白と出るか。それは分からない。疑って調べさせるなら、私も私でちょっと声だけかけてみようか
その日の夜、私は辻氏に一本のメールを入れた
『あなたの敵に警戒されたし』
と一言だけだけど。もっとも向こうにとっちゃ余計なお世話かもしれないが
233 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/17(日) 22:19:03.24 ID:KovH2OtNO
今日はここまでです
234 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/24(日) 23:43:22.86 ID:zo0Zh1CuO
戦車道最初の授業。件の奥の奥の倉庫だ。隣の草地は調べてみると昔戦車道の練習場だったらしい。戦車道が廃止されてもこの立地のせいで他のどこも使う気にならなかったらしい。農業科の敷地とも離れてるしね
それにしても、あれだけ丸をでっかくしても履修者はそんなに多くなかった。総員21名。この学園都市の高校生が9000人いるのを思えばかなり少ない
もっとも途中での履修の変更は可能だし、大会で二勝すれば途中からの履修だろうと単位が出るようにしてある。もっともこのことは伝えてないけどね
一応教職員連盟にはそう言ったが、まぁまともに見られるはずがないよねぇ。要するにベスト4狙いだもの。OKはくれたが教師の一部は鼻で笑っていた
だがそれにしても、この倉庫の前にいるのはなんともまとまりのない集団である。一部に至ってはまともに制服を着こなしているのか怪しいし、話を聞く気があるのかすら怪しい人もちらほら
ちなみにバレー部の磯辺ちゃんはウチに直接乗り込んできて、戦車道やるから単位とかの代わりにバレー部復活させてと注文してきたから、だいたいOKを出した
その行動力を気に入ったというのもあるけど、やってくれる数の水増しだね。運動部だから体力もあるだろうし
というか本当に体力使いそうなんだよね、この競技。砲弾は重いやつだと10kgとかあるし、何時間も狭い空間で行動したりするわけだ。精神力と体力はいるよ。だから最近ちょっと密かに鍛え始めてる
さて、またこの南京錠を開けて扉を開くと、前と同じく汚れに汚れたIV号戦車が現れた
235 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/24(日) 23:44:48.08 ID:zo0Zh1CuO
「汚〜い」
「ボロボロ〜」
うーむ、その通りな反応がちらほら湧いてくる。実際山崎さんが触って手を真っ黒にしているしな。だがその中で一人、そのIV号に向けて歩き出したものがいた
「見た目はこれだけど、足回りは問題なし。装備品も揃っているし、計器の類も異常なし」
その子はためらわずに車輌に触れた。呟きながらも視線は本物、なのか?
「これならやれるかも」
「おぉ〜」
西住ちゃんの一言だった。専門家の見る限り見た目より状態は良いようだ。周囲の表情も少し明るくなる
幸先は良し
「しかし、戦車はこれだけか?」
そしたら当然の疑問が
「今はね〜」
「え、じゃあどうするの?これじゃ紅白戦どころかまともに乗って練習もできないんじゃ……」
「探す」
それしかない
「生徒会の資料によると、学園艦には他にも放置された戦車があるとのことだ。現状場所は分からないが、それを発見し、洗車、修復の上で授業に用いる」
「えぇ〜めんどくさい」
「なんでそんなことするの〜」
「まーまー、私らだってこれ見つけてるわけだしさ」
「発見次第私に連絡するように。自動車部を通じて持ち出し、運搬等を行ってもらうからな。それでは全員捜索開始だ。解散!」
236 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/24(日) 23:45:25.59 ID:zo0Zh1CuO
だいたい授業はかーしまに仕切らせている。私はできるだけ戦車道に関しては遠巻きに見るようにしている
理由はいくつかあるが、一つは威圧感を与えないためだ。私の存在はメディアの手伝いもあって、なかなか強引な指導者という位置付けにされている
私個人としてはむしろ人の話を聞きに赴いて妥協することを目指しているのだが、そう思われている以上思いっきり前に出れば履修者は萎縮してしまう。履修者が戦車道に対して活発にならねばこの計画も終わりだ
もう一つは生徒会の本格的な肝いりとの話を避けるためである。それがあると来年以降生徒会と戦車道は切り離せなくなる。生徒会がなくならないなら、戦車道を自然消滅させる計画は上手く進まなくなる。金が必要以上に注ぎ込まれる未来は避けたいね
そして最後は、私の隙を作らないためだ。見るからに手を抜いていれば、そりゃできないだろ、となる。上手くなくても文句は出ない
しかし見るからに真面目にやっててもし私に才能が無ければ、私の隙だ。引き摺り降ろそうとする奴らに丁度いい材料を与えかねん
というわけで私は干し芋片手にこの授業に参加しているというわけだ
237 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/24(日) 23:46:05.59 ID:zo0Zh1CuO
発見の報告は思ったよりポンポンきた。西住ちゃんのところとかバレー部のところとか、授業前に固まってたグループごとに1輌ずつ見つけていた
しかしまぁ問題はここから。山の中の38tとかはそのまま木々の合間から運び出せばいいだけだったのでマシな部類
だが他である。池に入っていたIII号突撃砲は池から大型トラックで引っ張り上げて水抜きして電気系統まるっと錆びついていたから錆抜きから
ガケにあった89式中戦車とかはクレーンで車体ごと持ち上げる必要があった。もー業者を呼ばなきゃどうしようもできない状況だった
挙げ句の果てにウサギ小屋の中にあったM3Leeはウサギを避難させてからウサギ小屋を解体。そして運搬してウサギ小屋を組み直してウサギを戻す一大作業だった
20年くらい前の先輩の必死すぎる隠匿作業のお陰で、その日は我々生徒会の面々も荷物運びに動員されるわ、生徒会室を飛び出してした肉体仕事は深夜日付を超えるまで続くわ、と散々だった挙句、
「今日は中々刺激的な作業をありがとうございます!しかし我々だけではこのような規模だと手が回りきらず、またこうして皆さんにも苦労をかけしてしまうかもしれません」
とナカジマちゃんからススのついた顔で言われた。オモテは柔かだがウラは簡単で
「こんな面倒な仕事を押し付けんなボケ。こんなの流石に何度もできないし、もし次やるなら人増やすなりしろや。あと資金よこせ」
だろう。うん……燃料と車輌整備費ぐらいは出せる……かな?
結局そんな苦労をしたにも関わらず洗車も整備も出来ず、ただ倉庫にオンボロが4輌加わっただけとなった。そして車輌の割り当ては人数の都合上38tとIV号を逆にした以外は発見した集団に車輌を任せることにした。今ならピッタリだが、今後車輌が追加されれば増員も視野に入れないとな
238 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/24(日) 23:46:58.59 ID:zo0Zh1CuO
そして戦車を洗車する日を作って、水着姿の小山に水をぶっかけたり皆が体操着を真っ黒にする中で、私は別の案件を進めなくてはならなかった
学園都市行政の改革に関する条例をかなりのスピードで施行していくことにしたのである
理由としては色々あるが、まずは戦車道の優勝が廃校回避の条件だと公表していないことがある。つまりこのまま戦車道に頼りっぱなしだと、私はスポーツにうつつを抜かして本質的なことは何もしていない奴、となる
その悪評は避けねばならない
そして何より、私がもともといた総合局の仕事が思いっきり減らせたことがある。与党単独過半数はそれだけでも大きなボーナスだ
もっと二人だけっちゃ二人だけなんだけどさ
だから話を進めるのは今を置いて他にない。次がどうなるかどころか、次があるのかすら分からないしね
そして改革の姿勢を見せることで学園の廃校を阻止しようとしているという体裁を取れば、話としては納得してもらえる。それで戦車道の存在をある意味で誤魔化すのだ
4/27。第3回議会にて『被覆科研修及び誘致支援条例』、大洗学園フォーラムと新大洗クラブの賛成により可決。職人連合は反対したが、教職員連盟も支持の意向を示し、3年後の開始を目指して可決された
内容は前と話したのと大きく変わらない。企業の誘致と研修という名の労働、そしてその分の学費の軽減だ。学費の低減及び企業誘致による都市経済の活性化を狙った策だが、今は何も進められない。来年に廃校になるって学園都市に来る企業はないからね
239 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/24(日) 23:48:07.68 ID:zo0Zh1CuO
そしてその最中、他にも話を進めねばならない。一つはどうやら連盟から紹介された教官が派遣されるらしい
『大洗女子学園の戦車道連盟加盟は戦車道隆盛の道において誠に喜ばしいことである。大洗の戦車道の発展が高校戦車道全体の技術向上に繋がることを期待する』
という仰々しい児玉会長のお礼の文章とともに、現役自衛官が教官として派遣されることになった。名前は蝶野亜美、階級は一等陸尉。軍隊には詳しくないからどのくらいの階級かは分からないが、上に佐官と将官がいるんだしそこまででもないのかな?
と思っていた時期がありました。調べたらタダモンじゃないわこの人
なんか高校時代に15輌抜きとか12時間の激闘一騎討ちとかやってるヤバイ人なんだけど。なんでこんな人が戦車道始めたばっかりのウチに来るの?
階級はともかく、戦車道においては一級品の人材だろう。なんで来るのかは知らないけど、貰えるものは貰っておこう。もしかしたら私たちみたいなガチ新参に送るだけの理由があるのかもしれないけど
240 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/24(日) 23:48:38.07 ID:zo0Zh1CuO
あとは外交だ。ウチ単独で国と張り合う以上、いざという時にこちらについてくれるバックグラウンドは欲しいところ
候補は戦車道の強豪4つだけど、黒森峰とサンダースは本拠地が九州だから遠すぎて提携しづらい。学園艦だとはいえこの大海原、そんなに簡単に近づけるものでもないし
プラウダはウチが人民と敵対しているから厳しい。となると、答えは自ずと一つに絞られる
聖グロリアーナ女学院
横浜に母校がある←同じ関東圏であり協力が容易
民主主義←ウチと同じで思想的な隔絶がない
議院内閣制で保守党政権が安定←協約を結べればそうそうひっくり返されない
お嬢様学校と公立校という違いを除けば、関東にいる上で手を結んでおくに越したところはないところだ。もちろん体面と誇りを守ろうとするところも、協約結んでひっくり返されないようにする理由の一つだけどね
そして今の隊長のダージリンとやらは保守党に近いチャーチル会に所属しているから、戦車道から政府系の伝手に広げやすいのも理由の一つだ
かといって外交とはこちらだけが求めて成り立つものでもない。何が与えられるか……練習試合の場所確保とか向こうからしたらすぐできることだし、港湾利用優先の保証だってそもそも関東の港からしたら絶対グロリアーナ優先だ。経済規模的にね
グロリアーナも国の自治権への介入には苦慮しているみたいだし、そこで手を繋ぐ道を探すしかないかなぁ
241 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/24(日) 23:49:18.30 ID:zo0Zh1CuO
undefined
242 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/24(日) 23:49:53.29 ID:zo0Zh1CuO
そんな訳で挨拶を兼ねて校外交流担当局の者を付けて、広報の肩書を持ったかーしまを使者として送った。ちょうど近場に停泊してたしね
正直上手くいくとは考えづらかった。向こうにこちらと手を組む利益が見えなかったからね。国相手にするっていったってウチがいる程度じゃいないも同義。なら何のために?となってしまう
そして試合を組もうにも5月や6月は大会を見据え戦力を図るための練習試合が多く組まれる時期。強豪グロリアーナだったら他との予定も有るだろう。一月前の今からウチらが食い込む余裕なんてあるのか?
ところがどっこいそんな不安とは裏腹に、かーしまはスコーンで腹一杯となった体と共に、練習試合の予定をとりつけてきた。しっかりと5月末にね
なんでも向こうは話を切り出すや笑顔で了承してくださったそうだ。面白い試合になることを期待します、という言葉も添えて。幸いこの時期に他の学園との練習試合もなかったとのこと。おまけに大洗の近くまで来ることすらOKだという
あとは場所の受け入れの確認、日程の最終調整、ルールの詳細を詰めた上で向こうに確認を取るらしい
また理由は分からないが助けられたな、こちらに取って都合良すぎるくらい。西住ちゃんを呼んだのがある意味評価されてんのかもしれないね。そんくらいのことならGI6経由で把握しているだろうし
ま、こちらの利はこちらの利だ。進むっきゃないか。こちらも大忙しになるしね
243 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/24(日) 23:51:14.87 ID:zo0Zh1CuO
そんなこんなで私は竹谷氏と連絡を取り、住民の誘導と配置、屋台企画の範囲と出店業者の安全確認と身元調査、パブリックビューイングの会場整備及び警備のための人員派遣などを詰めねばならない。それに生徒会とか風紀委員とかを山ほど動員する必要も出てきた
結果としてパブリックビューイングの場所は、試合会場予定が西部の台地と中心街としたため、市街地から多少離れた北側の大洗公園に設定した。町を言葉の意味でも物理的意味でも巻き込む一大イベント。こんなのを練習試合のたびに組まされるとは……
戦車道をやるには金も勿論だが行政処理能力も必要になるな。生徒会全面協力させてよかった……それなきゃ無理だこんなの
会場側からしたら連盟からの補助金とかも含め、このイベントそのものもやりたい理由の一つになるのだろう。早速町のホームページと県のホームページのトップ画面で宣伝され始めた
……いつか学園艦巻き込もうかな
あと園ちゃんに依頼していた調査は、全く繋がりの見込みなし、の一言だけ書かれた紙を渡されて終わりになった。実際数度の練習の中であの2人妨害してくることはおろかマジメにやってるし、西住ちゃんのサポートを良くしている。尾行などの結果を見ても、単なる友人関係だったようだ
いやー、よかったよかった。やらなきゃいけないとはわかっていても、ウチの生徒を長い間疑いたくはないからね
244 :
◆ujHylXatJU
[saga]:2019/11/24(日) 23:52:10.48 ID:zo0Zh1CuO
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