元勇者「役目も終えて暇だから孤児院開いて安価でグダグダ過ごすぞ」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/29(月) 12:13:57.53 ID:yp8ANoUJO
これまでのあらすじ


百年にも渡る人類と魔族の戦争は、一人の勇者の活躍によって終結した!

魔王は死亡し、魔族が支配していた土地を人類は取り戻した。

しかし!人類が勝利したことによって、改めて人類の愚かしさが白日の下に晒されることになったのだ!

護り続けてきた者が、今まで殺めてきた者よりも醜悪だと知った時、勇者は絶望した。

そして、悪意の凝縮体である王族たちを、勇者は殺めてしまった!

王族虐殺事件の真相は闇の中に消え、勇者は一人寂しく暮らしていた。

暇すぎてしょうがなかった勇者は街の求人広告を見て、思いついたのだ!

「そうだ、孤児院を開こう」

これは、そんなやべーやつのぐうたら孤児院経営物語である。


☆ルール

んなもんねーよ!好きに生きりゃいいんだよ上等だろ。

↓1、2に孤児の面倒を見てくれるシスター枠
↓3〜5に迎え入れる孤児枠

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1556507637
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/29(月) 12:22:39.47 ID:SNo3vJpWO
魔王の孫娘
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/29(月) 12:24:28.52 ID:WpIgXycX0
コミュ障で常にオドオドしている娘
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/29(月) 12:25:18.83 ID:MmNVrLbDO
内気でいつも本を読んでいる大人しい子
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/29(月) 12:27:26.12 ID:uy8QhN2R0
炎の四天王と氷の四天王の子供
能力を制御できない
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/29(月) 12:36:15.18 ID:P4llbClv0
孤児に姿を変えた神
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/29(月) 12:40:06.14 ID:yp8ANoUJO
書き方が悪かった気がする。この募集ではレス毎にキャラを募集する感じです。

主人公は名無しで行きますが、それ以外はそうは問屋が卸してくれませんのでお名前を頂きたく。
レス主が名前を決めてください。しばらく待って来なかったら、その時は安価で決めます。
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/29(月) 12:49:47.35 ID:WpIgXycX0
アルセナ
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/29(月) 13:01:24.32 ID:P4llbClv0
>>6
デウス
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/29(月) 13:11:03.72 ID:MmNVrLbDO
>>4
ミラ
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/29(月) 13:19:26.33 ID:X0A9hMjuo
アルト
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/29(月) 13:37:36.10 ID:P4llbClv0
>>6
やっぱテオで
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/29(月) 13:38:13.70 ID:jgiAePsJO
最終的に魔王(カオス)も王族(ロウ)も皆殺し……
つまりニュートラル勇者か
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/29(月) 13:46:38.99 ID:SNo3vJpWO
>>2
アルファウス
アルでいいアル
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/29(月) 14:34:29.72 ID:yp8ANoUJO
シスター枠
魔王の孫娘…アルファウス
コミュ障オドオド娘…アルセナ

孤児枠
内気本好き女の子…ミラ
炎と氷の四天王の子供…???
孤児に化けた神(男)…テオ

ざっとまとめるとこんな感じ。>>11はID違うので除外。
以上を踏まえてもう一度名前募集。
四天王の子供の名前を↓1に。決まったら書いていきます。
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/29(月) 14:40:31.83 ID:jgiAePsJO
安価取ったのおれじゃないけどそれでいいなら
ローア
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/29(月) 15:32:22.55 ID:yp8ANoUJO
勇者は掲示板にチラシを貼り付け、孤児院として利用する教会に向かう。

とは言っても、某瞬間移動魔法を唱えるだけで済むのだが。魔法ってホント便利。

自宅は更地にし、態々街から離れた場所に建っている教会を自費購入した。余計な干渉を受けるわけにはいかないのだ。

「サイズは合ってるようだな。いい仕事をしてくれた」

孤児院だが、一応教会も兼任している形であるため、牧師服の着用は義務だ。立場上、神父でもあるし。

袖を通し、勇者は満足そうに頷く。よもや、嘗て世話になった神父に自分がなろうとは。

何より、満足したのはそのカッコよさだ。軽鎧も悪くはなかったが、ただそこにいるだけで様になる牧師服には負ける。

「近くの街全部に貼ってきたから…。明後日には結果が分かるだろ」

大欠伸をし、勇者はベッドに身体を預ける。仮初めではあるが、平和な世界。

その尊さをぼんやりと感じながら、眠りについた。
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/29(月) 16:20:23.13 ID:yp8ANoUJO
翌日。早朝だというのに、乱暴に玄関を蹴る音が聴こえてくる。

ここは勇者の家なるぞ。無礼を働くとはいったい何者の仕業だ。

寝惚け眼を擦りながら扉を開ける。そこにいた人物に、勇者は驚愕した!

「ふっふん。来てやったぞ、勇者!」

「…お嬢様。流石に無礼だと思います」

「む。ローアの顔の方が無礼だ!」

嘘だと信じたかったが、そこにいたのは魔族だった。見間違えるはずもない。

一人は魔王に連なる血筋の者で、もう一人は決戦時に殺めた四天王の面影を残している。恐らく子孫だろう。

何故、ここに。もしや、敵討ちに来たのだろうか。虚空から片手剣を取り出し、勇者は構えた。

「ストーップ!妾は戦いに来たのではない!お主の手伝いに来たのだ!」

「はい〜!?敵対関係の人間を助けるなんておかしくないですか〜!?っていうか助けるってなんですか〜!?」

「孤児院を経営するのだろう!?そのお手伝いに決まってるではないか!」

「…オーケー。一旦落ち着こう。茶を出すから入ってくれ」

「焦っていたのはお主だ馬鹿者」

年上に向かって馬鹿とはなんだ馬鹿とは。

「お主より長生きしているが」

なん………だと………?
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/29(月) 18:58:13.46 ID:yp8ANoUJO
安物の紅茶を淹れ、来客たちに振る舞う。苦情は一切受け付けませんので悪しからず。

「…しかし、哀れなものよな。世界を救った英雄が、こんな辺鄙な場所で孤児院を設立するなど」

「はっ…。小馬鹿にしに来たんなら、お引き取り願うが?」

「そのつもりはない。手伝いに来た、と言っただろう。務めを果たすまでは帰れんさ」

「魔王様の指示ですから」

あのアマ、生きてやがったのか。首を落としてバラバラにしたのに。

「お祖母様の命とあらば、妾も断れん故な」

「…まぁ、戦争は終わったんだ。魔族がどうとか、どうでもいいや」

「そこの…名前なんだっけ。四天王の隠し子的なやつは何のためにここに?」

「…私はローアです。能力の制御が出来ないので、勇者様のご教授を受けに参りました」

「…というのは建前でな。ローアも孤独な身なのは分かっているだろう?それはあまりにも可哀想でな」

「あー…。なるほど」

もしかしたら、寝首を掻かれてお陀仏になるかもしれん。
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/29(月) 23:41:51.51 ID:8mIdEek80
「お嬢様、冗談はお止めになってください」

「冗談だが、冗談ではない。力の制御は習得してもらうつもりではあるが、友を作ってもらうつもりでもある」

「…私には必要ありません。お嬢様さえいれば、それで」

「…というやつだ。つまらん女だが、仲良くしてやってくれよ。勇者よ」

「んー。俺は別にいいが、こいつがどうか」

「分別は弁えています。お気になさらず」

良く出来た子だと感心しながら、紅茶を飲み干す。砂糖が無いとそこまで美味くないな。

「…おぉっと。自己紹介がまだだったな。妾はアルファウス。気軽にアルちゃんと呼んでくれ」

「…ちゃん?さんの間違いだろ年上」

「ふっふっふ…。魔族の中ではまだ幼子よ!」

「さいですか。じゃあ、よろしく?アルちゃん」

「…おぉう。中々良い響きだな」

ニヘラと破顔するアルファウス。何だよ…結構可愛いじゃねぇか…。

「そういえば、だ。お主が勇者であること、他人に知られるわけにはいかないのだろう?」

「王族虐殺の件…妾たちにもしっかりと伝わっておる。事情はあれど、とんでもないことをしでかしたものだ」

「ふん…。他の国でも同じ事をやっているから意味が無いのは、解ってるさ」

「それでも、俺はそうするって決めたんだ。後悔はしてねぇから、口を出さないでくれ」

「ふっふん。妾はお主の行為を良いと思ったのだぞ。自業自得というやつだ。ざまあみろ王族共。ハハハハハ!」

会話になっていない気がするが、まあいいか。
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/29(月) 23:57:24.31 ID:8mIdEek80
夕方。適当に料理を用意して、酒を呷る。未成年のくせに飲むな?喧しいわ。

「妾にも一杯頼む。安物であろうと、酒は酒だ」

「ほい」

「………」

「おえっ…」

少し口を付けたと思ったら、蒼ざめた表情でそれを吐き捨てた。勿体無い。

「これ…酢になってるぞ!?」

「酸っぱいくらいで何言ってんだ。飲めたらそれでいいじゃんか」

「阿呆…。こんな不味いものを涼しい顔で良く飲めるな?こんなものを飲んだら、骨がふやけてしまう」

「酔っぱらえたらそれでいいんだよ。味なんか気にしない」

「アルコールが入っていないのに酔えるわけがない…」

「あるこーる?」

「…知らんのか」

「だって俺、学校とか通ってないし」

魔王討伐の旅に出たのが八歳の頃だ。子供だ何だと馬鹿にされたが、無視して戦い続けた。

結局、十年掛けて漸く目的を果たすことが出来た。その代償も大きかったが、今更気にしたところで喪ったものは返って来ないのだ。

しょうがなかったと、今では笑い話にしている。こんな歳で初等教育を受けるわけにもいかないし。

「…仕方ない。妾が教授してやろう」

「お前、結構お人好しだよな」

「誉め言葉として受け取っておこう。…して、妾に合う修道服は無いのか?」

「チンチクリンに合う服なんてあるわけないだろ」

「…今度、買い物に出かけるとするか」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/30(火) 00:41:42.73 ID:JkkU6jQc0
そしてまた翌日。入所する人が決定する日が来た。誰も来ないなんてことは無いだろう。たぶん。

「待ってる間、トランプでもするか。ほれ、引け」

「…はずれですね」

「…あっ!?ババだとぉ!?」

一時間経過。

「まだ昼になってないし、これから来るだろ」

「スイーツは無いのか?」

「あるわけないだろ」

四時間経過。

「…来ませんね」

「まあ、胡散臭い男が開く孤児院など、あからさまにヤバいからな」

「…俺、そんな胡散臭い?」

「あのチラシを見る限りは」

八時間経過。

「…もう夕方なんですけど!?」

「御愁傷様です」

「食事の支度といこう。最悪、この三人で暮らしていくしかないな」

アルファウスが席を立つと同時に、扉がノックされる。蹴飛ばされないということは、マトモな人間がいるということだ。

脱兎の如く勇者は扉の前まで駆け、ゆっくりと開いた。

「はいいらっしゃい!入所する人たちですね?」

営業スマイルを浮かべる勇者。こういうのは慣れたものである。イメージ戦略が重要な時もあった。補給とか。

三人いた内の二人が頷く。一人は本で顔を隠した少女で、もう一人は自信たっぷりな少年だ。

「…んん???」

「どうしたぁ?俺の顔に何か付いてるか?」

「…気のせいか?」

どうしてか、目の前の少年が忌々しいクソ神とダブって見えた。そんなはずないよな、ハハハ。

「えーと。こっちがミラでこっちがテオ…で合ってる?」

「はい…」

「おう!」

「…んんん?????」

どこかの言葉でテオは神を表すはずだ。とんだ偶然もあるものだと勇者は呑気に思う…わけが無く。

「………」

冷や汗を流す勇者を見て、テオはニヤリと笑った。

(気付いたな?)

(ぶっ潰すぞクソ野郎)

「あ…あの…。私…子供たちのお世話に…あうぅ…」

誰にも声を掛けられない女の子は、すみっこでめそめそと泣いた。ちなみに、名前はアルセナと言うらしい。


勇者孤児院 Lv.1 居住可能人数 7名 資産???

↓1 自由安価
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/30(火) 00:45:14.62 ID:r3jloD6Mo
それぞれ自己紹介とかしてもらう
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/30(火) 01:10:43.64 ID:JkkU6jQc0
誰がどんな人か知らないまま暮らすのはどうかと思い、勇者は自己紹介するように全員に言う。

とはいえ、お手本が無いのに見ず知らずの人の前で何かが言えるはずもなく。

勇者は一肌脱ぎ、自己紹介を始めた。

「えー。俺は神父です。まあ、見ての通りのほほんとしてるんで、気軽に接してください」

可能な限りマトモっぽく振る舞った勇者。しかし、反応は芳しくなかった。

「妾はアルファウス。こう見えて、皆の世話をするシスターである」

「気軽にアルちゃんと呼んで構わんぞ」

椅子の上に立ち上がり、胸を張るアルファウス。子供にしか見えねぇな。

「し、シスターなら…次は…私ですね…」

「わ…わわ、私はアルセナ…です…。料理が得意…なので…後ほど…好きなものを教えて…いただけたら…あう…」

そこまで言ったアルセナは羞恥心に負けたのか、真っ赤な顔を俯かせる。これ以上は話しそうにない。

「私はローア。趣味も特技もありません。出来れば、皆さんもあまり私に関わらないでいただきたいです」

「またローアは〜!仲良くしましょうと何故言えんのだ!」

「…出来ないからに決まっています」

無表情で言い返すローア。事情が事情だから仕方ないのかもしれない。

「…私はミラ…。好きなものは本を読むこと…」

それだけ言ったミラは深々とお辞儀をした。内気な人多過ぎない?三分の一だよ?

「トリは俺だな!俺はテオ!見ての通りか弱い子供だ!よろしくな!」

溌溂とした声で戯言を宣うテオ。お前みたいな子供がいるか。

何で魔族や神で半分が埋まっているのか。勇者は内心、頭を抱えていた。

特にテオ。お前神様だろ。とっとと天界に帰って仕事しろよ。


勇者孤児院 Lv.1 居住可能人数 7名 資産???

↓1 自由安価 もう翌日になってます
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/30(火) 02:49:47.44 ID:Qrkw2YWXO
民芸品の発案と試作
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/30(火) 22:50:53.70 ID:wF6w/D9T0
共同生活が始まって最初の朝。特に事件が起こることは無かった。それが普通だが。

朝食を取った勇者は、羊皮紙を机の上に広げる。そして、他の全員を集めた。

「というわけで、第一回民芸品開発会議を始めたいと思います」

「どういうわけだ?」

「孤児院運営には金が必要だからな。一応貯金はあるが、仕事で稼いで得た金を充てた方がいいだろ」

他の孤児院でも、何かしらの産業を営んでいる場合が多い。

実を言うと、ここで使っている籠とかの日用品の殆どは、そういうものだったりする。

「でも、ここの設備で作れるものはありますか?手作業で作れるものなんて、かなり限られるでしょう」

「編み物とか…ですかね…?」

「うーん。俺が素材を集めてくれば、飾り物とかも作れるだろうが」

「素材集めか…。面白そうだ!」

「子供には任せられねえな。魔物に襲われちゃ一大事ってもんだ」

(お前、今は子供ってことを自覚しろよボケ)

(子供は好き放題出来る存在ではないのか!?)

(色々と面倒くさいんだよ。お前)

テレパシーで怒りをぶつけながら、勇者はクルクルと羽ペンを回す。意外と、考えるのも難しい。


↓1 どんな民芸品を作るか 同時にコンマで出来を判定 70以上だと翌日から販売開始
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/30(火) 22:52:12.03 ID:r3jloD6Mo
鉱石細工
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/30(火) 23:07:13.72 ID:wF6w/D9T0
「…これ…」

ミラが、本の一ページを見せてくる。そこには、鉱石を加工した綺麗な小物があった。

めっちゃむずそう。っていうか難しいに決まってるし、道具とかどうしましょ。

「鉱石細工か。ふむ…」

「ゆ…神父よ。ストックに使えそうな物はあるか?」

「あった…と思う。宝石類や水晶なら、鉱山や洞窟でよく拾ってたからな」

武器や防具を鍛えたり、資金調達をしたりで重要なアイテムだったから、それなりに蓄えていたはずだ。

いや、半分くらい売ったかもしれない。もし無かったら、また拾えばいいか。

地下倉庫から適当な物を見繕い、持ってくる。銀鉱石と水晶で良かっただろうか。

「作り方は…適当に削って、磨けばそれでいいのか?」

「さ、最初から手の込んだ物を作るのは…嫌な予感がします…」

「大丈夫大丈夫。失敗しても、痛むのは俺の懐と腹だけだから」

アルセナの予感は、見事的中することとなった。
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/30(火) 23:13:20.20 ID:wF6w/D9T0
「あっ」

「何粉砕しておる神父。…あっ」

「真っ二つですね…。わっ!?」

「火事だー!?大至急水を持ってこい!」

勇者は力加減を間違え水晶を粉々にしてしまい、アルファウスは鉱石を割ってしまう。

ローアは能力制御に失敗して、机を発火させてしまった。前途多難なんてものじゃない。

大急ぎで井戸から水を汲み、思いっきりぶっかける。水魔法なんか使えないからね、しょうがないね。

しっちゃかめっちゃかな惨状を見ながら、勇者は独り言ちる。

「もうちょい簡単なやつから始めた方が良かった」


勇者孤児院 Lv.1 居住可能人数 7名 資産 600(消費量100/Day)

↓1 自由安価
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/30(火) 23:24:21.04 ID:R4tUNZkso
何もなくとも腹は減るのだ
皆んなの料理適正調べを兼ねてご飯作り
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/30(火) 23:52:07.46 ID:wF6w/D9T0
小火騒ぎも収束し、一息入れる。特に働いたわけではないのだが、悲しいかな。

生きている限り、腹は減るものだ。何をしていなくても、悲しくても。いや、今が悲しいわけではないのだが。

「三日前までは一人分で良かったけど、今は六人分だからなぁ。大変だわ」

「俺が手伝ってやろうか?」

椅子に座ってろ。

「妾も手伝おう。やることが無いからな」

「…丁度いい。皆で一品ずつ作ってみるか」

幸い、材料と時間だけは無駄にある。多少失敗しても問題無いはずだ。


↓1〜6 作る料理 コンマが料理スキルに 勇者、アル、ローア、アルセナ、ミラ、テオの順番に判定
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/01(水) 00:00:53.13 ID:MOr4Aki+o
パスタ
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/01(水) 00:02:39.48 ID:2ytBhgiX0
カレーライス
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/01(水) 00:07:31.34 ID:040f/NTv0
野菜スープ
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/01(水) 00:07:34.22 ID:+x5k8+0DO
アップルパイ
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/01(水) 00:09:43.45 ID:NpfizJ2/o
サラダ
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/01(水) 00:10:09.69 ID:dVpfhe6C0
カルパッチョ
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/01(水) 00:11:55.85 ID:NpfizJ2/o
【朗報】神、メシマズ共を救う
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/01(水) 00:14:32.01 ID:qXfHXqdJ0
まだだ…まだゾロ目が残っている…!↓1コンマ分アルセナに補正だぁ!
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/01(水) 00:15:52.68 ID:dVpfhe6C0
高い
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/01(水) 00:16:07.92 ID:iON+R8f9o
ほいよ
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/01(水) 00:17:02.50 ID:dVpfhe6C0
すまない
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/01(水) 00:17:24.41 ID:NpfizJ2/o
前菜とスイーツだけ食って主食はポイーで
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/01(水) 00:39:45.71 ID:qXfHXqdJ0
先述しておくと、勇者の食生活は悲惨だった。元々の産まれも悪かったのもそうだが、魔王討伐時の支援も、戦闘関連にリソースを割いていた。

故に、満足な食事をすることはあまり無かった。現地調達は勿論のこと、普通であればまず食さないであろうゲテモノですら平気で食べていた。

だから、味が多少悪いくらいであれば、気にも留めない。酒が酸化してお酢になっていようが、構わず飲むのだ。

そんな男が作る料理がマトモなわけない。現に、今勇者が作っているのは、パスタだった何かだ。

「麺を茹でて、味付けした肉を乗せて…っと」

「な…何の肉ですか…?」

「ティターントード」

「………」

勇者は、そこら辺で摘み取ってきた野草と和えた肉を無造作に乗っけていく。下処理すらしていない肉から、キツい匂いが漂う。

「スパイスがあって助かった」

「給仕の仕事ばかりで、調理を担当してはいなかったのでご容赦ください」

「ま、マトモに料理が出来るの…テオくんと私…だけ…?」

「…何で、神父様は普通のお野菜を使わないの…?」

「料理の知恵をインストールしておいてよかった」

机の上に次々と置かれていく料理。その中でも、パスタからは禍々しいオーラが放たれていた。

食事が始まる。が、アップルパイとカルパッチョは目に見えて消費されていく。

辛うじて、カレーライスやサラダ、野菜スープにも手を付けていくのだが、表情は…アレだった。

「…何で俺の作ったパスタには、誰も箸を付けないんですかね」

「こんなゴミを食うやつがおるか」

「まあ、他の人の料理に比べたら負けるけど。それでも、食えないことは無くないか?」

「食えるかっ!?」

勇者は首を傾げながら、残った料理を全て食べ尽くした。お残しは許しまへんで。


勇者孤児院 Lv.1 居住可能人数 7名 資産 600(消費量100/Day)

↓1 自由安価
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/01(水) 00:48:54.53 ID:kB+Ur9OD0
全員で教会の中を掃除しよう
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