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【モバマスSS】時限水風船爆弾【モブ視点】
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◆TOYOUsnVr.
[saga]:2019/04/27(土) 23:15:55.06 ID:tChnMgcV0
クリアファイルをうちわ代わりにぱたぱたとさせながら歩く私の横を、自転車に乗った小学生の一団が猛スピードで通り抜ける。
先頭を走る少年の自転車の前カゴには、大量の水風船が入っていた。
きっと、これからどこかの公園で大きな戦争があるのだろう。
涼しげでいいなぁ。
服が濡れることや、びしょびしょで家に帰って親に叱られるなんてことは、彼らの頭の中にはおそらく微塵もない。
そんな無邪気さを、少し羨ましく思った。
蒸し蒸しとした空気と照りつける太陽によって、何をしていなくともじわぁっと汗がにじむ。
シャツは既に肌にべっとり貼りついてしまった。
「あつい……」
口に出すと、よりいっそう暑さが感じられる。
言わなきゃよかった。
夏休みと言えども、高校三年生のそれは碌なものではない。
うるさい母と蝉の声に起こされ、夏期講習と言う名の地獄に朝から晩まで放り込まれる。
二十三時前に帰宅して、ダイニングテーブルでラップをかぶっている冷めたご飯をもそもそと食べ、自室へ戻ると、また明日の夏期講習の予習やら確認テストの対策やらに追われる毎日の繰り返しだ。
たまの休みが得られても、両親は口を開けば「勉強は、勉強は」と私をまくし立てる。
そんなだから、家にいるとかえってストレスがたまる一方だ。
とは言え、気分転換に遊びに行こうにも、友人たちも同じような状況で急に約束を取り付けられるはずもない。
私は、十八にして生まれて初めて、夏休みを苦痛に思うのだった。
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