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曜「たとえみんなが望むとしても」
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196 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:22:59.55 ID:xnInN/pyO
梨子「当然『忘却の書』の力あってこそ、だったんですよね?」
鞠莉ママ「公のワールド・ヒストリーでは教えられていませんが、そうだと伝えられていマース」
「忘却の書」を使えば、政敵を[
ピーーー
]ことなく消すのに何ら苦労はしないだろう
例えば軍師から「戦術のノウハウ」を消して無能化するとか
例えばマダムから「テーブルマナーの作法」を消して社交の場で恥をかかせるとか
そんな風にして気に入らない人達を追放する口実を作るなんて、造作もないことだったに違いあるまい
ルビィ「でも、どうして今は日本にあるんだろう?」
鞠莉ママ「そこまではわかりません。スタンダファミリーへ恨みを持った貴族の者が、隙を盗んで行商人へ売り渡した。そんなんじゃないですかね?」
千歌「そしてシルクロードを越えて、はるばる日本へ渡って来た。ロマンを感じるね〜」
ルビィ「なんか今日の千歌ちゃん、歴女スイッチ入っちゃってるねぇ」
千歌「いいじゃん。わたしだって歴史ある旅館の娘なんだしさぁ!」
197 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:23:58.19 ID:xnInN/pyO
だんだん話が脱線してきたので、ここいらで本題に戻すよう誘導する
曜「それで『忘却の書』が本物か確かめるために千歌ちゃんと梨子ちゃんを?」
月「うん。『連れのカップル2組を別れさせろ』って命令されたんだ。反対したら──」
月ちゃんが右手を拳銃の形にして──、
月「『日本へ戻って1か月以内にやらなければ、お前の学校の生徒達を痛い目に遭わせるぞ』って」
ドスのきいた低い声で語った後「バーン☆」とわざとらしく銃を撃つ真似をした
ルビィ「やっぱり『警察へ知らせるな』とも?」
月「うん。生徒会長として、学校のみんなを危険な目に遭わせる訳にはいかなかったから」
ルビィ「ルビィと同じ立場だったんですね、月会長も」
脅されていた立場のルビィちゃんが、自分を脅した相手へ共感を示した
曜「じゃあつまり、月ちゃんが言う『みんな』っていうのは……」
月「曜ちゃんの予想通りだよ」
静真高校の生徒達みんなをスタンダファミリーの脅威から守るため、彼らの脅迫に従い千歌ちゃんと梨子ちゃんからお互いの記憶を消す
そのために必要な「忘却の書」を国木田のお寺から盗み出した……いやはやとんでもない話である
198 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:24:45.56 ID:xnInN/pyO
月「改めてルビィちゃん、脅したりしてごめん」
ルビィ「そういう事情があったのなら……許します」
深々と頭を下げた月ちゃんへ、ルビィちゃんが右手を差し出した
彼女はそれに応え、右手で握手を交わしたのであった
月「だけど誰にも相談しない訳にもいかなくて……鞠莉さんのお母さんへ連中の目を盗んで手紙を渡したんだ」
梨子「その手紙には何と?」
月「奴らに乗せられたフリをするから、気付いていないかのように振る舞っててください。『テスト』の様子見や『取り引き』の場へ奴らのエージェントが出向くはずなので、そこを狙ってください……ってね」
なるほど、2人は私達が気付かないうちに密約を交わしていたのか
鞠莉ママ「まったく、大した役者デース。この会長さんは」
曜「ってことはつまり、千歌ちゃんと梨子ちゃんからお互いの記憶を消すつもりは──」
月「なかったよ。少なくとも『僕ら』としては」
曜「なーんだ──」
だとしたらあの戦いで放たれた忘却の呪いも、恐らくは「一昨日の晩ごはん」とか消えても特に問題のない記憶だけを消すつもりだった可能性も否めない
そう考えると「何だったんだろうね? あの茶番劇は」と思いたくもなる
ただ月ちゃんの発言には1つ引っ掛かることがあった
199 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:25:30.34 ID:xnInN/pyO
曜「──いや、『僕ら』って、どういうこと?」
月「僕を含め学校にいた生徒会役員は、ってこと。でもみのりちゃんと取り巻きの娘達は、本気だったみたいだね」
ルビィ「なるほど。演技で済ませたい『会長派』と、本気で千歌ちゃんと梨子さんを引き裂こうとした『副会長派』で対立があったんだね」
善子「だからずら丸も……ぐっ」
最愛の彼女の記憶を消された善子ちゃんが苦虫を噛み潰したような表情を作る
月「……ごめん。僕がもっとしっかりしていれば、花丸ちゃんは犠牲にならなかった」
善子「……別に会長を責めちゃいないから」
月「そっか……すまないね」
月ちゃんと善子ちゃんも、いつの日かこの軋轢を乗り越えられる時が来てほしい。そう願わずにはいられない
200 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:26:12.91 ID:xnInN/pyO
月「それはともかく、いい機会だから曜ちゃんが本心から『千歌ちゃんと梨子ちゃんが付き合うのを認めた』か、確かめたりもしたんだけどねっ♪」
ちかりこ「「はい?」」
曜「うわぁ……我が従姉妹ながら趣味悪っ!」
月「てへぺろっ☆ でも今回ので色々吹っ切れたみたいだね」
言われてみれば、確かにそのとおりだった
自分が無下にされているとか、壁を作られているとかいうネガティブな感情がなくなって、まるで憑き物が落ちたように清々しい心持ちになった気がする
だからようやく、私は彼女に正面から向き合える
曜「うん、もう大丈夫だよ。ねっ、ルビィちゃん♡」
ルビィ「むしろ、いきなり曜さんがデレ始めて怖いんですけど」
月「ってな訳だから千歌ちゃんも梨子ちゃんも、もう曜ちゃんのことは気にしないでイチャイチャしちゃっていいからね♪」
ちかりこ「「は、はい」」
月「いやー、僕を突き飛ばしたルビィちゃんのイケメンっぷりも見せてあげたかったなぁ〜」
ルビィ「イケメンって……」
ずっと守ってあげる立場だったのが、いつしか守られる立場に成長を遂げていただなんて……お姉さん感動しちゃったよ
201 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:27:09.88 ID:xnInN/pyO
千歌「それで、スタンダ家のエージェントは捕まえられたの?」
鞠莉ママ「オフコース☆」
鞠莉ちゃんのお母さんがスマホを取り出しある写真を見せる
そこには手錠が嵌められた外国人が13人も写っていた
移民の多いイタリアらしく、彼らの肌の色や顔付きは千差万別だけど……全員カタギの人間にはとても思えない悪人面をしている
梨子「ふぅ、良かった」
鞠莉ママ「本当に皆さんには、怖い思いをさせてしまってごめんなさい。本来なら子ども達を巻き込んではならない問題だったのに……」
ああ、やっぱりこの人は本質的には子ども想いの優しい人なんだな
イタリアでスクールアイドルのことを悪く言ったりはしたけれど、それだって鞠莉ちゃんの将来を考えてのことなんだし
あの件に関しては将来「だけ」に目が行ってしまい、娘が「今を楽しむ」ことの大切さを忘れていただけなのだから
鞠莉ママ「そして『忘却の書』も手元にありマース☆ 皆さんもページ片を渡してくだサーイ」
彼女のお願いに従い、私達は生徒会役員やみのりちゃんの取り巻きの娘達から取り上げたページ片を手渡した
鞠莉ママ「ありがとうございマース☆」
202 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:27:54.17 ID:xnInN/pyO
曜「それで、ルビィちゃんや月ちゃんら事件に関わった娘達はどうなるんですか?」
鞠莉ママ「脅されていたことや、その後の協力も踏まえ、『1人を除いて』全員不問となるはずデース。今、黒澤ファザーがポリスメンと交渉していマース」
ルビィ「ううっ、良かったぁー。お父さんが話してくれるなら大丈夫だよ」
月「本当に、ありがとうございます」
直接犯行に関わった2人だけど、どっちも逮捕されることがなさそうで一安心といったところである
梨子「それで、その『1人』というのは?」
鞠莉ママ「副会長、冬木・スタンダ・みのり嬢デース」
えっ!?
スタンダということは、つまり彼女は最初から「マフィアの一員として」犯行に及んでいたということになるのか?
左右へ首を振ると、誰もがショックを受け唖然とした表情をしていた
203 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:28:43.88 ID:xnInN/pyO
月「そんな……みのりちゃんがスタンダ家の一員だなんて。嘘ですよね? 悪い冗談ですよね?」
鞠莉ママ「うーん、正確には彼女のグランドマザーが戦後ジャパンへ亡命したスタンダファミリーの幹部で、こっそり家族へ二重国籍を取得させていたみたいです」
千歌「最初からわかっていたんですか? 鞠莉ちゃんのお母さんは」
鞠莉ママ「イエス。ジャパン国内へ潜伏しているスタンダファミリーのエージェントについて調査しているうちにわかりました」
ルビィ「マフィアの孫娘ってことは、しつけも厳しかったのかな?」
網元の一族とマフィアの一族とでは色々と違うんじゃないかな?
鞠莉ママ「グランドマザーとマザーから虐待を受けていたみたいです」
曜「虐待って……月ちゃんは知ってたの?」
月「ううん、僕も初耳。みのりちゃんは、あまり自分のことは話したがらないから」
鞠莉ママ「テストでクラスの上位に入れなかったり、習っていたピアノのコンクールで入賞できなかったら『結果を出せない者に用はない』って殴られたり、食事を与えられなかったりしたそうです」
千歌「ううっ……酷過ぎるよ、あんまりだよ」
みのりちゃんの冷徹非情な性格は、本来なら守ってもらえる立場の人達から十分な愛情を注いでもらえなかったが故に形成されたものだったようだ
204 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:29:26.50 ID:xnInN/pyO
曜「うん、そうだね。お父さんはどうしたんですか?」
鞠莉ママ「気が弱くて力になれなかったみたいです。それに今は単身赴任中だとか」
ルビィ「助けてくれる人が近くにいなかったんだね。ウチだってこんなに厳しくはないのに……」
善子「私は会ったことないけど、産まれながら悪鬼の心を持ってた訳ではなかったみたいね」
梨子「だから『数字』とか『結果』へ強くこだわっていたのね。勝てなければ意味がないって」
月「みのりちゃんは梨子ちゃんと千歌ちゃんへそんなことを?」
月ちゃんは「私が千歌ちゃんと付き合えないのが可哀想だから」という理論で私達の記憶を消そうとしていた(演技だったけど)
対して、みのりちゃんは一体いかなる理論を振りかざしたのか気になっていた
千歌「うん。『PVでわたしと曜ちゃんが仲良くしてるシーンが人気だから、2人が付き合った方が予選とかで有利になる』って」
曜「いやいや、何その理屈」
他人からどう評価されるのかを気にして「より高い評価を得られる組み合わせで付き合え」だなんて……正気の沙汰とはとてもじゃないけど思えない
善子「憎しみの連鎖ってヤツね……だからってアイツがずら丸へしたことや、リリーと千歌を襲ったことを許すつもりは毛頭ないけど」
ルビィ「善子ちゃんは厳しいね」
善子「ヨハネよっ! 当然でしょ、失われたものは二度と戻ったりしないんだから」
曜「恵まれていたんだね……私達」
205 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:30:03.61 ID:xnInN/pyO
鞠莉ママ「『忘却の書』を用いてイタリアンマフィアの権威を取り戻す。みのり嬢のグランドマザーはそのプランのために孫娘を利用したのです」
ブー、ブーと誰かのスマホから着信音が鳴った
鞠莉ママ「オゥ、ソーリー」
ルビィ「誰からだろう?」
鞠莉ママ「フム、フーム……ご苦労デース」
月「どういう件でした?」
鞠莉ママ「黒澤ファザーがポリスメンとの交渉を済ませました。『副会長以外は全員叙情酌量の余地あり』として無罪放免デース!」
「やったー!」とみんなの顔が綻ぶ
曜「ふぅ……これにて一件落着、ってとこかな?」
つきルビ「「ありがとうございました!」」
その後、私達は小原グループのエージェント達が運転する車で各々の自宅まで送ってもらった
また「この事件に関することは、部外者に話してはならない」と強く念を押された
そりゃ「忘却の書」の存在を知った誰かが、再び犯行に及ばないとは限らないんだから当然といえば当然だろう
こうして私達の絆を引き裂こうとした、忌まわしき「忘却の書事件」は終わりを迎えたのである
206 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:30:45.87 ID:xnInN/pyO
【曜side】
「忘却の書事件」から2週間が過ぎたある日の放課後
私はとある要件があって図書室へと向かった
1年もの間、ずっとほったらかしにしていたある事を始めるために
曜「やっほー! 花丸ちゃんはいる?」
花丸「曜さんっ!? 図書室ではお静かに、ずら」
彼女が一瞬だけ花が咲いたような笑顔を向けるも、すぐに眉間にシワを寄せて険しい表情を作る
曜「あっ、ごめんごめん」
善子「ルビィは一緒じゃないの?」
曜「善子ちゃんもいたんだ」
善子「ヨハネよっ!」
というより、図書室には私達3人の他に誰もいなかった
207 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:31:21.24 ID:xnInN/pyO
善子「ずら丸とこれからについて色々話してたのよ」
曜「そっか。ルビィちゃんは東京のイベントへの参加申請の手続きがあって生徒会室」
昨年忌まわしき0票を取ったあのイベントである
どうやら昨年度のラブライブの決勝でベスト4に入ったグループには、必ず案内がくるとのことだ
善子「ご苦労さまね、次期部長は」
曜「ほんとにね。……っとそうだ、花丸ちゃんに用事があったのを忘れてた」
花丸「あの件ですよね?」
曜「うん、先日話した自主練の付き添い」
「忘却の書事件」の1週間後の日曜日、私達aqoursの「5人」は市民会館で行われた合同ライブイベントにきちんと参加した
スクールアイドルとしての記憶を失ってしまった花丸ちゃんは、当然ながらパフォーマンスに加わることが出来ず観客席から見守るだけだったが
私達が歌って踊る様を目にした彼女はえらく感動し「マルも以前はあの中にいたんだよね……」と寂しそうに呟いたそうだ
そこで私が「もう一度始めてみない? スクールアイドル」と入部届を手渡したのであった
曜「どうする?」
208 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:32:03.28 ID:xnInN/pyO
花丸「決まっています」
彼女が鞄から直筆のサインと印鑑が捺された入部届を取り出し、それを両手で持って正面へ向けながら私へ頭を下げた
花丸「お願いします。マルをもう一度、スクールアイドル部へ入れてください」
曜「みんなと体力差がある分、多少厳しめのメニューになるよ。朝練だってある。それでもいい?」
記憶を失う前の花丸ちゃんが望んでいたことを、今の彼女へ尋ねる
内心これが原因で苦手意識を持たれたりしないよね……と心配だったりしなくもないけど
花丸「もちろんです」
曜「わかったよ、これからよろしくね! そして1年間……ごめんね」
ずっと構ってあげなかった分の謝罪も込めて、彼女をおもいっきり優しく抱きしめた
花丸「ちょっ// 曜さんっ//」
善子「良かったわね、ずら丸。ずーっと願ってきた夢、それを叶えるための第一歩が踏み出せて」
209 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:32:38.34 ID:xnInN/pyO
ハグを終わらせた後、私達は長机に座り今後について話し合った
花丸「記憶を失う前のマルと皆さんの関係は、善子ちゃんからだいたい教えてもらったずら」
善子「ヨハネよっ! でないと色々困るからね」
花丸「他にも……マルと善子ちゃんが、その……お付き合いしていた、とか//」
善子「ヨハネだっての! そうよ、私達は恋仲だったのよ」
花丸「それと『忘却の書事件』についても」
どう思ったのかな?
「1年分の自分を殺された」と言えなくもないあの事件について
曜「話したんだね」
善子「駄目とは言われなかったからね」
花丸「マルは、記憶を取り戻したいです」
曜「花丸ちゃん……」
花丸「これからaqoursの一員として色々やっていく中で、きっと『今の』マルが知らない話が出ることもあると思うんです」
曜「まあ、あるだろうね」
人生とは積み重ねである
今の私達は、今までの積み重ねがあって存在しているのだから
210 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:33:20.48 ID:xnInN/pyO
曜「もしそれで寂しさを感じるようなら、いつでも辞めていいからね」
突き放すのではなく、花丸ちゃんのためを想って
花丸「はい。でも寂しさを覚えるのはマルだけじゃなくて、皆さんも同じなんだと思います」
善子「ずら丸……ほんと、アンタって奴は他人想いなのね」
花丸「だからマルは『マル自身のため』にも、『皆さんのため』にも……」
曜「とは言っても相手は呪いだしねぇ」
善子「そうでもないみたいよ」
曜「どういうこと?」
幾多の人達の怨念が籠った呪いへ抗う術などあるのだろうか?
211 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:33:57.34 ID:xnInN/pyO
花丸「『解呪の書』を作り出すことが出来れば」
曜「『解呪の書』? つまり呪いを解くための書ってこと?」
善子「ええ、『その幻想をぶち[
ピーーー
]!』ってヤツね」
曜「なるほどね。でもそんなご都合アイテムを作り出す方法のアテはあるの?」
アレの元ネタって確か「魔術師達が無自覚下で抱く『どんなに世界が歪んでも大丈夫なように基準点がほしい』という願いが集約し、自然発生したもの」という設定だったはず(今はどうなったかわからないけど)
花丸「はい。『忘却の書』やその他の呪いの書と、同じ方法を取るんです」
曜「えーっと、つまり?」
花丸「誰もが共感できるような『呪いのせいで酷い目に遭って可哀想な人』の物語を書くところから始めるんです」
曜「ああ、なるほど。目には目を、呪いには呪いをって感じ?」
呪いを消すため「だけ」の呪いとは、幾分マニアックに思えるが
花丸「はい」
善子「ゴーストタイプにはゴースト技が効果抜群ってのと同じよ」
曜「いや、ポケ○ンは関係ないと思うけど。……っていうか、その相性すっかり忘れてた」
善子「そうね。みんなが忘れちゃってることって、世の中にはいっぱいあるのよね」
212 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:34:44.34 ID:xnInN/pyO
花丸「まあ、駄目元ですけどね。でも何事もやってみる価値はあると思います」
曜「そうだね」
スクールアイドル活動を始めてたった1年でラブライブに優勝したり、アク○ズの軌道を地球への落下コースから逸らしたりだってできるかもしれないんだし
曜「またaqoursへ入ろうと決めたのも?」
花丸「もちろんずら!」
善子「変われるわよ、ずら丸! また一緒に頑張りましょう!」
花丸「うん、善子ちゃん!」
善子「ほんと、アンタは記憶を無くしても『ヨハネ』って呼んでくれないのね」
……言うほど不満そうじゃなさそうだね、善子ちゃん
213 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:35:25.61 ID:xnInN/pyO
曜「にしても、忘れられてしまったことかぁ。なんだか悲しくなるよね、そういうのって」
善子「ほんとにね。一時期流行っていたものが『オワコンだ』なんだって馬鹿にされてるうちはまだマシで、いずれ悪口すら言われなくなる。そういうの、嫌っていうほど見てきたから」
曜「おっ、アニオタの善子ちゃんらしい意見ですねぇ〜」
善子「ヨハネよっ! 話を作る側は何か月も何年もウンウン頭を悩ませて頑張ってきた結果を、受け取る側は一瞬だけ楽しんでハイおしまい! なんかそれって……すっごい残酷な気がするのよね」
世の中に存在するあらゆる娯楽に言えることだよね、それって
曜「……わからなくはないよ、私達のライブだって同じだしね。いっぱい練習して、衣装やら振り付けやら色々考えても、見ている人達にはわからない」
花丸「でも、その一瞬の輝きのために全身全霊を尽くすのがスクールアイドルであり、クリエイターですよね?」
曜「花丸ちゃん……いいこと言うじゃん! このこのっ!」
彼女が愛しくなり、つい頭をナデナデしてしまう
花丸「ちょっ// 曜さんっ//」
善子「って曜!? 私の彼女を堕とそうとしないでよっ!」
曜「いいじゃん! 1年間構ってあげなかった分もあるんだし!」
花丸「じゅらぁ〜♡」
善子「ずら丸もその気にならないでぇーっ!」
214 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:36:06.58 ID:xnInN/pyO
花丸「だってマルと善子ちゃんが恋仲だったなんて……信じられないもん//」
花丸ちゃんが恋する乙女の顔になる
曜「おっ? 顔赤くしちゃってぇ〜、そんなにこの堕天使が好きなのかぁ〜」
花丸「ううっ// おちょくらないでくださいよぅー//」
善子「いい加減にしなさいよっ!」
曜「おっ、善子ちゃんも顔真っ赤じゃんか〜」
善子「うっ、うるさいっ//」
さすがにおちょくり続けるのも悪いので、話を戻すことにした
曜「なんだか悲しいね、存在が忘れられるって」
花丸「忘れられた、ならまだ幸せなんだと思いますよ。作り手としても、作品そのものとしても」
215 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:36:38.08 ID:xnInN/pyO
善子「何それ? 最初から見向きもされなかった、とか?」
曜「禁書に対する絶チ○みたいな?」
善子「は? 絶○ルファンのヨハネ様へ喧嘩売ってるの!」
花丸「ヨハネ少佐、マルも助太刀するずらよ!」
曜「いや、ごめんごめん。私もアレはアレで好きだから」
私も○チルがとても薄っぺらい作品だなんて思わないし!
超能力一筋にこだわるか、魔術や科学など様々な要素を散りばめるか
漫画原作か、ライトノベル原作か
朝の子ども向けアニメか、深夜帯の青年向けアニメか
バックについている企業の力が違うとか
あの2作品は似て非なるものなので、あーだこーだと優劣をつけようとすること自体が間違いなのです!
曜「っていうか○チルだって一時期は流行ったし、スピンオフだって作られたし!」
花丸「闇でしか裁けぬ罪がある、ずらね」
善子「やっぱりアンタは記憶を失っても、このヨハネの黄昏の理解者なのね……ずら丸ぅ〜♡」
花丸「ヨハネ少佐ぁ〜♡」
曜「……やっぱり善子ちゃんの堕天使設定って、兵○少佐ベースにしてたんだね」
善子「ヨハネだっての! それと設定言うな!」
なかなか周りにガッツリ語れる人がいないんだろうなぁ、絶チ○
216 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:37:19.60 ID:xnInN/pyO
花丸「絶○ルはともかく、中には見向きもされない以上に、悲惨な末路を辿ったものもあると思うんです」
曜「……なんかピンとこないんだけど、どういうこと?」
善子「なんとなくわかったわ。内容があんまりにも酷くてボロックソに叩かれた作品ね!」
曜「なるほど、0よりマイナスの方が辛いよね」
花丸「正解……と言いたいところだけど、あと一歩ってところかなぁ?」
善子「あと一歩? どういうことよ?」
花丸「内容を問わず、語ること自体がタブー視されてしまったもの」
曜「えーっと、なんかよくわからないなぁ」
善子「具体的には?」
語ること自体が許されない、そこまで残酷な仕打ちなんてあるのだろうか?
217 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:37:58.95 ID:xnInN/pyO
花丸「そうだなぁ……漫画やアニメとは違うけど、天動説が信じられていた時代の地動説とか」
曜「確か『地球の周りを太陽や他の星が回っている』って説だっけ? 天動説は」
花丸「うん。今を生きるマル達からすれば滑稽な話だけど、当時は『地球が太陽の周りを回っている』だなんて口に出すことも、誰かと真剣に議論することすらも許されなかったんだよ」
自分の意見を語ることが駄目だなんて、いくらなんでも酷くない? ……って考えるけどなぁ
善子「みんな天動説の方を信じてたものね。下手なこと言って村八分にされたくもないでしょうし」
花丸「教会の権威の問題なんかもあったからね」
曜「そうだね。でも今は逆になったよね?」
花丸「うん、科学が進んで地動説が証明されちゃったからね。他にも『人間はサルみたいな動物から進化した』とか」
曜「以前は『神様が自分の姿に似せて人間を作った』って信じられてたんだよね?」
善子「そうね。そういうこと言ってた連中がもし現代へタイムスリップしたら……逆にそいつらが馬鹿にされるんでしょうね」
曜「まあ……そうなっちゃうよね」
中世時代の人達がいきなり東京のど真ん中へ転送された光景が頭に浮かぶ
ただでさえ自分が本来生きていた場所と様変わりした土地へ放り出されて混乱しているのに、周囲の人達からは「コイツは何を言ってるんだ」と馬鹿にされたりして
そう考えると、今度は彼らの方が可哀想に思えてきた
218 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:38:40.05 ID:xnInN/pyO
花丸「そういうことなんだよ。多数派になるか少数派になるかなんて、色々な条件に左右されちゃうってこと」
善子「まあ、確かにね」
中学の頃はドン引きされた「堕天使」だって、ニコ生では好評だったりする
場所によって自己のアイデンティティの評価が変わる経験を、善子ちゃんはしてきたんだよね
花丸「だからマルは、将来世界を廻ってみたいんだ」
曜「なんだかいきなりスケールのデカい話になったね!?」
善子「しかも唐突な自分語り。でもどうしてよ?」
インドア派な花丸ちゃんがこんな大きな夢を抱くようになった理由とは?
花丸「たくさんの人の『語られない物語』を聴いてみたいから」
曜「語られない物語?」
219 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:39:26.41 ID:xnInN/pyO
花丸「はい。いっぱいいっぱいあると思うんです、蕾のまま花開かれないでいる物語って」
善子「その蕾に水をあげたいのね?」
花丸「うん。『みんなが望んでいないから』って、蕾が花開くことなく枯れてしまうなんて……もったいないから」
なんとなくわかるなぁ
私も時々頭の中で物語を考えたりはするけど、それを誰の目から見てもわかる形へまとめたりしない内に忘れたりしちゃうし
そういえば千歌ちゃんはよくノートへ架空のRPGのデータをまとめていたなぁ、アイテムやモンスターの図鑑なんかも
善子「もったいないって……寺生まれのずら丸らしいわね」
花丸「そりゃあ、じいちゃんから『米粒1つ残すなよ、目が潰れるぞ』って口酸っぱく言われてきたからね」
曜「それで、どんなお仕事がしたいの? 世界を廻る仕事といってもたくさんあるけど」
花丸「うーん、そこまではまだ考えていないなぁ。というより仕事にするのかすらも」
曜「それもそっか。観光でってのもアリだよね」
善子「なんだか面白そうね。私も興味が湧いてきたわ」
220 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:39:58.30 ID:xnInN/pyO
花丸「善子ちゃん……マルと一緒に来ない?」
善子「ヨハネよっ!……ってまさか、これって……プロポーズぅ//」
善子ちゃんの顔が、まるで茹で上がったロブスターのように真っ赤に染まる
花丸「ふふっ、どうかな?」
善子「どうなのよーっ!?」
花丸「さあ、ね♡」
曜「あはは、からかい上手の国木田さんってヤツかな? ごちそうさまです!」
記憶を失ってもこの2人の関係はそこまで変わらない、そんな事実にすっかり安堵していた
善子「まあ何にせよ、誰かの意見を否定しない限りは、自分の意見なんていくら語ろうが勝手だと思うけどね」
曜「結局そこへ行き着くんだね、善子ちゃんは」
善子「ヨハネよっ! 天動説じゃないけど『世界は自分を中心に回っている』って考えていいのよ! 誰かの迷惑にならない分にはね!」
曜「そうだね。自分の好きを貫くのが大切だよね」
221 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:40:41.54 ID:xnInN/pyO
花丸「ふふっ、幼稚園の頃から変わっていないずらね。善子ちゃんは♡」
善子「だからヨハネだっての! っていうか今のずら丸、ほとんどあの頃の私しか憶えてないでしょ!」
花丸「……まあね。だから改めてよろしくずら」
花丸ちゃんが伸ばした右手を──、
善子「え、ええ。こちらこそよろしくね」
善子ちゃんがしっかりと握った
曜「じゃあ私はこの辺で」
彼女達ならまたやり直せる、そう信じて私は図書室を後にした
222 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:41:18.81 ID:xnInN/pyO
生徒会室へ向かうには三年生の教室が並ぶ廊下を通るのだが、私はその途中で見てはいけないものを目撃してしまった
曜「ちょっ!? 千歌ちゃんに梨子ちゃん、何やってるのさ……」
なんと誰もいない教室で、2人が口づけを交わすのを目撃してしまったのだ
だけど、わざわざ中へ入る必要はない
それが何度も私と千歌ちゃんが2人きりで話す時間を作ってくれた梨子ちゃんへの、ささやかな恩返しになるのだから
梨子「……んっ?」
千歌「どうしたの? 誰かに見られてた?」
梨子「ううん、何でもない」
千歌「そっか。もし曜ちゃんがいたら──」
梨子「『もう気にしないで』って言ってたでしょ」
千歌「……それもそっか、うん」
梨子「ルビィちゃんにも失礼だしね、そういうのって」
千歌「ルビィちゃんにも……だね」
さすが梨子ちゃん
私としても今度こそ新しいスタートを切るために、過剰に気を遣われたくはないんだしね
223 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:42:03.94 ID:xnInN/pyO
千歌「いやー、まさか本当にわたし達の記憶がなくなっちゃうかも、って羽目になるとはね」
梨子「ほんとにね。やっぱり神様が私達を『何がなんでも引き裂いてやる!』って意地悪したのかな?」
千歌「スタンダファミリーが神様の送り込んだ刺客? ないない、マフィアなんだよ!」
梨子「ふふっ、それもそっか。神をも恐れぬ大悪党だもんね」
どうやらあの2人は「『忘却の書事件』はタチの悪い神が与えた試練だった」と捉えているらしい
千歌「にしても、次の日の晩にみのりちゃんの取り巻きの娘達が、みんなでウチまで謝りに来てくれたのには驚いたなぁ」
梨子「しかもご丁寧に菓子折まで持ってね」
千歌「梨子ちゃんが『もう同じようなこと、他の誰かにしないでね』ってお願いしたけど……大丈夫だよね?」
梨子「大丈夫だよ。みんな悪鬼じゃない、他人の痛みを想像できる娘達だから」
千歌「だね、信じるよ」
事件の後で別行動をした2人に何があったのか、大まかな経緯は聞いていたが……みのりちゃん率いる副会長派の襲撃を切り抜けたことで、より彼女達の絆は深くなったようだ
224 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:42:41.25 ID:xnInN/pyO
千歌「わたし達、抗えたんだよね? 悪い運命に」
梨子「うん、私達の力でね♡」
千歌「だよね。でも、これはまだチュートリアルみたいなものだと思うんだ」
梨子「チュートリアル? これからまたとんでもない事件が起こると?」
あの出来事をTVゲームでいうところの「基本的な操作を覚えるための最初のボス」扱いとは、千歌ちゃんはどれだけ将来の脅威を見据えているのだろうか?
千歌「うん、多分ね」
梨子「嫌だ」
千歌「『嫌だ』って何が?」
梨子「千歌ちゃんと引き離されることに決まってるでしょ♡」
梨子ちゃんが千歌ちゃんを正面からおもいっきりハグして、自分のほっぺを彼女のほっぺへすりすりさせる
千歌「おうっふ// 梨子ちゃぁ〜んっ♡ わたしもだよぅ〜♡」
梨子「だから勝ち続けましょ、あらゆる災いに。私と千歌ちゃんの力で、ねっ♡」
225 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:43:26.24 ID:xnInN/pyO
千歌ちゃんが胸元から銀色に輝く何かを取り出した
千歌「今回は『昔の梨子ちゃん』がわたしを守ってくれたけど……次はそんな奇跡みたいなこと、起こらないと思うから」
梨子「やっぱり思い出せないの? 昔会ってたこと」
千歌「……うん、ぽっかり穴が空いたみたいに」
梨子「……そっか」
千歌「ごめんね、梨子ちゃん」
梨子「ううん、いいよ。それよりaqoursの……1年間の記憶が無事で、本当に良かった」
千歌「梨子ちゃん……」
梨子「失ったものを惜しむより、今残っているものを大切にしていきましょ。ねっ」
千歌「そう、だよね。ありがと、梨子ちゃん」
梨子ちゃんが向けた言葉は、私の心にも深く染み入るようだった
過去に固執し続けるのではなく、未来へと目を向ける。今の私に一番必要な考え方じゃないかな?
226 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:44:12.39 ID:xnInN/pyO
千歌「こういうのってさ、いわゆる平行世界からの圧力なのかな?」
梨子「平行世界からの圧力? どういうこと?」
千歌「隣接する世界から変なエネルギーがこっちの世界へ流れ込んできて、その世界の運命へ干渉する……みたいな?」
梨子「うーん、わかるような、わかんないような」
千歌「えっ!? わかんない?」
梨子「千歌ちゃんの好きなゲームに例えられない?」
私も今の説明では何がなにやらさっぱりでした
千歌「ゲームねぇ……あっ、アレかな?」
梨子「なになに?」
千歌「オセロみたいな。ある世界が白だとしても、隣接する世界が黒だと同じように黒へ反転しちゃうって感じで……うーん、なんか違うかも」
梨子「ううん、エネルギーがどうこうよりよっぽどイメージできるよ」
千歌「そう? なら良かったぁ〜」
なるほど、千歌ちゃんの中では「私と千歌ちゃんが付き合っている2つの平行世界」に「千歌ちゃんと梨子ちゃんが付き合っているこの世界」が挟まれたことで、自分が梨子ちゃんと引き離されて私とくっつけられるような力が働いた……とでも考えているらしい
227 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:45:42.17 ID:xnInN/pyO
梨子「むしろアタック25の方が合ってるかも」
千歌「なるほど……もしかしたら『わたしと曜ちゃんをくっつけるため』じゃなくて、『わたしと善子ちゃん』とか『わたしとルビィちゃん』って可能性もあったかもしれないもんね」
梨子「うん。色が4色どころじゃなくて、マス目も無限に広がってるの」
星々が煌めく宇宙空間に太陽よりも巨大なパネルが浮かぶという、シュール過ぎる光景が脳裏をよぎった
というか梨子ちゃんも「誰と誰が付き合うか」という観点から平行世界について語っていたんだね
千歌「うへぇ〜、気が遠くなるねぇ〜」
梨子「ふふっ、ほんとにね」
千歌「まっ、どんな運命が相手だろうと、わたしがはね除けてやるよっ!」
梨子「千歌ちゃん……私も戦うよ。これからもずっと千歌ちゃんの隣にいたいから」
千歌「うん。これからもよろしくね、梨子ちゃん♡」
梨子「こちらこそよろしくね、千歌ちゃん♡」
「もし、また千歌ちゃんと梨子ちゃんを引き裂こうとする事件が起こったなら、私が助太刀するからね」と、心の中で呟いた
もう2人の笑顔を、誰かのエゴで踏みにじらせたりなんてさせるものか!
228 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:46:27.13 ID:xnInN/pyO
梨子「そういえば、昨日鞠莉ちゃんのお母さんからこんなメールが届いたんだけど」
梨子ちゃんが胸ポケットからスマホを取り出し、千歌ちゃんへ何かを見せた
千歌「えーっと『小原グループはIPS細胞を用いて、メスのマウス同士で子どもを作るのに成功した』って?」
梨子「うん。ゆくゆくは人間でもこの技術が使えるか実験する日が来るだろう、って」
ちなみにそのニュース、私も先日ネットサーフィンをしている際に見つけました
とはいえ、さすがに私達が生きている間に実用化には至らないでしょ
千歌「うん、そうなるだろうね。それで?」
229 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:47:01.40 ID:xnInN/pyO
梨子「それで? って……わからないの? 何が言いたいのか」
千歌「うん、わからな……あっ//」
梨子「気付いたみたいね♡」
千歌「えっと……つまり、そのぉ……やっぱり、梨子ちゃんは『欲しい』の?」
梨子「うんっ♡ 『欲しい』よ、もちろん♡」
千歌「うがあぁぁぁーーーっ!!? 梨子ちゃんのヘンターーーイっ!!」
梨子「変態言うなっ! 好きな人との間に『欲しい』って思うのはごく自然でしょうが!!」
千歌「いや、ヘンタイでしょうがぁ! 『欲しい』ってことはさ──」
曜「さてと、これ以上2人の変態トークは聞かなくていっか」
この先どんな運命が待ち受けていようとも、あの2人なら乗り越えてゆけそうだ……ギャグ漫画補正みたいなもので
結局「あの夢」の正体がいったい何だったのかは、今でもわからない
私の深層心理の中にある、自分本位な理想世界の有り様だったのか
みのりちゃん達の襲撃が成功した場合に訪れた、未来の予知だったのか
はたまたこの世界に隣接する平行世界、その一端を垣間見たものだったのか
何にせよ、今ここにある彼女達の絆は守れたのだ
だから……これ以上余計なことは考えないことにした
230 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:47:44.30 ID:xnInN/pyO
改めて生徒会室の前まで到着した私は、コンコンとドアをノックした
曜「失礼します」
月「おっ、彼女がお迎えだよ。ルビィちゃん」
生徒会役員A「もう上がっていいですよ」
生徒会役員D「後は自分達でどうにかなるんで」
月ちゃんら生徒会の娘達の勧めに応え、書類の山とにらめっこしていたルビィちゃんが手を止めて立ち上がった
ルビィ「では、失礼します」
月「うん、また明日」
生徒会役員AD「「お疲れさまでした」」
月「みのりちゃんが欠けた穴を埋めてくれて、ほんと助かってるよ」
231 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:48:18.02 ID:xnInN/pyO
並んで廊下を歩く私とルビィちゃんは、周囲からはどう見られているのかな?
「お似合いのカップルだ」って認めるられるには、まだまだ時間がかかるかな?
ルビィ「東京のイベント、申請は通りましたよ」
曜「了解。特に心配はしてなかったけどね、月ちゃんだし」
ルビィ「それはそれとして……曜さん」
曜「どうしたの? かしこまって」
ルビィ「ルビィ……じゃなくてわたし、生徒会の副会長へ立候補しようと思ってるんです」
曜「そっか。やっぱりダイヤちゃんへ少しでも近付きたいから?」
生徒会長とスクールアイドル活動を両立出来ていた姉の存在は、ルビィちゃんにとっていつまでも追い続けたい目標なのだろう
たとえ当人から「もう1人で何でも出来るのですわ」と成長したのを認められたとしても、だ
ルビィ「うんっ。それに事務仕事を覚えておけば、将来のためにもなるし」
曜「将来のため、ねぇ……具体的には?」
ルビィ「うーん、まだそこまでは。ただ、やれるようになって損はないんで」
曜「だね。ルビィちゃんはまだ2年生だし、ゆっくり考えればいいよ」
ルビィ「うん、そうします」
232 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:49:00.02 ID:xnInN/pyO
曜「それから、ルビィちゃんは無理してダイヤちゃんのようになろうとしなくてもいいんじゃないかな?」
ルビィ「どうしてです?」
曜「ルビィちゃんはルビィちゃんなんだから。何でも1人でこなせるのが一番だろうけど、誰かへ頼ることができるのも時には大切だから」
ダイヤちゃんの場合、逆に何でも1人で解決しようとするのに固執して、誰にも相談せずにパンクしてしまうこともあるそうなので
ルビィ「でも、できる限りは挑戦していきたいです。何事にも」
曜「変わったね、ルビィちゃんは」
ルビィ「そう、ですか?」
曜「うん。ここまでアクティブな娘へ変わる日が来るなんて、夢にも思ってなかったよ」
ルビィ「曜さん……ありがとうございます」
曜「どういたしまして」
233 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:49:37.39 ID:xnInN/pyO
曜「でもルビィちゃんが生徒会へ入るなら、次期部長は善子ちゃんに任せることになるかな?」
ルビィ「……そう、なりますよね? 兼任できないので」
曜「やっぱりルビィちゃんから見ても不安?」
ルビィ「不安しかないです。この前も書類の提出、忘れてましたし」
曜「あらら……かといって、花丸ちゃんに任せる訳にもいかないもんね」
ルビィ「ですね。まあ、何とかなりますよ」
曜「その根拠は?」
ルビィ「今までだって千歌ちゃんが部長でしたけど、実質的な指揮を執っていたのはお姉ちゃんでしたから」
曜「確かに」
まるで藤原家やスタンダ家の祖先達が行っていた摂関政治の如く、だ
表向きの部長は善子ちゃんが担いつつも、練習や具体的な活動方針を打ち出すのはルビィちゃんが取り仕切って──、
曜「……って、ごく自然にルビィちゃんがリードしていくビジョンが浮かんだし!」
ルビィ「自然に浮かびました?」
曜「っていうか、ルビィちゃんもごく普通に自分が指揮執ってくつもりでいるし!」
ルビィ「えっ? 駄目でした?」
曜「いや、駄目じゃないよ。全然」
これはますます次期部長の将来が楽しみになってきたぞ!
234 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:50:16.54 ID:xnInN/pyO
ルビィ「入部希望者も3人ほどいるんで、1週間の体験入部をしてもらってから、続けていけそうか本人確認していこう。そう考えているんです」
曜「ルビィちゃんや花丸ちゃんの時と同じだね?」
ルビィ「うん。会長からも許可が下りたので、週明けから来てもらいます」
曜「了解。ところでどんな娘達? 会ったことあるの?」
ルビィ「わたしもまだです。でも大丈夫ですよ」
曜「これまた根拠ゼロな」
ルビィ「わたしや花丸ちゃんや善子ちゃんみたいな娘だって、なんだかんだで1年やってこれたんで」
曜「な、なるほど」
引っ込み思案で人見知りのルビィちゃん
地味で運動オンチな文学少女の花丸ちゃん
厨ニ病で少しイタいところがある善子ちゃん
一見人前で歌って踊るなんて出来なそうな3人でも続けられたなら……いや、自分はともかく親友2人を「みたいな」ってさぁ
ルビィちゃんがあまり天狗にならないよう、今後は注意していかなくちゃいけないかも
235 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:50:52.90 ID:xnInN/pyO
ルビィ「曜さんは体育大学へ行くつもりなんですよね? スポーツ推薦で」
曜「うん。高飛び込みでも一番になりたいからね」
ルビィ「ずっと続けてきたからですか?」
曜「まあね。せっかくならどこまでやれるか確かめてみたいし」
ルビィ「自分のため、ですか?」
曜「もちろん。自分のため、だよ」
千歌ちゃんが喜ぶから
千歌ちゃんにいいところ見せたいから
千歌ちゃんと何でも一緒がいいから
「千歌ちゃん第一主義者」だった渡辺曜から完全に脱却するためにも
ルビィ「ふふっ、曜さんもずいぶん変わりましたよね」
曜「そうかな?」
ルビィ「そうですよ。『自分と他人の境界線を引けるようになった』、そんな風に見えます」
曜「……やっぱり千歌ちゃん絡み?」
ルビィ「他に何があります?」
曜「……ありません」
236 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:51:33.64 ID:xnInN/pyO
ルビィちゃんが私の両肩を掴み、エメラルド色の瞳で私の瞳を覗き込みながらこう宣言した
ルビィ「とにかく、1人で立っていられないと感じたら、いつでも頼ってくださいね。わたしが支えてあげますから♡」
曜「やだこのイケメンルビィちゃん// 惚れ直しちゃいそう♡」
そしてそのまま、私達は口づけを交わした
初めてのキスは、みかんジュースの甘酸っぱい味がした
曜「……って、何この口いっぱいに広がるみかん風味はっ!?」
ルビィ「……さっき会長からみかんジュース貰ったんで//」
曜「月ちゃんめぇーっ! ムードぶち壊しじゃないの!!」
ルビィ「ふふっ、わたし達らしくていいじゃないですか♡」
曜「ルビィちゃん……かもね」
ようルビ「「ふふっ、あははっ!」」
私達には少女漫画のようなロマンチックな恋は似合わないのかもしれない
だけど恋愛の形なんて人それぞれでいいんだ
237 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:52:18.51 ID:xnInN/pyO
【それから1X年後の春】
私は今年の夏に開催されるオリンピックへ向けて、イタリアで高飛び込みの強化合宿へ参加していた
ここシチリアは小原グループとイタリア政府のマフィア掃討作戦の結果ゆえか、市街地を歩いていても妙な輩に絡まれることもなく平和な土地だ
曜「じゃあ先に上がりますね」
合宿仲間A「お疲れさま〜」
合宿仲間B「彼女さんと飲みに行くんでしょ? 行ってらっしゃい」
シャワーで塩素を洗い流し、白いスーツに着替えて鏡で着こなしチェック!
よし、ネクタイは曲がってないし髪の毛もクシャクシャになってないね!
選手用のプールを出ると、紅いドレスを纏ったスラリと背の高いロングヘアーの彼女が待っていてくれた
ルビィ「お疲れさま、曜ちゃん」
曜「うん。行こっか、ルビィちゃん」
238 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:53:00.76 ID:xnInN/pyO
オレンジ色の夕日に照らされたシチリアの街を、ルビィちゃんが運転するレンタカーが駆け抜けてゆく
ルビィ「ところで曜ちゃん、いい知らせと悪い知らせがあるんですけど」
曜「なんかアクション映画でよくあるヤツだね。じゃあ、悪い知らせから」
ルビィ「わかりました。はいっ」
彼女がポーチから堕天使と花丸マークの描かれた封筒を取り出し、助手席に座る私へと手渡す
曜「善子ちゃんと花丸ちゃんからだね」
封筒を開くと、大鍋から肉じゃがをおたまで掬い、行列を作る人達へ手渡す花丸ちゃんと善子ちゃんの写真が入っていた
ちなみに「※現地の方に撮ってもらいました」と写真の裏に書いてある
曜「えーっと、ロカムリ人だったっけ?」
ルビィ「はい。イシャロム人とイショロキ人の紛争に巻き込まれて、故郷を追われた少数民族です」
2人は現在、南米の紛争地域にある難民キャンプで活動している
花丸ちゃんはNGOの一員として炊き出しや子ども達のお世話を、善子ちゃんは戦場カメラマンとして争乱の惨状を世界へ発信していた
「語られない物語を聴くための活動」は、1人でも多くの命を救うという形で花開いたということだろう
239 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:53:51.37 ID:xnInN/pyO
曜「これでも中東よりはマシ、なんだよね?」
ルビィ「ユチハコ人によるチャキロキ人への弾圧と比べれば、ですか?」
曜「うん。一方的な虐殺だって話だし」
ルビィ「5倍以上も人口差がありますからね」
曜「はぁ、嫌になるね。世界はこうも悪意や憎しみで満ちている」
ルビィ「ですね。でも、悪いことばかりじゃないですよ。はい、いい知らせ」
240 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:54:30.38 ID:xnInN/pyO
2つ目の封筒にはみかんと桜のマークが描かれている
そちらにはあどけなさが抜け凛とした大人の女性となった千歌ちゃんと、5歳ぐらいの頃の彼女に瓜二つな少女が、まん丸に大きくなった梨子ちゃんのお腹を愛しげに撫でる写真が入っていた
そう、梨子ちゃんは5年前に千歌ちゃんの娘を産み、今は2人目を妊娠しているのだ
曜「来月には2人目が産まれるって?」
ルビィ「みたいですよ。千歌ちゃんも梨子さんも幸せそうですよね」
曜「だね。いや〜、また梨歌ちゃんと会いたいなぁ」
ルビィ「ですよね。こういうの見てると、わたし達も子ども欲しくなりません?」
曜「うん、わかるわかる」
2人は小原グループが研究を進めていた「IPS細胞を用いて女性同士で子どもを作る実験」へ志願したのである
あの「忘却の書事件」の後にも、まるで「神様が千歌ちゃんと梨子ちゃんを仲が引き裂こうとしているのでは?」と思いたくなるような出来事は何度も起こった
ただし時には今までの経験を活かして、時には私を始めとしたaqoursのみんなや家族の協力もあって、全てを乗り越えていけたのだ
そう考えると、梨歌ちゃんは私を含め多くの人達が「2人の絆を守りたい!」と奮起したみんなの想いの結晶、と言えなくもない気がしてきた
なお、一応鞠莉ちゃんから私達にもメールは送られていたが「オリンピックで自分が納得する結果を遺してから考える」とお断りしていた
241 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:55:19.13 ID:xnInN/pyO
曜「千歌ちゃんも梨子ちゃんも、マイノリティが受け入れられるよう行動してるんだね」
ルビィ「女性同士じゃ子どもが作れないから、結婚するメリットはない。完全に女性を『子どもを産む機械』扱いですよね」
曜「結局、そんな風に人付き合いでも何でも『損得』で考える人が少なからずいる、ってことなんだよね」
ルビィ「ですね。でも突き詰めていけば『一緒にいて楽しい』とか『君の笑顔が見たい』ってのも、自分がそれで得した気持ちになりたいから……になっちゃいますよね」
曜「いいんじゃないかな? 自分以外の誰かの幸せを喜べるなら」
ルビィ「ですね。難しく考える必要はありませんよね」
悪鬼と呼ばれる人達のように「自分が気持ち良くなるためなら周囲の犠牲を厭わず、そこに良心の呵責を感じない」よりかずっとずっと
242 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:56:03.85 ID:xnInN/pyO
レンタカーをとあるビルの地下駐車場へ停車させ、私達はエレベーターに乗って地上39階にある高級レストランへと向かった
受付「いらっしゃいませ。ルビィ・クロサワ様とヨウ・ワタナベ様ですね?」
ルビィ「はい」
受付「こちらへどうぞ」
そこはシチリア全域が一望できる窓際の特等席だった
沈むゆく夕焼けがレンガ造りの町並みを優しく照らしていた
曜「ふぅ、見た目によらずボリュームあるもんだね」
ルビィ「でしたね、わたしももうお腹いっぱいです」
海外にいる期間が長くなると無性に和食が恋しくなるもので、今回は和食中心のフルコースを予約していた
栗と松茸の炊き込みご飯に伊勢エビ・大トロ・松阪牛と国内に居ても滅多に口にしない料理ばかりで、とても「地元の味」という感じはしなかったけどね
ルビィ「後はデザートのモンブランケーキだけなんで、美味しくいただきましょうか」
曜「あっ、その前にひとつ……いい、かな?」
243 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:56:42.33 ID:xnInN/pyO
バクン、バクンと心拍数が急上昇してゆくのがわかる
この感覚は1X年前、閉校祭の前日に千歌ちゃんへ告白した時以来かも
さあ、勇気を出すんだ渡辺曜!
今日こそはずっと寄り添ってくれた彼女へ、想いをはっきり告げる刻だぞ!
大学の時も、プロになってマネージャーを募った時も、いつだって彼女の方から「やりたい」と言ってくれたんだから、今回ぐらいは私から伝える番だって決めたんだから!
ルビィ「いいですよ、ひとつでも何個でも」
曜「渡したいものがあるんだ」
手提げ鞄から小さなケースを取り出し、彼女の目の前でパカッと開く
推奨BGM:ルビーの指輪
https://youtu.be/n2cdgo86Hzo
中身は彼女の薬指に合わせた、オーダーメイドのルビーの指輪である
曜「ルビィちゃん」
ルビィ「はい」
曜「次のオリンピックが終わったら……」
ルビィ「終わったら?」
244 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:57:58.96 ID:xnInN/pyO
曜「結婚しよう」
何の捻りもせず、シンプルな愛の言葉を告げた
ルビィ「うっ……うっ、ううっ……」
涙を流す彼女へ、ポケットからハンカチを出して手渡した
曜「ごめん、いきなりこんなこと言って」
ルビィ「曜ちゃん……嬉しいです。わたし、すっごくすっごく嬉しいです」
曜「じゃ、じゃあ?」
彼女の返事もいたってシンプルなものだった
ルビィ「はい、喜んで♡」
曜「ありがとう、ルビィちゃん♡」
彼女がニッコリと、どんな景色よりも綺麗な笑顔を向けてくれた
245 :
◆EU9aNh.N46
:2019/04/05(金) 06:58:31.60 ID:xnInN/pyO
ルビィ「でも、こういうのっていわゆる『死亡フラグ』ってヤツですからね」
曜「へっ!? そうなの?」
ルビィ「そうですよ。しかも『この○○が終わったら、結婚しよう』だなんて、これ以上ないくらいにはベタなタイプの」
曜「……言われてみれば、映画とかでよく見るなぁ」
ルビィ「まあ、仮に『曜ちゃんが本番で足を滑らせた結果、打ち所が悪くて半身不随になった』としても」
曜「……なんかえらく具体的なシチュエーションだね」
ルビィ「わたしは曜ちゃんを見捨てたりなんてしませんからねっ♡」
曜「ありがとね、ルビィちゃん♡ でも何か実際に起こりそうで怖くなってきたんだけど」
ルビィ「なりませんよ」
曜「どうして?」
ルビィ「こういうのって、誰かが気付くと逆に『生存フラグ』になるそうなので♪」
ようルビ「「ふふっ、あははっ♪」」
私達の歩む未来は、これからも笑顔の絶えない素晴らしいものになりそうだ
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