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ほむら「エヴァンゲリオンVS魔法少女 最後の戦い」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:23:29.61 ID:urkHNFqn0
赤い海。
赤く血塗られた月。
赤い空。
赤く染め上げられた大地。
地に押し寄せる波の音とともに、声が響く。
「……の、ね……やり……す……」
それは、波打ち際で息絶えた少年の、その亡骸に横たわる少女の声であり。
「――いいだろう」
それに応えるのは、少女のすぐ傍に佇む一匹の獣の声であり。
「キミの祈りは、エントロピーを凌駕した」
それに呼応して輝くのは、
「さあ、解き放ってごらん。キミの祈り――キミの願い――キミの、新しい力を!」
――赤く、紅い、宝石だった。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1552839809
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:24:47.57 ID:urkHNFqn0
西暦2011年 見滝原
多くの建物が倒壊し、大きな傷跡を残した街。
ゴミ溜めのように澱んだ場所で、少女は空を見上げた。
厚い雲間から差し込む光を見て、息を吐き出す。
「いまさら『夜』を乗り越えることになるなんて……皮肉にもほどがあるわね」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:27:27.59 ID:urkHNFqn0
西暦2011年 南極
「……どうやら覚醒したみたいね。始祖の生き残りが
眼鏡を掛けた少女は、海上にいた。
円筒状の器の上に立ち、天に昇る光の柱と、海に降り注ぐ光の粒子を見上げながら、眉をひそめる。
呆れるように肩をすくめながら。
楽しむように頭を振りながら
「それにしても、また南極とは。変わらないにゃー、キミは」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:29:48.43 ID:urkHNFqn0
西暦2012年 荒廃した都市
少年は、廃墟の中で膝を抱えていた。
その瞳からは光が失われ、呼吸も浅い。
そうやって、ゆっくりと生を手放そうとする少年の前に、二人組の少女が現れた。
「おい、見てみろよ。こいつまだ生きてんぞ」
「生存者を一名発見。運が良いわね。それで、どうするつもり?」
「どうするって言われても……そうだね。とりあえず……」
赤い髪の少女が、棒状の菓子を少年に向けて突き出した。
「食うかい?」
少年の瞳に、光が灯る。
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:30:37.38 ID:urkHNFqn0
西暦2013年 京都
「君はなぜ、そうまでして誰かを助けようとするのかね?」
三十度を超える気候の中、降り注ぐ太陽の光に目を細めながら男は少女に尋ねた。
少女は黙って肩をすくめ、かぶりを振って言葉を紡ぐ。
「私が誰かを助けるのは、それが私の愛する人を助けることと同義だからです」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:31:26.60 ID:urkHNFqn0
西暦2014年 ドイツ
「ふうん。あんたもキョウコっていうんだ?」
広々とした邸宅、リビングに置かれたソファーの上に少女はいた。
右手に包帯を巻いて首から吊るしながら、テーブルを隔てて左手側のソファーに座る女性を見る。
女性はベビーベッドですやすやと寝息を立てる赤子を見ながら、優しい笑みを浮かべた。
「ええ。日本語だと、今日の子、と書くの。ありきたりだけど……今は、良い名前だと思っているわ」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:32:30.31 ID:urkHNFqn0
西暦2016年 第二東京(旧長野)
「あっ、ちょ、ちょっちまって! ……ごっみ〜ん、財布落としたっぽい」
「おいおい葛城、またか?」
「ミサト……あなたって本当にずぼらね」
呆れる二人に手を合わせて謝罪する女性。
その背後から、ウェーブがかった髪の女性が声をかけた。
「ちょっといいかしら? もしかして、その財布ってこれのこと?」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:33:29.77 ID:urkHNFqn0
西暦2026年 9月 第二東京(旧長野)
夜。街灯やネオンとは異なる、熱を持った光が街を照らしていた。
黒煙が立ち込め、怒号が鳴り響き、複数の緊急車両が赤いランプを輝かせる。
「――爆発です! JA事件の最高責任者である時田シロウ氏を護送していた警護車両が爆発しました!」
「原因、死傷者等は未だ不明のままであり、警護をしていた警察官によると、複数の子供の姿を目撃したという情報も――」
カメラの前で叫ぶ報道記者と目も当てられない惨状を尻目に、黒い服装の女性が通り過ぎていく。
「こちら《アメシスト》。対応AB-5、遂行を確認。ただし目撃者が数名いる模様。《ダイヤ》?」
『……私からは、何も言えない』
「良いとも。それが君の望みなら、私は私の、愛の在り方を世界に提示するだけさ。後始末と《ジェット》達との合流地点には《聖団》をお願いするよ」
『……ごめんなさい』
「気にすることはないよ。世界は全て、あまねく君の思うがままに――さ」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:34:33.96 ID:urkHNFqn0
西暦2026年 10月
真っ暗闇の空間。
そこに、スポットライトが当たる。
光を浴びるのは、赤い瞳を持つ、奇妙な姿をした一匹の白い獣だ。
「さあ、始めよう、魔法少女諸君」
獣の声に呼応して、暗闇の中に『十二』の宝石が光を帯びながら現れる。
「これは文字通り――世界の命運を賭けた戦いだ」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:39:49.14 ID:urkHNFqn0
ほむら「ここを訪れるのは、十五年ぶりになるのかしら」
ほむら「懐かしいわね……」
ほむら「以前私が通っていた学校も、今では手の届かぬ場所に」
ほむら「あのボロアパートも、公園も、廃ビルもやたら多かった風車もなにもかも。本当になにもかも夢の跡」
ほむら「あの無限の繰り返し、底知れない時の螺旋を乗り越え、尊い犠牲の果てに辿り着いたのに」
ほむら「大魔獣であるワルプルギスの夜を相手に命がけで守ったというのに、ね」
ほむら「報われないわ。儚いものよね、人生って」
ほむら「まるで私の美しさのように……」
ほむら「貴方もそう思うでしょう?」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:40:15.35 ID:urkHNFqn0
ほむら「インキュベーター」
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:42:52.98 ID:urkHNFqn0
キュゥべえ「……こうしてキミがまともにボクと話しかけてくれるだなんて、すごい久しぶりだね」
ほむら「まるで私があなたとまともに会話をしてこなかったかのような言い振りね」
キュゥべえ「事実じゃないか。君ときたら、ここ最近は忙しくてストレスが溜まってるからって、普段は無視して情報が欲しい時だけ話しかけてくるんだから」
ほむら「ただの独り言よ。あなたに話しかけているわけじゃないわ。気持ち悪い。あなたに向ける感情なんて憎悪だけよ」
キュゥべえ「そのくせボクが無視したら蹴っ飛ばしてくるし」
ほむら「あれはいわゆる愛情表現よ」
キュゥべえ「五秒前の自分の発言!」
ほむら「ともかく、私はなにものにも等しく寛大だから。――目上の者は目下の者を労わないといけないでしょう?」
キュゥべえ「……キミ、少し性格が変わったね。嫌味になった気がする」
ほむら「あらやだ失礼ね、私が嫌味なら人類七十億人全員ド畜生になるわよ。……もっとも、今の人類は三十億程度だけれど」
キュゥべえ「セカンドインパクトのせいでね」
ほむら「そう、セカンドインパクト。十五年前に発生した、隕石が南極に衝突したことによる大災害ね」
キュゥべえ「衝撃で地軸はずれるし地震は起こるし紛争は起こるし天気は雷雨ときどき台風だし南極の氷が溶けて海水が増えて水没する地域は増えるしで大変だったよ」
ほむら「まさに地獄としか言いようがなかったわね。しかも良い感じに魔獣が増えて本当に面倒だったわ」
キュゥべえ「ボクらとしては嬉しい誤算だったけどね」
ほむら「クズ発言はさておき、それもこれも……南極に隕石が衝突したセカンドインパクトのせいで、ね」
キュゥべえ「そう、隕石の衝突によるセカンドインパクトのせいで、だね」
ほむら「……けれども、それはあくまでも公で通っている話にすぎない。そうでしょう?」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:43:28.51 ID:urkHNFqn0
キュゥべえ「その通りだよ、暁美ほむら」
キュゥべえ「あれの本当の原因は隕石の衝突なんてものじゃない」
キュゥべえ「正体不明の『生命体』の出現によるものだ」
ほむら「……」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:45:02.60 ID:urkHNFqn0
ほむら「……美国織莉子の話、どこまでが真実なのかしら」
キュゥべえ「どこまでも真実だと思うよ。少なくとも彼女は、十五年前の段階から動いていたからね」
ほむら「気の長いことね。短気よりはマシだけれども。短気は損気よね」
キュゥべえ「良いこと言うね」
ほむら「でしょう。……それで、どうして貴方は彼女の提案に乗ったの?」
キュゥべえ「言わなくても分かっているんだろう? なら聞かなくてもいいじゃないか」
ほむら「そう言って誤魔化すところが大嫌いよ鬱陶しいイライラする目障りだから消えなさいこの家畜風情が」
キュゥべえ「短気は損気って言葉知ってる?」
ほむら「人間は長く細くよりも太く短く生きるものよ。私は太く長く生きてみせるけど」
キュゥべえ「ああ言えばこう言う……」
キュゥべえ「まあ話すけど」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:46:45.21 ID:urkHNFqn0
キュゥべえ「――数か月前から地球に現れた正体不明の生物、巨大怪獣こと使徒」
キュゥべえ「そしてそれと戦う巨大人型兵器エヴァンゲリオン」
キュゥべえ「そして南極で起きたセカンドインパクト」
キュゥべえ「……ボクにはそれらについて心当たりがあるんだよ」
ほむら「……心なんてあるの?」
キュゥべえ「あるよ。感情がないだけでね」
ほむら「ふうん。ま、それはどうでもいいわ。それじゃあそれらについて洗いざらい話しなさい」
キュゥべえ「確証がないことはそう簡単には教えられないよ。外れていたら大変だし、これは人類を大きく左右することだからね」
ほむら「つまり確証さえあれば答え合わせは出来る、そう言いたいのね?」
キュゥべえ「そういうことになるね。そしてその手伝いをしてもらいたいんだ」
ほむら「私が手伝わずとも、貴方がその気になれば潜り込めるでしょう」
キュゥべえ「無理だよ。キミも知っているだろう?」
キュゥべえ「特務機関NERV(ネルフ)の警戒レベルの高さは」
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:48:35.95 ID:urkHNFqn0
キュゥべえ「なにせ魔法を用いて二重三重に海外を経由させて、重要度の低い情報を得ようとしただけで気付かれたからね」
キュゥべえ「ドヤ顔でパソコンを操作していた君の驚きようは今年に入ってから一番興味深かったね」
ほむら「その記憶は消しなさい。でも、まるでウィザードのような腕前だったわね、あの相手」
キュゥべえ「実際には単なるコンピュータの防衛機能だよ。もっと凄いのがいるはずだ」
ほむら「おかげで仮拠点にしようとしていたアパートの一室を売り払う羽目になったわ」
ほむら「……でも、貴方なら不可視状態になれるのだから簡単でしょう?」
キュゥべえ「見えないだけで、そこにいるのは変わらないからね。下手に身体を入手されてしまうことは避けたい。ボクらを視認できる『例外』もいるし……」
キュゥべえ「ボクらが忍び込むからには失敗は許されない。だから凄腕の魔法少女の協力が必要なんだ」
キュゥべえ「美国織莉子の件もあるしね」
ほむら「興味深い電波だったわね、あの女の話。確か……」
ほむら「――巨大な全裸が地球に現れ人々がオレンジジュースになって大喝采、だったかしら」
キュゥべえ「情報の取捨選択が悪意に満ち満ちている気がするけれど」
ほむら「事実よ。受け止めなさい」
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:54:30.31 ID:urkHNFqn0
ほむら「あの生理的に無理な女の話をまとめると、こういうことね」
1.十五年前、未来予知ができる魔法少女『美国織莉子』は、
世界を揺るがすセカンドインパクトと、その十五年後に世界が滅びるサードインパクトを予知した。
それは怪獣が現れて戦いが起こり、やがて人類が滅亡するような恐ろしい光景であった。
2.美国織莉子は未来を変えるべく、十五年間の間に株式売買や投資、起業、買収から合併まであらゆる手段を用いて準備をした。
そしてセカンドインパクト直後の世界で上手く立ち回り、魔法少女の共同体『マギカ・レコード』を設立。さらに日本でも五本の指に入る会社『美國コンツェルン』まで設立した。
3.準備を終えた彼女はいよいよ未来を変えるべく、ほむらや杏子のような魔法少女に掛けあい、協力を要請した。
具体的には人類滅亡の原因究明と、それを回避するための実働などである。
なお、ほむらや杏子以外にも、十五年前の時点から協力している魔法少女は少なからず存在している。
その中には既にNERVの支部にスタッフとして潜り込んでいる魔法少女もいる。
4.ほむらに与えられた任務は第三新東京市の潜入とNERV、エヴァと使徒の調査、及びエヴァのパイロットの監視である。
5.最悪の場合、××××に××する×××の××、×××の×××××の××、××××××の××を行う。
ほむら「なかなか大変ね……」
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:55:50.81 ID:urkHNFqn0
ほむら「でも、私もいい加減その使徒とやらについては興味があったわ」
キュゥべえ「本当かい?」
ほむら「ええ。使徒は、世界を破壊しすぎたわ」
ほむら「せまどかが守った世界を、これ以上メチャクチャにされてはたまらないもの」
キュゥべえ「まどか。君の言う円環の理の正体のことだね」
ほむら「ええ」
ほむら「……そういえば貴方、たしかまどかについて調べていたんじゃなかったかしら」
キュゥべえ「調べていたけど、そこでセカンドインパクトが起きてしまったからね」
キュゥべえ「それにあの現象を調べればとんでもない自体になるという予測も出たんだ」
ほむら「具体的には?」
キュゥべえ「うまい具合にまとめると116分で君の化粧が濃くなり悪魔になる」
ほむら「わけがわからない……そして実にくだらないわね。まあ、どうでもいいことよ。もう行きましょうか」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:57:17.59 ID:urkHNFqn0
「もう、いいのかい?」
「ええ。懐かしの、我が第二の故郷にさよならを告げましょう」
「そうだね」
「……ばいばい、私の大好きだった、見滝原」
小さく囁くと、見滝原の街を見下ろしていたほむらはゆっくりと後ろを振り返った。
街に背を向けて、長い黒の髪を手で払い、風に乗せて踊らせる。
ほむらは猫のような姿をした使い魔、キュゥべえを肩に乗せて、水面の上を歩き始めた。
近代化の煽りを受けて芸術的な意匠が施された発展都市。
見滝原。
無数の思い出と、脱出できずに取り残された人々を懐に抱えたまま、十五年間。
誰一人として立ち入らせることなく。
彼の街は、今はただ、海水の奥底で静かに眠るだけの日々を送り続けている。
それは、おそらくこれから先、何十年、何百年と変わることはないだろう。
見滝原市は、セカンドインパクトによって海没していた。
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:58:11.67 ID:urkHNFqn0
キュゥべえ「それで、具体的にはどうやって向かうつもりだい?」
ほむら「徒歩で?」
キュゥべえ「……何日掛かるかな」
ほむら「冗談よ。――競歩だから」
キュゥべえ「21世紀の人間とは思えない原始的な解答だね。猿に先祖返りしたのかな?」
ほむら「失礼なこと言うと蹴り飛ばしたわよ」
キュゥべえ「誰か彼女に日本語を教えてあげてくれないかな。あと足グセの悪さをどうにかして欲しい」
ほむら「失礼なやつね。……いえ、ちゃんと移動手段は用意してあるわ。この道を適当に進んでいればそのうち迎えが来る手筈になっているのよ」
キュゥべえ「最初から素直にそう言いなよ」
ほむら「貴方相手に素直にするくらいなら畜生道に落ちるわ」
キュゥべえ「君の性格はすでに十分畜生並みだと思うけど」
ほむら「あらやだ畜生に畜生扱いされてしまったわ」
キュゥべえ「めんどくさいなぁこの子!」
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 01:59:30.21 ID:urkHNFqn0
言葉を交わしながら人気の少ない街道を進んでいると、背後から車の走行音が聞こえてきた。
エンジン音ではなくタイヤの摩擦やモーターの振動による音だ。
ガソリン式ではなく、主流となりつつある電気駆動自動車である。
車はすぐ後ろで急速にスピードを落とし、鋭い切り返しでほむらたちの前に滑り込んできた。
車種はアウディのカブリオレ。
四人乗りのオープンカーだ。
コンパクトながらも力強さを感じさせる車体は、燦々と照りつける陽光をきらりと反射させ、その熱を吸い込むような燃える炎を連想させるまっすぐな赤色に染められていた。
運転席には、優雅な手つきでハンドルを握り締めた“少女”が座っている。
少女は目元を隠しているサングラスを外し、赤い髪を束ねたポニーテールを風になびかせながら声を掛けてきた。
??「ヘーイそこの彼女、ひとりかーい?」
ほむら「いいえ、ボーイフレンドビーストと一緒です。……ぉぇっ、気持ち悪」
キュゥべえ「勝手にボーイフレンドビースト扱いされて勝手に吐き気を催されているボクの立場になってみなよ」
ほむら「おぇっ……駄目、無理、ゴメンナサイ、貴方を消してすっきりしたい」
キュゥべえ「控えめに言って最悪だね」
??「あー……なんていうかさ、相変わらず仲が良いねあんたら」
ほむら「それは誤解よ。貴方こそ、元気そうで何よりね」
ほむら「佐倉杏子」
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 02:04:22.96 ID:urkHNFqn0
ほむらが肩をすくめながら言うと、赤いカブリオレを運転していた杏子もまた同じように肩をすくめてみせた。
佐倉杏子。
ほむらと同じく十五年以上も前線で活躍し続けているベテランの魔法少女だ。
姿こそ十四、五歳にしか見えないが、それは身体年齢の成長と加齢を魔法によって止めているためだ。
こう見えて実年齢は三十を超えている。――もっとも、それはほむらもだが。
そして他ならぬ彼女こそ、ほむらを迎えに来る手筈となっている『移動手段』でもあった。
杏子「まぁ積もる話もあるけど、とりあえず乗ったら?」
ほむら「お邪魔するわ。それにしてもけっこう良い作りしてるわね、このアウディ」
キュゥべえ「それじゃあボクも座らせてもらおうかな」
ほむら「膝の上はダメ。これ、いくらしたの?」
キュゥべえ「……じゃあ杏子の膝の上にでも」
杏子「あたしこれから運転だよ? 後ろ座っときなよ。あ、値段聞いちゃう? 高かったんだよねぇ。ちなみにいくらだと思う?」
キュゥべえ「やれやれ、じゃあ後ろで休ませてもらうとしようかな」
ほむら「……五百?」
杏子「日本にはやおよろずの神様って概念が存在するじゃん?」
ほむら「八百万……車一台に大した道楽ね。そんなに懐に余裕があったの?」
杏子「へへっ、織莉子からの臨時収入でね。ほら、あたしらって第三新東京市に入ったらそのまま長期活動でしょ? いやぁ、わがままって言ってみるもんだよねぇ」
キュゥべえ「ボクには理解出来ない道楽だね」
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 02:06:21.48 ID:urkHNFqn0
ほむら「……それにしたって、わざわざオープンカーにしないでもいいでしょう。警察がうるさいし、第3新東京市では乗れないわよ」
杏子「『桜田今日子』名義の免許証はちゃんと本物だから平気だってば。さすがに潜入先では乗らないし……」
ほむら「じゃあ手前で降りるわけね」
杏子「そゆこと。あんたも電車使って入る手筈でしょ?」
ほむら「ええ」
杏子「ならオッケー、オッケー。それまでの短い旅を楽しまないとね。じゃ、車出すよー」
キュゥべえ「安全運転でお願いするよ」
杏子「分かってるって。あ、なんか曲でも掛ける? そこにCDあるから選びなよ」
ほむら「気が利くわね。……でも選曲に偏りがあるような」
杏子「音ゲーでハマった曲集めてるからね」
ほむら「ふうん。じゃあ……これにしようかしら」
杏子「おっ、それ? なんか意外だね」
ほむら「そう? むしろ私としては、この曲は私のことを歌っているのかと勘違いしそうなほどにぴったりだと思ったのだけれど」
キュゥべえ「自意識過剰だね」
ほむら「黙りなさい家畜風情」
杏子「まあまあ。それじゃあほむら、曲名の方、頼むよ」
ほむら「はぁ……それでは、宇多田ヒカルで」
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 02:06:49.14 ID:urkHNFqn0
―――― Beautiful World ――――
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 02:09:02.41 ID:urkHNFqn0
もしも
願い
一つだけ
叶うなら
君の側で
眠らせて
どんな場所でもいいよ
Beautiful world
迷わず
君だけを
見つめている
Beautiful
boy
自分の
美しさ
まだ知らないの
It's only love
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 02:12:17.31 ID:urkHNFqn0
第一話 魔法少女、到着。前編 完
第二話 魔法少女、到着。後編 に続く
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/18(月) 02:15:02.47 ID:plDXv+OgO
悪くない導入だな、期待
28 :
◆wulQI63fj2
[saga]:2019/03/18(月) 02:19:51.59 ID:urkHNFqn0
美國コンツェルン:広報公開情報
セカンドインパクト前後に勃興した、株式会社美國投資を中心とした一大グループ。
日本における五大企業の一つであり、一次産業から三次産業まで幅広く手を伸ばしている。
美國コンツェルンが誇る最大の武器とは、美國コンツェルン代表取締役会長である美國織莉子氏の常人離れした経営手腕である。
あまりにも正確無比な投資と株式売買によって美國コンツェルンはセカンド・インパクト後の混乱の中を駆け上がっていった。
その先見の明は、数多の投資家が『彼女には未来が見えているのではないか』と口を揃えるほど。
さらに驚くべきことに、美國織莉子氏はセカンドインパクトから十五年が経過した現時点でまだ三十代前半という若さである。
29 :
◆wulQI63fj2
[saga]:2019/03/18(月) 02:20:51.13 ID:urkHNFqn0
以上。
投下してしまったからには走り切るしかねえ!
ただし投下は不定期になるかもしれません。
どうぞ末永くお付き合いください。
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 11:55:09.65 ID:rUxte/VlO
世界観が全く違うものを混ぜる感性がさっぱりわからん
まどマギとエヴァって何か共通点あるの?
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 11:59:05.36 ID:rUxte/VlO
>>10
>ほむら「報われないわ。儚いものよね、人生って」
>
>ほむら「まるで私の美しさのように……」
>ほむら「貴方もそう思うでしょう?」
>1はキャラを読み込んでるのか?
ほむらはこんな台詞を吐くキャラじゃねえよ
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 12:09:11.30 ID:rUxte/VlO
それから文章が全体的に読み難くて背景や場面が想像しにくい
登場人物の台詞も自分に酔ったポエム吐いてるみたいで微妙
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/18(月) 12:28:52.83 ID:vcdP7OGRO
続けて
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 12:30:55.98 ID:vnA5rW6rO
続けるだけ時間の無駄じゃね?
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/18(月) 12:38:12.56 ID:2jVgi/WRO
続けたまえ
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/18(月) 12:42:38.21 ID:WOM1OabE0
こいつ他のまどマギスレにもいる荒らしじゃないの?
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/18(月) 12:44:15.65 ID:DKINukccO
俺の認めた書き方以外は許せないから潰すって思考の持ち主はやだねぇ
合わないと思ったらブラバですませられないのかね
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/18(月) 13:37:05.28 ID:7ikr0KSao
ID:rUxte/VlOこと末尾Oの百合豚なぁ
多少は百合男子の矜持でも持ってんのかと思ったら談義スレでテロ行為を肯定する危険人物だったし
>>1
は耳傾けず気にせんで放置でええよ
某安価スレみたく主役が男子…って事が無かろうとも新しく理由探して難癖付けまくって荒らすだけだろうから
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/18(月) 15:31:12.91 ID:3N4RECP+o
>>1
多分これからも二次創作の是非を盾にお前を攻撃してくる飛行機ビュンビュンID可変しまくりのカスが何度も出て来るかもしれんけど気にすんな
↓のスレ見りゃ頭おかしい人って分かるだろうから気をしっかり持っといてね。期待しとるよ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1552741749/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1533371911/
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/18(月) 16:25:43.26 ID:plDXv+OgO
念のために言おう、速報の機能の一種でスレ立ての時にorz!をメ欄に入れると
>>1
と同じ酉以外の人間が書き込めない機能がある、実際にそっちで調べればわかることだ
変な埋め荒らしが沸いて新しくスレ立てるなら考えておくといい
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 17:43:37.25 ID:jFNTDz9iO
人様のものを無断で借りてる分際でまるで自分の物の様に創作の権利を主張する二次創作に携わる屑の主張に吐き気を覚えるわ
二次とはいえファンが望まない物、キャラをレイプする様なもんを出されて黙ってられるかという話
某界隈の「ぐだ◯◯」みたいな最低創作が罷り間違って受け入れられたしまった日には阿鼻叫喚の地獄絵図だわ
つーかクロス物が誹謗中傷される謂われありまくる物ばかりなんだから当然じゃん
らんまクロス、マクロス、ジュウレン、牙狼クロスの悲劇を忘れたのか
創作の自由連呼で大草原やにわかが創作者?笑かすなよ反吐がでる
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/18(月) 17:48:17.83 ID:lKbnOIHrO
☓ファン
○俺
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/03/18(月) 18:10:26.68 ID:jFNTDz9iO
>>42
https://i.imgur.com/fl4PMa5.jp
https://i.imgur.com/WEnNC8t.jpg
https://i.imgur.com/ONQYESf.jpg
https://i.imgur.com/mSGEsXz.jpg
https://i.imgur.com/Y5QxhSz.jpg
二次創作に不満を持ってるのが俺だけなのか説明して欲しいのですが
原作にリスペクトもない二次創作に怒りや憎しみを持ってるのは俺だけじゃねえよ
糞みたいに原作やキャラを汚されたファンの怒りを少しは考えてみろや
今すぐスレ毎ぶっ殺してやろうか屑が
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 18:11:45.94 ID:jFNTDz9iO
盗人風情が権利を主張してんじゃねぇよ
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/18(月) 18:12:30.97 ID:lKbnOIHrO
ここで喚いてるのはお前だけ
はい論破
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/18(月) 18:16:35.33 ID:Xhx15yqxO
悔しかったら飛行機飛ばさないで同じく怒ってるファンとやらを連れてきてはどうですか?
どうせぼっちさんでしょうけど
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 18:19:43.29 ID:c7MpOeeEO
口の聞き方に気をつけろよ
この同人ゴロみたいになるかもしれねえぞ?
http://blog.livedoor.jp/yururi_phankill/archives/1074087642.html
そもそも最初のツイート投稿時はどちらとも取れる内容で挑発的でも無かったのに、余計なこと追加しちゃって自分で不謹慎だと喧伝したようなものだからな
余所から言われ始めた訳で無く。確信犯なら叩かれても文句言えねえよ、人様の著作物拝借してエロ絵描きなんて対して価値なんてないし
擁護してるクズも同類二次創作はこの手のチンコ脳ばかりが界隈を汚染して腐らせて行くから害悪だわ
作品のキャラクターを使ってそのキャラクターの在り方を否定するような創作したらそらそのキャラクターが好きな人からは批判が出るのは当然だし
単純に上に上がってるまどマギクロスやLOLICEPTやFGOもクソキモいから叩かれてるんだぞ
ガイドライン以前に作品には責任と批判が伴うことを理解しろよ二次創作に携わってる害虫どもはよ
それから神()イラストレーターか
ズリ絵しか描けない豚御用達の同人ゴロが神とか笑わせてくれる
キモータはサブカルを腐らせる害悪だからどんどん排斥して欲しい
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/18(月) 18:21:28.44 ID:S3HxmxxYO
☓口の聞き方
○口の利き方
低学歴だなぁ
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 18:23:47.52 ID:c7MpOeeEO
>>48
初っ端からキャラ崩壊してる
>>1
や擁護してる糞虫ほどじゃねえよ
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/18(月) 18:25:56.74 ID:nDq8HGCrO
お前以外の怒ってるファンの人まだ?
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/18(月) 18:28:13.01 ID:m/mUjqGfo
反応しとる奴も同類やぞ
コイツ談義スレで比喩でも何でもなく文字通りテロ行為を肯定した以上絶対に触れてはならない人種やぞ
52 :
◆wulQI63fj2
[saga]:2019/03/18(月) 20:32:24.64 ID:urkHNFqn0
おっほ、話には聞いてたけど大変なことに!
形はどうあれ皆さんレス感謝です。ちゃんと事情も把握してますし全てのレスに目を通してます
理由はどうあれ人で賑わうのは良いことなので結果オーライな感じで、みなさんも軽くゆるく読んでいってください
というわけで投下します
手直ししながらなので投下間隔はまちまち。投下中に見かけたら気軽にレスどうぞ
53 :
◆wulQI63fj2
[saga]:2019/03/18(月) 20:34:11.53 ID:urkHNFqn0
――第3新東京市。
ビル街の一角にて。
ほむら「そういうわけで箱根に到着したわけです」
キュゥべえ「やけに機嫌が良いね。……というか佐倉杏子は?」
ほむら「さっき街の外で別れたでしょう。当面は別行動。今頃は自分のセーフキャンプで潜伏しているはずよ、るんるん」
キュゥべえ「そういえばそうだったね。……で、気持ち悪いくらい機嫌が良いけどなんで?」
ほむら「箱根と言ったら温泉でしょう。わくわくするのは当然よ」
キュゥべえ「今では第3新東京市が位置する日本の次期首都候補だよ。温泉はせめて外周部の旧市街に行かないとないんじゃないかな」
ほむら「しまった!」
キュゥべえ「……」
ほむら「……冗談に決まっているでしょう。それにしても……第3新東京市、ね」
ほむらはキュゥべえと会話しながら、ぐるりと身を翻した。
辺りには、東京の名に恥じない立派な高層ビルが建ち並んでいる。
かつての東京のように、東京タワーやスカイツリーのような一際目立つ建造物こそないが、
地下に存在するジオフロント――巨大な居住空間に光を取り入れるための集光システムビルと呼ばれる建物郡など、独自の建造物が目に留まる。
まさに科学の街、だ。
ほむらは皮肉げな笑みを浮かべた。
54 :
◆wulQI63fj2
[saga]:2019/03/18(月) 20:36:19.32 ID:urkHNFqn0
キュゥべえ「なにか思うところでもあるの?」
ほむら「いえ、ね。これが東京だと思うと不思議な気分になるわ」
キュゥべえ「そういうものかな」
ほむら「本来の日本の首都である東京都は、セカンドインパクトの影響によるドサクサに紛れて投下され『た新型爆弾』で壊滅したでしょう?」
キュゥべえ「そうだね。そして国連本部と共に長野の第二東京へ遷都された。ここはその次に遷都予定の大都市さ」
ほむら「それで、その実態は?」
キュゥべえ「見ての通りの首都だよ。ただし――」
キュゥべえ「襲い来る使徒迎撃用の要塞都市。それがこの街の本質だけどね」
ほむら「物騒な話ね……テッポーとか、そういう武器まであるのでしょう? 野蛮。こわい」
キュゥべえ「武器を持っていて野蛮でこわい人間ならボクのそばにもいるけど」
ほむら「人付き合いは考えたほうがいいわよ」
キュゥべえ「ダメだこの子……」
55 :
◆wulQI63fj2
[saga]:2019/03/18(月) 20:39:48.25 ID:urkHNFqn0
キュゥべえの言葉にほむらは肩をすくめてみせる。そして次の角を右に曲がった。
街の外周部へと続く道を歩きながら、隣を歩くキュゥべえに目を向ける。
先ほどまでとは違い、魔法を用いた“念話”で話しかけた。
『尾行されているわ』
《どうやらそのようだね。それも複数いるみたいだ》
『引越し初日でこの歓迎方法は斬新ね。私は食べ物を買いに出かけただけなのだけれど』
ほむらは心で軽口を述べながら車道を見た。
一台の車が通り過ぎるのをなんとはなしに見送る振りをして、背後に視線を向ける。
スーツ姿の男が二名、それに黒服姿の男が一名、道の脇や電信柱の影に隠れている。
ほむらは息を吐き、ふたたび歩き出す。
『引っ越し初日で浮かれている女子中学生――なんて具合に騙されてはくれないようね』
《さっきのスキップしながらやってたるんるんってそういう意味だったんだ……》
『馬鹿をやれよ、を実践したのよ。無駄な努力に終わったようだけれど』
《向こうも仕事だからね》
『昼間からご苦労なことね。それで、尾行する理由は?』
《心当たりはないの?》
『少なくとも私には無い。あるとすればここに越してくる理由を作った無能、もとい美国織莉子の仕事ね』
《もしかすると中学校へ強引に転入するよう仕向けたのがまずかったのかもしれないね》
『どういうこと?』
《君が転入する中学校の2年A組には巨大人型兵器エヴァンゲリオンのパイロットが在籍しているからね。そこに割り込むのは無理があったのかもしれない》
『本来ならありえないイレギュラーということね。彼らにとって私は得体の知れない存在で、さらにパイロットの少年少女はしっかりと厳重に管理されている、と』
56 :
◆wulQI63fj2
[saga]:2019/03/18(月) 20:41:09.80 ID:urkHNFqn0
だけど、と言ったのはキュゥべえだ。
彼は小さな身体でほむらの隣を歩きながら、言葉を続ける。
《これで下手に動けなくなったね》
『いざとなれば尾行を振り切ってもいいのだけれど』
《ほむら、キミに良いことを教えてあげようか》
『そういうのいらないです』
《じゃあ教えないでおくね》
ほむらは照りつける日光を遮るように右手を空に翳した。
そしてさも暑さに参ったような振りをして軽くよろめき、キュゥべえに蹴りをぶち込む。
『あらごめんなさいついうっかり』
《いやわざとだよね》
『二発目、行きます』
《分かりました喋ります》
キュゥべえがやれやれと首を振る。
歩きながら、その白い前足を後ろの方へと軽く振って、
《――尾行はそれ以外にもあるよ》
『……』
57 :
◆wulQI63fj2
[saga]:2019/03/18(月) 20:42:05.11 ID:urkHNFqn0
発せられた言葉に対し、ほむらはかすかに眉をひそめた。
感じる視線は三つ。これに違いはない。
だが街中で本当に自分を尾行する気配がそれだけかと言われれば、確かに断言することはできない。
第3新東京市には使徒と呼ばれる怪獣が現れる。
そしてエヴァンゲリオンというロボットがそれを倒すために街に出撃する。
ビルは倒壊し地面が砕けるような戦場に度々陥りなりながら、それでもこの街は人で溢れかえっていた。
第3新東京市は内から見るほど広くなく、人口密集地でもある。
並大抵の魔法少女では、その中にある特定の気配を見つけ出すことは至難の業と言ってもいい。
しかし、ほむらはセカンド・インパクト後の『地獄』を生き抜いている。
マギカ・レコードに所属する魔法少女の中でもその戦闘力はトップクラスだ。
そのほむらでさえ気付けない気配があるということは、はっきり言って異常なことであった。
もちろん、魔法を使えばそれらを感じ取る感覚を強化することは容易い。
しかし移動初日で魔法を使用しすぎるのも考えものだ。
『内訳は?』
《知りたい?》
蹴りを入れるために足をわずかに後ろに下げると、キュゥべえが慌てて答えた。
《内訳は私服姿の男女と老人の三人かな》
『……他の連中と同じ組織?』
《連携している素振りは見受けられないね。スーツや黒服は私服の三人の尾行に気が付いていないみたいだ》
『最低でも二つの組織にマークされているわけね』
《そうなるね》
『しかも純粋な――人間としての練度は私よりも上。さすがに厄介ね』
《さらにそのバックに潜んでいるのは高確率でNERV……この街の支配者だ。不審な行動を取ればすべてがご破産になりかねない》
58 :
◆wulQI63fj2
[saga]:2019/03/18(月) 20:43:01.52 ID:urkHNFqn0
得体の知れないものに尾行されているのなら撒けばいい。
だがそれがこの街全体を管理する相手となると話は別だ。
ほむらがここで尾行を撒けば、余計にマークされるだけである。
『面倒ね』
《これじゃあNERVへの侵入なんて夢のまた夢だね》
『じっくりやるだけよ。でも、この分だとこの街に忍び込んでいる杏子との接触は極力控えるべきでしょうね』
《それがいいね。さすがに危険が多すぎる。せめて監視が外れないことには……》
同じ魔法少女である佐倉杏子の姿を思い浮かべ、ほむらは肩をすくめた。
今優先すべきはこの状況をどう打破するか、だ。
手っ取り早いのは自宅に戻ってしまうことだろう。
しかし考えながら歩いていたたせいで、すでに自宅とは距離が空いてしまっている。
この状況で帰宅すれば、引っ越し早々にふらふらと街を出歩く怪しい少女に思われることだろう。
『さっさとコンビニに入っていればよかったわ』
《考えながら動くのはキミの悪い癖だよね》
うるさい、と唇だけを動かしてほむらはため息を吐いた。
そこでほむらは、
「いよっ、素敵なお嬢さん。こんなところでどうしたんだい?」
耳を打つ声に目を見開いた。
後ろを振り向くと、そこには先程までいなかったはずの人影が立っている。
年齢は三十前後、無精髭に愛嬌のある顔が印象的な男性だ。
ほむらは軽く深呼吸した後で、目を細めて彼と向かい合った。
(……気配がまったく無かったのは、私の気のせいではないはず)
かすかな警戒心を胸に抱きながら、声を出す。
59 :
◆wulQI63fj2
[saga]:2019/03/18(月) 20:46:36.08 ID:urkHNFqn0
ほむら「あの、誰ですか? なんですか?」
??「ん、ああ俺かい? 俺は加持リョウジ。この辺りは俺の仕事場の近くでね」
――加持リョウジ。
わざわざ新たに覚える必要の無い名前だ。
ほむらは内心の動揺を隠しながら、
それでもごく普通の字女子中学生としての動揺や困惑の意志を表情として浮かべた。
ほむら「……はあ、それで?」
加持「夕方、都市の外周部をきれいな女の子が一人で徘徊しているのを目撃してしまうとね」
加持「男ってのは、どうしても目が離せなくなってしまう生き物なんだよ」
ほむら「警察呼びますよ」
そう言うと、目の前の男性はおどけるように肩を揺らして笑った。
60 :
◆wulQI63fj2
[saga]:2019/03/18(月) 20:48:13.59 ID:urkHNFqn0
加持「振られちゃったか。でもこの辺りはなにかと物騒だ、早めに帰った方がいいぞ? チンピラとかホームレスとかも多いしな」
ほむら「そうなんですか? まだ越してきたばかりで慣れていなくて」
加持「ああ、つまり迷子ってやつかな?」
ほむら「……帰り道くらいは分かります」
キュゥべえ《迷子だってさ》
ほむら『蹴るわよ。――蹴ったわ』
キュゥべえ《いたっ! 即行動しないでほしいなぁ……》
加持「おおっと! 急に倒れそうになったけど大丈夫か? まるで見えないボールを蹴るような勢いだったが……」
ほむら「ええ、ちょっと疲れているだけです」
ほむら「物騒という話が本当なら怖いですし、それではもう帰りますね」
加持「そうするといい。俺もまだこれから仕事があるしな……」
ほむら「お世話になりました。それでは失礼します」
加持「うん」
61 :
◆wulQI63fj2
[saga]:2019/03/18(月) 20:49:04.24 ID:urkHNFqn0
そう言って、ほむらは一度頭を下げた後で彼に背を向ける。
ごくごく自然に、普通に、平常心で。
そのまま元きた道を戻ればすべて終わる。
「――なあ、お嬢さん。名前を聞いてもいいかな?」
しまった、とほむらは唇を噛んだ。
周囲で監視している人間に気付かれぬよう、細心の注意を払って後ろにいる加持へと振り返る。
その上で尋ねた。
「なぜですか?」
「俺はこのあたりの警備員をやっていてね。もしもなにかあったら困るから、その保険みたいなもんだ」
「……なるほど、分かりました」
数回の呼吸の後に、ほむらは正直に自分の名を打ち明けた。
「……暁美ほむらです」
「暁美ほむらちゃんね。ありがとう、じゃあ早く帰るんだぞ?」
「はい」
もう一度頭を下げ、今度こそほむらは帰路に就く。
背中に貼り付けるように突き刺さる視線は、ほむらが角を曲がるまで剥がされることはなかった。
62 :
◆wulQI63fj2
[saga]:2019/03/18(月) 20:50:52.59 ID:urkHNFqn0
高層マンションの一室にて。
ろくに家具も揃えられていない部屋に入ると、ほむらは大きく息を吐いた。
魔法を用いて簡単に部屋の様子を探ってみたが、監視カメラの類は確認できない。
集音マイクの存在もだ。
ほむら「盗聴や盗撮をカモフラージュするための家具がないのだから、そこまで強引な真似はできないということかしら」
キュゥべえ「何もない部屋にカメラを置くわけにもいかないしね。ダンボールの中は分からないけれど」
ほむら「それには不可視型の破れやすい結界を張ってあるわ。結界が健在ということは、触られてはいないということでしょう」
念のために雨戸を閉めて鍵を閉め、魔法を部屋全体に伝わらせることでで部屋の防音性を高める。
それから、リビングに置かれたダンボールの中からクッションとシーツを取り出した。
シーツを敷いてクッションの一つを頭に置き、もう一つを抱えたまま寝転ぶ。
照明用のリモコンを頭の横に置き、人心地つく。
すると隣で毛づくろいをしていたキュゥべえがそばに擦り寄ってきた。
キュゥべえ「それにしても驚いたよ」
ほむら「ええ。まさかこんなことになるなんて」
キュゥべえ「加持リョウジ。彼は間違いなくNERV、もしくはそれに関係する組織の人間だろうね」
ほむら「私とキュゥべえに気付かれない腕前は確かね。でもそれ以上に……」
63 :
◆wulQI63fj2
[saga]:2019/03/18(月) 20:51:23.07 ID:urkHNFqn0
加持リョウジ。
その名前にほむらは心当たりがあった。
ほむら「……こうして会うのは、もう十三、四年ぶりかしら」
キュゥべえ「懐かしいね。まだ小さかった彼が死にかけていたところを、君たちが助けてあげたのだろう?」
ほむら「ええ。やさぐれて、廃人になりかけていたところをね」
記憶に残る光景を思い出して、ほむらは苦笑を浮かべた。
遠い昔の話で、同時によくある話でもあった。
助けた人間が生きていたことへの驚きはある。生きていたことは素直に喜んでいいかもしれない。
しかしそれだけだ。
キュゥべえ「でも彼は覚えていなかったようだね」
ほむら「私は治療して、それから生きる術を教えただけよ。杏子はなにかと絡んでいたけれど」
キュゥべえ「そういえばそうか。でも……」
ほむら「なに?」
キュゥべえ「いや、考えてみると、意外とあっという間だったね」
ほむら「……本当ね。あの地獄のような日々をよく生き残れたものだわ」
64 :
◆wulQI63fj2
[saga]:2019/03/18(月) 20:53:36.02 ID:urkHNFqn0
十五年前。
セカンドインパクトが起きた世界は、まさに地獄と呼ぶに相応しい状況へと様変わりした。
家を失くした人、親を失くした子、故郷が海に沈んだ者、倒壊する建物に圧し潰された者。
その後の暴動や食糧難、テロや紛争で傷付いた人々などを含めればきりがない。
それは日本とて例外ではない。
七十億もいた人類の半数が息絶えるのには、そう時間はかからなかった。
世界が危機に陥れば不安は増大し、不安が募れば魔獣が生まれる。
魔獣は呪いを撒き散らし、世界は滅亡に近付いていく。
この世界が。
『彼女』が守り、導き出した世界が、滅びの道を辿ろうとしているのだ。
ならばどうするか。
暁美ほむらは、どうしたか。
人を助け、魔獣を狩り、呪いを浄化し、そしてまた人を助けたのだ。
明日死ぬかもしれない病人を火の中から運び出し。
足を失って歩けない少女を瓦礫の中から救い出し。
絶望に苦しむ避難所の人々を狙う魔獣を狩り尽くし。
余命幾ばくかの重傷者を煤けた病院へと連れて行く。
日本を離れて海外の紛争地域へ身を投じ。
必要とあれば他の未熟な魔法少女を助け、指導し、協力して魔獣を狩り――仲間の死を見届けてから、また次の戦地へ赴く。
一人を助ける間に十人が死ぬ。
十人が死ぬ間に一人を助ける。
今日を生かし明日に死なせる。
そんな終わることのない戦いの日々を、ほむらは生き抜いてきた。
65 :
◆wulQI63fj2
[saga]:2019/03/18(月) 20:54:59.00 ID:urkHNFqn0
焼け石に水だ、と誰かが言った。
確かにそうかもしれない。
けれど、千度繰り返せば焼け石だってただの石になる。
生憎と、繰り返すことは慣れていた。
十五年――長い日々の回想から意識を現在に移したほむらは、すぐそばでこちらの顔を眺めるキュゥべえを見た。
それに気付いたキュゥべえが、でも、と声を上げる。
「今度は生き残ることができない」
「……」
「少なくとも、美国織莉子の予知によれば、このままだと世界は滅亡する」
半ば確定された未来なんだ、と彼は言った。
「……気に入らないわ」
「なにがだい?」
「そんな未来が」
それ以上は触れず、ほむらは目を閉じた。
照明を消し、真っ暗になった部屋の中で、静かに息を吐く。
キュゥべえもなにかを察したのか、ほむらの隣に身を伏せてそれ以上何かを告げようとはしなかった。
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 20:55:01.13 ID:CO+XoY7HO
よう人様の著作物を拝借してまどマギとエヴァを穢すの楽しいか豚?
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 20:55:10.39 ID:8QnUFGjzO
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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 20:55:17.83 ID:07t8IH+3O
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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 20:55:25.87 ID:N4JLI/ZKO
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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 20:55:33.53 ID:G4NrnroAO
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71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 20:55:41.39 ID:HJ4uOWX8O
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72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 20:55:52.84 ID:PgRrtZGtO
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73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 20:56:00.85 ID:Kz5SIbOTO
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74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 20:56:39.76 ID:Evlt7MowO
>>64
くっさいくっさい厨二病マシマシの文に胸やけを覚える
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 20:56:52.48 ID:vQMT7cGVO
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76 :
◆wulQI63fj2
[saga]:2019/03/18(月) 20:57:47.32 ID:urkHNFqn0
このままだと、世界は滅びる。
でも――ええ、いいでしょう。
世界が必ず滅ぶというのなら、私がそれを防いでみせる。
悲しみと憎しみばかりを繰り返す、救いようのない世界だけれど。
それでも、この世界は。
まどか。
かつてあなたが守ろうとした場所なのだから。
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 20:58:25.73 ID:yqUTWvOwO
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78 :
◆wulQI63fj2
[saga]:2019/03/18(月) 20:59:06.95 ID:urkHNFqn0
(変わらないね、キミは)
(ボクがキミを見つけてから十五年)
(人間からすれば決して短くない時間が経過したにも関わらず、キミは変わっていない)
(表面上の変化はあるかもしれない。性格の変化もあるだろう。それに相応しい出会いと別れを経験してきたのだから)
(だけどそれは、時間経過による適応でしかない)
(永い時の螺旋の中で、キミの心は既に完成されていたのだろうね)
(キミの心は、今も昔と変わらずに『彼女』や『かつての世界』に向けられている)
(暁美ほむら)
(キミはやはり――興味深い存在だ)
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 20:59:17.37 ID:+7I8lszEO
>>76
余所の作品と無理矢理世界と作品を壊してるのは
>>1
だろ、ああん?
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 20:59:26.19 ID:38NwLUWsO
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81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 20:59:34.77 ID:v4/XdNltO
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82 :
◆wulQI63fj2
[saga]:2019/03/18(月) 20:59:48.66 ID:urkHNFqn0
何もない空間。
暗闇だけが広がる世界。
虚無のみが存在する場所に、何の前触れもなく光が生まれた。
宙に浮かぶように現れた銀の宝石――ダイヤモンドと、その背後に浮かぶ『M-01』の文字とともに、声が響き渡る。
M-01『十三番目の少女が動き始めたわ』
それに呼応するように、淡く輝くアメシストの宝石が現れ、『M-02』の文字が浮かび上がる。
M-02『長い間、ただひたすらに沈黙を保ち続けていた彼女がようやく仕事をする気になったか。まったく、不良娘にも困ったものだ』
M-01『とはいえ、それも契約の範疇よ。M-04とともに、八番目の使徒の撃破に合わせて行動する契約なのだから』
M-02『君は甘いね。そこが良いところでもある。……さて、それじゃあいよいよ、だね?』
M-01『ええ。《未来文書》は始まりの書へと行を移したわ。約束の日は近い』
M-01ダイヤとM-02アメシストの横に、大きな円を形作るようにして無数の宝石と文字が浮かび上がった。
83 :
◆wulQI63fj2
[saga]:2019/03/18(月) 21:00:27.20 ID:urkHNFqn0
『M-01ダイヤ』
『M-02アメシスト』
『M-03トパーズ』
『M-04ルビー』
『M-05オパール』
『M-06サファイア』
『M-07ガーネット』
『M-08ターコイズ』
『M-09ペリドット』
『M-10ムーンストーン』
『M-11エメラルド』
『M-12コーラル』
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 21:00:33.44 ID:v4/XdNltO
\ ど〜してど〜してぼ〜く〜た〜ち〜は〜 生まれてしま〜った〜の〜だ〜ろう〜 /
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ノ # メ ヽ、 .ノ # メ ヽ、
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85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/03/18(月) 21:00:56.69 ID:eLRoBBlVO
\ ど〜してど〜してぼ〜く〜た〜ち〜は〜 生まれてしま〜った〜の〜だ〜ろう〜 /
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